説明

光力学診断及び治療のためのローダミン誘導体

【課題】
本発明によれば、実質上患者に対して正常な細胞に影響を及ぼすことも、全身性毒性を引き起こすこともなく免疫反応性細胞の選択的な破壊及び/又は不活性化するための光活性化可能なローダミン誘導体を提供すること。
【解決手段】
本発明の組成物は、4,5−ジブロモローダミン123(2−(4,5―ジブロモ―6―アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸メチルエステル)ヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)エチルエステルヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)オクチルエステルヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)n−ブチルエステルヒドロブロミド;ローダミンB n−ブチルエステル(2−(6−ジエチルアミノ−3−エチルイミノ−3H−キサンテン−9−イル)−安息香酸)n−ブチルジエステルヒドロクロリド;及びそれらの光活性化可能な誘導体からなる群から選択される少なくとも一つの光活性化可能なローダミン誘導体を、薬学上受容可能な担体と共に含み;該誘導体の光活性化が細胞の殺傷を誘導し、活性化されない誘導体は実質上細胞に対して非毒性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(a)発明の属する分野
本発明は、実質上患者に対して正常細胞に影響を及ぼすことも、全身性の毒性を引き起こすこともなく、免疫反応性細胞を選択的に破壊するための光力学治療に関する。
【背景技術】
【0002】
(b)従来技術の記載
免疫障害は正常な細胞及び組織を外来物として認識する免疫細胞の生成によりもたらされる症状又は疾患である。正常な細胞又は組織に対して免疫反応性を持たない細胞は、直接に細胞のエフェクター機構を通してか又は間接に抗体、サイトカイン又は他の媒介物を通して、これらの細胞及び組織において損傷を誘導する。そのような免疫障害は、通常、同種免疫症状と自己免疫症状に分類される。同種免疫障害は、主に、同種の移植(骨髄及び他の器官:腎臓、心臓、肝臓、肺等)の関連において起こる。骨髄移植のセッティングにおいて、造血幹細胞移植片中に存在するドナーの免疫細胞は宿主の正常組織に対して反応し、移植片対宿主疾患(GVHD)を引き起こす。GVHDは、主に、肝臓、腸、肺、目及び口に対しての損傷を誘導する。自己免疫障害は、多数の関節炎の症状、例えば慢性関節リウマチ、硬皮症及び紅斑性狼瘡;内分泌学上の症状、例えば真性糖尿病;神経学上の症状、例えば多発性硬化症及び重症性筋無力症;胃腸内の症状、例えばクローン病及び潰瘍性大腸炎;血液学上の症状、例えば自己免疫性溶血性貧血等からなる。同種免疫障害及び自己免疫障害の両者における免疫反応は、進行すると、器官の機能不全及び損傷を生じる。
【0003】
治療における有力な進歩にも拘わらず、免疫学上の複雑な状況が、造血幹細胞移植(GVHD)であろうと固体の器官の移植(移植片拒絶)であろうと、同種移植の失敗の主な原因となる。さらに、自己免疫障害は罹患率と死亡率の両方の主要な原因を代表する。これらの免疫障害の予防及び治療は、主に、免疫抑圧剤、モノクローナル抗体に基づく治療、放射線治療、及びより最近は分子阻害剤の使用に依存してきた。成果における顕著な改善は、組み合わせの様式の継続した進展と共に生じてきたが、少数の障害及び患者に限られる。しかしながら、もっとも頻繁な種類の移植(骨髄、腎臓、肝臓、心臓及び肺)、及びほとんどの免疫障害(慢性関節リウマチ、関節組織の疾患、多発性硬化症等)に関しては、免疫上の機能不全の消散と治癒は達成されていない。よって、免疫学上の障害の予防及び治療のための新たなアプローチの開発が、臨床上、ハイリスクの患者又は疾患が進行して標準の免疫抑圧剤の治療に抗療性の患者のために特に要求される。同種幹細胞移植(AlloSCT)が多数の悪性及び非悪性症状の治療に用いられてきた。同種幹細胞の移植は、悪性細胞及び宿主造血細胞を除去するための全身の照射を伴うにせよ伴わないにせよ、高い用量の化学療法の投与に基づく。宿主の造血系を置き換えるために、正常な造血ドナー幹細胞が、次に患者中に注入される。AlloSCTは標準の治療オプションに比較すると応答速度を増加させることが示された。AlloSCTを使用する場合に強調されることが必要な一つの重要な問題は、患者の細胞をのちに外来物と認識してGVHDを引き起こすことになる免疫細胞を再注入する危険に関する。様々な技術が開発され、幹細胞移植片から99.999%までのT細胞を枯渇させることができる。これらの技術は免疫学上及び物理的な排除を含み、完全に満足行くものではない。幹細胞移植片を排除する際の一つの重要な考察は、非宿主の反応性T細胞を保存することであり、それらは移植片化に際して抗感染活性及び抗白血病活性を及ぼすことができる。免疫学上反応性の細胞を破壊するがドナーの非反応性免疫細胞を残すことができる光感作分子と共同してAlloSCT又は自己由来の幹細胞移植(AutoSCT)の調製物中で造血細胞移植片を除去すること、及びAlloSCT後にドナーのリンパ球の注入の関連にて循環する白血球細胞を除去することにおける、光力学治療の可能性は、大規模に探索されていない。T細胞の根絶を達成するために、いくつかのアプローチが提案されてきており、以下を含む:
1)T細胞の表面上に存在する抗原に対するモノクローナル抗体及びイムノトキシン(抗CD3,抗CD−6、抗CD8等)への移植片のインビトロにおける暴露;
2)ダイズアグルチニン及びヒツジ赤血球細胞ロゼッティングによるインビトロの選択;
3)T細胞の追加の負の選択を伴うか又は伴わないCD34+幹細胞の正の選択;
4)抗胸腺細胞のグロブリンまたはモノクローナル抗体と組み合わせたインビボ治療;
5)光感作剤によるインビボ又はエクスビボの治療;及び
6)インターロイキン2受容体又はOX−40抗原を標的とするモノクローナル抗体又はイムノトキシンによるレシピエント反応性ドナーT細胞のインビトロ又はエクスビボのマクロ(Cavazzana−Calvo M.et al.(1990)Transcription,50:1−7;Tittle T.V.et al.(1999)Bone Marrow Transcription 23:137−44)。
【0004】
しかしながら、これらの方法のほとんどは同種反応性T細胞サブセットにおいて特別に指示されないが、むしろ全てのT細胞又は広いT細胞集団の何れかの排除を標的とする。これは多数の問題と関連しており、疾患の再発、移植片拒絶、第2の悪性腫瘍及び重度の感染を含む。さらに、これらの方法のいくつかの臨床上の関連は確立されないままである。
【0005】
悪性腫瘍の治療における光力学療法の使用に関する多数の報告がある(Daniell M.D.,Hill J.S.(1991)Aust.N.Z.J.Surg.,61:340−348)。これらの使用の一つは米国特許第5,556,992号及び第5,773,460号に記載されており、新規な光活性化可能なローダミン誘導体をヒト癌細胞を破壊することによる癌患者の光力学療法に使用し、その際、該誘導体の適切な細胞内レベルを達成して、適切な波長の光を用いた照射を適用する。上記の方法は様々な起原の癌及びウイルス及び病原体の根絶のために適用された(Raab O.(1990)Infusoria Z.Biol.,39:524)。
【0006】
様々な天然に生じるか又は合成により製造された光活性化可能な物質を使用した癌治療のための光力学療法の使用に関する最初の実験は今世紀の最初に公表された(Jesionek A.,Tappeiner V.H.(1903)Muench Med Wochneshr,47:2042;Hausman W.(1911)Biochem.Z.,30:276)。40年代及び60年代に、様々な種類の腫瘍がインビトロ及びインビボの両方にて光力学療法に供せられた(Kessel,David(1990)Photodynamic Therapy of neoplastic disease,Vol.I,II,CRC Press.David Kessel編 ISBN 0−8493−5816−7(v.1),ISBN 0−8493−5817−5(v.2))。Doughertyら及び他の者は、70年代及び80年代に、光力学療法の腫瘍学上の適用の可能性を系統的に探索した(Dougherty T.J.(1974)J.Natl Cancer Inst.,51:1333−1336;Dougherty T.J.et al.(1975)J.Natl Cancer Inst.,55:115−121;Dougherty T.J.et al.(1978)Cancer Res.,38:2628−2635;Dougherty T.J.(1984)Urol.Suppl.,23:61;Dpugherty T.J.(1987)Photochem.Photobiol.,45:874−889)。いくつかのローダミン誘導体も抗腫瘍特性を示すことが見いだされた(米国特許第5,773,460号及び米国特許第5,556,992号)。高い増殖速度を示す悪性細胞のためのこれらの光感作剤の特異性は、免疫細胞の排除に関してこれらの薬剤を評価することを我々に促させた。
光力学療法による免疫細胞の治療
正常な非病理的細胞集団を完全に残したまま免疫細胞の選択的破壊を可能にする薬剤が現在不足している。光感作染料の選択的な取り込み及びリンパ性細胞に対する光力学療法の細胞毒性(Greinix H.T.,et al.Blood(1998)92:3098−3104;Hunt D.W.et al(1999)Immunopharmacology,41:31−44;Heykorenko E.A et al(1998)Immunopharmacology 40:231−40);及びマクロファージ(Heykorenko E.A.et al(1998)Immunopharmacology 40:231−40;King D.E.et al(1999)Scand J.Immunol 49:184−92)細胞が以前に証明され、そしてZic J.A.et al.Therapeutic Apheresis(1999)3:50−62の中に総説される。
【0007】
光感作剤が提供されることは大いに望まれており以下の特性を有する:
i)核外の選択的な局在及び免疫細胞による取り込み;
ii)適切な光強度の適用に際して光感作剤を蓄積して保持した細胞を殺傷する;
iii)十分な割合の正常な造血幹細胞を活性化された光感作剤の破壊作用から離す;及び
iv)同種又は自己幹細胞移植の用意における免疫細胞の造血幹細胞パージングのための光感作剤の潜在的利用。
【0008】
v)免疫障害の患者における免疫系の細胞のエクスビボ除去のための光感作剤の潜在的利用。
ローダミン染料
ローダミン123(2−(6―アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸メチルエステル)ヒドロクロリドは、細胞の止血を中断させることができ、且つ高濃度の暴露及び/又は光力学療法に際して細胞増殖抑制性又は細胞毒性であり得るピリリウムクラスの脂肪親和性カチオン染料であるが、極めて貧困な量子収量しかない(Darzynkiewicz Z.,Carter S.(1988)Cancer Res.,48:1295−1299)。それは、生きているミトコンドリアのための特異的蛍光染色剤としてインビトロにて使用されてきた。それは多くの細胞種により受け取られて選択的に保持され、膜及びミトコンドリアの機能を変化させることによりそれらの増殖及び生存を害する(Oseroff A.R.(1992)In Photodynamic therapy(Henderson B.W.,Dougherty T.J.,編)New York:Marcel Dekker,pp.79−91)。インビボにおいては、ローダミン123を用いた化学療法が癌マウスの生存を引き伸ばすことができるが、腫瘍の処置においてローダミン123を利用する最初の試みにも拘わらず、全身性の毒性がその有用性を制限するかもしれない(Bernal,S.D.,et al.(1983)Science,222:169;Powers,S.K.et al.(1987)J.Neurosur.,67:889)。
【0009】
Richard L.Edelsonの名義で1986年9月16日に発行された米国特許第4,612,007号は、ヒトの血液を外部処置する方法を開示しており、ヒト被験者の血液系中の機能しているリンパ球集団を減じることを目的とする。被験者から採取された血液を、リンパ球−DNAにより光付加物を形成できる溶解された光活性剤の存在下で紫外線照射フィールドを通過させる。この方法は以下の不都合及び欠点を有する。記載された手法は患者の血液を外部から処置するための公知の市販されている光活性化学薬剤の利用に基づき、該手法において他の部位からの免疫細胞は完全に残す。Richard L.Edelsonによれば、上記の方法は単に標的細胞集団を減少させるのみであり、根絶はしない。この処置の戦略は標的細胞の免疫反応性を増強するための何の試みも取り入れていない。さらに、Richard L.Edelsonにより提案された手法において使用されるUV照射の波長範囲は正常細胞に損傷を与え得る。
【0010】
国際公開番号WO93/00005にて1993年1月7日に公開された国際出願は、光感作剤により引き起こされる有害作用を最小にしながら体液中の病原体を不活性化する方法を開示する。この方法は、病原体の破壊を及ぼす条件下で光活性剤の存在下で細胞を処置し、そして処置された細胞の、予め決定された期間追加の細胞外蛋白質への接触を防ぐことを必須とする。この方法は、保存又は輸血前の、採取された血液及びその成分からの感染因子の根絶に関し、そして本発明を妨害しない。
【0011】
患者に実質上の全身性の毒性を有さずにこれらの欠点を克服する、免疫細胞の処置におけるローダミン誘導体の新規な用途が提供されることは大いに望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,773,460号
【特許文献2】米国特許第5,556,992号
【特許文献3】米国特許第4,612,007号
【特許文献4】国際公開番号WO93/00005
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Cavazzana−Calvo M.et al.(1990)Transcription,50:1−7
【非特許文献2】Tittle T.V.et al.(1999)Bone Marrow Transcription 23:137−44
【非特許文献3】Daniell M.D.,Hill J.S.(1991)Aust.N.Z.J.Surg.,61:340−348
【非特許文献4】Raab O.(1990)Infusoria Z.Biol.,39:524
【非特許文献5】Jesionek A.,Tappeiner V.H.(1903)Muench Med Wochneshr,47:2042
【非特許文献6】Hausman W.(1911)Biochem.Z.,30:276
【非特許文献7】Kessel,David(1990)Photodynamic Therapy of neoplastic disease,Vol.I,II,CRC Press.David Kessel編 ISBN 0−8493−5816−7(v.1),ISBN 0−8493−5817−5(v.2)
【非特許文献8】Dougherty T.J.(1974)J.Natl Cancer Inst.,51:1333−1336
【非特許文献9】Dougherty T.J.et al.(1975)J.Natl Cancer Inst.,55:115−121
【非特許文献10】Dougherty T.J.et al.(1978)Cancer Res.,38:2628−2635
【非特許文献11】Dougherty T.J.(1984)Urol.Suppl.,23:61;Dpugherty T.J.(1987)Photochem.Photobiol.,45:874−889
【非特許文献12】Greinix H.T.,et al.Blood(1998)92:3098−3104
【非特許文献13】Hunt D.W.et al(1999)Immunopharmacology,41:31−44
【非特許文献14】Heykorenko E.A et al(1998)Immunopharmacology 40:231−40
【非特許文献15】Heykorenko E.A.et al(1998)Immunopharmacology 40:231−40
【非特許文献16】King D.E.et al(1999)Scand J.Immunol 49:184−92
【非特許文献17】Zic J.A.et al.Therapeutic Apheresis(1999)3:50−62
【非特許文献18】Darzynkiewicz Z.,Carter S.(1988)Cancer Res.,48:1295−1299
【非特許文献19】Oseroff A.R.(1992)In Photodynamic therapy(Henderson B.W.,Dougherty T.J.,編)New York:Marcel Dekker,pp.79−91
【非特許文献20】Bernal,S.D.,et al.(1983)Science,222:169;Powers,S.K.et al.(1987)J.Neurosur.,67:889
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の一つの目的は、以下の特性を授けられた光感作剤の新規な用途を提供することである:
i)免疫細胞による選択的な局在及び取り込み;
ii)適切な光強度の適用に際しての光感作剤を蓄積して保持した細胞の機能上又は物理的な排除;
iii)十分な割合の正常な造血T及び幹細胞を活性化された光感作剤の破壊作用から離すこと;及び
iv)免疫反応性を増加させるための戦略の使用を伴うか又は伴わずに同種又は自己幹細胞移植の用意における免疫細胞の造血幹細胞パージングのための光感作剤の利用。
【0015】
v)戦略の使用を伴うか又は伴わずに免疫障害の患者における反応性免疫細胞のエクスビボ除去のための光感作剤の利用。
【0016】
vi)免疫及び悪性細胞の輸送機構を評価するための光感作剤の利用。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、実質上患者に対して正常な細胞に影響を及ぼすことも、全身性毒性を引き起こすこともなく、免疫反応性細胞の選択的な破壊及び/又は不活性化するための光活性化可能な薬剤組成物が提供され、該組成物は、4,5−ジブロモローダミン123(2−(4,5―ジブロモ―6―アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸メチルエステル)ヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)エチルエステルヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)オクチルエステルヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)n−ブチルエステルヒドロブロミド;ローダミンB n−ブチルエステル(2−(6−ジエチルアミノ−3−エチルイミノ−3H−キサンテン−9−イル)−安息香酸)n−ブチルジエステルヒドロクロリド;及びそれらの光活性化可能な誘導体からなる群から選択される少なくとも一つの光活性化可能なローダミン誘導体を、薬学上受容可能な担体と共に含み;該誘導体の光活性化が細胞の殺傷を誘導し、活性化されない誘導体は実質上細胞に対して非毒性である。
【0018】
本発明によれば、実質上患者に対して正常な細胞に影響を及ぼすことも、全身性毒性を引き起こすこともなく、免疫反応性細胞の選択的な破壊及び/又は不活性化するための光力学処置のための本発明の光活性化可能な誘導体の用途が提供され、上記誘導体の適切な細胞外レベルが達成されて、適切な波長及び強度の照射が適用される。
【0019】
本発明によれば、患者における自己幹細胞移植に関連した移植片対宿主疾患の予防方法が提供され、以下の工程:
a)免疫反応が起こるのに十分な期間ドナー細胞と宿主細胞を混合することによりドナーからのリンパ球を活性化し;
b)適切な波長の照射下で治療上有効な量の本発明の光活性化可能な組成物を用いて光力学療法により工程a)の活性化されたリンパ球を実質上除去し;そして
c)工程b)の処理された混合物を使用して自己細胞移植を実施すること
を含む。
【0020】
本発明によれば、患者における免疫障害の治療のための方法が提供され、工程:
a)患者の造血細胞を回収し;
b)適切な波長の照射下で治療上有効な量の本発明の光活性化可能な組成物により工程a)の造血細胞をエクスビボ処理し;そして
c)工程b)の処理された造血細胞を使用して移植片注入又は自己移植片移植を実施すること
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の方法に従い使用された4,5−ジブロモローダミン123ヒドロブロミド塩(TH9402)の、照射されたPBMCと混合されたK562及びCEM細胞系に対する光毒性のグラフであり、クローン原性細胞の数の函数として表現される。
【図2】図2は、中程度に処理された細胞と対照的に、7.5及び5ジュール/cmを用いた光力学処理後の3H−チミジン取り込みをPHAリンパ球が停止することを証明する。
【図3】図3は、被験者Bの細胞に対して活性化されて、光力学上処理された被験者Aからの細胞が、Bの細胞に再度暴露された場合に増殖しないが、Cの細胞に暴露された場合に増殖することを証明する。A,B及びCの細胞は同系統でない個体からである:AとBは2つのHLA抗原により異なった(BとDR)。
【図4A】図4Aは、休眠リンパ球及び活性化されたリンパ球のフローサイトメトリー評価に際してのTH9402の蛍光を示す。TH9402取り込み時の終了後の様々な時間にて細胞を評価した。活性化されたリンパ球は休眠リンパ球よりも多くTH9402を保持する。
【図4B】図4Bは、休眠リンパ球及び活性化されたリンパ球のフローサイトメトリー評価に際してのTH9402の蛍光を示す。TH9402取り込み時の終了後の様々な時間にて細胞を評価した。活性化されたリンパ球は休眠リンパ球よりも多くTH9402を保持する。
【図4C】図4Cは、休眠リンパ球及び活性化されたリンパ球のフローサイトメトリー評価に際してのTH9402の蛍光を示す。TH9402取り込み時の終了後の様々な時間にて細胞を評価した。活性化されたリンパ球は休眠リンパ球よりも多くTH9402を保持する。
【図5】図5は、TH9402取り込み時の終了の110分後のTH9402細胞流出に対するシクロスポリンAの影響を示す。シクロスポリンAは休眠リンパ球においてはTH9402の流出をブロックするが、活性化されたリンパ球においてはそうでない。
【図6】図6は、混合されたリンパ球培養物中での第三者の細胞による活性化後のCD4及びCD8陽性細胞に対する、TH9402によるPDTの効果を示す。活性化された細胞(CD25を発現する)、CD4+CD8+は共に光力学療法により除去される。
【図7】図7A及び7Bは、約3ロガリズム(99.9%)のヒトB細胞がTF9402によるPDTにより除去できることを示す(A)。対照的に、骨髄(コロニー形成ユニットの顆粒球単球[CFU−GM])、赤血球(バースと形成ユニットの赤血球[BFU−E])、及び混合された(コロニー形成ユニットの顆粒球赤血球単球巨核球[CFU−GEMM])起原の、1ロガリズム未満(約50%)の造血始原細胞しか、同じPDT手法により除去されない。
【図8−1】図8Aは、本発明の方法に従い使用された4,5−ジブロモローダミン110n−ブチルエステルヒドロブロミド塩の光毒性のグラフを示し、%生存性により表現される。
【図8−2】図8B及び8Cは、本発明の方法に従い使用された4,5−ジブロモローダミン110n−ブチルエステルヒドロブロミド塩の光毒性のグラフを示し、%生存性により表現される。
【図9】図9A及び9Bは、本発明の方法に従い使用されたローダミンB n−ブチルエステルヒドロクロリド塩の光毒性の2つのグラフを示し、%生存性により表現される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の好ましい態様による方法は、自己の細胞又はドナーの細胞が宿主組織又は移植片標的に対して反応するような、例えば移植片対宿主疾患、移植片拒絶、自己免疫障害及び免疫アレルギー症からなる群から選択される。
【0023】
本発明の好ましい態様による方法は、造血細胞が骨髄、末梢血、及び臍帯血単核細胞からなる群から選択される。
【0024】
本発明のためには、以下の用語が下記のとおりに定義される。
【0025】
用語「免疫障害(immunologic disorder)」は、あらゆる免疫障害、例えば自己免疫又は自己免疫反応及び/又は障害を意味することを意図する。
【0026】
用語「TH9402」は、4,5−ジブロモローダミン123ヒドロブロミド塩を意味することを意図する。
【0027】
「実質上患者に対して正常な細胞に影響することも、全身性毒性を引き起こすこともなく免疫反応性細胞の選択的破壊」なる表現は、有益な治療効果のために十分な数の非病原性細胞を残すことを意味する。
【0028】
「その光活性化可能な誘導体」なる表現は、置換されたローダミン110(2−(6−アミノ 3−イミノ 3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)誘導体及びそれらの塩を意味し、光により活性化可能である。好ましい置換されたローダミン110誘導体は、少なくとも1から8までの好ましくは臭素原子の置換体を含む誘導体を含む。
発明の詳細な説明
光活性化染料はフォトンの吸着後に定常状態から一重項に励起された状態に励起する。有機分子の一重項に励起された状態は、一般に短い半減期しか有さず(10−12−10−6秒)、非放射性(振動様式)及び放射性(蛍光)手法を用いてすばやく定常状態に逆に弛緩する。より安定な三重項励起状態にクロスする相互システムは定常状態への弛緩とも競合する。三重項励起状態は一般に長い半減期を有し(10−6−10秒)、それらが拡散して媒体中の他の分子と反応することを許容する。
【0029】
三重項励起状態は2つの異なる機構を通して分子酸素と反応できる。第1の機構(タイプI)は、励起された染料からの電子の分子酸素への転位からなり、細胞環境に存在する高度に反応性のフリーラジカルアニオンをもたらす。
【0030】
第2の機構(タイプII)は、励起された染料からのエネルギーの分子酸素への転位からなり、細胞毒性一重項酸素の形成を導く。
【0031】
光感作剤は、よって、有効な光治療剤であるために2つの条件を満たさなければならない。第1の条件は、それらが正常細胞中よりも標的細胞中で高い濃度で存在しなければならないことである。悪性細胞及び免疫細胞中での高い濃度の染料は、多量の光生成された細胞毒性種をもたらし、よって、高い死亡率をもたらす。第2の条件は、細胞内濃度の分子酸素の存在下での光治療剤の照射が高い効率にて細胞毒性種の形成を導かなければならないことである。
【0032】
ローダミン123は多くの腫瘍細胞及び活性化されたT細胞に受け取られて選択的に保持されることが知られており、その結果、光治療剤としての用途が提案された。細胞内のローダミンは多耐性遺伝子(MDR−1)によりコードされるチャンネル輸送体(Pgp−170)によっても細胞から除去される。T細胞活性化はPgp−170輸送体の不活性化を導き、即ち、ローダミンの細胞内含有量を増加させる(Pilarski LM(1995)Am.J.Haematol.49:323−35;Ludescher C(1998)Br.J.Haematol.101:722−7)。しかしながら、一重項励起状態のローダミン123は三重項に励起された状態を有効にクロスする相互システムを経ない。このため、ローダミン123は弱い光感作剤である(Morliere,P et al.(1990)Photochemistry and Photobiology,52(4):703−710)。
【0033】
従来技術の方法のこの制限を克服するため、ローダミン123の化学構造をいくぶん修飾することにより、三重項の励起状態をクロスする内部系を増強することができる。理論上、これは、重い原子、例えばBr又は他のハライドでローダミン123の分子構造中の水素原子を置換することにより達成できた。よって
ジブロモローダミン123ヒドロブロミド塩(本明細書ではTH9402と呼ぶ)が製造されて試験された。
【0034】
該染料の両親媒性の親水特性は細胞質及びミトコンドリアの膜を変調して上記染料の光毒性に影響し得た。例えば、疎水性がポルフィリンのインビトロ取り込みに影響する最も重要な特性であることが示された(Chi−Wei Lin(1990)In Photodynamic therapy of neoplastic disease,Vol II,CRC Press,pp 79−101)。よって、ローダミン123及びローダミンBの別のエステルを製造して試験した。より特定すれば、ジブロモロガリズム110 n−ブチルエステルヒドロブロミド塩(DBBE)及びローダミンB n−ブチル−エステルヒドロクロリド塩(RBBE)である。
【0035】
ローダミンバックボーンの水素原子の別の重い置換基(ハロゲン置換基)は、例えば、ローダミンB及びローダミン110エステルのジブロモ及びジヨード誘導体を製造して試験した。
【0036】
そのような化合物のダイマー/オリゴマー、ヘテロダイマー/オリゴマーも、適切な細胞毒性プロフィールを示すならば、使用することができた。
【0037】
/S分割を減じるための重い原子によるローダミンバックボーンの酸素へテロ原子の置換は、理論上、回転軌道のカップリングを増加させて、S期からT期へクロスする相互系を促進させ、元の染料よりも高い三重項の収量を生じるべきである。これは、一重項の酸素の成算を比例的に増加させるべきである。よって、ローダミンバックボーンの酸素原子(O)に代わる、S(イオウ),Se(セレン)及びTe(テルル)置換基が探索されつつある。
【0038】
さらに、タイプI(フリーラジカル−アニオン)及びタイプII(一重項酸素)の生成物の高い量子収量及び染料の腫瘍並びに活性化された細胞の選択的な蓄積を増加させるための他の戦略が試験されつつある。
【0039】
本発明によれば、TH9402が活性化されたT細胞により優先して保持されることも示される。残りのT細胞は、それらの細胞内環境からTH9402を除去できるが、活性化されたT細胞を除去できない(図4)。さらに、我々は、TH9402の流出がシクロスポリンAを加えたときに阻害されることを見いだした(図5)。シクロスポリンAはPgp−170の有力な阻害剤であるから、ローダミンの親分子において以前に観察されたとおり、TH9402の流出がPgp−170輸送体に依存するらしい。活性化されたT細胞内のMDR経路の不活性化が、よって、活性化されたT細胞の優先的な除去及び第三者の細胞の後の認識のための非活性化T細胞の保存を説明できた(図3)。B細胞上のPgp−170の公知の強い発現の不在は、Bリンパ球を除去することにおけるPDT並びにTH9402の能力を評価することを我々に促した。TH9402は、事実、Bリンパ球の約3ロガリズム(99.9%)を除去できることが見いだされた。対照的に、PDTをBリンパ球の高いレベルの除去を得るのと同じ条件下で実施した場合に、骨髄(CFU−GM)、赤血球(BFU−E)及び混合された(CFU−GEMM)起源の正常な造血始原細胞の半分より多くが保持される。よって、TH9402を伴うPDTは、活性化T細胞、B細胞及び免疫障害に関与し得た可能性のある他の細胞(例えば、樹状細胞)を含む免疫細胞の除去に都合良い治療上のプロフィールを与える。本明細書にて開示された光力学治療は、有力なエフェクター細胞の事前の感作又は活性化と共に、あるいは免疫反応性を増加させるための操作無しに実施できたが、病原性免疫細胞が(1)根源的な疾患のために既に活性化されたか、又は(2)PDTに対して自発的に感受性であるらしいからである(例えば、B細胞)。活性化は、抗原、細胞、細胞溶解物、蛋白質、ペプチド、DNA、サイトカイン、有糸分裂促進物質、レクチン、又はその他への直接の暴露又は間接の活性化プロセスを通して達成することができた。
【0040】
本発明によれば、そのような上記染料の、免疫細胞集団、ペプチド、蛋白質、又は毒性物質、又はリポソーム又はリポ蛋白質、流出経路の阻害剤(例えば、MDR)、フルオロクローム添加物又は他の薬剤に特異的な抗体を伴う使用法が提供される。
【0041】
さらに、記載される光感作剤は他の光活性化物質と共に相乗作用する能力を有する。
【0042】
さらに、上記光力学治療の使用により提供される負の選択手法は、造血幹細胞を富裕化するための他の手段の使用、例えば抗−CD34モノクローナル抗体による正の選択を排除しない。
臨床上の応用
本発明の第1の臨床上の応用は、移植片対宿主疾患の予防のための自己の幹細胞移植に先立つ自己反応性細胞のインビトロパージングの関連における光感作剤の使用である。この状態において、ドナー細胞を最初にレシピエント細胞又は抗原又は他の成分に暴露することにより、レシピエントの抗原に対してドナー細胞を活性化する。これらの細胞は次に光力学治療を受けて、自己反応性ドナー細胞を除去する。この戦略は、宿主細胞に対して非反応性の造血細胞を保存する。
【0043】
同じ戦略(細胞移植片からの自己反応性細胞の除去)は、ドナーのリンパ球がレシピエントに注入されて抗白血病又は抗感染活性に作用する場合のように、ドナー細胞の投与が移植片対宿主疾患を誘発し得た場合の全ての例において応用できた。
【0044】
自己免疫障害の場合、免疫細胞の一部は自己反応性である。自己の幹細胞移植を実施することによりこれらの障害を治療する場合、幹細胞移植片は移植後の疾患の再発を導く免疫反応性細胞を含むことができた。この出願において記載された光力学治療は、自己移植に先立ち幹細胞から免疫反応性細胞を除去するために使用することができた。
【0045】
そのような免疫障害(同種免疫及び自己免疫の両方)において、免疫疾患のプロセスに関与する細胞を除去するために光力学治療を使用することもできるはずである。患者の細胞を末梢血又は他の細胞又は組織を回収することにより回収し、そしてエクスビボにて光力学処置することにより免疫反応性細胞を除去することができた。処置後、細胞は再注入されることにより、(1)非免疫反応性細胞の患者のプールを保存し、(2)免疫反応性細胞と非免疫反応性細胞の間の都合良い不均衡を創製し、そして(3)アポトーシスを経ることになる免疫反応性細胞を注射することにより免疫反応性細胞から抗原の増強された提示を通して免疫変調を誘発するはずである(Albert M.L.et al.Nature(1998)392:86−9)。
【0046】
その細胞内への侵入後に、ローダミンは輸送機構を通して除去される。即ち、TH942を含むローダミン誘導体はそのような分子の細胞内の取り扱いの機構を調査するために使用することができた。興味を引くことに、化学治療剤を含むいくつかの薬剤が、ローダミンと同じ輸送機構を通して除去された。ローダミン誘導体、例えばTH942を用いたそのような輸送機構の測定を用いることにより、細胞生物学及び分子生物学の我々のさらなる理解を深め、そして診断目的及び予後の目的に使用することができた(例えば、化学療法、光力学治療剤又は他の治療剤により除去できた免疫学上活性な細胞又は悪性細胞を同定すること)。
化学合成
ローダミンB n−ブチルエステルヒドロクロリド、4,5−ジブロモローダミンn−ブチルエステルヒドロブロミド、ローダミンn−ブチルエステルヒドロクロリド、4,5−ジブロモローダミン110 n−ブチルエステルヒドロブロミド及び4,5−ジブロモローダミン123ヒドロブロミドの化学合成を、引用により編入される、1996年9月17日に発行された米国特許第5,556,992号に記載されたとおりに行った。
細胞系
T細胞は、末梢血中に存在する免疫細胞のもっとも有力な集団を代表する。活性化されたT細胞を除去するためにTH9402の光力学治療の効果を証明するために、我々は最初に悪性T細胞系に対するその効果の評価を行った。光毒性も慢性骨髄性白血病細胞系K562に対して平行して評価を行ったが、米国特許第5,556,992号及び第5,773,460号にて使用された細胞系である。CEMのT細胞急性リンパ芽球白血病細胞系及びK562慢性骨髄性白血病細胞系(Lozzio,B.B.and Lozzio,C.B.(1979)Cancer Res.,3(6):363−370)は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC,12301 Parklawn Drive,Rockville,MD 50852 米国)から加入番号CCL^119及びCCL−243のもとに得た。培養物は、37℃において、95%空気及び5%二酸化炭素の雰囲気の加湿培養器中で維持した。細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)、2mM L−グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、100U/mLペニシリン及び100μg/mLストレプトマイシンを追加したRPMI 1640培地(GIBCO,Grand Island,NY)(Life Technologies,Inc.)中で生育させた。各実験の前に細胞生存性をトリパンブルー除去法により評価した。CEM又はK562細胞を正常な照射された単核末梢血細胞と1:1の比で混合して、次に光力学治療を受けた。CEM又はK562細胞と混合する前に、正常なPBMCは25Gyの照射を4Gy/分にて受けた(137Cs;ガンマ細胞、アトミックエナジーオブカナダ、オタワ、ON)。
光力学治療
細胞懸濁液を10μMのTH9402と40分間37℃においてインキュベートした。細胞を1X10細胞/mLにて、2.5%FBSを追加したフェノールレッドを含まないX−vivo−15培地中(BioWhittaker,Walkersville,MD,USA)で処理した。インキュベーション期間の終わりに細胞をスピンダウンさせて、細胞沈殿物を、染料不在下にて10% FBSを追加したX−vivo培養培地中に再懸濁した。次に、細胞をT−フラスコ(コーニング、ケンブリッジ、MA,USA)中に90分間37℃においた。染料を含まない培地中でのこの第2のインキュベーション後に、細胞を3mm厚にて所望の光エネルギーに暴露したが、通常は前に記載された光送達装置を用いて5ジュール/cmであった(米国特許第5,798,523号)。光エネルギーは最大波長512nm付近の蛍光スキャニングランプ装置を用いて送達した。
4,5−ジブロモローダミン123ヒドロブロミド(TH9402)の光毒性
4,5−ジブロモローダミン123ヒドロブロミド(TH9402)の光化学療法能力及びインビトロ光毒性を評価するため、正常な照射されたPBMCと混合したT細胞系CEM及び白血病系K562をTH9402と混合して、5ジュール/cmの光に暴露した(上記のとおり)。光力学治療の後に、細胞は3回洗浄し、そして限定希釈アッセイ(LDA)においたが、前に記載されたとおりである(Roy DC et al,JNCI 1996;88:1136−45)。簡単に言えば、各処理サンプルを100μlの10%FBS追加RPMI1640あたり5x10から0.5細胞に連続希釈した。次に、24のアリコートの各希釈物を平底マイクロカルチャープレート(Nunclon,Nunc,デンマーク)中においた。細胞を4日ごとに送り(fed)、そして37℃において12−14日インキュベートした。各連続希釈における成長は、「オールオアナッシング」(正か負か)様式にて倒立位相差顕微鏡下で評価した。試験集団中のクローン原性細胞の頻度をカイ二乗最小化を用いて評価した(Taswell C,J.Immunol.1981;126:1614−19)。図1に示すとおり、TH9402を用いた光力学療法はほとんど全てのCEM及びK562細胞を除去し、培地のみのサンプルに比較して光療法による除去を逃れたCEMとK562は0.1%未満であった。これらの結果は、我々が以前に白血病K562細胞に関して報告したように、悪性T細胞の高いレベルの除去を示し、そして悪性T細胞の除去のためのこの手法の効率を支持する。TH9402は高い光毒性であることが示された;上昇したレベルの細胞毒性活性は、これらの悪性T細胞系及び脊髄細胞系中のTH9402の細胞内含有量の増加の結果であると信じられる。
PHAを用いたT細胞の活性化
正常なPBMCを、37℃において48から72時間、X−vivo−15培地(Biowhittakker,Walkersville.Md.U.S.A.)中で、20%のAB血清(シグマ)、1%のペン−ストレップ(ギブコ)、2%のグルタミン(ギブコ)及び20μg/mlのフィトヘマグルチニン−A(PHA−P)(シグマ)を追加してインキュベーションにより活性化した。細胞は25cmのフラスコ中で3X10細胞/mlの濃度にて培養した。インキュベーション後に、細胞を洗浄して、上記のとおりTH9402光力学処理により処理して、上記のとおりに増殖活性を測定した。
増殖活性(混合されたリンパ球の反応)
光力学治療の後の活性化単核細胞の残余の増殖能力を評価するため、末梢血単核細胞を96−ウエルのマイクロタイタープレートに入れて、様々な個体からのPBMCとインキュベートした(少なくとも2つの組織適合性複合体抗原の処理細胞とのミスマッチを証明した)。後者の細胞を連続希釈することにより、2:1から1:4のエフェクター(処理された細胞)対標的比を得て、37℃において5日間インキュベートした。採収前の18時間、1μCiのH−チミジンを加えた。細胞をPHD細胞採収器(ケンブリッジテクノロジー、ボストン、MA,USA)により採収した。細胞採収物中の放射活性は液体シンチレーションカウンター(ベックマン、シカゴ、IL,USA)を用いてカウントした。
4,5−ジブロモローダミン123ヒドロブロミドのPHA活性化細胞に対する光毒性
PHA−活性化PB単核細胞に対するTH9402の光毒性を、5及び7.5ジュール/cm光エネルギーを用いた光力学処理後に評価した(図2)。処理後、前の段落のプロトコルに従い、混合されたリンパ球の反応において増殖活性を評価した。光力学治療を受けなかった(未処理)PHA−活性化された細胞においては、混合されたリンパ球の培養における増殖がエフェクター細胞の数と共に増加した。対照的に、PHA−活性化された細胞を5及び7.5ジュール/cmの光エネルギーで処理した場合、MHC不適合性細胞に対する反応性が排除された。この結果は、PHA−活性化細胞の光力学治療がこれらの細胞における極めて有力な免疫反応性阻害剤であることを示す。光力学処理の3日後に実施した細胞カウントは、培地の対照に比して、処理された細胞の90%より多い低下を示す。これらの結果は、活性化された細胞における増殖活性の損失がおそらくエフェクター細胞の除去によるらしいことを示す。
同種T細胞活性化
別のアプローチを子の研究において使用することにより、特定の標的抗原に対して細胞を活性化した。被験者Aからの単核細胞を被験者Bからの照射された単核細胞とインキュベートした。この一方向に混合されたリンパ球培養物において、被験者AとBは同系統ではなく、そして2つの主要な組織適合性複合体(MHC)抗原における相異を伴う、ほんの一部のヒト白血球抗原(HLA)適合しか示さなかった。簡単に言えば、25X10PBMCを、37℃において、4日間、単核細胞を刺激する25X10の照射(25Gy)と共に、20%のAB−血清(シグマ)、1%のペン−ストレップ(ギブコ)、2%のグルタミン(ギブコ)及び500U/mlのIL−2(IDラボ)を追加したX−vivo−15培地(シグマ)中でインキュベートした。全ての培養物は75cmフラスコ(コーニング)において25mlの最終容量にて実施した。刺激されなかった対照は25X10の照射された自己細胞を用いて実施した。
【0047】
この活性化期間の後に、上記のとおり細胞を光力学処理した。処理後、細胞を上記のとおり増殖アッセイにおいてプレートしたが、標的は被験者B及びC(ミスマッチで非同系統)からのPBMCからなった。図3に示すとおり、被験者BLASTに対して活性化された被験者Aからの細胞がTH9402光力学治療を受けた場合、Bからの細胞に再度暴露されるとそれらは増殖しなかった。しかしながら、同じAの細胞をCの細胞に暴露した場合、それらは増殖能力を保持した。これらの結果は、光力学治療が自己反応性細胞を特異的に除去するが、非活性化細胞の同種反応性能力を残すことを示す。さらに、それらは、所望の抗原に対する免疫集団を枯渇させるために、この活性化戦略を利用することが可能なことを示す。
TH9402の細胞濃度
休眠している活性化リンパ球中のTH9402の細胞含有量をフローサイトメトリーにより評価したが、TH9402の(緑色)蛍光の強度がTH9402の細胞含有量に相関するからである。簡単に言えば、事前にPHAで活性化されたか又はされていない10細胞/mlを、2.5%のヒトAB血清及び10μMのTH9402を追加したX−vivo−15培地中で40分間インキュベートした。これらの細胞を、2回、10%のAB血清を追加したX−vivo培地で洗浄し、そして、TH9402取り込み期の終了から30、50、70、90及び110分後にフローサイトメトリーにより細胞を分析した。図4に示すとおり、休眠していたリンパ球はすばやくTH9402を損失し、約50%の細胞が取り込み期終了から110分後に低いTH9402蛍光を示した。さらに、評価した全ての時間点において、TH9402の蛍光強度が、活性化されたリンパ球に関するよりも休眠リンパ球に関して劣っていた(図4)。TH9402の細胞濃度が細胞除去の程度に相関するため、活性化されたリンパ球中に保持された高い濃度のTH9402が、それらの光力学治療に対する感度を説明する。対照的に、休眠リンパ球からのTH9402のすばやい流出は、それらの増殖活性の保持を説明するべきである。
【0048】
活性化されたリンパ球と休眠リンパ球の間のTH9402の異なる保持に必須の機構を同定するため、シクロスポリン−Aを使用して、複数薬剤輸送体(P−gp 170)をブロックした。これらの細胞を10μMのTH9402と8分間インキュベートし、そして1μg/mlのシクロスポリン−Aを含む培地又は培地のみで洗浄した。TH9402の保持は、フローサイトメトリーにより評価した(緑色蛍光)(図5)。TH9402取り込みの終了から110分後に、蛍光強度は、シクロスポリンで処理したか又はしなかった活性化細胞と同一であった。対照的に、シクロスポリンAはTH9402の高い保持を誘発したことから、機能性P−gpが休眠リンパ球からのTH9402染料の流出に関与し、そしてこれらの細胞が光力学治療による除去を逃れる主な機構を代表することを示唆する。活性化されたリンパ球のそのようなポンプの機能障害はこれらの細胞において観察された高いレベルの光毒性を説明することができた。
TH9402を用いた光療法後の残余のTリンパ球の表現型の分析
PDT後に得られた被験者Bに対する反応性の排除が活性化されたT細胞の損失に相関したか否かを決定するため、活性化された細胞の比率をPDTに暴露したか又はしなかったサンプルにおいて測定した。活性化された細胞はそれらの増強されたCD25発現により、休眠Tリンパ球とは識別可能であり、IL−2受容体の誘導可能なα鎖、CD25に特異的なモノクローナル抗体で検出できる。簡単に言えば、上記のとおり、混合されたリンパ球反応におけるT細胞の活性化後に、活性化されたTリンパ球を、2.5%のヒトAB血清及び10μMのTH9402を追加したX−vivo15培地(BioWhittaker)中で40分間インキュベートした。これらの細胞は、次に、10%のABヒト血清を追加したX−vivo−15培地で2回洗浄した。インキュベーション期間の終了後110分に、細胞を、上記光送達装置を用いて2.5から10ジュール/cmの範囲の線量の光に暴露した(米国特許第5,798,523号)。光エネルギーは、最大波長512nmの蛍光スキャビング装置を用いて送達させた。処理後に、15%のヒトAB血清を追加したX−vivo−15培地中で48時間から72時間細胞を培養した。後者のインキュベーション期間の後に、細胞をカウントして、それらの免疫表現型を二色フローサイトメトリーにより分析して、活性化されたTリンパ球の比率を測定した。モノクローナル抗体は、抗−CD4−APC、−CD8−APC及び−CD25−PE並びに適切なイソタイプの対照からなった(コルターイムノロジー、ハイアレア FL)。フローサイトメトリー分析を慣用のプロトコルを用いて実施した(Roy D.C.et al.(1996)J.N.C.I.88:1136−45)。
【0049】
PDPにより処理しなかった細胞において、活性化されたTリンパ球は全リンパ球集団(CD8及びCD4)の14%を占めた(図6)。図6は、活性化された細胞(CD25を発現する)、CD4+及びCD8+の両者が、この実験において全ての光強度(2.5,5及び10ジュール/m)に暴露された細胞に関して1%未満であった。これらの結果は、活性化されたT細胞を除去するTH9402を伴うPDTの能力を確認する。
B細胞及び非リンパ球造血始原細胞に対するTH9402の特異な光毒性活性
TH9402を伴うPDTが他の免疫細胞集団を除去する能力を評価するため、正常なヒトB細胞を標的として加えた。正常なドナーからの単核細胞を白血球採血により得て、全PDTプロセスの間、mlあたり2千万細胞に懸濁した。細胞を遠心分離し、そして、2.5%のFCS及び10U/mlのヘパリンを追加して予め温めた(37℃)X−vivo−15培地中に5μMのTH9402と共に再懸濁した。37℃における40分間のインキュベーション後に、細胞を洗浄して、光エネルギー(10から30ジュール/cm)への暴露の50分間の流出期間、X−vivo−15培地及び10%のFCSに10U/mlのヘパリン(TH9402を含まない培地)中に再懸濁した。細胞は、mlあたり2千万細胞及び2cmの厚さにて光暴露を受けた。
【0050】
PDP処理がB細胞を除去する能力を評価するため、我々は、インビトロB細胞培養系を用いた。簡単に言えば、5x10の未処理細胞及び処理細胞を、B細胞活性化及び増殖に関して重要な分子であるCD40リガンドを発現するためにトランスフェクトされた照射マウス繊維芽細胞NIH 3T3の25mm単層に加えた。細胞は、7日間、インターロイキン−4(IL−4)(100u/ml)を含む培地(イスコブズ修飾ダルベッコ培地−1MDM)中で、2%のFCS,1%のペニシリン−ストレプトマイシン、50μg/mlのヒトトランスフェリン、0.5%のBSA,5μg/mlのウシインスリン、50μg/mlの各オレイン酸、リノレン酸及びパルミチン酸を追加して培養した。培養期間の終わりに、トリパンブルー生存性試験を行い、並びに、上記のとおりに、残余のCD19+細胞の免疫表現型分析をフローサイトメトリーにより行った。
【0051】
上記処理が正常な造血始原細胞を保持したか否かを証明するため、我々は、クローン原性アッセイを使用して、同じサンプル中に存在する造血クローン原性前駆体の量を測定した。簡単に言えば、PDP後に、対照を含む全てのサンプルを希釈して、様々な細胞密度にて(10,000から800,000)半固形メチルセルロース培地(StemCell Technologies Inc)中にプレートした。37℃、5%CO及び98%相対湿度にて13日から16日インキュベーション後に、骨髄、赤血球、及び混合された始原細胞に関して、コロニーを数えた。アッセイは少なくとも2通りに実施した。前駆体細胞の比較上の減少を測定するため、各PDP条件に関しての平均値を適切な対照のパーセントに変換した。
【0052】
正常なヒト単核細胞を得て、様々なPDP条件に供することにより、B細胞の根絶の効果、上記手法の特異性及び安全性を測定した。TH9402 PDTにより除去されたB細胞の数が、送達された光エネルギーのレベルと共に増加した(図7A)。非処理の細胞に比較して、PDTが約3ロガリズム(99.9%)のB細胞根絶をもたらした。対照的に、これらの細胞を非リンパ性造血始原細胞の除去に関して評価した場合、通常50%未満(1ロガリズムの半分)のこれらの始原細胞がPDTと同じ条件により除去された(図7B)。これらの結果は、活性化T細胞以外の免疫細胞、例えばB細胞が、PDTにTH9402を伴わせることにより除去できる。さらに、大きな比率のCFU−GM,BFU−E及びCFU−GEMMの保存が、規定された免疫細胞集団に関するこのPDTプロセスの特異性を証明する。さらに、それは、自己又は同種移植前の移植片のパージングの関連において使用された場合に、造血における再構成のために正常な造血始原細胞を保存する、そのようなPDTの能力を確証する。
4,5−ジブロモローダミン110 n−ブチルエステルヒドロブロミドの光毒性
4,5−ジブロモローダミン110 n−ブチルエステルヒドロブロミド(DBBE)の光化学療法の可能性を確認するため、前記のK−562細胞系の手法においてインビトロの光毒性を評価した。上記細胞を濃度を増加させたDBBEとインキュベートし、そして光力学処理後に異なる時間点において細胞生存性を評価した。図8A,8B及び8Cに示した結果は、10μg/mlの上記染料の用量及び0.5J/cmにおけるアルゴンイオンレーザーからの514.5nmの放射線への短い暴露が、照射後24時間未満に細胞の生存性を抑圧することを示す。
ローダミンB n−ブチルエステルヒドロクロリドの光毒性
ローダミンB n−ブチルエステルヒドロクロリド(RBBE)のインビトロ光毒性をK−562細胞系の手法にて評価することにより、その光化学療法上の可能性を評価した。ローダミン123(RH123)およびローダミンnB−ブチルエステルヒドロクロリドの誘発された光毒性と比較を行った。細胞生存性は光力学治療の2時間及び20時間後に評価した。図9A及び9Bに示した結果は、10μg/mlの上記染料の用量及び0.5J/cmのアルゴンイオンレーザー(514.5nm)の光暴露が、照射後20時間未満にK562細胞の生存性を著しく抑圧することを示す。ローダミン123は5J/cmにおいてさえ、細胞生存性に影響しない。4,5−ジブロモローダミン110 n−ブチルエステルヒドロブロミド及びローダミンB n−ブチルエステルヒドロクロリドンノ光毒性を細胞系K562に対してのみ評価した。しかしながら、我々は、それらの活性がT細胞に対するのと類似することになると予想する。
造血始原細胞培養物に対する光毒性
10J/cm2までのエネルギーレベルにおける光処理のみ、又は上記染料類の飽和濃度における上記細胞の予めのインキュベーションは、骨髄に存在する約束された始原細胞(コロニー形成ユニットの赤血球(CFU−E)、胚形成ユニットの赤血球(BFU−E)、コロニー形成ユニットの顆粒球、マクロファージ、(CFU−G−M))の増殖及び分化から発せられた細胞コロニーの長期間培養の確立にも半固形アッセイ中の形成にも影響しなかったことが観察された。しかしながら、ローダミン123に関して報告されたとおり、LTC(長期間培養)の確立は上記染料に対してより感受性であったが、生存する約束された前駆体及び幹細胞の数は影響されないままである。ローダミン123、ローダミンB n−ブチルエステルヒドロクロリド及び4,5−ジブロモローダミン110 n−ブチルエステルヒドロブロミドを用いた光化学療法は、骨髄の正常マウスの長期間培養の確立及び半固形アッセイにおける造血コロニーの形成を最小限に損なわせた。これは、ローダミン123を用いて他の研究室において以前に得られた結果と一致する。
【0053】
免疫障害の予防及び治療のための慣用のアプローチ、例えば、免疫抑圧剤、放射線治療及びモノクローナル抗体に基づく治療は、それらの固有の毒性及び骨髄抑圧性作用により制限される。インビトロ又はインビボにおいてT細胞を除去するための戦略の導入は、同種幹細胞移植後の移植片対宿主疾患の発生の低下、固形の器官の移植における移植片の生存の改良及び免疫障害を持つ患者のための臨床条件の改良をもたらしてきた。しかしながら、T細胞の枯渇は感染及び悪性腫瘍の発生の増加及び悪性疾患の再発に付随し、T細胞除去戦略の使用を制限してきた。これらの複雑化の要因は主に大多数のT細胞の非特異的除去のためであり、感染の制御及び抗白血病活性に必須である。これらの制限を克服するため及び集中的な治癒力のある治療のための患者の数及び年齢制限を拡大するため、同種幹細胞移植の前の免疫細胞の選択性インビトロ除去の潜在的な利益が広く認識されるようになった。さらに、免疫細胞の選択的除去は、移植後のドナーリンパ球注入、固形の移植、及び同種活性又は活性化された免疫細胞集団の除去により患者が利益を受けるかもしれない自己免疫障害の関連においてもっとも有用である可能性を有する。同種活性又は活性化された免疫細胞の選択的な破壊を可能にする新規な抗新生物形成薬剤を開発する試みにおいて、新規な染料分子が製造されて、免疫障害の光力学的予防及び治療に有用な、可能性のある新規な光感作剤として試験された。ピリリウムファミリーの3つの新規な光感作剤を製造したところ、TH9402のそれに類似したそれらの細胞毒性プロフィールが、免疫障害の光力学治療において、そして移植片対宿主疾患の予防/及び/又は治療においても、それらが有力な用途を有する証拠を提供する。
【0054】
本発明は、発明の範囲を限定するよりもむしろ発明を例示するために提供された以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されることになる。
【実施例】
【0055】
実施例I
同種幹細胞移植の関連における移植片対宿主疾患の予防方法
ドナーとレシピエントの間の免疫学上の違い、及び移植片対宿主疾患の診断と同定
同種幹細胞移植を多数の新生物形成及び非新生物形成条件に関して実施する。造血性悪性腫瘍は、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄形成異常症候群等;及び非造血性悪性腫瘍:無形成再生不良性貧血、先天性障害、重度免疫不全症候群、慢性関節リウマチ、硬皮症、紅斑性狼瘡、多発性硬化症、HIV及び他の免疫障害からなる。
【0056】
移植片対宿主疾患は同種幹細胞移植の複雑化の要因であり、ドナー細胞が宿主細胞と反応して、標的組織(通常は、皮膚、肝臓、消化管、肺、涙腺又は唾液腺等)を損傷する。上記診断はいくつかの臨床上及び実験室上のパラメーターに依存し、Graft−vs.−Host Disease,Ferrara JLM,Deeg HJ,Burakoff SJ eds,Marcel Dekker,New York,1997に広く総説される。
【0057】
GVHDは、レシピエント細胞上に存在しドナー細胞上には存在しない抗原に対して発症する。ドナーとレシピエントの免疫学上の相異は、主要組織適合抗原、マイナーな組織適合抗原又は腫瘍関連抗原のレベルで存在することができた。血液又は骨髄細胞に対する以下の一つ又は複数の手法を用いて不均衡が確立される:
a)HLA型判定:主要組織適合複合体クラスI及びクラスII抗原中のドナーとレシピエントの間の不均衡を同定するための慣用の血清学型判定又は分子;及び
b)クラスII抗原の相異を同定するための混合されたリンパ球培養;及び
c)マイナーな組織適合抗原:少数の細胞毒性T細胞系が利用可能でありマイナーな組織適合抗原を同定するのに使用できたが、現在これらの試験は研究目的に利用可能なのみである。
始原細胞回収
診断後、ドナーからの骨髄(BM)又は末梢血(PB)又は臍帯血由来の造血幹細胞を、同種始原細胞移植に関して以前に記載された手法を用いて回収する(Bone Marrow Transplantation,Forman SJ,Blume KG,Thomas ED eds,Blckwell Scientific Publications,Cambridge MA,USA,1994に総説される)。同種移植のために回収されたドナーの造血幹細胞は、照射された(25Gy)宿主単核細胞又は他の細胞と即座にインキュベートすることができる。ドナー細胞と混合した宿主細胞は、20%の自己血清及びインターロイキン−2を追加した滅菌した染料不含培地中で2から5日間インキュベートする。この手法は宿主に対してのドナー細胞の同種反応性を導きだし、そして細胞移植片は次に以下に記載のとおり光力学処理を受ける。
免疫細胞の選択的インビトロパージング
エクスビボ処理は、前に活性化されたBM又はPB幹細胞と、いくつかの選択された光活性化合物との短期間のインキュベーションからなる。インキュベーションの間、細胞の濃度及び薬剤のモル濃度を、回収された細胞集団のアリコートを用いて各患者のために決定する。過剰な染料は、2%の自己血清を追加した染料不含滅菌培地で細胞を洗浄することにより除去する。細胞は、次に、免疫細胞の光力学パージングを作用させるのに十分な強度の放射エネルギーに暴露されている。光力学パージング手法の効果は、凍結保存及び/又は患者への再注入が実施される前に、処理された細胞集団のアリコートにて確認する。患者への再注入まで、上記細胞は、10%のジメチルスルフォキシド(DMSO)及び90%の自己血清中で液体窒素の蒸気相中で−196℃にて凍結保存する。
患者の全身処置
幹細胞の回収後、患者を用量集中化学療法及び/又は支持される場合は照射に供する。
同種幹細胞移植
高い用量の化学療法及び/又は照射による患者の適切な処置後及び適切な臨床上の瞬間において、凍結保存された骨髄又は末梢血又は臍帯血幹細胞を素早く解凍して、患者に戻す。
【0058】
実施例II
移植片対宿主疾患及び自己免疫疾患の治療方法
診断法
移植片対宿主疾患又は免疫障害の診断は、血液又は適当な組織の、慣用の、臨床学、生化学及び/又は組織病理学の検査を用いて確立される。GVHDの診断及び予防の記事は、Graft−vs.−Host Disease,Ferrara JLM,Deeg HJ,Burakoff SJ 編、Marcel Dekker,New York,1997に総説される。
末梢血細胞の回収
重度のGVHD、自己免疫障害又は免疫障害の診断後に、末梢血(PB)単核細胞を、前に記載されたか又は類似の白血球採取手法(Bone Marrow Transplantation,Forman SJ,Blume KG,Thomas ED 編、Blackwell Scientific Publications,Cambridge MA,USA,1994に総説される)を用いて回収する。採取された患者の末梢血単核細胞は以下に記載のとおりに即座にエクスビボ処理する。
GVHDに媒介する細胞のインビトロ除去
エクスビボ処理は、PB単核細胞と、一つ又は複数の選択された光活性化合物との短期間のインキュベーションからなる。インキュベーションの間、細胞の濃度及び薬剤のモル濃度を、回収された細胞集団のアリコートを用いて各患者のために決定する。過剰な染料は、2%の自己血清を追加した染料不含滅菌培地で細胞を洗浄することにより除去する。細胞は、次に、GVHDに媒介する活性化細胞の光力学パージングを作用させるのに十分な強度の放射エネルギーに暴露されている。
光力学処理された細胞の患者への投与
光力学処理された白血球採取された細胞を患者に再注入する。このアプローチは、GVHDに関与する多数の循環する活性化されたリンパ球及び他の細胞の除去を可能にする。さらに、光力学処理により残された細胞を不活性化し、そして患者へのそれらの再注入が、正常な免疫平衡を回復させて免疫変調を誘発することを助けるかもしれない。
【0059】
実施例III
免疫障害の治療方法
診断手法
自己免疫障害の診断は、血液又は適当な組織の、慣用の、臨床学、生化学及び/又は組織病理学の検査を用いて確立される。重度の免疫疾患は、自己移植の影響を受けやすい(Sullivan KM et al.,Am.Soc.Hematol.,Educ.Program Book,1998:198−214)。
造血幹細胞の回収
診断後に、骨髄(BM)、末梢血(PB)又は臍帯血(CB)単核細胞を、前に記載されたか又は類似の白血球採取手法(Bone Marrow Transplantation,Forman SJ,Blume KG,Thomas ED 編、Blackwell Scientific Publications,Cambridge MA,USA,1994に総説される)を用いて回収する。自己移植のために採取された患者の造血幹細胞は以下に記載のとおりに即座にエクスビボ処理する。
自己免疫障害に媒介する細胞のインビトロ除去
エクスビボ処理は、BM又はPB単核細胞と、一つ又は複数の選択された光活性化合物との短期間のインキュベーションからなる。インキュベーションの間、細胞の濃度及び薬剤のモル濃度を、回収された細胞集団のアリコートを用いて各患者のために決定する。過剰な染料は、2%の自己血清を追加した染料不含滅菌培地で細胞を洗浄することにより除去する。細胞は、次に、免疫障害に媒介する免疫細胞の光力学パージングを作用させるのに十分な強度の放射エネルギーに暴露されている。
光力学処理された細胞の患者への投与
光力学処理された造血幹細胞を保存する(凍結又は培養物中に維持する)。このアプローチは、免疫障害に関与する多数の活性化されたリンパ球及び他の細胞の除去を可能にする。さらに、光力学処理により残された細胞を不活性化し、そしてそれらの再注入が正常な免疫平衡を回復させることを助けるかもしれない。幹細胞回収後、患者は、自己移植が臨床上指示されるまで慣用の療法を用いて処置されるか又は指示された用量集中化学療法及び全身照射に即座に供される。
自己幹細胞移植
高い用量の化学療法及び照射後に、凍結保存された骨髄又は末梢血幹細胞を素早く解凍して、患者に注入する。
【0060】
実施例IV
膜輸送体の同定方法
自己免疫障害及び新生物形成障害の診断は、血液又は適当な組織の、慣用の、臨床学、生化学及び/又は組織病理学の検査を用いて確立される。
ローダミン誘導体輸送体のインビトロの評価(MDR−関連及び非関連)
自己免疫の患者からの末梢血又は骨髄の細胞又は癌細胞を一つ又はいくつかの選択された光活性化合物とインキュベートする。インキュベーションの期間、細胞の濃度及び薬剤のモルが、評価される各種の細胞に関して決定されることになる。過剰な染料は、ローダミン誘導体、例えばとりわけシクロスポリン−A、ベラパミル又はプロベンシドの細胞による除去を干渉する試薬を用いるか又は用いずに細胞洗浄により除去されることになる。これらの試薬は、2%自己血清を追加した滅菌染料不含培地に導入されることになる。細胞は、次に、標的化された細胞においてローダミン誘導体の蛍光を作用させるのに十分な波長及び十分な強度のフロー−サイトメトリー(光エネルギー)の評価に暴露される。光活性化合物を自発的に除去する細胞は多剤受容体(MDR)−関連又は他の輸送体を有する。ブロック剤(例えば、シクロスポリン−A又はベラパミル)の添加は、光活性化合物の除去を予防し、そして機能性MDR−関連又は他の輸送体の細胞上の存在を確かにする。
結論
ローダミン誘導体は、これらの特定の輸送体の研究、基本的には、翻訳及び臨床上の研究を可能にさせる。これは、細胞生物学及び分子生物学の調査に有用である。MDR及び他の類似の輸送体は活性又は様々な治療剤、例えば化学治療剤及び光力学剤を制限し得るため、この試験は診断上及び予防上の重要性を有し、且つ免疫障害及び新生物形成障害の患者のための最適な治療戦略を同定することを助けるべきである。
【0061】
本発明は特定の態様に関連して記載されてきたが、さらに修飾できることが理解されることになり、そして本出願は発明の属する技術分野の公知又は習慣の実行の範囲内であり、且つ前記の必須の特徴に適用してよいものとして、及び特許請求の範囲に従うように、一般的には、本発明の原理に従う本発明の様々な変更、使用又は適用を包含し、そして本開示からのそのような逸脱を含むことを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正常細胞に影響することも、全身性毒性を引き起こすこともなく、同種反応性細胞を選択的に破壊及び/又は不活性化することにより得ることのできる、幹細胞移植に付随した移植片−対−宿主疾患の予防のための、同種反応性細胞を枯渇した調製物に基づくドナーリンパ球細胞。
【請求項2】
同種反応性細胞を選択的に破壊及び/又は不活性化することが、4,5−ジブロモローダミン123(2−(4,5―ジブロモ―6―アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸メチルエステル)ヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)エチルエステルヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)オクチルエステルヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)n−ブチルエステルヒドロブロミド;及びローダミンBn−ブチルエステル(2−(6−ジエチルアミノ−3−エチルイミノ−3H−キサンテン−9−イル)−安息香酸)n−ブチルジエステルヒドロクロリドからなる群から選択される少なくとも一つの光活性化可能なローダミン誘導体により、予め活性化された細胞をエクスビボにて光力学治療することにより達成される、請求項1記載の同種反応性細胞を枯渇した調製物に基づくドナーリンパ球細胞。
【請求項3】
同種反応が起こるのに十分な時間ドナー細胞を宿主細胞と混合することによりドナーの造血幹細胞が予め活性化される、請求項1又は2記載の同種反応性細胞を枯渇した調製物に基づくドナーリンパ球細胞。
【請求項4】
光化学治療が、4,5−ジブロモローダミン123(2−(4,5―ジブロモ―6―アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸メチルエステル)ヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)エチルエステルヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)オクチルエステルヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)n−ブチルエステルヒドロブロミド;及びローダミンBn−ブチルエステル(2−(6−ジエチルアミノ−3−エチルイミノ−3H−キサンテン−9−イル)−安息香酸)n−ブチルジエステルヒドロクロリドからなる群から選択される治療上有効な量の光活性化可能なローダミン誘導体により活性化された幹細胞を適切な波長の照射下において排除する工程を含む、請求項1乃至3の何れか1項記載の同種反応性細胞を枯渇した調製物に基づくドナー白血球細胞。
【請求項5】
波長が約450nmから約600nmの範囲にある、請求項4項記載の同種反応性細胞を枯渇した調製物に基づくドナー白血球細胞。
【請求項6】
造血幹細胞が、骨髄、末梢血及び臍帯血単核細胞からなる群から選択される、請求項1乃至5の何れか1項記載の同種反応性細胞を枯渇した調製物に基づくドナー白血球細胞。
【請求項7】
同種幹細胞移植を実施するための医薬の製造における、請求項1乃至5の何れか1項記載の同種反応性細胞を枯渇した調製物に基づくドナー白血球細胞の使用。
【請求項8】
免疫細胞の選択的エクスビボパージングのための方法であって、以下の工程:
予め活性化された骨髄(BM)幹細胞又は末梢血(PB)幹細胞を、4,5−ジブロモローダミン123(2−(4,5―ジブロモ―6―アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸メチルエステル)ヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)エチルエステルヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)オクチルエステルヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)n−ブチルエステルヒドロブロミド;及びローダミンBn−ブチルエステル(2−(6−ジエチルアミノ−3−エチルイミノ−3H−キサンテン−9−イル)−安息香酸)n−ブチルジエステルヒドロクロリドからなる群から選択される光活性化可能なローダミン誘導体とインキュベートすること;
過剰な光活性化可能なローダミン誘導体を除去するために細胞を洗浄すること;及び
免疫細胞の光力学パージングを作用させるのに十分な強度の放射エネルギーに細胞を暴露すること
を含む上記方法。
【請求項9】
GVHDに媒介する細胞のエクスビボにおける除去方法であって、以下の工程:
末梢血(PB)単核細胞を、4,5−ジブロモローダミン123(2−(4,5―ジブロモ―6―アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸メチルエステル)ヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)エチルエステルヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)オクチルエステルヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)n−ブチルエステルヒドロブロミド;及びローダミンBn−ブチルエステル(2−(6−ジエチルアミノ−3−エチルイミノ−3H−キサンテン−9−イル)−安息香酸)n−ブチルジエステルヒドロクロリドからなる群から選択される光活性化可能なローダミン誘導体とインキュベートすること;
過剰な光活性化可能なローダミン誘導体を除去するために細胞を洗浄すること;及び
GVHDに媒介する活性化された細胞に光力学パージングを作用させるのに十分な強度の放射エネルギーに細胞を暴露すること
を含む上記方法。
【請求項10】
自己免疫障害に媒介する細胞のエクスビボにおける除去方法であって、以下の工程:
骨髄(BM)幹細胞又は末梢血(PB)幹細胞を、4,5−ジブロモローダミン123(2−(4,5―ジブロモ―6―アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸メチルエステル)ヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)エチルエステルヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)オクチルエステルヒドロブロミド;4,5−ジブロモローダミン110(2−(4,5―ジブロモ−6−アミノ―3―イミノ―3H―キサンテン―9−イル)安息香酸)n−ブチルエステルヒドロブロミド;及びローダミンBn−ブチルエステル(2−(6−ジエチルアミノ−3−エチルイミノ−3H−キサンテン−9−イル)−安息香酸)n−ブチルジエステルヒドロクロリドからなる群から選択される光活性化可能なローダミン誘導体とインキュベートすること;
過剰な光活性化可能なローダミン誘導体を除去するために細胞を洗浄すること;及び
自己免疫障害に媒介する免疫細胞に光力学パージングを作用させるのに十分な強度の放射エネルギーに細胞を暴露すること
を含む上記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−229537(P2011−229537A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153345(P2011−153345)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【分割の表示】特願2001−527823(P2001−527823)の分割
【原出願日】平成12年10月3日(2000.10.3)
【出願人】(598017745)
【出願人】(502120859)
【Fターム(参考)】