説明

光ファイバテープ心線および光ファイバテープ心線の形成方法

【課題】製造手段、方法が簡単にして光ファイバテープ心線に間欠的ばらけ領域部分を簡便に安価に形成する。
【解決手段】紫外線光強度変調装置によって長手方向に搬送される紫外線硬化樹脂の塗布された光ファイバ心線上に紫外線光強度を交互に変調して与えて、長手方向に交互に高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部を形成する。以上の工程で形成された光ファイバ心線が並列的に配置された光ファイバテープ心線を形成し、光ファイバテープ心線を撚り合わせ、光ファイバテープ心線の高強度紫外線硬化被覆部によってテープ形状を保持し、低強度紫外線硬化被覆層部で、低強度紫外線硬化被覆部を亀裂させばらけさせてテープ形状をほぐして光ファイバ心線毎にほぐれ状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバテープ心線および光ファイバテープ心線の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバはブロードバンドサービスの提供に適した伝送媒体として、近年目覚しい発展を遂げ、その導入量は年々増加している。導入量の増加に伴い、ケーブル一本当りの収容される光ファイバの本数が増えて、ケーブルの高密度が求められてきた。ケーブルの高密度化と融着接続時間の短縮化を図るためにテープ形光ファイバ心線、すなわち光ファイバテープ心線が開発されてきた。
【0003】
光ファイバテープ心線は、光ファイバ素線を横一列に配置し、隣り合う光ファイバ心線を接着したものと周囲に被覆を施して一本化したものがある。一本の光ファイバテープ心線に収容される光ファイバ素線の数は例えば2,4,5,6,8,10または、12本とされている。それらはそれぞれの本数に対応した多心テープ心線と称され、単線構成の心線と区別されている。
並列的に配されている複数の光ファイバ素線と、これらの複数の光ファイバ素線上に一体的に設けられている紫外線(UV)硬化型樹脂からなる被覆層とを備える光ファイバテープ心線において、被覆層が光ファイバ素線の長手方向に沿って一定間隔でまたは連続して設けた構造が知られている。また、構造形成のために紫外線を間欠的に照射して未硬化の紫外線硬化型樹脂部分を溶剤によって溶解することが提案されている。これらの構造および製造方法を提供するものとして、特許文献1−5がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭64−59308号公報
【特許文献2】特開2001−264604号公報
【特許文献3】特開2003−232972号公報
【特許文献4】特開2005−114830号公報
【特許文献5】特開平6−157077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術は、光ファイバケーブルを構成している光ファイバテープ心線の長手方向に間欠的に光ファイバ素線がばらけた部分と拘束した部分を形成し、ばらけた部分で温度特性の改良や中間取り出し性能の向上を図っている。
【0006】
従来この間欠的なばらけ部分を形成するに当って、並列配置の光ファイバ素線の一部に間欠的に接着剤を塗布し、硬化させて他の箇所にばらけ部分を形成したり、光ファイバ素線の一部に間欠的に未硬化樹脂部分を形成してこの部分を溶剤が溶解し、ばらけ部分を形成したりしている。
【0007】
これらの手段、方法によって間欠的ばらけ部分を形成することができるが、製造方法が複雑であって操作が大変で簡便ではないという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みて製造手段、方法が簡単にして光ファイバテープ心線に間欠的ばらけ領域部分を簡便に、安価に形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、並列的に配置されている複数の光ファイバ素線と、該複数の光ファイバ素線上に一体的に設けられている紫外線硬化樹脂からなる被覆層とを備える光ファイバテープ心線において、
前記被覆層が高強度紫外線硬化被覆部と各光ファイバテープ心線にばらけ易くした低強度紫外線硬化被覆部とからなり、これらの高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部とが長手方向で前記光ファイバ素線を被覆した状態で、交互に配設されていること
を特徴とする光ファイバテープ心線を提供する。
【0010】
本発明は、また、前記高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部とは外形形状が同一とされ、前記並列された光ファイバ素線の厚さを超えていないことを特徴とする光ファイバテープ心線を提供する。
【0011】
本発明は、また、前記高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部とは外形形状が同一とされ、前記並列された光ファイバ素線全体を覆って形成されていることを特徴とする光ファイバテープ心線を提供する。
【0012】
本発明は、並列的に配置されている複数の光ファイバ素線と、該複数の光ファイバ素線上に一体的に設けられている紫外線硬化樹脂からなる被覆層とを備える光ファイバテープ心線おいて、
前記被覆層が高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部とからなり、これらの高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部とが長手方向で前記光ファイバ素線を被覆した状態で、交互に配設されていることでテープ形状が形成されており、
前記高強度紫外線硬化被覆部で、該高強度紫外線硬化被覆部によってテープ形状を保持し、前記低強度紫外線硬化被覆部で、該低強度紫外線硬化被覆部が亀裂し、各光ファイバテープ心線にばらけていることによってテープ形状がほぐれ状態にあること
を特徴とする光ファイバテープ心線を提供する。
【0013】
本発明は、並列的に配置している複数の光ファイバ素線と、該複数の光ファイバ素線上に一体的に設けられる紫外線硬化樹脂からなる被覆層とを備える光ファイバテープ心線の形成方法において、
並列的に配置され、長手方向に搬送されている複数の光ファイバ素線に紫外線硬化樹脂塗布装置によって紫外線硬化樹脂を塗布してテープ形状を維持する光ファイバテープ心線を形成し、
紫外線光強度変調装置によって長手方向に搬送される紫外線硬化樹脂の塗布された光ファイバテープ心線上に紫外線光強度を交互に変調して与えて、長手方向に交互に高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部を形成して該低強度紫外線硬化被覆部に亀裂を入れて各光ファイバ心線にばらけさすこと
を特徴とする光ファイバテープ心線の形成方法を提供する。
【0014】
本発明は、並列的に配置している複数の光ファイバ素線と、該複数の光ファイバ素線上に一体的に設けられる紫外線硬化樹脂からなる被覆層とを備える光ファイバテープ心線の形成方法において、
並列的に配置され、長手方向に搬送されている複数の光ファイバ素線に紫外線硬化樹脂塗布装置によって紫外線硬化樹脂を塗布し、テープ形状を持つ光ファイバテープ心線を形成し、
紫外線光強度変調装置によって長手方向に搬送される紫外線硬化樹脂の塗布された光ファイバテープ心線上に紫外線光強度を交互に変調して与えて、長手方向に交互に高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部を形成して、形成された光ファイバ心線が並列的に配置された光ファイバテープ心線を形成し、光ファイバテープ心線を撚り合わせ、前記光ファイバテープ心線の高強度紫外線硬化被覆部によってテープ形状を保持し、前記低強度紫外線硬化被覆部で、該低強度紫外線硬化被覆部を亀裂させ、ばらけさせてテープ形状をほぐして光ファイバ心線毎にほぐれ状態としたこと
を特徴とする光ファイバテープ心線の形成方法を提供する。
【0015】
本発明は、また、前記紫外線硬化樹脂塗布装置によって前記光ファイバテープ心線に紫外線硬化樹脂を一様に塗布し、
前記紫外線強度変調装置によって紫外線光強度を階段状に交互に強弱変調することを特徴とする光ファイバテープ心線の形成方法を提供する。
【0016】
本発明は、また、前記紫外線硬化樹脂塗布装置によって前記光ファイバテープ心線に紫外線硬化樹脂を一様に塗布し、
前記紫外線強度変調装置によって紫外線光強度をサイン波型に交互に強弱変調することを特徴とする光ファイバテープ心線の形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
前述のように被覆層がUV硬化手段によって高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部とからなり、これらの高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部とが長手方向で前記光ファイバ素線を被覆した状態で、交互に配設されている光ファイバテープ心線が提供される。
【0018】
また、以上の工程で形成された光ファイバ素線が並列的に配置された光ファイバテープ心線を形成し、光ファイバテープ心線を撚り合わせ、前記光ファイバテープ心線高強度紫外線硬化被覆部によってテープ形状を保持し、前記低強度紫外線硬化被覆部で、該高低強度紫外線硬化被覆部が亀裂するようにして、ばらけさせてテープ形状をほぐし、光ファイバ素線毎にほぐれ状態とすることができ、間欠的ばらけ部分を製造手段、方法が簡単にして操作を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の光ファイバテープ心線の基本的構成を示す図。
【図2】光ファイバテープ心線形成装置の概略を示す図。
【図3】光ファイバテープ心線の被覆層(被覆膜)硬化強度変調例1を示す図。
【図4】光ファイバテープ心線の被覆層(被覆膜)硬化強度変調例2を示す図。
【図5】撚り合わせや工程を示す図。
【図6】テープ形状ほぐれ状態を形成する工程図。
【図7】本実施例で採用され得る各種のリボン形状を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の光ファイバテープ心線100の基本的構成を示す。図1において、光ファイバテープ心線100は、並列的に配置されている複数の光ファイバ素線と、これらの複数の光ファイバ素線上に一体的に設けられている紫外線硬化樹脂からなる被覆層とを備えて構成される。図1には、コアとクラッドからなるファイバに被覆を施した光ファイバ素線にテープ形成用の被覆層を設けて形成した光ファイバ心線が図示してあり、複数の光ファイバ素線を並列的に配置する形状で、複数の光ファイバテープ心線が並列的に配置され、全体として光ファイバテープ心線が形成される。この光ファイバテープ心線を図示してある。図1において、100は光ファイバテープ心線、1は各光ファイバ心線、2は各光ファイバ心線の被覆層を示す。光ファイバ素線は各光ファイバ心線1の内部にあり、目視することはできない。
【0021】
以上のように構成された光ファイバテープ心線100において、被覆層2がUV(紫外線)硬化強度大の高強度紫外線硬化被覆部3とUV硬化強度小の低強度紫外線硬化被覆部4とからなり、これらの高強度紫外線硬化被覆部3と低強度紫外線硬化被覆部4とが長手方向で光ファイバ素線を被覆した状態で、交互に連続して配設される。
【0022】
そして、以上の工程で形成された光ファイバ素線が並列的に配置された光ファイバテープ心線を形成し、光ファイバテープ心線を撚り合わせ、前述光ファイバテープ心線高強度紫外線硬化被覆部によってテープ形状を保持し、前記低強度紫外線硬化被覆部で、該
低強度紫外線硬化被覆層部を亀裂させばらけさせてテープ形状をほぐして光ファイバ心線毎にほぐれ状態とさせて、光ファイバ心線の間欠テープが形成される。
【実施例】
【0023】
図2は、光ファイバテープ心線を形成する光ファイバテープ心線形成装置100を示す。
【0024】
図2において、光ファイバテープ心線形成装置100は、光ファイバ素線送り出し装置21、光ファイバ素線並列装置22、UV硬化樹脂塗布装置23、UV硬化樹脂硬化装置のUV光源24、UV光源24に接続されたUV光強度変調装置25、ローラ26および光ファイバテープ心線巻き取り装置27および捩り装置29を備えて構成される。
【0025】
光ファイバ素線送り出し装置21から送り出された複数の光ファイバ素線20はライン28を搬送され、光ファイバ素線並列装置22で並列され、更に搬送されてUV硬化樹脂塗布装置23一様均質にその表面にUV硬化樹脂が塗布される。塗布量については次のUV光源24の光強度との関係で調整するようにしてよい。
【0026】
このUV硬化樹脂は、アクリル配盤、アクリル酸エステル、アクリル酸樹脂などのアクリレート樹脂等で構成され、紫外線を照射すると硬化する性質を有する。
【0027】
UV硬化樹脂塗布装置23は、各光ファイバ素線20にUV硬化樹脂を塗布被覆してUV被覆心線を形成する。このUV被覆心線の形成が光ファイバ心線の形成となる。UV硬化樹脂塗布装置23は、更に並列した光ファイバ心線(UV被覆心線)間にUV硬化樹脂を塗布被覆してUV被覆部を形成して、光ファイバテープ心線を形成する。
【0028】
形成された光ファイバテープ心線は更に搬送され、UV樹脂硬化装置を形成するUV光源24で全線全面に亘って紫外線が照射される。
【0029】
UV光源24は、これに接続されたUV光強度変調装置25によってUV光強度が変調され、強弱変調された光強度の光が光ファイバテープ心線に照射される。UV光強度変調装置25は、後述するように階段型、サイン波型あるいはこれらを組み合せた様式で変調信号を作成し、変調信号をUV光源24に送信し、変調信号の強弱によって制御された光がすなわち紫外線が光ファイバテープ心線に照射される。
【0030】
この変調された光の照射によって、UV被覆、すなわちUV被覆心線についてUV被覆部のUV被覆の双方の被覆層には硬化強度大の高強度紫外線硬化被覆部と硬化強度小の低強度紫外線硬化被覆部が形成される。これらの高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部とが長手方向で光ファイバ素線を被覆した状態、あるいは光ファイバ心線を被覆した状態で、交互に配設される。
【0031】
被覆強度変調テープ心線10は搬送維持され、搬送の特定位置に設けられた捩り装置29によって捩り、すなわち撚りが与えられる。
【0032】
このようにして光、すなわち紫外線が照射された光ファイバテープ心線は、被覆強度変調光ファイバテープ心線30となり、ローラ26を介して搬送され、光ファイバテープ心線巻き取り装置27によって巻き取られる。
【0033】
図3は、光ファイバテープ心線の被覆層(被覆膜)硬化強度変調例1を示す。
【0034】
図3(a)は被覆強度変調光ファイバテープ心線30の側方からの図を示し、図3(b)は縦断を示す図である。
【0035】
前述したように、被覆強度変調光ファイバ心線30は、この例の場合、4心テープ心線で構成され、各光ファイバ心線にはUV被覆部が設けられて、各光ファイバ心線はUV被覆心線31として形成されている。そして、各UV被覆心線31(図1の各光ファイバ心線に相当)の間にはUV被覆部32が形成される。この被覆部32は並列された光ファイバ心線の厚さを超えない範囲で形成され、高強度紫外線硬化被覆部(高強度UV被覆部)33(図1の高強度紫外線硬化被覆部3に相当)と低強度紫外線硬化被覆部(低強度UV被覆部)34(図1の低強度紫外線硬化被覆層部4に相当)とは外形形状が同一である。図1に示す例にあっては、光ファイバ心線の被覆層は、並列された光ファイバ素線の厚さを超えない範囲で形成される。
【0036】
図3(a)に示すように、光強度は強弱繰り返す階段型パターン35、サイン型パターン36あるいはこれらの組合せになるパターンによって設定され、光ファイバテープ心線であるUV被覆心線上の被覆層であるUV被覆部32に照射される。これによって、UV硬化強度が硬化パターン1および2の2パターンでUV被覆部32が形成される。硬化パターンに対応する形で前述の高強度紫外線硬化被覆部(高強度UV被覆部)33および低強度紫外線硬化被覆部(低強度UV被覆部)34が形成される。これらは図1の硬化強度大の領域、強化強度小の領域に対応する。
【0037】
図4は、光ファイバ心線の被覆層硬化強度変調例2を示す。
【0038】
この例にあっても図3に示す例と実質的に同一であるが、被覆部32は並列された光ファイバ心線あるいは光ファイバ素線全体を覆って形成されており、この被覆部32に上述と同様に高強度紫外線硬化被覆部(高強度UV被覆部)33および低強度紫外線硬化被覆部(低強度UV被覆部)34が形成される。
【0039】
そして、この例の場合、UV被覆部32が全体を覆っている関係で階段型パターン35が上述の階段型パターンに比較してやや早めの前進型照射とされる。
【0040】
図3および図4において、高強度紫外線硬化被覆部33の硬化率は、例えば90%以上とされ、と低強度紫外線硬化被覆部34の硬化率は例えば50%以下(0を含まず)とされる。このような硬化率に設定することによって、図2のUV光源24の光照射を2段階構成とし、初段は低強度で照射し、ついで2段目は高強度で照射し、連続した照射とすることができる。従って、UV被覆部32には連続した紫外線硬化被覆部とされ、その一部が高強度紫外線硬化被覆部33となり、他の一部が低強度紫外線硬化被覆部34となって、長手方向に連続してテープ形状が形成され、交互にこれらの硬化大小域が形成されたUV被覆心線31、すなわちこれらの心線を備えた光ファイバテープ心線すなわち被覆強度変調光ファイバテープ心線30が形成される。
【0041】
このように形成した光ファイバテープ心線を束ねてケーブル化する場合に、図5に示すように光ファイバテープ心線30について、捩り装置29による捩り、すなわち撚り合わせが行われる。
【0042】
この撚り合わせの場合に、連続した硬化領域を有する光ファイバテープ心線30の撚り合わせを容易に行うことができ、この撚り合わせ工程にて、硬化強度の小さい(弱い)部分の領域にある部分である低強度紫外線硬化被覆部34は亀裂し、ほぐされ(破断)、テープ形状がほぐされる。すなわち各光ファイバ心線にばらけされる。本実施例はこの撚り合わせ工程を利用してテープ形状が破断された領域を形成することをもう1つの特徴としている。
【0043】
テープ形状がほぐされると、光ファイバテープ心線を形成していた光ファイバ心線あるいは光ファイバ素線は単心状態となる。これに対して、硬化強度の大きい(強い)部分の領域にある高強度紫外線硬化被覆部33はテープ形状を保つ、すなわち維持する。
従って、ケーブル化工程が終了した段階では、光ファイバテープ心線30は、硬化強度の小さい部分の領域において間欠テープ心線となる。
【0044】
その結果、ケーブルに曲げ応力が加わるときや、ケーブルに低温収縮力が加わったときにはこの間欠テープ部が応力集中を緩和し、損失増加を防ぐことになる。
また、この間欠テープ部にあってはテープ形状が破断されているので、ケーブルの中間から光ファイバを取り出し、後分岐する際には、光ファイバの取り出し作業が簡便となる。
【0045】
以上のように、このようにして形成された光ファイバテープ心線は、被覆層が高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部とからなり、これらの高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部とが長手方向で前記光ファイバ素線を被覆した状態で、交互に配設されていることでテープ形状が形成されており、高強度紫外線硬化被覆部で、この高強度紫外線硬化被覆部によってテープ形状を保持し、低強度紫外線硬化被覆部で、この低強度紫外線硬化被覆部が亀裂し、ばらけていることによってテープ形状がほぐれ状態にある。
【0046】
図6は、テープ形状ほぐれ状態を形成する工程を示す。
【0047】
複数本の光ファイバ素線を並列にならべる(S1)。
【0048】
並列光ファイバ素線の周上にテープ化UV硬化被覆樹脂を塗布し、被覆された光ファイバテープ心線を形成する(S2)。この場合、更に図3、図4に示すようにUV被覆部32を形成する。UV樹脂硬化装置に被覆された光ファイバテープ心線を送り込み樹脂を連続硬化する。この際、UV光源強度を変調し、硬化強度に強弱を付与する(S3)。
【0049】
被覆された光ファイバテープ心線の被覆層(部)に強度の強弱を転移させる(S4)。
【0050】
この光ファイバテープ心線をケーブル化するに際して、連続して全体的に硬化していることを利用して、捻りを右回転、左回転のごとく交互に加える。すなわち撚り合わせを行う(S5)。
【0051】
捻りを加えつづけると、光ファイバ心線の被覆強度の弱い領域にある部分では被覆が亀裂、破断して、テープ形状がほぐされる。強い領域にある部分ではテープ形状(テープ状態)が維持される(S6)。
テープ形状がほぐされ間欠テープ状態の光ケーブルが完成される(S7)。
【0052】
以上のように、光ファイバテープ心線の形成方法は、次のステップによって形成され得る。
並列的に配置され、長手方向に搬送されている複数の光ファイバ素線に紫外線硬化樹脂塗布装置によって紫外線硬化樹脂を塗布して、光ファイバ心線を形成する。
【0053】
紫外線光強度変調装置によって長手方向に搬送される紫外線硬化樹脂の塗布された光ファイバ心線上に紫外線光強度を交互に変調して与えて、長手方向に交互に高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部を形成する。
【0054】
以上のステップで形成された光ファイバ心線が並列的に配置された光ファイバテープ心線を形成し、光ファイバテープ心線を撚り合わせ、光ファイバテープ心線高強度紫外線硬化被覆部によってテープ形状を保持し、低強度紫外線硬化被覆部で、該低強度紫外線硬化被覆部を亀裂させ、ばらけさせてテープ形状をほぐして光ファイバ心線毎にほぐれ状態とする。
【0055】
このようなステップを踏んで、ケーブル化工程が終了した段階では、光ファイバテープ心線30は、硬化強度の小さい部分の領域において間欠テープ心線となる。
【0056】
図7は、テープ心線31およびUV被覆部32を備えた各種リボン10の形状を示す。
【0057】
図7(a)は、図3および図4に示す形状の典型的なリボン10を示す。図7(b)は、隣接するテープ心線を隣接する部分をほぼ円形状のUV被覆部32によって密着させたリボン10、いわばエッジボンド型リボンを示す。図7(c)は、UV被覆部32をテープ形状としたリボン10、いわばテープ形状型リボンを示す。この形状の形成に当っては、並列させた4つのテープ心線31上の側面にUV樹脂を柔らかいハケ状の道具を使用して塗布してUVテープを形成する。インクジェット形式でUV樹脂を塗布することができる。両側に塗布してもよい。図7(d)は、4つのテープ心線31を離間させ、離間箇所に厚さ一定、例えばhの厚さのUV被覆部を形成し、外面を図7(b)に示すと同様にしたリボン10の例である。
【0058】
このような形状のリボン10が図3、図4に示すような形体で高強度UV被覆部33および低強度UV被覆部34が形成されることになる。
【0059】
以上実施例にて本発明を説明したが、本発明は上記実施例に限るものではない。例えば、紫外線硬化装置の光源に波長の異なる複数の光源を設け、紫外線樹脂の硬化強度波長依存性を応用し、硬化強度が高い波長と低い波長を交互に照射することで結果的に光ファイバテープ心線の被覆強度を変調することも可能である。このようにして作成された光ファイバテープ心線の被覆層はケーブル化工程で亀裂が生じ、間欠テープとすることが出来る。
【符号の説明】
【0060】
1…各光ファイバ心線、2…各光ファイバ心線の被覆層、3…高強度紫外線硬化被覆部(高強度UV被覆部)、4…低強度紫外線硬化被覆部(低強度UV被覆部)、20…光ファイバ素線、21…光ファイバ素線送り出し装置、22…光ファイバ素線並列装置、23…UV硬化樹脂塗布装置、24…UV硬化樹脂硬化装置のUV光源、25…UV硬化樹脂硬化装置のUV光強度変調装置、26…ローラー、27…光ファイバテープ心線巻き取り装置、29…捩り装置、30…被覆強度変調光ファイバテープ心線、31…各UV被覆心線(図1の各光ファイバ心線の相応)、32…UV被覆部、33…高強度紫外線硬化被覆部(高強度UV被覆部、図1の高強度紫外線硬化被覆部3に相当)、34…低強度紫外線硬化被覆部(低強度UV被覆部、図1の低強度紫外線硬化被覆部4に相当)、35…階段型パターン、36…サイン型パターン、100…光ファイバテープ心線形成装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列的に配置されている複数の光ファイバ素線と、該複数の光ファイバ素線上に一体的に設けられている紫外線硬化樹脂からなる被覆層とを備える光ファイバテープ心線において、
前記被覆層が高強度紫外線硬化被覆部と各光ファイバ心線にばらけ易くした低強度紫外線硬化被覆部とからなり、これらの高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部とが長手方向で前記光ファイバ素線を被覆した状態で、交互に配設されていること
を特徴とする光ファイバテープ心線。
【請求項2】
請求項1において、前記高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部とは外形形状が同一とされ、前記並列された光ファイバ素線の厚さを超えていないことを特徴とする光ファイバテープ心線。
【請求項3】
請求項1において、前記高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部とは外形形状が同一とされ、前記並列された光ファイバ素線全体を覆って形成されていることを特徴とする光ファイバテープ心線。
【請求項4】
並列的に配置されている複数の光ファイバ素線と、該複数の光ファイバ素線上に一体的に設けられている紫外線硬化樹脂からなる被覆層とを備える光ファイバテープ心線おいて、
前記被覆層が高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部とからなり、これらの高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部とが長手方向で前記光ファイバ素線を被覆した状態で、交互に配設されていることでテープ形状が形成されており、
前記高強度紫外線硬化被覆部で、該高強度紫外線硬化被覆部によってテープ形状を保持し、前記低強度紫外線硬化被覆部で、該低強度紫外線硬化被覆部が亀裂し、各光ファイバ心線にばらけていることによってテープ形状がほぐれ状態にあること
を特徴とする光ファイバテープ心線。
【請求項5】
並列的に配置している複数の光ファイバ素線と、該複数の光ファイバ素線上に一体的に設けられる紫外線硬化樹脂からなる被覆層とを備える光ファイバテープ心線の形成方法において、
並列的に配置され、長手方向に搬送されている複数の光ファイバ素線に紫外線硬化樹脂塗布装置によって紫外線硬化樹脂を塗布してテープ形状を維持する光ファイバテープ心線を形成し、
紫外線光強度変調装置によって長手方向に搬送される紫外線硬化樹脂の塗布された光ファイバテープ心線上に紫外線光強度を交互に変調して与えて、長手方向に交互に高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部を形成して該低強度紫外線硬化被覆部に亀裂を入れて各光ファイバ心線にばらけさすこと
を特徴とする光ファイバテープ心線の形成方法。
【請求項6】
並列的に配置している複数の光ファイバ素線と、該複数の光ファイバ素線上に一体的に設けられる紫外線硬化樹脂からなる被覆層とを備える光ファイバテープ心線の形成方法において、
並列的に配置され、長手方向に搬送されている複数の光ファイバ素線に紫外線硬化樹脂塗布装置によって紫外線硬化樹脂を塗布し、テープ形状を持つ光ファイバテープ心線を形成し、
紫外線光強度変調装置によって長手方向に搬送される紫外線硬化樹脂の塗布された光ファイバテープ心線上に紫外線光強度を交互に変調して与えて、長手方向に交互に高強度紫外線硬化被覆部と低強度紫外線硬化被覆部を形成して、形成された光ファイバ心線が並列的に配置された光ファイバテープ心線を形成し、光ファイバテープ心線を撚り合わせ、前記光ファイバテープ心線の高強度紫外線硬化被覆部によってテープ形状を保持し、前記低強度紫外線硬化被覆部で、該低強度紫外線硬化被覆部を亀裂させ、ばらけさせてテープ形状をほぐして光ファイバ心線毎にほぐれ状態としたこと
を特徴とする光ファイバテープ心線の形成方法。
【請求項7】
請求項6において、前記紫外線硬化樹脂塗布装置によって前記光ファイバテープ心線に紫外線硬化樹脂を一様に塗布し、
前記紫外線強度変調装置によって紫外線光強度を階段状に交互に強弱変調することを特徴とする光ファイバテープ心線の形成方法。
【請求項8】
請求項6において、前記紫外線硬化樹脂塗布装置によって前記光ファイバテープ心線に紫外線硬化樹脂を一様に塗布し、
前記紫外線強度変調装置によって紫外線光強度をサイン波型に交互に強弱変調することを特徴とする光ファイバテープ心線の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−186003(P2011−186003A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48327(P2010−48327)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(504026856)株式会社アドバンスト・ケーブル・システムズ (64)
【Fターム(参考)】