説明

光学ガラスの製造方法および装置

【課題】従来必要とされてきた製造の複雑さを軽減する。
【解決手段】本発明は光学ガラス50を製造する方法および装置に関する。前記ガラス50は成形工程の後、研磨およびマーキングされる。研磨およびマーキング工程は、共通の製造セル40内で行われる。そのために、共通の製造セル40内に研磨ステーション54、洗浄ステーション56およびマーキングステーション58が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学ガラスの製造方法であり、ガラスが成型工程の後で研磨およびマーキングされる方法に関する。
本発明は更に光学ガラスを製造する装置であって、ガラスが成型工程の後で研磨およびマーキングされる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前に述べたタイプの方法および装置は下記特許文献1で既知のものである。
以下、本発明を眼鏡レンズへの応用に関して説明する。しかし本発明が他の光学ガラスにも応用可能であることは言うまでもない。
いわゆる単焦点の眼鏡レンズが、2つの球面、または1つの球面と1つのトロイダル表面とによって規定されることはよく知られている。単焦点の眼鏡レンズの中央の厚みと周辺の厚みとを最適化するためには、レンズの両面のうち一方の球面またはトロイダル表面に回転対称の非球面関数を重ね合わせればよい。
【0003】
それに対して、いわゆる累進屈折力レンズすなわち多焦点レンズは、最適化ソフトウェアによって計算された少なくとも1つの光学的自由曲面の表面を有する。自由曲面の表面は回転対称ではない。これは通常、眼鏡レンズの前面に配置されている。それに対して、いわゆる処方表面は眼鏡レンズの裏側のトロイダル面上に配置され、眼鏡のユーザーの光学的特性に合わせて調整される。
【0004】
プラスティック製の累進屈折力レンズは鋳造(モールド)によって製造される。このタイプの製造の場合は、光学的自由曲面の表面は成形(成型)工程で既に作られてしまう。それに対してケイ酸塩で作られる眼鏡レンズは、研削および研磨の各工程の一連の繰り返しによって製造される。処方によるトロイダル面の処理は、従来周知の研削および研磨機械によって行われる。
【0005】
更に従来技術では、眼鏡レンズの光学的特性が任意の眼鏡レンズについて個別に計算され、最適化される。従ってかかる従来の眼鏡レンズは、スプライン関数として個別に計算された少なくとも1つの光学的表面を有する。かかる個別の光学的表面の生成は従来、非回転対称のプラスティック材料製眼鏡レンズに対して、ダイヤモンド旋盤を利用して行われていた。そのような旋盤は下記特許文献2および下記特許文献3において既知のものである。これら従来のダイアモンド旋盤の運転は、眼鏡レンズをコンベアベルトで自動的に供給して行われる。眼鏡レンズはブロックに取り付けられ、注文箱の中に入れられて搬送される。
【0006】
プラスティック製の累進屈折力レンズがダイアモンド旋盤によって表面を処理されると、旋盤加工の完了後に表面に規則的な溝構造を示す。この構造はrmsで80nm〜200nmの表面粗度を有する。rmsで10nm未満という必要な最終的粗度を得るためには、これらの旋盤加工された光学的表面を更に研磨しなければならない。そして最後に、いわゆるマーキング(シグナチャー)をしなければならない。このマーキングすなわちラベリングは、ひとつには製品を識別するためと理解される。また一方、各眼鏡レンズに2つのマーキングをつけることで、光学的な軸を規定することができ、それにより眼鏡技術者がレンズを眼鏡フレーム内で正しい位置にはめこむときに役に立つ。
【0007】
研磨工程では削り粉が発生するので、研磨された表面は後のマーキング工程に送られる前に洗浄して削り粉と研磨剤とを除去し、更にその後で乾燥しなければならない。
上記の工程で使用される研磨機械が下記特許文献4で説明されている。
旋盤加工または研削された自由曲面を研磨するには、実際には研磨工具が使用され、その場合研磨表面が使い捨ての研磨被覆(コーティング)として構成される。研磨表面は弾力性のあるフォーム(泡)構造によって支持され、研磨表面が眼鏡レンズの形状に適合するようになされる。研磨表面は、研磨する眼鏡レンズの表面が凹面か凸面かによって、凸面または凹面に成型される。
【0008】
各研磨工程の後、摩耗した使い捨ての研磨被覆が研磨工具から取り外され、新しい研磨被覆に取り替えられる。摩耗した使い捨ての研磨被覆を取り外した後、研磨工具を洗浄および乾燥する。
その後の眼鏡レンズへのマーキング工程で、上記のマーキングは通常はレーザービームを使用して、点として、すなわちドットパターンで眼鏡レンズの表面に施される。
【0009】
上で述べた研磨、洗浄およびマーキングのための従来の装置は全て、眼鏡レンズが個別に、またほとんどの場合に人手で供給されるという点で共通している。
下記特許文献5は、光学的加工品(ワークピース)を機械に装填し、また取り出すための装置を開示している。この従来の装置は、単体の光学的レンズのための研削機械と組み合わせて好適に使用される。この従来の装置では、眼鏡レンズの光学的表面に適用される吸引ヘッドによって眼鏡レンズが取り扱われる。空圧で作動する3本指のグリッパーの使用が同様に示されているが、後者は眼鏡レンズの中心出しにのみ使用されるものである。
【0010】
下記特許文献6は、研磨工具を自動的に交換する方法を開示している。この従来技術の方法では、複数の研磨工具がマガジンバンク上に1列に使用可能な状態で載置される。ロボットが研磨工具の1つをつかみ、研磨機械の駆動要素におけるジンバル付きの研磨工具吊り具に取り付ける。研磨工程が完了すると、ロボットは研磨工具と共に移動して、2枚の金属板が水平面に対して傾いてそれらの間の隙間を取り囲むように配設された装置の中に入る。ロボットは研磨工具をこの隙間に入れてそれを脱落させる。すると摩耗した研磨工具は、装置によって構成された傾斜したシュートの中に落下して最後に容器の中に入る。
【0011】
下記特許文献7は、研削または研磨機械で光学的レンズのトロイダル表面または球面を処理する間、加工物または工具を案内する装置を開示している。
この従来の装置では、スピンドルの下の自由端にローラーベローズが配設されており、このベローズが研磨ディスクを支持する。ローラーベローズで取り囲まれた空間内には空気の圧力を発生することができ、それにより研磨ディスクを軸方向に移動できるようになっている。更に研磨ディスクは、ボールジョイントを介して軸方向に作用するピストンによって支持されている。ローラーベローズは、作業中に回転すると研磨ディスクのトルクを伝達するようになされている。
【0012】
この従来の装置には、ローラーベローズが比較的剛性の高い要素であり、そのため研磨ディスクがその適切な運動を非常に限定された範囲にのみ及ぼすという欠点がある。
下記特許文献8は別の類似の研磨ディスクを開示しており、この場合、研磨工具はバヨネットジョイントを介してアクチュエータに取り付けられる。
この従来の装置には、研磨工具を取り付けるときに、アクチュエータに関して正しい角度の方向に研磨工具を向けなければならないという欠点がある。
【0013】
別の類似の装置が下記特許文献9に開示されている。
【特許文献1】国際公開第01/66308号パンフレット
【特許文献2】国際公開第97/13603号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第0758571号明細書
【特許文献4】国際公開第01/56740号パンフレット
【特許文献5】国際公開第02/00392号パンフレット
【特許文献6】米国特許第6247999号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0567894号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第0974423号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第0974422号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第10100860号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで本発明の目的は、最初に述べたタイプの方法および装置を更に改良し、上記の問題を回避することである。
特に本発明により、従来必要とされてきた製造の複雑さを軽減することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
最初に述べた方法では、研磨およびマーキングの各ステップが共通の処理セル内で実行されることにより、この目的が達成される。
最初に述べたタイプの装置では、研磨ステーション、洗浄ステーションおよびマーキングステーションが1つの共通の製造セル内に配設されている装置によって、上記の目的が達成される。
【0016】
これにより本発明の目的は完全に達成される。
すなわち本発明は、成形工程に続く処方表面に対する全製造工程を、従来は旋盤または研削加工によって行われていたのに対して、初めて1つの完全に自動化されたセル内に集中し、それにより個別のステーション内で眼鏡レンズを装填および除去する際の面倒な手作業を回避できるようにしたものである。
【0017】
大幅な生産コストの削減が実現することは明らかである。
本発明の好適な実施形態では、研磨およびマーキングの間、ガラスは同一のロボットによって取り扱われる。
この手段は、製造セル内での全ての動作に対して1台の取扱要素しか必要とせず、それによっても生産コストが削減できるという利点を有する。
【0018】
本発明の方法の好適な実施形態では、ロボットが下記の各動作を行うことが特に好ましい:
a)コンベアベルトからガラスを取り、
b)前記ガラスを研磨ステーションに供給してそこに載置し、
c)研磨工具を工具マガジンから取り、
d)前記研磨工具によって前記ガラスを処理し、
e)前記研磨工具を納め、
f)研磨ステーションから研磨されたガラスを取り、それらを洗浄ステーションに供給してそれらをそこに載置し、
g)洗浄用具を取り上げ、
h)前記洗浄ステーションで前記ガラスを洗浄し、
i)前記洗浄用具を納め、
k)前記洗浄ステーションから洗浄されたガラスを取り、それらをマーキングステーションに供給し、そして
l)前記マーキングステーションからマーキングされたガラスを取ってそれらをコンベアベルトの上に載置する。
【0019】
これらの手段は、全ての取扱動作、すなわち様々なステーションの間での搬送動作と、また部分的には処理工程も、1台のロボットで行えるという利点がある。
その意味で、ステップk)およびl)を実行する間に、ロボットが少なくとも1つの他のガラスに対してステップa)〜i)のうちの1つを行うことがより好ましい。
この手段には、ロボットが時間多重方式で作動でき、それにより別のガラスが別の処理を、特にマーキングステーション内で受けているときに、同時にあるガラスの処理を行えるという利点がある。
【0020】
本発明の別の好適な実施形態では、ガラスが搬送箱の中に入れられてコンベアベルト上で搬送される。
この手段には、ガラスを所定の除去位置および装填位置に保持することができ、ここで搬送箱内でのガラスの配列のために、ガラスの規定された向きに従ってその処理が行えるという利点がある。
【0021】
最後に、ガラスをその縁で保持するグリッパーによってロボットがガラスを保持することが、特に好適である。
この手段には、従来技術と異なり、ガラスの敏感な光学的表面に触れることがないために、これらの敏感な光学的表面へのいかなる悪影響も起こりえないという利点がある。
本発明の方法の上記の変形は、ガラスが所定の力で把持されるという点で、更にもっと洗練することができる。
【0022】
更にまた、ガラスが対で搬送されることがもっと好適である。
この手段には、特定の注文者(患者)に帰属するガラスを一緒に、または相前後して搬送し、それらが間違えられる可能性が排除されるという利点がある。
更にまた、ガラスがブロック上に配列されて、取扱い、すなわち搬送および処理されることがもっと好適である。
【0023】
この手段には、特に研磨中にガラスそのものを把持する必要がないという利点がある。
本発明の方法の特に好適な実施形態において、研磨中は研磨工具が第一の表面と共にガラスの第二の表面の上に置かれ、ここで前記第一の表面は前記第二の表面よりも小さく、更に各表面は同じ方向にまた実質的に同じ回転速度で回転させられ、また第一の表面は第二の表面の上を半径方向に案内される。ここで、振動運動がそれに垂直な半径方向の運動に重ね合わされることが、特に好適である。
【0024】
研削されるガラスの表面上で平行な遠い経路に沿って研磨工具が案内される従来技術と異なり、この特徴は光学的に識別可能なパターンが生じないという利点を有する。研磨面の軌跡が人間の目には判別できないような表面が作られるのである。
このことは、半径方向の運動が第二の表面の直径に沿って案内される場合に、特に当てはまる。
【0025】
その意味で、半径方向の運動と振動運動とが互いに関して調整され、その結果半径方向の往復運動の間、第一の表面の中心の軌跡が波打つ鏡面対象な線の形状を有するようにすることが好適である。
本発明の装置の実施形態では、コンベア、研磨ステーション、洗浄ステーションおよびマーキングステーションの間でガラスを取り扱うために1台だけのロボットが備えられているが、ここでロボットは好適には研磨工程を遂行するように適合され、更にロボットは研磨工具および洗浄用具を操作するようになっている。
【0026】
これらの手段には、全ての運動と処理動作とが1台の同じロボットによって遂行されるという利点がある。それぞれの処理(研磨および洗浄)の間、ガラスが静止しているが移動可能な保持ユニットによって保持され、一方ロボットがそれぞれ所要の道具(研磨工具または洗浄用具)を保持して動かすことが特に有利であることがわかった。
その意味で、ロボットがハンドを有し、前記ハンドが軸方向のアクチュエータによって2つの動作位置に交互に移動するようになされ、前記ハンドがガラスをつかむためのグリッパーと工具を取り付けるためのインターフェースとを有し、前記グリッパーが第一の動作位置ではガラスをつかんだり放したりするようになっており、また第二の動作位置では工具をつかんだり放したりするようになされていることが更に好適である。
【0027】
この手段には、ロボットのハンドにグリッパーまたは工具ホルダーのための特別な交換ステップを備える必要がないので、処理セル内でのドアツードアタイムを更に短縮できるという利点がある。
この実施形態の好適な改良では、前記軸方向のアクチュエータはロータリーアクチュエータである。
【0028】
この手段には、例えばある瞬間にはガラスを取り扱い、別の瞬間には工具を挿入するような場合に、ハンドが180°回転するという、特に単純な一連の運動が得られるという利点がある。
単独で使用できる本発明の装置の好適な改良においては、ロボットがガラスをその縁でつかむグリッパーを有する。特にこのことが所定の力で行われ、その場合は更に力のコントローラが好適に備えられる。
【0029】
これらの手段には、ガラスをつかむときに眼鏡レンズの敏感な光学的表面に触れる必要がないという、既に述べた利点がある。
その意味で、グリッパーが互いに実質的に平行に配列された3本以上の指を有し、ガラスの縁と係合するようになっていることが特に好適である。
この手段には、指の数と位置とに応じて把持機能と中心出し機能とを遂行することができ、しかも取り扱うべきガラスの外周が円形か楕円形か、または他の一般的な形状かによって、指の数とタイプとを最適化できるという利点がある。
【0030】
この実施形態の他の好適な変形によれば、指にはその周囲に柔らかい外被が備えられている。
この手段には、比較的強い把持力を用いたときでも、ガラスの周囲への損傷が避けられるという利点がある。
同様に単独で使用できる本発明の別の好適な実施形態では、ガラスの第一の表面を研磨するために、一方では第一の表面上で回転する第二の表面と共に接線方向に案内される、また他方では第一の表面内での高さの違いを補償するために、第一の表面と垂直な方向に送られる研磨工具が備えられている。これにより、回転および/または送り運動を起こすための要素は中空に構成される。
【0031】
この手段には、研磨工程の間に移動しなければならない質量を非常に小さく維持できるという利点がある。その際、慣性を軽減でき、また研磨表面が研磨すべきガラスの表面に特に容易に追随でき、最小の力を及ぼすだけでよい。
前記要素はチューブであることが特に好適である。
この手段には、非常に単純かつ低コストの要素を使用できるという利点がある。
【0032】
本実施形態の好適な改良では、前記チューブはローラーベアリングによって半径方向に支持された多角形のチューブである。
この手段には、ローラーベアリングが最小の摩擦で多角形チューブの半径方向の運動を防止するので、チューブがその軸方向の送りにおいてほとんど摩擦無しに送られるように支持されるという利点がある。
【0033】
更に好適な方法では、前記チューブは回転駆動ユニットから研磨工具にトルクを伝達する。
その目的のために、チューブは既に述べたように多角形チューブとして形成することができ、または非円形チューブとして、もしくはスプライン歯などを有するチューブとして形成することができる。
【0034】
本実施形態の別の改良では、前記要素はボールジョイントを備えた非トルク伝達性の伝動要素により直線変位ユニットに連結されている。
この手段には、研磨工具の軸方向における送り運動が、研磨工具に回転運動をさせるためのトルクの伝達とは独立に行えるという利点がある。従って軸方向の変位に必要な要素はトルクの伝達から切り離され、小さな摩擦で構成することができる。
【0035】
前記直線変位ユニットは好適にはピストン・シリンダーユニットとして構成される。
この手段には、その有効性が証明された位置決めおよび制御要素を使用できるという利点がある。
その意味で、伝動要素が両端でボールジョイントによって結合された連結ロッドであることが更に好適である。
【0036】
これらの手段には、前記の非トルク伝達性の連結を実現することができ、その際に研磨対象の表面が斜めに配置されること結果として、ピストンがシリンダー内でひっかかることを、ボールジョイントが防止するという利点がある。
やはり単独で使用できる本発明の更に好適な実施形態では、ガラスの第一の表面を研磨するために、一方では第一の表面上で回転する第二の表面と共に接線方向に案内され、他方では第一の表面内での高さの違いを補償するために第一の表面と垂直な方向に送られる研磨工具が備えられ、第二の表面の送りのためにシリンダー内に空気マウントされたピストンを有するピストン・シリンダーユニットが備えられる。
【0037】
この手段には、ピストンがシリンダー内で空気ベアリングを介して案内されるため、摩擦を特に小さくできるという利点がある。その結果、研磨工具が接触する力、すなわち研磨力を特に繊細に設定することができる。
その意味で、シリンダーがガラスシリンダーであり、ピストンがグラファイトピストンであることが特に好適である。
【0038】
この手段には、広い温度範囲で作動可能な最適摩擦マッチングが得られるという利点がある。
このとき、圧縮空気を収容して第一の所定の容積を有する作動タンクにピストン・シリンダーユニットが連結され、前記ピストンがその動作の両端の位置の間でシリンダー内に第二の所定の容積を規定し、前記第一の容積が前記第二の容積よりもはるかに大きく、好適には第二の体積の少なくとも100倍、特に少なくとも1000倍であり、そして最も好適には、第一の容積が約1cm3のときに第二の容積が約3000cm3である場合に、特に良好な結果が得られる。
【0039】
この手段には、作動シリンダー内の容積の変化が圧力タンク内の容積と比較して大幅に小さいので、ピストンの全作動ストロークにわたってシステムが非常に高い直線性を有して作動するという利点がある。
やはり単独で使用できる本発明の別の好適な実施形態では、ガラスの第一の表面を研磨するために、一方では第一の表面上で回転する第二の表面と共に接線方向に案内され、他方では前記第一の表面内での高さの違いを補償するために、第一の表面と垂直な方向に送られる研磨工具が備えられ、送り運動を行うために伝動要素が備えられ、前記伝動要素がハウジングに関して直線的に移動させられ、かつハウジングの一端から一部が振動的に突出し、第一のベローズが前記一端と前記突出部との間に配設されている。
【0040】
この手段には、侵入するほこりから振動運動をする伝動要素を最もよく保護できるという利点がある。ガラスの表面を研磨するときに多大な汚れが生じて、振動する伝動要素の案内が研磨工具の摩耗により詰まってしまうことがあるので、このことは本発明の応用にとって特に有利である。
本実施形態の特に好適な実際的な実施形態では、前記突出部が環状のフランジを有し、第一のベローズがフランジと端部とを結合している。
【0041】
この手段には、特に単純で機械的に信頼性の高い構成が得られるという利点がある。
同様に単独で使用できる本発明の別の好適な実施形態では、ガラスの第一の表面を研磨するために、一方では第一の表面上で回転する第二の表面と共に接線方向に案内され、他方では前記第一の表面内での高さの違いを補償するために、前記第一の表面と垂直な方向に送られる研磨工具を備え、送り運動を行うために伝動要素が備えられ、前記伝動要素がハウジングに関して直線的に移動させられ、かつハウジングの一端から一部が振動的に突出し、ハウジングに結合された保護スリーブによって前記突出部が取り囲まれている。
【0042】
この手段には、伝動要素の振動しながら突出する部分への予期せぬ損傷が明確に防止されるという利点がある。
本実施形態の好適な改良においては、前記保護スリーブは前記第一のベローズを取り囲んでおり、この保護機能が第一のベローズにまで及ぶ。
同様に単独で使用できる本発明の更に別の好適な実施形態では、ガラスの第一の表面を研磨するために、一方では第一の表面上で回転する第二の表面と共に接線方向に案内され、他方では前記第一の表面内での高さの違いを補償するために、前記第一の表面と垂直な方向に送られる研磨工具が備えられ、前記研磨工具が旋回可能に伝動要素内に支持され、前記伝動要素が軸に沿って送り方向に移動可能であり、タンブリングディスクが備えられ、前記タンブリングディスクがボールジョイントを介して前記伝動要素に結合され、前記タンブリングディスクが前記研磨工具に連結されるようになされている。
【0043】
この手段には、ガラスの研磨すべき表面の高さの違いに完璧に追随することを、ボールジョイントで支持されたタンブリングディスクが可能にするという利点がある。このことは、従来のジンバル付き吊り具(上記特許文献6)、また特にローラーベローズによるベアリング(上記特許文献7)との比較において特に言えることであり、また球状アレンジョイント(上記特許文献4,上記特許文献10)と比較したときにもそうである。
【0044】
本発明の上で説明した実施形態との関連で、前記伝動要素が末端にボールヘッドを有し、前記研磨工具がボールソケットを備え、前記研磨工具が前記伝動要素の上に弾性的に保持され、前記ボールヘッドがボールソケット内で弾性的に保持され、それにより前記研磨工具が伝動要素に関してタンブリング運動を行えるようになされる。
この手段には、一方では研磨工具のタンブリング運動が可能となり、他方では弾性的な支持によって必要なトルクが研磨工具に伝達され、しかも同時にボールジョイントが全て必要な支持力で保持されるという利点がある。
【0045】
この実施形態の好適な改良においては、前記伝動要素は軸方向の末端に指を有し、前記ボールヘッドは指の自由端に配設されている。
この手段には、ボールヘッドとボールソケットとを有するボールジョイントの片持ちはり構成のために、特に振幅の大きなタンブリング運動が可能とるという利点がある。
更にこの実施形態では、研磨工具を弾性的に保持するために、第二のトルク伝達ベローズが前記伝動要素と前記研磨工具との間に配設されていることが好ましい。
【0046】
この手段には、一方ではボールジョイントが研磨工程の間に起きる汚れに対して上で説明した仕方で信頼性高く保護され、他方では前記弾性的支持、従ってまたトルクの伝達およびボールジョイント内での保持力も、特に単純かつ低コストの要素、すなわちベローズによって保証されるという利点がある。
前記第二のベローズが指を取り囲むならば、このことは好適な仕方において真実であると言える。
【0047】
最後に、その意味でボールソケットが円錐形に構成されていることが好ましい。
この手段には、ボールヘッドとボールソケットとの間には非常に狭い接触面、理想的にはただの接触線しか存在せず、それによりジョイントの摩擦が非常に小さいという利点がある。
やはり単独で使用できる本発明の好適な実施形態では、ガラスの第一の表面を研磨するために研磨工具が備えられ、前記研磨工具が磁気クラッチを介して駆動ユニットに連結されている。
【0048】
この手段には、研磨工具をその駆動ユニットに結合するのに機械的クラッチを開閉する必要がないという利点がある。その代わりに磁気クラッチを単純な仕方で開閉できる。これは電気的に、または磁気的に連結した要素に引っ張り力を加えることでそれらを互いに分離することで行える。
本実施形態の好適な改良においては、磁気クラッチは永久磁石を備えている。
【0049】
この手段には、電流を流さずにクラッチを操作できるという利点がある。永久磁石は、1対の永久磁石でも、または1個の永久磁石と1個の対応する軟鉄片との組み合わせであってもよい。
この実施形態において更に好適な実施形態は、前記研磨工具が一方では第一の表面上で回転する第二の表面と共に接線方向に案内され、他方では第一の表面内での高さの違いを補償するために、前記第一の表面と垂直な方向に送られ、研磨工具が旋回可能に伝動要素内に支持され、前記伝動要素が軸に沿って送り方向に移動可能であり、タンブリングディスクが備えられ、前記タンブリングディスクがボールジョイントを介して伝動要素に結合され、そして前記タンブリングディスクが磁気クラッチを介して研磨工具に連結されるようになされている。
【0050】
この手段には、実際的な実施形態において、前記研磨工具を最も単純な仕方でその対応する駆動ユニット、すなわちタンブリングディスクに連結し、またそれから切り離すことができ、そのため研磨工具の構成に研磨ディスクと研磨皮膜とだけしか必要としないという利点がある。
上記の例ではまた、前記伝動要素が末端にボールヘッドを有し、前記研磨工具がボールソケットを備え、そして前記研磨工具が前記伝動要素の上に弾性的に保持され、ここで前記ボールヘッドがボールソケット内で弾性的に保持され、それにより研磨工具が伝動要素に関してタンブリング運動を行えるようにすることが好適である。
【0051】
同様に単独に使用できる本発明の別のグループの実施形態では、工具マガジンが備えられ、前記工具マガジン内に複数の研磨工具が収納され、前記研磨工具がロボットの動作区域内に配置されている。
この手段には、工具交換、特に研磨工具の交換を自動化できるという利点がある。特に摩耗した研磨工具を新しい研磨工具に交換できる。更に後で寸法の異なるガラスを処理する場合に、寸法の異なる研磨工具を次々と交換することが可能になるという利点がある。
【0052】
好適な方法では、前記工具マガジンは複数のシュートを有し、研磨工具がその研磨面の半径に従って選り分けられてシュート内に保管される。
更に、シュートが水平面に対して傾いており、かつ研磨工具のための滑り通路が備えられていることが好適である。
この手段には、工具が下端で回収されると同時にシュート内を滑って上方に移動し、それによりコンベアを別途設置しなくても毎回新しい工具が自動的に取り出し位置に使用可能な状態で載置されるという利点がある。
【0053】
その場合、滑り通路の下端にストッパーが備えられることが好ましい。
本発明の更に別の利点が、以下の説明および添付の図面から明らかになるであろう。
上で説明した特徴および以下で説明する特徴は、具体的に示した組み合わせだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく他の組み合わせで、または単独で使用可能であることは、言うまでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
本発明の実施形態を図面に図示し、その後の記述において説明する。
図1において、参照符号10は従来技術による作業工程を説明するフローチャートを全体として示す。眼鏡レンズの旋盤加工または研削加工(ブロック12)の後で、眼鏡レンズと研磨工具とが手動で研磨機械に送られる(ブロック14)。すると研磨機械は研磨工程を実行する(ブロック16)。研磨された眼鏡レンズは取り出され、研磨工具が取り外される(ブロック18)。
【0055】
ここで眼鏡レンズを手作業で、または特殊な洗浄装置で洗浄しなければならず(ブロック20)、また研磨工具および/もしくは洗浄用具を手作業で、または特殊な装置を使用して再処理しなければならない(ブロック22)。眼鏡レンズは次に手動でマーキングステーションに送られ(ブロック24)、そこでマーキングがされる(ブロック26)。この時点ではじめて、眼鏡レンズを手動で取り出し(ブロック28)、そして外部に搬送できる。
【0056】
上記の説明から、従来の工程では時間がかかるだけでなく失敗の原因にもなる多くの手動ステップを実行しなければならないので、多大な時間を要することが明らかである。
これに対して、図2は旋盤加工または研削加工(ブロック32)によって眼鏡レンズの自動的な成形プロセスを通常の仕方でたどるブロック図30を示すが、ここでその後の研磨、洗浄およびマーキングの各ステップが、手作業が介入する必要無しに全て完全に自動的に行われる(ブロック34)。以下、これを説明する。
【0057】
図3および4において、参照符40はハウジングフレーム41を有する処理セルを示す。研磨、洗浄およびマーキングの各工程は、処理セル40内で完全に自動的に行われる。
レンズは通常の旋盤または研削機械42から矢印43の方向にコンベアベルト44に送られ、それにより矢印46で示されるコンベアの方向に沿って処理セル40に搬送される。
【0058】
コンベアベルト44上での搬送には搬送箱48が使用される。搬送箱48の各々は、それぞれ特定の患者または顧客のための1対のレンズ50a、50bを受け取る。更に以下で説明するように(図12)、レンズ50は、それ自体公知であるように、ブロック51上に配設され、処理中により容易に保持および移動(回転)できるようにする。
図示した実施形態では、処理セル40内でコンベアベルト40の上に4つの取扱位置52a、52b、52cおよび52dが示される。これらの取扱位置52a〜52dにおいて、一度に1つの搬送箱48を停止させることができる。これによりレンズ50を所定の位置に使用可能な状態で載置することができ、異なる搬送箱48からのレンズ50を処理セル40の異なるステーションで平行して処理することが可能となる。
【0059】
処理セル40は研磨ステーション54,洗浄ステーション56、マーキングステーション58および中央制御ユニット60を備えている。ロボット62が中央作業ユニットとして処理セル40内に備えられている。ロボット62は工具マガジン64と協働する。
ロボット60はベース70の上に立っている。ロボット60が行える様々な動作を矢印72および74で示す。本発明の好適な実施形態では、ロボット62は6本アームのロボットである。
【0060】
ロボット62は、自由端にハンド78を有するアーム76を備えている。ハンド78は別の矢印82で示されるように、アーム76に沿って延びる軸80の回りに回転するようになっている。
処理セル40は以下のように作動する。
処理動作のはじめにロボット62が起動され、アーム78上に配設されたグリッパーが搬送箱48からレンズ50を取り出す。グリッパーの詳細については、図5および図12〜図17を参照して以下で更に説明する。
【0061】
次にロボット62はレンズ50を研磨ステーション54内の研磨スピンドル84に搬送する。レンズ50はそのブロック51と共に研磨スピンドル84のソケット内に挿入され、レンズ50が回転できるようになされる。
研磨スピンドル84内でレンズ50を放したのち、ロボット62はハンド78を工具マガジン64に移動する。ここでは研磨工具88がシュート86内に保管されている。例えば異なる寸法の研磨工具88を、異なるシュート86内に選り分けることができる。工具マガジン64の更に詳細な説明を、図18〜図20を参照してもっと後で述べる。
【0062】
研磨工具88は、処理工程の後で再処理する必要のある摩耗性の部品であるから、工具マガジン64内に十分に多数の、例えば1日の操業に必要な数の研磨工具88を、使用可能な状態で保管する必要がある。
研磨工具88を受け取るために、ロボット62のハンド78は、軸80のまわりに回転してそれぞれの研磨工具88を受け取れるようになっている。その詳細は図5〜図11を参照して、後で更に述べる。
【0063】
ハンド78に研磨工具88を有するロボット62は、次に研磨ステーション84に戻り、研磨工具88の研磨面が研磨すべきレンズ50の表面と接触するまで、研磨スピンドル84を取り囲むコラーの中に移動する。研磨工程の更に詳細な説明を、特に図21を参照してもっと後で述べる。
研磨工程が完了すると同時に、ハンド78は研磨工具88と共に研磨スピンドル84から出る。これにより研磨工具88は排出マガジン90に移送される。ここで研磨工具88をカットバックストッパーの背後で前方に押しやり、次にハンド78を研磨工具88から後退させることで、研磨工具88はハンド78からはぎ取られる(外される)。すると研磨工具88は排出マガジン90内の洗浄液で満たされたコンテナーの中に落下する。
【0064】
ここでロボット62はハンド78と共に研磨ステーション54に戻り、研磨工程の間に研磨されたが汚れたレンズ50を取り、これを洗浄ステーション54、すなわちその中に配設されたホルダー94の中に移送する。
ここでロボット62はハンド78をレンズ50から離し、その後で研磨されたレンズ50を洗浄するために洗浄ステーション56の洗浄槽96内に配置されたスポンジ98を取り上げる。そのために、レンズ50はホルダー94内で固定されていてもよいし、また動かされてもよい。
【0065】
洗浄工程の完了後、スポンジ98は再度洗浄槽96の収納ユニット100内に納められる。これもまたカットバックストッパーとハンドのはぎ取り運動によって行える。
洗浄工程を補助するために、複数のジェットが備えられているが、その1つを図4の102で示す。洗浄液、例えば水、およびそれに続いて乾燥流体、例えば圧縮空気をジェット102を通して供給できる。
【0066】
スポンジ98を収納した後、ロボット62はハンド78を洗浄および乾燥されたレンズ50に再度移動して、それをホルダー94から取り出す。そしてロボット62はレンズ50をマーキングステーション58内のマーキングホルダー104に移送する。ここでレンズ50は、例えばレーザーによりマーキングが施される、すなわち製造番号が記入されるが、後で眼鏡技術者がレンズを眼鏡フレームの正確にはめこむことができるように、光学的表面にマーキングをしてもよい。
【0067】
研磨ステーション内および洗浄ステーション内では、その中で行われる研磨および洗浄工程の処理にロボット62が能動的に参加するが、マーキングステーション58ではレンズ50をマーキングホルダー104内に収納するだけで、マーキング工程そのものはロボット62が関与せずに自動的に行われるので、そのようなロボットの活動は必要がない。
一方、マーキング工程が多少の時間を要することを考慮すると、本発明の好適な改良においてはロボット62はその間に次のレンズ50をその搬送箱48から取り出し、それに対して上で説明した研磨および洗浄工程を行ってもよい。同様に、最初のレンズに対するマーキングが完了してロボット62によってマーキングホルダーから取り出されてその搬送箱48内に戻されるまで、次の1つのレンズを取扱、処理することもできる。
【0068】
完全に処理が済んだレンズ50の入った搬送箱48はここで、図3に示した矢印106の方向にコンベアバンド44に乗って処理セル40から出る。
図5〜図17は、ハンド78上に配設された要素を更に詳細に示す。
図5の側面図は、図6に垂直に延びるアーム76の軸80と、ハンド78の矢印82で示される好適には各々180°の軸支運動とを示す。この時点で、ハンド78にはもっと小さな角度の増分でもっと多数のユニットを備えることができることは自明であろう。
【0069】
図5で、複数の指112を有するグリッパー110がハンド78の上端に配設されている。ハンド78の下端には研磨ヘッド114が、研磨工具88のための回転駆動ユニット116、および研磨工具88を長手方向の軸120に沿って軸方向に変位させるためのピストン・シリンダーユニット118と共に備えられている。
この時点で、図示した各要素は模式的のみ理解すべきであり、他のタイプの回転駆動または直線駆動も同様に使用可能であることは言うまでもない。
【0070】
図6は、ハンド78の下端を拡大してもっと詳しく示す。この下端はハウジング128によって完全に取り囲まれている。
ハウジング128の内部で回転駆動ユニット116の下には、それによって駆動される第一のピニオン130が配設され、歯付きベルト134を介して第二のピニオン132と結合されており、第二のピニオン132は軸120のまわりに回転する。第二のピニオン132はハウジングに対して静止した受け座137内で複数のベアリングを介して支持されたローター136を駆動する。
【0071】
ローター136はその下端にスリーブ138を備え、その中では多角形チューブ140が回転しないが軸方向に変位可能に配設されている。多角形チューブ140はローラーベアリング142を介してスリーブ138内で半径方向に支持されている。従って多角形チューブ140はスリーブ138と共に回転するが、スリーブ138内でほとんど摩擦無しに軸方向に移動できる。
【0072】
ローター136は下方において下端142内で終端し、そこに半径方向の閉鎖平面を形成している。多角形チューブ140の先細り部分145は前記閉鎖平面を通って延び、外に向かって突出している。その自由端にはタンブリングディスク144が配設されているが、そのさらなる詳細を以下、図8を参照して説明する。
第一のベローズ146はその上縁でローター136の下端143に取り付けられ、下縁で多角形チューブ140の突出部145の下部を取り囲むフランジ147に取り付けられている。これにより、突出部145の軸方向の運動の間、下端143によって規定される開口の中で、多角形チューブ140の領域内に、また特にローラーベアリング142領域内に、外部からいかなる塵埃も侵入しない効果が得られている。
【0073】
最後に、取り囲む保護スリーブ148が第一のベローズ146の周囲に配設されている。
多角形チューブ140は所定の力/変位関数に従って、軸120の方向に変位することができる。前述のピストン・シリンダーユニット118は、その目的のために使用される。
【0074】
ピストン・シリンダーユニット118は好適には空圧によって作動する。その目的のために、ピストン・シリンダーユニット118の上端に圧縮空気の回転継ぎ手150が備えられ、ローター136と共に作動する際に回転するピストン・シリンダーユニット118に圧縮空気を供給できるようにされている。ダクト152がロータリージョイント150を圧縮空気溜め154に結合されている。図6では、圧縮空気溜めの容積をVR、作動圧力をPRで示す。
【0075】
ピストン・シリンダーユニット118は、いわゆるエアシリンダー160を備えている。図7からよく分かるように、エアシリンダー160はガラスシリンダー162を備えており、その中でピストン164が最小の空隙(エアギャップ)166をもって動く。ピストン164と多角形チューブ140の上部フランジ172との間で、連結ロッド168を介して軸方向に力を伝達する接続が形成され、連結ロッド168の上端と下端とにはボールヘッドが備えられ、上端は図7において170で示される。
【0076】
実際的な実施形態では、ピストン164は直径が16mmでストロークが5mmである。従って、ピストン164の動作位置の両端の間の、図7ではVAで示される作動容積は約1cm3である。
それに対して、圧縮空気溜め154の容積VRは約3000cm3であり、従ってその場合の容積比は3000:1となる。作動圧力PRは、例えば4barから5barの間である。その結果、50N〜100Nの範囲のピストン164の作動力が発生される。
【0077】
既に述べたように、シリンダー162は好適にはガラスで形成されている。ピストン164は好適にはグラファイトで形成され、それにより摩擦に関して最適なマッチングが創り出され、広い温度範囲にわたって最小の摩擦係数を実現する。小さな空隙166のために、ピストン164とシリンダー162との間に空気ベアリングが形成され、ピストン164はほとんど摩擦無しにガラスシリンダー162内で動く。
【0078】
回転駆動ユニット116により、ローター136の例えば毎分1000回の回転運動が引き起こされる。同じ速度で、また好適には同じ回転方向に回転するレンズ50の高さの変化に対して、研磨工具88がタンブリングディスク144の下側で追随できるようにするために、研磨工具88は50Hzよりも高い周波数で一定の接触力をもって、回転する眼鏡レンズの表面に追随する。
【0079】
直線駆動を行う各要素、特に中空の多角形チューブ140の摩擦の低さと軽さとにより、極めて小さな慣性力で精密な位置決め制御が可能になる。
図8はタンブリングディスク144を更に詳細に示す。
多角形チューブ140の突出部145の下端180は第一のディスク182内で終端するが、第一のディスクは、固定装置として、ボルトで互いに結合できる上プレート183aと下プレート183bとを備えている。第二のベローズ186の上縁184はこれらのプレート183a、183bの間に固定され、第二のベローズ186は第一のベローズ146と同様に軸120のまわりに回転対称に配設されている。
【0080】
第二のベローズ186の下縁188は第二のディスク190内に保持されているが、この第二のディスクも同様に上プレート191aと下プレート191bとを備えた固定装置として構成されている。
第二のベローズ186はボールジョイントを取り囲む。ボールジョイントは、下端180の延長として下に向かって延び、かつその自由端180aに中心196を有するボールヘッド194を備えた軸方向の指192によって構成されている。
【0081】
ボールジョイントに対応するものが、上プレート191a内の円錐形開口198と下プレート191b内のボールソケット200とによって構成されている。ボールソケット200は好適には、下プレート191b内のインサート202の中に円錐形部材として構成されている。
図8から容易に理解できるように、第二のディスク190は第一のディスク182に対して相対的にタンブリング運動を行うことができ、その間はボールソケット200がボールヘッド194の回りに回動する。
【0082】
第二のベローズ186は下記の3つの機能を有する。
先ず、後で更に説明するように、第二のベローズ186は、多角形チューブ140から下端180を介してトルクを研磨工具88が取り付けられた第二のディスク190に伝達するようになされている。
第二のベローズ186は、第二のディスク190を弾性的に上に引っ張る軸方向の引っ張り力を発生し、その結果ボールヘッド194がボールソケット200内に弾性的に保持される。第二のディスク190はこのように、大きな角度範囲にわたって第一のディスク182に対して相対的にタンブリング運動を行うことができる。
【0083】
最後に、第二のベローズ186はボールジョイントを汚れに対して保護する役割を果たす。
研磨工具88を下からタンブリングディスク144に取り付けることを可能にするために、下記の手段が採用された。
先ず第二のディスク190の下側に、軸120に沿って突出してその下端にテーパー206を有するピン204が備えられている。次に、第二のディスク190の下側に、図11によく示されるように、外周の方向に互いに約120°離して配列された3つの永久磁石208a、208bおよび208cが備えられている。
【0084】
図9は、研磨工具88が外周に環状のフランジ211を有する第三のディスク210を有することを示すが、このことは工具マガジンの説明に関連して後で述べる(図18〜図20)。
第三のディスク210の下方には弾性の層212,好適には柔らかいスポンジがある。かかる工具214は層212の下側に取り付けられ、一般に研磨シェルと呼ばれる。その下側の表面216が研磨表面を構成し、凹レンズの表面を研磨するための図9に示される実施形態では凸型に形成されている。表面216は言うまでもなく、凹レンズの表面を処理するために凸型に形成されていてもよい。
【0085】
第三のディスク210の中央には位置決め穴218があり、穴218はタンブリングディスク144のピン204と相補的な関係にある。特に、穴218はピン204のテーパー部206と協調するようになされたテーパー部をその上端に有する。
更に第三のプレート210は、図10に最も明確に示されるように、互いに約180°離して配列された3つの永久磁石222a、222b、222cが備えられている。
【0086】
容易に理解できるように、研磨工具88は図8および図9に示される各要素を軸方向に組み立てることで、タンブリングディスク144と単純に結合される。次にピン204が穴218に入り、磁石208/222が互いに引き合って必要な保持力を発生する。図示した実施形態では、磁石208/222が更にキャッチとして構成され、それにより磁石208が挿入されている穴224に磁石222が入ることで、タンブリングディスク144と研磨工具88との間にトルクを伝達する結合が生じるようになされる。
【0087】
ここで、永久磁石208,222は単なる例に過ぎないことが明らかであろう。電気的に作動する磁石、または磁石と軟鉄部材との組み合わせを使用しても、同じ結果が得られる。
図12および図17はグリッパー110をより詳細に示す。
図12は、グリッパー110の指112が、コア230と外被232とで構成されていることを示すが、コア230は機械的に安定で硬く構成され、外被232は好適には柔らかく構成される。
【0088】
グリッパー110の指112がレンズ50をその外周236のみで把持し、その結果従来技術と異なり、レンズ50の光学的表面に接触しないことが重要である。
図13は、上から見ると円形をなすレンズが4本の指112a〜112dによって保持された状態を示すが、図14によれば上から見て楕円形のレンズでもこれが可能である。
図15および16に図示されるように、3本の指112a〜112cを使用した場合でもこれは同じように可能である。
【0089】
最後に図17は、不規則な形状をしたレンズ50’を上から見た様子を示すが、これもまた3本の指で保持できる。
図18〜図20は工具マガジン64を更に詳細に示す。
工具マガジン64は、各々のシュート86に2本の平行なレール240a、240bを備えている。レール240a、240bには各々長手方向に延設された滑り溝242a、242bが互いに向き合って備えられている。図18および図19に示すように、滑り溝242a、242bの左端にはバネ付勢されたピン244a、244bが備えられ、その解放状態では滑り溝242a、242bの中に延びている。
【0090】
レール240a、240bは、図18において角度αで示されるように、水平マウント246に関して傾斜した向きに配設されている。
研磨工具88の第三のディスク210の前述の環状のフランジ211が滑り溝242a、242b(図9参照)の中で走るようにすることにより、研磨工具88はレール240a、240b内に保持されている。研磨工具は図18に示すように、自重によりレール240a、240bの左端に自然に滑って移動する。バネ付勢されたピン244a、244bにより、下端の研磨工具88はそこに保持される。
【0091】
図8および図9からよく分かるように、タンブリングディスク144の下端にある第二のディスク190は、図19に上から見た様子が示される研磨工具88の上側にある第三のディスク210よりも直径がはるかに小さい。従ってロボット62は図5の動作位置において、そのハンド78を工具マガジン64の区域内に入れて第二のディスク190をレール240aとレール240bとの間の間隙に挿入し、第二のディスク190を第三のディスク210の上に載置することができ、するとディスク190および210は磁石208,222の作用で互いに付着する。ここでロボット62はそれぞれのシュート86の軸方向にハンド78を移動して、それぞれの先端の研磨工具がバネ付勢されたピン244a、244bの保持力に打ち勝って滑り溝242a、242bから引き出されるようにする。すると次の研磨工具88が自重で滑って上昇する。
【0092】
図21に眼鏡レンズの表面250を極座標で示す。主要な軸をxおよびyで示す。
矢印252はレンズ50の、従ってまたレンズ50が研磨ステーション54の研磨スピンドル84内に配置されたときの表面250の、回転方向を示す。
図21において研磨工具88の表面216も、眼鏡レンズの表面250の上に置かれた状態で示されている。表面216の中心は参照符254で示されている。研磨面216は矢印258で示されるように、眼鏡レンズの表面250と同じ方向に回転する。回転速度は実質的に同じである。
【0093】
図21における参照符256は、本発明の研磨工程の間の研磨面216の中心254の運動の軌跡を示す。
明確に理解されるように、軌跡256は2つの周期的運動の重ね合わせによって生じる。最初の運動は眼鏡レンズの表面250の直径260に沿って、すなわち図21でy方向における移動である。第一の運動に重ね合わされる第二の運動は、x方向での振幅の小さな振動である。y方向およびx方向でのこれらの運動の振動数の比は、図示した実施形態では1:3である。従って従来の等距離の直線ではなく、鏡面対象な波打つ線となる。
【0094】
最後に図22は、処理セル40内での前述した一連の工程を示す第三のフローチャート270である。ブロック上に配設されて搬送箱48に入れられたレンズ50は、下記のプロセスで処理される。
マーキングステーション58がフリーでなければ、マーキングされたレンズ50を搬送箱48内に戻す。
【0095】
洗浄ステーション56がフリーであれば、洗浄されたレンズ50をマーキングステーション58内に搬送する。
研磨ステーション54がフリーであれば、研磨されたレンズ50を洗浄ステーション56に搬送する。
処理されていないレンズ50があれば、レンズ50を研磨ステーション54に搬送する。
【0096】
処理が終わった搬送箱48があれば、コンベアベルト44を起動する。
そうでなければ研磨に移る。
搬送箱48が見つかったら、右のレンズ50と左のレンズ50とに対して個別に研磨工程と研磨工具88とを計算し、工具マガジン64内に研磨工具88があるかどうかチェックする。
【0097】
新しい搬送箱が見つからなければ開始機能を起動する。
スタートボタンが押されたら研磨に移る。
研磨ステーション54がフリーでなければ、計算プログラムに従ってレンズ50を研磨する(研磨工具88を取り、研磨し、研磨工具88を排出マガジン90に収納する)。
マーキングステーション58がフリーでなければ、所定のデータに従ってレンズ50にマーキングを行う。
【0098】
研磨の後、レンズ50を洗浄ステーション56内に搬送する。
レンズ50を洗浄する。
プログラムのスタートに行く。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】従来の光学ガラスを製造する方法を説明するフローチャートである。
【図2】図1に類似しているが、本発明による方法の実施形態のフローチャートである。
【図3】本発明による装置の実施形態の、非常に模式的な上面図である。
【図4】図3のIV−IV線による側面図である。
【図5】図3および4の装置で使用できるロボットのハンドの、部分的に破断した側面図を、大幅に拡大して示す。
【図6】図5のハンドをさらに詳細に説明するために、その一部を更に拡大して示す図である。
【図7】空気シリンダーを示す図6の更に拡大した詳細図である。
【図8】タンブリングディスクを示す図6の詳細を更に拡大して示す。
【図9】研磨工具を示す図6の更に拡大した詳細図である。
【図10】図8および9に示したタンブリングディスクおよび研磨工具の斜視図である。
【図11】図8および9に示したタンブリングディスクおよび研磨工具の斜視図である。
【図12】図5のロボットのハンドで使用できるグリッパーの、部分的に破断した側面図であって、大幅に拡大して模式的に示す図である。
【図13】図12の構成の実施形態の模式的上面図である。
【図14】図12の構成の実施形態の模式的上面図である。
【図15】図12の構成の実施形態の模式的上面図である。
【図16】図12の構成の実施形態の模式的上面図である。
【図17】図12の構成の実施形態の模式的上面図である。
【図18】図3および図4の装置で使用できる工具マガジンの非常に模式的な側面図である。
【図19】図18の工具マガジンの上面図である。
【図20】図19のXX−XX線による断面図である。
【図21】本発明の方法によって処理されるガラスの非常に拡大した上面図である。
【図22】本発明によるプロセスを説明する詳細なフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス(50)が成形工程に続いて研磨およびマーキングが施される光学ガラス(50)を製造する方法であって、 前記研磨およびマーキングの各ステップが共通の処理セル(40)内で行われる方法。
【請求項2】
前記ガラス(50)が研磨およびマーキングの間、同じロボット(62)によって取り扱われる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ロボット(62)が、
a)コンベアベルト(44)から前記ガラス(50)を取り、
b)前記ガラス(50)を研磨ステーション(54)に供給してそこに載置し、
c)研磨工具(88)を工具マガジン(64)から取り、
d)前記研磨工具(88)によって前記ガラス(50)を処理し、
e)前記研磨工具(88)を納め、
f)前記研磨ステーション(54)から研磨されたガラス(50)を取り、それらを洗浄ステーション(56)に供給してそれらをそこに載置し、
g)洗浄用具(88)を取り、
h)前記洗浄ステーション(56)で前記ガラス(50)を洗浄し、
i)前記洗浄用具(88)を納め、
k)前記洗浄ステーション(56)から洗浄されたガラス(50)を取り、それらをマーキングステーション(58)に供給し、そして
l)前記マーキングステーション(58)からマーキングされたガラス(50)を取ってそれらを前記コンベアベルト(44)の上に載置する
各動作を行う、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記ロボット(62)が前記ステップk)およびl)を実行する間に、少なくとも1つの他のガラス(50)に対して前記ステップa)からi)までの1つ以上を実行する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ガラス(50)が搬送箱(48)内に入れられて前記コンベアベルト(44)によって搬送される、請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
前記ロボット(62)が前記ガラス(50)をその外周(236)で把持するグリッパー(110)によって前記ガラス(50)を保持する方法、特に請求項2〜5いずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ガラス(50)が所定の力で把持される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記ガラス(50)が対で搬送される、請求項1〜6いずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ガラス(50)が取扱い、すなわち搬送および処理のために、ブロック(51)の上に配置される、請求項1〜8いずれかに記載の方法。
【請求項10】
研磨中に研磨工具(88)の第一の表面(216)が前記ガラス(50)の第二の表面(250)の上に置かれる方法、特に請求項1〜9いずれかに記載の方法であって、
前記第一の表面(216)は前記第二の表面(250)よりも小さく、前記表面(216,250)は更に同じ方向(252,258)に、また実質的に同じ回転速度で回転させられ、また前記第一の表面(216)は前記第二の表面(250)の上を半径方向(y)に案内され、振動運動がそれに垂直な半径方向の運動に重ね合わされる方法。
【請求項11】
前記半径方向の運動が前記第二の表面(250)の直径(260)に沿って案内される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記半径方向の運動と前記振動運動とが互いに関して調整され、半径方向の往復運動を行う間、前記第一の表面(216)の中心(254)の軌跡(256)が波打った鏡面対象な線の形状を示す、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
成形工程に続いて研磨およびマーキングが施される光学ガラス(50)の製造装置であって、研磨ステーション(54)、洗浄ステーション(56)およびマーキングステーション(58)が共通の処理セル(40)内に配設されている装置。
【請求項14】
コンベア、前記研磨ステーション(54)、前記洗浄ステーション(56)および前記マーキングステーション(58)の間で前記ガラス(50)を取り扱うために、1台のロボット(62)が備えられている、請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記ロボット(62)が更に研磨工程を実行するようになっている、請求項13または14記載の装置。
【請求項16】
前記ロボット(62)が研磨工具(88)を操作するようになっている、請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記ロボット(62)が更に洗浄工程を実行するようになっている、請求項13〜16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記ロボット(62)が洗浄工具(98)を操作するようになっている、請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記ロボット(62)がハンド(78)を有し、前記ハンド(78)がアクチュエータ(80)によって2つの作動位置に交互に移動させられるようになされており、前記ハンド(78)がガラス(50)を把持するためのグリッパー(110)と工具(88,98)を取り付けるためのインターフェースとを有し、前記グリッパー(110)が第一の動作位置ではガラス(50)をつかんだり放したりするようになされており、また第二の動作位置では工具(88,98)をつかんだり放したりするようになされている、請求項14〜18いずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記アクチュエータ(80)がロータリーアクチュエータ(82)である、請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記ロボット(62)が前記ガラス(50)をその外周(236)で把持するグリッパー(110)を有する装置、特に請求項13〜20いずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記グリッパー(110)が前記ガラス(50)を所定の力で把持する、請求項21記載の装置。
【請求項23】
力のコントローラが備えられている、請求項22記載の装置。
【請求項24】
前記グリッパー(110)が、互いに実質的に平行に配設されておりまたガラス(50)の外周(236)と係合するようになされている3本以上の指(112)を有する、請求項21〜23いずれかに記載の装置。
【請求項25】
前記指(112)がその外周に柔らかい外被(232)を備えている、請求項24記載の装置。
【請求項26】
ガラス(50)の第一の表面(250)を研磨するために研磨工具(88)が備えられ、この研磨工具(88)が一方では前記第一の表面(215)の上で回転する第二の表面(216)と共に接線方向に案内され、他方では前記第一の表面(250)内での高さの違いを補償するために、前記第一の表面(250)と垂直な方向に送られ、回転および/または送り運動を発生するための要素が中空に形成されている装置、特に請求項13〜25いずれかに記載の装置。
【請求項27】
前記要素がチューブ(140)である、請求項26記載の装置。
【請求項28】
前記チューブ(140)が多角形チューブであり、前記多角形チューブがローラーベアリング(142)によって半径方向に支持されている、請求項27記載の装置。
【請求項29】
前記チューブ(140)が回転駆動ユニット(116)から前記研磨工具(88)にトルクを伝達する、請求項27または28記載の装置。
【請求項30】
前記要素がボールジョイントによる非トルク伝達性の伝動要素によって直線変位ユニットに結合されている、請求項26〜29のいずれかに記載の装置。
【請求項31】
前記直線変位ユニットがピストン・シリンダーユニット(118)として構成されている、請求項30記載の装置。
【請求項32】
前記伝動要素が連結ロッド(168)である、請求項30または31記載の装置。
【請求項33】
前記連結ロッドが両端でボールジョイントにより支持されている、請求項32記載の装置。
【請求項34】
ガラス(50)の第一の表面(250)を研磨するために、研磨工具(88)が、一方では前記第一の表面上(215)で回転する第二の表面(216)と共に接線方向に案内され、他方では前記第一の表面(250)内での高さの違いを補償するために、前記第一の表面(250)と垂直な方向に送られ、前記第二の表面(216)を送るためにピストン・シリンダーユニット(118)が備えられ、前記ピストン・シリンダーユニット(118)がシリンダー(162)内に空気マウントされたピストン(164)を有する装置、特に請求項13〜33いずれかに記載の装置。
【請求項35】
前記シリンダー(162)がガラス製シリンダーであり、前記ピストン(164)がグラファイト製ピストンである、請求項34記載の装置。
【請求項36】
前記ピストン・シリンダーユニット(118)が圧縮空気を収容し第一の所定の容積(VR)を有する作動タンク(154)に結合され、前記ピストン(164)がその両端の動作位置の間にシリンダー(162)内の第二の所定の容積(VA)を規定しており、前記第一の容積(VR)が前記第二の容積(VA)よりもはるかに大きい、請求項34または35記載の装置。
【請求項37】
前記第一の容積(VR)が前記第二の容積(VA)の少なくとも100倍、好適には少なくとも1000倍大きい、請求項36記載の装置。
【請求項38】
前記第一の容積(VR)が実質的に1cm3であり、前記第二の体積が実質的に3000cm3である、請求項37記載の装置。
【請求項39】
ガラス(50)の第一の表面(250)を研磨するために、研磨工具(88)が、一方では前記第一の表面(215)の上で回転する第二の表面(216)と共に接線方向に案内され、他方では前記第一の表面(250)内での高さの違いを補償するために、前記第一の表面(250)と垂直な方向に送られ、この送り運動を実行するために伝動要素が備えられ、前記伝動要素がハウジング(128,137,143)に関して直線的に移動させられ、かつ振動的な仕方でハウジング(128,137,143)の一端(143)から突出し、第一のベローズ(146)が前記端部(143)と前記突出部(145)との間に配設されている装置、特に請求項13〜38いずれかに記載の装置。
【請求項40】
前記突出部(145)が環状フランジ(147)を有し、また前記第一のベローズ(146)が前記フランジ(147)を前記一端(143)と結合している、請求項39記載の装置。
【請求項41】
ガラス(50)の第一の表面(250)を研磨するために、研磨工具(88)が、一方では第一の表面(215)の上で回転する第二の表面(216)と共に接線方向に案内され、他方では前記第一の表面(250)内での高さの違いを補償するために、前記第一の表面(250)と垂直な方向に送られ、この送り運動を行うための伝動要素が備えられ、前記伝動要素がハウジング(128,137,143)に関して直線的に移動させられ、かつ振動的な仕方で前記ハウジング(128,137,143)の一端(143)から突出し、前記突出部(145)が前記ハウジング(128,137,143)に結合した保護スリーブ(148)によって取り囲まれている装置、特に請求項13〜40いずれかに記載の装置。
【請求項42】
前記保護スリーブ(148)が前記第一のベローズ(146)を取り囲んでいる、請求項39および41記載の装置。
【請求項43】
ガラス(50)の第一の表面(250)を研磨するために、研磨工具(88)が、一方では前記第一の表面上(215)で回転する第二の表面(216)と共に接線方向に案内され、他方では前記第一の表面(250)内での高さの違いを補償するために、前記第一の表面(250)と垂直な方向に送られ、前記研磨工具が旋回可能に伝動要素内に支持され、前記伝動要素が軸(120)に沿って送り方向に移動可能であり、タンブリングディスク(144)が備えられ、前記タンブリングディスク(144)がボールジョイント(194,200)を介して前記伝動要素に結合され、かつ前記タンブリングディスク(144)が前記研磨工具(88)に連結されるようになされている装置、特に請求項13〜43いずれかに記載の装置。
【請求項44】
前記伝動要素が末端部にボールヘッド(194)を有し、前記研磨工具(88)がボールソケット(200)を備え、前記研磨工具(88)が前記伝動要素の上に弾性的に保持され、また前記ボールヘッド(194)が前記ボールソケット(200)内で弾性的に保持され、それにより前記研磨工具(88)が前記伝動要素に対して相対的にタンブリング運動を行えるようになされている、請求項43記載の装置。
【請求項45】
前記伝動要素が軸方向の末端部に指(192)を備え、前記ボールヘッド(194)が前記指(192)の自由端に配設されている、請求項44記載の装置。
【請求項46】
前記研磨工具(88)を弾性的に保持するために、第二のトルク伝達性のベローズ(186)が前記伝動要素と前記研磨工具(88)との間に配設されている、請求項43〜45いずれかに記載の装置。
【請求項47】
前記第二のベローズ(186)が前記指(192)を取り囲んでいる、請求項45または46記載の装置。
【請求項48】
前記ボールソケット(200)が円錐形に形成されている、請求項44〜47いずれかに記載の装置。
【請求項49】
ガラス(50)の第一の表面(250)を研磨するために研磨工具(88)が備えられ、前記研磨工具(88)が磁気クラッチ(208,222)を介して駆動ユニットに連結されている装置、特に請求項13〜48いずれか1項に記載の装置。
【請求項50】
前記磁気クラッチ(208,222)が永久磁石を備えている、請求項49記載の装置。
【請求項51】
前記研磨工具(88)が、一方では前記第一の表面(215)の上で回転する第二の表面(216)と共に接線方向に案内され、他方では前記第一の表面(250)内での高さの違いを補償するために、前記第一の表面(250)と垂直な方向に送られ、前記研磨工具が旋回可能に伝動要素内に支持され、前記伝動要素が軸(120)に沿って送り方向に移動可能であり、タンブリングディスク(144)が備えられ、前記タンブリングディスク(144)がボールジョイント(194,200)を介して前記伝動要素に結合され、かつ前記タンブリングディスク(144)が磁気クラッチ(208,222)を介して前記研磨工具(88)に連結されるようになされている、請求項49または50記載の装置。
【請求項52】
前記伝動要素が末端部にボールヘッド(194)を備え、前記研磨工具(88)がボールソケット(200)を備え、前記研磨工具(88)が前記伝動要素の上に弾性的に保持され、前記ボールヘッド(194)が前記ボールソケット(200)内で弾性的に保持され、それにより前記研磨工具(88)が前記伝動要素に対して相対的にタンブリング運動を行えるようになされている、請求項51記載の装置。
【請求項53】
工具マガジン(64)が備えられ、複数の研磨工具(88)が前記工具マガジン(64)内に収納され、前記工具マガジン(64)がロボット(62)の作動領域内に配置されている装置、特に請求項13〜52いずれかに記載の装置。
【請求項54】
前記工具マガジン(64)が複数のシュート(86)を備えて構成され、前記研磨工具(88)がそれらの研磨面(216)の半径に従って選り分けられて前記シュート(86)内に保管されるようになっている、請求項53記載の装置。
【請求項55】
前記シュート(86)が水平面に対して傾斜(α)しており、前記研磨工具(88)のための滑り通路(240,242)が備えられている、請求項54記載の装置。
【請求項56】
前記滑り通路(240,242)の下端にストップ(244)が付けられている、請求項55記載の装置。
【請求項57】
前記ガラス(50a、50b)が対で前記コンベア上に載置されるようになっている、請求項13〜56いずれかに記載の装置。
【請求項58】
前記ガラス(50)がブロック(51)上に載置されて搬送および処理される、請求項13〜57いずれかに記載の装置。
【請求項59】
研磨中に研磨工具(88)が第一の表面(216)と共にガラス(50)の第二の表面(250)上に置かれ、前記第一の表面(216)は前記第二の表面(250)よりも小さく、更に各表面(216,250)は同じ方向にまた実質的に同じ回転速度で回転させられ、また前記第一の表面(216)は前記第二の表面(250)の上を半径方向に案内され、振動運動をそれに垂直な半径方向の運動に重ね合わせる手段を備えている装置、特に請求項13〜58いずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2006−503716(P2006−503716A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545981(P2004−545981)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011827
【国際公開番号】WO2004/037489
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(505152295)カール ツァイス ビジョン ゲーエムベーハー (6)
【Fターム(参考)】