説明

光ディスク装置

【課題】 コストアップにならずに、小型化、薄型化を可能とする光ディスク装置を提供する。
【解決手段】 筐体(1)と基板(7)とを有し、光ディスク(110)を載置可能とし筐体の開口部(1b)に対して排出/挿入のローディング動作が行われるトレイ(3)と、光ディスクを支持するターンテーブル(11),ターンテーブルを回転させるモータ(12)及び光ディスクに対して記録または再生を行う光ピックアップ(13)を有するシャーシ部(10)とを、筐体の内部に備え、シャーシ部を、一端側を支点(R)として回動しトレイのローディング動作時にその経路から退避してローディング方向(D1)に対して傾斜して待機する構成にし、筐体のシャーシ部に対向する面をシャーシ部の待機時の傾斜に沿った傾斜面(1a2)にすると共に、基板を、傾斜面の外側に、その面に沿って取付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に係り、特に、回路基板を傾斜配置して薄型化を可能にした光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置本体に対して挿入/排出されるディスクトレイを備え、このトレイに載置されたDVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクに対して挿入位置で記録または再生を行う光ディスク装置が知られており、例えば、特許文献1に記載されたディスク装置がある。
また、このようなディスク装置において、挿入/排出のローディング動作時に、そのローディング経路上からターンテーブル等のディスク保持手段,モータ及び光ピックアップ等を搭載したメカシャーシを、その一端側を支点として回動させることにより退避させる構成が、特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開平9−45068号公報
【特許文献2】特開2002−304796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、ディスク装置に対して省スペース化が強く要望されている。特に、厚さ寸法については、できるだけ薄い装置が期待されている。
そこで、上述した特許文献1のディスク装置においては、小型薄型化を図るために搭載する回路基板を分割し、ローディング動作に影響のない位置にそれぞれ配置する構成が記載されている。
しかしながら、この構成では、基板とメカシャーシとを平面的に配置するため、薄型化は充分に可能であるが幅と奥行きとを小さくすることに限界があった。
また、分割した基板間を電気的に連結するワイヤ等の接続部品が必要になり、さらに、基板を固定するねじの数や基板を固定する工数も増加し、コストアップになるという問題があった。
【0004】
また、特許文献2のような、メカシャーシをローディング動作の経路から回動動作により退避させる構成の光ディスク装置においては、基板を、ブラケットを介しケースに対して水平に配置していたので、幅と奥行きとを小さくすることは可能であるが薄型化には限界があった。
これについて、図3を用いて説明する。
【0005】
図3は、特許文献2に記載されたような従来の光ディスク装置を説明する概略断面図である。
この装置は、ターンテーブル211を回転させるモータ212と、光ピックアップ213とを備えたメカシャーシ210を有し、そのメカシャーシ210を、ディスクトレイ203のローディング動作中は、支点R回りに回動させてローディング経路から退避させる構成にしたものである。図3は、その退避状態を示している。
【0006】
この退避状態において、メカシャーシ210は傾斜した状態となるので、この装置のケース201の底面201bは、その傾斜に沿って傾斜面201b2を有している(特許文献2も参照)。
そして、基板207は、ケース201の底面201bにブラケット204を介して水平方向に配置されている。
そのため、この光ディスク装置200の厚さH2を小さくするには限界があり、
薄型化を優先させる場合は、止むを得ず基板207を分割しなければならない。
従って、その場合は、上述した特許文献1と同様の問題が生じてしまう。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、コストアップにならずに、小型化、薄型化を可能とする光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本願発明は手段として次の構成を有する。
すなわち、光ディスク装置(100)を、筐体(1)と、前記筐体(1)の外側に取り付けられた基板(7)と、光ディスク(110)を載置可能とし、ローディング手段により前記筐体(1)に設けられた開口部(1b)に対して排出及び挿入のローディング動作が行われるディスクトレイ(3)と、前記光ディスク(110)を支持するターンテーブル(11),このターンテーブル(11)を回転させるモータ(12)及び前記光ディスク(110)に対して記録または再生を行う光ピックアップ(13)を有するシャーシ部(10)とを、前記筐体(1)の内部に備え、前記シャーシ部(10)は、その一端側を支点(R)として回動し、前記ディスクトレイ(3)の前記ローディング動作時に、その動作経路から退避して前記ローディング動作の動作方向(D1)に対して傾斜した状態で待機する構成とされ、前記筐体(1)における前記シャーシ部(10)に対向する面を、前記シャーシ部(10)の待機時の傾斜に沿った傾斜面部(1a2)にすると共に、前記基板(7)を、前記傾斜面部(1a2)の外側に、その傾斜面部(1a2)に沿って取り付けて成る構成にした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回路基板を分割することなく、退避状態の傾斜したメカシャーシに沿って傾斜配置させているので、コストアップにならずに装置を小型及び薄型にすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図2を用いて説明する。
図1は、本発明の光ディスク装置の実施例におけるローディング状態を示す断面図である。
図2は、本発明の光ディスク装置の実施例におけるディスク回転動作状態を示す断面図である。
【0011】
実施例の光ディスク装置について、図1及び図2を用いて説明する。
この光ディスク装置100は、上面が開放された箱状のケース1と、その上面を覆いケース1に固定された天板2とを筐体として有している。ケース1及び天板2は、熱可塑性樹脂を射出成形して形成される。
【0012】
ケース1の内部には、ディスクトレイ3,メカシャーシ10,及びこのメカシャーシ10の昇降機構14が収納されている。
ディスクトレイ3は、図示しないローディング機構により、ケース1の開口部1bに対して図の矢印D1方向に排出及び挿入される。
このディスクトレイ3には略円形の凹部3aが形成されており、この凹部3aにはディスクトレイ3の排出時に光ディスク110が載置される。そして、この光ディスク110は、ディスクトレイ3の挿入動作により内部の所定位置に装填される。
【0013】
メカシャーシ10は、金属の薄板のプレス加工により形成され、ターンテーブル11を回転駆動するモータ12と光ピックアップ13とが取り付けられている。
このメカシャーシ10は、ディスクトレイ3のローディング動作中、その動作経路を妨げないように図1のように下方に退避している。メカシャーシ10のこの退避位置を第1の位置と称することにする。
そして、ローディング動作が完了し、ディスクトレイ3が挿入(完了)状態になると、図2に示すように、メカシャーシ10は、回動支点Rを中心に上方の所定位置まで回動し、光ディスク3に対する記録または再生が可能となる(図2参照)。メカシャーシ10のこの記録再生位置を第2の位置と称することにする。
【0014】
メカシャーシ10の第2の位置において、ターンテーブル11は、光ディスク110の中心孔110aと係合し、この光ディスク110の下面110b側をディスクトレイ3から離隔させて支持する。
一方、光ディスク110の上面側は、天板2に設けられたクランパ5に支持される。このクランパ5は、天板2に対して回転自在とされているので、モータ12の駆動により、光ディスク110は、ターンテーブル11とクランパ5とにより挟持されながら回転する。
【0015】
光ピックアップ13は、メカシャーシ10に搭載された駆動装置(図示せず)により、光ディスク110の径方向に移動可能とされる。
【0016】
メカシャーシ10の回動支点R側にはシャフトSが設けられ、このシャフトSがケース1側に設けられた穴と嵌合してメカーシャーシ10は回動可能とされているが、この構成に限らず、メカシャーシ10の回動支点R側端部とケース1とを、金属薄板等で連結するようにしてもよい。
この場合でも、メカシャーシ10の回動角度が比較的小さいので、この金属薄板の変形により、シャフトSを用いた軸回りの回動と同様の回動動作が可能である。
以上から、メカシャーシ10は、退避位置である第1の位置において傾斜状態となっている。
そのため、ケース1の底面1aは、開口部1bに近い側の水平面1a1と、開口部1bから遠い側のメカシャーシ10の傾斜に沿った傾斜面1a2とを有して形成されている。
【0017】
ここで、この水平面1a1は、ディスクトレイ3のローディング動作方向D1と略平行となる面であることを意味するものであり、光ディスク装置の配置によっては、必ずしも絶対的な水平とならない場合があるが、ここでは便宜的に水平面と称している。
【0018】
ケース1における底面1a(外側)には、水平面1a1と傾斜面1a2とに跨って、ブラケット4が配置され、ケース1に対してねじ6aにより固定されている。
このブラケット4は、開口部1b側とその反対側と(以下、前方側と後方側と称する場合がある)が分離していてもよく、また、一体となっていてもよいものである。このブラケット4は、金属薄板をプレス加工して形成される。
【0019】
回路基板7は、その前方側がブラケット4にねじ6bで固定され、後方側は、ブラケット4に形成された切り込み4aに係合して支持される。
この回路基板7におけるケース1とは反対側の面には、発熱量の多い集積回路7a等の電子部品が搭載されている。
【0020】
この構成において、回路基板7は、ケース1の底面1aの傾斜面1a2に沿って傾斜配置されているので、光ディスク装置110の高さ寸法H1をより小さくでき、光ディスク装置100自体を極めて薄型化することができる。
また、回路基板7を分割することなく、メカシャーシ10と重ねて配置されているので、分割した基板間を接続するワイヤ等が不要であると共に、締結するねじ等も少ないので、コストアップとならず、また、光ディスク装置の幅と奥行きが大きくなることがない。
【0021】
また、ケース1の底面1aの後方側に、図1で示したような断面が三角の空間領域SKが空きスペースとして得られるので、この光ディスク装置100を搭載したセット側の部品レイアウトの効率化が図れ、そのセットを小さくすることできる。
【0022】
また、回路基板7が傾斜していることから、回路パターンや搭載した部品7a等から発生した熱は、この熱自身によって対流を起こし易くなっており、この傾斜に沿って生じる空気対流TAにより外部に効率良く放散される(図2参照)。
従って、この光ディスク装置の温度上昇は、極めて効果的に抑制される。
【0023】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の光ディスク装置の実施例におけるローディング状態を示す断面図である。
【図2】本発明の光ディスク装置の実施例におけるディスク回転動作状態を示す断面図である。
【図3】従来の光ディスク装置を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ケース
1a 底面
1a1 水平面
1a2 傾斜面
1b 開口部
2 天板
3 ディスクトレイ
3a 凹部
4 ブラケット
5 クランパ
6 ねじ
7 回路基板
10 メカシャーシ
11 ターンテーブル
12 モータ
13 光ピックアップ
14 昇降機構
100 光ディスク装置
110 光ディスク
110 中心孔
R 回動支点
S シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の外側に取り付けられた基板と、
光ディスクを載置可能とし、ローディング手段により前記筐体に設けられた開口部に対して排出及び挿入のローディング動作が行われるディスクトレイと、
前記光ディスクを支持するターンテーブル,このターンテーブルを回転させるモータ及び前記光ディスクに対して記録または再生を行う光ピックアップを有するシャーシ部とを、前記筐体の内部に備え、
前記シャーシ部は、その一端側を支点として回動し、前記トレイの前記ローディング動作時に、その動作経路から退避して前記ローディング動作の動作方向に対して傾斜した状態で待機する構成とされ、
前記筐体における前記シャーシ部に対向する面を、前記シャーシ部の待機時の傾斜に沿った傾斜面部にすると共に、前記基板を、前記傾斜面部の外側に、その傾斜面部に沿って取り付けて成ることを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−244576(P2006−244576A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57032(P2005−57032)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】