説明

光伝送シミュレーション方法、電気回路シミュレータおよび電気回路

【課題】光ファイバー中の光伝送特性を通常の電気回路シミュレータを用いて計算またはシミュレーションが可能な光伝送シミュレーション方法を提供する。
【解決手段】第1、第2の端子1,2間の第1の主信号線、第3、第4の端子3,4間の第2の主信号線上にそれぞれ接続され、第3、第1の端子3,1それぞれの電流値に応じた電圧を出力する第1、第2の電圧源5,6と、第2および第4の端子2,4と接地との間にそれぞれ並列に接続された、第1および第2の電気容量7,8、第1および第2の電気抵抗9,10、第2、第4の端子2,4それぞれの電圧値に応じた電流を出力する第1および第2の電流源11,12とを有する電気回路を単位として、第1、第2の主信号線を直列接続して多段に縦続接続し、第1、第2の主信号線上の初期ノード電圧値を光ファイバーへの光信号電場の複素振幅の実部、虚部の値としてそれぞれ与え、時間に関する過渡解析を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送シミュレーション方法、電気回路シミュレータおよび電気回路に関し、特に、光ファイバー内の光の伝送をコンピュータ上に実装された電気回路シミュレータを用いてシミュレーションする光伝送シミュレーション方法、電気回路シミュレータおよび該光伝送シミュレーション方法の各構成要素を回路として具現化した電気回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバー内の光信号の伝送特性を計算あるいはシミュレーションする場合、例えば、非特許文献1のG.P.Agrawalによる“Nonlinear Fiber Optics(第3版)”に記載されたSSF法(Split-Step Fourier Method:スプリット・ステップ・フーリエ法)やFDTD法(Finite-Difference Time-Domain Algorithm:有限差分時間領域法)に基づく計算プログラムを作成して数値計算を行うか、あるいは、市販の光伝送シミュレータを用いてシミュレーションを行うことが必要であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】G.P.Agrawal:“Nonlinear Fiber Optics(第3版)”;Academic Press,2001年。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、従来においては、光ファイバー中の光の伝送特性を計算したりあるいはシミュレーションしたりするためには、特別なプログラムを作成するか、または、光伝送特性評価用の高価な専用シミュレータを用意しなければならない。
【0005】
一方、例えば、光ファイバー通信用の集積回路(IC:Integrated Circuit)の設計者は、当然のことながら、ICの設計に当たり、電気回路シミュレータを用いて設計を行っている。つまり、光ファイバー通信用ICを設計する場合、光の伝送特性(分散特性等)を考慮した上で回路設計を行う必要があるが、ICの設計および解析においては、電気回路シミュレータを用い、一方、光の伝送特性を把握するためには、当該電気回路シミュレータとは異なる計算プログラムかあるいは光伝送シミュレータのいずれかを使用しなければならず、設計作業が、煩雑かつ非効率的とならざるを得ない状況にある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、光ファイバー中の光伝送特性を通常の電気回路シミュレータを用いて計算するかあるいはシミュレーションすることができる光伝送シミュレーション方法、電気回路シミュレータおよび該光伝送シミュレーション方法の各構成要素を回路として具現化した電気回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するために、以下のごとき各技術手段から構成されている。
【0008】
第1の技術手段は、光ファイバー中の光信号の伝送特性を電気回路シミュレータを用いてシミュレーションする光伝送シミュレーション方法であって、第1の端子と第2の端子との間の第1の主信号線上に接続され、第3の端子に流れる電流の値に応じてあらかじめ定めた所定の電圧を出力する第1の電圧源と、前記第3の端子と第4の端子との間の第2の主信号線上に接続され、前記第1の端子に流れる電流の値に応じてあらかじめ定めた所定の電圧を出力する第2の電圧源と、前記第2の端子と接地との間に接続され、あらかじめ定めた所定の容量値を有する第1の電気容量と、前記第4の端子と接地との間に接続され、あらかじめ定めた所定の容量値を有する第2の電気容量と、前記第2の端子と接地との間に接続され、あらかじめ定めた所定の抵抗値を有する第1の電気抵抗と、前記第4の端子と接地との間に接続され、あらかじめ定めた所定の抵抗値を有する第2の電気抵抗と、前記第2の端子と接地との間に接続され、前記第2および第4の端子それぞれの電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力する第1の電流源と、前記第4の端子と接地との間に接続され、前記第2および第4の端子それぞれの電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力する第2の電流源と、
を有する電気回路を、コンピュータに実装された電気回路シミュレータ上で構成する第1の工程と、前記電気回路を、単位として、前記電気回路シミュレータ上で、複数の前記電気回路の前記第1の主信号線および前記第2の主信号線がそれぞれ直列に接続されるように、複数の前記電気回路を多段に縦続接続させる第2の工程と、直列に接続された前記第1の主信号線上および第2の主信号線上の初期ノード電圧値を、前記光ファイバーに入力される光信号電場の複素振幅の実部および虚部の値としてそれぞれ与える第3の工程と、与えられた前記初期ノード電圧値に基づき、前記電気回路シミュレータ上で時間に関する過渡解析を行う第4の工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
第2の技術手段は、前記第1の技術手段に記載の光伝送シミュレーション方法において、前記第1の電圧源が、前記第1の主信号線上に出力端が接続され、前記第2の主信号線上に入力端が接続される第1の電流制御電圧源からなり、前記第2の電圧源が、前記第2の主信号線上に出力端が接続され、前記第1の主信号線上に入力端が接続される第2の電流制御電圧源からなり、前記第1の電流源が、前記第2の端子と接地との間に出力端が接続される2入力1出力の第1の電圧制御電流源と前記第4の端子に入力端が接続された2入力1出力の第1の電圧制御電圧源と前記第2の端子に入力端が接続された2入力1出力の第2の電圧制御電圧源とを組み合わせた回路からなり、前記第2の電流源が、前記第4の端子と接地との間に出力端が接続される2入力1出力の第2の電圧制御電流源と前記第1の電圧制御電圧源と前記第2の電圧制御電圧源とを組み合わせた回路からなることを特徴とする。
【0010】
第3の技術手段は、前記第2の技術手段に記載の光伝送シミュレーション方法において、前記第1の電圧制御電圧源は、2つの入力端の双方に接続された前記第4の端子の電圧の値の二乗の値に応じてあらかじめ定めた所定の出力電圧を出力端から出力する電圧源であり、前記第2の電圧制御電圧源は、2つの入力端の双方に接続された前記第2の端子の電圧の値の二乗の値に応じてあらかじめ定めた所定の出力電圧を出力端から出力する電圧源であり、前記第1の電圧制御電流源は、2つの入力端にそれぞれ接続された、前記第1の電圧制御電圧源の出力電圧と前記第2の電圧制御電圧源の出力電圧とを加算する回路の出力端と、前記第4の端子との双方の電圧の値の積に応じてあらかじめ定めた所定の出力電流を出力端から出力する電流源であり、前記第2の電圧制御電流源は、2つの入力端にそれぞれ接続された、前記第1の電圧制御電圧源の出力電圧と前記第2の電圧制御電圧源の出力電圧とを加算する回路の出力端と、前記第2の端子との双方の電圧の値の積に応じてあらかじめ定めた所定の出力電流を出力端から出力する電流源であることを特徴とする。
【0011】
第4の技術手段は、光通信用のICの設計、解析を行う際に使用される電気回路シミュレータであって、さらに、光ファイバー中の光信号の伝送特性を計算またはシミュレーションする光伝送特性シミュレーション手段を備え、該光伝送特性シミュレーション手段を、前記第1ないし第3の技術手段のいずれかに記載の光伝送シミュレーション方法を用いて構成していることを特徴とする。
【0012】
第5の技術手段は、第1の端子と第2の端子との間の第1の主信号線上に接続され、第3の端子に流れる電流の値に応じてあらかじめ定めた所定の電圧を出力する第1の電圧源と、前記第3の端子と第4の端子との間の第2の主信号線上に接続され、前記第1の端子に流れる電流の値に応じてあらかじめ定めた所定の電圧を出力する第2の電圧源と、前記第2の端子と接地との間に接続され、あらかじめ定めた所定の容量値を有する第1の電気容量と、前記第4の端子と接地との間に接続され、あらかじめ定めた所定の容量値を有する第2の電気容量と、前記第2の端子と接地との間に接続され、あらかじめ定めた所定の抵抗値を有する第1の電気抵抗と、前記第4の端子と接地との間に接続され、あらかじめ定めた所定の抵抗値を有する第2の電気抵抗と、前記第2の端子と接地との間に接続され、前記第2および第4の端子それぞれの電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力する第1の電流源と、前記第4の端子と接地との間に接続され、前記第2および第4の端子それぞれの電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力する第2の電流源と、を有する電気回路であることを特徴とする。
【0013】
第6の技術手段は、前記第5の技術手段に記載の電気回路において、前記第1の電圧源が、前記第1の主信号線上に出力端が接続され、前記第2の主信号線上に入力端が接続される第1の電流制御電圧源からなり、前記第2の電圧源が、前記第2の主信号線上に出力端が接続され、前記第1の主信号線上に入力端が接続される第2の電流制御電圧源からなり、前記第1の電流源が、前記第2の端子と接地との間に出力端が接続される2入力1出力の第1の電圧制御電流源と前記第4の端子に入力端が接続された2入力1出力の第1の電圧制御電圧源と前記第2の端子に入力端が接続された2入力1出力の第2の電圧制御電圧源とを組み合わせた回路からなり、前記第2の電流源が、前記第4の端子と接地との間に出力端が接続される2入力1出力の第2の電圧制御電流源と前記第1の電圧制御電圧源と前記第2の電圧制御電圧源とを組み合わせた回路からなることを特徴とする。
【0014】
第7の技術手段は、前記第6の技術手段に記載の電気回路において、前記第1の電圧制御電圧源は、2つの入力端の双方に接続された前記第4の端子の電圧の値の二乗の値に応じてあらかじめ定めた所定の出力電圧を出力端から出力する電圧源であり、前記第2の電圧制御電圧源は、2つの入力端の双方に接続された前記第2の端子の電圧の値の二乗の値に応じてあらかじめ定めた所定の出力電圧を出力端から出力する電圧源であり、前記第1の電圧制御電流源は、2つの入力端にそれぞれ接続された、前記第1の電圧制御電圧源の出力電圧と前記第2の電圧制御電圧源の出力電圧とを加算する回路の出力端と、前記第4の端子との双方の電圧の値の積に応じてあらかじめ定めた所定の出力電流を出力端から出力する電流源であり、前記第2の電圧制御電流源は、2つの入力端にそれぞれ接続された、前記第1の電圧制御電圧源の出力電圧と前記第2の電圧制御電圧源の出力電圧とを加算する回路の出力端と、前記第2の端子との双方の電圧の値の積に応じてあらかじめ定めた所定の出力電流を出力端から出力する電流源であることを特徴とする。
【0015】
第8の技術手段は、前記第5ないし第7の技術手段のいずれかに記載の電気回路を、単位として、複数の前記電気回路の前記第1の主信号線および前記第2の主信号線がそれぞれ直列に接続されるように、多段に縦続接続してなる電気回路であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光伝送シミュレーション方法、電気回路シミュレータおよび該光伝送シミュレーション方法の各構成要素を回路として具現化した電気回路によれば、シングルモード光ファイバー中の光信号に伴う複素電場の挙動を記述するための(広義の)非線形シュレディンガー方程式を、電気回路シミュレータ上の等価回路として記述し、該等価回路が有する2本の主信号線上のノード電圧値をそれぞれ複素電場の実部および虚部に直接対応させるように構成されているので、以下のごとき効果を奏することができる。
【0017】
本発明の光伝送シミュレーション方法、電気回路シミュレータおよび該光伝送シミュレーション方法の各構成要素を回路として具現化した電気回路は、光ファイバー中の光信号の伝送特性を、電気回路上の電圧信号として直接計算することができるかあるいはシミュレーションすることができるので、光ファイバー通信用ICの設計者にとり、ICの特性および光ファイバーの光伝送特性について、単一の電気回路シミュレータ上で、一元的に解析することができ、光通信システムの設計効率の向上を図ることができる。
【0018】
さらに、光ファイバー中の光信号の伝送特性を計算したりあるいはシミュレーションしたりするための特別な計算プログラムや高価な専用シミュレータを用意する必要がないので、設計作業の煩雑化を防止し、簡素化が図れるのみならず、設計コストの低減を図ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る光伝送シミュレーション方法に用いる電気回路の基本構成の一例を示す構成図である。
【図2】図1に示した基本構成の電気回路のより具体的な回路構成の一例を示す回路図である。
【図3】本発明に係る光伝送シミュレーション方法に用いる電気回路の具体的ブロック構成を示すブロック図である。
【図4】光ファイバー中の非線形効果が無い場合の、本発明に係る光伝送シミュレーション方法によって得られた光伝送特性に関するシミュレーション結果を示す説明図である。
【図5】光ファイバー中の非線形効果が有る場合の、本発明に係る光伝送シミュレーション方法によって得られた光伝送特性に関するシミュレーション結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る光伝送シミュレーション方法、電気回路シミュレータ、電気回路シミュレータおよび該光伝送シミュレーション方法の各構成要素を回路として具現化した電気回路の最良の実施形態について、その一例を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、本発明による光伝送シミュレーション方法について主として説明する。しかし、本発明は、光通信用のICの設計、解析を行う際に使用される電気回路シミュレータに、さらに、光ファイバー中の光信号の伝送特性を計算またはシミュレーションする光伝送特性シミュレーション手段を備え、該光伝送特性シミュレーション手段を、以下に詳細に説明する光伝送シミュレーション方法を用いて構成するようにしても良いし、あるいは、かかる光伝送シミュレーション方法の各構成要素を回路として具現化することによりハードウェアロジックとして実施される電気回路として構成しても良いことは言うまでもない。
【0021】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、ICの設計および解析用のシミュレーションを行う電気回路シミュレータを用いて、光ファイバー中の光信号の伝送特性をシミュレーションすることを可能としている点に特徴を有している。
【0022】
つまり、電気回路シミュレータとして、シングルモード光ファイバー中の光信号に伴う複素電場の挙動を記述するための(広義の)非線形シュレディンガー方程式を電気回路シミュレータ上の等価回路によって表現し、複素電場の実部および虚部を、該等価回路内の2本の主信号線上のノード電圧値に直接対応させることにより、光信号の伝送特性を電気回路上の電圧・電流信号の挙動として計算するかあるいはシミュレーションする構成とすることを特徴としている。
【0023】
(本発明の実施形態)
以下、本発明に係る光伝送シミュレーション方法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明するが、まず、本発明の基本となる電気回路の構成を導出する考え方について説明する。
【0024】
前記非特許文献1によれば、シングルモードの光ファイバー中の光伝送を記述する基本方程式は、広義の非線形シュレディンガー方程式として、次の式(1)として表現することができる。
【0025】
【数1】

式(1)において、A(z、T)は光信号電場の複素振幅であり、αは光ファイバーの吸収係数であり、βは分散係数、γは非線形係数である。また、iは虚数単位であり、zおよびTは、それぞれ、空間変数(伝送距離)および時間変数である。
【0026】
ここで、z→τ、T→xと置き換えて、改めてτを“時間変数”、xを“空間変数”と看做すことにすると、式(1)は、次の式(2)のように表現することができる。
【0027】
【数2】

式(2)において、特に、α=0の場合は、非線形ポテンシャルが存在する場合の通常の(狭義の)シュレディンガー方程式となる。
【0028】
ここで、変数Vr、Vi、Ir、Iiを、次の式(3)のように定義すると、式(2)より、次の式(4)、式(5)の関係が成立する。
【0029】
【数3】

【0030】
【数4】

【0031】
【数5】

ここで、変数(Vr,Ir)、変数(Vi,Ii)を、それぞれ、第1および第2の電気信号線上の(電圧、電流)と看做せば、式(4)、式(5)は、通常の伝送線路(分布定数線路)に関するいわゆる電信方程式と形式上同一となる。
【0032】
したがって、式(4)、式(5)が表す電気回路を表現すると、図1のような回路構成とすることができる。つまり、図1は、本発明に係る光伝送シミュレーション方法に用いる電気回路の基本構成の一例を示す構成図である。
【0033】
図1において、第1の端子1と第2の端子2とを結ぶ信号線が第1の主信号線であり、第3の端子3と第4の端子4とを結ぶ信号線が第2の主信号線である。
【0034】
また、第1の端子1と第2の端子2とを結ぶ第1の主信号線上に接続された符号5は、第3の端子3に流れる電流の値に応じてあらかじめ定めた所定の電圧を出力する第1の電圧源であり、第3の端子3と第4の端子4とを結ぶ第2の主信号線上に接続された符号6は、第1の端子1に流れる電流の値に応じてあらかじめ定めた所定の電圧を出力する第2の電圧源である。
【0035】
また、第2の端子2と接地との間に接続された符号7は、あらかじめ定めた所定の容量値を有する第1の電気容量であり、第4の端子4と接地との間に接続された符号8は、あらかじめ定めた所定の容量値を有する第2の電気容量である。
【0036】
また、第2の端子2と接地との間に接続された符号9は、あらかじめ定めた所定の抵抗値を有する第1の電気抵抗であり、第4の端子4と接地との間に接続された符号10は、あらかじめ定めた所定の抵抗値を有する第2の電気抵抗である。
【0037】
また、第2の端子2と接地との間に接続された符号11は、第2の端子2の電圧および第4の端子4の電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力する第1の電流源であり、第4の端子4と接地との間に接続された符号12は、第2の端子2の電圧および第4の端子4の電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力する第2の電流源である。
【0038】
図1に示す電気回路の構成は、微小区間dxにおける式(2)の構造を、式(4)、式(5)の形式に変換することによって、等価的に電気回路として表現したものである。図1に示す微小区間dxにおける電気回路を、単位として、該電気回路を複数個用い、各電気回路の第1および第2の主信号線がそれぞれ直列になるように、複数段縦続接続し、かつ、直列に接続された第1の主信号線上の各ノードの初期電圧値として、光ファイバーに入力される光信号の複素振幅の実部の値を与え、また、直列に接続された第2の主信号線上の各ノードの初期電圧値として、光ファイバーに入力される光信号の複素振幅の虚部の値を与える。
【0039】
さらに、これら各ノードの初期電圧値に基づき、電気回路シミュレータ上で時間に関する過渡解析を実行することにより、光ファイバーに入力された光信号の波形が伝送距離に応じてどのように変化して行くかをシミュレーションすることができる。
【0040】
つまり、図1に示すような電気回路をコンピュータに実装された電気回路シミュレータ上で構成する第1の工程と、該電気回路を単位として、当該電気回路シミュレータ上で、複数の該電気回路の第1の主信号線および第2の主信号線がそれぞれ直列に接続されるように、複数の該電気回路を縦続接続させる第2の工程とを有し、さらに、直列に接続された第1の主信号線上および第2の主信号線上の初期ノード電圧値を、光ファイバーに入力される光信号電場の複素振幅の実部および虚部の値としてそれぞれ与える第3の工程と、与えられた前記初期ノード電圧値に基づき、当該電気回路シミュレータ上で時間に関する過渡解析を行う第4の工程とを有することにより、当該電気回路シミュレータを用いて光伝送の伝送特性をシミュレーションすることができる。
【0041】
なお、ここで注意すべき点は、前述したように、変数xは、図1の電気回路を導出する過程では空間変数と看做しているが、実際には時間変数であり、また、変数τは、図1の電気回路を導出する過程では時間変数と看做しているが、実際には空間変数である。よって、前述した、電気回路シミュレータ上での時間に関する過渡解析は、実際には、光ファイバー内での光信号の伝送距離の伸長に対応することになる。
【0042】
図1に示した電気回路は、本発明に係る光伝送シミュレーション方法の中核となる回路構成についての最上位概念に当たるものであり、以下では、より具体的な回路構成例についてさらに説明することにする。
【0043】
(具体的な電気回路の実施例)
図2は、図1に示した基本構成の電気回路のより具体的な回路構成の一例を示す回路図であり、図1の電気回路を通常の電気回路シミュレータ上で実装可能とするものの一例を示している。
【0044】
図2に示す電気回路14において、図1と同じ機能を有する構成要素については、図1と同一の符号を付して表している。図2中、CCVS、VCCS、VCVSは、それぞれ、電流制御電圧源(Current-Controlled Voltage Source)、電圧制御電流源(Voltage-Controlled Current Source)、電圧制御電圧源(Voltage-Controlled Voltage Source)を表し、それぞれの利得は図2中に記載した通りである。なお、これらCCVS、VCCS、VCVSの利得の値は、正であっても負であっても差し支えない。
【0045】
図2中、第1の主信号線上に出力端が接続され、第2の主信号線上に入力端が接続される第1の電流制御電圧源51は、図1の第1の電圧源5に対応するものであり、第2の主信号線上に出力端が接続され、第1の主信号線上に入力端が接続される第2の電流制御電圧源61は、図1の第2の電圧源6に対応するものである。また、第2の端子2と接地との間に出力端が接続される2入力1出力の第1の電圧制御電流源111は、第4の端子4に入力端が接続された2入力1出力の第1の電圧制御電圧源20と第2の端子2に入力端が接続された2入力1出力の第2の電圧制御電圧源21と組み合わせて、図1の第1の電流源11と同等の機能を実現し、第4の端子4と接地との間に出力端が接続される2入力1出力の第2の電圧制御電流源121は、第4の端子4に入力端が接続された2入力1出力の第1の電圧制御電圧源20と第2の端子2に入力端が接続された2入力1出力の第2の電圧制御電圧源21と組み合わせて、図1の第2の電流源12と同等の機能を果たす。
【0046】
つまり、第1、第2の電圧制御電流源111、121および第1、第2の電圧制御電圧源20、21は、それぞれ、2入力1出力の(すなわち、2つの入力電圧信号の積の値に応じて1つの電流信号または電圧信号を出力する)コンポーネントとなっているが、これらは、通常の電気回路シミュレータにおいて利用可能なコンポーネントである。
【0047】
ここで、第1の電圧制御電流源111は、2つの入力端にそれぞれ接続された、第1の電圧制御電圧源20の出力電圧と第2の電圧制御電圧源21の出力電圧とを加算する回路の出力端と、第4の端子4との双方の電圧の値の積に応じてあらかじめ定めた所定の出力電流を出力端から出力する電流源であり、第2の電圧制御電流源121は、2つの入力端にそれぞれ接続された、第1の電圧制御電圧源20の出力電圧と第2の電圧制御電圧源21の出力電圧とを加算する回路の出力端と、第2の端子2との双方の電圧の値の積に応じてあらかじめ定めた所定の出力電流を出力端から出力する電流源である。
【0048】
一方、第1の電圧制御電圧源20は、2つの入力端の双方に接続された第4の端子4の電圧の値の二乗の値に応じてあらかじめ定めた所定の出力電圧を出力端から出力する電圧源であり、第2の電圧制御電圧源21は、2つの入力端の双方に接続された第2の端子2の電圧の値の二乗の値に応じてあらかじめ定めた所定の出力電圧を出力端から出力する電圧源である。
【0049】
また、第1の電圧制御電圧源20の出力電圧と第2の電圧制御電圧源21の出力電圧とを加算するための回路を構成するコンポーネントである図2の電気抵抗13は、その抵抗値が零でなければ、どのような抵抗値を持つものであっても良い。
【0050】
なお、図2に示す電気回路14の回路構成は、図1の電気回路をより具体化した例の一つに過ぎず、他の回路構成も可能である。例えば、図2の電気回路14において、電圧制御電圧源20、21の利得が“1”、電圧制御電流源111、121の利得が“γdx”となっているが、電圧制御電圧源20、21の利得を“γdx”、電圧制御電流源111、121の利得を“1”としても良く、図1の電気回路をより具体化する回路構成は、図2の構成以外にも様々なものが考えられる。
【0051】
以下、図2に示す電気回路を用いて、光ファイバー中の光伝送が実際に計算可能であることを回路シミュレーション結果に基づいて説明する。
【0052】
図3は、本発明に係る光伝送シミュレーション方法に用いる電気回路の具体的ブロック構成を示すブロック図であり、図2に示す電気回路14を単位回路として、該単位回路すなわち図2の電気回路14を1万個縦続接続させた場合を例示しており、該単位回路すなわち図2の電気回路14のパラメータであるdxは、0.1[psec]に設定している。したがって、図3に示す電気回路が表す時間領域としては、0.1[psec]×10,000=1[nsec]となる。
【0053】
まず、簡単な回路シミュレーション例として、非線形係数γが零の場合の光パルスの伝送を対象にして、初期入力信号として図4の実線に示すようなガウス型の入力波形を有する光パルスが光ファイバーに入力された場合を考える。図4は、光ファイバー中の非線形効果が無い場合すなわち非線形係数γが零の場合の、本発明に係る光伝送シミュレーション方法によって得られた光伝送特性に関するシミュレーション結果を示す説明図である。
【0054】
図4において、実線は、光ファイバーへの入力光パルスの初期入力波形(ガウス型パルス波形)を示し、破線および点線は、後述するように、いずれも、光ファイバー内を10km伝送後の光パルスの波形を変化の様子を示しており、破線が光ファイバーの吸収係数αが零で吸収がない場合を、また、点線が光ファイバーの吸収係数αが零ではなく吸収がある場合を示している。
【0055】
ここで、図4の実線で示すガウス型初期入力波形は、次の式(6)によって表現することができる。
【0056】
【数6】

初期入力光信号電場の複素振幅としては、その虚部は零であるので、図3のように縦続接続させた各単位回路すなわち各電気回路14における第2の主信号線上の各ノードの初期電圧値(Vi)はすべて零とし、一方、第1の主信号線上の各ノードの初期電圧値(Vr)を、式(6)にしたがって、分布させ、電気回路シミュレータ上で時間に関する過渡解析を行う。
【0057】
なお、前述したように、電気回路シミュレータ上での時間に関する過渡解祈は、実際には、光ファイバー内での光信号の伝送距離の伸長に対応し、図3の場合のシミュレーション例においては、過渡解析における1[sec]を伝送距離1[km]に対応させている。また、光ファイバーの分散係数βを−23[psec/km]としている。
【0058】
図4に示す破線および点線は、前述したように、吸収係数αを、それぞれ、α=0[1/km](吸収無し)、α={ln(10)/10}×αdB=0.23×0.2[1/km](吸収あり)として、10km伝送させた後の光信号のパルス波形|A|を示したものであり、|A|は、図3に示す電気回路上のノード電圧値を用いて(Vr+Vi)として算出している。
【0059】
図4の破線および点線からも明らかなように、非線形係数γが零の場合は、入力された光パルス(ガウス型パルス波形)が光ファイバーの分散の影響により広がっている様子が判る。また、光ファイバーの吸収係数が零の場合(図4の破線)と有限の値(αdB=0.2[dB/km])を有する場合(図4の点線)とを比較すると、振幅に2dBの差があり、電気回路シミュレータ上において、吸収係数αの影響が正しく計算されていることが判る。
【0060】
なお、図3に示す電気回路の長さは、前述したように、1[nsec]に設定している場合を示したが、その値は、時間に関する過渡解析すなわち光信号の伝送距離の伸長に応じて、パルス信号の端が、図3の当該電気回路の終端に到達しない長さであれば、如何なる値であっても良く、その場合は、図3の電気回路の終端は、同図に示したように、直接接地させる必要はなく、電気回路シミュレータが動作する条件となっていれば、どのような終端条件であっても良い。
【0061】
次の回路シミュレーション例として、非線形係数γが有限の値を有する場合の光パルスの伝送を対象にして、初期入力信号として図5の実線に示すようなガウス型の入力波形を有する光パルスが光ファイバーに入力された場合を考える。ここで、図5は、光ファイバー中の非線形効果γが有る場合の、本発明に係る光伝送シミュレーション方法によって得られた光伝送特性に関するシミュレーション結果を示す説明図である。
【0062】
図5において、実線は、光ファイバーへの入力光パルスの初期入力波形(ガウス型パルス波形)を示し、破線および点線は、後述するように、いずれも、光ファイバー内を5km伝送後の光パルスの波形を変化の様子を示しており、破線が光ファイバー中の非線形係数γが有限の値で非線形効果がある場合を、また、点線が光ファイバー中の非線形効果が無い場合すなわち非線形係数γが零の場合を示している。
【0063】
つまり、図5は、図4の場合と同様、過渡解析における1[sec]は伝送距離1[km]に対応させ、また、光ファイバーの分散係数βを−23[psec/km]、吸収係数αdBを0.2[dB/km]とし、図4の場合と同じガウス型光パルス(ただし、入力パワーPinが500[mW])が入力されたときの5km伝送後の回路シミュレーション結果を、非線形係数γが有限の値(γ=2[1/km/W])を有する場合(図5の破線)と、非線形係数γが零の場合(図5の点線)とについて示している。
【0064】
図5の破線および点線からも明らかなように、点線で示す非線形係数γが零の場合と比較すると、破線で示す非線形係数γが有限の値を有する場合つまり非線形効果が存在する場合には、非線形効果が分散の効果に勝って、パルス圧縮が起きており、電気回路シミュレータ上で、非線形効果の影響が正しく計算されていることが判る。
【0065】
図4および5に示した回路シミュレーション結果は、入力される光信号が単一パルス波形の場合について示したものであるが、図3に示す電気回路の長さを必要十分に長くとれば、単一パルスのみならず、例えば、擬似ランダムビット列信号に対するシミュレーションについても、本発明に係る前述のような光伝送シミュレーション方法を用いて実行可能であることは言うまでもない。
【0066】
以上、実施例として詳細に説明したように、本発明による光伝送シミュレーション方法によれば、シングルモード光ファイバー中の光信号に伴う複素電場の挙動を記述するための(広義の)非線形シュレディンガー方程式を、電気回路シミュレータ上の等価回路(電気回路)として記述し、該等価回路(電気回路)が有する2本の主信号線上のノード電圧値として、それぞれ、光ファイバー中の光信号電場についての複素振幅の実部および虚部を直接扱うように構成しているため、光ファイバー中の光伝送特性を、通常の電気回路シミュレータ上で、等価回路(電気回路)上の電圧・電流信号として直接計算したりあるいはシミュレーションしたりすることが可能となる。
【0067】
したがって、光ファイバー通信用ICの設計者は、光伝送特性を把握するために特別なプログラムを作成したり、あるいは、光伝送専用のシミュレータを別途用いたりすることもなく、ICの特性および光ファイバーの光伝送特性を、単一の電気回路シミュレータ上で、一元的に、解析・計算することができ、光通信システムの設計効率を向上させることができる。
【0068】
さらに、光ファイバー中の光の伝送特性を計算したりあるいはシミュレーションしたりするための特別な計算プログラムや高価な専用シミュレータを用意する必要がないので、設計作業の煩雑化を防止し、簡素化が図れるのみならず、設計コストの低減を図ることも可能となる。
【符号の説明】
【0069】
1…第1の端子、2…第2の端子、3…第3の端子、4…第4の端子、5…第1の電圧源、6…第2の電圧源、7…第1の電気容量、8…第2の電気容量、9…第1の電気抵抗、10…第2の電気抵抗、11…第1の電流源、12…第2の電流源、13…電気抵抗、14…電気回路、20…第1の電圧制御電圧源、21…第2の電圧制御電圧源、51…第1の電流制御電圧源、61…第2の電流制御電圧源、111…第1の電圧制御電流源、121…第2の電圧制御電流源、CCVS…電流制御電圧源、VCCS…電圧制御電流源、VCVS…電圧制御電圧源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバー中の光信号の伝送特性を電気回路シミュレータを用いてシミュレーションする光伝送シミュレーション方法であって、
第1の端子と第2の端子との間の第1の主信号線上に接続され、第3の端子に流れる電流の値に応じてあらかじめ定めた所定の電圧を出力する第1の電圧源と、
前記第3の端子と第4の端子との間の第2の主信号線上に接続され、前記第1の端子に流れる電流の値に応じてあらかじめ定めた所定の電圧を出力する第2の電圧源と、
前記第2の端子と接地との間に接続され、あらかじめ定めた所定の容量値を有する第1の電気容量と、
前記第4の端子と接地との間に接続され、あらかじめ定めた所定の容量値を有する第2の電気容量と、
前記第2の端子と接地との間に接続され、あらかじめ定めた所定の抵抗値を有する第1の電気抵抗と、
前記第4の端子と接地との間に接続され、あらかじめ定めた所定の抵抗値を有する第2の電気抵抗と、
前記第2の端子と接地との間に接続され、前記第2および第4の端子それぞれの電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力する第1の電流源と、
前記第4の端子と接地との間に接続され、前記第2および第4の端子それぞれの電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力する第2の電流源と、
を有する電気回路を、
コンピュータに実装された電気回路シミュレータ上で構成する第1の工程と、
前記電気回路を、単位として、前記電気回路シミュレータ上で、複数の前記電気回路の前記第1の主信号線および前記第2の主信号線がそれぞれ直列に接続されるように、複数の前記電気回路を多段に縦続接続させる第2の工程と、
直列に接続された前記第1の主信号線上および第2の主信号線上の初期ノード電圧値を、前記光ファイバーに入力される光信号電場の複素振幅の実部および虚部の値としてそれぞれ与える第3の工程と、
与えられた前記初期ノード電圧値に基づき、前記電気回路シミュレータ上で時間に関する過渡解析を行う第4の工程と、
を有することを特徴とする光伝送シミュレーション方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光伝送シミュレーション方法において、
前記第1の電圧源が、前記第1の主信号線上に出力端が接続され、前記第2の主信号線上に入力端が接続される第1の電流制御電圧源からなり、
前記第2の電圧源が、前記第2の主信号線上に出力端が接続され、前記第1の主信号線上に入力端が接続される第2の電流制御電圧源からなり、
前記第1の電流源が、前記第2の端子と接地との間に出力端が接続される2入力1出力の第1の電圧制御電流源と前記第4の端子に入力端が接続された2入力1出力の第1の電圧制御電圧源と前記第2の端子に入力端が接続された2入力1出力の第2の電圧制御電圧源とを組み合わせた回路からなり、
前記第2の電流源が、前記第4の端子と接地との間に出力端が接続される2入力1出力の第2の電圧制御電流源と前記第1の電圧制御電圧源と前記第2の電圧制御電圧源とを組み合わせた回路からなる
ことを特徴とする光伝送シミュレーション方法。
【請求項3】
請求項2に記載の光伝送シミュレーション方法において、
前記第1の電圧制御電圧源は、2つの入力端の双方に接続された前記第4の端子の電圧の値の二乗の値に応じてあらかじめ定めた所定の出力電圧を出力端から出力する電圧源であり、
前記第2の電圧制御電圧源は、2つの入力端の双方に接続された前記第2の端子の電圧の値の二乗の値に応じてあらかじめ定めた所定の出力電圧を出力端から出力する電圧源であり、
前記第1の電圧制御電流源は、2つの入力端にそれぞれ接続された、前記第1の電圧制御電圧源の出力電圧と前記第2の電圧制御電圧源の出力電圧とを加算する回路の出力端と、前記第4の端子との双方の電圧の値の積に応じてあらかじめ定めた所定の出力電流を出力端から出力する電流源であり、
前記第2の電圧制御電流源は、2つの入力端にそれぞれ接続された、前記第1の電圧制御電圧源の出力電圧と前記第2の電圧制御電圧源の出力電圧とを加算する回路の出力端と、前記第2の端子との双方の電圧の値の積に応じてあらかじめ定めた所定の出力電流を出力端から出力する電流源である
ことを特徴とする光伝送シミュレーション方法。
【請求項4】
光通信用のICの設計、解析を行う際に使用される電気回路シミュレータであって、さらに、光ファイバー中の光信号の伝送特性を計算またはシミュレーションする光伝送特性シミュレーション手段を備え、該光伝送特性シミュレーション手段を、請求項1ないし3のいずれかに記載の光伝送シミュレーション方法を用いて構成していることを特徴とする電気回路シミュレータ。
【請求項5】
第1の端子と第2の端子との間の第1の主信号線上に接続され、第3の端子に流れる電流の値に応じてあらかじめ定めた所定の電圧を出力する第1の電圧源と、
前記第3の端子と第4の端子との間の第2の主信号線上に接続され、前記第1の端子に流れる電流の値に応じてあらかじめ定めた所定の電圧を出力する第2の電圧源と、
前記第2の端子と接地との間に接続され、あらかじめ定めた所定の容量値を有する第1の電気容量と、
前記第4の端子と接地との間に接続され、あらかじめ定めた所定の容量値を有する第2の電気容量と、
前記第2の端子と接地との間に接続され、あらかじめ定めた所定の抵抗値を有する第1の電気抵抗と、
前記第4の端子と接地との間に接続され、あらかじめ定めた所定の抵抗値を有する第2の電気抵抗と、
前記第2の端子と接地との間に接続され、前記第2および第4の端子それぞれの電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力する第1の電流源と、
前記第4の端子と接地との間に接続され、前記第2および第4の端子それぞれの電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力する第2の電流源と、
を有することを特徴とする電気回路。
【請求項6】
請求項5に記載の電気回路において、
前記第1の電圧源が、前記第1の主信号線上に出力端が接続され、前記第2の主信号線上に入力端が接続される第1の電流制御電圧源からなり、
前記第2の電圧源が、前記第2の主信号線上に出力端が接続され、前記第1の主信号線上に入力端が接続される第2の電流制御電圧源からなり、
前記第1の電流源が、前記第2の端子と接地との間に出力端が接続される2入力1出力の第1の電圧制御電流源と前記第4の端子に入力端が接続された2入力1出力の第1の電圧制御電圧源と前記第2の端子に入力端が接続された2入力1出力の第2の電圧制御電圧源とを組み合わせた回路からなり、
前記第2の電流源が、前記第4の端子と接地との間に出力端が接続される2入力1出力の第2の電圧制御電流源と前記第1の電圧制御電圧源と前記第2の電圧制御電圧源とを組み合わせた回路からなる
ことを特徴とする電気回路。
【請求項7】
請求項6に記載の電気回路において、
前記第1の電圧制御電圧源は、2つの入力端の双方に接続された前記第4の端子の電圧の値の二乗の値に応じてあらかじめ定めた所定の出力電圧を出力端から出力する電圧源であり、
前記第2の電圧制御電圧源は、2つの入力端の双方に接続された前記第2の端子の電圧の値の二乗の値に応じてあらかじめ定めた所定の出力電圧を出力端から出力する電圧源であり、
前記第1の電圧制御電流源は、2つの入力端にそれぞれ接続された、前記第1の電圧制御電圧源の出力電圧と前記第2の電圧制御電圧源の出力電圧とを加算する回路の出力端と、前記第4の端子との双方の電圧の値の積に応じてあらかじめ定めた所定の出力電流を出力端から出力する電流源であり、
前記第2の電圧制御電流源は、2つの入力端にそれぞれ接続された、前記第1の電圧制御電圧源の出力電圧と前記第2の電圧制御電圧源の出力電圧とを加算する回路の出力端と、前記第2の端子との双方の電圧の値の積に応じてあらかじめ定めた所定の出力電流を出力端から出力する電流源である
ことを特徴とする電気回路。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかに記載の電気回路を、単位として、複数の前記電気回路の前記第1の主信号線および前記第2の主信号線がそれぞれ直列に接続されるように、多段に縦続接続してなることを特徴とする電気回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−157952(P2010−157952A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58(P2009−58)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】