説明

光ディスク装置

【課題】光ディスク装置において、スレッドセンサを用いることなく、スレッド負荷のバラツキを吸収し、リゼロ動作のバラツキを抑え、かつ、コストダウンを図る。
【解決手段】光ディスク装置1は、光ピックアップ4と、光ピックアップ4を移動させるスレッドモータ7と、内周スイッチ8を備え、光ピックアップ4を最内周に移動させ、内周スイッチ8がオンになると、光ピックアップ4を停止させ、光ピックアップ4の移動方向を外周側に変え、スレッドモータ7の印加電圧を徐々に上げ、光ピックアップ4が外周側へ移動して、内周スイッチ8がオフになったときの印加電圧をスレッドモータ7の駆動電圧の自動調整値とする。以降、この自動調整値を用いてスレッドモータ7を駆動する。これにより、スレッドセンサを必要とすることなく、スレッド負荷のバラツキを吸収することができ、リゼロ動作のバラツキを抑えることができる。また、コストダウンを図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に関し、特に、光ピックアップの移動制御に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクにレーザ光を照射してデータの記録/再生を行う光ディスク装置においては、データの書き込み/読み取りを行なう光ピックアップを指定された位置へ正確に移動させなければならず、例えば、光ディスクが装填されたときには、光ディスクの最内周部に記録されている特定のデータを読み取るために、光ピックアップを所定の読み取り開始位置(以下、リゼロ位置という)に正確に移動させなければならない(以下、これをリゼロ動作という)。
【0003】
光ピックアップの移動において、光ピックアップを、輸送台(以下、スレッドという)と共に移動させるのにDCモータを用い、所定の電圧を一定時間印加することによってDCモータを駆動させると、光ディスク装置の機台により移動の負荷(以下、スレッド負荷という)が異なるために、光ピックアップの停止位置は大きく変動する。
【0004】
そして、スレッドを駆動するギアにエンコーダを設けたスレッドセンサを備えることにより、光ピックアップの位置を検知して光ピックアップの移動/停止を制御すると、指定された位置に正確に停止させることができるが、スレッドセンサのためにコストが高くなる。
【0005】
また、光ピックアップを移動させるのにステッピングモータを用いて、ステッピングモータを駆動するパルス数により光ピックアップの位置を検知し、正確に停止させる光ディスク装置が知られている(例えば特許文献1参照)。また、光ディスクの最内周の位置にリミットスイッチを設け、光ピックアップを内周側へ移動させ、リミットスイッチがオンになると、光ピックアップの移動方向を外周側に変え、光ピックアップを移動させるモータに定められた電圧を定められた時間、印加して駆動させ、光ピックアップを読み取り位置に移動させる光ディスク装置が知られている(例えば特許文献2参照)。また、光ディスクの最内周の位置にリミットスイッチを設け、光ピックアップを内周側へ移動させ、リミットスイッチがオンになると、光ピックアップの移動方向を外周側に変え、光ピックアップを移動させるモータに定められた電圧を定められた時間、印加した後に、ブレーキをかけるために逆向きの定められた電圧を印加する光ディスク装置が知られている(例えば特許文献3参照)。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に示されるような光ディスク装置においては、ステッピングモータのトルクが小さいために、ステッピングモータを光ピックアップの移動と光ディスクのトレイの駆動の両方に共通して使用することができず、トレイの駆動用のモータが別に必要となり、コストが高くなる。また、特許文献2に示されるような光ディスク装置においては、スレッド負荷のバラツキが考慮されていないので、リゼロ動作にバラツキが生じる。また、特許文献3に示されるような光ディスク装置においては、例えば、スレッド負荷が小さくて移動し易い光ピックアップには、ブレーキが強く効くので、スレッド負荷のバラツキが吸収されるが、スレッド負荷のバラツキが大きいと、バラツキを吸収しきれず、リゼロ動作にバラツキが生じる。
【特許文献1】特開2000−251270号公報
【特許文献2】特開平4−241229号公報
【特許文献3】特開2005−332525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであり、スレッドセンサを用いることなくスレッド負荷のバラツキを吸収することができ、光ピックアップのリゼロ動作のバラツキを抑え、かつ、コストダウンを図ることができる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、光ディスクに対してレーザ光を照射してデータの記録/再生を行う光ピックアップ手段と、前記光ピックアップ手段を光ディスクの内周側/外周側に移動させるスレッド用のモータと、プログラムを格納したメモリ部と、前記メモリ部のプログラムに基いて機器全体を制御する制御部と、を備えた光ディスク装置において、前記光ピックアップ手段が光ディスクの最内周に移動するとオンになる内周スイッチを備え、前記モータは、直流モータであり、前記制御部は、装置への電源オン時に、前記モータを駆動させて前記光ピックアップ手段を前記内周側へ移動させ、前記内周スイッチがオンになったとき、前記モータの駆動を停止させ、その後に、前記光ピックアップ手段の移動方向を前記外周側に変えると共に、前記モータへの印加電圧を徐々に上げていき、前記光ピックアップ手段が前記外周側へ移動して、前記内周スイッチがオフになったときの印加電圧を前記モータの駆動電圧の自動調整値として前記メモリ部に記憶させ、以降、前記自動調整値を用いて前記モータを駆動することにより、スレッドセンサを用いることなく、スレッド負荷を自動調整するものである。
【0009】
請求項2の発明は、光ディスクに対してレーザ光を照射してデータの記録/再生を行う光ピックアップ手段と、前記光ピックアップ手段を光ディスクの内周側/外周側に移動させるスレッド用のモータと、機器全体を制御する制御部と、を備えた光ディスク装置において、前記光ピックアップ手段が光ディスクの内周又は外周の一端側に移動するとオンになる一端側スイッチを備え、前記制御部は、装置への電源オン時に、前記モータを駆動させて前記光ピックアップ手段を光ディスクの内周又は外周方向へ移動させ、前記一端側スイッチがオンになったとき、前記モータの駆動を停止させ、その後に、前記光ピックアップ手段の移動方向を前記方向とは逆向きに変えると共に、前記モータへの印加電圧を徐々に上げていき、前記光ピックアップ手段が前記一端側スイッチから逆方向へ移動して、前記内周スイッチがオフになったときの印加電圧を前記モータの駆動電圧の自動調整値とし、以降、前記自動調整値を用いて前記モータを駆動することにより、スレッドセンサを用いることなく、スレッド負荷を自動調整するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、内周スイッチがオンからオフになったときの光ピックアップを駆動するモータの駆動電圧を自動調整値とし、この自動調整値を用いてモータを駆動するようにしたので、光ディスク装置毎のスレッド負荷のバラツキを吸収することができ、光ピックアップのリゼロ動作における停止位置のバラツキを少なくすることができる。また、スレッドセンサを用いる必要がなくなり、コストダウンを図ることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、一端側スイッチがオンからオフになったときの光ピックアップを駆動するモータの駆動電圧を自動調整値とし、この自動調整値を用いてモータを駆動するようにしたので、光ディスク装置毎のスレッド負荷のバラツキを吸収することができ、光ピックアップのリゼロ動作における停止位置のバラツキを少なくすることができる。また、スレッドセンサを用いる必要がなくなり、コストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る光ディスク装置について図1を参照して説明する。図1は、光ディスク装置の構成を示す。光ディスク装置1は、ターンテーブルに装填された光ディスク2を回転させるスピンドルモータ3と、光ディスク2に対してレーザ光を照射してデータの記録/再生を行う光ピックアップ4(光ピックアップ手段)と、光ピックアップ4を駆動するため、レーザ変調信号を光ピックアップ4に対して送信するレーザ駆動部5と、光ピックアップ4の輸送台であるスレッド6(光ピックアップ手段)と、光ピックアップ4とスレッド6とを光ディスク2の径方向に移動させるスレッドモータ7(モータ)と、光ピックアップ4が光ディスク2の最内周に移動するとスレッド6に押圧されてオンになる内周スイッチ8と、光ピックアップ4のトラッキングサーボ及びフォーカスサーボを行なうサーボ制御部9と、上記各部を制御する制御部13とを備える。また、制御部13には、プログラムやデータを記憶するメモリ部10と、映像や音声等のデータが入力される信号入力部11と、光ディスク2の再生データを出力する信号出力部12と、ユーザが制御部13へ指示を行なうために操作する操作部14とが接続されている。スレッドモータ7は、DCモータを用いる。
【0013】
このように構成された光ディスク装置1は、例えば、DVDレコーダ又はパソコンに搭載されるDVDドライブであり、光ディスク2は、例えば、DVD−RWである。
【0014】
光ピックアップ4は、光ディスク2に対してレーザ光を出射する半導体レーザダイオード(不図示)と、該レーザ光の光ディスク2での反射光を受光して電気信号を生成する受光素子(不図示)とを備える。この半導体レーザダイオードが光ディスク2に対して高パワーのレーザ光を照射することにより、データが記録される。また、受光素子が、光ディスク2での反射光に基いて生成した電気信号すなわち再生信号を制御部13に送出することにより、光ディスク2のデータが再生される。スレッドモータ7は、DCモータである。内周スイッチ8は、レバーを有し、レバーを押圧されるとオンになり、押圧が解除されるとオフになる。
【0015】
次に、上記のように構成された本実施形態に係る光ディスク装置1の動作について図2及び図3を参照して説明する。図2はスレッドモータ7の駆動電圧の自動調整値を求めるフローを示し、図3は自動調整値と、内周スイッチ8のオン/オフの関係を示す。
【0016】
光ディスク装置1に電源が入れられると、制御部13は、スレッドモータ7を駆動させて光ピックアップ4を内周側へ移動させる(S1)。光ピックアップ4が最内周に移動してスレッド6が内周スイッチ8のレバーを押圧すると、内周スイッチ8がオンになり、内周スイッチ8のオン信号が制御部13へ伝達される(S2)。制御部13は、スレッドモータ7の駆動を停止させる(S3)。そして、スレッドモータ7への印加電圧の極性を逆にし、光ピックアップ4の移動方向を外周側に変えて(S4)、スレッドモータ7への印加電圧を0Vから徐々に上げる(S5)。そして、光ピックアップ4が外周側へ移動を開始して、内周スイッチ8のレバーへの押圧が解除され、内周スイッチ8がオンからオフになる(S6)(図3参照)。内周スイッチ8のオフ信号が制御部13へ伝達され、制御部13は、内周スイッチ8がオンからオフになった時間T1の時の印加電圧V1をスレッドモータ7の駆動電圧の自動調整値としてメモリ部10に記憶する(S7)。制御部13は、以降、この自動調整値V1を用いてスレッドモータ7を駆動し、光ピックアップ4の移動を行なう。スレッド負荷が小さい光ディスク装置1では、低い印加電圧で光ピックアップ4が移動するので、自動調整値は小さくなるが、スレッド負荷が大きい光ディスク装置1では、高い印加電圧でないと光ピックアップ4が移動しないので、自動調整値は、大きくなり、それぞれの光ディスク装置1のスレッド負荷に対応した自動調整値になる。
【0017】
自動調整値が定まった後に、リゼロ動作を行なうときは、制御部13は、光ピックアップ4の移動方向を外周側のままで、スレッドモータ7に自動調整値V1の電圧を定められた時間印加して、スレッド6をリゼロ位置に移動させる。自動調整値V1は、スレッド負荷のバラツキを吸収しているので、定められた時間、電圧を印加することにより、光ピックアップ4を正確なリゼロ位置に停止させることができる。
【0018】
このように、光ディスク装置1毎のスレッド負荷に対応した自動調整値により、スレッドモータ7を駆動させるので、スレッド負荷のバラツキを吸収することができる。そして、スレッド負荷のバラツキが吸収されるので、リゼロ動作における停止位置のバラツキを少なくすることができる。また、スレッドセンサを必要としないのでコストを低くすることができる。
【0019】
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、内周スイッチ8に代えて、外周スイッチ(図示なし:一端側スイッチ)を設けた実施形態としてもよい。この実施形態においては、装置の電源がオンになると、光ピックアップ4を外周側に移動させ、外周スイッチがオンになるとスレッドモータ7の駆動を停止させ、光ピックアップ4の移動方向を内周側に変え、スレッドモータ7の印加電圧を徐々に上げ、光ピックアップ4が内周側へ移動して、外周スイッチがオフになったときの印加電圧をスレッドモータ7の駆動電圧の自動調整値する。また、内周スイッチ8や外周スイッチは、機械式のスイッチでなく、例えばフォトセンサのようなセンサを用いてもよい。また、制御部13は、自動調整値の電圧値でなく、自動調整値を、例えば、1.2倍した電圧値によってスレッドモータ7を駆動して光ピックアップ4の移動を行なってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスク装置の構成図。
【図2】同光ディスク装置のスレッドモータの駆動電圧の自動調整値を求めるフローチャート。
【図3】同光ディスク装置のスレッドモータの駆動電圧の自動調整値と、内周スイッチのオン/オフの関係を示す図。
【符号の説明】
【0021】
1 光ディスク装置
2 光ディスク
4 光ピックアップ(光ピックアップ手段)
6 スレッド(光ピックアップ手段)
7 スレッドモータ(モータ)
8 内周スイッチ(一端側スイッチ)
10 メモリ部
13 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに対してレーザ光を照射してデータの記録/再生を行う光ピックアップ手段と、前記光ピックアップ手段を光ディスクの内周側/外周側に移動させるスレッド用のモータと、プログラムを格納したメモリ部と、前記メモリ部のプログラムに基いて機器全体を制御する制御部と、を備えた光ディスク装置において、
前記光ピックアップ手段が光ディスクの最内周に移動するとオンになる内周スイッチを備え、
前記モータは、直流モータであり、
前記制御部は、装置への電源オン時に、前記モータを駆動させて前記光ピックアップ手段を前記内周側へ移動させ、前記内周スイッチがオンになったとき、前記モータの駆動を停止させ、
その後に、前記光ピックアップ手段の移動方向を前記外周側に変えると共に、前記モータへの印加電圧を徐々に上げていき、前記光ピックアップ手段が前記外周側へ移動して、前記内周スイッチがオフになったときの印加電圧を前記モータの駆動電圧の自動調整値として前記メモリ部に記憶させ、
以降、前記自動調整値を用いて前記モータを駆動することにより、スレッドセンサを用いることなく、スレッド負荷を自動調整することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
光ディスクに対してレーザ光を照射してデータの記録/再生を行う光ピックアップ手段と、前記光ピックアップ手段を光ディスクの内周側/外周側に移動させるスレッド用のモータと、機器全体を制御する制御部と、を備えた光ディスク装置において、
前記光ピックアップ手段が光ディスクの内周又は外周の一端側に移動するとオンになる一端側スイッチを備え、
前記制御部は、装置への電源オン時に、前記モータを駆動させて前記光ピックアップ手段を光ディスクの内周又は外周方向へ移動させ、前記一端側スイッチがオンになったとき、前記モータの駆動を停止させ、
その後に、前記光ピックアップ手段の移動方向を前記方向とは逆向きに変えると共に、前記モータへの印加電圧を徐々に上げていき、前記光ピックアップ手段が前記一端側スイッチから逆方向へ移動して、前記内周スイッチがオフになったときの印加電圧を前記モータの駆動電圧の自動調整値とし、
以降、前記自動調整値を用いて前記モータを駆動することにより、スレッドセンサを用いることなく、スレッド負荷を自動調整することを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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