説明

光ファイバー把持具及び光ファイバー接続作業方法

【課題】光ファイバーにストレスを与えることなく、光ファイバーの接続作業を行うことを可能とする光ファイバー把持具及び光ファイバー接続作業方法を提供する。
【解決手段】光ファイバー把持具1は、スポンジ等の緩衝材5を介して光ファイバーを把持する光ファイバー固定部2、光ファイバー用クロージャ7または幹線系光ケーブル9、10、支線系光ケーブル11本体を把持することにより光ファイバー把持具1を固定する把持具固定部3及び、アルミ線等の金属の線材を備え、折り曲げ自在な構成により光ファイバー固定部2と把持具固定部3を任意の姿勢に保持する連結部4を備える。これにより、光ファイバー用クロージャ7等の所望の位置に、所望の姿勢にて光ファイバーを固定することができ、光ファイバーにストレスを与えることなく、光ファイバーの接続作業を行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル収容体に収容される光ファイバーの接続作業時に用いられる光ファイバー把持具及び光ファイバー接続作業方法に関する。詳しくは、緩衝部を介して光ファイバーを把持する光ファイバー固定手段と、ケーブル収容体に固定される把持具固定手段と、光ファイバー固定手段を把持具固定手段に対して任意の姿勢に保持する連結手段を備えることで、ケーブル収容体の所望の位置に所望の姿勢にて光ファイバーを仮固定することにより、光ファイバーにストレスを与えることなく、光ファイバーの接続作業を行うことを可能とするものである。
【背景技術】
【0002】
光ケーブルは光ファイバーを用いた通信用のケーブルであり、従来のメタルケーブルと比べて通信速度、通信可能な距離等の点で優れている。現在、データ通信需要の増加に対応するため、光ケーブルの設備は拡大している。
【0003】
通信事業者の局舎と一般ユーザ宅を結ぶいわゆるアクセス系の光ケーブルを架設する際には、特定の通信機器に接続された特定の光ファイバー同士を、屋外等において途中で接続しなければならないことが生じる。
【0004】
図4は、従来のアクセス系の光ファイバーの接続作業の説明図である。屋外等において空中に張られているメッセンジャワイヤ8に、光ファイバーを収容する光ファイバー用クロージャ7が取り付けられている。光ファイバー用クロージャ7のカバーは図示していない。
【0005】
図4においては、幹線系光ケーブル9、10及び支線系光ケーブル11が敷設されている例を示す。幹線系光ケーブル9、10及び支線系光ケーブル11は、それぞれ複数の光ファイバーを束ねて構成される(図4では一部の光ファイバーのみを図示している)。
【0006】
また、それぞれの光ファイバーは複数の心線が収納された多心ファイバーである。心線は光ファイバー素線に保護被覆を被せたものであり、光ファイバーの接続を行う際は、これらの心線同士を接続する。アクセス系の光ファイバーでは、一般的に4本(4心)または8本(8心)の心線を平行に並べ、さらに紫外線硬化樹脂で覆ったテープ心線が用いられる。
【0007】
以下、図4を用いて、幹線系光ケーブル9の光ファイバー12と、支線系光ケーブル11の光ファイバー13の各心線の接続作業について説明する。接続作業前は、各光ファイバーは心線収納トレー14に収納され、図示しない光ファイバー用クロージャ7のカバーが閉められた状態になっている。
【0008】
まず、光ファイバー用クロージャ7のカバーを開く。カバーを開いた後、作業対象の光ファイバー12及び光ファイバー13が収納されている心線収納トレー14を開く。
【0009】
心線収納トレー14を開いた後、作業対象の各光ファイバーを心線収納トレー14から取り出す。その後、光ファイバー12と光ファイバー13の未接続心線15から作業対象の心線を引き出す。この時、4心または8心のテープ心線を、2心または単心に分割する。
【0010】
作業対象の心線を引き出した後、それぞれ接続後の余長部分を考慮した長さにて切断する。後の光ファイバーの接続切り替え等を考慮して、余長はできるだけ長く確保される。
【0011】
その後、融着接続装置にて光ファイバー12の接続対象の心線と光ファイバー13の接続対象の心線を接続し、接続部を補強スリーブ16により補強する。
【0012】
上述のような方法により接続対象の各心線を接続した後、図4に示すように、余長部分を整理して心線収納トレー14に収納する。一般に5本または10本のテープ心線がまとめられて心線収納トレー14に収納される。
【0013】
また上記とは別に、クロージャの内部または近傍に設置されて、光ファイバーの接続作業に用いられるクロージャ用作業台が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0014】
特許文献1に開示されるクロージャ用作業台は、メッセンジャワイヤに係止される係止部と、係止部によって吊り下げられて支持される作業台本体を備えることにより、容易に取り付けることが可能である。
【0015】
また、作業台の昇降調整を行う昇降調整手段、横移動の調整を行う横移動調整機構及び、取り付け角度調整を行う角度調整機構を備えることで、クロージャに対して任意の位置に作業台本体を固定することができる。
【0016】
このような構成により、光ファイバー接続作業の作業性の向上を図るものである。
【0017】
また、光ファイバーは折り曲げ等の外部ストレスに弱いため、上述した光ファイバー接続の各作業は光ファイバーに外部ストレスを与えないように行う必要がある。
【0018】
このため、複数の円筒ケース及び固定手段を備えた構成により、光ファイバーの接続作業時の心線の保護及び固定をする心線保護具が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0019】
特許文献2に開示される心線保護具は、長手方向に所定幅の縦割りスリットを有し径が異なる複数の円筒ケース及び固定手段を備える。径の小さな円筒ケースが径の大きな円筒ケースにスライド自在に挿入され、保護具全体の長さが伸縮自在となり、また磁石等の固定手段により金属部品に取り付けることができる。
【0020】
このような構成により、内部に収納された心線の曲げや衝撃を緩和し、かつ、所定の位置に固定するものである。
【0021】
【特許文献1】特開平09−189833公報
【特許文献2】特開平08−114734公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかし、前述した従来の光ファイバーの接続方法では、接続作業時に各光ファイバーが固定されていないため次のような問題がある。
【0023】
各光ファイバーが固定されていないため、各作業を行う際に光ファイバーに外部ストレスを与えてしまう恐れがある。例えば、光ファイバーの多数の心線から接続対象の心線を引き出す際に、各心線に対してストレスを与える恐れがある。
【0024】
また、屋外にて作業を行う際には、風等の影響により接続作業中の各光ファイバーにストレスが加わる恐れがある。
【0025】
更に、各光ファイバーが固定されていないため、光ファイバーの切断及び融着等の各作業がやり難い問題がある。作業がやり難い結果、作業時間が長くなり、誤って光ファイバーにストレスを与えることが多くなってしまう。
【0026】
また、電柱等の柱上にて作業を行う際には、不安定な状態にて各作業を行うため、各光ファイバーが固定されていない状態ではより作業がやり難くなり、その結果、誤って光ファイバーにストレスを与えることが多くなってしまう。
【0027】
また、特許文献1にて提案されているクロージャ用作業台を用いて光ファイバーの接続作業を行う際も、接続作業対象の光ファイバーは固定されない。このため、各作業を行う際に光ファイバーに外部ストレスを与えてしまう恐れがある。
【0028】
また、特許文献2にて提案されている心線保護具は、円筒ケースの内部に心線を収納することで、クロージャ近傍の所定の位置にルーズに固定する構成である。よって、光ファイバーがしっかり固定されないため、各作業を行う際に光ファイバーにストレスを与えてしまう恐れがある。
【0029】
また、円筒ケースの内部に収納してルーズに固定する構成であるため、所望の位置に所望の姿勢にて光ケーブルを固定することができない。
【0030】
また、固定手段として磁石等を用いているため、心線保護具を金属部品以外に取り付けることができない。更に、円筒ケースにより構成されているため、固定する際に大きなスペースを必要とする。
【0031】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、光ファイバーを所望の位置に所望の姿勢にて固定することにより、光ファイバーにストレスを与えることなく接続作業を行うことが可能な光ファイバー把持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上述した問題を解決するため、本発明に係る光ファイバー把持具は、ケーブル収容体に収容される光ファイバーの接続作業時に用いられる光ファイバー把持具であって、光ファイバーを緩衝部を介して着脱自在に把持する光ファイバー固定手段と、ケーブル収容体に固定される把持具固定手段と、光ファイバー固定手段と把持具固定手段を連結し、把持具固定手段に対して光ファイバー固定手段を任意の姿勢に保持する連結手段を備えたことを特徴とするものである。
【0033】
本発明に係る光ファイバー把持具では、光ファイバーが光ファイバー固定手段にて緩衝部を介して把持される。
【0034】
また、本発明に係る光ファイバー把持具は、把持具固定手段をケーブル収容体に対して固定することにより、ケーブル収容体の所望の位置に固定される。
【0035】
また、連結手段により、光ファイバー固定手段が把持具固定手段に対して任意の姿勢に保持される。その結果、光ファイバー固定手段に把持された光ファイバーが、ストレスが加わらない状態で保持される。
【0036】
上述した問題を解決するため、本発明に係る光ファイバー接続作業方法は、ケーブル収容体に収容される光ファイバーを接続する光ファイバー接続作業方法において、光ファイバーを緩衝部を介して着脱自在に把持する光ファイバー固定手段と、ケーブル収容体に固定される把持具固定手段と、光ファイバー固定手段と把持具固定手段を連結し、把持具固定手段に対して光ファイバー固定手段を任意の姿勢に保持する連結手段を備えた光ファイバー把持具を用い、ケーブル収容体から引き出した、接続対象の心線を含む単数または複数の光ファイバーを、ケーブル収容体に固定される把持具固定手段に対して連結手段により任意の姿勢に保持される光ファイバー固定手段で把持して、ケーブル収容体に仮固定し、光ファイバーの接続作業を行うことを特徴とするものである。
【0037】
本発明に係る光ファイバー接続作業方法では、ケーブル収容体から引き出された、接続対象の心線を含む単数または複数の光ファイバーが、光ファイバー把持具により保持され、接続作業対象の光ファイバーが仮固定された状態で、光ファイバーの接続作業が行われる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の光ファイバー把持具によれば、緩衝部を介して光ファイバーを把持する光ファイバー固定手段と、ケーブル収容体への把持具固定手段と、光ファイバー固定手段と把持具固定手段を任意の姿勢に保持する連結手段を備えることにより、光ファイバーの接続作業時に、単数または複数の光ファイバーを、ケーブル収容体の所望の位置に、所望の姿勢にて固定することができる。
【0039】
これにより、光ファイバーにストレスを与えることなく、光ファイバーの接続作業を行うことが可能になる。
【0040】
また、光ファイバー固定手段、把持具固定手段及び連結手段を備えた単純な構成であるため、容易に、かつ、低コストで作製することが可能である。
【0041】
本発明の光ファイバー接続作業方法では、緩衝部を介して光ファイバーを把持する光ファイバー固定手段と、ケーブル収容体への把持具固定手段と、光ファイバー固定手段と把持具固定手段を任意の姿勢に保持する連結手段を備えた光ファイバー把持具を用いる。
【0042】
これにより、光ファイバーの接続作業時に、接続対象の心線を含む単数または複数の光ファイバーを、ケーブル収容体の所望の位置に、所望の姿勢にて固定することができる。
【0043】
よって、光ファイバー接続作業時に、作業対象の光ファイバーにストレスが加わることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下図面を参照して、本発明の光ファイバー把持具の実施の形態について説明する。
<本実施の光ファイバー把持具の構成例>
図1及び図2は、本実施の形態の光ファイバー把持具1の一例を示す説明図である。図1は光ファイバー把持具1の構成を示す説明図である。図2は光ファイバー把持具1により光ファイバーを固定した状態を示す説明図である。光ファイバー把持具1は、例えば次に説明するような構成となる。
【0045】
図1及び図2に示すように、光ファイバー把持具1は、光ファイバー固定部2、把持具固定部3及び連結部4を備える。
【0046】
図1及び図2に示すように、光ファイバー固定部2は緩衝部としてスポンジ等のクッション材5を備えたクリップ状の部材である。光ファイバー固定部2は光ファイバー固定手段の一例である。図2に示すように、クッション材5を介して単数または複数の光ファイバー6を把持することが可能である。
【0047】
また、図1及び図2に示すように、把持具固定部3は滑り止め部3aを備えたクリップ状の部材であり、把持具固定手段の一例である。図2に示すように光ファイバー用クロージャ7等のケーブル収容体を把持することにより、光ファイバー把持具1を光ファイバー用クロージャ7に固定することが可能な構成となる。
【0048】
また、滑り止め部3aを備えることにより、滑りやすい金属部分等に固定することも可能になる。このため、光ファイバー用クロージャ7の把持具固定部3により把持することが可能な任意の位置に、光ファイバー把持具1は固定可能である。
【0049】
また、光ファイバー用クロージャ7の構造が異なる場合も、把持具固定部3による把持が可能な任意の位置に、光ファイバー把持具1は固定可能である。
【0050】
また、図1及び図2に示すように、連結部4により光ファイバー固定部2と把持具固定部3が連結される。連結部4は連結手段の一例である。連結部4は例えばアルミ線等の金属の線材を備え、折り曲げが自在で、かつ、折り曲げた角度を保持できる構成となる。
【0051】
これにより、連結部4により連結された光ファイバー固定部2と把持具固定部3を任意の姿勢に保持することが可能となる。
【0052】
上述した構成の光ファイバー把持具1により、単数または複数の光ファイバー6を、光ファイバー用クロージャ7の所望の位置に、所望の姿勢にて固定することが可能となる。
【0053】
また、本実施の形態の光ファイバー把持具1は、クリップ状の光ファイバー固定部2及び把持具固定部3により、光ファイバー6の固定を行うため、小さいスペースにて光ファイバー6を固定することができる。
【0054】
このため、光ファイバー用クロージャ7の光ファイバー6の収容形態に応じて、限られたスペースにて最適な状態で、光ファイバー6を固定することができる。
【0055】
また、本実施の形態の光ファイバー把持具1は、光ファイバー固定部2、把持具固定部3及び連結部4を備えた単純な構成である。光ファイバー固定部2及び把持具固定部3は一般的なクリップを用いて構成することが可能である。
【0056】
更に、光ファイバー固定部2の緩衝部はスポンジ等の緩衝材5を用いて構成することが可能であり、連結部4はアルミ線等の金属の線材を用いて構成することが可能である。このように、光ファイバー把持具1は一般的な部材を用いて容易に、かつ、低コストで作製することが可能である。
<本実施の光ファイバー接続作業方法例>
次に、図3を用いて、本実施の形態の光ファイバー把持具1を用いたアクセス系の光ファイバーの接続作業方法について説明する。図3においては図4と同様に、屋外等において空中に張られているメッセンジャワイヤ8に、光ファイバー6を収容する光ファイバー用クロージャ7が取り付けられている。図3と図4において同一の部分については、同一の符号を付している。光ファイバー用クロージャ7のカバーは図示していない。
【0057】
光ファイバー用クロージャ7は、引き出し状の心線収納トレー14を複数段備える。心線収納トレー14の内部に各光ファイバー6の心線が収納される。各心線収納トレー14を引き出して、心線の収納及び、収納された心線の取り出しが行われる。各心線収納トレー14は、心線収納トレー固定金具7aにより固定される。
【0058】
また、図3は図4と同様に、幹線系光ケーブル9、10及び支線系光ケーブル11が敷設されている。幹線系ケーブル光9、10及び支線系光ケーブル11は、それぞれ複数の光ファイバー6を束ねて構成される(図3では一部の光ファイバー6のみを図示している)。
【0059】
以下では、光ファイバー6の例として、幹線系光ケーブル9の光ファイバー12、幹線系光ケーブル10の光ファイバー17及び、支線系光ケーブル11の光ファイバー13を用いて説明する。
【0060】
それぞれの光ファイバーは、複数の心線が収納された多心ファイバーである。光ファイバーの接続を行う際は、この心線同士を接続する。アクセス系の光ファイバーでは、一般に4心または8心のテープ心線が用いられる。
【0061】
以下、幹線系光ケーブル9の光ファイバー12aと、支線系光ケーブル11の光ファイバー13の各心線の接続作業について説明する。接続作業前は、作業対象の各光ファイバーは心線収納トレー14に収納され、図示しない光ファイバー用クロージャ7のカバーが閉められた状態になっている。
【0062】
まず、光ファイバー用クロージャ7のカバーを開く。カバーを開いた後、作業対象の光ファイバー12a及び光ファイバー13が収納されている心線収納トレー14を開く。心線収納トレー14を開いた後、作業対象の各光ファイバーを心線収納トレー14から取り出す。
【0063】
なお、この時、心線収納トレー14から取り出した作業対象の各光ファイバーの中には、心線が接続済みのものが含まれることもある。
【0064】
その後、図2に示すように、光ファイバー把持具1を用いて、作業対象の各光ファイバーを光ファイバー用クロージャ7に仮固定する。
【0065】
図3に示すように、幹線系光ケーブル9、10及び支線系光ケーブル11からそれぞれ引き出された光ファイバー12、13、17の中で、作業対象となる光ファイバー12a、13、17aの任意の箇所を、心線収納トレー固定金具7aに固定された光ファイバー把持具1にて仮固定する。
【0066】
図1及び図2で説明したように、光ファイバー把持具1により、複数の光ファイバー6を光ファイバー用クロージャ7の所望の位置に、所望の姿勢にて固定することが可能である。
【0067】
このため、光ファイバー用クロージャ7に対して左右別々に位置し、固定される位置及び姿勢の異なる幹線系光ケーブル9、10及び支線系光ケーブル11の作業対象の各光ファイバーを、全て同じ構成の光ファイバー把持具1を用いて固定することができる。
【0068】
図3では、幹線系光ケーブル9の光ファイバー12a、幹線系光ケーブル10の光ファイバー17a及び支線系光ケーブル11の光ファイバー13が光ファイバー把持具1により仮固定された状態を示している。
【0069】
なお、図3においては、幹線系光ケーブル9の光ファイバー12と幹線系光ケーブル10の光ファイバー17aの一部の心線が接続済みであるため、作業対象となる光ファイバー13と共に、光ファイバー17aを仮固定した例を示している。
【0070】
作業対象の各光ファイバーを光ファイバー把持具1にて仮固定した後、光ファイバー12aと光ファイバー13の未接続心線15から作業対象の心線を引き出す。この時、4心または8心のテープ心線を、2心または単心に分割する。
【0071】
作業対象の心線を引き出した後、それぞれ接続後の余長部分を考慮した長さにて切断する。後の光ファイバーの接続切り替え等を考慮して、余長はできるだけ長く確保される。
【0072】
その後、融着接続装置にて光ファイバー12の接続対象の心線と光ファイバー13の接続対象の心線を接続し、接続部を補強スリーブ16により補強する。
【0073】
上述のような方法により、接続対象の各心線を接続した後、作業対象の各光ファイバーを仮固定している光ファイバー把持具1を取り外す。その後、図3に示すように、余長部分を整理して心線収納トレー14に収納する。
【0074】
各心線の収納後、心線収納トレー14を閉め、光ファイバー用クロージャ7のカバーを閉める。
【0075】
上述した各作業は、作業対象の各光ファイバーがスロット毎に光ファイバー把持具1により仮固定された状態で行われる。このため、図3のA及びBで示す、接続作業対象の心線を含む各光ファイバーの、引き出し部から光ファイバー把持具1により固定された箇所に対して、各作業時にストレスが加わることを防ぐことができる。
【0076】
また、図3の光ファイバー17aに示すように、接続済みの心線を含む光ファイバーも、必要に応じて光ファイバー把持具1により仮固定することにより、各作業時にストレスが加わることを防ぐことができる。
【0077】
また、屋外にて作業を行う際に、風等の影響により作業対象の各光ファイバーにストレスが加わることを防ぐことができる。
【0078】
更に、作業対象の各光ファイバーが固定されていることにより、光ファイバーの切断及び融着等の各作業がやり易くなり、作業時間を短縮化でき、誤って光ファイバーにストレスを与えることを少なくすることができる。
【0079】
また、上述した光ファイバー接続作業方法では、一つの光ファイバー把持具1を用いて光ファイバーを固定して作業を行うこととしたが、複数の光ファイバー把持具1を用いて光ファイバーを固定して作業を行うこととしても良い。
【0080】
また、上述した光ファイバー接続作業方法では、作業対象の各光ファイバーを、光ファイバー把持具1により光ファイバー用クロージャ7に固定して作業を行うこととしたが、光ファイバー用クロージャ7の構造等に応じて、作業対象の各光ファイバーを、幹線系光ケーブル9、10、支線系光ケーブル11本体に固定して作業を行うこととしても良い。
【0081】
図1及び図2で説明したように、把持具固定部3は滑り止め部3aを備えるため、滑りやすい各光ケーブル本体に対しても固定可能である。
【0082】
また、識別手段として、青色、黄色、緑色等の異なる色の光ファイバー固定部2を備えた光ファイバー把持具1を用いることにより、複数のスロットの光ファイバーに対して接続作業を行う際のミスを防ぐことができる。
【0083】
例えば、各光ファイバーは、スロット毎に同一色の保護チューブがはめられ、識別が可能になっている。また、各光ファイバーを、保護チューブと同系色の光ファイバー固定部2を備えた光ファイバー把持具1により、スロット毎に固定する。
【0084】
これにより、保護チューブ及び固定されている光ファイバー固定部2の色により作業対象の光ファイバーが識別可能になり、作業対象の光ファイバーを間違えるミスを防ぐことができる。
【0085】
また、識別手段として各光ファイバー固定部2に番号札をつけることにより、識別を可能としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、光ファイバー接続作業時に光ファイバーの固定に用いられる光ファイバー把持具に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施の形態の光ファイバー把持具の一例を示す説明図である。
【図2】本実施の形態の光ファイバー把持具の一例を示す説明図である。
【図3】本実施の形態の光ファイバー把持具を用いた、光ファイバー接続作業方法を示す説明図である。
【図4】従来の光ファイバー接続作業方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0088】
1 光ファイバー把持具
2 光ファイバー固定部
3 把持具固定部
4 連結部
5 クッション材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル収容体に収容される光ファイバーの接続作業時に用いられる光ファイバー把持具であって、
光ファイバーを緩衝部を介して着脱自在に把持する光ファイバー固定手段と、
前記ケーブル収容体に固定される把持具固定手段と、
前記光ファイバー固定手段と前記把持具固定手段を連結し、前記把持具固定手段に対して前記光ファイバー固定手段を任意の姿勢に保持する連結手段を備えた
ことを特徴とする光ファイバー把持具。
【請求項2】
前記連結手段は折り曲げ自在な金属の線材である
ことを特徴とする請求項1記載の光ファイバー把持具。
【請求項3】
前記把持具固定手段は、前記ケーブル収容体に対して着脱自在に構成される
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光ファイバー把持具。
【請求項4】
前記緩衝部は、前記光ファイバー固定手段に固定されたクッション材である
ことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の光ファイバー把持具。
【請求項5】
前記光ファイバー固定手段を目視により識別する識別手段を有する
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の光ファイバー把持具。
【請求項6】
ケーブル収容体に収容される光ファイバーを接続する光ファイバー接続作業方法において、
光ファイバーを緩衝部を介して着脱自在に把持する光ファイバー固定手段と、前記ケーブル収容体に固定される把持具固定手段と、前記光ファイバー固定手段と前記把持具固定手段を連結し、前記把持具固定手段に対して前記光ファイバー固定手段を任意の姿勢に保持する連結手段を備えた光ファイバー把持具を用い、
前記ケーブル収容体から引き出した、接続対象の心線を含む単数または複数の光ファイバーを、前記ケーブル収容体に固定される前記把持具固定手段に対して前記連結手段により任意の姿勢に保持される前記光ファイバー固定手段で把持して、前記ケーブル収容体に仮固定し、
前記光ファイバーの接続作業を行う
ことを特徴とする光ファイバー接続作業方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−301377(P2006−301377A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−124294(P2005−124294)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】