説明

光ディスク装置

【課題】光ディスクの表面に傷が形成された場合に、容易かつ迅速に再生不能状態を解消できる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】光ディスク装置1において、光ディスクDのデータ記録面を研磨する研磨部50と、光ピックアップ31がデータ記録面を読取る位置での読取りエラーを検出する光ピックアップ部30と、光ピックアップ部30によりデータ記録面の一部に読取りエラーが検出された場合に、研磨部50に、光ピックアップ部30により読取りエラーが検出されなくなるまで、データ記録面を所定厚さ繰り返し研磨させる機能をCPUに実行させる研磨制御プログラムと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD,DVD等の光ディスクを再生する光ディスク装置では、光ディスク表面に傷が形成された場合や埃が付着している場合に再生不能となる場合がある。
【0003】
そのため、これらの光ディスク装置の再生不能状態を解消するために、光ディスク表面を研磨剤で研磨する、或いは埃を掻き出す等の処置が必要となる。ところが、従来のこれらの処置は、光ディスクを光ディスク装置より取り出した上で、専用の研磨装置やクリーニング装置で行われていたため、当該処置に手間や時間が掛かっていた。
特に、光ディスクの表面に傷が形成された場合は、その傷の深さに応じて研磨すべき量が相違するため、光ディスク装置からの取り出し、研磨処理、光ディスク装置での再生状態の確認、という一連の作業を再生可能となるまで繰り返して行う必要があるため、非常に手間と時間の掛かるものとなっていた。
【0004】
そこで、光ディスク装置に光ディスクの清掃用デバイスを設け、当該清掃用デバイスを光ディスクの信号面に接触させ、光ディスクの回転にあわせて清掃用デバイスを光ディスクの半径方向に移動させることで光ディスクを清掃するものが知られている(例えば、特許文献1〜2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−272966号公報
【特許文献2】特開平10−124983号公報
【0006】
上記特許文献1〜2に記載の発明によると、光ディスク装置自体に清掃用デバイスが設けられているため、光ディスクの表面に埃が付着している場合でも、光ディスクを取り出すことなく清掃処理を行うことが出来る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1〜2に記載の発明によっても、光ディスクの表面に傷が形成された場合の、再生不能状態を解消するために要する手間と時間は縮減されていない。
【0008】
本発明の課題は、光ディスクの表面に傷が形成された場合に、容易かつ迅速に再生不能状態を解消できる光ディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、載置部に載置された光ディスクが軸回りに回転する際に、光ピックアップが前記光ディスクの径方向に移動して前記光ディスクのデータ記録面を所定範囲ずつ対物レンズを介して読取り、読取った映像及び/又は音声データに基づいて映像及び/又は音声の再生処理を行う光ディスク装置において、前記光ディスクのデータ記録面を研磨する研磨手段と、前記光ピックアップが前記データ記録面を読取る位置での読取りエラーを検出する読取りエラー検出手段と、前記読取りエラー検出手段により前記データ記録面の一部に読取りエラーが検出された場合に、前記研磨手段に、前記読取りエラー検出手段により読取りエラーが検出されなくなるまで、前記データ記録面を所定厚さ繰り返し研磨させる研磨制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光ディスク装置において、前記研磨手段は、前記光ピックアップと前記光ディスクの軸中心を挟んで反対側の位置で、前記光ディスクのデータ記録面に対向して設けられ、当接した状態で前記光ディスクを研磨する研磨部材と、前記研磨部材を前記光ディスクの径方向及び軸方向に駆動する研磨部材駆動部と、を有し、前記研磨制御手段は、前記研磨部材駆動部により、前記研磨部材を前記光ディスクの軸方向に駆動して前記光ディスクに当接させ、前記光ディスクが軸回りに回転する際に前記光ディスクの径方向に駆動させることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光ディスク装置において、前記研磨手段により前記データ記録面を研磨する際に生ずる研磨粉を吸込む研磨粉吸込手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の光ディスク装置において、前記光ピックアップを清掃する光ピックアップ清掃手段と、前記読取りエラー検出手段により前記データ記録面の全面に亘って読取りエラーが検出された場合に、前記光ピックアップ清掃手段に前記光ピックアップを清掃させる清掃制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の光ディスク装置において、前記光ピックアップ清掃手段は、前記光ディスクを挟んで、前記光ピックアップの対物レンズと対向して設けられたモップ部材と、前記モップ部材を軸回りに回転させる回転駆動部と、前記モップ部材を前記光ディスクの軸方向に駆動する軸方向駆動部と、を有し、前記清掃制御手段は、前記光ディスクが前記載置部に載置されているか否かを判断する判断手段を有し、前記判断手段により載置されていないと判断された場合に、前記軸方向駆動部により前記モップ部材を前記光ディスクの軸方向に移動させて前記対物レンズに当接させるとともに、前記回転駆動部により前記モップ部材を前記光ディスクの軸回りに回転させることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の光ディスク装置において、前記研磨制御手段により研磨する際に、前記光ピックアップの対物レンズのレンズ面を覆うレンズ保護部を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、載置部に載置された光ディスクが軸回りに回転する際に、光ピックアップが前記光ディスクの径方向に移動して前記光ディスクのデータ記録面を所定範囲ずつ対物レンズを介して読取り、読取った映像及び/又は音声データに基づいて映像及び/又は音声の再生処理を行う光ディスク装置において、前記光ディスクのデータ記録面を研磨する研磨手段と、前記光ピックアップが前記データ記録面を読取る位置での読取りエラーを検出する読取りエラー検出手段と、前記読取りエラー検出手段により前記データ記録面の一部に読取りエラーが検出された場合に、前記研磨手段に、前記読取りエラー検出手段により読取りエラーが検出されなくなるまで、前記データ記録面を所定厚さ繰り返し研磨させる研磨制御手段と、前記研磨手段により前記データ記録面を研磨する際に生ずる研磨粉を吸込む研磨粉吸込手段と、を備え、前記研磨手段は、前記光ピックアップと前記光ディスクの軸中心を挟んで反対側の位置で、前記光ディスクのデータ記録面に対向して設けられ、当接した状態で前記光ディスクを研磨する研磨部材と、前記研磨部材を前記光ディスクの径方向及び軸方向に駆動する研磨部材駆動部と、を有し、前記研磨制御手段は、前記研磨部材駆動部により、前記研磨部材を前記光ディスクの軸方向に駆動して前記光ディスクに当接させ、前記光ディスクが軸回りに回転する際に前記光ディスクの径方向に駆動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光ディスク装置に研磨手段と読取りエラー検出手段とが備えられ、研磨制御手段により、読取りエラー検出手段でデータ記録面の一部に読取りエラーが検出された場合、光ディスクの表面に傷が形成されているものとして、研磨手段で読取りエラーが検出されなくなるまでデータ記録面を所定厚さ繰り返し研磨するように構成されている。
したがって、光ディスク装置自体に研磨手段が備えられているので、光ディスクの表面に傷が形成された場合に、光ディスクを光ディスク装置より取り出して専用装置で研磨する手間や時間が省かれる。さらに、研磨制御手段により、読取りエラーが検出されなくなるまで所定厚さ繰り返し研磨されるので、光ディスク装置からの取り出し、研磨処理、光ディスク装置での再生状態の確認、という一連の作業を再生可能となるまで繰り返して行う必要もない。
よって、本発明は、光ディスクの表面に傷が形成された場合に、容易かつ迅速に再生不能状態を解消できる光ディスク装置であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る光ディスク装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る光ディスク装置のディスク載置部を上面視した状態を示す模式図である。
【図3】本発明に係る光ディスク装置の制御構造を例示するブロック図である。
【図4】本発明に係る光ディスク装置による再生不能状態解消処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明に係る光ディスク装置に蓋部材を設けた状態の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図3を参照しながら説明する。なお、発明の範囲は図示例に限定されない。
また、以下の説明では、図1における光ディスク装置の前後方向をX軸方向(光ディスクの径方向)、左右方向をY軸方向、XY方向に直交する方向をZ軸方向(光ディスクの軸方向)とし、Z軸回りの回転方向をr方向(光ディスクの回転方向)とする。
【0019】
本実施形態の光ディスク装置1は、例えば、CD,DVD,BD等の光ディスクから読取った映像/音声データに基づいて映像/音声の再生処理を行う光ディスクプレーヤであり、図1、3に示すように、光ディスク装置1の筐体部分である筐体2と、データ記録面を下向きにした状態の光ディスクDを上面に載置するディスク載置部10(載置部)と、ディスク載置部10に載置された光ディスクDをr方向に回転させるためのディスク回転部20と、光ディスクDのデータ記録面から映像/音声データを読取るための光ピックアップ部30(読取りエラー検出手段)と、光ディスクDのデータ記録面を研磨するための研磨部40(研磨手段)と、光ピックアップ部30を清掃するための清掃部50(光ピックアップ清掃手段)と、光ピックアップ部30にて読取られた映像/音声データに所定のデコード処理を施すデコーダ70と、デコーダ70より出力される映像/音声データを表示装置等に出力するためのインターフェース部80と、上記各部を統括制御する制御部100と、等を含んで構成される。
【0020】
ディスク載置部10は、例えば、光ディスクDを上面に載置するための部材であり、筐体2のY軸方向両端部に設置されるガイドレール(図示省略)に沿ってX軸方向に進退移動(光ディスク装置1の内部/外部間を移動)することで、光ディスクDの載置/取り外しを可能にする。また、ディスク載置部10には、図2に示すように、ディスク駆動部20のディスク回転軸21をZ軸方向に貫通させるための軸孔11と、下方に配置される光ピックアップ31がX軸方向に移動して光ディスクDのデータ記録面を読取るための読取孔12と、下方に配置される研磨部材41がX軸方向に移動して光ディスクDのデータ記録面を研磨するための研磨孔13と、の3つの孔が形成されている。
【0021】
ディスク回転部20は、例えば、ディスク回転軸21と、回転軸駆動部22と、を含んで構成され、ディスク載置部10に載置される光ディスクDをr方向に回転させる。
ディスク回転軸21は、例えば、ディスク載置部10の軸孔11を貫通する軸であり、光ディスクDの中心部に形成された穴と嵌合し、当該嵌合した状態でr方向に回転することで、光ディスクDを軸回りに回転させる。
回転軸駆動部22は、例えば、制御部100より出力される駆動信号に基づいて所定の回転速度でr方向に回転するスピンドルモータであり、ディスク回転軸21と接続され、r方向にディスク回転軸21(及び光ディスクD)を回転駆動させる。
【0022】
光ピックアップ部30は、例えば、光ピックアップ31と、光ピックアップ駆動部32と、を含んで構成される。
【0023】
光ピックアップ31は、例えば、対物レンズ31aと、対物レンズ保護部31b(レンズ保護部)と、を含んで構成され、光ディスクDのデータ記録面の所定範囲に照射されたレーザ光を光検出器(図示省略)で検出することで、データ記録面に記録された映像/音声データを所定範囲ずつ読取る。そして、当該検出信号(電気信号)が後述のデコーダ70や制御部100に出力されて所定の処理が行われることにより、データ記録面に記録された映像/音声データに基づく再生処理が実行される。
対物レンズ31aは、レーザ光源(図示省略)より照射されるレーザ光を光ディスクDのデータ記録面のデータ読取位置(所定範囲)に集光する。
対物レンズ保護部31bは、対物レンズ31aの上方に配置された状態で、対物レンズ31aのレンズ面を覆う遮蔽板(図示省略)や当該遮蔽板をX方向又はY方向に直線移動させるソレノイド(図示省略)等で構成され、ソレノイドへの電流の付与の有無により、遮蔽板が対物レンズ31aのレンズ面を覆った状態と、対物レンズ31aから離間した状態と、を切替る。そして、遮蔽板が対物レンズ31aのレンズ面を覆った状態で、光ディスクDを研磨する際に発生する研磨粉がレンズ面に付着することを防ぐことができる。
【0024】
光ピックアップ駆動部32は、例えば、スピンドルモータ等の直線駆動用のアクチュエータで構成されており、光ピックアップ31をX軸方向(光ディスクの径方向)に直線移動させる。
【0025】
つまり、光ピックアップ部30は、回転軸駆動部22がディスク回転軸21をr方向に回転させるとともに、光ピックアップ駆動部32が光ピックアップ31をX軸方向に移動させることで、光ディスクDのデータ記録面の各位置を所定範囲ずつ読取ることができる。ここで、光ピックアップ部30は、上記データ記録面の読取りを行う範囲に傷が形成されている場合や、対物レンズ31aに埃が付着している場合等においては、検出信号として、トラッキングエラー信号やフォーカシングエラー信号等の読取りエラーの信号を制御部100に出力する。
【0026】
研磨部40は、例えば、研磨部材41と、研磨部材駆動部42と、吸引部43(研磨粉吸込手段)と、を含んで構成され、光ディスクDのデータ記録面を研磨する。
【0027】
研磨部材41は、光ディスクDのデータ記録面に対向して設けられ、例えば、フェルトや木綿糸等の部材に、液体状や粉体状のコンパウンド等の研磨剤を含浸させて形成したものであり、光ディスクDのデータ記録面に当接した状態で摺動させて研磨する。
研磨部材駆動部42は、例えば、Z軸方向及びX軸方向に可動する二体の可動プレートで形成されるステージ上に研磨部材41を載置したステージ装置等であり、当該可動プレートをX軸方向及びZ軸方向に直線駆動させるスピンドルモータ等が2基組み合わされて構成される。
そして、研磨部材駆動部42は、研磨部材41をZ軸方向上端まで移動させた状態で、研磨部材41を光ディスクDのデータ記録面に当接させ、当該当接した状態で、X軸方向に研磨部材41が直線移動可能に構成されている。
つまり、研磨部材駆動部42により研磨部材41を光ディスクDのデータ記録面に当接させた後に、光ディスクDをディスク回転部20によりr方向に回転させるとともに、X軸方向に研磨部材41を直線駆動させることにより、光ディスクDのデータ記録面を満遍なく研磨することができる。
なお、研磨部材41は、研磨部材駆動部42により駆動した際に、光ピックアップ31と接触することがないように、光ピックアップ31と光ディスクDの軸中心を挟んで反対側の位置に設けられている。
【0028】
吸引部43は、研磨部材41にて研磨する際に生ずる研磨粉を、ノズル44を介して吸引し、吸引した研磨粉を貯蔵し、外部への取り出しが可能な貯蔵部45に貯蔵する。そして、この吸引部43は、研磨部材41とともに研磨部材駆動部42に接続されており、研磨部材41が光ディスクDのデータ記録面をX軸方向に移動して研磨する際に、研磨部材41に同期してX軸方向に移動し、研磨粉を吸引する。
【0029】
清掃部50は、例えば、モップ部材51と、モップ部材駆動部52(回転駆動部、軸方向駆動部)と、を含んで構成される。
モップ部材51は、光ディスクDを挟んで、光ピックアップ31の対物レンズ31aと対向して設けられ、柄の先端が箒状に形成されたモップであり、対物レンズ31aに当接した状態で回転することにより、対物レンズ31aの表面に付着した埃や塵を拭取ることが出来る。
モップ部材駆動部52は、例えば、リニアモータと回転モータとを組み合わせることで、直線駆動と回転駆動を両立させた2軸複合モータであり、モップ部材51と接続され、モップ部材51をZ軸方向に直線駆動させるとともにr方向に回転させる。
つまり、光ディスクDがディスク載置部10に載置されていない状態で、モップ部材駆動部52がモップ部材51をZ軸方向に駆動し、読取孔12を通過して対物レンズ31aに当接させ、当接した状態でモップ部材51をr方向に回転させることで対物レンズ31aを清掃することができる。
【0030】
ディスク検出センサ60は、ディスク載置部10(光ディスクD)の下方に配置され、ディスク載置部10に向けて光を出射し、当該出射した光の反射光の光量を検出するセンサである。つまり、ディスク検出センサ60にて検出された反射光の光量に関する信号が制御部100に出力されることで、制御部100は、光ディスクDがディスク載置部10に載置されているか否かを判断することができる。
【0031】
デコーダ部70は、光ピックアップ部30より検出される検出信号に基づいて、光ディスクDより読取られたデータを映像データと音声データに分離し、各々のデータに対してデコード処理を施してインターフェース部80に出力する。
【0032】
インターフェース部80は、デコーダ部70から入力される映像データや音声データに対して各種の出力インターフェース処理を施し、所定のケーブルを介して接続されるテレビジョン受像機等の表示装置に適合したデータに変換する。そして、インターフェース部80が当該変換したデータを表示装置に出力することで、光ピックアップ部30にて読取られた映像/音声データに基づく映像/音声の再生処理がなされる。
【0033】
制御部100は、CPU110と、記憶部120と、RAMを含んで構成され、光ディスク装置1に備えられる各構成を統括制御する。
【0034】
CPU110は、例えば、光ディスク装置1の各部から入力される入力信号に応じて、記憶部120に格納された各種プログラムを実行するとともに、実行にかかるプログラムに基づいて各部に出力信号を出力することにより、光ディスク装置1の動作全般を統括制御する。
また、CPU110は、ディスク回転部20のディスク駆動部22,光ピックアップ部30の光ピックアップ駆動部32,研磨部40の研磨部材駆動部42,清掃部50のモップ部材駆動部52の駆動信号を生成して、各々の駆動部に当該駆動信号を出力することにより、ディスク回転軸21,光ピックアップ31,研磨部材41,清掃部材51を駆動させる。
【0035】
記憶部120は、例えば、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等で構成され、CPU110が実行するプログラムを格納したエリアや当該プログラムの実行に必要な各種データを格納するエリアを備え、例えば、読取りプログラム120aと、研磨制御プログラム120b(研磨制御手段)と、清掃制御プログラム120c(清掃制御手段、判断手段)と、等を含んでいる。
【0036】
読取りプログラム120aは、光ディスクDのデータ記録面を光ピックアップ31により読取る機能をCPU110に実行させるプログラムである。
具体的には、CPU110が、読取りプログラム120aを実行すると、回転軸駆動部22及び光ピックアップ駆動部32の駆動信号を生成して各々の駆動部に出力し、ディスク回転軸21及び光ピックアップ31を駆動させることで、光ディスクDのデータ記録面を所定範囲ずつ読取る。
【0037】
研磨制御プログラム120bは、光ピックアップ部30により光ディスクDのデータ記録面の一部に読取りエラーが検出された場合に、研磨部材41に、光ピックアップ部30により読取りエラーが検出されなくなるまで、データ記録面を所定厚さ繰り返し研磨させる機能をCPU110に実行させるプログラムである。
具体的には、CPU110が読取プログラム120aを実行し、光ディスクDのデータ記録面を読取る際に、光ピックアップ部30からデータ記録面のある一定の範囲について読取りエラー信号が出力された場合、データ記録面に傷が形成されていると判断し、研磨制御プログラム120bを実行する。そして、CPU110は、研磨部材駆動部42に駆動信号を出力して、研磨部材41によりデータ記録面を予め設定された厚さ分研磨させる。次いで、CPU110は、読取りプログラム120aを実行して、研磨処理後のデータ記録面について、光ピックアップ部30から読取りエラー信号が出力されるか否かを確認する。そして、CPU110は、読取りエラー信号の出力を確認した場合、上記設定された厚さ分の研磨処理及び読取りエラー信号の出力の有無の確認処理を、読取りエラー信号が出力されなくなるまで繰り返し実行する。
ここで、データ記録面を一度に研磨する厚さは、リモートコントローラ(図示省略)等を介してユーザが指定できるものであってもよい。
なお、CPU110は、上記研磨処理を実行する場合、対物レンズ保護部31bに所定の電流信号を出力し、遮蔽板が対物レンズ31aのレンズ面を覆った状態に切替え、研磨処理実行時に研磨粉がレンズ面に付着しないようにして対物レンズ31aを保護する。
【0038】
清掃制御プログラム120cは、光ピックアップ部30により光ディスクDのデータ記録面の全面に亘って読取りエラーが検出された場合に、清掃部50に光ピックアップ31を清掃させる機能をCPU120に実行させるプログラムである。
具体的には、CPU110が読取プログラム120aを実行し、光ディスクDのデータ記録面を読取る際に、光ピックアップ部30からデータ記録面の全面に亘って読取りエラー信号が出力された場合、CPU110は光ピックアップ31の対物レンズ31aに埃等が付着していると判断し、清掃制御プログラム120cを実行する。そして、CPU110は、ディスク検出センサ60より検出される光量に基づいて光ディスクDがディスク載置部10に載置されているか否かを判断する。そして、CPU110は光ディスクDが載置されていないと判断すると、モップ部材駆動部52によりモップ部材51をZ軸方向に移動させて対物レンズ31aに当接させ、モップ部材51をr方向に回転させて光ピックアップ31の清掃処理を行う。
【0039】
(再生不能状態解消処理)
次に、本実施形態に係る光ディスク装置1により実施される光ディスクDの再生不能状態解消処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0040】
まず、CPU110は、読取りプログラム120aを実行し、光ディスクDのデータ記録面を光ピックアップ31により読取る(ステップS1)。
次いで、CPU110は、ステップS1にて光ディスクDのデータ記録面を読取る際に、光ピックアップ部30から読取りエラーが検出されたか否か(読取りエラーの信号が出力されたか否か)を判断する(ステップS2)。
【0041】
そして、CPU110は、ステップS2にて読取りエラーが検出されていないと判断した場合(ステップS2;No)、再生不能状態ではないため本処理を終了する。
【0042】
一方で、CPU110は、ステップS2にて読取りエラーが検出されたと判断した場合(ステップS2;Yes)、当該読取エラーが光ディスクDのデータ記録面の全面に亘るものか否かを判断する(ステップS3)。
【0043】
そして、CPU110は、ステップS3にてデータ記録面の全面であると判断した場合(ステップS3;Yes)、清掃制御プログラム120cを実行する(ステップS4)。
次いで、CPU110は、ディスク検出センサ60より検出される光量に基づいて光ディスクDがディスク載置部10に載置されているか否かを判断する(ステップS5)。
【0044】
そして、CPU110は、ステップS5にて光ディスクDがディスク載置部10に載置されていると判断した場合(ステップS5;Yes)、光ディスク装置1に備えられる表示パネル(図示省略)や、インターフェース部80に接続される表示装置の表示画面(図示省略)等を介して、光ディスクDをディスク載置部10から取り外すことをユーザに要求し(ステップS6)、ステップS5以降の処理を繰り返す。
一方で、CPU110は、ステップS5にて光ディスクDがディスク載置部10に載置されていないと判断した場合(ステップS5;No)、モップ部材駆動部52によりモップ部材51を対物レンズ31aに当接させ、モップ部材51をr方向に回転させて光ピックアップ31の清掃処理を行う(ステップS7)。
【0045】
次いで、CPU110は、ステップS3にてデータ記録面の全面ではないと判断した場合(ステップS3;No)、研磨制御プログラム120bを実行する(ステップS8)。
【0046】
次いで、CPU110は、対物レンズ保護部31bに所定の電流信号を出力し、遮蔽板が対物レンズ31aのレンズ面を覆った状態に切替えて対物レンズ31aを保護する(ステップS9)。
次いで、CPU110は、研磨部材駆動部42に駆動信号を出力して、研磨部材41によりデータ記録面の所定厚さを研磨させ(ステップS10)、研磨処理が終了するとステップS1以降の処理を繰り返す。なお、CPU110は、研磨処理を行う際、吸引部43に駆動信号を出力して、研磨処理により発生する研磨粉を吸引する。
【0047】
以上により、本実施形態に係る光ディスク装置1は、光ディスクDのデータ記録面を研磨する研磨部50と、光ピックアップ31がデータ記録面を読取る位置での読取りエラーを検出する光ピックアップ部30と、光ピックアップ部30によりデータ記録面の一部に読取りエラーが検出された場合に、研磨部50に、光ピックアップ部30により読取りエラーが検出されなくなるまで、データ記録面を所定厚さ繰り返し研磨させる機能をCPU110に実行させる研磨制御プログラム120bと、を備える。
【0048】
つまり、光ディスク装置1によると、光ディスク装置1自体に光ディスクDを研磨するための研磨部50が備えられているので、光ディスクDの表面に傷が形成された場合に、光ディスクDを光ディスク装置1より取り出して専用装置で研磨する手間や時間が省かれる。さらに、CPU110が研磨制御プログラム120bを実行することにより、読取りエラーが検出されなくなるまで所定厚さ繰り返し研磨されるので、光ディスク装置1からの取り出し、研磨処理、光ディスク装置1での再生状態の確認、という一連の作業を再生可能となるまで繰り返して行う必要もない。
よって、本発明は、光ディスクの表面に傷が形成された場合に、容易かつ迅速に再生不能状態を解消できる光ディスク装置であるといえる。
【0049】
また、研磨部50は、光ピックアップ31と光ディスクDの軸中心を挟んで反対側の位置で、光ディスクDのデータ記録面に対向して設けられ、当接した状態で光ディスクDを研磨する研磨部材51と、研磨部材51を光ディスクDの径方向(X軸方向)及び軸方向(Z軸方向)に駆動する研磨部材駆動部52と、を有し、研磨制御プログラム120bは、研磨部材駆動部52により、研磨部材51を光ディスクDの軸方向に駆動して光ディスクDに当接させ、光ディスクDが軸回りに回転する際に光ディスクDの径方向に駆動する機能をCPU110に実行させる。
【0050】
つまり、CPU110が研磨制御プログラム120bを実行して研磨処理を行う場合にのみ、研磨部材51がZ軸方向に移動して光ディスクDのデータ記録面に当接するように構成されているため、映像/音声の再生処理を行う際等に、研磨部材51が光ディスクDに接触してデータ記録面を損傷させるような事態を防止することが出来る。
【0051】
また、光ディスク装置1は、研磨部50によりデータ記録面を研磨する際に生ずる研磨粉を吸込む吸引部43を備える。
【0052】
つまり、研磨粉を吸引部43にて吸込む構成を備えておくことで、研磨粉がデータ記録面に付着した結果、光ピックアップ部30より読取りエラーが検出される等の事態を未然に回避することができる。
【0053】
また、光ディスク装置1は、光ピックアップ31を清掃する清掃部50と、光ピックアップ31によりデータ記録面の全面に亘って読取りエラーが検出された場合に、清掃部50に光ピックアップ31を清掃させる機能をCPU110に実行させる清掃制御プログラム120cと、を備える。
【0054】
つまり、光ピックアップ31によりデータ記録面の全面に亘って読取りエラーが検出された場合、光ディスクDのデータ記録面に傷が形成されている可能性よりも、光ピックアップ31に埃等が付着していて、光ピックアップ31自体が読取り動作を行うことができない状態にある可能性が高いため、清掃部50に光ピックアップ31を清掃させることで再生不能状態を解消できる場合がある。
【0055】
また、清掃部50は、光ディスクDを挟んで、光ピックアップ31の対物レンズ31aと対向して設けられたモップ部材51と、モップ部材51をr方向に回転させるとともに、Z軸方向に直線駆動するモップ部材駆動部52と、を有し、清掃制御プログラム120cは、光ディスクDがディスク載置部10に載置されているか否かを判断する判断し、載置されていないと判断された場合に、モップ部材駆動部52によりモップ部材51をZ軸方向に移動させて対物レンズ31aに当接させるとともに、r方向に回転させる機能をCPU110に実行させる。
【0056】
つまり、事前に光ディスクDがディスク載置部10に載置されていないことを確認した上で、モップ部材51を対物レンズ31aに当接するように移動させて清掃するように構成されているので、モップ部材51が光ディスクDの裏面(データ記録面の反対側の表面)に接触して、光ディスクDを損傷させるような事態を回避することが出来る。
【0057】
また、CPU110が研磨制御プログラム120cを実行して光ディスクDを研磨する際に、光ピックアップ31の対物レンズ31aのレンズ面を覆う対物レンズ保護部31bを備える。
【0058】
つまり、光ディスクDを研磨する際に、対物レンズ保護部31bが対物レンズ31aのレンズ面を覆うことで、研磨粉が対物レンズ31aのレンズ面に付着しないように保護することが可能となる。
【0059】
なお、本発明の範囲は上記実施形態に限られることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上述の実施形態では、光ピックアップ部30より読取エラーが検出された場合、CPU110が研磨制御プログラム120b又は清掃制御プログラム120cの何れかを選択して実行するように構成されているが、読取エラーが検出された際に、光ディスク装置1に備えられる表示パネルや、インターフェース部80に接続される表示装置の表示画面等を介して、読取エラーが検出された旨をユーザに報知し、光ディスクDの研磨処理を行うか又は光ピックアップ31の清掃処理を行うか、をリモートコントローラ(図示省略)等でユーザが選択決定できるように構成しても勿論良い。つまり、ユーザが光ディスクDのデータ記録面やピックアップ31の状態を目視により確認できるので、一層迅速に光ディスクDの再生不能状態を解消できる場合がある。
また、上述の実施形態では、ノズル44を介して吸引した研磨粉を貯蔵する貯蔵部45を筐体2の内部に設けているが、貯蔵部45を筐体2の外部周面等に設置し、研磨粉が内部に貯蔵されないように構成しても良い。
また、例えば、図5に示すように、ディスク回転軸21の上方に設けられ、ディスク回転軸21の上面部に着脱自在な蓋部材71と、CPU110の研磨制御プログラム120bの実行による研磨処理を行う際に、当該蓋部材71を下方に向けて移動させてディスク回転軸21の上面部に装着させ、ディスク回転軸21の回転に応じてr方向に回転させるスピンドルモータ等で構成される蓋部材駆動部72と、を備えてもよい。つまり、当該蓋部材71がディスク回転軸21に装着されることで、研磨処理の際に光ディスクDがディスク載置部10に押さえつけられて光ディスクDの上下方向への振動を抑えることができるので、精確な研磨処理が実現できる。
【符号の説明】
【0060】
1 光ディスク装置
10 ディスク載置部(載置部)
20 ディスク回転部
30 光ピックアップ部(読取りエラー検出手段)
31 光ピックアップ
31a 対物レンズ
31b 対物レンズ保護部(レンズ保護部)
40 研磨部(研磨手段)
41 研磨部材
42 研磨部材駆動部
43 吸引部(研磨粉吸込手段)
50 清掃部(光ピックアップ清掃手段)
51 モップ部材
52 モップ部材駆動部(回転駆動部、軸方向駆動部)
100 制御部
110 CPU(研磨制御手段、清掃制御手段、判断手段)
120 記憶部
120b 研磨制御プログラム(研磨制御手段)
120c 清掃制御プログラム(清掃制御手段、判断手段)
D 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置部に載置された光ディスクが軸回りに回転する際に、光ピックアップが前記光ディスクの径方向に移動して前記光ディスクのデータ記録面を所定範囲ずつ対物レンズを介して読取り、読取った映像及び/又は音声データに基づいて映像及び/又は音声の再生処理を行う光ディスク装置において、
前記光ディスクのデータ記録面を研磨する研磨手段と、
前記光ピックアップが前記データ記録面を読取る位置での読取りエラーを検出する読取りエラー検出手段と、
前記読取りエラー検出手段により前記データ記録面の一部に読取りエラーが検出された場合に、前記研磨手段に、前記読取りエラー検出手段により読取りエラーが検出されなくなるまで、前記データ記録面を所定厚さ繰り返し研磨させる研磨制御手段と、
を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置において、
前記研磨手段は、
前記光ピックアップと前記光ディスクの軸中心を挟んで反対側の位置で、前記光ディスクのデータ記録面に対向して設けられ、当接した状態で前記光ディスクを研磨する研磨部材と、
前記研磨部材を前記光ディスクの径方向及び軸方向に駆動する研磨部材駆動部と、
を有し、
前記研磨制御手段は、
前記研磨部材駆動部により、前記研磨部材を前記光ディスクの軸方向に駆動して前記光ディスクに当接させ、前記光ディスクが軸回りに回転する際に前記光ディスクの径方向に駆動させることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光ディスク装置において、
前記研磨手段により前記データ記録面を研磨する際に生ずる研磨粉を吸込む研磨粉吸込手段を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の光ディスク装置において、
前記光ピックアップを清掃する光ピックアップ清掃手段と、
前記読取りエラー検出手段により前記データ記録面の全面に亘って読取りエラーが検出された場合に、前記光ピックアップ清掃手段に前記光ピックアップを清掃させる清掃制御手段と、
を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光ディスク装置において、
前記光ピックアップ清掃手段は、
前記光ディスクを挟んで、前記光ピックアップの対物レンズと対向して設けられたモップ部材と、
前記モップ部材を軸回りに回転させる回転駆動部と、
前記モップ部材を前記光ディスクの軸方向に駆動する軸方向駆動部と、
を有し、
前記清掃制御手段は、
前記光ディスクが前記載置部に載置されているか否かを判断する判断手段を有し、
前記判断手段により載置されていないと判断された場合に、前記軸方向駆動部により前記モップ部材を前記光ディスクの軸方向に移動させて前記対物レンズに当接させるとともに、前記回転駆動部により前記モップ部材を前記光ディスクの軸回りに回転させることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の光ディスク装置において、
前記研磨制御手段により研磨する際に、前記光ピックアップの対物レンズのレンズ面を覆うレンズ保護部を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
載置部に載置された光ディスクが軸回りに回転する際に、光ピックアップが前記光ディスクの径方向に移動して前記光ディスクのデータ記録面を所定範囲ずつ対物レンズを介して読取り、読取った映像及び/又は音声データに基づいて映像及び/又は音声の再生処理を行う光ディスク装置において、
前記光ディスクのデータ記録面を研磨する研磨手段と、
前記光ピックアップが前記データ記録面を読取る位置での読取りエラーを検出する読取りエラー検出手段と、
前記読取りエラー検出手段により前記データ記録面の一部に読取りエラーが検出された場合に、前記研磨手段に、前記読取りエラー検出手段により読取りエラーが検出されなくなるまで、前記データ記録面を所定厚さ繰り返し研磨させる研磨制御手段と、
前記研磨手段により前記データ記録面を研磨する際に生ずる研磨粉を吸込む研磨粉吸込手段と、
を備え、
前記研磨手段は、
前記光ピックアップと前記光ディスクの軸中心を挟んで反対側の位置で、前記光ディスクのデータ記録面に対向して設けられ、当接した状態で前記光ディスクを研磨する研磨部材と、
前記研磨部材を前記光ディスクの径方向及び軸方向に駆動する研磨部材駆動部と、
を有し、
前記研磨制御手段は、
前記研磨部材駆動部により、前記研磨部材を前記光ディスクの軸方向に駆動して前記光ディスクに当接させ、前記光ディスクが軸回りに回転する際に前記光ディスクの径方向に駆動させることを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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