説明

光反射積層体、これを用いてなる光反射成形体、並びにこれらを用いてなる表示装置及び照明装置

【課題】優れた強度を有すると共に、打ち抜き成形性及び熱成形性に優れる光反射積層体を提供する。
【解決手段】本発明の光反射積層体は、非環式オレフィン系樹脂100重量部、環式オレフィン系樹脂10〜180重量部、及び酸化チタン30〜200重量部を含む樹脂層(A)の少なくとも一方の面に、非環式オレフィン系樹脂100重量部及び環式オレフィン系樹脂10〜180重量部を含む樹脂層(B)が積層一体化されてなることを特徴とする。本発明の光反射積層体に用いられる非環式オレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられ、ポリプロピレン及びエチレン−プロピレン共重合体を組み合わせて用いるのが特に好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた強度を有すると共に、打ち抜き成形性及び熱成形性に優れた光反射積層体、上記光反射積層体を成形してなる光反射成形体、並びにこれらを用いてなる表示装置及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置として液晶表示装置が様々な用途に用いられている。この液晶表示装置では、液晶セルの背面にバックライトユニットが配設される。バックライトユニットは、冷陰極管やLEDなどの発光光源、ランプリフレクタ、導光板、及び上記導光板の後面側に配設された光反射板からなる。この光反射板は、導光板の後面側に漏れた光を液晶セル側に向かって反射させる役割を果たしている。
【0003】
表示装置などの大画面化に伴って、光反射板の大型化も所望されている。しかしながら、強度が低い光反射板を大型化した場合、このような光反射板は不用意に撓むため、上記光反射板を搬送する際の取扱性が低いという問題がある。さらに、不用意に撓む光反射板では、これを表示装置内の所望の位置に配設するのも困難となり表示装置の生産性を低下させる問題もある。そこで、光反射板には、不用意に撓むことのないように優れた強度を有している必要がある。
【0004】
光反射板としては、特許文献1の実施例11に、環状オレフィン系樹脂及び酸化チタンを60:40の重量比で含む未延伸樹脂フィルムが開示されている。このような未延伸樹脂フィルムでは、環状オレフィン系樹脂と酸化チタンとの屈折率差により生じる光反射を利用することにより光反射性が得られている。また、未延伸樹脂フィルムは、環状オレフィン系樹脂を50重量%以上と高濃度で含んでいることにより優れた強度も確保している。
【0005】
また、光反射板として、特許文献1では、環状オレフィン系樹脂及び酸化チタンを含む樹脂フィルムを少なくとも一軸方向に延伸させてなる多孔性樹脂フィルムも開示されている。特許文献1の多孔性樹脂フィルムは、樹脂フィルムを延伸することにより、酸化チタンを起点として形成された微細なボイドを有している。そして、特許文献1の多孔性樹脂フィルムでは、環状オレフィン系樹脂と酸化チタンとの屈折率差により生じる光反射、及び環状オレフィン系樹脂と酸化チタンの周囲に形成されるボイドとの屈折率差により生じる光反射を利用することにより、優れた光反射性が得られている。また、特許文献1の実施例で開示されているいずれの多孔性樹脂フィルムも、環状オレフィン系樹脂を50重量%以上と高濃度で含むことにより優れた強度を確保している。
【0006】
さらに、特許文献1の多孔性樹脂フィルムでは、環状オレフィン系樹脂中に、無機充填剤の他に、環状オレフィン系樹脂に非相溶な非溶性樹脂を微分散させることが開示されている。上記非溶性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が挙げられている。そして、特許文献1の実施例10では、環状オレフィン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、相溶化剤、及びルチル型酸化チタンを51:7:2:40の重量比で含む樹脂フィルムを2軸延伸してなる多孔性樹脂フィルムが開示されている。
【0007】
このような非溶性樹脂は、この非溶性樹脂と環状オレフィン系樹脂との屈折率差により光反射を生じさせて多孔性樹脂フィルムに光反射性を付与するために用いられている。したがって、非溶性樹脂は、多孔性樹脂フィルムに非常に少量で用いられており、多孔性樹脂フィルムの機械的物性にはほとんど影響していない。
【0008】
また、上記多孔性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、環状オレフィン系樹脂及び熱可塑性エラストマーを含む樹脂フィルム層を積層一体化させてなる光反射積層体が引用文献2に開示されている。特許文献2の実施例において開示されているいずれの光反射積層体もまた、多孔性樹脂フィルム及び樹脂フィルム層のそれぞれにおいて環状オレフィン系樹脂を50重量%以上と高濃度で含むことにより優れた強度を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−186152号公報
【特許文献2】特開2010−241005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
光反射板や光反射積層体を表示装置などに組み込む際に、光反射板及び光反射積層体はこれらを打ち抜き成形することにより所望の形状に成形された光反射成形体として用いられる場合がある。しかしながら、引用文献1の未延伸樹脂フィルム及び多孔性樹脂フィルム、並びに引用文献2の光反射積層体を打ち抜き成形により所望の形状に成形すると、未延伸樹脂フィルム、多孔性樹脂フィルム、及び光反射積層体はいずれも強度が非常に高いために亀裂などの成形不良を生じる場合が多く、打ち抜き成形性が低いという問題があった。
【0011】
また、光反射板や光反射積層体を表示装置などに組み込む際に、光反射板及び光反射積層体はこれらを熱成形することによって立体的な形状に成形された光反射成形体として用いられる場合もある。しかしながら、特許文献1の多孔性樹脂フィルムは、過度に延伸処理がされていることによって熱成形性が低下している。このような多孔性樹脂フィルムを熱成形すると、得られる成形体に破れや孔開きなどの成形不良を生じるという問題があった。
【0012】
したがって、本発明の目的は、優れた強度を有すると共に、打ち抜き成形性及び熱成形性に優れた光反射積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の光反射積層体は、非環式オレフィン系樹脂100重量部、環式オレフィン系樹脂10〜180重量部、及び酸化チタン30〜200重量部を含む樹脂層(A)の少なくとも一方の面に、
非環式オレフィン系樹脂100重量部及び環式オレフィン系樹脂10〜180重量部を含む樹脂層(B)が積層一体化されてなることを特徴とする。
【0014】
[非環式オレフィン系樹脂]
樹脂層(A)及び樹脂層(B)はそれぞれ非環式オレフィン系樹脂を含む。本発明において、非環式オレフィン系樹脂とは、繰り返し単位中に、炭素原子のみで形成された環構造を有しておらず且つ鎖状のオレフィン系樹脂を意味する。鎖状のオレフィン系樹脂には直鎖構造のオレフィン系樹脂及び分岐構造を有するオレフィン系樹脂を含む。このような非環式オレフィン系樹脂は、炭素原子のみで形成された環構造を有していないオレフィンを重合又は共重合することにより製造された重合体である。非環式オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、及びポリプロピレン系樹脂などが好ましく挙げられる。これらの非環式オレフィン系樹脂は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0015】
上記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンなどが挙げられる。
【0016】
また、上記ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、及びプロピレン−共役ジエン共重合体などが挙げられる。なお、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、及びプロピレン−共役ジエン共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体の何れであってもよい。
【0017】
エチレン−プロピレン共重合体におけるエチレン成分の含有量は、0.5〜30重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。エチレン成分の含有量が0.5重量%未満であるエチレン−プロピレン共重合体は、環状オレフィン系樹脂に対する相溶性が低下するする虞れがある。また、エチレン成分の含有量が30重量%を超えるエチレン−プロピレン共重合体では、得られる光反射積層体の強度や耐熱性を低下させる虞れがある。耐熱性が低い光反射板では、これが60℃以上の高温雰囲気下に設置された場合に、変形する虞れがある。
【0018】
プロピレン−α−オレフィン共重合体中におけるα−オレフィン成分の含有量は、0.5〜30重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。α−オレフィンとしては、炭素数が4〜10のα−オレフィンが挙げられ、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。
【0019】
プロピレン−共役ジエン共重合体、における共役ジエン成分の含有量は、0.5〜30重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘプタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、及び2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンなどが挙げられる。
【0020】
なかでも、樹脂層(A)及び樹脂層(B)に用いられる非環式オレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂が好ましく挙げられる。ポリプロピレン系樹脂を用いることにより、より優れた強度を有していると共に、打ち抜き成形に供しても成形不良の発生を高く抑制して所望の形状に加工成形することができる光反射積層体を提供することができる。
【0021】
また、樹脂層(A)及び樹脂層(B)は、それぞれ非環式オレフィン系樹脂として、ホモポリプロピレン及びエチレン−プロピレン共重合体を含んでいるのが好ましい。エチレン−プロピレン共重合体は、環状オレフィン系樹脂及びホモポリプロピレンの双方に対して優れた相溶性を有する。したがって、ホモポリプロピレン及びエチレン−プロピレン共重合体を用いることにより、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、及び環状オレフィン系樹脂を樹脂層(A)及び(B)中で均一に分散させることができ、打ち抜き成形に供した際に成形不良の発生をより高く抑制することが可能な光反射積層体を提供することができる。また、複数枚の光反射積層体を積層して積層体を得、この積層体を打ち抜き成形することによって、光反射積層体の打ち抜き成形体の生産性を向上させることができるが、このように積層体を打ち抜き成形する際にはより高い圧力が積層体中の光反射積層体に加わるため、光反射積層体に亀裂などの成形不良が特に生じやすい。しかしながら、ポリプロピレン系樹脂としてホモポリプロピレン及びエチレン−プロピレン共重合体を含有している樹脂層(A)及び(B)を含んでいる光反射積層体では、これを複数枚積層した上で打ち抜き成形したとしても成形不良の発生を高く抑制することができる。
【0022】
さらに、ポリプロピレン系樹脂としてホモポリプロピレン及びエチレン−プロピレン共重合体を含んでいる樹脂層(A)及び(B)中では、上述の通り、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、及び環状オレフィン系樹脂が均一に分散されている。したがって、このような樹脂層(A)及び(B)を含む光反射積層体によれば、これを熱成形しても、厚みが局所的に薄くなる部分を生じることなく均一な厚みを有し、光反射積層体が有する優れた光反射性を維持しつつ所望の形状に成形された光反射成形体を提供することも可能となる。
【0023】
樹脂層(A)及び(B)のそれぞれにおいて、ポリプロピレン系樹脂におけるホモポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体との重量比は、80:10〜8:10が好ましく、35:10〜10:10がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂におけるホモポリプロピレンの重量比が高過ぎると、光反射積層体を打ち抜き成形に供した際に、成形不良の発生を十分に抑制できない虞れがある。また、ポリプロピレン系樹脂におけるホモポリプロピレンの重量比が低過ぎると、光反射積層体の強度が低下する虞れがある。
【0024】
[環式オレフィン系樹脂]
樹脂層(A)及び樹脂層(B)はそれぞれ環式オレフィン系樹脂を含む。本発明において、環式オレフィン系樹脂とは、繰り返し単位中に、炭素原子のみで形成された環構造を有しているオレフィン系樹脂を意味する。このような環式オレフィン系樹脂は、炭素原子のみで形成された環構造を有するオレフィンを重合又は共重合することにより製造された重合体である。炭素原子のみで形成された環構造としては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、及びシクロデカンなどに由来するシクロアルカン構造、並びにシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、及びシクロデセンなどに由来するシクロアルケン構造などが好ましく挙げられる。また、環式オレフィン系樹脂は、その一部の水素が水酸基、カルボキシル基、ニトリル基、アリール基、及びアルコキシシリル基などの官能基やハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0025】
環式オレフィン系樹脂は、好ましくは、炭素原子のみで形成された環構造を有するオレフィンを含むモノマーをメタセシス開環重合や付加重合などの重合方法で重合し、必要に応じて、炭素−炭素二重結合を水素添加することにより、合成される。上記環構造を有するオレフィンとしては、環状オレフィン(「シクロオレフィン」ともいう)が好ましく挙げられる。
【0026】
環式オレフィン系樹脂としては、環状オレフィンの付加(共)重合体又はその水素添加物(1)、環状オレフィンとα−オレフィンとの付加共重合体又はその水素添加物(2)、及び環状オレフィンの開環(共)重合体又はその水素添加物(3)が好ましく挙げられる。
【0027】
環状オレフィンの具体例としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン;シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等の1環の環状オレフィン;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の2環の環状オレフィン;トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン;トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエンまたはこれらの部分水素添加物(またはシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン;5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の3環の環状オレフィン;テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4,4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等の4環の環状オレフィン;8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン;テトラシクロ[7.4.13,6.01,9.02,7]テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−へキサヒドロアントラセンともいう);ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]−4−ペンタデセン; ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,16]−14−エイコセン;シクロペンタジエンの4量体等の多環の環状オレフィンが挙げられる。これらの環状オレフィンは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0028】
環状オレフィンと共重合可能なα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンなどの炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜8のα−オレフィンが挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0029】
環式オレフィン系樹脂としては、市販品を用いることもできる。例えば、日本ゼオン社製「ゼオノア(登録商標)」(ノルボルネンなどの環式オレフィンの開環重合体の水素添加物)、三井化学社製「アペル(登録商標)」(テトラシクロドデセンとエチレンの付加共重合体)、及びポリプラスチックス社製「TOPAS(登録商標)」(ノルボルネンとエチレンの付加共重合体)等が挙げられる。
【0030】
樹脂層(A)及び樹脂層(B)に用いられる環状オレフィン系樹脂としては、環式オレフィンの開環重合体の水素添加物、及び環式オレフィンとα−オレフィンとの付加共重合体又はその水素添加物が好ましく用いられ、ノルボルネンの開環重合体の水素添加物及びノルボルネンとエチレンとの付加共重合体がより好ましく用いられる。これらの環式オレフィン系樹脂を用いることにより、光反射積層体に優れた強度を付与することができる。
【0031】
環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度は、80〜250℃が好ましいが、100〜200℃がより好ましく、100〜170℃が特に好ましい。環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度が低過ぎると、得られる光反射積層体の耐熱性が低下する虞れがある。また、環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度が高過ぎると、このような環状オレフィン系樹脂を含む後述する樹脂層(A)形成用樹脂組成物又は樹脂層(B)形成用樹脂組成物の溶融粘度が高くなって押出成形により光反射積層体を製造するのが困難となったり、得られる光反射積層体を熱成形する際の加工温度が必要以上に高くなる虞れがある。
【0032】
なお、環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定した際のJIS K7121(1987)で規定される中間点ガラス転移温度(Tmg)とする。
【0033】
樹脂層(A)における環式オレフィン系樹脂の含有量は、非環式オレフィン系樹脂100重量部に対して、10〜180重量部に限定され、50〜170重量が好ましく、70〜160重量部がより好ましい。樹脂層(A)における環状オレフィン系樹脂の含有量が10重量部未満であると、十分な強度を有する光反射積層体が得られない虞れがある。また、樹脂層(A)における環状オレフィン系樹脂の含有量が180重量部を超えると、光反射積層体の強度が必要以上に高くなり過ぎ、光反射積層体を打ち抜き成形する際に光反射積層体に亀裂などの成形不良を生じる虞れがある。
【0034】
また、樹脂層(A)における環状オレフィン系樹脂の含有量は、樹脂層(A)の全量に対して、7〜45重量%が好ましい。環状オレフィン系樹脂の含有量が7重量%未満であると、十分な強度を有する光反射積層体が得られない虞れがある。また、環状オレフィン系樹脂の含有量が45重量%を超えると、光反射積層体の強度が必要以上に高くなり過ぎ、光反射積層体を打ち抜き成形する際に光反射積層体に亀裂などの成形不良を生じる虞れがある。
【0035】
樹脂層(A)において、環式オレフィン系樹脂として環式オレフィンとα−オレフィンとの付加共重合体又はその水素添加物を用いる場合、樹脂層(A)における環式オレフィン系樹脂の含有量は、樹脂層(A)の全量に対して、10〜45重量%がより好ましく、20〜45重量%が特に好ましく、25〜35重量%が最も好ましい。環式オレフィンとα−オレフィンとの付加共重合体又はその水素添加物からなる環式オレフィン系樹脂の樹脂層(A)中における含有量を上記範囲内とすることにより、耐熱性、熱成形性、打ち抜き成形性、強度、及び光反射性に特に優れる光反射積層体を提供することができる。
【0036】
樹脂層(A)において、環式オレフィン系樹脂としてノルボルネンの開環重合体の水素添加物を用いる場合、樹脂層(A)における環式オレフィン系樹脂の含有量は、樹脂層(A)の全量に対して、10〜45重量%がより好ましく、20〜45重量%が特に好ましく、25〜35重量%が最も好ましい。ノルボルネンの開環重合体の水素添加物からなる環式オレフィン系樹脂の樹脂層(A)中における含有量を上記範囲内とすることにより、耐熱性、熱成形性、打ち抜き成形性、強度、及び光反射性に特に優れる光反射積層体を提供することができる。
【0037】
樹脂層(B)における環式オレフィン系樹脂の含有量は、非環式オレフィン系樹脂100重量部に対して、10〜180重量部に限定され、10〜100重量部が好ましく、10〜70重量部がより好ましい。樹脂層(B)における環状オレフィン系樹脂の含有量が10重量部未満であると、十分な強度を有する光反射積層体が得られない虞れがある。また、樹脂層(B)における環状オレフィン系樹脂の含有量が180重量部を超えると、光反射積層体の強度が必要以上に高くなり過ぎ、光反射積層体を打ち抜き成形する際に光反射積層体に亀裂などの成形不良を生じる虞れがある。
【0038】
また、樹脂層(B)における環状オレフィン系樹脂の含有量は、樹脂層(B)の全量に対して、7〜45重量%が好ましい。環状オレフィン系樹脂の含有量が7重量%未満であると、十分な強度を有する光反射積層体が得られない虞れがある。また、環状オレフィン系樹脂の含有量が45重量%を超えると、光反射積層体の強度が必要以上に高くなり過ぎ、光反射積層体を打ち抜き成形する際に光反射積層体に亀裂などの成形不良を生じる虞れがある。
【0039】
樹脂層(B)において、環式オレフィン系樹脂として環式オレフィンとα−オレフィンとの付加共重合体又はその水素添加物を用いる場合、樹脂層(B)における環式オレフィン系樹脂の含有量は、樹脂層(B)の全量に対して、10〜45重量%がより好ましく、15〜40重量%が特に好ましく、39〜45重量%が最も好ましい。環式オレフィンとα−オレフィンとの付加共重合体又はその水素添加物からなる環式オレフィン系樹脂の樹脂層(B)中における含有量を上記範囲内とすることにより、耐熱性、熱成形性、打ち抜き成形性、強度、及び光反射性に特に優れる光反射積層体を提供することができる。
【0040】
樹脂層(B)において、環式オレフィン系樹脂としてノルボルネンの開環重合体の水素添加物を用いる場合、樹脂層(B)における環式オレフィン系樹脂の含有量は、樹脂層(B)の全量に対して、10〜45重量%がより好ましく、15〜40重量%が特に好ましく、39〜45重量%が最も好ましい。ノルボルネンの開環重合体の水素添加物からなる環式オレフィン系樹脂の樹脂層(A)中における含有量を上記範囲内とすることにより、耐熱性、熱成形性、打ち抜き成形性、強度、及び光反射性に特に優れる光反射積層体を提供することができる。
【0041】
[酸化チタン]
酸化チタンは樹脂層(A)、及び必要に応じて樹脂層(B)に用いられる。本発明の光反射積層体では、少なくとも樹脂層(A)が酸化チタンを含有していることにより優れた光反射性が付与されている。酸化チタンは、化学式TiOで示される。このような酸化チタンには、ルチル型、アナターゼ型、イルメナイト型があるが、ルチル型酸化チタンは耐候性に優れているので好ましい。
【0042】
酸化チタン(TiO)はその表面をアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆することにより被覆酸化チタンとして用いられるのが好ましい。酸化チタンの表面をアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層によって被覆することにより、酸化チタンと非環式オレフィン系樹脂とが直接接触するのを防止して、酸化チタンの光触媒作用による非環式オレフィン系樹脂の劣化を抑制することができる。
【0043】
上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量されたアルミニウム酸化物のAl23に換算した量は、被覆酸化チタン中の二酸化チタンの全重量に対して1〜6重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましく、1〜4重量%が特に好ましい。
【0044】
換言すれば、上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量されたアルミニウム酸化物のAl23に換算した量は、被覆酸化チタン中の二酸化チタンの全重量を100重量%としたときに、1〜6重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましく、1〜4重量%が特に好ましい。
【0045】
被覆酸化チタンの被覆層においてアルミニウム酸化物の量が少な過ぎると、酸化チタンの光触媒作用の抑制が不充分となり非環式オレフィン系樹脂の劣化による着色を生じて光反射積層体の光反射性能が低下する虞れがある。また、被覆酸化チタンの被覆層において、アルミニウム酸化物の量が多過ぎると、被覆層が可視光線を吸収してしまい、酸化チタンによる光反射が低下し、その結果、光反射積層体の光反射性能が低下する虞れがある。
【0046】
上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量されたケイ素酸化物のSiO2に換算した量は、被覆酸化チタン中の二酸化チタンの全重量に対して0.1〜7重量%が好ましく、0.1〜6重量%がより好ましく、0.1〜5重量%が特に好ましい。
【0047】
換言すれば、上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量されたケイ素酸化物のSiO2に換算した量は、被覆酸化チタン中の二酸化チタンの全重量を100重量%としたときに、0.1〜7重量%が好ましく、0.1〜6重量%がより好ましく、0.1〜5重量%が特に好ましい。
【0048】
被覆酸化チタンの被覆層においてケイ素酸化物の量が少な過ぎると、酸化チタンの光触媒作用の抑制が不充分となり非環式オレフィン系樹脂の劣化による着色を生じて光反射積層体の光反射性能が低下する虞れがある。また、被覆酸化チタンの被覆層においてケイ素酸化物の量が多過ぎると、被覆層が可視光線を吸収してしまい、酸化チタンによる光反射が低下し、その結果、光反射積層体の光反射性能が低下する虞れがある。
【0049】
なお、被覆酸化チタンの被覆層において、蛍光X線分析によって定量されたアルミニウム酸化物のAl23に換算した量、及び、蛍光X線分析によって定量されたケイ素酸化物のSiO2に換算した量は、蛍光X線分析装置を用いて測定される。
【0050】
また、非環式オレフィン系樹脂中における被覆酸化チタンの分散性を向上させるために、被覆酸化チタンの表面をチタンカップリング剤及びシランカップリング剤からなる群から選ばれた一種以上のカップリング剤、シロキサン化合物、多価アルコールで処理することが好ましく、シランカップリング剤で処理することがより好ましい。
【0051】
樹脂層(A)における酸化チタンの含有量は、非環式オレフィン系樹脂100重量部に対して、30〜200重量部に限定され、50〜200重量部が好ましく、50〜110重量部がより好ましい。樹脂層(A)における酸化チタンの含有量が少な過ぎると、光反射積層体の光反射性能が低下する虞れがある。一方、樹脂層(A)における酸化チタンの含有量が多過ぎると、酸化チタンの含有量の増加分に見合った光反射積層体の光反射性の向上が見込まれず、光反射積層体の軽量性が低下する虞れがある。
【0052】
樹脂層(B)は、酸化チタンを含んでいてもよい。しかしながら、樹脂層(B)において酸化チタンの含有量が多過ぎると、光反射積層体の耐熱性が低下し、熱成形時など光反射積層体に熱が加わった際に光反射積層体に反りなどの変形を生じる虞れがある。このような光反射積層体の変形は表示装置や照明装置などの装置内部においても生じる虞れがある。例えば、光反射積層体が内部に組み込まれた表示装置や照明装置などの装置が長時間に亘って使用され、装置内部の温度が60℃以上に上昇した場合などにおいても、装置内部において光反射積層体が変形する虞れがある。このように変形を生じた光反射積層体は、その面方向において均一に光を反射することができず、十分な光反射性を発揮することができない。
【0053】
したがって、樹脂層(B)における酸化チタンの含有量は、非環式オレフィン系樹脂100重量部に対して、25重量部以下が好ましく、10重量部以下が好ましい。そして、樹脂層(B)は酸化チタンを含んでいないのが特に好ましい。
【0054】
また、樹脂層(B)と樹脂層(A)との界面においても光の屈折率差により光を反射することが可能となるが、樹脂層(B)における酸化チタンの含有量を25重量部以下とすることにより、樹脂層(B)によって光が吸収されるのを抑制できると共に、樹脂層(B)と樹脂層(A)との界面で、上記界面に対して垂直方向に向かって反射する光の量を多くすることができ、光反射積層体に優れた光反射性を付与することが可能となる。
【0055】
さらに、樹脂層(B)における酸化チタンの含有量を25重量部以下とすることにより、後述する樹脂層(B)形成用組成物を押出成形する際に上記組成物の溶融粘度を低くして押出成形性を向上させることができ、表面平滑性に優れる樹脂層(B)が得られ、結果として光反射積層体の光反射性を向上させることができる。
【0056】
[酸化防止剤]
樹脂層(A)及び樹脂層(B)は、酸化防止剤をさらに含んでいるのが好ましい。酸化防止剤を用いることにより、優れた光反射性を長期間に亘って維持することができる光反射積層体を提供することができる。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、及びイオウ系酸化防止剤が好ましく挙げられる。
【0057】
樹脂層(A)及び樹脂層(B)は、フェノール系酸化防止剤と、リン系酸化防止剤又はイオウ系酸化防止剤とを組合せて含んでいるのが好ましい。このように酸化防止剤を組み合わせて用いることにより、より優れた光反射性を長期間に亘って維持することができる光反射積層体を提供することができる。
【0058】
樹脂層(A)及び樹脂層(B)のそれぞれにおけるフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤又はイオウ系酸化防止剤の各含有量は、非環式オレフィン系樹脂100重量部に対して、0.01〜1.0重量部が好ましく、0.01〜0.5重量部がより好ましい。
【0059】
[紫外線吸収剤]
樹脂層(A)及び樹脂層(B)は、紫外線吸収剤をさらに含んでいるのが好ましい。紫外線吸収剤を用いることにより、優れた光反射性を長期間に亘って維持することができる光反射積層体を提供することができる。
【0060】
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく挙げられる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、光反射積層体の光反射性の低下を効果的に抑制することができる。
【0061】
紫外線吸収剤の分子量は、250以上が好ましく、300〜500がより好ましい。分子量が250未満である紫外線吸収剤は、光反射積層体を熱成形する際に光反射積層体表面から揮発して、光反射成形体の表面に光沢ムラ、荒れ、及び裂けなどの欠陥を生じさせる虞れがある。これらの欠陥が生じた光反射成形体は、優れた光反射性を均一に発揮することができない。
【0062】
樹脂層(A)及び樹脂層(B)のそれぞれにおける紫外線吸収剤の含有量が少な過ぎると、光反射積層体の光反射性の低下を十分に抑制することができない虞れがある。一方、樹脂層(A)及び樹脂層(B)のそれぞれにおける紫外線吸収剤の含有量が多過ぎても、光反射積層体の光線反射率の低下の抑制効果に変化がない虞れがある。したがって、樹脂層(A)及び樹脂層(B)のそれぞれにおける紫外線吸収剤の含有量は、非環式オレフィン系樹脂100重量部に対して、0.01〜1.0重量部が好ましく、0.01〜0.5重量部がより好ましい。
【0063】
[ヒンダードアミン系光安定剤]
樹脂層(A)及び樹脂層(B)はヒンダードアミン系光安定剤をさらに含有しているのが好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤を用いることにより、優れた光反射性を長期間に亘って維持することができる光反射積層体を提供することができる。
【0064】
また、樹脂層(A)及び樹脂層(B)のそれぞれにおけるヒンダードアミン系光安定剤の含有量が少な過ぎると、光反射積層体の光反射性の低下を抑制することができない虞れがある。一方、樹脂層(A)及び樹脂層(B)のそれぞれにおけるヒンダードアミン系光安定剤の含有量が多過ぎても、光反射積層体の光反射性の低下の抑制効果に変化はなく、ヒンダードアミン系光安定剤自体の着色によって光反射積層体の光反射性の低下を生じる虞れがある。したがって、樹脂層(A)及び樹脂層(B)のそれぞれにおけるヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、非環式オレフィン系樹脂100重量部に対して0.01〜1.0重量部が好ましく、0.01〜0.5重量部がより好ましい。
【0065】
さらに、樹脂層(A)及び樹脂層(B)は銅害防止剤(金属不活性剤)、帯電防止剤、ステアリン酸金属石鹸などの分散剤、クエンチャー、ラクトン系加工安定剤、蛍光増白剤、及び結晶核剤などの他の添加剤を含んでいてもよい。
【0066】
本発明の光反射積層体における樹脂層(A)及び樹脂層(B)の積層順序は、樹脂層(A)の少なくとも一方の面に、樹脂層(B)が少なくとも一層、積層一体化されていればよいが、樹脂層(A)の両面に樹脂層(B)が積層一体化されているのが好ましい。このように樹脂層(A)の両面に樹脂層(B)が積層一体化されている光反射積層体は、これを打ち抜き成形する際に、亀裂などの成形不良を生じる虞れがない。また、樹脂層(A)の両面に樹脂層(B)が積層一体化されている光反射積層体は耐熱性に優れ、これを熱成形する際にも反りなどの変形を生じる虞れもない。
【0067】
光反射積層体における樹脂層(A)の厚みは、50〜700μmが好ましく、100〜600μmがより好ましい。樹脂層(A)の厚みが薄過ぎると、得られる光反射積層体の強度や光反射性が低下する虞れがある。また、樹脂層(A)の厚みが厚過ぎると、光反射積層体を組み込んだ装置の厚みや重量が増大する虞れがある。
【0068】
光反射積層体における樹脂層(B)の厚みは、5〜30μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。樹脂層(B)の厚みが薄過ぎると光反射積層体の強度、熱成形性、打ち抜き成形性を十分に向上できない虞れがある。また、樹脂層(B)の厚みが厚過ぎると樹脂層(A)中に含まれている酸化チタンによって反射された光が樹脂層(B)を通過する際に減衰されて、光反射積層体の光反射性が低下する虞れがある。なお、光反射積層体に複数の樹脂層(B)を用いる場合には、それぞれの樹脂層(B)の厚みが上記範囲内となるようにするのが好ましい。
【0069】
次に、本発明の光反射積層体の製造方法について説明する。樹脂層(A)の形成には、非環式オレフィン系樹脂、環式オレフィン系樹脂、及び酸化チタン、並びに必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤などの他の添加剤を、所定の含有量で含む樹脂層(A)形成用組成物が用いられる。
【0070】
樹脂層(A)における酸化チタンの分散性を向上させるために、非環式オレフィン系樹脂と酸化チタンとを含有するマスターバッチを予め作製し、これを用いて樹脂層(A)形成用組成物を調製してもよい。
【0071】
また、樹脂層(B)の形成には、非環式オレフィン系樹脂、環式オレフィン系樹脂、及び必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤などの他の添加剤を、所定の含有量で含む樹脂層(B)形成用組成物が用いられる。
【0072】
そして、樹脂層(A)及び樹脂層(B)が積層一体化されてなる光反射成形体を製造するには、樹脂層(A)形成用組成物及び樹脂層(B)形成用組成物を共押出することによって、それぞれシート状に成形された樹脂層(A)及び樹脂層(B)が互いに積層一体化されてなる光反射成形体を得る方法(1)、樹脂層(A)形成用組成物がシート状に成形されてなる樹脂層(A)の一面又は両面に、樹脂層(B)形成用組成物を押出ラミネートする方法(2)、先に樹脂層(A)形成用組成物及び樹脂層(B)形成用組成物をそれぞれシート状に成形することにより樹脂層(A)及び樹脂層(B)を形成し、樹脂層(A)の一面又は両面に樹脂層(B)を熱ラミネートする方法(3)などが挙げられる。なかでも、樹脂層(A)及び樹脂層(B)の厚みの調整を容易に行うことができることから、方法(1)を用いるのが好ましい。
【0073】
樹脂層(A)の一面に樹脂層(B)が積層一体化されてなる光反射積層体の製造方法としては、次の方法が好ましく用いられる。まず、第一押出機及び第二押出機が全て同一のダイに接続されてなる製造装置を用意する。次に、非環式オレフィン系樹脂100重量部、環式オレフィン系樹脂10〜180重量部、及び必要に応じて他の添加剤を第一押出機に供給し溶融混練して樹脂層(B)形成用組成物を得る。また、非環式オレフィン系樹脂100重量部、環式オレフィン系樹脂10〜180重量部、酸化チタン30〜200重量部、及び必要に応じて他の添加剤を第二押出機に供給し溶融混練して樹脂層(A)形成用組成物を得る。そして、第一押出機及び第二押出機で溶融混練した各樹脂組成物を全て共押出ダイに供給して共押出しすることによって、樹脂層(A)の一面に樹脂層(B)が積層一体化されてなる光反射積層体が得られる。
【0074】
また、樹脂層(A)の表裏面に樹脂層(B)がそれぞれ積層一体化されてなる光反射積層体の製造方法としては、次の方法が好ましく用いられる。まず、第一押出機、第二押出機及び第三押出機が全て同一のダイに接続されてなる製造装置を用意し、非環式オレフィン系樹脂100重量部、環式オレフィン系樹脂10〜180重量部、及び必要に応じて他の添加剤を第一押出機及び第三押出機のそれぞれに供給し溶融混練して樹脂層(B)形成用組成物を得る。また、非環式オレフィン系樹脂100重量部、環式オレフィン系樹脂10〜180重量部、酸化チタン30〜200重量部、及び必要に応じて他の添加剤を第二押出機に供給し溶融混練して樹脂層(A)形成用組成物を得る。そして、第一押出機、第二押出機及び第三押出機で溶融混練した各樹脂組成物を全て共押出ダイに供給して共押出しすることによって、樹脂層(A)の両面に樹脂層(B)がそれぞれ積層一体化されてなる光反射積層体が得られる。
【0075】
本発明では、樹脂層(A)形成用組成物及び樹脂層(B)形成用組成物をシート状に成形して光反射積層体を製造した後、酸化チタンなどの無機充填剤を起点として微細な空隙を形成するための延伸処理を行わない。従来では、酸化チタンを含む光反射板形成用樹脂組成物をシート状に成形した後、延伸処理を行うことによって微細な空隙を有する光反射板を製造していた。このような微細な空隙によって光反射板に十分な光反射性を付与するためには、シート状に成形した光反射板形成用樹脂組成物を過度に延伸処理する必要があり、得られる光反射板の熱成形性を著しく低下させる。したがって、本発明では、延伸処理を行わずに光反射積層体を製造することにより、優れた熱成形性を有し、且つ破れや孔開きなどの成形不良を生じずに所望の形状に熱成形することが可能な光反射積層体を得ることができる。
【0076】
また、Tダイから押出機中で溶融混練した光反射板形成用樹脂組成物をシート状に押出して光反射積層体を製造する際に、光反射積層体は押出速度よりもやや速い巻取速度で巻き取られる。このように、押出速度よりもやや速い速度で光反射板を巻き取るのは、光反射積層体が弛むのを防止するために行われるのであって、光反射積層体は延伸処理されていない。したがって、上記巻取りによっては、得られる光反射積層体中に無機充填剤を起点として微細な空隙を発生させることはない。
【0077】
延伸処理によって酸化チタンなどの無機充填剤を起点として形成された空隙は、通常、1μm以上、特に3μm以上の直径を有している。1μm未満の直径を有している空隙が光反射積層体内に形成されていたとしても、このような空隙は光反射積層体を形成する際に上記組成物内に混入したごく僅かな空気であり、光反射積層体の熱成形性及び光反射性には影響を及ぼさない。
【0078】
また、本発明の光反射積層体の少なくとも一方の面には鏡面加工処理が行われていてもよい。好ましくは、樹脂層(A)形成用組成物又は樹脂層(B)形成用組成物を押出機から押出すことによりシート状の押出物を得た後、これが冷却固化して光反射積層体となる前に、シート状の押出物の少なくとも一方の面に鏡面加工処理を行う。鏡面加工処理によれば、シート状の押出物の表面平滑性を向上させて優れた光反射性能を有する光反射積層体を提供することができる。
【0079】
鏡面加工処理としては、例えば、外周面が鏡面に形成された鏡面ロールとこの鏡面ロールに対峙して配設された支持ロールとからなる一対のロール間にシート状の押出物を供給してシート状の押出物の表面に鏡面ロールを押圧する方法などが好ましく用いられる。
【0080】
本発明の光反射積層体は、表示装置や照明装置に好適に用いられる。本発明の光反射積層体は、優れた光反射性を有するので、このような光反射積層体を表示装置や照明装置に用いることにより、表示された画像の視認性に優れ、輝度の低下やムラの発生が抑制された表示装置や照明装置を提供することができる。
【0081】
本発明の光反射積層体を表示装置に用いる場合、本発明の光反射積層体は、ワードプロセッサー、パーソナルコンピュータ、携帯電話、ナビゲーションシステム、テレビジョン、携帯型テレビなどの液晶表示装置のバックライトユニットとして好適に用いることができる。
【0082】
本発明の光反射積層体を液晶表示装置のバックライトユニットに用いる場合、光反射積層体を液晶表示装置を構成する直下ライト式バックライト、サイドライト式バックライト又は面状光源方式バックライト内に組み込んで用いることができる。
【0083】
本発明の光反射積層体が用いられる液晶表示装置のサイドライト式のバックライトユニットの模式図を図1に示す。図1に示す液晶表示装置は、光反射積層体10、この光反射積層体10上に積層一体化されてなる光拡散層20、この光拡散層20上に配設された導光板30、導光板30の側方に配設されて導光板30に光を放射する発光光源40、及び、発光光源40から放射された光を導光板30に反射させるためのランプリフレクタ50を有する。なお、発光光源40としては、例えば、冷却陰極やLEDなどが挙げられる。
【0084】
光拡散層20は、熱可塑性樹脂などのバインダ樹脂中にスチレン系樹脂やアクリル系樹脂などからなる透光性粒子21が分散されてなる。また、光拡散層20の表面は透光性粒子21により形成された凹凸形状を有し、この凹凸形状によって光を拡散させることができる。
【0085】
液晶表示装置では、発光光源40によって導光板30内に入射した光が導光板30の表面及び裏面間を繰り返して反射することによって導光板30の表面から導光板30の外部へ導出される。また、導光板30の裏面から導出した光は、光拡散層20の表面に透光性粒子21により形成された凹凸形状によって、導光板30の表面側に向かって均一となるように拡散されて反射される。さらに、導光板30の裏面から導出した光が光拡散層20を透過した場合には、上記光は光反射積層体10によって導光板30の表面側に向かって均一となるように拡散されて反射される。このように発光光源に導光板30、光拡散層20及び光反射積層体10を組み合わせることにより、液晶表示装置の輝度を向上させると共に液晶表示装置の面方向における輝度分布の均一化を図ることができる。
【0086】
また、本発明の光反射積層体は、上述した液晶表示装置のバックライトユニットの他にも、照明ボックスのような面発光システムの照明具のバックライト、スロトボ照明器、複写機、プロジェクター方式のディスプレイ、ファクシミリ、電子黒板などを構成する照明装置内に組み込んで用いることもできる。本発明の照明装置は、少なくとも上記光反射積層体と光源とを含む。
【0087】
本発明の光反射積層体は、これを上述した表示装置や照明装置などの各種用途に用いられる際に、熱成形や打ち抜き成形などによって、所望の形状に成形することによって光反射成形体として用いられるのが好ましい。
【0088】
本発明の光反射積層体は、これに熱成形を行ったとしても、その表面に凸部が形成されるなどの外観不良が発生するのが高く抑制でき、光反射性や外観特性を低下させることなく所望の形状に成形された光反射成形体を提供することが可能となる。
【0089】
光反射積層体の熱成形方法としては、例えば、真空成形や圧空成形が挙げられる。真空成形や圧空成形としては、例えば、プラグ成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形などが挙げられる。なお、上記熱成形方法においては温度調節可能な金型を用いることが好ましい。また、光反射成形体の形状は、光反射成形体が用いられる用途に応じて決定すればよく、特に制限されない。
【0090】
また、本発明の光反射積層体は、優れた強度を有しているにも関わらず、打ち抜き成形を行っても亀裂などの成形不良を生じる虞れもなく、光反射積層体が有していた光反射性を低下させることなく外観特性に優れている光反射成形体を提供することができる。
【0091】
光反射積層体の打ち抜き成形は、例えば、光反射積層体の所望の部位をトムソン刀や打ち抜き金型で打ち抜く方法などを用いて行うことができる。このとき、複数枚の光反射積層体を積層して積層体とし、この積層体を上記の通りにして打ち抜き成形してもよい。なお、光反射積層体の打ち抜き成形する際に、光反射積層体を加熱する必要はなく、常温の光反射積層体に打ち抜き成形を行ったとしても、亀裂などの成形不良を生じることなく光反射積層体を得ることができる。
【0092】
また、光反射積層体の打ち抜き成形では、光反射積層体の所望の部位を打ち抜くことにより、光反射積層体にLEDなどの発光光源やリベットなどの固定具を挿入するための穴部が形成された光反射成形体を得たり、照明装置又は表示装置などの装置の内部において光反射積層体が設置される部位の形状に併せて、光反射積層体を打ち抜くことにより、所望の形状に成形された光反射成形体を得ることができる。
【0093】
光反射積層体には、熱成形又は打ち抜き成形のいずれか一方のみが行われてもよく、熱成形及び打ち抜き成形の双方が行われてもよい。例えば、光反射積層体に熱成形を行った後に、打ち抜き成形することによって、所望の形状に成形された光反射成形体を得ることもできる。
【0094】
以下に、本発明の光反射成形体及びこれを用いた照明装置の一例を図2〜4を参照しながら説明する。
【0095】
光反射成形体Aは、図2及び3に示すように、平面矩形状の光反射積層体10をその四方外周縁部を除いた部分において表面から裏面に向かって熱成形することにより膨出させることによって多数の逆截頭四角錐形状の凹部12、12・・・が該凹部12、12・・・の開口端縁を光反射積層体10の長辺又は短辺に平行にした状態に縦横方向に連続的に形成されている。
【0096】
また、凹部12、12・・・の内底面21には、その一部を打ち抜くことによって、平面正方形状の貫通孔21aが表裏面間に亘って貫設されており、この貫通孔21aを通じて光源Lを配設できるように構成されている。また、上記凹部12、12・・・の周壁部14の内周面は上記光源から放射された光を反射する光反射面に形成されている。
【0097】
そして、上記光反射成形体を用いた照明装置を図4に示す。この照明装置は、図4に示すように、筐体60内に、光反射成形体Aと発光ダイオードLとを備えた照明体Cが配設されて構成されている。上記筐体60は、光反射成形体Aよりも一回り大きな大きさを有する平面矩形状の底面部61とこの底面部61の四方外周縁から上方に向かって延設された四角枠状の周壁部62とからなる。なお、周壁部62の内周面上端部にはその全周に亘って段部62aが形成されており、この段部62aに曇りガラス又は光学シート80が着脱自在に配設可能に構成されている。なお、照明体Cの光源は、発光ダイオードの他に、汎用の光源であってもよい。
【0098】
又、筐体60の底面部61上に敷設し得る大きさの平面正方形状の基板71上に多数個の発光ダイオードL、L・・・が配設されてなる光源体70を用意する。なお、光源体70上に光反射成形体Aを重ね合わせた状態において、各凹部12の貫通孔13aと、光源体70の各発光ダイオードLの位置が合致するように構成されている。
【0099】
そして、上記光源体70がその発光ダイオードLを上方(筐体60の開口方向)に向けた状態にて筐体60の底面部61上に敷設されており、光源体70上に光反射成形体Aが敷設され、光源体70の発光ダイオードLが光反射成形体Aの凹部12の貫通孔13aを通じて配設されて照明体Cが構成されている。
【0100】
この照明装置Bを使用するにあたっては、先ず、筐体60の周壁部62の段部62a上に曇りガラス又は光学シート80を着脱自在に配設した上で、発光ダイオードLを発光させる(図4参照)。すると、発光ダイオードLから光が放射状に放射され光反射成形体Aの凹部12の内周面に入射した光は、内周面で一回或いは複数回に亘って反射されて進行方向が曇りガラス又は光学シート80方向に向けられて曇りガラス又は光学シート80に入射する。なお、照明体Cの光反射成形体Aと、曇りガラス又は光学シート80とは密着させない方が好ましい。
【0101】
そして、光学シート80は、その内部に光を拡散させる酸化チタンなどの光拡散剤が含有されており、光学シート80内に入射した光は、光学シート80内において光拡散剤によって乱反射させられ、或いは、曇りガラス内に入射した光は曇りガラスによって乱反射させられて更に拡散された上で曇りガラス又は光学シート80から外方に向かって放出され、曇りガラス又は光学シート80は正面から見ると全面的に略均一に光った状態となっている。
【0102】
ここで、曇りガラス又は光学シート80内に入射した光は、曇りガラス又は光学シート80において乱反射され、光の一部は光反射成形体A方向に反射されて再度、光反射成形体A方向に入射するが、光反射成形体A内に再度、入射した光は、凹部12の内周面において反射されて再び、曇りガラス又は光学シート80内に入射する。
【0103】
このように、発光ダイオードLから放射された光は、凹部12の内周面において反射されることによって、拡散されながら曇りガラス又は光学シート80方向に向かって反射され、よって、曇りガラス又は光学シート80はその全面に亘って略均一な光束でもって光が照射されるので、曇りガラス又は光学シート80を通して発光ダイオードの位置が視認されることは殆どない。
【0104】
そして、曇りガラス又は光学シート80に直接、描かれた図柄や文字、或いは、曇りガラス又は光学シート80上に配設された化粧シート上に描かれた図柄や文字が、曇りガラス又は光学シート80全体から均一に放射される光によって明瞭に且つ均一に浮かび上がった状態となる。したがって、上述した照明装置は、広告や看板用の照明装置として好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0105】
本発明の光反射積層体は、未延伸の非発泡シートからなり、その内部に延伸によって形成された微細な空隙を有しておらず、優れた熱成形性を有している。したがって、光反射積層体を所望の形状に熱成形することにより得られる光反射成形体は、その表面に、熱成形時に光反射積層体が加熱されることによって光反射積層体の内部に含まれている空隙の膨張によって部分的に大きく突出した凸部が形成されることがなく、光反射積層体が有している優れた光反射性や外観特性を維持することができる。
【0106】
また、本発明の光反射積層体は、強度にも優れている。したがって、光反射積層体の搬送時に光反射積層体が不用意に撓むことなく取扱性に優れていると共に、表示装置や照明装置など装置の内部に配設する際にも所望の位置に配設するのが容易であり、上記装置の生産性を向上させることもできる。
【0107】
さらに、本発明の光反射積層体は、優れた強度を有しているにも関わらず、打ち抜き成形する際に、亀裂などの成形不良を生じることもない。したがって、本発明の光反射積層体を打ち抜き成形して得られる光反射成形体は、その表面に亀裂などの成形不良が発生するのを高く抑制することができ、光反射性及び外観特性に優れている。また、長尺帯状の光反射積層体を製造した場合、この長尺帯状の光反射積層体をロール状を巻き取った際にも、光反射積層体に亀裂などの外観不良を生じることもない。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の光反射積層体が好適に用いられる液晶表示装置のバックライトユニットの模式断面図。
【図2】熱成形された本発明の光反射積層体の斜視図。
【図3】熱成形された本発明の光反射積層体の縦断面図。
【図4】熱成形された本発明の光反射積層体を用いた照明装置の縦断面図。
【図5】光反射積層体の強度の測定方法を説明するための図。
【図6】光反射板の熱成形性の評価において作製した成形体の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0109】
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【実施例】
【0110】
(実施例1)
第一押出機、第二押出機及び第三押出機を用意し、第一〜三押出機を共に同一の共押出ダイに接続した。
【0111】
まず、第一押出機及び第三押出機のそれぞれに、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製 PL500A、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)55.6重量部、エチレン−プロピレンランダム共重合体(サンアロマー社製 PC540R、メルトフローレイト:5.0g/10分、エチレン成分含有量8.6重量%)44.4重量部、環式オレフィン系樹脂1(ノルボルネンとエチレンの付加共重合体、ガラス転移温度:138℃、ポリプラスチックス社製 TOPAS(登録商標)6013)11.1重量部、フェノール系酸化防止剤(BASF社製 IRGANOX(登録商標)1010)0.1重量部、リン系酸化防止剤(BASF社製 IRGAFOS168)0.1重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(分子量315.8、BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)326)0.1重量部、及びヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)111)0.1重量部を供給して、240℃で溶融混練することにより、第一押出機及び第三押出機のそれぞれにおいて樹脂層(B)形成用組成物を得た。
【0112】
次に、第二押出機に、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製 PL500A、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)55.6重量部、エチレン−プロピレンランダム共重合体(サンアロマー社製 PC540R、エチレン成分含有量:8.6重量%、メルトフローレイト:5.0g/10分)44.4重量部、環式オレフィン系樹脂1(ノルボルネンとエチレンの付加共重合体、ガラス転移温度:138℃、ポリプラスチックス社製 TOPAS(登録商標)6013)88.2重量部、ルチル型の酸化チタン(平均粒子径0.28μm、石原産業(株)製 CR−93)105.9重量部、フェノール系酸化防止剤(BASF社製 IRGANOX(登録商標)1010)0.3重量部、リン系酸化防止剤(BASF社製 IRGAFOS168)0.3重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(分子量315.8、BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)326)0.3重量部、及びヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)111)0.3重量部を供給して、230℃で溶融混練することにより、第二押出機において樹脂層(A)形成用樹脂組成物を得た。
【0113】
そして、第一〜第三押出機において溶融混練した各樹脂組成物を全て共押出ダイに供給して共押出し、第二押出機から押出されてなり、厚みが370μmであり且つ非発泡の樹脂層(A)の一面に、第一押出機から押出されてなり、厚みが15μmであり且つ非発泡の樹脂層(B)が積層一体化されてなり、樹脂層(A)の他面に、第三押出機から押出されてなり、厚みが15μmであり且つ非発泡の樹脂層(B)が積層一体化されてなるシート状の光反射積層体を得た。
【0114】
(実施例2〜4)
第一押出機及び第三押出機のそれぞれに供給したホモポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、環式オレフィン系樹脂1、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びヒンダードアミン系光安定剤の配合量をそれぞれ表1に示す通りに変更して樹脂層(B)形成用組成物を調製し、第二押出機に供給した環式オレフィン系樹脂1、酸化チタン、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びヒンダードアミン系光安定剤の配合量をそれぞれ表1に示す通りに変更して樹脂層(A)形成用組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして光反射積層体を得た。
【0115】
(実施例5)
第一押出機及び第三押出機のそれぞれにエチレン−プロピレンランダム共重合体に代えて、エチレン−プロピレンブロック共重合体(日本ポリプロ社製 BC6C、エチレン成分含有量:3.0重量%、メルトフローレイト:2.5g/10分)44.4重量部を供給し、さらに、第一押出機及び第三押出機のそれぞれに供給した環式オレフィン系樹脂1、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びヒンダードアミン系光安定剤の配合量を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして光反射積層体を得た。
【0116】
(実施例6)
第一押出機、第二押出機及び第三押出機を用意し、第一〜三押出機を共に同一の共押出ダイに接続した。
【0117】
まず、第一押出機及び第三押出機のそれぞれに、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製 PL500A、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)55.6重量部、エチレン−プロピレンランダム共重合体(サンアロマー社製 PC540R、エチレン成分含有量:8.6重量%、メルトフローレイト:5.0g/10分)44.4重量部、環式オレフィン系樹脂2(ノルボルネンの開環重合体の水素添加物、ガラス転移温度:105℃、日本ゼオン社製 ZEONOR(登録商標)1020R)11.1重量部、フェノール系酸化防止剤(BASF社製 IRGANOX(登録商標)1010)0.1重量部、リン系酸化防止剤(BASF社製 IRGAFOS168)0.1重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(分子量315.8、BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)326)0.1重量部、及びヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)111)0.1重量部を供給して、240℃で溶融混練することにより、第一押出機及び第三押出機のそれぞれにおいて樹脂層(B)形成用組成物を得た。
【0118】
次に、第二押出機に、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製 PL500A、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)55.6重量部、エチレン−プロピレンランダム共重合体(サンアロマー社製 PC540R、エチレン成分含有量:8.6重量%、メルトフローレイト:5.0g/10分)44.4重量部、環式オレフィン系樹脂1(ノルボルネンとエチレンの付加共重合体、ガラス転移温度:138℃、ポリプラスチックス社製 TOPAS(登録商標)6013)88.2重量部、ルチル型の酸化チタン(平均粒子径0.28μm、石原産業(株)製 CR−93)105.9重量部、フェノール系酸化防止剤(BASF社製 IRGANOX(登録商標)1010)0.3重量部、リン系酸化防止剤(BASF社製 IRGAFOS168)0.3重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(分子量315.8、BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)326)0.3重量部、及びヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)111)0.3重量部を供給して、230℃で溶融混練することにより、第二押出機において樹脂層(A)形成用樹脂組成物を得た。
【0119】
そして、第一〜第三押出機において溶融混練した各樹脂組成物を全て共押出ダイに供給して共押出し、第二押出機から押出されてなり、厚みが370μmであり且つ非発泡の樹脂層(A)の一面に、第一押出機から押出されてなり、厚みが15μmであり且つ非発泡の樹脂層(B)が積層一体化されてなり、樹脂層(A)の他面に、第三押出機から押出されてなり、厚みが15μmであり且つ非発泡の樹脂層(B)が積層一体化されてなるシート状の光反射積層体を得た。
【0120】
(実施例7及び8)
第一押出機及び第三押出機のそれぞれに供給したホモポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、環式オレフィン系樹脂2、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びヒンダードアミン系光安定剤の配合量をそれぞれ表1に示す通りに変更して樹脂層(B)形成用組成物を調製し、第二押出機に供給したホモポリプロピレン、及びエチレン−プロピレンランダム共重合体の配合量をそれぞれ表1に示す通りに変更して樹脂層(A)形成用組成物を調製した以外は、実施例6と同様にして光反射積層体を得た。
【0121】
(実施例9)
第一押出機及び第三押出機のそれぞれにエチレン−プロピレンランダム共重合体に代えて、エチレン−プロピレンブロック共重合体(日本ポリプロ社製 BC6C、エチレン成分含有量:3.0重量%、メルトフローレイト:2.5g/10分)44.4重量部を供給し、さらに、第一押出機及び第三押出機のそれぞれに供給した環式オレフィン系樹脂2、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びヒンダードアミン系光安定剤の配合量を表1に示す通りに変更して樹脂層(B)形成用組成物を調製し、第二押出機にエチレン−プロピレンランダム共重合体及び環式オレフィン系樹脂1に代えて、エチレン−プロピレンブロック共重合体(日本ポリプロ社製 BC6C、エチレン成分含有量:3.0重量%、メルトフローレイト:2.5g/10分)44.4重量部、及び環式オレフィン系樹脂2(ノルボルネンの開環重合体の水素添加物、ガラス転移温度:105℃、日本ゼオン社製 ZEONOR(登録商標)1020R)88.2重量部を供給して樹脂層(A)形成用組成物を調製した以外は、実施例6と同様にして光反射積層体を得た。
【0122】
(比較例1)
第一押出機、第二押出機及び第三押出機を用意し、第一〜三押出機を共に同一の共押出ダイに接続した。
【0123】
まず、第一押出機及び第三押出機のそれぞれに、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製 PL500A、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)55.6重量部、エチレン−プロピレンランダム共重合体(サンアロマー社製 PC540R、エチレン成分含有量:8.6重量%、メルトフローレイト:5.0g/10分)44.4重量部、フェノール系酸化防止剤(BASF社製 IRGANOX(登録商標)1010)0.3重量部、リン系酸化防止剤(BASF社製 IRGAFOS168)0.3重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(分子量315.8、BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)326)0.3重量部、及びヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)111)0.3重量部を供給して、240℃で溶融混練することにより、第一押出機及び第三押出機のそれぞれにおいて樹脂層(B)形成用組成物を得た。
【0124】
次に、第二押出機に、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製 PL500A、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)100重量部、ルチル型の酸化チタン(平均粒子径0.28μm、石原産業(株)製 CR−93)56.3重量部、フェノール系酸化防止剤(BASF社製 IRGANOX(登録商標)1010)0.3重量部、リン系酸化防止剤(BASF社製 IRGAFOS168)0.3重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(分子量315.8、BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)326)0.3重量部、及びヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)111)0.3重量部を供給して、230℃で溶融混練することにより、第二押出機において樹脂層(A)形成用樹脂組成物を得た。
【0125】
そして、第一〜第三押出機において溶融混練した各樹脂組成物を全て共押出ダイに供給して共押出し、第二押出機から押出されてなり、厚みが370μmであり且つ非発泡の樹脂層(A)の一面に、第一押出機から押出されてなり、厚みが15μmであり且つ非発泡の樹脂層(B)が積層一体化されてなり、樹脂層(A)の他面に、第三押出機から押出されてなり、厚みが15μmであり且つ非発泡の樹脂層(B)が積層一体化されてなるシート状の光反射積層体を得た。
【0126】
(比較例2)
第一押出機及び第三押出機のそれぞれに環式オレフィン系樹脂1(ノルボルネンとエチレンの付加共重合体、ガラス転移温度:138℃、ポリプラスチックス社製 TOPAS(登録商標)6013)122.2重量部をさらに供給して樹脂層(B)形成用組成物を調製し、第二押出機に、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製 PL500A、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)55.6重量部、エチレン−プロピレンランダム共重合体(サンアロマー社製 PC540R、エチレン成分含有量:8.6重量%、メルトフローレイト:5.0g/10分)44.4重量部、環式オレフィン系樹脂1(ノルボルネンとエチレンの付加共重合体、ガラス転移温度:138℃、ポリプラスチックス社製 TOPAS(登録商標)6013)611.1重量部、ルチル型の酸化チタン(平均粒子径0.28μm、石原産業(株)製 CR−93)400重量部、フェノール系酸化防止剤(BASF社製 IRGANOX(登録商標)1010)0.3重量部、リン系酸化防止剤(BASF社製 IRGAFOS168)0.3重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(分子量315.8、BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)326)0.3重量部、及びヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)111)0.3重量部を供給して樹脂層(A)形成用組成物を調製した以外は、比較例1と同様にして光反射積層体を得た。
【0127】
(評価)
【0128】
光反射積層体について、下記の要領に従って、線膨張係数、強度、光線反射率、打ち抜き成形性、及び熱成形性を評価した。結果を表1に示す。
【0129】
なお、表1において、エチレン−プロピレンランダム共重合体を「EPランダム共重合体」と記載し、エチレン−プロピレンブロック共重合体を「EPブロック共重合体」と記載し、環式オレフィン系樹脂1(ノルボルネンとエチレンの付加共重合体)を「NE付加共重合体」と記載し、さらに、環式オレフィン系樹脂2(ノルボルネンの開環重合体の水素添加物)を「N開環重合体水素添加物」と記載する。また、表1において、層(A)及び層(B)の環状オレフィン系樹脂の欄における括弧内の数値は、層(A)及び層(B)のそれぞれに含まれている成分の全量に対する環状オレフィン系樹脂の含有量(重量%)を示す。
【0130】
(線膨張係数)
光反射積層体の線膨張係数の測定は、光反射積層体を縦20mm×横3mmの平面長方形状に切断することにより試験片を作製し、この試験片の線膨張係数(×10-5/℃)を下記条件で測定することにより行った。
【0131】
測定装装置:熱機械測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製 TMA/SS6200)
昇温速度:5℃/分
温度範囲:25〜60℃
測定モード:引張試験モード
荷重:10mN
チャック間隔:20mm 低荷重用クリップ使用
荷重:500mN
【0132】
(強度)
光反射積層体の強度(kgf)の測定は、JIS B7721に準じて、下記の要領にしたがって行った。
【0133】
光反射積層体を一辺が50mmの平面正方形状に切断することにより試験片を作製した。次に、図5に示すように、試験片Dの一端部をその一端から他端に向かって10mmの幅でもってクランプEを用いて試験片Dが水平状態となるように把持した。そして、試験片Dの上面における他端から一端に向かって2mmだけ内側に入った部分で且つクランプEからの試験片Dの突出方向に対して直交する方向の中央部を荷重測定計F(今田製作所製、プッシュプルゲージ PSS)を用いて垂直下方に向かって10mmだけ押圧し、この状態において荷重測定計Fの示している荷重(kgf)を読み取り、この荷重を光反射積層体の強度とした。
【0134】
(光線反射率)
光反射積層体の光線反射率(%)は、JIS K7105に記載の測定法Bに準拠して8°の入射条件下にて反射光測定を行った場合における波長550nmの光線反射率を室温20℃、相対湿度60%の環境下にて測定した値を意味し、標準光反射板として硫酸バリウム板を用いた時の光線反射率を100%とした時の相対値で示した値とした。なお、光反射板の光線反射率は、光反射板を30個用意し、各光反射板の光線反射率の相加平均値とした。
【0135】
具体的には、光反射積層体の光線反射率は、島津製作所社から商品名「UV−2450」にて市販されている紫外可視分光光度計と、島津:製作所社から商品名「ISR−2200」にて市販されている積分球付属装置(内径:φ60mm)とを組み合わせて測定することができる。
【0136】
(打ち抜き成形性)
光反射積層体を一辺が100mmの平面正方形状に切断することにより試験片を作製し、この試験片をゴムマット(トラスコ中山(株)社製 作業台用カッターマット CM−1890)上に載置した後、試験片の中央部に荷重測定計(今田製作所製、プッシュプルゲージ PSS)の先端部を荷重20kgf、及び荷重30kgfでそれぞれ5秒間、押し付けることにより光反射積層体の打ち抜き成形性を評価した。表1において、「優」、「良」及び「不良」はそれぞれ下記の通りである。
【0137】
優:荷重測定計を30kgf及び20kgfの各荷重で試験片に押し付けても、いずれの荷重においても亀裂が試験片に発生しなかった。
良:荷重測定計を30kgfの荷重で試験片に押し付けた際に亀裂が試験片に発生したが、荷重測定計を20kgfの荷重で試験片に押し付けた際には亀裂が試験片に発生しなかった。
不良:荷重測定計を30kgf及び20kgfの各荷重で試験片に押し付けた際に、双方の荷重において試験片に亀裂が発生した。
【0138】
(熱成形性)
光反射積層体を一辺が64cmの平面正方形状に切り出し、その両面が150℃となるように3秒間加熱した後、マッチモールド成形により四方外周縁部を除いた部分に、凹部15を表面側から裏面側に向かって膨出成形した後、所定箇所から切断することによって、図6に示す光反射成形体Gを得た。
【0139】
光反射成形体Gの凹部15は、一辺が40mmの平面正方形状の底面部16と、この底面部16の四方外周縁から表面側に向かって徐々に外側に広がった状態に延設された周壁部17とからなる。周壁部17は、4個の逆等脚台形状の周壁片部17a、17a・・・が、互いに隣接する周壁片部17a、17a間において、対向する傾斜辺同士を全長に亘って共有することによって底面部16の周方向に一体的に連設されて漏斗状に形成されている。また、周壁部17の開口端は一辺が47mmの平面正方形状に形成され、底面部16の内面から光反射成形体G表面までの高さは40mmであった。
【0140】
そして、光反射成形体Gにおいて、底面部16の中央部の厚み、及び4個の周壁片部17a、17a・・・の中央部の厚みをそれぞれ測定し、熱成形前の光反射積層体の厚み(T0)に対する各部分の厚み(T)の割合([%]=T[mm]/T0[mm]×100)を算出することにより、光反射積層体の熱成形性を評価した。表1において、「優」(excellent)、「良」(good)、及び「不良」(bad)はそれぞれ下記の通りである。
優:熱成形前の光反射積層体の厚みに対して、光反射成形体Gの測定部分の全ての厚みの割合が50%以上であった。
良:熱成形前の光反射積層体の厚みに対して、光反射成形体Gの測定部分の全ての厚みの割合が30%以上で且つ50%未満であった。
不良:熱成形前の光反射積層体の厚みに対して、光反射成形体Gの測定部分の全ての厚みの割合が30%未満であるか、光反射成形体Gに破れや孔あきなどの成形不良を生じた。
【0141】
【表1】


【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明の光反射板は、例えば、ワードプロセッサー、パーソナルコンピュータ、携帯電話、ナビゲーションシステム、テレビジョン、携帯型テレビなどの液晶表示装置のバックライトユニット、照明ボックスのような面発光システムの照明具のバックライト、スロトボ照明器、複写機、プロジェクター方式のディスプレイ、ファクシミリ、電子黒板などを構成する照明装置内に組み込んで用いることができる。
【符号の説明】
【0143】
10 光反射板
12 凹部
13 凹部の内底面
13a 貫通孔
14 内周面
20 光拡散層
21 透光性粒子
30 導光板
40 発光光源
50 ランプリフレクタ
60 筐体
61 筐体の底面部
62 筐体の周壁部
62a 筐体の段部
70 光源体
71 基板
C 照明体
L 発光ダイオード
51 光反射板
52 クランプ
53 荷重測定計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非環式オレフィン系樹脂100重量部、環式オレフィン系樹脂10〜180重量部、及び酸化チタン30〜200重量部を含む樹脂層(A)の少なくとも一方の面に、
非環式オレフィン系樹脂100重量部及び環式オレフィン系樹脂10〜180重量部を含む樹脂層(B)が積層一体化されてなることを特徴とする光反射積層体。
【請求項2】
非環式オレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の光反射積層体。
【請求項3】
非環式オレフィン系樹脂が、ホモポリプロピレン及びエチレン−プロピレン共重合体を含むことを特徴とする請求項1に記載の光反射積層体。
【請求項4】
請求項1に記載の光反射積層体を成形してなる光反射成形体。
【請求項5】
請求項1に記載の光反射積層体を用いてなることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項4に記載の光反射成形体を用いてなることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光反射積層体を用いてなることを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項4に記載の光反射成形体を用いてなることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−212050(P2012−212050A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78116(P2011−78116)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】