説明

光ピックアップレンズの外観検査方法

【課題】正確かつ短い時間で外観検査できる、光ピックアップレンズの外観検査方法を提供するものである。
【解決手段】本発明によれば、レンズと、前記レンズ表面の外縁に形成された凹凸部とを有し、前記凹凸部が前記レンズの光学的欠陥の形状及び大きさに、少なくとも1つ形成された光ピックアップレンズの外観検査方法であって、前記レンズの表面に光学的欠陥が見られるときに、前記凹凸部と比較し、その比較により前記レンズの良否を判定することを特徴とする光ピックアップレンズの外観検査方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップレンズ及びその外観検査方法に関し、特に、光ディスクなどの円形の情報記録媒体に対して情報記録または情報再生を可能とする光学ディスク装置に用いられる樹脂製のレンズの外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスクへの情報の記録または、光ディスクからの情報の再生を行う光ディスクを装置のドライブ装置には、光ピックアップ装置が搭載されている。以下に、従来の光ピックアップ装置の構成例について図11を参照しながら詳細に説明する。
【0003】
図11は、従来の光ピックアップ装置の構成を説明するための概念図である。図11(A)は従来の厚型のタイプの光ピックアップ装置におけるその構成を説明するための断面図であり、図11(B)は従来の薄型のタイプの光ピックアップ装置におけるその構成を説明するための断面図である。
【0004】
図11(A)に示すように、厚型タイプの光ピックアップ装置は、レーザービーム(光束)を発生させる半導体などの光源および、情報記録媒体である光ディスク4からの反射ビームを受光する受光素子を備えた光学ユニット1と、この光源からの光を平行光にするコリメートレンズ2とが、ハウジング3に取り付けられ保持されており、コリメートレンズ2と光ディスク4の間にレンズホルダ5が取り付けられ、コリメートレンズ2からの平行光を光ディスクの表面に集光させる対物レンズ6とが配置されている。
【0005】
対物レンズ6は対物レンズ駆動機構の稼動部であるレンズホルダ5に固定されている。この対物レンズ駆動機構はコイルに通電することにより対物レンズ6をレンズの光軸C方向および光ディスクの表面に沿った半径方向にそれぞれ独立して駆動させることができ、これによりフォーカス制御およびトラッキング制御を行う。
【0006】
上記構成により、光学ユニット1に設けられた光源からのレーザービームは、コリメートレンズ2さらには対物レンズ6を通って光ディスク4の表面上に照射されて反射され、その反射ビームは対物レンズ6からコリメートレンズ2を通って光学ユニット1に設けられた受光素子の表面上に戻って受光される。このとき対物レンズ駆動機構により対物レンズ6をディスク4に接近させたり離間させたりしてフォーカス制御を行うとともに、光ディスク4の表面に沿って移動させてトラッキング制御を行っている。
【0007】
また、図11(B)に示すように、薄型タイプの光ピックアップ装置は光学ユニット1とコリメートレンズ2とが、光ディスク4の表面と平行な方向に配置されており、コリメートレンズ2と対物レンズ6との間には反射ミラー7が配置されて、反射ミラー7により光の方向がコリメートレンズ2の水平光軸地物レンズ6の垂直光軸Cとの間で90度変化する。
【0008】
上記構成により、光学ユニット1に設けられた光源からのレーザービームは、コリメートレンズ2を通って、反射ミラー7で反射して90度方向が変化した後、対物レンズ6を通って光ディスク4の表面上に照射されて反射され、その反射ビームは対物レンズ6を通って、反射ミラー7で反射されて90度方向が変化した後、コリメートレンズ2を通って光学ユニットに設けられた受光素子の表面上に戻って受光される。
【0009】
このように光学ユニット1とコリメートレンズ2とがディスク4表面と平行な方向に配置されてハウジング3Bに取り付けられているため、光学ユニット1がディスク4表面に垂直な方向に配置されてハウジング3に取り付けられている構成に比べて、装置の薄型を図ることができる。
【0010】
このような光ピックアップ装置では、対物レンズおよびコリメートレンズなどの軸対象レンズとしてコストダウンを図るために、一般的に樹脂を射出成型して作製されるプラスチックレンズが使用されている。
【0011】
しかし、このようなレンズは、樹脂を射出成型するときのモールド成型時における樹脂の流れ方や成型条件等により、非点収差(光学的な歪み)が発生したり、非点収差がばらついたりする。
【0012】
この非点収差は光ピックアップ装置の性能に影響する。このため、非点収差をなくすようにレンズの取り付けを行う必要があり、光ピックアップ装置の量産時には、ピンセットなどを用いて、対物レンズやコリメートレンズなどの各レンズを、そのレンズ光軸Cを回転中心として回転させて、光ディスクの記録表面に形成される集光スポットが最良となる角度を調べて、その所定の角度にレンズが取り付ける必要がある。
【0013】
このような背景から、レンズの角度を調整する技術が開発されている。例えば、光ピックアップレンズにおけるレンズとレンズホルダに、レンズの光軸を回転中心にして回転方向に目印を設ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、光ディスクの記録表面に形成される集光スポットが最良となる角度にレンズを取り付ける技術として、樹脂を成型して作製される軸対称レンズにおいて、周辺部に凹凸が複数配設されているレンズが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004−253080号公報
【特許文献2】特開2006−64886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、レンズ光軸Cを回転中心として各レンズを回転させて、非点収差をなくすようにレンズの取り付けを行っても、光ピックアップ装置の性能がばらついてしまうことがある。例えば、レンズにキズやごみ、汚れ等があるために、光ピックアップ装置の性能がばらついてしまうことがある。
【0016】
このため、光ピックアップ装置の製造において、キズや汚れ等の欠陥があるレンズが製造に用いられて取り付けられないように、光ピックアップレンズの外観検査が必要となる。例えば、肉眼や顕微鏡を用いて、キズや汚れ等の欠陥が性能に影響する規定以上の数存在しないか(いわゆる膜抜け、ポツ、傷、ゴミ汚れ、内部ゴミ等が規定以上の大きさ、かつ個数存在しないか等)外観検査(目視検査等)を行い、規定以上の光ピックアップレンズを取り除いている。
【0017】
しかし、このような外観検査は、光ピックアップ装置の仕様に応じてその規定が異なる。例えば、キズやいわゆる面欠陥(ゴミ、膜抜け等)など、欠陥の形状が異なるためその規定が異なったり、その大きさにより許容される欠陥の数が異なったりする。また、面欠陥がゴミによるものか、膜抜けによるものかにより、その許容される大きさが異なったりする。このため、正確な欠陥の判定が難しく、正確に外観の良否を判定する光ピックアップレンズの外観検査の方法が望まれている。
【0018】
また、より正確に外観不良の欠陥を判定するため、キズや汚れ等の欠陥の大きさを測定したり、外観不良の見本と比較したりすることが行われているが、その検査に時間がかかり、光ピックアップレンズの外観検査で、その検査時間を短縮することが望まれている。
【0019】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、正確かつ短い時間で外観検査できる、光ピックアップレンズの外観検査方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明によれば、レンズと、前記レンズ表面の外縁に形成された凹凸部とを有し、前記凹凸部が前記レンズの光学的欠陥の形状及び大きさに、少なくとも1つ形成された光ピックアップレンズの外観検査方法であって、前記レンズの表面に光学的欠陥が見られるときに、前記凹凸部と比較し、その比較により前記レンズの良否を判定することを特徴とする光ピックアップレンズの外観検査方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
この発明の外観検査方法で検査される光ピックアップレンズは、レンズ表面の外縁に形成された凹凸部とを有し、前記凹凸部が前記レンズの光学的欠陥の形状及び大きさに、少なくとも1つ形成されているので、前記凹凸部はレンズと同じ材料で形成され、その光学特性(反射、透過特性)は、レンズの表面に生じうるキズ等のレンズの光学的欠陥物と類似する。このため、前記凹凸部はレンズの表面に生じうるレンズの光学的欠陥物とほぼ同じものとして観察される。従って、前記レンズの表面に光学的欠陥が見られるときに、前記凹凸部と比較し、その比較により前記レンズの良否を判定することにより、正確かつ短い時間で光ピックアップレンズの外観を検査できる。すなわち、前記凹凸部は、レンズの光学的欠陥物の外観見本(その限度を示すサンプル)としての機能するので、この発明の外観検査方法によれば、正確かつ短い時間で光ピックアップレンズの外観を検査できる。
また、前記凹凸部は、レンズの外縁のレンズ表面側に形成され、その位置が前記レンズと近接しているので、前記レンズ表面で見られる光学的欠陥との比較が容易である。このため、より短い時間で光ピックアップレンズの外観を検査できる。
このように、この発明によれば、正確かつ短い時間で外観を検査できる光ピックアップレンズの外観検査方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の第1実施形態に係る光ピックアップレンズの外観検査方法に使用される光ピックアップレンズの平面図及び断面図である。
【図2】上記光ピックアップレンズについて、その欠陥を判定する方法を説明するための平面図である。
【図3】上記外観検査方法に使用される光ピックアップレンズの他の例(第2例)の平面図及び断面図である。
【図4】上記他の例(第2例)の光ピックアップレンズについて、その欠陥を判定する方法を説明するための平面図である。
【図5】上記外観検査方法に使用される光ピックアップレンズの他の例(第3例)の平面図及び断面図である。
【図6】上記外観検査方法に使用される光ピックアップレンズの他の例(第4例)の平面図及び断面図である。
【図7】上記外観検査方法に使用される光ピックアップレンズの他の例(第5例)の平面図及び断面図である。
【図8】上記外観検査方法に使用される光ピックアップレンズの他の例(第6例)の平面図及び断面図である。
【図9】上記外観検査方法に使用される光ピックアップレンズの他の例(第7例)の平面図及び断面図である。
【図10】この発明の第2実施形態に係る光ピックアップレンズの外観検査方法に使用される光ピックアップレンズの平面図及び断面図である。
【図11】従来の光ピックアップ装置の構成例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明の光ピックアップレンズの外観検査方法は、レンズと、前記レンズ表面の外縁に形成された凹凸部とを有し、前記凹凸部が前記レンズの光学的欠陥の形状及び大きさに、少なくとも1つ形成された光ピックアップレンズの外観検査方法であって、前記レンズの表面に光学的欠陥が見られるときに、前記凹凸部と比較し、その比較により前記レンズの良否を判定することを特徴とする。
【0024】
ここで、レンズの表面に見られる光学的欠陥は、例えば、レンズ表面に固着した異物や汚れ等(いわゆるゴミ汚れ)の凸形状の構造物、レンズの表面のキズ(いわゆるポツ、点状キズ、線状キズ等)、コーティング膜の膜抜け(例えば、ピンホール状の膜剥がれ)、レンズ内部に入り込んだ異物や汚れ等(いわゆる内部ゴミ)等の凹形状の構造物及びこれに相当する物である。光ピックアップレンズの外観検査は、光ピックアップレンズの光学的性能を妨げる外観上の欠陥を見つけ出す検査なので、このようなレンズの光学的性能を妨げる、レンズの光学的欠陥物(外観不良となりうる外観上の欠陥)が検査対象である。
【0025】
また、前記凹凸部は、レンズの光学的欠陥物の外観見本(その限度を示すサンプル)として使用される。このため、前記凹凸部は、前記レンズの光学的欠陥の形状及び大きさに、少なくとも1つ形成される。例えば、レンズの光学的欠陥物となる異物及び汚れ(ゴミ汚れ、内部ゴミ)、キズ(ポツ、点状キズ、線状キズ等)、膜抜け(例えば、ピンホール状)等の形状、大きさにあわせて形成され、例えば、点状キズやポツの場合、点状又は円状に形成され、異物、汚れ、線状キズや膜抜けの場合、線状、四角状の形状に形成される。前記凹凸部は外観検査で使用されるので、ここでいう形状、大きさは、レンズ面から観察したときの形状、大きさである(例えば、平面的な形状、大きさである)。
また、前記凹凸部は、前記レンズの光学的欠陥の形状及び大きさに形成されるので、その断面形状は、前記光学的欠陥によってもよい。例えば、凹部又は凸部であってもよいし、また、これらが組み合わさった構造物であってもよい。また、その断面形状が前記光学的欠陥によらず、その平面的な形状、大きさが光学的欠陥のそれと類似してもよい。この場合も、凹部又は凸部であってもよいし、また、これらが組み合わさった構造物であってもよい。
なお、レンズの表面の光学的欠陥は、光ピックアップレンズの機種毎の仕様により、光ピックアップレンズの機種毎にその許容される基準(外観検査基準、以下、外観検査の判定基準ともいう。)が定められるので、前記凹凸部は、光ピックアップレンズの機種に応じてその形状、大きさを定めるとよい。
【0026】
この発明の実施形態において、前記発明の構成に加え、前記レンズの良否の判定は、前記レンズの表面に見られる光学的欠陥が前記凹凸部と同じ形状である場合に前記レンズの表面に欠陥があると判定し、その判定により前記レンズの良否を判定してもよい。ここで、光学的欠陥が前記凹凸部とほぼ同じ形状(例えば、類似した形状)である場合も欠陥があると判定してもよい。
【0027】
この実施形態によれば、外観検査の判定基準が前記レンズの表面で見られる光学的欠陥の形状による場合(例えば、特定の形状の光学的欠陥物が外観不良とされる場合)に、前記レンズの表面に見られる光学的欠陥と前記凹凸部とを比較して判定すればよいので、正確かつ短い時間に、外観不良とされる欠陥であるか否かの判定ができる。
従来、外観検査では、外観見本(限度サンプル)と比較して欠陥であるかを判定していたが、前記凹凸部は、前記レンズの表面と視覚的にその位置が近接しているので、この実施形態によれば、その作業が容易となり、短い時間で外観検査できる。
【0028】
また、この発明の実施形態において、前記発明の構成に加え、前記レンズの良否の判定は、前記レンズの表面に見られる光学的欠陥が前記凹凸部よりもサイズが大きい場合に前記レンズの表面に欠陥があると判定し、その判定により前記レンズの良否を判定してもよい。
【0029】
この実施形態によれば、外観検査の判定基準が前記レンズの表面で見られる光学的欠陥の大きさによる場合に、前記レンズの表面に見られる光学的欠陥と前記凹凸部とを比較して判定すればよいので、正確かつ短い時間で大きさに関する判定をすることができる。
従来、外観検査では、定規で長さを測定したり、測長器で測定したりする必要があったが、この実施形態によれば、光ピックアップレンズについて、正確かつ短い時間で外観検査できる。
【0030】
また、この発明の実施形態において、前記発明の構成に加え、前記レンズ全面で判定された欠陥の数が所定数よりも多い場合に、前記レンズが外観不良であると判定してもよい。
【0031】
ここで、前記所定数は、1以上の整数であり、光ピックアップレンズが要求される仕様に応じて定められる。
【0032】
例えば、前記レンズの良否の判定に用いる所定数は、前記凹凸部の個数であってもよい。
【0033】
この実施形態によれば、外観検査の判定基準が前記レンズの表面で見られる光学的欠陥の個数による場合、例えば、前記凹凸部の個数を確認して、その個数と判定された欠陥の数を比較すればよいので、正確かつ短い時間に、外観不良とされる欠陥であるか否かの判定ができる。
【0034】
また、この発明の実施形態において、前記発明の構成に加え、前記凹凸部が、2種以上の形状よりなり、前記レンズの良否の判定は、前記光学的欠陥の種類ごとにレンズの表面における欠陥の数をカウントし、前記光学的欠陥の種類ごとにカウントされた各欠陥の数とその種類の前記凹凸部の個数を比較し、いずれか1つの種類でカウントされた欠陥の数のほうが多い場合に外観不良であると判定してもよい。
ここで、前記光学的欠陥の種類ごとにカウントは、前記レンズの表面に見られる光学的欠陥が前記凹凸部と同じ形状であり、前記凹凸部よりも大きい場合に前記凹凸部と同じ種類の欠陥があると判定して行うとよい。ここで、同じ形状には、ほぼ同じ形状(例えば、類似した形状)が含まれてもよい。
【0035】
この実施形態によれば、外観検査の判定基準が前記レンズの表面で見られる光学的欠陥の種類により異なる場合、すなわち、光学的欠陥の種類によって、外観検査の判定基準の大きさ、個数が異なる場合、前記凹凸部が、2種以上の形状よりなるので、前記レンズの表面の光学的欠陥と前記凹凸部と比較することにより、その種類を容易かつ短時間で判定できるとともに、その種類ごとの欠陥の数のカウントも容易である。また、前記光学的欠陥の種類ごとにカウントされた各欠陥の数とその種類の前記凹凸部の個数を比較し、いずれか1つの種類でカウントされた欠陥の数のほうが多い場合に外観不良であると判定するので、作業者は外観検査の判定基準の個数を容易かつ短時間に確認して、外観不良の判定ができる。
【0036】
また、この発明の実施形態において、前記発明の構成に加え、前記光ピックアップレンズは、前記レンズ表面の外縁に曲面で形成された突出部をさらに備え、前記凹凸部が前記突出部上に形成され、前記凹凸部を用いて外観検査を行ってもよい。
【0037】
この実施形態によれば、前記凹凸部が前記突出部上に形成されているので、前記レンズの表面で見られる光学的欠陥と視覚的により類似する。従って、この実施形態の前記凹凸部は、外観見本として優れ、より正確な光ピックアップレンズの外観検査ができる。
例えば、レンズの一部とほぼ同じ曲率の曲面で前記突出部が形成されてもよい。このような突出部上に前記凹凸部が形成されると、前記凹凸部は、その光学特性(反射、透過特性)がレンズの表面で見られる光学的欠陥のそれとより類似し、ほぼ同じ構造物として観察される。レンズ面と前記突出部の曲率が近いほど、より視認がしやすく、効果的な判定が可能となる。
【0038】
また、他の観点によれば、この発明は、レンズと、前記レンズ表面の外縁に形成された凹凸部とを備え、前記凹凸部が前記レンズの光学的欠陥の形状及び大きさに、少なくとも1つ形成された光ピックアップレンズを提供する。
【0039】
この発明の光ピックアップレンズによれば、前記レンズの表面に光学的欠陥が見られるときに、前記凹凸部と比較し、その比較により前記レンズの良否を判定できるので、容易かつ短時間に外観検査できる光ピックアップレンズが提供される。
【0040】
また、この発明の実施形態において、前記光ピックアップレンズの発明の構成に加え、前記凹凸部が2種以上の形状からなってもよい。
【0041】
また、この発明の実施形態において、前記レンズ表面の外縁に曲面で形成された突出部をさらに備え、前記凹凸部が前記突出部上に形成されてもよい。
【0042】
ここで、前記レンズの外縁は、光ピックアップ装置に組み込まれたときに、レンズとして機能するレンズ面以外の領域(光学性能が要求される有効領域ではなく、有効領域外の領域)となる。従って、この外縁は、例えば、光ピックアップ装置に組み込まれたときにレンズホルダにその下部が支えられる、支持部やコバ、リムであってもよい。
【0043】
また、前記レンズと前記外縁は、同じ材料で形成されるので、例えば、圧縮成型等により一体的に形成されてもよい。
【0044】
さらに、この発明の光ピックアップレンズは、その実施形態において、前記凹凸部が非点収差を無くすためのレンズの回転調整における目印として使用されてもよい。
【0045】
従って、他の観点によれば、この発明は、レンズと、前記レンズ表面の外縁に少なくとも1つ形成された凹凸部と、前記レンズの外縁を支持するレンズホルダと、前記レンズホルダの、前記レンズの表面側の面に形成された第2凹凸部を備え、前記凹凸部及び第2凹凸部は、ともにレンズの光軸を中心とする周上に形成されていることを特徴とする光ピックアップレンズを提供する。
【0046】
この発明によれば、前記レンズ表面の外縁に形成された凹凸部を外観見本とすることができる。また、前記凹凸部と第2凹凸部との位置関係を比較することにより、前記レンズの回転調整を正確かつ短時間に行うことができる。
【0047】
以下、図面に示す実施形態を用いて、この発明を詳述する。なお、以下に記述する実施形態および実施例はこの発明の具体的な一例に過ぎず、この発明はこれらよって限定されるものではない。
【0048】
〔実施形態1〕
図1は、この発明の第1実施形態に係る光ピックアップレンズの外観検査方法に使用される光ピックアップレンズの平面図及び断面図である。図1において、図1(A)は、この光ピックアップレンズの平面図であり、図1(B)は、この光ピックアップレンズの断面図である。
図1に示されるように、第1実施形態に係る光ピックアップレンズは、レンズ16と、レンズホルダ5とを備え、レンズ16は、レンズ部16Aと、レンズ部16Aの外縁に配置されたレンズ外縁部16Bと、レンズ外縁部16Bのレンズ表面側に形成された凹部16P及び16Q並びに凸部16Rで構成されている。
【0049】
レンズ部16Aは、光の屈折作用を示す透明体で形成され、通常用いられる光ピックアップレンズの形状で形成されている。このレンズ部16Aは、光ピックアップレンズとして、光源となる半導体レーザーから出射されるレーザー光を屈折させて、光記録媒体に対して照射するとともに、この光記録媒体から反射した光を受光素子によって受光する機能を果たす。このため、このような機能を果たすものであれば、その形状、材料は、特に限定されない。例えば、通常の光ピックアップレンズと同様のものを用いる。
ここで、光ピックアップレンズは、光情報記録媒体に対してデータの記録・再生・消去の少なくともいずれかを行う光ピックアップ装置に使用される光学部品である。また、レンズ部16Aは、光学的に有効な領域であるので、レンズ16の有効領域ともいう。
【0050】
また、レンズ部16Aは、レンズ外縁部16Bとともに一体的に、金型を用いて圧縮成型により形成されている。レンズ部16Aは、一般にガラス又はプラスティック樹脂等の透明な材料で形成されるが、この実施形態では、レンズ外縁部16Bに後述する凹部16P及び16Q並びに凸部16Rを一体的に形成するため、プラスティック樹脂を用いて成型されている。このように、製造の容易さや製造コストから、好ましくは、レンズ部16Aをプラスティック樹脂で形成する。
【0051】
レンズホルダ5は、レンズ外縁部16Bを支持してレンズ部16Aを所定の位置に固定している。その形状、材料は特に制限されるものではなく、通常用いられているレンズホルダを使用するとよい。
例えば、図1に示されるレンズホルダ5のように、レンズホルダ5は、レンズ外周と同じ形状の凹部とその凹部の内側を貫通する貫通孔が形成される。より詳細には、中央に円筒状空間が設けられ、その一方の面(図1(B)では上面)に、この中央の円筒状空間よりもさらに直径が大きい第2の円筒状空間が設けられる。このような形態であれば、上記中央の円筒状空間がレンズに屈折された光を遮光せず、上記第2の円筒状空間がレンズ外縁部16Bを収容するとともに支持できる。また、第2の円筒状空間の円筒が円形状であれば、レンズを回転させて光学特性を調整できる。
なお、図1に示されるレンズホルダ5のように、レンズ16の形状に応じて、第2の円筒状空間の側面に、その円筒面を切断するような平面が形成されてもよい。これにより、レンズ16の回転が防止される。
【0052】
レンズ外縁部16Bは、レンズ部16Aの外周縁部に形成され、レンズコバを構成している。また、上記レンズホルダ5にレンズを取り付けるために、レンズ外縁部16Bの下面(図1(B)レンズ部16Aの下方の面)がレンズの光軸に対してほぼ垂直な面となるように形成されている。このように、レンズ外縁部16Bは、レンズを支持するレンズホルダ5の形状により、その形状が調整される。レンズ外縁部16Bは、通常のレンズコバ等の形状であればよく、レンズホルダ5の形状による以外は特に制限されない。
【0053】
また、レンズ外縁部16Bは、上記で説明したように、レンズ部16Aと一体的に圧縮成型により形成され、レンズ部16Aと同じ材料で形成されている。このため、その光学特性は光の透過、反射方向が異なる点を除いてほぼ同じであり、レンズ部16Aと視覚的に同じ物として観察できるように構成されている。ここで、レンズ外縁部16Bは、レンズ部16Aのように、光学的に有効な領域ではないので、レンズ16の非有効領域ともいう。
【0054】
凹部16P及び16Q並びに凸部16Rは、レンズ外縁部16B(レンズ16の非有効領域)のレンズ部16A表面側(図1(B)では上面側であり、外観検査の対象面)と同じ面に形成されている。これら凹部16P及び16Q並びに凸部16Rも、レンズ外縁部16Bと同様に、レンズ部16Aと一体的に圧縮成型により形成され、レンズ部16Aと同じ材料で形成されている。このため、レンズ外縁部16Bと同様に、レンズ部16Aと視覚的に同じ物として観察される。
【0055】
これら凹部16P及び16Q並びに凸部16Rは、外観不良の見本(外観不良の限度を示すサンプルであり、外観見本ともいう。)となる形状、大きさに形成されている。すなわち、これら凹部及び凸部は、外観不良の見本となるように、異物、汚れ、キズ(点状キズ、線状キズ等)、膜抜け(例えば、ピンホール)等の外観不良(欠陥)の形状、大きさにあわせて形成されている。これら外観不良(欠陥)には、塵や埃がレンズ面にかみこんで発生したり、レンズ表面の反射防止膜の一部が欠損して発生したりするが、上記で説明したように、これら凹部16P及び16Q並びに凸部16Rは、レンズ部16Aと同じ材料で形成され、レンズ部16Aと視覚的に同じ物として観察されるので、これら凹部、凸部が外観不良(欠陥)の形状、大きさにあわせて形成されると、実際にレンズ部16Aで観察される外観不良(欠陥)と同じ構造物(又は類似した構造物)として観察されることになる。
【0056】
第1実施形態の場合、凹部16Pは、長さが0.5mmの線状の形状(その最大幅は0.02〜0.05mmであり、その最大深さは0.02〜0.05mmである)に形成され、また、凹部16Qは、直径が0.1mmの点状の形状(その深さは0.07〜0.1mmである)に形成されている。さらに、凸部16Rは、直径が0.4mmの円形の形状(その高さは0.07〜0.1mmである)に形成されている。また、レンズ外縁部16Bに凹部16Pが2個、凹部16Qが4個、凸部16Rが2個それぞれ形成されている。
これらに凹部16P、凹部16Q、凸部16Rは、それぞれ線状キズ、ポツ(点状キズ)、ゴミ汚れの形状、大きさに形成され、これら外観上の欠陥に対応して外観不良の見本として機能するように構成されている。
そして、これら凹部及び凸部の形状、大きさ、個数は、このレンズ16の外観検査の基準を表している。この実施形態の場合、凹部16P、凹部16Qの形状(種類)、大きさ、個数によって、長さが0.5mm以下でその個数が2個以下まで、線状キズが許容され(外観不良とならない)、直径が0.1mm以下でその個数が4個以下まで、ポツ(点状キズ)が許容されることが表されている。また、凸部16Rの形状(種類)、大きさ、個数によって、直径が0.4mm以下で、その個数が2個以下まで、ゴミ汚れが許容されることが表されている。従って、このレンズ16は、外観検査するときに、これら凹部及び凸部の形状、大きさ、個数を観察することにより、その外観検査の基準を知ることができるように構成されている。
これら凹部及び凸部を用いた光ピックアップレンズの外観検査方法について、図2を用いてより詳細に説明する。
【0057】
〔外観検査方法〕
図2は、第1実施形態の光ピックアップレンズについて、その欠陥を判定する方法を説明するための平面図である。図2において、図2(A)はレンズ部16Aで線状キズ19Pが観察されたときの平面図であり、図2(B)はレンズ部16Aでゴミ汚れ19Rが観察されたときの平面図である。また、図2(C)は、レンズ部16Aでポツ(点状キズ)19Rが観察されたときの平面図である。
【0058】
光ピックアップレンズの外観検査では、まず、レンズ部16A(レンズ16の有効領域)表面に構造物があるか否かを検査する。例えば、図1(B)の上方から反射光で観察して、レンズ部16A表面にレンズの機能を阻害するような構造物がないかを検査する(ステップ1)。
構造物が観察されない場合、この光ピックアップレンズは外観良品であり外観検査は終了するが、構造物が観察される場合、外観検査は次のステップに進む。
【0059】
次に、レンズ部16A表面に構造物が観察された場合、その形状と図1を用いて説明した凹部16P及び16Q並びに凸部16Rの形状とを比較し、観察された構造物と凹部16P及び16Q並びに凸部16Rとが同じ形状(又は似た形状)であるか否かを判定する(ステップ2)。
同じ形状(又は似た形状)でないと判定した場合、さらに他に構造物がないか検査し(後述するステップ4)、他に構造物がない場合、この光ピックアップレンズは外観良品と判定され外観検査は終了する。一方、同じ形状(又は似た形状)と判定した場合、同じ形状(又は似た形状)とされた凹部16P、16Q、凸部16Rのいずれか1つに相当する特定の構造物があると判定し、外観検査は次のステップに進む。
【0060】
例えば、図2(A)で示されるように、線状の構造物が観察された場合、凹部16Pと同じ形状であるので、線状キズがあると判定する。また、図2(B)で示されるように、円状の構造物が観察された場合、凸部16Rと同じ形状であるので、ゴミ汚れがあると判定する。また、図2(C)で示されるように、点状の構造物が観察された場合、凹部16Qと同じ形状であるので、ポツ(点状キズ)があると判定する。
【0061】
次に、観察された構造物と、同じ形状(又は似た形状)とされた凹部16P、16Q、凸部16Rのいずれか1つと大きさを比較し、観察された構造物のほうが大きいか否かを判定する(ステップ3)。
観察された構造物のほうが小さいか又は同等の大きさであると判定した場合、さらに他に構造物がないか検査し(後述するステップ4)、他に構造物がない場合、この光ピックアップレンズは外観良品と判定され外観検査は終了する。一方、観察された構造物のほうが大きいと判定した場合、上記凹部16P、16Q、凸部16Rのいずれか1つに相当する特定の構造物の欠陥があると判定し、外観検査は次のステップに進む。
【0062】
例えば、図2(A)で示されるように、線状の構造物の長さ(図2(A)の長さX)と凹部16Pの長さとを比較し、この図のように線状の構造物の長さが凹部16Pの長さとほぼ同じ又はそれ以上の場合、線状キズの欠陥が1つあると判定する。また、図2(B)で示されるように、円状の構造物の直径(図2(B)の直径Y)と凸部16Rの直径とを比較し、この図のように円状の構造物の直径が凸部16Rの直径とほぼ同じ又はそれ以上の場合、ゴミ汚れの欠陥が1つあると判定する。また、図2(C)で示されるように、点状の構造物の大きさ(直径)(図2(C)の直径Z)と凹部16Qの大きさ(直径)とを比較し、この図のように点状の構造物の大きさ(直径)が凹部16Qの大きさ(直径)とほぼ同じ又はそれ以上の場合、ポツ(点状キズ)欠陥が1つあると判定する。
【0063】
レンズ部16A表面で観察される構造物1つ1つにステップ2〜3を繰り返し(ステップ4)、凹部16P、16Q及び凸部16Rと同じ形状(又は似た形状)かつこれらと同等又はそれ以上の大きさの構造物を、凹部16P、16Q及び凸部16R毎にカウントする(これらに相当する外観上の欠陥毎にその数をカウントする)。その結果、凹部16P、16Q及び凸部16R毎のカウント数がレンズ外縁部16Bに形成されかつ観察される凹部16P、16Q及び凸部16の個数のいずれも超えない場合、この光ピックアップレンズは外観良品と判定され、これら個数のいずれか1つを超える場合、この光ピックアップレンズは外観不良と判定される。
【0064】
例えば、図2(A)〜図2(C)で示される場合は、レンズ部16Aで観察された構造物いずれも1個であり、これに対し、凹部16Pが2個、凹部16Qが4個、凸部16Rが2個であるので、凹部16P、16Q凸部16Rに相当する線状キズ、ゴミ汚れ、ポツ(点状キズ)は外観不良基準以下の個数しかなく、この光ピックアップレンズは外観良品と判定される。
【0065】
なお、この実施形態では、レンズ外縁部に形成された凹部16P、16Q及び凸部16Rをその凹凸形状に分けて説明したが、その大きさ、材料により凹凸形状を分離して観察できない場合がある。その場合、ステップ2〜3において、その凹凸形状によらず、平面形状により外観不良となる欠陥を分類してカウントしてもよい。例えば、凸部16Rを表面欠陥(例えば、キズ、ゴミ汚れ)に相当するものとし、その凹凸形状によらず、その平面的な形状及び大きさをレンズ部16Aで観察された構造物のそれらと比較して判定してもよい。
また、この実施形態では、レンズ面の上方から反射光で外観検査を行っているが、当然に透過光でもよく、外観検査の光源も光ピックアップレンズの仕様に応じて適宜選択すればよい。
また、作業者が目視観察を行うことのほか、画像処理装置を用いてもよい.例えば、カメラ等で撮影した画像を取り込んで、この画像で画像処理を行ってほぼ同時に形状、大きさ、及び個数の判定をしてもよい。
【0066】
〔凹部又は凸部の変形例〕
次に、光ピックアップレンズの他の例(第2例)の外観検査方法について、図3及び図4を用いて説明する。
【0067】
図3は、上記外観検査方法に使用される光ピックアップレンズの他の例(第2例)の平面図及び断面図である。図3において、図3(A)は、この光ピックアップレンズの平面図であり、図3(B)は、この光ピックアップレンズの断面図である。また、図4は、光ピックアップレンズの他の例(第2例)について、その欠陥を判定する方法を説明するための平面図である。図4において、図4(A)はレンズ部26Aで線状キズ19Pが観察されたときの平面図であり、図4(B)はレンズ部26Aでゴミ汚れ19Rが観察されたときの平面図である。また、図4(C)は、レンズ部26Aで膜抜け(例えば、円形、楕円形の膜剥がれ)19Sが観察されたときの平面図である。
【0068】
この光ピックアップレンズ(第2例)は、図1に示される第1実施形態の光ピックアップレンズとレンズ外縁部26Bに形成された凹部及び凸部の形状と個数の組み合わせが異なり、凹部16P、凸部16Rに相当する、凹部26Pが1個、凸部26Rが2個形成されているほか、凹部26Sが1個形成されている。すなわち、この光ピックアップレンズ(第2例)は、長さが0.5mmの線状の形状(その最大幅は0.02〜0.05mmであり、その深さは0.02〜0.05mmである)に形成された凹部26Pが1個と、直径が0.4mmの円形の形状(その高さは0.07〜0.1mmである)に形成された凸部26Rが2個とを有し、さらに、長軸が0.4mm、短軸が0.1mmの楕円形の形状(その深さは0.07〜0.1mmである)に形成された凹部26Sが1個形成されている。これら凹部26P、凸部26R、凹部26Sは、それぞれ線状キズ、ゴミ汚れ、膜抜けの形状、大きさに形成され、これら外観上の欠陥に対応して外観不良の見本として機能するように構成されている。
従って、これら凹部及び凸部の形状、個数から、この光ピックアップレンズ(第2例)は、線状キズは、長さが0.5mm以下でその個数が1個以下まで許容され(外観不良とならない)、ゴミ汚れは、直径が0.4mm以下で、その個数が2個以下まで許容され、膜抜けは、長軸が0.4mm、短軸が0.1mmの楕円形以下の大きさで、1個以下まで許容される外観不良の基準が適用されることになる。
【0069】
この光ピックアップレンズ(第2例)の外観検査方法は、第1実施形態の検査方法と同様であるが、凹部26Sに相当する膜抜けの大きさの判定方法がやや異なる(上記のステップ3においてやや異なる)。詳細には、図4(C)に示されるように、ステップ3において、観察された構造物の長軸方向の大きさ(図4(C)のZ2)と短軸方向の大きさ(図4(C)のZ1)をそれぞれ凹部26Sの長軸方向(図4(C)のS2)の大きさと短軸方向の大きさ(図4(C)のS1)と比較し、観察された構造物のそれら1つが大きいか否かを判定する。すなわち、長軸方向の大きさか、短軸の大きさかのいずれかが大きいかを判定する。そして、長軸方向の大きさか、短軸の大きさかのいずれかが大きいと判定した場合、膜抜けに相当する特定の構造物の欠陥があると判定する。
【0070】
このように、外観不良と判定される欠陥がある程度の面積持つ場合(膜抜け、ゴミ汚れ、内部ゴミ等)、その形状の特徴と抽出してその特徴部の大きさを比較するとよい。
なお、ここに示した判定方法は一例にすぎず、光ピックアップレンズの仕様に応じて、例えば、長軸方向の大きさ、及び短軸の大きさかのいずれもが大きい場合に、膜抜けに相当する特定の構造物の欠陥があると判定してもよい。
【0071】
また、この光ピックアップレンズ(第2例)において、凸部26Rは第1実施形態の光ピックアップレンズとその断面形状がやや異なり、その外形が明確になるように断面形状が長方形となるように形成されているが、第1実施形態にように、断面形状が半円状、半楕円状となるように形成されてもよい。
【0072】
例えば、光ピックアップレンズのレンズ外縁部に形成された凹部又は凸部は、その断面形状が図5〜図7に示すような断面形状で形成されてもよい。
図5は、上記外観検査方法に使用される光ピックアップレンズの他の例(第3例)の平面図及び断面図であり、図6は、上記外観検査方法に使用される光ピックアップレンズの他の例(第4例)の平面図及び断面図である。また、図7は、上記外観検査方法に使用される光ピックアップレンズの他の例(第5例)の平面図及び断面図である。これらの図において、(A)は、この光ピックアップレンズの平面図であり、(B)は、この光ピックアップレンズの断面図である。
【0073】
図5に示されるように、光ピックアップレンズのレンズ外縁部に形成された凹部又は凸部はその断面形状が長方形状であってもよい。この場合、凹部又は凸部のエッジが強調されて観察でき、形状の判定が容易となる。ここで、凹部36Tは、レンズ表面の反射防止膜の一部が欠損して生じる膜抜けに相当するものであり、平面的には四角形状に形成され、その断面形状が長方形状である。このように、実際の欠陥の構造と考慮してその断面形状を定めてもよい。
また、図6に示されるように、光ピックアップレンズのレンズ外縁部に形成された凹部又は凸部は、その断面形状が半円状、半楕円状となるように形成されてもよいし、また、図7に示されるように、その断面形状がクサビ状となるように形成されてもよい。
【0074】
例えば、光ピックアップレンズを搬送するときに物体がレンズ部に当たって形成された、いわゆる当てキズの場合、角錐形状(例えば、三角錐)や円錐形状となるので、当てキズを判定する場合、その断面形状がクサビ状となるように形成されることが好ましい。また、ピンセットなどを用いて作業するときに、その先端等がレンズを引っ掻いたようなときに生じる、いわゆる引っ掻きキズも同様の形状となるので、引っ掻きキズを判定する場合、その断面形状がクサビ状となるように形成されることが好ましい。このように、判定したい外観不良となる欠陥の形状にあわせて、レンズ外縁部に形成される凹部又は凸部の形状を定めるとよい。これらの形状は、圧縮成型の金型を用いることにより容易に形成できる。
【0075】
なお、これらの変形例(第2例〜第5例)では、レンズ部の外周部に、均等に配置されているが、その配置はこれに限られない。すなわち、レンズ外縁部(レンズの非有効領域)のレンズ部表面側(外観検査の対象面)と同じ面に形成されていればよく、その位置、数、間隔は特に制限されない。
【0076】
また、凹部又は凸部が形成されるレンズ外縁部に曲面を有する突出部が形成され、この突出部の曲面に凸部又は凹部が形成されてもよい。この形態を図8及び図9に示す。
図8は、上記外観検査方法に使用される光ピックアップレンズの他の例(第6例)の平面図及び断面図であり、図9は、上記外観検査方法に使用される光ピックアップレンズの他の例(第7例)の平面図及び断面図である。これらの図において、(A)は、この光ピックアップレンズの平面図であり、(B)は、この光ピックアップレンズの断面図である。
【0077】
図8に示されるように、レンズ外縁部66Bに半球状の突出部66X(その断面形状が半円状)が形成され、この突出部66X上に外観不良の見本となる凹部66P、凸部66R、凹部66Tが形成されている。この場合、外観不良の欠陥を判定する対象領域(例えば、レンズ部の面中央部)のレンズ部の曲面と突出部66Xの曲面が同じような形状となるので、光学的、視覚的形状が近似し、より実際に近い外観不良の見本を形成できる。このため、より正確な判定ができることになる。突出部66Xの曲面は、想定される外観不良の欠陥が発生するレンズ部上の位置を考慮してその曲率を調整するとよく、例えば、突出部66Xを半楕円球状に形成することにより、曲率を調整してもよいし、レンズ部の一部の曲率と同じ曲率にしてもよい。
【0078】
また、図9に示されるように、レンズ外縁部76Bに形成される突出部76Yは、その断面形状が図8の形態と同様に半円状であり、その平面形状が輪形状(ドーナツ形状)に形成されている。この形態でも、図8の形態と同様に、より実際に近い外観不良の見本を形成できるので、より正確な判定ができる。この突出部76Yは、半円状の断面形状のほか、例えば、半楕円状(「かまぼこ」のような形状を含む)の断面形状であってもよい。
【0079】
また、このような凹部又は凸部は、レンズ部の非点収差を小さくするために行われるレンズの回転位置調整に用いられてもよい。次に、この実施形態(第2実施形態)について説明する。
【0080】
〔実施形態2〕
図10は、この発明の第2実施形態に係る光ピックアップレンズの外観検査方法に使用される光ピックアップレンズの平面図及び断面図である。図10において、図10(A)は、この光ピックアップレンズの平面図であり、図10(B)は、この光ピックアップレンズの断面図である。
図10に示されるように、第2実施形態に係る光ピックアップレンズは、レンズ部86と、レンズ部86の外縁部86Bの、レンズの表面側(外観検査の対象面)と同じ面に、レンズ部86と同じ材料で形成された凹部86P及び86T並びに凸部86Rと、外縁部86Bを支持するレンズホルダ5とを備えている。また、レンズホルダ5がレンズ部86の表面側に形成されたレンズホルダ凸部8を備えている。ここで、第2実施形態におけるレンズ部86、外縁部86B、凹部86P及び86T、凸部86Rは、第1実施形態のそれらと同様の機能を備えており、レンズホルダ5にレンズホルダ凸部8が形成されている点で第1実施形態と相違している。
【0081】
レンズホルダ凸部8は、レンズホルダ5上の、凹部86P及び86T並びに凸部86Rが形成された面と同じ面に形成され、レンズ部86の光軸を回転中心とする回転方向(レンズ部86の光軸を中心とする周上)に形成されている。一方、凹部86P及び86T並びに凸部86Rも、レンズホルダ凸部8と同様に、レンズ部86の光軸を回転中心とする回転方向(レンズ部86の光軸を中心とする周上)に形成されている。これらは、レンズ部86の光軸に対して45度毎にそれぞれ複数個形成されている。
【0082】
このように、第2実施形態では、レンズホルダ凸部8と凹部86P及び86T並びに凸部86Rとがレンズ部86の光軸を中心とする周上の所定の位置に配置されている。このため、凹部86P及び86T並びに凸部86Rと、レンズホルダ凸部8との位置関係を観察しながら、レンズの回転位置調整できる。従って、レンズ部の非点収差を小さくするためのレンズの回転位置調整が容易となり、正確かつ短時間にその調整を行うことができる。すなわち、レンズホルダ凸部8と凹部86P及び86T並びに凸部86Rとをレンズ部の非点収差を最適化するための回転位置調整の目印とすることができる。
【0083】
以上の実施形態によれば、正確かつ短い時間で外観検査できる、光ピックアップレンズの外観検査方法が提供される。また、容易かつ短時間に外観検査できる光ピックアップレンズが提供される。
【符号の説明】
【0084】
1 光学ユニット
2 コリメートレンズ
3 ハウジング
4 光ディスク
5 レンズホルダ
6 対物レンズ
7 反射ミラー
8 レンズホルダ凸部(第2凹凸部)

16 26 36 46 56 66 76 86 レンズ
16A 26A 36A 46A 56A 66A 76A 86A レンズ部
16B 26B 36B 46B 56B 66B 76B 86B レンズ外縁部
16P 26P 36P 46P 56P 66P 76P 86P 凹部(凹凸部)
16Q 46Q 56Q 凹部(凹凸部)
16R 26R 66R 76R 86R 凸部(凹凸部)
26S 36S 46S 56S 凹部(凹凸部)
36T 66T 76T 86T 凹部(凹凸部)
66X 76Y 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、前記レンズ表面の外縁に形成された凹凸部とを有し、前記凹凸部が前記レンズの光学的欠陥の形状及び大きさに、少なくとも1つ形成された光ピックアップレンズの外観検査方法であって、
前記レンズの表面に光学的欠陥が見られるときに、前記凹凸部と比較し、その比較により前記レンズの良否を判定することを特徴とする光ピックアップレンズの外観検査方法。
【請求項2】
前記凹凸部が、2種以上の形状よりなり、
前記レンズの良否の判定は、前記光学的欠陥の種類ごとにレンズの表面における欠陥の数をカウントし、
前記光学的欠陥の種類ごとにカウントされた各欠陥の数とその種類の前記凹凸部の個数を比較し、いずれか1つの種類でカウントされた欠陥の数のほうが多い場合に外観不良であると判定する請求項1に記載の光ピックアップレンズの外観検査方法。
【請求項3】
前記光ピックアップレンズは、前記レンズ表面の外縁に曲面で形成された突出部をさらに備え、
前記凹凸部が前記突出部上に形成され、
前記凹凸部を用いて外観検査を行う請求項1に記載の光ピックアップレンズの外観検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−113790(P2012−113790A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264008(P2010−264008)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】