説明

光信号の多重化伝送装置

【課題】相異なる信号速度やフレームフォーマットの信号を収容可能とすることにより、収容するWAN回線種別の多様化に柔軟に対応可能な伝送装置を実現する。併せて保守者の誤操作や登録作業誤りなどによる既設回線への影響を回避可能な構成とする。
【解決手段】信号速度やフレームフォーマットの違いに応じて、複数の信号処理回路を予め保持し、必要に応じて必要な信号処理回路を選択可能なマルチレート信号処理部を備え、更に、着脱可能な光モジュールから光モジュールや信号の種類を判別可能な種別コードを取得し、その情報から、上記マルチレート信号処理部の動作モードや、信号速度の違いによる帯域割当や、フレームフォーマットの違いによる監視項目内容を自動的に決定し、低速信号の増設に際して、保守者の登録作業を不要とする構成を実現した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号速度やフレームフォーマットが異なる複数の信号を、あらかじめ定められた信号速度の1個の多重化信号へ多重し、その逆にあらかじめ定められた信号速度の1個の多重化信号を、信号速度やフレームフォーマットの異なる複数の信号へそれぞれ分離する伝送装置、伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年各家庭内へもインターネットを始めとするブロードバンド回線が普及し、IPトラフィックを中心として回線需要が増大しており、それに応じて、これまでWAN回線の主流であったSONET/SDHやATMなどに代わり、高速で安価なギガビットイーサネット(登録商標)、10ギガビットイーサネット(登録商標)をベースとしたサービスが急速に市場に普及している。こうした回線需要の増大に伴い、それらブロードバンド回線を伝送する為の光ファイバ芯線の枯渇化が叫ばれており、新設網はもちろん、既存網を含めた多種多様なWAN回線を、1本の光ファイバに対して如何に多く収容できるかが、支線面或いは幹線面における伝送装置の大きなテーマであり、その為、伝送装置は様々な多重方法を駆使して回線収容効率を向上させて来た。
【0003】
伝送装置のネットワークへの適用例を図1に示す。本適用例においては、それぞれの伝送装置は、リング状に配置されているが、この接続形態はPoint to Point接続や、メッシュ接続、スター接続などどのような接続形態でも構わない。各伝送装置の時分割多重部101では、イーサネット網11や、MPLS網12やSTM網13、ATM網14などからの、様々なサービス回線であるWAN回線を収容し、リング状に構築されたネットワーク網15を介して、各拠点間を多重化された光信号で伝送する構成となっている。これらの多様なサービス回線は、それぞれ信号速度やフレームフォーマットが異なっており、伝送装置がこれらを収容する為には、各サービス回線と接続可能なインタフェース1001〜1004を備える必要がある。このインタフェース1001〜1004は、通常、接続されるサービス回線の種類に応じて異なるハードウェアが適用される。
【0004】
一般に伝送装置は、大きくは時分割多重部101と波長変換部102と波長多重部103とで構成される。時分割多重部101は、時分割多重(TDM:Time Division Multiplex)技術を用いてN個の信号を1個の多重化信号に収容する機能ブロックである。このように時分割多重部101は、N個の信号を物理的に1個の信号とする事により、伝送路への収容効率をN倍向上させるものである。波長変換部102は、時分割多重された多重化信号をそれぞれ別の波長へ変換する機能を備えており、時分割多重部101と波長多重部103間のインタフェースを有する。波長多重部103は、波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplex)技術を用い、M個の信号をそれぞれM個の別の波長に割り当て合分波するものであり、これにより伝送路への収容効率はM倍、即ち合分波する波長の数だけ向上する。
【0005】
このように、伝送装置は、N個の信号を収容する時分割多重部101と、M個の信号を収容する波長多重部103と、その間のインタフェースを有する波長変換部102とを組み合わせることで、各サービス回線の伝送路への収容効率を最大化することができる。これら時分割多重技術や波長多重技術を組み合わせることで、WAN回線11〜14をそれぞれ個別に直接収容する場合に比べて、伝送路への収容効率をN×M倍向上させることが可能となる。
【0006】
伝送装置が収容する、各WAN回線を流れる信号の種別としては、大きくは、イーサネット(登録商標)に代表されるように、帯域を固定的に割り当てるのではなく、ユーザ信号をパケットに分割して、パケット単位に送受信を行うものと、SONET/SDHに代表されるように、ユーザ単位にそれぞれの帯域を固定的に割当て、割り当てられた帯域を占有して連続信号として送受信を行うものとがある。このようなWAN回線を1本の光ファイバへ収容する技術としては、イーサネットに代表される可変長フレームであるパケットをSONET/SDH網へ収容する技術と、逆にSONET/SDH信号に代表される固定長フレームの信号をパケット網へ収容する技術との大きく2種類がある。前者の代表的な技術としては、主にIETF RFC1662で規定されるHDLC-Like Framing技術を用いる手法と、HDLC-Like Framingと類似の方法であってITU-T X.86で規定されるLAPS(Link Access Procedure SDH)技術を用いる手法と、汎用的なカプセル技術として知られるITU-T G.7041で規定されるGFP(Generic Framing Procedure)技術を用いる手法などが標準化されている。また、後者の代表的な技術としては、ITU-T Y.1413などで回線エミュレーション技術などが標準化されてきている。
【0007】
伝送装置が多種多様な信号種別、送信速度の光信号を送受信するための、光種別に柔軟に適応可能な技術としては、インタフェース盤から自由に着脱可能なSFP(Small Form-factor Pluggable)タイプまたはXFP(10 Gigabit small Form-factor Pluggable)タイプと呼ばれる光モジュールがある。この光モジュールは、MSA(Multi Source Agreement)で、その物理形状や光インタフェース仕様、電気インタフェース仕様などが規格化されている。SFPタイプやXFPタイプのような着脱可能な光モジュールをインタフェース盤へ着脱する際の概念図を図2に示す。
【0008】
図2に示したインタフェース盤の一例においては、インタフェース盤21は4個の入出力ポート201を有する。インタフェース盤21はポート1〜ポート4へ最大4個の光モジュールを搭載する事、つまり4つのWAN回線を接続することが可能である。インタフェース盤21は、最大4個の各ポートで受信した信号を多重し、多重化信号2001として出力する。このSFPタイプまたはXFPタイプの光モジュールは、例えば図2において、ポート1に光モジュールが既に実装されていて、該当ポートへWAN回線を接続しサービス中であった場合でも、ポート2にインタフェース盤21の前面方向より、必要に応じて光モジュール22を挿入したり抜去したり、交換したり、増設したりする事が可能である。
【0009】
光種別は通常、WAN回線に接続されるクライアント装置の信号の光種別やその間の伝送距離などで決まるものであって、インタフェース盤21の全てのポートが同一の光種別の信号を送受信するとは限らない。この場合でもSFPタイプやXFPタイプの光モジュールであれば、上記のように他のポートに影響を与えることなく、ポート毎に独立に、必要に応じて光モジュールを増減設、交換することが可能であり、WAN回線の光種別の違いに対して柔軟に適応する為に有用な技術となっている。
【0010】
【非特許文献1】IETF RFC1662 PPP in HDLC-like Framing
【非特許文献2】ITU-T X.86 Ethernet over LAPS
【非特許文献3】ITU-T G.7041 Generic Framing Procedure (GFP)
【非特許文献4】ITU-T G.707 Synchronous Digital Hierarchy (SDH)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図2において述べた光モジュール22は、一般的に受信したある光種別を有する光信号を電気信号へ変換し、また、逆に電気信号をある光種別を有する光信号に変換する為のものである。一方、時分割多重技術やITU-T、IEEEなどの各標準化機関により項目が定められている障害監視機能や伝送路品質監視機能は、電気信号に対する処理で実現される。従って、これら処理を実行する機能は光モジュール22ではなくインタフェース盤21に備えられている。
【0012】
光モジュール22を交換しても、インタフェース盤21の信号処理回路自体は変わらないので、信号速度やフレームフォーマットが異なる信号を収容する場合には、同じインタフェース盤21ではその信号を適切に処理することは出来ない。このため、その信号を処理することが可能な回路を備えたインタフェース盤へ交換する必要がある。例えば、図2のインタフェース盤のポート1に既に収容されている信号とは別のフレームフォーマットを有するWAN回線を新たに増設する場合、ポート2〜ポート4は空きポートではあるが、これらのポートではフレームフォーマットの違いにより新しいWAN回線の収容には使用出来ないので、空きポートがまだあるにも関らず、増設するWAN回線のフレームフォーマットを有する信号を処理する事が可能な別のインタフェース盤を搭載しなければならない。
【0013】
このように、収容するWAN回線にフレームフォーマット等の違いがあると、同じインタフェース盤では光信号を収容できないため、時分割多重における伝送路への収容効率に弊害が生じる場合がある。このことは、特に収容するWAN回線の種類が多い場合に顕著となる。各WAN回線11〜14は、サービス需要の増加やユーザニーズの多様化に伴い、様々な光種別や信号速度やフレームフォーマットを有した多種多様な光信号を伝送しているため、これら信号種別毎に異なるインタフェース盤を用意することは、WAN回線をネットワーク網15に効率的に収容する事を阻害する要因となり問題となる。従って、WAN回線の多種多様な光種別や信号速度やフレームフォーマットの違いにも柔軟に適応可能な伝送装置が求められてきている。
【0014】
更に、従来の伝送装置は、WAN回線の増設または減設、もしくは回線の構成の変更時に、保守者が装置やインタフェース盤や光モジュールの登録等の諸設定を手動で行う必要があった。こうした作業は保守者の作業量を増加させるだけではなく、保守者の誤操作や誤設定や誤認識などを生じさせ、このような人為的ミスによりサービスへ重大な影響を与える可能性もある。こうした背景から、最近では、伝送装置には、WAN回線種別に応じて柔軟に適応する機能の実現はもちろん、保守運用上の誤操作を極力回避可能な機能や作業量を軽減するような機能を具備することも併せて強く求められてきている。
【0015】
本発明は、信号速度やフレームフォーマットの異なる複数の信号を1個のインタフェース盤で収容し多重分離を行うための実現方法と、XFPやSFPタイプの光モジュールをインタフェース盤の入出力ポートへ実装するだけで、運用に必要な諸設定や登録を自動的に行う機能の実現方法を示すものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決する為、本発明では、信号速度やフレームフォーマットが異なる信号を処理可能なように、それぞれの信号を処理可能な回路を予め個別に搭載しておき、その信号種別に対応した適切な信号処理部を選択することにより、1個で複数の信号種別に対応可能な、マルチレート信号処理部を入出力ポート毎に備え、一旦光モジュールが実装されれば、光モジュール内に予め格納されていて光モジュールの種別を特定可能である種別コードを取得し、そこから該光モジュールが収容可能な信号種別を判断し、その結果を元に、該マルチレート信号処理部がその収容された信号を処理することが出来るように、適切な信号処理回路を選択し、その信号に対応する障害監視項目、伝送路品質監視項目を決定し、決定された項目の監視を開始するまでの一連の処理を全て自動的に行う事とした。
【発明の効果】
【0017】
相異なる信号速度やフレームフォーマットの信号を1つのインタフェース盤で収容する事が可能となり、伝送路に対してより柔軟にかつ効率的に回線を収容する事が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下の実施例では、収容する信号の光種別や信号速度やフレームフォーマットに応じて、信号処理方法を変更する事が出来る機能を備える伝送装置について説明する。さらに、入出力ポートに光モジュールが実装されると、サービスを開始する為に必要な諸設定や登録を、保守者の手を介すことなく自動的に行う機能を備えた伝送装置についても説明する。以下では、本発明に関する代表的な2つの実施形態について、図面を用いながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の第1の実施例における伝送装置40の構成を図3に示す。第1の実施例における伝送装置は、互いに相異なる光種別や信号速度やフレームフォーマットを有するN個の低速信号1〜N 3000を光信号としてWAN回線から受信し、それぞれN個の電気信号へ変換後にマルチレート信号処理部32へ送信し、逆にマルチレート信号処理部32からのN個の電気信号を受信し、N個の光信号へ変換し、低速信号1〜N 3000をWAN回線へ送信するN個の光モジュール31-1〜31-Nと、相異なる信号速度とフレームフォーマットを有するN個の信号を、監視制御部38からの動作モード設定指示3003により、多重方向と分離方向とで独立に、信号速度やフレームフォーマットに応じて適切に信号処理を行う事が可能なマルチレート信号処理部32と、監視制御部38からの帯域割当指示3005に従い、各信号の使用帯域へN個の信号をマッピングしたり、逆に各信号の使用帯域からN個の信号をデマッピングすることが可能な帯域割当部33と、監視制御部38からのクロスコネクト設定指示3006により、N個の入力ポートで受信したN個の信号を、N個の出力ポートのうち、任意の出力ポートへ出力させることが可能なN入力N出力のクロスコネクト部34と、N個の信号を1個の信号へ多重化したり、1個の信号からN個の信号へ分離化する多重分離部35と、多重分離部35からの電気信号を光信号へ変換し高速信号3008を生成し送信すると共に、光信号である高速信号3008を受信し、電気信号へ変換し多重分離部35へ送信する光・電気変換部36と、N個の光モジュール31-1〜31-Nからそれぞれ光モジュールの種類を表す種別コードを読み出す種別コード取得部37と、上記各機能ブロックとの間で動作モード設定指示3003と、帯域割当指示3005とクロスコネクト設定指示3006などの制御情報や、監視結果3007と光モジュールコード1〜N 3001などの監視結果のやり取りを行い、監視及び制御を掌る監視制御部38と、この監視制御部38と接続され、保守者が伝送装置40に設定を行ったり、伝送装置40の監視結果や、光モジュール31の種類や収容している信号の種類を表示することが可能な保守端末39とで構成される。
【0020】
種別コード取得部37は、各光モジュール31とMSAで規定される標準のシリアルインタフェース3004を介して、1対Nで接続されており、このインタフェース3004を介して、それぞれの光モジュール31から種別コードを取得し、取得した種別コードを監視制御部38へ通知する。また種別コード取得部37は、上記シリアルインタフェース3004とは別の信号線で各光モジュール31とそれぞれ1対1で接続されており、光モジュール31からの実装情報3002、つまり各ポートに光モジュール31が挿入され稼動しているか否かを個別で監視することが可能な構成となっている。
【0021】
なお、光モジュール31の種別コードの意味や、SFPタイプやXFPタイプの光モジュール内に種別コードを予め格納しなければならないことや、その種別コードをシリアルインタフェース3004を介して取得する方法は、MSAで規定されており、本実施例でもこのMSA規定に準拠した光モジュールを使用するものとし、その取得方法も該規定に従うこととする。ただし、実施の形態として必ずしもMSAに準拠する必要は無い。例えばMSAの種別コード以外であっても、各光モジュールがどのような種類の光信号を処理するものであるかを識別できる識別情報をあらかじめ定義しておけば、当該識別情報を本実施例の種別コードと同様に利用することができる。
【0022】
図4に、マルチレート信号処理部32の第1の構成例を示す。マルチレート信号処理部32は、N個の信号処理回路401〜403で構成され、それぞれの信号処理回路1〜N(401〜403)は、N個の低速信号入力4001毎に備えられ、N個独立に動作モード選択指示4003が変更可能な構成となっている。
【0023】
信号処理回路401の構成を以下に説明する。他の信号処理回路402、403も同様の構成である。本実施例の信号処理回路401は、互いに信号速度とフレームフォーマットが異なる4種類の信号を処理するため、STM-16処理部41、STM-4処理部42、STM-1処理部43および1000BASE-X処理部44の4個の信号処理部と、外部からの動作モード選択指示4003に基きこれら4個の信号処理部のうち、何れか1つを選択することが可能な動作モード選択部49と、前記選択された信号処理部を動作させるのに必要な周波数を有するクロックを生成するクロック生成部50とを具備した構成となっている。具体的には、STM-16処理部41やSTM-4処理部42やSTM-1処理部43は、ITU-T G.707やG.783に準拠した信号処理はもちろん、STM-16信号やSTM-4信号やSTM-1信号の警報監視や伝送路品質の監視処理を具備している。また、1000BASE-X処理部44は、IEEE802.3に準拠した信号処理や1000BASE-X信号の障害監視や伝送路品質の監視処理を具備している。それぞれの信号処理部41〜44は、低速信号入力4001に対して直列に接続され、各信号処理部の後にセレクタ45〜48がそれぞれ配置され、これらのセレクタでそれぞれの信号処理部をスルーするかどうかを個別に選択できる構成となっている。
【0024】
動作モード選択部49は、監視制御部38から受信する動作モード設定指示3003に基き、前記4個の信号処理部の選択指示を各セレクタ45〜48に行う信号処理部選択指示4004の生成と、選択された信号処理を適切に行う為のクロックの周波数をクロック生成部50に指示する為の生成周波数指示4005と、選択されなかった信号処理部41〜44の回路を停止させる為の未使用処理停止指示4007とを生成する。クロック生成部50は、動作モード選択部49から受信した生成周波数指示4005に基き受信した低速信号入力4001の信号速度に適した周波数を有するクロック信号4006を生成し、前記STM-16処理部41とSTM-4処理部42とSTM-1処理部43と1000BASE-X処理部44へそれぞれ出力する。このクロック信号4006を受信した各処理部41〜44は、受信したクロック信号4006に同期して適切な信号処理を行い、該信号はセレクタ45〜48で選択され、帯域割当部33へ向けて送信される。
【0025】
動作モード設定指示3003の内容がそれぞれ「STM-16選択」か「STM-4選択」か「STM-1選択」か「1000BASE-X選択」かで、セレクタ45〜48がそれぞれどのような値を設定する必要があるかを図5に示す。例えば、STM-4処理部42を動作させる必要がある場合、STM-4処理部42を選択するセレクタ46は「0」を選択し、セレクタ46はSTM-4処理部42が処理して出力する信号を選択して出力する。それ以外のセレクタ45、47、48は、直前に配置された各処理部の出力ではなくスルーを選択しなければならないので、「1」が設定される。さらに、各信号処理部41〜48は、動作モード選択部49から指示される未使用処理停止指示4007に従い、セレクタで選択されなかった信号処理を停止する。なお、この処理は、消費電流を低減させる為に行うものであり、必ずしも行う必要はない。
【0026】
次に、図3におけるマルチレート信号処理部32の第2の構成例を図6に示す。図6における構成例は、STM-16処理部61とSTM-4処理部62とSTM-1処理部63と1000BASE-X処理部64が並列に構成されている点で、直列に接続されていた図4の構成とは異なる。図6の構成例では、低速信号入力1〜N 6001は分岐部68で4つに分岐され、それぞれの信号処理部61〜64へ入力され、動作モード選択部66から送信される信号処理部選択指示6004に基き、4つの信号処理部61〜64の内いずれかの信号処理部からの出力をセレクタ部65にて選択可能な構成となっている。
【0027】
動作モード選択部66は、監視制御部38から受信する動作モード設定指示3003に基き、4個の信号処理部61〜64の選択指示を行う信号処理部選択指示6004の生成と、選択された信号処理を適切に行う為のクロックの周波数をクロック生成部67に指示する為の生成周波数指示6005と、選択されなかった信号処理部の回路を停止させる為の未使用処理停止指示6007とを生成し、信号処理部選択指示6004はセレクタ部65へ、生成周波数指示6005はクロック生成部67へ、未使用処理停止指示6007はSTM-16処理部61とSTM-4処理部62とSTM-1処理部63と1000BASE-X処理部64へそれぞれ送信される。
【0028】
クロック生成部67は、動作モード選択部66から受信した生成周波数指示6005に基き受信した低速信号入力6001の信号速度に適した周波数を有するクロック信号6006を生成し、STM-16処理部61とSTM-4処理部62とSTM-1処理部63と1000BASE-X処理部64へそれぞれ出力する。このクロック信号6006を受信した各処理部61〜64は、受信したクロック信号6006に同期して適切な信号処理を行い、セレクタ部65に選択された信号は帯域割当部33へ向けて送信される。信号処理部選択指示6004は、0〜3の値で表され、STM-16処理部61を選択する場合は「0」を送信し、STM-4処理部62を選択する場合は「1」を送信し、STM-1処理部63を選択する場合は「2」を送信し、1000BASE-X処理部64を選択する場合は「3」を送信し、その値に基きセレクタ部65は、適切な信号処理部を選択可能な構成とする。
【0029】
次に、図3におけるマルチレート信号処理部32の第3の構成例を図7に示す。本構成例では、マルチレート信号処理部32は、N個の信号処理回路1 〜信号処理回路N (701〜702)とは別に、1個の不揮発性メモリ75を搭載する。この不揮発性メモリ75には、STM-16信号処理用回路71とSTM-4信号処理用回路72とSTM-1信号処理用回路73と1000BASE-X信号処理用回路74の4つの回路データが予め格納されていて、信号処理回路1〜信号処理回路Nにはそれぞれ外部より回路データを書き替え可能なFPGA 76を搭載し、動作モード選択部78から送信される回路選択指示7006により、不揮発性メモリ75内に格納されている回路データの中から必要な回路データを選択し、信号処理回路1〜N(701〜702)内のFPGA76に選択された回路データを書き込み、FPGA76内部の回路を書き換えることができる。この構成により、N個の信号処理回路1〜N(701〜702)を独立に適切な動作モードで動作させることが出来る。回路データの書き替えが可能なFPGA76をN個の信号処理回路1〜N (701〜702)毎に独立に採用する事により、図4や図6のようにそれぞれの信号処理回路1〜N毎に個別で必要な種類の回路を保持する必要はなく、信号処理回路の数によらず1個の不揮発性メモリ75内の回路データをN個の信号処理回路1〜N(701〜702)の間で共有し、必要に応じてコンフィグレーション(FPGAへの書き込み)が可能である。
【0030】
動作モード選択部78の処理フローを図8に示す。動作モード選択部78では、動作モード設定指示3003の状態に変化があったかどうかを監視しており(801)、動作モード設定指示3003に変化がない場合はFPGA76のコンフィグレーションは行わずに前状態のままとし、動作モード設定指示3003に変更があったときのみFPGA76のコンフィグレーションが起動するようにする。もし動作モード設定指示3003に変更があった場合は、まず、セレクタ79で不揮発性メモリ75の中に格納されている回路データ71〜74の中から適切な回路を選択し(802)、その後、動作モード選択部78が不揮発メモリ75へコンフィグレーション指示7008を送信し(803)、それを受けた不揮発メモリ75は、選択された回路データをFPGA76へ送り込み、FPGA76内の回路データを書き替える手順となる。なお、この不揮発性メモリ75とFPGA76の間でやり取りされるコンフィグレーション・シーケンスは、部品メーカが規定している仕様に基いて行うこととする。また動作モード選択部78では、処理フロー中の802で選択された回路を動作させるために適切な周波数を判断し、生成周波数指示7005をクロック生成部77に対して送信する(804)。
【0031】
以上のようなマルチレート信号処理部32を備えた本発明の伝送装置において、光モジュール31が実装された場合に起動される処理のシーケンス図を図9に示す。まず、種別コード取得部37は、光モジュール31-1〜31-Nに対して、光モジュール31-1〜31-Nの実装状態を監視しており、一連の処理は光モジュールの実装状態が「実装から未実装になった」または「未実装から実装になった」契機で動作するようにしている。ここでいう「実装」とは、一例として本実施例を適用したインタフェース盤21の入出力ポート201に光モジュール31が装着された状態等を指す。光モジュール31-1〜31-Nの内のある1個の光モジュールが、最初は未実装であったが、その後、光モジュール実装909となると、種別コード取得部37は光モジュール31から光モジュールが実装されたことを示す実装通知9002を受信する。この実装通知9002を受信した種別コード取得部37は、光モジュール31-1〜31-Nのうち、実装された1個の光モジュールに対して種別コードの取得要求9003を送信し、種別コードを要求する。この時、種別コード取得部37はN個の入出力ポートのうちどのポートの光モジュールに取得要求9003を送信したかを、例えばチャネル情報として保持しておく。なお、このチャネル情報は、複数の入出力ポートをそれぞれ識別できる情報であれば他の情報でも良い。
【0032】
光モジュール31-1〜31-Nは、この取得要求9003に対して実装された光モジュールの種類を表す種別コードを応答し(種別コード応答9004)、それを受信した種別コード取得部37は、先ほど取得要求9003を送信した時に保持しておいたチャネル情報と、取得した種別コードを監視制御部906へ通知する(種別コード通知9005、チャネル情報通知9006)。
【0033】
この種別コード通知9005とチャネル情報通知9006を受信した監視制御部38は、図10に示す動作モード判定テーブルに従い動作モード判定912を行う。図10に示すこの判定テーブルは、種別コード111を判定条件とし、動作モード設定指示112と帯域割当指示113と光モジュール種別情報114と信号種別情報115を判定結果として出力する判定テーブルである。
【0034】
例えば種別コード111が「コード7」であったなら、動作モード設定指示112は「STM-4モード」であり、帯域割当指示113は「使用帯域:9×1040バイト、空き帯域:9×3120バイト」であり、光モジュール種別情報114は「I-4」であり、信号種別情報115は「STM-4」であると判定する。管理制御部38は、例えば監視制御部38の内部又は外部の記憶手段に、各マルチレート信号処理部32毎に、その中の各信号処理回路がどの動作モードで稼動しているのかを記憶するテーブル等を備えていても良い。このテーブルには、各信号処理回路を識別する情報に対応付けて、その信号処理回路の動作モードや帯域割当情報等、図10に示す情報を必要に応じて保持しておけば良い。
【0035】
監視制御部38は、上記判定結果から、チャネル情報通知9006で通知されたチャネルの信号を処理しているマルチレート信号処理部32へ動作モード設定指示9007として、「STM-4モード」を指示する。この動作モード設定指示9007を受信したマルチレート信号処理部32は、図4または図6または図7の構成となっており、この動作モード設定指示9007に基づき、適切な信号処理回路が選択され、設定が完了したら監視制御部38に対して設定完了応答9008を通知する。
【0036】
次に監視制御部38は、図10の判定テーブルに従い帯域割当判定914を行う。ここでは具体的な例として、図3の高速信号3008がSTM-64で、低速信号は4個であるケースを考える。図11にSTM-64のフレームフォーマットを示す。STM-64信号は、ITU-T G.707で規定されるSDH信号のフレームフォーマットであり、中継セクションオーバヘッド(RSOH 1001)と端局セクションオーバヘッド(MSOH 1002)とパスオーバヘッド(POH 1004)の各種オーバヘッドと、ポインタ1003と、ユーザデータが格納されるペイロード1005とで構成される。STM-64信号の場合は、ペイロード1005は9行×16640列のデータ領域があり、ここに低速信号のユーザデータが格納される。低速信号が4個である場合は、このペイロード1005はまず4つの領域(領域A〜D)へ等分割され、4個の低速信号はそれぞれ、低速信号1は領域Aへ、低速信号2は領域Bへ、低速信号3は領域Cへ、低速信号4は領域Dへそれぞれマッピングされるものとする。
【0037】
この例では、1個の低速信号あたり9行×4160列のデータ領域を固定的に割り当てるが、低速信号は様々な信号速度を有する為、割り当てられた9行×4160列の全てのデータ領域を使用するとは限らず、低速信号の信号速度に応じて、使用する帯域と使用しない帯域(空き帯域)とを調整する必要がある。これが帯域割当判定914の目的である。図9のシーケンス図において、監視制御部38は、図10の判定テーブルに従って帯域割当判定914を行う。例えば先ほどの動作モード設定指示9007がSTM-4モードであれば、使用帯域が9×1040バイトであり、未使用帯域が9×3120バイトであると判断し、この帯域割当指示9009を帯域割当部33に送信し、帯域割当部33はこの指示に従い、使用帯域と未使用帯域の帯域割当設定915を行い、完了後に設定完了応答9010を監視制御部38へ通知する。
【0038】
監視制御部38は、帯域割当部33からの設定完了応答9010を受信すると、図10の判定テーブルに基き光モジュール種別判定及び信号種別判定916を行う。例えば図10における種別コード111が「コード7」の場合、監視制御部38は、光モジュール種別情報114が「I-4」で、信号種別情報115が「STM-4」であると判定し、この光モジュール種別通知9011と信号種別通知9012を保守端末39へ送信する。保守端末39は実装された光モジュール種別がI-4であって、信号種別はSTM-4であることが保守者に判るよう画面に表示する。
【0039】
また、監視制御部38は同時に上記信号種別情報に対応した監視項目を決定しても良い。監視項目としては、例えば図12に示すようなものが挙げられる。これらの監視項目はITU-TやIEEEなどの標準化機関に於いてそれぞれの信号種別に応じて定義されている監視項目であり、信号種別毎に監視項目の種類や数や障害判定条件が異なるものである。図9のシーケンス上の監視項目決定917では、信号種別情報からこの監視項目の種類や障害判定条件を決定し、それに応じた監視を開始する(監視開始918)。
【0040】
監視制御部38は、監視開始後は、マルチレート信号処理部32に対して、警報取得要求9013を送信し、警報状態応答9014より警報状態を取得し、さらに伝送路品質情報取得要求9016を送信し、伝送路品質状態応答9017により、その該当伝送路の障害状態や品質に関する情報を取得する。マルチレート信号処理部32は、上記警報状態応答9014を生成する為に、それぞれのフレームフォーマットに応じて規定されている信号パタンの異常や特定パタンが挿入されている位置やデータの整合性をチェックし、その正常性を監視し、上記伝送路品質状態応答9017を生成する為に、それぞれのフレームフォーマットに応じて規定されているパリティやCRC(Cyclic Redundancy Check)や符号則のチェックを行う。監視制御部38は更に警報のありなしを警報状態通知9015として保守端末39へ通知し、伝送路品質状態については規格に定められた積算処理を実施し、これも伝送路品質状態通知9018として保守端末39へ通知する。
【0041】
保守端末39は、これらの警報状態通知9015と伝送路品質状態通知9018を監視制御部38から受信し、その結果を画面上に保守者が認識し易い形で表示する。図13に保守端末39における表示の例を示す。これは、各低速信号のポート番号毎に監視制御部38から通知された光モジュール種別と信号種別と警報状態と伝送路品質状態とをリスト形式で表示している例である。なお、保守端末39は、監視制御部38へ直接接続されるものであっても良いし、一般の公衆通信網サービスで提供されるDCN(Data Communication Network)回線を介して間接的に接続し、伝送装置の遠隔にある保守端末39から該伝送装置を監視可能な構成であっても良い。
【0042】
次に光モジュール31が実装されている状態から抜去された場合のシーケンス図を図14に示す。まず、光モジュール31が実装されている状態では、種別コード取得部37は、光モジュール31-1〜31-Nに対して実装状態確認14001を送信し、光モジュール31-1〜31-Nからの実装通知14002によって光モジュール31-1〜31-Nの実装状態を監視しており、光モジュール31-1〜31-Nのうち1個が抜去され光モジュール未実装1409となると、種別コード取得部37は光モジュール31-1〜31-Nから光モジュールが抜去されたことを示す未実装通知14003を受信し、該当光モジュールが抜去された場所がN個のうちいずれのポートであるかを示すチャネル情報通知14004と、光モジュールが未実装になった事を示す光モジュール未実装通知14005を監視制御部38に対して送信する。
【0043】
監視制御部38は、種別コード取得部37から受信した情報に基づき、光モジュールのチャネル情報通知14006と光モジュール未実装通知14007を保守端末39へ送信する。これを受信した保守端末39は、光モジュールが抜去されたことと、そのポート番号とを表示する。この表示手段は、保守者が認識可能な方法であればどのような形でも良い。
【0044】
一方で、種別コード取得部37からチャネル情報通知14004と光モジュール未実装通知14005を受信した監視制御部38は、光モジュール実装中に実施していたマルチレート信号処理部32への警報取得要求14012と伝送路品質情報取得要求14014とを停止する。そして監視制御部38は、マルチレート信号処理部32に対して動作モード初期化指示14008を送信し、マルチレート信号処理部32から初期化完了応答14009を受信後、帯域割当部33に対して帯域割当初期化指示14010を送信し、帯域割当部33から初期化完了応答14011を受信を完了する事で、光モジュールが抜去されたポートに対する全ての処理を停止し、設定の初期化を完了する。その結果再び図9の最初の状態に戻り、種別コード取得部37は、光モジュール31-1〜31-Nの実装状態を監視し続ける。
【0045】
以上の機能を備えることにより、様々な信号速度やフレームフォーマットを有する信号を柔軟に収容可能で、WAN回線を収容するポートに適切な光モジュール31を実装するだけで、登録などの保守者の手を介することなく、実装された光モジュールの種類に連動してマルチレート信号処理部32や必要な監視項目が自動的に選択される伝送装置が実現できる。なお、各機能の実現手段としては、ハードウェアを用いてもソフトウェアを用いても、またはその組み合わせにて実現しても良い、
【実施例2】
【0046】
実施例1では、1個の種別コードに対して、動作モード選択指示と光モジュール種別情報と、信号種別情報と帯域割当設定指示が一意に決定したが、1個の種別コードに対して、2種類以上の信号種別に対応している光モジュールの場合は、種別コードだけではこれらを一意に決定することは出来ない。本発明の第2の実施例としては、このような場合の一実施例について説明する。
【0047】
本実施例では、XFPタイプの光モジュールを適用した場合であって、信号のフレームフォーマットや信号速度が全く異なるITU-T G.707で規定されているSTM-64(信号速度:9953.28 Mbit/s)と、IEEE802.3で規定されている10GBASE-R(信号速度:10312.5 Mbit/s)と、10GBASE-W(信号速度:9953.28 Mbit/s)との3種類の信号を収容可能なマルチレート信号処理部を有する伝送装置を例にとり説明する。
【0048】
この第2の実施例における伝送装置の構成を図15に示す。XFPタイプの光モジュールのように、1個の光モジュール151に対して、2種類以上の信号種別に対応している光モジュール151の場合は、光モジュールから取得する種別コードのみでは一意に動作モード設定指示や信号種別情報などを判定する事は出来ないので、図3の実施例1の構成に加えて、光モジュール151で受信した信号の周波数成分を監視する信号周波数監視部152を追加し、この信号周波数監視部152が周波数監視結果1〜N 1506を監視制御部159へ送信するよう構成する。その他の構成は実施例1と全く同じである。なお、本実施例では上記のとおり、3種類の信号を例示して説明するが、10GBASE-WとSTM-64とでは、フレームフォーマットは同じであるので、マルチレート信号処理部153に備えられる信号処理回路は10GBASE-Rと10GBASE-Wの2種類で対応可能となる。
【0049】
監視制御部159は、図16の判定テーブルに基き、種別コード161と周波数監視結果1〜N 162を入力条件として、動作モード設定指示163と帯域割当指示164と光モジュール種別情報165と信号種別情報166を判定する。この判定テーブルの入力条件としては、実施例1では種別コードのみが条件であったが、本実施例ではそれに加えて、前記周波数監視結果1〜N 162を条件に加えて判定する。
【0050】
例えば図16において、実装された光モジュール151から取得された種別コード161が「コード3」で、かつ周波数監視結果1〜N 162が「10.3125 GHz±100 ppm」あった場合は、本図に従い、監視制御部159は、判定結果として動作モード設定指示163は「10GBASE-Rモード」であり、帯域割当指示164は「使用帯域:9×66560バイト、空き帯域:なし」であり、光モジュール種別情報165は「10GBASE-ER/10GBASE-EW」であり、信号種別情報166は「10GBASE-ER」であると判定する。以降の動作は、これらの判定結果を元にして、実施例1の図9や図14で説明したシーケンス図と全く同じとなる。
【0051】
なお、10GBASE-LRや10GBASE-ERの場合には、そのままマッピングすると帯域割当指示164により与えられた帯域ではデータ量が足りない場合がある。この場合は、IEEE802.3でWIS(WAN Interface Sublayer)の信号処理が規定されており、この信号処理規定に従って速度調整を行うとにより、与えられた帯域へマッピングする事が可能となるので、必要に応じて、帯域割当部154にIEEE802.3のWISの機能を搭載した構成でも構わない。
【0052】
以上のように、1個の光モジュール151に対して、2種類以上の信号種別が割り当てられている場合でも、信号周波数監視部157を追加し、これを図16の判定テーブルの入力条件に追加することにより、WAN回線を収容するポートに光モジュール151を実装するだけで、登録などの保守者の手を介することなく、実装された光モジュール151の種類に連動してマルチレート信号処理部153や必要な監視項目が自動的に選択されることになり、実施例1と同様の効果を得る事が出来る。
【0053】
実施例1や実施例2によれば、ユーザ側ネットワークを伝送される各信号種別を自動で認識し、それぞれの信号に対応した信号処理や、障害監視や、伝送路品質監視を行う為に必要な諸設定や管理情報の登録を、保守者の手を介すことなく自動的に行うことが可能な伝送装置及び伝送方法を実現することができる。
【0054】
つまり、相異なる信号速度やフレームフォーマットの信号を1つのインタフェース盤で収容する事が可能となり、伝送路に対してより柔軟にかつ効率的に回線を収容する事が可能となる。また、収容される信号のフレームフォーマットを認識して、それに対応する障害監視項目や伝送路品質監視項目を切り替えるので、従来の伝送装置と同等の障害監視機能や伝送路品質管理機能を実現する。更にWAN回線の光種別に対応した光モジュールを実装するだけで、保守者作業による装置構成登録や設定必要な登録や設定を自動的に確実に行うので、誤登録や誤設定によるサービスへの影響を回避することが可能となる。
【0055】
WAN回線サービスの多様化に伴い、誤った保守作業やその手順の複雑化によるサービスへの影響が懸念されており、これを事前に回避可能な手段や、作業を簡素化させる機能を具備することが、最近の伝送装置に求められてきている。このような情勢において、光モジュールを実装するだけで、マルチレート対応インタフェース盤に対し、運用に必要な設定や管理情報の登録を自動的に行うことを実現する手段を示した本発明の利用価値は極めて高いと考える。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明が適用されるネットワークの構成例である。
【図2】着脱可能な光モジュールをインタフェース盤へ搭載する場合の概念図である。
【図3】本発明の第1の実施例における伝送装置の構成例である。
【図4】マルチレート信号処理部の詳細な第1の構成例である。
【図5】マルチレート信号処理部の第1の構成例における、信号処理部選択指示の設定例である。
【図6】マルチレート信号処理部の詳細な第2の構成例である。
【図7】マルチレート信号処理部の詳細な第3の構成例である。
【図8】マルチレート信号処理部の詳細な第3の構成例における、動作モード選択部の処理シーケンスである。
【図9】実施例1において、光モジュールが実装された場合の各部の処理シーケンスである。
【図10】実施例1における動作モード判定テーブルの例である。
【図11】STM-64信号のフレームフォーマットである。
【図12】各信号種別毎の警報監視項目及び伝送品質監視項目である。
【図13】保守端末において表示される場合の表示例である。
【図14】実施例1において、光モジュールが抜去された場合の各部の処理シーケンスである。
【図15】本発明の第2の実施例における伝送装置の構成例である。
【図16】実施例2における動作モード判定テーブルの例である。
【符号の説明】
【0057】
31・・・光モジュール1〜N、32・・・マルチレート信号処理部、33・・・帯域割当部、34・・・N入力×N出力クロスコネクト部、35・・・多重分離部、36・・・光・電気変換部、37・・・種別コード取得部、38・・・監視制御部、39・・・保守端末、3000・・・低速信号1〜N、3001・・・光モジュールコード、3002・・・実装信号1〜N、3003・・・動作モード設定指示、3004・・・シリアルインタフェース、3005・・・帯域割当指示、3006・・・クロスコネクト設定指示、3008・・・高速信号、3009・・・監視結果、3010・・・制御情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号を収容可能な入出力ポートを有するインタフェース盤において、第1の信号とは異なる信号速度やフレームフォーマットを有する第2の信号も同一入出力ポートで収容可能な入出力ポートを有するインタフェース盤であって、前記第1の信号のフレームフォーマットを有する信号を処理可能な信号処理回路と、前記第2の信号のフレームフォーマットを有する信号を処理可能な信号処理回路とを予め搭載した信号処理部と、相異なる前記第1の信号の信号速度と前記第2の信号の信号速度のいずれも処理可能なように、その信号速度に適した複数の周波数を有するクロックを生成可能なクロック生成部とを備え、信号処理部の外部からの指示により、前記信号処理部内の複数の信号処理回路から1個の信号処理回路を選択する手段と、クロック生成部で生成するクロックの周波数を選択する手段とを備えることを特徴としたマルチレート信号処理機能及びそれを備える伝送装置。
【請求項2】
第1の信号を収容可能な入出力ポートを有するインタフェース盤において、第1の信号とは異なる信号速度やフレームフォーマットを有する第2の信号も同一入出力ポートで収容可能な入出力ポートを有するインタフェース盤であって、前記第1の信号のフレームフォーマットを有する信号を処理可能な信号処理回路の回路データと、前記第2の信号のフレームフォーマットを有する信号を処理可能な信号処理回路の回路データとを予め不揮発性メモリに保持し、信号処理を行う信号処理部には、外部からの指示により回路データを書き込みや書き換え可能なコンフィギュラブルなデバイスと、相異なる第1の信号の信号速度と第2の信号の信号速度のいずれも処理可能なように、その信号速度に適した複数の周波数を有するクロックを生成可能なクロック生成部とを備え、信号処理部の外部からの指示により、不揮発性メモリに保持された複数の回路データの中から適切な1個の回路データを選択する手段と、選択後に該選択された回路データをコンフィギュラブルなデバイスにダウンロードする手段と、コンフィギュラブルなデバイスの中で、ダウンロードされた回路データを起動させる手段と、前記外部からの指示により、複数の周波数を生成可能なクロック生成部で生成するクロックの周波数を選択する手段とを備えることを特徴としたマルチレート信号処理機能及びそれを備える伝送装置。
【請求項3】
請求項2に記載のマルチレート信号処理機能及びそれを備える伝送装置であって、コンフィギュラブルなデバイスとしてFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いる事を特徴とするマルチレート信号処理機能及びそれを備える伝送装置。
【請求項4】
複数のユーザ信号を多重化して1個の多重化信号へ変換する伝送装置において、前記複数のユーザ信号を収容する入出力ポート毎に請求項1または請求項2または請求項3に記載のマルチレート信号処理機能を備えたインタフェース盤であって、前記入出力ポートは、前記インタフェース盤を伝送装置のユニットへ搭載したままの状態で、外部より自由に着脱することが可能な光モジュールを実装することが可能な構成であって、着脱可能な光モジュールがインタフェース盤の入出力ポートに実装された事を認識する手段と、実装された光モジュール内部に予め格納されていて、光モジュールの種類を特定する事が可能な種別コードを該光モジュールから取得する手段と、マルチレート信号処理機能において、光モジュールから取得された種別コードから、受信信号を正しく処理することが可能な適切な信号処理回路を選択する手段とを備える事を特徴とする伝送装置。
【請求項5】
請求項4に記載のマルチレート信号処理機能を備えた伝送装置であって、着脱可能な光モジュールがインタフェース盤の入出力ポートに実装された事を認識する手段と、実装された光モジュール内部に予め格納されていて、光モジュールの種類を特定する事が可能な種別コードを該光モジュールから取得する手段と、実装された光モジュールで受信した信号の周波数成分を監視する手段とを備え、マルチレート信号処理機能において、光モジュールより取得した前記種別コードと周波数成分の監視結果から、受信信号を正しく処理することが出来るよう、適切な信号処理回路を選択する手段とを備える事を特徴とする伝送装置。
【請求項6】
請求項4及び請求項5記載のマルチレート信号処理機能を備えた伝送装置であって、着脱可能な光モジュールがインタフェース盤の入出力ポートに実装された事を認識する手段と、実装された光モジュール内部に予め格納されていて、光モジュールの種類を特定する事が可能な種別コードを該光モジュールから取得する手段と、光モジュールから取得された種別コードから、その光モジュールが受信する信号のフレームフォーマットに対応した適切な監視項目や処理方法を決定する手段と、決定された監視項目や処理方法に基き、障害監視や伝送路品質監視を行う手段と、該監視結果を保守端末へ表示する手段を有することを特徴とする伝送装置
【請求項7】
請求項4及び請求項5記載のマルチレート信号処理機能を備えた伝送装置であって、着脱可能な光モジュールがインタフェース盤の入出力ポートに実装された事を認識する手段と、実装された光モジュール内部に予め格納されていて、光モジュールの種類を特定する事が可能な種別コードを該光モジュールから取得する手段と、取得された種別コードから実装されている光モジュールの種類を判別する手段と、種別コードを保守者が認識可能な光モジュール名称に変換する手段と、変換した結果を保守端末の画面へ表示する手段を有することを特徴とする伝送装置
【請求項8】
請求項1または請求項2または請求項3記載のマルチレート処理機能を備えた伝送装置であって、2個以上の異なるフレームフォーマットを有する信号を同一ボードで処理可能であることを特徴とするインタフェース盤、及びそれを搭載可能な伝送装置。
【請求項9】
請求項4または請求項5記載のマルチレート処理機能を備えた伝送装置であって、ユーザ信号を収容する入出力ポートが1個であり、多重処理を不要とすることを特徴とするインタフェース盤及びそれを搭載可能な伝送装置。
【請求項10】
請求項4及び請求項5に記載のマルチレート対応インタフェース盤及び伝送装置であって、該着脱可能な光モジュールに、MSAで規定されているSFP或いはXFPタイプの光モジュールを用いることを特徴とするマルチレート対応インタフェース盤、及びそれを搭載可能な伝送装置。
【請求項11】
請求項4及び請求項5に記載のマルチレート信号処理機能を備えた伝送装置であって、ITU-T G.707で規定されているSDH信号を収容可能な伝送装置
【請求項12】
請求項4及び請求項5に記載のマルチレート信号処理機能を備えた伝送装置であって、IEEE802.3で規定されているイーサネット信号を収容可能な伝送装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−227993(P2008−227993A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64339(P2007−64339)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】