説明

光ディスクドライブ装置、光ディスクプレイヤ装置、光ディスクレコーダ装置、及び、パーソナルコンピュータ。

【課題】薄型でありながら光ディスクの脱落が生じ難い光ディスクドライブ装置を実現する。
【解決手段】ディスクトレイ130の裏側に取り付けられたシャッター131の開閉を、ディスクトレイ130がスライドする方向と同一の方向にシャッター131をスライドさせることによって行なう。ディスクトレイ130が引き出されているときには、開口部130aをシャッター131により覆うことによって、光ディスクの脱落を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに情報を記録し、かつ/または、光ディスクに記録された情報を再生する光ディスクドライブ装置、特にトレイローディング式の光ディスクドライブ装置に関する。また、そのような光ディスクドライブ装置を内蔵した光ディスクプレイヤ装置、光ディスクレコーダ装置、及び、パーソナルコンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc)などの光ディスクに情報を記録し、かつ/または、これらの光ディスクに記録された情報を再生する光ディスクドライブ装置が広く普及している。このような光ディスクドライブ装置は、通常、光ディスクプレイヤ/レコーダやパーソナルコンピュータなどに内蔵されるため、薄型であることが要求される。特に、省スペース性が肝要となる縦置型の光ディスクプレイヤ/レコーダやディスプレイ一体型のパーソナルコンピュータなどに内蔵される光ディスクドライブ装置は、より一層薄型であることが要求される。
【0003】
ところで、光ディスクドライブ装置においては、筐体内に光ディスクを取り込むための機構として、ディスクトレイに装着された光ディスクを、このディスクトレイごと筐体内に引き込むトレイローディング機構が広く採用されている。ディスクトレイが筐体内に引き込まれると、筐体内に設けられたトラバースメカが上昇し、トラバースメカに内蔵されたスピンドルモータと筐体天板に取り付けられたクランパーとによって光ディスクが挟持される。
【0004】
このようなトレイローディング式の光ディスクドライブ装置としては、例えば、特許文献1に記載のものが挙げられる。特許文献1に記載の光ディスクドライブ装置においては、図7に示したように、ディスクトレイ11に形成された開口部11を覆うシャッター11bを設け、ディスクトレイ11が筐体10から引き出されたときに、筐体10内に塵埃が侵入することを防止している。
【特許文献1】特開平7−282575(公開日:1995年10月27日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トレイローディング式の光ディスクドライブ装置を薄型化するためには、ディスクトレイに形成する開口部を大型化することが好ましい。なぜなら、ディスクトレイに形成する開口部を大型化することにより、ディスクトレイを筐体内に引き込んだときに、筐体内のスペースを構成部品を配置するためのスペースとして有効に活用することができるためである。例えば、ディスクトレイに形成する開口部を大型化することによって、ディスクトレイが筐体内に引き込まれたときに、トラバースメカの大部分を開口部内に配置することができる。このため、上面を平坦化してトラバースメカを薄型化し、その結果、光ディスクドライブ装置全体を薄型化することができる。
【0006】
一方で、ディスクトレイに形成する開口部を大型化すると、ディスクトレイを引き出したときに、塵埃が筐体内に侵入し易くなるという問題の他に、光ディスクをディスクトレイ上に装着するときに、光ディスクが脱落し易くなるという問題を生じる。例えば、開口部の寸法を60mm×80mmとした場合、CDシングルなどの8cmディスクがこの開口部を介して容易に脱落し得ることは明らかであろう。また、光ディスクの一部がこの開口部に嵌まり込んだ状態でディスクトレイを引き込み、光ディスクに損傷を与えるといった問題も生じ易くなる。
【0007】
このような問題を回避するためには、特許文献1に記載されているように、ディスクトレイに形成された開口部を覆うシャッターを設けることが好ましい。しかしながら、特許文献1に記載された、レバー12によりシャッター11bを左右(ディスクトレイ11の可動方向と垂直な方向)にスライドさせる構成では、大型の開口部を覆うシャッターを実現することができない。
【0008】
実際、開口部11aの幅dを60mmとするためには、シャッター11bの幅d’を60mm以上とする必要がある。しかし、130mm幅のディスクトレイ11の中央に60mm幅の開口部11aを形成すると、端部に残されたマージンは35mmずつとなり、ディスクトレイ11を筐体10内に引き込んだときにシャッター11bをこれらのマージンに退避させることができない。一般的に言えば、特許文献1に記載された機構では、シャッター11bにより覆い隠すことのできる開口部11aの幅は、ディスクトレイの幅の高々1/3程度までである。
【0009】
また、ディスクトレイに設けられた開口部は、ディスクトレイが筐体内に引き込まれたときに、ディスクトレイの裏側にあるスピンドルモータと光ピックアップとをディスクトレイの表側に露出させるという役割の他に、ディスクトレイが筐体から引き出されたときに、ディスクトレイに光ディスクを装着しようとする使用者の指が、ディスクトレイと干渉することを防止するという役割を担っている。しかしながら、特許文献1に記載の光ディスクドライブ装置のように、ディスクトレイ11に形成された開口部11aを覆うシャッター11bを設けると、ディスクトレイ11に光ディスクを装着しようとする使用者の指がシャッター11bと干渉して使い勝手が悪化するという問題を生じる。
【0010】
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、薄型でありながら光ディスクの脱落が生じ難い光ディスクドライブ装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る光ディスクドライブ装置は、開口部が形成され、前方に引き出し可能なディスクトレイを備えた光ディスクドライブ装置でおいて、上記ディスクトレイには、該ディスクトレイを前方に引き出したときに上記開口部を覆うシャッターであって、前方および後方にスライドするシャッターが設けられている、ことを特徴としている。
【0012】
ディスクトレイは、通常、縦長に形成されており、開口部の左右(ディスクトレイの可動方向に垂直な方向)よりも、開口部の前後(ディスクトレイの可動方向に平行な方向)により大きなマージンが残されている。したがって、開口部を覆うシャッターを前後にスライドさせることによって、ディスクトレイに従来よりも幅広の開口部を形成しても、ディスクトレイが筐体から引き出されているときに開口部を閉ざし、また、ディスクトレイが筐体内に引き込まれているときに開口部を開くシャッターを実現することができる。したがって、光ディスクの脱落が生じづらく、薄型化が可能な光ディスクドライブ装置を実現することができる。
【0013】
本発明に係る光ディスクドライブ装置において、上記シャッターの奥行は、上記ディスクトレイの前方の端から上記開口部の前方の縁までの間隔よりも短い、ことが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、ディスクトレイが筐体から引き出されているときに、シャッターをディスクトレイ前方にスライドさせることによって、シャッターをディスクトレイの前方の端から開口部の前方の縁までの間に退避させることができる。したがって、ディスクトレイが筐体内に引き込まれているときに、開口部を完全に開くことができる。このため、筐体内のスペースを構成部品を配置するためのスペースとして更に有効に活用することができる。すなわち、光ディスクドライブ装置を更に薄型化することができる。
【0015】
本発明に係る光ディスクドライブ装置において、上記シャッターには、開口部が形成されている、ことが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、光ディスクをディスクトレイに装着したり取出したりする際に、使用者の指がシャッターと干渉することを防止し、より使い勝手のよい光ディスクドライブを実現することができるという更なる効果を奏する。
【0017】
本発明に係る光ディスクドライブ装置において、上記ディスクトレイは、設置面に対して垂直に配置されており、上記シャッターには、該シャッターの中心部から下方に向かって伸びる開口部が形成されている、ことが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、シャッターの寸法を必要最小限に留めつつ、直径の大きい光ディスクをディスクトレイに装着したり取出したりする場合であっても、直径の小さい光ディスクをディスクトレイに装着したり取出したりする場合であっても、使用者の指がシャッターと干渉することを防止することができる。
【0019】
本発明に係る光ディスクドライブ装置において、上記ディスクトレイには、上記シャッターを後方に付勢する付勢部が設けられており、上記ディスクトレイを筐体内に引き込むときに、上記シャッターを上記筐体の前方に係止する係止部が、該筐体または該シャッターの少なくとも何れかに設けられている、ことが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、シャッターが筐体に係止されるまでの間、付勢部を用いてシャッターを後方にスライドさせることによって、ディスクトレイが筐体から引き出されたときに、開口部を確実に閉ざしておくことができる。また、係止部を用いてシャッターを筐体前方に係止することによって、ディスクトレイが筐体内に引き込まれたときに、シャッターをディスクトレイの前方の端から開口部の前方の縁までの間に退避させ、開口部を完全に開いておくことができる。
【0021】
本発明に係る光ディスクドライブ装置において、上記付勢部は、一端が上記ディスクトレイに回動可能に連結され、他端が上記シャッターに連結された連結レバーと、該連結レバーに弾性的なトルクを作用させる弾性体とを含んでいる、ことが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、シャッターを後方に付勢するための機構を、省スペースかつ簡易な構成により実現することができる。
【0023】
本発明に係る光ディスクドライブ装置において、上記係止部は、上記シャッターの前方の端に形成された第1の係合片と、該第1の係合片に係合する第2の係合片であって、上記筐体の前方の端に形成された第2の係合片と、を含んでいる、ことが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、シャッターを筐体の前方に係止するための機構を、省スペースかつ簡易な構成により実現することができる。
【0025】
本発明に係る光ディスクドライブ装置において、上記ディスクトレイは、設置面に対して垂直に配置されており、上記ディスクトレイには、上方に開いたU字状の段差を境界とする平坦領域が形成されている、ことが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、光ディスクをディスクトレイに装着する際に、光ディスクの位置決めが容易になるという更なる効果を奏する。しかも、光ディスクが装着される平坦領域の境界を構成する段差が上方に開いたU字状であるため、光ディスクの上方からの装着が容易になるという更なる効果を奏する。
【0027】
なお、本発明に係る光ディスクドライブ装置を内蔵した光ディスクプレイヤ装置、光ディスクレコーダ装置、及び、パーソナルコンピュータなども本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る光ディスクドライブ装置は、開口部が形成され、前方に引き出し可能なディスクトレイを備えた光ディスクドライブ装置でおいて、上記ディスクトレイには、該ディスクトレイを前方に引き出したときに上記開口部を覆うシャッターであって、前方および後方にスライドするシャッターが設けられている。したがって、光ディスクの脱落が生じ難く、薄型化が可能な光ディスクドライブ装置を実現することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、本実施形態に係る光ディスクドライブ装置は、以下に説明するように、ディスクトレイが設置面と垂直な状態(スピンドルモータの回転軸が床と水平な状態)での使用を前提に設計された、縦置型の光ディスクドライブ装置である。ただし、本発明はこれに限定されず、ディスクトレイが設置面と平行な状態(スピンドルモータの回転軸が床と垂直な状態)での使用を前提に設計された、横置型の光ディスクドライブ装置に対しても適用可能である。
【0030】
(光ディスクドライブ装置の構成)
まず、本実施形態に係る光ディスクドライブ装置100の構成について、図1を参照して説明する。図1は、光ディスクドライブ装置100を表側から見た平面図である。図1に示したように、光ディスクドライブ装置100は、概略的に言えば、筐体110と、昇降可能なトラバースメカ120と、前方に引き出し可能なディスクトレイ130とを備えた、トレイローディング式の光ディスクドライブ装置である。
【0031】
トラバースメカ120は、光ディスクを回転させるためのスピンドルモータ121と、光ディスクにレーザーを照射するための光ピックアップ122とを、サブシャーシ(トラバースシャーシ)に格納して一体化したものである。ディスクトレイ130は、光ディスクを装着するためのトレイである。このディスクトレイ130の表側(光ディスクと対向する側)には、ディスクトレイ130に光ディスクを装着する際に光ディスクが倒れてディスクトレイ130から脱落することを防止するために、ディスクポケット135が設けられている。
【0032】
光ディスクドライブ装置100において光ディスクをローディングする方法は、従来のトレイローディング式の光ディスクドライブ装置と同様である。すなわち、トラバースメカ120を降下させて、光ディスクをディスクトレイ130ごと筐体110内に引き込み、トラバースメカ120を上昇させて、スピンドルモータ121と筐体110天板に取り付けられたクランパーとにより光ディスクをホールドする。
【0033】
(ディスクトレイ周辺の構成)
次に、ディスクトレイ130周辺の構成について、図2を参照してもう少し詳しく説明する。図2は、光ディスクドライブ装置100を裏側から見た平面図である。図2(a)は、ディスクトレイ130が筐体110から引き出された状態を示し、図2(b)は、ディスクトレイ130が筐体110に引き込まれた状態を示す。
【0034】
図2(a)に示したように、ディスクトレイ130には、幅約60mm、奥行約90mmの開口部130aが形成されている(以下、ディスクトレイが引き出される方向と垂直な方向、すなわち、左右方向の長さを幅、ディスクトレイが引き出される方向、すなわち、前後方向の長さを奥行と呼称する)。この開口部130aの寸法は、従来の光ディスクドライブ装置におけるそれよりも大きくとられており、ディスクドライブ100の薄型化に有利な構成になっている。
【0035】
このディスクトレイ130の裏側(光ディスクと対向する側の反対側)には、幅約70mm、奥行約40mmのシャッター131が、スライド可能に取り付けられている。図2(a)と図2(b)とを対照すれば明らかなように、このシャッター131がスライドする方向は、ディスクトレイ130の可動方向、すなわち、前方(ディスクトレイ130が引き出される方向)および後方(ディスクトレイ130が引き込まれる方向)である。
【0036】
ディスク排出時、すなわち、ディスクトレイ130が筐体110から引き出された状態にあるときには、図2(a)に示したように、後方にシャッター131をスライドさせることによって、開口部130aの前方をシャッター131で覆う。一方、ディスク挿入時、すなわち、ディスクトレイ130が筐体110に引き込まれた状態にあるときには、図2(b)に示したように、前方にシャッター131をスライドさせることによって、ディスクトレイ130前方裏側にシャッター131を退避させて開口部130aを開放する。
【0037】
なお、12cmディスクの半径が60mmなので、スピンドルモータ121の直径を考慮しても、ディスクトレイ130の前方の端から開口部130aの前方の縁までの間隔を50mm程度は確保することができる。したがって、奥行が50mm以下のシャッターであれば、ディスクトレイ130が筐体110に引き込まれた状態にあるとき、ディスクトレイ130前方に退避させて、シャッター131を完全に開放することができる。
【0038】
ディスクトレイ130の引き込み/引き出しの際に生じるシャッター131のスライドは、図2(b)に示すように、ディスクトレイ130の裏側に取り付けられたシャッターガイド132、シャッター連結レバー133、および、シャッタースプリング134により実現される。
【0039】
シャッターガイド132は、シャッター131をスライド可能に支持するための機構であり、具体的には、ディスクトレイ130の可動方向と平行に、かつ、シャッター131の幅と略同一の間隔を隔てて敷設された2本のレールにより構成されている。シャッター131の可動範囲は、このシャッターガイド132により規制されている。具体的には、可能な配置のうち、最も後方側の配置(以下、最後方配置)は、シャッター131がディスクトレイ130のディスク装着領域130b(後述)と重なる配置であり、最も前方側の配置(以下、最前方配置)は、シャッター131の前方の端が、ディスクトレイ130前方の端に重なる配置である。
【0040】
シャッター連結レバー133は、後方にシャッター131を付勢するための機構であり、具体的には、ディスクトレイ130前方裏側に設けられた回転軸133aと連結したヘラ状部材により構成されている。このシャッター連結レバー133の先端には弧状開口部133bが形成されている。この弧状開口部133bに、シャッター131前方裏側に設けられた係合ピン131cを挿入することにより、シャッター連結レバー133とシャッター131とを連結する。シャッタースプリング134は、シャッター連結レバー132に弾性的なトルクを作用させるための弾性体であり、具体的には、ねじりばねである。シャッター連結レバー133は、このシャッタースプリング134により得られる弾性的なトルクを、シャッター131に作用する後方への力に変換する機構であるともいえる。
【0041】
ディスクトレイ130が筐体110に引き込まれる過程は、シャッター131が筐体110に係止される前の過程と、シャッター131が筐体110に係止された後の過程とに分けられる。筐体110に係止されるまで、シャッター131は、ディスクトレイ130に追従して後方へと移動する。この間、シャッター131の配置は、後方への付勢力により最後方配置に保たれる。一方、シャッター131が筐体110に係止された後は、ディスクトレイ130だけが後方へと移動する。すなわち、ディスクトレイ130上の座標系からみれば、シャッター131は(筐体110に追従して)前方へとスライドする。
【0042】
ディスクトレイ130が筐体110に引き込まれるときにシャッター131を筐体110に係止するための構成として、本実施形態においては、シャッター131の前方の端、及び、ベース111の前方の端に、爪状の係合片131b、及び、111aを設けている。シャッター131側の係合片131bと筐体110側の係合片111aとを引っ掛けることによって、シャッター131が筐体110により係止される。
【0043】
(ディスクトレイの形状)
次に、ディスクトレイ130の形状について、図3を参照して説明する。図3(a)は、ディスクトレイ130を表側からみた平面図であり、図3(b)は、ディスクトレイ130を裏側からみた平面図である。
【0044】
ディスクトレイ130には、図3に示したように、上方が開いたU字状の段差を境界とするディスク装着領域130bが形成されている。ディスク装着領域130bは、他より一段裏側に突出した平坦領域である。このようなディスク装着領域130bを設けることにより、光ディスクをディスクトレイ130に装着する際の位置決めが容易になることは明らかであろう。また、ディスク装着領域130bの境界を構成する段差を上方が開いたU字状とすることにより、光ディスクの上方からの装着が容易になることもまた明らかであろう。
【0045】
図3に示したような形状のディスク装着領域130bをディスクトレイ130に形成した場合、ディスクトレイ130の前方下側に部品を配置するための空間が生まれる。そこで、ディスクトレイ130においては、上述したシャッター連結レバー133の回転軸133aとシャッタースプリング134とをこの空間に配置し、光ディスクドライブ装置100の厚みの増加を回避している。
【0046】
(シャッターの形状)
最後に、シャッター131の形状について、図4〜6を参照して説明する。図4(a)は、シャッター131を表側からみた平面図であり、図4(b)は、シャッター131を裏側からみた平面図である。シャッター131の裏側に設けられた係合片131bおよび係合ピン131cについては既に説明したので、ここではその説明を繰り返さない。
【0047】
シャッター131には、図4に示したように、ディスク装着領域130bの中心部から下方に向かって伸びる開口部131aが形成されている。シャッター131にこのような開口部131aを設けたのは、光ディスクをディスクトレイ130に装着したり取出したりする際に、使用者の指がシャッター131と干渉することを防止するためである。また、開口部131aの形状として、ディスク装着領域130bの中心部から下方に向かって伸びる形状を採用しているのは、8cmディスクをディスクトレイ130に装着したり取出したりする際にも、使用者の指がシャッター131と干渉することを防止するためである。
【0048】
図5は、12cmディスクがディスクトレイ130に装着されている状態の光ディスクドライブ装置100を表側からみた平面図である。図5に示したように、ディスクトレイ130を引き出した状態、すなわち、シャッター131を閉じた状態で、ディスクトレイ130に装着された12cmディスクの中心孔と、シャッター131に形成された開口部131aの上部とがちょうど重なり合う。このため、使用者が中心孔に指を入れて12cmディスクをディスクトレイ130に装着したり取出したりする場合であっても、使用者の指がシャッター131と干渉することを回避できる。
【0049】
図6は、8cmディスクがディスクトレイ130に装着されている状態の光ディスクドライブ装置100を表側からみた平面図である。図6に示したように、ディスクトレイ130を引き出した状態、すなわち、シャッター131を閉じた状態で、ディスクトレイ130に装着された8cmディスクの中心孔と、シャッター131に形成された開口部131aの下部とがちょうど重なり合う。このため、使用者が中心孔に指を入れて12cmディスクをディスクトレイ130に装着したり取出したりする場合であっても、使用者の指がシャッター131と干渉することを回避できる。
【0050】
(付記事項)
本明細書においては、(1)光ディスクに情報を記録するともの(光ディスクに記録された情報を再生するか否かを問わない)と、(2)光ディスクに記録された情報を再生するもの(光ディスクに情報を記録するか否かを問わない)と、(3)光ディスクに情報を記録し、かつ、光ディスクに記録された情報を再生するものとを総称するために、「光ディスクに情報を記録し、かつ/または、光ディスクに記録された情報を再生する」という表現を用いた。
【0051】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0052】
本発明は、例えば、以下のように表現することもできる。
【0053】
すなわち、トレイ上にディスクを挿入するポケットと、前記トレイに支持されトレイ上をトレイ動作方向にスライド動作するシャッターと、シャッターを元の位置に復帰させる為一定方向に付勢される駆動アーム及びSPRとをトレイ上に設置し、ベースの装置前方付近に作用ピンを設け、トレイが引き込まれた時にシャッターと当接してシャッターをトレイ開口部から装置前方に退避させる。この機構により縦型に配置されたトレイメカにおいて小径ディスクがトレイから脱落したり、トレイ開口部にディスクを挟んでディスクを損傷させる事を防ぎ、ディスク装着時のユーザーの操作性を向上させる。またシャッターに長穴を設け、ディスクの取り出し操作性を向上させる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、トレイローディング式の光ディスクドライブ装置に利用することができ、特に、縦置型の光ディスクドライブ装置にとりわけ好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、表側からみた光ディスクドライブ装置の平面図である。
【図2】本発明の実施形態を示すものであり、光ディスクドライブ装置を裏側から見た平面図である。特に、図2(a)は、ディスクトレイが筐体110から引き出された状態を示し、図2(b)は、ディスクトレイが筐体に引き込まれた状態を示す。
【図3】本発明の実施形態を示すものであり、図3(a)は、ディスクトレイを表側からみた平面図であり、図3(b)は、ディスクトレイを裏側からみた平面図である。
【図4】本発明の実施形態を示すものであり、図4(a)は、シャッターを表側からみた平面図であり、図4(b)は、シャッターを裏側からみた平面図である。
【図5】本発明の実施形態を示すものであり、光ディスク(12cmディスク)が装着された光ディスクドライブ装置を表側からみた平面図である。
【図6】本発明の実施形態を示すものであり、光ディスク(8cmディスク)が装着された光ディスクドライブ装置を表側からみた平面図である。
【図7】従来技術を示すものであり、光ディスクドライブ装置の要部構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0056】
100 光ディスクドライブ装置
110 筐体
111 ベース
111a 係合片(係止部)
120 トラバースメカ
121 スピンドルモータ
122 光ピックアップ
130 ディスクトレイ
130a 開口部
130b ディスク装着領域
131 シャッター
131a 開口部
131b 係合片(係止部)
131c 係合ピン
132 シャッターガイド
133 シャッター連結レバー(付勢部)
133a 回転軸
133b 弧状開口部
134 シャッタースプリング(付勢部)
135 ディスクポケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成され、前方に引き出し可能なディスクトレイを備えた光ディスクドライブ装置において、
上記ディスクトレイには、該ディスクトレイを前方に引き出したときに上記開口部を覆うシャッターであって、前方および後方にスライドするシャッターが設けられている、
ことを特徴とする光ディスクドライブ装置。
【請求項2】
上記シャッターの奥行は、上記ディスクトレイの前方の端から上記開口部の前方の縁までの間隔よりも短い、
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項3】
上記シャッターには、開口部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項4】
上記ディスクトレイは、設置面に対して垂直に配置されており、
上記シャッターには、該シャッターの中心部から下方に向かって伸びる開口部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項5】
上記ディスクトレイには、上記シャッターを後方に付勢する付勢部が設けられており、
上記ディスクトレイを筐体内に引き込むときに、上記シャッターを筐体前方に係止する係止部が、該筐体または該シャッターの少なくとも何れかに設けられている、
ことを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項6】
上記付勢部は、一端が上記ディスクトレイに回動可能に連結され、他端が上記シャッターに連結された連結レバーと、該連結レバーに弾性的なトルクを作用させる弾性体とを含んでいる、
ことを特徴とする請求項5に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項7】
上記係止部は、上記シャッターの前方の端に形成された第1の係合片と、該第1の爪に係合する第2の爪であって、上記筐体の前方の端に形成された第2の係合片と、を含んでいる、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項8】
上記ディスクトレイは、設置面に対して垂直に配置されており、
上記ディスクトレイには、上方に開いたU字状の段差を境界とする平坦領域が形成されている、ことを特徴とする請求項1から7までの何れか1項に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか1項に記載の光ディスクドライブ装置を内蔵した光ディスクプレイヤ装置であって、光ディスクに記録された情報を上記光ディスクドライブ装置を用いて再生することを特徴とする、光ディスクプレイヤ装置。
【請求項10】
請求項1から8までの何れか1項に記載の光ディスクドライブ装置を内蔵した光ディスクレコーダ装置であって、情報を上記光ディスクドライブ装置を用いて光ディスクに記録することを特徴とする、光ディスクレコーダ装置。
【請求項11】
請求項1から8までの何れか1項に記載の光ディスクドライブ装置を内蔵したパーソナルコンピュータであって、上記光ディスクドライブ装置を用いて光ディスクから読み出した情報を処理することを特徴とする、パーソナルコンピュータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−146637(P2010−146637A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322719(P2008−322719)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】