説明

光ディスク装置

【課題】確実なインサート動作又はイジェクト動作を確保できるようにすること。
【解決手段】制御部は、スロット制御機構のインサート動作又はイジェクト動作に異常が生じていることが判明した場合、当該判明した第1の時点において、スロット制御機構に、規定量にわたりインサート動作とイジェクト動作とを交互に繰り返す障害回復動作を実行させる。その後、制御部は、スロット制御機構が正常に戻ったことが判明した場合、当該判明した第2の時点から規定量にわたりスロット制御機構に復旧動作を実行させて上記第1の時点の状態に戻してからスロット制御機構にインサート動作又はイジェクト動作を再度実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に関し、特に、光ディスクが配置されたディスクトレイを光ディスク装置筐体内にロードしたりアンロードするための技術に関する光ディスク装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光ディスク装置(例えば情報記録再生装置を挙げる)においては、ローディングモータの駆動によって光ディスクなどの情報記録媒体がローディングあるいはイジェクトされる構成を採用している。従来の情報記録再生装置は、光ディスクのイジェクト完了位置及びローディング完了位置において、その光ディスクの存在を検出するイジェクト検出手段としての押出センサが設けられているとともにローディング検出手段としての挿入センサが設けられている。従来の情報記録再生装置では、所定時間内に光ディスクのインサート動作を完了できない場合、ローディングモータの正転及び反転を繰り返すことにより、光ディスクをイジェクト方向に送るよう働きかける構成を採用していた(特許文献1参照)。
【0003】
また、その他の構造としては、スロットイン型ディスク装置が存在している。従来のスロットイン型ディスク装置においては、内蔵する制御回路が、上記同様に、イジェクト動作を開始してから所定時間が経過してもイジェクト完了の信号を受け取ることができない場合、そのイジェクト動作に異常が発生したと判断し、スイッチバック制御を行っている。このスイッチバック制御においては、制御回路が、ローディングモータの回転方向をインサート方向及びイジェクト方向に切り換えることにより、上記イジェクト動作の異常を回避しようとしている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−280264号公報(図2)
【特許文献2】特開2007−334953号公報(図11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の情報記録再生装置又はスロットイン型ディスク装置(以下、両装置を「従来の光ディスク装置」と総称する)では、イジェクト動作に異常があった場合にローディングモータの回転方向を繰り返し変えることによっても、イジェクト動作が正常に戻らない場合がある。このような場合、従来の光ディスク装置では、装置自体を分解するなどしなければ、光ディスク自体を取り出すことができず、光ディスクの確実なイジェクトを確保ができなかった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、確実なインサート動作又はイジェクト動作を確保できる光ディスク装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため、本発明においては、光ディスクのデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を行う光ディスク装置であって、筐体と、前記筐体の外部から前記光ディスクを前記筐体の内部に収納するインサート動作を実行したり、前記筐体内に収納された前記光ディスクを前記筐体の外側に排出するイジェクト動作を実行するスロット制御機構と、前記スロット制御機構における前記インサート動作及び前記イジェクト動作の状態を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に応じて、前記スロット制御機構における前記インサート動作及び前記イジェクト動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記スロット制御機構における前記インサート動作又は前記イジェクト動作に異常が生じていることが判明した場合、当該判明した第1の時点において、前記スロット制御機構に、規定量にわたり前記インサート動作と前記イジェクト動作とを交互に繰り返す障害回復動作を実行させた後、前記検出部による検出結果に基づいて、前記スロット制御機構における前記インサート動作又は前記イジェクト動作が正常に戻ったことが判明した場合、当該判明した第2の時点から前記規定量にわたり前記スロット制御機構に復旧動作を実行させて前記第1の時点の状態に戻してから、前記スロット制御機構に前記インサート動作又は前記イジェクト動作を再度実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、確実なインサート動作又はイジェクト動作を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態における光ディスク装置の構成例を示す平面図である。
【図2】図1に示すスロット制御機構が正常に動作した場合における平面図である。
【図3】スロット制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】ジャム対応処理の具体的な手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】各スイッチのオンオフ状態のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】スロット制御機構の動作例を示す平面図である。
【図7】スロット制御機構の動作例を示す平面図である。
【図8】スロット制御機構の動作例を示す平面図である。
【図9】スロット制御機構の動作例を示す平面図である。
【図10】障害発生時におけるスイッチなどのオンオフのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図11】障害発生時におけるスイッチなどのオンオフのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図12】障害発生時におけるスイッチなどのオンオフのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図13】障害発生時におけるスイッチなどのオンオフのタイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面について、本発明の一実施の形態について詳述する。
【0011】
(1)本実施の形態による光ディスク装置の構成
図1は、本実施の形態における光ディスク装置100の構成例を示す。光ディスク装置100は、筐体14、スロット制御機構並びに制御部99を備えている。なお、本実施の形態では、光学機構、駆動機構及び信号処理部については、概要を説明し、スロット制御機構についても、本実施形態と主に関係する部分について図示及び説明を行い、その他の部分については図示及び説明を省略する。
【0012】
まず、駆動機構は、制御部99の制御によって、収納完了位置に配置された光ディスク1を回転させる。光学機構は、制御部99の制御によって、光源からの光ビームを光ディスク1に照射させて、光ディスク1のデータを読み出し及び書き込みの少なくとも一方を行う。信号処理部は、制御部99の制御によって、光学機構との間における信号処理を制御する。制御部99は、これら駆動機構、光学機構及び信号処理部のみならず、次のようなスロット制御機構を制御する。
【0013】
スロット制御機構は、光ディスク1を筐体14内における収納完了位置に収納したり(以下、インサート動作という)、その収納完了位置における光ディスク1を筐体14の外側に排出する(以下、イジェクト動作という)。このスロット制御機構は、ローディングモータ3、伝達機構4、第1の部材5、第1のレバー部材7、第2のレバー部材9、第2の部材12及びレバー13を含んでいる。ローディングモータ3は、制御部99の制御の下、通電により駆動し、軸3Aを一方向及び他方向に回転させる。第1の部材5は、インサート動作又はイジェクト動作に伴う光ディスク1の移動方向(インサート方向L1、イジェクト方向L2)に沿って延びる部材である。伝達機構4は、その軸3Aの動力を第1の部材5の一端から移動方向L1,L2に沿って作用させる。これにより、その動力は第1の部材5の他端に伝達される。
【0014】
第1のレバー部材7は、第1の軸7Aを中心としてR1方向に回転するレバー状の部材であって、そのレバー状の部材の一端が第1の部材5の他端に第1の関節6を介して装着されている。第1のレバー部材7は、そのレバー状の部材の一端に作用した力を第1の軸7A周りに、そのレバー状の部材の他端に伝達する。
【0015】
第2のレバー部材9は、第2の軸9Aを中心としてR2方向に回転するレバー状の部材であって、そのレバー状の部材の一端が第2のレバー部材9の他端に第2の関節10を介して結合されており、そのレバー状の部材の一端に掛けられた力を第2の軸9A周りにそのレバー状の部材の他端に伝達する。
【0016】
第2の部材11は、第2のレバー部材9の他端に対して第3の関節11を介して結合されており、その第2のレバー部材9の他端から作用された力に応じてインサート方向L1及びイジェクト方向L2に沿って移動する。
【0017】
レバー13は、軸13A側からアーム部材13Bが延び、先端部13Cを有する。レバー13は、第2の部材12の一部に接触しており、第2の部材12がインサート方向L1及びイジェクト方向L2に移動することに伴い、軸13Aを中心としてアーム部12BがR3方向に沿って回転する。これにより、先端部13Cは、光ディスク1の周面に接触しながらR3方向に回転することで、光ディスク1をL1,L2に沿って移動させる。
【0018】
上述した筐体14には、第1乃至第4のスイッチ8A〜8Dが設けられている。これら第1乃至第2のスイッチ8A〜8Dは、インサート動作及びイジェクト動作によって移動した位置を検出するための検出部である。これらスイッチの個数は4つに限られず、同様の機能を確保できればいくつであっても良い。
【0019】
第1のスイッチ8A及び第2のスイッチ8Bは、それぞれ、第1のレバー部材7の第1の軸7Aに沿って設けられており、第1のレバー部材7の回転に伴ってオン又はオフ状態となる。第1のレバー部材7は、その軸3Aの近傍に、2つの突起部が設けられている。これら突起部が、それぞれ、第1のレバー部材7の回転に伴って第1のスイッチ8A及び第2のスイッチ8Bを操作する。なお、本実施形態では、第1のスイッチ8Aを「SW1」とも呼んでいるとともに、第2のスイッチ8Bと「SW2」とも呼ぶ。
【0020】
第2のスイッチ8Bは、第1のレバー部材7における第1の軸7Aの周りに配置しており、第1のレバー部材7の回転に伴って第1のレバー部材7の一部が接触するか否かに応じてオン状態又はオフ状態となるスイッチである。第2のスイッチ8Bは、排出完了位置に配置する光ディスク1が筐体14内に所定量押し込まれたことを検出するための検出部である。第2のスイッチ8Bがオン状態となると、制御部99がローディングモータ3を駆動し、インサート動作を開始する。第1のスイッチ8Aは、インサート動作が開始され、第1のレバー部材7がさらに所定量回転したことを検出するための検出部である。
【0021】
第3のスイッチ8Cは、筐体14における第3の関節部11の近傍に設けられている。上述した第2の部材12がインサート方向L1に移動すると、これに伴って第2の部材12の一部が第3のスイッチ8Cに接触して操作する構成となっている。なお、本実施の形態では、第3のスイッチ8Cを「SW3」とも呼んでいる。
【0022】
第4のスイッチ8Dは、筐体14におけるレバー13の軸13Aの近傍に設けられている。第4のスイッチ8Dは、レバー13がR3方向に沿った回転位置に応じてオン状態となったりオフ状態となる。第4のスイッチ8Dは、光ディスク1が収納完了位置に配置されたか否かを検出するための検出部である。なお、第4のスイッチ8Dは、「SW4」とも呼んでいる。
【0023】
また、スロット制御機構は、筐体14内からイジェクト動作によって取り出せなくなった光ディスク1を強制的に取り出すための操作部材2を備えていても良い。この操作部材2は、例えば、筐体14の外部から内部に至る棒状の部材であって、その棒状の部材の一端が筐体14の外部に露出して外部から操作可能であるとともに、その棒状の部材の他端が第1の部材5の一部に接触して筐体14の内部に押圧し得る構成となっている。このような構成とすると、さらに確実なイジェクト動作を確保することができる。
【0024】
(2)ディスクトレイの収納状態
図2は、図1に示すスロット制御機構が正常に動作した場合における平面図である。図示の状態は、光ディスク1がスロット制御機構によって収納完了位置にまでローディングされた状態を表す。
【0025】
光ディスク装置100においては、光ディスク1が排出完了位置に配置している状態で、筐体14に向けて多少押し込まれる。すると、第2のスイッチ8Bがオフ状態からオン状態となる。なお、光ディスク1が排出完了位置には位置している場合、第1乃至第4のスイッチ8A〜8dは全てオフ状態となっている。
【0026】
スロット制御機構は、第2のスイッチ8Bがオン状態となるまでディスクトレイが押し込まれると、インサート動作を開始する。即ち、スロット制御機構は、第2のスイッチ8Bがオン状態となったことを契機として、制御部99がローディングモータ3を駆動することにより、光ディスク1のインサート動作を開始する。
【0027】
ローディングモータ3は、軸3Aが回転することによる駆動力が伝達機構4によって第1の部材5に作用する。第1の部材5は、インサート方向L1に移動し、第1の軸7Aを中心として第1のレバー部材7をR1方向に回転させる。このように第1のレバー部材7が回転することにより、第2の関節10を介して連結する第2のレバー部材9が第2の軸9Aを中心として回転する。このように第2のレバー部材9が回転すると、第3の関節11を介して連結された第2の部材12がインサート方向L1に向けて移動する。このように第2の部材12がインサート方向L1に向けて移動することにより、第2の部材12に接触しているレバー13がR3方向に沿って時計方向に回転する。
【0028】
すると、光ディスク1は、スロット制御機構によってインサート方向L1にロードされ、収納完了位置にまで移動する。この状態になると、上述した第3及び第4のスイッチ8C,8dは、後述するように所定の状態に移行する。このような各スイッチ8A〜8Dのオン又はオフ状態については後述する。
【0029】
(3)スロット制御処理
図3は、スロット制御処理の手順の一例を示す。以下、必要に応じて、上述した図1及び図2を参照しつつ、このスロット制御処理について説明する。まず、インサート動作について説明する。
【0030】
(3−1)ディスク挿入待機状態
光ディスク装置100は、光ディスク1が挿入されるまで待つディスク挿入待機状態となっている。光ディスク装置100は、排出完了位置に配置する光ディスク1が筐体14に向けて所定量押し込まれることにより、光ディスク1の周面に接触するレバー13の先端部13CがR3方向に沿って反時計回りに回転する。これにより、レバー13の一部に接触する第2の部材12がインサート方向L1に向けて移動する。第2の部材12の移動により、第2の部材12を介して連結する第2のレバー部材9を介して第1のレバー部材7がR1方向に沿って所定量回転する。上述のように第1の部材5がR1方向に沿って所定量回転すると、最初に、上述した第2のスイッチ8Bがオフ状態からオン状態となる。
【0031】
制御部99は、以上のように第2のスイッチ8Bがオフ状態からオン状態となるまで待機処理を実行する(SP1)。制御部99は、第2のスイッチ8Bがオン状態となると、ローディングモータ3の駆動を指示し(SP2)、一定時間が経過するまで待ち処理を実行する(SP3)。
【0032】
(3−2)ローディングモータの駆動開始位置の検知
次に、制御部99は、第1のスイッチ8A(図示のSW1に相当)がオフ状態からオン状態となったことを検知したか否かを判断する(SP4)。第1のスイッチ8Aがオン状態となるのは、上述したローディングモータ3の駆動によって光ディスク1がさらに筐体14内にロードされることに伴って、第1のレバー部材7がR1方向に沿ってさらに回転した場合である。
【0033】
制御部99は、第1のスイッチ8Aがオン状態となったことを検知した場合、後述するステップSP6を実行する。一方、制御部99は、第1のスイッチ8Aのオン状態を検知できない場合、一定時間が経過したか否かを判断し(SP5)、その一定時間内に第1のスイッチ8Aがオン状態となったことの検知を試みる。しかしながら、制御部99は、その一定時間内に、第1のスイッチ8Aがオン状態となったことを検知できない場合、後述するジャム対応処理を実行する(SP100)。なお、このようにインサート動作に異常が生じていることが判明した時点が(即ち、ジャム対応処理を実行する時点)が、後述する第1の時点に相当する。
【0034】
次にステップSP6では、制御部99は、第3のスイッチ8C(図示のSW3に相当)がオフ状態からオン状態となったことを検知したか否かを判断する。第3のスイッチ8Cがオフ状態からオン状態となるのは、ローディングモータ3の駆動によって光ディスク1がさらに筐体14の内部にロードされることに伴って、第2の部材12がインサート方向L1に向けてさらに移動した場合である。
【0035】
制御部99は、第3のスイッチ8Cのオン状態を検知した場合、後述するステップSP7を実行する。一方、制御部99は、第3のスイッチ8Cのオン状態を検知できない場合、一定時間が経過したか否かを判断する(SP5)。制御部99は、その一定時間内に、第1のスイッチ8Aがオン状態となったことの検知を試みる。しかしながら、制御部99は、その一定時間内に、第3のスイッチ8Cがオン状態となったことを検知できない場合、後述するジャム対応処理を実行する(SP100)。なお、このようにインサート動作に異常が生じていることが判明した時点が(即ち、ジャム対応処理を実行する時点)が、後述する第1の時点に相当する。
【0036】
(3−3)収納完了位置の検知
次にステップSP7では、制御部99は、第4のスイッチ8D(図示のSW4に相当)がオフ状態からオン状態となったことを検知したか否かを判断する(SP7)。第4のスイッチ8Dがオン状態となるのは、ローディングモータ3の駆動によって光ディスク1がさらに筐体14の内部にロードされることに伴って、レバー13の先端部13CがR3方向に沿ってさらに回転した場合である。
【0037】
制御部99は、第4のスイッチ8Dのオン状態を検知した場合、スロット制御処理を終了する。一方、制御部99は、第4のスイッチ8Dのオン状態を検知できない場合、一定時間が経過したか否かを判断し(SP5)、その一定時間内に第4のスイッチ8Aがオン状態となったことの検知を試みる。しかしながら、制御部99は、その一定時間内に、第4のスイッチ8Dがオン状態となったことを検知できない場合、後述するジャム対応処理を実行する(SP100)。なお、このようにインサート動作に異常が生じていることが判明した時点が(即ち、ジャム対応処理を実行する時点)が、後述する第1の時点に相当する。
【0038】
本実施形態では、スロット制御機構は、上述したインサート動作のみならず、各手順を逆に実行することにより、イジェクト動作を実行する。このイジェクト動作についてはインサート動作と順序が逆であることを除きほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0039】
(3−4)ジャム対応処理
図4は、ジャム対応処理の具体的な手順の一例を示す。このジャム対応処理は、いずれかの原因により、スロット制御機構が光ディスク1のインサート動作(又はイジェクト動作)の途中でその実行を継続できない状況に至った場合に実施される。
【0040】
制御部99は、上述のようにスロット制御機構におけるインサート動作に異常が生じていることが判明した第1の時点において、スロット制御機構に障害回復動作を実行させる。この障害回復動作は、制御部99が、規定量にわたりインサート動作とイジェクト動作とを交互に繰り返させる。具体的には、制御部99が、例えば、ローディングモータ3に対し、後述する所定のパルスの駆動電圧を与え、例えば、所定量正転させたり反転させる(SP101)。制御部99は、このような障害回復動作を実施した後、一定時間が経過するまで待ち(SP102)、第1乃至第4のスイッチ8A〜8dのうち対象のスイッチがオン状態となったことの検知を試みる(SP103)。ここでいう対象のスイッチとは、制御部99がジャム対応処理を実行すべきと判断するに至った、オン状態となるべきであったスイッチを表している。なお、このようにインサート動作が正常となったことが判明した時点が第2の時点に相当する。
【0041】
制御部99は、当該対象のスイッチがオン状態となったことを検知すると(SP103)、即ち、スロット制御機構におけるインサート動作又はイジェクト動作が正常に戻ったことが判明した場合、当該第2の時点から上記規定量にわたりスロット制御機構に復旧動作を実行させる。具体的には、制御部99は、ローディングモータ3に対し、上述した所定量分の駆動電流を与え、所定量逆転させたり正転させる(SP104)。具体的には、制御部99は、スロット制御機構のローディングモータ3に対し、上述した障害回復動作において第1の時点から与えた規定量の駆動電力に相当する分の駆動電力を、この復旧動作において第2の時点からローディングモータ3に与える。その後、制御部99は、上記第1の時点の状態に戻してからスロット制御機構にインサート動作又はイジェクト動作を実行させる。即ち、制御部99は、当該ジャム対応処理を実行する(図3における)各手順まで制御を戻し、その第1の時点の続きから各手順を実行する。このようにすると、障害回復動作を実施したことで、スイッチ8Bなどが意図しない状態になっていても、それを元の状態に戻すことができる。
【0042】
一方、制御部99は、当該対象のスイッチがオン状態となったことが検知されないと(SP103)、スロット制御機構が正常に戻っていないと判断し、ローディングモータ3に対する駆動電力の供給を停止し(SP105)、上述した光ディスク1の待ち受け状態であるディスク挿入待機状態に戻す(SP106)。
【0043】
(4)正常動作時における各スイッチのオンオフのタイミング
図5は、第1乃至第4のスイッチ8A〜8dのオンオフ状態のタイミングを示す。図示の例においては、一例としてインサート動作を表しており、上から、第1のスイッチ8A(SW1)、第2のスイッチ8B(SW2)、第3のスイッチ8C(SW3)、第4のスイッチ8D(SW4)及びローディングモータ3におけるオンオフのタイミングを表している。なお、図6乃至図9は、それぞれ、図5におけるタイミングT1,T2,T3,T4におけるスロット制御機構などの動作例を示している。
【0044】
図示のタイミングT1では、光ディスク装置100がディスク挿入待機状態となっており、光ディスク1が筐体14に挿入されることを待っている。このディスク挿入待機状態から光ディスク1が筐体に挿入されると、図6に示す状態となる。この状態は図1に示す状態にも相当する。この状態で、光ディスク1が筐体14に対して押し込まれる。
【0045】
タイミングT2においては、光ディスク1が筐体14に所定量押し込まれることにより、第2のスイッチ8Bがオフ状態からオン状態となったことが検知される。制御部99は、第2のスイッチ8Bから検知信号を受け取る。タイミングT3では、制御部99が、ローディングモータ3に対して駆動電圧の供給を開始する。
【0046】
次に、タイミングT4においては、そのようなローディングモータ3の駆動によってスロット制御機構が作動し、第1のスイッチ8Aがオフ状態からオン状態となったことを示す。この状態からさらに光ディスク1がローディングされると、図7に示すように光ディスク1は筐体14の内部に最も挿入され状態となる。この状態はタイミングT5まで継続する。このタイミングT5では、第4のスイッチ8Dがオン状態からオフ状態となる。これにより、制御部99は、第4のスイッチ8Dからの検出信号に基づいて、光ディスク1が筐体14の内部に最も進入した状態であることを把握する。
【0047】
タイミングT6では、制御部99がローディングモータ3の駆動を停止する。タイミングT7では、制御部99がローディングモータ3を逆転させるよう駆動し、タイミングT8では、第4のスイッチ8Dがオン状態となる。制御部99は、第4のスイッチ8Dから検知信号を受け取ると、光ディスク1が排出完了位置に配置していることを把握する。そして制御部99は、タイミングT9において、ローディングモータ3の駆動を停止する。この状態では、図8に示すように光ディスク1は、排出完了位置に配置している。
【0048】
次に制御部99は、タイミングT10において、ローディングモータ3を再度駆動し、タイミングT11において第4のスイッチ8Dがオフ状態となる。制御部99は、第4のスイッチ8Dから検知信号を受け取ると、タイミングT12においてローディングモータ3の駆動を停止する。この状態では、図9に示すように光ディスク1が収納完了位置に配置しているとともに、レバー13が所定の待機位置に配置している。
【0049】
(5)障害発生時における各スイッチのオンオフのタイミング
図10乃至図13は、障害発生時における各スイッチなどのオンオフのタイミングを説明するための波形図である。図10に示すように第2のスイッチ8Bがオン状態となって、制御部99が、ローディングモータ3の駆動を開始してから一定期間が経過しても、図11におけるSW1の破線で示すように、第1のスイッチ8Aがオフ状態からオン状態とならない場合、上述した障害回復動作を実行する。
【0050】
この障害回復動作においては、制御部99が、スロット制御機構が多少動作するのに必要な時間として、例えば30ms幅の最大電圧で、ローディングモータ3を正転させるためのパルス及び逆転させるためのパルスを、ローディングモータ3に対して与える(図11のローディングモータに関する波形の右側に相当)。
【0051】
これにより、正常状態に復帰した場合、図12に示すように第1のスイッチ8Aが一旦オン状態となる。この場合、制御部99は、一連のスロット制御処理をやり直すため、一旦ローディングモータ3を逆転させ、イジェクト動作を実行し、第1のスイッチ8Aをオフ状態に戻す。このように光ディスク1を排出完了位置に戻すと、制御部99は、ローディングモータ3に対し、再度、駆動電圧を与える。なお、このように一旦戻しているのは、上述した障害回復動作によって意図しないスイッチが操作されてしまうことがあり、このような状態を初期化するためである。
【0052】
一方、上記障害回復動作により正常に復帰しない場合、図13に示すように、第1のスイッチ8Aはオン状態とならない。この場合、制御部99は、上記障害回復動作において駆動した分を戻すようにローディングモータ3を駆動した後、ローディングモータ3を停止する。つまり、制御部99はスロット制御機構の動作を全て停止する。なお、以上の説明では、一例としてインサート動作を挙げて説明したが、各手順の順序がインサート動作とは逆となる点を除き、イジェクト動作もほぼ同様の手順により実現することができる。
【0053】
(6)本実施の形態の効果等
以上説明したように、上記実施の形態における光ディスク装置100では、制御部99は、検出部としての各スイッチ8Aなどによる検出結果に基づいて、スロット制御機構におけるインサート動作又はイジェクト動作に異常が生じていることが判明した場合、その判明した第1の時点において、スロット制御機構に、規定量にわたりインサート動作とイジェクト動作とを交互に繰り返す障害回復動作を実行させる。その後、制御部99は、各スイッチ8Aなどによる検出結果に基づいて、スロット制御機構におけるインサート動作又はイジェクト動作が正常に戻ったことが判明した場合、当該判明した第2の時点から上記規定量にわたりスロット制御機構に復旧動作を実行させて上記第1の時点の状態に戻してから、スロット制御機構にインサート動作又はイジェクト動作を再度実行させる。
【0054】
このような構成によれば、軽微な障害が発生しても容易に、その障害から回復することができるとともに、確実なインサート動作及びイジェクト動作の少なくとも一方を確保することができる。しかも、光ディスク装置100は、スロット制御機構に障害が発生していることが判明した第1の時点に戻って、その第1の時点の状態に戻してからスロット制御機構を駆動することができるため、意図しない状態からスロット制御機構の動作を再開する必要がなくなる。
【0055】
また、本実施の形態では、制御部99が、スロット制御機構のローディングモータ3に対し、障害回復動作において第1の時点から与えた規定量の駆動電力に相当する分の駆動電力を、復旧動作において第2の時点からローディングモータ3に与える。このようにすると、障害回復動作を実施したことで、スイッチ8Bなどが意図しない状態になっていても、それを元の状態に戻しておくことができる。
【0056】
また、本実施の形態では、スロット制御機構は、インサート動作又は前記イジェクト動作に伴う光ディスク1の移動方向に沿って延びる第1の部材5と、ローディングモータ3の駆動力を、第1の部材5の一端から移動方向L1,L2に沿って作用させることにより、第1の部材5の他端に伝達する伝達機構4と、第1の軸7Aを中心として回転するレバー状の部材であってそのレバー状の部材の一端が第1の部材7の他端に第1の関節6を介して結合されておりレバー状の部材の一端に掛けられた力を第1の軸7A周りにレバー状の部材の他端に伝達する第1のレバー部材7と、第2の軸10を中心として回転するレバー状の部材であってそのレバー状の部材の一端が第2のレバー部材9の他端に第2の関節10を介して結合されており、そのレバー状の部材の一端に掛けられた力を第2の軸10周りにそのレバー状の部材の他端に伝達する第2のレバー部材9と、第2のレバー部材9の他端に対して第3の関節を介して結合されているとともに移動方向L1,L2に沿って移動する第2の部材12と、第2の部材12に接触しており、第2の部材12の移動に伴って回転することにより先端が光ディスク1を移動方向L1,L2に沿って移動させるレバー13とを備えている。
【0057】
このような構成によれば、光ディスク装置100は、スロット制御機構がこのような構成であっても、確実なインサート動作又はイジェクト動作を確保することができる。
【0058】
また、本実施の形態では、第2のスイッチ8Bは、第1のレバー部材7における第1の軸7Aの周りに配置しており、第1のレバー部材7の回転に伴って第1のレバー部材7の一部が接触するか否かに応じてオン状態又はオフ状態となるスイッチである。
【0059】
また、本実施の形態では、制御部99は、上記障害回復動作の実施後、スイッチ8Aなどによる検出結果に基づいて、スロット制御機構が正常に戻っていないと判断し、ローディングモータ3に対する駆動電力の供給を停止し、光ディスク1の待ち受け状態であるディスク挿入待機状態に戻している。
【0060】
(7)その他の実施形態
上記実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。例えば、上記実施形態では、各種プログラムの処理をシーケンシャルに説明したが、特にこれにこだわるものではない。従って、処理結果に矛盾が生じない限り、処理の順序を入れ替え又は並行動作するように構成しても良い。なお、上述した実施の形態は、主としてインサート動作に適用した場合について言及しているが、手順の順序が逆である点を除き、イジェクト動作もほぼ同様に適用することもできる。
【符号の説明】
【0061】
3……ローディングモータ、4……伝達機構、5……第1の部材、6……第1の関節、7……第1のレバー部材、7A……第1の軸、8A〜8d……スイッチ、9……第2のレバー部材、9A……第2の軸、10……第2の関節、11……第3の関節、12……第2の部材、13……レバー、14……筐体、99……制御部、100……光ディスク装置、SP100……ジャム対応処理。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクのデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を行う光ディスク装置であって、
筐体と、
前記筐体の外部から前記光ディスクを前記筐体の内部に収納するインサート動作を実行したり、前記筐体内に収納された前記光ディスクを前記筐体の外側に排出するイジェクト動作を実行するスロット制御機構と、
前記スロット制御機構における前記インサート動作及び前記イジェクト動作の状態を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に応じて、前記スロット制御機構における前記インサート動作及び前記イジェクト動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記検出部による検出結果に基づいて、前記スロット制御機構における前記インサート動作又は前記イジェクト動作に異常が生じていることが判明した場合、当該判明した第1の時点において、前記スロット制御機構に、規定量にわたり前記インサート動作と前記イジェクト動作とを交互に繰り返す障害回復動作を実行させた後、
前記検出部による検出結果に基づいて、前記スロット制御機構における前記インサート動作又は前記イジェクト動作が正常に戻ったことが判明した場合、当該判明した第2の時点から前記規定量にわたり前記スロット制御機構に復旧動作を実行させて前記第1の時点の状態に戻してから、前記スロット制御機構に前記インサート動作又は前記イジェクト動作を再度実行させる
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記スロット制御機構のローディングモータに対し、前記障害回復動作において前記第1の時点から与えた前記規定量の駆動電力に相当する分の駆動電力を、前記復旧動作において前記第2の時点から前記ローディングモータに与える
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記スロット制御機構は、
前記インサート動作又は前記イジェクト動作に伴う前記光ディスクの移動方向に沿って延びる第1の部材と、
前記ローディングモータの駆動力を、前記第1の部材の一端から前記移動方向に沿って作用させることにより、前記第1の部材の他端に伝達する伝達機構と、
第1の軸を中心として回転するレバー状の部材であって、前記レバー状の部材の一端が前記第1の部材の他端に第1の関節を介して結合されており、前記レバー状の部材の一端に掛けられた力を前記第1の軸周りに前記レバー状の部材の他端に伝達する第1のレバー部材と、
第2の軸を中心として回転するレバー状の部材であって、前記レバー状の部材の一端が前記第2のレバー部材の他端に第2の関節を介して結合されており、前記レバー状の部材の一端に掛けられた力を前記第2の軸周りに前記レバー状の部材の他端に伝達する第2のレバー部材と、
前記第2のレバー部材の他端に対して第3の関節を介して結合されているとともに、前記移動方向に沿って移動する第2の部材と、
前記第2の部材に接触しており、前記第2の部材の移動に伴って回転することにより先端が前記光ディスクを前記移動方向に沿って移動させるレバーとを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記検出部は、
前記第1のレバー部材における前記第1の軸の周りに配置しており、前記第1のレバー部材の回転に伴って前記第1のレバー部材の一部が接触するか否かに応じてオン状態又はオフ状態となるスイッチである
ことを特徴とする請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記障害回復動作の実施後、前記検出部による検出結果に基づいて、前記スロット制御機構が正常に戻っていないと判断し、前記ローディングモータに対する駆動電力の供給を停止し、前記光ディスクの待ち受け状態であるディスク挿入待機状態に戻す
ことを特徴とする請求項3に記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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