説明

光ディスク装置、光ディスク装置検証システムおよび光ディスク装置検証プログラム

【課題】 RF信号の各パルス幅を測定し、測定値を集計することによって記録品位の検証を手軽に行なうことができるような光ディスク装置、光ディスク検証システム、および光ディスク検証プログラムを提供する。
【解決手段】 光ディスク21にデータを書込み可能な光ディスク装置20において、光ディスク21にレーザ光を照射し、光ディスク21からの反射光を受光する光ピックアップ24と、光ピックアップ24が受光した反射光から、光ディスク21の記録面に形成されたランド部分から反射されたHレベルと、光ディスクの記録面に形成されたピット部分から反射されたLレベルの2つのレベルが交互に表れるように2値化されたRF信号bを生成するRFアンプ34と、RFアンプ34が生成したRF信号bのHレベルのパルス幅およびLレベルのパルス幅をそれぞれ測定可能な測定手段36とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクへデータの書き込みを行なうことができる光ディスク装置、光ディスク装置のデータの記録品位の検証を行なうことができる光ディスク装置検証システム、および光ディスク装置のデータの記録品位の検証を行なう光ディスク装置検証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
CDやDVD等の光ディスクへデータを書き込む光ディスク装置のユーザとして、単に書き込むことができるというだけでは満足せず、その記録品位を問題にするユーザも多い。
そこで、従来より光ディスク装置において記録品位を検証するにあたっては、エラーレートのチェックや、光ピックアップが受光した反射光のアシンメトリ値β等の数字を検証することが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
なお、記録品位を検証する方法としては、2値化されたRF信号のパルス幅(HレベルおよびLレベルの各パルスの時間的な長さ)を測定することによって行なうこともできる(図7参照)。
つまり、2値化されたRF信号は、HレベルとLレベルとが交互に表れるように2値化されており、2値化されたRF信号のうちHレベルに該当する部位は光ディスクの記録面のランドから反射されたものであり光ピックアップが照射したレーザ光の反射光強度が高い部位である。一方、2値化されたRF信号のLレベルに該当する部位は光ディスクの記録面のピットから反射されたものであり光ピックアップが照射したレーザ光の反射光強度が低い部位である。
このように、2値化されたRF信号のHレベルのパルス幅とLレベルのパルス幅は、光ディスクの記録面上に形成されるランドの長さおよびピットの長さによって決まる(図8参照)。
【0004】
光ディスク装置においては、ピットとランドの長さは、ある決まった値を取るように設けられている。すなわち、光ディスクに書き込まれるデータは、CDの場合はEFM(Eight to Fourteen Modulation)変調、DVDの場合はEFM+変調されて光ピックアップから照射されるレーザ光によって、ディスクの記録面上にピットとランドが形成される。
データがEFM変調またはEFM+変調されると、形成されるピットの長さやランドの長さが、クロック周波数を基準としてその長さが予め一定の長さに設定される。
本明細書中で説明するDVD光ディスク装置において具体的には、基本的な長さTに対して、ピットやランドの長さとして最も短い長さの3T(基本の長さであるTの3倍)、次いで4T、5T、・・14T(12Tと13Tは除く)までTを基準とした長さに形成される。
【0005】
そこで、2値化されたRF信号におけるHレベルのパルス幅およびLレベルのパルス幅を測定し、各レベルのパルス幅が予め規定されたパルス幅である3T、4T、5T、・・14Tからどの程度外れているかを検出することで、記録品位の検証を行なうことができるのである。
【0006】
【特許文献1】特開2003−59047号公報
【特許文献2】特開2003−162818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
なお、従来、光ディスク装置には、2値化されたRF信号の各レベルのパルス幅を測定し、測定値を集計して記録品位を検証する機能は設けられておらず、このような検証を行なうには専用の測定器が必要であった。専用の測定器は高額であり、通常は光ディスク装置のメーカ等が光ディスク装置の検証のために用いる以外には、一般のユーザがこの方法で記録品位を検証することは困難であった。
また、汎用コンピュータにインストール可能であって、2値化されたRF信号の各レベルのパルス幅を測定可能なソフトウェアも存在はしていたが、これも上述した専用の測定器と共に用いるものであるため、結局一般のユーザが入手して用いるには高額過ぎた。
【0008】
なお、専用の測定器は、2値化されていないRF信号を入力してこのRF信号の各レベルのパルス幅を測定し、測定値を集計して記録品位を検証するものである。
この専用の測定器を用いる場合には、光ディスク装置内部のプリント基板上のパターンをカットし、そこに専用の測定器に接続するためのラインをはんだ付け等によって接続しなくてはならず、熟練した作業者でなくては接続作業が困難であった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、2値化されたRF信号の各パルス幅を測定し、測定値を集計することによって記録品位の検証を手軽に行なうことができるような光ディスク装置、光ディスク装置検証システム、および光ディスク装置検証プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる光ディスク装置によれば、光ディスクにデータを書込み可能な光ディスク装置において、光ディスクにレーザ光を照射し、光ディスクからの反射光を受光する光ピックアップと、該光ピックアップが受光した反射光から、光ディスクの記録面に形成されたランド部分から反射されたHレベルと、光ディスクの記録面に形成されたピット部分から反射されたLレベルの2つのレベルが交互に表れるように2値化されたRF信号を生成する生成手段と、該生成手段が生成した2値化されたRF信号のHレベルのパルス幅およびLレベルのパルス幅をそれぞれ測定可能な測定手段とを具備することを特徴としている。
この構成を採用することによって、光ディスク装置を所有した一般のユーザであっても、光ディスク装置内で2値化されたRF信号のパルス幅を測定ができる。そしてこのパルス幅に基づいて記録品位の検証を行なうことが可能となる。
【0011】
また、前記測定手段は、2値化されたRF信号からHレベルのパルス幅およびLレベルのパルス幅を、それぞれ複数箇所測定するように動作し、前記測定手段によって、複数箇所において測定されたHレベルのパルス幅の値と、複数箇所において測定されたLレベルのパルス幅の値とを集計する集計手段が設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、光ディスク装置内では2値化されたRF信号の各パルス幅を測定すると共に、その測定した値を集計するので、その集計されたデータを用いれば記録品位の検証を容易に行なうことができる。
【0012】
さらに、前記集計手段には、集計した結果である、複数のHレベルのパルス幅の値およびその値を有するHレベルのパルスの数、並びに複数のLレベルのパルス幅の値およびその値を有するLレベルのパルスの数を集計データとして記憶する記憶手段が設けられていることを特徴としてもよい。
【0013】
なお、前記記憶手段内に記憶された前記集計データを当該光ディスク装置の外部へ転送可能なインターフェース部が設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、この光ディスク装置にインターフェース部を介して外部機器を接続すれば、外部機器において容易に集計データを用いて記録品位の検証を行なうことができる。
【0014】
本発明にかかる光ディスク装置検証システムによれば、請求項4記載の光ディスク装置と、表示手段を有し、前記光ディスク装置との間でデータの授受が可能となるように光ディスク装置と接続するインターフェース部を有するコンピュータとを具備する光ディスク装置検証システムにおいて、前記コンピュータ内には、前記インターフェース部を介して受信した、前記集計データを用いて記録品位を解析するためのデータ処理を行なうデータ処理手段と、該データ処理手段によって行なわれたデータ処理の結果を前記表示手段に表示できるように表示用データとして作成するデータ作成手段とが設けられていることを特徴としている。
この構成を採用することによって、記録品位を検証するための2値化されたRF信号のパルス幅を集計した結果を、ユーザは定量的にコンピュータの表示手段で見ることができるので、記録品位の検証を容易且つ確実に行なうことができる。
【0015】
また、前記データ処理手段は、前記集計データである複数のHレベルのパルス幅の値およびその値を有するHレベルのパルスの数、並びに複数のLレベルのパルス幅の値およびその値を有するLレベルのパルスの数を、それぞれ前記表示手段に度数分布として表示できるようにデータ処理し、前記データ作成手段は、該データ処理手段によりデータ処理された結果である度数分布の表示用データを作成することを特徴としてもよい。
さらに、前記表示手段に表示される度数分布としては、横軸にパルス幅の値、縦軸にその値を有するパルスの数を配置して表示するようにしたグラフであってもよい。
これによれば、各ランドとピットに対してのパルス幅が3T、4T、5T等の規定された位置に頂点を有する山を形成した画像が得られ、この山の広がり具合等を見ることで記録品位の検証を視覚的に行なうことができる。このため、検証が容易となり、またこのようなグラフを見ること自体がユーザにとって楽しみにもなる。
【0016】
本発明にかかる光ディスク装置検証プログラムによれば、表示手段を有し、請求項4記載の光ディスク装置との間でデータの授受が可能となるように該光ディスク装置と接続するインターフェース部を有するコンピュータが読み取り可能なプログラムであって、前記インターフェース部を介して受信した、前記集計データを用いて記録品位を解析するためのデータ処理を行なうデータ処理機能と、該データ処理機能によって行なわれたデータ処理の結果を前記表示手段に表示できるように表示用データとして作成するデータ作成機能とを前記コンピュータに実現させることを特徴としている。
このプログラムによれば、記録品位を検証するための2値化されたRF信号のパルス幅を集計した結果を、ユーザは定量的にコンピュータの表示手段で見ることができるので、記録品位の検証を容易且つ確実に行なうことができる。また、使用するコンピュータとして特殊な機能を有するものではなく、汎用のコンピュータを用いて行なうことができるので安価な構成で記録品位の検証を行なうことができる。
【0017】
また、前記データ処理機能は、前記集計データである複数のHレベルのパルス幅の値およびその値を有するHレベルのパルスの数、並びに複数のLレベルのパルス幅の値およびその値を有するLレベルのパルスの数を、それぞれ前記表示手段に度数分布として表示できるようにデータ処理し、前記データ作成機能は、前記データ処理機能によりデータ処理された結果である度数分布の表示用データを作成することを特徴としてもよい。
さらに、前記表示手段に表示される度数分布としては、横軸にパルス幅の値、縦軸にその値を有するパルスの数を配置して表示するようにしたグラフであってもよい。
このプログラムによれば、各ランドとピットに対してのパルス幅が3T、4T、5T等の規定された位置に頂点を有する山を形成した画像が得られ、この山の広がり具合等を見ることで記録品位の検証を視覚的に行なうことができる。このため、検証が容易となり、またこのようなグラフを見ること自体がユーザにとって楽しみにもなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の光ディスク装置によれば、光ディスク装置内部で2値化されたRF信号におけるHレベルのパルス幅とLレベルのパルス幅とを測定することができる。つまり、光ディスク装置内で、光ディスクの記録面に形成されたピットとランドの長さを測定するので、光ディスク装置のユーザは今までにない方法により記録品位の検証を行なうことができる。
【0019】
本発明にかかる光ディスク装置検証システムによれば、光ディスク装置内で測定された光ディスクの記録面に形成されたピットとランドの長さを集計したデータを記録品位を解析するためにデータ処理した結果が表示手段に表示されるので、光ディスク装置の記録品位の検証をユーザが見やすい方法で実行することができるので、記録品位の検証が容易且つ確実に行なわれる。
【0020】
本発明にかかる光ディスク装置検証プログラムによれば、光ディスク装置に通常に市販されているコンピュータを接続して、このコンピュータに光ディスク装置検証プログラムをインストールして実行することができるので、安い費用で且つ簡単な構成により、ユーザは記録品位の検証を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
まず、光ディスク装置の構成について説明する。
光ディスク装置20は、光ディスク21を装着するターンテーブル23が設けられたスピンドルモータ22と、光ディスク21にレーザ光を照射すると共に光ディスク21から反射されたレーザ光を受光する光ピックアップ24とを具備している。
光ピックアップ24内には、レーザ光を出力するレーザダイオード(図示せず)と、受光素子であるフォトダイオード27を有している。また、レーザ光を集光して光ディスクの記録層に焦点を合わせるための対物レンズ29が光ピックアップ24内には設けられている。
【0022】
フォトダイオード27では、受光したレーザ光の光強度が電圧値に変換されて光ピックアップ24の外部へ出力される。光ピックアップ24から出力された受光した光強度を電圧値に変換した光強度信号aは、RFアンプ34へ入力される。
RFアンプ34は、特許請求の範囲でいう生成回路の一例であり、光ピックアップ24から出力された光強度信号aを波形整形して、2値化し、2値化されたRF信号bを生成する。
【0023】
ここでいう2値化されたRF信号bは、図7に示したように、HレベルとLレベルとが交互に表れた信号であり、Hレベルに該当する部位は反射光強度が高い部位であり、光ディスク21の記録面に形成されたランドに照射されたレーザ光が反射した部位であるといえる。Lレベルに該当する部位は反射光強度が弱い部位であり、光ディスク21の記録面に形成されたピットに照射されたレーザ光が反射した部位であるといえる。
【0024】
なお、RFアンプ34内には、フォーカスエラー信号生成回路およびトラッキングエラー信号生成回路(図示せず)が設けられており、光ピックアップから入力された信号に基づいて、それぞれフォーカスエラー信号cおよびトラッキングエラー信号dを生成する。
フォーカスエラー信号cとトラッキングエラー信号dは、サーボプロセッサ30に入力される。サーボプロセッサ30は、フォーカスエラー信号cやトラッキングエラー信号dに基づき、フォーカスサーボやトラッキングサーボを制御すると共に、スピンドルモータ22や光ピックアップの送り動作のサーボ制御を実行する。
【0025】
なお、光ディスク装置には、他の機器と接続するためのインターフェース部50が設けられている。インターフェース部50の規格としてはATAPI(AT Attachment Packet Interface)、USB(Universal Serial Bus)、あるいはIEEE1394等様々な規格がある。
本実施例では、光ディスク装置は、ATAPIであるインターフェース部50を介して汎用のコンピュータ(図3、図4参照)60と接続される。
インターフェース部50において、後述する集計手段38で収集された集計データfがコンピュータ60に対して互いにデータの授受が可能な形式にデータ変換されて出力される。
【0026】
RFアンプ34で生成された2値化されたRF信号bは、パルス信号のパルス幅を測定可能な手段である測定手段36に入力される。本実施例では、測定手段36は、具体的には2値化されたRF信号bをデコード処理するデコーダ40としての機能を有するICに付属している機能である。しかし、測定手段36としては、パルス信号のパルス幅を測定可能な回路またはソフトウェアであればどのような形態であってもよい。
【0027】
測定手段36によって測定された、2値化されたRF信号のHレベルおよびLレベルそれぞれのパルス幅の値eは、集計手段38に入力される。
集計手段38は、パルス幅の値およびその値をとるパルスの数を記憶するメモリである記憶手段44と、測定手段36によって測定された結果を集計して記憶手段44に記憶するように制御する制御手段42とを有している。
かかる集計手段38としては、上述した測定手段36と同様に2値化されたRF信号bをデコード処理するデコーダ40としての機能を有するICに付属している機能であってもよく、このようなICとは別個に設けられている回路であってもよい。
【0028】
集計手段38におけるデータの集計の方法について図2に基づいて説明する。
集計手段38は、予め記憶手段44にHレベルのパルス幅とその度数を記憶するテーブル46、およびLレベルのパルス幅とその度数を記憶するテーブル47を有している。つまり、記憶手段44に記憶されているテーブル46,47は、本実施例の光ディスク装置20においてパルス幅の最小の単位である3Tが取るであろう最小値(本実施例では具体的には80ns)と、本実施例の光ディスク装置20においてパルス幅の最大の単位である14Tが取るであろう最大値(本実施例では具体的には560ns)の範囲において、1ns毎にそのパルス幅を有するパルスが何回測定されたか、その回数をHレベルとLレベルとにおいてそれぞれカウントして記憶できるような構成を有している。
【0029】
例えば、測定手段36が、2値化されたRF信号bのうち所定のHレベルがパルス幅83nsであり、Lレベルが180nsであることを測定したとする。すると、集計手段38の制御手段42は、記憶手段44に対してHレベルの83nsの度数を1とし、Lレベルの180nsの度数を1とするように集計する。
続いて、測定手段36は2値化されたRF信号bを連続して測定していき、集計手段38は測定手段36によって測定されたHレベルおよびLレベルのそれぞれのパルス幅の値について、記憶手段44内の該当するパルス幅の度数を1ずつ加算するようにして、この度数を記憶させる。
【0030】
次に、コンピュータの構成について、図3、図4に基づいて説明する。
コンピュータ60は、通常市販されている汎用のコンピュータを用いることができる。したがって、コンピュータ60は、全体の動作を制御する中央処理装置であるCPU62、CPU62の動作に用いるROM63およびRAM64、データや各種プログラムを記憶する記憶手段であるHDD66、データの出力を行なうCRTやLCD等の表示手段68、データ入力を行なうキーボード67やマウス69等を具備している。
【0031】
本実施例におけるコンピュータ60は、上述した光ディスク装置20を接続してデータの授受が可能となるようにインターフェース部70を具備している。
インターフェース部70の規格としてはATAPI(AT Attachment Packet Interface)、USB(Universal Serial Bus)、あるいはIEEE1394等様々な規格がある。
本実施例では、コンピュータ60は、ATAPIであるインターフェース部70を介して光ディスク装置20と接続される。
【0032】
コンピュータ60は、集計データfを用いて記録品位を解析するためのデータ処理を行なうデータ処理手段71と、データ処理手段によって行なわれたデータ処理の結果を表示手段68に表示できるように表示用データgとして作成するデータ作成手段72とを具備している。
本実施例では、データ処理手段71は、インターフェース部70を介して光ディスク装置20から集計データfを受信すると、この集計データfを度数分布として表示することができるようにデータ処理をする。
データ作成手段72は、度数分布を表示手段68に表示可能なデータ形式となるように、表示用データgの作成を行なう。データ作成手段72は、作成した表示用データgを表示手段68に転送し、表示手段68に作成した表示用データgに基づくグラフを表示させる。
【0033】
データ処理手段71およびデータ作成手段は、CPU62が所定のプログラムによって制御されることで実現される。この所定のプログラムが、特許請求の範囲でいう光ディスク装置検証プログラムである。光ディスク装置検証プログラム61は、予めHDD66にインストールされているとよい。
【0034】
度数分布の一例としてのグラフを図6に示す。図6では、上側がピット(2値化されたRF信号のLレベルに該当)のグラフであり、下側がランド(2値化されたRF信号のHレベルに該当)のグラフである。
グラフは、横軸にパルス幅(単位はT)、縦軸にそのパルス幅が測定された回数(度数:本図ではlog圧縮されている)を表したものである。このようなグラフにすると、見やすく好適である。
【0035】
なお、光ディスク装置検証プログラム61は、光ディスク装置20に対して、装着されている光ディスク21のいずれのアドレスにおいて2値化されたRF信号bのHレベルとLレベルのパルス幅の測定を行なうかの指定を光ディスク装置20に対してすることができる。
【0036】
つまり、ユーザがキーボード67あるいはマウス69を操作して、光ディスク装置検証プログラム61を起動させると、表示手段68にアドレスを指定するように促す表示がなされる。
ユーザは、表示手段68に表示された指示に基づいてパルス幅の測定を行ないたいアドレスをキーボード67やマウス69を用いてコンピュータ60内のアドレス指定手段74に入力する。
ユーザにより入力されたアドレスは、アドレス指示信号hとしてアドレス指定手段74がインターフェース部70を介して光ディスク装置20へ出力する。
光ディスク装置20では、アドレス指示信号hにより指定されたアドレスにおいてパルス幅の測定を行なうように、測定手段36が動作する。
【0037】
次に、上述した構成を有する光ディスク装置20およびコンピュータ60を組み合わせて構成した光ディスク装置検証システム全体の動作を図5に基づいて説明する。
【0038】
まず、ユーザがコンピュータ60の光ディスク装置検証プログラム61を起動することによって動作が開始される(スタート)。
光ディスク装置検証プログラム61が起動すると、ユーザはパルス幅を測定すべきアドレスを入力する(ステップS100)。
入力されたアドレスはアドレス指示信号hとして光ディスク装置20に転送される。
【0039】
光ディスク装置20の測定手段36は、ユーザが指定したアドレスの範囲内で2値化されたRF信号bのHレベルおよびLレベルのパルス幅を測定する(ステップS102)。
そして、光ディスク装置20の集計手段38は、測定手段36が測定した各レベルのパルス幅の値をそれぞれ集計する(ステップS104)。具体的な集計の方法は上述した通り(図2参照)であるので、ここでは説明しない。
集計されたパルス幅のデータは、集計手段38内の制御手段42が、インターフェース部50を介して定期的にコンピュータ60へ転送する(ステップS106)。
【0040】
コンピュータ60では、データ処理手段71が、光ディスク装置20から転送されてきた集計データfを記録品位を解析できるようにデータ処理する(ステップS107)。本実施例では、具体的に度数分布を作成するようにデータ処理する。
そして、データ作成手段72がデータ処理手段71によってデータ処理された集計データの度数分布を表示手段68にグラフとして表示できるように表示用データgの作成を行なう(ステップS108)。
データ作成手段72が表示用データgを作成し、表示手段68へ転送すると、表示手段68ではこの表示用データgに基づいて2値化されたRF信号bのパルス幅を集計したグラフを表示させる(ステップS110)。
これで、光ディスク装置検証システムにおける動作が終了する。
【0041】
続いて、表示手段68に表示される度数分布であるグラフの例を図6に示す。
グラフは、上述してきたように、横軸にパルス幅(単位はT)、縦軸にそのパルス幅が測定された回数(度数:本図ではlog圧縮されている)を表したものである。グラフの横軸は、単位Tとns(ナノセコンド)とで変換して表示することができるように、ユーザがいずれかの単位を選択できる選択スイッチ80が表示手段68に表示されるように設けられている。
【0042】
また、表示手段68には、3T、4T、5T、6T、7T、8T、9T、10T、11T、14Tの各パルス幅に該当する位置を頂点として10個の山が形成されるグラフが表示されるが、この各山のピーク位置82や、各山の幅84、さらには各山のピークの規定値85等のデータが数字として表示される。
なお、T=38.2263nsであるので、3Tは約114ns、4Tは約153ns、・・14Tは約535nsである。ただし図6では、横軸はnsではなくTを単位としているので、ピーク位置の規定値は、3,4,5・・14と表示されている。
【0043】
ユーザは、光ディスク装置20内に装着されている光ディスク21のデータを読み出すことで、表示手段68に2値化されたRF信号のパルス幅の集計データの結果を表示させ、この表示に基づいて、記録品位の良し悪しの判断を行なうこととなる。
ちなみに、本実施例では、グラフによって2値化されたRF信号のパルス幅のバラツキ具合を示しているので、グラフで表示された山に対して山同士の重なり具合や、山の広がり具合等を勘案し、この山の広がりが大きい(隣り合う山と繋がっている)ほど、そのパルス幅が各規定されたパルス幅に対してバラツキを生じており記録品位が悪いと判断できる。そして、山の広がりが狭い(隣り合う山と分離されている)ほど、そのパルス幅が各規定されたパルス幅に近いものが多く、記録品位が良いと判断する。
【0044】
また、表示手段68には、各山のピーク位置82と各山のピークの規定値85のデータも表示されるので、ユーザは、山のピークにおけるパルス幅の値と山のピークの規定値とを比較して、測定値と規定値とでずれが生じている場合には記録品位が悪く一致していれば記録品位が良いと判断する方法により、検証することもできる。
【0045】
また、一度作成した度数分布は、コンピュータ60のHDD66内に記憶させておくことができる。そして、次に別の光ディスク21で度数分布を作成したときに、以前に作成した度数分布をHDD66から取り出し、2つの度数分布を重ね合わせて記録品位の評価を行なうようにすることもできる。このとき、以前に作成した度数分布は、データ作成手段72によって透過状態になるようにデータを作成して、重ね合わせ可能に設けるとよい。
【0046】
なお記録品位の検証方法としては、上述のように山の広がり(パルス幅のバラツキ:いわゆるDDジッター)や山のピークの規定値とのずれを見る方法に限られず、2値化されたRF信号から基準クロックを生成し、この基準クロックと2値化されたRF信号とのずれを見る方法(いわゆる擬似的なDCジッター)、2値化されたRF信号のパルス幅と理想的なパルス幅との差を求めるデビエーション等の方法がある。
【0047】
したがって、本発明のデータ処理手段71は、度数分布を作成する機能を有する手段にのみ限定するのではなく、上述したように2値化されたRF信号から基準クロックを生成する機能や2値化されたRF信号のパルス幅と理想的なパルス幅との差を求める機能を有するものであってもよい。
また、データ作成手段72は、この基準クロックと2値化されたRF信号とのずれや、データ処理手段71が求めた差を表示手段68に表示させるように表示用データを作成する機能を有するものであってもよい。
【0048】
なお、本発明の光ディスク装置、光ディスク装置検証システム、光ディスク装置検証プログラムは、当該光ディスク装置20でデータを書き込んだ光ディスクの記録品位の検証だけではなく、他の光ディスク装置で書き込まれた光ディスクの記録品位を検証することも当然可能である。
【0049】
以上本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】光ディスク装置を示すブロック図である。
【図2】パルス幅の集計方法を説明する説明図である。
【図3】コンピュータの構成を示すブロック図である。
【図4】コンピュータにおける本発明の構成について説明するブロック図である。
【図5】光ディスク装置検証システムの動作について説明するフローチャートである。
【図6】表示されるグラフの例を示す説明図である。
【図7】2値化されたRF信号の構成について説明する説明図である。
【図8】光ディスクの記録面上に形成されるランドとピットについて説明する説明図である。
【符号の説明】
【0051】
20 光ディスク装置
21 光ディスク
22 スピンドルモータ
23 ターンテーブル
24 光ピックアップ
27 フォトダイオード
29 対物レンズ
30 サーボプロセッサ
34 RFアンプ
36 測定手段
38 集計手段
40 デコーダ
42 制御手段
44 記憶手段
46,47 テーブル
50,70 インターフェース部
60 コンピュータ
61 光ディスク装置検証プログラム
62 CPU
63 ROM
64 RAM
66 HDD
67 キーボード
68 表示手段
69 マウス
71 データ処理手段
72 データ作成手段
74 アドレス指定手段
80 選択スイッチ
82 各山のピーク位置
84 各山の幅
85 各山のピーク位置の規定値
a 光強度信号
b 2値化されたRF信号
c フォーカスエラー信号
d トラッキングエラー信号
e 測定されたパルス幅の値
f 集計データ
g 表示用データ
h アドレス指示信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクにデータを書込み可能な光ディスク装置において、
光ディスクにレーザ光を照射し、光ディスクからの反射光を受光する光ピックアップと、
該光ピックアップが受光した反射光から、光ディスクの記録面に形成されたランド部分から反射されたHレベルと、光ディスクの記録面に形成されたピット部分から反射されたLレベルの2つのレベルが交互に表れるように2値化されたRF信号を生成する生成手段と、
該生成手段が生成した2値化されたRF信号のHレベルのパルス幅およびLレベルのパルス幅をそれぞれ測定可能な測定手段とを具備することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記測定手段は、2値化されたRF信号からHレベルのパルス幅およびLレベルのパルス幅を、それぞれ複数箇所測定するように動作し、
前記測定手段によって、複数箇所において測定されたHレベルのパルス幅の値と、複数箇所において測定されたLレベルのパルス幅の値とを集計する集計手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記集計手段には、
集計した結果である、複数のHレベルのパルス幅の値およびその値を有するHレベルのパルスの数、並びに複数のLレベルのパルス幅の値およびその値を有するLレベルのパルスの数を集計データとして記憶する記憶手段が設けられていることを特徴とする請求項2記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記記憶手段内に記憶された前記集計データを当該光ディスク装置の外部へ転送可能なインターフェース部が設けられていることを特徴とする請求項3記載の光ディスク装置。
【請求項5】
請求項4記載の光ディスク装置と、
表示手段を有し、前記光ディスク装置との間でデータの授受が可能となるように光ディスク装置と接続するインターフェース部を有するコンピュータとを具備する光ディスク装置検証システムにおいて、
前記コンピュータ内には、
前記インターフェース部を介して受信した、前記集計データを用いて記録品位を解析するためのデータ処理を行なうデータ処理手段と、
該データ処理手段によって行なわれたデータ処理の結果を前記表示手段に表示できるように表示用データとして作成するデータ作成手段とが設けられていることを特徴とする光ディスク装置検証システム。
【請求項6】
前記データ処理手段は、前記集計データである複数のHレベルのパルス幅の値およびその値を有するHレベルのパルスの数、並びに複数のLレベルのパルス幅の値およびその値を有するLレベルのパルスの数を、それぞれ前記表示手段に度数分布として表示できるようにデータ処理し、
前記データ作成手段は、該データ処理手段によりデータ処理された結果である度数分布の表示用データを作成することを特徴とする請求項5記載の光ディスク装置検証システム。
【請求項7】
前記表示手段に表示される度数分布としては、横軸にパルス幅の値、縦軸にその値を有するパルスの数を配置して表示するようにしたグラフであることを特徴とする請求項6記載の光ディスク装置検証システム。
【請求項8】
表示手段を有し、請求項4記載の光ディスク装置との間でデータの授受が可能となるように該光ディスク装置と接続するインターフェース部を有するコンピュータが読み取り可能なプログラムであって、
前記インターフェース部を介して受信した、前記集計データを用いて記録品位を解析するためのデータ処理を行なうデータ処理機能と、
該データ処理機能によって行なわれたデータ処理の結果を前記表示手段に表示できるように表示用データとして作成するデータ作成機能とを前記コンピュータに実現させることを特徴とする光ディスク装置検証プログラム。
【請求項9】
前記データ処理機能は、前記集計データである複数のHレベルのパルス幅の値およびその値を有するHレベルのパルスの数、並びに複数のLレベルのパルス幅の値およびその値を有するLレベルのパルスの数を、それぞれ前記表示手段に度数分布として表示できるようにデータ処理し、
前記データ作成機能は、前記データ処理機能によりデータ処理された結果である度数分布の表示用データを作成することを特徴とする請求項7記載の光ディスク装置検証プログラム。
【請求項10】
前記表示手段に表示させる度数分布としては、横軸にパルス幅の値、縦軸にその値を有するパルスの数を配置して表示するようにしたグラフであることを特徴とする請求項8記載の光ディスク装置検証プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【図8】
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