説明

光反射板及び光反射積層板

【課題】 本発明は、優れた光反射性を有する光反射板を提供する。
【解決手段】 本発明の光反射板は、ポリオレフィン系樹脂100重量部、酸化チタンの表面がアルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含有する被覆層で被覆された被覆酸化チタン50〜130重量部、及び、蛍光増白剤0.003〜5重量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなり且つ厚みが0.1〜1mmである光反射板であって、上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量された、アルミニウムの酸化物の量がAl23に換算して酸化チタンの全重量に対して2〜6重量%であり且つケイ素の酸化物の量がSiO2に換算して酸化チタンの全重量に対して1〜7重量%であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置や照明装置などに用いることができる光反射板及び光反射積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライトの構成部品などに用いられている光反射板は、光源から放射される光を液晶表示パネル側に反射させる役割を担っておいる。このような光反射板としては、アルミニウム、ステンレスなどからなる金属薄板、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に銀を蒸着してなる蒸着フィルム、アルミ金属箔を積層したシート、多孔性樹脂シートの他に、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機充填剤をポリプロピレン系樹脂に所定量配合した反射シートが用いられている。
【0003】
このような光反射板としては、特許文献1に、平均気泡径が50〜650μmで且つ少なくとも一面が表面近傍部にある気泡によって凹凸面に形成されたポリプロピレン系樹脂発泡シートと、このポリプロピレン系樹脂発泡シートの凹凸面上にこの凹凸面に沿った状態で積層一体化され且つ表面が凹凸面に形成されたポリプロピレン系樹脂非発泡シートとからなる反射板用発泡シートであり、この反射板用発泡シートには無機充填材が50〜200g/m2含有され、上記無機充填材の全て或いは一部が上記ポリプロピレン系樹脂発泡シート中に含有されていると共に、上記無機充填材の屈折率と、この無機充填材が接しているポリプロピレン系樹脂の屈折率との差が1.0以上であり、更に、反射板用発泡シート全体の厚みが0.2〜2.0mmで且つ光線反射率が97%以上である反射板用発泡シートが開示されている。
【0004】
又、特許文献2には、ポリオレフィン系樹脂100重量部、平均粒径が0.005〜0.25μmのルチル型又は/及びアナターゼ型の酸化チタン10〜50重量部、ベンゾオキサゾール系蛍光増白剤0.05〜3重量部、及び、ヒンダードアミン系耐候安定剤0.05〜3重量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなり且つ厚さが0.05〜1mmである反射フィルムが開示されている。
【0005】
しかしながら、上記反射板用発泡シート及び反射フィルムの光反射性は未だ不充分であり、更に高い光反射性を有する光反射板が所望されている。
【0006】
【特許文献1】特許第4005123号公報
【特許文献2】特開2007−178998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、優れた光反射性を有する光反射板及び光反射積層板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光反射板は、ポリオレフィン系樹脂100重量部、酸化チタンの表面がアルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含有する被覆層で被覆された被覆酸化チタン50〜130重量部、及び、蛍光増白剤0.003〜5重量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなり且つ厚みが0.1〜1mmである光反射板であって、上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量された、アルミニウムの酸化物の量がAl23に換算して酸化チタンの全重量に対して2〜6重量%であり且つケイ素の酸化物の量がSiO2に換算して酸化チタンの全重量に対して1〜7重量%であることを特徴とする。
【0009】
ポリオレフィン系樹脂組成物を構成しているポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂や、ポリプロピレン系樹脂などが挙げられ、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0010】
上記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンなどが挙げられる。
【0011】
又、上記ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられ、ホモポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体を併用することが好ましく、ホモポリプロピレンとエチレン−プロピレンブロック共重合体を併用することがより好ましい。更に、光反射板が発泡してなるものである場合には、ポリプロピレン系樹脂としては、特許第2521388号公報や特開2001−226510号公報にて開示されている高溶融張力ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0012】
ポリプロピレン系樹脂の融点は、低いと、光反射板の耐熱性が低下することがあるので、150℃以上が好ましく、155〜180℃がより好ましい。又、ホモポリプロピレンの融点は、低いと、光反射板の耐熱性が低下することがあるので、150℃以上が好ましく、155〜180℃がより好ましい。なお、ポリプロピレン系樹脂の融点は、JIS K7122(プラスチックの転移熱測定方法)に準拠して、試料量6〜7mg、リファレンス量6mg、窒素ガス流量:25ミリリットル/分、測定温度範囲:−40〜220℃、加熱速度:10℃/分の条件下にて測定された温度をいう。ポリプロピレン系樹脂の融点は、例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー社から商品名「DSC6220型」にて市販されている示差走査熱量計装置を用いて測定することができる。
【0013】
なお、エチレン−プロピレン共重合体及びプロピレン−α−オレフィン共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体の何れであってもよい。又、プロピレン−α−オレフィン共重合体中におけるα−オレフィン成分の含有量は、0.5〜30重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。
【0014】
α−オレフィンとしては、炭素数が4〜10のα−オレフィンが挙げられ、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。
【0015】
ポリオレフィン系樹脂組成物には被覆酸化チタンが含有されている。この被覆酸化チタンは、酸化チタンの表面が、アルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を所定量含有する被覆層で被覆されてなる。
【0016】
ここで、酸化チタンは光を受けることによって活性化してラジカルを発生させ、酸化チタンに接触している有機物を酸化分解し黄変させてしまい、光反射板の光反射性を低下させてしまうといった問題点があった。
【0017】
更に、酸化チタンは、紫外線が照射されると、結晶中で光化学変化を生じて酸素欠陥が増大し、紫青色のTi+3を生じて暗灰色に変色することが知られている。そして、この光化学変化は可逆的なものであり、暗所に放置しておくと、暗灰色から白色に徐々に復元するという性質を有している。
【0018】
そこで、上述のように、酸化チタンの表面をアルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を所定割合で含有してなる被覆層で被覆することによって、酸化チタンとポリオレフィン系樹脂との接触を回避していると共に、アルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を共に被覆層に含有させることによって両者の相乗効果により酸化チタンに入射する紫外線を被覆層で吸収又は反射することによって概ね遮断することができ、酸化チタンの光触媒作用によるポリオレフィン系樹脂の酸化分解を抑制してポリオレフィン系樹脂の劣化を防止していると共に、紫外線による酸化チタンの結晶中における光化学変化による酸素欠陥に起因した暗灰色への変色を防止して、光反射板の光反射性能の低下を防止している。なお、酸化チタンには、ルチル型、アナターゼ型、イルメナイト型があるが、耐候性に優れているので、ルチル型が好ましい。又、酸化チタンの製造方法は、特に限定されず、例えば、硫酸チタン溶液を加水分解する所謂、硫酸法、ハロゲン化チタンを気相酸化する所謂、塩素法などが挙げられる。
【0019】
一方、光反射板には蛍光増白剤が含有されており、後述するように、蛍光増白剤は、紫外線を吸収して400〜470nmの波長領域の光を放射する。そして、被覆酸化チタンは、その表面の被覆層が一部の紫外線を反射し、この反射された紫外線を蛍光増白剤に吸収させることによって蛍光増白剤から放射される光量を増加させることができる。
【0020】
即ち、本発明の光反射板は、被覆酸化チタンを用いることによって、酸化チタンの光触媒作用によるポリオレフィン系樹脂の劣化を防止していると共に、紫外線による酸化チタンの暗灰色への変色を防止している上に、被覆酸化チタンによって反射された紫外線を蛍光増白剤に吸収させることによって蛍光増白剤から可視光線を放射させており、よって、本発明の光反射板は優れた光反射性を有している。
【0021】
上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量されたアルミニウムの酸化物のAl23に換算した量は、被覆酸化チタン中の酸化チタンの全重量に対して2〜6重量%に限定され、2〜5重量%が好ましく、2〜4重量%がより好ましい。
【0022】
換言すれば、上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量されたアルミニウムの酸化物のAl23に換算した量は、被覆酸化チタン中の酸化チタンの全重量を100重量%としたときに、2〜6重量%に限定され、2〜5重量%が好ましく、2〜4重量%がより好ましい。
【0023】
これは、被覆酸化チタンの被覆層において、アルミニウムの酸化物の量が少なくなると、酸化チタンの光触媒作用の抑制が不充分となりポリオレフィン系樹脂の劣化による着色を生じて光反射板の光反射性能が低下し、アルミニウムの酸化物の量が多くなると、被覆層が可視光線を吸収してしまい、酸化チタンによる光反射が低下し、その結果、光反射板の光反射性能が低下するからである。
【0024】
又、上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量されたケイ素の酸化物のSiO2に換算した量は、被覆酸化チタン中の酸化チタンの全重量に対して1〜7重量%に限定され、1〜6重量%が好ましく、1.5〜5重量%がより好ましい。
【0025】
換言すれば、上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量されたケイ素の酸化物のSiO2に換算した量は、被覆酸化チタン中の酸化チタンの全重量を100重量%としたときに、1〜7重量%に限定され、1〜6重量%が好ましく、1.5〜5重量%がより好ましい。
【0026】
これは、被覆酸化チタンの被覆層において、ケイ素の酸化物の量が少なくなると、酸化チタンの光触媒作用の抑制が不充分となりポリオレフィン系樹脂の劣化による着色を生じて光反射板の光反射性能が低下し、ケイ素の酸化物の量が多くなると、被覆層が可視光線を吸収してしまい、酸化チタンによる光反射が低下し、その結果、光反射板の光反射性能が低下するからである。
【0027】
なお、被覆酸化チタンの被覆層において、蛍光X線分析によって定量されたアルミニウムの酸化物のAl23に換算した量、及び、蛍光X線分析によって定量されたケイ素の酸化物のSiO2に換算した量は、蛍光X線分析装置を用いて測定される。
【0028】
具体的には、例えば、リガク社から商品名「RIX−2100」にて市販されている蛍光X線分析装置を用い、X線管(縦型Rh/Cr管(3/2.4kW))、分析径(10mmφ)、スリット(標準)、分光結晶(TAP(F〜Mg)PET(Al,Si)Ge(P〜Cl)LiF(K〜U))、検出器(F−PC(F〜Ca)SC(Ti〜U))、測定モード(バルク法、10m−Cr、バランス成分なし)の条件下にて測定することができる。
【0029】
詳細には、カーボン台上にカーボン両面粘着テープを貼着し、このカーボン両面粘着テープ上に被覆酸化チタンを貼着させる。被覆酸化チタンの貼着量は特に限定されないが、その目安としては0.1g程度であり、カーボン両面粘着テープ上に定めた一辺が12mmの平面正方形状の仮想枠部内に被覆酸化チタンを均一に貼着させ、被覆酸化チタンによってカーボン両面粘着テープを覆い、仮想枠部内のカーボン両面粘着テープが見えないようにすることが好ましい。
【0030】
次に、被覆酸化チタンが飛散するのを防止するために、ポリプロピレンフィルムをカーボン台に全面的に被せてX線測定用試料とし、このX線測定用試料を用いて蛍光X線分析装置により上記測定条件下にて、被覆酸化チタンの被覆層中のアルミニウムの酸化物のAl23に換算した量、及び、ケイ素の酸化物のSiO2に換算した量を測定することができる。
【0031】
なお、カーボン台としては、カーボンから形成されており、直径26mmで高さが7mmの円柱状であればよく、例えば、応研商事社から商品名「カーボン試料台」、コード番号#15・1046で市販されている。カーボン両面粘着テープとしては、例えば、応研商事社から市販されているSEM用導電性カーボン両面テープ(12mm幅、20m巻)を用いることができる。ポリプロピレンフィルムとしては、例えば、理学電機工業社から商品名「セルシート CatNo.3377P3」にて市販されている厚みが6μmのポリプロピレンフィルムを用いることができる。
【0032】
そして、ポリオレフィン系樹脂組成物中における被覆酸化チタンの含有量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して50〜130重量部に限定され、50〜150重量部が好ましく、55〜140重量部がより好ましく、60〜130重量部が特に好ましい。
【0033】
ポリオレフィン系樹脂組成物中における被覆酸化チタンの含有量が少なくなると、光反射板の光反射性が低下する。一方、ポリオレフィン系樹脂組成物中における被覆酸化チタンの含有量が多くなると、被覆酸化チタン間の距離が狭くなりすぎて被覆酸化チタンの光反射性が低下し、或いは、被覆酸化チタン同士が凝集してしまい、光反射板の光反射性が低下するからである。
【0034】
次に、上記被覆酸化チタンの製造方法について説明する。被覆酸化チタンを製造するには、無処理の酸化チタンを水又は水を主成分とする媒体中に分散させて水性スラリーを作製する。なお、酸化チタンの凝集度合いに応じて、酸化チタンを縦型サンドミル、横型サンドミル、ボールミルなどの湿式粉砕機を用いて予備粉砕してもよい。
【0035】
この際、水性スラリーのpHを9以上とすると、水性スラリー中に酸化チタンを安定的に分散させることができるので好ましい。更に、水性スラリー中に分散剤を添加してもよい。このような分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムなどのリン酸化合物、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなどのケイ酸化合物などが挙げられる。
【0036】
次に、酸化チタンの表面に、アルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含有する被覆層を形成させる。具体的には、水性スラリー中に、水溶性アルミニウム塩又は水溶性ケイ酸塩の何れか一方或いは双方を添加する。上記水溶性アルミニウム塩としては、例えば、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウムなどが挙げられる。又、上記水溶性ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなどが挙げられる。
【0037】
更に、水性スラリー中への水溶性アルミニウム塩又は水溶性ケイ酸塩の何れか一方或いは双方を添加した後に或いは添加と同時に中和剤を添加する。中和剤としては、特に限定されず、例えば、硫酸、塩酸などの無機酸、酢酸、ギ酸などの有機酸などの酸性化合物、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩、アンモニウム化合物などの塩基性化合物などが挙げられる。
【0038】
なお、酸化チタンの表面に、ケイ素の酸化物を含有する被覆層を形成する要領としては、特開昭53−33228号公報、特開昭58−84863号公報などに記載の方法を用いることができる。
【0039】
上述の要領で、酸化チタンの表面をアルミニウムの酸化物又はケイ素の酸化物の何れか一方或いは双方で全面的に被覆した後、ロータリープレス、ファイルタープレスなどの公知の濾過装置を用いて水性スラリーから酸化チタンを濾過、分離し、必要に応じて、酸化チタンを洗浄し可溶性塩類を除去する。
【0040】
そして、酸化チタンを必要に応じて加熱、焼成して、酸化チタンを被覆しているアルミニウムの酸化物又はケイ素の酸化物の何れか一方或いは双方から結晶水を脱離させてもよい。なお、酸化チタンの加熱、焼成には、ロータリーキルン、トンネルキルンなどの公知の焼成装置を用いることができる。
【0041】
水性スラリーに水溶性アルミニウム塩及び水溶性ケイ酸塩を添加した場合には、上述の要領によって、酸化チタンの表面がアルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含有する被覆層で被覆された被覆酸化チタンを得ることができる。
【0042】
一方、水性スラリーに水溶性アルミニウム塩又は水溶性ケイ酸塩の何れか一方だけを添加した場合には、水溶性アルミニウム塩又は水溶性ケイ酸塩のうちの何れか一方で被覆された酸化チタンを用いて上述と同様の要領で水性スラリーを作製し、この水性スラリーに、水溶性アルミニウム塩又は水溶性ケイ酸塩のうちの他方の塩を上述と同様の要領で添加して、酸化チタンの表面を水溶性アルミニウム塩又は水溶性ケイ酸塩のうちの他方の塩で被覆し、酸化チタンの表面がアルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含有する被覆層で被覆された被覆酸化チタンを得ることができる。
【0043】
なお、水溶性アルミニウム塩又は水溶性ケイ酸塩のうちの何れか一方で被覆された酸化チタンの凝集度合いに応じて、ハンマーミル、ピンミルなどの衝撃粉砕機、解砕機などの摩砕粉砕機、ジェットミルなどの気流粉砕機、スプレードライヤーなどの噴霧乾燥機、縦型サンドミル、横型サンドミル、ボールミルなどの湿式粉砕機などを用いて粉砕しておくこと好ましく、衝撃粉砕機、摩砕粉砕機が好ましい。
【0044】
又、ポリオレフィン系樹脂中における被覆酸化チタンの分散性を向上させるために、被覆酸化チタンの表面をチタンカップリング剤及びシランカップリング剤からなる群から選ばれた一種以上のカップリング剤、シロキサン化合物、多価アルコールで処理することが好ましく、シランカップリング剤で処理することがより好ましい。
【0045】
シランカップリング剤としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アミノ基、アリール基、エポキシ基などを有するアルコキシシラン類の他、クロロシラン類、ポリアルコキシアルキルシロキサン類などが挙げられる。具体的には、シランカップリング剤としては、例えば、n−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、n−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、n−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、n−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシランカップリング剤、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−ブチルメチルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルメチルジメトキシシラン、tert−ブチルメチルジエトキシシランなどのアルキルシランカップリング剤を挙げることができ、アミノシランカップリング剤が好ましい。なお、シランカップリング剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0046】
シロキサン化合物としては、例えば、ジメチルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、アルキル変性シリコーンなどを挙げることができる。又、多価アルコールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリプロパノールエタン、ペンタエリスリトール、ペンタエリトリットなどを挙げられ、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンが好ましい。なお、シロキサン化合物及び多価アルコールは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0047】
なお、上記被覆酸化チタンは、E.I.Dupont de Nemours&Co.、SCM Corporation、Kerr-McGee Co.、CanadeanTitanium Pigments Ltd.、Tioxide of Canada Ltd.、Pigmentos y Productos Quimicos、S.A.de C.V、Tibras Titanos S.A.、Tioxide International Ltd.、SCM Corp.、Kronos Titan GmbH、NL Chemical SA/NV、Tioxide、TDF Tiofine BV、石原産業社、テイカ社、堺化学工業社、古河機械金属社、トーケムプロダクツ、チタン工業社、富士チタン工業社、韓国チタニウム社、中国金属加工社、ISK台湾社などから市販されている。
【0048】
更に、ポリオレフィン系樹脂組成物には蛍光増白剤が含有されている。この蛍光増白剤は、紫外線を吸収して400〜470nmの波長領域の光を放射する化合物であれば、特に限定されず、例えば、スチルベン系蛍光増白剤、ベンゾオキサゾール系蛍光増白剤、イミダゾール系蛍光増白剤、クマリン系蛍光増白剤などが挙げられ、ベンゾオキサゾール系蛍光増白剤が好ましく、融点が200℃以上のベンゾオキサゾール系蛍光増白剤がより好ましく、融点が200〜400℃のベンゾオキサゾール系蛍光増白剤が特に好ましく、融点が210〜400℃のベンゾオキサゾール系蛍光増白剤が最も好ましい。蛍光増白剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0049】
なお、蛍光増白剤の融点は、JIS K7122(プラスチックの転移熱測定方法)に準拠して、試料量6〜7mg、リファレンス量6mg、窒素ガス流量:25ミリリットル/分、測定温度範囲:−40〜220℃、加熱速度:10℃/分の条件下にて測定された温度をいう。蛍光増白剤の融点は、例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー社から商品名「DSC6220型」にて市販されている示差走査熱量計装置を用いて測定することができる。
【0050】
蛍光増白剤としては、例えば、 三池染料社から商品名「MikephorBIconc.」、チバガイギー社から商品名「UvitexOB」、イーストマン社から商品名「OB−1」、住友精化社から商品名「TBO」、日本曹達社から商品名「ケイコール」、日本化薬社から商品名「カヤライト」にて市販されているものを用いることができる。
【0051】
又、ポリオレフィン系樹脂組成物中における蛍光増白剤の含有量は、少ないと、蛍光増白剤を含有させたことによる蛍光効果が発現せず、多いと、蛍光増白剤自体の色が顕著となり、光反射板の光反射性がかえって低下するので、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.003〜5重量部に限定され、0.01〜4重量部が好ましく、0.02〜3重量部がより好ましい。
【0052】
ポリオレフィン系樹脂組成物中に銅害防止剤が含有されていてもよい。銅害防止剤を含有させることによって、光反射板が銅などの金属と接触し、或いは、光反射板に銅イオンなどの重金属イオンが作用した場合にあっても、劣化促進因子である銅イオンなどをキレート化合物として捕捉することができ、光反射板を各種の液晶表示装置や照明装置などに組み込んだ場合において、光反射板が銅などの金属と接触しても、ポリオレフィン系樹脂が劣化し黄変することを防止することができる。
【0053】
上記銅害防止剤(金属不活性剤)としては、例えば、N,N−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジンなどのヒドラジン系化合物、3−(3,5−ジ−テトラ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルジハイドライジドなどが挙げられる。
【0054】
そして、ポリオレフィン系樹脂組成物中における銅害防止剤(金属不活性剤)の含有量は、少ないと、銅害防止剤を添加した効果が発現しないことがある一方、多いと、光反射板の光反射性が低下することがあるので、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.1〜1.0重量部が好ましい。
【0055】
又、ポリオレフィン系樹脂組成物中に帯電防止剤を含有させてもよい。ポリオレフィン系樹脂組成物中に帯電防止剤を含有させることによって光反射板の帯電を防止し、光反射板に埃やゴミが付着するのを防止することができ、光反射板の光反射性の低下を未然に防止することができる。
【0056】
このような帯電防止剤としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、エチレン−メタクリル酸共重合体などのアイオノマー、ポリエチレングリコールメタクリレート系共重合体などの第四級アンモニウム塩、特開2001−278985号公報に記載のオレフィン系ブロックと親水性ブロックとが繰返し交互に結合した構造を有するブロック共重合体などの高分子型帯電防止剤、無機塩、多価アルコール、金属化合物、カーボンなどが挙げられる。
【0057】
そして、高分子型帯電防止剤を除いた帯電防止剤のポリオレフィン系樹脂組成物中における含有量は、少ないと、帯電防止剤を添加した効果が発現しないことがある一方、多いと、帯電防止剤の添加濃度に見合った効果が得られないばかりか、帯電防止剤の効果の低下がみられ、或いは、著しいブリードアウト、着色及び光による黄変が生じることがあるので、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.1〜2重量部が好ましい。
【0058】
又、ポリオレフィン系樹脂組成物中における高分子型帯電防止剤の含有量は、上記と同様の理由で、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して5〜50重量部が好ましい。
【0059】
更に、ポリオレフィン系樹脂組成物中には、その物性を損なわない範囲内において、ステアリン酸金属石鹸などの分散剤、クエンチャー、帯電防止剤、ラクトン系加工安定剤などの添加剤が含有されていてもよい。
【0060】
本発明の光反射板の厚みは、薄いと、光反射板の剛性が低下して撓みが発生し、光反射板の取扱性又は施工性が低下することがあり、厚いと、光反射板を組み込んで形成される製品の厚みが厚くなるので、0.1〜1mmに限定され、0.3〜1mmが好ましい。
【0061】
次に、本発明の光反射板の製造方法について説明する。この光反射板は、発泡シート又は非発泡シートの何れであってもよい。
【0062】
先ず、本発明の光反射板が発泡シートから形成されている場合について説明する。この光反射板の製造方法としては、汎用の方法が採用され、例えば、ポリオレフィン系樹脂、被覆酸化チタン及び蛍光増白剤、必要に応じて添加剤を含有するポリオレフィン系樹脂組成物並びに発泡剤を押出機に供給して溶融混練して発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物とし、この発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を押出機の先端に取り付けたダイから押出発泡させて発泡シートからなる光反射板を製造する方法が挙げられる。なお、上記ダイとしては、押出発泡において汎用されているものであれば、特に限定されず、例えば、Tダイ、環状ダイなどが挙げられる。
【0063】
上記製造方法において、ダイとしてTダイを用いた場合には、押出機からシート状に押出発泡することによって発泡シートからなる光反射板を製造することができる一方、ダイとして環状ダイを用いた場合には、環状ダイから円筒状に押出発泡して円筒状体を製造し、この円筒状体を徐々に拡径した上で冷却マンドレルに供給して冷却した後、円筒状体をその押出方向に連続的に内外周面間に亘って切断し切り開いて展開することによって発泡シートからなる光反射板を製造することができる。
【0064】
なお、上記発泡剤としては、特に限定されず、プロパン、ブタン、ペンタンなどの飽和脂肪族炭化水素、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素などの有機ガス;二酸化炭素、窒素ガスなどの気体状の無機化合物;水などの液体状の無機化合物;重炭酸ナトリウムとクエン酸との混合物の如き、有機酸若しくはその塩と、重炭酸塩との混合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどの固体状の発泡剤などが挙げられ、有機酸若しくはその塩と、重炭酸塩との混合物、及び、有機ガスを併用することが好ましく、重炭酸ナトリウムとクエン酸との混合物、及び、有機ガスを併用することがより好ましい。
【0065】
次に、光反射板が非発泡シートから形成されている場合について説明する。この光反射板の製造方法としては、汎用の方法が採用され、例えば、ポリオレフィン系樹脂、被覆酸化チタン及び蛍光増白剤、必要に応じて添加剤を含有するポリオレフィン系樹脂組成物を押出機に供給して溶融混練し、押出機の先端に取り付けたTダイからシート状に押出して非発泡シートからなる光反射板を製造する方法が挙げられる。
【0066】
更に、複数のポリオレフィン系樹脂層が積層一体化されてなり、ポリオレフィン系樹脂層のうちの少なくとも一層のポリオレフィン系樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂100重量部、酸化チタンの表面がアルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含有する被覆層で被覆された被覆酸化チタン50〜130重量部、及び、蛍光増白剤0.003〜5重量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなり且つ厚みが0.1〜1mmであり、上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量された、アルミニウムの酸化物の量がAl23に換算して酸化チタンの全重量に対して2〜6重量%であり且つケイ素の酸化物の量がSiO2に換算して酸化チタンの全重量に対して1〜7重量%である光反射積層板であってもよい。なお、ポリオレフィン系樹脂層を構成しているポリオレフィン系樹脂組成物は上述した単層の光反射板の場合と同様の構成であるのでその説明を省略する。
【0067】
このような光反射積層板としては、例えば、上述の単層の光反射板の一面又は両面に、ポリオレフィン系樹脂発泡層又はポリオレフィン系樹脂非発泡層を積層一体化してなる光反射積層板などが挙げられる。
【0068】
このような光反射積層板の製造方法としては、汎用の方法が採用され、例えば、(1)上記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる発泡層と、非発泡層とを共押出法によって互いに積層一体化する方法、(2)上記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる非発泡層と、発泡層とを共押出法によって互いに積層一体化する方法、(3)上記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる非発泡シートの一面又は両面に発泡シートを押出ラミネートする方法、(4)上記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる非発泡シートの一面又は両面に発泡シートを熱ラミネートする方法などが挙げられ、上記(1)(2)の方法が好ましく、上記(1)(2)(3)のなかでもフィードブロック法を用いることがより好ましい。
【0069】
上記(1)(2)の方法を具体的に説明する。先ず、製造装置として、第一押出機及び第二押出機の二機の押出機と、合流ダイ及びこの合流ダイに接続させた環状ダイからなる共押出ダイとを用意し、第一押出機及び第二押出機を共に上記共押出ダイの合流ダイに接続する。
【0070】
そして、ポリオレフィン系樹脂及び発泡剤を第一押出機に供給して溶融混練して発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物とする一方、ポリオレフィン系樹脂を第二押出機に供給して発泡剤の不存在下にて溶融混練して非発泡性ポリオレフィン系樹脂とする。
【0071】
なお、発泡層が上記ポリオレフィン系樹脂組成物から構成される場合には第一押出機に、非発泡層が上記ポリオレフィン系樹脂組成物から構成される場合には第二押出機に、発泡層及び非発泡層が共に上記ポリオレフィン系樹脂組成物から構成される場合には第一、第二押出機の双方に、所定量の被覆酸化チタン及び蛍光増白剤を供給し、必要に応じて、第一押出機又は第二押出機に添加剤も更に供給する。
【0072】
次に、第一押出機の発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物及び第二押出機の非発泡性ポリオレフィン系樹脂を共押出ダイの合流ダイに供給して合流させ、断面円環状の発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物層と、この発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物層の内外面の何れか一方の面に積層された非発泡性ポリオレフィン系樹脂層とからなる発泡性積層体を形成し、この発泡性積層体を合流ダイに接続させた環状ダイに供給し、環状ダイから円筒状に押出発泡させて円筒状発泡体を得る。
【0073】
続いて、この円筒状発泡体を徐々に拡径させた上で冷却マンドレルに供給して円筒状発泡体を冷却した後、この円筒状発泡体をその押出方向に連続的に内外周面間に亘って切断することによって切り開いてシート状とし、二層のポリオレフィン系樹脂層が積層一体化されてなり且つ何れか一方或いは双方のポリオレフィン系樹脂層が上記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる光反射積層板を得ることができる。
【0074】
なお、環状ダイの開口部における内側ダイの外径と、冷却マンドレルの押出機側端部の外径との比(冷却マンドレルの押出機側端部の外径/内側ダイの外径)、所謂、ブローアップ比は、2.5〜3.5が好ましい。
【0075】
上記では、二層のポリオレフィン系樹脂層が積層一体化され、何れか一方或いは双方のポリオレフィン系樹脂層が上記ポリオレフィン系樹脂組成物からなり、且つ、一方のポリオレフィン系樹脂層が発泡層で、他方のポリオレフィン系樹脂層が非発泡層である場合を説明したが、二層のポリオレフィン系樹脂が共に発泡層であっても或いは非発泡層であってもよい。このような場合、第一押出機及び第二押出機の双方に発泡剤を供給し或いは供給しなければよい。
【0076】
更に、三層以上のポリオレフィン系樹脂層が積層一体化され、少なくとも一層のポリオレフィン系樹脂層が上記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる光反射積層板であってもよく、このような場合には、第一押出機及び第二押出機以外に別の押出機を用意し、全ての押出機を同一の共押出ダイに接続した上で、好ましくは、最外層となるポリオレフィン系樹脂層を除いたポリオレフィン系樹脂層が上記ポリオレフィン系樹脂組成物から構成されるように、何れか一つの押出機にポリオレフィン系樹脂組成物を供給して共押出して光反射積層板を製造すればよい。
【0077】
又、光反射積層板の全体の厚みは、薄いと、光反射積層板の剛性が不足し、反射積層板に撓みが生じる虞れがあり、又、光反射積層板を熱成形して任意の形状の反射体に形成する際に薄肉部が発生し易くなり、厚いと、光反射積層板を組み込む装置の厚みや重量が増大することがあるので、0.3〜1.5mmが好ましい。
【0078】
本発明の光反射板は、液晶表示装置を構成する直下ライト式バックライト、サイドライト式バックライト又は面状光源方式バックライト内に組み込んで用いることができる。
【0079】
更に、本発明の光反射板は、ワードプロセッサー、パーソナルコンピュータ、携帯電話、ナビゲーションシステム、テレビジョン、携帯型テレビなどの液晶表示装置のバックライトユニット、照明ボックスのような面発光システムの照明具のバックライト、スロトボ照明器、複写機、プロジェクター方式のディスプレイ、ファクシミリ、電子黒板などを構成する照明装置内に組み込んで用いることもできる。
【発明の効果】
【0080】
本発明の光反射板及び光反射積層板は、上述の如き構成をしているので、被覆酸化チタンの酸化チタンはポリオレフィン系樹脂と直接、接触することがないと共に、被覆酸化チタンの被覆層が紫外線を吸収し或いは反射して酸化チタンへの紫外線の入射を概ね防止して酸化チタンの光触媒作用を略抑制しており、よって、ポリオレフィン系樹脂が酸化チタンによって酸化分解を生じて着色するようなことはなく、光反射板及び光反射積層板は長期間に亘って優れた光反射性を維持する。
【0081】
又、被覆酸化チタンは、その被覆層によって酸化チタンへの紫外線の入射が概ね防止されており、酸化チタンの結晶中における光化学変化による酸素欠陥による暗灰色への変色を防止することができ、光反射板及び光反射積層板がその使用中に酸化チタンの変色に伴う着色を生じることは殆どなく、光反射板及び光反射積層板はその使用中において優れた光反射性を有する。
【0082】
そして、被覆酸化チタンは、その被覆層によって紫外線の一部を反射し、この反射された紫外線は蛍光増白剤によって吸収されて蛍光増白剤から可視光線が放射される。従って、本発明の光反射板及び光反射積層板は、優れた光反射性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】バックライトユニットを示した縦断面図である。
【図2】光反射積層板の輝度を測定した際における拡散シート表面の測定点を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
(実施例1)
一段目の単軸押出機(口径:90mm)の先端に接続管を介して二段目の単軸押出機(口径:115mm)が接続されてなるタンデム型押出機と、口径が65mmの第一単軸押出機を用意し、タンデム型押出機の二段目の単軸押出機と口径が65mmの第一単軸押出機を共に合流ダイに接続させると共に、上記合流ダイに環状ダイを接続させた。
【0085】
ホモポリプロピレン(サンアロマー社製 商品名「PL500A」、融点:165℃、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)42重量部、エチレン−プロピレンブロック共重合体中に被覆酸化チタンが含有されてなるマスターバッチ(大日本インキ社製 商品名「PEONY HP L−11245WHT」、エチレン−プロピレンブロック共重合体:40重量%、被覆酸化チタン:60重量%)58重量部、及び、蛍光増白剤として4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(イーストマン社製 商品名「OB−1」、融点:367℃)0.005重量部を混合してポリオレフィン系樹脂組成物を得た。蛍光増白剤は、紫外線を吸収して400〜470nmの波長領域の光を放射した。
【0086】
なお、マスターバッチ中の被覆酸化チタンは、ルチル型酸化チタンの表面がアルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含有する被覆層で被覆されていた。被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量された、アルミニウムの酸化物の量がAl23に換算して酸化チタンの全重量に対して3.1重量%であり且つケイ素の酸化物の量がSiO2に換算して酸化チタンの全重量に対して4.2重量%であった。
【0087】
第一単軸押出機にホモポリプロピレン(サンアロマー社製 商品名「PL500A」、融点:165℃、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)を供給して200℃にて溶融混練して、押出機の先端に取り付けた合流ダイに連続的に供給した。
【0088】
一方、タンデム型押出機の一段目の単軸押出機に上記ポリオレフィン系樹脂組成物を供給して200℃にて溶融混練した後、ポリオレフィン系樹脂組成物を一段目の単軸押出機から接続管を通じて連続的に二段目の単軸押出機に供給し、二段目の単軸押出機の先端に取り付けた合流ダイに連続的に供給した。
【0089】
第一単軸押出機から押出されたホモポリプロピレンと、タンデム型押出機の二段目の単軸押出機から押出されたポリオレフィン系樹脂組成物とを合流ダイ内にて合流させて、第一単軸押出機から押出されたホモポリプロピレンからなるホモポリプロピレン層の外周面に、タンデム型押出機の二段面の押出機から押出されたポリオレフィン系樹脂組成物からなるポリオレフィン系樹脂組成物層が積層一体化してなる積層体を形成し、この積層体を合流ダイに接続させた環状ダイに供給し、環状ダイから円筒状に押出して円筒状体を得た。なお、環状ダイは、その開口部において、内側ダイの外径が140mm、スリット間隔が0.55mmであった。
【0090】
しかる後、上記円筒状体を徐々に拡径させながら引取りつつ、内部に25℃の冷却水を循環させた直径が424mmで長さが500mmの円筒状の冷却マンドレルに沿わせて成形しながら、冷却マンドレルを包囲した状態に配設されてなるエアリングの吹出口からエアーを円筒状体の外周面全面に吹き付けて冷却した後、この円筒状体をその直径方向に対向する二点において内外周面間に亘って切断し切り開いて展開することによって、ポリオレフィン系樹脂組成物からなる厚みが0.4mmのポリオレフィン系樹脂層の一面に、厚みが0.01mmのホモポリプロピレン層が積層一体化されてなる光反射積層板を得た。なお、光反射積層板において、ポリオレフィン系樹脂層の密度は1.24g/cm3であり、ホモポリプロピレン層の密度は0.9g/cm3であった。
【0091】
(実施例2)
蛍光増白剤の量を0.005重量部の代わりに0.025重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、ポリオレフィン系樹脂組成物からなる厚みが0.4mmのポリオレフィン系樹脂層の一面に、厚みが0.01mmのホモポリプロピレン層が積層一体化されてなる光反射積層板を得た。なお、光反射積層板において、ポリオレフィン系樹脂層の密度は1.24g/cm3であり、ホモポリプロピレン層の密度は0.9g/cm3であった。
【0092】
(実施例3)
蛍光増白剤の量を0.005重量部の代わりに0.1重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、ポリオレフィン系樹脂組成物からなる厚みが0.4mmのポリオレフィン系樹脂層の一面に、厚みが0.01mmのホモポリプロピレン層が積層一体化されてなる光反射積層板を得た。なお、光反射積層板において、ポリオレフィン系樹脂層の密度は1.24g/cm3であり、ホモポリプロピレン層の密度は0.9g/cm3であった。
【0093】
(実施例4)
一段目の単軸押出機(口径:90mm)の先端に接続管を介して二段目の単軸押出機(口径:115mm)が接続されてなるタンデム型押出機と、口径が65mmの第一単軸押出機と、口径が90mmの第二単軸押出機とを用意し、タンデム型押出機の二段目の単軸押出機と、口径が65mmの第一単軸押出機と、口径が90mmの第二単軸押出機とを共に合流ダイに接続させると共に、上記合流ダイに環状ダイを接続させた。
【0094】
ホモポリプロピレン(サンアロマー社製 商品名「PF814」、メルトフローレイト:2.8g/10分、密度:0.9g/cm3)40重量部、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製 商品名「PL500A」、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)60重量部、及び、重炭酸ナトリウムとクエン酸との混合物1.0重量部をタンデム型押出機の一段目の押出機に供給して200℃にて溶融混練した後、ブタン(イソブタン/ノルマルブタン(重量%)=35:65)1重量部を一段目の押出機に圧入して更に溶融混練して発泡性ホモポリプロピレン組成物とした。
【0095】
続いて、上記発泡性ホモポリプロピレン組成物を一段目の単軸押出機から接続管を通じて連続的に二段目の単軸押出機に供給して発泡性ホモポリプロピレン組成物を180℃に冷却した上で、二段目の単軸押出機の先端に取り付けた合流ダイに連続的に供給した。
【0096】
第一単軸押出機にホモポリプロピレン(サンアロマー社製 商品名「PL500A」、融点:165℃、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)を供給して200℃にて溶融混練して、押出機の先端に取り付けた合流ダイに連続的に供給した。
【0097】
一方、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製 商品名「PL500A」、融点:165℃、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)42重量部、エチレン−プロピレンブロック共重合体中に被覆酸化チタンが含有されてなるマスターバッチ(大日本インキ社製 商品名「PEONY HP L−11245WHT」、エチレン−プロピレンブロック共重合体:40重量%、被覆酸化チタン:60重量%)58重量部、及び、蛍光増白剤として4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(イーストマン社製 商品名「OB−1」、融点:367℃)0.1重量部を混合してポリオレフィン系樹脂組成物を得た。
【0098】
なお、マスターバッチ中の被覆酸化チタンは、ルチル型酸化チタンの表面がアルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含有する被覆層で被覆されていた。被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量された、アルミニウムの酸化物の量がAl23に換算して酸化チタンの全重量に対して3.1重量%であり且つケイ素の酸化物の量がSiO2に換算して酸化チタンの全重量に対して4.2重量%であった。
【0099】
第二単軸押出機に上記ポリオレフィン系樹脂組成物を供給して200℃にて溶融混練して、押出機の先端に取り付けた合流ダイに連続的に供給した。
【0100】
第一単軸押出機から押出されたホモポリプロピレンと、第二単軸押出機から押出されたポリオレフィン系樹脂組成物と、タンデム型押出機の二段目の単軸押出機から押出された発泡性ホモポリプロピレン組成物とを合流ダイ内にて合流させて、第一単軸押出機から押出されたホモポリプロピレンからなるホモポリプロピレン層の外周面に、第二単軸押出機から押出されたポリオレフィン系樹脂組成物からなるポリオレフィン系樹脂組成物層と、タンデム型押出機の二段面の押出機から押出された発泡性ホモポリプロピレン組成物からなる発泡性ホモポリプロピレン組成物層とがこの順序で積層一体化してなる積層体を形成し、この積層体を合流ダイに接続させた環状ダイに供給し、環状ダイから円筒状に押出して円筒状体を得た。なお、環状ダイは、その開口部において、内側ダイの外径が140mm、スリット間隔が0.7mmであった。
【0101】
しかる後、上記円筒状体を徐々に拡径させながら引取りつつ、内部に25℃の冷却水を循環させた直径が424mmで長さが500mmの円筒状の冷却マンドレルに沿わせて成形しながら、冷却マンドレルを包囲した状態に配設されてなるエアリングの吹出口からエアーを円筒状体の外周面全面に吹き付けて冷却した後、この円筒状体をその直径方向に対向する二点において内外周面間に亘って切断し切り開いて展開することによって、ポリオレフィン系樹脂組成物からなる厚みが0.4mmのポリオレフィン系樹脂層の一面に、厚みが0.01mmのホモポリプロピレン層が積層一体化され、且つ、ポリオレフィン系樹脂層の他面に、厚みが0.4mmのホモポリプロピレン発泡層が積層一体化されてなる光反射積層板を得た。なお、光反射積層板において、ポリオレフィン系樹脂層の密度は1.24g/cm3であり、ホモポリプロピレン層の密度は0.9g/cm3であり、ホモポリプロピレン発泡層の密度は0.46g/cm3であった。
【0102】
(実施例5)
蛍光増白剤の量を0.005重量部の代わりに3重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、ポリオレフィン系樹脂組成物からなる厚みが0.4mmのポリオレフィン系樹脂層の一面に、厚みが0.01mmのホモポリプロピレン層が積層一体化されてなる光反射積層板を得た。なお、光反射積層板において、ポリオレフィン系樹脂層の密度は1.24g/cm3であり、ホモポリプロピレン層の密度は0.9g/cm3であった。
【0103】
(実施例6)
ホモポリプロピレンの量を42重量部の代わりに30重量部としたこと、エチレン−プロピレンブロック共重合体中に被覆酸化チタンが含有されてなるマスターバッチの量を58重量部の代わりに70重量部としたこと、蛍光増白剤を0.005重量部の代わりに0.1重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン系樹脂組成物からなる厚みが0.4mmのポリオレフィン系樹脂層の一面に、厚みが0.01mmのホモポリプロピレン層が積層一体化されてなる光反射積層板を得た。なお、光反射積層板において、ポリオレフィン系樹脂層の密度は1.34g/cm3であり、ホモポリプロピレン層の密度は0.9g/cm3であった。
【0104】
(実施例7)
蛍光増白剤として、2,5−チオフェンジイル(5−ter−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール(チバガイギー社製 商品名「UvitexOB」、融点:204℃)0.5重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン系樹脂組成物からなる厚みが0.4mmのポリオレフィン系樹脂層の一面に、厚みが0.01mmのホモポリプロピレン層が積層一体化されてなる光反射積層板を得た。なお、光反射積層板において、ポリオレフィン系樹脂層の密度は1.24g/cm3であり、ホモポリプロピレン層の密度は0.9g/cm3であった。なお、蛍光増白剤は、紫外線を吸収して400〜470nmの波長領域の光を放射した。
【0105】
(実施例8)
ホモポリプロピレンの量を42重量部の代わりに7重量部としたこと、エチレン−プロピレンブロック共重合体中に被覆酸化チタンが含有されてなるマスターバッチの量を58重量部の代わりに93重量部としたこと以外は実施例3と同様にしてポリオレフィン系樹脂組成物からなる厚みが0.4mmのポリオレフィン系樹脂層の一面に、厚みが0.01mmのホモポリプロピレン層が積層一体化されてなる光反射積層板を得た。なお、光反射積層板において、ポリオレフィン系樹脂層の密度は1.61g/cm3であり、ホモポリプロピレン層の密度は0.9g/cm3であった。
【0106】
(比較例1)
ポリオレフィン系樹脂組成物中に蛍光増白剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン系樹脂組成物からなる厚みが0.4mmのポリオレフィン系樹脂層の一面に、厚みが0.01mmのホモポリプロピレン層が積層一体化されてなる光反射積層板を得た。なお、光反射積層板において、ポリオレフィン系樹脂層の密度は1.24g/cm3であり、ホモポリプロピレン層の密度は0.9g/cm3であった。
【0107】
(比較例2)
ポリオレフィン系樹脂組成物中に蛍光増白剤を添加しなかったこと以外は実施例4と同様にして、ポリオレフィン系樹脂組成物からなる厚みが0.4mmのポリオレフィン系樹脂層の一面に、厚みが0.01mmのホモポリプロピレン層が積層一体化され、且つ、ポリオレフィン系樹脂層の他面に、厚みが0.4mmのホモポリプロピレン発泡層が積層一体化されてなる光反射積層板を得た。なお、光反射積層板において、ポリオレフィン系樹脂層の密度は1.24g/cm3であり、ホモポリプロピレン層の密度は0.9g/cm3であり、ホモポリプロピレン発泡層の密度は0.46g/cm3であった。
【0108】
(比較例3)
ホモポリプロピレンの量を42重量部の代わりに67重量部としたこと、エチレン−プロピレンブロック共重合体中に被覆酸化チタンが含有されてなるマスターバッチの量を58重量部の代わりに33重量部としたこと、蛍光増白剤の量を0.005重量部の代わりに0.025重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン系樹脂組成物からなる厚みが0.4mmのポリオレフィン系樹脂層の一面に、厚みが0.01mmのホモポリプロピレン層が積層一体化されてなる光反射積層板を得た。なお、光反射積層板において、ポリオレフィン系樹脂層の密度は1.07g/cm3であり、ホモポリプロピレン層の密度は0.9g/cm3であった。
【0109】
(比較例4)
エチレン−プロピレンブロック共重合体中に被覆酸化チタンが含有されてなるマスターバッチとして、エチレン−プロピレンブロック共重合体中に被覆酸化チタンが含有されてなるマスターバッチ(東洋インキ社製 商品名「PPM 1KB662 WHT FD」、エチレン−プロピレンブロック共重合体:30重量%、被覆酸化チタン:70重量%)50重量部を用いたこと、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製 商品名「PL500A」、融点:165℃、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)を42重量部の代わりに50重量部としたこと、蛍光増白剤の量を0.005重量部の代わりに0.025重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン系樹脂組成物からなる厚みが0.4mmのポリオレフィン系樹脂層の一面に、厚みが0.01mmのホモポリプロピレン層が積層一体化されてなる光反射積層板を得た。なお、光反射積層板において、ポリオレフィン系樹脂層の密度は1.24g/cm3であり、ホモポリプロピレン層の密度は0.9g/cm3であった。
【0110】
なお、マスターバッチ中の被覆酸化チタンは、ルチル型酸化チタンの表面がアルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含有する被覆層で被覆されていた。被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量された、アルミニウムの酸化物の量がAl23に換算して酸化チタンの全重量に対して1.4重量%であり且つケイ素の酸化物の量がSiO2に換算して酸化チタンの全重量に対して0.7重量%であった。
【0111】
得られた光反射積層板の輝度評価及び光線反射率(Y値)について下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
【0112】
(輝度評価)
図1に示したように、断面上向きコ字状のフレーム1の前面に光反射積層板Aを配設すると共に、この光反射積層板Aの前方5mmの位置にφ4mmの冷陰極管2を15本、配設し、更に、冷陰極管2の前方に、拡散板3、拡散シート4、プリズムシート5及び拡散シート6をこの順序に配設してなる有効画面サイズが52cm×30cmのバックライトユニットを作製した。
【0113】
暗室中に配設したバックライトユニットのフレーム1の前面に配設する光反射積層板として各実施例又は比較例で得られた光反射積層板Aを用いて、全ての冷陰極管を室温20℃、相対湿度60%の環境下にて1時間に亘って点灯させた。光反射積層板Aをフレーム1の前面に配設する場合には、光反射積層板Aのホモポリプロピレン層が冷陰極管2に対向した状態に配設した。なお、冷陰極管2から光反射積層板Aに対して照射される光は、照度が11000ルクスであった。
【0114】
そして、バックライトユニットの拡散シート6表面に、拡散シート6の縁辺に平行な仮想直線を図2に示したように10cm間隔に格子状に描き、この格子の9個の交点における輝度を色彩輝度計(トプコンテクノハウス社製 商品名「BM−7」)を用いて測定した。そして、各交点における輝度の相加平均値を輝度とした。なお、交点Eが拡散シート6の対角線の交点に位置するように調整した。
【0115】
(光線反射率(Y値))
輝度評価で用いたバックライトユニットを用意した。各実施例及び比較例毎に30個の光反射積層板Aを用意した。輝度評価で用いたバックライトユニットに組み込む前の各光反射積層板Aの光線反射率(Y値)を分光測色計(コニカミノルタ社製 商品名「CM−2600d」)を用いて測定し、各光反射積層板Aの光線反射率(Y値)の相加平均値をバックライトユニット(BLU)組込前の光線反射率(Y値)とした(表1では「BLU組込前」の欄に記載した)。なお、光線反射率(Y値)の測定は、F10光源を用い、視野角2°にて可視光領域(360〜740nm)の光線反射率(Y値)を測定した。その他の光線反射率(Y値)の測定条件としては、コニカミノルタ社から商品名「CM−A145」にて市販されている白色校正板を用い、測定径をφ8mm、測定モードをSCIとし、紫外線照射条件を波長400nm以下照射有り、測定温度を20℃、相対湿度を60%とした。
【0116】
次に、暗室中に配設したバックライトユニットのフレーム1の前面に配設する光反射積層板として、各実施例又は比較例で得られた光反射積層板Aを用い、全ての冷陰極管2を室温20℃、相対湿度60%の環境下にて1時間に亘って点灯させた後に光反射積層板Aをバックライトユニットから取り出し、暗室中に室温20℃、相対湿度60%の環境下にて15分間に亘って放置した。
【0117】
なお、バックライトユニットから光反射積層板Aを取り出してから15分間に亘って放置しているが、これは、光反射積層板Aが加熱されており、光線反射率(Y値)の測定において熱の影響を排除するためである。光反射積層板Aをバックライトユニットから取り出した直後の光線反射率(Y値)と、取り出してから15分後の光線反射率(Y値)とでは、熱の影響を除外すると同一視することができる。
【0118】
光反射積層板をフレーム1の前面に配設する場合には、光反射積層板Aのホモポリプロピレン層が冷陰極管2に対向した状態に配設した。冷陰極管2から光反射積層板に対して照射される光は、照度が11000ルクスであった。
【0119】
しかる後、各光反射積層板Aの光線反射率(Y値)を上述と同様の要領で測定し、バックライトユニット(BLU)組込後1時間の光線反射率(Y値)とした(表1では「BLU組込後1h」の欄に記載した)。
【0120】
【表1】

【符号の説明】
【0121】
1 フレーム
2 冷陰極管
3 拡散板
4 拡散シート
5 プリズムシート
6 拡散シート
A 光反射積層板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂100重量部、酸化チタンの表面がアルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含有する被覆層で被覆された被覆酸化チタン50〜130重量部、及び、蛍光増白剤0.003〜5重量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなり且つ厚みが0.1〜1mmである光反射板であって、上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量された、アルミニウムの酸化物の量がAl23に換算して酸化チタンの全重量に対して2〜6重量%であり且つケイ素の酸化物の量がSiO2に換算して酸化チタンの全重量に対して1〜7重量%であることを特徴とする光反射板。
【請求項2】
ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の光反射板。
【請求項3】
蛍光増白剤が、融点が200℃以上のベンゾオキサゾール系蛍光増白剤であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光反射板。
【請求項4】
複数のポリオレフィン系樹脂層が積層一体化されてなる光反射積層板であって、少なくとも一層のポリオレフィン系樹脂層は、ポリオレフィン系樹脂100重量部、酸化チタンの表面がアルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含有する被覆層で被覆された被覆酸化チタン50〜130重量部、及び、蛍光増白剤0.003〜5重量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなり且つ厚みが0.1〜1mmであり、上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量された、アルミニウムの酸化物の量がAl23に換算して酸化チタンの全重量に対して2〜6重量%であり且つケイ素の酸化物の量がSiO2に換算して酸化チタンの全重量に対して1〜7重量%であることを特徴とする光反射積層板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−75932(P2011−75932A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228795(P2009−228795)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】