説明

光ローゼット

【課題】長さや径の異なる複数の光ファイバ接続部をコンパクトに確実に保持でき、光ファイバの断線や光ファイバの亀裂の発生を防いで、光ファイバの光伝送性能を保持することができる光ローゼットを提供する。
【解決手段】光ローゼット1は、光ファイバを内部に保持するための空間部4を有し、空間部4には、複数の光ファイバの接続部を重ねてはめ込んで保持する光ファイバ保持部70が配置され、長さや径の異なる複数の光ファイバの接続部71をコンパクトに確実に保持でき、光ファイバの断線や光ファイバの亀裂の発生を防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ローゼットに関し、特に光コネクタ同士を接続している光ファイバの接続部を内部に保持する光ローゼットに関する。
【背景技術】
【0002】
光ローゼットは、例えばプラスチック製の薄型の容器であり、内部に光ファイバを収容しており、光コネクタを着脱可能に接続でき、この光ファイバには光コネクタの光ファイバが接続できるようになっている。
光ファイバの端部同士が、光ローゼット内で融着等や機械的な接続により光学的に接続されており、この光ファイバの端部同士を接続している光ファイバの接続部は、チューブ内に配置されて保護されている。このような光ローゼットの関連技術としては、光ファイバ同士の接続部を補強する補強部ホルダが、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2006−53221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来の補強部ホルダの構造では、細い光ファイバの接続部と太い光ファイバの接続部は、異なる位置に形成された両端挟持部に対してそれぞれ挟み込んで固定する必要がある。これらの両端挟持部は、複数の光ファイバの接続部の数に合わせて形成する必要があるので、大型化が避けられない。このため、少なくとも長さや直径の異なる複数の光ファイバ接続部を、同時にうまくコンパクトに収容して保持することができない。
【0004】
そこで、本発明は上記課題を解消するために、長さや径の異なる複数の光ファイバ接続部をコンパクトに確実に保持でき、光ファイバの断線や光ファイバの亀裂の発生を防いで、光ファイバの光伝送性能を保持することができる光ローゼットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解消するために、本発明の光ローゼットは、光コネクタを接続でき光ファイバを内部に保持する光ローゼットであって、
前記光ファイバを内部に保持するための空間部を有し、
前記空間部には、少なくとも長さもしくは径が異なる複数の光ファイバの接続部を重ねてはめ込んで保持する光ファイバ保持部が配置されていることを特徴とする。
【0006】
本発明の光ローゼットは、好ましくは前記光ファイバ保持部は、
前記光ローゼットの内部に突出して形成されて前記光ファイバの接続部をはめ込んで弾性変形することで保持し、
弾性変形することで前記光ファイバの接続部を押圧する第1側壁部と、
前記第1側壁部とは対向する位置に形成されて前記第1側壁部との間で前記光ファイバの接続部をはめ込んで保持する第2側壁部と、
有することを特徴とする。
【0007】
本発明の光ローゼットは、好ましくは前記第1側壁部は、
前記光ファイバの接続部の端部を固定する端部突起と、
前記光ファイバの接続部の中間部分を保持する中間突起と、
前記光ファイバの接続部に対して弾性変形して押圧する弾性変形部と、
を有し、
前記第2側壁部は、
前記光ファイバの接続部の端部を固定する端部突起と、
前記光ファイバの接続部の中間部分を保持する中間突起と、
を有する。
【0008】
本発明の光ローゼットは、好ましくは前記弾性変形部は、前記光ファイバの接続部に対応して弾性変形可能に突出して形成されていることを特徴とする。
本発明の光ローゼットは、好ましくは前記光ファイバ保持部には複数の前記光ファイバの接続部が積み重ねた状態ではめ込んで保持され、前記弾性変形部は、各前記光ファイバの接続部に対応して弾性変形可能に突出して形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の光ローゼットは、好ましくは前記第1側壁部と前記第2側壁部の第1組と、前記第1側壁部と前記第2側壁部の第2組は、前記光ファイバの接続部の軸方向に沿って間隔を設けて配置されており、
さらに、前記光ファイバ保持部は、第3側壁部を有しており、
前記第3側壁部は、
中間部と、
前記中間部の一方と他方に形成された弾性変形部と、を有し、
前記第3側壁部の前記弾性変形部は、テーパー状に傾斜して形成されており、
前記中間部の一方の前記弾性変形部は、前記第1組の前記第1側壁部の前記弾性変形部に対面し、前記中間部の他方の前記弾性変形部は、前記第2組の前記第1側壁部の前記弾性変形部に対面していることを特徴とする。
【0010】
本発明の光ローゼットは、好ましくは前記第1側壁部と前記第2側壁部の第1組と、前記第1側壁部と前記第2側壁部の第2組は、前記光ファイバの接続部の軸方向に沿って間隔を設けて配置されており、
前記第1側壁部の前記弾性変形部は、前記光ファイバの接続部を押圧し、前記第2側壁部の前記弾性変形部は、前記光ファイバの接続部を反対方向から押圧して保持することを特徴とする。
【0011】
本発明の光ローゼットは、好ましくは前記空間部を有する本体部と、前記本体部の空間部を閉じる蓋部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長さや径の異なる複数の光ファイバ接続部をコンパクトに確実に保持でき、光ファイバの断線や光ファイバの亀裂の発生を防いで、光ファイバの光伝送性能を保持することができる光ローゼットを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の光ローゼットの好ましい実施形態を示す斜視図である。図2は、この光ローゼットの分解斜視図である。
図1と図2に示す光ローゼット1は、外部の光コネクタを接続でき、光ファイバを内部に保持するための容器である。光ローゼット1は、例えばプラスチック成形により薄い箱形に作られており、本体部2と蓋部3を有している。本体部2はプラスチックの一体成形により形成されている。
【0014】
図2に示すように、蓋部3は、本体部2の空間部4を着脱可能に閉じることができる。図2に示すように、本体部2は、側面部5,6,7,8と背面部9を有している。側面部5,6,7,8と背面部9は、空間部4を形成している。蓋部3は、平面部10と、4つの突起部11,12,13,14を有している。これらの突起部11,12,13,14は、この平面部10の四隅部分においてT方向に突出して形成されている。各突起部11,12,13,14は係合部15を有している。
【0015】
図2に示すように、本体部2の背面部9の内面には、空間部4において、ガイド部23〜28がS方向に突出して形成されている。ガイド部23〜28は、光ファイバを収納して保持するための薄板状のガイド部材であり、ガイド部23はX方向とY方向に沿って形成され、ほぼL字形を有している。ガイド部24は、Y方向に沿って形成されている。光ファイバの保持部70が、空間部4内であって、側面部5の内側において背面部9に対して一体成形により設けられている。
ガイド部25,26は、ガイド部23,24に対して間隔をおいて平行に形成されている。ガイド部27,28は、湾曲した部材であり、光ファイバ保持部70とガイド部25,26の間に配置されている。
【0016】
図2に示すように、本体部2の側面部5の内側には、別のガイド部30,31が形成されている。側面部6の内側には、ガイド部32がガイド部23に対して間隔をおいて形成されている。側面部8の内側には、ガイド部33,34が形成されている。各ガイド部23〜28とガイド部30〜34は、例えば光ファイバをはめ込んで収納する光ファイバ収納溝部37〜39を形成しており、これらの光ファイバ収納溝部37〜39には光ファイバを収容できる。
側面部6は、光ファイバコネクタを挿入するための開口部50と、ガイド溝部51がX方向に沿って形成されている。
【0017】
図2に示すように、本体部2の側面部5の両端部には、凹部40,41が形成されている。側面部7の両端部には、凹部42,43が形成されている。これにより、図2の蓋部3が離れた状態から図1の蓋部3が空間部4を閉じた状態で示すように、蓋部3が本体部2の空間部4を閉じると、蓋部3の突起部11,12,13,14の係合部15が凹部40,41,42,43に引っ掛かることで、蓋部3は、本体部2に対して着脱可能に固定して、空間部4を塞ぐことができる。
背面部9は、2つの穴部48,49を有しており、穴部48,49は、光ローゼット1を例えば壁などの固定するための部位に対して例えばネジの頭に対して引っ掛けて保持するために形成されている。
【0018】
図2と図3に示す光ファイバの保持部70は、図3に示す光ファイバの端部同士の接続部であるチューブ71、あるいは光ファイバの端部同士の接続部であるコネクタ部品72を挟み込んで固定することができる。
【0019】
光ファイバの端部同士の接続部のチューブ71は、光ファイバ接続部に相当しており、光ファイバF1,F2の端部73,74の接続部分を被覆しているプラスチック製のチューブである。光ファイバF1,F2の端部73,74の接続部分は、融着により光学的に光が通るように接続されている。
【0020】
また、光ファイバの端部同士の接続部分のコネクタ部品72は、光ファイバF1,F2の端部73,74の接続部分を被覆しているプラスチック製部材である。光ファイバF1,F2の端部73,74の接続部分は、突き合わせることにより光学的に光が通るように接続されている。
【0021】
図3に示す光ファイバの保持部70は、1つのチューブ71かコネクタ部品72、あるいは2つ以上の少なくとも長さあるいは径の異なるチューブ71かコネクタ部品72を着脱可能にはめ込んで保持することができる。
【0022】
ここで、図4〜図8を参照して、光ファイバの保持部70の構造を説明する。
図4は、2つのチューブ71を挟み込んで保持する前の状態を示す光ファイバの保持部70の斜視図である。図5は、光ファイバの保持部70の平面図であり、図6は、光ファイバの保持部70の斜視図である。図7は、2つのチューブ71を挟み込んで保持した後の状態を示す光ファイバの保持部70の斜視図である。図8は、本体部2内で2つのチューブ71を光ファイバの保持部70を用いて保持した状態を示す平面図である。
【0023】
図4〜図6を参照すると、光ファイバの保持部70は、平板状の基部80と、第1側壁部81,82と、第2側壁部83,84と、第3側壁部85とを有している。平板状の基部80は、背面部9の一部である。この光ファイバの保持部70は、弾性変形可能な材料、好ましくはプラスチックの成型品である。図5に示すように、第1側壁部81,82と、第2側壁部83,84と、第3側壁部85は、基部80の上面からV方向に突出して形成されている。第1側壁部81,82は、T方向に沿って間隔Dをおいて直列に形成されている。第2側壁部83,84と、第3側壁部85は、T方向に沿って間隔D1をおいて直列に形成されている。第1側壁部81と第2側壁部83は第1組の側壁グループであり、第1側壁部82と第2側壁部84は第2組の側壁グループである。
【0024】
図5に示すように、第2側壁部83は間隔D2をおいて第1側壁部81に対面しており、第2側壁部84は間隔D2をおいて第1側壁部82に対面している。第2側壁部83のT方向の長さは、第1側壁部81のT方向の長さに比べて小さく、第2側壁部84のT方向の長さは、第1側壁部82のT方向の長さに比べて小さい。第3側壁部85は、間隔Dに対面する位置に形成されている。
【0025】
図4と図5に示すように、第1側壁部81は、端部突起81Bと中間突起81Cと弾性変形部81Dを有している。第1側壁部82は、端部突起82Bと中間突起82Cと弾性変形部82Dを有している。
【0026】
これに対して、第2側壁部83は、端部突起83Bと中間突起83Cを有し、第2側壁部84は、端部突起84Bと中間突起84Cを有している。端部突起81B、83Bは対面しており、中間突起81C、83Cは対面している。端部突起82B、84Bは対面しており、中間突起82C、84Cは対面している。
【0027】
図5に示すように、端部突起81B、83B、中間突起81C、83C、端部突起82B、84B、中間突起82C、84Cは、V方向に沿って形成されている。弾性変形部81D、82Dは、側壁部81,82に対してそれぞれ角度θで第3側壁部85側に傾斜して形成されている。
【0028】
図5に示すように、第3側壁部85は、中間部85Bと弾性変形部85C、85Dを有しており、弾性変形部85C、85Dは第3側壁部85の両側に形成されている。弾性変形部85C、85Dは、中間部85Dに対して角度θ1で傾斜して形成されている。
【0029】
さらに、図4に示すように、弾性変形部85C、85Dは、V方向(垂直方向)に対して、角度θ2で傾斜して形成されており、弾性変形部85C、85Dの先端部85Fは、基部側部分85Gに比べてT方向に広がるように形成されている。言い換えれば、弾性変形部85C、85Dの先端部85Fから基部側部分85Gに向かうにしたがって幅が狭まっている。
【0030】
この角度θ2は、20度〜89度が好ましいが、特に好ましくは60度〜80度である。角度θ2が20度未満であると、第3側壁部85の小型化が難しくチューブ71を保持することが難しくなり、89度を超えるとチューブ71を保持することが難しくなる。弾性変形部81D、82Dと弾性変形部85C、85Dはそれぞれ対面している。
【0031】
このように、第3側壁部85には弾性変形部85C、85Dが設けられているので、少なくとも長さもしくは直径の異なる複数本のチューブ71が重ねた状態で確実に保持できる。すなわち、例えば直径は同じであるが長さが異なる複数本のチューブ71が重ねた状態で確実に保持できる。例えば長さは同じであるが直径が異なる複数本のチューブ71が重ねた状態で確実に保持できる。さらには、長さと直径の両方が異なる複数本のチューブ71が重ねた状態で確実に保持できる。
【0032】
これにより、第3側壁部85の弾性変形部85C、85Dは、複数本のチューブ71のサイズの違いを吸収しながら、複数本のチューブ71を確実に保持できる。しかも、複数本のチューブ71は、積み重ねるようにして、すなわち多段になるように保持できるので、光ファイバ保持部の大型化を避けることができ、長さや径の異なる複数の光ファイバ接続部をコンパクトに確実に保持でき、光ファイバの断線や光ファイバの亀裂の発生を防いで、光ファイバの光伝送性能を保持することができる。
【0033】
図5に示す端部突起81B、83Bの間隔Gと端部突起82B、84Bの間隔Gは、図4に示すチューブ71の直径よりも小さい。これにより、端部突起81B、83Bと端部突起82B、84Bは、チューブ71の両端部を確実に保持することができる。中間突起81C、83Cの間隔Mと中間突起82C、84Cの間隔Mは、図4に示すチューブ71の直径とほぼ同じであるか、わずかに大きい。これにより、中間突起81C、83Cと中間突起82C、84Cは、チューブ71の中間部分の外周面を確実に保持できる。
【0034】
図4〜図6に示す基部80の裏面は、図12に示すように、収容空間領域60内の背面部9の内面9Bに対して接着剤により固定することもできる。
図4は、2つのチューブ71が光ファイバの保持部70に対して保持される前の状態であり、図7と図8は、2つのチューブ71が光ファイバ保持部70に対して保持された後の状態を示している。2つのチューブ71は、次のようにしてはめ込まれて保持される。
【0035】
2つのチューブ71は、V方向に重ねるようにしてはめ込まれ、チューブ71の一方の端部は、端部突起81B、83Bにより位置決めされ、チューブ71の他方の端部は、端部突起82B、84Bにより位置決めされる。
また、チューブ71の中間部は、中間突起81C、83Cと中間突起82C、84Cにより固定され、さらに弾性変形部81D、82Dと弾性変形部85C、85Dが弾性変形することでチューブ71の中間部の外周面が両側から押圧して保持される。これにより、チューブ71は、V方向に移動しないように保持できる。
【0036】
ところで、既に説明したように、図4と図7の示すように、弾性変形部85C、85DがV方向(垂直方向)に対して、傾斜して形成されており、弾性変形部85C、85Dの先端部85Fは、基部側部分85Gに比べてT方向に広がるように形成されているので、2つの重ねられたチューブ71,71は弾性変形によりV方向に緩まないように押圧して保持できる。これにより、弾性変形部81D、82D、85C、85Dが弾性変形することで、光ファイバ保持部70は、2つのチューブ71がV方向に積み重ねた状態ではめ込んで確実に保持できる。
【0037】
従って、複数本のチューブ71のサイズの違いを吸収しながら、複数本のチューブ71を確実に保持できる。しかも、複数本のチューブ71は、積み重ねるようにして、すなわち多段になるように保持できるので、光ファイバ保持部の大型化を避けることができ、長さや径の異なる複数の光ファイバ接続部をコンパクトに確実に保持でき、光ファイバの断線や光ファイバの亀裂の発生を防いで、光ファイバの光伝送性能を保持することができる。
【0038】
上述した実施形態では、光ファイバ保持部70は、光ローゼットに対して一体成形されており、部品点数を減らすことができ、成形も容易にできる。光ファイバ保持部70は、少なくとも長さもしくは径の異なる複数の光ファイバの接続部を重ねて保持できるので、光ファイバの接続部の長さや太さが異なっても、光ファイバ保持部70は、容易に重ねて保持できる汎用性を有している。
【0039】
図8(A)に示す実施形態は、上述した実施形態とは異なる。2つの少なくとも長さもしくは径が異なるチューブ71が、光ファイバの保持部70により積み重ねて保持されており、光ファイバの保持部70は収容空間領域60内の背面部9の内面9Bに対して接着剤により固定している。これにより、図8(B)と図8(C)に示す比較例のように、複数のチューブ71がT1方向に移動してしまったり、T2方向に移動してしまうのを防ぎ、光ファイバの接続部分の位置を固定することができる。
【0040】
このように複数のチューブ71が移動しないので、光ファイバF1,F2の湾曲する位置88,89が自由に変化してしまうのを防止でき、光ファイバF1,F2の断線や光ファイバF1,F2の亀裂の発生を防いで、光ファイバF1,F2の光伝送性能を保持することができる
【0041】
次に、図9を参照して、本発明の別の実施形態を説明する。
図9は、本発明の光ローゼットにおける光ファイバ保持部の別の実施形態を示す斜視図である。
【0042】
光ファイバ保持部70Dは、平板状の基部180と、第1側壁部181,184と、第2側壁部182,183を有している。この基部180は背面部の一部である。第1側壁部181は、端部突起181Bと中間突起181Cと弾性変形部181Dを有している。第1側壁部184は、端部突起184Bと中間突起184Cと弾性変形部184Dを有している。第1側壁部181と第2側壁部183の第1組の側壁グループと、第1側壁部184と第2側壁部182の第2組の側壁グループとは、基部180に対して間隔をおいて配置されている。
【0043】
図9に示すように、第2側壁部183は、端部突起183Bと中間突起183Cを有し、第2側壁部182は、端部突起182Bと中間突起182Cを有している。端部突起181B、183Bは対面しており、中間突起181C、183Cは対面している。端部突起182B、184Bは対面しており、中間突起182C、184Cは対面している。弾性変形部181Dは2つ形成され、弾性変形部184Dも2つ形成されている。弾性変形部181Dと弾性変形部184Dは、反対方向から2つのチューブ71をそれぞれ弾性変形して押圧して保持する。
これにより、2つの弾性変形部181Dと2つの弾性変形部184Dが弾性変形することで、2つの光ファイバ保持部70Dは、2つのチューブ71をV方向に積み重ねた状態ではめ込んで保持することができる。
【0044】
次に、図10を参照して、本発明の別の実施形態を説明する。
図10は、本発明の光ローゼットに使用される光ファイバ保持部の別の実施形態を示す斜視図である。
【0045】
光ファイバ保持部70Hは、平板状の基部280と、側壁部281,282と、側壁部283,284を有している。側壁部281は、端部突起281Bと中間突起281Cを有している。側壁部282は、端部突起282Bと中間突起282Cを有している。側壁部283は、端部突起283Bと中間突起283Cを有し、側壁部284は、端部突起284Bと中間突起284Cを有している。さらに、側壁部285は2つの弾性変形部285Dを有している。
【0046】
これにより、光ファイバ保持部70Hは、2つの弾性変形部285Dが弾性変形することで、2つのチューブ71をV方向に積み重ねた状態ではめ込んだ状態で押圧して保持することができる。
【0047】
図11と図12は、本発明の別の実施形態を示しており、図2の実施形態と異なるのは、空間部4の収容空間領域60内に光ファイバ保持部70が配置できることである。また、側面部5の内側には、ガイド部20,21,22が配置されている。収容空間領域60内には、光ファイバ保持部70の基部が例えば接着剤を用いて背面部9の内面9Bに対して固定されている。
【0048】
さらに他の実施形態としては、図2の実施形態のように側面部5の内側に光ファイバ保持部70を配置すると同時に、図11と図12に示すように、もう1つの光ファイバ保持部70を収容空間領域60内に配置しても良い。
【0049】
図13は、光ファイバ保持部70の別の実施形態を示しており、弾性変形部85C、85Dの先端部85Fから基部側部分85Gに向かうにしたがって幅が広がっており、垂直線Vに対して鈍角θ3により傾斜している。
【0050】
次に、図14〜図18を参照して、光ローゼット1のシャッター装置100の構造を説明する。
図14は、開閉部材101が開口部50を完全に閉じている状態を示している。図15は、この開閉部材101をX1方向にスライドして開口部50を半分開いた状態を示している。図16は、図14のK方向から見た開閉部材101の状態を示し、図17は、図15のK方向から見た開閉部材101の状態を示している。
【0051】
シャッター装置100は、図14と図1に示すように、本体部2の開口部50を手動で開閉して、図14に示す2つの光コネクタ131,132を挿入するための装置である。光コネクタ131,132は、それぞれ光ファイバFに接続されている。シャッター装置100は板状の開閉部材101を備えており、開口部50はX方向に形成された長方形の穴である。
【0052】
図17と図18に示すように、開閉部材101は、3つの凹部111,112,113を有しており、これらの凹部111,112,113はX1方向に関して間隔をおいて形成されている。
【0053】
一方、図17と図18に示すように、本体部2の内部には、例えば1つの凸部141が形成されており、開閉部材101がX1方向に移動することで、凹部111,112,113のいずれか1つが凸部141とかみ合うようになっている。凹部111,112,113のいずれか1つが凸部141とかみ合うことで、開閉部材101は、X方向に関する位置決めを行うことができる。
【0054】
開閉部材101は、本体部2のガイド溝部51内に挿入することでX方向に移動可能に配置されており、しかも保持部114により保持されている。保持部114は、本体部2の内部に設けられている。これにより、開閉部材101は、ガイド溝部51と保持部114にガイドされることで、X1方向とX2方向に沿って移動操作可能である。開閉部材101は、使用者が指で移動操作するための突起部115を有している。この保持部114は、開閉部材101が外れないように仮止めする仮止め機構部である。凸部141は開閉部材101を位置決めする位置決め機構部である。これらの保持部114と凸部141は、1つの成形体であるので、部品点数を減らすことができ、安価に製造できる。
【0055】
図17と図18に示すように、本体部2の内部には、ボックス121が配置されている。このボックス121は、収容空間部121B、122Bを有している。収容空間部121B、122Bの開口部121C、122Cは、本体部2の開口部50に対面している。図17に示すこれらの収容空間部121B、122Bには、それぞれ光コネクタ131,132が挿入できるようになっている。
【0056】
次に、上述したシャッター装置100の操作例について、図14〜図18を参照して説明する。
まず、図14と図16に示すように、開閉部材101が開口部50を完全に閉じている状態では、凸部141は最も上の凹部111にはまり込んでいるので、開閉101はX1方向には移動しない。
【0057】
使用者が開閉部材101の突起部115を持ってX1方向にスライドすると、凹部111は突起部141から離れて、図15と図17に示すように開口部50の下半分が開く。このように開口部50が半分開いた状態では、凹部112が凸部141にはまり込むので、開閉部材101はX方向に移動しない。この状態では、図17に示すように、光コネクタ132が開口部50を通じてボックス121の収容空間部122B内に収容することができる。
【0058】
さらに、もう1つの光コネクタ131を収容したい場合には、図18に示すように、使用者が開閉部材101の突起部115を持ってさらにX1方向にスライドすると、凹部112は突起部141から離れて、図18に示すように開口部50の全部を開く。このように開口部50を全部開いた状態は、凹部113が凸部141にはまり込むので、開閉部材101はX方向に移動しない。
【0059】
この状態では、図18に示すように、光コネクタ131が開口部50を通じてボックス121の収容空間部121B内に収容することができる。これにより、2つの光コネクタ131,132は光ローゼット1内に挿入して保持することができる。2つの光コネクタ131,132の光ファイバFは内部に収容された光ファイバに対して光学的に接続することができる。
【0060】
本発明の実施形態の光ローゼットは、光コネクタを接続でき光ファイバを内部に保持する光ローゼットであって、光ファイバを内部に保持するための空間部を有し、空間部には、少なくとも長さもしくは径が異なる複数の光ファイバ接続部を重ねてはめ込んで保持する光ファイバ保持部が配置されている。これにより、長さや径の異なる複数の光ファイバ接続部をコンパクトに確実に保持でき、光ファイバの断線や光ファイバの亀裂の発生を防いで、光ファイバの光伝送性能を保持することができる。
【0061】
光ファイバ保持部は、光ローゼットの内部に突出して形成されて光ファイバ接続部をはめ込んで弾性変形することで保持し、弾性変形することで光ファイバ接続部を押圧する第1側壁部と、第1側壁部とは対向する位置に形成されて第1側壁部との間で光ファイバ接続部をはめ込んで保持する第2側壁部と、を有する。これにより、第1側壁部と第2側壁部は、少なくとも長さもしくは径の異なる複数の光ファイバ接続部を重ねるようにしてはめ込むだけで保持することができる。光ファイバ接続部の装着作業が容易である。
【0062】
第1側壁部と第2側壁部は、光ファイバ接続部の端部を固定する端部突起と、光ファイバ接続部の中間部分を保持する中間突起と、それぞれを有する。これにより、端部突起は光ファイバ接続部の端部を位置決めし、中間突起は光ファイバ接続部の中間部を保持し、そして弾性変形部は光ファイバ接続部を押圧して保持できるので、光ファイバ接続部は確実に着脱自在に保持できる。
【0063】
弾性変形部は、光ファイバ接続部に対応して弾性変形可能に突出して形成されている。これにより、弾性変形部は、光ファイバ接続部を確実に押圧して保持できる。
光ファイバ保持部には、複数の光ファイバ接続部が積み重ねた状態ではめ込んで保持され、弾性変形部は、各前記光ファイバ接続部に対応して弾性変形可能に突出して形成されている。これにより、弾性変形部は、複数本の光ファイバ接続部をそれぞれ確実に押圧して保持できる。
【0064】
第1側壁部と前記第2側壁部の第1組と、前記第1側壁部と前記第2側壁部の第2組は、前記基部において前記光ファイバ接続部の軸方向に沿って間隔を設けて配置されている。さらに、光ファイバ接続部保持部は、第3側壁部を有している。この第3側壁部は、中間部と、中間部の一方と他方に形成された弾性変形部と、を有している。第3側壁部の弾性変形部は、テーパー状に傾斜して形成されており、中間部の一方の弾性変形部は、第1組の第1側壁部の弾性変形部に対面し、中間部の他方の弾性変形部は、第2組の第1側壁部の弾性変形部に対面している。これにより、少なくとも長さもしくは径の異なる複数本の光ファイバ接続部を、さらに確実に押圧して保持することができる。
【0065】
第1側壁部と第2側壁部の第1組と、第1側壁部と第2側壁部の第2組は、基部において光ファイバ接続部の軸方向に沿って間隔を設けて配置されており、第1側壁部の弾性変形部は、光ファイバ接続部を押圧し、第2側壁部の弾性変形部は、光ファイバ接続部を反対方向から押圧して保持する。これにより、少なくとも長さもしくは径の異なる複数本の光ファイバ接続部はさらに確実に押圧して保持することができる。
【0066】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されず種々の変形例を採用できる。
各実施形態は、任意に組み合わせて構成することができる。
【0067】
図2に示すように蓋部3は、本体部2に対して突起部11,12,13,14を用いて着脱可能に固定できる。しかし、これに限らず、蓋部と本体部は、ヒンジで連結して、ヒンジとは反対側の部分を例えば2つの突起部で着脱可能に固定しても良い。
1つの光ファイバ保持部が、光ローゼット内に収納して固定されているが、2以上の光ファイバ保持部を収納して固定しても良い。
光ファイバ保持部が保持する光ファイバ同士の接続部分のチューブの本数は、1つまたは3つ以上であっても良い。
【0068】
また、光ローゼットは、2つの光コネクタを挿入して保持できるシャッター装置を有している。しかしこれに限らず、光ローゼットは、3つ以上の光コネクタを挿入して保持できるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の光ローゼットの好ましい実施形態を示す斜視図である。
【図2】光ローゼットの分解斜視図である。
【図3】本体部と光ファイバ保持部を示す斜視図である。
【図4】2つのチューブを挟み込んで保持する前の状態を示す光ファイバ保持部の斜視を示す図である。
【図5】光ファイバ保持部の平面図である。
【図6】光ファイバ保持部の斜視図である。
【図7】2つのチューブを挟み込んで保持した後の状態を示す光ファイバ保持部の斜視図である。
【図8】本体部内で2つのチューブが光ファイバ保持部を用いて保持した状態を示す平面図である。
【図9】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図10】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図11】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図12】図11の実施形態を示す図である。
【図13】本発明のさらに別の実施形態を示す図である。
【図14】開閉部材が開口部を完全に閉じている状態を示す斜視図である。
【図15】開閉部材をX1方向に持ち上げて開口部の下部を開いた状態を示す斜視図である。
【図16】図14のK方向から見た開閉部材の状態を示す斜視図である。
【図17】図15のK方向から見た開閉部材の状態を示す斜視図である。
【図18】開閉部材が完全に開いた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
1 光ローゼット
2 本体部
3 蓋部
4 空間部
50 開口部
51 ガイド溝部
60 収容空間領域
70 光ファイバ保持部
71 光ファイバ端部同士の接続部分のチューブ(光ファイバの接続部に相当)
72 コネクタ部品
80 平板状の基部
81,82 第1側壁部
83,84 第2側壁部
85 第3側壁部
F1,F2 光ファイバ
81B 端部突起
81C 中間突起
81D 弾性変形部
82B 端部突起
82C 中間突起
82D 弾性変形部
83B 端部突起
83C 中間突起
84B 端部突起
84C 中間突起
85C、85D 弾性変形部
100 シャッター装置
101 開閉部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタを接続でき光ファイバを内部に保持する光ローゼットであって、
前記光ファイバを内部に保持するための空間部を有し、
前記空間部には、少なくとも長さもしくは径が異なる複数の光ファイバの接続部を重ねてはめ込んで保持する光ファイバ保持部が配置されていることを特徴とする光ローゼット。
【請求項2】
前記光ファイバ保持部は、
前記光ローゼットの内部に突出して形成されて前記光ファイバの接続部をはめ込んで弾性変形することで保持し、
弾性変形することで前記光ファイバの接続部を押圧する第1側壁部と、
前記第1側壁部とは対向する位置に形成されて前記第1側壁部との間で前記光ファイバの接続部をはめ込んで保持する第2側壁部と、
有することを特徴とする請求項1に記載の光ローゼット。
【請求項3】
前記第1側壁部は、
前記光ファイバの接続部の端部を固定する端部突起と、
前記光ファイバの接続部の中間部分を保持する中間突起と、
前記光ファイバの接続部に対して弾性変形して押圧する弾性変形部と、
を有し、
前記第2側壁部は、
前記光ファイバの接続部の端部を固定する端部突起と、
前記光ファイバの接続部の中間部分を保持する中間突起と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の光ローゼット。
【請求項4】
前記弾性変形部は、前記光ファイバの接続部に対応して弾性変形可能に突出して形成されていることを特徴とする請求項3に記載の光ローゼット。
【請求項5】
前記光ファイバ保持部には複数の前記光ファイバの接続部が積み重ねた状態ではめ込んで保持され、前記弾性変形部は、各前記光ファイバの接続部に対応して弾性変形可能に突出して形成されていることを特徴とする請求項4に記載の光ローゼット。
【請求項6】
前記第1側壁部と前記第2側壁部の第1組と、前記第1側壁部と前記第2側壁部の第2組は、前記光ファイバの接続部の軸方向に沿って間隔を設けて配置されており、
さらに、前記光ファイバ保持部は、第3側壁部を有しており、
前記第3側壁部は、
中間部と、
前記中間部の一方と他方に形成された弾性変形部と、を有し、
前記第3側壁部の前記弾性変形部は、テーパー状に傾斜して形成されており、
前記中間部の一方の前記弾性変形部は、前記第1組の前記第1側壁部の前記弾性変形部に対面し、前記中間部の他方の前記弾性変形部は、前記第2組の前記第1側壁部の前記弾性変形部に対面していることを特徴とする請求項2に記載の光ローゼット。
【請求項7】
前記第1側壁部と前記第2側壁部の第1組と、前記第1側壁部と前記第2側壁部の第2組は、前記光ファイバの接続部の軸方向に沿って間隔を設けて配置されており、
前記第1側壁部の前記弾性変形部は、前記光ファイバの接続部を押圧し、前記第2側壁部の前記弾性変形部は、前記光ファイバの接続部を反対方向から押圧して保持することを特徴とする請求項5に記載の光ローゼット。
【請求項8】
前記空間部を有する本体部と、前記本体部の空間部を閉じる蓋部とを有することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1つの項に記載の光ローゼット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−223103(P2009−223103A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68944(P2008−68944)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】