説明

光均一デバイス、光学シート及びそれを用いたバックライト・ユニットとディスプレイ装置

【課題】省エネ化や薄型化に伴う広がるCCFL間隔や狭まるCCFL-パネル間距離に対応して、複数の光源からの入射光を均一にして射出させることでランプイメージを低減/消滅させることを可能にする光学部材、バックライト・ユニット及びディスプレイ表示装置の提供。
【解決手段】光均一デバイス11は、光源からの光が入射する光偏向要素5と、光偏向要素5の光射出面に配された光伝搬層6からなる。偏向要素5は、例えば、少なくとも1種以上の凹凸形状を有する光偏向レンズである。光伝搬層6は少なくとも1以上の光反射透過層6b、光拡散層6cを有する。光反射透過層6bは、光反射性及び光透過性を同時に兼ね備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に液晶表示素子を用いたディスプレイ用直下型バックライト・ユニットにおける照明光路制御に使用される光学部材の材料の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネルを使用した液晶表示装置(LCD)がOA分野のノート型パーソナルコンピュータやパーソナルコンピュータ用ディスプレイ,情報端末機器等の画像表示手段,また大型画面テレビなどの情報家電の画像表示手段,さらには携帯電話や個人用携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistance)の画像表示手段として様々な分野で利用されてきている。
【0003】
液晶表示装置(LCD)に代表されるディスプレイでは、提供される情報を認識するのに必要な光源を内蔵しているタイプの普及が著しい。このような液晶表示装置は透過型であり、液晶パネルの背面側に光源を配設し、この光源からの光を面発光に変換して液晶パネルを照射する面光源装置、いわゆる、バックライトが採用されている。
【0004】
バックライトの方式には、大別して冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)等の光源を光透過性に優れたアクリル樹脂等からなる平板状の導光板の側端部に沿って取付け、光源からの光を導光板内で多重反射させる導光板ライトガイド方式(エッジライト方式)と、導光板を用いず液晶パネルの背面に光源を配置した直下型方式とがある。
【0005】
最近では、ノート型パーソナルコンピュータや携帯情報端末などに用いられる20inch以下の画面サイズの小型液晶表示装置には、低消費電力化が図れ、薄型化の容易なエッジライト方式の採用が主流となり、20inch以上の画面サイズの中〜大型液晶表示装置では直下型方式の採用が主流となっている。ラップトップコンピュータのような電池式装置において、光源で消費する電力は、電池式装置全体で消費する電力の相当部分を占める。従って、所定の輝度を提供するのに必要な総電力を低減することで電池寿命が増大するが、これは電池式装置には特に望ましいことである。
【0006】
20inch以上の液晶表示装置に対しては、より薄型で、視野角依存性が低く、高輝度、かつ低消費電力であることが求められており、液晶表示装置に搭載されるバックライトもその実現に対処することが要求されている。
【0007】
複数本の冷陰極管を並列させた直下型方式バックライトでは、光源としてのCCFLやLED(Light Emitting Diode)などが、出射光を拡散させる拡散板を通して、その発光した光源の形状が直接視認できてしまうため、拡散板は非常に光散乱性の強い樹脂板が用いられている。この拡散板は、強い拡散性を持たせるために通常1mm〜3mm程度の厚さが必要であり、その厚さのために光吸収が少なからずあり、光源からの光量が減少し液晶画面表示が暗くなる問題がある。
【0008】
また、液晶テレビは年々薄型化していく傾向があるので、拡散板も薄型化される傾向があり、更なる拡散性の向上が求められている。
【0009】
従来、直下型方式バックライトに使用される拡散板は、光源である冷陰極管から出射される光を拡散させ、輝度ムラ(ランプイメージ)を低減させることを目的としている。しかしながら、完全にランプイメージを消すのは難しい。
【0010】
完全にランプイメージを消すために、無理に拡散粒子を増やした場合には、全光線透過率が下がりすぎ、輝度低下を引き起こす原因となる。また、全光線透過率を下げないよう拡散板の拡散粒子を減らすと、拡散効果も下がってしまう。
【0011】
特許文献1〜3には、拡散性能を向上させる手段として、拡散板の出射面にレンズ形状を賦形した例が開示されている。たとえば、拡散板の上に凸型曲面を有するレンズが配置されている。このような拡散板では、光源の配置に合わせてレンズの形状を設計し、レンズのアライメントを決定することが必要となる場合があり、製造工程が煩雑化する場合がある。また、拡散板の出射面にレンズ形状を賦形することにより、拡散板の全光線透過率が低下して、液晶表示画面を暗くする場合がある。さらにまた、拡散板の上に配置したレンズシートと液晶画素とからモアレ干渉縞が生じる場合もある。
【0012】
液晶表示画面の輝度を向上させる手段として、米国3M社の登録商標である輝度向上フィルム(Brightness Enhancement Film:BEF)がレンズシートとして広く使用されている。
図1は、BEFの配置の一例を示す断面模式図であり、図2は、BEFの斜視図である。図1、2に示すように、BEF4は、部材1上に、断面三角形状の単位プリズム2が一方向に周期的に配列された光学フィルムである。この単位プリズム2は光の波長に比較して大きいサイズ(ピッチ)とされている。
【0013】
BEF4は、“軸外(off-axis)”からの光を集光し、この光を視聴者に向けて“軸上(on-axis)”に方向転換(redirect)または“リサイクル(recycle)”することができる。すなわちBEF4は、ディスプレイの使用時(観察時)に、軸外輝度を低下させることによって軸上輝度を増大させることができる。ここで言う「軸上」とは、視聴者の視野方向F'に一致する方向であり、一般的にはディスプレイ画面に対する法線方向側である。
【0014】
しかしながら、BEF4を用いた場合には、同時に反射/屈折作用による光成分が、視聴者の視覚方向F'に進むことなく横方向に無駄に出射されてしまう場合がある。そのため、BEF4の輝度測定を行なうと、光強度と視野方向F'に対する角度が0°(軸上方向にあたる)における光強度が最も高められるが、F'に対する角度が±90°近辺には小さな光強度ピーク(サイドローブ)が発生し、横方向から無駄に出射される光も増えてしまっていることが分かる。
【0015】
BEF4に代表されるレンズシートを用いる際に、透明基材上に拡散フィラーが塗布され、拡散と集光の両方の機能を持つ拡散フィルム(以下、下拡散フィルムと呼ぶ)を拡散板とレンズシートとの間に配置することによって、拡散板から出射される拡散光を効率よく集光することができるとともに、拡散板だけでは消しきれない光源の視認性を抑えることができる。
【0016】
さらにまた、レンズシートと液晶パネルとの間に光拡散フィルムを配置さいた場合には、サイドローブを低減させることができるとともに、規則的に配列されたレンズと液晶画素との間に生じるモアレ干渉縞を防ぐことができる。
【0017】
しかし、下拡散フィルムおよび光拡散フィルムを用いる方式は、部材数が増加して、ディスプレイの組立て時の作業が煩雑になるとともに、光学シートの間のゴミが混入するなどの問題が生じる。
【0018】
特許文献4には、このような問題を解決するための手段として、前記単位プリズムのみからの光学フィルムを用いるのではなく、単位レンズを二次元方向に一定のピッチで配列してなるアレイ構造の光学フィルムを用いたバックライト・ユニットが開示されている。この光学フィルムの光学特性を示した図にはサイドローブが示されず、視野方向F'の光強度もBEF4より向上されている。
【0019】
しかし、このような光学フィルムを用いたバックライト・ユニットにおいては、光学フィルムを一体積層するために拡散板の出射面を平坦にする必要があるので、拡散板の出射面にレンズを賦形して拡散効果と集光効果を高めることは難しかった。
【特許文献1】特開2007−103321号公報
【特許文献2】特開2007−12517号公報
【特許文献3】特開2006−195276号公報
【特許文献4】特開2007−213035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
近年盛んに開発が行われているディスプレイ装置の省電力化に伴い、バックライトとして用いられるCCFLとバックライト・ユニットに用いられる光学部材との距離の近接化だけでなく、CCFLの本数低減によるランプ間隔の拡大も顕著になってきている。
【0021】
そのため、従来のバックライト・ユニット用光学部材を使用すると、ランプイメージを完全には消すことができず、画像品位の低下を招く問題がある。これは、CCFL-パネル間距離が縮まったり、CCFL間距離が広がったりしたことにより、CCFLから照射された光が十分に広がる前に光学部材に入射されるため、バックライトの明暗がより強く反映されてしまうことに由来する。
【0022】
そこで、複数の光源からの入射光を均一にして射出させることでランプイメージを低減/消滅させることを可能にする光学部材、バックライト・ユニット及びディスプレイ表示装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、請求項1に係わる発明は、光偏向要素と、前記光偏向要素の光射出面側に配置されてなる光伝搬層と、を有する光均一デバイスであって、前記光伝搬層が、光反射性及び光透過性を同時に兼ね備える1以上の光反射透過層と、光拡散性を有する1以上の光拡散層とを備えており、光源からの光を前記光偏向要素の光入射面から入射し前記光伝搬層の光射出面から拡散光を射出することを特徴とする光均一デバイスである。
【0024】
請求項2に係わる発明は、請求項1に記載の光均一デバイスに於いて、光伝搬層の構成要素として、光反射粒子や光拡散粒子などのフィラーを含まずに光透過性を有する基材のみからなる非フィラー含有層を少なくとも1以上有することを特徴とする光均一デバイスである。
【0025】
請求項3に係わる発明は、請求項2に記載の光均一デバイスに於いて、前記非フィラー含有層が光偏向要素の光射出面に接して配され、更に前記非フィラー含有層に接して光拡散層が配されることを特徴とする光均一デバイスである。
【0026】
請求項4に係わる発明は、請求項1乃至3の少なくとも1項に記載の光均一デバイスに於いて、前記光偏向要素と前記光反射透過層の間に光拡散層が配されることを特徴とする光均一デバイスである。
【0027】
請求項5に係わる発明は、請求項1乃至4の少なくとも1項に記載の光均一デバイスに於いて、光偏向要素が、少なくとも1種以上の凹凸形状を有する光偏向レンズであることを特徴とする光均一デバイスである。
【0028】
請求項6に係わる発明は、請求項5に記載の光均一デバイスに於いて、前記光偏向レンズは、帯状に延在する複数の単位レンズがそれらの延在方向を平行させて並べられ構成され、各単位レンズは、それらの延在方向に沿って延在する焦点を有していることを特徴とする光均一デバイスである。
【0029】
請求項7に係わる発明は、請求項5に記載の光均一デバイスに於いて、前記光偏向レンズは、帯状に延在する複数の単位レンズがそれらの延在方向を平行させて並べられ構成され、各単位レンズは、それらの焦点の位置が互いに異なっていることを特徴とする光均一デバイススである。
【0030】
請求項8に係わる発明は、請求項5に記載の光均一デバイスに於いて、前記光偏向レンズは、帯状に延在する複数の単位レンズがそれらの延在方向を平行させて並べられ構成され、各単位レンズの焦点は前記光伝搬層内に位置していることを特徴とする光均一デバイスである。
【0031】
請求項9に係わる発明は、請求項5乃至8の少なくとも一項に記載の光均一デバイスに於いて、前記光偏向レンズの形状が、頂部と、前記頂部の両側に位置する湾曲部とを有する形状であることを特徴とする光均一デバイスである。
【0032】
請求項10に係わる発明は、請求項9に記載の光均一デバイスに於いて、前記頂部が稜線を有することを特徴とする光均一デバイスである。
【0033】
請求項11に係わる発明は、請求項1乃至10の少なくとも一項に記載の光均一デバイスに於いて、前記光偏向要素と、前記光伝播層とが多層押出法により一体成形されていることを特徴とする光均一デバイスである。
【0034】
請求項12に係わる発明は、請求項1乃至10の少なくとも一項に記載の光均一デバイスに於いて、光伝搬層が多層押出法により一体成形されており、光偏向要素がシート状に成形され、前記シート状に形成された前記光偏向要素と前記光伝搬層とが固定層により積層されていることを特徴とする光均一デバイスである。
【0035】
請求項13に係わる発明は、請求項1乃至10の少なくとも一項に記載の光均一デバイスに於いて、光伝搬層の各層がシート状に成形され、シート状に成形された光偏向要素と共に、固定層により積層されていることを特徴とする光均一デバイスである。
【0036】
請求項14に係わる発明は、請求項1乃至13の少なくとも一項に記載の光均一デバイスに於いて、光伝搬層の光射出面が、凹凸を有する光拡散レンズを有することを特徴とする光均一デバイスである。
【0037】
請求項15に係わる発明は、請求項1乃至14の少なくとも一項に記載の光均一デバイスに於いて、光伝搬層の光射出側の面が、略平坦であることを特徴とする光均一デバイスである。
【0038】
請求項16に係わる発明は、ディスプレイの照明光路制御用の光学シートであって、前記光学シートは、請求項1〜15の少なくとも1項に記載の光均一デバイスと、光学フィルムとからなり、前記光均一デバイスの光射出面に前記光学フィルムが重ねられて形成されており、前記光学フィルムが、前記光射出面に重ねられる光透過基材と、前記光射出面に重ねられる面と反対の前記光透過基材の面に設けられた複数の帯状の集光レンズとからなり、前記複数の集光レンズは、その長手方向を平行させて一定のピッチで配列されており、前記集光レンズの長手方向と直交する仮想平面で切った断面形状が凸状の曲面形状であり、頂部と、前記頂部の両側に位置する曲面状の傾斜面とを有しており、それら傾斜面は前記頂部に至るにつれて互いに近づくように形成されていることを特徴とする光学シートである。
【0039】
請求項17に係わる発明は、請求項16に記載の光学シートに於いて、前記光学フィルムは、前記光射出面と前記光透過基材との間に交互に設けられた複数の光マスクと、前記光マスクを離間する光透過用開口部とを有し、前記光透過用開口部が、前記集光レンズの前記頂部に対応した箇所に設けられ、前記光マスクを介して前記光学フィルムと前記光均一デバイスとが一体積層されていることを特徴とする光学シートである。
【0040】
請求項18に係わる発明は、請求項16に記載の光学シートに於いて、前記光学フィルムと前記光均一デバイスとの間にドット状または線状のリブが配列され、前記リブを介して前記光学フィルムと前記光均一デバイスとが一体積層されてなることを特徴とする光学シートである。
【0041】
請求項19に係わる発明は、請求項1〜15の少なくとも一項に記載の光均一デバイスと、少なくとも1種以上の光学部材と、光源と、を備えることを特徴とするバックライト・ユニットである。
【0042】
請求項20に係わる発明は、請求項16〜18の少なくとも一項に記載の光学シートと、光源と、を備えることを特徴とするバックライト・ユニットである。
【0043】
請求項21に係わる発明は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する画像表示素子と、請求項19乃至20の少なくとも一項に記載のバックライト・ユニットと、を備えることを特徴とするディスプレイ装置である。
【発明の効果】
【0044】
前記手段を用いることで、CCFL-光学部材間隔が狭い場合やCCFL間隔が広い場合に於いても、均一な光を射出することが可能な光均一デバイスを提供することができる。また、光均一デバイスから射出された光を効率よく観察者側に射出することで、観察者側の輝度を向上させる光学フィルムと、前記光均一デバイスとを一体積層した光学シート、該光学シートを用いたバックライト・ユニット及びディスプレイ装置を提供することができる。
【0045】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図3〜5は、本実施形態による光均一デバイスの構造例を示す断面概略図、図6は本発明に係わる光学シートの構造の一例を示す断面概略図、図7は本発明に係わる光学フィルムの構造を示す断面概略図、図8は本発明に係わるバックライト・ユニットの構造を示す断面概略図、図9は本発明に係わるディスプレイ装置の構造を示す断面概略図であり、各部位の縮尺は実際とは一致しない。
【0046】
本発明に係わる光均一デバイス11は、光源からの光が入射する光偏向要素5と、光偏向要素5の光射出面に配された光伝搬層6からなる。
【0047】
ここで、光偏向要素5は、例えば、少なくとも1種以上の凹凸形状を有する光偏向レンズである。
前記光偏向レンズは、帯状に延在する複数の単位レンズがそれらの延在方向を平行させて並べられ構成され、各単位レンズは、それらの延在方向に沿って延在する焦点を有している。あるいは、前記光偏向レンズは、帯状に延在する複数の単位レンズがそれらの延在方向を平行させて並べられ構成され、各単位レンズは、その延在方向と直交する平面で切った断面形状がそれぞれ異なり、それらの焦点の位置が不均一で互いに異なっていてもよい。あるいは、前記光偏向レンズは、帯状に延在する複数の単位レンズがそれらの延在方向を平行させて並べられ構成され、各単位レンズの焦点は光伝搬層6内に位置していてもよい。あるいは、前記光偏向レンズの形状が、頂部と、前記頂部の両側に位置する湾曲部とを有する形状であってもよい。あるいは、前記頂部が稜線を有していてもよい。
この光偏向レンズは、求める性能に応じて最適な焦点位置を有する単位レンズを選択することが可能である。
光偏向レンズの湾曲部の各点における接線と、光伝搬層6の観察者側Fと反対側の面となす角が、20度以上90度以下で連続して変化している。
【0048】
一方、光伝搬層6は少なくとも1以上の光反射透過層6b、光拡散層6cを有することを特徴とする。これは、光伝搬層6に光反射透過層6bを配することで、光伝搬層6-光偏向要素5間及び光伝搬層内での再帰反射が発生し、拡散度合いが向上することで射出される光の均一化に寄与するためである。
ここで、光反射透過層6bとは、光反射性及び光透過性を同時に兼ね備えるものであり、例えば、図7の符号15、16で示すように多数の光反射部と多数の光透過部とが交互に並べられた構造や、あるいは、光透過性を有する材料中に多数の光反射性を有する粒子を混在させた構造や、あるいは、ハーフミラーなど、従来公知の様々な光反射透過部材(光反射透過材料)が使用可能である。
【0049】
また、光伝搬層6内での光路距離や光路角度の調整のために光反射粒子や光拡散粒子などのフィラーを含まずに光透過性を有する基材のみからなる非フィラー含有層6aを配することも可能である。ここで、各層の厚みバランスや配列順序等は固定されるものではなく、要求性能に応じて最適な組み合わせが選択される。
【0050】
光均一デバイス11は光伝搬層6と光偏向要素5を多層押出成形によって一体化して成形しても良いし、シート状に成形された光偏向要素5と多層押出成形された光伝搬層6とを固定層を介して一体化しラミネート構造(積層構造)としてもよいし、シート状に成形された光伝搬層6の各層と、シート状に成形された光偏向要素5とを固定層を介して一体化しラミネート構造(積層構造)としてもよい。ただし、作製の手間やコスト面を考慮すると、可能な限り多くの部分を押出成形にて作製することが望ましい。
【0051】
各部分の素材はその作製方法によっても異なるが、例えば光偏向要素5にはUV硬化性樹脂のような電子線硬化樹脂や、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルポリスチレン共重合体など、非フィラー含有層6aにはPC樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂、COP、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET、PP(ポリプロピレン)、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルポリスチレン共重合体など、光反射透過層6bや光拡散層6cにはその他ポリエチレン-2,6-ナフレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリスチレン樹脂、イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂、スポログリコール共重合ポリエステル樹脂、フルオレン共重合ポリエステル樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、脂環式オレフィン共重合樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエーテル、ポリ塩化ビニル、及びこれらを成分とする共重合体、またはこれらの樹脂の混合物を用いることが使用可能である。
【0052】
また、光反射性や光拡散性を付与するために、シリカ、アルミナ等からなる無機酸化物粒子や、アクリル粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子及びその架橋体、メラミン・ホルマリン縮合物の粒子、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)及びETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体)等のフッ素ポリマー粒子、シリコーン樹脂等の樹脂粒子を適宜添加する。また、前述の粒子を2種以上組み合わせて用いることも可能である。
光反射透過層6bは、上述の光反射性を有する粒子を、透過性を有する基材中に混在させることでも成形可能であり、また、光拡散層6cは、上述の光拡散性を有する粒子を、透過性を有する基材中に混在させることでも成形可能である。
【0053】
本発明に係わる光均一デバイス11によってランプイメージの低減/消滅を図ることが可能であるが、輝度調整等のために必要があれば、当然該光均一デバイス11の観察者側にBEFやその他拡散シート等を積層して使用しても構わない。
【0054】
しかしながら、シートを積層して使用する場合のハンドリングの煩雑化や異物混入と言った不都合を回避するため、更にはより明るく自然な輝度分布を提供するために、本発明に係わる光学シート12を提案する。
【0055】
光学シート12は、請求項1〜15の少なくとも1項に記載の光均一デバイス11と、光学フィルム7とからなる。光学フィルム7は、光均一デバイス11の光射出面に重ねられて形成されている。光学フィルム7は、前記光射出面に重ねられる光透過基材14と、光射出面に重ねられる面と反対の光透過基材14の面に設けられた複数の帯状の集光レンズ13とからなる。複数の集光レンズ13は、その長手方向を平行させて一定のピッチで配列されている。集光レンズ13の長手方向と直交する仮想平面で切った断面形状が凸状の曲面形状であり、頂部と、前記頂部の両側に位置する曲面状の傾斜面とを有している。それら傾斜面は前記頂部に至るにつれて互いに近づくように形成されている。
また、光学フィルム7は、前記光射出面と光透過基材14との間に交互に設けられた複数の光マスク(光反射部)15と、光マスク15を離間する光透過用開口部(光透過部)16とを有する光反射透過部(光反射透過層)を備えている。光透過用開口部16は、集光レンズ13の前記頂部に対応した箇所に設けられている。光学フィルム7と光均一デバイス11とが、光マスク15を介して一体積層されている。
【0056】
光学フィルム7に用いられる光マスク15は、例えば金属材料や白色反射材などの光反射性部材から構成することができる。この場合、光マスク15により反射された光は、光均一デバイス11を構成する光拡散層6cに戻されて、光拡散層6cで再び光拡散された後、一部は再び光学フィルム7へ入射し、一部は光均一デバイス11から光源側へ射出され、ランプハウスを構成する反射板9にて反射された後、光均一デバイス11に再入射し、さらに拡散されて光学フィルム7へと再入射する。この工程が繰り返されることにより、光源8からの光の大部分を液晶パネル10および観察者側Fへ出射させることができる。
【0057】
光マスク15を光反射性部材で構成した場合、その反射率は80%以上であることが望ましい。これは、反射率が80%以上であれば、光学フィルム7に入射する光の大部分を、空気層16から集光レンズ13へ入射することができるため、液晶パネル10および観察者側Fの輝度が上昇するが、反射率が80%を下回ると、光マスク15を透過する光が増大し、非効率な光が集光レンズ13に入射する量が増大するため、液晶パネル10および観察者側Fの輝度低下を引き起こすためである。
【0058】
光学フィルム7の作製方法としては、例えばセルフアライメントによる方法が挙げられる。光透過基材14の観察者側の面に集光レンズ13を成形し、光透過基材14の観察者側Fとは反対側の面には、感光性接着樹脂を貼りあわせる。集光レンズ13側からUV光を照射することで、集光レンズ13の第三頂部に対応する位置の感光性接着樹脂が露光されることで硬化し接着性を失う。その後、光マスク15を転写することで、集光レンズ13の谷部に対応する位置に光マスク15を形成することができる。
【0059】
上述のように作製した光学フィルム7を固定層17によって光均一デバイス11にラミネート等により貼り合わせることで、光学シート12は作製される。このとき、空気層16が保たれるよう、固定層17の材料を適宜選択する。
【0060】
固定層17は、粘着剤、接着剤を用いて形成する。粘着剤、接着剤には、ウレタン系、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、ビニル系の樹脂等を用いることができる。また、粘着剤、接着剤には、1液型で押圧して接着するもの、熱や光で硬化させるものを用いることができ、2液、もしくは複数の液を混合して硬化させるものを用いることができる。さらに、固定層17内にフィラーを分散してもよい。固定層17内にフィラーを分散することで、固定層17の弾性率を増加することが可能となる。固定層17の弾性率を増加した場合、光学フィルム7と光均一デバイス11とを一体化する際に、固定層17が空気層16の領域内に侵入しないため、空気層16を保持することが容易となる。
【0061】
固定層17の形成方法において、接合面へ直接塗布する方法や、あらかじめドライフィルムとして準備したものを貼り合わせる方法がある。固定層17をドライフィルムとして準備した場合、製造工程上、簡易的に扱うことが可能となるため好ましい。
【0062】
本発明に係わるバックライト・ユニット及びディスプレイ装置に使用する線光源8には、例えば複数の蛍光灯、CCFL、EEFL、あるいは線状に配されたLED等が該当する。
【実施例】
【0063】
本発明の効果を示すため、バックライト/光学シート/液晶パネルからなるディスプレイ装置を作製し、比較を行った。ここでは光学部材として、光拡散板の上にBEFを積層する方式、図3に示す構成からなる本発明に係わる光均一デバイス上にBEFを積層する方式、図6に示す構成からなる本発明に係わる光学シート、図6に示す構成から光反射透過層を除いた構成を有する光学シート、図6に示す構成から光拡散層を除いた構成を有する光学シート、図6に示す構成から非フィラー含有層を除いた構成を有する光学シートを用いた。
【0064】
本実施例では、前記種々の光学部材を用いた際のディスプレイ画面のランプイメージ軽減効果(影消し効果)、正面輝度を比較項目とする。
【0065】
サンプルサイズは37inchとし、光拡散層にはポリスチレン、光反射透過層にはチタニア含有ポリスチレン、非フィラー含有層にはPETを用いた。また、今回示す図6の構成は光拡散層及び光反射透過層部分を押出成形にて作製し、その他の部分は各々シート状に作成後、粘着材を介して一体化することで得た。
【0066】
また、より光均一効果が顕著に比較できるように、光源として用いたCCFLの間隔とCCFL-光学部材間の距離も変化させた。
【0067】
図10に示したように、各種のランプ構成に於いて、図6に示した構成、即ち、光偏向要素、光拡散層、光反射透過層、非フィラー含有層を併せ持った光均一デバイスに、光学フィルムを積層した構成が、ランプイメージ軽減と正面輝度の面で最も高い効果を示した。
【0068】
また、同構成の光均一デバイスを用いたサンプル同士を比較することで、光学フィルムが高い正面輝度の提供だけでなく、ランプイメージの低減にも寄与していることが分かった。
【0069】
ランプ構成との兼ね合いで効果が変わってくるものの、今回結果を示した図6の構成以外でも、光伝播層に光拡散層と光反射透過層と非フィラー含有層を併せ持った構成のサンプルがランプイメージの低減に最も効果的であった。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】BEFの配置の一例を示す断面概略図
【図2】BEFの斜視外略図
【図3】本発明に係わる光均一デバイスの構造を説明するための概略図
【図4】本発明に係わる光均一デバイスの構造を説明するための概略図
【図5】本発明に係わる光均一デバイスの構造を説明するための概略図
【図6】本発明に係わる光学シートの構造を説明するための概略図
【図7】本発明に係わる光学シートを構成する光学フィルムの拡大概略図
【図8】本発明に係わるバックライト・ユニットの構造を説明するための概略図
【図9】本発明に係わるディスプレイ装置の構造を説明するための概略図
【図10】本発明の効果を示すための実施例の説明図
【符号の説明】
【0071】
F…視覚方向、1…部材、2…プリズム、3…光源、4…プリズムシート、5…光偏向要素、6…光伝搬層、6a…非フィラー含有層、6b…光反射透過層、6c…光拡散層、7…光学フィルム、8…線光源、9…ランプハウス、10…液晶パネル、11…本発明に係わる光均一デバイス、12…本発明に係わる光学シート、13…集光レンズ、14…透明基材、15…光マスク、16…空気層、17…固定層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光偏向要素と、前記光偏向要素の光射出面側に配置されてなる光伝搬層と、を有する光均一デバイスであって、
前記光伝搬層が、光反射性及び光透過性を同時に兼ね備える1以上の光反射透過層と、光拡散性を有する1以上の光拡散層とを備えており、
光源からの光を前記光偏向要素の光入射面から入射し前記光伝搬層の光射出面から拡散光を射出することを特徴とする光均一デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の光均一デバイスに於いて、光伝搬層の構成要素として、光反射粒子や光拡散粒子などのフィラーを含まずに光透過性を有する基材のみからなる非フィラー含有層を少なくとも1以上有することを特徴とする光均一デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の光均一デバイスに於いて、前記非フィラー含有層が光偏向要素の光射出面に接して配され、更に前記非フィラー含有層に接して前記光拡散層が配されることを特徴とする光均一デバイス。
【請求項4】
請求項1乃至3の少なくとも1項に記載の光均一デバイスに於いて、前記光偏向要素と前記光反射透過層の間に前記光拡散層が配されることを特徴とする光均一デバイス。
【請求項5】
請求項1乃至4の少なくとも1項に記載の光均一デバイスに於いて、前記光偏向要素が、少なくとも1種以上の凹凸形状を有する光偏向レンズであることを特徴とする光均一デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の光均一デバイスに於いて、前記光偏向レンズは、帯状に延在する複数の単位レンズがそれらの延在方向を平行させて並べられ構成され、各単位レンズは、それらの延在方向に沿って延在する焦点を有していることを特徴とする光均一デバイス。
【請求項7】
請求項5に記載の光均一デバイスに於いて、前記光偏向レンズは、帯状に延在する複数の単位レンズがそれらの延在方向を平行させて並べられ構成され、各単位レンズは、それらの焦点の位置が互いに異なっていることを特徴とする光均一デバイス。
【請求項8】
請求項5に記載の光均一デバイスに於いて、前記光偏向レンズは、帯状に延在する複数の単位レンズがそれらの延在方向を平行させて並べられ構成され、各単位レンズの焦点は前記光伝搬層内に位置していることを特徴とする光均一デバイス。
【請求項9】
請求項5乃至8の少なくとも一項に記載の光均一デバイスに於いて、前記光偏向レンズの形状が、頂部と、前記頂部の両側に位置する湾曲部とを有する形状であることを特徴とする光均一デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の光均一デバイスに於いて、前記頂部が稜線を有することを特徴とする光均一デバイス。
【請求項11】
請求項1乃至10の少なくとも一項に記載の光均一デバイスに於いて、前記光偏向要素と、前記光伝播層とが多層押出法により一体成形されていることを特徴とする光均一デバイス。
【請求項12】
請求項1乃至10の少なくとも一項に記載の光均一デバイスに於いて、前記光伝搬層が多層押出法により一体成形されており、前記光偏向要素がシート状に成形され、前記シート状に成形された前記光偏向要素と前記光伝搬層とが固定層により積層されていることを特徴とする光均一デバイス。
【請求項13】
請求項1乃至10の少なくとも一項に記載の光均一デバイスに於いて、光伝搬層の各層がシート状に成形され、シート状に成形された光偏向要素と共に、固定層により積層されていることを特徴とする光均一デバイス。
【請求項14】
請求項1乃至13の少なくとも一項に記載の光均一デバイスに於いて、光伝搬層の光射出面が、凹凸を有する光拡散レンズを有することを特徴とする光均一デバイス。
【請求項15】
請求項1乃至14の少なくとも一項に記載の光均一デバイスに於いて、光伝搬層の光射出側の面が、略平坦であることを特徴とする光均一デバイス。
【請求項16】
ディスプレイの照明光路制御用の光学シートであって、
前記光学シートは、請求項1〜15の少なくとも1項に記載の光均一デバイスと、光学フィルムとからなり、
前記光均一デバイスの光射出面に前記光学フィルムが重ねられて形成されており、
前記光学フィルムが、前記光射出面に重ねられる光透過基材と、前記光射出面に重ねられる面と反対の前記光透過基材の面に設けられた複数の帯状の集光レンズとからなり、
前記複数の集光レンズは、その長手方向を平行させて一定のピッチで配列されており、
前記集光レンズの長手方向と直交する仮想平面で切った断面形状が凸状の曲面形状であり、頂部と、前記頂部の両側に位置する曲面状の傾斜面とを有しており、それら傾斜面は前記頂部に至るにつれて互いに近づくように形成されていることを特徴とする光学シート。
【請求項17】
請求項16に記載の光学シートに於いて、前記光学フィルムは、前記光射出面と前記光透過基材との間に交互に設けられた複数の光マスクと、前記光マスクを離間する光透過用開口部とを有し、前記光透過用開口部が、前記集光レンズの前記頂部に対応した箇所に設けられ、前記光マスクを介して前記光学フィルムと前記光均一デバイスとが一体積層されていることを特徴とする光学シート。
【請求項18】
請求項16に記載の光学シートに於いて、前記光学フィルムと前記光均一デバイスとの間にドット状または線状のリブが配列され、前記リブを介して前記光学フィルムと前記光均一デバイスとが一体積層されてなることを特徴とする光学シート。
【請求項19】
請求項1〜15の少なくとも一項に記載の光均一デバイスと、少なくとも1種以上の光学部材と、光源と、を備えることを特徴とするバックライト・ユニット。
【請求項20】
請求項16〜18の少なくとも一項に記載の光学シートと、光源と、を備えることを特徴とするバックライト・ユニット。
【請求項21】
画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する画像表示素子と、請求項19乃至20の少なくとも一項に記載のバックライト・ユニットと、を備えることを特徴とするディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−32894(P2010−32894A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196440(P2008−196440)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】