説明

光学スクリーン用シートおよび樹脂組成物

【課題】高い光透過性および低吸水率を有するとともに、優れた機械的強度を有する、光学スクリーン用シートおよび樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】スチレン系単量体単位が含まれるジエン系ゴム状共重合体(A)と、スチレン系単量体単位および(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位が含まれる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物において、ジエン系ゴム状共重合体(A)に含まれるスチレン系単量体単位の含有率を0〜80重量%とする。また、樹脂組成物全重量に対する、ジエン系ゴム状共重合体(A)の含有率を1.5〜6.5重量%とし、共重合体(B)の含有率を93.5〜98.5重量%とする。さらに、樹脂組成物全体積に対する分散ゴム粒子相の体積を0.08倍〜0.23倍とする。そして、この樹脂組成物を基材として光学スクリーン用シートを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学スクリーン用シートおよび樹脂組成物、詳しくは、プロジェクションテレビなどのスクリーン材料として好適に用いられる光学スクリーン用シートおよびその光学スクリーン用シートに好適に用いられる樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プロジェクションテレビの透過型スクリーンの構造として、例えば、フレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートとを重ね合わせた構造、上記重ね合わせ構造のレンズシートを保護するためのフロントパネルをさらに装着した構造などが知られている。
【0003】
さらに、最近では、レンチキュラーレンズのピッチが微細化したことにより、フィルム状のレンチキュラーレンズ(以下、フィルムレンチ)が用いられるケースが増えてきており、この場合は、当該フィルムレンチを支持するためのシート(以下、フィルムレンチ支持板)が通常使用される。
【0004】
そして、上記した各レンズシート、フロントパネルおよびフィルムレンチ支持板は、多くの光を透過させる必要性から、優れた光透過性を要求されており、これらのスクリーン材料として、例えば、光透過性に優れるアクリル系樹脂が用いられている。
【0005】
例えば、特許文献1には、メチルメタクリレートを主成分とする多層構造のゴム成分がアクリル樹脂に添加されて形成される透過型スクリーンが開示されている。
【0006】
また、特許文献2および特許文献3には、メチルメタクリレート−スチレン共重合樹脂から形成されるシートが開示されている。
【0007】
さらに、特許文献4には、ジエン系単量体単位を主成分とするゴム状重合体に(メタ)アクリル酸アルキルエステルをグラフト重合して得られるグラフトゴム共重合体から形成される投射スクリーン用レンズシートが開示されている。
【特許文献1】特開平1−128059号公報
【特許文献2】特開平9−302176号公報
【特許文献3】特開平9−302177号公報
【特許文献4】特開2000−66307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の透過型スクリーンは、吸水率が高いため、使用中、保管中または運搬中などにおいて、大気からの吸水により、反りやたわみなどの変形を生じるという不具合がある。
【0009】
また、特許文献2および特許文献3に記載のシートは、機械的強度が低いため、加工や設置の際に割れや欠けを起こしやすいという不具合がある。
【0010】
さらに、特許文献4では、吸水による寸法変化を低減できると提案されているが、具体的なゴムの分散形態や、レンズシートに必要な物性などは開示されていない。
【0011】
本発明の目的は、高い光透過性および低吸水率を有するとともに、優れた機械的強度を有する光学スクリーン用シートを提供することにある。
【0012】
また、本発明の別の目的は、高い光透過性および低吸水率を有するとともに、優れた機械的強度を有する樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の光学スクリーン用シートは、スチレン系単量体単位が0〜80重量%含まれるジエン系ゴム状共重合体(A)1.5〜6.5重量%と、スチレン系単量体単位および(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位が含まれる共重合体(B)93.5〜98.5重量%とを含有する光学スクリーン用シートであって、前記光学スクリーン用シート全体積に対して分散ゴム粒子相の体積が0.08倍〜0.23倍であることを特徴としている。
【0014】
また、本発明の光学スクリーン用シートでは、JIS K 7171(1994年)に基づいて測定した曲げ弾性率が2500MPa以上であることであることが好適である。
【0015】
また、本発明の光学スクリーン用シートでは、JIS K 7110(1999年)に基づいて測定したノッチ付き試験片のアイゾット衝撃強さが2.5kJ/m以上であることが好適である。
【0016】
さらに、本発明の樹脂組成物は、スチレン系単量体単位が0〜80重量%含まれるジエン系ゴム状共重合体(A)1.5〜6.5重量%と、スチレン系単量体単位および(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位が含まれる共重合体(B)93.5〜98.5重量%とを含有する樹脂組成物であって、前記樹脂組成物全体積に対して分散ゴム粒子相の体積が0.08倍〜0.23倍であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光学スクリーン用シートは、低吸水率を有するとともに、優れた機械的強度を有するため、反りやたわみなどの変形、および、割れや欠けなどの破損の発生を抑制することができる。さらに、高い光透過性も有するため、プロジェクションテレビなどのスクリーン材料、例えば、フレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート、フロントパネルおよびフィルムレンチ支持板などに好適に用いることができる。
【0018】
また、本発明の樹脂組成物は、低吸水率を有するとともに、優れた機械的強度を有するため、本発明の光学スクリーン用シートに好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の樹脂組成物は、スチレン系単量体単位が0〜80重量%含まれるジエン系ゴム状共重合体(A)1.5〜6.5重量%と、スチレン系単量体単位および(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位が含まれる共重合体(B)(以下、「共重合体(B)」とする。)93.5〜98.5重量%とを含有する。
【0020】
ジエン系ゴム状共重合体(A)は、ジエン系単量体と、スチレン系単量体とを共重合成分として、共重合させることにより得ることができる。
【0021】
ジエン系単量体としては、例えば、ブタジエン、2−メチルブタジエン、2,3−ジメチルブタジエンなどが挙げられ、好ましくは、ブタジエンが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0022】
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−エチルスチレンおよびp−t−ブチルスチレンなどの核アルキル置換スチレン、α−メチルスチレンおよびα−メチル−p−メチルスチレンなどのα−アルキル置換スチレン、o−クロロスチレンおよびp−クロロスチレンなどのハロゲン化スチレンなどが挙げられ、好ましくは、スチレンが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0023】
ジエン系ゴム状共重合体(A)において、スチレン系単量体は任意成分であり、配合してもよく、また、配合しなくてもよい。スチレン系単量体を配合する場合には、その配合量は、ジエン系単量体100重量部に対して、400重量部以下であり、好ましくは、10〜240重量部である。スチレン系単量体を配合しないか、あるいは配合する場合に配合量をこの範囲にすることによって、ジエン系ゴム状共重合体(A)全重量に対する、スチレン系単量体単位の含有率を0〜80重量%とすることができる。
【0024】
また、上記した成分以外に、必要により、上記した成分と共重合可能なエチレン性不飽和単量体を、共重合成分として含有することができる。
【0025】
エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(後述)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0026】
そして、上記したジエン系単量体およびスチレン系単量体、ならびに、必要によりエチレン性不飽和単量体を、共重合成分として、公知の重合方法で重合することによって、ジエン系ゴム状共重合体(A)を得ることができる。このような重合方法としては、例えば、懸濁重合、塊状重合、溶液重合、乳化重合などが挙げられる。
【0027】
このようにして得られるジエン系ゴム状共重合体(A)は、スチレン系単量体単位を0〜80重量%含んでいる。スチレン系単量体単位の含有率を0〜80重量%にすることによって、樹脂組成物の吸水率を低く抑えるとともに、光透過性、優れた機械的強度(例えば、耐衝撃性、曲げ弾性率など)、耐熱性、耐光性などを与えることができる。なお、スチレン系単量体単位の含有率が80重量%を超えると、樹脂組成物の機械的強度、耐熱性、耐光性が低下してしまう場合がある。また、スチレン系単量体単位の含有率は、5〜80重量%であることが好ましく、10〜70重量%であることがさらに好ましい。さらに、15〜60重量%であることがとりわけ好ましい。
【0028】
また、構造としては、例えば、ランダム共重合体構造、ブロック共重合体構造などが挙げられる。
【0029】
共重合体(B)は、スチレン系単量体と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体とを共重合成分として、共重合させることにより得ることができる。
【0030】
スチレン系単量体としては、例えば、上記したスチレン系単量体が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0031】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体とは、アクリル酸エステル系単量体またはメタクリル酸エステル系単量体を意味し、このような単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどが挙げられ、好ましくは、メタクリル酸メチルが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0032】
また、上記した成分以外に、必要により、上記した成分と共重合可能なエチレン性不飽和単量体を、共重合成分として含有することができる。
【0033】
エチレン性不飽和単量体としては、例えば、上記したエチレン性不飽和単量体が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0034】
そして、上記したスチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ならびに、必要によりエチレン性不飽和単量体を、共重合成分として、重合することによって、共重合体(B)を得ることができる。
【0035】
共重合体(B)の重合においては、分散ゴム粒子相を形成させるべく、共重合体(B)の共重合成分と、上記で得られたジエン系ゴム状共重合体(A)とを含有する原料液を調製し、この原料液を重合させることが好ましい。
【0036】
原料液を重合する方法としては、例えば、2段階重合法、連続塊状重合法などが挙げられる。
【0037】
2段階重合法とは、部分重合体を生成する第1次重合と、第1次重合で得られた部分重合体を重合させる第2次重合とを段階的に行なう重合法である。
【0038】
第1次重合では、ジエン系ゴム状共重合体(A)、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体(共重合体(B)の共重合成分)を配合して原料液を調製し、この原料液にラジカル重合開始剤を添加して、部分的に重合させることによって部分重合体を得る。
【0039】
ジエン系ゴム状共重合体(A)としては、上記したように、その重合方法の違いにより、例えば、溶液重合により重合された共重合体、乳化重合により重合された共重合体などが挙げられ、好ましくは、溶液重合により重合された共重合体が挙げられる。また、これらの共重合体は2種以上併用して用いることもでき、その場合には、溶液重合により重合された共重合体の割合を高くすることが好ましい。溶液重合により重合された共重合体の割合を高くすれば、樹脂組成物の吸水率を低減し、湿熱耐久性および耐光性を向上させることができる。
【0040】
また、ジエン系ゴム状共重合体(A)中のスチレン系単量体単位の含有率が高い場合には、通常、ブロック共重合体が用いられる。なお、これらは、単独または2種以上併用して用いることもできる。
【0041】
ジエン系ゴム状共重合体(A)の配合量としては、例えば、原料液100重量部に対して、1.5〜6.5重量部であり、好ましくは、2〜6重量部である。
【0042】
スチレン系単量体の配合量としては、原料液100重量部に対して、19〜84重量部であり、好ましくは、23〜79重量部である。
【0043】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の配合量としては、原料液100重量部に対して、15〜79重量部であり、好ましくは、19〜74重量部である。
【0044】
なお、上記の配合において、ジエン系ゴム状共重合体(A)を除く共重合体(B)のみの配合割合として、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の配合比率は、ジエン系ゴム状共重合体(A)の屈折率とほぼ同等の屈折率となるような比率にすればよい。
【0045】
ラジカル重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤であれば特に制限されず、例えば、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物系重合開始剤、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物系重合開始剤、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系重合開始剤およびジアゾ系重合開始剤などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0046】
ラジカル重合開始剤の配合量としては、原料液100重量部に対して、0.005〜3重量部であり、好ましくは、0.01〜2.5重量部である。
【0047】
また、上記した成分以外に、必要により連鎖移動剤を添加することができる。連鎖移動剤を添加することによって、例えば、重合率、分子量、ゴム粒子の分散状態などを調整することができる。
【0048】
連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオリンゴ酸などのチオカルボン酸類またはその塩、n−ブチルチオグリコネート、ドデシル−3−メルカプトプロピオネート、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチルなどのチオカルボン酸アルキルエステル類、モノエタノールアミンチオグリコレートなどの含窒素チオール類、n−ラウリルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−ヘキサデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン類、ドデシルベンジルメルカプタン、ベンジルメルカプタンなどのアルキルベンジルメルカプタン類などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。また、その配合量は、原料液100重量部に対して、0〜0.5重量部であり、好ましくは、0.001〜0.3重量部である。
【0049】
そして、上記した各成分を、例えば、懸濁重合、塊状重合、溶液重合、乳化重合などの公知の重合方法で、転化率が、例えば、20〜50%、好ましくは、25〜45%になるまで重合することにより、部分重合体を得る。これらの重合方法のうち、好ましくは、塊状重合が挙げられ、より具体的には、例えば、特公昭62−13968に記載されているゴム変性メチルメタクリレート系シロップの連続製造方法における部分重合体の重合法(例えば、実施例1第1段落)が挙げられる。
【0050】
このような第1次重合は、塊状重合の場合には、例えば、100〜200℃、好ましくは、120〜180℃で、100〜600秒、好ましくは、150〜400秒重合させる。
【0051】
第2次重合では、第1次重合で得られた部分重合体に、さらにラジカル重合開始剤を添加して重合を完結(例えば、転化率98%以上、好ましくは、99%以上)することによって樹脂組成物を得る。
【0052】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、上記したラジカル重合開始剤が挙げられる。また、その配合量は、原料液100重量部に対して、0.001〜2重量部であり、好ましくは、0.01〜1重量部である。
【0053】
また、第1次重合と同様に、上記した成分以外に、必要により連鎖移動剤を添加することができる。
【0054】
連鎖移動剤としては、例えば、上記した連鎖移動剤が挙げられる。また、その配合量は、原料液100重量部に対して、0〜0.5重量部であり、好ましくは、0.001〜0.3重量部である。
【0055】
さらに、必要により熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、可塑剤、離型剤、滑剤、その他の助剤(懸濁安定剤)などの公知の添加剤を適量の配合量で添加することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。なお、これらは、重合終了後、得られた樹脂組成物に添加してもよい。
【0056】
そして、上記した成分を、例えば、懸濁重合、塊状重合(例えば、セルキャスト塊状重合、連続キャスト塊状重合など)、溶液重合、乳化重合などの公知の重合方法で重合することにより、樹脂組成物を得ることができる。これらの重合方法のうち、好ましくは、懸濁重合が挙げられる。
【0057】
このような第2次重合は、懸濁重合の場合には、例えば、60〜100℃、好ましくは、65〜95℃で、0.5〜4.5時間、好ましくは、1〜3時間重合させる。
【0058】
このようにして得られる樹脂組成物に、必要により、共重合体(B2)を混合することによって、樹脂組成物全重量に対するジエン系ゴム状共重合体(A)の含有率を調整することができる。
【0059】
混合する共重合体(B2)は、上記した共重合体(B)の共重合成分を、公知の重合方法(例えば、懸濁重合、塊状重合、溶液重合、乳化重合など)で重合させることにより得ることができる。
【0060】
また、混合する共重合体(B2)は、例えば、樹脂組成物の連続相(主として共重合体(B)成分から構成される相)の屈折率とほぼ同等の屈折率を有する共重合体が用いられる。屈折率をほぼ同等の共重合体を混合すれば、樹脂組成物の屈折率を均一にすることができる。
【0061】
また、共重合体(B2)の混合方法としては、樹脂組成物と均一に混合することができれば特に制限されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機、オープンロールミル、バンバリーミキサー、ニーダーなど公知の溶融混練装置を用いて溶融混練することができる。
【0062】
なお、このような樹脂組成物全重量に対するジエン系ゴム状共重合体(A)の含有率の調整は、第2次重合において、部分重合体にスチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を添加することによっても行なうこともできる。
【0063】
連続塊状重合法とは、共重合成分を連続的に塊状重合する重合方法であって、より具体的には、上記したジエン系ゴム状共重合体(A)、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体(共重合体(B)の共重合成分)、さらには、必要によりエチレン性不飽和単量体を、上記した配合量にて配合して、原料液を調製し、この原料液に、上記したラジカル重合開始剤を、上記した配合量にて添加して、連続的に塊状重合する。
【0064】
また、上記した成分以外に、必要により上記した連鎖移動剤を、上記した配合量にて添加することができる。
【0065】
さらに溶媒を添加することもでき、添加される溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、トルエン、キシレン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチルベンゼン、メチルエチルケトン、酢酸ブチルなどが挙げられ、その配合量は、原料液100重量部に対して、3〜40重量部であり、好ましくは、5〜35重量部である。
【0066】
さらにまた、2段階重合法と同様に、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、可塑剤、離型剤、滑剤などの添加剤を添加することもできる。
【0067】
そして、上記した成分を、連続的に塊状重合することにより、樹脂組成物を得ることができる。より具体的には、上記した成分からなる原料液を、所定の転化率まで重合させて、ジエン系ゴム状共重合体(A)および共重合体(B)を、樹脂組成物全重量に対して所望の含有率に調整した後、未反応の単量体、溶媒などを回収除去することによって得ることができる。
【0068】
このようにして得られる樹脂組成物に、上記2段階重合法と同様に、必要により、共重合体(B)を混合することによって、樹脂組成物全重量に対するジエン系ゴム状共重合体(A)の含有率を調整することができる。
【0069】
以上のように、2段階重合法または連続塊状重合法により、ジエン系ゴム状共重合体(A)を含有した原料液を重合して共重合体(B)を合成すれば、得られた樹脂組成物において、分散ゴム粒子相を形成することができる。
【0070】
より具体的には、得られる樹脂組成物は、主として共重合体(B)から構成される連続相(海部分)と、連続相中に粒子状に分散され、主としてジエン系ゴム状共重合体(A)から構成される分散ゴム粒子相(島部分)とを有する海島構造を有している。さらに、分散ゴム粒子相の構造は、例えば、サラミ構造、コアシェル構造、単一ゴム粒子構造などに分類され、いずれの構造であってもよいが、機械的強度の高い、サラミ構造およびコアシェル構造であることが好ましい。樹脂組成物を上記した重合方法で合成すれば、分散ゴム粒子相の構造を、サラミ構造またはコアシェル構造とすることができる。そのため、樹脂組成物の機械的強度(例えば、耐衝撃性、曲げ弾性率など)を向上させることができる。
【0071】
なお、サラミ構造とは、分散ゴム粒子相を構成する各分散ゴム粒子の内部に、共重合体(B)の共重合成分からなる分散微粒子を2つ以上含有する構造であり、コアシェル構造とは、分散ゴム粒子の内部に上記分散微粒子を1つ含有する構造である。また、単一ゴム粒子構造とは、分散ゴム粒子の内部に上記分散微粒子を含有しない構造である。
【0072】
なお、樹脂組成物において、上記した分散ゴム粒子相を形成できれば、特に上記した重合方法に限らず、例えば、ジエン系ゴム状共重合体(A)とは別途共重合体(B)の共重合成分のみを、例えば、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合などの公知の重合方法により重合して共重合体(B)の単独重合体を得て、得られた共重合体(B)と、ジエン系ゴム状共重合体(A)とを混合することにより、樹脂組成物を得ることもできる。
【0073】
混合方法としては、ジエン系ゴム状共重合体(A)と、共重合体(B)とを均一に混合することができれば特に制限されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機、オープンロールミル、バンバリーミキサー、ニーダーなど公知の溶融混練装置を用いて溶融混練することができる。
【0074】
そして、上記した方法により得られた樹脂組成物を基材として、本発明の光学スクリーン用シートを得ることができる。
【0075】
得られる光学スクリーン用シートとしては、例えば、プロジェクションテレビの透過型スクリーンに用いられる光学スクリーン用シートが挙げられる。より詳しくは、例えば、レンズシート用原板、フィルムレンチ支持板、フレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート、フロントパネルなどが挙げられる。
【0076】
レンズシート用原板は、例えば、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズなどの原板であり、樹脂組成物を、キャスト成形、押出成形など公知の成形方法で成形することによって得ることができる。得られたレンズシート用原板を、さらに加工(例えば、プレス成形)することにより、フレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシートにすることができる。また、そのレンズシート用原板の表面に、紫外線硬化樹脂をフレネルレンズ形状となるように形成することによって、フレネルレンズにすることもできる。
【0077】
フィルムレンチ支持板は、フィルム状に形成されたレンチキュラーレンズを支持するための板であり、例えば、キャスト成形、押出成形およびプレス成形などの方法で成形することによって得ることができる。得られたフィルムレンチ支持板の表面に、例えば、レンチキュラーレンズ形状の紫外線硬化樹脂フィルムを貼り合わせることによって、レンチキュラーレンズにすることができる。
【0078】
フレネルレンズシートは、例えば、プロジェクションテレビの透過型スクリーンの一部分を構成するレンズシートである。
【0079】
フレネルレンズシートを製造する場合、例えば、キャスト成形により行なってもよいし、キャスト成形や押出成形などにより得た、いわゆるレンズシート用原板をプレス成形してフレネルレンズ形状を付与してもよい。また、原板となるシート用原板の表面に、紫外線硬化型樹脂をフレネルレンズ形状が形成されるように硬化させてもよい。
【0080】
レンチキュラーレンズシートは、例えば、プロジェクションテレビの透過型スクリーンの一部分を構成するレンズシートである。
【0081】
レンチキュラーレンズシートを製造する場合、例えば、押出成形により行なってもよいし、キャスト成形により行なってもよい。また、原板となるシート用原板の表面に、プレス成形してレンチキュラーレンズ形状を付与してもよい。
【0082】
フロントパネルは、例えば、プロジェクションテレビの透過型スクリーンを構成するレンズシートを保護するためのパネルであり、例えば、樹脂組成物を、直接、キャスト成形、押出成形することによって得ることができる。さらに、得られたフロントパネルに、例えば、ハードコート処理、低反射コート処理などを施せば、傷がつきにくく、映りこみを低減できるフロントパネルを得ることができる。
【0083】
このようにして得られる本発明の光学スクリーン用シートは、その厚みが0.3mm〜6mmであることが好ましく、0.5mm〜4mmであることがさらに好ましい。
【0084】
また、光学スクリーン用シートは、ジエン系ゴム状共重合体(A)1.5〜6.5重量%と、共重合体(B)93.5〜98.5重量%とを含有している。このような範囲でジエン系ゴム状共重合体(A)と、共重合体(B)とを含有することによって、光学スクリーン用シートの機械的強度(例えば、耐衝撃性、曲げ弾性率など)を向上させることができる。ジエン系ゴム状共重合体(A)の含有率が、1.5重量%未満であると、耐衝撃性が低くなる場合があり、6.5重量%を超えると、曲げ弾性率が低下する場合がある。また、ジエン系ゴム状共重合体(A)2〜6重量%と、共重合体(B)94〜98重量%とを含有していることが好ましい。
【0085】
また、光学スクリーン用シート全体積に対して分散ゴム粒子相の体積は、0.08倍〜0.23倍である。分散ゴム粒子相の体積分率を、このような範囲にすることによって、光学スクリーン用シートの光透過性、機械的強度(例えば、耐衝撃性、曲げ弾性率など)を向上させることができる。
【0086】
ここで、分散ゴム粒子相の体積分率とは、光学スクリーン用シートの断面において、分散ゴム粒子相の面積をS1とし、連続相の面積をS2として、S1/(S1+S2)の式により求められる数値である。なお、分散ゴム粒子相の構造がサラミ構造、コアシェル構造である場合には、その分散ゴム粒子相の内部に含有される分散微粒子(共重合体(B)の共重合成分)の面積も分散ゴム粒子相としてS1に含められる。
【0087】
このような、分散ゴム粒子相の体積分率は、例えば、光学スクリーン用シートを四酸化オスミウムで染色し、薄切片を作製して、分散ゴム粒子200個以上の視野で透過型電子顕微鏡写真を撮影し、その撮影した写真から求められる。
【0088】
また、分散ゴム粒子相の分散ゴム粒子の平均粒子径は、上記した分散ゴム粒子相の体積分率を満たせば特に制限されず、例えば、通常0.3μm〜1.5μmであり、好ましくは、0.4μm〜1.0μmである。
【0089】
また、光学スクリーン用シートの、JIS K 7171(1994年)に基づいて測定される曲げ弾性率は、2500MPa以上であることが好ましく、2600MPa以上であることがさらに好ましい。曲げ弾性率を2500MPaにすることによって、例えば、プロジェクションテレビへの設置時、シートのハンドリング時などに、たわみなどを抑制することができ、シートの厚みを薄くすることが可能となる。
【0090】
また、光学スクリーン用シートの、JIS K 7110(1999年)に基づいて測定されるノッチ付き試験片のアイゾット衝撃強さは、2.5kJ/m以上であることが好ましく、3kJ/m以上であることがさらに好ましい。ノッチ付き試験片のアイゾット衝撃強さを2.5kJ/m以上することによって、例えば、加工時(例えば、シートのハンドリング時など)などに、シートに割れや欠けが生じることを抑制することができ、シートの厚みを薄くすることが可能となる。
【0091】
また、光学スクリーン用シートの、2mm厚さでのJIS K 7361−1(1997年)およびJIS K 7136(2000年)に基づいて測定される全光線透過率および曇価は、それぞれ85%以上(全光線透過率)および20%以下(曇価)であることが好ましく、87%以上(全光線透過率)および15%以下(曇価)であることがさらに好ましい。全光線透過率および曇価をこの範囲にすることによって、例えば、プロジェクションテレビの透過型スクリーンなどに好適に用いることができる。
【0092】
さらに、光学スクリーン用シートの、温度60℃、相対湿度90%における飽和吸水率は、0.8%以下であることが好ましく、0.75%以下であることがさらに好ましい。飽和吸水率をこの範囲にすることによって、湿気を帯びることに起因する、反りやたわみなどの変形を抑制でき、寸法安定性を向上させることができる。
【0093】
このような飽和吸水率は、例えば、乾燥状態の光学スクリーン用シートの重量をW1とし、飽和吸水状態の光学スクリーン用シートの重量をW2として、下記式を用いて求められる。
【0094】
飽和吸水率(%)=100×(W2−W1)/W1
次に、本発明の光学スクリーン用シートの一実施形態を、図を参照して説明する。
【0095】
図1は、プロジェクションテレビの概略を示す側断面図である。また、図2は、図1のプロジェクションテレビのスクリーンの拡大図である。なお、これらの図において、紙面左側を前面(正面)側とし、右側を後面(背面)側として説明する。
【0096】
図1において、プロジェクションテレビ1は、筐体2を備えている。筐体2の内部には、投射装置3と、ミラー4とが設置され、筐体2の前面には、スクリーン5が設置されている。つまり、プロジェクションテレビ1は、筐体2の内部において、投射装置3から投射された光をミラー4で反射させ、スクリーン5の背面から画像を投影することによって、スクリーン5の前面に画像を表示することができる、いわゆる、背面投射型プロジェクションテレビである。
【0097】
スクリーン5について、図2を参照して、より具体的に説明すると、スクリーン5は、背面側から順に、フレネルレンズシート6(より詳しくは、フレネルレンズシート用原板7とフレネルレンズ8)と、レンチキュラーレンズシート9と、フロントパネル10とを備え、これらは、各面が対向するように近接した積層構造で構成されている。スクリーン5の構造を積層構造にすることによって、ミラー4から反射された光を、フレネルレンズシート6、レンチキュラーレンズシート9およびフロントパネル10の順に効率よく透過させて、画像を表示させることができる。
【0098】
本発明の光学スクリーン用シートは、スクリーン5において、フレネルレンズシート6、レンチキュラーレンズシート9およびフロントパネル10の少なくともいずれかとして用いることができる。
【0099】
また、本発明の光学スクリーン用シートは、レンチキュラーレンズシート9として、フィルムレンチが用いられる場合には、このフィルムレンチを支持するためのフィルムレンチ支持板として用いることができる。
【0100】
上記した積層構造では、各層が変形(例えば、反り、たわみなど)してしまうと、それに起因して、表示される画質が低下する場合があるが、本発明の光学スクリーン用シートのように、優れた機械的強度(例えば、耐衝撃性、曲げ弾性率など)を有するとともに、低い吸水率を有するシートを用いれば、衝撃や環境条件の変化(例えば、多湿など)にも耐えることができる。そのため、各層の反りやたわみなどの変形を抑制でき、また、加工時に生じる割れや欠けなども抑制することができる。
【0101】
さらに、本発明の光学スクリーン用シートは、光透過性にも優れるため、ミラー4から反射される光を効率よく透過させることができる。その結果、より鮮明に画像を表示することができるプロジェクションテレビを提供することができる。
【0102】
なお、上記の説明ではフレネルレンズシート6に本発明の光学スクリーンシートを用いることができるとしたが、例えば、フレネルレンズ8の部分を、紫外線硬化樹脂で形成することもできる。
【実施例】
【0103】
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
実施例1
下記の表1に示す配合量において、スチレン−ブタジエン共重合体(ジエン系ゴム状共重合体(A))[日本エラストマー株式会社製 タフデンL208A(スチレン25重量%含有)]に対して、スチレンおよびメタクリル酸メチルを、過酸化ラウロイルおよび過酸化ベンゾイル(ラジカル重合開始剤)とともに混合し、二段式攪拌型連続反応装置を用いて、150℃で225秒滞留させることにより、部分重合させて部分重合体を得た(第1次重合:転化率35%)。
【0104】
得られた部分重合体を別の重合槽に移し、その部分重合体に、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(ラジカル重合開始剤)、ポリメタクリル酸およびヒドロキシプロピルセルロース(懸濁安定剤)および水を添加し、攪拌しながら懸濁重合を行なうことにより、重合を完結(転化率99.5%)させて、樹脂組成物のスラリーを得た(第2次重合)。得られたスラリーを洗浄および濾過することにより、スチレン−ブタジエン共重合体(ゴム粒子)が分散した樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の屈折率は1.535であった。
【0105】
一方、スチレンおよびメタクリル酸メチルを連続的に塊状重合して、スチレン単位とメタクリル酸メチル単位との重量比が60:40のスチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体(B2))を得た。得られたスチレン−メタクリル酸メチル共重合体の屈折率は1.533であった。
【0106】
そして、先に得られた樹脂組成物に対して、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体(B2))を混合し、40mmφの押出機(樹脂温度約220℃)を用いて押し出すことにより、樹脂組成物ペレットを得た。
【0107】
得られた樹脂組成物ペレットを、40mmφの押出機と、Tダイと、縦3本ポリシングロールとを備えたシーティング装置を用いて、樹脂温度約250℃にて加工することにより、厚み1〜2mmのシートを得た。
【0108】
得られたシート全重量に対する、スチレン−ブタジエン共重合体の含有率(重量%)およびスチレン−メタクリル酸メチル共重合体の含有率(重量%)は、下記の表1に示すとおりであった。
実施例2〜7および比較例1〜2
表1に示す処方において、実施例1と同様の操作により、シートを得た。
評価実験
各実施例および各比較例で得られたシートについて、以下の方法により評価試験を行なった。結果を表1に示す。
(a)分散ゴム粒子相の体積分率
シートを四酸化オスミウムで染色した後、切片とし、その切片を透過型電子顕微鏡で観察し、分散ゴム粒子が200個以上の視野で撮影した。そして、撮影した写真から、分散ゴム粒子相の面積(S1)と、マトリックスである共重合体成分相の面積(S2)とを画像処理により求め、S1/(S1+S2)の式により体積分率を求めた。
(b)曲げ弾性率
JIS K 7171(1994年)に基づいて測定した。
(c)ノッチ付き試験片のアイゾット衝撃強さ
JIS K 7110(1999年)に基づいて測定した。
(d)たわみ
厚さ1mmのシートから20cm×30cmの試験片を切り出し、20cmの辺を底辺として垂直に立て、底辺を固定し、目視で確認することにより、たわみの程度を判定した。なお、表1に示した記号は、◎:たわみが非常に小さい、○:たわみが小さい、×:たわみが大きい、という基準を表している。
(e)割れおよび欠け
厚さ1mmのシートから、20cm×30cmの試験片をのこぎりで切断することにより切り出し、断面の状態を目視で確認することにより、割れおよび欠けの程度を判定した。なお、表1に示した記号は、◎:割れおよび欠けが無い、○:割れおよび欠けがほとんど無い、×:割れおよび欠けが多い、という基準を表している。
(f)光透過性(全光線透過率および曇価)
厚さ2mmのシートについて、JIS K 7361−1(1997年)およびJIS K 7136(2000年)に基づいて測定した。
(g)飽和吸水率
厚さ2mmのシートから3cm×5cmの試験片を切り出し、80℃で一晩真空乾燥した後、重量を測定した。この重量を乾燥試験片重量(W1)とした。次いで、温度60℃、相対湿度90%に調節された恒温恒湿器内に試験片を入れ、重量上昇が停止するまで放置した。このときの重量を水飽和試験片重量(W2)とした。次いで、下記式を用いて、乾燥試験片重量(W1)および水飽和試験片重量(W2)から飽和吸水率(%)を求めた。
【0109】
飽和吸水率(%)=100×(W2−W1)/W1
【0110】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】プロジェクションテレビの概略を示す側断面図である。
【図2】図1のプロジェクションテレビのスクリーンの拡大図である。
【符号の説明】
【0112】
5 スクリーン
6 フレネルレンズシート
9 レンチキュラーレンズシート
10 フロントパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系単量体単位が0〜80重量%含まれるジエン系ゴム状共重合体(A)1.5〜6.5重量%と、
スチレン系単量体単位および(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位が含まれる共重合体(B)93.5〜98.5重量%とを含有する光学スクリーン用シートであって、
前記光学スクリーン用シート全体積に対して分散ゴム粒子相の体積が0.08倍〜0.23倍であることを特徴とする、光学スクリーン用シート。
【請求項2】
JIS K 7171(1994年)に基づいて測定した曲げ弾性率が2500MPa以上であることを特徴とする、請求項1に記載の光学スクリーン用シート。
【請求項3】
JIS K 7110(1999年)に基づいて測定したノッチ付き試験片のアイゾット衝撃強さが2.5kJ/m以上であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の光学スクリーン用シート。
【請求項4】
スチレン系単量体単位が0〜80重量%含まれるジエン系ゴム状共重合体(A)1.5〜6.5重量%と、
スチレン系単量体単位および(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位が含まれる共重合体(B)93.5〜98.5重量%とを含有する樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物全体積に対して分散ゴム粒子相の体積が0.08倍〜0.23倍であることを特徴とする、樹脂組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−94914(P2008−94914A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276481(P2006−276481)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】