説明

光学シート及びこれを用いたバックライトユニット

【課題】シート面の領域毎の光学的機能の制御が容易かつ確実であり、バックライトユニットの輝度の均一性及び薄型化を向上することができる光学シート及びこれを用いたバックライトユニットの提供を目的とするものである。
【解決手段】本発明の光学シートは、透明な基材層と、この基材層の表面に積層される光学層とを備える光学シートであって、この光学層が、基材層表面に散点的に積層される複数の光拡散部を有し、この光拡散部が、光拡散剤とそのバインダーを含むことを特徴とする。上記光拡散部は、凸レンズ状に形成されていることが好ましく、光拡散剤のバインダーに対する質量比は、0.1以上2以下であることが好ましい。上記光拡散部の平均直径(D)が10μm以上300μm以下、平均高さ(H)の平均直径(D)に対する高さ比(H/D)が0.05以上0.5以下であるとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学シート及びバックライトユニットに関し、詳細には液晶表示装置に好適な光学シート及びこれを用いたバックライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶層を背面から照らして発光させるバックライト方式が普及し、液晶層の下面側にエッジライト型、直下型などのバックライトユニットが装備されている。かかるエッジライト型のバックライトユニット20は、基本的には図4に示すように光源としての線状のランプ21と、ランプ21に端部が沿うように配置される方形板状の導光板22と、導光板22の表面側に積層される複数枚の光学シート23とを装備している。この光学シート23は、屈折、拡散等の特定の光学機能を有するものであり、具体的には導光板22、導光板22の表面側に配設され主に光拡散機能を有する光拡散シート24、光拡散シート24の表面側に配設され法線方向側への屈折機能を有するプリズムシート25などが該当する。
【0003】
このバックライトユニット20の機能を説明すると、まずランプ21より導光板22に入射した光線は、導光板22裏面の反射ドット又は反射シート(図示していない)で反射され、導光板22の表面から出射される。導光板22から出射した光線は光拡散シート24に入射し、光拡散シート24で拡散され、光拡散シート24表面より出射される。その後、光拡散シート24から出射された光線は、プリズムシート25に入射し、プリズムシート25表面に形成されたプリズム部25aによって略法線方向にピークを示す分布の光線として出射される。
【0004】
このように、ランプ21から出射された光線が、光拡散シート24によって拡散され、またプリズムシート25によって略法線方向にピークを示すように屈折され、さらに表面側の液晶層(図示していない)全面を照明するものである。なお、図示していないが、上述のプリズムシート25の集光特性の緩和やプリズム部25aの保護又は偏光板等の液晶パネルとプリズムシート25とのスティッキングの防止等を目的として、プリズムシート25の表面側にさらに光学シートが配設されている。
【0005】
上記バックライトユニット20に備える光拡散シート24としては、一般的には合成樹脂製の透明な基材層の表面にビーズを塗工するビーズ塗工タイプの光拡散シート(例えば特開平7−5305号公報、特開2000−89007公報等参照)が使用されている。かかる光拡散シートは、表面の微細な凹凸により光拡散機能が奏される。
【0006】
上記従来の光拡散シートにおいては、ビーズ層が塗工により基材層全面に積層されるため、光拡散機能がシート全面に略均一に発現される。これは、プリズムシートも同様である。一方、バックライトユニットは構造上どうしてもランプ21近傍の輝度が大きくなる傾向があるため、導光板22表面の加工処理等により、液晶パネル全面に均一な輝度が確保されるよう工夫されている。しかし、この導光板22表面等の加工は射出成形で行われているものが多く、射出成形に用いる金型の成形のための時間がかかるため、表面パターン等の修正に要するリードタイムが長く、また多種の製品の製造には時間を要するという不都合が存在する。
【特許文献1】特開平7−5305号公報
【特許文献2】特開2000−89007公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、シート面の領域毎の光学的機能の制御が容易かつ確実であり、バックライトユニットの輝度の均一性及び薄型化を向上することができる光学シート及びこれを用いたバックライトユニットの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、透明な基材層と、この基材層の表面に積層される光学層とを備える光学シートであって、この光学層が、基材層表面に散点的に積層される複数の光拡散部を有し、この光拡散部が、光拡散剤とそのバインダーを含むことを特徴とする光学シートである。
【0009】
当該光学シートは、光学層が基材層表面に散点的に積層される複数の光拡散部を有していることから、光学シート上に光が拡散される部分と光が拡散されない部分が存在し、光拡散性がシート上の領域によって異なることとなる。つまり、当該光学シートによれば光学層の積層部の配置等を調整することにより、光学シート上の意図する箇所に意図する高度の光を拡散させることができ、すなわち、シート面毎の光拡散性の微調整を行うことができる。また、当該光学シートは印刷により光拡散部を基材層に積層させることができるので、積層部の配置等の調整も容易に行うことができる。
【0010】
上記光拡散部は、凸レンズ状に形成されていることが好ましい。光拡散部が凸レンズ状に形成されていることにより、光拡散性を向上させ、また光拡散性の制御を容易に行うことができる。
【0011】
上記光拡散剤のバインダーに対する質量比としては、0.1以上2以下であることが好ましい。光拡散剤の質量比を上記範囲とすることで、光拡散性を効果的に発現することができる。
【0012】
上記光拡散部の平均直径(D)としては、10μm以上300μm以下であることが好ましい。光学層がこのような直径を有する凸レンズ状の光拡散部から構成されていることにより、当該光学シートの光学的機能が容易かつ確実に制御される。
【0013】
上記光拡散部の平均高さ(H)の平均直径(D)に対する高さ比(H/D)としては0.05以上0.5以下であるとよい。光拡散部の高さ比(H/D)を上記範囲とすることで、拡散、法線方向側への変角等の光学的機能が高められる。
【0014】
上記光拡散部における光拡散剤の屈折率(n)とバインダーの屈折率(n)との差の絶対値(|n−n|)は、0.05以上であるとよい。光拡散剤とバインダーが上記の屈折率差を有することで、効率的に集光、法線方向側への屈折、拡散等を行うことができる。
【0015】
上記光拡散部における光拡散剤の粒子直径は、0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。光拡散剤の粒子直径が上記範囲未満であると、光拡散効果が不十分となってしまい、逆に、上記範囲を超えると、光拡散部を形成するバインダーの配設が困難となってしまうからである。
【0016】
上記光学層における光拡散部の積層率としては10%以上90%であるとよい。積層率を上記範囲とすることで、拡散等の光学的機能を容易に制御することができる。
【0017】
上記光拡散部の配設パターンが正三角格子パターンであることが好ましい。この正三角形格子パターンは、凸レンズ状の光拡散部をより密に配設することができる。そのため、当該正三角形格子パターンによれば、凸レンズ状の光拡散部の充填率が容易に高められ、法線方向側への屈折、拡散等の光学的機能が格段に向上する。
【0018】
また、上記光拡散部の配設パターンとしてはランダムパターンも好ましい。このようにランダムパターンによれば、当該マイクロレンズシートを他の光学部材と重ね合わせた際にモアレの発生が低減される。
【0019】
上記基材部の裏面には、波状のプリズム形状を有しており、プリズムの平均高さ(H)のプリズムピッチ(P)に対する高さ比(H/P)が0.05以上0.5以下である
ことが好ましい。基材層の裏面に上記高さ比のプリズム形状を有することにより、法線方向側への屈折、拡散等の光学的機能が格段に向上する。
【0020】
従って、ランプから発せられる光線を分散させてその表面側に当該光線を導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、領域毎にに輝度の調整が可能で、拡散、変角等の光学的機能の高い当該光学シートを備えると、輝度の調整を当該光学シートで行うことができ、輝度の統一化により品質が高められる。
【0021】
ここで、「凸レンズ状」とは、断面形状が凸状を有することを意味し、平面形状が円形であることには限定されない。「平均高さ(H)」とは、凸レンズ状の光拡散部の基底面から最頂部までの平均垂直距離を意味する。「平均直径(D)」とは、凸レンズ状の光拡散部の基底の平均直径を意味する。「積層率」とは、当該光学シートの表面投影形状における単位面積あたりの光拡散部の占有比率を意味する。「三角形格子パターン」とは、表面を同一形状の正三角形に区分し、その三角形の各頂点に光拡散部を配設するパターンを意味する。「平均高さ(H)」とは、プリズムの基底面から頂点までの平均垂直距離を意味する。また、「プリズムピッチ(P)」とは、プリズムの断面形状における平均頂点間距離を意味する。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の光学シート及びこれを用いたバックライトユニットによれば、シート面の領域毎の光学的機能の制御を容易かつ確実に行うことができ、バックライトユニットの輝度の均一性及び薄型化を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。図1(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る光学シートを示す模式的部分平面図及び模式的部分断面図、図2は図1の光学シートとは異なる形態に係る光学シートを示す模式的部分断面図、図3は図2の光学シートを備えるバックライトユニットを示す模式的断面図である。
【0024】
図1の光学シート1は、基材層2及びこの基材層2の表面側に設けられた光学層3を備えている。
【0025】
基材層2は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂から形成されている。かかる基材層2に用いられる合成樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル、活性エネルギー線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等が挙げられる。中でも、透明性に優れ、強度が高いポリエチレンテレフタレートが好ましく、撓み性能が改善されたポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0026】
基材層2の厚み(平均厚み)は、特に限定されないが、例えば50μm以上800μm以下、好ましくは100μm以上600μm以下とされる。基材層2の厚みが上記範囲未満であると、バックライトユニット等において熱に曝された際にカールが発生しやすくなってしまう、取り扱いが困難になる等の不都合が発生する。逆に基材層2の厚みが上記範囲を超えると、液晶表示装置の輝度が低下してしまうことがあり、またバックライトユニットの厚みが大きくなって液晶表示装置の薄型化の要求に反することにもなる。
【0027】
光学層3は、複数の凸レンズ状の光拡散部4から構成されており、光拡散剤5とバインダー6とを備えている。かかる光拡散剤5はバインダー6で被覆されている。このように光拡散部4中に含有する光拡散剤5によって、光拡散部4を透過する光線を均一に拡散させることができる。また、光拡散剤5によって光拡散部4の表面に微細な凸部が略均一かつ略緻密に形成されている。このように光学シート1表面に形成される微細な凹凸のレンズ的屈折作用により、光線をより良く拡散させることができる。
【0028】
光拡散部4は、凸レンズ状の形状を有している。当該手段によれば、凸レンズ形状を有していることで、光拡散部4表面における光の屈折角度が調整され、光線をよりよく拡散及び法線方向への変角をさせることができる。
【0029】
光拡散部4は、基材層2の表面全体に比較的密にかつ幾何学的に配設されている。光拡散部4は、基材層2の表面において、正三角形格子パターンで配設されている。従って、光拡散部4の配設間隔は全て一定である。この配設パターンは、光拡散部4を最も密に配設することができ、当該光学シート1の拡散機能、変角機能等の光学的機能を向上することができる。
【0030】
光拡散部4の積層率の下限としては、10%、特には15%、さらに特には20%が好ましい。このように光拡散部4の積層率を上記下限以上とすることで、当該光学シート表面における光拡散部4の占有面積を高め、当該光学シート1の拡散、変角等の光学的機能が格段に向上される。
【0031】
光拡散部4の積層率の上限としては、90%、特には75%、さらに特には60%が好ましい。このように光拡散部4の積層率を上記上限以下とすることで、当該光学シート表面における光拡散部4の配置を自由に移動させることができ、光学的機能を容易に制御することができる。
【0032】
光拡散部4の平均直径(D)としては、10μm以上300μm以下、特には40μm以上100μm以下であることが好ましい。光拡散部4の直径を上記範囲とすることで当該光学シート1の拡散、変角等の光学的機能が容易かつ確実に制御される。なお、光拡散部4の直径は全て同一でもよいし、シート上の位置によって変化させてもよい。例えば、輝度を高めたい部分の光拡散部4の直径を大きくすることにより、当該光学シートにおいて輝度の微調整を行うことができる。また、光拡散部4の平面形状としては、円形に限定されず、楕円形、四角形、六角形等の多角形等が適宜採用される。
【0033】
光拡散部4の平均高さ(H)の平均直径(D)に対する高さ比(H/D)としては0.05以上0.5以下であることが好ましい。光拡散部4の高さ比を上記範囲とすることで、凸レンズ形状を有する光拡散部4が、光拡散部4の表面において効果的に凸レンズとして機能し、光線の拡散、法線方向への変角等を行うことができる。
【0034】
光拡散剤5は、光線を拡散させる性質を有する粒子であり、形成材料としては、無機フィラーと有機フィラーに大別される。無機フィラーの具体的な材料としては、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケート、又はこれらの混合物を用いることができる。有機フィラーの具体的な材料としてはアクリル樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等を用いることができる。中でも、透明性が高いアクリル系樹脂が好ましく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が特に好ましい。その他、蛍光材を含有させることも可能である。
【0035】
光拡散剤5の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば球状、立方状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられ、中でも光拡散性に優れる球状のビーズが好ましい。
【0036】
光拡散剤5の平均粒子径の下限としては、1μm、特に2μm、さらに特に5μmが好ましく、光拡散剤5の平均粒子径の上限としては、50μm、特に20μm、さらに特に15μmが好ましい。これは、光拡散剤5の平均粒子径が上記範囲未満であると、光拡散剤5によって形成される光学層3表面の凹凸が小さくなり、必要な光拡散性を満たさないおそれがあり、逆に、光拡散剤5の平均粒子径が上記範囲を越えると、光学シート1の厚さが増大し、かつ、均一な拡散が困難になることからである。当該光拡散剤5の平均粒子径は、任意に抽出した1000個の光拡散剤5を顕微鏡で拡大して粒子の直径を測定し、これを単純平均することにより導出される。なお、光拡散剤5が球形でない場合は、任意の一方向における光拡散剤5の寸法とこれと直交する方向における光拡散剤5の寸法とを平均した値とする。
【0037】
光拡散剤5のバインダー6に対する質量比としては、0.1以上2以下、特に0.3以上0.5以下であることが好ましい。これは、光拡散剤5の質量比が上記未満であると、光拡散性が不十分となってしまい、一方、光拡散剤5の質量比が上記範囲を超えると光拡散剤5を固定する効果が低下することからである。
【0038】
光拡散剤5の屈折率(n)とバインダー6の屈折率(n)との差の絶対値(|n−n|)としては、0.05以上であることが好ましい。光拡散剤5とバインダー6が上記の屈折率差を有することで、基材層2と光学層3との界面及び光学層3表面における屈折に加え、光拡散剤5とバインダー6との界面においても効果的な屈折が生じるため、効率的に、集光、法線方向側への屈折、拡散等を行うことができる。
【0039】
バインダー6は、基材ポリマーを含むポリマー組成物を架橋硬化させることで形成される。このバインダー6によって基材層2表面に光拡散剤5が配置固定される。なお、このバインダー6を形成するためのポリマー組成物は、基材ポリマーの他に例えば微小無機充填剤、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤、蛍光材等が適宜配合されてもよい。
【0040】
上記基材ポリマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド、エポキシ系樹脂、紫外線硬化型樹脂等が挙げられ、これらのポリマーを1種又は2種以上混合して使用することができる。特に、上記基材ポリマーとしては、加工性が高く、塗工等の手段で容易に光学層3を形成することができるポリオールが好ましい。また、バインダー6に用いられる基材ポリマー自体は、光線の透過性を高める観点から透明が好ましく、無色透明が特に好ましい。
【0041】
上記ポリオールとしては、例えば水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールや、水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらを単体で又は2種以上混合して使用することができる。
【0042】
水酸基含有不飽和単量体としては、(a)例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール、ホモアリルアルコール、ケイヒアルコール、クロトニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体、(b)例えばエチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロピレンオキサイド、ブチレングリコール、ブチレンオキサイド、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルデカノエート、プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)等の2価アルコール又はエポキシ化合物と、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸との反応で得られる水酸基含有不飽和単量体などが挙げられる。これらの水酸基含有不飽和単量体から選択される1種又は2種以上を重合してポリオールを製造することができる。
【0043】
また上記ポリオールは、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレン、ビニルトルエン、1−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジエチル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプレン等から選択される1種又は2種以上のエチレン性不飽和単量体と、上記(a)及び(b)から選択される水酸基含有不飽和単量体とを重合することで製造することもできる。
【0044】
水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールの数平均分子量は1000以上500000以下であり、好ましくは5000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
【0045】
水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールは、(c)例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ハイドロキノンビス(ヒドロキシエチルエーテル)、トリス(ヒドロキシエチル)イソシヌレート、キシリレングリコール等の多価アルコールと、(d)例えばマレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、トリメット酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の多塩基酸とを、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール中の水酸基数が前記多塩基酸のカルボキシル基数よりも多い条件で反応させて製造することができる。
【0046】
かかる水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールの数平均分子量は500以上300000以下であり、好ましくは2000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
【0047】
当該ポリマー組成物の基材ポリマーとして用いられるポリオールとしては、上記ポリエステルポリオール、及び、上記水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られ、かつ、(メタ)アクリル単位等を有するアクリルポリオールが好ましい。かかるポリエステルポリオール又はアクリルポリオールを基材ポリマーとするバインダー6は透明性及び耐候性が高く、光学層3の黄変等を抑制することができる。特に、基材ポリマーとしてアクリルポリオールを用い、アクリル系樹脂製の拡散剤5を用いることで、拡散剤5の界面での無用の屈折、反射等が低減され、当該光学シート1の方向性光拡散機能、光線透過性等の光学的機能を向上することができる。なお、このポリエステルポリオールとアクリルポリオールのいずれか一方を使用してもよく、両方を使用してもよい。
【0048】
なお、上記ポリエステルポリオール及びアクリルポリオール中の水酸基の個数は、1分子当たり2個以上であれば特に限定されないが、固形分中の水酸基価が10以下であると架橋点数が減少し、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、表面硬度等の被膜物性が低下する傾向がある。
【0049】
バインダー6を形成するポリマー組成物中に微小無機充填剤を含有するとよい。このようにバインダー7中に微小無機充填剤を含有することで、光学層3ひいては光学シート1の耐熱性が向上する。この微小無機充填剤を構成する無機物としては、特に限定されるものではないが、無機酸化物が好ましい。この無機酸化物は、金属元素が主に酸素原子との結合を介して3次元のネットワークを構成した種々の含酸素金属化合物と定義される。無機酸化物を構成する金属元素としては、例えば、元素周期律表第2族〜第6族から選ばれる元素が好ましく、元素周期律表第3族〜第5族から選ばれる元素がさらに好ましい。特に、Si、Al、Ti及びZrから選択される元素が好ましく、金属元素がSiであるコロイダルシリカが、耐熱性向上効果及び均一分散性の面で微小無機充填剤として最も好ましい。また、微小無機充填剤の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意の粒子形状でよく、特に限定されない。
【0050】
微小無機充填剤の平均粒子径の下限としては、5nmが好ましく、10nmが特に好ましい。一方、微小無機充填剤の平均粒子径の上限としては50nmが好ましく、25nmが特に好ましい。これは、微小無機充填剤の平均粒子径が上記範囲未満では、微小無機充填剤の表面エネルギーが高くなり、凝集等が起こりやすくなるためであり、逆に、平均粒子径が上記範囲を超えると、短波長の影響で白濁し、光学シート1の透明性を完全に維持することができなくなることからである。
【0051】
微小無機充填剤の質量比(バインダー6の基材ポリマー100部に対する無機物成分のみの質量比)の下限としては、固形分換算で5部が好ましく、50部が特に好ましい。一方、微小無機充填剤の上記質量比の上限としては、500部が好ましく、200部がより好ましく、100部が特に好ましい。これは、微小無機充填剤の質量比が上記範囲未満であると、光学シート1の耐熱性を十分に発現することができなくなってしまうおそれがあり、逆に、質量比が上記範囲を越えると、ポリマー組成物中への配合が困難になり、光学層3の光線透過率が低下するおそれがあることからである。
【0052】
上記微小無機充填剤としては、その表面に有機ポリマーが固定されたものを用いるとよい。このように有機ポリマー固定微小無機充填剤を用いることで、バインダー6中での分散性やバインダー6との親和性の向上が図られる。この有機ポリマーについては、その分子量、形状、組成、官能基の有無等に関して特に限定はなく、任意の有機ポリマーを使用することができる。また有機ポリマーの形状については、直鎖状、分枝状、架橋構造等の任意の形状のものを使用することができる。
【0053】
上記有機ポリマーを構成する具体的な樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルおよびこれらの共重合体やアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基で一部変性した樹脂等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン系樹脂、(メタ)アクリル−ポリエステル系樹脂等の(メタ)アクリル単位を含む有機ポリマーを必須成分とするものが被膜形成能を有し好適である。他方、上記ポリマー組成物の基材ポリマーと相溶性を有する樹脂が好ましく、従ってポリマー組成物に含まれる基材ポリマーと同じ組成であるものが最も好ましい。
【0054】
なお、微小無機充填剤は、微粒子内に有機ポリマーを包含していてもよい。このことにより、微小無機充填剤のコアである無機物に適度な軟度および靱性を付与することができる。
【0055】
上記有機ポリマーにはアルコキシ基を含有するものを用いるとよく、その含有量としては有機ポリマーを固定した微小無機充填剤1g当たり0.01mmol以上50mmol以下が好ましい。かかるアルコキシ基により、バインダー6を構成するマトリックス樹脂との親和性や、バインダー6中での分散性を向上させることができる。
【0056】
上記アルコキシ基は、微粒子骨格を形成する金属元素に結合したRO基を示す。このRは置換されていてもよいアルキル基であり、微粒子中のRO基は同一であっても異なっていてもよい。Rの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル等が挙げられる。微小無機充填剤を構成する金属と同一の金属アルコキシ基を用いるのが好ましく、微小無機充填剤がコロイダルシリカである場合には、シリコンを金属とするアルコキシ基を用いるのが好ましい。
【0057】
有機ポリマーを固定した微小無機充填剤中の有機ポリマーの含有率については、特に制限されるものではないが、微小無機充填剤を基準にして0.5質量%以上50質量%以下が好ましい。
【0058】
微小無機充填剤に固定する上記有機ポリマーとして水酸基を有するものを用い、バインダー6を構成するポリマー組成物中に水酸基と反応するような官能基を2個以上有する多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物およびアミノプラスト樹脂から選ばれる少なくとも1種のものを含有するとよい。これにより、微小無機充填剤とバインダー6のマトリックス樹脂とが架橋構造で結合され、保存安定性、耐汚染性、可撓性、耐候性、保存安定性等が良好になり、さらに得られる被膜が光沢を有するものとなる。
【0059】
上記バインダー6の基材ポリマーとしてはシクロアルキル基を有するポリオールが好ましい。このように、バインダー6を構成する基材ポリマーとしてのポリオール中にシクロアルキル基を導入することで、バインダー6の撥水性、耐水性等の疎水性が高くなり、高温高湿条件下での当該光学シート1の耐撓み性、寸法安定性等が改善される。また、光学層3の耐候性、硬度、肉持感、耐溶剤性等の塗膜基本性能が向上する。さらに、表面に有機ポリマーが固定された微小無機充填剤との親和性及び微小無機充填剤の均一分散性がさらに良好になる。
【0060】
上記シクロアルキル基としては特に限定されず、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基等が挙げられる。
【0061】
上記シクロアルキル基を有するポリオールは、シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体を共重合することで得られる。このシクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体とは、シクロアルキル基を分子内に少なくとも1つ有する重合性不飽和単量体である。この重合性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0062】
また、ポリマー組成物中には硬化剤としてイソシアネートを含有するとよい。このようにポリマー組成物中にイソシアネート硬化剤を含有することで、より一層強固な架橋構造となり、光学層3の被膜物性がさらに向上する。このイソシアネートとしては上記多官能イソシアネート化合物と同様の物質が用いられる。中でも、被膜の黄変色を防止する脂肪族系イソシアネートが好ましい。
【0063】
特に、基材ポリマーとしてポリオールを用いる場合、ポリマー組成物中に配合する硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート、イソフロンジイソシアネート及びキシレンジイソシアネートのいずれか1種もしくは2種以上混合して用いるとよい。これらの硬化剤を用いると、ポリマー組成物の硬化反応速度が大きくなるため、帯電防止剤として微小無機充填剤の分散安定性に寄与するカチオン系のものを使用しても、カチオン系帯電防止剤による硬化反応速度の低下を十分補うことができる。また、かかるポリマー組成物の硬化反応速度の向上はバインダー中への微小無機充填剤の均一分散性に寄与する。その結果、当該光学シート1は熱、紫外線等による撓みや黄変を格段に抑制することができる。
【0064】
さらに、上記ポリマー組成物中に帯電防止剤を含有するとよい。このように帯電防止剤が混練されたポリマー組成物からバインダー6を形成することで、当該光学シート1に帯電防止効果が発現され、ゴミを吸い寄せたり、プリズムシート等との重ね合わせが困難になる等の静電気の帯電により発生する不都合を防止することができる。また、帯電防止剤を表面にコーティングすると表面のベタツキや汚濁が生じてしまうが、このようにポリマー組成物中に混練することでかかる弊害は低減される。この帯電防止剤としては、特に限定されるものではなく、例えばアルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン系帯電防止剤、第四アンモニウム塩、イミダゾリン化合物等のカチオン系帯電防止剤、ポリエチレングリコール系、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、エタノールアミド類等のノニオン系帯電防止剤、ポリアクリル酸等の高分子系帯電防止剤などが用いられる。中でも、帯電防止効果が比較的大きいカチオン系帯電防止剤が好ましく、少量の添加で帯電防止効果が奏される。
【0065】
また、上記ポリマー組成物中に紫外線吸収剤を含有するとよい。このように紫外線吸収剤を含有するポリマー組成物からバインダー6を形成することで、当該光学シート1に紫外線カット機能が付与され、バックライトユニットのランプから発せられる微量の紫外線をカットし、紫外線による液晶層の破壊を防止することができる。
【0066】
かかる紫外線吸収剤としては、紫外線を吸収し、効率よく熱エネルギーに変換できるもので、かつ、光に対して安定な化合物であれば特に限定されるものではなく公知のものを使用することができる。中でも、紫外線吸収機能が高く、上記基材ポリマーとの相溶性が良好で、基材ポリマー中に安定して存在するサリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びシアノアクリレート系紫外線吸収剤が好ましく、これらの群より選択される1種又は2種以上のものを用いるとよい。また、紫外線吸収剤としては、分子鎖に紫外線吸収基を有するポリマー(例えば、(株)日本触媒の「ユーダブルUV」シリーズなど)も好適に使用される。かかる分子鎖に紫外線吸収基を有するポリマーを用いることで、バインダー6の主ポリマーとの相溶性が高く、紫外線吸収剤のブリードアウト等による紫外線吸収機能の劣化を防止することができる。なお、分子鎖に紫外線吸収基を有するポリマーをバインダー6の基材ポリマーとすることも可能である。また、この紫外線吸収基が結合されたポリマーをバインダー6の基材ポリマーとし、さらにこの基材ポリマー中に紫外線吸収剤を含有することも可能であり、紫外線吸収機能をより向上させることができる。
【0067】
バインダー6の基材ポリマーに対する上記紫外線吸収剤の含有量の下限としては0.1質量%、特に1質量%、さらに3質量%が好ましく、紫外線吸収剤の上記含有量の上限としては10質量%、特に8質量%、さらに5質量%が好ましい。これは、基材ポリマーに対して紫外線吸収剤の質量比が上記下限より小さいと、光学シート1の紫外線吸収機能を効果的に奏することができないためであり、逆に、紫外線吸収剤の質量比が上記上限を超えると、基材ポリマーに悪影響を及ぼし、バインダー6の強度、耐久性等の低下をもたらすことからである。
【0068】
上記紫外線吸収剤に代え又は紫外線吸収剤と共に、紫外線安定剤(分子鎖に紫外線安定基が結合した基材ポリマーを含む)を使用することも可能である。この紫外線安定剤により、紫外線で発生するラジカル、活性酸素等が不活性化され、紫外線安定性、耐候性等を向上させることができる。この紫外線安定剤としては、紫外線に対する安定性が高いヒンダードアミン系紫外線安定剤が好適に用いられる。なお、紫外線吸収剤と紫外線安定剤を併用することで、紫外線による劣化防止及び耐候性が格段に向上する。
【0069】
次に、当該光学シート1の製造方法について説明する。当該光学シート1の製造方法としては、バインダー6を構成するポリマー組成物に光拡散剤5を混合することで光学層用ポリマー組成物を製造する工程と、この光学層用ポリマー組成物を基材層2の表面に積層し、硬化させることで光学層3を形成する工程とを有する。光学層用ポリマー組成物を基材層2の表面に積層させる方法としては、光拡散用ポリマー組成物を印刷により積層させる方法がある。印刷方法としては、特に限定はされず、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、レーザー印刷などが用いられる。
【0070】
図2の光学シート11は、基材層12及びこの基材層12の表面側に設けられた光学層3を備えている。この基材層12の裏面側には波状のプリズム部13が設けられている。光学層3は、上記光学シート1と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。
【0071】
プリズム部13は、断面が波状の凸条形状を有し、光学シート11の裏面全面に設けられている。プリズムの高さとしては、プリズムの平均高さ(H)のプリズムピッチ(P)に対する高さ比(H/P)が0.05以上0.5以下であることが好ましく、0.1以上0.2以下であることが特に好ましい。当該光学シート11は、プリズム部13においても光線が反射、拡散、屈折等されるため、光学シート11全体としての法線方向側への屈折、拡散等の光学的機能が格段に向上する。
【0072】
プリズム部13は、基材層2と一体成形されてもよく、基材層2と別体に成形されてもよい。プリズム部13は、光線を透過させる必要があるので、透明、特に無色透明の合成樹脂から形成されており、具体的には、上記基材層12と同様の合成樹脂が用いられている。
【0073】
図3に示すエッジライト型バックライトユニットは、導光板7と、この導光板7の対偶辺に配設される一対の線状ランプ8と、導光板7の表面側に重ねて配設される光学シート11とを備えている。ランプ8から発せられ、導光板7表面から出射される光線は法線方向に対して所定角度傾斜した比較的強いピークを有しているが、当該バックライトユニットは、正面側への光拡散機能、法線方向側への変角機能等の光学的機能が格段に高い当該光学シート11により、正面高輝度化及び輝度の均一化が図られる。なお、エッジライト型バックライトユニットは、4本、6本等のランプ8が装備されることもある。
【0074】
なお、本発明の光学シートは、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、ドットの配設パターンとしては、稠密充填可能な上記正三角形格子パターンに限定されず、正方形格子パターンやランダムパターンも可能である。ランダムパターンによれば、当該光学シートを他の光学部材と重ね合わせた際にモアレの発生が低減される。また、ドットの直径をランプ近傍では小さくし、ランプから離れるに従って大きくしたり、ランプからの距離が遠ざかるに従ってドットの密度を低くさせたりするなど、シート上で不均一な光拡散部を積層させることもできる。この光拡散部の変化により、シート上での拡散光の輝度の調整をすることができる。また当該光学シートを導光板としても用いることができる。導光板として用いることにより、バックライトユニットの薄型化、形状修正のリードタイムの短縮化が可能となる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0076】
[比較例1]
基材層としては、厚さ300μmの透明ポリエチレンテレフタレート製フィルムを用いた。光拡散層用ポリマー組成物としては、アクリル系樹脂製のビーズ、アクリルポリオール(バインダー)及び溶剤からなるポリマー組成物を用いた。アクリル系樹脂製ビーズのアクリルポリオールに対する質量比は0.2とした。上記ビーズとしては、平均粒子径10μm及び変動係数0.1の小径単分散ビーズのみを用いた。上記基材層表面に光拡散層用ポリマー組成物をグラビアコート法により6g/m(固形分換算)積層することで比較例1の光学シートを得た。
【0077】
[比較例2]
基材層表面に、スクリーン印刷により光拡散層用ポリマー組成物とアクリルポリオールを凸レンズ状に散点的に積層させることで比較例2の光学シートを得た。比較例2の光学シートの光拡散部の平均直径は60μm、積層率は50%、配設パターンを正三角格子パターンとして成形した。これら以外は上記比較例1と同様にした。
【0078】
[実施例1〜8]
基材層表面に、スクリーン印刷により光拡散層用ポリマー組成物としてアクリル系樹脂製ビーズのアクリルポリオール(バインダー)に対する質量比を、それぞれ0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、1.5、2としたものを凸レンズ状に散点的に積層させることで実施例1〜8の光学シートを得た。これら以外は上記比較例2と同様にした。
【0079】
[実施例9〜19]
基材層の裏面を、プリズム高さ比(H/P)がそれぞれ0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1を有する波状のプリズム形状に加工した。それぞれの基材層の表面に、スクリーン印刷により光拡散層用ポリマー組成物としてアクリル系樹脂製ビーズのアクリルポリオール(バインダー)に対する質量比を0.2としたものを凸レンズ状に散点的に積層させることで実施例9〜19の光学シートを得た。実施例9〜19の光学シートの光拡散部の平均直径は60μm、積層率は50%、配設パターンを正三角格子パターンとして成形した。これら以外は上記比較例1と同様にした。
【0080】
[特性の評価]
上記実施例1〜8の光学シート及び比較例1、2の光学シートを実際に光拡散シートとしてエッジライト型バックライトユニットに組み込み、正面輝度の面均一性及び平均正面輝度を測定した。面均一性は、光学シート面内の正面輝度測定を行い、輝度最小値の輝度最大値に対する比で算出した。その結果を下記表1に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
上記表1に示すとおり、実施例1〜8の光学シートは、基材層全面に光拡散層が積層されている比較例1の光学シートと比較しても遜色ない面均一性を有しており、高い正面輝度を有していることを示している。また、実施例1〜8の光学シートは、光拡散剤を含有していない比較例2の光学シートと比較して高い面均一性を有しており、遜色ない正面輝度を有していることを示している。また、実施例1〜8の光学シートを対比すると、光拡散剤のバインダーに対する質量比が0.1以上で面均一性が高くなり、質量比が0.3以上で特に高くなることを示している。
【0083】
次に、実施例9〜19の光学シートを用い、これらの光拡散シートを実際に直下型バックライトユニットに光拡散シートとして組み込み、光拡散性を評価した。光拡散性の評価は、バックライトを照射した際の表面側からのランプイメージの消去度について目視確認し、
(a)ランプイメージがほとんど見えない場合を◎
(b)ランプイメージが見えにくい場合を○
(c)ランプイメージがやや見える場合を△
(d)ランプイメージがはっきり見える場合を×
として評価した。その結果を下記表2に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
上記表2に示すとおり、実施例9〜19の光学シートを対比するとプリズムの高さ比が0.05以上0.5以下で光拡散性が高くなり、高さ比が0.1以上0.2以下で特に高くなることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように、本発明の光学シートは、液晶表示装置のバックライトユニットの構成要素として有用であり、特に透過型液晶表示装置に用いるのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態に係る光学シートを示す模式的部分平面図(a)及び模式的部分断面図(b)
【図2】図1の光学シートとは異なる形態に係る光学シートを示す模式的部分断面図
【図3】図2の光学シートを備えるバックライトユニットを示す模式的断面図
【図4】従来の一般的なエッジライト型バックライトユニットを示す模式的斜視図
【符号の説明】
【0088】
1 光学シート
2 基材層
3 光学層
4 光拡散部
5 光拡散剤
6 バインダー
7 導光板
8 ランプ
11 光学シート
12 基材層
13 プリズム部
20 バックライトユニット
21 ランプ
22 導光板
23 光学シート
24 光拡散シート
25 プリズムシート
25aプリズム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な基材層とこの基材層の表面に積層される光学層とを備える光学シートであって、
この光学層が、基材層表面に散点的に積層される複数の光拡散部を有し、
この光拡散部が、光拡散剤とそのバインダーを含むことを特徴とする光学シート。
【請求項2】
上記光拡散部が凸レンズ状に形成されている請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
上記光拡散剤のバインダーに対する質量比が0.1以上2以下である請求項1又は請求項2に記載の光学シート。
【請求項4】
上記光拡散部の平均直径(D)が10μm以上300μm以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項5】
上記光拡散部の平均高さ(H)の平均直径(D)に対する高さ比(H/D)が0.05以上0.5以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項6】
上記光拡散部における光拡散剤の屈折率(n)とバインダーの屈折率(n)との差の絶対値(|n−n|)が0.05以上である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項7】
上記光拡散部における光拡散剤の平均粒子直径が0.1μm以上20μm以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項8】
上記光学層における光拡散部の積層率が10%以上90%である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項9】
上記光拡散部の配設パターンが正三角格子パターンである請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項10】
上記光拡散部の配設パターンがランダムパターンである請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項11】
上記基材層の裏面に波状のプリズム形状を有し、プリズムの平均高さ(H)のプリズムピッチ(P)に対する高さ比(H/P)が0.05以上0.5以下である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項12】
ランプから発せられる光線を分散させてその表面側に当該光線を導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の光学シートが具備されていることを特徴とする液晶表示装置用のバックライトユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−96916(P2010−96916A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266627(P2008−266627)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000165088)恵和株式会社 (63)
【Fターム(参考)】