説明

光ファイバを用いた画像転送及び表示システム

【課題】伝送された光信号をそのままパネルに投影することができる光ファイバを用いた画像伝送システムの提供、および、きわめて高い階調表現をすることができる画像転送システムの提供。
【解決手段】画像伝送システムは,符号器11と,符号器11で符号化された光信号を伝送する光ファイバ13と,光ファイバ13から放出された光が到達するモニタ15と,位置制御部17とから構成され、画像情報を符号器11で符号化する際に,モニタ15に表示される色に対応した波長の光を生成して,光ファイバ13を伝搬させ,その波長の光をモニタ15に照射させることで,モニタに画像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,光ファイバを用いた画像転送及び表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開2002−013167号パンフレットには,光ファイバ型ディスプレイ装置が開示されている。光ファイバ型ディスプレイ装置は、プロジェクタ、光ファイバ集束部、スクリーンパネルを含む。そして,この装置は,集束部とスクリーンパネルを結ぶ多数の光ファイバ5から構成を含む。ビデオプレーヤ装置からの映像信号がプロジェクタに送られる。するとプロジェクタからの画像は光ファイバ集束部に投射される。光ファイバ集束部へ投射された画像は、この光ファイバ集束部とスクリーンパネルとの間に懸け渡された複数段(複数行)及び複数列の多数の光ファイバを介してスクリーンパネルに導入される。そして,スクリーンパネルの前面側の光ファイバ出力端部において発光して画像を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2002−013167号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように従来の光ファイバ型ディスプレイ装置は,光ファイバを単にプロジェクタからの光をスクリーンパネルに届ける光路として用いられるにすぎない。このため,従来の光ファイバ型ディスプレイ装置は,多数の光ファイバが必要である。さらに,従来の光ファイバ型ディスプレイ装置は,画像情報を一度プロジェクタで画像に変換する必要がある。
【0005】
そこで,本発明は,伝送された光信号をそのままパネルに投影することができる光ファイバを用いた画像伝送システムを提供することを目的とする。さらに本発明は,きわめて高い階調表現をすることができる画像転送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は,基本的には,モニタにおいて表示される色に対応した波長の信号を,光ファイバを用いて伝搬させ,伝搬した信号を直接モニタに照射することで,光ファイバを伝搬した光の波長をそのまま生かして画像を生成できるという知見に基づく。
【0007】
本発明の第1の側面は,画像伝送システムに関する。この画像伝送システムは,基本的には,ある画像を光信号に符号化する符号器11と,符号器11で符号化された光信号を伝送する光ファイバ13と,光ファイバ13から放出された光が到達するモニタ15と, 光ファイバ13から放出された光が,モニタ15に到達する位置を制御する位置制御部17と,光ファイバ13と接続されたノード51とを含む。
【0008】
符号器11は,画像のある部分の色を1又は複数の波長の光を用いて生成する波長決定部21と,画像のある部分の位置を求める位置決定部23と,画像のある部分についての情報が送信されるモニタ15のアドレスに関する情報を含む光制御信号を発生する制御信号発生部22と,波長決定部21が決定した波長の光の信号である色信号に,位置決定部23が決定した位置情報に関する光信号をヘッダに付加するとともに,制御信号発生部22が発生した光制御信号を付加する,光信号生成部25とを有する。
【0009】
ノードは,光ファイバ13の中継点である。したがって,画像転送システムに2つ以上のノードが含まれていてもよい。ノード51は,符号器11から出力された光信号からヘッダ及び光制御信号をペイロードから分離するためのヘッダ・制御信号分離部53と,ヘッダ・制御信号分離部53が分離した光制御信号を解析する制御信号解析部55と,制御信号解析部が解析した光制御信号に基づいて,伝送路を決定する伝送路制御部57と,ペイロードに新たなヘッダ及び光制御信号を付加するためのヘッダ・制御信号付加部59と,を有する。
【0010】
位置制御部17は,光信号に含まれる位置情報に基づいて,モニタ15に到達する位置を制御する。
【0011】
モニタ15は,光信号に含まれる色信号が到達する。
【0012】
このような構成を採用するため,本発明の画像伝送システムは,モニタ15に,光信号に含まれる色信号が到達する。この光信号の色が直接画素の色を構成するため,不必要な変換が省略され,効率的かつ迅速に画像を伝送できる。また,光符号化信号は,きわめて多くのパルスを含むことができる。このパルス信号を,1階調を表現するパルスとして用いることで,本発明の画像伝送システムはきわめて高い階調表現を実現できる。
【0013】
本発明の好ましい態様は,符号器11が,波長決定部21が決定した色ごとの強度に関する情報を求める強度決定部27を更に有するものである。この態様では,光信号生成部25は,波長決定部21が決定した波長の光の信号である色信号に,位置決定部23が決定した位置情報及び強度決定部27が決定した強度情報を付加した光信号を生成するものである。そして,光信号に含まれる強度情報を解析して,光信号モニタ15に到達する光の強度を求める強度解析部31と,強度解析部31が求めた強度に従って色信号の強度を調整する強度調整部33とを更に有する。この態様の画像伝送システムは,モニタ15へ,強度調整部33が強度を調整した色信号が到達する。
【0014】
本発明の好ましい態様は,位置制御部17が,光信号に含まれる位置情報に基づいて,モニタ15に到達する位置を決定するものである。この態様の画像伝送システムは,光の進路を調整する光路調整部41を更に有し,光路調整部41は,決定した位置に従って,光の進路を調整する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は,伝送された光信号をそのままパネルに投影することができる光ファイバを用いた画像伝送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は,画像伝送システムの例を示すブロック図である。
【図2】図2は,ルータを説明するためのブロック図である。
【図3】図3は,位置情報が色信号に重畳された光信号の例を示す図である。
【図4】図4は,光信号が,色信号とその色信号の位置情報を示す信号とを有するものの例を示す図である。
【図5】図5は,光ファイバがモニタを掃引する様子を示す図である。
【図6】図6は,実施例におけるシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の側面は,画像伝送システムに関する。図1は,画像伝送システムの例を示すブロック図である。この画像伝送システムは,基本的には,画像伝送システムに関する。この画像伝送システムは,基本的には,ある画像を光信号に符号化する符号器11と,符号器11で符号化された光信号を伝送する光ファイバ13と,光ファイバ13から放出された光が到達するモニタ15と,光ファイバ13から放出された光が,モニタ15に到達する位置を制御する位置制御部17と,光ファイバ13と接続されたノード51とを含む。
【0018】
符号器11は,ある画像を光信号に符号化するための要素である。本発明の好ましい態様は,画像情報を符号器11で符号化する際に,モニタに表示される色に対応した波長の光を生成して,光ファイバを伝搬させ,その波長の光をモニタに照射させることで,モニタに画像を形成する。もっとも,通信しやすい波長の光を用いて信号を伝搬させ,適宜高調波を生成して,生成した高調波の色をそのままモニタに表示される色としてもよい。たとえば,符合器において,1300nmの光を発生させて,光ファイバを伝搬させ,倍波生成器で650nmの波長の光を得て,これを赤色信号としてそのまま用いてもよい。また,1300nmの4倍波を生成させ,425nmの波長の光を得て,これを青色信号としてそのまま用いてもよい。さらに,1550nmの波長の光を伝搬させて,3倍波を発生させて516nmの波長の光を得て,これを緑色信号としてそのまま用いてもよい。
【0019】
すなわち,符号器11には,画像情報が入力される。画像情報は,静止画でもよいし動画でもよい。動画の場合,たとえば1/30秒にひとコマ(又は1/60秒にひとコマ)の画像を形成できるようにモニタに光を照射する。この光は,画素ごと,1/30秒ごとの積分値であってもよい。
【0020】
符号器11は,画像のある部分の色を1又は複数の波長の光を用いて生成する波長決定部21と,画像のある部分の位置を求める位置決定部23と,画像のある部分についての情報が送信されるモニタ15のアドレスに関する情報を含む光制御信号を発生する制御信号発生部22と,波長決定部21が決定した波長の光の信号である色信号に,位置決定部23が決定した位置情報に関する光信号をヘッダに付加するとともに,制御信号発生部22が発生した光制御信号を付加する,光信号生成部25とを有する。
【0021】
そして,波長決定部21は,画像のある部分の色を1又は複数の波長の光を用いて生成する。符号器11は,基本的には入力画像の全ての部分情報(色情報や位置情報)が入力される。たとえば,ある画素の色をR,G及びBにわけ,それぞれ2(nは2以上15以下)階調で表現するとする。この場合,例えば,R(赤)の波長の信号には,その強度情報に応じた強度の光に変換して光ファイバを伝搬させてもよい。つまり,ある画素の色を,R,G及びBに分け,それぞれの色を示す光源を用意し,それらの光源からの光を,それぞれの色の強度に応じて強度変調して,光ファイバを伝搬させればよい。この際に,波長決定部21は,強度変調器を有すればよい。すると,決定した強度に応じた強度にR,G,及びBに対応した光の強度を変調して,光ファイバを伝搬させる。もっとも,本発明においては,R,G,及びBの3波長の信号のみならず,複数種類の波長の信号を用いて,色信号を形成して,光ファイバを伝搬させてもよい。また,各波長の信号の強度を一定とし,色信号に別途各波長の信号の強度に関する情報を付加して光ファイバを伝搬させてもよい。この場合,モニタに色信号が照射される前に強度情報が解析されて,色信号が,強度変調器により解析した強度に応じて強度変調され,その後にモニタに照射されればよい。
【0022】
画像情報には,通常,画素の位置の情報が含まれている。この場合,位置決定部23は,符号器11に入力された画像情報から,画素の位置に関する情報を読み出して,画像のある部分の位置を求めればよい。また,画像をスキャナ等で読み込んで,その画像をモニタに再現する場合,読み込んだ画像のある画素の位置と色とを分析して,その色に対応する画像上の位置を解析し,その画素の位置を決定すればよい。
【0023】
制御信号発生部22は,たとえば,画像のある部分についての情報が送信されるモニタ15のアドレスに関する情報を含む光制御信号を発生するための要素である。ヘッダに含まれるアドレス情報は公知である。また,先に説明したように,光制御信号は,光ファイバを伝搬する光と,モニタに到達する光との間で祖語がある場合は,第何高調波とするかについての情報を含んでもよい。たとえば,伝送路が1300nmの波長の光を伝搬するのに適応しており,650nmの赤色信号を生じさせたい場合は,2倍波を発生するための制御情報を光制御信号に含ませればよい。後述する波長変換器が,2倍波を発生するという制御情報を解析し,1300nmの波長の光の2倍波信号を得ることで,650nmの赤色信号を得ることができ,これをモニタに照射することで赤色信号を表現できる。
【0024】
光信号生成部25は,波長決定部21が決定した波長の光の信号である色信号に,位置決定部23が決定した位置情報に関する光信号をヘッダに付加するとともに,制御信号発生部22が発生した光制御信号を付加するための要素である。光信号の位置情報や光制御信号は,色信号に重畳された変調信号であってもよい。また光信号は,位置情報を示すヘッダ部と色信号とを含むものであってもよい。
【0025】
図3は,位置情報が色信号に重畳された光信号の例を示す図である。以下位置情報を付加する場合について説明する。しかしながら,光制御情報を光信号に付加する態様はこれと同様である。位置情報が色信号に重畳された光信号の例は,Rを示す赤色の波長の光信号に,位置情報を示す位相変調信号が重畳されたものである。変調信号の例は,周波数変調及び強度変調であってもよい。位置情報を位相変調信号として付加する場合,光信号生成部25は位相変調器を有すればよい。そして,色信号と同期をとり,色信号が位相変調器に入力したタイミングで,位相変調を施せば,色信号に位相変調信号を重畳させることができる。ただし,本発明では,光ファイバを伝搬する光信号の波長をそのままモニタに照射される光信号の波長として用いるため,強度変調が好ましい。図4は,光信号が,色信号とその色信号の位置情報を示す信号とを有するものの例を示す図である。光信号が,色信号とその色信号の位置情報を示す信号とを有するものの例は,光パケットである。光パケットのヘッダ部分に色信号の位置情報を示す情報を付加し,ペイロードの部分に色信号を付加すればよい。
【0026】
また,符号器11は,光パケットを用いて色信号の強度を表現してもよい。たとえば,1つのパケットが,ある画素の1フレームのある色(R,G又はB)に対応しているとする。この場合,1つのパケットに含まれるパルスの数を用いて階調を表現してもよい。プラズマディスプレイパネル等では,電荷を制御して発光タイミングを制御する。このため,階調表現に限界がある。しかし,本発明のように,光のパルス数を階調表現に用いる場合,きわめて多数のパルスを瞬間に含めることができるため,きわめて高階調の色彩を表現できることになる。たとえば,Rが10000階調の色である場合は,一つの色信号として10000個のパルスを含めればよい。1つのパルスは,たとえば,GHzやMHzオーダーのパルスである。パルスの周波数の例は,1MHz以上10GHz以下であり,10MHz以上1GHz以下でもよく,100MHz以上1GHz以下でもよい。このため,1フレームのある色を表現するためにこのような多数のパルスを用いることができる。このようなパルス信号を生成する方法は,公知である。パルスレーザーを用いてパルス信号を得てもよいし,連続光源からの信号に強度変調を施すことで,パルス信号を得てもよい。
【0027】
ノードは,光ファイバ13の中継点である。したがって,画像転送システムに2つ以上のノードが含まれていてもよい。ノード51は,符号器11から出力された光信号からヘッダ及び光制御信号をペイロードから分離するためのヘッダ・制御信号分離部53と,ヘッダ・制御信号分離部53が分離した光制御信号を解析する制御信号解析部55と,制御信号解析部が解析した光制御信号に基づいて,伝送路を決定する伝送路制御部57と,ペイロードに新たなヘッダ及び光制御信号を付加するためのヘッダ・制御信号付加部59と,を有する。
【0028】
ヘッダ・制御信号分離部53は,符号器11から出力された光信号からヘッダ及び光制御信号をペイロードから分離するための要素である。ヘッダ部分及び光制御信号とペイロード部分とが時間的に分離されている場合は,例えばヘッダ部分を示す信号を読み出すことでヘッダ部分の始まりを感知し,ペイロード部分の始まりを示す信号を読み出すことで,ヘッダ及び光制御信号が終わったことを感知し,これらを解析すればよい。
【0029】
また,ヘッダ及び光制御信号が,変調信号(周波数変調信号,または位相変調信号など)として,光信号に重畳されている場合は,変調信号を解析して,ヘッダ及び光制御信号を抽出することで,ヘッダ及び光制御信号を分離してもよい。
【0030】
制御信号解析部55は,ヘッダ・制御信号分離部53が分離した光制御信号を解析するための要素である。制御信号解析部55は,適宜記憶され,読み出されて新たな光制御信号として,光信号に付加されて,ノードから出力される。
【0031】
伝送路制御部57は,制御信号解析部が解析した光制御信号に基づいて,伝送路を決定するための要素である。ヘッダに付加される光制御信号は,モニタのアドレスに関する情報を含む。そこで,伝送路制御部57は,制御信号解析部55が解析した情報からモニタのアドレスに関する情報を解析して,伝送路(たとえば,次のノードの候補)を決定する。
【0032】
ヘッダ・制御信号付加部59は,ペイロードに新たなヘッダ及び光制御信号を付加するための要素である。ノードで解析したヘッダや光制御信号を改めて光信号に付加されて,ノードから出力される。光信号にヘッダや光制御信号を付加する構成や動作は先に説明したとおりである。
【0033】
位置制御部17は,光ファイバ13から放出された光が,モニタ15に到達する位置を制御するための要素である。そして,位置制御部17は,光信号に含まれる位置情報に基づいて,モニタ15に到達する位置を決定する。光ファイバは,たとえば,R,G及びBごとに設けられてもよい。また,複数の波長の光を一つのファイバで伝搬してもよい。さらに,複数の波長の光を一つのファイバで伝搬して,光学素子を用いて,適宜波長分離を行って,分離された波長の光ごとに,光路を制御してもよい。波長分離を行うためには,プリズムや,グリズムといった公知の波長分離手段を用いればよい。
【0034】
位置制御部17の例は,光ファイバ13の出力端の上下左右方向を移動させることができるアクチュエータと,アクチュエータを駆動する制御部とを有するものである。制御部は,光信号に含まれる位置情報を解析する。位置情報が色信号に重畳されている場合,重畳された位置情報を読み出す。たとえば,色信号に位相変調が重畳されている場合,位相変調を復調することで,その色信号が照射されるモニタ上の位置を解析し,アクチュエータを駆動する。すると,制御部は,解析された位置に色信号が照射されるように,アクチュエータを駆動する。このようにして,画像のある部分の色成分がモニタ上に照射される。
【0035】
このような構成を採用するため,本発明の画像伝送システムは,モニタ15に,光信号に含まれる色信号が到達する。
【0036】
本発明の画像伝搬システムの好ましい態様は,光ファイバ13の出力端が所定時間毎にモニタ15全領域を掃引するものである。所定時間の例は,1/30秒又は1/60秒である。
【0037】
図5は,光ファイバがモニタを掃引する様子を示す図である。図5に示される例では,光ファイバが,1行目を左から右へ掃引し,2行目を右から左へ掃引し,2m+1行目を左から右へ掃引し,2m+2行目を右から左へ掃引する。この光ファイバが駆動されるタイミングに合わせて,符号器11が,入力画像を1行目の左端の画素から右端の画素へ順番に符号化し,2行目の右端の画素から左端の画素へ順番に符号化してもよい。このように符号器11が符号化する画像の位置と,モニタ上の照射位置とを対応させることで,符号化する順番を位置情報として符号化したこととして扱うことができることとなる。このため,位置制御部17は,符号化されたタイミングに従って,アクチュエータ等を駆動すればよいこととなるため,装置が複雑になることを防止できる。
【0038】
本発明の好ましい態様は,符号器11が,波長決定部21が決定した色ごとの強度に関する情報を求める強度決定部27を更に有するものである。この態様では,光信号生成部25は,波長決定部21が決定した波長の光の信号である色信号に,位置決定部23が決定した位置情報及び強度決定部27が決定した強度情報を付加した光信号を生成するものである。そして,光信号に含まれる強度情報を解析して,光信号モニタ15に到達する光の強度を求める強度解析部31と,強度解析部31が求めた強度に従って色信号の強度を調整する強度調整部33とを更に有する。この態様の画像伝送システムは,モニタ15へ,強度調整部33が強度を調整した色信号が到達する。
【0039】
本発明の好ましい態様は,位置制御部17が,光信号に含まれる位置情報に基づいて,モニタ15に到達する位置を決定するものである。この態様の画像伝送システムは,光の進路を調整する光路調整部41を更に有し,光路調整部41は,決定した位置に従って,光の進路を調整する。
【実施例1】
【0040】
図6は,実施例におけるシステムを示す図である。この例では,赤色光源(R),緑色光源(G)及び青色光源(B)を含む。そして,それぞれの光源は,強度変調器(IM)と接続されている。それぞれの強度変調器は,コンピュータ(PC)と接続されている。コンピュータには,画像情報が入力される。コンピュータは,入力された画像情報を解析する。この例では,モニタの左上の画素に相当する部分の画像情報をまず解析する。このコンピュータにはアクチュエータの駆動情報が記憶されているため,アクチュエータの駆動工程に従って,画像を分析する。すなわち,入力画像を1行目の左端の画素から右端の画素へ順番に符号化し,2行目の右端の画素から左端の画素へ順番に符号化する。
【0041】
コンピュータは,まず1行目の左端の画素の色を,R,G及びBの3色の階調表現に分析する。そして,各強度変調器に対して,階調に応じたパルス数を生成するように変調信号を出力する。すると,連続光源から出力された光が,階調に応じたパルス数を有する光に変換される。このR,G及びBの光信号をカプラ等で結合する。このようにして,色信号が符号化される。なお,R,G及びBの光信号は,別々のファイバで伝送されてもよい。このパルスは,時間的に最初のパルスである。この最初のパルスという情報が,このパルスのモニタにおける位置情報である。すなわち,次のパルスは,1行2列目の画素のパルスを意味する。なお,複数のモニタに信号を伝搬する場合,光信号にモニタのアドレスに関する情報を重畳してもよい。また,パケットを形成するヘッダ部分にモニタのアドレスを付加してもよい。
【0042】
符号化された光信号が光ファイバを伝搬する。光信号が光ファイバの出力端から出力される。一方,光ファイバの出力端は,上下方向のアクチュエータと,左右方向のアクチュエータとで,駆動可能となっている。そして,最初のパケットは,1行1列目の画素のパケットである。このため,アクチュエータの駆動系(PC)は,符号器のコンピュータと同期がとられており,最初のパケットが1行1列目の画素部分に照射されるように光ファイバの出力端の方向を調整する。すると,所定のパルス数を含んだ,R,G及びBの光が,1行1列目の画素に向けて放出される。そして,モニタに到着したR,G及びBの光が,1行1列目の画素を発光させる。
【0043】
以下,同様にして,モニタの画素全体に必要なパルス数の光を照射する。モニタの画素全体に光を照射するまでに要する時間が1/30秒以下であるため,人の目にはきれいな動画が視認されることとなる。なお,モニタを複数の領域に分けて,その領域ごとに光ファイバとアクチュエータを用意してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は,たとえば,きわめて高階調な画像を表現できる画像伝送システムとして,映像関連の分野で利用されうる。
【符号の説明】
【0045】
11 符号器
13 光ファイバ
15 モニタ
17 位置制御部
21 波長決定部
23 位置決定部
25 光信号生成部
31 強度解析部
33 強度調整部
41 光路調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある画像を光信号に符号化する符号器(11)と,
前記符号器(11)で符号化された光信号を伝送する光ファイバ(13)と,
前記光ファイバ(13)から放出された光が到達するモニタ(15)と,
前記光ファイバ(13)から放出された光が,前記モニタ(15)に到達する位置を制御する位置制御部(17)と,
前記光ファイバ(13)と接続されたノード(51)と,
を含む画像伝送システムであって,

前記符号器(11)は,
前記画像のある部分の色を1又は複数の波長の光を用いて生成する波長決定部(21)と,
前記画像のある部分の位置を求める位置決定部(23)と,
前記画像のある部分についての情報が送信されるモニタ(15)のアドレスに関する情報を含む光制御信号を発生する制御信号発生部(22)と,
前記波長決定部(21)が決定した波長の光の信号である色信号に,前記位置決定部(23)が決定した位置情報に関する光信号をヘッダに付加するとともに,前記制御信号発生部(22)が発生した光制御信号を付加する,光信号生成部(25)と,

前記ノード(51)は,
前記符号器(11)から出力された光信号から前記ヘッダ及び前記光制御信号をペイロードから分離するためのヘッダ・制御信号分離部(53)と,
前記ヘッダ・制御信号分離部(53)が分離した光制御信号を解析する制御信号解析部(55)と,
前記制御信号解析部が解析した前記光制御信号に基づいて,伝送路を決定する伝送路制御部(57)と,
前記ペイロードに新たなヘッダ及び光制御信号を付加するためのヘッダ・制御信号付加部(59)と,を有し,

前記位置制御部(17)は,
前記光信号に含まれる位置情報に基づいて,前記モニタ(15)に到達する位置を制御し,

前記モニタ(15)は,前記光信号に含まれる色信号が到達する,

画像伝送システム。

【請求項2】
請求項1に記載の画像伝送システムであって,
前記符号器(11)は,パルス数を用いて前記波長決定部(21)が決定した色ごとの強度を符号化する,
画像伝送システム。

【請求項3】
請求項1に記載の画像伝送システムであって,

前記符号器(11)は,波長決定部(21)が決定した色ごとの強度に関する情報を求める強度決定部(27)を更に有し,
前記光信号生成部(25)は,前記波長決定部(21)が決定した波長の光の信号である色信号に,前記位置決定部(23)が決定した位置情報及び前記強度決定部(27)が決定した強度情報を付加した光信号を生成するものであり,

前記光信号に含まれる強度情報を解析して,光信号前記モニタ(15)に到達する光の強度を求める強度解析部(31)と,
前記強度解析部(31)が求めた強度に従って前記色信号の強度を調整する強度調整部(33)と,を更に有し,

前記モニタ(15)は,
前記強度調整部(33)が強度を調整した色信号が到達する,
画像伝送システム。

【請求項4】
前記符号器(11)は,前記ある画像のある部分の色をR,G及びBの波長の光を用いて生成する,請求項1に記載の画像伝送システム。

【請求項5】
前記光信号の位置情報は,前記色信号に重畳された変調信号である,請求項1に記載の画像伝送システム。

【請求項6】
前記光信号は,位置情報を示すヘッダ部と色信号とを含む,請求項1に記載の画像伝送システム。

【請求項7】
前記位置制御部(17)は,
前記光信号に含まれる位置情報に基づいて,前記モニタ(15)に到達する位置を決定するものであり,
光の進路を調整する光路調整部(41)を更に有し,
前記光路調整部(41)は,前記決定した位置に従って,光の進路を調整する,
請求項1に記載の画像伝送システム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−93463(P2012−93463A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239149(P2010−239149)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】