説明

光反射フィルム

【課題】液晶ディスプレイの直下型バックライトユニットに用いたときに輝度ムラを低減することができ、生産性が高い光反射フィルムを提供する。
【解決手段】透明基材およびそのうえに設けられた突起からなり、表面に蒸着による金属薄膜層を備える光反射フィルムであって、突起の断面の底角が20〜35°かつ高さが1〜1000μmであることを特徴とする光反射フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光反射フィルムに関し、液晶表示装置の直下型バックライトユニットの反射板として用いられる光反射フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
大型液晶テレビなどの大型で高い輝度が必要な液晶表示装置には、直下型バックライトユニットが用いられている。この直下型バックライトユニットは、線状の光源を液晶画面と反射板の間に平行に並べて配置する形式であり、反射板として、内部に微細なボイドを含有する白色フィルムが広く利用されている(特許文献1)。
【0003】
直下型バックライトユニットは、その構造上、線状の各光源の直上の位置と、直上以外の位置、特に二つの線状の光源の間の位置とで、輝度差が生じやすく、バックライトユニットの輝度ムラの原因となる。
【0004】
反射板を光源の配置に合わせて変形させて光の反射方向を制御すれば、輝度ムラが大幅に低減できるという報告例があるが(特許文献2および3)、この方法では、反射板を精密な曲面に形成する必要があり、バックライトの設計に合わせて、大掛りな装置で一枚一枚を加工する必要があるので生産が低く、成形後の反射板の取扱いが難しい。さらに、立体的な形状の反射板となるために反射板自体の厚みが数cmとなり、バックライトを反射板の形状よりも薄型化できない構造となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−284689号公報
【特許文献2】特開2007−149343号公報
【特許文献3】特開2006−318724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、液晶ディスプレイの直下型バックライトユニットに用いたときに輝度ムラを低減することができ、生産性が高い光反射フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、透明基材およびそのうえに設けられた突起からなり、表面に蒸着による金属薄膜層を備える光反射フィルムであって、突起の断面の底角が20〜35°かつ高さが1〜1000μmであることを特徴とする光反射フィルムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液晶ディスプレイの直下型バックライトユニットに用いたときに輝度ムラを低減することができ、生産性が高い光反射フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
〔透明基材〕
透明基材としては、550nmにおける光線透過率が、例えば50%以上、好ましくは70%以上の基材を用いる。この基材は、表面に粒子を支持することができる強度を備えるものを用いることができる。
【0011】
具体的には、例えば、熱可塑性樹脂フィルムを用いることができる。熱可塑性樹脂のフィルムとしては、機械的特性や耐熱性に優れたものを安価に得ることができることから、ポリエステルの二軸延伸フィルムが好ましい。具他的には、例えば、ポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルム、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの二軸延伸フィルムを例示することができる。
【0012】
生産性と取扱性の点から、透明基材の厚みは、例えば10〜1000μm、好ましくは100〜250μmである。
透明基材としてポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルムを用いる場合、市場で入手することができ、例えば、帝人デュポンフィルム製 テイジンテトロンO3−188を使用いることができる。
【0013】
〔突起〕
透明基材のうえの突起は、透明基材のうえに未硬化の光硬化性樹脂を塗布し基材の裏面から光を照射して光硬化性樹脂を硬化させることで形成することができる。
【0014】
本発明における光反射フィルムの突起の断面形状は、底角が20〜35°かつ高さが1〜1000μmである。底角が20°〜35°の範囲にあると、線状の光源と光源との間付近に適度に反射光が拡散され、バックライトのサイズおよび線状の光源の本数によらず、輝度ムラを解消する効果を得ることができる。
【0015】
突起の高さは1〜1000μmである。突起の高さが1μm未満であると、ミー散乱により拡散反射され、突起の形状による光反射すなわち幾何光学に基づいた光反射が得られない。他方1000μmを超えると線状の光源と突起が接近してしまい、光反射フィルムが光源からの熱で変形する原因となる。
【0016】
本発明の光反射フィルムでは、高い光拡散効率を得る観点から、各突起はプリズム状の形状であり、透明基材のうえにすき間無く敷き詰められていること、すなわち、各突起がプリズムの列をなしていることが好ましい。突起がプリズムの列をなすことで、輝度ムラの解消効果を一層優れたものにすることができる。
【0017】
〔金属薄膜〕
本発明の光反射フィルムの突起を備える面は、蒸着による金属薄膜を備える。金属薄膜の金属として、反射率の高い金属を用いることが好ましく、例えば、アルミニウム、クロム、金、銀、銅を用いることができ、コストの点でアルミニウムが好ましい。
【0018】
突起を備える面に蒸着による金属薄膜を備えることで、突起による凹凸形状に応じて鏡面反射する光反射特性を得ることができ、光反射フィルムを液晶表示装置のバックライトユニットの反射板に用いたときの輝度ムラを解消することができる。
【0019】
金属薄膜の膜厚は、例えば1〜500nm、好ましくは5〜200nmである。この範囲の膜厚であることで、突起の形成された面の凹凸を損なうことなく、そして、光が透過することなく反射し、良好な輝度ムラ解消効果を得ることができる。
【実施例】
【0020】
以下、実施例により本発明を詳述する。
透明基材として、フィルムの厚みが225μmのポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルム(帝人デュポンフィルム製 テイジンテトロンO3−188)を使用した。
【0021】
(1)輝度ムラ
輝度ムラの評価は、直下型バックライトユニットを備える液晶テレビ(Samsung社製、バックライトユニット型番LTY320AB01、バックライトサイズ32インチ、線状光源として蛍光管を8本搭載)を分解し、バックライトユニットのみを取り出し、該バックライトユニットに搭載されている反射板を評価対象の光反射フィルムに置き換え、バックライトを点灯させた状態で輝度ムラが発生しているかどうかを下記の方法で評価した。
【0022】
輝度計(大塚電子製、瞬間マルチ測光システムMCPD−7700)を用いて、受光用オプティカルファイバーの受光部を、評価用バックライトユニットの光学シート面に対し垂直(0°)かつ評価用バックライトユニットの光学シート面との距離が50cmとなる位置に固定し、視野角を2°視野、バックライトを点灯してから1時間後の輝度を測定した。輝度の測定は、輝度計の受光部を蛍光管の真上に置いた場合と、蛍光管と蛍光管の中間点の真上に置いた場合でそれぞれ測定を行い、輝度ムラを以下の式に従って算出した。
輝度ムラ
=(輝度計の受光部を蛍光管と蛍光管の中間点の真上に置いた場合の輝度)
÷(輝度計の受光部を蛍光管の真上に置いた場合の輝度)
【0023】
(2)アルミ蒸着
真空蒸着装置((株)中央理研製 IT−L20P)にサンプルフィルムをセットし、設定電圧を2.5V、設定電流を90Aにして所定の操作を進め、厚み100μmのアルミ蒸着膜を形成した。
【0024】
(3)光線透過率
JIS K7361に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用してフィルムの全光線透過率を測定し、光線透過率とした。
【0025】
[実施例1]
底角25°、高さ230μmの三角形の断面形状のプリズムの列が表面に形成されている、A4サイズの金属板に、未硬化の光硬化性樹脂(Microsharp製 MCL−555、アクリル系)を塗布し、上から透明基材をラミネートし、高圧水銀ランプにて光硬化性樹脂を硬化させ、透明基材を金属板から剥がすことで、光硬化性樹脂でできた底角25°、高さ230μmのプリズムの列が表面に形成されたフィルムを得た。プリズム列の表面にアルミニウムを蒸着し、プリズムの列の表面がアルミニウム薄膜で覆われた光反射フィルムを得た。
得られた光反射フィルムを、アルミニウム薄膜を反射面として直下型バックライトの反射板に用いて輝度ムラを評価したところ、輝度ムラは0.8であり、輝度ムラがほぼ解消されておりわずかに見える程度であった。
【0026】
[比較例1]
透明基材を直下型バックライトの反射板に用いて輝度ムラを評価したところ、輝度ムラは0.7であり、が鮮明に見えた。
【0027】
[比較例2]
底角25°、高さ230μmの三角形の断面形状のプリズムの列が表面に形成されている、A4サイズの金属板に、未硬化の光硬化性樹脂(Microsharp製 MCL−555、アクリル系)を塗布し、上から透明基材をラミネートし、高圧水銀ランプにて光硬化性樹脂を硬化させ、透明基材を金属板から剥がすことで、光硬化性樹脂でできた底角25°、高さ230μmのプリズムの列が表面に形成されたフィルムを得た。
得られたフィルムを、プリズムの列の面側を反射面として直下型バックライトの反射板に用いて輝度ムラを評価したところ、輝度ムラは0.7であり、輝度ムラが鮮明に見えた。
【0028】
[比較例3]
透明基材の表面にアルミニウムを蒸着し、アルミニウム薄膜で覆われた光反射フィルムを得た。
得られた光反射フィルムを、アルミニウム薄膜を反射面として直下型バックライトの反射板に用いて輝度ムラを評価したところ、輝度ムラは0.7であり、輝度ムラが鮮明に見えた。
【0029】
[比較例4]
直下型バックライトユニット用光反射フィルムとして一般的に知られている白色フィルム(帝人デュポンフィルム社製 UX−225、ポリエステル系)を直下型バックライトの反射板に用いて輝度ムラを評価したところ、輝度ムラは0.7であり、輝度ムラが鮮明に見えた。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の光反射フィルムは、液晶表示装置のバックライトユニットの光反射板として、特に直下型バックライトユニットの光反射板として、好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材およびそのうえに設けられた突起からなり、表面に蒸着による金属薄膜層を備える光反射フィルムであって、突起の断面の底角が20〜35°かつ高さが1〜1000μmであることを特徴とする光反射フィルム。
【請求項2】
突起が微細なプリズムの列である、請求項1記載の光反射フィルム。

【公開番号】特開2010−266800(P2010−266800A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119820(P2009−119820)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】