説明

光学シート、及びそれを用いたバックライトユニット、画像表示装置

【課題】観察者の視線に対して画像表示機器が高所または低所に設置された画像表示装置の照明光路制御に使用される光学シートであって、観察者側の視野角を向上することができる光学シート、該光学シートを備えたバックライトユニット、及び表示装置を提供することである。
【解決手段】観察者に対する垂直視野が、該光学シートの正面を基準としたときに非対称であり、また、前記観察者側の垂直視野方向の光量L1と非観察者側の垂直視野方向の光量L2が、下式(1)を満たし、且つ、断面非対称レンズを有することを特徴とする光学シート。
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【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光路制御に用いられる光学シート、光源ユニットおよび画像表示装置に関するものである。特に、フラットパネルディスプレイに代表される画像表示装置における照明光路制御に使用される光学シート、バックライト・ユニットおよび画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)型液晶パネルやSTN(Super Twisted Nematic)型液晶パネルを使用した液晶ディスプレイ装置は、主としてOA分野のカラーノートPC(パーソナルコンピュータ)を中心に商品化されている。このような液晶ディスプレイ装置においては、液晶パネルの背面側(観察者と反対の側)に光源を配置し、この光源からの光で液晶パネルを照明する方式、いわゆる、バックライト方式が採用されている。この種のバックライト方式に採用されているバックライトユニットとしては、大別して冷陰極管(CCFT:Cold CathodeFluorescent Tube)等の光源ランプを、光透過性に優れたアクリル樹脂等からなる平板状の導光板内で多重反射させる「導光板ライトガイド方式」(いわゆる、エッジライト方式)と、導光板を用いずに冷陰極管(CCFT)等の光源ランプからの光で直接照明する「直下型方式」の2種類の方式とがある。
【0003】
導光板ライトガイド方式のバックライトユニットが搭載された液晶ディスプレイ装置としては、例えば、図16に示すものが一般に知られている。この種の液晶ディスプレイ装置は、表裏両面を偏光板171、173で挟んでなる液晶パネル172が上部に位置して配設され、液晶パネル172の下面側に、略長方形の板状を呈するPMMA(ポリメチルメタクリレート)やアクリル等の透明な基材からなる導光板179が配置されており、この導光板179の上面(光射出側)に拡散フィルム(拡散層)178が設けられている。さらに、導光板179の下面に、導光板179に導入された光を効率よく液晶パネル172に向け均一となるように散乱して反射されるための散乱反射パターン部(図示せず)が印刷などによって設けられると共に、散乱反射パターン部の下方に反射フィルム(反射層)177が設けられている。
【0004】
また、上記導光板179には、その側端部に光源ランプ176が設けられており、さらに、光源ランプ176の光を効率よく導光板179中に入射させるべく、光源ランプ176の背面側を覆うようにして高反射率のランプリフレクター181が設けられている。上記散乱反射パターン部は、白色である二酸化チタン(TiO)粉末を透明な接着剤等の溶液に混合した混合物を、所定パターン、例えばドットパターンにて印刷し乾燥、形成したものであり、導光板179内に入射した光に指向性を付与し、光射出面側へと導くようになっている。これは高輝度化を図るための工夫である。
【0005】
しかし、これらの液晶ディスプレイ装置では、視野角の制御が拡散フィルム178、182の拡散特性にのみ委ねられており、その制御が難しいという問題があった。例えば、正面方向から見た場合は液晶ディスプレイの表示画面は明るいが、横方向から見た場合には、表示画面が暗くなる場合があった。また、液晶ディスプレイの中心部は明るく、周辺部が暗くなるという問題もあった。このように光の利用効率が悪いという問題があった。
【0006】
直下型方式のバックライトは、導光板の利用が困難な大型の液晶TVなどの画像表示装置に用いられている。直下型バックライト方式の画像表示装置としては、図17に示す液晶ディスプレイ装置が一般的に知られている。この液晶ディスプレイ装置は、表裏両面を
偏光板171、173に挟んでなる液晶パネル172が上部に位置して配設され、液晶パネル172の下面側に蛍光管等からなる光源151が配置される。さらに、光源151の上面側に拡散フィルム182のような光学シートが設けられている。また、光源151の背面には、光源151から液晶パネル172と反対の方向に向かう光を液晶パネル172側へ反射させるリフレター152が配置されている。よって光源151から射出される光は拡散フィルム182で拡散され、この拡散光を高効率で液晶パネル172の有効表示エリアに集光させる。
【0007】
しかし、図17に示した液晶ディスプレイ装置では、視野角の制御が拡散フィルム173、182の拡散性のみに委ねられているため、その制御は難しいという問題があった。例えば、液晶表示画面を正面方向から見た場合、その表示画面は明るいが、液晶表示画面を横方向から見た場合には、その表示画面が暗くなる場合がある。また、液晶表示画面の中心部は明るく、周辺部が暗くなるという問題もあった。このように光の利用効率が悪いという問題があった。
【0008】
そこで、上述の問題を解決する一つの方法として、図18に示すように、米国3M社の登録商標である輝度強調フィルム(Brightness Enhancement Film :BEF)185をバックライト用照明光源190の上方に位置して配置され、さらに、BEF185の上方である光出射面側に図示しない光拡散フィルムを配置する方法が採用されている。BEF185は、図18及び図19に示すように、透明基材186の上面である光出射面に、断面が三角形状の単位プリズム187が一方向に一定のピッチで配列されたフィルムである。この単位プリズム187は光の波長に比較して大きいサイズ(ピッチ)である。BEFは、“軸外(off−axis)”からの光を集光し、この光を視聴者に向けて“軸上(on―axis)”に方向転換(redirect)または“リサイクル(recycle)”する。
【0009】
輝度強調フィルム185は、画像表示装置の使用時(観察時)に、軸外輝度を低下させることによって軸上輝度を増大させ、画像表示装置の表示品位を向上させる。ここで言う「軸上」とは、視聴者の視覚方向に一致する方向であり、一般的にはディスプレイ画面に対する法線方向である。また、輝度強調フィルム185は、通常、単位プリズムの反復的アレイ構造が1方向のみの配列からなり、その配列方向での方向転換またはリサイクルのみが可能となる。そのため、水平方向及び垂直方向の両方向での表示光の輝度制御を行なうためには、単位プリズム群の配列方向が互いに略直交するように、2枚のBEFシートを重ねて組み合わせて用いる必要がある。
【0010】
そこで、最近では、光利用効率をアップして高輝度化を図るために、図20に示すように、拡散フィルム178と液晶パネル172との間に、光集光機能を備えたプリズムフィルム(プリズム層)174、175を設けることが提案されている。このプリズムフィルム174、175は導光板179の光射出面から射出され、拡散フィルム178で拡散された光を高効率で液晶パネル172の有効表示エリアに集光させるものである。このようなBEFを採用することにより、ディスプレイ設計者が電力消費を低減しながら所望の軸上輝度を達成することができるようになった。BEFに代表されるプリズムの反復的アレイ構造を有する輝度制御部材をディスプレイ装置に採用した技術は、特許文献1乃至3等において従来から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特公平1−37801号公報
【特許文献2】特開平6−102506号公報
【特許文献3】特表平10−506500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
近年、小型化、軽量化、省電力化設計の点で有利であることや水銀を含まないこと、高圧回路が不要であるため安全設計の負荷や高調波電流・高周波ノイズ発生の懸念が軽減されること、振動や衝撃に対する耐性に優れていること、低温起動性や調光範囲の広さの点で優れていることなど、さまざまなメリットを有するためにLEDを光源とするバックライトユニットを用いた液晶ディスプレイが主流になりつつある。
【0013】
この流れによって、液晶ディスプレイが薄くなり、軽量化が可能となってきている。軽量化が実現されることにより、高所での設置が可能になり、図14に示すような電車車両などの交通機関内や、デジタルサイネージなどのような画像表示機器を通して、不特定多数の人間が同時に様々な位置・角度から映像を見上げるようにして映像・情報を観賞・視聴するようになってきている。
【0014】
しかしながら、図14に示すような通常の目線の高さで映像を観賞するように設置される画像表示機器4を高所に設置した場合、視野角を決定する光学シートの垂直方向の断面形状がほぼ上下対称になっているため、垂直方向視野が均等になっている。したがって、観察者に必要な観察者側の視野への映像光L1と非観察者側の視野への映像光L2が広がる。しかし、非観察者側への映像光L2は必要ないため、光量をロスしているという問題がある。
【0015】
これによって、観察者側の視野角が不十分であるため、観察者自らが見えやすい位置を探す必要が生じている。また、観察者に配慮する場合には、画像表示機器の正面を観察者側に傾けて設置する必要があるため、設置スペース・意匠性にも選択の自由度が低いという問題もある。
【0016】
また、高所の座席からによる映像を観賞するよう低所に画像表示機器を設置した場合にも同様の問題がある。
【0017】
さらに液晶ディスプレイにおいてVA(Virtical Alignment)方式はIPS(In−Plane−Switching)方式と比較して正面コントラスト比が高いため主流になっているが、視野角の広がりが大きいため高所及び低所に画像表示装置を設置した場合、映像光のロスが一層増えてしまっている。
【0018】
本発明の目的は、観察者の視線に対して画像表示機器が高所または低所に設置された画像表示装置の照明光路制御に使用される光学シートであって、観察者の垂直視野が、光学シートの正面を基準としたときに、不必要な観察者の非観察者側に出射される映像光を制限し、制限した分の光量を観察者側に配分することにより観察者側の視野角を向上することができる光学シート、該光学シートを備えたバックライトユニット、及び表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の請求項1に係る発明は、観察者の視線の高さと画像表示装置の設置高さが異なる環境での該画像表示装置の照明光路制御に用いる光学シートであって、観察者に対する垂直視野方向の光量が、該光学シートの正面を基準としたときに非対称であることを特徴とする光学シートである。
【0020】
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記観察者側の垂直視野方向の光量L1と非観察者側の垂直視野方向の光量L2が、下式(1)を満たし、且つ、断面非対称レンズを有
することを特徴とする請求項1に記載の光学シートである。
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【0021】
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記断面非対称レンズが非対称単位レンズの多数配列からなることを特徴とする請求項2に記載の光学シートである。
【0022】
また、本発明の請求項4に係る発明は、前記非対称単位レンズの断面形状が、観察者側の端部の角度aが光の出射面に対して90°であり、且つ、非観察者側の端部の角度bが、15°≦b≦30°を満たすプリズム形状であることを特徴とする請求項3に記載の光学シートである。
【0023】
また、本発明の請求項5に係る発明は、前記非対称単位レンズの断面形状が、観察者側の端部の角度aが光の出射面に対して90°で、且つ、非観察者側が面曲形状からなり、該面曲形状の端部の接線の傾き角度が35°〜50°で、該端部から観察者側に向かって最大10°まで連続して接線の傾き角度が減少することを特徴とする請求項3に記載の光学シートである。
【0024】
また、本発明の請求項6に係る発明は、請求項1〜5いずれかに記載の光学シートを具備してなることを特徴とする画像表示装置用バックライト・ユニットである。
【0025】
また、本発明の請求項7に係る発明は、画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定する画像表示素子と、前記画像表示素子の背面に、請求項6に記載の画像表示装置用バックライト・ユニットを具備してなることを特徴とする画像表示装置である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、表示装置が目線の高さと異なるように設置された表示装置において、不必要な視野角への光量ロスを抑制し、視野を向上することができる光学シート、該光学シートを備えるバックライトユニット、及び表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明にかかる光学シートの実施の形態1を示す断面図である。
【図2】本発明にかかる光学シートの単位レンズの断面図である。
【図3】本発明にかかる光学シートの実施の形態2を示す断面図である。
【図4】本発明にかかる光学シートの実施の形態2を示す単位レンズの断面図である。
【図5】本発明にかかる光学シートの垂直視野における光の向きを示す断面図である。
【図6】本発明にかかる光学シートの実施の形態1、及びこれを用いたバックライトユニットを具備する画像表示装置の実施の形態を示す概略断面図である。
【図7】本発明にかかる光学シートの実施の形態2、及びこれを用いたバックライトユニットを具備する画像表示装置の実施の形態を示す概略断面図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるシミュレーション結果を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるシミュレーション結果を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるシミュレーション結果を示す図である。
【図11】本発明の別の実施の形態におけるシミュレーション結果を示す図である。
【図12】本発明の非球面レンズの断面形状を示す図である。
【図13】本発明の別の実施の形態におけるシミュレーション結果を示す図である。
【図14】従来における高所での画像表示装置設置の一例を示す概略断面図である。
【図15】本発明における高所での画像表示装置設置の一例を示す概略断面図である。
【図16】従来の画像表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図17】従来の画像表示装置の他の例を示す概略断面図である。
【図18】従来のバックライトユニットの一例を示す概略断面図である。
【図19】従来のBEFの一例を示す斜視図である。
【図20】従来の画像表示装置のさらに他の例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明にかかる光学シート及びこれを用いたバックライトユニット、並びに当該バックライトユニットを具備する液晶画像表示装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図に示す各部位の縮尺または比率は実際とは一致しない。また、これに限定されるものでもない。
【0029】
(光学シートの実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による光学シートA1の断面図である。
【0030】
前記光学シートA1は、光の出射面をなる平面に単位レンズ41が複数配列してなる構造で、且つ観察者の水平視野方向に延在することが好ましい。また単位レンズ41の断面形状は、非対称のプリズム形状であることが好ましく、非対称形状にすることで、不要な方向への出以光量を抑え、より必要な方向への出以光量を増やすことができる。
【0031】
前記単位レンズ41の製造方法としては、押出し方式、UV露光形成方式、射出成形方式が可能である。コスト面では、押出し方式が好ましい。また、主となる材料としては、光線透過率が88%以上であれば特に限定するものではなく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、アクリル、アクリル−スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、非晶質ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、嵩高環状オレフィンポリマーなどが使用できる。
【0032】
図2は、実施の形態1の前記単位レンズ41の断面の拡大図である。前記単位レンズ41の断面形状は、観察者側の端部の角度aが光の出射面に対して90°となるような直角三角形の非対称プリズム形状であることが好ましい。
【0033】
図6に示す画像表示装置1は、実施の形態1の光学シートA1及び照明ユニット2と液晶表示パネル3とを配設した構成を有している。液晶表示パネル3は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する代表的な素子であり、他の表示素子と比べて、画像品位を高くすることができる。
【0034】
前記照明ユニット2はエッジライト型の照明装置であり、液晶表示パネル3の光入射側に臨ませて配置され、光の光路に沿って光源176,導光板179,隠蔽レンズシート10,集光機能を有する前記光学シートA1を含んで構成されている。光源176としては、例えば線状光源や点状光源が挙げられる。線状光源としては、CCFLやHCFL、EEFL等の蛍光管が挙げられる。また、点状光源としては、白色LEDやRGB−LED等のLEDが挙げられる。光源176は導光板179の1つの端面に配置された場合に限らず、対向する2つの端面に配置する場合、または4つの端面に配置される場合なども採用できる。このとき、導光板179の形状は、図6に示すような平板形状であってもよく、或いは楔形状であってもよい。
【0035】
図5は、実施の形態1の光学シートA1の垂直視野における光の向きを示す。従って、図6に示す画像表示装置1において、観察者の視線が画像表示装置1に対して低い位置である場合、非観察者側への不必要な視野角への光量ロスを抑制して、観察者側の視野を向上させには、水平方向軸を基準にしたときの観察者側の垂直視野方向の光量L1、非観察者側の垂直視野方向の光量L2が、下式(1)を満たすことが好ましい。
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【0036】
図8は、図6に示す本発明の実施の形態1による画像表示装置1の視野角特性をシミュレーションした結果を示すグラフである。ここで、前記光学シートの単位レンズの観察者側の端部の角度a、非観察者側の端部の角度bとしたときに、横軸は非観察者側の端部の角度b、縦軸はL1/L2を示す。図8から、観察者側の端部の角度aを90°にすることで、より効果的に観察者側への光量を増せることがわかる。
【0037】
図9は、図6に示す本発明の実施の形態1による、観察者側の端部の角度aを90°とした時の、画像表示装置1の観察者の垂直視野角特性をシミュレーションした結果を示すグラフである。前記グラフの縦軸は正面0°を輝度1とした時の輝度比を表し、横軸は垂直視野角(°)を表す。また、前記垂直視野角(°)のマイナス表記は観察者側への視野を示している。またさらに、最も一般的に用いられている、端部の角度a=b=45°を比較としてシミュレーションに加えた。なお、シミュレーションに用いた光源は均一な拡散光(ランバート光)である。
【0038】
また、図10は、輝度−視野角分布を示す図である。図10の(I)はa=90°、b=6°、(II)はa=90°、b=19°、(III)はa=90°、b=35°、(IV)はa=45°、b=45°で、図中の色が濃いところ程、光が多く出射されていることを示している。
【0039】
a=b=45°の単位レンズからなるは光学シートA1は、図9及び図10(IV)から、非観察者側にも観察者側と同量の光が出射され、さらに垂直視野角±70°付近に、サイドローブ光と呼ばれる漏れ光が生じているため、光量ロスがあることがわかる。また、b<15°の場合には、非観察者側への出射光の抑制効果が弱く、b>30°では、図7のグラフでもわかるように非観察者側へのL1/L2が大きいにもかかわらず、漏れ光が多いため効果的に光を制御できてはいない。しかしながら、グラフの実線の15°≦b≦30°の場合には、サイドローブ光を抑えながら、観察者側への出射光量を増やすことができ効果的に光を制御している。さらに水平方向の視野角に関しても拡大していることがわかる。故に本発明にかかる光学シートA1の非観察者側の端部の角度bは15°≦b≦30°を満たすプリズム形状を有することが好ましい。
【0040】
(光学シートの実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2による光学シートA2の断面図である。
【0041】
図4は、実施の形態2による光学シートA2の単位レンズ42の断面図である。単位レンズ42の断面形状は、観察者側の端部の角度aが光の出射面に対して90°で、且つ、非観察者側が面曲形状からなり、該面曲形状の端部の接線の傾き角度が35°〜50°で、該端部から観察者側に向かって最大10°まで連続して接線の傾き角度が減少する形状からなる。図12は、非球面レンズの断面形状を表し、非観察者側の端部の斜辺曲線をf(x)としたときの前記傾きdf(x)/xを表している。
【0042】
図7は、本発明の実施の形態2の光学シートA2及びこれを用いたバックライトユニットを具備する画像表示装置の実施の形態を示す概略断面図である。
【0043】
図11は、図7に示す画像表示装置の視野角特性を図9同様にシミュレーションした結果を示すグラフである。なお、シミュレーションに用いた光源は均一な拡散光(ランバート光)である。グラフ中の実線の結果より、非観察者側の該面曲形状の端部の接線の傾き角度bが35°〜50°の領域で、該端部から観察者側に向かって最大10°まで連続して接線の傾き角度が減少する形状であれば、前記式(1)を満たし、非観察者側への光の漏れを抑制しつつ、出射光を観察者側へ制御する光学シートを実現することができる。
【0044】
図15は本発明にかかる光学シート及びこれを用いた画像表示装置を電車車両などの交通機関内に用いた場合の図である。これによって、非観察者側への光量L2によるロスを抑え、下から見上げる場合においても様々な角度からの映像の観察が可能となるだけでなく、画像表示装置の設置場所の自由度を高めることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態による画像表示装置1及び照明ユニット2について説明したが、本実施形態による照明ユニット2は画像表示装置1等の表示装置にのみ適用されるものではない。例えば、光源176から射出された光を効率的に集光する機能を有する照明ユニット2として例えば照明装置などにも使用できることはいうまでもない。次に、本実施形態に基づく実施例について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0047】
(実施例1)
ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製、商品名「パンライトL−1225ZL」)を用いて押出方式により、下記断面非対称プリズム形状の光学シートA1を作製した。
観察者側の端部の角度a=90°
非観察者側の端部の角度b=15°
【0048】
(実施例2)
非観察者側の端部の角度b=30°以外は実施例1と同様にして光学シートA1を得た。
【0049】
(実施例3)
ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製、商品名「パンライトL−1225ZL」)を用いて押出方式により、下記断面非対称非球面レンズ形状の光学シートA2を作製した。
観察者側の端部の角度a=90°
非観察者側の曲面形状の端部の接線の傾き角度b=35°
上記曲面の接線の連続した傾き角度が最大10°まで減少した形状
【0050】
(実施例4)
非観察者側の曲面形状の端部の接線の傾き角度b=50°以外は実施例3と同様にして光学シートA2を作製した。
【0051】
(比較例1)
下記の条件以外は実施例1と同様にして光学シートA1を作製した。
観察者側の端部の角度a=55°
非観察者側の端部の角度b=25°
【0052】
(比較例2)
下記の条件以外は実施例1と同様にして光学シートA1を作製した。
観察者側の端部の角度a=75°
非観察者側の端部の角度b=20°
【0053】
(比較例3)
非観察者側の端部の角度b=10°以外は実施例1と同様にして光学シートA1を作製した。
【0054】
(比較例4)
非観察者側の端部の角度b=35°以外は実施例1と同様にして光学シートA1を作製した。
【0055】
(比較例5)
曲面の接線の連続した傾き角度が最大20°まで減少する形状以外は実施例3と同様にして光学シートA2を作製した。
【0056】
(比較例6)
下記の条件以外は実施例3と同様にして光学シートA2を作製した。
非観察者側の曲面形状の端部の接線の傾き角度b=50°
上記曲面の接線の連続した傾き角度が最大20°まで減少する形状
【0057】
<評価項目と評価方法>
実施例1〜4及び比較例1〜6で作製した光学シートを用いて以下の項目について評価した。
【0058】
図6、図7に示すような、導光板179の端辺に光源176として白色LEDを具備し、その観察者側の射出面13に隠蔽レンズシート10、光学シートA1またはA2、拡散シート(図示せず)が順次配置された明ユニット2と、液晶パネル3から構成される画像表示装置1を用いて、表示装置正面を基準にして、垂直視野方向を目視観察して視野角を評価した。このとき、画面下方向を観察者側とした。また、ELDIM製のEZContrast視野角特性測定評価装置を用い、画面には白色表示を用いて視野角―輝度を測定した。なお、評価用の画像は文字表示を用いた。
【0059】
視野角特性については、目視にて非観察者側への漏れ光(サイドローブ光)が視認されたものを○、視認されたものを×評価とした。また、画面正面を0°とした場合の観察者側の0°〜70°の垂直視野角で観察したときに、画像の見え易さとして、文字が視認できなくなることがないものを○、視認できなくなることがあるものを×評価とした。上記の評価結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
<比較結果>
実施例1〜4で得られた本発明品は、光学シートの単位レンズの形状が非対称プリズム形状(形状タイプA1)でも、非対称非球面レンズ形状(形状タイプA2)でも、視野角特性である漏れ光(サイドローブ)と観察者側の画像の見え易さのいずれも良好な作用効果が得られた。一方、比較例1〜6から得られた比較例品は、視野角特性である漏れ光(サイドローブ)と観察者側の画像の見え易さの両方を満たす作用効果は得られなかった。
【符号の説明】
【0062】
1、4・・画像表示装置、2・・・照明ユニット、3・・・液晶パネル、176・・・光源、179・・・導光板、180・・・ドット、10・・・隠蔽レンズシート、13・・・出射面、A1、A2・・・光学シート、41、42…単位レンズ、60・・・透明基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察者の視線の高さと画像表示装置の設置高さが異なる環境での該画像表示装置の照明光路制御に用いる光学シートであって、前記観察者に対する垂直視野方向の光量が、該光学シートの正面を基準としたときに非対称であることを特徴とする光学シート。
【請求項2】
前記観察者側の垂直視野方向の光量L1と非観察者側の垂直視野方向の光量L2が、下式(1)を満たし、且つ、断面非対称レンズを有することを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
L1/L2>1.0 (1)
【請求項3】
前記断面非対称レンズが非対称単位レンズの多数配列からなることを特徴とする請求項2に記載の光学シート。
【請求項4】
前記非対称単位レンズの断面形状が、前記観察者側の端部の角度aが光の出射面に対して90°であり、且つ、前記非観察者側の端部の角度bが、15°≦b≦30°を満たすプリズム形状であることを特徴とする請求項3に記載の光学シート。
【請求項5】
前記非対称単位レンズの断面形状が、前記観察者側の端部の角度aが光の出射面に対して90°で、且つ、前記非観察者側が面曲形状からなり、該面曲形状の端部の接線の傾き角度が35°〜50°で、該端部から前記観察者側に向かって最大10°まで連続して接線の傾き角度が減少することを特徴とする請求項3に記載の光学シート。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかに記載の光学シートを具備してなることを特徴とする画像表示装置用バックライト・ユニット。
【請求項7】
画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定する画像表示素子と、前記画像表示素子の背面に、請求項6に記載の画像表示装置用バックライト・ユニットを具備してなることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−203092(P2012−203092A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65951(P2011−65951)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】