説明

光伝送システムのセンタにおける受信装置

【課題】CATV伝送システムのセンタの受信装置の構成を簡単とする。
【解決手段】各光伝送路10をセンタに向けて伝送した光信号は各光/電気変換器12により電気信号に変換され、電気信号に変換された各上り信号は、第1群〜第n群のn個の群に群別されて、各群毎に混合器14により混合される。各群毎に設けられた混合器14の出力は、ラック20に搭載され、各群毎に設けられた復調器30に入力する。各群毎の復調器30の出力信号は、センターPC50に入力する。センターPC50は、ポーリングによりデータ送信許可信号を伝送路に送出し、送信許可信号が与えられた端末は、送信すべきデータが存在する場合には、データを送信する。上りデータ信号は、その信号を送出した端末が接続されている伝送路の属する群の受信装置30によって復調され、センターPC50はその受信装置30からのみデータを受信する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光伝送システムのセンタにおける受信装置に関する。特に、端末との間で双方向にデータ通信を可能とするシステムにおいて、センタの受信装置の構成を簡単としたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ファイバー等の光伝送路を用いた通信が盛んになってきた。例えば、CATV伝送路を光ファイバーで構成して、双方向通信を可能としたシステムが知られている。このシステムでは、光/電気変換器によって電気信号に変換した後、混合して、RFモデムにより、上りデータ信号をベースバンドデータ信号に復調して、コンピュータ装置によりデータ処理している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法であると、センタに全ての系統からの雑音が流入して上り流合雑音が可なり大きくなり、耐雑音性が良くないという問題がある。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、センタにおける受信装置において、耐雑音性が高く且つ構成簡単とすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光伝送システムのセンタにおいて上り帯域のデータ信号を受信する受信装置において、多数の光伝送路からの上り光信号を電気信号に変換した後その上り信号を各群毎に混合し、各群毎に設けられた混合器と、各群毎の混合器の出力する上り信号を入力してベースバンドデータ信号に復調し、各群毎に設けられた復調装置と、各群毎に設けられた復調装置の出力を監視し、上り信号を出力する復調装置に対して出力信号を入力して、上りベースバンドデータ信号として処理する処理装置とを備えるセンタにおける受信装置である。
【0006】
【発明の作用及び効果】
上り信号は各群毎に混合されているので、システム全体を群毎に分割できる。よって、各群に接続されている系統数によって上り流合雑音の上限が制限されるために、システム全体として見た場合に、耐雑音性が向上する。次に、各群毎に上りデータ信号をベースバンドデータ信号に復調する復調装置を設けているので、上りデータ信号の帯域は各群毎に任意に設定することが可能となる。よって、システムの設計の自由度が向上する。次に、各群毎に設けられた復調装置の出力を監視し、上り信号を出力する復調装置に対してのみ、データ受信の処理を行って、端末からの上りデータ信号として処理する処理装置が設けられている。このシステムでは、処理装置が各端末装置に対して通信許可を順次与えている。その端末装置が応答して上りデータ信号を送出すると、その上りデータ信号がある1つの復調装置により受信される。そして、受信した復調装置が何れの装置であるかは、復調装置から出力される信号により処理装置は判定できる。これにより、処理装置はこの復調装置から上りデータを入力することで、容易に、その端末間で通信を行うことが可能となる。
このように、本発明では、処理装置は1つで良く、又、群毎にRF復調器を設けているので、その使用帯域は群毎に任意となるので、システム設計の自由度が向上すると共に、構造が簡単となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的な実施の形態に基づいて説明する。本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
図1は、光CATVシステムにおけるセンタの全体の構成を示している。図2は復調器30、センターPC50との関係を示した回路図である。各光伝送路10をセンタに向けて伝送した光信号は各光/電気変換器12により電気信号に変換される。そして、その電気信号に変換された各上り信号は、第1群〜第n群のn個の群に群別されて、各群毎に混合器14により混合される。さらに、各群毎に設けられた混合器14の出力は、ラック20に搭載され、各群毎に設けられた復調器30に入力する。そして、各群毎の復調器30の出力信号は、処理装置であるコンピュータ装置のセンターPC50に入力する。
【0008】
このシステムの通信方法は以下の通りである。まず、センターPC50は、ポーリングにより各端末のアドレスを指定して、データ送信許可信号を伝送路に送出する。このデータ送信許可信号は、図2に示す下り用の送信装置60を用いて行われる。この下り用の送信装置60は、ある時刻では1つの端末にしか送信許可を与えることはできないから、群の数に係わらず1つで良い。そして、この送信許可信号が与えられた端末は、送信すべきデータが存在する場合には、データを送信し、送信すべきデータが存在しない場合には、データを送信しない旨の信号をセンターに送出する。こられの上りデータ信号は、その信号を送出した端末が接続されている伝送路の属する群の受信装置30によって復調される。そして、その受信装置30がそのデータを復調した場合には、その旨の信号がセンターPC50に出力される。この信号を受けて、センターPC50はその受信装置30からのみデータを受信することになる。そして、そのデータを解析した後、その端末に何らかのデータを送信することが必要であれば、データを送信することで、通信が実行される。通信が完了すれば、他の端末に対するポーリングが実行される。このような処理がタイムスロットに分割されて、各タイムスロット毎に各端末に対して順次実行される。よって、マクロ的にみれば、複数の端末が同時に通信しているようにすることが可能となる。
【0009】
本発明は、このように各群毎に、上りデータ信号を混合して、各群毎に上りデータ信号を復調する受信装置を設け、各群毎の受信装置を統括する1つの処理装置を設けたものである。よって、流合雑音の集合が抑制されるので、耐雑音性が向上する。又、上りデータ信号を通過させることを制御(スケルチ)するための搬送波の信号レベルを判定する所定レベルを各群毎に設定することが可能となる。即ち、搬送波の受信レベルのうちの予測される最低値を越えない範囲で、所定レベルを雑音レベルに対して増加させることができる。これにより、以下の如く耐雑音性が向上する。所定レベルを高くすることで、上り流合雑音が大きくなっても、上りデータ信号は復調装置で復調されない。このために、上りデータ信号がない時には、復調処理は実行されないので、誤りデータが発生することが防止される。この場合において、所定レベルを高くすると、搬送波の受信レベルが何らかの原因で低くなった場合には、上り信号の通過が阻止された状態となり、上りのデータ信号が存在するにもかかわらず、データの復調が行われない場合が発生する確率が高くなる。よって、雑音レベルが低い場合には、この所定レベルも低くすることで、上りのデータ信号が存在する場合には確実にデータ復調が実行されるようになる。このように、流合雑音の大きさが系統によって異なる場合において、誤りデータの発生を防止したデータ復調が最適に行われようになる。
【0010】
換言すれば、雑音レベルが低い場合には、搬送波の受信レベルを判定するマージンが大きく、雑音レベルが高い場合には、搬送波の受信レベルを判定するマージンが小さくなる。このようにすることで、雑音が小さい場合には、搬送波の受信レベルの予想しない低下においても受信可能状態が継続され、雑音が大きい場合において搬送波が存在しない時に、誤って雑音により上りデータ信号が通過状態となることが防止される確率が高くなる。
【0011】
また、各群毎に復調装置を設けているので、各群毎に上り帯域を設定することができる。さらに、各群毎に設けられた復調装置に対して1つの処理装置で監視するようにしているので、構造は簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るセンタの全体を示した構成図。
【図2】その実施の形態における各群毎の受信装置と処理装置であるセンターPCとの関係を示した構成図。
【符号の説明】
10…伝送路
12…光/電気変換器
14…混合器
30…受信装置
50…センターPC(処理装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送システムのセンタにおいて上り帯域のデータ信号を受信する受信装置において、
多数の光伝送路からの上り光信号を電気信号に変換した後その上り信号を各群毎に混合し、各群毎に設けられた混合器と、
各群毎の混合器の出力する上り信号を入力してベースバンドデータ信号に復調し、各群毎に設けられた復調装置と、
各群毎に設けられた復調装置の出力を監視し、上り信号を出力する復調装置に対して出力信号を入力して、上りベースバンドデータ信号として処理する処理装置と
を備えるセンタにおける受信装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2004−15723(P2004−15723A)
【公開日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−170142(P2002−170142)
【出願日】平成14年6月11日(2002.6.11)
【出願人】(000116677)シンクレイヤ株式会社 (38)
【Fターム(参考)】