説明

光合分波器および光伝送システム

【課題】光ファイバに障害が発生した場合に、集中基地局と通信が正常に行えなくなる遠隔基地局を最小限に抑える光合分波器および光伝送システムを提供することである。
【解決手段】本発明に係る光合分波器30は、無線通信システムにおいて、集中基地局10および遠隔基地局40と結合する光合分波器30であって、集中基地局10が送信するダウンリンク光信号を光ファイバを介して受信する第1端子および第2端子と、第1端子が受信する第1ダウンリンク光信号を第1ダウンリンク無線信号に変換する第1光電気変換部323と、第2端子が受信する第2ダウンリンク光信号を第2ダウンリンク無線信号に変換する第2光電気変換部323と、第1ダウンリンク無線信号と第2ダウンリンク無線信号とを合成し、合成したダウンリンク無線信号を遠隔基地局40に送信する合成部324とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光合分波器および光伝送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)などの無線通信システムにおいては、ビル内や地下街等の電波不感地帯を解消するため、遠隔基地局(BS:Base Station)を電波不感地帯に設置し、遠隔基地局が電波不感地帯にあった無線端末と無線通信を行うことにより電波不感地帯を解消している。遠隔基地局は、ベースバンド処理などを行う集中基地局(CS:Central Station)と光ファイバを介して接続している。
【0003】
集中基地局と遠隔基地局との間の光ファイバを介した伝送における代表的なインターフェースとして、CPRI(Common Public Radio Interface)がある。CPRIは、IQデータをデジタル信号として伝送する規格である。
【0004】
また、集中基地局と遠隔基地局との間の光ファイバを介した伝送技術として、RoF(Radio over Fiber)も知られている。RoFは、無線周波数(RF:Radio Frequency)信号を光信号に変換し、アナログ信号として光ファイバ内を伝送する技術である。RoFを用いた無線通信システムとしては、例えば、特許文献1や特許文献2などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−87921号公報
【特許文献2】特開2010−245987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、電波不感地帯に遠隔基地局を設置し、CPRIやRoFなどの伝送技術を用いて光ファイバを介して集中基地局との間のデータ伝送を行うことにより、電波不感地帯を解消することができ、バス接続などにより広範囲に遠隔基地局を設置すれば、広範囲にわたって電波不感地帯を解消することができる。
【0007】
しかしながら、ある箇所において光ファイバに断線などの障害が発生した場合、障害発生箇所を介して集中基地局に接続していた遠隔基地局は、集中基地局との間でデータ伝送を行うことができなくなる。障害発生箇所以降に多くの遠隔基地局が接続されていた場合、これらの遠隔基地局はすべて集中基地局との間のデータ伝送が行えなくなり、その結果、広範囲にわたって電波不感地帯が生じてしまう。
【0008】
したがって、係る点に鑑みてなされた本発明の目的は、光ファイバに障害が発生した場合に、当該障害により集中基地局と通信が正常に行えなくなる遠隔基地局を最小限に抑える光合分波器および光伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する第1の観点に係る光合分波器の発明は、
無線通信システムにおいて、集中基地局および遠隔基地局と結合する光合分波器であって、
前記集中基地局が送信するダウンリンク光信号を光ファイバを介して受信する第1端子および第2端子と、
前記第1端子が受信する第1ダウンリンク光信号を第1ダウンリンク無線信号に変換する第1光電気変換部と、
前記第2端子が受信する第2ダウンリンク光信号を第2ダウンリンク無線信号に変換する第2光電気変換部と、
前記第1ダウンリンク無線信号と前記第2ダウンリンク無線信号とを合成し、合成したダウンリンク無線信号を前記遠隔基地局に送信する合成部と
を備えることを特徴とする。
【0010】
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る光合分波器であって、さらに、
前記第1端子に接続される第1光サーキュレータと、
前記第1光サーキュレータと前記第2端子との間に接続される第2光サーキュレータと、
前記第2光サーキュレータと前記第1光電気変換部との間に接続される第1フィルタと、
前記第2光サーキュレータと前記第2光電気変換部との間に接続される第2フィルタと
を備え、
前記第1フィルタは、前記第1端子から前記第1光サーキュレータおよび前記第2光サーキュレータを介して受け取った光信号のうち特定の波長の光信号のみを前記第1光電気変換部に出力し、前記特定の波長でない光信号を前記第2光サーキュレータを介して前記第2端子から出力させ、
前記第2フィルタは、前記第2端子から前記第2光サーキュレータを介して受け取った光信号のうち特定の波長の光信号のみを前記第2光電気変換部に出力し、前記特定の波長でない光信号を前記第2光サーキュレータおよび前記第1光サーキュレータを介して前記第1端子から出力させる
ことを特徴とする。
【0011】
第3の観点に係る発明は、第2の観点に係る光合分波器であって、さらに、
前記遠隔基地局から受信したアップリンク無線信号をアップリンク光信号に変換する電気光変換部と、
前記アップリンク光信号を第1アップリンク光信号および第2アップリンク光信号に分岐する光合分波器分岐カプラと、
前記光合分波器分岐カプラと前記第1光サーキュレータのポート2との間に接続される第3フィルタと、
前記光合分波器分岐カプラと前記第1光サーキュレータのポート4との間に接続される第4フィルタと
を備え、
前記第1アップリンク信号は、前記第3フィルタを介して前記第1光サーキュレータにより前記第1端子から出力され、
前記第2アップリンク信号は、前記第4フィルタおよび前記第1光サーキュレータを介して前記第2光サーキュレータにより前記第2端子から出力される
ことを特徴とする。
【0012】
第4の観点に係る光伝送システムの発明は、
無線通信システムにおいて、集中基地局、n(nは自然数)個の分岐カプラ、2n個の遠隔基地局、および、第1〜3のいずれかの観点の光合分波器を2n個備える光伝送システムにおいて、
前記分岐カプラは、入力ポートとして第1ポートおよび第2ポートを備え、出力ポートとして第3ポートおよび第4ポートを備えるものであり、
1番目の分岐カプラは、光ファイバを介して、第1ポートが前記集中基地局からダウンリンク光信号を受信し、第2ポートが前記集中基地局へアップリンク光信号を送信し、第3ポートが1番目の光合分波器の第1端子に接続され、第4ポートが2番目の光合分波器の第1端子に接続され、
i番目(iは2〜nの自然数)の分岐カプラは、光ファイバを介して、第1ポートが(2i−3)番目の光合分波器の第2端子に接続され、第2ポートが(2i−2)番目の光合分波器の第2端子に接続され、第3ポートが(2i−1)番目の光合分波器の第1端子に接続され、第4ポートが2i番目の光合分波器の第1端子に接続される
ことを特徴とする。
【0013】
第5の観点に係る発明は、第4の観点に係る光伝送システムであって、前記分岐カプラは、3dBカプラであることを特徴とする
【0014】
第6の観点に係る光伝送システムの発明は、
無線通信システムにおいて、集中基地局、分岐カプラ、n(nは自然数)個のWDMカプラ、(n+1)個の遠隔基地局、および、第1〜3のいずれかの観点の光合分波器を(n+1)個備える光伝送システムにおいて、
前記分岐カプラは、入力ポートとして第1ポートおよび第2ポートを備え、出力ポートとして第3ポートおよび第4ポートを備えるものであり、
前記WDMカプラは、入力ポートとして第1ポートおよび第2ポートを備え、出力ポートとして第3ポートおよび第4ポートを備えるものであり、
前記分岐カプラは、光ファイバを介して、第1ポートが前記集中基地局からダウンリンク光信号を受信し、第2ポートが前記集中基地局へアップリンク光信号を送信し、第3ポートが1番目の光合分波器の第1端子に接続され、第4ポートが1番目のWDMカプラの第3ポートに接続され、
1番目のWDMカプラは、光ファイバを介して、第1ポートが1番目の光合分波器の第2端子に接続され、第2ポートが2番目の光合分波器の第1端子に接続され、第3ポートが前記分岐カプラの第4ポートに接続され、第4ポートが2番目のWDMカプラの第3ポートに接続され、
i番目(iは2〜(n−1)の自然数)のWDMカプラは、光ファイバを介して、第1ポートがi番目の光合分波器の第2端子に接続され、第2ポートが(i+1)番目の光合分波器の第1端子に接続され、第3ポートが(i−1)番目のWDMカプラの第4ポートに接続され、第4ポートが(i+1)番目のWDMカプラの第3ポートに接続され、
n番目のWDMカプラは、光ファイバを介して、第1ポートがn番目の光合分波器の第2端子に接続され、第2ポートが(n+1)番目の光合分波器の第1端子に接続され、第3ポートが(n−1)番目のWDMカプラの第4ポートに接続され、第4ポートが(n+1)番目の光合分波器の第2端子に接続される
ことを特徴とする。
【0015】
第7の観点に係る光伝送システムの発明は、
無線通信システムにおいて、集中基地局、分岐カプラ、n個(nは自然数)の遠隔基地局、および、第1〜3のいずれかの観点のn個の光合分波器を備える光伝送システムにおいて、
前記分岐カプラは、入力ポートとして第1ポートおよび第2ポートを備え、出力ポートとして第3ポートおよび第4ポートを備えるものであり、
前記分岐カプラは、光ファイバを介して、第1ポートが前記集中基地局からダウンリンク光信号を受信し、第2ポートが前記集中基地局へアップリンク光信号を送信し、第3ポートと第4ポートとの間に前記n個の光合分波器がリング状に接続される
ことを特徴とする。
【0016】
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光ファイバに障害が発生した場合に、当該障害により集中基地局と通信が正常に行えなくなる遠隔基地局を最小限に抑える光合分波器および光伝送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る光伝送システムの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る光合分波器の概略を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る集中基地局の概略を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る遠隔基地局の概略を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る光伝送システムの概略図である。
【図6】第1実施形態に係る光伝送システムに断線がある場合を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る光伝送システムの概略図である。
【図8】第2実施形態に係る光伝送システムに断線がある場合を示す図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る光伝送システムの概略図である。
【図10】第3実施形態に係る光伝送システムに断線がある場合を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る分岐カプラを示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るWDMカプラを示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係るWDMカプラを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る光伝送システムの概略図である。光伝送システム1は、集中基地局10、分岐カプラ20、光合分波器30および遠隔基地局40を備える。なお、図1においては、1つの光合分波器30のみが示されているが、実際には、複数の光合分波器30が分岐カプラ20と光ファイバを介して接続しており、光合分波器30の個数に対応して遠隔基地局40も複数存在する。
【0021】
集中基地局10は、ベースバンド信号処理を行う。集中基地局10は、ベースバンド信号処理されたダウンリンク信号をダウンリンク光信号に変換して、分岐カプラ20に光ファイバを介して出力する。ここで、ダウンリンク信号とは、遠隔基地局40が無線端末2に送信する下り方向の信号であり、ダウンリンク光信号とは、光信号に変換されたダウンリンク信号である。また、集中基地局10は、分岐カプラ20から光ファイバを介してアップリンク光信号を受信する。ここで、アップリンク信号とは、無線端末2が遠隔基地局40に送信する上り方向の信号であり、アップリンク光信号とは、光信号に変換されたアップリンク信号である。集中基地局10の構成については後述する。
【0022】
なお、以後の説明においても、光信号と無線信号(電気信号)の区別をつけるため、必要に応じて、ダウンリンク光信号、ダウンリンク無線信号、アップリンク光信号およびアップリンク無線信号との用語を用いる。
【0023】
分岐カプラ20は、集中基地局10から光ファイバを介してダウンリンク信号を受け取り、2つの同等の信号に分岐して光合分波器30に出力する。また、分岐カプラ20は、光合分波器30から光ファイバを介してアップリンク光信号を受け取り、集中基地局10に出力する。
【0024】
ここで、図11を用いて分岐カプラ20の入出力特性を説明する。分岐カプラ20は、ポート1〜4の4つのポートを有する。ポート1および2は入力側であり、ポート3および4は出力側である。ポート1に入力された光信号は、2つの光信号に分岐されポート3および4から出力される。ポート3および4から出力される光信号の比率は任意の比率とすることができるが、典型的には1:1である。出力される光信号の比率が1:1の分岐カプラのことを3dBカプラという。
【0025】
図11は、ポート1から光信号を入力しポート3および4から出力する場合を例に挙げて説明したが、ポート2から光信号を入力した場合も同様にポート3および4から光信号が出力される。また、便宜上、ポート1および2を入力側、ポート3および4を出力側として説明したが、分岐カプラ20の入出力特性は対称であり、ポート3および4を入力側、ポート1および2を出力側とすることもできる。
【0026】
再び図1に戻って説明する。光合分波器30は、分岐カプラ20からダウンリンク光信号を光ファイバを介して受け取る。光合分波器30は、光ファイバに接続する2つの端子を有し、当該2つの端子を介して分岐カプラ20がポート3(P3)から出力したダウンリンク光信号およびポート4(P4)から出力したダウンリンク信号を受け取る。光合分波器30は、2つの端子から受け取ったダウンリンク光信号をダウンリンク無線信号に変換し、合成して遠隔基地局40に出力する。なお、光合分波器30は、ダウンリンク光信号を合成してからダウンリンク無線信号に変換してもよいし、そもそも2つの信号を合成せずに、いずれかの端子から受け取ったダウンリンク光信号のみを用いることとしてもよい。
【0027】
また、光合分波器30は、遠隔基地局40からアップリンク無線信号を受け取る。光合分波器30は、受け取った当該アップリンク無線信号をアップリンク光信号に変換し、2つのアップリンク光信号に分岐して、2つの端子から出力する。
【0028】
図1に示すように、光合分波器30は、2つの端子を介して光ファイバと接続しており、それぞれの端子が光ファイバを介して分岐カプラ20と結合しているため、光合分波器30と分岐カプラ20とを結合する一方の光ファイバの経路の障害が生じても、他方の経路を介してダウンリンク光信号を受け取ることができ、また、アップリンク光信号を出力することができる。光合分波器30の構成については後述する。
【0029】
遠隔基地局40は、無線端末2からアップリンク無線信号を受信し、ダウンコンバートなどの処理をして光合分波器30にアップリンク無線信号を出力する。また、遠隔基地局40は、光合分波器30からダウンリンク無線信号を受け取り、アップコンバートなどの処理をして無線端末2にアップリンク無線信号を出力する。遠隔基地局40の構成については後述する。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態に係る光合分波器の概略を示すブロック図である。光合分波器30は、アップリンクユニット310およびダウンリンクユニット320を備える。
【0031】
アップリンクユニット310は、電気光変換部311、光合分波器分岐カプラ312、フィルタ313−1および313−2、ならびに光サーキュレータ314を備える。なお、フィルタ313−1および313−2は同種のものであり、総称する場合はフィルタ313と記載する。
【0032】
電気光変換部311は、遠隔基地局40からアップリンク無線信号を受信し、アップリンク光信号に変換して、光合分波器分岐カプラ312に出力する。
【0033】
光合分波器分岐カプラ312は、電気光変換部311からアップリンク光信号を受信し、2つの信号に分岐してフィルタ313−1および313−2に出力する。
【0034】
フィルタ313は、特定の波長の光信号のみを透過させるという特性を有する。例えば、電気光変換部311において変換されたアップリンク光信号の波長をλuとすると、波長λuの光信号のみを透過させ、その他の波長の光信号は反射する。また、フィルタ313は、特定の波長の光信号の透過率を100%以外にすることもできる。例えば、透過率を50%とした場合、フィルタ313は、特定の波長の光信号を50%透過させ、50%反射する。
【0035】
フィルタ313は、光合分波器分岐カプラ312と光サーキュレータ314との間に接続される。フィルタ313は、光合分波器分岐カプラ312から受け取った波長λuのアップリンク光信号を透過させて光サーキュレータ314に出力する。また、フィルタ313は、光サーキュレータ314から波長λu以外の光信号を受け取った場合、当該光信号を反射して光サーキュレータ314に戻す。
【0036】
フィルタ313には、例えば、FBG(Fiber Bragg Grating)フィルタが用いられる。
【0037】
光サーキュレータ314は、4つのポートP1〜P4を有する。光サーキュレータ314は、ポートP1から入力された光信号をポートP2から出力し、ポートP2から入力された光信号をポートP3から出力し、ポートP3から入力された光信号をポートP4から出力し、ポートP4から入力された光信号をポートP1から出力する。
【0038】
光サーキュレータ314のポートP1は、ダウンリンクユニット320の光サーキュレータ321のポートP3から受け取った光信号をポートP2から出力する。光サーキュレータ314のポートP2は、フィルタ313−2から受け取った波長λuのアップリンク光信号をポートP3から出力する。光サーキュレータ314−1のポートP3は第1端子から受け取った光信号をポートP4から出力する。光サーキュレータ314のポートP4は、フィルタ313−1から受け取った波長λuのアップリンク光信号をポートP1から出力する。
【0039】
なお、光サーキュレータ314がダウンリンクユニット320の光サーキュレータ321から受け取る光信号は、ポートP2からフィルタ313−2に出力されるが、波長がλuでない場合はフィルタ313−2に反射されて戻ってきてポートP3から出力される。したがって、波長λu以外の光信号は、光サーキュレータ314を通り抜ける。
【0040】
また、光サーキュレータ314が第1端子から受け取る光信号は、ポートP4からフィルタ313−1に出力されるが、波長がλuでない場合はフィルタ313−2に反射されて戻ってきてポートP1からダウンリンクユニット320の光サーキュレータ321に出力される。したがって、波長λdであるダウンリンク光信号が第1端子から入力された場合、光サーキュレータ314を通り抜けて、ダウンリンクユニット320の光サーキュレータ321に入力される。
【0041】
ダウンリンクユニット320は、光サーキュレータ321、フィルタ322−1および322−2、光電気変換部323−1および323−2、ならびに合成部324を備える。なお、フィルタ322−1および322−2は同種のものであり、総称する場合はフィルタ322と記載する。また、光電気変換部323−1〜323−2は同種のものであり、総称する場合は光電気変換部323と記載する。
【0042】
光サーキュレータ321のポートP1は、第2端子から受け取った光信号をポートP2から出力する。光サーキュレータ321のポートP2は、フィルタ322−2から受け取った光信号をポートP3から出力する。光サーキュレータ321のポートP3は、アップリンクユニット310の光サーキュレータ314のポートP1から受け取った光信号をポートP4から出力する。光サーキュレータ321のポートP4は、フィルタ322−1から受け取った光信号をポートP1から出力する。
【0043】
フィルタ322は、特定の波長の光信号のみを透過させるという特性を有する。例えば、ダウンリンク光信号の波長をλdとすると、波長λdの光信号のみを透過させ、その他の波長の光信号は反射する。
【0044】
フィルタ322は、光サーキュレータ321と光電気変換部323との間に接続される。フィルタ322は、光サーキュレータ321から受け取った波長λdのダウンリンク光信号を透過させて光電気変換部323に出力する。また、フィルタ322は、光サーキュレータ321から波長λd以外の光信号を受け取った場合、当該光信号を反射して光サーキュレータ321に戻す。
【0045】
フィルタ322には、例えば、FBGフィルタが用いられる。
【0046】
ここで、光サーキュレータ321がアップリンクユニット310の光サーキュレータ314から受け取る光信号は、ポートP4からフィルタ322−1に出力されるが、波長がλdでない場合はフィルタ322−1に反射されて戻ってきてポートP1から出力される。したがって、波長λd以外の光信号は、光サーキュレータ321を通り抜ける。
【0047】
また、光サーキュレータ321が第2端子から受け取る光信号は、ポートP2からフィルタ322−2に出力されるが、波長がλdでない場合はフィルタ322−2に反射されて戻ってきてポートP3からアップリンクユニット310の光サーキュレータ314に出力される。したがって、波長λd以外の光信号は、光サーキュレータ321を通り抜ける。
【0048】
光電気変換部323は、フィルタ322からダウンリンク光信号を受信し、ダウンリンク無線信号に変換して、合成部324に出力する。
【0049】
合成部324は、光電気変換部323−1および323−2からダウンリンク無線信号を受け取り、2つの信号を合成して遠隔基地局40へ出力する。
【0050】
なお、無線通信システムとしてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を想定した場合、OFDM方式は、シンボルがガードバンドを有することにより、遅延波によるシンボル間干渉を低減することができるという特徴があるため、合成部324は、2つの信号を合成する際に、タイミングを揃える処理を行うことが不要である。遅延波の遅延時間がガードバンドを超える可能性がある場合は、光ファイバの長さを調整して遅延時間がガードバンド内におさまるようにしてもよい。
【0051】
このように、本実施形態に係る光合分波器30は、同一のアップリンク光信号を第1端子および第2端子の2つの端子から出力することができる。また、本実施形態に係る光合分波器30は、第1端子および第2端子の2つの端子から入力されるダウンリンク光信号を光電気変換部323によってダウンリンク無線信号に変換し、合成部324によって合成して遠隔基地局40へ出力することができる。
【0052】
本実施形態に係る光合分波器30は、このように、2つの端子からアップリンク光信号を出力し、また2つの端子からダウンリンク光信号を受け取ることができることにより、冗長性がある構成となっている。例えば、第1端子に接続している光ファイバが断線しても、第2端子側が正常であれば、第2端子に接続している光ファイバを介して分岐カプラ20からダウンリンク光信号を受け取り、分岐カプラ20にアップリンク光信号を出力することができる。
【0053】
なお、本実施形態においては、合成部324において光電気変換部323−1および323−2により変換後のダウンリンク無線信号を合成するとして説明したが、ダウンリンク無線信号に変換する前にダウンリンク光信号の段階で2つの信号を合成してもよい。また、合成せずにいずれか片方の端子から入力したダウンリンク光信号のみを使用してもよい。
【0054】
また、本実施形態に係る光合分波器30は、アップリンク光信号を出力する端子とダウンリンク光信号を入力する端子とが共通である。すなわち、本実施形態に係る光合分波器30は、アップリンク光信号とダウンリンク光信号を共通の光ファイバで伝送しているため、アップリンク光信号とダウンリンク光信号のそれぞれに対して専用の光ファイバを使用する構成に比べて、少ない本数の光ファイバで光伝送システムを構成することができる。
【0055】
図3は、本発明の一実施形態に係る集中基地局の概略を示すブロック図である。集中基地局10は、ダウンリンクユニット110およびアップリンクユニット120を備える。
【0056】
ダウンリンクユニット110は、ベースバンド部111および電気光変換部112を備える。
【0057】
ベースバンド部111は、ダウンリンク無線信号を生成し電気光変換部112に出力する。ベースバンド部111は、遠隔基地局40毎に異なるダウンリンク信号を生成する場合は、SCM(Sub Carrier Modulation)多重などによりダウンリンク無線信号を多重化する。
【0058】
電気光変換部112は、ベースバンド部111から受け取ったダウンリンク無線信号をダウンリンク光信号に変換し分岐カプラ20に出力する。電気光変換部112は、遠隔基地局40毎またはセル毎に異なる波長のダウンリンク光信号に変換する場合は、遠隔基地局40またはセルの数に応じて、λd1〜λdn(nは遠隔基地局40またはセルの数)の波長のダウンリンク光信号に変換する。
【0059】
アップリンクユニット120は、光電気変換部121およびベースバンド部122を備える。
【0060】
光電気変換部121は、分岐カプラ20から受け取ったアップリンク光信号をアップリンク無線信号に変換しベースバンド部122に出力する。
【0061】
ベースバンド部122は、光電気変換部121から受け取ったアップリンク無線信号をデジタル信号に変換してベースバンド信号処理を行う。ベースバンド部122は、受け取ったアップリンク無線信号がSCM多重されている場合は、サブキャリア毎に信号を分離してベースバンド信号処理を行う。
【0062】
図4は、本発明の一実施形態に係る遠隔基地局の概略を示すブロック図である。遠隔基地局40は、通信部401および信号処理部402を備える。
【0063】
通信部401は、端末2からアップリンク無線信号を受信し、当該アップリンク無線信号をダウンコンバートして信号処理部402に出力する。また、通信部401は、信号処理部402からダウンリンク無線信号を受け取り、当該ダウンリンク無線信号をアップコンバートして端末2に送信する。
【0064】
信号処理部402は、通信部401からダウンコンバートされたアップリンク無線信号を受け取って特定のサブキャリア周波数に変換するなどの処理を行い、当該アップリンク無線信号を光合分波器30に出力する。また、信号処理部402は、光合分波器30からダウンリンク無線信号を受け取り、SCM多重されている場合は当該遠隔基地局40が出力するサブキャリア周波数の信号のみを取り出して通信部401に出力する。
【0065】
(第1実施形態)
図5は、本発明の第1実施形態に係る光伝送システムの概略図である。第1実施形態に係る光伝送システム2は、集中基地局10、分岐カプラ20−1〜20−3、光合分波器30−1〜30−6および遠隔基地局40−1〜40−6を備える。
【0066】
なお、分岐カプラ20−1〜20−3は同種のものであり、総称する場合は分岐カプラ20と記載する。光合分波器30−1〜30−6は同種のものであり、総称する場合は光合分波器30と記載する。遠隔基地局40−1〜40−6は同種のものであり、総称する場合は遠隔基地局40と記載する。
【0067】
集中基地局10、分岐カプラ20および光合分波器30は、お互いに光ファイバを介して接続されている。
【0068】
第1実施形態においては、遠隔基地局40−1〜40−6は、3つのセルをカバーしており、遠隔基地局40−1および40−2はセル1を、遠隔基地局40−3および40−4はセル2を、遠隔基地局40−5および40−6はセル3をカバーしている。
【0069】
集中基地局10は、ダウンリンクユニット110からダウンリンク光信号を分岐カプラ20−1に出力する。当該ダウンリンク光信号の波長はλdである。集中基地局10のアップリンクユニット120は、分岐カプラ20−1からアップリンク光信号を受け取る。当該アップリンク光信号は、波長λu1、λu2およびλu3の3つの波長を含む光信号である。
【0070】
波長λu1、λu2およびλu3は、それぞれ、セル1〜3内の光合分波器30がアップリンク無線信号をアップリンク光信号に変換する際の波長に対応する。例えば、セル1内の光合分波器30−1および30−2は、アップリンク無線信号を波長がλu1のアップリンク光信号に変換する。
【0071】
分岐カプラ20−1は、集中基地局10のダウンリンクユニット110から受け取ったダウンリンク光信号を2つに分岐し、光合分波器30−1および30−2に出力する。また、分岐カプラ20−1は、光合分波器30−1および30−2から受け取ったアップリンク光信号を集中基地局10のアップリンクユニット120に出力する。
【0072】
光合分波器30−1は、分岐カプラ20−1からダウンリンク光信号を受け取り、その一部をダウンリンク無線信号に変換して遠隔基地局40−1に出力し、残りを分岐カプラ20−2に出力する。ここで、光合分波器30−1がダウンリンク光信号をダウンリンク無線信号に変換する割合は光合分波器30−1内のフィルタ322の波長λdに対する透過率により決まる。例えば、当該透過率が33%である場合は、波長λdのダウンリンク光信号のうち33%がフィルタ322を透過してダウンリンク無線信号に変換され、残りの67%はそのまま光合分波器30−1を通過して分岐カプラ20−2に出力される。
【0073】
また、光合分波器30−1は、遠隔基地局40−1からアップリンク無線信号を受け取り、波長λu1のアップリンク光信号に変換して分岐カプラ20−1および20−2に出力する。
【0074】
さらに、光合分波器30−1は、分岐カプラ20−2から波長λu2およびλu3のアップリンク光信号を受け取る。波長λu2およびλu3のアップリンク光信号は、いずれも光合分波器30−1内のフィルタ313および322を透過しないため、光合分波器30−1は、波長λu2およびλu3のアップリンク光信号を、そのまま、分岐カプラ20−1に出力する。すなわち、光合分波器30−1は、λu1、λu2およびλu3の3つの波長のアップリンク光信号を分岐カプラ20−1に出力する。
【0075】
ここで、波長λu2のアップリンク光信号は、セル2内の光合分波器30−3および30−4によってアップリンク無線信号から変換されたものであり、分岐カプラ20−2を介して光合分波器30−1に入力されたものである。波長λu3のアップリンク光信号は、セル3内の光合分波器30−5および30−6によってアップリンク無線信号から変換されたものであり、分岐カプラ20−2および20−3、光合分波器30−3または30−4を介して光合分波器30−1に入力されたものである。
【0076】
図6は、第1実施形態に係る光伝送システムに断線がある場合を示す図である。図6においては、一例として、分岐カプラ20−2と光合分波器30−4との間の光ファイバが断線した場合を示す。
【0077】
セル1内の光合分波器30−1および30−2は、集中基地局10との間に断線箇所がないため、集中基地局10と支障なく光信号を伝送することができる。
【0078】
セル2内の光合分波器30−3および30−4については、光合分波器30−4は、分岐カプラ20−2との間の光ファイバが断線しているため、集中基地局10が送信するダウンリンク光信号を受信することができない。したがって、光合分波器30−4に接続した遠隔基地局40−4は、セル2内の無線端末2と通信できなくなってしまう。しかしながら、光合分波器30−3は、集中基地局10との間に断線箇所がないため、集中基地局10と支障なく光信号を伝送することができる。したがって、光合分波器30−3に接続する遠隔基地局40−3がセル2内の無線端末2と通信可能であるため、セル2内のサービス停止には至らない。
【0079】
セル3内の光合分波器30−5および30−6については、分岐カプラ20−2と光合分波器30−4との間の光ファイバが断線していても、集中基地局10との間に、分岐カプラ20−1、光合分波器30−1または30−2、分岐カプラ20−2、光合分波器30−3および分岐カプラ20−3を介した経路がつながっている。したがって、光合分波器30−5および30−6は、集中基地局10と支障なく光信号を伝送することができる。
【0080】
このように、第1実施形態に係る光伝送システム2においては、セル2の前段の光ファイバに断線が発生しても、これにより集中基地局10との間のデータ伝送ができなくなる光合分波器30は、断線箇所直後の1つの光合分波器30だけであり、光ファイバが断線した場合の影響を最小限に抑えることができる。
【0081】
なお、第1実施形態の説明においては、アップリンク光信号の波長はセル毎に異なるとして説明したが、光合分波器30毎に異なる波長としてもよい。
【0082】
また、第1実施形態の説明においては、ダウンリンク光信号の波長をλdとして、波長が共通の場合を例に挙げたが、セル毎、または、光合分波器30毎に異なる波長を用いてもよい。
【0083】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係る光伝送システムの概略図である。第2実施形態に係る光伝送システム3は、集中基地局10、分岐カプラ20、WDM(Wavelength Division Multiplexing)カプラ50aおよび50b、光合分波器30−1〜30−3ならびに遠隔基地局40−1〜40−3を備える。
【0084】
なお、光合分波器30−1〜30−3は同種のものであり、総称する場合は光合分波器30と記載する。遠隔基地局40−1〜40−3は同種のものであり、総称する場合は遠隔基地局40と記載する。
【0085】
集中基地局10、分岐カプラ20、WDMカプラ50aおよび50bならびに光合分波器30は、お互いに光ファイバを介して接続されている。
【0086】
集中基地局10は、ダウンリンクユニット110からダウンリンク光信号を分岐カプラ20に出力する。当該ダウンリンク光信号は、波長としてλd1、λd2およびλd3の3つの波長を含む光信号である。集中基地局10のアップリンクユニット120は、分岐カプラ20からアップリンク光信号を受け取る。当該アップリンク光信号は、波長λu1、λu2およびλu3の3つの波長を含む光信号である。
【0087】
波長λd1、λd2およびλd3は、それぞれ、光合分波器30−1〜30−3がダウンリンク光信号をダウンリンク無線信号に変換する際の波長に対応する。すなわち、例えば、光合分波器30−1は、波長がλd1のダウンリンク光信号をダウンリンク無線信号に変換する。
【0088】
波長λu1、λu2およびλu3は、それぞれ、光合分波器30−1〜30−3がアップリンク無線信号をアップリンク光信号に変換する際の波長に対応する。例えば、光合分波器30−1は、アップリンク無線信号を波長がλu1のアップリンク光信号に変換する。
【0089】
分岐カプラ20は、集中基地局10のダウンリンクユニット110から受け取ったダウンリンク光信号を2つに分岐し、光合分波器30−1およびWDMカプラ50aに出力する。また、分岐カプラ20は、光合分波器30−1およびWDMカプラ50aから受け取ったアップリンク光信号を集中基地局10のアップリンクユニット120に出力する。
【0090】
WDMカプラ50aおよび50bは光カプラの1種であり、入力される光信号の波長に応じて出力されるポートが異なるという特性を有するものである。
【0091】
ここで、図12を用いてWDMカプラ50aの入出力特性を説明する。図12(a)に、WDMカプラ50aのポート1に波長λd1、λd2およびλd3を含む光信号を入力した場合を示す。この場合、ポート3から波長λd1の光信号が出力され、ポート4から波長λd2およびλd3の波長を含む光信号が出力される。また、図12(b)に、WDMカプラ50aのポート3に波長λd1、λd2およびλd3を含む光信号を入力した場合を示す。この場合、ポート1から波長λd1の光信号が出力され、ポート2から波長λd2およびλd3の波長を含む光信号が出力される。
【0092】
続いて、図13を用いてWDMカプラ50bの入出力特性を説明する。図13(a)に、WDMカプラ50bのポート1に波長λd2およびλd3を含む光信号を入力した場合を示す。この場合、ポート3から波長λd2の光信号が出力され、ポート4から波長λd3の光信号が出力される。また、図13(b)に、WDMカプラ50bのポート3に波長λd2およびλd3を含む光信号を入力した場合を示す。この場合、ポート1から波長λd2の光信号が出力され、ポート2から波長λd3の光信号が出力される。
【0093】
なお、WDMカプラ50aおよびWDMカプラ50bは、ダウンリンク光信号の波長範囲においては、図12および図13において説明したように出力の波長選択性を有するが、アップリンク光信号の波長範囲においては出力の波長選択性を有さない。したがって、WDMカプラ50aおよびWDMカプラ50bに入力されたアップリンク光信号は、全ての波長範囲にわたって、2つの出力ポートから出力される。
【0094】
再び図7に戻って説明する。光合分波器30−1は、分岐カプラ20からダウンリンク光信号を受け取り、波長λd1のダウンリンク光信号をダウンリンク無線信号に変換して遠隔基地局40−1に出力し、波長がλd2およびλd3のダウンリンク光信号をWDMカプラ50aに出力する。これを実現するため、光合分波器30−1のフィルタ322は、波長λd1の光信号のみを透過させるフィルタとなっている。
【0095】
また、光合分波器30−1は、遠隔基地局40−1からアップリンク無線信号を受け取り波長λu1のアップリンク光信号に変換して分岐カプラ20およびWDMカプラ50aに出力する。
【0096】
さらに、光合分波器30−1は、WDMカプラ50aから波長λu2およびλu3のアップリンク光信号を受け取る。波長λu2およびλu3の光信号は、いずれも光合分波器30−1内のフィルタ322および313を透過しないため、光合分波器30−1は、波長λu2およびλu3のアップリンク光信号を、そのまま、分岐カプラ20に出力する。すなわち、光合分波器30−1は、λu1、λu2およびλu3の3つの波長のアップリンク光信号を分岐カプラ20に出力する。
【0097】
ここで、波長λu2のアップリンク光信号は、光合分波器30−2によってアップリンク無線信号から変換されたものであり、WDMカプラ50bおよび50aを介して光合分波器30−1に入力されたものである。波長λu3のアップリンク光信号は、光合分波器30−3によってアップリンク無線信号から変換されたものであり、WDMカプラ50bおよび50a、光合分波器30−2を介して光合分波器30−1に入力されたものである。
【0098】
WDMカプラ50aは、光合分波器30−1から波長λd2およびλd3を含むダウンリンク光信号を受け取りWDMカプラ50bに出力する。また、WDMカプラ50aは、分岐カプラ20から波長λd1、λd2およびλd3を含むダウンリンク光信号を受け取って、波長λd1のダウンリンク光信号を光合分波器30−1に出力し、波長λd2およびλd3を含むダウンリンク光信号をWDMカプラ50bに出力する。
【0099】
WDMカプラ50bは、光合分波器30−2から波長λd3のダウンリンク光信号を受け取り光合分波器20−3に出力する。また、WDMカプラ50bは、WDMカプラ50aから波長λd2およびλd3を含むダウンリンク光信号を受け取って、波長λd2のダウンリンク光信号を光合分波器30−2に出力し、波長λd3のダウンリンク光信号を光合分波器30−3に出力する。
【0100】
図8は、第2実施形態に係る光伝送システムに断線がある場合を示す図である。図8においては、一例として、WDMカプラ50aと光合分波器30−2との間の光ファイバが断線した場合を示す。
【0101】
光合分波器30−1は、集中基地局10との間に断線箇所がないため、集中基地局10と支障なく光信号を伝送することができる。
【0102】
光合分波器30−2は、WDMカプラ50aと光合分波器30−2との間の光ファイバが断線していても、集中基地局10との間に、分岐カプラ20、光合分波器30−1、WDMカプラ50aおよびWDMカプラ50bを介した経路がつながっている。したがって、光合分波器30−2は、集中基地局10と支障なく光信号を伝送することができる。
【0103】
光合分波器30−3は、WDMカプラ50aと光合分波器30−2との間の光ファイバが断線していても、集中基地局10との間に、分岐カプラ20、光合分波器30−1、WDMカプラ50aおよびWDMカプラ50bを介した経路がつながっている。したがって、光合分波器30−3は、集中基地局10と支障なく光信号を伝送することができる。
【0104】
このように、第2実施形態に係る光伝送システム3においては、光合分波器30−2の前段の光ファイバに断線が発生しても、光合分波器30−2は、断線した光ファイバが接続していない側の端子を介して集中基地局10との間でデータ伝送をすることができ、また、光合分波器30−3も集中基地局10との間でデータ伝送をすることができることから、集中基地局10との間でデータ伝送をすることができなくなる光合分波器30が発生しない。
【0105】
なお、第2実施形態の説明においては、分岐カプラ20とWDMカプラ50aとの間、または、WDMカプラ50aとWDMカプラ50bとの間には、1つの光合分波器30が接続されている場合を例に挙げて説明したが、2つの光合分波器30が並列に接続される構成であってもよい。
【0106】
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態に係る光伝送システムの概略図である。第3実施形態に係る光伝送システム4は、集中基地局10、分岐カプラ20、光合分波器30−1〜30−6および遠隔基地局40−1〜40−6を備える。
【0107】
なお、光合分波器30−1〜30−6は同種のものであり、総称する場合は光合分波器30と記載する。遠隔基地局40−1〜40−6は同種のものであり、総称する場合は遠隔基地局40と記載する。
【0108】
集中基地局10、分岐カプラ20および光合分波器30は、お互いに光ファイバを介して接続されている。図10に示すように、光合分波機30−1〜30−6は、分岐カプラ20の2つの出力の間にリング状に接続されている。
【0109】
第3実施形態においては、遠隔基地局40−1〜40−6は、3つのセルをカバーしており、遠隔基地局40−1および40−2はセル1を、遠隔基地局40−3および40−4はセル2を、遠隔基地局40−5および40−6はセル3をカバーしている。
【0110】
集中基地局10は、ダウンリンクユニット110からダウンリンク光信号を分岐カプラ20に出力する。当該ダウンリンク光信号の波長はλdである。集中基地局10のアップリンクユニット120は、分岐カプラ20からアップリンク光信号を受け取る。当該アップリンク光信号は、波長λu1〜λu6の6つの波長を含む光信号である。
【0111】
波長λu1〜λu6は、それぞれ、光合分波器30−1〜30−6がアップリンク無線信号をアップリンク光信号に変換する際の波長に対応する。例えば、光合分波器30−1は、アップリンク無線信号を波長がλu1のアップリンク光信号に変換する。
【0112】
分岐カプラ20は、集中基地局10のダウンリンクユニット110から受け取ったダウンリンク光信号を2つに分岐し、光合分波器30−1および30−2に出力する。また、分岐カプラ20は、光合分波器30−1および30−2から受け取ったアップリンク光信号を集中基地局10のアップリンクユニット120に出力する。
【0113】
光合分波器30−1は、分岐カプラ20からダウンリンク光信号を受け取り、その一部をダウンリンク無線信号に変換して遠隔基地局40−1に出力し、残りを光合分波器30−3に出力する。
【0114】
また、光合分波器30−1は、遠隔基地局40−1からアップリンク無線信号を受け取り波長λu1のアップリンク光信号に変換して分岐カプラ20および光合分波器30−2に出力する。
【0115】
さらに、光合分波器30−1は、光合分波器30−2から波長λu2〜λu6を含むアップリンク光信号を受け取る。波長λu2〜λu6の光信号は光合分波器30−1内のフィルタ322および313を透過しないため、光合分波器30−1は、波長λu2〜λu6のアップリンク光信号を、そのまま、分岐カプラ20に出力する。すなわち、光合分波器30−1は、λu1〜λu6の6つの波長を含むアップリンク光信号を分岐カプラ20に出力する。
【0116】
ここで、波長λu2〜λu6のアップリンク光信号は、それぞれ、光合分波器30−2〜30−6によってアップリンク無線信号から変換されたものである。
【0117】
図10は、第3実施形態に係る光伝送システムに断線がある場合を示す図である。図10においては、一例として、光合分波器30−1と光合分波器30−3との間の光ファイバが断線した場合を示す。
【0118】
セル1内の光合分波器30−1および30−2は、集中基地局10との間に断線箇所がないため、集中基地局10と支障なく光信号を伝送することができる。
【0119】
セル2内の光合分波器30−3および30−4については、光合分波器30−4は、集中基地局10との間に断線箇所がないため、集中基地局10と支障なく光信号を伝送することができる。光合分波器30−3は、光合分波器30−1との間の光ファイバは断線しているものの、集中基地局10との間に、分岐カプラ20、光合分波器30−2、30−4、30−6および30−5を介した経路がつながっている。したがって、光合分波器30−3も、集中基地局10と支障なく光信号を伝送することができる。
【0120】
セル3内の光合分波器30−5および30−6については、光合分波器30−1と光合分波器30−3との間の光ファイバが断線していても、集中基地局10との間に、分岐カプラ20−1、光合分波器30−2および30−4を介した経路がつながっている。したがって、光合分波器30−5および30−6は、集中基地局10と支障なく光信号を伝送することができる。
【0121】
このように、第3実施形態に係る光伝送システム4においては、光合分波器30−3の前段の光ファイバに断線が発生しても、全ての光合分波器30が集中基地局10との間でデータ伝送をすることができることから、集中基地局10との間でデータ伝送をすることができなくなる光合分波器30が発生しない。
【0122】
また、第3実施形態に係る光伝送システム4においては、分岐カプラ20を1つのみ用いて、上述のような冗長性を実現することができる。
【0123】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0124】
10 集中基地局
20 分岐カプラ
30 光合分波器
40 遠隔基地局
50 WDMカプラ
110 ダウンリンクユニット
111 ベースバンド部
112 電気光変換部
120 アップリンクユニット
121 光電気変換部
122 ベースバンド部
310 アップリンクユニット
311 電気光変換部
312 光合分波器分岐カプラ
313 フィルタ
314 光サーキュレータ
320 ダウンリンクユニット
321 光サーキュレータ
322 フィルタ
323 光電気変換部
324 合成部
401 通信部
402 信号処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおいて、集中基地局および遠隔基地局と結合する光合分波器であって、
前記集中基地局が送信するダウンリンク光信号を光ファイバを介して受信する第1端子および第2端子と、
前記第1端子が受信する第1ダウンリンク光信号を第1ダウンリンク無線信号に変換する第1光電気変換部と、
前記第2端子が受信する第2ダウンリンク光信号を第2ダウンリンク無線信号に変換する第2光電気変換部と、
前記第1ダウンリンク無線信号と前記第2ダウンリンク無線信号とを合成し、合成したダウンリンク無線信号を前記遠隔基地局に送信する合成部と
を備えることを特徴とする光合分波器。
【請求項2】
請求項1に記載の光合分波器であって、さらに、
前記第1端子に接続される第1光サーキュレータと、
前記第1光サーキュレータと前記第2端子との間に接続される第2光サーキュレータと、
前記第2光サーキュレータと前記第1光電気変換部との間に接続される第1フィルタと、
前記第2光サーキュレータと前記第2光電気変換部との間に接続される第2フィルタと
を備え、
前記第1フィルタは、前記第1端子から前記第1光サーキュレータおよび前記第2光サーキュレータを介して受け取った光信号のうち特定の波長の光信号のみを前記第1光電気変換部に出力し、前記特定の波長でない光信号を前記第2光サーキュレータを介して前記第2端子から出力させ、
前記第2フィルタは、前記第2端子から前記第2光サーキュレータを介して受け取った光信号のうち特定の波長の光信号のみを前記第2光電気変換部に出力し、前記特定の波長でない光信号を前記第2光サーキュレータおよび前記第1光サーキュレータを介して前記第1端子から出力させる
ことを特徴とする光合分波器。
【請求項3】
請求項2に記載の光合分波器であって、さらに、
前記遠隔基地局から受信したアップリンク無線信号をアップリンク光信号に変換する電気光変換部と、
前記アップリンク光信号を第1アップリンク光信号および第2アップリンク光信号に分岐する光合分波器分岐カプラと、
前記光合分波器分岐カプラと前記第1光サーキュレータのポート2との間に接続される第3フィルタと、
前記光合分波器分岐カプラと前記第1光サーキュレータのポート4との間に接続される第4フィルタと
を備え、
前記第1アップリンク信号は、前記第3フィルタを介して前記第1光サーキュレータにより前記第1端子から出力され、
前記第2アップリンク信号は、前記第4フィルタおよび前記第1光サーキュレータを介して前記第2光サーキュレータにより前記第2端子から出力される
ことを特徴とする光合分波器。
【請求項4】
無線通信システムにおいて、集中基地局、n(nは自然数)個の分岐カプラ、2n個の遠隔基地局、および、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光合分波器を2n個備える光伝送システムにおいて、
前記分岐カプラは、入力ポートとして第1ポートおよび第2ポートを備え、出力ポートとして第3ポートおよび第4ポートを備えるものであり、
1番目の分岐カプラは、光ファイバを介して、第1ポートが前記集中基地局からダウンリンク光信号を受信し、第2ポートが前記集中基地局へアップリンク光信号を送信し、第3ポートが1番目の光合分波器の第1端子に接続され、第4ポートが2番目の光合分波器の第1端子に接続され、
i番目(iは2〜nの自然数)の分岐カプラは、光ファイバを介して、第1ポートが(2i−3)番目の光合分波器の第2端子に接続され、第2ポートが(2i−2)番目の光合分波器の第2端子に接続され、第3ポートが(2i−1)番目の光合分波器の第1端子に接続され、第4ポートが2i番目の光合分波器の第1端子に接続される
ことを特徴とする光伝送システム。
【請求項5】
請求項4に記載の光伝送システムであって、
前記分岐カプラは、3dBカプラであることを特徴とする光伝送システム。
【請求項6】
無線通信システムにおいて、集中基地局、分岐カプラ、n(nは自然数)個のWDMカプラ、(n+1)個の遠隔基地局、および、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光合分波器を(n+1)個備える光伝送システムにおいて、
前記分岐カプラは、入力ポートとして第1ポートおよび第2ポートを備え、出力ポートとして第3ポートおよび第4ポートを備えるものであり、
前記WDMカプラは、入力ポートとして第1ポートおよび第2ポートを備え、出力ポートとして第3ポートおよび第4ポートを備えるものであり、
前記分岐カプラは、光ファイバを介して、第1ポートが前記集中基地局からダウンリンク光信号を受信し、第2ポートが前記集中基地局へアップリンク光信号を送信し、第3ポートが1番目の光合分波器の第1端子に接続され、第4ポートが1番目のWDMカプラの第3ポートに接続され、
1番目のWDMカプラは、光ファイバを介して、第1ポートが1番目の光合分波器の第2端子に接続され、第2ポートが2番目の光合分波器の第1端子に接続され、第3ポートが前記分岐カプラの第4ポートに接続され、第4ポートが2番目のWDMカプラの第3ポートに接続され、
i番目(iは2〜(n−1)の自然数)のWDMカプラは、光ファイバを介して、第1ポートがi番目の光合分波器の第2端子に接続され、第2ポートが(i+1)番目の光合分波器の第1端子に接続され、第3ポートが(i−1)番目のWDMカプラの第4ポートに接続され、第4ポートが(i+1)番目のWDMカプラの第3ポートに接続され、
n番目のWDMカプラは、光ファイバを介して、第1ポートがn番目の光合分波器の第2端子に接続され、第2ポートが(n+1)番目の光合分波器の第1端子に接続され、第3ポートが(n−1)番目のWDMカプラの第4ポートに接続され、第4ポートが(n+1)番目の光合分波器の第2端子に接続される
ことを特徴とする光伝送システム。
【請求項7】
無線通信システムにおいて、集中基地局、分岐カプラ、n個(nは自然数)の遠隔基地局、および、請求項1〜3のいずれか1項に記載のn個の光合分波器を備える光伝送システムにおいて、
前記分岐カプラは、入力ポートとして第1ポートおよび第2ポートを備え、出力ポートとして第3ポートおよび第4ポートを備えるものであり、
前記分岐カプラは、光ファイバを介して、第1ポートが前記集中基地局からダウンリンク光信号を受信し、第2ポートが前記集中基地局へアップリンク光信号を送信し、第3ポートと第4ポートとの間に前記n個の光合分波器がリング状に接続される
ことを特徴とする光伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−90284(P2013−90284A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231972(P2011−231972)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】