説明

光ピックアップ装置

【課題】フレキシブルプリント基板が加熱された際においても当該基板の折曲げ部の形状を維持することができ、また、製造コストが低廉な光ピックアップ装置を提供すること。
【解決手段】光検出器12はフレキシブルプリント基板20により電気的に接続されており、フレキシブルプリント基板20の光検出器12側端部には折曲げ部14が形成されており、折曲げ部14は、互いに対向するように180度の角度で折り曲げられている第1折曲げ片14bと第2折曲げ片14dを有し、第1折曲げ片14bの端部と第2折曲げ片14dの端部とは互いに重なり合うように配置されると共に、半田付けにより固定されている。また、第1折曲げ片14bと第2折曲げ片14dのそれぞれのランド14c、14eが半田付けにより導通されることにより、第1折曲げ片14bと第2折曲げ片14dのそれぞれの導電体パターンが電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に用いられる光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、光ディスク装置に用いられる光ピックアップ装置は、光照射器から出射されたレーザ光を対物レンズによって光ディスクの信号記録面に集光し、その信号記録面からの反射光を光検出器により検出して情報を読み取り、また、光照射器から出射されたレーザ光を対物レンズによって信号記録面に集光し、情報の書き込みを行う装置である。
【0003】
従来の光ピックアップ装置100を図7に示す。この光ピックアップ装置100は光ディスクに対して移動可能に支持されている金属製の光学ベース(図示せず)に搭載されているフレキシブルプリント基板120上に配置された複数の光学部品及び電子部品から構成されている。光ピックアップ装置100は、回折格子が内蔵された光照射器(半導体レーザ発光器)101と、1/2波長板102と、偏光ビームスプリッタ103と、1/4波長板104と、コリメータレンズ105と、立上げミラー106と、光量検出器107と、センサレンズ110と、光検出器(フォトダイオード)111とを有する。なお、対物レンズ(図示せず)は、立上げミラー106の下方に位置する。
【0004】
この光ピックアップ装置100は、1枚のフレキシブルプリント基板120上に各部品が配設されているため、光照射器101、光量検出器107、及び光検出器111を直接フレキシブルプリント基板120上に半田付けすることができる。即ち、これら3つの部品を配線するために3枚の独立したフレキシブルプリント基板を必要としないという利点がある。
【0005】
光検出器111は、フレキシブルプリント基板120の端部を180度の角度で折曲げ、断面コの字型に折返した折曲げ部113に半田付けされている。図5及び図6に示すように、この折曲げ部113は表面側基板113aと背面側基板113bとを有する。そして、光検出器111の近傍にコンデンサ113cを配置するため、背面側基板113bにコンデンサ113cが実装されている。また、表面側基板113aと背面側基板113bとは、互いの対向面が両面テープ113dにより貼着されており、この両面テープ113dにより折曲げ部113の折返し形状が保持されている。なお、符号112により示す部材は、光検出器111の位置調整を行うためのホルダである。
【0006】
また、光量検出器107も折曲げ部108に半田付けされており、上記折曲げ部113と同様に両面テープ(図示せず)により折返し形状が保持されている。なお、この折曲げ部108の背面側には光量検出器107の感度調整用の可変抵抗器109が配置されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような折曲げ部113は両面テープ113dによりその折返し形状が保持されているが、両面テープ113dが加熱されると貼着力が低下し、折り返されているフレキシブルプリント基板の復元力により、両面テープ113dの剥離が生じるという問題がある。
【0008】
さらに、両面テープ113dを必要とするために、製造コストの上昇を招くという問題がある。
【0009】
そこで、上記問題に鑑み、本発明は、フレキシブルプリント基板が加熱された際においても当該基板の折曲げ部の形状を維持することができ、また、製造コストが低廉な光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光ピックアップ装置は、光学ベースと、前記光学ベースに取付けられ光ビームを照射する光照射器と、前記光照射器から照射された光ビームを光ディスクに導くと共に、前記光ディスクから反射される光ビームを所定方向に導く複数の光学系部材から構成されている光学系と、前記光ディスクから反射されて前記光学系によって導かれる光ビームを受光する光検出器と、を有する光ピックアップ装置であって、前記光検出器はフレキシブルプリント基板により電気的に接続されており、前記フレキシブルプリント基板の前記光検出器側端部には折曲げ部が形成されており、前記折曲げ部は、互いに対向するように折り曲げられている第1折曲げ片と第2折曲げ片を有し、前記第1折曲げ片の端部と前記第2折曲げ片とは少なくともその一部が互いに重なり合うように配置されると共に、重なり合った部分において半田付けにより固定されていることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明に係る光ピックアップ装置は、前記第1折曲げ片と前記第2折曲げ片とがそれぞれランドを有する導電体パターンを有し、前記第1折曲げ片と前記第2折曲げ片のそれぞれの前記ランドが前記半田付けにより導通されることにより、前記第1折曲げ片と前記第2折曲げ片のそれぞれの前記導電体パターンが電気的に接続されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の本発明に係る光ピックアップ装置は、折曲げ部が互いに対向するように180度の角度で折り曲げられている第1折曲げ片と第2折曲げ片を有し、第1折曲げ片の端部と第2折曲げ片の端部とは互いに重なり合うように配置されると共に、半田付けにより固定されている。したがって、従来のように両面テープを用いることなく、折曲げ部の折返し形状を保持することができ、また、半田付けにより第1折曲げ片の端部と第2折曲げ片とを固定するために、折曲げ部が加熱された際にも、この固定状態を安定して持続することができる。また、両面テープを使用しないため、光ピックアップ装置の製造コストの低廉化を図ることができる。
【0013】
請求項2記載の本発明に係る光ピックアップ装置は、第1折曲げ片と第2折曲げ片とはそれぞれランドを有する導電体パターンを有し、第1折曲げ片と第2折曲げ片のそれぞれのランドが半田付けにより導通されることにより、第1折曲げ片と第2折曲げ片のそれぞれの導電体パターンが電気的に接続されることを特徴とする。このため、第1折曲げ片と第2折曲げ片のそれぞれの導電体パターンが電気的に接続されるため、これら導電体パターン間における電位差の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図1ないし図4を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態の光ピックアップ装置1は、光学ベース(図示せず)と、光学ベースに取付けられ光ビームを照射する光照射器2と、回折格子が内蔵された光照射器2から照射された光ビームを光ディスク(図示せず)に導くと共に、光ディスクから反射される光ビームを所定方向に導く複数の光学系部材から構成されている光学系である1/2波長板3、偏光ビームスプリッタ4、1/4波長板5、コリメータレンズ6、立上げミラー7、対物レンズ(図示せず)、及びセンサレンズ11と、光ディスクから反射されて前記光学系によって導かれる光ビームを受光する光検出器12と、を有する光ピックアップ装置であって、光検出器12はフレキシブルプリント基板20により電気的に接続されており、フレキシブルプリント基板20の光検出器12側端部には折曲げ部14が形成されており、折曲げ部14は、互いに対向するように180度の角度で折り曲げられている第1折曲げ片14bと第2折曲げ片14dを有し、第1折曲げ片14bの端部と第2折曲げ片14dの端部とは互いに重なり合うように配置されると共に、半田付けにより固定されていることを特徴とする。
【0015】
図4に示す本実施形態の光ピックアップ装置1において、光ピックアップ装置1の光照射器2、光検出器8、及び光ピックアップ装置1の光学系を構成する各光学系部材は、図4おいて図示されていない光学ベースの表面に立設するように配設されている。即ち、図4において光学ベースはフレキシブルプリント基板20と各光学系部材との間に配設されているが、この光学ベースを図面に表示すると各光学系部材間の関連性が不明確になるため図4において光学ベースが省略されている。
【0016】
光学ベースはアルミニウム等の金属製の鋳造部材であり、光ピックアップ装置1を構成する複数の部材が取付けられている。
【0017】
光ピックアップ装置の光照射器2は回折格子が内蔵された半導体レーザ発光器であり、光学ベースの表面にホルダ2aを介して立設されており、また光学ベースの下方に延在しているフレキシブルプリント基板20により電気的に接続されている。
【0018】
光ピックアップ装置1の光学系は、回折格子が内蔵された光照射器2から照射された光ビームを光ディスク(図示せず)に導くと共に、当該光ディスクから反射される光ビームを所定方向に導くために設けられており、1/2波長板3、偏光ビームスプリッタ4、1/4波長板5、コリメータレンズ6、立上げミラー7、対物レンズ(図示せず)、及びセンサレンズ11とから構成されている。これら光学系を構成する各光学系部材は、光学ベースに形成されている溝状の係合部分に接着又は固定されている。
【0019】
光照射器2から照射された光ビームが1/2波長板3を通過した後、偏光ビームスプリッタ4により反射され、コリメータレンズ6により略平行光にされる。そして略平行光とされたレーザ光は、1/4波長板5で直線偏光から円偏光とされ、立上げミラー7の反射面で反射されることにより直角に折り曲げられ(図4においてフレキシブルプリント基板20の裏面側方向へ折り曲げられる)、対物レンズを介して光ディスクの信号記録面へ集光(照射)される。
【0020】
光ディスクの信号記録面からの反射光(戻り光)は、対物レンズを再び通過し、立上げミラー7の反射面で反射されることにより直角に折り曲げられ、1/4波長板5で偏光方向が往路の偏光方向に対して90°曲げられコリメータレンズ6を通過し、偏光ビームスプリッタ4を透過し、センサレンズ11を通して光検出器12で検出される。
【0021】
なお、符号8により示されるのは、光照射器2から照射された光ビームの光量検出を検出する光量検出器であり、折曲げ部9に半田付けされている。この折曲げ部9の背面側には光量検出器8の感度調整用の可変抵抗器10が配置されている。
【0022】
光検出器12は、光ディスクから反射されて光学系によって導かれる光ビームを受光するフォトダイオードであり、ホルダ13を介して位置調整可能な状態で光学ベースに固定されている。この光検出器12は、フレキシブルプリント基板20に形成された折曲げ部14に半田付けされており電気的に接続されている。
【0023】
折曲げ部14を展開した状態を示している図2において、折曲げ部14は略T字型の形状を有し、中央片14aの両側にそれぞれ連設されている第1折曲げ片14bと第2折曲げ片14dを有している。この中央片14a、第1折曲げ片14b、および第2折曲げ片14dは、いずれも導電体パターンを有している。そして、第1折曲げ片14bの導電体パターン上にはランド14cが形成されており、また第2折曲げ片14dの導電体パターン上にはランド14eが形成されている。これらランド14c、14eが形成されている第1折曲げ片14bの導電体パターンと第2折曲げ片14dの導電体パターンは、アース用の導電体パターンである。
【0024】
第2折曲げ片14dの端部の2箇所には後述する半田14fを半田付けする2つの切欠き14jが形成されている。なお、中央片14aには光検出器12の端子(図示せず)を半田付けするためのランドが形成されており、また、第2折曲げ片14dにはコンデンサ14gを実装するためのランドも形成されている。このコンデンサ14gは光検出器12の近傍に配置され、光検出器12のノイズ防止用のコンデンサである。
【0025】
折曲げ部14が折曲げられた状態を示している図3(図2の裏面側が示されている。)において、第1折曲げ片14bと第2折曲げ片14dのそれぞれは、中央片14aを中心として互いに対向するように180度の角度で折り曲げられている。この状態において、第1折曲げ片14bのランド14cと第2折曲げ片14dのランド14eは互いに重なり合うように配置されている。そして、この重なり合った部分である第2折曲げ片14dの2つの切欠き14jの周囲のランド14c、14eにおいて、半田14fにより半田付けがなされ(図1参照)、第1折曲げ片14bの端部と第2折曲げ片14dの端部とが固定される。また、この半田14fによって、ランド14c、14eが電気的に接続されることにより、これらランド14c、14eが形成されている第1折曲げ片14bのアース用の導電体パターンと第2折曲げ片14dのアース用の導電体パターンが電気的に接続されることにより、当該アース用の導電体パターンの電位が安定し、耐ノイズ性能が向上する。
【0026】
以下、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態の光ピックアップ装置1は、折曲げ部14が互いに対向するように180度の角度で折り曲げられている第1折曲げ片14bと第2折曲げ片14dを有し、第1折曲げ片14bの端部と第2折曲げ片14dの端部とは互いに重なり合うように配置されると共に、半田付けにより固定されている。したがって、従来のように両面テープを用いることなく、折曲げ部14の折返し形状を保持することができ、また、半田付けにより第1折曲げ片14bの端部と第2折曲げ片14dとを固定するために、折曲げ部14が加熱された際にも、この固定状態を安定して持続することができる。また、両面テープを使用しないため、光ピックアップ装置1の製造コストの低廉化を図ることができる。
【0027】
さらに、本実施形態の光ピックアップ装置1は、第1折曲げ片14bと第2折曲げ片14dとはそれぞれランド14c、14eを有する導電体パターンを有し、第1折曲げ片14bと第2折曲げ片14dのそれぞれのランド14c、14eが半田付けにより導通されることにより、第1折曲げ片14bと第2折曲げ片14dのそれぞれの導電体パターンが電気的に接続されることを特徴とする。このため、第1折曲げ片14bと第2折曲げ片14dのそれぞれの導電体パターンが電気的に接続されるため、これら導電体パターン間における電位差の発生を防止することができる。
【0028】
上記実施形態において、折曲げ部14は主基板であるフレキシブルプリント基板20の一部に形成されているが、図8に示すように、独立したフレキシブルプリント基板15の端部に形成することも可能である。このフレキシブルプリント基板15の他端は、主基板であるガラスエポキシ基板(図示せず)に電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置1の折曲げ部14の斜視図である。
【図2】図1に示す光ピックアップ装置1の折曲げ部14を展開した状態を示す平面図である。
【図3】図1に示す光ピックアップ装置1の折曲げ部14を折り返した状態を示す平面図である。
【図4】図1に示す光ピックアップ装置1の光学系部材等の配置状態を示す部分斜視図である。なお、図面が不明確になるため光学ベースは図示されていない。
【図5】従来の光ピックアップ装置100の折曲げ部113の側面図である。
【図6】図5に示す光ピックアップ装置100の折曲げ部113の背面図である。
【図7】従来の光ピックアップ装置100の光学系部材等の配置状態を示す部分斜視図である。なお、図面が不明確になるため光学ベースは図示されていない。
【図8】他の実施形態のフレキシブルプリント基板15を示す平面図である。
【符号の説明】
【0030】
1、100 光ピックアップ装置
2、101 光照射器
2a ホルダ
3、102 1/2波長板
4、103 偏光ビームスプリッタ
5、104 1/4波長板
6、105 コリメータレンズ
7、106 立上げミラー
8、107 光量検出器
9、108 折曲げ部
10、109 可変抵抗器
11、110 センサレンズ
12、111 光検出器
13、112 ホルダ
14、113 折曲げ部
14a 中央片
14b 第1折曲げ片
14c、14e ランド
14d 第2折曲げ片
14f 半田
14g、113c コンデンサ
14j 切欠き
15、20、120 フレキシブルプリント基板
113a 表面側基板
113b 背面側基板
113d 両面テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学ベースと、
前記光学ベースに取付けられ光ビームを照射する光照射器と、
前記光照射器から照射された光ビームを光ディスクに導くと共に、前記光ディスクから反射される光ビームを所定方向に導く複数の光学系部材から構成されている光学系と、
前記光ディスクから反射されて前記光学系によって導かれる光ビームを受光する光検出器と、を有する光ピックアップ装置であって、
前記光検出器はフレキシブルプリント基板により電気的に接続されており、
前記フレキシブルプリント基板の前記光検出器側端部には折曲げ部が形成されており、
前記折曲げ部は、互いに対向するように折り曲げられている第1折曲げ片と第2折曲げ片を有し、
前記第1折曲げ片の端部と前記第2折曲げ片とは少なくともその一部が互いに重なり合うように配置されると共に、重なり合った部分において半田付けにより固定されていることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記第1折曲げ片と前記第2折曲げ片とはそれぞれランドを有する導電体パターンを有し、前記第1折曲げ片と前記第2折曲げ片のそれぞれの前記ランドが前記半田付けにより導通されることにより、前記第1折曲げ片と前記第2折曲げ片のそれぞれの前記導電体パターンが電気的に接続されることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−146776(P2008−146776A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334770(P2006−334770)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】