説明

光モジュール

【課題】
光ファイバを用いた光配線をプラグ本体に固定する際に、当該光配線を捩じれが加わらないように固定可能な固定手段を備えた光モジュールの提供を可能とすることを目的とする。
【解決手段】
本体部18と、本体部18に設けられた基板19と、少なくとも光ファイバを有し、基板19に接続される光配線20と、本体部18に設けられ、基板19から延びた光配線20を挟持するための挟持部12と、を有し、挟持部12は、第1挟持片13と、第1挟持片13の端部が挿入される挿入口16が形成された第2挟持片14と、からなり、挿入口16に第1挟持片13の先端部を挿入して、第1挟持片13及び第2挟持片14を締結することにより、第1挟持片13及び第2挟持片14が光配線20を両側から対称な力で挟持することを特徴とする光モジュール11。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを含む光配線と機器とを接続するコネクタ等の光モジュールに関し、特にコネクタのオス側端子であるプラグの本体部に光配線を固定する固定手段に特徴のある光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信速度の高速化及び通信容量の増大に伴い、電気機器等の機器間配線において光ファイバを含む光電気複合配線等の光配線が用いられている。機器間配線には、電気機器等と配線との着脱を容易にする為にしばしばコネクタが用いられる。このコネクタのオス側端子であるプラグは、本体部上に設けられた基板に配線を接続し、本体部に配線の基板に接続した側の端部を固定するために本体部及び該端部を樹脂モールドにより一体成型したものである。しかし、前記端部及び本体部における樹脂モールド成型のみの固定では強度が弱く、本体部から配線が外れやすい。そのため、本体部及び配線の固定を強化するために、本体部には配線固定用の固定手段を設ける必要があった(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−70123号公報
【特許文献2】特開平9−250661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されている配線固定用の固定手段は、配線を固定する際に該配線に外周方向の力が働き、該配線には該配線の所定の中心線に対して線対称でない力が加わってしまうため、該配線には捩じれが加わってしまう。そのため、上記の固定手段を光ファイバを用いた光配線に使用する場合、光ファイバはせん断力に弱いため、断線や光伝送ロス増加を招くという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑み成されたものであり、光ファイバを用いた光配線を本体部に固定する際に、当該光配線を捩じれが加わらないように固定可能な固定手段を備えた光モジュールの提供を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情を鑑み成されたものであり、本体部と、前記本体部に設けられた基板と、少なくとも光ファイバを有し、前記基板に接続される光配線と、前記本体部に設けられ、前記基板から延びた前記光配線を挟持するための挟持部と、を有し、前記挟持部は、第1挟持片と、前記第1挟持片の端部が挿入される挿入口が形成された第2挟持片と、からなり、前記挿入口に前記第1挟持片の先端部を挿入して、前記第1挟持片及び前記第2挟持片を締結することにより、前記第1挟持片及び前記第2挟持片が前記光配線を両側から略対称な力で挟持することを特徴とする光モジュールを提供するものである。
【0007】
前記第1挟持片は、基端側であって、前記挿入口の幅よりも広い幅広部と、端部側であって、前記挿入口の幅よりも狭い幅狭部と、からなり、前記挿入口に前記幅狭部の先端部を挿入して、前記幅狭部の先端部を幅広部側に折り曲げて前記第1挟持片及び前記第2挟持片を締結することにより、前記第1挟持片及び前記第2挟持片が前記光配線を両側から略対称な力で挟持することとしても良い。
【0008】
また、本発明は、本体部と、前記本体部に設けられた基板と、少なくとも光ファイバを有し、前記基板に接続される光配線と、前記本体部に設けられ、前記基板から延びた前記光配線を挟持するための挟持部と、を有し、前記挟持部は、第1挟持片と、第2挟持片と、からなり、前記第1挟持片の端部と前記第2挟持片の端部を互いに略対称に交差して捩ることによって第1挟持片及び前記第2挟持片を締結することにより、前記第1挟持片及び前記第2挟持片が前記光配線を両側から略対称な力で挟持することを特徴とする光モジュールを提供するものである。
【0009】
前記第1挟持片及び前記第2挟持片は、基端側に形成される幅広部と、端部側であって、前記幅広部より幅が狭い幅狭部と、からなり、前記第1挟持片の前記幅狭部と前記第2挟持片の前記幅狭部を互いに略対称に交差して、第1挟持片及び前記第2挟持片を締結することにより、前記第1挟持片及び前記第2挟持片が前記光配線を両側から略対称な力で挟持することしても良い。
【0010】
前記挟持部は、ステンレス鋼からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光ファイバを用いた光配線を本体部に固定する際に、当該光配線を捩じれが加わらないように固定可能な固定手段を備えた光モジュールの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の好適な実施形態に係る光モジュール11の斜視図及び挟持部12の拡大図。
【図2】本発明の好適な実施形態に係る光モジュール11の挟持部12を締結する前の横断面図。
【図3】本発明の好適な実施形態に係る光モジュール11の挟持部12を締結した後の横断面図。
【図4】本発明の好適な変形形態に係る光モジュールの本体部28の斜視図及び挟持部22の拡大図。
【図5】本発明の好適な変形形態に係る光モジュールの挟持部22を締結する際の動作を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態に関し、添付図に従って説明する。
【0014】
本発明の好適な実施形態に係る光モジュール11の構成に関し、図1及び図2を用いて説明する。
【0015】
図1は、本発明の好適な実施形態に係る光モジュール11の斜視図及び挟持部12の拡大図である。図2は、本発明の好適な実施形態に係る光モジュール11の挟持部12を締結する前の横断面図である。
【0016】
本発明の好適な実施形態に係る光モジュール11は、光ファイバを用いた光配線20を本体部18に固定するのに好適な挟持部12を備えた光モジュール11であって、図1及び図2に図示するように、本体部18と、本体部18に設けられた基板19と、少なくとも光ファイバを有し、基板19に接続される光配線20と、本体部18に設けられ、基板19から延びた光配線20を挟持するための挟持部12と、を有し、挟持部12は、第1挟持片13と、第1挟持片13の端部が挿入される挿入口16が形成された第2挟持片14と、からなり、挿入口16に第1挟持片13の先端部を挿入して、第1挟持片13及び第2挟持片14を締結することにより、第1挟持片13及び第2挟持片14が光配線20を両側から略対称な力で挟持することを特徴とする光モジュール11である。
【0017】
本実施形態においては、第1挟持片13は、基端側であって、挿入口16の幅よりも広い幅広部13bと、端部側であって、挿入口16の幅よりも狭い幅狭部13aと、からなり、挿入口16に幅狭部13aの先端部を挿入して、幅狭部13aの先端部を幅広部13b側に折り曲げて第1挟持片13及び第2挟持片14を締結することにより、第1挟持片13及び第2挟持片14が光配線20を両側から略対称な力で挟持することとした。
【0018】
詳細を以下に説明する。
【0019】
本実施形態に係る光モジュール11は、光配線固定用の固定手段に特徴を持たせたものである。該固定手段は、挟持部12により光配線20を挟持することにより本体部18に固定するものである。
【0020】
挟持部12は、第1挟持片13及び第2挟持片14を備えており、材質としてはステンレス鋼が好ましい。
【0021】
第1挟持片13は、本実施形態において、基端側であって、挿入口16の幅よりも広い幅広部13bと、端部側であって、挿入口16の幅よりも狭い幅狭部13aと、からなっている。
【0022】
第2挟持片14は、幅狭部13aが挿入される挿入口16が形成されている。
挿入口16に幅狭部13aを挿入することにより、光配線20が挿通されて光配線20を本体部18上の基板19へ導くための挿通孔17が形成される。光配線20は挿通孔17から挿通し、所定の距離をもって離された基板19に接続される。
【0023】
第1挟持片13及び第2挟持片14は、後に締結される際、折り曲げられることから、ステンレス鋼など外力に対して変形しやすい金属からなることが好ましい。
【0024】
次に、本実施形態に係る光モジュール11の挟持部12が光配線20を本体部18に固定する動作について、図3を用いて説明する。
【0025】
初め、図2に図示するように、挿入口16に幅狭部13aが挿入され、幅狭部13aの先端部が挿入口16から突出している。挿入口16に挿入され、挿入口16から突出している幅狭部13aの先端部を、挿入口16へ挿入した方向と同じ方向(図3において、左上方)へ引く。ある程度幅狭部13aの先端部を引くと、幅狭部13aと幅広部13bが形成する段差部13c(図1の点線円内)が、第2挟持片14の挿入口16を形成する両脇部分に引っかかる。その後、図3に図示するように、挿入口16から出た幅狭部13aを、幅広部13b側に折り曲げることにより、第1挟持片13及び第2挟持片14を締結する。このとき、第1挟持片13及び第2挟持片14が光配線20を両側から略対称の力で挟持可能となるように設計した。第1挟持片13及び第2挟持片14は、締結されることによって光配線20を両側から対象の力で挟持し、且つ光配線20が挟持部12から外れるのを防止している。
【0026】
本実施形態のように、第1挟持片に幅狭部13aと幅広部13bを設けて段差部13cを形成し、この段差部31cが挿入口16に引っかかるようにしたことにより、光配線20の締め過ぎを防止しつつ挟持できるようにした。このとき、幅狭部13aの長さは、光配線20を固定するために十分な力を得るために必要な引く長さに設計する。
【0027】
以上により、光ファイバを用いた光配線20を本体部18に固定する際に、光配線20を捩じれが加わらないように固定可能な固定手段を備えた光モジュール11の提供が可能となる。
【0028】
次に、本発明の好適な変形形態に係る光モジュールの本体部28に関し、図4及び図5を用いて説明する。
【0029】
図4は、本発明の好適な変形形態に係る光モジュールの本体部28の斜視図及び挟持部22の拡大図である。図5は、本発明の好適な変形形態に係る光モジュールの本体部28の挟持部22を締結する際の動作を説明する説明図である。
【0030】
本発明の好適な変形形態に係る光モジュールの構成は、本体部28と、本体部28に設けられた基板(図示しない)と、少なくとも光ファイバを有し、前記基板に接続される光配線20(図4においては図示しない)と、本体部28に設けられ、前記基板から延びた光配線20を挟持するための挟持部22と、を有し、挟持部22は第1挟持片22aと、第2挟持片22bと、からなり、第1挟持片22aの端部と第2挟持片22bの端部を互いに略対称に交差して捩ることによって第1挟持片22a及び第2挟持片22bを締結することにより、第1挟持片22a及び第2挟持片22bが光配線20を両側から対称な力で挟持することを特徴とする光モジュールである。
【0031】
詳しくは、第1挟持片22a及び第2挟持片22bは、基端側に形成される幅広部22B及び22B´と、端部側であって、幅広部22B及び22B´より幅が狭い幅狭部22A及び22A´と、からなり、第1挟持片22aの幅狭部22Aと第2挟持片22bの幅狭部22A´を互いに略対称に交差して捩ることによって第1挟持片22a及び第2挟持片22bを締結することにより、第1挟持片22a及び第2挟持片22bが光配線20を両側から略対称な力で挟持することとした。
【0032】
本変形形態においては、幅広部22A及び22A´と幅広部22B及び22B´が形成する第1挟持片22a及び第2挟持片22bの形状をL字状形状とした。
【0033】
第1挟持片22aは、基端側が幅広部22Bとなっており、端部側が幅狭部22Aとなっている。
【0034】
挟持部22の材質としては、ステンレス鋼が好ましい。
【0035】
第2挟持片22bは、基端側が幅広部22B´となっており、端部側が幅狭部22A´となっている。
【0036】
第1挟持部22a及び第2挟持部22bは、挿通される光配線20の中心軸を通る所定の中心線を中心に略対称に設計される。
【0037】
次に、本実施形態に係る光モジュールの挟持部22が光配線20を本体部28に固定する動作について説明する。まず、図5に図示するように、第1挟持片22a及び第2挟持片22bが形成する挿通孔27に、光配線20を挿通する。その後、光モジュール21の挟持部22の光配線20を本体部28に固定する動作は、図5に図示するように矢印方向に、幅狭部22Aと22A´を捩ることにより、第1挟持片22a及び第2挟持片22bを締結する。このようにすることで、挟持部22が光配線20を略対称の力で挟持するものである。
【0038】
以上のように、本変形形態によっても、光ファイバを用いた光配線をプラグ用板金に固定する際において、当該光配線に捩じれが加わらないように固定可能な固定器具の提供が可能となる。
【符号の説明】
【0039】
11 光モジュール
12、22 挟持部
13 第1挟持片
13a 幅狭部
13b 幅広部
13c 段差部
14 第2挟持片
16 挿入口
17、27 挿通孔
18、28 本体部
19 基板
20 光配線
22a 第1挟持片
22b 第2挟持片
22A 幅狭部(第1挟持片)
22B 幅広部(第1挟持片)
22A´ 幅狭部(第2挟持片)
22B´ 幅広部(第2挟持片)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に設けられた基板と、
少なくとも光ファイバを有し、前記基板に接続される光配線と、
前記本体部に設けられ、前記基板から延びた前記光配線を挟持するための挟持部と、
を有し、
前記挟持部は、
第1挟持片と、
前記第1挟持片の端部が挿入される挿入口が形成された第2挟持片と、
からなり、
前記挿入口に前記第1挟持片の先端部を挿入して、前記第1挟持片及び前記第2挟持片を締結することにより、前記第1挟持片及び前記第2挟持片が前記光配線を両側から略対称な力で挟持することを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記第1挟持片は、
基端側であって、前記挿入口の幅よりも広い幅広部と、
端部側であって、前記挿入口の幅よりも狭い幅狭部と、
からなり、
前記挿入口に前記幅狭部の先端部を挿入して、前記幅狭部の先端部を幅広部側に折り曲げて前記第1挟持片及び前記第2挟持片を締結することにより、前記第1挟持片及び前記第2挟持片が前記光配線を両側から略対称な力で挟持することを特徴とする請求項1記載の光モジュール。
【請求項3】
本体部と、
前記本体部に設けられた基板と、
少なくとも光ファイバを有し、前記基板に接続される光配線と、
前記本体部に設けられ、前記基板から延びた前記光配線を挟持するための挟持部と、
を有し、
前記挟持部は
第1挟持片と、
第2挟持片と、
からなり、
前記第1挟持片の端部と前記第2挟持片の端部を互いに略対称に交差して捩ることによって第1挟持片及び前記第2挟持片を締結することにより、前記第1挟持片及び前記第2挟持片が前記光配線を両側から略対称な力で挟持することを特徴とする光モジュール。
【請求項4】
前記第1挟持片及び前記第2挟持片は、
基端側に形成される幅広部と、
端部側であって、前記幅広部より幅が狭い幅狭部と、
からなり、
前記第1挟持片の前記幅狭部と前記第2挟持片の前記幅狭部を互いに略対称に交差して、第1挟持片及び前記第2挟持片を締結することにより、前記第1挟持片及び前記第2挟持片が前記光配線を両側から略対称な力で挟持することを特徴とする請求項3記載の光モジュール。
【請求項5】
前記挟持部は、ステンレス鋼からなることを特徴とする請求項1乃至4記載の光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−128174(P2011−128174A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283527(P2009−283527)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】