光ネットワーク設計装置
【課題】光ネットワークの最適設計を行う。
【解決手段】光伝送パラメータ保持部11は、設計対象の光ネットワークの構成部品の光伝送パラメータを保持する。パーツ生成部12は、光ネットワークの各ノード間のスパン単位に、設計候補となる、構成部品を含んだパーツを複数個生成する。パーツ選択部13は、複数のパーツの中から、設計条件を満たす光伝送パラメータを持つパーツを、スパン毎に選択する。構築制御部14は、選択されたパーツを組み合わせて、光ネットワークを構築する。品質試験部15は、設計後の光ネットワークの信頼性を確認するために、装置内の光ネットワーク設計ソフトウェアの品質試験を実行する。
【解決手段】光伝送パラメータ保持部11は、設計対象の光ネットワークの構成部品の光伝送パラメータを保持する。パーツ生成部12は、光ネットワークの各ノード間のスパン単位に、設計候補となる、構成部品を含んだパーツを複数個生成する。パーツ選択部13は、複数のパーツの中から、設計条件を満たす光伝送パラメータを持つパーツを、スパン毎に選択する。構築制御部14は、選択されたパーツを組み合わせて、光ネットワークを構築する。品質試験部15は、設計後の光ネットワークの信頼性を確認するために、装置内の光ネットワーク設計ソフトウェアの品質試験を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ネットワーク設計を行う光ネットワーク設計装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ネットワークにおいては、光信号のまま波長単位で、光分岐挿入を実現するOADM(Optical Add Drop Multiplexer)装置や、経路切替を実現するWXC(Wavelength Cross Connect)装置などが用いられて、リングネットワークの相互接続やメッシュといった複雑なトポロジを持つネットワークが構築される。
【0003】
このような複雑化するネットワークに対して、分散補償器などの各種機器の配置の最適化設計を含めた光ネットワーク設計を効率よく行う設計ツールの要望が高まっている。
従来技術としては、各パスの残留分散が許容残留分散の範囲内となるように、各パスに配置された分散補償器の分散補償量を設定する技術が提案されている(特許文献1参照)。また、装置固有の境界性能の評価を行う技術が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】再表2005/006604号公報(第6頁の46行目〜第8頁の26行目、第6図)
【特許文献2】特開平8−297591号公報(段落番号〔0009〕〜〔0012〕、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来における、光ネットワークの設計ツールでは、残留分散値を所定の範囲内に収めるという上記の従来技術のように、1つの設計項目のみを対象にして光ネットワークを設計するといった手法が主流であったために、複数の設計項目に対して一括して設計することができず、所望の特性を満たす最適な光ネットワークを効率よく設計することができないといった問題があった。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、所望の特性を満たす最適な光ネットワークを自動設計する光ネットワーク設計装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、所望の特性を満たす最適な光ネットワークを自動設計する光ネットワーク設計方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、光ネットワークを設計する光ネットワーク設計装置が提供される。光ネットワーク設計装置は、設計対象の前記光ネットワークの構成部品の光伝送パラメータを保持する光伝送パラメータ保持部と、前記光ネットワークの各ノード間のスパン単位に、設計候補となる、前記構成部品を含むパーツを複数個生成するパーツ生成部と、複数の前記パーツの中から、設計条件を満たす前記光伝送パラメータを持つ前記パーツを、スパン毎に選択するパーツ選択部と、選択された前記パーツを組み合わせて、前記光ネットワークを構築する構築制御部とを有する。
【0008】
ここで、光伝送パラメータ保持部は、設計対象の光ネットワークの構成部品の光伝送パラメータを保持する。パーツ生成部は、光ネットワークの各ノード間のスパン単位に、設計候補となる、構成部品を含むパーツを複数個生成する。パーツ選択部は、複数のパーツの中から、設計条件を満たす光伝送パラメータを持つパーツを、スパン毎に選択する。構築制御部は、選択されたパーツを組み合わせて、光ネットワークを構築する。
【発明の効果】
【0009】
所望の特性を満たす光ネットワークの最適設計を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】光ネットワーク設計装置の構成例を示す図である。
【図2】光ネットワーク設計装置による光ネットワーク設計のイメージを示す図である。
【図3】光ネットワーク設計動作の全体フローを示す図である。
【図4】スパン毎のパーツの生成の様子を示す図である。
【図5】パーツ内の構成部品と各種の光伝送パラメータを示すテーブルとを示す図である。
【図6】スパン毎のパーツ候補の中から最適なパーツを選択する様子を示す図である。
【図7】光ネットワーク設計装置のソフトウェアの品質試験を説明するための図である。
【図8】demandを説明するための図である。
【図9】Qthの境界近傍のパーツ選択を説明するための図である。
【図10】目的関数と条件式を説明するための図である。
【図11】伝送ペナルティの制約条件を説明するための図である。
【図12】行列表現による演算式を示す図である。
【図13】2スパンの光ネットワークを示す図である。
【図14】行列表現した演算式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は光ネットワーク設計装置の構成例を示す図である。光ネットワーク設計装置10は、光伝送パラメータ保持部11、パーツ生成部12、パーツ選択部13、構築制御部14および品質試験部15を備える。なお、光ネットワーク設計装置10は、設計者からのデータ入力または設計者へのデータ表示などを行うユーザ・インタフェース機能を備える。
【0012】
光伝送パラメータ保持部11は、設計対象の光ネットワークに関する構成部品の光伝送パラメータを保持する。光伝送パラメータは、あらかじめネットワーク設計者が入力しておく(光伝送パラメータの種類については図5で後述)。パーツ生成部12は、光ネットワークの各ノード間のスパン単位に、設計候補となる、構成部品を含んだパーツを複数個生成する。
【0013】
パーツ選択部13は、複数のパーツの中から、設計条件を満たす光伝送パラメータを持つパーツを、スパン毎に選択する。構築制御部14は、選択されたパーツを組み合わせて、設計対象の光ネットワークを構築する。
【0014】
品質試験部15は、設計後の光ネットワークの信頼性を確認するために、装置内の光ネットワーク設計ソフトウェア(パーツ生成部12、パーツ選択部13および構築制御部14の少なくとも1つの機能)の品質試験を実行する。
【0015】
次に光ネットワーク設計装置10による光ネットワーク設計動作について説明する。図2は光ネットワーク設計装置10による光ネットワーク設計のイメージを示す図である。光ネットワーク1aは、ノードn1〜n4を含む。
【0016】
ノードn1とノードn2は、光ファイバf1により接続し、ノードn2とノードn3は、光ファイバf2により接続し、ノードn3とノードn4は、光ファイバf3により接続し、ノードn4とノードn1は、光ファイバf4により接続している。
【0017】
リング状の光ネットワーク1aに対して、反時計周りの光伝送を行う場合の設計について考える。光ネットワーク設計装置10のパーツ生成部12では、光ネットワーク1aの各ノード間のスパンSp1〜Sp4単位に、設計候補となるパーツを複数用意しておく。
【0018】
各パーツには、光伝送を行うスパン毎の構成部品が含まれる。そして、パーツ選択部13が、スパン毎に所望の条件を満たすパーツを1つ選択し、構築制御部14によって選択されたパーツを組み合わせることで、光ネットワーク1aに配置すべき各種機器の最適化設計を行う。
【0019】
例えば、スパンSp1では、候補となるパーツp1−1〜p1−3が用意されている。パーツp1−1には、構成部品として、ポストアンプ1a−1、光ファイバf1−1、プリアンプ1b−1およびDCM(Dispersion Compensation Module:分散補償モジュール)1c−1が含まれる。
【0020】
同様にして、パーツp1−2には、構成部品として、ポストアンプ1a−2、光ファイバf1−2、プリアンプ1b−2およびDCM1c−2が含まれ、パーツp1−3には、構成部品として、ポストアンプ1a−3、光ファイバf1−3、プリアンプ1b−3およびDCM1c−3が含まれる。
【0021】
ポストアンプ1a−1〜1a−3は、ノードn1の光送信部に設けられるポストアンプの候補である。光ファイバf1−1〜f1−3は、光ファイバf1の候補である。プリアンプ1b−1〜1b−3およびDCM1c−1〜1c−3は、ノードn2の光受信部に設けられるプリアンプおよびDCMの候補である。
【0022】
同様にスパンSp2〜Sp4についても見ていくと、スパンSp2に関して、候補となるパーツp2−1〜p2−3が用意されている。パーツp2−1には、構成部品として、ポストアンプ2a−1、光ファイバf2−1、プリアンプ2b−1およびDCM2c−1が含まれる。
【0023】
パーツp2−2には、構成部品として、ポストアンプ2a−2、光ファイバf2−2、プリアンプ2b−2およびDCM2c−2が含まれ、パーツp2−3には、構成部品として、ポストアンプ2a−3、光ファイバf2−3、プリアンプ2b−3およびDCM2c−3が含まれる。
【0024】
ポストアンプ2a−1〜2a−3は、ノードn2の光送信部に設けられるポストアンプの候補である。光ファイバf2−1〜f2−3は、光ファイバf2の候補である。プリアンプ2b−1〜2b−3およびDCM2c−1〜2c−3は、ノードn3の光受信部に設けられるプリアンプおよびDCMの候補である。
【0025】
スパンSp3に関して、候補となるパーツp3−1〜p3−3が用意されている。パーツp3−1には、構成部品として、ポストアンプ3a−1、光ファイバf3−1、プリアンプ3b−1およびDCM3c−1が含まれる。
【0026】
パーツp3−2には、構成部品として、ポストアンプ3a−2、光ファイバf3−2、プリアンプ3b−2およびDCM3c−2が含まれ、パーツp3−3には、構成部品として、ポストアンプ3a−3、光ファイバf3−3、プリアンプ3b−3およびDCM3c−3が含まれる。
【0027】
ポストアンプ3a−1〜3a−3は、ノードn3の光送信部に設けられるポストアンプの候補である。光ファイバf3−1〜f3−3は、光ファイバf3の候補である。プリアンプ3b−1〜3b−3およびDCM3c−1〜3c−3は、ノードn4の光受信部に設けられるプリアンプおよびDCMの候補である。
【0028】
スパンSp4に関して、候補となるパーツp4−1〜p4−3が用意されている。パーツp4−1には、構成部品として、ポストアンプ4a−1、光ファイバf4−1、プリアンプ4b−1およびDCM4c−1が含まれる。
【0029】
パーツp4−2には、構成部品として、ポストアンプ4a−2、光ファイバf4−2、プリアンプ4b−2およびDCM4c−2が含まれ、パーツp4−3には、構成部品として、ポストアンプ4a−3、光ファイバf4−3、プリアンプ4b−3およびDCM4c−3が含まれる。
【0030】
ポストアンプ4a−1〜4a−3は、ノードn4の光送信部に設けられるポストアンプの候補である。光ファイバf4−1〜f4−3は、光ファイバf4の候補である。プリアンプ4b−1〜4b−3およびDCM4c−1〜4c−3は、ノードn1の光受信部に設けられるプリアンプおよびDCMの候補である。
【0031】
上記のようなパーツ候補の中から、パーツ選択部13は、所望の条件に合うパーツを選択する。なお、パーツ内の構成部品の光伝送パラメータは、パーツ毎に多様に異なる値を持っている。
【0032】
図2では、スパンSp1では、パーツp1−1〜p1−3の中からパーツp1−1を選択し、スパンSp2では、パーツp2−1〜p2−3の中からパーツp2−2を選択し、スパンSp3では、パーツp3−1〜p3−3の中からパーツp3−1を選択し、スパンSp4では、パーツp4−1〜p4−3の中からパーツp4−3を選択している。
【0033】
したがって、光ネットワーク1aの各種機器の配置に関しては、スパンSp1ではパーツp1−1、スパンSp2ではパーツp2−2、スパンSp3ではパーツp3−1、スパンSp4ではパーツp4−3に示される構成部品が配置されることになる。
【0034】
なお、光ネットワーク設計に関し、より具体的には、設計対象の光ネットワークに対して、パーツ生成部12でスパン単位に分割した構成部品候補のパーツを複数用意した上で、パーツ選択部13が、線形(整数)計画法によって、適切な構成(例えば、境界値付近の構成)を算出する。
【0035】
そして、構築制御部14によって、組み合わせたパーツが所望の条件に一致するかしないかを判断し、一致しない場合は、パーツ内の構成部品の性能や特性値を微調整する(詳細は後述)。
【0036】
このように、光ネットワーク設計装置10では、スパン単位であらかじめ用意しておいた、構成部品を含むパーツの中から、所望の条件を満たすパーツを選択していくことで、光ネットワークの最適設計を行う構成とした。
【0037】
これにより、アンプの配置やDCMの配置等といった複数の設計項目に対して、スパン単位に一括して設計することができるので、所望の特性を満たす最適な光ネットワークを効率よく設計することが可能になり、設計工数の大幅な削減を図ることが可能になる。
【0038】
なお、上記では説明を簡単にするために、1つのパーツの中に含まれる構成部品として、代表的なポストアンプ、光ファイバ、プリアンプおよびDCMとしたが、各パーツに含まれる構成部品は任意であって、多様に設定できる。
【0039】
すなわち、1つのパーツの中に、ポストアンプ、光ファイバ、プリアンプおよびDCMがすべて含まれなくてもよいし、これら以外の構成部品が含まれていてもよい(例えば、光フィルタが含まれる等)。また、パーツ毎に構成部品が異なっていてもよい。
【0040】
また、上記では説明のために、すべての構成部品に異なる符号を付けたため、各構成部品はすべて互いに異なる性能を持つように見えるが、そのようにすべて互いに異なる性能を持つものとしてもよいし、同じ構成部品が異なるパーツに含まれていても当然構わない。
【0041】
例えば、パーツp1−1のポストアンプ1a−1とパーツp1−2のポストアンプ1a−2とが同じ部品であり、パーツp1−1のプリアンプ1b−1とパーツp1−2のプリアンプ1b−2とが同じ部品であり、パーツp1−1のDCM1c−1とパーツp1−2のDCM1c−2とが同じ部品であるとする。
【0042】
そして、パーツp1−1の光ファイバf1−1と、パーツp1−2の光ファイバf1−2とだけが異なる性能(ファイバ種別やファイバ長が異なるなど)であるといったようなパーツ構成にしてもよい。
【0043】
次に光ネットワーク設計装置10の他の特徴について説明する。光ネットワークを設計する際には、様々な設計要求があるが、その中でも、ある伝送特性の境界付近の設計をしたいといった要求がある。
【0044】
例えば、コストをなるべく最小に抑えたいなどの理由で、これ以上伝送特性が劣化すると正常な光伝送が不可能になってしまうという境界値付近で、光ネットワークを構築したいなどである。
【0045】
このような、光ネットワークを設計する場合、従来では、多様な伝送特性を持つネットワーク構成を複数発案しておき、それらに対してシミュレーション等を行って、境界値近傍で動作しているか否かを逐次確認するといったことを行わねばならず、大変困難な作業であって、膨大な時間がかかり、多大な工数を浪費していた。
【0046】
これに対し、光ネットワーク設計装置10では、伝送可否の境界付近の伝送特性を有する光ネットワークに関しても、所望のネットワーク構成を精度よくかつ効率よく設計することを可能にする。
【0047】
また、従来では、設計した光ネットワークが、信頼性の高いものか否かを判別する機能を含む設計ツールが存在せず、このため自動設計はしたものの、本当に設計された光ネットワークが、所望の特性で光伝送を行うことが可能な信頼性の高いものであるか否かを効率よく判断することができなかった。
【0048】
これに対し、光ネットワーク設計装置10では、光ネットワークを設計するための動作機能であるソフトウェアの品質試験を行う機能も有しており、これにより、光ネットワーク設計装置10自体の機能の信頼性の向上を図り、これに伴い、設計後の光ネットワークの信頼性の向上を図ることも可能にする。
【0049】
次に光ネットワーク設計装置10における光ネットワーク設計動作について全体フローを用いて説明する。図3は光ネットワーク設計動作の全体フローを示す図である。なお、ステップS1〜S4までは、光ネットワークの設計に関する手順であり、ステップS5、S6は、光ネットワーク設計装置10に組み込まれたソフトウェアの品質試験に関する手順である。
【0050】
〔S1〕パーツ生成部12は、設計対象の光ネットワークに対し、スパン単位に、構成部品を含むパーツを複数生成する。
〔S2〕パーツ選択部13は、スパン単位に、複数のパーツの中から、条件を満たす(目標とする伝送特性に近い)最適なパーツを選択する。
【0051】
〔S3〕構築制御部14は、選択されたパーツが十分に条件を満たすか否かを判別する。例えば、パーツが組み合わされた後の光ネットワークの伝送特性が、正常な光伝送を実現することが可能ではあるが、その伝送特性は、正常な光伝送が不可となる境界近傍に位置しているか否かを判断する。
【0052】
満たしていなければ(境界近傍に位置していなければ)ステップS4へいき、満たしていれば(境界近傍に位置していれば)ステップS5へいく。なお、ここでの境界の近傍値は、ネットワーク設計者があらかじめ設定しておく。
【0053】
〔S4〕構築制御部14は、選択されたパーツに含まれる構成部品の光伝送パラメータを微小変化させ、ステップS2へ戻る。ここまでの段階で、所望の条件を満たす光ネットワークの設計は完了する(仮に完了する)。
【0054】
〔S5〕品質試験部15は、設計された光ネットワークに対して、その光ネットワークを構成する所定のパーツの所定の光伝送パラメータを選択し、該当光伝送パラメータの値を振って、条件を満たす伝送が可能となるか不可能となるかの境界を探索する。
【0055】
〔S6〕品質試験部15は、境界を挟んで伝送可能となる特性値と、あらかじめ算出した伝送可能となる期待値とを比較する。また、伝送不可能となる特性値と、あらかじめ算出した伝送不可能となる期待値とを比較する。そして、いずれの場合も期待値と一致するときは試験結果が良好であると判断し、一致しないときは試験結果が良好でないと判断する(図7で後述)。
【0056】
次に光ネットワーク設計装置10の動作についてさらに詳しく説明する。図4はスパン毎のパーツの生成の様子を示す図である。ノードn1〜n5がシリアルに接続された光ネットワーク1bに対して、左から右方向へ光伝送を行う場合について考える。
【0057】
光ネットワーク1bは、ノードn1〜n5を含み、ノードn1とノードn2は、光ファイバf1により接続し、ノードn2とノードn3は、光ファイバf2により接続し、ノードn3とノードn4は、光ファイバf3により接続し、ノードn4とノードn5は、光ファイバf4により接続している。
【0058】
光ネットワーク設計装置10は、各ノード間のスパンSp1〜Sp4単位に、設計候補となるパーツを複数用意する。スパンSp1では、候補となるパーツp1−1〜p1−3・・・が用意され、スパンSp2では、候補となるパーツp2−1〜p2−3・・・が用意されている。また、スパンSp3では、候補となるパーツp3−1〜p3−3・・・が用意され、スパンSp4では、候補となるパーツp4−1〜p4−3・・・が用意されている。
【0059】
なお、各パーツに含まれる構成部品は、図2で示したパーツ内部の構成と同様のポストアンプ、光ファイバ、プリアンプおよびDCMであるとして、パーツ内部の構成の説明は省略する。
【0060】
ここで、スパンSp1において、ポストアンプ1a−1〜1a−3は、ノードn1の光送信部に設けられるポストアンプの候補である。光ファイバf1−1〜f1−3は、光ファイバf1の候補である。プリアンプ1b−1〜1b−3およびDCM1c−1〜1c−3は、ノードn2の光受信部に設けられるプリアンプおよびDCMの候補である。
【0061】
スパンSp2において、ポストアンプ2a−1〜2a−3は、ノードn2の光送信部に設けられるポストアンプの候補である。光ファイバf2−1〜f2−3は、光ファイバf2の候補である。プリアンプ2b−1〜2b−3およびDCM2c−1〜2c−3は、ノードn3の光受信部に設けられるプリアンプおよびDCMの候補である。
【0062】
スパンSp3において、ポストアンプ3a−1〜3a−3は、ノードn3の光送信部に設けられるポストアンプの候補である。光ファイバf3−1〜f3−3は、光ファイバf3の候補である。プリアンプ3b−1〜3b−3およびDCM3c−1〜3c−3は、ノードn4の光受信部に設けられるプリアンプおよびDCMの候補である。
【0063】
スパンSp4において、ポストアンプ4a−1〜4a−3は、ノードn4の光送信部に設けられるポストアンプの候補である。光ファイバf4−1〜f4−3は、光ファイバf4の候補である。プリアンプ4b−1〜4b−3およびDCM4c−1〜4c−3は、ノードn5の光受信部に設けられるプリアンプおよびDCMの候補である。
【0064】
図5はパーツ内の構成部品と各種の光伝送パラメータを示すテーブルとを示す図である。パーツp1−1は、構成部品として、ポストアンプ1a−1、光ファイバf1−1、プリアンプ1b−1およびDCM1c−1を含む。
【0065】
これらの構成部品に関する光伝送パラメータは、光伝送パラメータ保持部11に格納される。光伝送パラメータとして、例えば、ファイバ関連パラメータ、部品関連パラメータおよび計算パラメータがある。ファイバ関連パラメータには、例えば、ファイバ種類、ファイバ長、ファイバロス値、ファイバ分散値等がある。
【0066】
また、部品関連パラメータには、例えば、ノード種別、ポストアンプ種別、プリアンプ種別、DCM種別等がある。計算パラメータには、例えば、ノイズ値、分散ばらつき値(上限分散値/下限分散値)、PMD(Polarization Mode Dispersion:偏波モード分散)値、XT(Cross Talk:クロストーク)値などがある。
【0067】
また、パーツ内の構成部品に光フィルタ(例えば、DCMの後段に配置)があれば、その光伝送パラメータとして、PBN(Pass Band Narrowing:光フィルタで信号光の帯域が狭まれた際の光ロス値)なども含まれる。なお、これらのパラメータはすべて数値化されて光伝送パラメータ保持部11に保存される。
【0068】
このように、設計対象の光ネットワークに関して、スパン単位に複数のパーツを用意し、このパーツにおいて、各光伝送パラメータ(ファイバ種、ファイバ長、アンプ種、DCM種など)を設定し、設計候補として準備する。
【0069】
また、パーツ生成部12では、光伝送パラメータ保持部11で保持されている上記のような多様な光伝送パラメータを利用して、光伝送パラメータが互いに異なる構成部品を含むパーツを、スパン単位に複数生成する。これにより、1つのスパンに対して、多様な光伝送パラメータを有する複数のパーツが生成されるので、選択候補の幅が広がり、柔軟な光ネットワーク設計を行うことが可能になる。
【0070】
図6はスパン毎のパーツ候補の中から最適なパーツを選択する様子を示す図である。パーツ選択部13は、準備されたパーツの中から、スパン毎に最適なパーツを1つ選択する。図6の場合は、スパンSp1ではパーツp1−2が選択され、スパンSp2ではパーツp2−3が選択され、スパンSp3ではパーツp3−1が選択され、スパンSp4ではパーツp4−3が選択されている。
【0071】
パーツ選択部13がパーツを選択する際には線形計画法による演算を行う。線形計画法を適用することにより、各スパンについて、どのパーツが最適(最適とは、例えば、ネットワーク設計者が前もって指定した、伝送可否の境界に十分近い構成の場合は最適であるとする)であるかが計算される(線形計画法によるパーツ選択の演算方法については後述する)。
【0072】
スパン毎のパーツ選択を行った後は、構築制御部14は、選択されたパーツを組み合わせて光ネットワークを構成し、所望の条件に近いか否かを判別する。所定の光伝送パラメータを可変させて、より所望の条件に近づけることができるような場合には、選択された複数のパーツ内から1つを抽出し、そのパーツ内の任意の光伝送パラメータを微小変化させる。なお、条件の判断は、各光伝送パラメータの有効数字にもとづいて行う。
【0073】
そして、再び、パーツ選択部13は、線形計画法を用いて、パーツの選択をし直して、パーツの組み合わせを再度決める。このように、パーツの組み合わせを再度行うのは、あるパーツ内の光伝送パラメータの変化によって、他パラメータの部分で影響が出て、全体的に所望の構成とはなりえないという可能性があるからである。したがって、光伝送パラメータを微小変化させた場合には、再度、パーツ選択から開始することにする。
【0074】
次に品質試験について説明する。図7は光ネットワーク設計装置10のソフトウェアの品質試験を説明するための図である。光ネットワークの設計が完了すると、その後、設計した光ネットワークの信頼性を確認するために、ソフトウェアの品質試験を行う。ここでいう、ソフトウェアとは、少なくとも、パーツ生成部12、パーツ選択部13、構築制御部14のいずれかの機能のことである。
【0075】
ソフトウェア品質試験を行う場合、まず、設計後の光ネットワークの所定の光伝送パラメータを1つ選び、この光伝送パラメータの値を振って(可変させて)、当初条件を満たす伝送が可能となるか不可能となるかの境界値Vを探索する。
【0076】
そして、境界値Vの一方の伝送可能となる側において、条件を満たす伝送が可能となる、あるポイントP1(第1のポイント)における光ネットワークの特性値(第1の特性値に該当し、例えば、OSNR(Optical Signal to Noise Ratio)とする)を求め、また、ポイントP1のOSNRの期待値を求める。
【0077】
上記のポイントP1におけるOSNRは、品質試験部15が、設計後の光ネットワークのポイントP1におけるOSNRを算出した値である(As1とする)。また、期待値とは、条件を満たす伝送が可能となるポイントP1のOSNRの期待値であって(Ae1とする)、例えば、人が手計算等によって別途算出したものである。品質試験部15は、算出値As1と期待値Ae1とを比較する。
【0078】
一方、境界値Vをまたいだ他方の伝送不可能となる側において、条件を満たす伝送が不可能となる、あるポイントP2(第2のポイント)における光ネットワークの特性値(第2の特性値に該当し、OSNRとする)を求め、また、ポイントP2のOSNRの期待値を求める。
【0079】
上記のポイントP2におけるOSNRは、品質試験部15が、設計後の光ネットワークのポイントP2におけるOSNRを算出した値である(As2とする)。また、期待値は、条件を満たす伝送が不可能となるポイントP2のOSNRの期待値であって(Ae2とする)、例えば、人が手計算等によって別途算出したものである。品質試験部15は、算出値As2と期待値Ae2とを比較する。
【0080】
比較の結果、算出値が期待値と一致して、As1=Ae1かつAs2=Ae2となるならば(両方ともに一致すれば)、光ネットワーク設計装置10の試験結果は良好であり、光ネットワーク設計ソフトウェアの品質が良好であって、このソフトウェアで設計された光ネットワークの信頼性も高いと判断できる。
【0081】
これに対し、算出値が期待値と一致せず、As1≠Ae1またはAs2≠Ae2となるならば(両方ともに一致せず、またはどちらか一方でも等しくなければ)、光ネットワーク設計装置10のソフトウェアの品質は良好でないと判断し、そのソフトウェアで設計された光ネットワークも信頼性が低いと判断できる。なお、試験結果の良否は、ネットワーク設計者に適切な形式で表示される。
【0082】
このように、光ネットワーク設計装置10では、設計した光ネットワークの信頼性を判断するためのソフトウェア品質試験を行うことができるので、自動設計された光ネットワークの信頼性をネットワーク設計者は確認することができ、設計された光ネットワークの信頼性および品質の向上を図ることが可能になる。
【0083】
次に線形計画法によってパーツ選択を行う際のモデリングの一例について以降詳しく説明する。線形計画法では、目標とする1点にできるだけ近くなるところを探すために、目的関数を設定して、目的関数の最小値または最大値(本実施の形態では最小値)を求める。目的関数zは、式(1)で表せる。
【0084】
z=min(negError+posError)・・・(1)
なお、negErrorとposErrorは、変数であり、共に正の値(0を含む)である。
ここで、光ネットワークの伝送特性の指標であるQ値に対して、目標とするQ値をQthとした場合に、Qthの境界近傍の幅を表す条件式について示す。なお、Q値とは、光伝送の品質評価に用いられる指標であり、振幅方向のノイズに対する影響を定量的に示した値である(ノイズ指標値といってよい。また、Q値が大きいほど伝送品質が良好といえる)。
【0085】
光ネットワークに対する、あるパスのQ値が(demandkのQ値が)、目標とするQthの境界付近に位置するための条件式は、以下の式(2a)、式(2b)となる。
【0086】
【数1】
【0087】
なお、demandとは、1つまたは複数のスパンから成る光ネットワーク上のパスのことである。
図8はdemandを説明するための図である。光ネットワーク1bにおいて、demand1は、スパンSp1のパスに該当する。demand2は、スパンSp1、SP2を含むパスに該当する。demand3は、スパンSp1、Sp2、Sp3を含むパスに該当する。demand4は、スパンSp1、Sp2、Sp3、SP4を含むパスに該当する。
【0088】
式(2a)、式(2b)の条件式を満たすnegErrorとposErrorであって、式(1)によるnegErrorとposErrorとの和が最小となるように、demandkのパスに関してパーツを選択することにより、Qthの境界近傍のパーツ構成を抽出できる。
【0089】
図9はQthの境界近傍のパーツ選択を説明するための図である。光ネットワーク1cは、ノードn1〜n3を有し、ノード間は光ファイバでシリアルに接続される。ノードn1、n2間をスパンSp1、ノードn2、n3間をスパンSp2とする。
【0090】
スパンSp1にはパーツs1〜s3の候補があり、スパンSp2にはパーツs4〜s6の候補がある。また、パーツs1〜s3のそれぞれのQ値をQ1〜Q3とし、パーツs4〜s6のそれぞれのQ値をQ4〜Q6とする。
【0091】
ここで、パスPaにおけるQ値の総和Qtotalが、できるだけ目標とするQthに近くなるようなパーツを選択する設計について考える。
式(2a)、(2b)から以下の式(2a−1)、(2b−1)が導かれる。
【0092】
Q1・s1+Q2・s2+Q3・s3+Q4・s4+Q5・s5+Q6・s6+negError≧Qth
・・・(2a−1)
Q1・s1+Q2・s2+Q3・s3+Q4・s4+Q5・s5+Q6・s6−posError≦Qth
・・・(2b−1)
上記の式(2a−1)、(2b−1)を満たし、negErrorとposErrorとの和が最小となるs1、・・・、s6を求める。他の制約条件を示す式と合わせて、解として例えば、(s1、s2、s3、s4、s5、s6)=(0、1、0、0、0、1)が得られたとしたならば、選択されるパーツは、スパンSp1ではパーツs2、スパンSp2ではパーツs6となる。
【0093】
すなわち、パーツs2、パーツs6で光ネットワーク1cを構成することにより、パスPaのQtotalが、Qthの境界ぎりぎりで伝送可能な光ネットワークを構成することができる(これ以上伝送特性が劣化すると正常な光伝送が不可能になってしまうという境界値付近で、光ネットワークを構築している)。
【0094】
図10は目的関数と条件式(2a)、(2b)を説明するための図である。目標とするQth(固定値)に対して、Qtotal(可変値)がQthよりも負側(下方)にあるとすると(Qtotalがnegative側にある場合)、QtotalとQthとの間隔(QtotalとQthとの誤差)を示すnegErrorが、式(2a)を満たすためには、Qth−Qtotal以上の値となる必要がある。
【0095】
また、このとき、posErrorの値にかかわらず、式(2b)は成り立つ(∵posErrorは0または正)。したがって、式(1)でnegErrorとposErrorの和が最小となるのは、negError=Qth−Qtotal、posError=0となり、これは、Qthを基準にして、下方へ向かうQtotalまでの間隔の最小が、Qth−Qtotalであることを示している。
【0096】
一方、目標とするQth(固定値)に対して、Qtotal(可変値)がQthよりも正側(上方)にあるとすると(Qtotalがpositive側にある場合)、QtotalとQthとの間隔(QtotalとQthとの誤差)を示すposErrorは、式(2b)を満たすためには、Qtotal−Qth以上の値となる必要がある。
【0097】
また、このとき、negErrorの値にかかわらず、式(2a)は成り立つ(∵negErrorは0または正)。したがって、式(1)でnegErrorとposErrorの和が最小となるのは、negError=0、posError=Qtotal−Qthとなり、これは、Qthを基準にして、上方へ向かうQtotalまでの間隔の最小が、Qtotal−Qthであることを示している。
【0098】
このように、条件式(2a)、(2b)を満たすnegErrorとposErrorとの和を最小にするということは、目標とするQthの境界付近のQ値の最小幅を求めていることになる。
次に目的関数を最小にするための、その他の制約条件について説明する。光伝送パラメータとして、分散値、Q値、PMD、PBN、XTを使用するものとする。制約条件としては、分散制約条件、Q値制約条件、伝送ペナルティ制約条件、スパン条件などがある。
【0099】
demand個々に分散制約の条件が満たされるための、すべてのdemandに対する分散制約条件は、以下の式(3a)、(3b)となる。
【0100】
【数2】
【0101】
式(3a)は、スパン毎の上限分散値の総和が、分散トレランスの上限値(Upper Tolerance(d))以下であることを示している。すなわち、すべてのdemandに対して、スパン毎の上限分散値の総和が、分散トレランスの上限値を超えないように、スパン単位のパーツ選択を実行しなければならないことを示している。
【0102】
また、式(3b)では、スパン毎の下限分散値の総和が、分散トレランスの下限値(Lower Tolerance(d))以上であることを示している。すなわち、すべてのdemandに対して、スパン毎の下限分散値の総和が、分散トレランスの下限値を下回らないように、スパン単位のパーツ選択を実行しなければならないことを示している。
【0103】
demand個々にQ値制約の条件が満たされるための、すべてのdemandに対するQ値制約条件は、以下の式(4)で表せる。Q値制約条件とは、具体的には、あるOSNRを下回ってはならない制約条件のことである。
【0104】
【数3】
【0105】
式(4)では、スパン毎のQ値の総和が、目標とするQ値であるQth値以下であることを示している。すなわち、すべてのdemandに対して、スパン毎に選択されるべきパーツのQ値の総和が、目標値Qthを超えないように、スパン単位のパーツ選択を実行しなければならないことを示している。
【0106】
demand個々に伝送ペナルティの制約条件が満たされるための、すべてのdemandに対する伝送ペナルティ制約条件は、以下の式(5a)、(5b)、(5c)で表せる。伝送ペナルティ制約条件とは、ある伝送ペナルティの値を超えてはならない制約条件のことである。
【0107】
【数4】
【0108】
PMDの制約条件を表す式(5a)では、スパン毎のPMDの総和が、PMDの下限値(PMDLowth)以下であることを示している。すなわち、すべてのdemandに対して、スパン毎に選択されるべきパーツのPMDの総和が、PMDの下限値を超えないように、スパン単位のパーツ選択を実行しなければならないことを示している。
【0109】
PBNの制約条件を表す式(5b)では、スパン毎のPBNの総和が、PBNの下限値(PBNLowth)以下であることを示している。すなわち、すべてのdemandに対して、スパン毎に選択されるべきパーツのPBNの総和が、PBNの下限値を超えないように、スパン単位のパーツ選択を実行しなければならないことを示している。
【0110】
XTの制約条件を表す式(5c)では、スパン毎のXTの総和が、XTの下限値(XTLowth)以下であることを示している。すなわち、すべてのdemandに対して、スパン毎に選択されるべきパーツのXTの総和が、XTの下限値を超えないように、スパン単位のパーツ選択を実行しなければならないことを示している。
【0111】
なお、式(5a)〜(5c)の代わりに、以下の式(6a)〜(6c)に示すように、PMD、PNT、XTが一定値となるような制約条件を使用することも可能である。
【0112】
【数5】
【0113】
式(6a)はスパン毎のPMDの総和が、PMDの一定値(PMDc)となることを示している。式(6b)では、スパン毎のPBNの総和が、PBNの一定値(PBNc)となることを示している。式(6c)では、スパン毎のXTの総和が、XTの一定値(XTc)となることを示している。
【0114】
図11は伝送ペナルティの制約条件を説明するための図である。PMDを例にして説明する。横軸はPMD、縦軸は伝送ペナルティである。PMDは、伝送ペナルティが0となる値があり、この値がPMDLowthである。PMDLowthを超えると伝送ペナルティは非線形領域に入り、非線形的に変化する。
【0115】
したがって、PMDのどのような組み合わせであっても(PMDのパラメータを有するパーツのどのような組み合わせであっても)、PMDの総和を伝送ペナルティ0に抑えることを制約条件としたいならば、上記の式(5a)を用いることになる。これに対し、スパン毎のPMDの総和を一定値にして、伝送ペナルティを設定値Peにしようとするのであれば、上記の式(6a)に示す制約条件を用いることになる。PBNやXTも同様な考え方である。
【0116】
次にスパン条件について示す。スパン条件は以下の式(7)で表せる。スパン条件とは、1つのスパンには、1つのパーツを配置することを制約条件としたものである。
【0117】
【数6】
【0118】
xelementは、1つのスパンに対する、パーツ候補を数値化するためのパラメータであって、候補に挙がっているパーツは1、候補に挙がっていないパーツは0となる。また、xelementの総和が1ということは、1つのスパンで使用されるパーツは1つであることを意味する(1つのスパンからは1つのパーツを選択することを意味する)。
【0119】
次に上記で示した制約条件を行列表現でまとめた演算式について説明する。図12は行列表現による演算式を示す図である。上記の制約条件式の左辺等を含む行列をA、選択候補のパーツの識別パラメータS1〜SN、negError、posErrorを含む列ベクトルをv1、上記の制約条件式の右辺等を含む列ベクトルをv2としたときのA×v1=v2を示している。以下、図12に示す演算式について行毎に説明する。なお、ここで扱われるPMD、XT、Q値などは、dB値ではなく真数値(線形値)を扱う。
【0120】
行r1は式(1)を示している。行ベクトル(0、0、・・・、0、1、1)と列ベクトル(S1、S2、・・・、SN、negError、posError)との内積をとれば、上記の式(1)となることがわかる。
【0121】
行r2は、式(3a)を表している。行r2の最上段では、demand1における上限分散値の制約条件を示しており、行ベクトル(DUpper 1 d1、DUpper 2 d1、・・・、DUpper N d1、0、0)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、パーツs1〜sNの上限分散値の総和が、demand1の分散トレランスの上限値(Upper Tolerance(d1))以下であることが示される。
【0122】
行r2の最下段では、demandNにおける上限分散値の制約条件を示しており、行ベクトル(DUpper 1 dN、DUpper 2 dN、・・・、DUpper N dN、0、0)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、パーツs1〜sNの上限分散値の総和が、demandNの分散トレランスの上限値(Upper Tolerance(dN))以下であることが示される。
【0123】
行r3は、式(3b)を表している。行r3の最上段では、demand1における下限分散値の制約条件を示しており、行ベクトル(DLower 1 d1、DLower 2 d1、・・・、DLower N d1、0、0)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、パーツs1〜sNの下限分散値の総和が、demand1の分散トレランスの下限値(Lower Tolerance(d1))以上であることが示される。
【0124】
行r3の最下段では、demandNにおける下限分散値の制約条件を示しており、行ベクトル(DLower 1 dN、DLower 2 dN、・・・、DLower N dN、0、0)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、パーツs1〜sNの下限分散値の総和が、demandNの分散トレランスの下限値(Lower Tolerance(dN))以上であることが示される。
【0125】
行r4は、式(4)を表している。行r4の最上段では、demand1のQ値の制約条件を示しており、行ベクトル(Q1 d1、Q2 d1、・・・、QN d1)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、Q値の総和が、demand1における目標とするQth(d1)以下であることが示される。
【0126】
行r4の最下段では、demandNのQ値の制約条件を示しており、行ベクトル(Q1 dN、Q2 dN、・・・、QN dN)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、Q値の総和が、demandNにおける目標とするQth(dN)以下であることが示される。
【0127】
行r5は、式(5a)を表している。行r5の最上段では、demand1におけるPMDの制約条件を示しており、行ベクトル(PMD1 d1、PMD2 d1、・・・、PMDN d1)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、PMDの総和が、demand1におけるPMDの下限値(PMDLowth(d1))以下であることを示している。
【0128】
行r5の最下段では、demandNにおけるPMDの制約条件を示しており、行ベクトル(PMD1 dN、PMD2 dN、・・・、PMDN dN)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、PMDの総和が、demandNにおけるPMDの下限値(PMDLowth(dN))以下であることを示している。
【0129】
行r6は、式(5c)を表している(なお、PBNのパラメータはこの演算例では使用していない)。行r6の最上段では、demand1におけるXTの制約条件を示しており、行ベクトル(XT1 d1、XT2 d1、・・・、XTN d1)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、XTの総和が、demand1におけるXTの下限値(XTLowth(d1))以下であることを示している。
【0130】
行r6の最下段では、demandNにおけるXTの制約条件を示しており、行ベクトル(XT1 dN、XT2 dN、・・・、XTN dN)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、XTの総和が、demandNにおけるXTの下限値(XTLowth(dN))以下であることを示している。
【0131】
行r7は、式(7)を表している。行r7の最上段では、スパンSp1におけるスパン条件を示しており、行ベクトル(xSpan1 1、xSpan1 2、・・・、xSpan1 N)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積をとった値が1となることを示している(すなわち、スパンSp1には、選択されるべきパーツが1つであることが示される)。
【0132】
行r7の最下段では、スパンSpNにおけるスパン条件を示しており、行ベクトル(xSpan N 1、xSpan N 2、・・・、xSpan N N)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積をとった値が1となることを示している(すなわち、スパンSpNには、選択されるべきパーツが1つであることが示される)。
【0133】
行r8−1は、式(2a)を表している。行ベクトル(Q1 dN、Q2 dN、・・・、QN dN、1、0)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積をとった値がQth(dN)以上となることを示している。
【0134】
行r8−2は、式(2b)を表している。行ベクトル(Q1 dN、Q2 dN、・・・、QN dN、0、−1)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積をとった値がQth(dN)以下となることを示している。
【0135】
次に具体的な演算の一例について説明する。図13は2スパンの光ネットワークを示す図である。光ネットワーク1cは、ノードn1〜n3を有し、ノード間は光ファイバでシリアルに接続される。
【0136】
ノードn1、n2間をスパンSp1、ノードn2、n3間をスパンSp2とする。また、ノードn1からノードn2へ向かうパスをdemand1とし、ノードn1からノードn2を経由してノードn3へ向かうパスをdemand2とする。
【0137】
スパンSp1におけるパーツ候補には、パーツ#1〜#5があり、スパンSp2におけるパーツ候補には、パーツ#6〜#10がある。また、各パーツの光伝送パラメータとしては、PMD、XT、Q値(Q)、上限分散値(D上限)、下限分散値(D下限)が含まれる。
【0138】
パーツ#1の光伝送パラメータの値は、PMD=8、XT=1、Q値=25、上限分散値=45、下限分散値=0である。パーツ#2の光伝送パラメータの値は、PMD=6、XT=2、Q値=23、上限分散値=50、下限分散値=5である。パーツ#3の光伝送パラメータの値は、PMD=4、XT=3、Q値=18、上限分散値=40、下限分散値=0である。パーツ#4の光伝送パラメータの値は、PMD=2、XT=4、Q値=20、上限分散値=40、下限分散値=10である。パーツ#5の光伝送パラメータの値は、PMD=1、XT=5、Q値=22、上限分散値=50、下限分散値=0である。
【0139】
また、パーツ#6の光伝送パラメータの値は、PMD=8、XT=1、Q値=25、上限分散値=15、下限分散値=5である。パーツ#7の光伝送パラメータの値は、PMD=6、XT=2、Q値=23、上限分散値=18、下限分散値=−3である。パーツ#8の光伝送パラメータの値は、PMD=4、XT=3、Q値=18、上限分散値=15、下限分散値=5である。パーツ#9の光伝送パラメータの値は、PMD=2、XT=4、Q値=20、上限分散値=20、下限分散値=2である。パーツ#10の光伝送パラメータの値は、PMD=1、XT=5、Q値=22、上限分散値=25、下限分散値=5である。
【0140】
一方、制約条件を、以下の式(8a)〜(8g)と設定する。
PMD≦10・・・(8a)
XT≦8・・・(8b)
Q≦40・・・(8c)
D上限値(demand1)≦1000・・・(8d)
D上限値(demand2)≦900・・・(8e)
D下限値(demand1)≧−100・・・(8f)
D下限値(demand2)≧−70・・・(8g)
また、スパンSp1で選択されるパーツのQ値と、スパンSp2で選択されるパーツのQ値との合計をQtotalとした際に、QtotalがなるべくQth(=40)に近い値となるように、目的関数を最小化する。
【0141】
Qtotal+negError≧Qth(=40)・・・(8h)
Qtotal−posError≦Qth(=40)・・・(8i)
図14は行列表現した演算式を示す図である。行毎に以下説明する。目的関数については、(0、0、0、0、0、0、0、0、0、0、1、1)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積の結果の最小値を求めることになるので、(0×S1+0×S2+0×S3+0×S4+0×S5+0×S6+0×S7+0×S8+0×S9+0×S10+1×negError+1×posError)=negError+posError→Minとなる。
【0142】
demand1の上限分散値については、(45、50、40、40、50、0、0、0、0、0、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(45×S1+50×S2+40×S3+40×S4+50×S5+0×S6+0×S7+0×S8+0×S9+0×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9a)となる。
【0143】
45S1+50S2+40S3+40S4+50S5≦1000・・・(9a)
demand2の上限分散値については、(45、50、40、40、50、15、18、15、20、25、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(45×S1+50×S2+40×S3+40×S4+50×S5+15×S6+18×S7+15×S8+20×S9+25×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9b)となる。
【0144】
45S1+50S2+40S3+40S4+50S5+15S6+18S7+15S8+20S9+25S10≦900・・・(9b)
demand1の下限分散値については、(0、5、0、10、0、0、0、0、0、0、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(0×S1+5×S2+0×S3+10×S4+0×S5+0×S6+0×S7+0×S8+0×S9+0×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9c)となる。
【0145】
5S2+10S4≧−100・・・(9c)
demand2の下限分散値については、(0、5、0、10、0、5、−3、5、2、5、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(0×S1+5×S2+0×S3+10×S4+0×S5+5×S6+(−3)×S7+5×S8+2×S9+5×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9d)となる。
【0146】
5S2+10S4+5S6−3S7+5S8+2S9+5S10≧−70・・・(9d)
demand1のQ値については、(25、23、18、20、22、0、0、0、0、0、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(25×S1+23×S2+18×S3+20×S4+22×S5+0×S6+0×S7+0×S8+0×S9+0×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9e)となる。
【0147】
25S1+23S2+18S3+20S4+22S5≦40・・・(9e)
demand2のQ値については、(25、23、18、20、22、25、23、18、20、22、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(25×S1+23×S2+18×S3+20×S4+22×S5+25×S6+23×S7+18×S8+20×S9+22×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9f)となる。
【0148】
25S1+23S2+18S3+20S4+22S5+25S6+23S7+18S8+20S9+22S10≦40・・・(9f)
demand1のPMDについては、(8、6、4、2、1、0、0、0、0、0、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(8×S1+6×S2+4×S3+2×S4+1×S5+0×S6+0×S7+0×S8+0×S9+0×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9g)となる。
【0149】
8S1+6S2+4S3+2S4+S5≦10・・・(9g)
demand2のPMDについては、(8、6、4、2、1、8、6、4、2、1、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(8×S1+6×S2+4×S3+2×S4+1×S5+8×S6+6×S7+4×S8+2×S9+1×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9h)となる。
【0150】
8S1+6S2+4S3+2S4+S5+8S6+6S7+4S8+2S9+S10≦10・・・(9h)
demand1のXTについては、(1、2、3、4、5、0、0、0、0、0、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(1×S1+2×S2+3×S3+4×S4+5×S5+0×S6+0×S7+0×S8+0×S9+0×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9i)となる。
【0151】
S1+2S2+3S3+4S4+5S5≦8・・・(9i)
demand2のXTについては、(1、2、3、4、5、1、2、3、4、5、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(1×S1+2×S2+3×S3+4×S4+5×S5+1×S6+2×S7+3×S8+4×S9+5×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9j)となる。
【0152】
S1+2S2+3S3+4S4+5S5+S6+2S7+3S8+4S9+5S10≦8・・・(9j)
スパンSp1のスパン制限については、(1、1、1、1、1、0、0、0、0、0、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(1×S1+1×S2+1×S3+1×S4+1×S5+0×S6+0×S7+0×S8+0×S9+0×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9k)となる。
【0153】
S1+S2+S3+S4+S5=1・・・(9k)
スパンSp2のスパン制限については、(0、0、0、0、0、1、1、1、1、1、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(0×S1+0×S2+0×S3+0×S4+0×S5+1×S6+1×S7+1×S8+1×S9+1×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9m)となる。
【0154】
S6+S7+S8+S9+S10=1・・・(9m)
Qth近傍のnegative側の条件式では、(25、23、18、20、22、25、23、18、20、22、1、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(25×S1+23×S2+18×S3+20×S4+22×S5+25×S6+23×S7+18×S8+20×S9+22×S10+1×negError+0×posError)であるので、以下の式(9n)となる。
【0155】
25S1+23S2+18S3+20S4+22S5+25S6+23S7+18S8+20S9+22S10+negError≧40
・・・(9n)
Qth近傍のpositive側の条件式では、(25、23、18、20、22、25、23、18、20、22、0、−1)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(25×S1+23×S2+18×S3+20×S4+22×S5+25×S6+23×S7+18×S8+20×S9+22×S10+0×negError+(−1)×posError)であるので、以下の式(9o)となる。
【0156】
25S1+23S2+18S3+20S4+22S5+25S6+23S7+18S8+20S9+22S10−posError≦40
・・・(9o)
したがって、上記の式(1)および式(8a)〜(8i)を満たすための、式(9a)〜(9o)を線形計画法によって解くと、(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)=(0、0、0、0、1、0、0、1、0、0、0、0)となる。
【0157】
すなわち、S5=1、S8=1であり、その他のパラメータは0となるので、光ネットワーク1cにおいて、上記の制約条件を満たすためには、スパンSp1ではパーツ#5が選択され、スパンSp2ではパーツ#8が選択されることになる。
【0158】
また、設計当初は、目標値Qth(=40)にできるだけ近いQtotalとなるようなパーツ選択としたが、negError=posError=0となるので、Qthと同一値のQtotal=40となるパーツが選択されていることがわかる(パーツ#5のQ値=22、パーツ#8のQ値=18である)。
【符号の説明】
【0159】
10 光ネットワーク設計装置
11 光伝送パラメータ保持部
12 パーツ生成部
13 パーツ選択部
14 構築制御部
15 品質試験部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ネットワーク設計を行う光ネットワーク設計装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ネットワークにおいては、光信号のまま波長単位で、光分岐挿入を実現するOADM(Optical Add Drop Multiplexer)装置や、経路切替を実現するWXC(Wavelength Cross Connect)装置などが用いられて、リングネットワークの相互接続やメッシュといった複雑なトポロジを持つネットワークが構築される。
【0003】
このような複雑化するネットワークに対して、分散補償器などの各種機器の配置の最適化設計を含めた光ネットワーク設計を効率よく行う設計ツールの要望が高まっている。
従来技術としては、各パスの残留分散が許容残留分散の範囲内となるように、各パスに配置された分散補償器の分散補償量を設定する技術が提案されている(特許文献1参照)。また、装置固有の境界性能の評価を行う技術が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】再表2005/006604号公報(第6頁の46行目〜第8頁の26行目、第6図)
【特許文献2】特開平8−297591号公報(段落番号〔0009〕〜〔0012〕、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来における、光ネットワークの設計ツールでは、残留分散値を所定の範囲内に収めるという上記の従来技術のように、1つの設計項目のみを対象にして光ネットワークを設計するといった手法が主流であったために、複数の設計項目に対して一括して設計することができず、所望の特性を満たす最適な光ネットワークを効率よく設計することができないといった問題があった。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、所望の特性を満たす最適な光ネットワークを自動設計する光ネットワーク設計装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、所望の特性を満たす最適な光ネットワークを自動設計する光ネットワーク設計方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、光ネットワークを設計する光ネットワーク設計装置が提供される。光ネットワーク設計装置は、設計対象の前記光ネットワークの構成部品の光伝送パラメータを保持する光伝送パラメータ保持部と、前記光ネットワークの各ノード間のスパン単位に、設計候補となる、前記構成部品を含むパーツを複数個生成するパーツ生成部と、複数の前記パーツの中から、設計条件を満たす前記光伝送パラメータを持つ前記パーツを、スパン毎に選択するパーツ選択部と、選択された前記パーツを組み合わせて、前記光ネットワークを構築する構築制御部とを有する。
【0008】
ここで、光伝送パラメータ保持部は、設計対象の光ネットワークの構成部品の光伝送パラメータを保持する。パーツ生成部は、光ネットワークの各ノード間のスパン単位に、設計候補となる、構成部品を含むパーツを複数個生成する。パーツ選択部は、複数のパーツの中から、設計条件を満たす光伝送パラメータを持つパーツを、スパン毎に選択する。構築制御部は、選択されたパーツを組み合わせて、光ネットワークを構築する。
【発明の効果】
【0009】
所望の特性を満たす光ネットワークの最適設計を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】光ネットワーク設計装置の構成例を示す図である。
【図2】光ネットワーク設計装置による光ネットワーク設計のイメージを示す図である。
【図3】光ネットワーク設計動作の全体フローを示す図である。
【図4】スパン毎のパーツの生成の様子を示す図である。
【図5】パーツ内の構成部品と各種の光伝送パラメータを示すテーブルとを示す図である。
【図6】スパン毎のパーツ候補の中から最適なパーツを選択する様子を示す図である。
【図7】光ネットワーク設計装置のソフトウェアの品質試験を説明するための図である。
【図8】demandを説明するための図である。
【図9】Qthの境界近傍のパーツ選択を説明するための図である。
【図10】目的関数と条件式を説明するための図である。
【図11】伝送ペナルティの制約条件を説明するための図である。
【図12】行列表現による演算式を示す図である。
【図13】2スパンの光ネットワークを示す図である。
【図14】行列表現した演算式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は光ネットワーク設計装置の構成例を示す図である。光ネットワーク設計装置10は、光伝送パラメータ保持部11、パーツ生成部12、パーツ選択部13、構築制御部14および品質試験部15を備える。なお、光ネットワーク設計装置10は、設計者からのデータ入力または設計者へのデータ表示などを行うユーザ・インタフェース機能を備える。
【0012】
光伝送パラメータ保持部11は、設計対象の光ネットワークに関する構成部品の光伝送パラメータを保持する。光伝送パラメータは、あらかじめネットワーク設計者が入力しておく(光伝送パラメータの種類については図5で後述)。パーツ生成部12は、光ネットワークの各ノード間のスパン単位に、設計候補となる、構成部品を含んだパーツを複数個生成する。
【0013】
パーツ選択部13は、複数のパーツの中から、設計条件を満たす光伝送パラメータを持つパーツを、スパン毎に選択する。構築制御部14は、選択されたパーツを組み合わせて、設計対象の光ネットワークを構築する。
【0014】
品質試験部15は、設計後の光ネットワークの信頼性を確認するために、装置内の光ネットワーク設計ソフトウェア(パーツ生成部12、パーツ選択部13および構築制御部14の少なくとも1つの機能)の品質試験を実行する。
【0015】
次に光ネットワーク設計装置10による光ネットワーク設計動作について説明する。図2は光ネットワーク設計装置10による光ネットワーク設計のイメージを示す図である。光ネットワーク1aは、ノードn1〜n4を含む。
【0016】
ノードn1とノードn2は、光ファイバf1により接続し、ノードn2とノードn3は、光ファイバf2により接続し、ノードn3とノードn4は、光ファイバf3により接続し、ノードn4とノードn1は、光ファイバf4により接続している。
【0017】
リング状の光ネットワーク1aに対して、反時計周りの光伝送を行う場合の設計について考える。光ネットワーク設計装置10のパーツ生成部12では、光ネットワーク1aの各ノード間のスパンSp1〜Sp4単位に、設計候補となるパーツを複数用意しておく。
【0018】
各パーツには、光伝送を行うスパン毎の構成部品が含まれる。そして、パーツ選択部13が、スパン毎に所望の条件を満たすパーツを1つ選択し、構築制御部14によって選択されたパーツを組み合わせることで、光ネットワーク1aに配置すべき各種機器の最適化設計を行う。
【0019】
例えば、スパンSp1では、候補となるパーツp1−1〜p1−3が用意されている。パーツp1−1には、構成部品として、ポストアンプ1a−1、光ファイバf1−1、プリアンプ1b−1およびDCM(Dispersion Compensation Module:分散補償モジュール)1c−1が含まれる。
【0020】
同様にして、パーツp1−2には、構成部品として、ポストアンプ1a−2、光ファイバf1−2、プリアンプ1b−2およびDCM1c−2が含まれ、パーツp1−3には、構成部品として、ポストアンプ1a−3、光ファイバf1−3、プリアンプ1b−3およびDCM1c−3が含まれる。
【0021】
ポストアンプ1a−1〜1a−3は、ノードn1の光送信部に設けられるポストアンプの候補である。光ファイバf1−1〜f1−3は、光ファイバf1の候補である。プリアンプ1b−1〜1b−3およびDCM1c−1〜1c−3は、ノードn2の光受信部に設けられるプリアンプおよびDCMの候補である。
【0022】
同様にスパンSp2〜Sp4についても見ていくと、スパンSp2に関して、候補となるパーツp2−1〜p2−3が用意されている。パーツp2−1には、構成部品として、ポストアンプ2a−1、光ファイバf2−1、プリアンプ2b−1およびDCM2c−1が含まれる。
【0023】
パーツp2−2には、構成部品として、ポストアンプ2a−2、光ファイバf2−2、プリアンプ2b−2およびDCM2c−2が含まれ、パーツp2−3には、構成部品として、ポストアンプ2a−3、光ファイバf2−3、プリアンプ2b−3およびDCM2c−3が含まれる。
【0024】
ポストアンプ2a−1〜2a−3は、ノードn2の光送信部に設けられるポストアンプの候補である。光ファイバf2−1〜f2−3は、光ファイバf2の候補である。プリアンプ2b−1〜2b−3およびDCM2c−1〜2c−3は、ノードn3の光受信部に設けられるプリアンプおよびDCMの候補である。
【0025】
スパンSp3に関して、候補となるパーツp3−1〜p3−3が用意されている。パーツp3−1には、構成部品として、ポストアンプ3a−1、光ファイバf3−1、プリアンプ3b−1およびDCM3c−1が含まれる。
【0026】
パーツp3−2には、構成部品として、ポストアンプ3a−2、光ファイバf3−2、プリアンプ3b−2およびDCM3c−2が含まれ、パーツp3−3には、構成部品として、ポストアンプ3a−3、光ファイバf3−3、プリアンプ3b−3およびDCM3c−3が含まれる。
【0027】
ポストアンプ3a−1〜3a−3は、ノードn3の光送信部に設けられるポストアンプの候補である。光ファイバf3−1〜f3−3は、光ファイバf3の候補である。プリアンプ3b−1〜3b−3およびDCM3c−1〜3c−3は、ノードn4の光受信部に設けられるプリアンプおよびDCMの候補である。
【0028】
スパンSp4に関して、候補となるパーツp4−1〜p4−3が用意されている。パーツp4−1には、構成部品として、ポストアンプ4a−1、光ファイバf4−1、プリアンプ4b−1およびDCM4c−1が含まれる。
【0029】
パーツp4−2には、構成部品として、ポストアンプ4a−2、光ファイバf4−2、プリアンプ4b−2およびDCM4c−2が含まれ、パーツp4−3には、構成部品として、ポストアンプ4a−3、光ファイバf4−3、プリアンプ4b−3およびDCM4c−3が含まれる。
【0030】
ポストアンプ4a−1〜4a−3は、ノードn4の光送信部に設けられるポストアンプの候補である。光ファイバf4−1〜f4−3は、光ファイバf4の候補である。プリアンプ4b−1〜4b−3およびDCM4c−1〜4c−3は、ノードn1の光受信部に設けられるプリアンプおよびDCMの候補である。
【0031】
上記のようなパーツ候補の中から、パーツ選択部13は、所望の条件に合うパーツを選択する。なお、パーツ内の構成部品の光伝送パラメータは、パーツ毎に多様に異なる値を持っている。
【0032】
図2では、スパンSp1では、パーツp1−1〜p1−3の中からパーツp1−1を選択し、スパンSp2では、パーツp2−1〜p2−3の中からパーツp2−2を選択し、スパンSp3では、パーツp3−1〜p3−3の中からパーツp3−1を選択し、スパンSp4では、パーツp4−1〜p4−3の中からパーツp4−3を選択している。
【0033】
したがって、光ネットワーク1aの各種機器の配置に関しては、スパンSp1ではパーツp1−1、スパンSp2ではパーツp2−2、スパンSp3ではパーツp3−1、スパンSp4ではパーツp4−3に示される構成部品が配置されることになる。
【0034】
なお、光ネットワーク設計に関し、より具体的には、設計対象の光ネットワークに対して、パーツ生成部12でスパン単位に分割した構成部品候補のパーツを複数用意した上で、パーツ選択部13が、線形(整数)計画法によって、適切な構成(例えば、境界値付近の構成)を算出する。
【0035】
そして、構築制御部14によって、組み合わせたパーツが所望の条件に一致するかしないかを判断し、一致しない場合は、パーツ内の構成部品の性能や特性値を微調整する(詳細は後述)。
【0036】
このように、光ネットワーク設計装置10では、スパン単位であらかじめ用意しておいた、構成部品を含むパーツの中から、所望の条件を満たすパーツを選択していくことで、光ネットワークの最適設計を行う構成とした。
【0037】
これにより、アンプの配置やDCMの配置等といった複数の設計項目に対して、スパン単位に一括して設計することができるので、所望の特性を満たす最適な光ネットワークを効率よく設計することが可能になり、設計工数の大幅な削減を図ることが可能になる。
【0038】
なお、上記では説明を簡単にするために、1つのパーツの中に含まれる構成部品として、代表的なポストアンプ、光ファイバ、プリアンプおよびDCMとしたが、各パーツに含まれる構成部品は任意であって、多様に設定できる。
【0039】
すなわち、1つのパーツの中に、ポストアンプ、光ファイバ、プリアンプおよびDCMがすべて含まれなくてもよいし、これら以外の構成部品が含まれていてもよい(例えば、光フィルタが含まれる等)。また、パーツ毎に構成部品が異なっていてもよい。
【0040】
また、上記では説明のために、すべての構成部品に異なる符号を付けたため、各構成部品はすべて互いに異なる性能を持つように見えるが、そのようにすべて互いに異なる性能を持つものとしてもよいし、同じ構成部品が異なるパーツに含まれていても当然構わない。
【0041】
例えば、パーツp1−1のポストアンプ1a−1とパーツp1−2のポストアンプ1a−2とが同じ部品であり、パーツp1−1のプリアンプ1b−1とパーツp1−2のプリアンプ1b−2とが同じ部品であり、パーツp1−1のDCM1c−1とパーツp1−2のDCM1c−2とが同じ部品であるとする。
【0042】
そして、パーツp1−1の光ファイバf1−1と、パーツp1−2の光ファイバf1−2とだけが異なる性能(ファイバ種別やファイバ長が異なるなど)であるといったようなパーツ構成にしてもよい。
【0043】
次に光ネットワーク設計装置10の他の特徴について説明する。光ネットワークを設計する際には、様々な設計要求があるが、その中でも、ある伝送特性の境界付近の設計をしたいといった要求がある。
【0044】
例えば、コストをなるべく最小に抑えたいなどの理由で、これ以上伝送特性が劣化すると正常な光伝送が不可能になってしまうという境界値付近で、光ネットワークを構築したいなどである。
【0045】
このような、光ネットワークを設計する場合、従来では、多様な伝送特性を持つネットワーク構成を複数発案しておき、それらに対してシミュレーション等を行って、境界値近傍で動作しているか否かを逐次確認するといったことを行わねばならず、大変困難な作業であって、膨大な時間がかかり、多大な工数を浪費していた。
【0046】
これに対し、光ネットワーク設計装置10では、伝送可否の境界付近の伝送特性を有する光ネットワークに関しても、所望のネットワーク構成を精度よくかつ効率よく設計することを可能にする。
【0047】
また、従来では、設計した光ネットワークが、信頼性の高いものか否かを判別する機能を含む設計ツールが存在せず、このため自動設計はしたものの、本当に設計された光ネットワークが、所望の特性で光伝送を行うことが可能な信頼性の高いものであるか否かを効率よく判断することができなかった。
【0048】
これに対し、光ネットワーク設計装置10では、光ネットワークを設計するための動作機能であるソフトウェアの品質試験を行う機能も有しており、これにより、光ネットワーク設計装置10自体の機能の信頼性の向上を図り、これに伴い、設計後の光ネットワークの信頼性の向上を図ることも可能にする。
【0049】
次に光ネットワーク設計装置10における光ネットワーク設計動作について全体フローを用いて説明する。図3は光ネットワーク設計動作の全体フローを示す図である。なお、ステップS1〜S4までは、光ネットワークの設計に関する手順であり、ステップS5、S6は、光ネットワーク設計装置10に組み込まれたソフトウェアの品質試験に関する手順である。
【0050】
〔S1〕パーツ生成部12は、設計対象の光ネットワークに対し、スパン単位に、構成部品を含むパーツを複数生成する。
〔S2〕パーツ選択部13は、スパン単位に、複数のパーツの中から、条件を満たす(目標とする伝送特性に近い)最適なパーツを選択する。
【0051】
〔S3〕構築制御部14は、選択されたパーツが十分に条件を満たすか否かを判別する。例えば、パーツが組み合わされた後の光ネットワークの伝送特性が、正常な光伝送を実現することが可能ではあるが、その伝送特性は、正常な光伝送が不可となる境界近傍に位置しているか否かを判断する。
【0052】
満たしていなければ(境界近傍に位置していなければ)ステップS4へいき、満たしていれば(境界近傍に位置していれば)ステップS5へいく。なお、ここでの境界の近傍値は、ネットワーク設計者があらかじめ設定しておく。
【0053】
〔S4〕構築制御部14は、選択されたパーツに含まれる構成部品の光伝送パラメータを微小変化させ、ステップS2へ戻る。ここまでの段階で、所望の条件を満たす光ネットワークの設計は完了する(仮に完了する)。
【0054】
〔S5〕品質試験部15は、設計された光ネットワークに対して、その光ネットワークを構成する所定のパーツの所定の光伝送パラメータを選択し、該当光伝送パラメータの値を振って、条件を満たす伝送が可能となるか不可能となるかの境界を探索する。
【0055】
〔S6〕品質試験部15は、境界を挟んで伝送可能となる特性値と、あらかじめ算出した伝送可能となる期待値とを比較する。また、伝送不可能となる特性値と、あらかじめ算出した伝送不可能となる期待値とを比較する。そして、いずれの場合も期待値と一致するときは試験結果が良好であると判断し、一致しないときは試験結果が良好でないと判断する(図7で後述)。
【0056】
次に光ネットワーク設計装置10の動作についてさらに詳しく説明する。図4はスパン毎のパーツの生成の様子を示す図である。ノードn1〜n5がシリアルに接続された光ネットワーク1bに対して、左から右方向へ光伝送を行う場合について考える。
【0057】
光ネットワーク1bは、ノードn1〜n5を含み、ノードn1とノードn2は、光ファイバf1により接続し、ノードn2とノードn3は、光ファイバf2により接続し、ノードn3とノードn4は、光ファイバf3により接続し、ノードn4とノードn5は、光ファイバf4により接続している。
【0058】
光ネットワーク設計装置10は、各ノード間のスパンSp1〜Sp4単位に、設計候補となるパーツを複数用意する。スパンSp1では、候補となるパーツp1−1〜p1−3・・・が用意され、スパンSp2では、候補となるパーツp2−1〜p2−3・・・が用意されている。また、スパンSp3では、候補となるパーツp3−1〜p3−3・・・が用意され、スパンSp4では、候補となるパーツp4−1〜p4−3・・・が用意されている。
【0059】
なお、各パーツに含まれる構成部品は、図2で示したパーツ内部の構成と同様のポストアンプ、光ファイバ、プリアンプおよびDCMであるとして、パーツ内部の構成の説明は省略する。
【0060】
ここで、スパンSp1において、ポストアンプ1a−1〜1a−3は、ノードn1の光送信部に設けられるポストアンプの候補である。光ファイバf1−1〜f1−3は、光ファイバf1の候補である。プリアンプ1b−1〜1b−3およびDCM1c−1〜1c−3は、ノードn2の光受信部に設けられるプリアンプおよびDCMの候補である。
【0061】
スパンSp2において、ポストアンプ2a−1〜2a−3は、ノードn2の光送信部に設けられるポストアンプの候補である。光ファイバf2−1〜f2−3は、光ファイバf2の候補である。プリアンプ2b−1〜2b−3およびDCM2c−1〜2c−3は、ノードn3の光受信部に設けられるプリアンプおよびDCMの候補である。
【0062】
スパンSp3において、ポストアンプ3a−1〜3a−3は、ノードn3の光送信部に設けられるポストアンプの候補である。光ファイバf3−1〜f3−3は、光ファイバf3の候補である。プリアンプ3b−1〜3b−3およびDCM3c−1〜3c−3は、ノードn4の光受信部に設けられるプリアンプおよびDCMの候補である。
【0063】
スパンSp4において、ポストアンプ4a−1〜4a−3は、ノードn4の光送信部に設けられるポストアンプの候補である。光ファイバf4−1〜f4−3は、光ファイバf4の候補である。プリアンプ4b−1〜4b−3およびDCM4c−1〜4c−3は、ノードn5の光受信部に設けられるプリアンプおよびDCMの候補である。
【0064】
図5はパーツ内の構成部品と各種の光伝送パラメータを示すテーブルとを示す図である。パーツp1−1は、構成部品として、ポストアンプ1a−1、光ファイバf1−1、プリアンプ1b−1およびDCM1c−1を含む。
【0065】
これらの構成部品に関する光伝送パラメータは、光伝送パラメータ保持部11に格納される。光伝送パラメータとして、例えば、ファイバ関連パラメータ、部品関連パラメータおよび計算パラメータがある。ファイバ関連パラメータには、例えば、ファイバ種類、ファイバ長、ファイバロス値、ファイバ分散値等がある。
【0066】
また、部品関連パラメータには、例えば、ノード種別、ポストアンプ種別、プリアンプ種別、DCM種別等がある。計算パラメータには、例えば、ノイズ値、分散ばらつき値(上限分散値/下限分散値)、PMD(Polarization Mode Dispersion:偏波モード分散)値、XT(Cross Talk:クロストーク)値などがある。
【0067】
また、パーツ内の構成部品に光フィルタ(例えば、DCMの後段に配置)があれば、その光伝送パラメータとして、PBN(Pass Band Narrowing:光フィルタで信号光の帯域が狭まれた際の光ロス値)なども含まれる。なお、これらのパラメータはすべて数値化されて光伝送パラメータ保持部11に保存される。
【0068】
このように、設計対象の光ネットワークに関して、スパン単位に複数のパーツを用意し、このパーツにおいて、各光伝送パラメータ(ファイバ種、ファイバ長、アンプ種、DCM種など)を設定し、設計候補として準備する。
【0069】
また、パーツ生成部12では、光伝送パラメータ保持部11で保持されている上記のような多様な光伝送パラメータを利用して、光伝送パラメータが互いに異なる構成部品を含むパーツを、スパン単位に複数生成する。これにより、1つのスパンに対して、多様な光伝送パラメータを有する複数のパーツが生成されるので、選択候補の幅が広がり、柔軟な光ネットワーク設計を行うことが可能になる。
【0070】
図6はスパン毎のパーツ候補の中から最適なパーツを選択する様子を示す図である。パーツ選択部13は、準備されたパーツの中から、スパン毎に最適なパーツを1つ選択する。図6の場合は、スパンSp1ではパーツp1−2が選択され、スパンSp2ではパーツp2−3が選択され、スパンSp3ではパーツp3−1が選択され、スパンSp4ではパーツp4−3が選択されている。
【0071】
パーツ選択部13がパーツを選択する際には線形計画法による演算を行う。線形計画法を適用することにより、各スパンについて、どのパーツが最適(最適とは、例えば、ネットワーク設計者が前もって指定した、伝送可否の境界に十分近い構成の場合は最適であるとする)であるかが計算される(線形計画法によるパーツ選択の演算方法については後述する)。
【0072】
スパン毎のパーツ選択を行った後は、構築制御部14は、選択されたパーツを組み合わせて光ネットワークを構成し、所望の条件に近いか否かを判別する。所定の光伝送パラメータを可変させて、より所望の条件に近づけることができるような場合には、選択された複数のパーツ内から1つを抽出し、そのパーツ内の任意の光伝送パラメータを微小変化させる。なお、条件の判断は、各光伝送パラメータの有効数字にもとづいて行う。
【0073】
そして、再び、パーツ選択部13は、線形計画法を用いて、パーツの選択をし直して、パーツの組み合わせを再度決める。このように、パーツの組み合わせを再度行うのは、あるパーツ内の光伝送パラメータの変化によって、他パラメータの部分で影響が出て、全体的に所望の構成とはなりえないという可能性があるからである。したがって、光伝送パラメータを微小変化させた場合には、再度、パーツ選択から開始することにする。
【0074】
次に品質試験について説明する。図7は光ネットワーク設計装置10のソフトウェアの品質試験を説明するための図である。光ネットワークの設計が完了すると、その後、設計した光ネットワークの信頼性を確認するために、ソフトウェアの品質試験を行う。ここでいう、ソフトウェアとは、少なくとも、パーツ生成部12、パーツ選択部13、構築制御部14のいずれかの機能のことである。
【0075】
ソフトウェア品質試験を行う場合、まず、設計後の光ネットワークの所定の光伝送パラメータを1つ選び、この光伝送パラメータの値を振って(可変させて)、当初条件を満たす伝送が可能となるか不可能となるかの境界値Vを探索する。
【0076】
そして、境界値Vの一方の伝送可能となる側において、条件を満たす伝送が可能となる、あるポイントP1(第1のポイント)における光ネットワークの特性値(第1の特性値に該当し、例えば、OSNR(Optical Signal to Noise Ratio)とする)を求め、また、ポイントP1のOSNRの期待値を求める。
【0077】
上記のポイントP1におけるOSNRは、品質試験部15が、設計後の光ネットワークのポイントP1におけるOSNRを算出した値である(As1とする)。また、期待値とは、条件を満たす伝送が可能となるポイントP1のOSNRの期待値であって(Ae1とする)、例えば、人が手計算等によって別途算出したものである。品質試験部15は、算出値As1と期待値Ae1とを比較する。
【0078】
一方、境界値Vをまたいだ他方の伝送不可能となる側において、条件を満たす伝送が不可能となる、あるポイントP2(第2のポイント)における光ネットワークの特性値(第2の特性値に該当し、OSNRとする)を求め、また、ポイントP2のOSNRの期待値を求める。
【0079】
上記のポイントP2におけるOSNRは、品質試験部15が、設計後の光ネットワークのポイントP2におけるOSNRを算出した値である(As2とする)。また、期待値は、条件を満たす伝送が不可能となるポイントP2のOSNRの期待値であって(Ae2とする)、例えば、人が手計算等によって別途算出したものである。品質試験部15は、算出値As2と期待値Ae2とを比較する。
【0080】
比較の結果、算出値が期待値と一致して、As1=Ae1かつAs2=Ae2となるならば(両方ともに一致すれば)、光ネットワーク設計装置10の試験結果は良好であり、光ネットワーク設計ソフトウェアの品質が良好であって、このソフトウェアで設計された光ネットワークの信頼性も高いと判断できる。
【0081】
これに対し、算出値が期待値と一致せず、As1≠Ae1またはAs2≠Ae2となるならば(両方ともに一致せず、またはどちらか一方でも等しくなければ)、光ネットワーク設計装置10のソフトウェアの品質は良好でないと判断し、そのソフトウェアで設計された光ネットワークも信頼性が低いと判断できる。なお、試験結果の良否は、ネットワーク設計者に適切な形式で表示される。
【0082】
このように、光ネットワーク設計装置10では、設計した光ネットワークの信頼性を判断するためのソフトウェア品質試験を行うことができるので、自動設計された光ネットワークの信頼性をネットワーク設計者は確認することができ、設計された光ネットワークの信頼性および品質の向上を図ることが可能になる。
【0083】
次に線形計画法によってパーツ選択を行う際のモデリングの一例について以降詳しく説明する。線形計画法では、目標とする1点にできるだけ近くなるところを探すために、目的関数を設定して、目的関数の最小値または最大値(本実施の形態では最小値)を求める。目的関数zは、式(1)で表せる。
【0084】
z=min(negError+posError)・・・(1)
なお、negErrorとposErrorは、変数であり、共に正の値(0を含む)である。
ここで、光ネットワークの伝送特性の指標であるQ値に対して、目標とするQ値をQthとした場合に、Qthの境界近傍の幅を表す条件式について示す。なお、Q値とは、光伝送の品質評価に用いられる指標であり、振幅方向のノイズに対する影響を定量的に示した値である(ノイズ指標値といってよい。また、Q値が大きいほど伝送品質が良好といえる)。
【0085】
光ネットワークに対する、あるパスのQ値が(demandkのQ値が)、目標とするQthの境界付近に位置するための条件式は、以下の式(2a)、式(2b)となる。
【0086】
【数1】
【0087】
なお、demandとは、1つまたは複数のスパンから成る光ネットワーク上のパスのことである。
図8はdemandを説明するための図である。光ネットワーク1bにおいて、demand1は、スパンSp1のパスに該当する。demand2は、スパンSp1、SP2を含むパスに該当する。demand3は、スパンSp1、Sp2、Sp3を含むパスに該当する。demand4は、スパンSp1、Sp2、Sp3、SP4を含むパスに該当する。
【0088】
式(2a)、式(2b)の条件式を満たすnegErrorとposErrorであって、式(1)によるnegErrorとposErrorとの和が最小となるように、demandkのパスに関してパーツを選択することにより、Qthの境界近傍のパーツ構成を抽出できる。
【0089】
図9はQthの境界近傍のパーツ選択を説明するための図である。光ネットワーク1cは、ノードn1〜n3を有し、ノード間は光ファイバでシリアルに接続される。ノードn1、n2間をスパンSp1、ノードn2、n3間をスパンSp2とする。
【0090】
スパンSp1にはパーツs1〜s3の候補があり、スパンSp2にはパーツs4〜s6の候補がある。また、パーツs1〜s3のそれぞれのQ値をQ1〜Q3とし、パーツs4〜s6のそれぞれのQ値をQ4〜Q6とする。
【0091】
ここで、パスPaにおけるQ値の総和Qtotalが、できるだけ目標とするQthに近くなるようなパーツを選択する設計について考える。
式(2a)、(2b)から以下の式(2a−1)、(2b−1)が導かれる。
【0092】
Q1・s1+Q2・s2+Q3・s3+Q4・s4+Q5・s5+Q6・s6+negError≧Qth
・・・(2a−1)
Q1・s1+Q2・s2+Q3・s3+Q4・s4+Q5・s5+Q6・s6−posError≦Qth
・・・(2b−1)
上記の式(2a−1)、(2b−1)を満たし、negErrorとposErrorとの和が最小となるs1、・・・、s6を求める。他の制約条件を示す式と合わせて、解として例えば、(s1、s2、s3、s4、s5、s6)=(0、1、0、0、0、1)が得られたとしたならば、選択されるパーツは、スパンSp1ではパーツs2、スパンSp2ではパーツs6となる。
【0093】
すなわち、パーツs2、パーツs6で光ネットワーク1cを構成することにより、パスPaのQtotalが、Qthの境界ぎりぎりで伝送可能な光ネットワークを構成することができる(これ以上伝送特性が劣化すると正常な光伝送が不可能になってしまうという境界値付近で、光ネットワークを構築している)。
【0094】
図10は目的関数と条件式(2a)、(2b)を説明するための図である。目標とするQth(固定値)に対して、Qtotal(可変値)がQthよりも負側(下方)にあるとすると(Qtotalがnegative側にある場合)、QtotalとQthとの間隔(QtotalとQthとの誤差)を示すnegErrorが、式(2a)を満たすためには、Qth−Qtotal以上の値となる必要がある。
【0095】
また、このとき、posErrorの値にかかわらず、式(2b)は成り立つ(∵posErrorは0または正)。したがって、式(1)でnegErrorとposErrorの和が最小となるのは、negError=Qth−Qtotal、posError=0となり、これは、Qthを基準にして、下方へ向かうQtotalまでの間隔の最小が、Qth−Qtotalであることを示している。
【0096】
一方、目標とするQth(固定値)に対して、Qtotal(可変値)がQthよりも正側(上方)にあるとすると(Qtotalがpositive側にある場合)、QtotalとQthとの間隔(QtotalとQthとの誤差)を示すposErrorは、式(2b)を満たすためには、Qtotal−Qth以上の値となる必要がある。
【0097】
また、このとき、negErrorの値にかかわらず、式(2a)は成り立つ(∵negErrorは0または正)。したがって、式(1)でnegErrorとposErrorの和が最小となるのは、negError=0、posError=Qtotal−Qthとなり、これは、Qthを基準にして、上方へ向かうQtotalまでの間隔の最小が、Qtotal−Qthであることを示している。
【0098】
このように、条件式(2a)、(2b)を満たすnegErrorとposErrorとの和を最小にするということは、目標とするQthの境界付近のQ値の最小幅を求めていることになる。
次に目的関数を最小にするための、その他の制約条件について説明する。光伝送パラメータとして、分散値、Q値、PMD、PBN、XTを使用するものとする。制約条件としては、分散制約条件、Q値制約条件、伝送ペナルティ制約条件、スパン条件などがある。
【0099】
demand個々に分散制約の条件が満たされるための、すべてのdemandに対する分散制約条件は、以下の式(3a)、(3b)となる。
【0100】
【数2】
【0101】
式(3a)は、スパン毎の上限分散値の総和が、分散トレランスの上限値(Upper Tolerance(d))以下であることを示している。すなわち、すべてのdemandに対して、スパン毎の上限分散値の総和が、分散トレランスの上限値を超えないように、スパン単位のパーツ選択を実行しなければならないことを示している。
【0102】
また、式(3b)では、スパン毎の下限分散値の総和が、分散トレランスの下限値(Lower Tolerance(d))以上であることを示している。すなわち、すべてのdemandに対して、スパン毎の下限分散値の総和が、分散トレランスの下限値を下回らないように、スパン単位のパーツ選択を実行しなければならないことを示している。
【0103】
demand個々にQ値制約の条件が満たされるための、すべてのdemandに対するQ値制約条件は、以下の式(4)で表せる。Q値制約条件とは、具体的には、あるOSNRを下回ってはならない制約条件のことである。
【0104】
【数3】
【0105】
式(4)では、スパン毎のQ値の総和が、目標とするQ値であるQth値以下であることを示している。すなわち、すべてのdemandに対して、スパン毎に選択されるべきパーツのQ値の総和が、目標値Qthを超えないように、スパン単位のパーツ選択を実行しなければならないことを示している。
【0106】
demand個々に伝送ペナルティの制約条件が満たされるための、すべてのdemandに対する伝送ペナルティ制約条件は、以下の式(5a)、(5b)、(5c)で表せる。伝送ペナルティ制約条件とは、ある伝送ペナルティの値を超えてはならない制約条件のことである。
【0107】
【数4】
【0108】
PMDの制約条件を表す式(5a)では、スパン毎のPMDの総和が、PMDの下限値(PMDLowth)以下であることを示している。すなわち、すべてのdemandに対して、スパン毎に選択されるべきパーツのPMDの総和が、PMDの下限値を超えないように、スパン単位のパーツ選択を実行しなければならないことを示している。
【0109】
PBNの制約条件を表す式(5b)では、スパン毎のPBNの総和が、PBNの下限値(PBNLowth)以下であることを示している。すなわち、すべてのdemandに対して、スパン毎に選択されるべきパーツのPBNの総和が、PBNの下限値を超えないように、スパン単位のパーツ選択を実行しなければならないことを示している。
【0110】
XTの制約条件を表す式(5c)では、スパン毎のXTの総和が、XTの下限値(XTLowth)以下であることを示している。すなわち、すべてのdemandに対して、スパン毎に選択されるべきパーツのXTの総和が、XTの下限値を超えないように、スパン単位のパーツ選択を実行しなければならないことを示している。
【0111】
なお、式(5a)〜(5c)の代わりに、以下の式(6a)〜(6c)に示すように、PMD、PNT、XTが一定値となるような制約条件を使用することも可能である。
【0112】
【数5】
【0113】
式(6a)はスパン毎のPMDの総和が、PMDの一定値(PMDc)となることを示している。式(6b)では、スパン毎のPBNの総和が、PBNの一定値(PBNc)となることを示している。式(6c)では、スパン毎のXTの総和が、XTの一定値(XTc)となることを示している。
【0114】
図11は伝送ペナルティの制約条件を説明するための図である。PMDを例にして説明する。横軸はPMD、縦軸は伝送ペナルティである。PMDは、伝送ペナルティが0となる値があり、この値がPMDLowthである。PMDLowthを超えると伝送ペナルティは非線形領域に入り、非線形的に変化する。
【0115】
したがって、PMDのどのような組み合わせであっても(PMDのパラメータを有するパーツのどのような組み合わせであっても)、PMDの総和を伝送ペナルティ0に抑えることを制約条件としたいならば、上記の式(5a)を用いることになる。これに対し、スパン毎のPMDの総和を一定値にして、伝送ペナルティを設定値Peにしようとするのであれば、上記の式(6a)に示す制約条件を用いることになる。PBNやXTも同様な考え方である。
【0116】
次にスパン条件について示す。スパン条件は以下の式(7)で表せる。スパン条件とは、1つのスパンには、1つのパーツを配置することを制約条件としたものである。
【0117】
【数6】
【0118】
xelementは、1つのスパンに対する、パーツ候補を数値化するためのパラメータであって、候補に挙がっているパーツは1、候補に挙がっていないパーツは0となる。また、xelementの総和が1ということは、1つのスパンで使用されるパーツは1つであることを意味する(1つのスパンからは1つのパーツを選択することを意味する)。
【0119】
次に上記で示した制約条件を行列表現でまとめた演算式について説明する。図12は行列表現による演算式を示す図である。上記の制約条件式の左辺等を含む行列をA、選択候補のパーツの識別パラメータS1〜SN、negError、posErrorを含む列ベクトルをv1、上記の制約条件式の右辺等を含む列ベクトルをv2としたときのA×v1=v2を示している。以下、図12に示す演算式について行毎に説明する。なお、ここで扱われるPMD、XT、Q値などは、dB値ではなく真数値(線形値)を扱う。
【0120】
行r1は式(1)を示している。行ベクトル(0、0、・・・、0、1、1)と列ベクトル(S1、S2、・・・、SN、negError、posError)との内積をとれば、上記の式(1)となることがわかる。
【0121】
行r2は、式(3a)を表している。行r2の最上段では、demand1における上限分散値の制約条件を示しており、行ベクトル(DUpper 1 d1、DUpper 2 d1、・・・、DUpper N d1、0、0)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、パーツs1〜sNの上限分散値の総和が、demand1の分散トレランスの上限値(Upper Tolerance(d1))以下であることが示される。
【0122】
行r2の最下段では、demandNにおける上限分散値の制約条件を示しており、行ベクトル(DUpper 1 dN、DUpper 2 dN、・・・、DUpper N dN、0、0)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、パーツs1〜sNの上限分散値の総和が、demandNの分散トレランスの上限値(Upper Tolerance(dN))以下であることが示される。
【0123】
行r3は、式(3b)を表している。行r3の最上段では、demand1における下限分散値の制約条件を示しており、行ベクトル(DLower 1 d1、DLower 2 d1、・・・、DLower N d1、0、0)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、パーツs1〜sNの下限分散値の総和が、demand1の分散トレランスの下限値(Lower Tolerance(d1))以上であることが示される。
【0124】
行r3の最下段では、demandNにおける下限分散値の制約条件を示しており、行ベクトル(DLower 1 dN、DLower 2 dN、・・・、DLower N dN、0、0)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、パーツs1〜sNの下限分散値の総和が、demandNの分散トレランスの下限値(Lower Tolerance(dN))以上であることが示される。
【0125】
行r4は、式(4)を表している。行r4の最上段では、demand1のQ値の制約条件を示しており、行ベクトル(Q1 d1、Q2 d1、・・・、QN d1)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、Q値の総和が、demand1における目標とするQth(d1)以下であることが示される。
【0126】
行r4の最下段では、demandNのQ値の制約条件を示しており、行ベクトル(Q1 dN、Q2 dN、・・・、QN dN)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、Q値の総和が、demandNにおける目標とするQth(dN)以下であることが示される。
【0127】
行r5は、式(5a)を表している。行r5の最上段では、demand1におけるPMDの制約条件を示しており、行ベクトル(PMD1 d1、PMD2 d1、・・・、PMDN d1)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、PMDの総和が、demand1におけるPMDの下限値(PMDLowth(d1))以下であることを示している。
【0128】
行r5の最下段では、demandNにおけるPMDの制約条件を示しており、行ベクトル(PMD1 dN、PMD2 dN、・・・、PMDN dN)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、PMDの総和が、demandNにおけるPMDの下限値(PMDLowth(dN))以下であることを示している。
【0129】
行r6は、式(5c)を表している(なお、PBNのパラメータはこの演算例では使用していない)。行r6の最上段では、demand1におけるXTの制約条件を示しており、行ベクトル(XT1 d1、XT2 d1、・・・、XTN d1)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、XTの総和が、demand1におけるXTの下限値(XTLowth(d1))以下であることを示している。
【0130】
行r6の最下段では、demandNにおけるXTの制約条件を示しており、行ベクトル(XT1 dN、XT2 dN、・・・、XTN dN)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積による、XTの総和が、demandNにおけるXTの下限値(XTLowth(dN))以下であることを示している。
【0131】
行r7は、式(7)を表している。行r7の最上段では、スパンSp1におけるスパン条件を示しており、行ベクトル(xSpan1 1、xSpan1 2、・・・、xSpan1 N)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積をとった値が1となることを示している(すなわち、スパンSp1には、選択されるべきパーツが1つであることが示される)。
【0132】
行r7の最下段では、スパンSpNにおけるスパン条件を示しており、行ベクトル(xSpan N 1、xSpan N 2、・・・、xSpan N N)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積をとった値が1となることを示している(すなわち、スパンSpNには、選択されるべきパーツが1つであることが示される)。
【0133】
行r8−1は、式(2a)を表している。行ベクトル(Q1 dN、Q2 dN、・・・、QN dN、1、0)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積をとった値がQth(dN)以上となることを示している。
【0134】
行r8−2は、式(2b)を表している。行ベクトル(Q1 dN、Q2 dN、・・・、QN dN、0、−1)と列ベクトル(s1、s2、・・・、sN、negError、posError)との内積をとった値がQth(dN)以下となることを示している。
【0135】
次に具体的な演算の一例について説明する。図13は2スパンの光ネットワークを示す図である。光ネットワーク1cは、ノードn1〜n3を有し、ノード間は光ファイバでシリアルに接続される。
【0136】
ノードn1、n2間をスパンSp1、ノードn2、n3間をスパンSp2とする。また、ノードn1からノードn2へ向かうパスをdemand1とし、ノードn1からノードn2を経由してノードn3へ向かうパスをdemand2とする。
【0137】
スパンSp1におけるパーツ候補には、パーツ#1〜#5があり、スパンSp2におけるパーツ候補には、パーツ#6〜#10がある。また、各パーツの光伝送パラメータとしては、PMD、XT、Q値(Q)、上限分散値(D上限)、下限分散値(D下限)が含まれる。
【0138】
パーツ#1の光伝送パラメータの値は、PMD=8、XT=1、Q値=25、上限分散値=45、下限分散値=0である。パーツ#2の光伝送パラメータの値は、PMD=6、XT=2、Q値=23、上限分散値=50、下限分散値=5である。パーツ#3の光伝送パラメータの値は、PMD=4、XT=3、Q値=18、上限分散値=40、下限分散値=0である。パーツ#4の光伝送パラメータの値は、PMD=2、XT=4、Q値=20、上限分散値=40、下限分散値=10である。パーツ#5の光伝送パラメータの値は、PMD=1、XT=5、Q値=22、上限分散値=50、下限分散値=0である。
【0139】
また、パーツ#6の光伝送パラメータの値は、PMD=8、XT=1、Q値=25、上限分散値=15、下限分散値=5である。パーツ#7の光伝送パラメータの値は、PMD=6、XT=2、Q値=23、上限分散値=18、下限分散値=−3である。パーツ#8の光伝送パラメータの値は、PMD=4、XT=3、Q値=18、上限分散値=15、下限分散値=5である。パーツ#9の光伝送パラメータの値は、PMD=2、XT=4、Q値=20、上限分散値=20、下限分散値=2である。パーツ#10の光伝送パラメータの値は、PMD=1、XT=5、Q値=22、上限分散値=25、下限分散値=5である。
【0140】
一方、制約条件を、以下の式(8a)〜(8g)と設定する。
PMD≦10・・・(8a)
XT≦8・・・(8b)
Q≦40・・・(8c)
D上限値(demand1)≦1000・・・(8d)
D上限値(demand2)≦900・・・(8e)
D下限値(demand1)≧−100・・・(8f)
D下限値(demand2)≧−70・・・(8g)
また、スパンSp1で選択されるパーツのQ値と、スパンSp2で選択されるパーツのQ値との合計をQtotalとした際に、QtotalがなるべくQth(=40)に近い値となるように、目的関数を最小化する。
【0141】
Qtotal+negError≧Qth(=40)・・・(8h)
Qtotal−posError≦Qth(=40)・・・(8i)
図14は行列表現した演算式を示す図である。行毎に以下説明する。目的関数については、(0、0、0、0、0、0、0、0、0、0、1、1)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積の結果の最小値を求めることになるので、(0×S1+0×S2+0×S3+0×S4+0×S5+0×S6+0×S7+0×S8+0×S9+0×S10+1×negError+1×posError)=negError+posError→Minとなる。
【0142】
demand1の上限分散値については、(45、50、40、40、50、0、0、0、0、0、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(45×S1+50×S2+40×S3+40×S4+50×S5+0×S6+0×S7+0×S8+0×S9+0×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9a)となる。
【0143】
45S1+50S2+40S3+40S4+50S5≦1000・・・(9a)
demand2の上限分散値については、(45、50、40、40、50、15、18、15、20、25、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(45×S1+50×S2+40×S3+40×S4+50×S5+15×S6+18×S7+15×S8+20×S9+25×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9b)となる。
【0144】
45S1+50S2+40S3+40S4+50S5+15S6+18S7+15S8+20S9+25S10≦900・・・(9b)
demand1の下限分散値については、(0、5、0、10、0、0、0、0、0、0、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(0×S1+5×S2+0×S3+10×S4+0×S5+0×S6+0×S7+0×S8+0×S9+0×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9c)となる。
【0145】
5S2+10S4≧−100・・・(9c)
demand2の下限分散値については、(0、5、0、10、0、5、−3、5、2、5、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(0×S1+5×S2+0×S3+10×S4+0×S5+5×S6+(−3)×S7+5×S8+2×S9+5×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9d)となる。
【0146】
5S2+10S4+5S6−3S7+5S8+2S9+5S10≧−70・・・(9d)
demand1のQ値については、(25、23、18、20、22、0、0、0、0、0、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(25×S1+23×S2+18×S3+20×S4+22×S5+0×S6+0×S7+0×S8+0×S9+0×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9e)となる。
【0147】
25S1+23S2+18S3+20S4+22S5≦40・・・(9e)
demand2のQ値については、(25、23、18、20、22、25、23、18、20、22、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(25×S1+23×S2+18×S3+20×S4+22×S5+25×S6+23×S7+18×S8+20×S9+22×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9f)となる。
【0148】
25S1+23S2+18S3+20S4+22S5+25S6+23S7+18S8+20S9+22S10≦40・・・(9f)
demand1のPMDについては、(8、6、4、2、1、0、0、0、0、0、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(8×S1+6×S2+4×S3+2×S4+1×S5+0×S6+0×S7+0×S8+0×S9+0×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9g)となる。
【0149】
8S1+6S2+4S3+2S4+S5≦10・・・(9g)
demand2のPMDについては、(8、6、4、2、1、8、6、4、2、1、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(8×S1+6×S2+4×S3+2×S4+1×S5+8×S6+6×S7+4×S8+2×S9+1×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9h)となる。
【0150】
8S1+6S2+4S3+2S4+S5+8S6+6S7+4S8+2S9+S10≦10・・・(9h)
demand1のXTについては、(1、2、3、4、5、0、0、0、0、0、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(1×S1+2×S2+3×S3+4×S4+5×S5+0×S6+0×S7+0×S8+0×S9+0×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9i)となる。
【0151】
S1+2S2+3S3+4S4+5S5≦8・・・(9i)
demand2のXTについては、(1、2、3、4、5、1、2、3、4、5、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(1×S1+2×S2+3×S3+4×S4+5×S5+1×S6+2×S7+3×S8+4×S9+5×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9j)となる。
【0152】
S1+2S2+3S3+4S4+5S5+S6+2S7+3S8+4S9+5S10≦8・・・(9j)
スパンSp1のスパン制限については、(1、1、1、1、1、0、0、0、0、0、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(1×S1+1×S2+1×S3+1×S4+1×S5+0×S6+0×S7+0×S8+0×S9+0×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9k)となる。
【0153】
S1+S2+S3+S4+S5=1・・・(9k)
スパンSp2のスパン制限については、(0、0、0、0、0、1、1、1、1、1、0、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(0×S1+0×S2+0×S3+0×S4+0×S5+1×S6+1×S7+1×S8+1×S9+1×S10+0×negError+0×posError)であるので、以下の式(9m)となる。
【0154】
S6+S7+S8+S9+S10=1・・・(9m)
Qth近傍のnegative側の条件式では、(25、23、18、20、22、25、23、18、20、22、1、0)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(25×S1+23×S2+18×S3+20×S4+22×S5+25×S6+23×S7+18×S8+20×S9+22×S10+1×negError+0×posError)であるので、以下の式(9n)となる。
【0155】
25S1+23S2+18S3+20S4+22S5+25S6+23S7+18S8+20S9+22S10+negError≧40
・・・(9n)
Qth近傍のpositive側の条件式では、(25、23、18、20、22、25、23、18、20、22、0、−1)と(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)との内積が、(25×S1+23×S2+18×S3+20×S4+22×S5+25×S6+23×S7+18×S8+20×S9+22×S10+0×negError+(−1)×posError)であるので、以下の式(9o)となる。
【0156】
25S1+23S2+18S3+20S4+22S5+25S6+23S7+18S8+20S9+22S10−posError≦40
・・・(9o)
したがって、上記の式(1)および式(8a)〜(8i)を満たすための、式(9a)〜(9o)を線形計画法によって解くと、(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、negError、posError)=(0、0、0、0、1、0、0、1、0、0、0、0)となる。
【0157】
すなわち、S5=1、S8=1であり、その他のパラメータは0となるので、光ネットワーク1cにおいて、上記の制約条件を満たすためには、スパンSp1ではパーツ#5が選択され、スパンSp2ではパーツ#8が選択されることになる。
【0158】
また、設計当初は、目標値Qth(=40)にできるだけ近いQtotalとなるようなパーツ選択としたが、negError=posError=0となるので、Qthと同一値のQtotal=40となるパーツが選択されていることがわかる(パーツ#5のQ値=22、パーツ#8のQ値=18である)。
【符号の説明】
【0159】
10 光ネットワーク設計装置
11 光伝送パラメータ保持部
12 パーツ生成部
13 パーツ選択部
14 構築制御部
15 品質試験部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ネットワークを設計する光ネットワーク設計装置において、
設計対象の前記光ネットワークの構成部品の光伝送パラメータを保持する光伝送パラメータ保持部と、
前記光ネットワークの各ノード間のスパン単位に、設計候補となる、前記構成部品を含むパーツを複数個生成するパーツ生成部と、
複数の前記パーツの中から、設計条件を満たす前記光伝送パラメータを持つ前記パーツを、スパン毎に選択するパーツ選択部と、
選択された前記パーツを組み合わせて、前記光ネットワークを構築する構築制御部と、
を有することを特徴とする光ネットワーク設計装置。
【請求項2】
前記構築制御部は、前記パーツが組み合わされた後の前記光ネットワークの伝送特性が、正常な光伝送が実現される特性ではあるが、前記特性が正常な光伝送が不可となる境界近傍に位置するか否かを判断し、境界近傍に位置しない場合には、前記パーツ内の前記構成部品の前記光伝送パラメータを微小変化させ、
前記パーツ選択部は、微小変化させた後の前記パーツを含めて、再度、前記パーツの選択を行う、
ことを特徴とする請求項1記載の光ネットワーク設計装置。
【請求項3】
前記光伝送パラメータ保持部は、
前記パーツ内の前記構成部品の前記光伝送パラメータとして、ファイバ関連パラメータ、部品関連パラメータおよび計算パラメータを有し、
前記ファイバ関連パラメータは、ファイバ種類、ファイバ長、ファイバロス値、ファイバ分散値の少なくとも1つを含み、
前記部品関連パラメータは、ノード種別、ポストアンプ種別、プリアンプ種別、分散補償モジュール種別の少なくとも1つを含み、
前記計算パラメータは、ノイズ値、分散値、偏波モード分散値、クロストーク値、光フィルタロス値の少なくとも1つを含んで、すべての前記光伝送パラメータを数値化して保存し、
前記パーツ生成部は、前記光伝送パラメータ保持部で保持されている前記光伝送パラメータを利用して、前記光伝送パラメータが互いに異なる前記構成部品を含む前記パーツを複数生成する、
ことを特徴とする請求項1記載の光ネットワーク設計装置。
【請求項4】
前記光ネットワークの設計機能の品質を試験する品質試験部をさらに有し、
前記品質試験部は、
設計完了後の前記光ネットワークの所定の前記光伝送パラメータを選択し、前記光伝送パラメータの値を可変させて、伝送が可能となるか不可能となるかの境界値を探索し、
前記境界値の一方の伝送可能となる側に位置する第1のポイントにおける前記光ネットワークの第1の特性値を算出し、
前記境界値の他方の伝送不可能となる側に位置する第2のポイントにおける前記光ネットワークの第2の特性値を算出し、
前記第1の特性値と前記第1のポイントの期待値とを比較し、前記第2の特性値と前記第2のポイントの期待値とを比較し、
比較結果が双方ともに一致する場合には、品質良好であることを通知する、
ことを特徴とする請求項1記載の光ネットワーク設計装置。
【請求項5】
前記パーツ選択部は、
設計対象の前記光ネットワーク上に1つまたは複数の前記スパンを含むパスに対して、前記パスに含まれる前記スパン毎に、前記パーツを選択する際に、
選択される場合は1、選択されない場合は0となる前記パーツを識別するパラメータをs1、・・・、sk、パーツs1〜skそれぞれのノイズ指標値をQ1、・・・、Qk、前記スパン毎の前記ノイズ指標値の総和の目標値をQth、前記ノイズ指標値の総和と前記目標値との負側の誤差をnegError、前記ノイズ指標値の総和と前記目標値との正側の誤差をposErrorとした場合に、
Q1・s1+Q2・s2+・・・+Qk・sk+negError≧Qth
Q1・s1+Q2・s2+・・・+Qk・sk−posError≦Qth
の双方を満たし、negErrorとposErrorとの和が最小となるような(s1、・・・、sk、negError、−posError)を求めることにより、
前記目標値の近傍に位置するノイズ特性で光伝送が行われる前記パスを構築するための、前記パーツの選択を行うことを特徴とする請求項1記載の光ネットワーク設計装置。
【請求項6】
光ネットワークを設計する光ネットワーク設計方法において、
設計対象の前記光ネットワークの構成部品の光伝送パラメータを保持し、
前記光ネットワークの各ノード間のスパン単位に、設計候補となる、前記構成部品を含むパーツを複数個生成し、
複数の前記パーツの中から、設計条件を満たす前記光伝送パラメータを持つ前記パーツを、スパン毎に選択し、
選択された前記パーツを組み合わせて、前記光ネットワークを構築する、
ことを特徴とする光ネットワーク設計方法。
【請求項7】
前記パーツが組み合わされた後の前記光ネットワークの伝送特性が、正常な光伝送が実現される特性ではあるが、前記特性が正常な光伝送が不可となる境界近傍に位置するか否かを判断し、境界近傍に位置しない場合には、前記パーツ内の前記構成部品の前記光伝送パラメータを微小変化させ、
微小変化させた後の前記パーツを含めて、再度、前記パーツの選択を行う、
ことを特徴とする請求項6記載の光ネットワーク設計方法。
【請求項8】
前記パーツ内の前記構成部品の前記光伝送パラメータとして、ファイバ関連パラメータ、部品関連パラメータおよび計算パラメータを有し、
前記ファイバ関連パラメータは、ファイバ種類、ファイバ長、ファイバロス値、ファイバ分散値の少なくとも1つを含み、
前記部品関連パラメータは、ノード種別、ポストアンプ種別、プリアンプ種別、分散補償モジュール種別の少なくとも1つを含み、
前記計算パラメータは、ノイズ値、分散値、偏波モード分散値、クロストーク値、光フィルタロス値の少なくとも1つを含んで、すべての前記光伝送パラメータを数値化して保存し、
保持されている前記光伝送パラメータを利用して、前記光伝送パラメータが互いに異なる前記構成部品を含む前記パーツを複数生成する、
ことを特徴とする請求項6記載の光ネットワーク設計方法。
【請求項9】
設計完了後の前記光ネットワークの所定の前記光伝送パラメータを選択し、前記光伝送パラメータの値を可変させて、伝送が可能となるか不可能となるかの境界値を探索し、
前記境界値の一方の伝送可能となる側に位置する第1のポイントにおける前記光ネットワークの第1の特性値を算出し、
前記境界値の他方の伝送不可能となる側に位置する第2のポイントにおける前記光ネットワークの第2の特性値を算出し、
前記第1の特性値と前記第1のポイントの期待値とを比較し、前記第2の特性値と前記第2のポイントの期待値とを比較し、
比較結果が双方ともに一致する場合には、品質良好であることを通知する、
ことを特徴とする請求項6記載の光ネットワーク設計方法。
【請求項10】
設計対象の前記光ネットワーク上に1つまたは複数の前記スパンを含むパスに対して、前記パスに含まれる前記スパン毎に、前記パーツを選択する際に、
選択される場合は1、選択されない場合は0となる前記パーツを識別するパラメータをs1、・・・、sk、パーツs1〜skそれぞれのノイズ指標値をQ1、・・・、Qk、前記スパン毎の前記ノイズ指標値の総和の目標値をQth、前記ノイズ指標値の総和と前記目標値との負側の誤差をnegError、前記ノイズ指標値の総和と前記目標値との正側の誤差をposErrorとした場合に、
Q1・s1+Q2・s2+・・・+Qk・sk+negError≧Qth
Q1・s1+Q2・s2+・・・+Qk・sk−posError≦Qth
の双方を満たし、negErrorとposErrorとの和が最小となるような(s1、・・・、sk、negError、−posError)を求めることにより、
前記目標値の近傍に位置するノイズ特性で光伝送が行われる前記パスを構築するための、前記パーツの選択を行うことを特徴とする請求項6記載の光ネットワーク設計方法。
【請求項1】
光ネットワークを設計する光ネットワーク設計装置において、
設計対象の前記光ネットワークの構成部品の光伝送パラメータを保持する光伝送パラメータ保持部と、
前記光ネットワークの各ノード間のスパン単位に、設計候補となる、前記構成部品を含むパーツを複数個生成するパーツ生成部と、
複数の前記パーツの中から、設計条件を満たす前記光伝送パラメータを持つ前記パーツを、スパン毎に選択するパーツ選択部と、
選択された前記パーツを組み合わせて、前記光ネットワークを構築する構築制御部と、
を有することを特徴とする光ネットワーク設計装置。
【請求項2】
前記構築制御部は、前記パーツが組み合わされた後の前記光ネットワークの伝送特性が、正常な光伝送が実現される特性ではあるが、前記特性が正常な光伝送が不可となる境界近傍に位置するか否かを判断し、境界近傍に位置しない場合には、前記パーツ内の前記構成部品の前記光伝送パラメータを微小変化させ、
前記パーツ選択部は、微小変化させた後の前記パーツを含めて、再度、前記パーツの選択を行う、
ことを特徴とする請求項1記載の光ネットワーク設計装置。
【請求項3】
前記光伝送パラメータ保持部は、
前記パーツ内の前記構成部品の前記光伝送パラメータとして、ファイバ関連パラメータ、部品関連パラメータおよび計算パラメータを有し、
前記ファイバ関連パラメータは、ファイバ種類、ファイバ長、ファイバロス値、ファイバ分散値の少なくとも1つを含み、
前記部品関連パラメータは、ノード種別、ポストアンプ種別、プリアンプ種別、分散補償モジュール種別の少なくとも1つを含み、
前記計算パラメータは、ノイズ値、分散値、偏波モード分散値、クロストーク値、光フィルタロス値の少なくとも1つを含んで、すべての前記光伝送パラメータを数値化して保存し、
前記パーツ生成部は、前記光伝送パラメータ保持部で保持されている前記光伝送パラメータを利用して、前記光伝送パラメータが互いに異なる前記構成部品を含む前記パーツを複数生成する、
ことを特徴とする請求項1記載の光ネットワーク設計装置。
【請求項4】
前記光ネットワークの設計機能の品質を試験する品質試験部をさらに有し、
前記品質試験部は、
設計完了後の前記光ネットワークの所定の前記光伝送パラメータを選択し、前記光伝送パラメータの値を可変させて、伝送が可能となるか不可能となるかの境界値を探索し、
前記境界値の一方の伝送可能となる側に位置する第1のポイントにおける前記光ネットワークの第1の特性値を算出し、
前記境界値の他方の伝送不可能となる側に位置する第2のポイントにおける前記光ネットワークの第2の特性値を算出し、
前記第1の特性値と前記第1のポイントの期待値とを比較し、前記第2の特性値と前記第2のポイントの期待値とを比較し、
比較結果が双方ともに一致する場合には、品質良好であることを通知する、
ことを特徴とする請求項1記載の光ネットワーク設計装置。
【請求項5】
前記パーツ選択部は、
設計対象の前記光ネットワーク上に1つまたは複数の前記スパンを含むパスに対して、前記パスに含まれる前記スパン毎に、前記パーツを選択する際に、
選択される場合は1、選択されない場合は0となる前記パーツを識別するパラメータをs1、・・・、sk、パーツs1〜skそれぞれのノイズ指標値をQ1、・・・、Qk、前記スパン毎の前記ノイズ指標値の総和の目標値をQth、前記ノイズ指標値の総和と前記目標値との負側の誤差をnegError、前記ノイズ指標値の総和と前記目標値との正側の誤差をposErrorとした場合に、
Q1・s1+Q2・s2+・・・+Qk・sk+negError≧Qth
Q1・s1+Q2・s2+・・・+Qk・sk−posError≦Qth
の双方を満たし、negErrorとposErrorとの和が最小となるような(s1、・・・、sk、negError、−posError)を求めることにより、
前記目標値の近傍に位置するノイズ特性で光伝送が行われる前記パスを構築するための、前記パーツの選択を行うことを特徴とする請求項1記載の光ネットワーク設計装置。
【請求項6】
光ネットワークを設計する光ネットワーク設計方法において、
設計対象の前記光ネットワークの構成部品の光伝送パラメータを保持し、
前記光ネットワークの各ノード間のスパン単位に、設計候補となる、前記構成部品を含むパーツを複数個生成し、
複数の前記パーツの中から、設計条件を満たす前記光伝送パラメータを持つ前記パーツを、スパン毎に選択し、
選択された前記パーツを組み合わせて、前記光ネットワークを構築する、
ことを特徴とする光ネットワーク設計方法。
【請求項7】
前記パーツが組み合わされた後の前記光ネットワークの伝送特性が、正常な光伝送が実現される特性ではあるが、前記特性が正常な光伝送が不可となる境界近傍に位置するか否かを判断し、境界近傍に位置しない場合には、前記パーツ内の前記構成部品の前記光伝送パラメータを微小変化させ、
微小変化させた後の前記パーツを含めて、再度、前記パーツの選択を行う、
ことを特徴とする請求項6記載の光ネットワーク設計方法。
【請求項8】
前記パーツ内の前記構成部品の前記光伝送パラメータとして、ファイバ関連パラメータ、部品関連パラメータおよび計算パラメータを有し、
前記ファイバ関連パラメータは、ファイバ種類、ファイバ長、ファイバロス値、ファイバ分散値の少なくとも1つを含み、
前記部品関連パラメータは、ノード種別、ポストアンプ種別、プリアンプ種別、分散補償モジュール種別の少なくとも1つを含み、
前記計算パラメータは、ノイズ値、分散値、偏波モード分散値、クロストーク値、光フィルタロス値の少なくとも1つを含んで、すべての前記光伝送パラメータを数値化して保存し、
保持されている前記光伝送パラメータを利用して、前記光伝送パラメータが互いに異なる前記構成部品を含む前記パーツを複数生成する、
ことを特徴とする請求項6記載の光ネットワーク設計方法。
【請求項9】
設計完了後の前記光ネットワークの所定の前記光伝送パラメータを選択し、前記光伝送パラメータの値を可変させて、伝送が可能となるか不可能となるかの境界値を探索し、
前記境界値の一方の伝送可能となる側に位置する第1のポイントにおける前記光ネットワークの第1の特性値を算出し、
前記境界値の他方の伝送不可能となる側に位置する第2のポイントにおける前記光ネットワークの第2の特性値を算出し、
前記第1の特性値と前記第1のポイントの期待値とを比較し、前記第2の特性値と前記第2のポイントの期待値とを比較し、
比較結果が双方ともに一致する場合には、品質良好であることを通知する、
ことを特徴とする請求項6記載の光ネットワーク設計方法。
【請求項10】
設計対象の前記光ネットワーク上に1つまたは複数の前記スパンを含むパスに対して、前記パスに含まれる前記スパン毎に、前記パーツを選択する際に、
選択される場合は1、選択されない場合は0となる前記パーツを識別するパラメータをs1、・・・、sk、パーツs1〜skそれぞれのノイズ指標値をQ1、・・・、Qk、前記スパン毎の前記ノイズ指標値の総和の目標値をQth、前記ノイズ指標値の総和と前記目標値との負側の誤差をnegError、前記ノイズ指標値の総和と前記目標値との正側の誤差をposErrorとした場合に、
Q1・s1+Q2・s2+・・・+Qk・sk+negError≧Qth
Q1・s1+Q2・s2+・・・+Qk・sk−posError≦Qth
の双方を満たし、negErrorとposErrorとの和が最小となるような(s1、・・・、sk、negError、−posError)を求めることにより、
前記目標値の近傍に位置するノイズ特性で光伝送が行われる前記パスを構築するための、前記パーツの選択を行うことを特徴とする請求項6記載の光ネットワーク設計方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−18104(P2011−18104A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160526(P2009−160526)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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