光変調装置
【課題】マイクロ波帯などの超高周波域で高い変調効率を実現することができる光変調装置を提供する。
【解決手段】変調用電極5,6は、位相シフト光導波路3b,3cの等価屈折率をn、変調用電極5,6に印加される変調信号の周波数をf0、真空中での光速をcとすると、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向における変調用電極5,6の中心間距離P=c/2nf(但し、f=0.5f0〜1.7f0)となるように配置される。共振回路8A,8Bは、変調用電極5による印加電界の方向と、変調用電極6による印加電界の方向とが反対方向になるように、変調用電極5,6に逆相の変調信号を印加する。
【解決手段】変調用電極5,6は、位相シフト光導波路3b,3cの等価屈折率をn、変調用電極5,6に印加される変調信号の周波数をf0、真空中での光速をcとすると、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向における変調用電極5,6の中心間距離P=c/2nf(但し、f=0.5f0〜1.7f0)となるように配置される。共振回路8A,8Bは、変調用電極5による印加電界の方向と、変調用電極6による印加電界の方向とが反対方向になるように、変調用電極5,6に逆相の変調信号を印加する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光のスイッチングや光変調を行う光変調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放送の再送信やネットワークの柔軟性を高める目的で、無線信号をそのまま光伝送する用途が広がっている。この場合、電源設備の不要化や、雷害、ノイズ対策などの理由で、無線電波の受信点から無給電で信号を受信伝送することが望まれることがある。このためには、受信電波のエネルギーだけで光変調を行うために、高速、高効率の光変調器が要求される。
【0003】
従来、マイクロ波帯などの超高周波域での高効率の光変調器は、導波路型光変調器で実現されている。このような導波路型光変調器としては、(1)通常の光通信システムで用いられている進行波型光変調器、(2)外付けの共振回路と組み合わせた分割型電極による光変調器(例えば、非特許文献1参照)、(3)共振型電極による光変調器(例えば、特許文献1参照)、などが知られている。
【0004】
上記(1)の進行波型光変調器は、変調波と光波との速度整合を取ることにより広帯域特性を有し、電極長を大きくして低電圧動作可能な光変調器が実現され、光通信用として実用化されている。しかし、上述したような無給電で光変調する用途には十分でなく、また、電極間容量が大きいため、外付けの共振回路を付加することができない。
【0005】
上記(2)の光変調器方式では、光の通過時間の制限により電極長は短いが、分割電極構造により電極間容量を小さくして共振回路の付加を可能とすることにより、印加電圧を大きくして高効率化している。また、上記(3)の共振電極型では、電極を変調波に対して共振器構造とすることにより、光導波路に印加される電圧を増大させ高効率化している。(2),(3)の方式とも帯域は狭いが、無線電波信号の伝送では狭帯域でも使用できる。
【0006】
しかし、(2),(3)の方式でも、マイクロ波帯のように数GHz以上の高周波域では、光波の通過時間による制限のため、有効な電極長がさらに小さくなり、変調効率が低下していた。
【0007】
そこで、光導波路中の変調された光波の速度に整合させて複数の共振電極を周期的に配置する方法が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。この方法では、共振電極の数だけ変調効率を増大させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3592245号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】電子情報通信学会論文誌C,Vol.J89-C,No.11,pp.925-932
【非特許文献2】電子情報通信学会 信学技報OPE2004-222
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、共振電極の共振周波数を受信電波の周波数に合わせることは、複雑な構造や材料構成、製造工程での調整の難しさ等を考慮すると、実用上十分とは言えない。周波数は、外部共振回路などで調整できることが望ましい。また、変調効率のさらなる向上が望まれる。
【0011】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、マイクロ波帯などの超高周波域で高い変調効率を実現することができる光変調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、電気光学効果を有する材料からなる基板と、前記基板に形成された入力光導波路、前記入力光導波路から分岐した2本の位相シフト光導波路、および前記2本の位相シフト光導波路が合流した出力光導波路を有する光導波路と、前記基板上に前記位相シフト光導波路の延伸方向に互いに離間して配置された、前記位相シフト光導波路に電界を印加するための複数の変調用電極と、互いに隣接する前記変調用電極に逆相の変調信号を印加する変調信号印加手段とを備え、前記複数の変調用電極は、前記位相シフト光導波路の等価屈折率をn、前記変調信号の周波数をf0、真空中での光速をcとすると、前記位相シフト光導波路の延伸方向における前記複数の変調用電極の中心間距離P=c/2nf(但し、f=0.5f0〜1.7f0)となるように配置され、かつ前記複数の変調用電極は、前記変調信号印加手段により互いに隣接する前記変調用電極に逆相の前記変調信号が印加されたときに、当該変調用電極に隣接する前記変調用電極により前記各位相シフト光導波路に印加される電界の方向とは反対方向の電界を印加するように形成されていることを特徴とする光変調装置が提供される。
【0013】
本発明の他の態様によれば、電気光学効果を有する材料からなる基板と、前記基板に形成された入力光導波路、前記入力光導波路から分岐した2本の位相シフト光導波路、および前記2本の位相シフト光導波路が合流した出力光導波路を有する光導波路と、前記基板上に前記位相シフト光導波路の延伸方向に互いに離間して配置された、前記位相シフト光導波路に電界を印加するための複数の変調用電極と、前記各変調用電極に同相の前記変調信号を印加する変調信号印加手段とを備え、前記複数の変調用電極は、前記位相シフト光導波路の等価屈折率をn、前記変調信号の周波数をf、真空中での光速をcとすると、前記位相シフト光導波路の延伸方向における前記複数の変調用電極の中心間距離P=c/2nfとなるように配置され、かつ前記複数の変調用電極は、前記変調信号印加手段により前記各変調用電極に同相の前記変調信号が印加されたときに、当該変調用電極に隣接する前記変調用電極により前記各位相シフト光導波路に印加される電界の方向とは反対方向の電界を印加するように形成されていることを特徴とする光変調装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光変調装置によれば、マイクロ波帯などの超高周波域で高い変調効率を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)本発明の第1の実施の形態に係る光変調装置を示す平面図、(b)(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図。
【図2】図1(a)におけるA−A断面図。
【図3】図1(a)に示す光変調装置の電気的接続の一例を示す回路図。
【図4】(a)本発明の第1の実施の形態の変形例1に係る光変調装置を示す平面図、(b)(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図。
【図5】(a)本発明の第1の実施の形態の変形例2に係る光変調装置を示す平面図、(b)(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図。
【図6】(a)本発明の第1の実施の形態の変形例3に係る光変調装置を示す平面図、(b)(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図。
【図7】図6(a)におけるA−A断面図。
【図8】(a)本発明の第1の実施の形態の変形例4に係る光変調装置を示す平面図、(b)(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図。
【図9】(a)本発明の第2の実施の形態に係る光変調装置を示す平面図、(b)(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図。
【図10】(a)本発明の第2の実施の形態の変形例1に係る光変調装置を示す平面図、(b)(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図。
【図11】(a)本発明の第2の実施の形態の変形例2に係る光変調装置を示す平面図、(b)(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0017】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0018】
[第1の実施の形態]
図1(a)は本発明の第1の実施の形態に係る光変調装置を示す平面図、図1(b)は図1(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図、図2は図1(a)におけるA−A断面図である。
【0019】
図1、図2に示すように第1の実施の形態に係る光変調装置1は、基板2と、マッハツェンダー型光導波路3(以下、単に光導波路3ということもある)と、バッファ層4と、変調用電極5,6と、入力部7と、共振回路8A,8Bとを備える。
【0020】
基板2は、電気光学効果を有するニオブ酸リチウム(LiNbO3)からなる。第1の実施の形態では、LiNbO3のXカット基板を用いる。
【0021】
光導波路3は、基板2の上面側にTi拡散により形成され、入力光導波路3aと、この入力光導波路3aから分岐した2本の位相シフト光導波路3b,3cと、位相シフト光導波路3b,3cが合流した出力光導波路3dとを有する。位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向の中央部分は互いに平行であり、この中央部分の間隔は20〜50μm程度である。
【0022】
バッファ層4は、基板2上に形成されるSiO2からなる厚さ200nm程度の層であり、光導波路3を伝搬する光の一部が、変調用電極5,6によって吸収されることを防止する等の目的で設けられるものである。
【0023】
変調用電極5,6は、位相シフト光導波路3b,3cに電界を印加するためのものであって、金(Au)等の導電性材料からなり、バッファ層4を介して基板2上に、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向に互いに離間して配置されている。
【0024】
変調用電極5は、位相シフト光導波路3b,3cの間に、位相シフト光導波路3b,3cの中央部分と平行に配列された中心電極51a〜51dと、位相シフト光導波路3b,3cを挟んで中心電極51a〜51dの両側に、位相シフト光導波路3b,3cの中央部分と平行に配列された側部電極52a〜52d,53a〜53dと、端部54,55とを有する。側部電極52a,53aと中心電極51bとは互いに接続されている。同様に、側部電極52b,53bと中心電極51c、側部電極52c,53cと中心電極51dもそれぞれ互いに接続されている。中心電極51aは端部54に接続され、側部電極52d,53dは端部55に接続されている。
【0025】
変調用電極5は上記のように構成された分割型の電極であり、中心電極51aと側部電極52a,53aとで1組の分割電極を構成している。同様に、中心電極51bと側部電極52b,53b、中心電極51cと側部電極52c,53c、中心電極51dと側部電極52d,53dとでそれぞれ1組の分割電極を構成している。すなわち、変調用電極5は、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向に配列された4組の分割電極からなり、これら分割電極は互いに容量結合されている。このような分割型の電極とすることで、電極容量を低減することができる。
【0026】
変調用電極6は、中心電極61a〜61dと、側部電極62a〜62d,63a〜63dと、端部64,65とを有し、変調用電極5と同様に構成されている。
【0027】
変調用電極5,6は、位相シフト光導波路3b,3cの等価屈折率をn、変調用電極5,6に印加される変調信号の周波数をf、真空中での光速をcとすると、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向における変調用電極5,6の中心間距離P=c/2nfとなるように配置されている。
【0028】
入力部7は、アンテナや電気ケーブル、コネクタ、フィルタ等から構成され、アンテナ等からの電波信号による電圧信号を共振回路8A,8Bに供給する。
【0029】
共振回路8A,8Bは、入力部7からの電圧信号を上記電波信号の周波数で電圧増幅し、この増幅した信号を変調信号として変調用電極5,6にそれぞれ印加する。
【0030】
図3は第1の実施の形態に係る光変調装置1の電気的接続の一例を示す回路図である。図3において、入力部7の入力端子に並列に挿入された可変容量C1と、変調用電極5(6)に直列に挿入された容量C2と、インダクタンスLm,容量Cm,抵抗Rmの等価回路で表される変調用電極5(6)とにより共振回路8A(8B)が構成され、かつ、入力部7の入力抵抗Rにインピーダンス整合される。Vは入力部7の誘起電圧である。このような構成により、変調用電極5(6)には、共振により増幅された電圧(変調信号)が印加される。
【0031】
共振回路8Aの信号端子Sは変調用電極5の端部55に接続され、共振回路8Aの接地端子Gは変調用電極5の端部54に接続される。また、共振回路8Bの信号端子Sは変調用電極6の端部64に接続され、共振回路8Bの接地端子Gは変調用電極6の端部65に接続される。このように、変調用電極5と変調用電極6とで、共振回路8A,8Bの信号端子S、接地端子Gとの接続関係を逆にすることで、変調用電極5と変調用電極6とで逆相の変調信号を印加する。
【0032】
上記のように構成された光変調装置1において、光変調装置1の入力光導波路3aの入射口から、図示しない光源からの光を光導波路3に導入し、共振回路8A,8Bにより変調用電極5,6に変調信号を印加すると、変調用電極5,6により、2本の位相シフト光導波路3b,3cに、Z軸方向に互いに逆向きの電界が印加される。
【0033】
これにより、位相シフト光導波路3b,3cにおける電気光学効果による屈折率変化の方向が互いに逆向きとなり、位相シフト光導波路3b,3cの伝搬光に互いに逆向きの位相シフトが生じ、この伝搬光が出力光導波路3dへの合流時に干渉して光強度が変調される。
【0034】
ここで、位相シフト光導波路3b,3cの等価屈折率をn、真空中での光速をcとすると、変調された光は位相シフト光導波路3b,3c中をc/nの速度で進行する。したがって、ある時点でみると、変調信号の周波数fで変調された光は、図1(b)に示すように、位相シフト光導波路3b,3c中では光伝搬方向にΛ=c/nfの周期で位相シフト量が変化しており、Λ/2=c/2nfの周期で位相シフト量が反転していることになる。具体的な数値例としては、等価屈折率n=2.15、変調信号の周波数f=10GHzとしたとき、Λ=14mmとなる。
【0035】
第1の実施の形態に係る光変調装置1では、変調用電極5,6を、それらの中心間距離P=Λ/2=c/2nfとなるように配置している。また、変調用電極5と変調用電極6とに逆相の変調信号を印加することにより、変調用電極5により位相シフト光導波路3bに印加される電界の方向と、変調用電極6により位相シフト光導波路3bに印加される電界の方向とが反対方向になり、変調用電極5により位相シフト光導波路3cに印加される電界の方向と、変調用電極6により位相シフト光導波路3cに印加される電界の方向とが反対方向になる。
【0036】
これにより、位相シフト光導波路3b,3cを伝搬する光に対して、変調用電極5,6の印加電界により加算的に位相シフトを与えることができるので、実効的な変調用電極長が長くなり、マイクロ波帯などの超高周波域でも高い変調効率を得ることができる。この場合、変調効率の周波数特性はP=Λ/2=c/2nfを満たす周波数fを中心におおよそガウス分布に近い特性となっており、0.5f〜1.7fの周波数範囲で有効に本発明の効果が得られる。
【0037】
なお、光変調装置1では、変調用電極5,6をそれぞれに対応した共振回路8A,8Bにより駆動する例を示したが、1つの共振回路により変調用電極5,6を駆動するようにしてもよい。
【0038】
(変形例1)
図4(a)は本発明の第1の実施の形態の変形例1に係る光変調装置を示す平面図、図4(b)は図4(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図である。
【0039】
図4に示す第1の実施の形態の変形例1に係る光変調装置1Aは、図1に示す光変調装置1に対し、変調用電極6を位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向(図示左右方向)に反転させた構成である。
【0040】
光変調装置1Aでは、共振回路8A,8Bにより変調用電極5,6に同相の変調信号が印加されるが、変調用電極5,6の向きが逆であるため、位相シフト光導波路3b,3cに対して、図1に示す光変調装置1の変調用電極5,6と同様の方向に電界を印加することができる。
【0041】
このようにしても、上記第1の実施の形態で説明した図1に示す光変調装置1と同様に、位相シフト光導波路3b,3cを伝搬する光に対して加算的に位相シフトを与えることができ、マイクロ波帯などの超高周波域でも高い変調効率を得ることができる。
【0042】
(変形例2)
図5(a)は本発明の第1の実施の形態の変形例2に係る光変調装置を示す平面図、図5(b)は図5(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図である。
【0043】
図5に示す第1の実施の形態の変形例2に係る光変調装置1Bは、図1に示す光変調装置1に対し、変調用電極5,6を、非分割型の変調用電極10,11に置き換えた構成である。
【0044】
変調用電極10は、位相シフト光導波路3b,3cの間に、位相シフト光導波路3b,3cの中央部分と平行に延びるように設けられた中心電極101と、位相シフト光導波路3b,3cを挟んで中心電極101の両側に、位相シフト光導波路3b,3cの中央部分と平行に延びるように設けられた側部電極102,103と、端部104,105とを有する。中心電極101は端部104に接続され、側部電極102,103は端部105に接続されている。
【0045】
変調用電極11は、中心電極111と、側部電極112,113と、端部114,115とを有し、変調用電極10と同様に構成されている。
【0046】
変調用電極10,11は、図1に示す光変調装置1の変調用電極5,6と同様に、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向における変調用電極10,11の中心間距離P=c/2nfとなるように配置されている。
【0047】
変調用電極10の端部104は共振回路8Aの接地端子Gに接続され、端部105は共振回路8Aの信号端子Sに接続される。また、変調用電極11の端部114は共振回路8Bの信号端子Sに接続され、端部115は共振回路8Bの接地端子Gに接続される。これにより、変調用電極10と変調用電極11とで逆相の変調信号が印加される。
【0048】
このようにしても、上記第1の実施の形態で説明した図1に示す光変調装置1と同様に、位相シフト光導波路3b,3cを伝搬する光に対して加算的に位相シフトを与えることができ、マイクロ波帯などの超高周波域でも高い変調効率を得ることができる。
【0049】
なお、上記第1の実施の形態の変形例1と同様に、変調用電極10,11のいずれか一方を図示左右方向に反転させ、変調用電極10,11に同相の変調信号を印加する構成としてもよい。
【0050】
(変形例3)
図6(a)は本発明の第1の実施の形態の変形例3に係る光変調装置を示す平面図、図6(b)は図6(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図、図7は図6(a)におけるA−A断面図である。
【0051】
図6、図7に示す第1の実施の形態の変形例3に係る光変調装置1Cは、図1に示す光変調装置1に対し、基板2をLiNbO3のZカット基板である基板2Aに置き換え、変調用電極5,6を、変調用電極12,13に置き換えた構成である。光変調装置1Cでは、基板2AがZカット基板であるため、印加電界がZ軸方向に印加されるように、変調用電極12,13の電極パターンは、位相シフト光導波路3b,3c上に配置される。
【0052】
変調用電極12は、位相シフト光導波路3bの延伸方向に延びるように位相シフト光導波路3b上に設けられた電極121と、位相シフト光導波路3cの延伸方向に延びるように位相シフト光導波路3c上に設けられた電極122と、端部123,124とを有する。電極121は端部123に接続され、電極122は端部124に接続されている。
【0053】
変調用電極13は、電極131,132と、端部133,134とを有し、変調用電極12と同様に構成されている。
【0054】
変調用電極12,13は、図1に示す光変調装置1の変調用電極5,6と同様に、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向における変調用電極12,13の中心間距離P=c/2nfとなるように配置されている。
【0055】
変調用電極12の端部123は共振回路8Aの接地端子Gに接続され、端部124は共振回路8Aの信号端子Sに接続される。また、変調用電極13の端部133は共振回路8Bの信号端子Sに接続され、端部134は共振回路8Bの接地端子Gに接続される。これにより、変調用電極12と変調用電極13とで逆相の変調信号が印加される。
【0056】
このようにしても、上記第1の実施の形態で説明した図1に示す光変調装置1と同様に、位相シフト光導波路3b,3cを伝搬する光に対して加算的に位相シフトを与えることができ、マイクロ波帯などの超高周波域でも高い変調効率を得ることができる。
【0057】
なお、上記第1の実施の形態の変形例1と同様に、変調用電極12,13のいずれか一方を図示左右方向に反転させ、変調用電極12,13に同相の変調信号を印加する構成としてもよい。
【0058】
(変形例4)
図8(a)は本発明の第1の実施の形態の変形例4に係る光変調装置を示す平面図、図8(b)は図8(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図である。
【0059】
図8に示す第1の実施の形態の変形例4に係る光変調装置1Dは、図6に示す光変調装置1Cに対し、変調用電極12,13を、分割型の変調用電極14,15に置き換えた構成である。
【0060】
変調用電極14は、位相シフト光導波路3b上に配列された電極141a〜141dと、位相シフト光導波路3c上に配列された電極142a〜142dと、端部143とを有する。電極141aは端部143に接続されている。電極141b〜141dは、斜め方向で対向する電極142a〜142cとそれぞれ接続されている。
【0061】
変調用電極14は上記のように構成された分割型の電極であり、電極141aと電極142aとで1組の分割電極を構成している。同様に、電極141bと電極142b、電極141cと電極142c、電極141dと電極142dとでそれぞれ1組の分割電極を構成している。すなわち、変調用電極14は、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向に配列された4組の分割電極からなり、これら分割電極は互いに容量結合されている。このような分割型の電極とすることで、電極容量を低減することができる。
【0062】
変調用電極15は、電極151a〜151d,152a〜152dと、端部153とを有し、変調用電極14と同様に構成されている。
【0063】
変調用電極14,15は、図1に示す光変調装置1の変調用電極5,6と同様に、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向における変調用電極12,13の中心間距離P=c/2nfとなるように配置されている。
【0064】
変調用電極14の端部143は共振回路8Aの接地端子Gに接続され、変調用電極14の図示右端の電極142dは共振回路8Aの信号端子Sに接続される。また、変調用電極15の端部153は共振回路8Bの信号端子Sに接続され、変調用電極15の図示右端の電極152dは共振回路8Bの接地端子Gに接続される。これにより、変調用電極14と変調用電極15とで逆相の変調信号が印加される。
【0065】
このようにしても、上記第1の実施の形態で説明した図1に示す光変調装置1と同様に、位相シフト光導波路3b,3cを伝搬する光に対して加算的に位相シフトを与えることができ、マイクロ波帯などの超高周波域でも高い変調効率を得ることができる。
【0066】
なお、上記第1の実施の形態の変形例1と同様に、変調用電極14,15のいずれか一方を図示左右方向に反転させ、変調用電極14,15に同相の変調信号を印加する構成としてもよい。
【0067】
[第2の実施の形態]
図9(a)は本発明の第2の実施の形態に係る光変調装置を示す平面図、図9(b)は図9(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図である。
【0068】
図9に示す第2の実施の形態に係る光変調装置1Eは、図1に示す光変調装置1に対し、変調用電極5,6間に配置された変調用電極16と、共振回路8Cとを追加した構成である。
【0069】
変調用電極16は、中心電極161a〜161dと、側部電極162a〜162d,163a〜163dと、端部164,165とを有し、変調用電極5,6を位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向(図示左右方向)に反転させた構成である。
【0070】
変調用電極5,6,16は、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向における変調用電極5,6,16の中心間距離P=c/2nfとなるように配置されている。
【0071】
変調用電極16の端部164は共振回路8Cの接地端子Gに接続され、端部165は共振回路8Cの信号端子Sに接続される。また、変調用電極5の端部54は共振回路8Aの信号端子Sに接続され、端部55は共振回路8Aの接地端子Gに接続される。また、変調用電極6の端部64は共振回路8Bの信号端子Sに接続され、端部65は共振回路8Bの接地端子Gに接続される。
【0072】
このような接続により、変調用電極5,6,16に同相の変調信号が印加されるが、変調用電極5,6と変調用電極16とでその向きが逆であるため、変調用電極5,6により位相シフト光導波路3b,3cに印加される電界の方向と、変調用電極16により位相シフト光導波路3b,3cに印加される電界の方向とが反対方向になる。
【0073】
これにより、位相シフト光導波路3b,3cを伝搬する光に対して、変調用電極5,6,16の印加電界により加算的に位相シフトを与えることができるので、実効的な変調用電極長を長くすることができ、マイクロ波帯などの超高周波域でも高い変調効率を得ることができる。
【0074】
伝搬光に有効に変調を与える変調用電極の光伝搬方向の長さLは、0.4Λ程度以下に制限されるため、変調信号の周波数fが高周波になったときは、Lが小さくなり変調効率が低下する。これに対し、変調用電極の数を増加することによって、変調効率を向上することができる。第2の実施の形態では、変調用電極を3個設けたので、第1の実施の形態で示したような変調用電極が2個の場合と比較して、1.5倍の変調効率が実現可能となる。
【0075】
なお、変調用電極16を他の変調用電極5,6と同じ向きになるように構成し、変調用電極5,6と変調用電極16とで逆相の変調信号を印加するようにしてもよい。
【0076】
また、図5に示す光変調装置1Bの変調用電極10,11のような非分割型の電極を3個配置してもよい。
【0077】
また、基板2としてLiNbO3のZカット基板を用い、図6、図8に示す光変調装置1C,1Dと同様に位相シフト光導波路3b,3c上に電極パターンを有する変調用電極を3個配置する構成としてもよい。
【0078】
また、光変調装置1Eでは、変調用電極5,6,16をそれぞれに対応した共振回路8A,8B,8Cにより駆動するが、1つの共振回路により並列的に変調用電極5,6,16を駆動するようにしてもよい。
【0079】
(変形例1)
図10(a)は本発明の第2の実施の形態の変形例1に係る光変調装置を示す平面図、図10(b)は図10(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図である。
【0080】
図10に示す第2の実施の形態の変形例1に係る光変調装置1Fは、図9に示す光変調装置1Eに対し、共振回路8A〜8Cを共振回路20に置き換え、変調用電極5,16,6を共振回路20の内部で直列接続した構成である。
【0081】
変調用電極5の端部54は共振回路20の信号端子Sに接続され、変調用電極6の端部65は共振回路20の接地端子Gに接続される。変調用電極5の端部55と変調用電極16の端部165、変調用電極16の端部164と変調用電極6の端部64とは、それぞれ共振回路20の内部で接続されている。
【0082】
光変調装置1Fでは、直列接続した3つの変調用電極5,16,6を1つの変調用電極とみなして1つの共振回路20で駆動する。このようにすることで、共振回路が1つでよいので、図9に示す光変調装置1Eよりも駆動が容易となる。また、1つの共振回路により並列的に変調用電極5,6,16を駆動する場合よりも電極容量が小さく、より高周波化が可能となる。
【0083】
(変形例2)
図11(a)は本発明の第2の実施の形態の変形例2に係る光変調装置を示す平面図、図11(b)は図11(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図である。
【0084】
図11に示す第2の実施の形態の変形例2に係る光変調装置1Gは、図10に示す光変調装置1Fに対し、変調用電極5,16,6を変調用電極5A,16A,6Aに置き換え、変調用電極5A,16A,6Aを結合電極21,22により直列に接続した構成である。
【0085】
変調用電極5Aは、光変調装置1Fの変調用電極5に対し、端部55を省略した構成であり、変調用電極16Aは、変調用電極16に対し、端部164,165を省略した構成であり、変調用電極6Aは、変調用電極6に対し、端部64を省略した構成である。変調用電極5Aの側部電極52d,53dは、結合電極21を介して変調用電極16Aの側部電極162d,163dと接続されている。また、変調用電極16Aの中心電極161aは、結合電極22を介して変調用電極6Aの中心電極61aと接続されている。
【0086】
このようにすることで、変調用電極の共振回路20上での配線が不要となり、図10の光変調装置1Fよりもさらに駆動が容易となる。また、変調用電極の電気長が光変調装置1Fよりも短くなるので、変調信号のL,R成分を小さくすることができ、より高周波化が可能となる。
【0087】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1、第2の実施の形態およびその変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0088】
上記第1、第2の実施の形態においては、変調用電極の数が2個または3個の例について説明したが、4個以上の変調用電極を配置してもよい。変調用電極の数の増加に伴って変調効率は高くなる。
【0089】
また、上記第1、第2の実施の形態においては、分割型の変調用電極の分割数が4の例について説明したが、分割数はこれに限らない。
【0090】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0091】
1,1A〜1G…光変調装置
2,2A…基板
3…マッハツェンダー型光導波路(光導波路)
3a…入力光導波路
3b,3c…位相シフト光導波路
3d…出力光導波路
4…バッファ層
5,6,10〜16,5A,6A,16A…変調用電極
7…入力部
8A〜8C,20…共振回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、光のスイッチングや光変調を行う光変調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放送の再送信やネットワークの柔軟性を高める目的で、無線信号をそのまま光伝送する用途が広がっている。この場合、電源設備の不要化や、雷害、ノイズ対策などの理由で、無線電波の受信点から無給電で信号を受信伝送することが望まれることがある。このためには、受信電波のエネルギーだけで光変調を行うために、高速、高効率の光変調器が要求される。
【0003】
従来、マイクロ波帯などの超高周波域での高効率の光変調器は、導波路型光変調器で実現されている。このような導波路型光変調器としては、(1)通常の光通信システムで用いられている進行波型光変調器、(2)外付けの共振回路と組み合わせた分割型電極による光変調器(例えば、非特許文献1参照)、(3)共振型電極による光変調器(例えば、特許文献1参照)、などが知られている。
【0004】
上記(1)の進行波型光変調器は、変調波と光波との速度整合を取ることにより広帯域特性を有し、電極長を大きくして低電圧動作可能な光変調器が実現され、光通信用として実用化されている。しかし、上述したような無給電で光変調する用途には十分でなく、また、電極間容量が大きいため、外付けの共振回路を付加することができない。
【0005】
上記(2)の光変調器方式では、光の通過時間の制限により電極長は短いが、分割電極構造により電極間容量を小さくして共振回路の付加を可能とすることにより、印加電圧を大きくして高効率化している。また、上記(3)の共振電極型では、電極を変調波に対して共振器構造とすることにより、光導波路に印加される電圧を増大させ高効率化している。(2),(3)の方式とも帯域は狭いが、無線電波信号の伝送では狭帯域でも使用できる。
【0006】
しかし、(2),(3)の方式でも、マイクロ波帯のように数GHz以上の高周波域では、光波の通過時間による制限のため、有効な電極長がさらに小さくなり、変調効率が低下していた。
【0007】
そこで、光導波路中の変調された光波の速度に整合させて複数の共振電極を周期的に配置する方法が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。この方法では、共振電極の数だけ変調効率を増大させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3592245号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】電子情報通信学会論文誌C,Vol.J89-C,No.11,pp.925-932
【非特許文献2】電子情報通信学会 信学技報OPE2004-222
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、共振電極の共振周波数を受信電波の周波数に合わせることは、複雑な構造や材料構成、製造工程での調整の難しさ等を考慮すると、実用上十分とは言えない。周波数は、外部共振回路などで調整できることが望ましい。また、変調効率のさらなる向上が望まれる。
【0011】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、マイクロ波帯などの超高周波域で高い変調効率を実現することができる光変調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、電気光学効果を有する材料からなる基板と、前記基板に形成された入力光導波路、前記入力光導波路から分岐した2本の位相シフト光導波路、および前記2本の位相シフト光導波路が合流した出力光導波路を有する光導波路と、前記基板上に前記位相シフト光導波路の延伸方向に互いに離間して配置された、前記位相シフト光導波路に電界を印加するための複数の変調用電極と、互いに隣接する前記変調用電極に逆相の変調信号を印加する変調信号印加手段とを備え、前記複数の変調用電極は、前記位相シフト光導波路の等価屈折率をn、前記変調信号の周波数をf0、真空中での光速をcとすると、前記位相シフト光導波路の延伸方向における前記複数の変調用電極の中心間距離P=c/2nf(但し、f=0.5f0〜1.7f0)となるように配置され、かつ前記複数の変調用電極は、前記変調信号印加手段により互いに隣接する前記変調用電極に逆相の前記変調信号が印加されたときに、当該変調用電極に隣接する前記変調用電極により前記各位相シフト光導波路に印加される電界の方向とは反対方向の電界を印加するように形成されていることを特徴とする光変調装置が提供される。
【0013】
本発明の他の態様によれば、電気光学効果を有する材料からなる基板と、前記基板に形成された入力光導波路、前記入力光導波路から分岐した2本の位相シフト光導波路、および前記2本の位相シフト光導波路が合流した出力光導波路を有する光導波路と、前記基板上に前記位相シフト光導波路の延伸方向に互いに離間して配置された、前記位相シフト光導波路に電界を印加するための複数の変調用電極と、前記各変調用電極に同相の前記変調信号を印加する変調信号印加手段とを備え、前記複数の変調用電極は、前記位相シフト光導波路の等価屈折率をn、前記変調信号の周波数をf、真空中での光速をcとすると、前記位相シフト光導波路の延伸方向における前記複数の変調用電極の中心間距離P=c/2nfとなるように配置され、かつ前記複数の変調用電極は、前記変調信号印加手段により前記各変調用電極に同相の前記変調信号が印加されたときに、当該変調用電極に隣接する前記変調用電極により前記各位相シフト光導波路に印加される電界の方向とは反対方向の電界を印加するように形成されていることを特徴とする光変調装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光変調装置によれば、マイクロ波帯などの超高周波域で高い変調効率を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)本発明の第1の実施の形態に係る光変調装置を示す平面図、(b)(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図。
【図2】図1(a)におけるA−A断面図。
【図3】図1(a)に示す光変調装置の電気的接続の一例を示す回路図。
【図4】(a)本発明の第1の実施の形態の変形例1に係る光変調装置を示す平面図、(b)(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図。
【図5】(a)本発明の第1の実施の形態の変形例2に係る光変調装置を示す平面図、(b)(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図。
【図6】(a)本発明の第1の実施の形態の変形例3に係る光変調装置を示す平面図、(b)(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図。
【図7】図6(a)におけるA−A断面図。
【図8】(a)本発明の第1の実施の形態の変形例4に係る光変調装置を示す平面図、(b)(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図。
【図9】(a)本発明の第2の実施の形態に係る光変調装置を示す平面図、(b)(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図。
【図10】(a)本発明の第2の実施の形態の変形例1に係る光変調装置を示す平面図、(b)(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図。
【図11】(a)本発明の第2の実施の形態の変形例2に係る光変調装置を示す平面図、(b)(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0017】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0018】
[第1の実施の形態]
図1(a)は本発明の第1の実施の形態に係る光変調装置を示す平面図、図1(b)は図1(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図、図2は図1(a)におけるA−A断面図である。
【0019】
図1、図2に示すように第1の実施の形態に係る光変調装置1は、基板2と、マッハツェンダー型光導波路3(以下、単に光導波路3ということもある)と、バッファ層4と、変調用電極5,6と、入力部7と、共振回路8A,8Bとを備える。
【0020】
基板2は、電気光学効果を有するニオブ酸リチウム(LiNbO3)からなる。第1の実施の形態では、LiNbO3のXカット基板を用いる。
【0021】
光導波路3は、基板2の上面側にTi拡散により形成され、入力光導波路3aと、この入力光導波路3aから分岐した2本の位相シフト光導波路3b,3cと、位相シフト光導波路3b,3cが合流した出力光導波路3dとを有する。位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向の中央部分は互いに平行であり、この中央部分の間隔は20〜50μm程度である。
【0022】
バッファ層4は、基板2上に形成されるSiO2からなる厚さ200nm程度の層であり、光導波路3を伝搬する光の一部が、変調用電極5,6によって吸収されることを防止する等の目的で設けられるものである。
【0023】
変調用電極5,6は、位相シフト光導波路3b,3cに電界を印加するためのものであって、金(Au)等の導電性材料からなり、バッファ層4を介して基板2上に、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向に互いに離間して配置されている。
【0024】
変調用電極5は、位相シフト光導波路3b,3cの間に、位相シフト光導波路3b,3cの中央部分と平行に配列された中心電極51a〜51dと、位相シフト光導波路3b,3cを挟んで中心電極51a〜51dの両側に、位相シフト光導波路3b,3cの中央部分と平行に配列された側部電極52a〜52d,53a〜53dと、端部54,55とを有する。側部電極52a,53aと中心電極51bとは互いに接続されている。同様に、側部電極52b,53bと中心電極51c、側部電極52c,53cと中心電極51dもそれぞれ互いに接続されている。中心電極51aは端部54に接続され、側部電極52d,53dは端部55に接続されている。
【0025】
変調用電極5は上記のように構成された分割型の電極であり、中心電極51aと側部電極52a,53aとで1組の分割電極を構成している。同様に、中心電極51bと側部電極52b,53b、中心電極51cと側部電極52c,53c、中心電極51dと側部電極52d,53dとでそれぞれ1組の分割電極を構成している。すなわち、変調用電極5は、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向に配列された4組の分割電極からなり、これら分割電極は互いに容量結合されている。このような分割型の電極とすることで、電極容量を低減することができる。
【0026】
変調用電極6は、中心電極61a〜61dと、側部電極62a〜62d,63a〜63dと、端部64,65とを有し、変調用電極5と同様に構成されている。
【0027】
変調用電極5,6は、位相シフト光導波路3b,3cの等価屈折率をn、変調用電極5,6に印加される変調信号の周波数をf、真空中での光速をcとすると、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向における変調用電極5,6の中心間距離P=c/2nfとなるように配置されている。
【0028】
入力部7は、アンテナや電気ケーブル、コネクタ、フィルタ等から構成され、アンテナ等からの電波信号による電圧信号を共振回路8A,8Bに供給する。
【0029】
共振回路8A,8Bは、入力部7からの電圧信号を上記電波信号の周波数で電圧増幅し、この増幅した信号を変調信号として変調用電極5,6にそれぞれ印加する。
【0030】
図3は第1の実施の形態に係る光変調装置1の電気的接続の一例を示す回路図である。図3において、入力部7の入力端子に並列に挿入された可変容量C1と、変調用電極5(6)に直列に挿入された容量C2と、インダクタンスLm,容量Cm,抵抗Rmの等価回路で表される変調用電極5(6)とにより共振回路8A(8B)が構成され、かつ、入力部7の入力抵抗Rにインピーダンス整合される。Vは入力部7の誘起電圧である。このような構成により、変調用電極5(6)には、共振により増幅された電圧(変調信号)が印加される。
【0031】
共振回路8Aの信号端子Sは変調用電極5の端部55に接続され、共振回路8Aの接地端子Gは変調用電極5の端部54に接続される。また、共振回路8Bの信号端子Sは変調用電極6の端部64に接続され、共振回路8Bの接地端子Gは変調用電極6の端部65に接続される。このように、変調用電極5と変調用電極6とで、共振回路8A,8Bの信号端子S、接地端子Gとの接続関係を逆にすることで、変調用電極5と変調用電極6とで逆相の変調信号を印加する。
【0032】
上記のように構成された光変調装置1において、光変調装置1の入力光導波路3aの入射口から、図示しない光源からの光を光導波路3に導入し、共振回路8A,8Bにより変調用電極5,6に変調信号を印加すると、変調用電極5,6により、2本の位相シフト光導波路3b,3cに、Z軸方向に互いに逆向きの電界が印加される。
【0033】
これにより、位相シフト光導波路3b,3cにおける電気光学効果による屈折率変化の方向が互いに逆向きとなり、位相シフト光導波路3b,3cの伝搬光に互いに逆向きの位相シフトが生じ、この伝搬光が出力光導波路3dへの合流時に干渉して光強度が変調される。
【0034】
ここで、位相シフト光導波路3b,3cの等価屈折率をn、真空中での光速をcとすると、変調された光は位相シフト光導波路3b,3c中をc/nの速度で進行する。したがって、ある時点でみると、変調信号の周波数fで変調された光は、図1(b)に示すように、位相シフト光導波路3b,3c中では光伝搬方向にΛ=c/nfの周期で位相シフト量が変化しており、Λ/2=c/2nfの周期で位相シフト量が反転していることになる。具体的な数値例としては、等価屈折率n=2.15、変調信号の周波数f=10GHzとしたとき、Λ=14mmとなる。
【0035】
第1の実施の形態に係る光変調装置1では、変調用電極5,6を、それらの中心間距離P=Λ/2=c/2nfとなるように配置している。また、変調用電極5と変調用電極6とに逆相の変調信号を印加することにより、変調用電極5により位相シフト光導波路3bに印加される電界の方向と、変調用電極6により位相シフト光導波路3bに印加される電界の方向とが反対方向になり、変調用電極5により位相シフト光導波路3cに印加される電界の方向と、変調用電極6により位相シフト光導波路3cに印加される電界の方向とが反対方向になる。
【0036】
これにより、位相シフト光導波路3b,3cを伝搬する光に対して、変調用電極5,6の印加電界により加算的に位相シフトを与えることができるので、実効的な変調用電極長が長くなり、マイクロ波帯などの超高周波域でも高い変調効率を得ることができる。この場合、変調効率の周波数特性はP=Λ/2=c/2nfを満たす周波数fを中心におおよそガウス分布に近い特性となっており、0.5f〜1.7fの周波数範囲で有効に本発明の効果が得られる。
【0037】
なお、光変調装置1では、変調用電極5,6をそれぞれに対応した共振回路8A,8Bにより駆動する例を示したが、1つの共振回路により変調用電極5,6を駆動するようにしてもよい。
【0038】
(変形例1)
図4(a)は本発明の第1の実施の形態の変形例1に係る光変調装置を示す平面図、図4(b)は図4(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図である。
【0039】
図4に示す第1の実施の形態の変形例1に係る光変調装置1Aは、図1に示す光変調装置1に対し、変調用電極6を位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向(図示左右方向)に反転させた構成である。
【0040】
光変調装置1Aでは、共振回路8A,8Bにより変調用電極5,6に同相の変調信号が印加されるが、変調用電極5,6の向きが逆であるため、位相シフト光導波路3b,3cに対して、図1に示す光変調装置1の変調用電極5,6と同様の方向に電界を印加することができる。
【0041】
このようにしても、上記第1の実施の形態で説明した図1に示す光変調装置1と同様に、位相シフト光導波路3b,3cを伝搬する光に対して加算的に位相シフトを与えることができ、マイクロ波帯などの超高周波域でも高い変調効率を得ることができる。
【0042】
(変形例2)
図5(a)は本発明の第1の実施の形態の変形例2に係る光変調装置を示す平面図、図5(b)は図5(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図である。
【0043】
図5に示す第1の実施の形態の変形例2に係る光変調装置1Bは、図1に示す光変調装置1に対し、変調用電極5,6を、非分割型の変調用電極10,11に置き換えた構成である。
【0044】
変調用電極10は、位相シフト光導波路3b,3cの間に、位相シフト光導波路3b,3cの中央部分と平行に延びるように設けられた中心電極101と、位相シフト光導波路3b,3cを挟んで中心電極101の両側に、位相シフト光導波路3b,3cの中央部分と平行に延びるように設けられた側部電極102,103と、端部104,105とを有する。中心電極101は端部104に接続され、側部電極102,103は端部105に接続されている。
【0045】
変調用電極11は、中心電極111と、側部電極112,113と、端部114,115とを有し、変調用電極10と同様に構成されている。
【0046】
変調用電極10,11は、図1に示す光変調装置1の変調用電極5,6と同様に、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向における変調用電極10,11の中心間距離P=c/2nfとなるように配置されている。
【0047】
変調用電極10の端部104は共振回路8Aの接地端子Gに接続され、端部105は共振回路8Aの信号端子Sに接続される。また、変調用電極11の端部114は共振回路8Bの信号端子Sに接続され、端部115は共振回路8Bの接地端子Gに接続される。これにより、変調用電極10と変調用電極11とで逆相の変調信号が印加される。
【0048】
このようにしても、上記第1の実施の形態で説明した図1に示す光変調装置1と同様に、位相シフト光導波路3b,3cを伝搬する光に対して加算的に位相シフトを与えることができ、マイクロ波帯などの超高周波域でも高い変調効率を得ることができる。
【0049】
なお、上記第1の実施の形態の変形例1と同様に、変調用電極10,11のいずれか一方を図示左右方向に反転させ、変調用電極10,11に同相の変調信号を印加する構成としてもよい。
【0050】
(変形例3)
図6(a)は本発明の第1の実施の形態の変形例3に係る光変調装置を示す平面図、図6(b)は図6(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図、図7は図6(a)におけるA−A断面図である。
【0051】
図6、図7に示す第1の実施の形態の変形例3に係る光変調装置1Cは、図1に示す光変調装置1に対し、基板2をLiNbO3のZカット基板である基板2Aに置き換え、変調用電極5,6を、変調用電極12,13に置き換えた構成である。光変調装置1Cでは、基板2AがZカット基板であるため、印加電界がZ軸方向に印加されるように、変調用電極12,13の電極パターンは、位相シフト光導波路3b,3c上に配置される。
【0052】
変調用電極12は、位相シフト光導波路3bの延伸方向に延びるように位相シフト光導波路3b上に設けられた電極121と、位相シフト光導波路3cの延伸方向に延びるように位相シフト光導波路3c上に設けられた電極122と、端部123,124とを有する。電極121は端部123に接続され、電極122は端部124に接続されている。
【0053】
変調用電極13は、電極131,132と、端部133,134とを有し、変調用電極12と同様に構成されている。
【0054】
変調用電極12,13は、図1に示す光変調装置1の変調用電極5,6と同様に、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向における変調用電極12,13の中心間距離P=c/2nfとなるように配置されている。
【0055】
変調用電極12の端部123は共振回路8Aの接地端子Gに接続され、端部124は共振回路8Aの信号端子Sに接続される。また、変調用電極13の端部133は共振回路8Bの信号端子Sに接続され、端部134は共振回路8Bの接地端子Gに接続される。これにより、変調用電極12と変調用電極13とで逆相の変調信号が印加される。
【0056】
このようにしても、上記第1の実施の形態で説明した図1に示す光変調装置1と同様に、位相シフト光導波路3b,3cを伝搬する光に対して加算的に位相シフトを与えることができ、マイクロ波帯などの超高周波域でも高い変調効率を得ることができる。
【0057】
なお、上記第1の実施の形態の変形例1と同様に、変調用電極12,13のいずれか一方を図示左右方向に反転させ、変調用電極12,13に同相の変調信号を印加する構成としてもよい。
【0058】
(変形例4)
図8(a)は本発明の第1の実施の形態の変形例4に係る光変調装置を示す平面図、図8(b)は図8(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図である。
【0059】
図8に示す第1の実施の形態の変形例4に係る光変調装置1Dは、図6に示す光変調装置1Cに対し、変調用電極12,13を、分割型の変調用電極14,15に置き換えた構成である。
【0060】
変調用電極14は、位相シフト光導波路3b上に配列された電極141a〜141dと、位相シフト光導波路3c上に配列された電極142a〜142dと、端部143とを有する。電極141aは端部143に接続されている。電極141b〜141dは、斜め方向で対向する電極142a〜142cとそれぞれ接続されている。
【0061】
変調用電極14は上記のように構成された分割型の電極であり、電極141aと電極142aとで1組の分割電極を構成している。同様に、電極141bと電極142b、電極141cと電極142c、電極141dと電極142dとでそれぞれ1組の分割電極を構成している。すなわち、変調用電極14は、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向に配列された4組の分割電極からなり、これら分割電極は互いに容量結合されている。このような分割型の電極とすることで、電極容量を低減することができる。
【0062】
変調用電極15は、電極151a〜151d,152a〜152dと、端部153とを有し、変調用電極14と同様に構成されている。
【0063】
変調用電極14,15は、図1に示す光変調装置1の変調用電極5,6と同様に、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向における変調用電極12,13の中心間距離P=c/2nfとなるように配置されている。
【0064】
変調用電極14の端部143は共振回路8Aの接地端子Gに接続され、変調用電極14の図示右端の電極142dは共振回路8Aの信号端子Sに接続される。また、変調用電極15の端部153は共振回路8Bの信号端子Sに接続され、変調用電極15の図示右端の電極152dは共振回路8Bの接地端子Gに接続される。これにより、変調用電極14と変調用電極15とで逆相の変調信号が印加される。
【0065】
このようにしても、上記第1の実施の形態で説明した図1に示す光変調装置1と同様に、位相シフト光導波路3b,3cを伝搬する光に対して加算的に位相シフトを与えることができ、マイクロ波帯などの超高周波域でも高い変調効率を得ることができる。
【0066】
なお、上記第1の実施の形態の変形例1と同様に、変調用電極14,15のいずれか一方を図示左右方向に反転させ、変調用電極14,15に同相の変調信号を印加する構成としてもよい。
【0067】
[第2の実施の形態]
図9(a)は本発明の第2の実施の形態に係る光変調装置を示す平面図、図9(b)は図9(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図である。
【0068】
図9に示す第2の実施の形態に係る光変調装置1Eは、図1に示す光変調装置1に対し、変調用電極5,6間に配置された変調用電極16と、共振回路8Cとを追加した構成である。
【0069】
変調用電極16は、中心電極161a〜161dと、側部電極162a〜162d,163a〜163dと、端部164,165とを有し、変調用電極5,6を位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向(図示左右方向)に反転させた構成である。
【0070】
変調用電極5,6,16は、位相シフト光導波路3b,3cの延伸方向における変調用電極5,6,16の中心間距離P=c/2nfとなるように配置されている。
【0071】
変調用電極16の端部164は共振回路8Cの接地端子Gに接続され、端部165は共振回路8Cの信号端子Sに接続される。また、変調用電極5の端部54は共振回路8Aの信号端子Sに接続され、端部55は共振回路8Aの接地端子Gに接続される。また、変調用電極6の端部64は共振回路8Bの信号端子Sに接続され、端部65は共振回路8Bの接地端子Gに接続される。
【0072】
このような接続により、変調用電極5,6,16に同相の変調信号が印加されるが、変調用電極5,6と変調用電極16とでその向きが逆であるため、変調用電極5,6により位相シフト光導波路3b,3cに印加される電界の方向と、変調用電極16により位相シフト光導波路3b,3cに印加される電界の方向とが反対方向になる。
【0073】
これにより、位相シフト光導波路3b,3cを伝搬する光に対して、変調用電極5,6,16の印加電界により加算的に位相シフトを与えることができるので、実効的な変調用電極長を長くすることができ、マイクロ波帯などの超高周波域でも高い変調効率を得ることができる。
【0074】
伝搬光に有効に変調を与える変調用電極の光伝搬方向の長さLは、0.4Λ程度以下に制限されるため、変調信号の周波数fが高周波になったときは、Lが小さくなり変調効率が低下する。これに対し、変調用電極の数を増加することによって、変調効率を向上することができる。第2の実施の形態では、変調用電極を3個設けたので、第1の実施の形態で示したような変調用電極が2個の場合と比較して、1.5倍の変調効率が実現可能となる。
【0075】
なお、変調用電極16を他の変調用電極5,6と同じ向きになるように構成し、変調用電極5,6と変調用電極16とで逆相の変調信号を印加するようにしてもよい。
【0076】
また、図5に示す光変調装置1Bの変調用電極10,11のような非分割型の電極を3個配置してもよい。
【0077】
また、基板2としてLiNbO3のZカット基板を用い、図6、図8に示す光変調装置1C,1Dと同様に位相シフト光導波路3b,3c上に電極パターンを有する変調用電極を3個配置する構成としてもよい。
【0078】
また、光変調装置1Eでは、変調用電極5,6,16をそれぞれに対応した共振回路8A,8B,8Cにより駆動するが、1つの共振回路により並列的に変調用電極5,6,16を駆動するようにしてもよい。
【0079】
(変形例1)
図10(a)は本発明の第2の実施の形態の変形例1に係る光変調装置を示す平面図、図10(b)は図10(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図である。
【0080】
図10に示す第2の実施の形態の変形例1に係る光変調装置1Fは、図9に示す光変調装置1Eに対し、共振回路8A〜8Cを共振回路20に置き換え、変調用電極5,16,6を共振回路20の内部で直列接続した構成である。
【0081】
変調用電極5の端部54は共振回路20の信号端子Sに接続され、変調用電極6の端部65は共振回路20の接地端子Gに接続される。変調用電極5の端部55と変調用電極16の端部165、変調用電極16の端部164と変調用電極6の端部64とは、それぞれ共振回路20の内部で接続されている。
【0082】
光変調装置1Fでは、直列接続した3つの変調用電極5,16,6を1つの変調用電極とみなして1つの共振回路20で駆動する。このようにすることで、共振回路が1つでよいので、図9に示す光変調装置1Eよりも駆動が容易となる。また、1つの共振回路により並列的に変調用電極5,6,16を駆動する場合よりも電極容量が小さく、より高周波化が可能となる。
【0083】
(変形例2)
図11(a)は本発明の第2の実施の形態の変形例2に係る光変調装置を示す平面図、図11(b)は図11(a)に示す光変調装置の位相シフト導波路中を伝搬する光の位相シフト量を示す図である。
【0084】
図11に示す第2の実施の形態の変形例2に係る光変調装置1Gは、図10に示す光変調装置1Fに対し、変調用電極5,16,6を変調用電極5A,16A,6Aに置き換え、変調用電極5A,16A,6Aを結合電極21,22により直列に接続した構成である。
【0085】
変調用電極5Aは、光変調装置1Fの変調用電極5に対し、端部55を省略した構成であり、変調用電極16Aは、変調用電極16に対し、端部164,165を省略した構成であり、変調用電極6Aは、変調用電極6に対し、端部64を省略した構成である。変調用電極5Aの側部電極52d,53dは、結合電極21を介して変調用電極16Aの側部電極162d,163dと接続されている。また、変調用電極16Aの中心電極161aは、結合電極22を介して変調用電極6Aの中心電極61aと接続されている。
【0086】
このようにすることで、変調用電極の共振回路20上での配線が不要となり、図10の光変調装置1Fよりもさらに駆動が容易となる。また、変調用電極の電気長が光変調装置1Fよりも短くなるので、変調信号のL,R成分を小さくすることができ、より高周波化が可能となる。
【0087】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1、第2の実施の形態およびその変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0088】
上記第1、第2の実施の形態においては、変調用電極の数が2個または3個の例について説明したが、4個以上の変調用電極を配置してもよい。変調用電極の数の増加に伴って変調効率は高くなる。
【0089】
また、上記第1、第2の実施の形態においては、分割型の変調用電極の分割数が4の例について説明したが、分割数はこれに限らない。
【0090】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0091】
1,1A〜1G…光変調装置
2,2A…基板
3…マッハツェンダー型光導波路(光導波路)
3a…入力光導波路
3b,3c…位相シフト光導波路
3d…出力光導波路
4…バッファ層
5,6,10〜16,5A,6A,16A…変調用電極
7…入力部
8A〜8C,20…共振回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学効果を有する材料からなる基板と、
前記基板に形成された入力光導波路、前記入力光導波路から分岐した2本の位相シフト光導波路、および前記2本の位相シフト光導波路が合流した出力光導波路を有する光導波路と、
前記基板上に前記位相シフト光導波路の延伸方向に互いに離間して配置された、前記位相シフト光導波路に電界を印加するための複数の変調用電極と、
互いに隣接する前記変調用電極に逆相の変調信号を印加する変調信号印加手段と
を備え、
前記複数の変調用電極は、前記位相シフト光導波路の等価屈折率をn、前記変調信号の周波数をf0、真空中での光速をcとすると、前記位相シフト光導波路の延伸方向における前記複数の変調用電極の中心間距離P=c/2nf(但し、f=0.5f0〜1.7f0)となるように配置され、
かつ前記複数の変調用電極は、前記変調信号印加手段により互いに隣接する前記変調用電極に逆相の前記変調信号が印加されたときに、当該変調用電極に隣接する前記変調用電極により前記各位相シフト光導波路に印加される電界の方向とは反対方向の電界を印加するように形成されていることを特徴とする光変調装置。
【請求項2】
電気光学効果を有する材料からなる基板と、
前記基板に形成された入力光導波路、前記入力光導波路から分岐した2本の位相シフト光導波路、および前記2本の位相シフト光導波路が合流した出力光導波路を有する光導波路と、
前記基板上に前記位相シフト光導波路の延伸方向に互いに離間して配置された、前記位相シフト光導波路に電界を印加するための複数の変調用電極と、
前記各変調用電極に同相の前記変調信号を印加する変調信号印加手段と
を備え、
前記複数の変調用電極は、前記位相シフト光導波路の等価屈折率をn、前記変調信号の周波数をf、真空中での光速をcとすると、前記位相シフト光導波路の延伸方向における前記複数の変調用電極の中心間距離P=c/2nfとなるように配置され、
かつ前記複数の変調用電極は、前記変調信号印加手段により前記各変調用電極に同相の前記変調信号が印加されたときに、当該変調用電極に隣接する前記変調用電極により前記各位相シフト光導波路に印加される電界の方向とは反対方向の電界を印加するように形成されていることを特徴とする光変調装置。
【請求項3】
前記変調用電極は、前記位相シフト光導波路の延伸方向において分割され、かつ互いに容量結合された複数の分割電極からなることを特徴とする請求項1または2に記載の光変調装置。
【請求項4】
前記複数の変調用電極は、当該変調用電極に隣接する前記変調用電極と接続されていることを特徴とする請求項2または3に記載の光変調装置。
【請求項5】
前記変調信号印加手段は、前記変調信号の周波数に共振する共振回路を介して前記複数の変調用電極に前記変調信号を印加することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光変調装置。
【請求項1】
電気光学効果を有する材料からなる基板と、
前記基板に形成された入力光導波路、前記入力光導波路から分岐した2本の位相シフト光導波路、および前記2本の位相シフト光導波路が合流した出力光導波路を有する光導波路と、
前記基板上に前記位相シフト光導波路の延伸方向に互いに離間して配置された、前記位相シフト光導波路に電界を印加するための複数の変調用電極と、
互いに隣接する前記変調用電極に逆相の変調信号を印加する変調信号印加手段と
を備え、
前記複数の変調用電極は、前記位相シフト光導波路の等価屈折率をn、前記変調信号の周波数をf0、真空中での光速をcとすると、前記位相シフト光導波路の延伸方向における前記複数の変調用電極の中心間距離P=c/2nf(但し、f=0.5f0〜1.7f0)となるように配置され、
かつ前記複数の変調用電極は、前記変調信号印加手段により互いに隣接する前記変調用電極に逆相の前記変調信号が印加されたときに、当該変調用電極に隣接する前記変調用電極により前記各位相シフト光導波路に印加される電界の方向とは反対方向の電界を印加するように形成されていることを特徴とする光変調装置。
【請求項2】
電気光学効果を有する材料からなる基板と、
前記基板に形成された入力光導波路、前記入力光導波路から分岐した2本の位相シフト光導波路、および前記2本の位相シフト光導波路が合流した出力光導波路を有する光導波路と、
前記基板上に前記位相シフト光導波路の延伸方向に互いに離間して配置された、前記位相シフト光導波路に電界を印加するための複数の変調用電極と、
前記各変調用電極に同相の前記変調信号を印加する変調信号印加手段と
を備え、
前記複数の変調用電極は、前記位相シフト光導波路の等価屈折率をn、前記変調信号の周波数をf、真空中での光速をcとすると、前記位相シフト光導波路の延伸方向における前記複数の変調用電極の中心間距離P=c/2nfとなるように配置され、
かつ前記複数の変調用電極は、前記変調信号印加手段により前記各変調用電極に同相の前記変調信号が印加されたときに、当該変調用電極に隣接する前記変調用電極により前記各位相シフト光導波路に印加される電界の方向とは反対方向の電界を印加するように形成されていることを特徴とする光変調装置。
【請求項3】
前記変調用電極は、前記位相シフト光導波路の延伸方向において分割され、かつ互いに容量結合された複数の分割電極からなることを特徴とする請求項1または2に記載の光変調装置。
【請求項4】
前記複数の変調用電極は、当該変調用電極に隣接する前記変調用電極と接続されていることを特徴とする請求項2または3に記載の光変調装置。
【請求項5】
前記変調信号印加手段は、前記変調信号の周波数に共振する共振回路を介して前記複数の変調用電極に前記変調信号を印加することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光変調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−211012(P2010−211012A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57843(P2009−57843)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000147350)株式会社精工技研 (154)
【出願人】(304036743)国立大学法人宇都宮大学 (209)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000147350)株式会社精工技研 (154)
【出願人】(304036743)国立大学法人宇都宮大学 (209)
【Fターム(参考)】
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