光制御シート、バックライトユニット、ディスプレイ装置及び光制御シートの製造方法
【課題】2方向の配光調整を可能とすることで部品点数を少なくするとともに光の利用効率及び輝度を高くすることができ、さらに、配光分布の調整が用意で、かつ、製造方法が容易な光制御シートを提供する。
【解決手段】下底面3a及び上底面3bにそれぞれ接続される互いに対向する一対の第1の斜面3cとを備え、略台形状をなす第1の断面形状3dを第1の方向xに延在させてなる第1のレンズ3を形成し、さらに、上底面3b上に位置し略多角形状をなす底面5aと、第1の方向xに平行な底辺を有して互いに対向して傾斜する一対の第2の斜面5bと、第1の方向xに交差する第2の方向yに平行な底辺を有して互いに対向して傾斜する一対の第3の斜面5cと、第2の斜面5bと第3の斜面5cとに接続された頂部とを少なくとも有する第2のレンズ5を、第1のレンズ3の上底面3b上に隙間なく並設する。
【解決手段】下底面3a及び上底面3bにそれぞれ接続される互いに対向する一対の第1の斜面3cとを備え、略台形状をなす第1の断面形状3dを第1の方向xに延在させてなる第1のレンズ3を形成し、さらに、上底面3b上に位置し略多角形状をなす底面5aと、第1の方向xに平行な底辺を有して互いに対向して傾斜する一対の第2の斜面5bと、第1の方向xに交差する第2の方向yに平行な底辺を有して互いに対向して傾斜する一対の第3の斜面5cと、第2の斜面5bと第3の斜面5cとに接続された頂部とを少なくとも有する第2のレンズ5を、第1のレンズ3の上底面3b上に隙間なく並設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射する光の光学特性を変化して出射する光制御シート、及び、該光制御シートを備えたバックライトユニット、ディスプレイ装置、光制御シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT型液晶パネルやSTN型液晶パネルを使用したディスプレイ装置は、例えば、OA分野でカラーノートPC(パーソナルコンピュータ)を中心に商品化されている。
このようなディスプレイ装置においては、液晶パネルの背面側に光源を配置し、この光源からの光で液晶パネルを照明する、いわゆるバックライト方式が採用されている。
【0003】
この種のバックライト方式に採用されているバックライトユニットを大別すると、冷陰極管(CCFL)などの光源ランプを光透過性に優れたアクリル樹脂などからなる平板状の導光板内で多重反射させる「導光板ライトガイド方式」(いわゆるエッジライト方式)と、導光板を用いない「直下型方式」とがある。
【0004】
導光板ライトガイド方式のバックライトユニットが搭載されたディスプレイ装置としては、例えば図15に示すものが一般に知られている。
このディスプレイ装置は、偏光板71、73に挟まれた液晶パネル72を備え、その背面側に略長方形板状のPMMA(ポリメチルメタクリレート)やアクリルなどの透明な基材からなる導光板79が設置されており、該導光板79の上面(光出射側)と背面側の偏光板73との間に拡散フィルム(拡散層)78が設けられている。
【0005】
この導光板79の背面側には、導光板79に導入された光を液晶パネル72方向に均一となるように散乱して反射させるための散乱反射パターン部(図示省略)が印刷されることによって設けられており、該散乱反射パターン部のさらに背面側には、反射フィルム(反射層)77が設けられている。また、導光板79の一側端部には、光源ランプ76が取り付けられており、さらに、該光源ランプ76の光を効率よく導光板79中に入射させるために光源ランプ76の背面側を覆うようにして高反射率のランプリフレクター81が設けられている。なお、上記散乱反射パターン部は、白色の二酸化チタン(TiO2)粉末を透明な接着剤などに混合した混合物を、所定パターンたとえばドットパターンにて印刷し乾燥、形成したものであり、導光板79内に入射した光に指向性を付与し、光出射面側へと導くようになっており、これによって高輝度化が図られている。
【0006】
また、最近では、図16に示すように、光利用効率を向上させて高輝度化を図るために、拡散フィルム78と液晶パネル72との間に、光集光機能を備えたプリズムフィルム(プリズム層)74、75を設けることが提案されている。このプリズムフィルム74,75は導光板79の光出射面から出射され、拡散フィルム78で拡散された光を、高効率で液晶パネル72の有効表示エリアに集光させるものである。
【0007】
一方、直下型方式のバックライトユニットは、導光板の利用が困難な大型の液晶TVなどの表示装置が用いられており、このバックライトユニットを用いた一例として、例えば図17に示すようなディスプレイ装置が一般的に知られている。
このディスプレイ装置においては、偏光板71、73に挟まれた液晶パネル72が設けられるとともに、その背面側に蛍光管などからなる光源51が設けられている。そして、光源51から出射された光が、拡散フィルム82で拡散させられ、高効率で液晶パネル72の有効表示エリアに集光させられるようになっている。また、光源51からの光を効率よく照明光として利用するために、光源51の背面にはリフレクター52が配置されている。
【0008】
また、このような直下型方式のバックライトユニットにおいては、正面輝度を増大させるために、図18に示すように拡散フィルム85上に輝度強調フィルム86(Brightness Enhancement Film:BEF、米国3M社の登録商標)を配置し、図19に示すように、その上に拡散フィルム82を配置したものも知られている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0009】
BEFは、透明部材上に断面三角形状の単位プリズムが一方向に周期的に配列されたフィルムであって、この単位プリズムとしては光の波長に比較してサイズ(ピッチ)が大きいものが採用されている。このBEFは、“軸外(off−axis)”からの光を集光し、この光を観察者に向けて“軸上(on−axis)”に方向転換(redirect)または“リサイクル(recycle)”する。「軸上」とは、観察者の視覚方向に一致する方向であり、一般的にはディスプレイ画面に対する法線方向側である。BEFは、このように軸外輝度を低下させることによって軸上輝度を増大させるようになっている。
【0010】
このようなBEFを単独で用いた場合、単位プリズムの反復的アレイ構造は1方向のみに並列された状態となるため、その並列方向での方向転換またはリサイクルのみが可能となる。よって、水平及び垂直方向での表示光の輝度制御を行なうために、一般的には、2枚のシートを組み合わせ、単位プリズム群の並列方向が互いに略直交するように重ねて用いられる。
【0011】
以上のようなBEFを輝度制御部材として用いた光制御シートでは、光源からの光が屈折して、制御された角度で出射されることによって、観察者の視覚方向の光の強度を高めるように制御することができ、これをバックライトユニットに採用したことによって、電力消費を低減しながら所望の軸上輝度の達成を可能としている。
【0012】
しかしながら、図15に示したディスプレイ装置においては、視野角の制御が拡散フィルム78の拡散性のみに依存するため、その制御は難しく、ディスプレイの正面方向の中心部は明るく、周辺部に行くほど暗くなるという現象が避けられない。そのため、液晶画面を横から見たときの輝度の低下が大きく、光の利用効率の低下を招くという問題があった。
【0013】
一方、上記のようなBEFを用いた場合であっても、観察者の視覚方向に進むことなく横方向に無駄に出射する想定外の光線が存在する。光強度分布は、理想的には、図20の実線Aのように±90°近辺での光強度ピークのない滑らかな凸型形状となるのが好ましいものの、このBEFを用いた光制御シートから出射される光強度分布は、図20の破線Bに示すように、正面より±90°近辺に小さな光強度ピークが認められる。これは、横方向から無駄に出射される光(サイドローブ)が増加していることを示しており、光制御シートの特性上好ましくない。
【0014】
また、図16に例示したプリズムフィルムを用いる装置では、プリズムフィルムが2枚必要であるため、フィルムの吸収による光量の低下が大きいだけでなく、部材の増加により生産コストが上昇する原因にもなっていた。
【0015】
ここで、プリズムフィルムを2枚使用しない方法として、図21に示すような四角錐型のプリズム形状を配列したり、図22に示すように、ある方向の断面が鋸歯状で、ある方向に直交する方向の断面が台形上のプリズムを格子目に配列したりする方法(以下、ヒップルーフ形状とする)が提案されている(特許文献4参照)。
【0016】
しかしながら、図21に示す四角錐型のプリズム形状では、2方向の配光分布を調節するには、傾斜角θ80〜θ83を変える必要がある。最も輝度が高くなる構成は傾斜角θ80〜θ83が45度の四角錐だが、どちらか一方向の視野範囲を拡げたい、又は狭めたいといった場合、傾斜角θ80〜θ83の少なくとも1つを大きくする、又は小さくする必要がある。しかしながら傾斜角θ80〜θ83を45度から変えてしまうと輝度が低下してしまうという問題が生じる。
【0017】
図22に示すヒップルーフ形状を採用した場合、傾斜角θ90〜93を変更せずにプリズム頂部の長さLを変更することで二方向の配光分布を調整することは可能である。しかし、最も輝度が高くなるのは、プリズム頂部の長さが無限大である状態が最も輝度が高い。すなわち、BEFのような形状が、最も輝度が高くなる。これはBEFのような形状が、背面側から入射した光をプリズム構造で、反射し、再度背面側に反射させる効率(以下、再帰反射率とする)が優れているためである。
【0018】
プリズム構造で、再帰反射された光は、バックライトユニットの背面側にある光反射板によって反射され、再度プリズム構造に入射され、観察者側に集光されたり、背面側に再帰反射されたりする。
再帰反射した光が、バックライトユニットの背面側にある光反射板によって反射され、再度プリズム構造に入射する確率は、90%〜95%と高く、再帰反射光の利用効率は、非常に大きい。
そのため、プリズムから観察者側に出射した光で、正面方向に偏向されない場合は無駄な光となり、むしろ再帰反射光として背面側に戻した方が光の利用効率は向上する。
そのため、再帰反射率の大きいプリズム、あるいはレンズ形状を用いることで、観察者側の輝度が大きくなる。
【0019】
図23を参照して、ヒップルーフ形状の再帰反射率が小さい理由を説明する。
図23(a)(b)は、BEFでの光が再帰反射する様子を表した光線図である。図23(a)はプリズム方向の断面図であり、図23(b)はストライプ方向の断面図である。
図23(c)(d)が、ヒップルーフ形状での光が再帰反射する様子を表した光線図である。図23(c)は鋸歯形状の断面図であり、図23(d)は台形の断面図である。
【0020】
BEFの場合、例えば光線K1のように、プリズム方向の断面図では正面方向に略平行であり、ストライプ方向の断面図では、正面方向に対して角度を有して入射した場合、まず入射面で屈折し光線K2となる。
次に、光線K2はプリズム面87に入射し、反射し光線K3となり、さらに対向するプリズム面87に入射して反射し光線K4となり、背面側に偏向され光線K4となり、そして入射面から屈折して出射し光線K5となる。
【0021】
ヒップルーフ形状の場合、光線K1と同様に鋸歯形状の断面図では正面方向に略平行であり、台形の断面図では、正面方向に対して角度を有して入射した光線K11、まず入射面で屈折し光線K12となる。
光線K12は、ヒップルーフの鋸歯形状の斜面110cに入射して反射し光線K13となり、光線K12が入射した斜面110cに対向する斜面110cに入射せずに、台形形状の斜面110dに入射する。そして、光線K13は、斜面110dで反射し、背面側に偏向され光線K14となるが、光線K4と異なり入射面への入射角度が大きくなるため、入射面で反射して光線K15となる。
【0022】
光線K14の入射面に対する入射角が大きくなる理由は、光線K13を背面側に偏向する斜面が、光線K12を反射した斜面110cに対向している斜面110cではなく、斜面110cと交差している斜面110dによって、光線K13を背面側に偏向するためである。
そして、光線K15は、再度斜面110dに入射し、屈折して光線K16として出射する。
このため、ヒップルーフ形状では、BEFと比較して、再帰反射率が小さくなってしまうので、結果として輝度も低下する問題が生じてしまう。
【0023】
さらに、図21に示す四角錐型のプリズム形状や図21に示すヒップルーフ形状では、形状を形成する際の歩留まりが低いという課題があった。
これは、独立した構造を格子目上に配列するため、押出し成形法や、UV成形法、射出成形のように、型と樹脂を圧着して硬化して形成する製造方法では、樹脂に気体が混入した際に、気体が独立した構造内に閉じ込められ逃げ場がないため、型と基材の間に残留し、プリズムシート内部に、気泡が形成されてしまう(図13(b))。気泡が形成されると、気泡とプリズムシートとの間に大きな屈折率差が発生し、気泡のある領域と気泡がない領域で異なる配光特性が生じる。そのため、ディスプレイ装置に設置した場合、気泡のある領域が観察者に目視され、画面上の欠陥として視認される課題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特公平1−37801号公報
【特許文献2】特開平6−102506号公報
【特許文献3】特表平10−506500号公報
【特許文献4】特開平6−308485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、1枚の光制御シートにて2方向の配光調整を可能とすることで部品点数を少なくして、かつ光の利用効率及び輝度を高くすることができるとともに、配光分布の調整が用意で、かつ製造方法が容易な光制御シートを提供することを目的とする。
また、1枚の光制御シートにて2方向の配光調整を可能とすることで部品点数を少なくして、かつ光の利用効率及び輝度を高くすることができるとともに、配光分布の調整が用意で、かつ製造方法が容易なバックライトユニット、及びディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係る光学シートは、光源から出射される光の光路を制御して出射する光制御シートであって、第1の基準面上に位置する下底面と、前記第1の基準面と略平行な第2の基準面上に位置する上底面と、これら下底面及び上底面にそれぞれ接続された互いに対向する一対の第1の斜面とを備え、略台形状をなす第1の断面形状を第1の方向に延在させてなる第1のレンズを有し、前記第2の基準面上に位置し略多角形状をなす底面と、前記第1の方向に平行な底辺を有して互いに対向して傾斜する一対の第2の斜面と、前記第1の方向に交差する第2の方向に平行な底辺を有して互いに対向して傾斜する一対の第3の斜面と、前記第2の斜面と前記第3の斜面とに接続された頂部とを少なくとも有する第2のレンズを備え、複数の該第2のレンズが前記第1のレンズの上底面に隙間なく並設されていることを特徴とする。
【0027】
本発明に係る光学シートは、前記下底面の前記第1の方向と直交する第3の方向の距離をP1、前記上底面の前記第3の方向の距離をP2とした際に、0<P2/P1≦0.8の関係が成立することを特徴とする。
【0028】
本発明に係る光学シートは、前記下底面の前記第1の方向と直交する第3の方向の距離をP1、前記上底面の前記第3の方向の距離をP2とした際に、0<P2/P1≦0.5の関係が成立することが好ましい。
【0029】
本発明に係る光学シートは、前記第1の方向と前記第2の方向とが略直交し、前記第2の方向と前記第3の方向とが略一致することが好ましい。
【0030】
本発明に係る光学シートは、前記第1の斜面と前記第2の基準面とがなす第1の傾斜角度と、前記第2の斜面と前記第2の基準面とがなす第2の傾斜角度とが略同一であることを特徴とする。
【0031】
本発明に係る光学シートにおいては、前記第1の傾斜角度が、35〜55°の範囲に設定されていることが好ましい。
【0032】
本発明に係る光学シートにおいては、前記第2の傾斜角度が、35〜55°の範囲に設定されていることが好ましい。
【0033】
本発明に係る光学シートにおいては、前記第3の斜面と前記第2の基準面とがなす第3の傾斜角度が、35〜55°の範囲に設定されていることが好ましい。
【0034】
本発明に係るバックライトユニットは、上記光制御シートと、該光制御シートに光を照射する光源とを備えることを特徴としている。
【0035】
本発明に係るディスプレイ装置は、上記バックライトユニットと、該バックライトユニットからの光照射によって画像表示を行う画像表示部とを備えたことを特徴とする。
【0036】
本発明に係る光制御シートの製造方法は、上記光制御シートの製造方法であって、前記第1のレンズ及び前記第2のレンズの逆形状を有する型に樹脂を圧着して硬化させることで、前記第1のレンズ及び前記第2のレンズを形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0037】
本発明は光制御シートによれば、1枚の光制御シートにて2方向の配光調整を可能とすることで部品点数を少なくして、かつ光の利用効率及び輝度を高くすることができるとともに、配光分布の調整が用意で、かつ製造方法が容易な光制御シートを提供することが可能となる。
また、1枚の光制御シートにて2方向の配光調整を可能とすることで部品点数を少なくして、かつ光の利用効率及び輝度を高くすることができるとともに、配光分布の調整が用意で、かつ製造方法が容易なバックライトユニット、及びディスプレイ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態のディスプレイ装置の断面図である。
【図2】点光源を説明する図である。
【図3】点光源ユニットを説明する図である。
【図4】半導体レーザーを用いた点光源を説明する図である。
【図5】点光源の配置を説明する図である。
【図6】本実施形態の光制御シートを説明する図である。
【図7】本実施形態の光制御シートと従来の光制御シートとの配光調整の分布を示すグラフである。
【図8】本実施形態の光制御シートと従来の光制御シートの再帰反射率の分布を示すグラフである。
【図9】本実施形態の光制御シートにおいて、再帰反射率が向上する理由を説明する図である。
【図10】本実施形態の光制御シートと従来の光制御シートとの再帰反射率の分布を示すグラフである。
【図11】本実施形態の光制御シートと従来の光制御シートとの再帰反射率の分布を示すグラフである。
【図12】本実施形態の光制御シートを説明する図である。
【図13】本実施形態の光制御シートを作製する際に用いられる型である
【図14】本実施形態の光制御シートと従来の光制御シートとの成形方法を説明する図である。
【図15】従来技術の導光板ライトガイド方式のバックライトユニットが搭載されたディスプレイ装置の縦断面図である。
【図16】拡散フィルムと液晶パネルとの間に従来技術のプリズムフィルムを設けたディスプレイ装置の縦断面図である。
【図17】従来技術の直下型方式のバックライトユニットを備えたディスプレイ装置の縦断面図である。
【図18】従来技術のプリズムフィルムを備えた光制御シートの斜視図である。
【図19】従来技術のプリズムフィルムを備えた光制御シートが配置されたディスプレイ装置の要部の縦断面図である。
【図20】従来技術のプリズムフィルムを備えた光制御シートの光強度分布を示す図である。
【図21】従来技術の四角錐形状の光制御シートを説明する図である。
【図22】従来技術のヒップルーフ形状の光制御シートを説明する図である。
【図23】従来技術の再帰反射率の低下理由を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施形態のディスプレイ装置の縦断面図である。なお、図1において各構成要素の縮図は実際とは一致しない。
【0040】
図1に示すように、本発明の実施形態にかかるディスプレイ装置27は、観察者側Fへ光を照射するバックライトユニット13の上に、表示部(画面表示部)21を重ねて設けることで構成される液晶表示装置であり、表示部21から観察者側Fに向けて画像信号によって表示制御された表示光を出射することで、平面状の画像を表示するものである。尚、以下では、図1の上方向を観察者側Fとし、下方向を背面側と称する。
【0041】
バックライトユニット13は、表示部21の光入射側に臨ませて配置された照明光路制御用の光制御シート1、拡散板25及び光源41を備えている。また、光源41の背面側には、拡散板25や光制御シート1によって反射された光を再度利用するための光反射板43が配置されている。
【0042】
光源41は、表示部21の画像表示に用いる光Hを供給するものである。ここで、本願発明に用いられる光源41としては、以下のような線光源や点光源が挙げられる。
【0043】
光源41が線光源の場合、細径の棒状の冷陰極管が用いられる。なお、線光源としては冷陰極管に限定されず、他のものであってもよい。即ち、光源41は、冷陰極管の他、通常の蛍光管、熱陰極管、外部電極管、水銀レス希ガス蛍光ランプ、列状に配置された発光ダイオード(以下、LEDと称する)、半導体レーザ等を線状光源として用いることができる。この中でも、特に、冷陰極管、外部電極管又、列状に配列されたLEDを用いることが好ましい。
【0044】
また、導光板の平行溝と同等の長さを有する円柱状または角柱状の透明な導光体を用い、その導光体の上面及び底面にLEDを配置したLED光源を光源41として用いてもよい。このようなLED光源は、導光体の上面及び底面からLEDの光を入射して導光体の側面からLEDの光を出射することができる。
【0045】
光源41として線光源を用いた場合、隣接する線光源の中心間の距離は15mm〜150mmに設定されていることが好ましく、特に20mm〜60mmに設定されていることがより好ましい。線光源の中心間の距離を上記範囲とすることにより、バックライトユニット13の消費電力を低減できるとともに、当該バックライトユニット13の組み立てが容易になり、かつ発光面の輝度ムラを抑えることができる。
【0046】
なお、隣接する線光源の中心間の距離は、全ての箇所で一様に均一となっていてもよいし、部分的に変化していてもよい。部分的に変化する場合とは、例えば、バックライトユニット13の中央箇所などにおいて点光源間の間隔が狭まるような場合等である。
【0047】
光源41としての線光源の中心位置と拡散板25の入射面との最短距離の寸法は、2 mm〜30mm以下に設置することが好ましく、特に、5mm〜25mmに設定することがより好ましい。
【0048】
光源41が線光源である場合において、その本数は、特に限定されない。例えば、バックライトユニット13を32インチのディスプレイ装置27に用いる場合には、線光源の数としては、例えば、16本、14本、12本、8本等の偶数本や、奇数本とすることができる。
【0049】
光源41として点光源を用いた場合、水銀レスで発光効率が高いLEDを採用することが好ましく、例えば下記の構成のものが挙げられる。
【0050】
図2(a)は、携帯電話等のモバイル機器に用いられる白色LED46である。この白色LED46は、青色に発光する青色LED素子50をLED用レンズ46で覆うことにより構成されており、LED用レンズ46のレンズ内面には黄色に発光する蛍光体51が塗工されている。これにより、擬似白色として発光するようになっている。この構成の白色LED46は、単色の青色LED素子50に蛍光体51を覆うのみで擬似白色発光が実現できる利点ある。
なお、光源41としては、上述の白色LED46に限定されず、一つの単色LED素子に少なくとも1種類以上の蛍光体で覆ったものであれば他の構成であってもよい。
【0051】
上記発光体としては、遷移金属イオンと呼ばれる元素を発光中心として結晶母体に賦活された蛍光体でもよい。または、これらの金属酸化物、有機金属錯体でもよい。これらとしては、Cr(クロム)、Fe(鉄)、Mn(マンガン)等が挙げられる。
上記発光体となる蛍光体の結晶母体としては、ZnS、CaS、SrSや、BaAl2S4、SrAl2S4、CaAl2S4等のIIa−III−IV型、BaAl2S4、BaAl4S7、CaAl2S4、Sr2Al2S4等のIIx−IIIy−IVz型等の硫化物、ZnO、BeO、MgO、CdO、Y2O3、CaGa2O3、Zn2GeO4、(Y2O3)0.6−(GeO2)0.4等の酸化物、Y−Si−O−N、SrSi6N8、LaAl(Si6−z)N10−zOz(JEM)、MSi2O2N2で表される(MはCa、Sr、Ba)アルカリ土類窒化物、MxSi12−(m+n)Alm+nOnN16−nで表される(MはCa、Sr、Ba)α-サイアロン、Si6−zAlzOzN8−zで表されるβ−サイアロン、AlN、GaN、CaAlSiN3で表されるCASN等が挙げられる。
【0052】
上述の青色LED素子50に蛍光体51を覆う構成である白色LED46を使用する場合、蛍光体51は、黄色に発光する蛍光体を用いることが好ましい。黄色に発光する蛍光体としては、例えばYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系などが挙げられる。
黄色に発光する蛍光体を用いることで、高い発光効率(lm/W)の白色LED46を得ることが可能となる。この理由は、人間の目が、オレンジから黄色の波長(約555nm付近)に光の波長スペクトルを集中すると少ないエネルギーでも明るく感じる(視感度が高い)性質があるためである。このため、この視感度の高い波長にスペクトルを集中した黄色の蛍光体51と青色LED素子50とを組み合わせることによって視覚上では大変に明るい白色LED46が得ることができる。
【0053】
また、蛍光体51は、赤色に発光する蛍光体と緑色に発光する蛍光体の組合せを用いてもよい。上述の組合せの蛍光体を用いることで、白色LED46の発光する波長スペクトルの分布が広がるため、ディスプレイ装置として使用する際の表示可能な色範囲を広げることが可能となり、画質が向上するため好ましい。
【0054】
図2(b)は、図2(a)のLED用レンズ53にプリズム53aを付加したものである。このプリズム53aによって白色LED46から出射される光の配光分布を調整することができる。
【0055】
図2(c)は、擬似白色発光するLEDの他の方式として、単色に発光するLED素子(赤色LED素子48、緑色LED素子49、青色LED素子50)を組み合わせて、擬似白色に発光する構成のものである。この場合、上述のような図2(a)の場合と比較して、蛍光体51がLED素子からの発熱で劣化する問題を回避でき、また各LED素子の光量を調節することで任意の色彩を得ることができる。
【0056】
図3は、単色に発光する単色LED(赤色LED54、緑色LED55、青色LED56)を組み合わせて点光源ユニットとして構成したものである。この場合、図3(b)のように赤色LED54、緑色LED55、青色LED56を一個ずつ組み合わせて点光源ユニット52として構成してもよいし、図3(c)のように、光出力が弱い色(例えば、緑色LED55)を複数個配置して点光源ユニット52として構成してもよい。
【0057】
このような点光源ユニット52を形成することで、各色のLEDを時分割で発色させるフィールドシーケンシャル法を用いてカラー表示させる構成にすることも可能である。
この点光源ユニット52を形成する場合、LEDの数は限定されない。点光源ユニット52を複数配置する場合には、隣接する点光源ユニット52同士では対向するLEDの発光色が異なるものをされていることが好ましい。対向するLEDの発光色を同一とした場合、発光色の強度が強くなり、観察者側Fから色ムラとして視認されるおそれがあるためである。
【0058】
また、光源41として点光源を用いる場合には、上述のLEDの他、例えば図4に示すように、単色の半導体レーザー(赤色半導体レーザー57、緑色半導体レーザー58、青色半導体レーザー59)の光を、ファイバ60に通して混色し、半導体レーザー用レンズ61から出射する構成のものであってもよい。
この他、光源41として通常の蛍光ランプ、ハロゲンランプ等の点光源を用いてもよい。
【0059】
また、上記各点光源を組み合わせることで上述の点光源ユニット52を構成してもよい。一例として、白色LED46と単色LEDである赤色LEDとを組み合わせて点光源ユニットを構成してもよい。このような構成では、赤色LEDの赤色光を発光することにより、白色LEDの白色光に赤色を補色することが可能となる。そのため、色再現性の向上が可能となる。
【0060】
なお、上述の点光源41や点光源ユニット52を配置箇所別に分割駆動してもよい。これにより、明るい画像を表示する箇所の点光源41及び点光源ユニット52を発光させるとともに暗い画像を表示する箇所の点光源41及び点光源ユニット52を消灯させ又は発光量を小さくさせることで、明暗の差を大きくさせることができる。よって、画像のコントラストを大きくすることが可能となる。
【0061】
次に、光源41として点光源を用いた場合の配置の態様について説明する。図5は、複数の光源41又は点光源ユニット52の配置態様を模式的に示す平面図である。
複数の光源41又は点光源ユニット52を配置する第1の態様としては、図5(a)に示すように、バックライトユニット13の面方向に沿って所定の間隔で配置した構成が挙げられる。
また、第2の態様としては、図5(b)に示すように、図5(a)における光源41又は点光源ユニット52のC1〜C4を取り除いた構成、即ち、四角形の四頂点のそれぞれに点光源41又は点光源ユニット52を配置し、さらに、この四角形の対角線の交点に点光源41又点光源ユニット52を配置したような構成が挙げられる。
さらに、第3の態様としては、図5(c)に示すように、正六角形が連続して形成されたハニカム構造の各頂点に光源41又点光源ユニット52をそれぞれ配置したような構成が挙げられる。
その他、図5(d)に示すように点光源41又は点光源ユニット52を線状に配置したような構成としてもよい。
【0062】
以上のような態様において、光源41又は点光源ユニット52同士の間隔は、全ての箇所において一様に均一となっていてもよいし、部分的に変化していてもよい。部分的に変化する場合とは、例えば、バックライトユニット13の中央箇所などにおいて光源41間の間隔が狭まる場合等である。
【0063】
なお、隣接する点光源ユニット52の中心間の距離は、15mm〜150mmであることが好ましく、特に20mm〜60mmであることがより好ましい。このような範囲とすることにより、バックライトユニット13の消費電力を低減できるとともに、当該装置の組み立てが容易になり、かつ発光面の輝度ムラを抑えることができる。
【0064】
点光源41又は点光源ユニット52の中心と拡散板25の入射面との最短距離の寸法は、バックライトユニット13の厚みと輝度の均一度を考慮して設計すればよいが、1mm〜30mmであることが好ましく、特に3mm〜25mmであることがより好ましい。これによって、輝度ムラを低減でき、かつ光源41の発光効率の低下を防ぐことができる。併せて、バックライトユニット13全体の厚さを薄くできる。
【0065】
なお、本実施形態においては、上述のような直下型方式のバックライトユニット13を採用しているが、これに代えて、反射板内に複数の光源が配置され、その側方に光源から入射する光を観察者側Fに射出する導光板が配置されたエッジライト方式を採用してもよい。ことで構成されている。
【0066】
光源41から発光した光の一部は、当該光源41の背面側に設置された反射板43に入射して正面側へと反射される。反射板43は、光源41からの光を反射することができるものであればいかなる材料で形成してもよく、例えばPETやPP(ポリプロピレン)等にフィラーや空気を混練後延伸することによりボイドを形成して反射率を高めた樹脂シート、透明又は白色の樹脂シート表面にアルミ蒸着などで鏡面を形成したシート、アルミ等の金属箔もしくは金属箔を担持した樹脂シート、あるいは、表面に十分な反射性を有する金属薄板により形成することができる。
【0067】
この反射板43は、鏡面反射でなく拡散反射であることが好ましい。拡散反射にすることで、光制御シート1から再帰反射した光が拡散反射される際に、光の偏光がランダム化されたり、入射角度がランダム化される。これによって、再度光制御シート1に入射した際に、観察者側Fに集光する確率を向上させることが可能となる。
【0068】
光源41から出射した光は、直接的に、又は、反射板43での反射を介して拡散板25の入射面に入射する。この拡散板25に入射した光は、拡散板25の入射面の凹凸構造、拡散板25内部の拡散領域と透明樹脂との屈折率差、及び、拡散板25の出射面の凹凸構造により拡散される。
【0069】
拡散板25は、透明樹脂に光拡散領域を分散させることで構成されている。
透明樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いることができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、アクリロニトリルポリスチレン共重合体などを用いることができる。
【0070】
上記光拡散領域は、光拡散粒子からなることが好ましい。好適な拡散性能を容易に得ることができるためである。光拡散粒子としては、無機酸化物または樹脂からなる透明粒子を用いることができる。無機酸化物からなる透明粒子としては、例えば、シリカ、アルミナなどを用いることができる。また、樹脂からなる透明粒子としては、アクリル粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子及びその架橋体、メラミン−ホルマリン縮合物の粒子、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリフルオロビニリデン)、及びETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)等のフッ素ポリマー粒子、シリコーン樹脂粒子などを用いることができる。また、先に記載した透明粒子から2種類以上の透明粒子を組み合わせて使用してもよい。さらにまた、透明粒子の大きさ、形状は、特に規定されない。
【0071】
光拡散領域として上記光拡散粒子を用いた場合には、拡散板25の厚さを0.1〜5mmとすることが好ましい。拡散板25の厚みが0.1〜5mmである場合には、最適な拡散性能と輝度を得ることができる。逆に、0.1mm未満の場合には、拡散性能が足りず、5mmを超える場合には、樹脂量が多いため吸収による輝度低下が生じるため好ましくない。
【0072】
なお、前記透明樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場合には、光拡散領域として気泡を用いてもよい。熱可塑性樹脂の内部に形成された気泡の内部表面が光の乱反射を生じさせ、光拡散粒子を分散させた場合と同等以上の光拡散機能を発現させることができる。そのため、拡散板25の膜厚をより薄くすることが可能となる。
このような拡散板25として、白色PETや白色PPなどを挙げることができる。白色PETは、PETと相溶性のない樹脂や酸化チタン(TiO2 )、硫酸化バリウム(BaSO4 )のようなフィラーをPETに分散させた後、該PETを2軸延伸法で延伸することにより、該フィラーの周りに気泡を発生させて形成する。
【0073】
なお、熱可塑性樹脂からなる拡散板25は、少なくとも1軸方向に延伸されてなればよい。少なくとも1軸方向に延伸されれば、フィラーの周りに気泡を発生させることができるためである。
【0074】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエステル樹脂、イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂、スピログリコール共重合ポリエステル樹脂、フルオレン共重合ポリエステル樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、脂環式オレフィン共重合樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィンポリマー,アクリロニトリルポリスチレン共重合体及びこれらを成分とする共重合体、またはこれら樹脂の混合物などを用いることができ、特に制限されることはない。
【0075】
光拡散領域として気泡を用いた場合には、拡散板25の厚さが25〜500μmであることが好ましい。拡散板25の厚さが25μm未満の場合には、シートのこしが不足し、製造工程やディスプレイ内でしわを発生しやすくなるので好ましくない。また、拡散板25の厚さが500μmを超える場合には、光学性能に格別問題はないが、剛性が増すためロール状に加工しにくい、スリットが容易にできないなど、従来の拡散板と比較して得られる薄さのメリットが少なくなるので好ましくない。
【0076】
さらに拡散板25の表面には凹凸形状(図示せず)を形成してもよい。この凹凸形状により拡散板25から出射する光を拡散して、光の均一性をより向上することができる。この場合、凹凸形状は中心線平均粗さRaが3μm〜1,000μmであるプリズム形状、またはレンズ形状が好ましい。プリズム形状の場合、プリズム形状は多角形が好ましく、そのプリズム頂角は40度〜170度、プリズムのピッチは20μm〜700μmが好ましい。またプリズム形状は角錐形状、角錐台形状でもよい。また上述の凹凸形状は、凹凸形状に入射する光の照度又は輝度に対応して形状を変化してもよく、例えば、凹凸形状に入射する光の照度又は輝度が大きい領域では、上述のプリズム頂角を小さくしてもよい。
また、凹凸形状は、梨地状などのマット面に形成してもよい。さらに、この場合の拡散板の全光線透過率は40%以上98%以下、ヘイズは20%〜100%、吸水率は0.25%以下が好ましい。
【0077】
なお、上記のような拡散板25は、公知の技術である共押出成型法、射出成形法、熱プレス法、注形重合法等を用いて製造することができる。
また、拡散板25に凹凸形状をつける方法としては、上述の共押出形成法、射出成形法で拡散板25を形成中に、凹凸形状を賦型するための金型に圧力をかけて密着させ、凹凸形状を転写することができる。あるいは、拡散板25の入射面、あるいは射出面に、UV硬化樹脂などのような放射線硬化樹脂を用いて成形することもできる。たとえば、共押出法により拡散板25を板状部材として成形した後に、拡散板25の入射面、あるいは射出面に凹凸形状をUV成形して形成することができる。
【0078】
また凹凸形状を形成したフィルムを別体として形成して、接着材又は粘着材からなる接合層を介して、凹凸形状を形成したフィルムと拡散板25を張り合わせて形成してもよい。
【0079】
上述の凹凸形状のフィルム製造方法として、透光性フィルム上にUVや放射線硬化樹脂(UVや放射線で硬化する材料を含む樹脂であれば特に種類は限定しない)を用いて成形してもよい。ここで透光性フィルムとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ベンジルメタクリレートやMS樹脂、その他のアクリル系樹脂、あるいはCOP(シクロオレフィンポリマー)等の光学的に透明な部材を使用するのが好ましい。
またはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、PAN(ポリアクリロニトリル共重合体)、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体)等を用いて、当該技術分野では良く知られている押し出し成形法、射出成型法、あるいは熱プレス成型法によって形成してもよい。
【0080】
拡散板25から出射された光は、光制御シート1の入射面に入射する。この光制御シート1は、入射した光を出射面から出射する際に、光の光学特性、即ち、出射方向、範囲、色、輝度分布何れか1つを少なくとも制御する。
【0081】
本実施形態の光制御シート1は、図1及び図6に示すように、光透過基材6の観察者側Fを向く面に複数の第1のレンズ3が形成され、さらに該第1のレンズ3上に第2のレンズ5が形成されることで構成されている。
なお、図6(a)は本実施形態の光制御シートのレンズ形状の斜視図であり、図6(b)は本実施形態の光制御シートのレンズ形状の上面図であり、図6(c)は本実施形態の光制御シートのレンズ形状のx方向と直交する断面図であり、図6(d)は本実施形態の光制御シートのレンズ形状のy方向と直交する断面図である。
【0082】
光透過基材6は、図1に示すように、略板状又はシート状をなす透明の部材であって、背面側を向く一方の面が入射面6aとされ、正面方向を向く他方の面が出射面6bとされている。
この光透過基材6の出射面6bは、平坦状をなす第1の基準面2上に配置されており、該第1の基準面2から正面方向に一定距離離間した平面が、第1の基準面2と略平行をなす第2の基準面4とされている。
【0083】
第1のレンズ3は、図6(c)に示すように、上記第1基準面2上、即ち、光透過基材6の出射面6b上に位置する下底面3aと、上記第2の基準面4上に位置する上底面3bと、これら下底面3a及び3bにそれぞれ接続されて互いに対向する一対の第1の斜面3cとを備えている。即ち、x方向に沿った方向を第1の方向xとすると第1のレンズ3は、図6(c)に示す略台形状をなす第1の断面形状3dを、光透過基材6の出射面6b(第1の基準面2)に沿った第1の方向xに延在させた略台形プリズム形状をなしている。
このような第1のレンズ3は、図1に示すように、光透過基材6の出射面6b上に互いに平行に複数が隙間なく並設されている。
【0084】
なお、下底面3a、上底面3b及び第1の斜面3cはそれぞれ矩形状をなしており、第1の断面形状3bは、下底面3aを下底とするとともに上底面3bを下底よりも長さの短い上底とし、さらに一対の第1の斜面3cを互いに長さの等しい一対の斜辺とした等脚台形状をなしている。
【0085】
第2のレンズ5は、第2の基準面4上、即ち、第1のレンズ3の上底面3b上に位置する四角形状をなす底面5aと、第1の方向xに平行な底辺を有して互いに対向して傾斜する一対の第2の斜面5bと、第1の方向xに交差する第2の方向yに平行な底辺を有して互いに対向して傾斜する一対の第3の斜面5cと、第2の斜面5b及び第3の斜面5cに接続された頂部5dとを備えた形状をなしている。
なお、上述では、底面5aを四角形にした場合について説明したが、第2のレンズ5が第2の斜面5b、第3の斜面5c、頂部5dを少なくとも有する構造であれば、底面5aは四角形以外の多角形でもよい。
例えば、底面5aを三角形にして、三角錐形状の第2のレンズ5を第1のレンズ3の上に隙間無く配置してもよい。
【0086】
ここで、上記第2の方向yは、第1の方向xに交差するとともに第2の基準面4に沿った方向であり、特に、本実施形態においては、第1の方向xに直交する方向とされている。なお、この第2の方向yは、第1の方向xに交差していればよく、必ずしも第1の方向xに直交していなくともよい。
また、第2のレンズ5の底面5aは、第1の方向xと第2の方向yとに沿った4辺を備えた四角形であり、この四角形の4辺のうち第1の方向xに沿った2辺は、第1のレンズ3における一対の第1の斜面3cの上端に接続されている。
このような第2のレンズ5は、図6(d)に示すように、第1のレンズ3の上底面3b上に互いに平行に第1の方向に沿って複数が隙間なく並設されている。
【0087】
ここで、第1の方向xに直交し、かつ、第1の基準面3及び第2の基準面4に沿った方向を第3の方向yとする。なお、本実施形態においては、第2の方向yが第1の方向xに直交しているため、第3の方向と第2の方向はともにy方向に沿った方向とされている。
また、下底面3aの第3の方向yの距離をP1、上底面3bの第3の方向yの距離をP2、底面5aと第1の斜面3cの接する部分における第2レンズ5の1個分の距離をP3、第1の斜面3cと第2の基準面4とがなす第1の傾斜角度をθ1、第2の斜面5bと第2の基準面4とがなす第2の傾斜角度をθ2、第3の斜面5cと第2の基準面4とがなす第3の傾斜角度をθ3、頂部5dの第3の方向yの距離をLとする。
【0088】
第1のレンズ3及び第2レンズ5に入射した光は、第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5cや第3の斜面5dに入射して、一部の光は屈折して観察者側Fに出射され、他の光は反射して背面側に出射され再帰反射される。
【0089】
ここで、光制御シート1において、光を効率よく集光するには、光の集光に付与しない平坦面を設けないことが好ましい。そこで、本実施形態の光制御シート1においては、第1のレンズ3上に第2のレンズ5を隙間無く配列することにより、光の集光に付与しない平坦面が存在しない形状とされている。これにより、2方向に対して集光機能を向上させることができる。
さらに、光制御シート1の光透過基材6上に第1のレンズ3が隙間無く配列されているため、光の集光に付与しない平坦面はやはり存在せず、集光機能の向上が図られている。
【0090】
本実施形態の光制御シート1は、第1のレンズ3上に第2のレンズ5を配置することで、配光が調整できる範囲を大きくすることが可能となる。さらに、上記パラメータθ1〜θ3、あるいはLとP1の比を調整することで、x方向に対する配光と、y方向に対する配光を調整することが可能となる。
【0091】
図21に示すヒップルーフ形状においても、θ90〜93、あるいはLとP1の比を調整することでx方向に対する配光と、y方向に対する配光を調整することが可能となるが、本実施形態と比較して、配光の調整範囲が小さい。
それは、LとP1の比を変更しても、台形形状の断面方向の集光能力を鋸歯形状の断面方向の集光能力よりも大きくすることができないためである。
台形形状の断面方向の集光能力が最も大きいのは、θ90、θ91を45度、L/P1を0%、すなわち四角錐形状した場合である。ここからL/P1を大きくすると台形形状の断面方向の集光能力は小さくなる。θ92、θ93の値を45度から変化することで、鋸歯形状の断面方向の集光能力を小さくして、相対的に台形形状の断面方向の集光能力を鋸歯形状の断面方向の集光能力よりも大きくすることは可能であるが、ヒップルーフ形状全体の集光能力が低下し、輝度が小さくなるため好ましくない。
【0092】
図7に光制御シート1の配光調整の分布のグラフを示す。図7においては、横軸がL/P1を、縦軸が半値角度を示している。
実施形態の光制御シート1については、θ1〜θ3を45度、P3/P1を1/6として、L/P1を0%から80%まで変化させたシミュレーション結果を丸点でプロットした。
また比較例として、ヒップルーフ形状で、θ90〜93を45度としてL/P1を0%から90%まで変化させたシミュレーション結果を×でプロットした。
なお、半値角度とは、観察者側Fから観察し正面方向(角度0)の輝度を基準として、角度を有して観察し輝度が基準の輝度の半分になった角度である。
【0093】
図7から、本実施形態の光制御シート1ではL/P1の調整により、L/P1が0%〜30%では第3の方向yの集光能力が相対的に大きく、L/P1が50%〜80%では第3の方向yの集光能力が相対的に大きく、L/P1が40%では、第1の方向x、第2の方向yの集光能力は同等となることがわかった。
一方、ヒップルーフは、L/P1が10%〜80%では鋸歯形状の断面方向の集光能力が相対的に大きく、L/P1が0%では、鋸歯形状の断面方向、台形状の断面方向の集光能力は同等となる。しかし、台形状の断面方向の集光能力は、鋸歯形状の断面方向の集光能力より大きくならないことがわかった。
したがって、本実施形態の光制御シート1は、配光が調整可能な範囲がヒップルーフ形状より大きいことが判明した。
【0094】
配光特性は、バックライトユニット13やディスプレイ装置27の設置場所、要求特性に応じて適宜設計してよく、θ1〜θ3、L/P1を任意の値にすることで配光の調整を行うことが可能となる。
【0095】
例えば、本実施形態のディスプレイ装置27をテレビ用途として使用する場合、ディスプレイ装置の水平方向の半値角が広いことが望ましい。テレビを観察する際、水平方向の様々な位置から観察者がテレビを観察するためである。しかしながら本実施形態のディスプレイ装置27を広告看板用途等として使用する場合、垂直方向の半値角度が広いことが望ましい場合が生じる。
【0096】
また、本実施形態の光制御シート1によれば、再帰反射率が高く、輝度を向上させることが可能となる。
図8に光制御シート1への入射角度毎の再帰反射率の分布のグラフを示す。図8においては、横軸が光の入射角度を示し、縦軸が再帰反射率を示している。
なお、光制御シート1については、θ1〜θ3を45度、P3/P1を1/6として、L/P1を10%(図8(a))とした場合と、L/P1を80%にした場合(図8(b))のシミュレーション結果を示している。
また、比較例として、ヒップルーフ形状で、θ90〜93を45度としてL/P1を10%(図8(a))とした場合と、L/P1を80%にした場合(図8(b))のシミュレーション結果を示した。
【0097】
図8(a)より、本実施形態の光制御シート1においては、光の入射角度が35度〜85度の範囲において、再帰反射率が同じL/P1であるヒップルーフ形状よりも大きくなっていることがわかる。
この理由を、図9(b)及び図9(c)を用いて説明する。
【0098】
図9は、従来のプリズム(図9(a))、ヒップルーフ形状(図9(b))、実施形態の光制御シート1(図12(c)〜(d))に光線が入射角度60度で入射した場合の光線の光路を示す図である。
【0099】
図9においては、入射角度60度で入射した場合の光線の一例として、光線K21、K31、K41、K51の光路を示す。光線K21、K31、K41、K51は、x方向では角度を有さず正面方向に略平行であり、y方向では正面方向に対して60度の角度を有して入射する光線である。
【0100】
図9(a)は、従来プリズムでの光線の光路を示した図である。
x方向では角度を有さず正面方向に略平行であり、y方向では正面方向に対して60度の角度を有して入射する光線K21は、入射面で屈折し光線K22となり、斜面87で反射され光線K23となる。光線K23は、光線K22が入射した斜面87と対向する斜面87に小さい入射角度で入射するため、斜面87で反射せずに透過し、光線K24となり出射する。
光線K24は、正面方向と大きな角度を有して出射されるため、正面方向の輝度向上に付与せず、光の利用効率の低下が発生する。
【0101】
図9(b)は、ヒップルーフ形状での光線の光路を示した図である。
x方向では角度を有さず正面方向に略平行であり、y方向では正面方向に対して60度の角度を有して入射する光線K31は、入射面で屈折し光線K32となり、斜面110bで反射され光線K33となる。
光線K33は、斜面110bと交差する斜面110cのにて反射し光線K34となり、光線K33が入射した斜面110cと対向する斜面110cにて反射し、背面側に偏向され入射面に入射する光線K35となる。
光線K35は、入射面に対して大きな入射角度を有するため、透過せずに反射し観察側Fに偏向され光線K36となる。光線K36は、光線K32が入射した斜面110bと対向する斜面110bに入射して屈折され、光線K37として観察者側に出射する。光線K37は、正面方向と大きな角度を有して出射されるため、正面方向の輝度向上に付与せず、光の利用効率の低下が発生する。
【0102】
図9(c)は、本実施形態の光制御シート1での光線の光路を示した図である。
x方向では角度を有さず正面方向に略平行であり、y方向では正面方向に対して60度の角度を有して入射する光線K41は、入射面で屈折し光線K42となり、第1の斜面3cで反射され光線K43となる。
光線K43は、第1のレンズ3を透過し、第2のレンズ5の第3の斜面5cにて反射し光線K44となり、光線K43が入射した第3の斜面5cと対向する第3の斜面5cにて反射し、背面側に偏向され光線K45となる。
【0103】
図9(b)のヒップルーフ形状での光線K35と異なり、光線K45は入射面に入射せず光線K42が入射した第1の斜面3cに対向する第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bに入射する(図中では、第1の斜面3cに入射している)
これは、第2レンズ5に入射するまでに背面側に偏向する確率が低く、第2レンズ5にて背面側に偏向する確率が高いからである。そのため、光線K43のy方向に対する移動距離が、光線K33と比較して大きくなり、結果として、光線K42が入射した第1の斜面3cに対向する第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bの近くにて、光線K44が背面側に偏向されるため、光線K45は、光線K42が入射した第1の斜面3cに対向する第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bに入射する確率が高くなる。
光線K45は、第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bにて反射し、入射面への入射角度が光線K45より小さくなった光線K46となる。光線K46は、入射面に対する入射角度が小さいため、反射せずに透過する確率が高く、屈折して光線K47となり再帰反射光となる。
【0104】
上述のように、x方向の断面状で光線K43を背面側に偏向する斜面を有していない第1のレンズ3の上に、x方向の断面状で光線K43を背面側に偏向する第3の斜面5cを有する第2のレンズ5を設けることで、光線K43のy方向に対する移動距離を大きくさせ、背面側に偏向された光線K45を第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bにてさらに反射し、入射面への入射角度を小さくすることが可能となる。
結果として、図8(a)に示すように入射角度35度〜85度の範囲の再帰反射率が大きくなり、光制御シート1全体の再帰反射率が大きくなる。その結果、光の利用効率が向上し、輝度が向上する。
【0105】
ところが、図8(b)においてL/P1を80%にした場合では、入射角度35度〜85度の範囲の再帰反射率が小さくなり、結果としてL/P1が同じヒップルーフ形状よりも再帰反射率が小さくなる。
【0106】
この理由を、図9(d)を用いて説明する。図9(d)に示す光制御シート1は、図9(c)に示す光制御シート1と比較して第1レンズの高さが小さく、P2が大きくなっている。
x方向では角度を有さず正面方向に略平行であり、y方向では正面方向に対して60度の角度を有して入射する光線K51は、入射面で屈折し光線K52となり、第1の斜面3cで反射し光線K53となる。
図9において、光線K53は、第1のレンズ3を透過し、第2のレンズ5の第3の斜面5cにて反射し光線K54となり、光線K53が入射した第3の斜面5cと対向する第3の斜面5cにて反射し、背面側に偏向され光線K55となる。
【0107】
この光線K55は、図9(c)の光線K45と異なり、光線K55は光線K52が入射した第1の斜面3cに対向する第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bに入射せずに入射面に入射する。これは、図9(c)と異なり、光線K53が、短い距離で第2レンズ5に入射するため、光線53のy方向に対する移動距離が小さい状態で背面側に偏向する確率が高くなるからである。
結果として、光線K52が入射した第1の斜面3cに対向する第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bの遠くで、光線K54が背面側に偏向されるため、光線K55は、光線K52が入射した第1の斜面3cに対向する第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bに入射せずに入射面に入射する確率が高くなる。
【0108】
第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bにて入射せずに反射しない場合、光線K55の入射面への入射角度が光線K45より大きく入射するため、入射面で反射し、観察者側Fに偏向された光線K56となる。光線K56は、光線K52が入射した第1の斜面3cに対向する第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bに入射する。光線K56は、第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bに小さい入射角度で入射するので、反射せず屈折して透過し光線K57となる。光線K57は、正面方向と大きな角度を有して出射するため、正面方向の輝度向上に付与せず、光の利用効率の低下が発生する。
【0109】
上述のように、第1のレンズ3の高さが充分に高くない場合、光線K53がy方向に対する移動距離が不十分であるため、光線K55が光線K52が入射した第1の斜面3cに対向する第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bに入射せず、結果として、光線K55が入射面に大きい入射角度で入射して反射するため、再帰反射光とならない。
そのため、図11(b)に示すように、入射角度35度〜85度の範囲の再帰反射率が小さくなり、光制御シート全体の再帰反射率が小さくなる。その結果、光の利用効率が低下し、輝度が減少する。
【0110】
図10、図11及び表1は、光制御シート1において、θ1〜θ3を45度として、P3/P1を1/3〜1/20、L/P1を0%〜90%の範囲でのシミュレーション結果である。
【0111】
【表1】
【0112】
図10において、鎖線は1方向にのみ集光作用を有する従来プリズムの再帰反射率を示しており、一点鎖線は四角錐形状のプリズムの再帰反射率を示している。また×のプロットは、ヒップルーフ形状の再帰反射率を示している。菱形のプロットは本実施形態の光制御シート1のP3/P1が1/3の再帰反射率であり、丸形のプロットは本実施形態の光制御シート1のP3/P1が1/6の再帰反射率であり、三角形のプロットは本実施形態の光制御シート1のP3/P1が1/10の再帰反射率であり、四角形のプロットは本実施形態の光制御シート1のP3/P1が1/20の再帰反射率である。
【0113】
図10における光制御シート1のプロットにおいて、プロット点が白抜き表示されているものはP2/P1が0%以上50%以下であり、プロット点が相対的に大きく表示されているものはP2/P1が80%を超えているものである。
【0114】
図11において、鎖線は1方向にのみ集光作用を有する従来プリズムの再帰反射率を示しており、一点鎖線は四角錐形状のプリズムの再帰反射率を示している。菱形のプロットは本実施形態の光制御シート1のP3/P1が1/3の再帰反射率であり、丸形のプロットは本実施形態の光制御シート1のP3/P1が1/6の再帰反射率であり、三角形のプロットは本実施形態の光制御シート1のP3/P1が1/10の再帰反射率であり、四角形のプロットは本実施形態の光制御シート1のP3/P1が1/20の再帰反射率である。
【0115】
図10及び図11で示すように、本実施形態の光制御シート1においてはP2/P1、及びL/P1の値によらず、四角錐形状の再帰反射率を上回っている。
即ち、本実施形態の光制御シート1の構成を用いることで、2方向の配光調整が可能であり、四角錐より再帰反射率が高く、結果として光の利用効率が大きい光制御シートを提供することが可能となる。
【0116】
また、図10に示すように、本実施形態の光制御シート1は、ヒップルーフ形状と比較すると、L/P1が同じ場合では、P2/P1が0%以上80%以下で再帰反射率が同等以上となる。
即ち、実施形態の光制御シート1の構成で、P2/P1が0%以上80%以下とすることで、2方向の配光調整が可能であり、かつヒップルーフ形状と比較して再帰反射率が同等以上で、結果として光の利用効率がヒップルーフ形状と同等以上の光制御シートを提供することが可能となる。
【0117】
さらに、図10及び図11に示すように、本実施形態の光制御シート1は、1方向にのみ集光作用を有する従来プリズムと比較すると、P2/P1が0%以上50%以下で再帰反射率が同等以上となる。
即ち、本実施形態の光制御シートの構成で、P2/P1が0%以上50%以下とすることで、2方向の配光調整が可能であり、かつ1方向にのみ集光作用を有する従来プリズムと比較して再帰反射率が同等以上で、結果として光の利用効率が従来プリズムと同等以上の光制御シートを提供することが可能となる。
【0118】
ここで、本実施形態の光制御シート1においては、高輝度なディスプレイ装置27を得るための上記傾斜角度θ1〜θ3は35度〜55度の範囲に設定されていることが好ましく、特に、40度〜50度の範囲に設定されていることがより好ましい。
上記の範囲にすることで、充分な再帰反射率を得ることが可能となり、結果として、光の利用効率の高い光制御シートを得ることが可能となる。
【0119】
また図6(b)に示されるように、第1の方向xと第2の方向とがなす角は略90度であることが望ましい。即ち、第2の方向が第3の方向と一致してともにy方向に沿った方向とされていることが望ましい。これにより、観察者側Fからディスプレイ装置27を平面視したとき、水平方向と垂直方向とに集光効果が得られるため、光の利用効率が大きくなる。
【0120】
さらに、本実施形態の光制御シート1においては、図12に示すように、第1の傾斜角度θ1と、第2の傾斜角度θ2が同一に設定されていることが好ましい。
これにより、第1のレンズ3と第2のレンズ5との第3の方向yに対する集光能力、再帰反射能力を一致させることが可能となるため、光制御シート1全体の光の利用効率を向上させることができる。
【0121】
ここまで、第1のレンズ3の断面、即ち第1の断面形状3dが等脚台形状であり、第2のレンズ5の断面が三角形状である場合について説明してきたが、第1のレンズ3のレンズ形状と第2のレンズ5とのレンズ形状は任意に選択することが可能である。
例えば、第1のレンズ3及び第2のレンズ5の形状として凸レンチキュラー形状を挙げることができる。凸レンチキュラーは、一方向にのみ形成された場合、視野範囲の広いディスプレイ装置27が得られるが、一方で観察者側Fへの集光効果は弱いため高輝度が得難いという欠点がある。この点、凸レンチキュラーの頂部に第2のレンズとして凸レンチキュラーを形成することにより、第1の方向xと第3の方向yとの2方向の集光効果が得られるため、視野範囲が広く且つ高輝度なディスプレイ装置27を得ることができる。
【0122】
光制御シート1の製法としては、図13に示されるような光制御シート1を作製する型7を用意し、該型の逆版をおこして型とすることで、本実施形態の光制御シート1を作製することが可能である。図13中の第1凸部7aにより第1のレンズ3が形成され、第2凸部7bにより第2のレンズ5が形成される。
【0123】
上述のようなレンズ形状は、透光性基材6上にUVや放射線硬化樹脂を用いて成形されてもよいし、、または、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、PAN(ポリアクリロニトリル共重合体)、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体)等を用いて、当該技術分野では良く知られている押し出し成形法、射出成型法、あるいは熱プレス成型法によって成形されてもよい。
【0124】
本実施形態の光制御シート1は、第1の断面3dを延在させた形状である第1のレンズ3上に、第2のレンズ5を形成することで、上述の型と樹脂を用いた製造方法の歩留まりを向上する効果を得ることができる。
【0125】
即ち、図21に示す四角錐型のプリズム形状や、図22示すヒップルーフ形状では、形状を形成する際の歩留まりが低いという課題があった。
これは、独立した構造を格子目上に配列するため、押出し成形法や、UV成形法、射出成形のように、型7と樹脂を圧着して硬化して形成する製造方法では、樹脂に気泡9が混入した際に、気泡9が独立した構造内に閉じ込められ逃げ場がないため、型9と基材の間に残留し、プリズムシート110内部に、気泡が形成されてしまうことに起因する(図14(b))。気泡が形成されると、気泡とプリズムシートとの間に大きな屈折率差が発生し、気泡のある領域と気泡がない領域で異なる配光特性が生じる。そのため、ディスプレイ装置に設置した場合、気泡のある領域が観察者に目視され、画面上の欠陥として視認される課題が生じる。
【0126】
この点、本実施形態の光制御シート1においては、図14(a)に示すように、樹脂と型の間に気泡が発生すると、気泡9は第2のレンズ5内に閉じ込められずに、第1のレンズ3内に移動する。第1のレンズ3は延在された形状であるため、気泡9は閉じ込められることがない。したがって、光制御シート1内部に気泡が形成することを防ぐことが可能となる。
結果として、2方向に集光効果を有する光制御シート1の製造において歩留まりを向上することが可能となる。
【0127】
上述の気泡の発生を防止する方法は、特に押出成形法や、UV成形法などの「R to R法」に用いられるシリンダー形状の型に、シート状の樹脂を圧着して成形する方法に有効である。この「R to R」法に用いられるシリンダー形状の型では、型と樹脂を短時間で圧着するため、型と樹脂との間にある気泡を除去するための脱泡処理を施す時間がない。
そのため、本実施形態の光制御シート1の形状を採用することで、「R to R法」に用いられるシリンダー形状の型での製造方法において、気泡が混入することなく、効率的に製造できるため好ましい。
【0128】
さらに、PETなどの透過基材上に樹脂を塗布して、樹脂と型を圧着して効果させるUV成形法などの製法の場合、気泡は透過基材内に移動できないため、図21に示す四角錐型のプリズム形状や、図22に示すヒップルーフ形状では気泡9が独立した構造内に閉じ込められる確率がより大きくなる。そのため、本実施形態の形状を採用することによる歩留まりの向上、相対的に大きくなり好ましい。UV成形法は、押出し成形法と比較して、成形の精度が高いので、本実施形態を用いることで、形状の精度が高く、歩留まりの高い光制御シート1の製造が可能となる。
【0129】
また、本実施形態の光制御シート1においては、各P1同士及び各P3同士がそれぞれ略等しく設定されていることが望ましい。
なお、P1あるいは、P3を不均一にしてもよい。不均一にすることで、表示部21の周期構造と、光制御シート1の構造とのモアレ干渉縞の発生をより低減することが可能である。
しかし、各P1同士及び各P3同士を略等しく設定して上述のモアレ干渉縞が発生しない場合、P1及びP3を不均一にすることは好ましくない。その理由は、P1及びP3を不均一にした場合、光制御シート1にスジムラが発生し、ディスプレイ装置27に使用する場合、観察者側Fから観察され問題が生じる可能性があるためである。
【0130】
本実施形態の光制御シート1においては、第1の方向x又は第3の方向yを、ディスプレイ装置27の水平方向、あるいは垂直方向に対して0度〜45度の角度を有して設置してもよく、特に当該角度を3度〜20度の範囲に設定することが好ましい。
上述の角度を有して設置することで、表示部21の周期構造と、光制御シート1のレンズ形状とのモアレ干渉縞の発生をより低減することが可能である。
しかし、第1の方向x又は第3の方向yを、ディスプレイ装置27の水平方向、あるいは垂直方向に対して略一致した状態で、上述のモアレ干渉縞が発生しない場合、角度を有して光制御シート1を設置することは好ましくない。角度を有して光制御シート1を設置した場合、例えばディスプレイ装置27をテレビ用途として使用する際に、Ho方向の視野角を最大にすることができないため、視野角が不足する問題が生じるため望ましくない。
【0131】
また本実施形態の光制御シート1においては、ディスプレイ装置27の水平方向に対して、第1の方向xを略平行にしてもよく、あるいは第3の方向yを略平行にしてもよい。同様に、ディスプレイ装置27の垂直方向に対して、第1の方向xを略平行にしてもよく、あるいは第3の方向yを略平行にしてもよい。
ディスプレイ装置27の水平方向、垂直方向に対して、第1の方向x、あるいは第3の方向yのどちらを略平行に設置するかは、ディスプレイ装置27に要求される配光分布にあわせて設置すればよい。
例えば、本発明のディスプレイ装置27をテレビ用途として使用する場合、ディスプレイ装置の水平方向の半値角が広いことが望ましい。テレビを観察する際、水平方向の様々な位置から観察者がテレビを観察するためである。しかしながら本発明のディスプレイ装置27を広告看板用途等として使用する場合、垂直方向の半値角度が広いことが望ましい場合が生じる。
【0132】
また ディスプレイ装置27の水平方向、垂直方向に対して、第1の方向x、あるいは第3の方向yのどちらを略平行に設置するかは、表示部21の周期構造にあわせて設置してもよい。
カラー表示を行うディスプレイ装置の場合は、表示部21の画素は、1画素を3色(赤、緑、青)あるいは5色(赤、緑、青、シアン、黄色)に分割する。そのため表示部21の周期構造は、周期構造のピッチが小さい方向と、その直交する方向に周期構造のピッチが大きい方向とが存在する。
光制御シート1のレンズ形状と、表示部21の周期構造とのモアレ干渉縞の発生を低減するには、光制御シート1のレンズ形状のP1、あるいはP3の値が小さい方向と、表示部21の周期構造のピッチが小さい方向とを略平行することが好ましい。
すなわちP1が小さい場合は第3の方向yを、P3が小さい場合は第1の方向xを表示部21の周期構造のピッチが小さい方向を略平行とすることが好ましい。
特に、P3をP1よりも小さくすると、P2/P1の範囲を広くとることが可能となるため、P3をP1より小さくし、第1の方向xを表示部21の周期構造のピッチが小さい方向を略平行とすることが好ましい。
【0133】
さらに、光制御シート1においては、P1の値が30μm以上200μm以下の範囲に設定されていることが好ましく、特に50μm以上150μm以下がより好ましい。P1が200μmを超えた場合、表示部21の周期構造と、光制御シート1の第1のレンズ3とのモアレ干渉縞が発生するため好ましくない。ピッチP1が30μm未満の場合、光制御シート1の製造する際に使用する型の製造において、ピッチP1が小さくなるにつれて製造時間がより必要になり、かつ、傷による形状変化の影響が大きくなるので、製造効率が下がってしまい、コストアップの要因となってしまうので好ましくない。
【0134】
本実施形態の光制御シート1においては、P3の値が10μm以上200μm以下の範囲に設定されていることが好ましく、特に15μm以上150μm以下がより好ましい。P3が200μmを超えた場合、表示部21の周期構造と、第2のレンズ5とのモアレ干渉縞が発生するため、望ましくない。P3が10μm未満の場合、光制御シート1の製造する際に使用する型の製造において、P3が小さくなるにつれて製造時間がより必要になり、かつキズによる形状変化の影響が大きくなるので、製造効率が下がってしまい、コストアップの要因となってしまうので好ましくない。
【0135】
光制御シート1の厚みに関しては光学特性への影響よりはむしろ製造プロセスあるいは要求される光制御シート1の物理特性等により決定される。例えば、UV成形により光制御構造を形成した場合、その光透過基材6の厚さは、50um以下だとシワが出てしまうので、50μmを超える必要がある。さらにまた使用するバックライト・ユニットやディスプレイ装置のサイズによりその基材厚みは変化する。例えば、対角37インチサイズ以上のディスプレイ装置27においては光透過基材6の厚さは0.05mmから3mmの範囲に設定することが好ましい。
【0136】
上記のような光制御シート1から出射された光は、表示部21に入射する。表示部21から観察者側Fに向けて画像信号によって表示制御された表示光を出射することで、平面状の画像を表示する。
【0137】
表示部21は、2枚の偏光板(偏光フィルム)31、33と、その間に狭持された液晶パネル32とからなる。液晶パネル32は、たとえば、2枚のガラス基板の間に液晶層が充填されて構成されている。
バックライトユニット13から出射された光は、偏光板33を介して液晶部32に入射され、偏光板31を介して観察者側Fに出射される。
【0138】
表示部21は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する素子であることが好ましい。画素単位で光を透過/遮光して画像を表示するものであれば、光制御シート1により、観察者側Fへの輝度が向上されるとともに光強度の視角度依存性が低減され、さらに、ランプイメージが低減された光を有効に利用して、画像品位の高い画像を表示させることができる。
【0139】
また、表示部21は、液晶表示素子であることが好ましい。液晶表示素子は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する代表的な素子であり、他の表示素子に比べて、画像品位を高くすることができるとともに、製造コストを低減することができる。
【0140】
なお、ディスプレイ装置27は、上記のような表示部21を備える液晶表示装置としているが、少なくともバックライトユニット13を含んだ構成であれば、投射スクリーン装置、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等のように、バックライトユニット13からの光を表示光として画像表示を行う画像表示部の種類は問わない。
【0141】
なお、本実施形態においては、ディスプレイ装置27に、拡散フィルム、プリズムシート、偏光分離反射シートなどを配置してもよい。これによって、画像品位をより向上させることができる。
【0142】
本実施形態でのディスプレイ装置27は、上述の光制御シート1により集光・拡散特性を向上させた光を利用する構成なので、観察者側Fの輝度を向上させ、光強度の視角方向の分布を滑らかにするとともに、ランプイメージを低減した画像を表示部21に表示することができる。
【0143】
また、ディスプレイ装置27においては、画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定する表示部21で、先に記載のバックライトユニット13により集光・拡散特性を向上させた光を利用する構成なので、観察者側Fの輝度を向上させ、光強度の視角方向の分布を滑らかにするとともに、ランプイメージを低減した画像を得ることが可能となる。
【0144】
さらに、ディスプレイ装置27においては、表示部21が液晶表示素子であり、バックライトユニット13により集光・拡散特性を向上させた光を利用する構成なので、観察者側Fの輝度を向上させ、光強度の視角方向の分布を滑らかにするとともに、ランプイメージを低減した画像を得ることができる。
【0145】
以上、本実施形態での実施形態について詳細に説明したが、本実施形態の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく多少の設計変更等も可能である
【実施例】
【0146】
(実施例1)
ポリカーボネイト(屈折率1.585)を用いて光透過基材6の厚みを250umとして光制御シート1を押出成形法により作製した。第1のレンズ3の第1の断面形状3dを台形状、第2のレンズ5の底面を長方形、第1の傾斜角度θ1を45度、第2の傾斜角度θ2を45度、第3の傾斜角度θ3を45度、P1を100μm、P2を83.3μm、P3を33.3μm、Lを50μmとして、P2/P1を83.3%、L/P1を50%とした。
【0147】
(実施例2)
ポリカーボネイト(屈折率1.585)を用いて光透過基材6の厚みを250umとして光制御シート1を押出成形法により作製した。第1のレンズ3の第1の断面形状3dを台形状、第2のレンズ5の底面を長方形、第1の傾斜角度θ1を45度、第2の傾斜角度θ2を45度、第3の傾斜角度θ3を45度、P1を100μm、P2を70μm、P3を20μm、Lを50μmとして、P2/P1を70%、L/P1を50%とした。
【0148】
(実施例3)
ポリカーボネイト(屈折率1.585)を用いて光透過基材6の厚みを250umとして光制御シート1を押出成形法により作製した。第1のレンズ3の第1の断面形状3dを台形状、第2のレンズ5の底面を長方形、第1の傾斜角度θ1を45度、第2の傾斜角度θ2を45度、第3の傾斜角度θ3を45度、P1を100μm、P2を40μm、P3を20μm、Lを20μmとして、P2/P1を40%、L/P1を20%とした。
【0149】
(実施例4)
実施例3と同じ型を使用して、屈折率1・585のUV硬化型樹脂を用いて光制御シート1をUV成形法により作成した。
【0150】
(比較例1)
ポリカーボネイト(屈折率1.585)を用いて基材の厚みを250μmとして、頂角が90度、傾斜角度45度、ピッチが50μmの三角プリズム形状の光制御シートを押出成形法により作製した。
【0151】
(比較例2)
ポリカーボネイト(屈折率1.585)を用いて基材の厚みを250μmとして、頂角が90度、傾斜角度45度、ピッチが50μmの底面が正方形の四角錐形状の光制御シートを押出成形法により作製した。
【0152】
(比較例3)
ポリカーボネイト(屈折率1.585)を用いて基材の厚みを250μmとして、傾斜角度が45度、台形形状のピッチが100μm、鋸歯形状のピッチが50μm、Lが50μmとして、L/P1が50%のヒップルーフ形状の光制御シートを押出成形法により作製した。
【0153】
実施例1〜4、比較例1〜3で作製した光制御シート1と、をバックライト13に配置し、その輝度を測定した。バックライト13の構成は、反射板43の観察者側Fに光源41としてCCFLを配置し、その上(観察者側F)に拡散板25、光制御シート1を順に配置して構成した。
また、光制御シート1に気泡が形成されているかを目視評価にて確認した。その測定結果を表2に示す。輝度の値は、比較例2を基準として相対値である。
【0154】
【表2】
【0155】
表2より、実施例1〜4と比較例2〜3を比較すると、実施例においては、気泡の発生がなく、光制御シート1が作成できたことがわかった。
【0156】
実施例1〜4と、比較例2とを比較すると、実施形態に対応する実施例1〜4の光制御シート1を採用することで、四角錐形状のレンズ形状をなす光制御シートよりも輝度が上昇することが確認された。
【0157】
実施例1〜2と、比較例3とを比較すると、実施例においては、0<P2/P1≦0.8を満たすことにより、同じL/P1のヒップルーフ形状のレンズ形状をなす光制御シートより、輝度が上昇することが確認された。
【0158】
実施例2〜3と、比較例1とを比較すると、実施例においては、0<P2/P1≦0.5を満たすことにより、1方向のみ集光機能を有する従来プリズムの形状の光制御シートより、輝度が上昇することが確認された。。
また、UV成形法を採用することで、レンズ形状の精度が向上し、輝度が上昇することが確認された。
【符号の説明】
【0159】
1 光制御シート
2 第1の基準面
3 第1のレンズ
3a 下底面
3b 上底面
3c 第1の斜面
3d 第1の断面形状
4 第2の基準面
5 第2のレンズ
5a 底面
5b 第2の斜面
5c 第3の斜面
13 バックライトユニット
25 拡散板
27 ディスプレイ装置
53a プリズム
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射する光の光学特性を変化して出射する光制御シート、及び、該光制御シートを備えたバックライトユニット、ディスプレイ装置、光制御シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT型液晶パネルやSTN型液晶パネルを使用したディスプレイ装置は、例えば、OA分野でカラーノートPC(パーソナルコンピュータ)を中心に商品化されている。
このようなディスプレイ装置においては、液晶パネルの背面側に光源を配置し、この光源からの光で液晶パネルを照明する、いわゆるバックライト方式が採用されている。
【0003】
この種のバックライト方式に採用されているバックライトユニットを大別すると、冷陰極管(CCFL)などの光源ランプを光透過性に優れたアクリル樹脂などからなる平板状の導光板内で多重反射させる「導光板ライトガイド方式」(いわゆるエッジライト方式)と、導光板を用いない「直下型方式」とがある。
【0004】
導光板ライトガイド方式のバックライトユニットが搭載されたディスプレイ装置としては、例えば図15に示すものが一般に知られている。
このディスプレイ装置は、偏光板71、73に挟まれた液晶パネル72を備え、その背面側に略長方形板状のPMMA(ポリメチルメタクリレート)やアクリルなどの透明な基材からなる導光板79が設置されており、該導光板79の上面(光出射側)と背面側の偏光板73との間に拡散フィルム(拡散層)78が設けられている。
【0005】
この導光板79の背面側には、導光板79に導入された光を液晶パネル72方向に均一となるように散乱して反射させるための散乱反射パターン部(図示省略)が印刷されることによって設けられており、該散乱反射パターン部のさらに背面側には、反射フィルム(反射層)77が設けられている。また、導光板79の一側端部には、光源ランプ76が取り付けられており、さらに、該光源ランプ76の光を効率よく導光板79中に入射させるために光源ランプ76の背面側を覆うようにして高反射率のランプリフレクター81が設けられている。なお、上記散乱反射パターン部は、白色の二酸化チタン(TiO2)粉末を透明な接着剤などに混合した混合物を、所定パターンたとえばドットパターンにて印刷し乾燥、形成したものであり、導光板79内に入射した光に指向性を付与し、光出射面側へと導くようになっており、これによって高輝度化が図られている。
【0006】
また、最近では、図16に示すように、光利用効率を向上させて高輝度化を図るために、拡散フィルム78と液晶パネル72との間に、光集光機能を備えたプリズムフィルム(プリズム層)74、75を設けることが提案されている。このプリズムフィルム74,75は導光板79の光出射面から出射され、拡散フィルム78で拡散された光を、高効率で液晶パネル72の有効表示エリアに集光させるものである。
【0007】
一方、直下型方式のバックライトユニットは、導光板の利用が困難な大型の液晶TVなどの表示装置が用いられており、このバックライトユニットを用いた一例として、例えば図17に示すようなディスプレイ装置が一般的に知られている。
このディスプレイ装置においては、偏光板71、73に挟まれた液晶パネル72が設けられるとともに、その背面側に蛍光管などからなる光源51が設けられている。そして、光源51から出射された光が、拡散フィルム82で拡散させられ、高効率で液晶パネル72の有効表示エリアに集光させられるようになっている。また、光源51からの光を効率よく照明光として利用するために、光源51の背面にはリフレクター52が配置されている。
【0008】
また、このような直下型方式のバックライトユニットにおいては、正面輝度を増大させるために、図18に示すように拡散フィルム85上に輝度強調フィルム86(Brightness Enhancement Film:BEF、米国3M社の登録商標)を配置し、図19に示すように、その上に拡散フィルム82を配置したものも知られている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0009】
BEFは、透明部材上に断面三角形状の単位プリズムが一方向に周期的に配列されたフィルムであって、この単位プリズムとしては光の波長に比較してサイズ(ピッチ)が大きいものが採用されている。このBEFは、“軸外(off−axis)”からの光を集光し、この光を観察者に向けて“軸上(on−axis)”に方向転換(redirect)または“リサイクル(recycle)”する。「軸上」とは、観察者の視覚方向に一致する方向であり、一般的にはディスプレイ画面に対する法線方向側である。BEFは、このように軸外輝度を低下させることによって軸上輝度を増大させるようになっている。
【0010】
このようなBEFを単独で用いた場合、単位プリズムの反復的アレイ構造は1方向のみに並列された状態となるため、その並列方向での方向転換またはリサイクルのみが可能となる。よって、水平及び垂直方向での表示光の輝度制御を行なうために、一般的には、2枚のシートを組み合わせ、単位プリズム群の並列方向が互いに略直交するように重ねて用いられる。
【0011】
以上のようなBEFを輝度制御部材として用いた光制御シートでは、光源からの光が屈折して、制御された角度で出射されることによって、観察者の視覚方向の光の強度を高めるように制御することができ、これをバックライトユニットに採用したことによって、電力消費を低減しながら所望の軸上輝度の達成を可能としている。
【0012】
しかしながら、図15に示したディスプレイ装置においては、視野角の制御が拡散フィルム78の拡散性のみに依存するため、その制御は難しく、ディスプレイの正面方向の中心部は明るく、周辺部に行くほど暗くなるという現象が避けられない。そのため、液晶画面を横から見たときの輝度の低下が大きく、光の利用効率の低下を招くという問題があった。
【0013】
一方、上記のようなBEFを用いた場合であっても、観察者の視覚方向に進むことなく横方向に無駄に出射する想定外の光線が存在する。光強度分布は、理想的には、図20の実線Aのように±90°近辺での光強度ピークのない滑らかな凸型形状となるのが好ましいものの、このBEFを用いた光制御シートから出射される光強度分布は、図20の破線Bに示すように、正面より±90°近辺に小さな光強度ピークが認められる。これは、横方向から無駄に出射される光(サイドローブ)が増加していることを示しており、光制御シートの特性上好ましくない。
【0014】
また、図16に例示したプリズムフィルムを用いる装置では、プリズムフィルムが2枚必要であるため、フィルムの吸収による光量の低下が大きいだけでなく、部材の増加により生産コストが上昇する原因にもなっていた。
【0015】
ここで、プリズムフィルムを2枚使用しない方法として、図21に示すような四角錐型のプリズム形状を配列したり、図22に示すように、ある方向の断面が鋸歯状で、ある方向に直交する方向の断面が台形上のプリズムを格子目に配列したりする方法(以下、ヒップルーフ形状とする)が提案されている(特許文献4参照)。
【0016】
しかしながら、図21に示す四角錐型のプリズム形状では、2方向の配光分布を調節するには、傾斜角θ80〜θ83を変える必要がある。最も輝度が高くなる構成は傾斜角θ80〜θ83が45度の四角錐だが、どちらか一方向の視野範囲を拡げたい、又は狭めたいといった場合、傾斜角θ80〜θ83の少なくとも1つを大きくする、又は小さくする必要がある。しかしながら傾斜角θ80〜θ83を45度から変えてしまうと輝度が低下してしまうという問題が生じる。
【0017】
図22に示すヒップルーフ形状を採用した場合、傾斜角θ90〜93を変更せずにプリズム頂部の長さLを変更することで二方向の配光分布を調整することは可能である。しかし、最も輝度が高くなるのは、プリズム頂部の長さが無限大である状態が最も輝度が高い。すなわち、BEFのような形状が、最も輝度が高くなる。これはBEFのような形状が、背面側から入射した光をプリズム構造で、反射し、再度背面側に反射させる効率(以下、再帰反射率とする)が優れているためである。
【0018】
プリズム構造で、再帰反射された光は、バックライトユニットの背面側にある光反射板によって反射され、再度プリズム構造に入射され、観察者側に集光されたり、背面側に再帰反射されたりする。
再帰反射した光が、バックライトユニットの背面側にある光反射板によって反射され、再度プリズム構造に入射する確率は、90%〜95%と高く、再帰反射光の利用効率は、非常に大きい。
そのため、プリズムから観察者側に出射した光で、正面方向に偏向されない場合は無駄な光となり、むしろ再帰反射光として背面側に戻した方が光の利用効率は向上する。
そのため、再帰反射率の大きいプリズム、あるいはレンズ形状を用いることで、観察者側の輝度が大きくなる。
【0019】
図23を参照して、ヒップルーフ形状の再帰反射率が小さい理由を説明する。
図23(a)(b)は、BEFでの光が再帰反射する様子を表した光線図である。図23(a)はプリズム方向の断面図であり、図23(b)はストライプ方向の断面図である。
図23(c)(d)が、ヒップルーフ形状での光が再帰反射する様子を表した光線図である。図23(c)は鋸歯形状の断面図であり、図23(d)は台形の断面図である。
【0020】
BEFの場合、例えば光線K1のように、プリズム方向の断面図では正面方向に略平行であり、ストライプ方向の断面図では、正面方向に対して角度を有して入射した場合、まず入射面で屈折し光線K2となる。
次に、光線K2はプリズム面87に入射し、反射し光線K3となり、さらに対向するプリズム面87に入射して反射し光線K4となり、背面側に偏向され光線K4となり、そして入射面から屈折して出射し光線K5となる。
【0021】
ヒップルーフ形状の場合、光線K1と同様に鋸歯形状の断面図では正面方向に略平行であり、台形の断面図では、正面方向に対して角度を有して入射した光線K11、まず入射面で屈折し光線K12となる。
光線K12は、ヒップルーフの鋸歯形状の斜面110cに入射して反射し光線K13となり、光線K12が入射した斜面110cに対向する斜面110cに入射せずに、台形形状の斜面110dに入射する。そして、光線K13は、斜面110dで反射し、背面側に偏向され光線K14となるが、光線K4と異なり入射面への入射角度が大きくなるため、入射面で反射して光線K15となる。
【0022】
光線K14の入射面に対する入射角が大きくなる理由は、光線K13を背面側に偏向する斜面が、光線K12を反射した斜面110cに対向している斜面110cではなく、斜面110cと交差している斜面110dによって、光線K13を背面側に偏向するためである。
そして、光線K15は、再度斜面110dに入射し、屈折して光線K16として出射する。
このため、ヒップルーフ形状では、BEFと比較して、再帰反射率が小さくなってしまうので、結果として輝度も低下する問題が生じてしまう。
【0023】
さらに、図21に示す四角錐型のプリズム形状や図21に示すヒップルーフ形状では、形状を形成する際の歩留まりが低いという課題があった。
これは、独立した構造を格子目上に配列するため、押出し成形法や、UV成形法、射出成形のように、型と樹脂を圧着して硬化して形成する製造方法では、樹脂に気体が混入した際に、気体が独立した構造内に閉じ込められ逃げ場がないため、型と基材の間に残留し、プリズムシート内部に、気泡が形成されてしまう(図13(b))。気泡が形成されると、気泡とプリズムシートとの間に大きな屈折率差が発生し、気泡のある領域と気泡がない領域で異なる配光特性が生じる。そのため、ディスプレイ装置に設置した場合、気泡のある領域が観察者に目視され、画面上の欠陥として視認される課題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特公平1−37801号公報
【特許文献2】特開平6−102506号公報
【特許文献3】特表平10−506500号公報
【特許文献4】特開平6−308485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、1枚の光制御シートにて2方向の配光調整を可能とすることで部品点数を少なくして、かつ光の利用効率及び輝度を高くすることができるとともに、配光分布の調整が用意で、かつ製造方法が容易な光制御シートを提供することを目的とする。
また、1枚の光制御シートにて2方向の配光調整を可能とすることで部品点数を少なくして、かつ光の利用効率及び輝度を高くすることができるとともに、配光分布の調整が用意で、かつ製造方法が容易なバックライトユニット、及びディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係る光学シートは、光源から出射される光の光路を制御して出射する光制御シートであって、第1の基準面上に位置する下底面と、前記第1の基準面と略平行な第2の基準面上に位置する上底面と、これら下底面及び上底面にそれぞれ接続された互いに対向する一対の第1の斜面とを備え、略台形状をなす第1の断面形状を第1の方向に延在させてなる第1のレンズを有し、前記第2の基準面上に位置し略多角形状をなす底面と、前記第1の方向に平行な底辺を有して互いに対向して傾斜する一対の第2の斜面と、前記第1の方向に交差する第2の方向に平行な底辺を有して互いに対向して傾斜する一対の第3の斜面と、前記第2の斜面と前記第3の斜面とに接続された頂部とを少なくとも有する第2のレンズを備え、複数の該第2のレンズが前記第1のレンズの上底面に隙間なく並設されていることを特徴とする。
【0027】
本発明に係る光学シートは、前記下底面の前記第1の方向と直交する第3の方向の距離をP1、前記上底面の前記第3の方向の距離をP2とした際に、0<P2/P1≦0.8の関係が成立することを特徴とする。
【0028】
本発明に係る光学シートは、前記下底面の前記第1の方向と直交する第3の方向の距離をP1、前記上底面の前記第3の方向の距離をP2とした際に、0<P2/P1≦0.5の関係が成立することが好ましい。
【0029】
本発明に係る光学シートは、前記第1の方向と前記第2の方向とが略直交し、前記第2の方向と前記第3の方向とが略一致することが好ましい。
【0030】
本発明に係る光学シートは、前記第1の斜面と前記第2の基準面とがなす第1の傾斜角度と、前記第2の斜面と前記第2の基準面とがなす第2の傾斜角度とが略同一であることを特徴とする。
【0031】
本発明に係る光学シートにおいては、前記第1の傾斜角度が、35〜55°の範囲に設定されていることが好ましい。
【0032】
本発明に係る光学シートにおいては、前記第2の傾斜角度が、35〜55°の範囲に設定されていることが好ましい。
【0033】
本発明に係る光学シートにおいては、前記第3の斜面と前記第2の基準面とがなす第3の傾斜角度が、35〜55°の範囲に設定されていることが好ましい。
【0034】
本発明に係るバックライトユニットは、上記光制御シートと、該光制御シートに光を照射する光源とを備えることを特徴としている。
【0035】
本発明に係るディスプレイ装置は、上記バックライトユニットと、該バックライトユニットからの光照射によって画像表示を行う画像表示部とを備えたことを特徴とする。
【0036】
本発明に係る光制御シートの製造方法は、上記光制御シートの製造方法であって、前記第1のレンズ及び前記第2のレンズの逆形状を有する型に樹脂を圧着して硬化させることで、前記第1のレンズ及び前記第2のレンズを形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0037】
本発明は光制御シートによれば、1枚の光制御シートにて2方向の配光調整を可能とすることで部品点数を少なくして、かつ光の利用効率及び輝度を高くすることができるとともに、配光分布の調整が用意で、かつ製造方法が容易な光制御シートを提供することが可能となる。
また、1枚の光制御シートにて2方向の配光調整を可能とすることで部品点数を少なくして、かつ光の利用効率及び輝度を高くすることができるとともに、配光分布の調整が用意で、かつ製造方法が容易なバックライトユニット、及びディスプレイ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態のディスプレイ装置の断面図である。
【図2】点光源を説明する図である。
【図3】点光源ユニットを説明する図である。
【図4】半導体レーザーを用いた点光源を説明する図である。
【図5】点光源の配置を説明する図である。
【図6】本実施形態の光制御シートを説明する図である。
【図7】本実施形態の光制御シートと従来の光制御シートとの配光調整の分布を示すグラフである。
【図8】本実施形態の光制御シートと従来の光制御シートの再帰反射率の分布を示すグラフである。
【図9】本実施形態の光制御シートにおいて、再帰反射率が向上する理由を説明する図である。
【図10】本実施形態の光制御シートと従来の光制御シートとの再帰反射率の分布を示すグラフである。
【図11】本実施形態の光制御シートと従来の光制御シートとの再帰反射率の分布を示すグラフである。
【図12】本実施形態の光制御シートを説明する図である。
【図13】本実施形態の光制御シートを作製する際に用いられる型である
【図14】本実施形態の光制御シートと従来の光制御シートとの成形方法を説明する図である。
【図15】従来技術の導光板ライトガイド方式のバックライトユニットが搭載されたディスプレイ装置の縦断面図である。
【図16】拡散フィルムと液晶パネルとの間に従来技術のプリズムフィルムを設けたディスプレイ装置の縦断面図である。
【図17】従来技術の直下型方式のバックライトユニットを備えたディスプレイ装置の縦断面図である。
【図18】従来技術のプリズムフィルムを備えた光制御シートの斜視図である。
【図19】従来技術のプリズムフィルムを備えた光制御シートが配置されたディスプレイ装置の要部の縦断面図である。
【図20】従来技術のプリズムフィルムを備えた光制御シートの光強度分布を示す図である。
【図21】従来技術の四角錐形状の光制御シートを説明する図である。
【図22】従来技術のヒップルーフ形状の光制御シートを説明する図である。
【図23】従来技術の再帰反射率の低下理由を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施形態のディスプレイ装置の縦断面図である。なお、図1において各構成要素の縮図は実際とは一致しない。
【0040】
図1に示すように、本発明の実施形態にかかるディスプレイ装置27は、観察者側Fへ光を照射するバックライトユニット13の上に、表示部(画面表示部)21を重ねて設けることで構成される液晶表示装置であり、表示部21から観察者側Fに向けて画像信号によって表示制御された表示光を出射することで、平面状の画像を表示するものである。尚、以下では、図1の上方向を観察者側Fとし、下方向を背面側と称する。
【0041】
バックライトユニット13は、表示部21の光入射側に臨ませて配置された照明光路制御用の光制御シート1、拡散板25及び光源41を備えている。また、光源41の背面側には、拡散板25や光制御シート1によって反射された光を再度利用するための光反射板43が配置されている。
【0042】
光源41は、表示部21の画像表示に用いる光Hを供給するものである。ここで、本願発明に用いられる光源41としては、以下のような線光源や点光源が挙げられる。
【0043】
光源41が線光源の場合、細径の棒状の冷陰極管が用いられる。なお、線光源としては冷陰極管に限定されず、他のものであってもよい。即ち、光源41は、冷陰極管の他、通常の蛍光管、熱陰極管、外部電極管、水銀レス希ガス蛍光ランプ、列状に配置された発光ダイオード(以下、LEDと称する)、半導体レーザ等を線状光源として用いることができる。この中でも、特に、冷陰極管、外部電極管又、列状に配列されたLEDを用いることが好ましい。
【0044】
また、導光板の平行溝と同等の長さを有する円柱状または角柱状の透明な導光体を用い、その導光体の上面及び底面にLEDを配置したLED光源を光源41として用いてもよい。このようなLED光源は、導光体の上面及び底面からLEDの光を入射して導光体の側面からLEDの光を出射することができる。
【0045】
光源41として線光源を用いた場合、隣接する線光源の中心間の距離は15mm〜150mmに設定されていることが好ましく、特に20mm〜60mmに設定されていることがより好ましい。線光源の中心間の距離を上記範囲とすることにより、バックライトユニット13の消費電力を低減できるとともに、当該バックライトユニット13の組み立てが容易になり、かつ発光面の輝度ムラを抑えることができる。
【0046】
なお、隣接する線光源の中心間の距離は、全ての箇所で一様に均一となっていてもよいし、部分的に変化していてもよい。部分的に変化する場合とは、例えば、バックライトユニット13の中央箇所などにおいて点光源間の間隔が狭まるような場合等である。
【0047】
光源41としての線光源の中心位置と拡散板25の入射面との最短距離の寸法は、2 mm〜30mm以下に設置することが好ましく、特に、5mm〜25mmに設定することがより好ましい。
【0048】
光源41が線光源である場合において、その本数は、特に限定されない。例えば、バックライトユニット13を32インチのディスプレイ装置27に用いる場合には、線光源の数としては、例えば、16本、14本、12本、8本等の偶数本や、奇数本とすることができる。
【0049】
光源41として点光源を用いた場合、水銀レスで発光効率が高いLEDを採用することが好ましく、例えば下記の構成のものが挙げられる。
【0050】
図2(a)は、携帯電話等のモバイル機器に用いられる白色LED46である。この白色LED46は、青色に発光する青色LED素子50をLED用レンズ46で覆うことにより構成されており、LED用レンズ46のレンズ内面には黄色に発光する蛍光体51が塗工されている。これにより、擬似白色として発光するようになっている。この構成の白色LED46は、単色の青色LED素子50に蛍光体51を覆うのみで擬似白色発光が実現できる利点ある。
なお、光源41としては、上述の白色LED46に限定されず、一つの単色LED素子に少なくとも1種類以上の蛍光体で覆ったものであれば他の構成であってもよい。
【0051】
上記発光体としては、遷移金属イオンと呼ばれる元素を発光中心として結晶母体に賦活された蛍光体でもよい。または、これらの金属酸化物、有機金属錯体でもよい。これらとしては、Cr(クロム)、Fe(鉄)、Mn(マンガン)等が挙げられる。
上記発光体となる蛍光体の結晶母体としては、ZnS、CaS、SrSや、BaAl2S4、SrAl2S4、CaAl2S4等のIIa−III−IV型、BaAl2S4、BaAl4S7、CaAl2S4、Sr2Al2S4等のIIx−IIIy−IVz型等の硫化物、ZnO、BeO、MgO、CdO、Y2O3、CaGa2O3、Zn2GeO4、(Y2O3)0.6−(GeO2)0.4等の酸化物、Y−Si−O−N、SrSi6N8、LaAl(Si6−z)N10−zOz(JEM)、MSi2O2N2で表される(MはCa、Sr、Ba)アルカリ土類窒化物、MxSi12−(m+n)Alm+nOnN16−nで表される(MはCa、Sr、Ba)α-サイアロン、Si6−zAlzOzN8−zで表されるβ−サイアロン、AlN、GaN、CaAlSiN3で表されるCASN等が挙げられる。
【0052】
上述の青色LED素子50に蛍光体51を覆う構成である白色LED46を使用する場合、蛍光体51は、黄色に発光する蛍光体を用いることが好ましい。黄色に発光する蛍光体としては、例えばYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系などが挙げられる。
黄色に発光する蛍光体を用いることで、高い発光効率(lm/W)の白色LED46を得ることが可能となる。この理由は、人間の目が、オレンジから黄色の波長(約555nm付近)に光の波長スペクトルを集中すると少ないエネルギーでも明るく感じる(視感度が高い)性質があるためである。このため、この視感度の高い波長にスペクトルを集中した黄色の蛍光体51と青色LED素子50とを組み合わせることによって視覚上では大変に明るい白色LED46が得ることができる。
【0053】
また、蛍光体51は、赤色に発光する蛍光体と緑色に発光する蛍光体の組合せを用いてもよい。上述の組合せの蛍光体を用いることで、白色LED46の発光する波長スペクトルの分布が広がるため、ディスプレイ装置として使用する際の表示可能な色範囲を広げることが可能となり、画質が向上するため好ましい。
【0054】
図2(b)は、図2(a)のLED用レンズ53にプリズム53aを付加したものである。このプリズム53aによって白色LED46から出射される光の配光分布を調整することができる。
【0055】
図2(c)は、擬似白色発光するLEDの他の方式として、単色に発光するLED素子(赤色LED素子48、緑色LED素子49、青色LED素子50)を組み合わせて、擬似白色に発光する構成のものである。この場合、上述のような図2(a)の場合と比較して、蛍光体51がLED素子からの発熱で劣化する問題を回避でき、また各LED素子の光量を調節することで任意の色彩を得ることができる。
【0056】
図3は、単色に発光する単色LED(赤色LED54、緑色LED55、青色LED56)を組み合わせて点光源ユニットとして構成したものである。この場合、図3(b)のように赤色LED54、緑色LED55、青色LED56を一個ずつ組み合わせて点光源ユニット52として構成してもよいし、図3(c)のように、光出力が弱い色(例えば、緑色LED55)を複数個配置して点光源ユニット52として構成してもよい。
【0057】
このような点光源ユニット52を形成することで、各色のLEDを時分割で発色させるフィールドシーケンシャル法を用いてカラー表示させる構成にすることも可能である。
この点光源ユニット52を形成する場合、LEDの数は限定されない。点光源ユニット52を複数配置する場合には、隣接する点光源ユニット52同士では対向するLEDの発光色が異なるものをされていることが好ましい。対向するLEDの発光色を同一とした場合、発光色の強度が強くなり、観察者側Fから色ムラとして視認されるおそれがあるためである。
【0058】
また、光源41として点光源を用いる場合には、上述のLEDの他、例えば図4に示すように、単色の半導体レーザー(赤色半導体レーザー57、緑色半導体レーザー58、青色半導体レーザー59)の光を、ファイバ60に通して混色し、半導体レーザー用レンズ61から出射する構成のものであってもよい。
この他、光源41として通常の蛍光ランプ、ハロゲンランプ等の点光源を用いてもよい。
【0059】
また、上記各点光源を組み合わせることで上述の点光源ユニット52を構成してもよい。一例として、白色LED46と単色LEDである赤色LEDとを組み合わせて点光源ユニットを構成してもよい。このような構成では、赤色LEDの赤色光を発光することにより、白色LEDの白色光に赤色を補色することが可能となる。そのため、色再現性の向上が可能となる。
【0060】
なお、上述の点光源41や点光源ユニット52を配置箇所別に分割駆動してもよい。これにより、明るい画像を表示する箇所の点光源41及び点光源ユニット52を発光させるとともに暗い画像を表示する箇所の点光源41及び点光源ユニット52を消灯させ又は発光量を小さくさせることで、明暗の差を大きくさせることができる。よって、画像のコントラストを大きくすることが可能となる。
【0061】
次に、光源41として点光源を用いた場合の配置の態様について説明する。図5は、複数の光源41又は点光源ユニット52の配置態様を模式的に示す平面図である。
複数の光源41又は点光源ユニット52を配置する第1の態様としては、図5(a)に示すように、バックライトユニット13の面方向に沿って所定の間隔で配置した構成が挙げられる。
また、第2の態様としては、図5(b)に示すように、図5(a)における光源41又は点光源ユニット52のC1〜C4を取り除いた構成、即ち、四角形の四頂点のそれぞれに点光源41又は点光源ユニット52を配置し、さらに、この四角形の対角線の交点に点光源41又点光源ユニット52を配置したような構成が挙げられる。
さらに、第3の態様としては、図5(c)に示すように、正六角形が連続して形成されたハニカム構造の各頂点に光源41又点光源ユニット52をそれぞれ配置したような構成が挙げられる。
その他、図5(d)に示すように点光源41又は点光源ユニット52を線状に配置したような構成としてもよい。
【0062】
以上のような態様において、光源41又は点光源ユニット52同士の間隔は、全ての箇所において一様に均一となっていてもよいし、部分的に変化していてもよい。部分的に変化する場合とは、例えば、バックライトユニット13の中央箇所などにおいて光源41間の間隔が狭まる場合等である。
【0063】
なお、隣接する点光源ユニット52の中心間の距離は、15mm〜150mmであることが好ましく、特に20mm〜60mmであることがより好ましい。このような範囲とすることにより、バックライトユニット13の消費電力を低減できるとともに、当該装置の組み立てが容易になり、かつ発光面の輝度ムラを抑えることができる。
【0064】
点光源41又は点光源ユニット52の中心と拡散板25の入射面との最短距離の寸法は、バックライトユニット13の厚みと輝度の均一度を考慮して設計すればよいが、1mm〜30mmであることが好ましく、特に3mm〜25mmであることがより好ましい。これによって、輝度ムラを低減でき、かつ光源41の発光効率の低下を防ぐことができる。併せて、バックライトユニット13全体の厚さを薄くできる。
【0065】
なお、本実施形態においては、上述のような直下型方式のバックライトユニット13を採用しているが、これに代えて、反射板内に複数の光源が配置され、その側方に光源から入射する光を観察者側Fに射出する導光板が配置されたエッジライト方式を採用してもよい。ことで構成されている。
【0066】
光源41から発光した光の一部は、当該光源41の背面側に設置された反射板43に入射して正面側へと反射される。反射板43は、光源41からの光を反射することができるものであればいかなる材料で形成してもよく、例えばPETやPP(ポリプロピレン)等にフィラーや空気を混練後延伸することによりボイドを形成して反射率を高めた樹脂シート、透明又は白色の樹脂シート表面にアルミ蒸着などで鏡面を形成したシート、アルミ等の金属箔もしくは金属箔を担持した樹脂シート、あるいは、表面に十分な反射性を有する金属薄板により形成することができる。
【0067】
この反射板43は、鏡面反射でなく拡散反射であることが好ましい。拡散反射にすることで、光制御シート1から再帰反射した光が拡散反射される際に、光の偏光がランダム化されたり、入射角度がランダム化される。これによって、再度光制御シート1に入射した際に、観察者側Fに集光する確率を向上させることが可能となる。
【0068】
光源41から出射した光は、直接的に、又は、反射板43での反射を介して拡散板25の入射面に入射する。この拡散板25に入射した光は、拡散板25の入射面の凹凸構造、拡散板25内部の拡散領域と透明樹脂との屈折率差、及び、拡散板25の出射面の凹凸構造により拡散される。
【0069】
拡散板25は、透明樹脂に光拡散領域を分散させることで構成されている。
透明樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いることができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、アクリロニトリルポリスチレン共重合体などを用いることができる。
【0070】
上記光拡散領域は、光拡散粒子からなることが好ましい。好適な拡散性能を容易に得ることができるためである。光拡散粒子としては、無機酸化物または樹脂からなる透明粒子を用いることができる。無機酸化物からなる透明粒子としては、例えば、シリカ、アルミナなどを用いることができる。また、樹脂からなる透明粒子としては、アクリル粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子及びその架橋体、メラミン−ホルマリン縮合物の粒子、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリフルオロビニリデン)、及びETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)等のフッ素ポリマー粒子、シリコーン樹脂粒子などを用いることができる。また、先に記載した透明粒子から2種類以上の透明粒子を組み合わせて使用してもよい。さらにまた、透明粒子の大きさ、形状は、特に規定されない。
【0071】
光拡散領域として上記光拡散粒子を用いた場合には、拡散板25の厚さを0.1〜5mmとすることが好ましい。拡散板25の厚みが0.1〜5mmである場合には、最適な拡散性能と輝度を得ることができる。逆に、0.1mm未満の場合には、拡散性能が足りず、5mmを超える場合には、樹脂量が多いため吸収による輝度低下が生じるため好ましくない。
【0072】
なお、前記透明樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場合には、光拡散領域として気泡を用いてもよい。熱可塑性樹脂の内部に形成された気泡の内部表面が光の乱反射を生じさせ、光拡散粒子を分散させた場合と同等以上の光拡散機能を発現させることができる。そのため、拡散板25の膜厚をより薄くすることが可能となる。
このような拡散板25として、白色PETや白色PPなどを挙げることができる。白色PETは、PETと相溶性のない樹脂や酸化チタン(TiO2 )、硫酸化バリウム(BaSO4 )のようなフィラーをPETに分散させた後、該PETを2軸延伸法で延伸することにより、該フィラーの周りに気泡を発生させて形成する。
【0073】
なお、熱可塑性樹脂からなる拡散板25は、少なくとも1軸方向に延伸されてなればよい。少なくとも1軸方向に延伸されれば、フィラーの周りに気泡を発生させることができるためである。
【0074】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエステル樹脂、イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂、スピログリコール共重合ポリエステル樹脂、フルオレン共重合ポリエステル樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、脂環式オレフィン共重合樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィンポリマー,アクリロニトリルポリスチレン共重合体及びこれらを成分とする共重合体、またはこれら樹脂の混合物などを用いることができ、特に制限されることはない。
【0075】
光拡散領域として気泡を用いた場合には、拡散板25の厚さが25〜500μmであることが好ましい。拡散板25の厚さが25μm未満の場合には、シートのこしが不足し、製造工程やディスプレイ内でしわを発生しやすくなるので好ましくない。また、拡散板25の厚さが500μmを超える場合には、光学性能に格別問題はないが、剛性が増すためロール状に加工しにくい、スリットが容易にできないなど、従来の拡散板と比較して得られる薄さのメリットが少なくなるので好ましくない。
【0076】
さらに拡散板25の表面には凹凸形状(図示せず)を形成してもよい。この凹凸形状により拡散板25から出射する光を拡散して、光の均一性をより向上することができる。この場合、凹凸形状は中心線平均粗さRaが3μm〜1,000μmであるプリズム形状、またはレンズ形状が好ましい。プリズム形状の場合、プリズム形状は多角形が好ましく、そのプリズム頂角は40度〜170度、プリズムのピッチは20μm〜700μmが好ましい。またプリズム形状は角錐形状、角錐台形状でもよい。また上述の凹凸形状は、凹凸形状に入射する光の照度又は輝度に対応して形状を変化してもよく、例えば、凹凸形状に入射する光の照度又は輝度が大きい領域では、上述のプリズム頂角を小さくしてもよい。
また、凹凸形状は、梨地状などのマット面に形成してもよい。さらに、この場合の拡散板の全光線透過率は40%以上98%以下、ヘイズは20%〜100%、吸水率は0.25%以下が好ましい。
【0077】
なお、上記のような拡散板25は、公知の技術である共押出成型法、射出成形法、熱プレス法、注形重合法等を用いて製造することができる。
また、拡散板25に凹凸形状をつける方法としては、上述の共押出形成法、射出成形法で拡散板25を形成中に、凹凸形状を賦型するための金型に圧力をかけて密着させ、凹凸形状を転写することができる。あるいは、拡散板25の入射面、あるいは射出面に、UV硬化樹脂などのような放射線硬化樹脂を用いて成形することもできる。たとえば、共押出法により拡散板25を板状部材として成形した後に、拡散板25の入射面、あるいは射出面に凹凸形状をUV成形して形成することができる。
【0078】
また凹凸形状を形成したフィルムを別体として形成して、接着材又は粘着材からなる接合層を介して、凹凸形状を形成したフィルムと拡散板25を張り合わせて形成してもよい。
【0079】
上述の凹凸形状のフィルム製造方法として、透光性フィルム上にUVや放射線硬化樹脂(UVや放射線で硬化する材料を含む樹脂であれば特に種類は限定しない)を用いて成形してもよい。ここで透光性フィルムとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ベンジルメタクリレートやMS樹脂、その他のアクリル系樹脂、あるいはCOP(シクロオレフィンポリマー)等の光学的に透明な部材を使用するのが好ましい。
またはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、PAN(ポリアクリロニトリル共重合体)、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体)等を用いて、当該技術分野では良く知られている押し出し成形法、射出成型法、あるいは熱プレス成型法によって形成してもよい。
【0080】
拡散板25から出射された光は、光制御シート1の入射面に入射する。この光制御シート1は、入射した光を出射面から出射する際に、光の光学特性、即ち、出射方向、範囲、色、輝度分布何れか1つを少なくとも制御する。
【0081】
本実施形態の光制御シート1は、図1及び図6に示すように、光透過基材6の観察者側Fを向く面に複数の第1のレンズ3が形成され、さらに該第1のレンズ3上に第2のレンズ5が形成されることで構成されている。
なお、図6(a)は本実施形態の光制御シートのレンズ形状の斜視図であり、図6(b)は本実施形態の光制御シートのレンズ形状の上面図であり、図6(c)は本実施形態の光制御シートのレンズ形状のx方向と直交する断面図であり、図6(d)は本実施形態の光制御シートのレンズ形状のy方向と直交する断面図である。
【0082】
光透過基材6は、図1に示すように、略板状又はシート状をなす透明の部材であって、背面側を向く一方の面が入射面6aとされ、正面方向を向く他方の面が出射面6bとされている。
この光透過基材6の出射面6bは、平坦状をなす第1の基準面2上に配置されており、該第1の基準面2から正面方向に一定距離離間した平面が、第1の基準面2と略平行をなす第2の基準面4とされている。
【0083】
第1のレンズ3は、図6(c)に示すように、上記第1基準面2上、即ち、光透過基材6の出射面6b上に位置する下底面3aと、上記第2の基準面4上に位置する上底面3bと、これら下底面3a及び3bにそれぞれ接続されて互いに対向する一対の第1の斜面3cとを備えている。即ち、x方向に沿った方向を第1の方向xとすると第1のレンズ3は、図6(c)に示す略台形状をなす第1の断面形状3dを、光透過基材6の出射面6b(第1の基準面2)に沿った第1の方向xに延在させた略台形プリズム形状をなしている。
このような第1のレンズ3は、図1に示すように、光透過基材6の出射面6b上に互いに平行に複数が隙間なく並設されている。
【0084】
なお、下底面3a、上底面3b及び第1の斜面3cはそれぞれ矩形状をなしており、第1の断面形状3bは、下底面3aを下底とするとともに上底面3bを下底よりも長さの短い上底とし、さらに一対の第1の斜面3cを互いに長さの等しい一対の斜辺とした等脚台形状をなしている。
【0085】
第2のレンズ5は、第2の基準面4上、即ち、第1のレンズ3の上底面3b上に位置する四角形状をなす底面5aと、第1の方向xに平行な底辺を有して互いに対向して傾斜する一対の第2の斜面5bと、第1の方向xに交差する第2の方向yに平行な底辺を有して互いに対向して傾斜する一対の第3の斜面5cと、第2の斜面5b及び第3の斜面5cに接続された頂部5dとを備えた形状をなしている。
なお、上述では、底面5aを四角形にした場合について説明したが、第2のレンズ5が第2の斜面5b、第3の斜面5c、頂部5dを少なくとも有する構造であれば、底面5aは四角形以外の多角形でもよい。
例えば、底面5aを三角形にして、三角錐形状の第2のレンズ5を第1のレンズ3の上に隙間無く配置してもよい。
【0086】
ここで、上記第2の方向yは、第1の方向xに交差するとともに第2の基準面4に沿った方向であり、特に、本実施形態においては、第1の方向xに直交する方向とされている。なお、この第2の方向yは、第1の方向xに交差していればよく、必ずしも第1の方向xに直交していなくともよい。
また、第2のレンズ5の底面5aは、第1の方向xと第2の方向yとに沿った4辺を備えた四角形であり、この四角形の4辺のうち第1の方向xに沿った2辺は、第1のレンズ3における一対の第1の斜面3cの上端に接続されている。
このような第2のレンズ5は、図6(d)に示すように、第1のレンズ3の上底面3b上に互いに平行に第1の方向に沿って複数が隙間なく並設されている。
【0087】
ここで、第1の方向xに直交し、かつ、第1の基準面3及び第2の基準面4に沿った方向を第3の方向yとする。なお、本実施形態においては、第2の方向yが第1の方向xに直交しているため、第3の方向と第2の方向はともにy方向に沿った方向とされている。
また、下底面3aの第3の方向yの距離をP1、上底面3bの第3の方向yの距離をP2、底面5aと第1の斜面3cの接する部分における第2レンズ5の1個分の距離をP3、第1の斜面3cと第2の基準面4とがなす第1の傾斜角度をθ1、第2の斜面5bと第2の基準面4とがなす第2の傾斜角度をθ2、第3の斜面5cと第2の基準面4とがなす第3の傾斜角度をθ3、頂部5dの第3の方向yの距離をLとする。
【0088】
第1のレンズ3及び第2レンズ5に入射した光は、第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5cや第3の斜面5dに入射して、一部の光は屈折して観察者側Fに出射され、他の光は反射して背面側に出射され再帰反射される。
【0089】
ここで、光制御シート1において、光を効率よく集光するには、光の集光に付与しない平坦面を設けないことが好ましい。そこで、本実施形態の光制御シート1においては、第1のレンズ3上に第2のレンズ5を隙間無く配列することにより、光の集光に付与しない平坦面が存在しない形状とされている。これにより、2方向に対して集光機能を向上させることができる。
さらに、光制御シート1の光透過基材6上に第1のレンズ3が隙間無く配列されているため、光の集光に付与しない平坦面はやはり存在せず、集光機能の向上が図られている。
【0090】
本実施形態の光制御シート1は、第1のレンズ3上に第2のレンズ5を配置することで、配光が調整できる範囲を大きくすることが可能となる。さらに、上記パラメータθ1〜θ3、あるいはLとP1の比を調整することで、x方向に対する配光と、y方向に対する配光を調整することが可能となる。
【0091】
図21に示すヒップルーフ形状においても、θ90〜93、あるいはLとP1の比を調整することでx方向に対する配光と、y方向に対する配光を調整することが可能となるが、本実施形態と比較して、配光の調整範囲が小さい。
それは、LとP1の比を変更しても、台形形状の断面方向の集光能力を鋸歯形状の断面方向の集光能力よりも大きくすることができないためである。
台形形状の断面方向の集光能力が最も大きいのは、θ90、θ91を45度、L/P1を0%、すなわち四角錐形状した場合である。ここからL/P1を大きくすると台形形状の断面方向の集光能力は小さくなる。θ92、θ93の値を45度から変化することで、鋸歯形状の断面方向の集光能力を小さくして、相対的に台形形状の断面方向の集光能力を鋸歯形状の断面方向の集光能力よりも大きくすることは可能であるが、ヒップルーフ形状全体の集光能力が低下し、輝度が小さくなるため好ましくない。
【0092】
図7に光制御シート1の配光調整の分布のグラフを示す。図7においては、横軸がL/P1を、縦軸が半値角度を示している。
実施形態の光制御シート1については、θ1〜θ3を45度、P3/P1を1/6として、L/P1を0%から80%まで変化させたシミュレーション結果を丸点でプロットした。
また比較例として、ヒップルーフ形状で、θ90〜93を45度としてL/P1を0%から90%まで変化させたシミュレーション結果を×でプロットした。
なお、半値角度とは、観察者側Fから観察し正面方向(角度0)の輝度を基準として、角度を有して観察し輝度が基準の輝度の半分になった角度である。
【0093】
図7から、本実施形態の光制御シート1ではL/P1の調整により、L/P1が0%〜30%では第3の方向yの集光能力が相対的に大きく、L/P1が50%〜80%では第3の方向yの集光能力が相対的に大きく、L/P1が40%では、第1の方向x、第2の方向yの集光能力は同等となることがわかった。
一方、ヒップルーフは、L/P1が10%〜80%では鋸歯形状の断面方向の集光能力が相対的に大きく、L/P1が0%では、鋸歯形状の断面方向、台形状の断面方向の集光能力は同等となる。しかし、台形状の断面方向の集光能力は、鋸歯形状の断面方向の集光能力より大きくならないことがわかった。
したがって、本実施形態の光制御シート1は、配光が調整可能な範囲がヒップルーフ形状より大きいことが判明した。
【0094】
配光特性は、バックライトユニット13やディスプレイ装置27の設置場所、要求特性に応じて適宜設計してよく、θ1〜θ3、L/P1を任意の値にすることで配光の調整を行うことが可能となる。
【0095】
例えば、本実施形態のディスプレイ装置27をテレビ用途として使用する場合、ディスプレイ装置の水平方向の半値角が広いことが望ましい。テレビを観察する際、水平方向の様々な位置から観察者がテレビを観察するためである。しかしながら本実施形態のディスプレイ装置27を広告看板用途等として使用する場合、垂直方向の半値角度が広いことが望ましい場合が生じる。
【0096】
また、本実施形態の光制御シート1によれば、再帰反射率が高く、輝度を向上させることが可能となる。
図8に光制御シート1への入射角度毎の再帰反射率の分布のグラフを示す。図8においては、横軸が光の入射角度を示し、縦軸が再帰反射率を示している。
なお、光制御シート1については、θ1〜θ3を45度、P3/P1を1/6として、L/P1を10%(図8(a))とした場合と、L/P1を80%にした場合(図8(b))のシミュレーション結果を示している。
また、比較例として、ヒップルーフ形状で、θ90〜93を45度としてL/P1を10%(図8(a))とした場合と、L/P1を80%にした場合(図8(b))のシミュレーション結果を示した。
【0097】
図8(a)より、本実施形態の光制御シート1においては、光の入射角度が35度〜85度の範囲において、再帰反射率が同じL/P1であるヒップルーフ形状よりも大きくなっていることがわかる。
この理由を、図9(b)及び図9(c)を用いて説明する。
【0098】
図9は、従来のプリズム(図9(a))、ヒップルーフ形状(図9(b))、実施形態の光制御シート1(図12(c)〜(d))に光線が入射角度60度で入射した場合の光線の光路を示す図である。
【0099】
図9においては、入射角度60度で入射した場合の光線の一例として、光線K21、K31、K41、K51の光路を示す。光線K21、K31、K41、K51は、x方向では角度を有さず正面方向に略平行であり、y方向では正面方向に対して60度の角度を有して入射する光線である。
【0100】
図9(a)は、従来プリズムでの光線の光路を示した図である。
x方向では角度を有さず正面方向に略平行であり、y方向では正面方向に対して60度の角度を有して入射する光線K21は、入射面で屈折し光線K22となり、斜面87で反射され光線K23となる。光線K23は、光線K22が入射した斜面87と対向する斜面87に小さい入射角度で入射するため、斜面87で反射せずに透過し、光線K24となり出射する。
光線K24は、正面方向と大きな角度を有して出射されるため、正面方向の輝度向上に付与せず、光の利用効率の低下が発生する。
【0101】
図9(b)は、ヒップルーフ形状での光線の光路を示した図である。
x方向では角度を有さず正面方向に略平行であり、y方向では正面方向に対して60度の角度を有して入射する光線K31は、入射面で屈折し光線K32となり、斜面110bで反射され光線K33となる。
光線K33は、斜面110bと交差する斜面110cのにて反射し光線K34となり、光線K33が入射した斜面110cと対向する斜面110cにて反射し、背面側に偏向され入射面に入射する光線K35となる。
光線K35は、入射面に対して大きな入射角度を有するため、透過せずに反射し観察側Fに偏向され光線K36となる。光線K36は、光線K32が入射した斜面110bと対向する斜面110bに入射して屈折され、光線K37として観察者側に出射する。光線K37は、正面方向と大きな角度を有して出射されるため、正面方向の輝度向上に付与せず、光の利用効率の低下が発生する。
【0102】
図9(c)は、本実施形態の光制御シート1での光線の光路を示した図である。
x方向では角度を有さず正面方向に略平行であり、y方向では正面方向に対して60度の角度を有して入射する光線K41は、入射面で屈折し光線K42となり、第1の斜面3cで反射され光線K43となる。
光線K43は、第1のレンズ3を透過し、第2のレンズ5の第3の斜面5cにて反射し光線K44となり、光線K43が入射した第3の斜面5cと対向する第3の斜面5cにて反射し、背面側に偏向され光線K45となる。
【0103】
図9(b)のヒップルーフ形状での光線K35と異なり、光線K45は入射面に入射せず光線K42が入射した第1の斜面3cに対向する第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bに入射する(図中では、第1の斜面3cに入射している)
これは、第2レンズ5に入射するまでに背面側に偏向する確率が低く、第2レンズ5にて背面側に偏向する確率が高いからである。そのため、光線K43のy方向に対する移動距離が、光線K33と比較して大きくなり、結果として、光線K42が入射した第1の斜面3cに対向する第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bの近くにて、光線K44が背面側に偏向されるため、光線K45は、光線K42が入射した第1の斜面3cに対向する第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bに入射する確率が高くなる。
光線K45は、第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bにて反射し、入射面への入射角度が光線K45より小さくなった光線K46となる。光線K46は、入射面に対する入射角度が小さいため、反射せずに透過する確率が高く、屈折して光線K47となり再帰反射光となる。
【0104】
上述のように、x方向の断面状で光線K43を背面側に偏向する斜面を有していない第1のレンズ3の上に、x方向の断面状で光線K43を背面側に偏向する第3の斜面5cを有する第2のレンズ5を設けることで、光線K43のy方向に対する移動距離を大きくさせ、背面側に偏向された光線K45を第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bにてさらに反射し、入射面への入射角度を小さくすることが可能となる。
結果として、図8(a)に示すように入射角度35度〜85度の範囲の再帰反射率が大きくなり、光制御シート1全体の再帰反射率が大きくなる。その結果、光の利用効率が向上し、輝度が向上する。
【0105】
ところが、図8(b)においてL/P1を80%にした場合では、入射角度35度〜85度の範囲の再帰反射率が小さくなり、結果としてL/P1が同じヒップルーフ形状よりも再帰反射率が小さくなる。
【0106】
この理由を、図9(d)を用いて説明する。図9(d)に示す光制御シート1は、図9(c)に示す光制御シート1と比較して第1レンズの高さが小さく、P2が大きくなっている。
x方向では角度を有さず正面方向に略平行であり、y方向では正面方向に対して60度の角度を有して入射する光線K51は、入射面で屈折し光線K52となり、第1の斜面3cで反射し光線K53となる。
図9において、光線K53は、第1のレンズ3を透過し、第2のレンズ5の第3の斜面5cにて反射し光線K54となり、光線K53が入射した第3の斜面5cと対向する第3の斜面5cにて反射し、背面側に偏向され光線K55となる。
【0107】
この光線K55は、図9(c)の光線K45と異なり、光線K55は光線K52が入射した第1の斜面3cに対向する第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bに入射せずに入射面に入射する。これは、図9(c)と異なり、光線K53が、短い距離で第2レンズ5に入射するため、光線53のy方向に対する移動距離が小さい状態で背面側に偏向する確率が高くなるからである。
結果として、光線K52が入射した第1の斜面3cに対向する第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bの遠くで、光線K54が背面側に偏向されるため、光線K55は、光線K52が入射した第1の斜面3cに対向する第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bに入射せずに入射面に入射する確率が高くなる。
【0108】
第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bにて入射せずに反射しない場合、光線K55の入射面への入射角度が光線K45より大きく入射するため、入射面で反射し、観察者側Fに偏向された光線K56となる。光線K56は、光線K52が入射した第1の斜面3cに対向する第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bに入射する。光線K56は、第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bに小さい入射角度で入射するので、反射せず屈折して透過し光線K57となる。光線K57は、正面方向と大きな角度を有して出射するため、正面方向の輝度向上に付与せず、光の利用効率の低下が発生する。
【0109】
上述のように、第1のレンズ3の高さが充分に高くない場合、光線K53がy方向に対する移動距離が不十分であるため、光線K55が光線K52が入射した第1の斜面3cに対向する第1の斜面3c、あるいは第2の斜面5bに入射せず、結果として、光線K55が入射面に大きい入射角度で入射して反射するため、再帰反射光とならない。
そのため、図11(b)に示すように、入射角度35度〜85度の範囲の再帰反射率が小さくなり、光制御シート全体の再帰反射率が小さくなる。その結果、光の利用効率が低下し、輝度が減少する。
【0110】
図10、図11及び表1は、光制御シート1において、θ1〜θ3を45度として、P3/P1を1/3〜1/20、L/P1を0%〜90%の範囲でのシミュレーション結果である。
【0111】
【表1】
【0112】
図10において、鎖線は1方向にのみ集光作用を有する従来プリズムの再帰反射率を示しており、一点鎖線は四角錐形状のプリズムの再帰反射率を示している。また×のプロットは、ヒップルーフ形状の再帰反射率を示している。菱形のプロットは本実施形態の光制御シート1のP3/P1が1/3の再帰反射率であり、丸形のプロットは本実施形態の光制御シート1のP3/P1が1/6の再帰反射率であり、三角形のプロットは本実施形態の光制御シート1のP3/P1が1/10の再帰反射率であり、四角形のプロットは本実施形態の光制御シート1のP3/P1が1/20の再帰反射率である。
【0113】
図10における光制御シート1のプロットにおいて、プロット点が白抜き表示されているものはP2/P1が0%以上50%以下であり、プロット点が相対的に大きく表示されているものはP2/P1が80%を超えているものである。
【0114】
図11において、鎖線は1方向にのみ集光作用を有する従来プリズムの再帰反射率を示しており、一点鎖線は四角錐形状のプリズムの再帰反射率を示している。菱形のプロットは本実施形態の光制御シート1のP3/P1が1/3の再帰反射率であり、丸形のプロットは本実施形態の光制御シート1のP3/P1が1/6の再帰反射率であり、三角形のプロットは本実施形態の光制御シート1のP3/P1が1/10の再帰反射率であり、四角形のプロットは本実施形態の光制御シート1のP3/P1が1/20の再帰反射率である。
【0115】
図10及び図11で示すように、本実施形態の光制御シート1においてはP2/P1、及びL/P1の値によらず、四角錐形状の再帰反射率を上回っている。
即ち、本実施形態の光制御シート1の構成を用いることで、2方向の配光調整が可能であり、四角錐より再帰反射率が高く、結果として光の利用効率が大きい光制御シートを提供することが可能となる。
【0116】
また、図10に示すように、本実施形態の光制御シート1は、ヒップルーフ形状と比較すると、L/P1が同じ場合では、P2/P1が0%以上80%以下で再帰反射率が同等以上となる。
即ち、実施形態の光制御シート1の構成で、P2/P1が0%以上80%以下とすることで、2方向の配光調整が可能であり、かつヒップルーフ形状と比較して再帰反射率が同等以上で、結果として光の利用効率がヒップルーフ形状と同等以上の光制御シートを提供することが可能となる。
【0117】
さらに、図10及び図11に示すように、本実施形態の光制御シート1は、1方向にのみ集光作用を有する従来プリズムと比較すると、P2/P1が0%以上50%以下で再帰反射率が同等以上となる。
即ち、本実施形態の光制御シートの構成で、P2/P1が0%以上50%以下とすることで、2方向の配光調整が可能であり、かつ1方向にのみ集光作用を有する従来プリズムと比較して再帰反射率が同等以上で、結果として光の利用効率が従来プリズムと同等以上の光制御シートを提供することが可能となる。
【0118】
ここで、本実施形態の光制御シート1においては、高輝度なディスプレイ装置27を得るための上記傾斜角度θ1〜θ3は35度〜55度の範囲に設定されていることが好ましく、特に、40度〜50度の範囲に設定されていることがより好ましい。
上記の範囲にすることで、充分な再帰反射率を得ることが可能となり、結果として、光の利用効率の高い光制御シートを得ることが可能となる。
【0119】
また図6(b)に示されるように、第1の方向xと第2の方向とがなす角は略90度であることが望ましい。即ち、第2の方向が第3の方向と一致してともにy方向に沿った方向とされていることが望ましい。これにより、観察者側Fからディスプレイ装置27を平面視したとき、水平方向と垂直方向とに集光効果が得られるため、光の利用効率が大きくなる。
【0120】
さらに、本実施形態の光制御シート1においては、図12に示すように、第1の傾斜角度θ1と、第2の傾斜角度θ2が同一に設定されていることが好ましい。
これにより、第1のレンズ3と第2のレンズ5との第3の方向yに対する集光能力、再帰反射能力を一致させることが可能となるため、光制御シート1全体の光の利用効率を向上させることができる。
【0121】
ここまで、第1のレンズ3の断面、即ち第1の断面形状3dが等脚台形状であり、第2のレンズ5の断面が三角形状である場合について説明してきたが、第1のレンズ3のレンズ形状と第2のレンズ5とのレンズ形状は任意に選択することが可能である。
例えば、第1のレンズ3及び第2のレンズ5の形状として凸レンチキュラー形状を挙げることができる。凸レンチキュラーは、一方向にのみ形成された場合、視野範囲の広いディスプレイ装置27が得られるが、一方で観察者側Fへの集光効果は弱いため高輝度が得難いという欠点がある。この点、凸レンチキュラーの頂部に第2のレンズとして凸レンチキュラーを形成することにより、第1の方向xと第3の方向yとの2方向の集光効果が得られるため、視野範囲が広く且つ高輝度なディスプレイ装置27を得ることができる。
【0122】
光制御シート1の製法としては、図13に示されるような光制御シート1を作製する型7を用意し、該型の逆版をおこして型とすることで、本実施形態の光制御シート1を作製することが可能である。図13中の第1凸部7aにより第1のレンズ3が形成され、第2凸部7bにより第2のレンズ5が形成される。
【0123】
上述のようなレンズ形状は、透光性基材6上にUVや放射線硬化樹脂を用いて成形されてもよいし、、または、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、PAN(ポリアクリロニトリル共重合体)、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体)等を用いて、当該技術分野では良く知られている押し出し成形法、射出成型法、あるいは熱プレス成型法によって成形されてもよい。
【0124】
本実施形態の光制御シート1は、第1の断面3dを延在させた形状である第1のレンズ3上に、第2のレンズ5を形成することで、上述の型と樹脂を用いた製造方法の歩留まりを向上する効果を得ることができる。
【0125】
即ち、図21に示す四角錐型のプリズム形状や、図22示すヒップルーフ形状では、形状を形成する際の歩留まりが低いという課題があった。
これは、独立した構造を格子目上に配列するため、押出し成形法や、UV成形法、射出成形のように、型7と樹脂を圧着して硬化して形成する製造方法では、樹脂に気泡9が混入した際に、気泡9が独立した構造内に閉じ込められ逃げ場がないため、型9と基材の間に残留し、プリズムシート110内部に、気泡が形成されてしまうことに起因する(図14(b))。気泡が形成されると、気泡とプリズムシートとの間に大きな屈折率差が発生し、気泡のある領域と気泡がない領域で異なる配光特性が生じる。そのため、ディスプレイ装置に設置した場合、気泡のある領域が観察者に目視され、画面上の欠陥として視認される課題が生じる。
【0126】
この点、本実施形態の光制御シート1においては、図14(a)に示すように、樹脂と型の間に気泡が発生すると、気泡9は第2のレンズ5内に閉じ込められずに、第1のレンズ3内に移動する。第1のレンズ3は延在された形状であるため、気泡9は閉じ込められることがない。したがって、光制御シート1内部に気泡が形成することを防ぐことが可能となる。
結果として、2方向に集光効果を有する光制御シート1の製造において歩留まりを向上することが可能となる。
【0127】
上述の気泡の発生を防止する方法は、特に押出成形法や、UV成形法などの「R to R法」に用いられるシリンダー形状の型に、シート状の樹脂を圧着して成形する方法に有効である。この「R to R」法に用いられるシリンダー形状の型では、型と樹脂を短時間で圧着するため、型と樹脂との間にある気泡を除去するための脱泡処理を施す時間がない。
そのため、本実施形態の光制御シート1の形状を採用することで、「R to R法」に用いられるシリンダー形状の型での製造方法において、気泡が混入することなく、効率的に製造できるため好ましい。
【0128】
さらに、PETなどの透過基材上に樹脂を塗布して、樹脂と型を圧着して効果させるUV成形法などの製法の場合、気泡は透過基材内に移動できないため、図21に示す四角錐型のプリズム形状や、図22に示すヒップルーフ形状では気泡9が独立した構造内に閉じ込められる確率がより大きくなる。そのため、本実施形態の形状を採用することによる歩留まりの向上、相対的に大きくなり好ましい。UV成形法は、押出し成形法と比較して、成形の精度が高いので、本実施形態を用いることで、形状の精度が高く、歩留まりの高い光制御シート1の製造が可能となる。
【0129】
また、本実施形態の光制御シート1においては、各P1同士及び各P3同士がそれぞれ略等しく設定されていることが望ましい。
なお、P1あるいは、P3を不均一にしてもよい。不均一にすることで、表示部21の周期構造と、光制御シート1の構造とのモアレ干渉縞の発生をより低減することが可能である。
しかし、各P1同士及び各P3同士を略等しく設定して上述のモアレ干渉縞が発生しない場合、P1及びP3を不均一にすることは好ましくない。その理由は、P1及びP3を不均一にした場合、光制御シート1にスジムラが発生し、ディスプレイ装置27に使用する場合、観察者側Fから観察され問題が生じる可能性があるためである。
【0130】
本実施形態の光制御シート1においては、第1の方向x又は第3の方向yを、ディスプレイ装置27の水平方向、あるいは垂直方向に対して0度〜45度の角度を有して設置してもよく、特に当該角度を3度〜20度の範囲に設定することが好ましい。
上述の角度を有して設置することで、表示部21の周期構造と、光制御シート1のレンズ形状とのモアレ干渉縞の発生をより低減することが可能である。
しかし、第1の方向x又は第3の方向yを、ディスプレイ装置27の水平方向、あるいは垂直方向に対して略一致した状態で、上述のモアレ干渉縞が発生しない場合、角度を有して光制御シート1を設置することは好ましくない。角度を有して光制御シート1を設置した場合、例えばディスプレイ装置27をテレビ用途として使用する際に、Ho方向の視野角を最大にすることができないため、視野角が不足する問題が生じるため望ましくない。
【0131】
また本実施形態の光制御シート1においては、ディスプレイ装置27の水平方向に対して、第1の方向xを略平行にしてもよく、あるいは第3の方向yを略平行にしてもよい。同様に、ディスプレイ装置27の垂直方向に対して、第1の方向xを略平行にしてもよく、あるいは第3の方向yを略平行にしてもよい。
ディスプレイ装置27の水平方向、垂直方向に対して、第1の方向x、あるいは第3の方向yのどちらを略平行に設置するかは、ディスプレイ装置27に要求される配光分布にあわせて設置すればよい。
例えば、本発明のディスプレイ装置27をテレビ用途として使用する場合、ディスプレイ装置の水平方向の半値角が広いことが望ましい。テレビを観察する際、水平方向の様々な位置から観察者がテレビを観察するためである。しかしながら本発明のディスプレイ装置27を広告看板用途等として使用する場合、垂直方向の半値角度が広いことが望ましい場合が生じる。
【0132】
また ディスプレイ装置27の水平方向、垂直方向に対して、第1の方向x、あるいは第3の方向yのどちらを略平行に設置するかは、表示部21の周期構造にあわせて設置してもよい。
カラー表示を行うディスプレイ装置の場合は、表示部21の画素は、1画素を3色(赤、緑、青)あるいは5色(赤、緑、青、シアン、黄色)に分割する。そのため表示部21の周期構造は、周期構造のピッチが小さい方向と、その直交する方向に周期構造のピッチが大きい方向とが存在する。
光制御シート1のレンズ形状と、表示部21の周期構造とのモアレ干渉縞の発生を低減するには、光制御シート1のレンズ形状のP1、あるいはP3の値が小さい方向と、表示部21の周期構造のピッチが小さい方向とを略平行することが好ましい。
すなわちP1が小さい場合は第3の方向yを、P3が小さい場合は第1の方向xを表示部21の周期構造のピッチが小さい方向を略平行とすることが好ましい。
特に、P3をP1よりも小さくすると、P2/P1の範囲を広くとることが可能となるため、P3をP1より小さくし、第1の方向xを表示部21の周期構造のピッチが小さい方向を略平行とすることが好ましい。
【0133】
さらに、光制御シート1においては、P1の値が30μm以上200μm以下の範囲に設定されていることが好ましく、特に50μm以上150μm以下がより好ましい。P1が200μmを超えた場合、表示部21の周期構造と、光制御シート1の第1のレンズ3とのモアレ干渉縞が発生するため好ましくない。ピッチP1が30μm未満の場合、光制御シート1の製造する際に使用する型の製造において、ピッチP1が小さくなるにつれて製造時間がより必要になり、かつ、傷による形状変化の影響が大きくなるので、製造効率が下がってしまい、コストアップの要因となってしまうので好ましくない。
【0134】
本実施形態の光制御シート1においては、P3の値が10μm以上200μm以下の範囲に設定されていることが好ましく、特に15μm以上150μm以下がより好ましい。P3が200μmを超えた場合、表示部21の周期構造と、第2のレンズ5とのモアレ干渉縞が発生するため、望ましくない。P3が10μm未満の場合、光制御シート1の製造する際に使用する型の製造において、P3が小さくなるにつれて製造時間がより必要になり、かつキズによる形状変化の影響が大きくなるので、製造効率が下がってしまい、コストアップの要因となってしまうので好ましくない。
【0135】
光制御シート1の厚みに関しては光学特性への影響よりはむしろ製造プロセスあるいは要求される光制御シート1の物理特性等により決定される。例えば、UV成形により光制御構造を形成した場合、その光透過基材6の厚さは、50um以下だとシワが出てしまうので、50μmを超える必要がある。さらにまた使用するバックライト・ユニットやディスプレイ装置のサイズによりその基材厚みは変化する。例えば、対角37インチサイズ以上のディスプレイ装置27においては光透過基材6の厚さは0.05mmから3mmの範囲に設定することが好ましい。
【0136】
上記のような光制御シート1から出射された光は、表示部21に入射する。表示部21から観察者側Fに向けて画像信号によって表示制御された表示光を出射することで、平面状の画像を表示する。
【0137】
表示部21は、2枚の偏光板(偏光フィルム)31、33と、その間に狭持された液晶パネル32とからなる。液晶パネル32は、たとえば、2枚のガラス基板の間に液晶層が充填されて構成されている。
バックライトユニット13から出射された光は、偏光板33を介して液晶部32に入射され、偏光板31を介して観察者側Fに出射される。
【0138】
表示部21は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する素子であることが好ましい。画素単位で光を透過/遮光して画像を表示するものであれば、光制御シート1により、観察者側Fへの輝度が向上されるとともに光強度の視角度依存性が低減され、さらに、ランプイメージが低減された光を有効に利用して、画像品位の高い画像を表示させることができる。
【0139】
また、表示部21は、液晶表示素子であることが好ましい。液晶表示素子は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する代表的な素子であり、他の表示素子に比べて、画像品位を高くすることができるとともに、製造コストを低減することができる。
【0140】
なお、ディスプレイ装置27は、上記のような表示部21を備える液晶表示装置としているが、少なくともバックライトユニット13を含んだ構成であれば、投射スクリーン装置、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等のように、バックライトユニット13からの光を表示光として画像表示を行う画像表示部の種類は問わない。
【0141】
なお、本実施形態においては、ディスプレイ装置27に、拡散フィルム、プリズムシート、偏光分離反射シートなどを配置してもよい。これによって、画像品位をより向上させることができる。
【0142】
本実施形態でのディスプレイ装置27は、上述の光制御シート1により集光・拡散特性を向上させた光を利用する構成なので、観察者側Fの輝度を向上させ、光強度の視角方向の分布を滑らかにするとともに、ランプイメージを低減した画像を表示部21に表示することができる。
【0143】
また、ディスプレイ装置27においては、画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定する表示部21で、先に記載のバックライトユニット13により集光・拡散特性を向上させた光を利用する構成なので、観察者側Fの輝度を向上させ、光強度の視角方向の分布を滑らかにするとともに、ランプイメージを低減した画像を得ることが可能となる。
【0144】
さらに、ディスプレイ装置27においては、表示部21が液晶表示素子であり、バックライトユニット13により集光・拡散特性を向上させた光を利用する構成なので、観察者側Fの輝度を向上させ、光強度の視角方向の分布を滑らかにするとともに、ランプイメージを低減した画像を得ることができる。
【0145】
以上、本実施形態での実施形態について詳細に説明したが、本実施形態の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく多少の設計変更等も可能である
【実施例】
【0146】
(実施例1)
ポリカーボネイト(屈折率1.585)を用いて光透過基材6の厚みを250umとして光制御シート1を押出成形法により作製した。第1のレンズ3の第1の断面形状3dを台形状、第2のレンズ5の底面を長方形、第1の傾斜角度θ1を45度、第2の傾斜角度θ2を45度、第3の傾斜角度θ3を45度、P1を100μm、P2を83.3μm、P3を33.3μm、Lを50μmとして、P2/P1を83.3%、L/P1を50%とした。
【0147】
(実施例2)
ポリカーボネイト(屈折率1.585)を用いて光透過基材6の厚みを250umとして光制御シート1を押出成形法により作製した。第1のレンズ3の第1の断面形状3dを台形状、第2のレンズ5の底面を長方形、第1の傾斜角度θ1を45度、第2の傾斜角度θ2を45度、第3の傾斜角度θ3を45度、P1を100μm、P2を70μm、P3を20μm、Lを50μmとして、P2/P1を70%、L/P1を50%とした。
【0148】
(実施例3)
ポリカーボネイト(屈折率1.585)を用いて光透過基材6の厚みを250umとして光制御シート1を押出成形法により作製した。第1のレンズ3の第1の断面形状3dを台形状、第2のレンズ5の底面を長方形、第1の傾斜角度θ1を45度、第2の傾斜角度θ2を45度、第3の傾斜角度θ3を45度、P1を100μm、P2を40μm、P3を20μm、Lを20μmとして、P2/P1を40%、L/P1を20%とした。
【0149】
(実施例4)
実施例3と同じ型を使用して、屈折率1・585のUV硬化型樹脂を用いて光制御シート1をUV成形法により作成した。
【0150】
(比較例1)
ポリカーボネイト(屈折率1.585)を用いて基材の厚みを250μmとして、頂角が90度、傾斜角度45度、ピッチが50μmの三角プリズム形状の光制御シートを押出成形法により作製した。
【0151】
(比較例2)
ポリカーボネイト(屈折率1.585)を用いて基材の厚みを250μmとして、頂角が90度、傾斜角度45度、ピッチが50μmの底面が正方形の四角錐形状の光制御シートを押出成形法により作製した。
【0152】
(比較例3)
ポリカーボネイト(屈折率1.585)を用いて基材の厚みを250μmとして、傾斜角度が45度、台形形状のピッチが100μm、鋸歯形状のピッチが50μm、Lが50μmとして、L/P1が50%のヒップルーフ形状の光制御シートを押出成形法により作製した。
【0153】
実施例1〜4、比較例1〜3で作製した光制御シート1と、をバックライト13に配置し、その輝度を測定した。バックライト13の構成は、反射板43の観察者側Fに光源41としてCCFLを配置し、その上(観察者側F)に拡散板25、光制御シート1を順に配置して構成した。
また、光制御シート1に気泡が形成されているかを目視評価にて確認した。その測定結果を表2に示す。輝度の値は、比較例2を基準として相対値である。
【0154】
【表2】
【0155】
表2より、実施例1〜4と比較例2〜3を比較すると、実施例においては、気泡の発生がなく、光制御シート1が作成できたことがわかった。
【0156】
実施例1〜4と、比較例2とを比較すると、実施形態に対応する実施例1〜4の光制御シート1を採用することで、四角錐形状のレンズ形状をなす光制御シートよりも輝度が上昇することが確認された。
【0157】
実施例1〜2と、比較例3とを比較すると、実施例においては、0<P2/P1≦0.8を満たすことにより、同じL/P1のヒップルーフ形状のレンズ形状をなす光制御シートより、輝度が上昇することが確認された。
【0158】
実施例2〜3と、比較例1とを比較すると、実施例においては、0<P2/P1≦0.5を満たすことにより、1方向のみ集光機能を有する従来プリズムの形状の光制御シートより、輝度が上昇することが確認された。。
また、UV成形法を採用することで、レンズ形状の精度が向上し、輝度が上昇することが確認された。
【符号の説明】
【0159】
1 光制御シート
2 第1の基準面
3 第1のレンズ
3a 下底面
3b 上底面
3c 第1の斜面
3d 第1の断面形状
4 第2の基準面
5 第2のレンズ
5a 底面
5b 第2の斜面
5c 第3の斜面
13 バックライトユニット
25 拡散板
27 ディスプレイ装置
53a プリズム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する光の光学特性を制御して出射する光制御シートであって、
第1の基準面上に位置する下底面と、
前記第1の基準面と略平行な第2の基準面上に位置する上底面と、
これら下底面及び上底面にそれぞれ接続される互いに対向する一対の第1の斜面とを備え、略台形状をなす第1の断面形状を第1の方向に延在させてなる第1のレンズを有し、
前記上底面上に位置し略多角形状をなす底面と、
前記第1の方向に平行な底辺を有して互いに対向して傾斜する一対の第2の斜面と、
前記第1の方向に交差する第2の方向に平行な底辺を有して互いに対向して傾斜する一対の第3の斜面と、
前記第2の斜面と前記第3の斜面とに接続された頂部とを有する第2のレンズを備え、
複数の前記第2のレンズが前記第1のレンズの上底面に隙間なく並設されていることを特徴とする光制御シート。
【請求項2】
前記下底面の前記第1の方向と直交する第3の方向の距離をP1、
前記上底面の前記第3の方向の距離をP2とした際に、
0<P2/P1≦0.8
の関係が成立することを特徴とする請求項1に記載の光制御シート。
【請求項3】
前記下底面の前記第1の方向と直交する第3の方向の距離をP1、
前記上底面の前記第3の方向の距離をP2とした際に、
0<P2/P1≦0.5
の関係が成立することを特徴とする請求項1又は2に記載の光制御シート。
【請求項4】
前記第1の方向と前記第2の方向とが略直交し、前記第2の方向と前記第3の方向とが略一致することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光制御シート。
【請求項5】
前記第1の斜面と前記第2の基準面とがなす第1の傾斜角度と、前記第2の斜面と前記第2の基準面とがなす第2の傾斜角度とが略同一であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光制御シート。
【請求項6】
前記第1の傾斜角度が、35〜55°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の光制御シート。
【請求項7】
前記第2の傾斜角度が、35〜55°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光制御シート。
【請求項8】
前記第3の斜面と前記第2の基準面とがなす第3の傾斜角度が、35〜55°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の光制御シート。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の光制御シートと、
該光制御シートに光を照射する光源とを備えることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項10】
請求項9に記載されたバックライトユニットと、
該バックライトユニットからの光照射によって画像表示を行う画像表示部とを備えたことを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の光制御シートの製造方法であって、
前記第1のレンズ及び前記第2のレンズの逆形状を有する型に樹脂を圧着して硬化させることで、前記第1のレンズ及び前記第2のレンズを形成することを特徴とする光制御シートの製造方法。
【請求項1】
入射する光の光学特性を制御して出射する光制御シートであって、
第1の基準面上に位置する下底面と、
前記第1の基準面と略平行な第2の基準面上に位置する上底面と、
これら下底面及び上底面にそれぞれ接続される互いに対向する一対の第1の斜面とを備え、略台形状をなす第1の断面形状を第1の方向に延在させてなる第1のレンズを有し、
前記上底面上に位置し略多角形状をなす底面と、
前記第1の方向に平行な底辺を有して互いに対向して傾斜する一対の第2の斜面と、
前記第1の方向に交差する第2の方向に平行な底辺を有して互いに対向して傾斜する一対の第3の斜面と、
前記第2の斜面と前記第3の斜面とに接続された頂部とを有する第2のレンズを備え、
複数の前記第2のレンズが前記第1のレンズの上底面に隙間なく並設されていることを特徴とする光制御シート。
【請求項2】
前記下底面の前記第1の方向と直交する第3の方向の距離をP1、
前記上底面の前記第3の方向の距離をP2とした際に、
0<P2/P1≦0.8
の関係が成立することを特徴とする請求項1に記載の光制御シート。
【請求項3】
前記下底面の前記第1の方向と直交する第3の方向の距離をP1、
前記上底面の前記第3の方向の距離をP2とした際に、
0<P2/P1≦0.5
の関係が成立することを特徴とする請求項1又は2に記載の光制御シート。
【請求項4】
前記第1の方向と前記第2の方向とが略直交し、前記第2の方向と前記第3の方向とが略一致することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光制御シート。
【請求項5】
前記第1の斜面と前記第2の基準面とがなす第1の傾斜角度と、前記第2の斜面と前記第2の基準面とがなす第2の傾斜角度とが略同一であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光制御シート。
【請求項6】
前記第1の傾斜角度が、35〜55°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の光制御シート。
【請求項7】
前記第2の傾斜角度が、35〜55°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光制御シート。
【請求項8】
前記第3の斜面と前記第2の基準面とがなす第3の傾斜角度が、35〜55°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の光制御シート。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の光制御シートと、
該光制御シートに光を照射する光源とを備えることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項10】
請求項9に記載されたバックライトユニットと、
該バックライトユニットからの光照射によって画像表示を行う画像表示部とを備えたことを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の光制御シートの製造方法であって、
前記第1のレンズ及び前記第2のレンズの逆形状を有する型に樹脂を圧着して硬化させることで、前記第1のレンズ及び前記第2のレンズを形成することを特徴とする光制御シートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−59263(P2011−59263A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207152(P2009−207152)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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