光学シート、表示装置、及び光学シートの製造方法
【課題】より簡易な構成で正面輝度とコントラスを両立して向上させることが可能な光学シートを提供する。
【解決手段】表示装置に備えられて映像源より観察者側に配置され、映像源からの映像光を制御して観察者側に出射することが可能な複数の層を有する光学シートであって、可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する波長フィルタ層を備え、波長フィルタ層は、可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する光吸収層と、光吸収層に積層されて光を透過する光透過層と、を具備し、光吸収層と光透過層との境界は層厚方向に凹凸を有しており、光吸収層と光透過層とは少なくとも界面を形成する一方と他方とで屈折率が同じであるものとする。
【解決手段】表示装置に備えられて映像源より観察者側に配置され、映像源からの映像光を制御して観察者側に出射することが可能な複数の層を有する光学シートであって、可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する波長フィルタ層を備え、波長フィルタ層は、可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する光吸収層と、光吸収層に積層されて光を透過する光透過層と、を具備し、光吸収層と光透過層との境界は層厚方向に凹凸を有しており、光吸収層と光透過層とは少なくとも界面を形成する一方と他方とで屈折率が同じであるものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像光や外光を適切に透過・吸収し、観察者に質の高い映像を提供する光学シート、表示装置、及び当該光学シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」と記載することがある。)を用いたプラズマテレビ等の表示装置では、PDPよりも観察者側に光学シートが配置されている。この光学シートは、観察者に質の高い映像を提供する機能を有している。
【0003】
映像の質にはさまざまな要素があるが、その中に正面輝度及びコントラストがある。正面輝度は画面から正面方向へ出射される映像光の明るさを意味する。正面輝度が低ければ観察者は暗い画面との印象を受けるため、質の良い映像光とはいえず、表示装置として一定以上の正面輝度を確保する必要がある。一方、コントラストは映像において明るい部分と暗い部分との明暗の比を意味する。コントラストが高い場合には、物の輪郭等が明確に表現され、いわゆるメリハリのある映像となる。逆にコントラストが低い場合には、全体的に同じ明るさとなる傾向となるため、物の輪郭がぼやけてメリハリがない映像となる。従って、質の良い映像光を得る観点からは、コントラストについても一定以上の高さを確保することが必要である。
【0004】
従来において、コントラストを向上させるために、光学シートの1つの層としてNDフィルタ層、調色フィルタ層、若しくはネオン光吸収層、又はこれらを組み合わせた層を含ませることがあった。これらNDフィルタ層、調色調整フィルタ層、ネオン光吸収層は、いずれも光量を減少させることができる性質を有する層である。そのなかでも、光量を減少させるに際し、光の波長に関係なく光量を減少させることができる層がNDフィルタ(Neutral Density Filter)層である。一方、所定の範囲の波長の光量を減衰させることができる層が調色調整フィルタ層、及びネオン光吸収層である。以下これらを総称して波長フィルタ層と記載する。また、このような機能を「波長フィルタ機能」と記載することもある。
【0005】
このような波長フィルタ層を備える表示装置が例えば特許文献1に開示され、これは粘着剤に波長フィルタ機能を有するというものである。外光は光学シートへの入射により波長フィルタ層(粘着剤層)を一度透過し、その後、表示装置のいずれかの部位で反射して観察者側に出射される際にもう一度波長フィルタ層(粘着剤層)を透過する。これにより少なくとも2回、波長フィルタ層を透過する際に外光が吸収され、外光が多く吸収されてコントラストを向上させることができる。一方、映像光は映像源から観察者側に出射される際に一度波長フィルタ層を透過するのみである。従って、波長フィルタ層を設けることにより、映像光の輝度低下に比べてコントラストの向上を大きく確保することができ、ある程度において、正面輝度及びコントラストの確保は可能であった。
【0006】
一方、特許文献2、特許文献3には、正面輝度及びコントラストを向上させることができる光学シートが開示されている。これには基材層の一方の面に所定の間隔で形成された光透過部(プリズム部)と、該光透過部(プリズム部)間に配置された楔形の光吸収部と、を備える構成が表れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開公報 WO 2008/038729
【特許文献2】特開2009−080153号公報
【特許文献3】特開2009−080193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のような波長フィルタ層によって高いコントラストを得るためには透過率を低くする必要があり、その分映像光の輝度の低下が大きくなった。そして当該映像光の輝度を高くするために映像源そのものの出力を高くして明るくするという手法をとる必要があり、消費電力の増大を招いていた。
【0009】
一方、特許文献2、特許文献3のような構成の光学シートは、正面輝度とコントラストを両立して向上させることができるが、構造が複雑であった。このような微小でかつ高精度な構造では工程や品質管理に手間がかかり、コストを低く抑えることに困難があった。
【0010】
そこで本発明は上記した問題点に鑑み、より簡易な構成で正面輝度とコントラストを両立して向上させることが可能な光学シート、及び表示装置を提供する。また、このような光学シートの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は、本発明を完成させるにあたり、次のような知見を得た。図10に説明のための図を示した。はじめに、図10(a)の左側に示したように、一定の厚さDの光吸収層を考える。この光吸収層に対して、厚さ方向に光が透過する場合、図10(a)にA、B、Cで示したいずれの部位においても光の透過率は同じである。これをグラフで表わすと図10(a)の右側のようになる。ただしこのグラフは概念的に表わしており、精度良く表示しているわけではない。図10(a)のグラフは横軸に透過率、縦軸に位置(厚さ方向と直交する方向の位置)を表したものである。図10(a)のグラフからもわかるように透過率は位置によらず一定となる。
【0012】
次に、図10(b)の左側に示したように、図10(a)に表した光吸収層と同じ体積で、同じ光吸収性能の組成物で形成され、その断面形状が異なる光吸収層を考える。これは位置によってその厚さが異なるように形成している。具体的にはACを底辺とし高さを2・Dとする直角三角形である。またBの位置はACの中点である。図10(b)には図10(a)と同様のグラフも表した。
この光吸収層に対して、厚さ方向に光が透過する場合、位置Aにおける光吸収層の厚さは0、位置Bにおける厚さはD、位置Cにおける厚さは2・Dであるから、透過率が光吸収層の厚さに比例するものであれば図10(b)のグラフで示したpとqは等しい大きさになるはずである。しかしながら、実際にはqはpよりも小さい値となった。従って、透過率は光吸収層の厚さに比例することなく、ある程度厚さが大きくなると透過率減少の程度も小さくなる。
【0013】
以上のことを鑑みると、厚さが位置によって異なる光吸収層の位置A〜位置C間の透過率の平均値(図10(b)の例)は、これと体積等を同じとし、厚さを一定とした光吸収層における位置A〜位置C間の透過率の平均値(図10(a)の例)よりも大きくなる。すなわち、図10(b)の例の方が全体として透過率が高いことを意味する。
【0014】
一方、OD値ともよばれる吸光度は光吸収層の厚さと比例することが知られている。
【0015】
以上の知見を得て、発明者らは本発明を完成させた。以下、本発明について説明する。
【0016】
請求項1に記載の発明は、表示装置に備えられて映像源より観察者側に配置され、映像源からの映像光を制御して観察者側に出射することが可能な複数の層を有する光学シートであって、可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する波長フィルタ層を備え、波長フィルタ層は、可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する光吸収層と、光吸収層に積層されて光を透過する光透過層と、を具備し、光吸収層と光透過層との境界は層厚方向に凹凸を有しており、光吸収層と光透過層とは少なくとも界面を形成する一方と他方とで屈折率が同じである、光学シートである。
ここで「屈折率が同じ」とは、屈折率差が0.02以下であることを意味する。以下同じである。
【0017】
請求項2に記載の発明は、表示装置に備えられて映像源より観察者側に配置され、映像源からの映像光を制御して観察者側に出射することが可能な複数の層を有する光学シートであって、可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する波長フィルタ層を備え、波長フィルタ層は、可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する光吸収層と、光吸収層に積層されて光を透過する光透過層と、を具備し、光吸収層は、光透過層に向けて突出する部位である単位光吸収凸部が複数並列された光吸収凹凸部を有し、光透過層は、光吸収層に向けて突出する部位である単位光透過凸部が複数並列された光透過凹凸部を有し、光吸収凹凸部と光透過凹凸部とは、単位光吸収凸部と単位光透過凸部とが互いに凹凸を埋め合うように配置されて界面を形成し、単位光吸収凸部と単位光透過凸部とは屈折率が同じである、光学シートである。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光学シートにおいて、単位光吸収凸部及び単位光透過凸部は、断面においてシート面法線に対して傾斜する少なくとも2つの面を具備するものである。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学シートにおいて、光吸収層又は光透過層のいずれかに粘着剤が含まれているものである。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学シートにおいて、光吸収層又は光透過層のいずれかのうち、該光吸収層と該光透過層との界面が形成される側とは反対側に電磁波遮蔽層及びハードコート層の少なくとも一方が配置されるものである。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学シートにおいて、光吸収層又は光透過層のいずれかに、該光吸収層又は該光透過層の基部となる層を有し、該層に電磁波遮蔽機能を有する導電体メッシュ層が形成されているものである。
【0022】
請求項7に記載の発明は、映像源と、該映像源の観察者側に配置された請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学シートと、を備える、表示装置である。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項2〜6のいずれか一項に記載の光学シートを製造する方法であって、光吸収層の単位光吸収凸部、又は光透過層の単位光透過凸部の形状に対応した表面形状を有する金型ロールと、ニップロールとの間に基材を挿入し、基材と金型ロールとの間に組成物を充填するとともに、該組成物に紫外線を照射して組成物を硬化させて単位光吸収凸部、又は単位光透過凸部を形成する工程を含む光学シートの製造方法である。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学シートを製造する方法であって、光吸収層、又は光透過層の断面形状に対応する孔を有する金型に、加熱により溶融した組成物を加圧して圧入し、金型の孔から流出した組成物を冷却して光吸収層、又は光透過層を形成する工程を含む光学シートの製造方法である。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項4に記載の光学シートを製造する方法であって、光吸収層又は光透過層のうち、粘着剤を含む層を構成する組成物を剥離シートに塗布し、その後、組成物を粘着剤を含まない方の層に積層する工程を含む光学シートの製造方法である。
【0026】
請求項11に記載の発明は、請求項4に記載の光学シートを製造する方法であって、光吸収層又は光透過層のうち、粘着剤を含む層を構成する組成物を直接に粘着剤を含まない方の層に塗布する工程を含む光学シートの製造方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の光学シート及び表示装置によれば、より簡易な構成で正面輝度とコントラストを両立して向上させることが可能となる。
また、本発明の光学シートの製造方法によれば、上記した光学シートをさらにより簡易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第一実施形態にかかる光学シートの断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。
【図2】図1に示した光学シートの一部を拡大して示した図である。
【図3】第二実施形態にかかる光学シートの断面の一部を拡大して示した図で、図2に相当する図である。
【図4】第三実施形態にかかる光学シートの断面の一部を拡大して示した図で、図2に相当する図である。
【図5】第一実施形態にかかる光学シートを備える表示装置を模式的に示した分解斜視図である。
【図6】映像源ユニットの断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。
【図7】光路例を説明する図である。
【図8】第一実施形態の光学シートの変形例にかかる光学シートを含む表示装置を説明する図である。
【図9】第一実施形態の光学シートを含む他の例の表示装置を説明する図である。
【図10】透過率に関する説明をする図である。
【図11】実施例における評価の条件を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明は当該実施形態に限定されるものではない。
【0030】
図1は第一実施形態にかかる光学シート10の断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。図1では、見易さのため繰り返しとなる符号は一部省略することがある(以降に示す各図において同じ。)。図2には、図1のうち波長フィルタ層11の一部を拡大した図を示した。
【0031】
光学シート10は、波長フィルタ層11、電磁波遮蔽層18、及びハードコート層19を備えている。以下に各層について説明する。
【0032】
波長フィルタ層11は、光透過層12と光吸収層15とを有し、これが光学シート10の厚さ方向に積層されている。詳しくは次の通りである。
【0033】
光透過層12は、光を透過するとともに光吸収層15との界面に凹凸面を形成する層である。光透過層12は、図1、図2に良く表れているように、基材部13及び光透過凹凸部14を具備し、光透過凹凸部14には複数の単位光透過凸部14aが設けられている。
【0034】
基材部13は、透光性を有するとともに、光透過凹凸部14の基材となる部位であり、光透過凹凸部14の変形を防止できるように支持する。かかる観点から、基材部13を形成する材料の具体例として例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の一以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
【0035】
光透過凹凸部14は、透光性を有する複数の単位光透過凸部14aを備えてなる部位である。各単位光透過凸部14aは、光吸収層15側に向けて凸となるように突出するように形成されている。本実施形態では断面が略三角形である部位を有し、その斜辺を形成する第一面14b、及び第二面14cを具備している。そして単位光透過凸部14aは、図1に表れた断面を有して紙面奥/手前方向に延びるように形成され、該延びる方向に直交する方向に並列されている。
【0036】
具体的には、図2に示したように、第一面14bが光学シート10の観察者側シート面法線となす角をθ1、第二面14cが光学シート10の観察者側シート面法線となす角をθ2としたとき、本実施形態ではθ1<θ2である。
【0037】
具体的なθ1、θ2の角度は限定されることはないが、θ2は20度以上40度以下であることが好ましく、25度以上35度以下であることがさらに好ましい。例えばθ2を次のように得ることもできる。すなわち、上斜め45度から光学シートに入射する外光を考え、光透過層12を屈折率1.49のアクリル系樹脂で製作した場合、スネルの法則により、この外光は水平に対して上斜め28.3度から下がるように光透過凹凸部14中を進むことになるから、これに対応してθ2も28.3度とすることもできる。
【0038】
一方、θ1は、θ2と同様、室内における天井方向からの外光をより効率的に吸収させる観点から、0度≦θ1<θ2であることが好ましく、さらに好ましくは0度である。また、一般に外光は上方からの方が下方からより多いので、θ1<θ2の関係にあればより外光を吸収する効率が良い。
【0039】
単位透過凸部14aのピッチは、加工性や、後述する光吸収層15を形成する観点から10μm以上50μm以下であることが好ましい。同様の理由で単位透過凸部14aの突出の高さは、20μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0040】
ここで光透過凹凸部14は基材部13と同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。ただし異なる材料を用いて屈折率差があると当該屈折率差によりこの界面で光が偏向されてしまうので同じ材料であること、又は異なる材料であっても屈折率差がないことが好ましい。同じ材料の場合には、光透過凹凸部14と基材部13とを一体に形成することもできる。また、光透過凹凸部14と基材部13とが異なる材料である場合、及び同じ材料である場合であっても、基材部13と光透過凹凸部14が別に形成され、なんらかの手段により積層されてもよい。光透過層12の形成方法の例は後で説明する。
【0041】
単位光透過凸部14aを形成する材料は特に限定されることはないが、具体例として例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の一以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
【0042】
ただし、単位光透過凸部14aは、後で説明する光吸収層15の単位光吸収凸部17aと同じ屈折率を有している。ここで「同じ屈折率」とは、屈折率差が0.02以内であることを意味する。
【0043】
光吸収層15は、上記した光透過層12と組み合わせられる波長フィルタ機能を有する層である。また本実施形態では当該光吸収層15に粘着剤が含まれており、光学シート10をPDPやガラス層等の他の層へ適切に粘着させる粘着層としての機能も兼ね備えている。
本実施形態では、光吸収層15に粘着剤層としての機能をも具備する構成としが、必ずしもその必要はなく、粘着剤層は別に設けられていても良い。しかしながら、このように光吸収層15に粘着剤層としての機能をも具備することにより、層構成を簡易にすることができる利点がある。かかる観点から本実施形態では光吸収層15に粘着機能をも有する層にした。
【0044】
そのため、光吸収層15は粘着剤と、該粘着剤に含有される光吸収手段を含んでいる。光吸収手段は、所望の波長領域の光を吸収することのできる1種以上の光吸収剤や光吸収色素等の光吸収作用を有する波長フィルタ機能を奏する手段である。
【0045】
粘着剤は光学シート10をPDPやガラスパネル等の他の部材に光学シート10を粘着固定する物質である。粘着剤として用いられる材料は特に限定されることはないが、表示装置に組み込まれる光学シートに用いられる粘着剤として広く使用され、光学特性、安定性、積層し易さ等を有するとともに安価に入手可能な材料を用いることが好ましい。
これには例えばアクリル系の粘着剤を用いることができ、さらに具体的にはアクリル系共重合体とイソシアネート化合物を組み合わせた粘着剤を挙げることができる。
【0046】
光吸収手段は、所望の波長領域の光を吸収することのできる物質であり、その材料としては、減衰させるべき波長の光を吸収することのできる公知のものを用いることができる。1種類の光吸収手段で全ての波長領域の可視光を減衰させることができるとは限らないので、減衰させることのできる光の波長領域を適切に網羅するため、複数種類の光吸収手段を適用してもよい。以下に光吸収手段の例を挙げる。
【0047】
波長550nm以上640nm以下の光を吸収することができる光吸収手段として、シアニン系、オキソノール系、メチン系、サブフタロシアニン系もしくはポルフィリン系の色素等を挙げることができる。これによれば、この波長領域の光を吸収して減衰させることが可能となる。
ここで、この波長領域はPDPから放射されるネオン光、すなわちネオン原子の発光スペクトル帯域を含むので、当該光吸収手段を含めれば、いわゆるネオン線吸収機能も具備するものとなる。
【0048】
その他、可視領域である380nm以上780nm以下の範囲内のいずれかに最大吸収波長を有する光吸収手段は公知のものを用いることができる。これには例えば特開2000−275432号公報、特開2001−188121号公報、特開2001−350013号公報、特開2002−131530号公報等に記載の手段を挙げることができる。さらにこの他にも、黄色光、赤色光、青色光等の可視光を吸収するアントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の手段を挙げることもできる。
ここで、このような光吸収手段を含めれば、PDPからの発光の色純度や色再現範囲、電源OFF時のディスプレイ色等の改善も併せて行うことができ、いわゆる色調調整機能も具備するものとなる。
【0049】
また、光吸収手段として光吸収性の着色粒子を用いてもよい。これには例えばカーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、染料、顔料等で着色した有機微粒子や着色したガラスビーズ等を挙げることができる。より具体的には、カーボンブラックを含有したアクリル架橋微粒子や、カーボンブラックを含有したウレタン架橋微粒子等がある。
【0050】
すなわち、光吸収層15は、粘着剤構成組成物中に光吸収手段を混濁させることにより製造することができる。
【0051】
また、図1、図2からわかるように光吸収層15は、光透過層12の面のうち、光透過凹凸部14が設けられた側の面に積層される。これにより、光吸収層15の一部が単位光透過凸部14a間に入り込み、凸状となって単位光吸収凸部17aが形成される。これにより、光吸収層15は、厚さが一定である基部16と、該基部16の光透過層12側へ突出するように形成され、複数の単位光吸収凸部17aを備える光吸収凹凸部17と、を有する。そして図1、図2からわかるように光透過凹凸部14と光吸収凹凸部17とは互いにその凹凸を埋め合うように形成されている。従って、単位光透過凸部14aの第一面14bに重なるように単位光吸収凸部17の第一面17bが形成され、同様に第二面14cに重なるように第二面17cが形成される。
【0052】
また、形成された光吸収層15は、光透過層12のうち少なくとも単位光透過凸部14aと同じ屈折率を有している。
【0053】
ここで、本実施形態では光吸収層15は基部16と光吸収凹凸部17とを有して構成されている。上記した図10を用いた説明のように、透過率の向上に寄与するのは凹凸を有する部位であり、本実施形態では光吸収凹凸部17である。従って、基部16は可能な限り薄くしてよく、また基部がなく、光吸収凹凸部のみにより光吸収層が形成されてもよい。本実施形態では光吸収層15が粘着層としての機能を兼ね備える観点から、及び生産性の観点から基部16を設けた。
【0054】
図1に戻って電磁波遮蔽層18について説明する。電磁波遮蔽層18は、PDP等から発生した電磁波を遮蔽する機能を有するものである。電磁波遮蔽層としては、従来公知の各種形態のものを適用可能であり、後で例示する導電体メッシュ層の他、銀、ITO(酸化錫インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化錫)等の透明な連続体(メッシュ開口部非形成の)薄膜を用いることも可能である。ただし、透明性と電磁波遮蔽性を両立させる観点からは、金属等の導電体メッシュ層が好ましい。
【0055】
本実施形態では、電磁波遮蔽層18は図1に示すように、上記した光透過層12の基材部13を基材とし、ここに積層された導電体メッシュ層18aを具備して構成されている。
通常、公知の電磁波遮蔽層は、透明基材とその面上に積層された導電体メッシュ層とを有する構造が一般的である。これに対して本実施形態では光透過層12の基材部13が電磁波遮蔽層の透明基材の機能をも兼ねている。従って、本実施形態によれば、層構成を簡素化することができる。
ただし、従来の電磁波遮蔽層のように別に設けられた透明基材上に導電体メッシュ層を積層した公知の電磁波遮蔽層の形態を適用することを妨げるものではなく、このような電磁波遮蔽層を光透過層12に積層してもよい。
【0056】
導電体メッシュ層18aは、導電性を有することで電磁波遮蔽機能を発揮する層であり、メッシュを構成する線状の部材(ライン)自体は不透明だが、このラインがメッシュ状(微細な格子状)となっていることにより開口部が形成されて光を透過できる。
【0057】
メッシュの形状は特に限定されることはないが、開口部の形状が正方形である例が代表的である。その他例えば、三角形、四角形、多角形、円形、楕円形等でもよい。
メッシュのライン幅はメッシュの非視認性の観点から100μm以下、より好ましくは50μm以下である。ただし、電磁波遮蔽機能の確保、破断防止の観点から5μm以上とするのが良い。
メッシュの開口部の幅は100μm以上、より好ましくは150μm以上である。但し、電磁波遮蔽機能の確保の観点から最大3000μmが好ましい。
また、ラインの幅と間口部の幅との関係は光透過性の観点、及びハードコート層を形成するに際して開口部内に気泡が残留し難い観点から、開口率が60%以上となるようにするのが好ましく、電磁波遮蔽機能の確保の観点から97%以下となるようにするのが好ましい。なお、開口部が正方形の場合には開口率=[(間口部の幅)2/(ラインのピッチ)2]×100%で定義される。
導電体メッシュ層18aの厚さは、電磁波遮蔽機能の観点から1μm以上20μm以下が好ましいが、薄膜とする点、画像の視認性、ハードコート層形成時における気泡混入の観点、工程が短く歩留りが良い点、等から、より好ましくは1μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上3μm以下である。
【0058】
このような導電体メッシュ層18aは公知の方法により形成することができる。例えば、光透過層12の基材部13に導電インキをメッシュパターン状に印刷し、形成された導電インキ層上に金属メッキする方法を挙げることができる。
【0059】
また導電体メッシュ層18aには公知の導電体メッシュ層のように、黒化層や防錆層を設けてもよい。
黒化層は外光吸収、画像の視認性向上、コントラスト向上等を目的に設けることができる。このような黒化層は可視光領域に亘って光吸収性を有する物質を付与すること等により設けることができる。
防錆層は、錆を防止し、黒化層の脱落や変形を防止することを目的に設けられる。防錆層としては、例えば、ニッケル、亜鉛、及び/又は銅の酸化物、若しくはクロメート処理層を適用できる。
【0060】
次にハードコート層19について説明する。ハードコート層19は、表面保護層やHC層とも呼ばれることがあり、光学シート10の観察者側表面を保護する機能を有する層である。ハードコート層19は透明な樹脂層として形成することができ、ハードコート層19は擦り傷、表面汚染に対する耐性の観点から、硬化性樹脂が硬化してなる樹脂硬化層として形成することが好ましい。
具体的には電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂等を要求性能に応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系などが挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマーモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
【0061】
また、ハードコート層19には、耐汚染性向上の観点から、シリコーン系化合物、フッ素系化合物などを添加してもよい。
【0062】
以上説明した各部材を備える光学シート10は例えば次のように製造することができる。
【0063】
波長フィルタ層11の光透過層12は金型ロールを用いる方法や熱溶融押し出しによる方法で形成することができる。
金型ロールによる方法では、円筒状であるロールの外周面に、光透過層12の単位光透過凸部14aを転写可能な凹凸が設けられた金型ロールを準備する。そして金型ロールとこれに対向するように配置されたニップロールとの間に、基材部13となる基材を挿入する。このとき、基材と金型ロールとの間に光透過凹凸部構成組成物を供給しながら金型ロール及びニップロールを回転させる。これにより金型ロールの表面に形成された凹凸の凹部内に光透過凹凸部構成組成物が充填され、該組成物が金型ロールの凹凸の表面形状に沿ったものとなる。
【0064】
ここで、光透過凹凸部構成組成物としては、上記したものが好ましいが、さらに具体的には次の通りである。すなわち、光硬化型プレポリマー(P1)に、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)を配合した光硬化型樹脂組成物を用いることができる。
【0065】
上記光硬化型プレポリマー(P1)としては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等のプレポリマーを挙げることができる。
【0066】
また、上記反応性希釈モノマー(M1)としては、例えば、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等を挙げることができる。
【0067】
また、上記光重合開始剤(I1)としては、例えば、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメート等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン(ベンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらの中から、光硬化型樹脂組成物を硬化させるための照射装置及び光硬化型樹脂組成物の硬化性から任意に選択することができる。なお、光透過凹凸部14の着色防止の観点から好ましいのは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドである。
【0068】
これらの光硬化型プレポリマー(P1)、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)は、それぞれ、1種類で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
金型ロールと基材との間に挟まれ、ここに充填された光透過凹凸部構成組成物に対し、基材側から光照射装置により光を照射する。これにより組成物を硬化させ、その形状を固定させることができる。そして、離型ロールにより金型ロールから基材部及び成形された光透過凹凸部を離型する。
【0070】
一方、熱溶融押し出しについては次の通りである。すなわち、光透過層12の厚さ方向断面形状に対応する孔形状を有する押し出し用金型を準備する。そして熱により溶融した光透過層構成組成物を押し出し機を用いて加圧し、押し出し用金型の孔を通過させ、これを冷却することにより断面形状が光透過層の形状である長いシートを得ることができる。
【0071】
以上のように形成した光透過層に光吸収層を積層する。積層する方法は特に限定されることはないが、剥離シートの一方の面に粘着剤を含有する光吸収層構成組成物を積層させ、これを光透過層に被せるように積層する方法や、光吸収層構成組成物を直接に光透過層に塗工する方法を挙げることができる。
【0072】
電磁波遮蔽層18は上記したように、光透過層12の基材部13の面のうち光透過凹凸部14とは反対側の面に導電体メッシュ層18aを積層すればよい。
【0073】
ハードコート層19は、形成された導電体メッシュ層18a上から硬化前の上記したようなハードコート用組成物を塗布し、その後にこの組成物を硬化させることにより形成することが可能である。
【0074】
このような製造方法によれば、波長フィルタ層、及びこれを備える光学シートを効率よく製造することができる。
【0075】
光学シート10には上記した各層の他にも、他の機能を有する層を粘着剤等により積層してもよい。他の層として例えば近赤外線吸収層、紫外線吸収層、反射防止層、及び防眩層を挙げることができる。以下に各層について説明する。
【0076】
近赤外線吸収層は、PDPが発光するキセノンガス放電に起因して生じる近赤外線を吸収する機能を有する。近赤外線吸収層には公知の近赤外線吸収剤を有する市販フィルムを用いたり、近赤外線吸収色素を粘着層や樹脂層へ含有させた組成物を成膜したり、若しくはこれを透明基材又は他の機能性フィルタ上に塗布し、必要に応じ乾燥、硬化処理等を経て形成したものを用いることができる。
【0077】
近赤外線吸収色素としては、PDPが発光するキセノンガス放電に起因して生じる近赤外線領域、即ち、800nm以上1100nm以下の波長領域を吸収するものを用いる。該波長領域の近赤外線の透過率が20%以下が好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。
また、同時に近赤外線吸収層は、可視光領域、即ち、380nm以上780nm以下の波長領域で、十分な透過率を有することが望ましい。
【0078】
紫外線吸収層は、粘着剤を含む層、樹脂を含む層、基材層等の透明である有機材料の黄変等の劣化と、近赤外吸収色素やネオン吸収色素、調色色素等の着色材料の劣化を防止するために設けられる層であり、紫外線を吸収する機能を有している。従って粘着剤層よりも観察側に配置されることが好ましい。紫外線吸収層としては公知のものを用いることができる。
【0079】
反射防止層は、表示装置表面での外光の鏡面反射による背景の映り込み、画像の白化、及びコントラスト低下を低減するための層である。反射防止層は、屈折率の高い材料と屈折率の低い材料を交互に積層し、最表面が低屈折率である層となるように多層化し、各層界面での反射光を干渉によって相殺する。これにより、表面の反射を抑え、良好な反射防止効果を得ることができる。この反射防止層は、通常、MgF2、SiO2に代表される低屈折率材料と、TiO2、ZrO2等の高屈折率材料とを交互に蒸着等により成膜する気相法等によって形成される。また、反射防止層に紫外線遮蔽機能をもたらす観点から、反射防止層中に紫外線吸収剤を含有させても良い。
【0080】
防眩層は、磨りガラスのように光を散乱又は拡散させて外光による背景像をぼかす層である。そのために、防眩層は光の入射面を粗面化した構成を備えている。粗面化のための処理には、サンドブラスト法やエンボス法等により基体表面を直接、微細凹凸を形成して粗面化する方法、シリカ等の無機フィラー、樹脂粒子等の有機フィラーを含有させた塗膜により粗面を形成する方法、及び基体表面に海島構造による多孔質膜を形成する方法等を挙げることができる。
【0081】
図3は第二実施形態にかかる光学シート20のうち、その一部を拡大した図であり、波長フィルタ層21を示した図である。光学シート20は、波長フィルタ層21、電磁波遮蔽層18、及びハードコート層19を備えている。光学シート20のうち波長フィルタ層21以外は、第一実施形態にかかる光学シート10と共通する。従ってここでは波長フィルタ層21について説明し、他は図示及び説明を省略する。
【0082】
波長フィルタ層21は、第一実施形態の光学シート10に含まれる波長フィルタ層11と同様に光透過層22及び光吸収層25を備えている。従って、光透過層22は基材部23及び単位光透過凸部24aを有する光透過凹凸部24を有している。また、光吸収層25には基部26及び単位光吸収凸部27aを具備する光吸収凹凸部27が形成される。
【0083】
波長フィルタ層21は、単位光透過凸部24aの第一面24b、第二面24cが光学シート20の観察者側シート面の法線とのなす角が、第一実施形態と異なる。具体的には、本実施形態では、図3に示したように、第一面24bが光学シート20の観察者側シート面法線となす角をθ3、第二面24cが光学シート20の観察者側シート面法線となす角をθ4としたとき、θ3=θ4である。
【0084】
具体的なθ3、θ4の角度は限定されることはないが、θ3、θ4は20度以上40度以下であることが好ましく、25度以上35度以下であることがさらに好ましい。
例えばθ3、θ4を次のように得ることもできる。すなわち、上斜め45度から光学シートに入射する外光を考え、光透過層22を屈折率1.49のアクリル系樹脂で製作した場合、スネルの法則により、この外光は水平に対して上斜め28.3度から下がるように光透過凹凸部14中を進むことになるから、これに対応してθ3、θ4も28.3度とすることもできる。
【0085】
単位透過凸部24aのピッチは、加工性や、後述する光吸収層25を形成する観点から10μm以上50μm以下であることが好ましい。同様の理由で単位透過凸部24aの突出の高さは、20μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0086】
波長フィルタ層21の他の構成は上記した波長フィルタ層11と共通する。従ってここでは説明を省略する。
【0087】
図4は第三実施形態にかかる光学シート30のうち、その一部を拡大した図であり、波長フィルタ層31を示した図である。光学シート30は、波長フィルタ31、電磁波遮蔽層18、及びハードコート層19を備えている。光学シート30のうち波長フィルタ層31以外は、第一実施形態にかかる光学シート10と共通する。従ってここでは波長フィルタ層31について説明し、他は図示及び説明を省略する。
【0088】
波長フィルタ層31は、第一実施形態の光学シート10に含まれる波長フィルタ層11と同様に光透過層32及び光吸収層35を備えている。従って、光透過層32は基材部33及び単位光透過凸部34aを有する光透過凹凸部34を有している。また、光吸収層35には基部36及び単位光吸収凸部37aを具備する光吸収凹凸部37が形成される。
【0089】
波長フィルタ層31は、図4からわかるように、断面において半円状、すなわち半円の断面を有する柱状となる単位光吸収凸部37aを有する点で波長フィルタ11とは異なる。また、単位光透過凸部34aは単位光吸収凸部37a間を埋めるような形状を有している。
【0090】
波長フィルタ層31の他の構成は上記した波長フィルタ層11と共通する。従ってここでは説明を省略する。
【0091】
以上説明した各実施形態の光学シートでは、いずれも、光吸収層に粘着剤を含む例を説明した。しかしながら、光吸収層は必ずしも粘着剤を含む層である必要はなく、光吸収凹凸部を有し、これが波長フィルタ機能を有するとともに、光透過凹凸部と同じ屈折率であればよい。このような光吸収層を構成する材料は特に限定されるものではなく、例えば上記した光透過層を構成する組成物から選択した材料に上記の光吸収手段を含ませてもよい。
【0092】
また、上記各実施形態の光学シートで説明した光透過凹凸部及び光吸収凹凸部の凹凸形状は例示であり、他の形状であってもよい。これには例えば台形や他の多角形、曲面を有する形状であってもよい。
【0093】
図5は映像源ユニット4を具備する表示装置1を模式的に示した分解斜視図である。ここで、映像源ユニット4には光学シート10が備えられている。図5では紙面右上が観察者側、紙面左下が背面側である。図5からわかるように、表示装置1は、前面側筐体2と背面側筐体3とにより形成される筐体の内側に、映像源ユニット4が配置されている。本実施形態の表示装置1はプラズマテレビであり、映像源ユニット4はプラズマディスプレイパネルユニット4(PDPユニット4)である。表示装置1には、映像源ユニット4の他にもその筐体内に表示装置に備えられるべき公知の各装置が具備される。これには例えば、各種電気回路や冷却手段等を挙げることができる。
【0094】
図6は図5に表した映像源ユニット4の断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。図6は、図5にVI−VIで示した線に沿った断面で、紙面右が観察者側である。
映像源ユニット4は、PDP5及び該PDP5に積層された光学シート10を備えている。図6からわかるように映像源ユニット4では、光吸収層15がPDP5側に向けられ、その粘着機能により光学シート10がPDP5に直接積層されている。
PDP5は、公知のPDPを用いることができる。図6からわかるように本実施形態では、単位光透過凸部14aの第一面14bが上、第二面14cが下となるように配置されている。従って単位光透過凸部14a、単位光吸収凸部17aは水平方向を長手方向とし、垂直方向に並列されている。
【0095】
光学シート10を備えるこのような表示装置1における映像光及び外光の光路について説明する。図7には、波長フィルタ層11の一部を拡大した図を示し、この部分における光路例L1〜L7を矢印で示した。ただし、当該光路は説明のために概念的に表したものである。
【0096】
映像光L1〜L5は、PDP5から出射して光吸収層15に入射する。光吸収層15に入射した映像光L1〜L5は、光吸収層15の基部16及び光吸収凹凸部17の1つの単位光吸収凸部17aを通過し、光透過層12の単位光透過凸部14aに入射して最終的に観察者側に提供される。
【0097】
このとき、単位光吸収凸部17aと単位光透過凸部14aとは屈折率が同じなので、映像光L1〜L5はその界面で屈折することなく直進する。また、映像光L1〜L5まではそれぞれ異なる厚さで光吸収層15を透過することになる。従って、上記したように、均一の厚さである光吸収層を透過したときに比べ高い透過率で光吸収層を透過する。これにより従来よりも正面輝度を高めることができる。
【0098】
一方、外光L6、L7は観察者側から正面に対して所定の角度を有して光透過層12を透過して光吸収層15に侵入し、ここで減衰される。このとき外光L6、L7についても、単位光吸収凸部17aと単位光透過凸部14aとは屈折率が同じなので、外光L6、L7はその界面で屈折することなく直進する。また、吸光度は吸収厚さと比例し、外光は斜め方向から入射する関係にあることから、外光の吸収距離は、総合すると映像光に比べて均一厚さである光吸収層に近い状態であるから外光は映像光に比べて吸収される程度が大きく、コントラストの低下を抑えることができる。本実施形態では特に斜め上方からの外光に対して効果が高い。
【0099】
以上のように、厚さが均一である光吸収層よりも、正面輝度を上げつつコントラストの低下は抑えることが可能である。
一方、光学シート10は、上記した特許文献2、特許文献3のように複雑な構造でなく、その製造も容易であるから簡易に低コストで光学シートを提供することができる。
すなわち、簡易及び低コストでありつつ、光学的特性のよい光学シート、及び該光学シートを備える表示装置とすることが可能である。
【0100】
図8は、光学シート10’を有する例にかかる表示装置を説明する図であり、図6に相当する図である。当該例にかかる表示装置は、映像源ユニット4’を有しており、ここに光学シート10’が含まれている。
光学シート10’は、光学シート10に対して光透過層12がPDP5側、光吸収層15が観察者側に配置された点、及び上下方向が反対となっている点で異なる。その他の構成については表示装置1と共通である。なお、PDP5と光学シート10’は不図示の粘着剤層で粘着固定されている。
また、本実施形態では、電磁波遮蔽層18’を備え、該電磁波遮蔽層18’は、透明基材18bの面に導電体メッシュ層18aが積層されることにより形成されている。このような電磁波遮蔽層18’は公知のものを用いることが可能である。そして透明基材18bのうち、導電体メッシュ層18aが配置されていない側の面が光吸収層15に積層されている。
かかる表示装置でも表示装置1と同様の上記効果を奏するものとなる。
【0101】
図9は、光学シート10を有する他の例にかかる表示装置を説明する図であり、図6に相当する図である。当該他の例にかかる表示装置では、映像源ユニット4’’において、表示装置1に対して光学シート10の上下方向を逆にして用いている。
本実施形態でも、厚さが均一である光吸収層よりも、正面輝度を上げつつコントラストの低下は抑えることが可能である。本実施形態では例えば床面からの反射外光のように斜め下方からの外光に対してその効果が高い。
【0102】
以上説明した表示装置の他、光学シート10の代わりに光学シート20、光学シート30を用いてもよい。
【実施例】
【0103】
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明は当該実施例に限定されるものではない。
【0104】
<実施例1>
実施例1では、次のように光学シートを作製した。
【0105】
(1)金型ロールの作製
光透過層の作製に供される金型ロールを作製した。金型ロールは、円柱状であり、銅メッキが施され、当該銅メッキ部分をバイト(切削工具)により切削して光透過層の単位光透過凸部に対応する溝を形成した。バイトとしてはダイヤモンドバイトを用いた。バイトはすくい面から見たときにその先端が2つの斜辺とこれが交わる1つの頂点を有する形状であり、一方の斜面角度がロールの円柱状の半径方向に対して0度、他方の斜辺角度が28.3度とした。
このようなダイヤモンドバイトを用いて、ロール軸方向の溝間ピッチは10μmとして金型ロールの銅メッキ層の外周を切削して溝を形成したところ、ピッチ10μm、深さ18.5μm、斜面角度がロール半径方向に対して0度、及び、28.3度の溝が形成された。この切削したロールにクロムメッキを施した。
【0106】
(2)単位光透過凸部構成組成物の調整
ポリエステルジオール/トリレンジイソシアネート/2−ヒドロキシエチルアクリレート=85:10:5からなる光硬化性プレポリマー(P1)を10.0質量部、反応性希釈モノマー(M1)としてのフェノキシエチルアクリレートを30.0質量部、ビスフェノールAポリエトキシエトキシアクリレートを30.0質量部、トリプロピレングリコールジアクリレートを30.0質量部、金型離型剤(S1)としてのテトラデカノールーエチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステル(モノエステル/ジエステル=モル比1/1)を0.05質量部、光重合開始剤(I1)としての1−ヒドロキーシシクロヘキシルーフェニルーケトン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャリティケミカルズ株式会社製)を3.0質量部を用いた。
これらの光硬化性プレポリマー(P1)、反応性希釈モノマー(M1)、金型離型剤(S1)、光重合開始剤(I1)を混合し、均一化して単位光透過凸部構成組成物を得た。この組成物を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、多波長アッベ屈折計DR−M4(アタゴ)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.51であった。
【0107】
(3)光透過層の形成
上記(1)で作製した金型ロールと、ニップロールと、の間に、基材部となる基材として、易接着PETフィルム(東洋紡績株式会社製、A4300、厚さ100μm)を挿入して搬送した。この基材の搬送に合わせ、上記(2)で得られた単位光透過凸部構成組成物を基材上に供給装置から供給し、金型ロール及びニップロール間の押圧力により、基材と金型ロールとの間に組成物を充填した。その後、基材側から高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して単位光透過凸部構成組成物を硬化させて、光透過層を形成した。その後、剥離ロールにより、金型ロールから当該光透過層を離型し、厚さが140μmである光透過層を作製した。
従って図2のθ1が0度、θ2が28.3度であり、ピッチが10μm、高さが18.5μmの単位光透過凸部を有する光透過層となった。
【0108】
(4)光吸収層構成組成物の調整
アクリル系粘着剤(感圧性粘着剤「オリバイン」BPS6271:商品名、固形分27%、東洋インキ製造(株)製)99.7質量部、および硬化剤(BXX5627:商品名、東洋インキ製造(株)製)0.3質量部に、近赤外線吸収剤として、フタロシアニン系化合物(IR12:商品名、日本触媒(株)製)0.05質量部、フタロシアニン系化合物(IR14:商品名、日本触媒(株)製)0.02質量部、及びジインモニウム系化合物(IRG−068:商品名、日本触媒(株)製)0.03質量部を配合した。さらに、ネオン光吸収化合物(TAP2:商品名、山田化学(株))を0.01質量部配合した。更に、紫外線吸収材として、CyasorbUV24(サイテック社製)を4質量部、光安定剤として、TINUVINN144(チバスぺシャルティケミカル製)を2質量部、調色色素として、KAYASET(日本化薬(株)製)を0.29質量部、及び、層状粘土鉱物として、クニピアD36(クニミネ工業(株)製)を0.05質量部配合し、混合物を得た。この混合物を十分攪拌させて光吸収層構成組成物を作製した。
【0109】
(5)光吸収層の形成
(4)で作製した光吸収層構成組成物を(3)で作製した光透過層の光透過等凸部の単位光透過凸部間に形成される溝の底部から厚さ25.0μmとなるように塗布した。その後、100℃で2分間乾燥させ塗膜を形成し、この塗膜上に38μmの軽剥離性離型フィルム(東洋紡績社製、E7005)をラミネートした。
なお、この光吸収層について、多波長アッベ屈折計DR−M4(株式会社アタゴ製)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.49であった。
【0110】
以上により、実施例1としての波長フィルタ層を有する光学シートを得た。そして、プラズマテレビ(パナソニック株式会社製 VIERA TH−P50G2)から既存の光学シートを剥離し、代わりに本実施例の光学シートを貼合した。貼合の際には図6のように光吸収層が映像源側となるように配置した。
【0111】
<実施例2>
実施例2では、実施例1の「光吸収層構成組成物の調整」に対して、調色色素の量を0.29質量部から0.30質量部に変更して、光吸収層構成組成物を得た。他は実施例1と共通である。
以上により、実施例2としての波長フィルタ層を有する光学シートを得た。そして、プラズマテレビ(パナソニック株式会社製 VIERA TH−P50G2)から既存の光学シートを剥離し、代わりに本実施例の光学シートを貼合した。貼合の際には図6のように光吸収層が映像源側となるように配置した。
【0112】
<実施例3>
実施例3では、実施例1の光学シートをプラズマテレビ(パナソニック株式会社製 VIERA TH−P50G2)に貼合する際、図8のように、実施例1の光学シートを上下方向を反対にするとともに、光透過層を映像源側となるように配置した。
【0113】
<実施例4>
実施例4では、実施例2の光学シートをプラズマテレビ(パナソニック株式会社製 VIERA TH−P50G2)に貼合する際、図8のように、実施例2の光学シートを上下方向を反対にするとともに、光透過層を映像源側となるように配置した。
【0114】
<比較例1>
比較例1では、実施例1の「波長フィルタ機能を具備する粘着剤組成物の調整」に対して、調色色素の量を0.29質量部から0.10質量部に変更して、波長フィルタ機能を具備する粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物を厚さ38μmの中剥離性離型フィルム(東洋紡績社製、E7007)上に厚さ25μmになるように塗布した。その後、100℃、2分間乾燥させ塗膜を形成し、この塗膜上に38μmの軽剥離性離型フィルム(東洋紡績社製、E7005)をラミネートし、厚さが均一な波長フィルタ機能を有する粘着層を作製した。
そしてプラズマテレビ(パナソニック株式会社製 VIERA TH−P50G2)から既存の光学フィルターを剥離し、その代わりに本比較例の光学シートを貼合した。
【0115】
<評価>
評価は図11に示した環境でおこなった。図11は、試験を行った空間を側面から見た図で、紙面左右方向を空間の幅方向、紙面上下方向を空間の高さ方向、紙面奥/手前方向を空間の奥行き方向とする。すなわち、幅12m、高さ3m、奥行き10mの空間の天井部に図11に示したように蛍光灯を配置した。なお、空間の床、壁面天井いずれも白色としている。また、空間の奥行き方向には、該奥行き方向に蛍光灯を並列した。プラズマテレビは、空間の幅方向一端側で、奥行き方向中央の床に載置した。
照度計(ミノルタ(T−1H))をその受光面が観察者側正面を向くようにプラズマテレビ画面中央の観察者側に設置し、照度計の値が600ルクスとなる蛍光灯環境下にて、正面白輝度、正面黒輝度を測定した。輝度計(ミノルタ(LS−110))を画面中心から0度方向2mの距離に設置した。
正面白輝度は、パターンジェネレーター(KENWOOD CG−935N)のWHITEモードで全白画面を表示させて測定した。一方、正面黒輝度は、同じパターンジェネレーターを用いて、CROSS HATCHモードで格子パターンを表示させ、黒部分を測定した。
そして比較例1の正面白輝度、及び正面黒輝度をそれぞれ100とした時に実施例1〜実施例4の正面白輝度、正面黒輝度を表した。従って正面白輝度が高いほど正面輝度が向上し、正面黒輝度が低い程コントラストが高くなることを意味する。
【0116】
<評価結果>
結果を表1に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
実施例1〜実施例4ではいずれも、比較例1に対して正面白輝度を向上させることができた。そしてこの時の正面黒輝度の結果から比較例1よりコントラストの向上が見られた。
【0119】
また、実施例1〜実施例4で作製した光学シートは比較例1で説明したシートよりは製造工程は複雑になるが、特許文献2、特許文献3に開示された光学シートと比べると簡易的に製造することができる。従って、簡易的に、コストが上昇することを抑えつつも比較例1のような光学シートよりも高い性能を得ることができる。
【符号の説明】
【0120】
1 プラズマテレビ(表示装置)
4 プラズマディスプレイパネル(PDP・映像源)
10 光学シート
11 波長フィルタ層
12 光透過層
13 基材部
14 光透過凹凸部
14a 単位光透過凸部
15 光吸収層
16 基部
17 光吸収凹凸部
17a 単位光吸収凸部
18 電磁波遮蔽層
19 ハードコート層
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像光や外光を適切に透過・吸収し、観察者に質の高い映像を提供する光学シート、表示装置、及び当該光学シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」と記載することがある。)を用いたプラズマテレビ等の表示装置では、PDPよりも観察者側に光学シートが配置されている。この光学シートは、観察者に質の高い映像を提供する機能を有している。
【0003】
映像の質にはさまざまな要素があるが、その中に正面輝度及びコントラストがある。正面輝度は画面から正面方向へ出射される映像光の明るさを意味する。正面輝度が低ければ観察者は暗い画面との印象を受けるため、質の良い映像光とはいえず、表示装置として一定以上の正面輝度を確保する必要がある。一方、コントラストは映像において明るい部分と暗い部分との明暗の比を意味する。コントラストが高い場合には、物の輪郭等が明確に表現され、いわゆるメリハリのある映像となる。逆にコントラストが低い場合には、全体的に同じ明るさとなる傾向となるため、物の輪郭がぼやけてメリハリがない映像となる。従って、質の良い映像光を得る観点からは、コントラストについても一定以上の高さを確保することが必要である。
【0004】
従来において、コントラストを向上させるために、光学シートの1つの層としてNDフィルタ層、調色フィルタ層、若しくはネオン光吸収層、又はこれらを組み合わせた層を含ませることがあった。これらNDフィルタ層、調色調整フィルタ層、ネオン光吸収層は、いずれも光量を減少させることができる性質を有する層である。そのなかでも、光量を減少させるに際し、光の波長に関係なく光量を減少させることができる層がNDフィルタ(Neutral Density Filter)層である。一方、所定の範囲の波長の光量を減衰させることができる層が調色調整フィルタ層、及びネオン光吸収層である。以下これらを総称して波長フィルタ層と記載する。また、このような機能を「波長フィルタ機能」と記載することもある。
【0005】
このような波長フィルタ層を備える表示装置が例えば特許文献1に開示され、これは粘着剤に波長フィルタ機能を有するというものである。外光は光学シートへの入射により波長フィルタ層(粘着剤層)を一度透過し、その後、表示装置のいずれかの部位で反射して観察者側に出射される際にもう一度波長フィルタ層(粘着剤層)を透過する。これにより少なくとも2回、波長フィルタ層を透過する際に外光が吸収され、外光が多く吸収されてコントラストを向上させることができる。一方、映像光は映像源から観察者側に出射される際に一度波長フィルタ層を透過するのみである。従って、波長フィルタ層を設けることにより、映像光の輝度低下に比べてコントラストの向上を大きく確保することができ、ある程度において、正面輝度及びコントラストの確保は可能であった。
【0006】
一方、特許文献2、特許文献3には、正面輝度及びコントラストを向上させることができる光学シートが開示されている。これには基材層の一方の面に所定の間隔で形成された光透過部(プリズム部)と、該光透過部(プリズム部)間に配置された楔形の光吸収部と、を備える構成が表れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開公報 WO 2008/038729
【特許文献2】特開2009−080153号公報
【特許文献3】特開2009−080193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のような波長フィルタ層によって高いコントラストを得るためには透過率を低くする必要があり、その分映像光の輝度の低下が大きくなった。そして当該映像光の輝度を高くするために映像源そのものの出力を高くして明るくするという手法をとる必要があり、消費電力の増大を招いていた。
【0009】
一方、特許文献2、特許文献3のような構成の光学シートは、正面輝度とコントラストを両立して向上させることができるが、構造が複雑であった。このような微小でかつ高精度な構造では工程や品質管理に手間がかかり、コストを低く抑えることに困難があった。
【0010】
そこで本発明は上記した問題点に鑑み、より簡易な構成で正面輝度とコントラストを両立して向上させることが可能な光学シート、及び表示装置を提供する。また、このような光学シートの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は、本発明を完成させるにあたり、次のような知見を得た。図10に説明のための図を示した。はじめに、図10(a)の左側に示したように、一定の厚さDの光吸収層を考える。この光吸収層に対して、厚さ方向に光が透過する場合、図10(a)にA、B、Cで示したいずれの部位においても光の透過率は同じである。これをグラフで表わすと図10(a)の右側のようになる。ただしこのグラフは概念的に表わしており、精度良く表示しているわけではない。図10(a)のグラフは横軸に透過率、縦軸に位置(厚さ方向と直交する方向の位置)を表したものである。図10(a)のグラフからもわかるように透過率は位置によらず一定となる。
【0012】
次に、図10(b)の左側に示したように、図10(a)に表した光吸収層と同じ体積で、同じ光吸収性能の組成物で形成され、その断面形状が異なる光吸収層を考える。これは位置によってその厚さが異なるように形成している。具体的にはACを底辺とし高さを2・Dとする直角三角形である。またBの位置はACの中点である。図10(b)には図10(a)と同様のグラフも表した。
この光吸収層に対して、厚さ方向に光が透過する場合、位置Aにおける光吸収層の厚さは0、位置Bにおける厚さはD、位置Cにおける厚さは2・Dであるから、透過率が光吸収層の厚さに比例するものであれば図10(b)のグラフで示したpとqは等しい大きさになるはずである。しかしながら、実際にはqはpよりも小さい値となった。従って、透過率は光吸収層の厚さに比例することなく、ある程度厚さが大きくなると透過率減少の程度も小さくなる。
【0013】
以上のことを鑑みると、厚さが位置によって異なる光吸収層の位置A〜位置C間の透過率の平均値(図10(b)の例)は、これと体積等を同じとし、厚さを一定とした光吸収層における位置A〜位置C間の透過率の平均値(図10(a)の例)よりも大きくなる。すなわち、図10(b)の例の方が全体として透過率が高いことを意味する。
【0014】
一方、OD値ともよばれる吸光度は光吸収層の厚さと比例することが知られている。
【0015】
以上の知見を得て、発明者らは本発明を完成させた。以下、本発明について説明する。
【0016】
請求項1に記載の発明は、表示装置に備えられて映像源より観察者側に配置され、映像源からの映像光を制御して観察者側に出射することが可能な複数の層を有する光学シートであって、可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する波長フィルタ層を備え、波長フィルタ層は、可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する光吸収層と、光吸収層に積層されて光を透過する光透過層と、を具備し、光吸収層と光透過層との境界は層厚方向に凹凸を有しており、光吸収層と光透過層とは少なくとも界面を形成する一方と他方とで屈折率が同じである、光学シートである。
ここで「屈折率が同じ」とは、屈折率差が0.02以下であることを意味する。以下同じである。
【0017】
請求項2に記載の発明は、表示装置に備えられて映像源より観察者側に配置され、映像源からの映像光を制御して観察者側に出射することが可能な複数の層を有する光学シートであって、可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する波長フィルタ層を備え、波長フィルタ層は、可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する光吸収層と、光吸収層に積層されて光を透過する光透過層と、を具備し、光吸収層は、光透過層に向けて突出する部位である単位光吸収凸部が複数並列された光吸収凹凸部を有し、光透過層は、光吸収層に向けて突出する部位である単位光透過凸部が複数並列された光透過凹凸部を有し、光吸収凹凸部と光透過凹凸部とは、単位光吸収凸部と単位光透過凸部とが互いに凹凸を埋め合うように配置されて界面を形成し、単位光吸収凸部と単位光透過凸部とは屈折率が同じである、光学シートである。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光学シートにおいて、単位光吸収凸部及び単位光透過凸部は、断面においてシート面法線に対して傾斜する少なくとも2つの面を具備するものである。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学シートにおいて、光吸収層又は光透過層のいずれかに粘着剤が含まれているものである。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学シートにおいて、光吸収層又は光透過層のいずれかのうち、該光吸収層と該光透過層との界面が形成される側とは反対側に電磁波遮蔽層及びハードコート層の少なくとも一方が配置されるものである。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学シートにおいて、光吸収層又は光透過層のいずれかに、該光吸収層又は該光透過層の基部となる層を有し、該層に電磁波遮蔽機能を有する導電体メッシュ層が形成されているものである。
【0022】
請求項7に記載の発明は、映像源と、該映像源の観察者側に配置された請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学シートと、を備える、表示装置である。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項2〜6のいずれか一項に記載の光学シートを製造する方法であって、光吸収層の単位光吸収凸部、又は光透過層の単位光透過凸部の形状に対応した表面形状を有する金型ロールと、ニップロールとの間に基材を挿入し、基材と金型ロールとの間に組成物を充填するとともに、該組成物に紫外線を照射して組成物を硬化させて単位光吸収凸部、又は単位光透過凸部を形成する工程を含む光学シートの製造方法である。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学シートを製造する方法であって、光吸収層、又は光透過層の断面形状に対応する孔を有する金型に、加熱により溶融した組成物を加圧して圧入し、金型の孔から流出した組成物を冷却して光吸収層、又は光透過層を形成する工程を含む光学シートの製造方法である。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項4に記載の光学シートを製造する方法であって、光吸収層又は光透過層のうち、粘着剤を含む層を構成する組成物を剥離シートに塗布し、その後、組成物を粘着剤を含まない方の層に積層する工程を含む光学シートの製造方法である。
【0026】
請求項11に記載の発明は、請求項4に記載の光学シートを製造する方法であって、光吸収層又は光透過層のうち、粘着剤を含む層を構成する組成物を直接に粘着剤を含まない方の層に塗布する工程を含む光学シートの製造方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の光学シート及び表示装置によれば、より簡易な構成で正面輝度とコントラストを両立して向上させることが可能となる。
また、本発明の光学シートの製造方法によれば、上記した光学シートをさらにより簡易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第一実施形態にかかる光学シートの断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。
【図2】図1に示した光学シートの一部を拡大して示した図である。
【図3】第二実施形態にかかる光学シートの断面の一部を拡大して示した図で、図2に相当する図である。
【図4】第三実施形態にかかる光学シートの断面の一部を拡大して示した図で、図2に相当する図である。
【図5】第一実施形態にかかる光学シートを備える表示装置を模式的に示した分解斜視図である。
【図6】映像源ユニットの断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。
【図7】光路例を説明する図である。
【図8】第一実施形態の光学シートの変形例にかかる光学シートを含む表示装置を説明する図である。
【図9】第一実施形態の光学シートを含む他の例の表示装置を説明する図である。
【図10】透過率に関する説明をする図である。
【図11】実施例における評価の条件を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明は当該実施形態に限定されるものではない。
【0030】
図1は第一実施形態にかかる光学シート10の断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。図1では、見易さのため繰り返しとなる符号は一部省略することがある(以降に示す各図において同じ。)。図2には、図1のうち波長フィルタ層11の一部を拡大した図を示した。
【0031】
光学シート10は、波長フィルタ層11、電磁波遮蔽層18、及びハードコート層19を備えている。以下に各層について説明する。
【0032】
波長フィルタ層11は、光透過層12と光吸収層15とを有し、これが光学シート10の厚さ方向に積層されている。詳しくは次の通りである。
【0033】
光透過層12は、光を透過するとともに光吸収層15との界面に凹凸面を形成する層である。光透過層12は、図1、図2に良く表れているように、基材部13及び光透過凹凸部14を具備し、光透過凹凸部14には複数の単位光透過凸部14aが設けられている。
【0034】
基材部13は、透光性を有するとともに、光透過凹凸部14の基材となる部位であり、光透過凹凸部14の変形を防止できるように支持する。かかる観点から、基材部13を形成する材料の具体例として例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の一以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
【0035】
光透過凹凸部14は、透光性を有する複数の単位光透過凸部14aを備えてなる部位である。各単位光透過凸部14aは、光吸収層15側に向けて凸となるように突出するように形成されている。本実施形態では断面が略三角形である部位を有し、その斜辺を形成する第一面14b、及び第二面14cを具備している。そして単位光透過凸部14aは、図1に表れた断面を有して紙面奥/手前方向に延びるように形成され、該延びる方向に直交する方向に並列されている。
【0036】
具体的には、図2に示したように、第一面14bが光学シート10の観察者側シート面法線となす角をθ1、第二面14cが光学シート10の観察者側シート面法線となす角をθ2としたとき、本実施形態ではθ1<θ2である。
【0037】
具体的なθ1、θ2の角度は限定されることはないが、θ2は20度以上40度以下であることが好ましく、25度以上35度以下であることがさらに好ましい。例えばθ2を次のように得ることもできる。すなわち、上斜め45度から光学シートに入射する外光を考え、光透過層12を屈折率1.49のアクリル系樹脂で製作した場合、スネルの法則により、この外光は水平に対して上斜め28.3度から下がるように光透過凹凸部14中を進むことになるから、これに対応してθ2も28.3度とすることもできる。
【0038】
一方、θ1は、θ2と同様、室内における天井方向からの外光をより効率的に吸収させる観点から、0度≦θ1<θ2であることが好ましく、さらに好ましくは0度である。また、一般に外光は上方からの方が下方からより多いので、θ1<θ2の関係にあればより外光を吸収する効率が良い。
【0039】
単位透過凸部14aのピッチは、加工性や、後述する光吸収層15を形成する観点から10μm以上50μm以下であることが好ましい。同様の理由で単位透過凸部14aの突出の高さは、20μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0040】
ここで光透過凹凸部14は基材部13と同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。ただし異なる材料を用いて屈折率差があると当該屈折率差によりこの界面で光が偏向されてしまうので同じ材料であること、又は異なる材料であっても屈折率差がないことが好ましい。同じ材料の場合には、光透過凹凸部14と基材部13とを一体に形成することもできる。また、光透過凹凸部14と基材部13とが異なる材料である場合、及び同じ材料である場合であっても、基材部13と光透過凹凸部14が別に形成され、なんらかの手段により積層されてもよい。光透過層12の形成方法の例は後で説明する。
【0041】
単位光透過凸部14aを形成する材料は特に限定されることはないが、具体例として例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の一以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
【0042】
ただし、単位光透過凸部14aは、後で説明する光吸収層15の単位光吸収凸部17aと同じ屈折率を有している。ここで「同じ屈折率」とは、屈折率差が0.02以内であることを意味する。
【0043】
光吸収層15は、上記した光透過層12と組み合わせられる波長フィルタ機能を有する層である。また本実施形態では当該光吸収層15に粘着剤が含まれており、光学シート10をPDPやガラス層等の他の層へ適切に粘着させる粘着層としての機能も兼ね備えている。
本実施形態では、光吸収層15に粘着剤層としての機能をも具備する構成としが、必ずしもその必要はなく、粘着剤層は別に設けられていても良い。しかしながら、このように光吸収層15に粘着剤層としての機能をも具備することにより、層構成を簡易にすることができる利点がある。かかる観点から本実施形態では光吸収層15に粘着機能をも有する層にした。
【0044】
そのため、光吸収層15は粘着剤と、該粘着剤に含有される光吸収手段を含んでいる。光吸収手段は、所望の波長領域の光を吸収することのできる1種以上の光吸収剤や光吸収色素等の光吸収作用を有する波長フィルタ機能を奏する手段である。
【0045】
粘着剤は光学シート10をPDPやガラスパネル等の他の部材に光学シート10を粘着固定する物質である。粘着剤として用いられる材料は特に限定されることはないが、表示装置に組み込まれる光学シートに用いられる粘着剤として広く使用され、光学特性、安定性、積層し易さ等を有するとともに安価に入手可能な材料を用いることが好ましい。
これには例えばアクリル系の粘着剤を用いることができ、さらに具体的にはアクリル系共重合体とイソシアネート化合物を組み合わせた粘着剤を挙げることができる。
【0046】
光吸収手段は、所望の波長領域の光を吸収することのできる物質であり、その材料としては、減衰させるべき波長の光を吸収することのできる公知のものを用いることができる。1種類の光吸収手段で全ての波長領域の可視光を減衰させることができるとは限らないので、減衰させることのできる光の波長領域を適切に網羅するため、複数種類の光吸収手段を適用してもよい。以下に光吸収手段の例を挙げる。
【0047】
波長550nm以上640nm以下の光を吸収することができる光吸収手段として、シアニン系、オキソノール系、メチン系、サブフタロシアニン系もしくはポルフィリン系の色素等を挙げることができる。これによれば、この波長領域の光を吸収して減衰させることが可能となる。
ここで、この波長領域はPDPから放射されるネオン光、すなわちネオン原子の発光スペクトル帯域を含むので、当該光吸収手段を含めれば、いわゆるネオン線吸収機能も具備するものとなる。
【0048】
その他、可視領域である380nm以上780nm以下の範囲内のいずれかに最大吸収波長を有する光吸収手段は公知のものを用いることができる。これには例えば特開2000−275432号公報、特開2001−188121号公報、特開2001−350013号公報、特開2002−131530号公報等に記載の手段を挙げることができる。さらにこの他にも、黄色光、赤色光、青色光等の可視光を吸収するアントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の手段を挙げることもできる。
ここで、このような光吸収手段を含めれば、PDPからの発光の色純度や色再現範囲、電源OFF時のディスプレイ色等の改善も併せて行うことができ、いわゆる色調調整機能も具備するものとなる。
【0049】
また、光吸収手段として光吸収性の着色粒子を用いてもよい。これには例えばカーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、染料、顔料等で着色した有機微粒子や着色したガラスビーズ等を挙げることができる。より具体的には、カーボンブラックを含有したアクリル架橋微粒子や、カーボンブラックを含有したウレタン架橋微粒子等がある。
【0050】
すなわち、光吸収層15は、粘着剤構成組成物中に光吸収手段を混濁させることにより製造することができる。
【0051】
また、図1、図2からわかるように光吸収層15は、光透過層12の面のうち、光透過凹凸部14が設けられた側の面に積層される。これにより、光吸収層15の一部が単位光透過凸部14a間に入り込み、凸状となって単位光吸収凸部17aが形成される。これにより、光吸収層15は、厚さが一定である基部16と、該基部16の光透過層12側へ突出するように形成され、複数の単位光吸収凸部17aを備える光吸収凹凸部17と、を有する。そして図1、図2からわかるように光透過凹凸部14と光吸収凹凸部17とは互いにその凹凸を埋め合うように形成されている。従って、単位光透過凸部14aの第一面14bに重なるように単位光吸収凸部17の第一面17bが形成され、同様に第二面14cに重なるように第二面17cが形成される。
【0052】
また、形成された光吸収層15は、光透過層12のうち少なくとも単位光透過凸部14aと同じ屈折率を有している。
【0053】
ここで、本実施形態では光吸収層15は基部16と光吸収凹凸部17とを有して構成されている。上記した図10を用いた説明のように、透過率の向上に寄与するのは凹凸を有する部位であり、本実施形態では光吸収凹凸部17である。従って、基部16は可能な限り薄くしてよく、また基部がなく、光吸収凹凸部のみにより光吸収層が形成されてもよい。本実施形態では光吸収層15が粘着層としての機能を兼ね備える観点から、及び生産性の観点から基部16を設けた。
【0054】
図1に戻って電磁波遮蔽層18について説明する。電磁波遮蔽層18は、PDP等から発生した電磁波を遮蔽する機能を有するものである。電磁波遮蔽層としては、従来公知の各種形態のものを適用可能であり、後で例示する導電体メッシュ層の他、銀、ITO(酸化錫インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化錫)等の透明な連続体(メッシュ開口部非形成の)薄膜を用いることも可能である。ただし、透明性と電磁波遮蔽性を両立させる観点からは、金属等の導電体メッシュ層が好ましい。
【0055】
本実施形態では、電磁波遮蔽層18は図1に示すように、上記した光透過層12の基材部13を基材とし、ここに積層された導電体メッシュ層18aを具備して構成されている。
通常、公知の電磁波遮蔽層は、透明基材とその面上に積層された導電体メッシュ層とを有する構造が一般的である。これに対して本実施形態では光透過層12の基材部13が電磁波遮蔽層の透明基材の機能をも兼ねている。従って、本実施形態によれば、層構成を簡素化することができる。
ただし、従来の電磁波遮蔽層のように別に設けられた透明基材上に導電体メッシュ層を積層した公知の電磁波遮蔽層の形態を適用することを妨げるものではなく、このような電磁波遮蔽層を光透過層12に積層してもよい。
【0056】
導電体メッシュ層18aは、導電性を有することで電磁波遮蔽機能を発揮する層であり、メッシュを構成する線状の部材(ライン)自体は不透明だが、このラインがメッシュ状(微細な格子状)となっていることにより開口部が形成されて光を透過できる。
【0057】
メッシュの形状は特に限定されることはないが、開口部の形状が正方形である例が代表的である。その他例えば、三角形、四角形、多角形、円形、楕円形等でもよい。
メッシュのライン幅はメッシュの非視認性の観点から100μm以下、より好ましくは50μm以下である。ただし、電磁波遮蔽機能の確保、破断防止の観点から5μm以上とするのが良い。
メッシュの開口部の幅は100μm以上、より好ましくは150μm以上である。但し、電磁波遮蔽機能の確保の観点から最大3000μmが好ましい。
また、ラインの幅と間口部の幅との関係は光透過性の観点、及びハードコート層を形成するに際して開口部内に気泡が残留し難い観点から、開口率が60%以上となるようにするのが好ましく、電磁波遮蔽機能の確保の観点から97%以下となるようにするのが好ましい。なお、開口部が正方形の場合には開口率=[(間口部の幅)2/(ラインのピッチ)2]×100%で定義される。
導電体メッシュ層18aの厚さは、電磁波遮蔽機能の観点から1μm以上20μm以下が好ましいが、薄膜とする点、画像の視認性、ハードコート層形成時における気泡混入の観点、工程が短く歩留りが良い点、等から、より好ましくは1μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上3μm以下である。
【0058】
このような導電体メッシュ層18aは公知の方法により形成することができる。例えば、光透過層12の基材部13に導電インキをメッシュパターン状に印刷し、形成された導電インキ層上に金属メッキする方法を挙げることができる。
【0059】
また導電体メッシュ層18aには公知の導電体メッシュ層のように、黒化層や防錆層を設けてもよい。
黒化層は外光吸収、画像の視認性向上、コントラスト向上等を目的に設けることができる。このような黒化層は可視光領域に亘って光吸収性を有する物質を付与すること等により設けることができる。
防錆層は、錆を防止し、黒化層の脱落や変形を防止することを目的に設けられる。防錆層としては、例えば、ニッケル、亜鉛、及び/又は銅の酸化物、若しくはクロメート処理層を適用できる。
【0060】
次にハードコート層19について説明する。ハードコート層19は、表面保護層やHC層とも呼ばれることがあり、光学シート10の観察者側表面を保護する機能を有する層である。ハードコート層19は透明な樹脂層として形成することができ、ハードコート層19は擦り傷、表面汚染に対する耐性の観点から、硬化性樹脂が硬化してなる樹脂硬化層として形成することが好ましい。
具体的には電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂等を要求性能に応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系などが挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマーモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
【0061】
また、ハードコート層19には、耐汚染性向上の観点から、シリコーン系化合物、フッ素系化合物などを添加してもよい。
【0062】
以上説明した各部材を備える光学シート10は例えば次のように製造することができる。
【0063】
波長フィルタ層11の光透過層12は金型ロールを用いる方法や熱溶融押し出しによる方法で形成することができる。
金型ロールによる方法では、円筒状であるロールの外周面に、光透過層12の単位光透過凸部14aを転写可能な凹凸が設けられた金型ロールを準備する。そして金型ロールとこれに対向するように配置されたニップロールとの間に、基材部13となる基材を挿入する。このとき、基材と金型ロールとの間に光透過凹凸部構成組成物を供給しながら金型ロール及びニップロールを回転させる。これにより金型ロールの表面に形成された凹凸の凹部内に光透過凹凸部構成組成物が充填され、該組成物が金型ロールの凹凸の表面形状に沿ったものとなる。
【0064】
ここで、光透過凹凸部構成組成物としては、上記したものが好ましいが、さらに具体的には次の通りである。すなわち、光硬化型プレポリマー(P1)に、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)を配合した光硬化型樹脂組成物を用いることができる。
【0065】
上記光硬化型プレポリマー(P1)としては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等のプレポリマーを挙げることができる。
【0066】
また、上記反応性希釈モノマー(M1)としては、例えば、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等を挙げることができる。
【0067】
また、上記光重合開始剤(I1)としては、例えば、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメート等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン(ベンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらの中から、光硬化型樹脂組成物を硬化させるための照射装置及び光硬化型樹脂組成物の硬化性から任意に選択することができる。なお、光透過凹凸部14の着色防止の観点から好ましいのは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドである。
【0068】
これらの光硬化型プレポリマー(P1)、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)は、それぞれ、1種類で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
金型ロールと基材との間に挟まれ、ここに充填された光透過凹凸部構成組成物に対し、基材側から光照射装置により光を照射する。これにより組成物を硬化させ、その形状を固定させることができる。そして、離型ロールにより金型ロールから基材部及び成形された光透過凹凸部を離型する。
【0070】
一方、熱溶融押し出しについては次の通りである。すなわち、光透過層12の厚さ方向断面形状に対応する孔形状を有する押し出し用金型を準備する。そして熱により溶融した光透過層構成組成物を押し出し機を用いて加圧し、押し出し用金型の孔を通過させ、これを冷却することにより断面形状が光透過層の形状である長いシートを得ることができる。
【0071】
以上のように形成した光透過層に光吸収層を積層する。積層する方法は特に限定されることはないが、剥離シートの一方の面に粘着剤を含有する光吸収層構成組成物を積層させ、これを光透過層に被せるように積層する方法や、光吸収層構成組成物を直接に光透過層に塗工する方法を挙げることができる。
【0072】
電磁波遮蔽層18は上記したように、光透過層12の基材部13の面のうち光透過凹凸部14とは反対側の面に導電体メッシュ層18aを積層すればよい。
【0073】
ハードコート層19は、形成された導電体メッシュ層18a上から硬化前の上記したようなハードコート用組成物を塗布し、その後にこの組成物を硬化させることにより形成することが可能である。
【0074】
このような製造方法によれば、波長フィルタ層、及びこれを備える光学シートを効率よく製造することができる。
【0075】
光学シート10には上記した各層の他にも、他の機能を有する層を粘着剤等により積層してもよい。他の層として例えば近赤外線吸収層、紫外線吸収層、反射防止層、及び防眩層を挙げることができる。以下に各層について説明する。
【0076】
近赤外線吸収層は、PDPが発光するキセノンガス放電に起因して生じる近赤外線を吸収する機能を有する。近赤外線吸収層には公知の近赤外線吸収剤を有する市販フィルムを用いたり、近赤外線吸収色素を粘着層や樹脂層へ含有させた組成物を成膜したり、若しくはこれを透明基材又は他の機能性フィルタ上に塗布し、必要に応じ乾燥、硬化処理等を経て形成したものを用いることができる。
【0077】
近赤外線吸収色素としては、PDPが発光するキセノンガス放電に起因して生じる近赤外線領域、即ち、800nm以上1100nm以下の波長領域を吸収するものを用いる。該波長領域の近赤外線の透過率が20%以下が好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。
また、同時に近赤外線吸収層は、可視光領域、即ち、380nm以上780nm以下の波長領域で、十分な透過率を有することが望ましい。
【0078】
紫外線吸収層は、粘着剤を含む層、樹脂を含む層、基材層等の透明である有機材料の黄変等の劣化と、近赤外吸収色素やネオン吸収色素、調色色素等の着色材料の劣化を防止するために設けられる層であり、紫外線を吸収する機能を有している。従って粘着剤層よりも観察側に配置されることが好ましい。紫外線吸収層としては公知のものを用いることができる。
【0079】
反射防止層は、表示装置表面での外光の鏡面反射による背景の映り込み、画像の白化、及びコントラスト低下を低減するための層である。反射防止層は、屈折率の高い材料と屈折率の低い材料を交互に積層し、最表面が低屈折率である層となるように多層化し、各層界面での反射光を干渉によって相殺する。これにより、表面の反射を抑え、良好な反射防止効果を得ることができる。この反射防止層は、通常、MgF2、SiO2に代表される低屈折率材料と、TiO2、ZrO2等の高屈折率材料とを交互に蒸着等により成膜する気相法等によって形成される。また、反射防止層に紫外線遮蔽機能をもたらす観点から、反射防止層中に紫外線吸収剤を含有させても良い。
【0080】
防眩層は、磨りガラスのように光を散乱又は拡散させて外光による背景像をぼかす層である。そのために、防眩層は光の入射面を粗面化した構成を備えている。粗面化のための処理には、サンドブラスト法やエンボス法等により基体表面を直接、微細凹凸を形成して粗面化する方法、シリカ等の無機フィラー、樹脂粒子等の有機フィラーを含有させた塗膜により粗面を形成する方法、及び基体表面に海島構造による多孔質膜を形成する方法等を挙げることができる。
【0081】
図3は第二実施形態にかかる光学シート20のうち、その一部を拡大した図であり、波長フィルタ層21を示した図である。光学シート20は、波長フィルタ層21、電磁波遮蔽層18、及びハードコート層19を備えている。光学シート20のうち波長フィルタ層21以外は、第一実施形態にかかる光学シート10と共通する。従ってここでは波長フィルタ層21について説明し、他は図示及び説明を省略する。
【0082】
波長フィルタ層21は、第一実施形態の光学シート10に含まれる波長フィルタ層11と同様に光透過層22及び光吸収層25を備えている。従って、光透過層22は基材部23及び単位光透過凸部24aを有する光透過凹凸部24を有している。また、光吸収層25には基部26及び単位光吸収凸部27aを具備する光吸収凹凸部27が形成される。
【0083】
波長フィルタ層21は、単位光透過凸部24aの第一面24b、第二面24cが光学シート20の観察者側シート面の法線とのなす角が、第一実施形態と異なる。具体的には、本実施形態では、図3に示したように、第一面24bが光学シート20の観察者側シート面法線となす角をθ3、第二面24cが光学シート20の観察者側シート面法線となす角をθ4としたとき、θ3=θ4である。
【0084】
具体的なθ3、θ4の角度は限定されることはないが、θ3、θ4は20度以上40度以下であることが好ましく、25度以上35度以下であることがさらに好ましい。
例えばθ3、θ4を次のように得ることもできる。すなわち、上斜め45度から光学シートに入射する外光を考え、光透過層22を屈折率1.49のアクリル系樹脂で製作した場合、スネルの法則により、この外光は水平に対して上斜め28.3度から下がるように光透過凹凸部14中を進むことになるから、これに対応してθ3、θ4も28.3度とすることもできる。
【0085】
単位透過凸部24aのピッチは、加工性や、後述する光吸収層25を形成する観点から10μm以上50μm以下であることが好ましい。同様の理由で単位透過凸部24aの突出の高さは、20μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0086】
波長フィルタ層21の他の構成は上記した波長フィルタ層11と共通する。従ってここでは説明を省略する。
【0087】
図4は第三実施形態にかかる光学シート30のうち、その一部を拡大した図であり、波長フィルタ層31を示した図である。光学シート30は、波長フィルタ31、電磁波遮蔽層18、及びハードコート層19を備えている。光学シート30のうち波長フィルタ層31以外は、第一実施形態にかかる光学シート10と共通する。従ってここでは波長フィルタ層31について説明し、他は図示及び説明を省略する。
【0088】
波長フィルタ層31は、第一実施形態の光学シート10に含まれる波長フィルタ層11と同様に光透過層32及び光吸収層35を備えている。従って、光透過層32は基材部33及び単位光透過凸部34aを有する光透過凹凸部34を有している。また、光吸収層35には基部36及び単位光吸収凸部37aを具備する光吸収凹凸部37が形成される。
【0089】
波長フィルタ層31は、図4からわかるように、断面において半円状、すなわち半円の断面を有する柱状となる単位光吸収凸部37aを有する点で波長フィルタ11とは異なる。また、単位光透過凸部34aは単位光吸収凸部37a間を埋めるような形状を有している。
【0090】
波長フィルタ層31の他の構成は上記した波長フィルタ層11と共通する。従ってここでは説明を省略する。
【0091】
以上説明した各実施形態の光学シートでは、いずれも、光吸収層に粘着剤を含む例を説明した。しかしながら、光吸収層は必ずしも粘着剤を含む層である必要はなく、光吸収凹凸部を有し、これが波長フィルタ機能を有するとともに、光透過凹凸部と同じ屈折率であればよい。このような光吸収層を構成する材料は特に限定されるものではなく、例えば上記した光透過層を構成する組成物から選択した材料に上記の光吸収手段を含ませてもよい。
【0092】
また、上記各実施形態の光学シートで説明した光透過凹凸部及び光吸収凹凸部の凹凸形状は例示であり、他の形状であってもよい。これには例えば台形や他の多角形、曲面を有する形状であってもよい。
【0093】
図5は映像源ユニット4を具備する表示装置1を模式的に示した分解斜視図である。ここで、映像源ユニット4には光学シート10が備えられている。図5では紙面右上が観察者側、紙面左下が背面側である。図5からわかるように、表示装置1は、前面側筐体2と背面側筐体3とにより形成される筐体の内側に、映像源ユニット4が配置されている。本実施形態の表示装置1はプラズマテレビであり、映像源ユニット4はプラズマディスプレイパネルユニット4(PDPユニット4)である。表示装置1には、映像源ユニット4の他にもその筐体内に表示装置に備えられるべき公知の各装置が具備される。これには例えば、各種電気回路や冷却手段等を挙げることができる。
【0094】
図6は図5に表した映像源ユニット4の断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。図6は、図5にVI−VIで示した線に沿った断面で、紙面右が観察者側である。
映像源ユニット4は、PDP5及び該PDP5に積層された光学シート10を備えている。図6からわかるように映像源ユニット4では、光吸収層15がPDP5側に向けられ、その粘着機能により光学シート10がPDP5に直接積層されている。
PDP5は、公知のPDPを用いることができる。図6からわかるように本実施形態では、単位光透過凸部14aの第一面14bが上、第二面14cが下となるように配置されている。従って単位光透過凸部14a、単位光吸収凸部17aは水平方向を長手方向とし、垂直方向に並列されている。
【0095】
光学シート10を備えるこのような表示装置1における映像光及び外光の光路について説明する。図7には、波長フィルタ層11の一部を拡大した図を示し、この部分における光路例L1〜L7を矢印で示した。ただし、当該光路は説明のために概念的に表したものである。
【0096】
映像光L1〜L5は、PDP5から出射して光吸収層15に入射する。光吸収層15に入射した映像光L1〜L5は、光吸収層15の基部16及び光吸収凹凸部17の1つの単位光吸収凸部17aを通過し、光透過層12の単位光透過凸部14aに入射して最終的に観察者側に提供される。
【0097】
このとき、単位光吸収凸部17aと単位光透過凸部14aとは屈折率が同じなので、映像光L1〜L5はその界面で屈折することなく直進する。また、映像光L1〜L5まではそれぞれ異なる厚さで光吸収層15を透過することになる。従って、上記したように、均一の厚さである光吸収層を透過したときに比べ高い透過率で光吸収層を透過する。これにより従来よりも正面輝度を高めることができる。
【0098】
一方、外光L6、L7は観察者側から正面に対して所定の角度を有して光透過層12を透過して光吸収層15に侵入し、ここで減衰される。このとき外光L6、L7についても、単位光吸収凸部17aと単位光透過凸部14aとは屈折率が同じなので、外光L6、L7はその界面で屈折することなく直進する。また、吸光度は吸収厚さと比例し、外光は斜め方向から入射する関係にあることから、外光の吸収距離は、総合すると映像光に比べて均一厚さである光吸収層に近い状態であるから外光は映像光に比べて吸収される程度が大きく、コントラストの低下を抑えることができる。本実施形態では特に斜め上方からの外光に対して効果が高い。
【0099】
以上のように、厚さが均一である光吸収層よりも、正面輝度を上げつつコントラストの低下は抑えることが可能である。
一方、光学シート10は、上記した特許文献2、特許文献3のように複雑な構造でなく、その製造も容易であるから簡易に低コストで光学シートを提供することができる。
すなわち、簡易及び低コストでありつつ、光学的特性のよい光学シート、及び該光学シートを備える表示装置とすることが可能である。
【0100】
図8は、光学シート10’を有する例にかかる表示装置を説明する図であり、図6に相当する図である。当該例にかかる表示装置は、映像源ユニット4’を有しており、ここに光学シート10’が含まれている。
光学シート10’は、光学シート10に対して光透過層12がPDP5側、光吸収層15が観察者側に配置された点、及び上下方向が反対となっている点で異なる。その他の構成については表示装置1と共通である。なお、PDP5と光学シート10’は不図示の粘着剤層で粘着固定されている。
また、本実施形態では、電磁波遮蔽層18’を備え、該電磁波遮蔽層18’は、透明基材18bの面に導電体メッシュ層18aが積層されることにより形成されている。このような電磁波遮蔽層18’は公知のものを用いることが可能である。そして透明基材18bのうち、導電体メッシュ層18aが配置されていない側の面が光吸収層15に積層されている。
かかる表示装置でも表示装置1と同様の上記効果を奏するものとなる。
【0101】
図9は、光学シート10を有する他の例にかかる表示装置を説明する図であり、図6に相当する図である。当該他の例にかかる表示装置では、映像源ユニット4’’において、表示装置1に対して光学シート10の上下方向を逆にして用いている。
本実施形態でも、厚さが均一である光吸収層よりも、正面輝度を上げつつコントラストの低下は抑えることが可能である。本実施形態では例えば床面からの反射外光のように斜め下方からの外光に対してその効果が高い。
【0102】
以上説明した表示装置の他、光学シート10の代わりに光学シート20、光学シート30を用いてもよい。
【実施例】
【0103】
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明は当該実施例に限定されるものではない。
【0104】
<実施例1>
実施例1では、次のように光学シートを作製した。
【0105】
(1)金型ロールの作製
光透過層の作製に供される金型ロールを作製した。金型ロールは、円柱状であり、銅メッキが施され、当該銅メッキ部分をバイト(切削工具)により切削して光透過層の単位光透過凸部に対応する溝を形成した。バイトとしてはダイヤモンドバイトを用いた。バイトはすくい面から見たときにその先端が2つの斜辺とこれが交わる1つの頂点を有する形状であり、一方の斜面角度がロールの円柱状の半径方向に対して0度、他方の斜辺角度が28.3度とした。
このようなダイヤモンドバイトを用いて、ロール軸方向の溝間ピッチは10μmとして金型ロールの銅メッキ層の外周を切削して溝を形成したところ、ピッチ10μm、深さ18.5μm、斜面角度がロール半径方向に対して0度、及び、28.3度の溝が形成された。この切削したロールにクロムメッキを施した。
【0106】
(2)単位光透過凸部構成組成物の調整
ポリエステルジオール/トリレンジイソシアネート/2−ヒドロキシエチルアクリレート=85:10:5からなる光硬化性プレポリマー(P1)を10.0質量部、反応性希釈モノマー(M1)としてのフェノキシエチルアクリレートを30.0質量部、ビスフェノールAポリエトキシエトキシアクリレートを30.0質量部、トリプロピレングリコールジアクリレートを30.0質量部、金型離型剤(S1)としてのテトラデカノールーエチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステル(モノエステル/ジエステル=モル比1/1)を0.05質量部、光重合開始剤(I1)としての1−ヒドロキーシシクロヘキシルーフェニルーケトン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャリティケミカルズ株式会社製)を3.0質量部を用いた。
これらの光硬化性プレポリマー(P1)、反応性希釈モノマー(M1)、金型離型剤(S1)、光重合開始剤(I1)を混合し、均一化して単位光透過凸部構成組成物を得た。この組成物を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、多波長アッベ屈折計DR−M4(アタゴ)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.51であった。
【0107】
(3)光透過層の形成
上記(1)で作製した金型ロールと、ニップロールと、の間に、基材部となる基材として、易接着PETフィルム(東洋紡績株式会社製、A4300、厚さ100μm)を挿入して搬送した。この基材の搬送に合わせ、上記(2)で得られた単位光透過凸部構成組成物を基材上に供給装置から供給し、金型ロール及びニップロール間の押圧力により、基材と金型ロールとの間に組成物を充填した。その後、基材側から高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して単位光透過凸部構成組成物を硬化させて、光透過層を形成した。その後、剥離ロールにより、金型ロールから当該光透過層を離型し、厚さが140μmである光透過層を作製した。
従って図2のθ1が0度、θ2が28.3度であり、ピッチが10μm、高さが18.5μmの単位光透過凸部を有する光透過層となった。
【0108】
(4)光吸収層構成組成物の調整
アクリル系粘着剤(感圧性粘着剤「オリバイン」BPS6271:商品名、固形分27%、東洋インキ製造(株)製)99.7質量部、および硬化剤(BXX5627:商品名、東洋インキ製造(株)製)0.3質量部に、近赤外線吸収剤として、フタロシアニン系化合物(IR12:商品名、日本触媒(株)製)0.05質量部、フタロシアニン系化合物(IR14:商品名、日本触媒(株)製)0.02質量部、及びジインモニウム系化合物(IRG−068:商品名、日本触媒(株)製)0.03質量部を配合した。さらに、ネオン光吸収化合物(TAP2:商品名、山田化学(株))を0.01質量部配合した。更に、紫外線吸収材として、CyasorbUV24(サイテック社製)を4質量部、光安定剤として、TINUVINN144(チバスぺシャルティケミカル製)を2質量部、調色色素として、KAYASET(日本化薬(株)製)を0.29質量部、及び、層状粘土鉱物として、クニピアD36(クニミネ工業(株)製)を0.05質量部配合し、混合物を得た。この混合物を十分攪拌させて光吸収層構成組成物を作製した。
【0109】
(5)光吸収層の形成
(4)で作製した光吸収層構成組成物を(3)で作製した光透過層の光透過等凸部の単位光透過凸部間に形成される溝の底部から厚さ25.0μmとなるように塗布した。その後、100℃で2分間乾燥させ塗膜を形成し、この塗膜上に38μmの軽剥離性離型フィルム(東洋紡績社製、E7005)をラミネートした。
なお、この光吸収層について、多波長アッベ屈折計DR−M4(株式会社アタゴ製)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.49であった。
【0110】
以上により、実施例1としての波長フィルタ層を有する光学シートを得た。そして、プラズマテレビ(パナソニック株式会社製 VIERA TH−P50G2)から既存の光学シートを剥離し、代わりに本実施例の光学シートを貼合した。貼合の際には図6のように光吸収層が映像源側となるように配置した。
【0111】
<実施例2>
実施例2では、実施例1の「光吸収層構成組成物の調整」に対して、調色色素の量を0.29質量部から0.30質量部に変更して、光吸収層構成組成物を得た。他は実施例1と共通である。
以上により、実施例2としての波長フィルタ層を有する光学シートを得た。そして、プラズマテレビ(パナソニック株式会社製 VIERA TH−P50G2)から既存の光学シートを剥離し、代わりに本実施例の光学シートを貼合した。貼合の際には図6のように光吸収層が映像源側となるように配置した。
【0112】
<実施例3>
実施例3では、実施例1の光学シートをプラズマテレビ(パナソニック株式会社製 VIERA TH−P50G2)に貼合する際、図8のように、実施例1の光学シートを上下方向を反対にするとともに、光透過層を映像源側となるように配置した。
【0113】
<実施例4>
実施例4では、実施例2の光学シートをプラズマテレビ(パナソニック株式会社製 VIERA TH−P50G2)に貼合する際、図8のように、実施例2の光学シートを上下方向を反対にするとともに、光透過層を映像源側となるように配置した。
【0114】
<比較例1>
比較例1では、実施例1の「波長フィルタ機能を具備する粘着剤組成物の調整」に対して、調色色素の量を0.29質量部から0.10質量部に変更して、波長フィルタ機能を具備する粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物を厚さ38μmの中剥離性離型フィルム(東洋紡績社製、E7007)上に厚さ25μmになるように塗布した。その後、100℃、2分間乾燥させ塗膜を形成し、この塗膜上に38μmの軽剥離性離型フィルム(東洋紡績社製、E7005)をラミネートし、厚さが均一な波長フィルタ機能を有する粘着層を作製した。
そしてプラズマテレビ(パナソニック株式会社製 VIERA TH−P50G2)から既存の光学フィルターを剥離し、その代わりに本比較例の光学シートを貼合した。
【0115】
<評価>
評価は図11に示した環境でおこなった。図11は、試験を行った空間を側面から見た図で、紙面左右方向を空間の幅方向、紙面上下方向を空間の高さ方向、紙面奥/手前方向を空間の奥行き方向とする。すなわち、幅12m、高さ3m、奥行き10mの空間の天井部に図11に示したように蛍光灯を配置した。なお、空間の床、壁面天井いずれも白色としている。また、空間の奥行き方向には、該奥行き方向に蛍光灯を並列した。プラズマテレビは、空間の幅方向一端側で、奥行き方向中央の床に載置した。
照度計(ミノルタ(T−1H))をその受光面が観察者側正面を向くようにプラズマテレビ画面中央の観察者側に設置し、照度計の値が600ルクスとなる蛍光灯環境下にて、正面白輝度、正面黒輝度を測定した。輝度計(ミノルタ(LS−110))を画面中心から0度方向2mの距離に設置した。
正面白輝度は、パターンジェネレーター(KENWOOD CG−935N)のWHITEモードで全白画面を表示させて測定した。一方、正面黒輝度は、同じパターンジェネレーターを用いて、CROSS HATCHモードで格子パターンを表示させ、黒部分を測定した。
そして比較例1の正面白輝度、及び正面黒輝度をそれぞれ100とした時に実施例1〜実施例4の正面白輝度、正面黒輝度を表した。従って正面白輝度が高いほど正面輝度が向上し、正面黒輝度が低い程コントラストが高くなることを意味する。
【0116】
<評価結果>
結果を表1に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
実施例1〜実施例4ではいずれも、比較例1に対して正面白輝度を向上させることができた。そしてこの時の正面黒輝度の結果から比較例1よりコントラストの向上が見られた。
【0119】
また、実施例1〜実施例4で作製した光学シートは比較例1で説明したシートよりは製造工程は複雑になるが、特許文献2、特許文献3に開示された光学シートと比べると簡易的に製造することができる。従って、簡易的に、コストが上昇することを抑えつつも比較例1のような光学シートよりも高い性能を得ることができる。
【符号の説明】
【0120】
1 プラズマテレビ(表示装置)
4 プラズマディスプレイパネル(PDP・映像源)
10 光学シート
11 波長フィルタ層
12 光透過層
13 基材部
14 光透過凹凸部
14a 単位光透過凸部
15 光吸収層
16 基部
17 光吸収凹凸部
17a 単位光吸収凸部
18 電磁波遮蔽層
19 ハードコート層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に備えられて映像源より観察者側に配置され、前記映像源からの映像光を制御して前記観察者側に出射することが可能な複数の層を有する光学シートであって、
可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する波長フィルタ層を備え、
前記波長フィルタ層は、前記可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する光吸収層と、前記光吸収層に積層されて光を透過する光透過層と、を具備し、
前記光吸収層と前記光透過層との境界は層厚方向に凹凸を有しており、
前記光吸収層と前記光透過層とは少なくとも前記界面を形成する一方と他方とで屈折率が同じである、
光学シート。
【請求項2】
表示装置に備えられて映像源より観察者側に配置され、前記映像源からの映像光を制御して前記観察者側に出射することが可能な複数の層を有する光学シートであって、
可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する波長フィルタ層を備え、
前記波長フィルタ層は、前記可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する光吸収層と、前記光吸収層に積層されて光を透過する光透過層と、を具備し、
前記光吸収層は、前記光透過層に向けて突出する部位である単位光吸収凸部が複数並列された光吸収凹凸部を有し、
前記光透過層は、前記光吸収層に向けて突出する部位である単位光透過凸部が複数並列された光透過凹凸部を有し、
前記光吸収凹凸部と前記光透過凹凸部とは、前記単位光吸収凸部と前記単位光透過凸部とが互いに凹凸を埋め合うように配置されて界面を形成し、
前記単位光吸収凸部と前記単位光透過凸部とは屈折率が同じである、
光学シート。
【請求項3】
前記単位光吸収凸部及び前記単位光透過凸部は、断面においてシート面法線に対して傾斜する少なくとも2つの面を具備する請求項2に記載の光学シート。
【請求項4】
前記光吸収層又は前記光透過層のいずれかに粘着剤が含まれている請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項5】
前記光吸収層又は前記光透過層のいずれかのうち、該光吸収層と該光透過層との界面が形成される側とは反対側に電磁波遮蔽層及びハードコート層の少なくとも一方が配置される請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項6】
前記光吸収層又は前記光透過層のいずれかに、該光吸収層又は該光透過層の基部となる層を有し、該層に電磁波遮蔽機能を有する導電体メッシュ層が形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項7】
映像源と、該映像源の観察者側に配置された請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学シートと、を備える、
表示装置。
【請求項8】
請求項2〜6のいずれか一項に記載の光学シートを製造する方法であって、
前記光吸収層の前記単位光吸収凸部、又は前記光透過層の前記単位光透過凸部の形状に対応した表面形状を有する金型ロールと、ニップロールとの間に基材を挿入し、
前記基材と前記金型ロールとの間に組成物を充填するとともに、該組成物に紫外線を照射して前記組成物を硬化させて前記単位光吸収凸部、又は前記単位光透過凸部を形成する工程を含む光学シートの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学シートを製造する方法であって、
前記光吸収層、又は前記光透過層の断面形状に対応する孔を有する金型に、加熱により溶融した組成物を加圧して圧入し、前記金型の孔から流出した前記組成物を冷却して前記光吸収層、又は前記光透過層を形成する工程を含む光学シートの製造方法。
【請求項10】
請求項4に記載の光学シートを製造する方法であって、
前記光吸収層又は前記光透過層のうち、前記粘着剤を含む層を構成する組成物を剥離シートに塗布し、その後、前記組成物を前記粘着剤を含まない方の層に積層する工程を含む光学シートの製造方法。
【請求項11】
請求項4に記載の光学シートを製造する方法であって、
前記光吸収層又は前記光透過層のうち、前記粘着剤を含む層を構成する組成物を直接に前記粘着剤を含まない方の層に塗布する工程を含む光学シートの製造方法。
【請求項1】
表示装置に備えられて映像源より観察者側に配置され、前記映像源からの映像光を制御して前記観察者側に出射することが可能な複数の層を有する光学シートであって、
可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する波長フィルタ層を備え、
前記波長フィルタ層は、前記可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する光吸収層と、前記光吸収層に積層されて光を透過する光透過層と、を具備し、
前記光吸収層と前記光透過層との境界は層厚方向に凹凸を有しており、
前記光吸収層と前記光透過層とは少なくとも前記界面を形成する一方と他方とで屈折率が同じである、
光学シート。
【請求項2】
表示装置に備えられて映像源より観察者側に配置され、前記映像源からの映像光を制御して前記観察者側に出射することが可能な複数の層を有する光学シートであって、
可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する波長フィルタ層を備え、
前記波長フィルタ層は、前記可視光の波長領域の少なくとも一部を減衰して透過する光吸収層と、前記光吸収層に積層されて光を透過する光透過層と、を具備し、
前記光吸収層は、前記光透過層に向けて突出する部位である単位光吸収凸部が複数並列された光吸収凹凸部を有し、
前記光透過層は、前記光吸収層に向けて突出する部位である単位光透過凸部が複数並列された光透過凹凸部を有し、
前記光吸収凹凸部と前記光透過凹凸部とは、前記単位光吸収凸部と前記単位光透過凸部とが互いに凹凸を埋め合うように配置されて界面を形成し、
前記単位光吸収凸部と前記単位光透過凸部とは屈折率が同じである、
光学シート。
【請求項3】
前記単位光吸収凸部及び前記単位光透過凸部は、断面においてシート面法線に対して傾斜する少なくとも2つの面を具備する請求項2に記載の光学シート。
【請求項4】
前記光吸収層又は前記光透過層のいずれかに粘着剤が含まれている請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項5】
前記光吸収層又は前記光透過層のいずれかのうち、該光吸収層と該光透過層との界面が形成される側とは反対側に電磁波遮蔽層及びハードコート層の少なくとも一方が配置される請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項6】
前記光吸収層又は前記光透過層のいずれかに、該光吸収層又は該光透過層の基部となる層を有し、該層に電磁波遮蔽機能を有する導電体メッシュ層が形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項7】
映像源と、該映像源の観察者側に配置された請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学シートと、を備える、
表示装置。
【請求項8】
請求項2〜6のいずれか一項に記載の光学シートを製造する方法であって、
前記光吸収層の前記単位光吸収凸部、又は前記光透過層の前記単位光透過凸部の形状に対応した表面形状を有する金型ロールと、ニップロールとの間に基材を挿入し、
前記基材と前記金型ロールとの間に組成物を充填するとともに、該組成物に紫外線を照射して前記組成物を硬化させて前記単位光吸収凸部、又は前記単位光透過凸部を形成する工程を含む光学シートの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学シートを製造する方法であって、
前記光吸収層、又は前記光透過層の断面形状に対応する孔を有する金型に、加熱により溶融した組成物を加圧して圧入し、前記金型の孔から流出した前記組成物を冷却して前記光吸収層、又は前記光透過層を形成する工程を含む光学シートの製造方法。
【請求項10】
請求項4に記載の光学シートを製造する方法であって、
前記光吸収層又は前記光透過層のうち、前記粘着剤を含む層を構成する組成物を剥離シートに塗布し、その後、前記組成物を前記粘着剤を含まない方の層に積層する工程を含む光学シートの製造方法。
【請求項11】
請求項4に記載の光学シートを製造する方法であって、
前記光吸収層又は前記光透過層のうち、前記粘着剤を含む層を構成する組成物を直接に前記粘着剤を含まない方の層に塗布する工程を含む光学シートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−150354(P2012−150354A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10155(P2011−10155)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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