説明

光学シート、バックライトユニット及び液晶表示装置

【課題】導光板が有する固有の輝度ムラを、この輝度ムラを補償する方向で輝度を均一に制御できる光学シートであって、同時に接触耐性と耐摩耗性を備えた光学シートを提供することを目的とした。
【解決手段】光を出射する面に、断面形状が二等辺三角形である柱状のプリズムレンズを、ピッチが二等辺三角形の底辺の長さであるようにストライプ状に敷設し、さらに前記プリズムレンズの上に複数の半球状レンズを配置したことを特徴とする光学シートであって、半球形状レンズの高さは、プリズムレンズの高さより高く、プリズムレンズの頂角は、90°から120°の範囲内であることを特徴とする光学シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライト光の光路制御に用いる光学シートに係り、特に光学シートの表面形状に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルを利用した液晶表示装置が、携帯電話や個人用携帯情報端末、パーソナルコンピュータ等の画像表示手段だけでなく、家電製品としてのテレビにも幅広く普及してきている。特に、液晶表示装置は、ブラウン管テレビでは困難であった大型画面対応の表示装置として一般家庭に広まってきている。さらには、液晶表示装置の利点をより活用した薄型・軽量化に対応した製品も非常に早いスピードで市場に供給されている。
【0003】
このような液晶表示装置は装置内部に光源を内蔵しており、画像を表示するために必要な明るさを確保するべく、液晶パネルの背面側に光源を含めたバックライトユニットを配置している。このバックライトユニットには、冷陰極管やライト・エミッティング・ダイオード(LED)に代表される光源を液晶表示装置の側面側に配置し、光透過性に優れた平板状の導光板内で多重反射させる「導光板ライトガイド方式」(いわゆる、エッジライト方式)と、液晶表示装置の背面側に、冷陰極管やLEDなどの複数の光源と光散乱性の強い拡散板及び光学フィルムを配置し、光源が直接視認されないような構成にした「直下型方式」との二つがある。
【0004】
近年の液晶表示装置においては、地球環境問題対策の一環として、消費エネルギーを低減させる消費電力抑制が大きな課題となってきている。液晶表示装置の場合、光源となるバックライトの消費電力が最も大きく、このバックライトの消費電力を抑制する取組みが幅広い分野で行われてきている。この取組みの中において、消費電力が低いと言われているLEDを光源とする液晶表示装置が、冷陰極管タイプに対してシェアを拡大させている。このLEDについても、背面側に配置する直下型方式とエッジライト型方式のいずれかの構成が採用されており、コントラスト比を向上させた製品が市場に投入されてきてはいるが、まだLEDの発熱の問題や必要とされる輝度が得られていない等の課題が残されている。
【0005】
消費電力を下げるためには、点光源であるLEDの発光効率を上げて数を減らすことが必要であるが、そうすると光源の明暗である輝度ムラ(ランプイメージ)が強くなり、単に数を減らすだけでは問題は解決しない。そこで現状においては、数を減らしても輝度ムラが生じないように、液晶表示装置に用いられている拡散板、導光板及び集光、拡散、偏光機能を有する光学シートのそれぞれの性能を向上させ、これらを複数組合せて使用することが行われている。
【0006】
上述の光学シートには、従来、光源の光の利用効率を高めるために、バックライトユニットからの拡散光を光学シートによって集光して正面輝度を向上させる機能が課せられており、特に、米国3M社の「BEF」(登録商標:Brightness Enhancement Film;輝度強調フィルム)が光学シートとして広く使用されている。BEFは、透明基材の上面に断面が二等辺三角形状の単位プリズムを一方向に一定のピッチで配列させたシートであり、軸外(off−axis)からの光を集光し、この光を視聴者に向けて軸上(on−axis)に方向転換することにより、基材の平坦面から入射した光がプリズム面から射出する際、正面方向に光を集め正面方向の輝度を向上させることが可能になる。
【0007】
BEF等の光学シートには、光の利用効率の向上による輝度向上だけでなく、光源のムラの除去、視域の確保、シート自体の剛性の維持など様々な機能が付加統合されている。そのため光学シートは、所望の光学特性を実現させるために、拡散板の光進行方向前方側(液晶パネル側)に複数シート積層されることが多い。しかしながら、BEFを用いる場合、BEFの垂直方向の光をプリズム斜面の平面部で屈折させて法線方向に出射させるため、水平方向の視野角に対し垂直方向の視野角が非常に狭くなる欠点があった。しかも、BEFはプリズム頂部が尖っているため、プリズムの頂部側に配置される光学シートや機能性を有するシート部材あるいは液晶パネルに接触すると、プリズム頂部に傷が発生しやすいという欠点を有していた。
【0008】
そこで、目標とする機能を損なわない範囲で光学シートの枚数を減らす試みがなされている。例えば特許文献1には、プリズムレンズ内に拡散性微粒子を分散させることによりプリズムの集光機能に拡散機能を付与する技術が開示されている。また特許文献2では、マイクロレンズを基材上にランダムに配置することで、背面から入射した光をマイクロレンズで集光させて前方に出射させ、枚数を減らしても同じ光学的効果を達成する手段などが提案されている。
【0009】
特許文献1に記載された光学シートは、集光機能に加えて拡散機能を有している反面、プリズム内に拡散性微粒子を分散させているため、正面に集めた光が拡散性微粒子によって再び拡散することになり、正面方向への光量が少なくなる。また、プリズムレンズの特定の角度における屈折や反射によるギラツキが視認されるという問題が残っている。さらには、プリズム先端が尖っているため、上部に配置される光学シートまたは機能性を有する光学部材の裏面、或いは液晶パネルとの接触による傷が発生し易く、接触や摩擦によって異物が発生するという問題も抱えている。
【0010】
また、積層された光学シート、または光を拡散、集光、偏光、変色等の機能性を有する光学部材は、液晶表示装置に配置される際、その四辺を装置の枠に固定して用いられることもあるが、装置内部で動かないように完全に固定されてはいない。そのため、液晶表示装置の搬送または移動時の振動により、他の光学シートまたは機能性を有する光学部材の裏面とプリズム先端が接触し、擦れて傷が付くことが発生する。
【0011】
一方、特許文献2に記載の光学シートは半球状のレンズを有することから、積層されている他の光学シートまたは機能性を有する光学部材と接触しても、丸みを帯びた構造上、接触による摩擦が生じても滑りがよいために傷が付き難い特徴を有している。しかしながら、隣接するマイクロレンズ間に隙間があることから、マイクロレンズ内を通ってマイクロレンズと空気層界面で屈折、散乱されて正面に集光される光と、隣接するマイクロレンズ間から出射される光とが発生し、これらの光の輝度差から輝点や輝線が視認されてしまうという問題を抱えている。
【0012】
また、先に述べたように、光学シートには液晶表示装置の画面全体の輝度分布を均一にする機能も求められている。特に、LED光源を筐体の側面に配置させたエッジ型液晶表示装置においては、LED光源の配置数や配置箇所によっては、単に透明なアクリル樹脂等から形成される導光板を使用するだけでは、画面全体の輝度分布を均一にすることが難しく、そのため拡散性を有する光学シートを始め、複数の光学シートを用いることで画面内の輝度分布を均一にすることが行われている。しかしながら、このLEDエッジ型液晶表示装置においても、消費電力の低減や製造コスト低減のため、LEDの数を減らすことが求められている。こうなると部分的に輝度ムラが生じ易くなる傾向にあり、画面全体の輝度分布を均一にすることがより難しくなってきている。
【0013】
この課題を解決するためには、光学シートの輝度の低い部分に対応する特定部位の輝度
を高める方向で、シート面内の輝度を均一にする必要があるが、こうした制御は非常に困難である。これを可能にするためには、複雑な形状や難易度の高い樹脂加工を必要とするため、加工収率の低下やコストアップを引起こす可能性が高い。
したがって、光学シートは、シート面内における輝度制御に大きな問題を抱えているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平10−246805号公報
【特許文献2】特開2006−301528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、導光板が有する固有の輝度ムラを、この輝度ムラを補償する方向で輝度を均一に制御できる光学シートであって、同時に接触耐性と耐摩耗性を備えた光学シートを提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を達成するための請求項1に記載の発明は、光を出射する面に、断面形状が二等辺三角形である柱状のプリズムレンズを、ピッチが二等辺三角形の底辺の長さであるようにストライプ状に敷設し、さらに前記プリズムレンズの上に複数の半球状レンズを配置したことを特徴とする光学シートとしたものである。
【0017】
請求項2に記載の発明は、前記半球形状レンズの高さは、プリズムレンズの高さより高いことを特徴とする請求項1に記載の光学シートとしたものである。
請求項3に記載の発明は、前記プリズムレンズの頂角は、90°から120°の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学シートとしたものである。
【0018】
請求項4に記載の発明は、前記半球状レンズの配置が、ランダム配置であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光学シートとしたものである。
【0019】
請求項5に記載の発明は、前記半球状レンズの底面における直径が40μm以上150μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光学シートとしたものである。
【0020】
請求項6に記載の発明は、前記半球形状レンズは、その高さを、底面における直径で割ったアスペクト比(頂点部位高さ÷底面直径)が、0.4から0.6の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光学シートとしたものである。
【0021】
請求項7に記載の発明は、光が入射する面にも、半球形状レンズがランダムに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学シートとしたものである。
【0022】
請求項8に記載の発明は、前記半球形状レンズの底面積の総計の光入射面全体に占める割合が、1%から10%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光学シートとしたものである。
【0023】
請求項9に記載の発明は、その厚みが0.5mmから4mmの範囲となることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光学シートとしたものである。
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光学シートを備えたことを特徴とするバックライトユニットとしたものである。
【0025】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のバックライトユニットを備えたことを特徴とする液晶表示装置としたものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明による光学シートは、光を出射する面に、それぞれが孤立して存在する拡散性の高い半球形状のレンズと、柱状のプリズムレンズが敷設された表面形状であり、プリズムレンズの頂角を変化させることでシート面内の輝度が制御できる。輝度を高めたい部位の頂角を90°に形成し、輝度を抑える部位は頂角を90°よりも広角にすることで、光出射面側に傷が付き難い効果とシート面内の輝度制御の両方が可能になる。
【0027】
また、半球形状レンズの高さを、集光性の高いプリズムレンズの頂角までの高さよりも高く設定している。半球形状にすると接触面内で滑りやすく、傷が付き難いという効果を奏する。シート加工時やシート取扱い時、あるいは光を出射する面の上位に他の光学部材を重ねる際に生じる接触や擦れ等の摩擦傷から、傷が付き易いプリズムレンズを保護することが可能になる。
【0028】
さらに、プリズムレンズの頂角を、90°以上120°以下の範囲内に設定すると輝度の調整が効率的に行える。プリズムレンズは、頂角が90°の時輝度が最大であり、90°から広角になるに従い集光性が低下して輝度も低下するが、120°以上である場合は輝度の低下が著しく、一定の輝度を保つには好ましくない。
【0029】
また、光を出射するシート面に、光拡散性の高い半球形状レンズをランダムに配置した。該レンズの配置を規則性のないランダムな配置とすることで、他の規則性を有する光学部材または液晶表示部材と干渉してモアレや干渉ムラの発生が抑制できる。
【0030】
また、半球形状レンズの底面における直径を、40μm以上150μm以下の範囲内に設定したことで、該レンズが外観上視認されず輝度制御が容易となる。
【0031】
また、半球形状レンズのアスペクト比(頂点部位高さ÷底面直径)を0.4から0.6の範囲内に設定することで、集光機能が大幅に低下して輝度が過剰に低下することもなく、接触や擦れによる傷の発生もなくなる。加工も容易となる。
【0032】
光入射面側に、半球形状レンズをランダム配置すると、光学シートと光学部材が振動や擦れ等を生じたとしても摩擦傷が付きにくくなる。また、半球状の構造によって隙間が生じることから、密着によって生じるニュートンリング等の干渉むらの発生を抑えることが可能となる。
【0033】
また、光入射面に形成した半球形状レンズの占める面積率が、1%〜10%の範囲内であると、ニュートンリング等の干渉むらの発生を抑制できて、正面輝度が低下しないという効果を奏する。
【0034】
光学シートの厚みが0.2mmから4mmの範囲であると、0.2mm以下の場合、光学シート自体の強度が低下し、ディスプレイを点灯して使用する際に生じる熱によりシートにシワやうねり、変形などが発生し、これが画面上の明暗差や輝度不均一を引起こすために好ましくない。また、4mm以上の場合、使用される液晶ディスプレイ自体を厚くすることに繋がり、薄さを強調する液晶ディスプレイ向けの光学部材としては望ましくない。
【0035】
上記の光学シートをバックライトユニットは、輝度が均一で、視野角依存性のない光を液晶表示装置に出射することができる。
【0036】
上記のバックライトユニットを備える液晶表示装置は、画面全体の輝度が均一で視野角による画質の変動が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る光学シートを含む液晶表示装置の構成を説明する断面模式図である。
【図2】エッジ型液晶表示の、導光板面上の明るさの差を示す模式図が(a)であり、これに対応して、(b)は光学シートのプリズムレンズと半球形状レンズの配置の一例を説明する上面視の図である。
【図3】本発明になる光学シートの表面形状を模式的に説明する図である。(a)は斜視拡大図、(b)は断面視図である。
【図4】本発明になるよる光学シートと導光板の接触状況を説明する断面視の図である。
【図5】本発明になる光学シート光出射面の表面構造を説明する上面視の図である。
【図6】本発明になる光学シートを組込んだバックライトの輝度を評価した部位を示す上面視の図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態の一例を図面に基づき説明する。なお、図1から図4は、本発明に係る光学シート、バックライトユニット、液晶表示装置の構成を示す要部断面図である。
【0039】
本発明に係るバックライトユニット2は、図1に示すように光源ユニット7、光学シート10、機能性シート11からなっている。光源ユニット7は、導光板8、その端部に配置した複数のLEDを筐体に収容したLED光源6、反射シート5からなる。導光板8は、光源6からの光Hを観測者側Fに向ける機能を有し、裏面側には印刷法で形成された白インキのドットパターン9が設けられている。反射シート5は、裏面に射出した光を反射させる機能がある。
【0040】
機能性シート11は、単一又は複数枚の構成である。機能性シート部材11とは、例えば集光、拡散、偏光、変色等に代表される機能を一つあるいは複数同時に有するシートであり、液晶パネル3へ入射する光の輝度均一化、高輝度化や偏光機能などの必要な特性を付与するための光学部材である。液晶パネル3は、このシート部材11の更に観察者側方向Fに配設されている。
【0041】
このような構成を備えた液晶表示装置1によれば、バックライトユニット2において、光源6から射出された光Hは、導光板8で光の向きを観察者側方向Fに変更され、光学シート10で集光させられ、その光の進行方向前方に配置された機能性を有するシート部材11で入射光が拡散、集光、あるいは偏光、またカラーシフト等により必要とされる光Kに変換される。光Kが、液晶パネル3に入射して観察画像の光が観察者側Fへと射出される。
【0042】
ここで、光源ユニット7における光源6は液晶パネル3へと光を供給するものであり、例えば複数のLEDを装置の側面側に配置したエッジ型、装置の背面に配置した直下型などを用いることができる。または、複数の線状光源を用いることもできるが、これについては複数の蛍光灯、冷陰極管(CCFL)またはEEFLを例示することができる。
【0043】
光源ユニット7を構成する反射シート5は、複数の光源6の観察者側Fとは反対側に配置され、導光板8から出射される光の観察者側Fと反対側の方向に出射された光を反射させて観察者側Fに出射させる役割を担っている。この結果、観察者側Fに出射された光Hは、光源6から出射された光量にほぼ等しくなる。このように反射板5を用いることによって光の利用効率を高めることができる。反射板5としては、光を高効率で反射させる部材であればよく、白色PETシートなどに代表される反射シート、反射板などを使用することができる。
【0044】
光源ユニット7の光出射側に配設された導光板8は、透明樹脂で形成されており、透明樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いることができ、特に光透過率の高いアクリル系樹脂が好ましい。また、光源としてLEDを液晶表示背面に配置させた直下型の液晶表示装置1においては、上記導光板8の代わりに光を拡散させる拡散板8Aが設けられている。
【0045】
次に液晶パネル3は、図1に示すように、1組の偏光板(偏光フィルム;偏光子)14、15と、その間に挟持された液晶セル16とで構成されている。液晶セル16は、例えば2枚のガラス基板の間に液晶層が充填されて構成されている。液晶パネル3は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する装置であるが、光学シート10により観察者側Fへの輝度が向上されて光強度の視角度依存性が低減され、高品位な画像を表示できる。
【0046】
ここで、LEDを光源とするエッジ型液晶表示に付属する導光板8の観察者側方向Fの面内明るさを測定した結果を図2(a)に示す。図2(a)から分かるように、導光板8の中央部位は明るく、LEDが配置されていない導光板側面が暗くなる傾向があることが判明した。この明るさのムラ(輝度ムラ)は、正面輝度を高める仕様の導光板に多く見られ、LED数を低減させた仕様においては、より顕著になる可能性が高く、この輝度差を低減させる措置が必要となる。これにおいては、導光板8の改善だけでなく、光学シート10の機能を導光板の輝度分布を解消する方向で対応させることが必要となる。
【0047】
また、導光板8においては、光源からの光が入射する端面以外の端面から導入した光が導光板8外部にもれることを防ぐため、当該端面を反射テープで被覆することがある。この場合、LEDが配置されていない導光板端部は反射テープの効果により輝度の向上がみられる。しかしながら、今度は中央部位と導光板端部との中間部位が暗くなる傾向がみられることが分かった。上記輝度ムラは、導光板8の設計だけでなく、光学シート10を含めたバックライト部材全体で解決することが必要となる。
【0048】
次に、本発明に係る光学シート10について詳述する。光学シート10は、図1(c)に示すように、導光板8からの光が入射する側の面を光入射面10a、光が観察者側方向Fに出射する側の面を10bとする。光出射面10bには、断面が同じ二等辺三角形である柱状プリズムレンズ19が、ピッチが二等辺三角形の底辺の長さをなしてストライプ状に延在するように敷設されており、さらにこの柱状プリズムレンズの上に、半球形状のマイクロレンズ31がランダムに孤立して敷設されている。
【0049】
また、半球形状のマイクロレンズ31が光出射面10bに占める面積率は、1%から20%であることが望ましい。半球形状のマイクロレンズ31の面積率が20%より高くなる場合、輝度を向上させる効果の高い線状に連なる幾何学構造体110の面積率が相対的に低下するために、光学シート10全体の輝度を低下させることを招くため望ましくなく、1%以下となる場合は、柱状プリズムレンズ19の尖った頂部を保護することが困難となることから好ましくない。
【0050】
ここで、プリズムレンズの頂角は所望の角度となるように設定できるので、本発明では
、集光性の高いプリズムレンズ19の頂角を面内において変化させることで、シート面内の輝度を制御している。つまり、図2(a)に示したように、光源と導光板8の組み合わせだけではで制御しにくい輝度の高低を、導光板8の上に配置される光学シート10で補償するものである。すなわち、この暗い部位の直上のプリズムレンズ19の頂角を最も輝度が高くなる90°近傍に設定し、反対に明るい部位におけるプリズムレンズ19の頂角を90°よりも広角にすることで、光学シート10の光出射面10b上で輝度を均一にする制御が可能となる。
【0051】
なお、プリズムレンズ19の頂角は、90°〜120°の範囲内であることが望ましい。これは、プリズムレンズ19において、90°頂角が最も正面輝度が高くなるからである。また、頂角が120°よりも広角となる場合は、正面輝度の低下が著しくなりすぎて好ましくない。一方、90°以下である場合は、正面以外の輝度が低下して視野角が狭くなると同時に、サイドローブも高くなることから光学シート10として望ましくない。さらには、頂角が鋭角になるほど、ギラつき等による光学シート10の外観を損なうことに繋がることからも望ましくない。
【0052】
図3(a)に示すように、拡散性の高い半球形状のマイクロレンズ31の高さH1を、プリズムレンズ19の最大高さH2よりも高く設定する。このことにより、頂角が尖っているためにキズがつきやすいプリズムレンズ19を、他のシート・基板類に触れさせないようにすることができるとともに、マイクロレンズ自体は半球形状であるため滑りやすく、傷が付きにくい。H1を、H2よりも高くすることで、シート面内の輝度制御に加え、シート加工時やシート取扱い時、あるいは光を出射する面の上に配置される光学部材11を重ねる際に生じる接触や擦れ等の摩擦傷から、傷が付き易いプリズムレンズ19を保護することが可能になるということである。尚、半球状とは厳密な意味で半球ということ意味せず、多少の変形も含むものである。
【0053】
また、図3(a)に示した半球形状のマイクロレンズ31の高さH1は、プリズムレンズ19の最大高さH2の1.2倍から6倍の範囲内であることが望ましい。これは、1.2倍以下である場合は、プリズムレンズ19の接触防止効果が不十分であり、マイクロレンズ31の高さH1が6倍以上となる場合、マイクロレンズ31自体のサイズが大きくなり過ぎて、光出射面上で目視されることによる外観不良を引起こすことがあるためである。マイクロレンズ31の高さH1を上述した範囲に設定することで、必要な耐擦傷性と良好な外観を得ることが可能となる。
【0054】
なお、プリズムレンズ19の最大高さH2は、10〜100μmの範囲内であることが望ましい。これは、10μm以下である場合は、光の回折効果により必要とされる輝度が得られなくなるからである。また、100μm以上ではプリズムレンズ19自体が光出射面上で目視されることによる光出射面側10bの外観不良の要因となることから好ましくない。
【0055】
また、半球形状のマイクロレンズ31の直径Lは、40μm以上かつ150μm以下の範囲内であることが好ましい。直径が150μm以上である場合は、マイクロレンズ31自体が目視され易くなり、外観上光出射面のムラや粗さ、輝点等を際立てることにつながるために好ましくない。また、マイクロレンズ31の直径が40μm以下の場合、マイクロレンズ31を形成することが困難であると同時に、形状や直径、高さのバラつきが大きくなり、輝度の制御に支障を生じさせる可能性が高まることから好ましくない。マイクロレンズ31の直径を上記の範囲内とすることで、外観上優れた輝度制御可能な光学シートを安定して提供することが可能となる。
【0056】
上述した光出射面側10bとは反対の光入射面側10aには、図4に示すように半球形
状構造である突起部20がランダムに配置されていることが望ましい。この突起部20は、その略球面形状により、光の入射面10a側に配置される導光板8または他の光学部材8Aとの接触や擦れによる傷の発生を抑制する機能を発揮すると同時に、略半球状の構造によって隙間が生じることから、密着によって生じるニュートンリング等の干渉むらの発生を抑えることが可能となる。さらに、傷付防止効果を付与することで、光学シート10を作製する際に必要とされる保護フィルムを省くことも可能となる。
【0057】
さらには、光入射面側10aに微細な凸性を付与することで光の拡散機能を高め、視野角の拡大及び光源側にある導光板のパターンを隠蔽する効果性を向上させることが可能となる。表面が微細な凸部で粗面化された平面部21は、光源6からの光Hを粗面化された平面部21で拡散させて光学シート10内部に取り込むことができる。そのため、光学シート10は、光入射面10aで光源6のランプイメージや、導光板8に形成されたドットパターン9を観測者に対して隠蔽する働きと、光出射面10bから観測者側Fに出射される光をプリズムレンズ19で集光・拡散させて視野角を拡げる役割とを有している。
【0058】
上述した光学シート10の光入射面10aに占める突起部20の面積率は、1%〜10%の範囲内であることが望ましい。突起部20の底面20aの面積率が上記範囲内であれば導光板8との接触によって擦れて傷を発生することを抑制して入射光の輝度低下を抑制できる。しかし、面積率が1%未満である場合には突起部20の頂部20bの拡散板8Aとの接触や擦れによる傷の発生を防ぐ効果が望めず、10%を超える場合には光源6からの光Hを光学シート20内部に取り入れることの妨げとなり、光学シート10の輝度低下を引起こすからである。
【0059】
光学シート10の光入射面10aに形成された突起部20の外径(直径)は、30μm〜150μmの範囲が好ましい。そして、光学シート10の突起部20の高さの外径に対する比率が3%〜30%の範囲内であることが望ましい。突起部20の外径が150μmを超える場合には突起部20自体が観察者に目視され易くなり、これが外観上、光出射面10bのムラや粗さ、輝点の原因となる。一方、突起部20の外径が30μm未満の場合では突起部20による傷付防止効果が低下すると共に、金型の作製及び光学シート10の製作が困難となるため好ましくない。
【0060】
なお、光学シート10の突起部20について、導光板8に接触する頂部20bが滑らかで傷が付き難い略球面形状であれば、突起部20の平面視形状が円形状でも略円形状でも良く、或いは楕円形状や頂部が曲面状に丸くなった三角錐形状や四角錐形状、あるいはその他の多角錐形状等であっても良い。光入射面10aの平面部21aに円滑な略球面形状の突起部20が上述した条件の範囲内で形成されていることにより、必要とされる耐擦傷性を発揮すると同時に略球面形状に起因する輝度の低下を抑制することが可能となる。
【0061】
また、光学シート10の突起部20の外径に対する高さの比率が3%〜30%の範囲内であれば、突起部20の頂部が導光板8との接触や擦れによって傷が発生するのを防ぐと共に光の入射を妨げて輝度が低下することを抑制できる。一方、突起部20の比率が3%未満であると接触や擦れによる傷の発生を防ぐ効果が得られず、30%を超えると突起部20自体が光Hの入射を妨げる要因となり、結果的に光学シート10の輝度を大幅に低下させる要因となるために好ましくない。
【0062】
これまでに述べてきた光学シート10は、そのレンズ仕様を導光板に応用することが可能である。マイクロレンズ31及びプリズムレンズ19のレンズ仕様を最適化させることで、導光板の光立上げ効果の制御が可能となり、導光板の光出射面における輝度の明暗差を解消することが出来る。
【0063】
また、上記光学シート10は、液晶表示装置1のみならず、背面投射型スクリーン、太陽電池、有機又は無機ELを光源とする照明装置など、光路制御を行うものであれば何れのものにも使用することも出来る。
【0064】
次に光学シート10の作製工程について説明する。
光学シート10は、透明性の高いシート状の基材上に、UV硬化樹脂あるいは電子線硬化樹脂を用いて成形することができる。一例として、予めエッチング工法及び切削加工を用いて金型表面にマイクロレンズ31及びプリズムレンズ19の雌型を形成し、この金型版を用いて透明性の高いシート状の基材上に、UV樹脂製の上にマイクロレンズ31及びプリズムレンズ19を転写成形することができる。
【0065】
ここで、透明性の高いシート状の基材18の材質としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、アクリルニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルポリスチレン共重合体などを挙げることができる。
【0066】
また、光学シート10を構成する材料として熱可塑性樹脂からなる透明樹脂も好ましく、例えばポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET、ポリプロピレン、アクリルニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルポリスチレン共重合体などを挙げることができる。これらの材料を用い、先に示した金型版を用いた押出し成形加工法により作製することが出来る。また、射出成型法、熱プレス成型法によって入射面10aを有する光学シート10を製作することも可能である。
【0067】
光学シート10は、光入射面10aと光出射面10bを表裏同時に両面加工して形成することが出来る。或いは、表裏面である光入射面10aと光出射面10bとを別々に加工して得られた各半分の厚みの片面シート同士を貼り合せることで光学シート10を得ることも出来る。
【0068】
光学シート10には、拡散性を向上させる目的で無機微粒子または有機微粒子を添加させて用いることが出来る。一例としては、アクリル系粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子およびその架橋体、メラミン―ホルマリン縮合物の粒子、ポリウレタン系粒子、ポリエステル系粒子、シリコーン系粒子、フッ素系粒子、これらの共重合体、スメクタイト、カオリナイト、タルクなどの粘土化合物粒子、シリカ、酸化チタン、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化ストロンチウムなどの無機酸化物粒子、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、塩化バリウム、硫酸バリウム、硝酸バリウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、ガラス粒子などの無機微粒子等を挙げることができる。
【0069】
また、光学シート10は紫外線吸収剤が添加されたものが好ましい。紫外線吸収剤を添加することにより、光源6から照射される紫外線を含む光によって光出射面10bに形成したプリズムレンズ19群の劣化を抑制することができて、光学シート10の長寿命化を図ることができる。この紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2´- ヒドロキシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、4−t−ブチルフェニルサリシレートなどのサリチル酸エステル系化合物、2−エトキシ−2´−エチルオキザリックアシッドビスアニリドなどのオキザリックアシッドアニリド系化合物、エチル−2− シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートなどのシアノアクリレート系等を用いる
ことができる。
【0070】
なお、光学シート10の光出射面10a側のプリズムレンズ19とマイクロレンズ31を形成する方法としては、金型切削加工、あるいは金型切削加工とエッチング加工、または金型切削加工とブラスト加工等の異なる加工方法を組み合わせる方法が挙げられる。特に、プリズムレンズ19の頂角を変化させる方法としては、所定の先端角度を有するダイヤモンドバイトを複数利用して、金型表面に頂角の異なるプリズムレンズ19を配置できる。
【0071】
また、光学シート10の光入射面10a側の微細突起を形成する方法としては、マット加工やエンボス加工等が挙げられる。また、マット加工による作製に代えて不連続の微小突起を設ける加工を施してもよい。これらの工法によれば、加熱されることにより柔らかくなった状態の透明樹脂を微細な凹凸を形成した転写部材に押し付けて当該転写部材の形状を転写し、その後に透明樹脂を硬化させて微細な凹凸形状を得ることができる。また、その他の方法として、粒径30〜100μm程の透明粒子を溶融状態の透明樹脂に配合し、これら透明粒子を最外層側に押し出すことで微細な凹凸を形成させるようにしてもよい。この加工方法を用いる場合には、透明樹脂と透明粒子との屈折率が等しいことが好ましい。
【0072】
光源ユニット7の光源6から出射した光Hは、導光板8によって光の向きが変更されて光学シート10の光入射面10aに入射される。そして、光学シート10の入射面10aから光が入射する際、光入射面10aに設けた突起部20は、光の入射を妨げることがないように面内の面積率を規定してある。
【0073】
さらに、平面部21の微細な凹凸は、拡散性と隠蔽性を備えるので、光源6のランプイメージや導光板8の輝度ムラを低減させる。そして、光学シート10を透過して光出射面10bから出射する際、マイクロレンズ31群とプリズムレンズ19群の比率を変化させて面内の輝度を均一制御することにより、液晶表示装置3の画面全体の輝度を均一化することができる。
【実施例】
【0074】
以下、本発明を図5、図6を用いて説明する。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。特に実施例において、光学シート10及びこれを用いた液晶表示装置1の光学特性について説明する。
【0075】
(実施例1)
光学シート10として、光学シート10の光出射面10bに、互いに分離して(だけではどのように分布しているのかわからない。密度等の説明要)設けた直径96μm、レンズ高さ48μmとなる半球形状のマイクロレンズ31と、底面の幅が50μm、高さが25μmとなる断面形状が二等辺三角形である柱状のプリズムレンズ19を、光学シートの一方の短辺から他方の短辺に延在するように隙間なしに配設した。頂角については、柱状のプリズムレンズのうち、長辺から短辺に沿って内側10%までの幅を頂角90°、その先30%幅を頂角95°、その先20%幅を頂角100°、その先30%幅を頂角95°、その先10%幅(対する長辺まで)を頂角90°となるように配設した。
なお二等辺三角形も必ずしも厳密な意味でなく、加工上の誤差など多少の変形を含むものである。
【0076】
マイクロレンズ31形状と、頂角が場所によって異なる断面が二等辺三角形の柱状プリズムレンズ形状を雌型とする第一金型版をエッチング工法と切削工法を利用して加工作製した。なお、作製する光学シート10の光出射面10bにおけるマイクロレンズ31の面
積率は、全体で2%となるように金型の設計を行ない加工を実施した。
【0077】
次に、UV成形機を用いて、厚み188μmのPET基材(東洋紡績製品)上にUV硬化性樹脂(屈折・BR =1.49)を塗布し上記金型を押し付けて略半球形状のマイクロレンズ31とプリズムレンズ19を形成して、23インチサイズの光学シート10を作製した。なお、ストライプ構造のプリズムレンズ19は、観測者側から観て水平方向に線状配置された構成とした。このようにして得られた光学シート10を実施例1とする。この光学シート10の上面視図を図5に示す。
【0078】
(比較例1)
比較例1として、光学シート10の光出射面10bとして、互いに分離して設けた直径96μm、レンズ高さ48μmとなる形状のマイクロレンズ31と、底面の幅が50μm、高さが25μm、頂角90°の断面が二等辺三角形であるプリズムレンズ19形状を雌型とする第二金型版を先の実施例1と同様の工法で加工作製した。
なお、作製する光学シート10の光出射面10bにおけるマイクロレンズ31の面積率は、2%で統一させた設計を行ない、金型加工を実施した。
【0079】
次に、UV成形機を用いて、厚み188μmのPET基材(東洋紡績製品)上にUV硬化性樹脂(屈折率=1.49)を塗布し第二金型を押し付けて略半球形状のマイクロレンズ31とプリズムレンズ19を形成して、23インチサイズの光学シート10を作製した。なお、線状構造のプリズムレンズ19は、観測者側から観て水平方向にストライプ配置された構成とした。このようにして得られた光学シート10を比較例1とする。
【0080】
(比較例2)
比較例2として、底面の幅が50μm、高さが25μm、頂角90°の断面が二等辺三角形となるプリズムレンズ19形状を雌型とする第三金型版を切削工法により加工作製し、実施例1と同様に、UV成形機を用いて、厚み188μmのPET基材(東洋紡績製品)上にUV硬化性樹脂(屈折率=1.49)を塗布し第三金型を押し付けてプリズムレンズ19を形成して、23インチサイズの光学シート10を作製した。なお、線状構造のプリズムレンズ19は、観測者側から観て水平方向に線状配置された構成とした。このようにして得られた光学シートを比較例2とする。
【0081】
(光学評価)
実施例1及び比較例1〜2による光学シート10を、図1に示した実施形態における光学シート10とした。別の光学シート11として恵和(株)の製品である光拡散シートを用いた。液晶表示装置1として23インチサイズのLEDエッジ型の液晶表示装置1を用いた。光学的評価は以下に示す測定方法により評価した。
【0082】
(正面輝度評価)
実施例1及び比較例1〜2として作製した3種類の光学シート10を、白インキのドットパターン9が形成されたアクリル樹脂製の導光板8上にそれぞれ配置し、さらにそれぞれの上に光学シート11である光拡散シートを重ねて装着した。測定に当たっては液晶パネル3を外した。
先ず、その観察画面を全白表示として、分光放射輝度計(SR−3A:トプコンテクノハウス社製)を用いて同一条件下で光学シート11の中心部の輝度を測定した。測定した結果を表1に示す。
【0083】
(輝度差評価)
次に、光学シート11上の端部から中央部までの輝度を順次測定した。測定した箇所は、図6に示すように、短辺の中央部位、短辺端部から20mm、75mmそれぞれの中央部
位の輝度を計測して比較評価を行った。表1の結果は、同一箇所の輝度測定を5回行った平均輝度である。
【0084】
【表1】

【0085】
表1に示す結果から次のことがいえる。
実施例1による光学シート10を用いた場合、正面輝度は筐体端部から20mmの中央部位で381cd/m、75mmの中央部位で373cd/m、中心部位で410cd/m、75mmの中央部位で383cd/m、筐体端部から20mmの中央部位で374cd/mであり、最も輝度の高い中央部位と最も輝度の低い筐体から75mmの輝度比は9%であった(○)。
【0086】
比較例1による光学シート10を用いた場合、正面輝度は筐体端部から20mmの中央部位で356cd/m、75mmの中央部位で379cd/m、中心部位で421cd/m、75mmの中央部位で388cd/m、筐体端部から20mmの中央部位で359cd/mであり、最も輝度の高い中央部位と最も輝度の低い筐体から20mmの輝度比は15%であった(×)。
【0087】
比較例2による光学シート10を用いた場合、正面輝度は筐体端部から20mmの中央部位で355cd/m、75mmの中央部位で371cd/m、中心部位で428cd/m、75mmの中央部位で402cd/m、筐体端部から20mmの中央部位で362cd/mであり、最も輝度の高い中央部位と最も輝度の低い筐体から20mmの輝度比は17%であった(×)。
【0088】
以上に示した実施例1及び比較例1及び2の評価結果から、本発明による光学シートには、幾何学構造体であるプリズムレンズの頂角を変化させることで、光学シートの光出射面における輝度を制御することが可能となり、液晶表示における画面内輝度の抑制が可能であることが分かった。
【符号の説明】
【0089】
1 液晶表示装置
2 バックライトユニット
3 液晶パネル
6 光源
8 導光板
8A 拡散板
9 白インキのドットパターン
10 光学シート
10a 光入射面
10b 光出射面
11 光学シート(拡散シート)
14,15偏光板
16 液晶セル
20 突起部
21 平面部
19 プリズムレンズ(幾何学構造体)
31 マイクロレンズ(略半球形状レンズ)
H1 マイクロレンズ高さ
H2 プリズムレンズ最大高さ
F 観察者側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する面に、断面形状が二等辺三角形である柱状のプリズムレンズを、ピッチが二等辺三角形の底辺の長さであるようにストライプ状に敷設し、さらに前記プリズムレンズの上に複数の半球状レンズを配置したことを特徴とする光学シート。
【請求項2】
前記半球形状レンズの高さは、プリズムレンズの高さより高いことを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
前記プリズムレンズの頂角は、90°から120°の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学シート。
【請求項4】
前記半球状レンズの配置が、ランダム配置であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項5】
前記半球状レンズの底面における直径が40μm以上150μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項6】
前記半球形状レンズは、その高さを、底面における直径で割ったアスペクト比(頂点部位高さ÷底面直径)が、0.4から0.6の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項7】
光が入射する面にも、半球形状レンズがランダムに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
【請求項8】
前記半球形状レンズの底面積の総計の光入射面全体に占める割合が、1%から10%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項9】
その厚みが0.5mmから4mmの範囲となることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光学シートを備えたことを特徴とするバックライトユニット。
【請求項11】
請求項10に記載のバックライトユニットを備えたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−73819(P2013−73819A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212638(P2011−212638)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】