説明

光学センサシステム及び発光量調整方法

【課題】光学センサの発光量の調整レンジを広くすると共に、応答性の高い発光量の調整技術を提供する。
【解決手段】光学センサシステムは、発光素子と、発光素子の光を受ける受光素子と、発光素子をオン/オフするスイッチング素子と、スイッチング素子をPWM制御して発光素子の発光量を調整する第1の発光量調整部と、発光素子に接続する抵抗の抵抗値を変化させることで、発光素子の発光量を調整する第2の発光量調整部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学センサにおける発光量を調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子と受光素子とを備えた光学センサシステムでは、発光素子の発光量を調整することが求められる場合がある。例えば、使用期間の経過に伴って発光素子及び受光素子に付着する汚れ量が増えた場合には、発光量を増やすことが求められる。また、発光素子と受光素子との間における物体の有無を検知する透過型フォトインタラプタでは、検知対象物の厚さに応じて適切な発光量に調整することが求められる。そこで、D/A(デジタル/アナログ)コンバータを用いて発光素子に流れる電流値を調整することによって発光量を調整する方法が提案されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
この発光量の調整方法では、予め互いに異なるデジタル値の発光量データを複数用意しておき、これらの発光量データの中から選択した発光量データをD/Aコンバータを用いてアナログ信号に変換する。そして、このアナログ信号に応じた電流を発光素子に供給するように構成されている。したがって、選択する発光量データを変えることによって発光量を調整することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−77968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般にD/Aコンバータは、応答性の悪いデバイスであるために、発光量を制御するための入力信号(デジタル信号)に対して、発光素子の発光量が安定するまでに長時間を要する。それゆえ、発光量を調整する際の応答性が悪いという問題があった。したがって、例えば、多数の光学センサを時分割制御しようとする場合に、それぞれのセンサの読み取り周期を長くする、或いは、光学センサの数を減らすといった対応が必要となっていた。また、D/Aコンバータによって広い調整レンジを実現するためには、回路規模の比較的大きな高価なD/Aコンバータを用いなければならず、光学センサシステム全体の製造コストの上昇を招いていた。
【0006】
本発明は、光学センサの発光量の調整レンジを広くすると共に、応答性の高い発光量の調整技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]光学センサシステムであって、発光素子と、前記発光素子の光を受ける受光素子と、前記発光素子をオン/オフするスイッチング素子と、前記スイッチング素子をPWM制御して前記発光素子の発光量を調整する第1の発光量調整部と、前記発光素子に接続する抵抗の抵抗値を変化させることで、前記発光素子の発光量を調整する第2の発光量調整部と、を備える光学センサシステム。
【0009】
適用例1の光学センサシステムでは、スイッチング素子をPWM制御して発光素子の発光量を調整するので、光量調整の際の高い応答性を得ることができる。また、発光素子に接続する抵抗の抵抗値を変化させることで発光素子の発光量を調整するので、広い調整レンジを得ることができる。
【0010】
[適用例2]適用例1に記載の光学センサシステムにおいて、前記第1の発光量調整部は、前記受光素子における受光量と目標受光量との受光量差が閾値受光量以下の場合に、前記発光素子の発光量を調整し、前記第2の発光量調整部は、前記受光量差が前記閾値受光量よりも大きい場合に、前記発光素子の発光量を調整する、光学センサシステム。
【0011】
このようにすることで、発光素子又は受光素子における汚れ量が増加するなどして、受光素子における受光量が大きく減少した場合には、接続する抵抗の抵抗値を減らすことで発光量を大きく増加させることができ、発光量の調整に要する時間を短くすることができる。また、受光素子における受光量が少しだけ減少した場合には、PWM制御におけるデューティ比を増加させるので、発光量の微調整が可能となる。したがって、発光素子に流れる電流を必要以上に増加させないようにすることができる。
【0012】
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の光学センサシステムであって、さらに、前記第1の発光量調整部及び前記第2の発光量調整部の故障を検出する故障検出部を備え、前記第1の発光量調整部は、前記第2の発光量調整部が故障した場合に、前記PWM制御におけるデューティ比を前記第2の発光量調整部が正常である場合に比べて低下させ、前記第2の発光量調整部は、前記第1の発光量調整部が故障した場合に、前記発光素子に接続する抵抗の抵抗値を、前記第1の発光量調整部が正常である場合に比べて減らす、光学センサシステム。
【0013】
このようにすることで、第1の発光量調整部と第2の発光量調整部とのうち、いずれか一方が故障した場合であっても、故障前後における発光量の変化を抑制することができ、検知対象物の有無を継続して検知することができる。
【0014】
[適用例4]適用例1に記載の光学センサシステムであって、さらに、前記発光素子の発光量を調整するために、前記PWM制御におけるデューティ比と前記発光素子に接続する抵抗の抵抗値を示す情報とによって表わされる互いに発光量の異なる複数の発光ランクを格納する記憶部を備え、前記第1の発光量調整部と前記第2の発光量調整部とは、前記複数の発光ランクの中から設定された運用発光ランクに基づき前記発光素子の発光量を調整し、前記第1の発光量調整部と前記第2の発光量調整部とは、前記複数の発光ランクのうちいずれかの発光ランクに基づき前記発光素子の発光量を調整した際に、前記受光素子の受光量が該発光ランクに対応する所定の対応受光量よりも少ない場合には、既に設定されている運用発光ランクに比べて発光量がより多い発光ランクに基づき、前記発光素子の発光量を調整する、光学センサシステム。
【0015】
このようにすることで、発光素子又は受光素子における汚れ量が増加するなどして、受光素子における受光量が減少すると、発光量のより多い発光ランクを新たな運用発光ランクとして発光量を調整するので、受光素子における受光量を増加させることができ、検知対象物の有無を正確に検知することができる。
【0016】
[適用例5]適用例4に記載の光学センサシステムであって、さらに、前記発光素子又は前記受光素子のメンテナンスの要否を判断するメンテナンス要否判断部を備え、前記記憶部は、前記複数の発光ランクに加えて、さらに、前記複数の発光ランクのうち最大発光量の発光ランクに比べて発光量が少ないチェック用発光ランクを格納しており、前記メンテナンス要否判断部は、前記第1の発光量調整部と前記第2の発光量調整部とが、前記チェック用発光ランクで前記発光素子の発光量を調整した際の前記受光素子における受光量に基づき、メンテナンスの要否を判断する、光学センサシステム。
【0017】
このようにすることで、発光素子又は受光素子のメンテナンスの要否を判断する際に、発光素子の発光量を少なくするので、発光素子の動作点を発光素子の汚れ量の変化に対する発光量の変化が大きい領域に存在させることができる。したがって、受光量に基づいて発光素子又は受光素子の劣化(汚れ量の多少など)を正確に把握でき、メンテナンスの要否を正確に判断することができる。
【0018】
[適用例6]適用例1ないし適用例5のいずれか一例に記載の光学センサシステムであって、さらに、前記受光素子が受光量に応じて出力する受光側電圧を、所定の閾値電圧と比較することによって検知対象物の有無を検知する検知部を備え、前記検知部は、前記受光量が低下した場合に前記閾値電圧を調整することによって検知感度を上げる、光学センサシステム。
【0019】
このようにすることで、閾値電圧を調整することで検知感度を上げるので、発光素子の発光量を最大に調整してもなお受光素子における受光量が少ない場合でも、被検知対象物の有無を正確に検知することができる。
【0020】
[適用例7]適用例1ないし適用例6のいずれか一例に記載の光学センサシステムを備えた紙葉類取扱装置。
【0021】
このようにすることで、紙葉類取扱装置において、搬送される紙葉類の有無や、利用者の有無などを検知することができる。
【0022】
[適用例8]発光素子の光を受ける受光素子をオン/オフするスイッチング素子と、前記発光素子に接続可能な抵抗と、を有する光学センサシステムにおける発光量調整方法であって、(a)前記受光素子における受光量と目標受光量との受光量差が閾値受光量以下の場合に前記スイッチング素子をPWM制御して前記発光素子の受光量を調整し、前記受光量差が前記閾値受光量よりも大きい場合に前記抵抗の抵抗値を変化させることで前記発光素子の受光量を調整する工程を備える、発光量調整方法。
【0023】
適用例8の発光量調整方法では、スイッチング素子をPWM制御して発光素子の発光量を調整するので、光量調整の際の高い応答性を得ることができる。また、互いに抵抗値が異なる複数の抵抗の抵抗値を変化させることで発光素子の発光量を調整するので、広い調整レンジを得ることができる。また、発光素子又は受光素子における汚れ量が増加するなどして、受光素子における受光量が大きく減少した場合には、接続する抵抗の抵抗値を減らすことで発光量を大きく増加させることができ、発光量の調整に要する時間を短くすることができる。また、受光素子における受光量が少しだけ減少した場合には、PWM制御におけるデューティ比を増加させるので、発光量の微調整が可能となる。したがって、発光素子に流れる電流を必要以上に増加させないようにすることができる。
【0024】
[適用例9]発光素子の光を受ける受光素子をオン/オフするスイッチング素子と、前記スイッチング素子をPWM制御して前記発光素子の発光量を調整する第1の発光量調整部と、前記発光素子に接続する抵抗の抵抗値を変化させることで、前記発光素子の発光量を調整する第2の発光量調整部と、を有する光学センサシステムにおける発光量調整方法であって、(a)前記第1の発光量調整部及び前記第2の発光量調整部の故障を検出する工程と、(b)前記第2の発光量調整部が故障した場合に、前記PWM制御におけるデューティ比を前記第2の発光量調整部が正常である場合に比べて低下させ、前記第1の発光量調整部が故障した場合に、前記抵抗の抵抗値を、前記第1の発光量調整部が正常である場合に比べて減らす工程と、を備える発光量調整方法。
【0025】
適用例9の発光量調整方法では、スイッチング素子をPWM制御して発光素子の発光量を調整するので、光量調整の際の高い応答性を得ることができる。また、互いに抵抗値が異なる複数の抵抗の抵抗値を変化させることで発光素子の発光量を調整するので、広い調整レンジを得ることができる。また、第1の発光量調整部と第2の発光量調整部とのうち、いずれか一方が故障した場合であっても、故障前後における発光量の変化を抑制することができ、検知対象物の有無を継続して検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
A.第1の実施例:
A1.システム構成:
図1は、本発明の一実施例としての光学センサシステムの一例を示す説明図である。この光学センサシステム1000は、発光部100と、受光部200と、制御部300と、点灯制御回路110と、抵抗切替制御回路130と、PWM制御回路150とを備えている。
【0027】
発光部100は、発光素子としての発光ダイオード20と、4つのトランジスタ(FET:電界効果トランジスタ)10,31,32,50と、互いに同じ抵抗値の2つの抵抗R1,R2と、を備えている。トランジスタ10は、発光ダイオード20と点灯制御回路110とに接続されており、発光ダイオード20の点灯/消灯を切り替える。トランジスタ31は、発光ダイオード20と抵抗R1と抵抗切替制御回路130とに接続されており、発光ダイオード20と抵抗R1との間の接続/切断を切り替える。トランジスタ32は、発光ダイオード20と抵抗R2と抵抗切替制御回路130とに接続され、発光ダイオード20と抵抗R2との間の接続/切断を切り替える。トランジスタ50は、2つの抵抗R1,R2とPWM制御回路150とに接続されており、発光部100内を流れる電流値を調整するのに用いられる。
【0028】
受光部200は、発光部100から検出ギャップGpだけ離れて配置されている。受光部200は、受光素子としてのフォトトランジスタ210を備えている。フォトトランジスタ210は、発光部100からの受光量に応じた電圧(以下、「受光側電圧」と呼ぶ)を出力する。例えば、フォトトランジスタ210において受光量が多いと、受光側電圧S20はほぼ0Vとなり、受光量が減少するのに従って受光側電圧S20は次第に高くなる。
【0029】
制御部300は、アナログ/デジタル(A/D)変換部305と、CPU310と、メモリ320とが、バス315を介して接続された構成を有している。A/D変換部305は、受光部200と接続されており、受光側電圧S20をデジタル値に変換してCPU310に送信する。メモリ320は、運用設定値格納部321と、調整設定値格納部322と、発光量調整テーブルtb1とを備えている。運用設定値格納部321には、後述する運用発光ランクを示す情報と運用閾値レベルを示す情報とが記憶されている。調整設定値格納部322には、後述する自動調光処理において用いられる発光ランクを示す情報と閾値レベルを示す情報とが記憶される。また、メモリ320には、図示しないセンサ制御用プログラムが記憶されており、CPU310は、このプログラムを実行することで、点灯制御部310a、抵抗値調整部310b、PWM調整部310c及び主制御部310dとして機能する。
【0030】
点灯制御回路110は、制御部300とトランジスタ10とに接続されており、トランジスタ10にパルス点灯信号S10を送信する。抵抗切替制御回路130は、制御部300とトランジスタ31とトランジスタ32とに接続されている。抵抗切替制御回路130は、トランジスタ31に抵抗切替信号S31を送信し、また、トランジスタ32に抵抗切替信号S32を送信する。PWM制御回路150は、制御部300とトランジスタ50とに接続されており、トランジスタ50にPWM制御信号S50を送信する。
【0031】
前述の点灯制御部310aが点灯制御回路110に発光ダイオード20の点灯を指示すると、点灯制御回路110は、パルス点灯信号S10をハイ(H)とする。そうすると、トランジスタ10がオンして発光ダイオード20が発光する。前述の抵抗値調整部310bが「抵抗を1つ接続する」旨を指示すると、抵抗切替制御回路130は、抵抗切替信号S31をHとする。そうすると、トランジスタ31がオンして抵抗R1が発光ダイオード20に接続される。また、抵抗値調整部310bが「抵抗を2つ接続する」旨を指示すると、抵抗切替制御回路130は、抵抗切替信号S31と抵抗切替信号S32とをいずれもHとする。その結果、2つのトランジスタ31,32がいずれもオンして、2つの抵抗R1,R2が発光ダイオード20に接続される。前述のPWM調整部310cがデューティ比を指定してPWM制御を指示すると、PWM制御回路150は、指定されたデューティ比となるようにPWM制御信号S50をトランジスタ50に送信する。そうすると、指定されたデューティ比でトランジスタ50のオン/オフ(PWM制御)が実行され、発光ダイオード20を流れる電流がPWM制御される。本実施例において、トランジスタ50のPWM制御は、トランジスタ50のオンする(Hとなる)期間を調整することで、デューティ比(全期間に対するH期間の割合)を調整して実現する。なお、これに代えて、オンする期間を一定としてオンする周期を調整することによって、デューティ比を調整することもできる。
【0032】
光学センサシステム1000では、発光ダイオード20の発光量を調整可能に構成されている。具体的には、発光ダイオード20に接続する抵抗の数によって発光量を調整し、また、トランジスタ50におけるデューティ比によって発光量を調整することができる。発光ダイオード20は、所定の電圧VCCで定圧駆動されており、発光ダイオード20を流れる電流値によって発光量が変化する。したがって、例えば、発光ダイオード20に接続される抵抗の抵抗値が小さいほど(接続される抵抗数が少ないほど)、発光ダイオード20を流れる電流は小さくなり発光量は少なくなる。また、トランジスタ50がオフしている場合には電流が流れないので、デューティ比が大きいほど、発光ダイオード20を流れる電流は大きくなり発光量は多くなる。なお、発光ダイオード20は、光学センサシステム1000の起動後において、所定の調光パラメータ(発光ダイオード20に接続する抵抗数及びPWM制御におけるデューティ比)に基づき、継続的に発光している。
【0033】
上述した構成を有する光学センサシステム1000は、いわゆる透過型フォトインタラプタであり、検出ギャップGpにおける検出対象物の有無を検知する。具体的には、検出対象物が検出ギャップGp内に存在する場合には受光量が減るので、受光側電圧S20が高くなる。したがって、受光側電圧S20が閾値(運用閾値)よりも高い場合には、検出対象物が有ると検知する。一方、受光側電圧S20が運用閾値以下の場合には、検出対象物が無いと検知する。このような光学センサシステム1000は、例えば、図示しない現金自動預け払い機(ATM:Automatic Teller Machine)に搭載され、ATM内の搬送路において紙幣の有無を検知するのに用いることができる。ここで、発光ダイオード20及びフォトトランジスタ210に付着する汚れ量は経過期間に従って多くなる。汚れ量が多くなると適切な受光量が得られず、検知対象物(例えば紙幣)の有無を正確に検知できないおそれがある。そこで、光学センサシステム1000では、後述する自動調光処理を実行することで、適切な受光量を維持するように構成されている。
【0034】
なお、上述したトランジスタ50は請求項におけるスイッチング素子に相当する。また、主制御部310dとPWM調整部310cとPWM制御回路150とは請求項における第1の発光量調整部に、主制御部310dと抵抗値調整部310bと抵抗切替制御回路130と2つの抵抗R1,R2とは請求項における第2の発光量調整部に、主制御部310dは請求項における検知部及びメンテナンス要否判断部に、それぞれ相当する。
【0035】
A2.自動調光処理:
図2は、光学センサシステム1000において実行される自動調光処理の手順を示すフローチャートである。光学センサシステム1000では、検知対象物を検知した後、一定期間(例えば、5分間)検知対象物を検知しないと、自動調光処理が実行される。なお、検知対象物の検知の有無に関わらず、定期的に自動調光処理を実行することもできる。
【0036】
自動調光処理が開始されると、各機能部310a〜310d(図1)は、現在の運用発光ランクで発光部100を発光させ、主制御部310dは、受光側電圧S20を読み取る(ステップS105)。具体的には、主制御部310dは、運用設定値格納部321から運用発光ランク及び運用閾値を読み出して調整設定値格納部322に書き込む。点灯制御部310aは、パルス点灯信号S10をHとする。また、抵抗値調整部310bは、調整設定値格納部322に格納されている発光ランクに基づき、抵抗切替信号S31又は抵抗切替信号S32を調整する。また、PWM調整部310cは、調整設定値格納部322に格納されている発光ランクに基づき、PWM制御信号S50を調整する。
【0037】
図3は、光学センサシステム1000において設定されている発光ランクの具体的内容を示す説明図である。光学センサシステム1000では、発光ランクとして4つのランク(ランク1〜ランク4)が予め設定されている。各ランクでは、調光パラメータである「デューティ比」と「接続抵抗数」とが、互いに異なる組合せとなるように設定されている。具体的には、ランク1では、(デューティ比,接続抵抗数)が、それぞれ(50%,1)に設定されている。ランク2では(75%,1)に、ランク3では(50%,2)に、ランク4では(75%,2)に、それぞれ設定されている。
【0038】
ここで、ランク1,2,3,4における発光量は、この順番に、調光パラメータ以外の条件を同じに場合に、より多い発光量となるように設定されている。そして、光学センサシステム1000では、いずれかの発光ランクが運用設定値格納部321に設定(格納)されており、通常使用時においてその発光ランクに基づきデューティ比と接続抵抗数とが調整される。なお、運用設定値格納部321に設定されている発光ランクを「運用発光ランク」と呼ぶ。
【0039】
ステップS110(図2)では、主制御部310dは、ステップS105で読み取った受光側電圧S20を、運用閾値と比較し、受光側電圧S20が運用閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0040】
図4は、運用閾値と経過期間に対する受光側電圧特性とを示す説明図である。図4において、横軸は経過期間(時刻)を示し、縦軸は受光側電圧S20を示す。一般に、経過期間の長さに比例して汚れ量は増加するので、図4は、汚れ量に対する受光側電圧特性ともいえる。また、受光側電圧S20は、受光量が増加するほど低下するので、図4は汚れ量に対する受光量特性ともいえる。なお、図4では、各発光ランクごとの経過期間に対する受光側電圧S20の特性を示している。また、図4においてp1〜p4は、発光ダイオード20の動作点を示す。
【0041】
光学センサシステム1000では、運用閾値のレベルとして4つのレベル(レベル1〜レベル4)が設定されている。具体的には、レベル1として「th1」で設定されている。同様に、レベル2として「th2」が、レベル3として「th3」が、レベル4として「th4」が、それぞれ設定されている。なお、レベル1〜4は、この順番により高い電圧となっている。そして、これらレベル1〜4を示す情報が、運用閾値として運用設定値格納部321に格納されている。
【0042】
なお、図4に示すように、同一発光ランクにおいて、発光ダイオード20における受光側電圧S20は、汚れ量が多くなると上昇する。また、同じ汚れ量であれば、発光ランクが高いほど、受光側電圧S20は低下する。
【0043】
前述のステップS110(図2)において、受光側電圧S20が運用閾値以下である場合、主制御部310dは、調整設定値格納部322に書き込まれている発光ランク及び運用閾値を運用設定値格納部321に保存する(ステップS145)。受光側電圧S20が運用閾値以下である場合には、発光部100又は受光部200における汚れ量は運用上問題がない程度に少ないといえる。そこで、この場合、運用発光ランク及び運用閾値を変更することなく自動調光処理は終了する。
【0044】
図4の例では、時刻t1において運用ランクがランク1であり、かつ運用閾値がth1である場合には、この時点における動作点p1の受光側電圧S20は運用閾値th1よりも低い。したがって、運用発光ランクはランク1のまま、また、運用閾値はth1のまま、自動調光処理は終了する。
【0045】
一方、前述のステップS110(図2)において受光側電圧S20が運用閾値以下である場合、主制御部310dは、現在の発光ランクが最大発光ランク(ランク4)であるか否かを判定する(ステップS115)。現在の発光ランクが最大発光ランク(ランク4)でない場合、主制御部310dは、現在の発光ランクの1つ上の発光ランクを新たな発光ランクとして、新たな発光ランクについての情報調整設定値格納部322に上書きする。そして、各機能部310a〜310dは、ステップS105と同様に、新たな発光ランクで発光部100を発光させ、主制御部310dは、受光側電圧S20を読み取る(ステップS125)。
【0046】
図4の例では、時刻t2(動作点p2)において、時刻t1に比べて汚れ量が増えたため、受光側電圧S20は上昇して運用閾値th1よりも高くなっている。したがって、発光ランクは、発光ランク1から発光ランク2に上がり動作点は動作点p3に変わる。この場合、動作点p3の受光側電圧S20は運用閾値th1よりも低いので、次回ステップS110を実行する際には、受光側電圧S20は運用閾値以下と判断される。したがって、上述したステップS145(図2)を実行した後に自動調光処理は終了し、運用発光ランクと運用閾値は、それぞれ、発光ランク2とth1とになる。また、その後、時刻t3(図4)において自動調光処理を実行する場合、動作点は動作点p4となっている。この状態で発光ランクをランク2から1つ上げてランク3とすると動作点は、動作点p4から動作点p5に移動する。ところが、動作点p5における受光側電圧S20は運用閾値th1よりも高い。したがって、この場合、発光ランクはさらに1つ上がりランク4となり、動作点は動作点p6となる。動作点p6における受光側電圧S20は、運用閾値th1よりも低いのでステップS145の実行の後自動調光処理は終了する。
【0047】
前述のステップS115(図2)において、現在の発光ランクが最大発光ランク(ランク4)であると判定すると、主制御部310dは、現在の閾値レベルが最大レベル(レベル4)であるか否かを判定する(ステップS130)。現在の閾値レベルが最大レベルであると判定した場合、前述のステップS145が実行された後自動調光処理は終了する。
【0048】
前述のステップS130において現在の閾値レベルが最大でないと判定した場合、主制御部310dは、閾値レベルを1つ上げ(ステップS135)、受光側電圧S20が新たな閾値よりも高いか否かを判定する(ステップS140)。閾値レベルを上げることは、すなわち、受光量が少ない(受光側電圧S20が高い)場合でも受光の有無を識別可能とし、検知感度を上げることに相当する。そして、受光側電圧S20が新たな閾値よりも高い場合、前述のステップS130が再び実行される。一方、受光側電圧S20が新たな閾値以下の場合、前述のステップS145が実行された後自動調光処理は終了する。
【0049】
図4の例では、時刻t4(動作点4)において、時刻t3に比べて汚れ量が増えたため、動作点は動作点p7に移動し、受光側電圧S20は上昇して閾値th1(レベル1)よりも高くなっている。このとき、発光ランクは既に最大発光ランク(ランク4)となっているので、ステップS135が実行されて閾値レベルはレベル1からレベル2に変わる。この場合においても動作点p7における受光側電圧S20は、閾値th2(レベル2)よりも高いので、再度ステップS135が実行される。その結果、閾値レベルはレベル3に変わり、動作点p7における受光側電圧S20は、新たな閾値th3(レベル3)よりも低くなり、この新たな閾値レベル(レベル3)が運用設定値格納部321に格納されて自動調光処理は終了することとなる。
【0050】
以上説明したように、光学センサシステム1000では、トランジスタ50をPWM制御するので、応答性の低いデバイス(D/Aコンバータ等)を介すことなくトランジスタ50のオン/オフを制御でき、調整の際の高い応答性を得ることができる。また、発光量を調整するのに、トランジスタ50のPWM制御と共に発光ダイオード20に接続する抵抗数(抵抗値)によって光量を調整するので、広い調整レンジを得ることができる。また、発光部100側における発光量の調整に加えて閾値レベルを調整するので、発光量を最大に調整してもなお受光素子における受光量が少ない場合でも、被検知対象物を正確に検知することができる。
【0051】
B.第2の実施例:
図5は、第2の実施例における発光部100aの詳細構成を示す説明図である。第2の実施例における光学センサシステムは、複数の発光ダイオード20を備えており、複数の位置における検知対象物の有無を検知可能に構成されている点と、検知対象物を検知しなくなった後繰り返し自動調光処理を実行する点とにおいて光学センサシステム1000と異なり、他の構成は第1の実施例と同じである。なお、このような光学センサシステムとしては、例えば、ATMの搬送路において、複数の位置において紙幣の通過を検知するのに使用することもできる。
【0052】
具体的には、発光部100aは、発光ダイオード20の点灯/消灯を切り替えるためのトランジスタとして、8つのトランジスタ11〜18を備えている。また、発光部100aは、16個の発光グループGr1〜Gr16と、8つの抵抗切替グループRg1〜Rg8と、PWM制御用の8つのトランジスタ51〜58を備えている。なお、トランジスタ5n(n=1〜8)は、抵抗切替グループRgn(n=1〜8)に対応して配置されている。
【0053】
各発光グループGr1〜Gr16は、それぞれ8つの発光ダイオード20を備えている。各トランジスタ11〜18は、それぞれ隣り合う2つの発光グループに接続されている。例えば、トランジスタ11は、発光グループGr1と発光グループGr2とに接続されており、これら2つの発光グループGr1,Gr2に属する発光ダイオード20(合計16個)の点灯/消灯を切り替える。各抵抗切替グループRg1〜Rg8は、それぞれ8つの抵抗R1〜R8と、各抵抗R1〜R8に対応するトランジスタ31〜38とを備えている。8つの抵抗R1〜R8は互いに同じ抵抗値を有しており、第2の実施例の光学センサシステムでは、第1の実施例と同様に、各発光ダイオード20に接続する抵抗の数を調整することで、各発光ダイオード20に接続する抵抗値を調整するように構成されている。なお、各抵抗切替グループRgn(n=1〜8)において、8つのトランジスタ31〜38に入力される信号を総称して抵抗切替信号SRn(n=1〜8)と呼ぶ。
【0054】
なお、図示は省略するが、第2の実施例の光学センサシステムでは、各発光ダイオード20(合計128個)に対応して、受光部においてフォトトランジスタ210が用意されており、各発光ダイオード20からの光を受光可能に構成されている。
【0055】
制御部300(図1)は、点灯制御回路110を介してトランジスタ11〜18(図5)に接続されている。また、制御部300は、抵抗切替制御回路130を介して、各抵抗切替グループRg1〜Rg8に接続されている。また、制御部300は、PWM制御回路150を介してトランジスタ51〜58(図5)に接続されている。点灯制御部310a(図1)は、図5のトランジスタ1n(n=1〜8)に対して、対応するパルス点灯信号S1n(n=1〜8)を点灯制御回路110を介して送信する。抵抗値調整部310bは、抵抗切替グループRgn(n=1〜8)に対して、対応する抵抗切替信号SRn(n=1〜8)を抵抗切替制御回路130を介して送信する。PWM調整部310cは、トランジスタ5n(n=1〜8)に対して、対応するPWM制御信号S5n(n=1〜8)をPWM制御回路150を介して送信する。
【0056】
このような構成を有する第2の実施例の光学センサシステムでは、2つの発光グループGrを一単位として点灯/消灯を制御すると共に、2つの発光ダイオード20を一単位として発光量を調整するように構成されている。例えば、発光グループGr1の発光ダイオード20aと、発光グループGr2の発光ダイオード20bとは、同一の調光パラメータに基づき光量調整される。また、第2の実施例の光学センサシステムでは、この点灯/消灯の切り替えと発光量の調整とを時分割制御している。また、第2の実施例の光学センサシステムでは、この時分割制御を実現するために、2つの発光ダイオード20を一単位として、それぞれ、運用発光ランクと運用閾値とが運用設定値格納部321(図1)に格納されている。
【0057】
図6は、第2の実施例の光学センサシステムにおける点灯/消灯の切り替えと、発光量の調整との時分割制御を模式的に示すタイミングチャートである。図6において、横軸は時刻を示す。なお、図6では、「抵抗切替信号SR1〜SR8」として、いずれの発光グループに属する発光ダイオード20を調整対象とした抵抗切替信号SR1〜SR8を送信しているかを、発光グループの番号(Gr1〜Gr16)で示している。同様に、「PWM制御信号」として、いずれの発光グループに属する発光ダイオード20を調整対象としたPWM制御信号S51〜S58を送信しているかを、発光グループの番号(Gr1〜Gr16)で示している。
【0058】
例えば、時刻t11〜t12においては、パルス点灯信号S11がHとなっており、グループGr1,Gr2内の発光ダイオード20(合計16個)が点灯可能な状態となる。また、抵抗切替信号SR1〜SR8が、発光グループGr1,Gr2内の発光ダイオード20の光量を調整するように各抵抗切替グループRg1〜Rg8に送信される。また、PWM制御信号S51〜S58が、発光グループGr1,Gr2内の発光ダイオード20の光量を調整するように対応するトランジスタ51〜58に送信される。その結果、時刻t11〜t12において、発光グループGr1,Gr2内の各発光ダイオード20は光量を調整されて発光する。
【0059】
以上説明した第2の実施例の光学センサシステムは、第1の実施例の光学センサシステム1000と同様な効果を奏する。また、複数の発光ダイオード20を備えているので、複数個所における検知対象物の有無を検知することができる。また、複数の発光ダイオード20の発光及び発光量を時分割制御するので、1つの制御部300によって複数の発光ダイオード20の制御を行うことができる。このとき、光量調整の際の応答性が高いので、1つの発光ダイオード20の光量調整に要する時間を短くすることができる。それゆえ、各発光ダイオード20の光量調整を、比較的短い周期で行うことができる。従って、例えば、光学センサシステムがATMに用いられているケースにおいて、紙幣の搬送速度が非常に速い場合においても、紙幣の通過の有無を正確に検知することが可能となる。また、仮に、発光ダイオード20の数を128個よりも増やした場合でも、紙幣の搬送速度を低下させることなく、紙幣の通過を正確に検知することができる。
【0060】
C.第3の実施例:
図7は、第3の実施例の光学センサシステムにおけるメンテナンス要否判断処理の手順を示すフローチャートである。第3の実施例の光学センサシステムは、上述した自動調光処理とは別に、定期的にシステムメンテナンスの要否を判断するためのメンテナンス要否判断処理を定期的に実行する点と、このメンテナンス要否判断処理のために、上述した発光ランク(ランク1〜ランク4)及び閾値レベルとは別にセンサチェック用発光ランク及びチェック用閾値を設けている点とにおいて、光学センサシステム1000と異なり、他の構成は第1の実施例と同じである。
【0061】
具体的には、メンテナンス要否判断処理が開始されると、主制御部310d(図1)は、メモリ320よりセンサチェック用発光ランクの調光パラメータ(図示省略)を読み出し、各機能部310a〜310dは、センサチェック用発光ランクで発光部100を発光させ、主制御部310dは、受光側電圧S20を読み取る(ステップS205)。主制御部310dは、読み取った受光側電圧S20をチェック用閾値と比較して、受光側電圧S20がチェック用閾値よりも高いか否かを判定する(ステップS210)。そして、主制御部310dは、受光側電圧S20がチェック用閾値よりも高いと判定した場合に、メンテナンスが必要であると判断してその判断結果をメモリ320に保存する(ステップS215)。一方、受光側電圧S20がチェック用閾値以下であると判定した場合に、メンテナンスが不要であると判断してその判断結果をメモリ320に保存する(ステップS220)。
【0062】
図8は、チェック用発光ランクにおける経過期間に対する受光側電圧特性を示す説明図である。図8における横軸及び縦軸は、図4と同じである。チェック用発光ランクにおける調光パラメータとして、同じ条件で発光した場合にランク4よりも少ない発光量となるようなパラメータが設定されている。なお、図8の例では、チェック用閾値として「th10」が設定されている。また、図8の例では、発光ランク4における受光側電圧特性を破線で示している。
【0063】
例えば、現在の運用発光ランクが最大発光ランク(ランク4)であり、運用閾値レベルがレベル1(th1)の場合において、時刻t11〜t13では、動作点は、時刻の経過に対する受光側電圧S20の上昇率が小さい飽和領域AR1にある。したがって、時刻t11,t12,t13における受光側電圧S20は、いずれも電圧v0付近で互いに電圧差が小さい。それゆえ、読み取った受光側電圧S20から、汚れ量を正確に予測することは困難である。図8の例では、時刻t13を過ぎた後において、急激に受光側電圧S20が上昇している。したがって、自動調光処理では対処できないほど急激に受光量が減少するおそれがある。
【0064】
ところが、第3の実施例の光学センサシステムでは、ランク4よりも同じ条件下で発光量が少ないチェック用発光ランクで発光ダイオード20を発光させるので、受光側電圧特性は左側にシフトする。そうすると、時刻t11〜t13において、動作点は、時刻の経過に対する受光側電圧S20の上昇率が大きい活性領域AR2に位置することとなる。したがって、各時刻t11〜t13間の受光側電圧S20の差が大きくなり、読み取った受光側電圧S20に基づき汚れ量を正確に予測することができる。図8の例では、時刻t13におけるチェック用発光ランクの動作点の受光側電圧S20は、電圧v3となっており、チェック用閾値(th10)よりも高くなっている。したがって、この場合、「メンテナンスが必要である旨」がメモリ320に保存されることとなる。その後、例えば、このメモリ320に記憶された「メンテナンスが必要である旨」に基づき、図示せざるATMの表示部にアラームメッセージを表示させることにより、係員がセンサメンテナンス(発光ダイオード20やフォトトランジスタ210の清掃や交換など)を行うことができる。
【0065】
以上説明した第3の実施例の光学センサシステムは、第1の実施例と同様な効果を奏する。また、メンテナンス要否判断処理において、チェック用発光ランクを用いて発光量を減らして発光させ、動作点が活性領域AR2に含まれるように制御するので、受光側電圧S20に基づき発光ダイオード20又はフォトトランジスタ210の劣化度合いを正確に把握することができる。それゆえ、実際に発光ダイオード20又はフォトトランジスタ210が使用不可能となる前にメンテナンスを行うことが可能となる。
【0066】
D.第4の実施例:
図9は、第4の実施例における自動調光処理の手順を示すフローチャートである。第4の実施例の光学センサシステムは、以下の4点において、光学センサシステム1000と異なり、他の構成は、第1の実施例と同じである。すなわち、発光ランクを予め設けておらず、受光側電圧S20に応じて接続抵抗数又はデューティ比を選択的に調整する点と、運用発光ランクに代えて、通常時に使用する調光パラメータをメモリ320に保存している点と、前回自動調光処理を実行した際に最終的に得られた受光側電圧S20をメモリ320に保存している点と、閾値レベルの調整が無い点と、が相違点となる。
【0067】
具体的には、第4の実施例の自動調光処理が開始されると、各機能部310a〜310dは、現在の運用発光パラメータに基づき発光部100を発光させ、主制御部310dは、受光側電圧S20を読み取る(ステップS305)。主制御部310dは、メモリ320から前回の受光側電圧S20を読み出し、この前回の受光側電圧S20に対するステップS305で測定した受光側電圧S20の割合Rvを求める(ステップS310)。主制御部310dは、割合Rvが、2.0よりも大きいか否かを判定する(ステップS315)。
【0068】
割合Rvが2.0よりも大きい場合(ステップS315:YES)、主制御部310dは、発光ダイオード20に接続している抵抗(抵抗R1又は抵抗R2)があるか否かを判定し(ステップS320)、接続抵抗がある場合に、抵抗値調整部310b及び抵抗切替制御回路130を制御して、接続抵抗数を1つ減らす(ステップS325)。割合Rvが2.0よりも大きい場合には、前回自動調光処理を行った後、発光ダイオード20の汚れ量が大きく増えて発光ダイオード20の発光量が非常に減少した、或いは、フォトトランジスタ210の汚れ量が大きく増えて受光量が非常に減少したおそれがある。そこで、この場合、発光ダイオード20に接続する抵抗数を減らすことで、発光ダイオード20の発光量を大きく増加させる。
【0069】
前述のステップS325の後、各機能部310a〜310dは、新たな調光パラメータに基づき発光部100を発光させ、主制御部310dは、受光側電圧S20を読み取る(ステップS330)。そして、上述したステップS310以降の処理を再び実行する。上述したように、接続抵抗数を減らしたことで発光ダイオード20の発光量は増加しているので、次にステップS315を実行する際には、割合Rvは2.0以下であると判定される可能性がある。
【0070】
上述したステップS320において、発光ダイオード20に接続している抵抗が無いと判定すると、主制御部310dは、自動調光処理において最終的に設定した調光パラメータと、最終的に測定した受光側電圧S20とをメモリ320に保存し(ステップS350)、自動調光処理は終了する。
【0071】
上述したステップS315において、割合Rvが2.0以下であると判定すると、主制御部310dは、割合Rvが所定の範囲内(1.0<Rv≦2.0)であるか否かを判定する(ステップS335)。割合Rvが所定の範囲内であると判定すると、主制御部310dは、調光パラメータのうち、デューティ比が100%であるか否かを判定する(ステップS340)。デューティ比が100%である場合には、上述したステップS350を実行した後、自動調光処理は終了する。
【0072】
一方、ステップS340において、デューティ比が100%でないと判定すると、主制御部310dは、PWM調整部310cを介してPWM制御回路150を制御して、デューティ比を5%増加させる(ステップS345)。そして、上述したステップS330を実行した後、上述したステップS310以降の処理を再び実行する。したがって、割合Rvが所定の範囲内(1.0<Rv≦2.0)である場合には、デューティ比を5%単位で増加させて発光量を少しずつ増加させながら、受光側電圧S20が前回の受光側電圧S20となるまで(又はデューティ比が100%となるまで)発光量の調整が行われることとなる。なお、上述したRv=2.0は、請求項における目標受光量に相当する。
【0073】
以上説明した第4の実施例の光学センサシステムも第1の実施例の光学センサシステム1000と同様な効果を奏する。また、第4の実施例の光学センサシステムは、前回自動調光処理を実行した際の最終的な受光側電圧S20を基準として、受光側電圧S20が大きく増加した(すなわち、発光量又は受光量が大きく減少した)場合には、接続抵抗数を減らすことで光量を大きく増加させる。したがって、受光側電圧S20が所望のレベルに達するように(すなわち、受光量が所望の量に達するように)調整するための時間を短くすることができる。また、前回自動調光処理を実行した際の最終的な受光側電圧S20を基準として、少しだけ受光側電圧S20が増加した(すなわち、発光量又は受光量が少しだけ減少した)場合には、PWM制御におけるデューティ比を5%ずつ増加させることで光量を少しずつ増加させることができる。したがって、受光側電圧S20が所望のレベルに達するように(すなわち、受光量が所望の量に達するように)調整する際に、微調整でき、デューティ比を必要以上に増加させて電流量を増加させないようにすることができる。それゆえ、回路の劣化を抑えたり、消費電力を抑制したりすることができる。
【0074】
E.第5の実施例:
図10は、第5の実施例における故障時発光量調整テーブルの具体的内容を示す説明図である。第5の実施例の光学センサシステムは、以下の3点において光学センサシステム1000と異なり、他の構成は第1の実施例と同じである。すなわち、2つのトランジスタ31,32のいずれかが故障した場合にも、受光量の変化を抑制可能に構成されている点と、メモリ320に前述の発光量調整テーブルtb1に加えて故障時用発光量調整テーブルtb2が格納されている点と、自動調光処理を実行する前に、トランジスタ31及びトランジスタ32の故障検出を行う点とが相違点となる。
【0075】
後述する故障検出処理によって2つのトランジスタ31,32のうち、いずれかのトランジスタのみが故障したことを検出すると、主制御部310dは、発光量調整テーブルtb1に代えて、故障時用発光量調整テーブルtb2を用いて発光ダイオード20の発光量を調整する。例えば、現在の運用発光ランクがランク1の場合、故障時用発光量調整テーブルtb2を参照して、接続抵抗数が「1」であり、デューティ比が「12.5%」となるように、各機能部310a〜310dを制御して発光量を調整する。ここで、故障時用発光量調整テーブルtb2の各ランクの調光パラメータ(接続抵抗数,デューティ比)は、対応する正常時の発光量調整テーブルtb1の各調光パラメータで調整した発光量とほぼ同じ発光量となるように予め実験により決定され、設定されている。したがって、前述のように運用発光ランクがランク1の場合において、正常時における調光パラメータ(デューティ比,接続抵抗数)が(50%,2)であったものが、故障発生時において(12.5%,1)となり、故障前後における発光量の変化を抑制することができる。
【0076】
トランジスタ31及びトランジスタ32の故障検出は、例えば、以下のごとく実行することができる。主制御部310dは、PWM調整部310cを介してPWM制御回路150を制御して、所定のデューティ比でトランジスタ50におけるPWM制御を継続して行う。また、主制御部310dは、点灯制御部310aを介して点灯制御回路110を制御して、トランジスタ10を継続してオンとする。この状態において、主制御部310dは、抵抗値調整部310bを介して抵抗切替制御回路130を制御して、2つの抵抗切替信号S31,S32をいずれもH(2つのトランジスタ31をオン)として受光側電圧S20を計測する。その後、抵抗切替信号S31のみをH(トランジスタ31のみをオン)として受光側電圧S20を計測し、また、抵抗切替信号S32のみをH(トランジスタ32のみをオン)として受光側電圧S20を計測する。そして、これらの3つケースで計測した受光側電圧S20に基づき、故障を検出する。具体的には、2つのトランジスタ31,32をオンした場合と、トランジスタ32のみをオンした場合とで、受光側電圧S20が同じ場合には、トランジスタ31は故障であると検出することができる。2つのトランジスタ31,32をオンした場合と、トランジスタ31のみをオンした場合とで、受光側電圧S20が同じ場合には、トランジスタ32は故障であると検出することができる。いずれのケースの受光側電圧S20も同じ場合には、両方のトランジスタ31,32が故障であると検出することができる。なお、前述の主制御部310dは、請求項における故障検出部に相当する。
【0077】
以上説明した第5の実施例の光学センサシステムも第1の実施例の光学センサシステム1000と同様な効果を奏する。また、第5の実施例の光学センサシステムは、トランジスタ31とトランジスタ32のうち一方が故障して接続可能な抵抗数が1つとなった場合においても、デューティ比を低下させることで、正常時における発光量をほぼ維持することができる。したがって、トランジスタ31とトランジスタ32とのいずれかが故障した場合であっても、故障前後における発光量の変化を抑制でき、検知対象物の有無を継続して検知することができる。なお、第5の実施例の光学センサシステムでは、トランジスタ31,32の故障以外にも、抵抗R1,R2の抵抗や、抵抗切替制御回路130からトランジスタ31,32までの配線等の故障時においても、発光量の変化を抑制することができる。
【0078】
F.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0079】
F1.変形例1:
上述した第2の実施例では、複数の発光ダイオード20は、いずれも光学センサシステムの起動後に所定の調光パラメータに基づき継続的に発光するものであったが、これに代えて、いずれか一部の発光ダイオード20については、所定の条件の下で発光させないようにすることもできる。具体的には、例えば、検知対象物を一定期間検知しない場合には、各発光グループGr1〜Gr16の発光ダイオード20のうち、半分の発光ダイオード20については、発光させないようにすることもできる。発光の停止は、例えば、PWM制御のデューティ比を「0」とすることによって実現できる。また、例えば、パルス点灯信号S10をLとすることによって実現できる。このようにすることで、検知対象物を検知する可能性が低い状況において、光学センサシステム1000全体としての消費電力を抑制することができる。また、一部の発光ダイオード20のみを点灯させるので、システム全体として発光ダイオードの平均寿命を延ばすことができる。
【0080】
F2.変形例2:
上述した各実施例では、発光ダイオード20の光量調整用の抵抗は、いずれも同じ抵抗値であったが、これに代えて、互いに異なる抵抗値の抵抗を用いることもできる。この場合、調光パラメータとして、接続する抵抗の数に代えて、接続する抵抗を特定可能な情報を設定することもできる。また、複数の抵抗に代えて1つの可変抵抗器を備える構成とすることもできる。この場合、調光パラメータとして、抵抗値を設定することもできる。すなわち、一般には、発光素子に接続する抵抗の抵抗値を変化させることが可能な任意の構成を、本発明の光学センサシステムに採用することができる。
【0081】
F3.変形例3:
上述した第3の実施例では、センサチェック用発光ランクとして、通常時におけるランク1〜ランク4とは別に発光ランクを設けていたが、これに代えて、通常時におけるいずれかの発光ランクを、センサチェック用発光ランクとして用いることもできる。例えば、ランク2をセンサチェック用発光ランクとして用いることもできる。この構成では、例えば、運用発光ランクがランク4(デューティ比:75%,接続抵抗数:2)の場合において、センサチェックを行う際には、デューティ比を「75%」とし、接続抵抗数を「1」とすることで、動作点を活性化領域に存在させることができる。
【0082】
F4.変形例4:
上述した第4の実施例では、第1の実施例とは異なり、閾値レベルの調整を行わないものであったが、これに代えて、閾値レベルの調整を行う構成とすることができる。例えば、ステップS320(図9)において「接続抵抗が無い」と判定した場合に、ステップS350を実行する前に閾値レベルを上げるようにしてもよい。また、ステップS340において「デューティ比が100%である」と判定した場合にも同様に、閾値レベルを上げることもできる。
【0083】
F5.変形例5:
上述した第4の実施例では、発光量の調整を、接続する抵抗の数で行うか、デューティ比で行うかを振り分ける基準となる割合Rvの値は、「2.0」であったが、これに代えて、任意の値とすることができる。また、ステップS335における「所定の範囲」も、「1.0<Rv≦2.0」に代えて、任意の範囲とすることができる。また、第4の実施例では、割合Rvは、前回自動調光処理を実行した際の最終的な受光側電圧S20を基準に求めていたが、これに代えて、予め実験等により定められた所定の電圧を基準に求めることもできる。
【0084】
F6.変形例6:
上述した第4の実施例では、ステップS320において発光ダイオード20に接続している抵抗が無いと判定した場合に、発光量の調整を行わずに自動調光処理を終了していたが、これに代えて、更にデューティ比による調整を行うこともできる。また、ステップS340においてデューティ比が100%であると判定した場合に、発光量の調整を行わずに自動調光処理を終了していたが、これに代えて、更に接続抵抗の数による調整を行うこともできる。
【0085】
F7.変形例7:
上述した第5の実施例では、トランジスタ31,32の故障時、抵抗R1,R2の故障時、抵抗切替制御回路130からトランジスタ31,32までの配線等の故障時について述べていたが、これに代えて又はこれに加えて、PWM制御回路150が故障した場合にも適用することができる。すなわち、PWM制御回路150が故障してPWM制御が不可能となり、トランジスタ50が常にオンとなった場合についても本発明を適用して、故障前後における発光量の変化を抑制することができる。具体的には、通常時において接続抵抗数が「1」の場合に、PWM制御回路150の故障を検出すると、接続抵抗数を「2」に増やすようにする。このようにすることで、PWM制御回路150が故障してトランジスタ50が常にオンの状態(すなわち、デューティ比が100%の状態)においても、接続抵抗数を増やすので、発光ダイオード20に流れる電流の増加を抑制できる。したがって、PWM制御回路150の故障前後における発光量の変化を抑制することができる。
【0086】
F8.変形例8:
上述した第3の実施例では、メンテナンス要否判断処理を定期的に実行していたが、これに代えて又はこれに加えて、自動調光処理の手順の一部として実行することもできる。具体的には、例えば、ステップS115(図2)において「現在の発光ランクが最大である」と判定した場合に、ステップS130を実行する前にメンテナンス要否判断処理を実行することもできる。最大発光ランクに達している場合には、発光ダイオード20又はフォトトランジスタ210の汚れ量が非常に多い可能性が高い。そこで、この場合にメンテナンス要否判断処理を行うことで、メンテナンスが必要となる可能性の高いタイミングで、メンテナンスの要否をチェックすることができる。なお、メンテナンスが必要であると判断された場合でも、その後係員がメンテナンスするまでの間においても、ステップS130以降の処理(閾値レベルの調整)により、検知対象物の有無を継続して検知することが可能となる。
【0087】
F9.変形例9:
上述した各実施例では、光学センサシステムは、透過フォトインタラプタであったが、これに代えて、反射型フォトインタラプタとすることもできる。また、光学センサシステムは、ATMの搬送路において紙幣の有無を検知するのに用いられていたが、これに代えて、ATMにおける利用者の有無を検知するのに用いることもできる。また、ATMに代えて、小切手やハガキ等を取り扱う装置に本発明を適用することもできる。すなわち、一般には、任意の紙葉類を取り扱う装置に本発明の光学センサシステムを適用することができる。
【0088】
F10.変形例10:
上述した実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施例としての光学センサシステムの一例を示す説明図である。
【図2】光学センサシステム1000において実行される自動調光処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】光学センサシステム1000において設定されている発光ランクの具体的内容を示す説明図である。
【図4】運用閾値と経過期間に対する受光側電圧特性とを示す説明図である。
【図5】第2の実施例における発光部100aの詳細構成を示す説明図である。
【図6】第2の実施例の光学センサシステムにおける点灯/消灯の切り替えと発光量の調整との時分割制御を模式的に示すタイミングチャートである。
【図7】第3の実施例の光学センサシステムにおけるメンテナンス要否判断処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】チェック用発光ランクにおける経過期間に対する受光側電圧特性を示す説明図である。
【図9】第4の実施例における自動調光処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】第5の実施例における故障時発光量調整テーブルの具体的内容を示す説明図である。
【符号の説明】
【0090】
1000…光学センサシステム
100…発光部
200…受光部
300…制御部
110…点灯制御回路
130…抵抗切替制御回路
150…PWM制御回路
10…トランジスタ
20…発光ダイオード
31,32…トランジスタ
R1〜R8…抵抗
50…トランジスタ
210…フォトトランジスタ
305…アナログ/デジタル変換部
310…CPU
310a…機能部
310a…点灯制御部
310b…抵抗値調整部
310d…主制御部
320…メモリ
321…運用設定値格納部
322…調整設定値格納部
tb1…発光量調整テーブル
S10…パルス点灯信号
S31,S32…抵抗切替信号
PWM制御信号…S50
100a…発光部
11〜18…トランジスタ
20a,20b…発光ダイオード
Gr1〜Gr16…発光グループ
Rg1〜Rg8…抵抗切替グループ
31〜38…トランジスタ
S11〜S18…パルス点灯信号
SR1〜SR8…抵抗切替信号
S51〜S58…PWM制御信号
th1〜th4…閾値(電圧)
th10…チェック用閾値
AR1…飽和領域
AR2…活性領域
tb2…故障時用発光量調整テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学センサシステムであって、
発光素子と、
前記発光素子の光を受ける受光素子と、
前記発光素子をオン/オフするスイッチング素子と、
前記スイッチング素子をPWM制御して前記発光素子の発光量を調整する第1の発光量調整部と、
前記発光素子に接続する抵抗の抵抗値を変化させることで、前記発光素子の発光量を調整する第2の発光量調整部と、
を備える光学センサシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の光学センサシステムにおいて、
前記第1の発光量調整部は、前記受光素子における受光量と目標受光量との受光量差が閾値受光量以下の場合に、前記発光素子の発光量を調整し、
前記第2の発光量調整部は、前記受光量差が前記閾値受光量よりも大きい場合に、前記発光素子の発光量を調整する、光学センサシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光学センサシステムであって、さらに、
前記第1の発光量調整部及び前記第2の発光量調整部の故障を検出する故障検出部を備え、
前記第1の発光量調整部は、前記第2の発光量調整部が故障した場合に、前記PWM制御におけるデューティ比を前記第2の発光量調整部が正常である場合に比べて低下させ、
前記第2の発光量調整部は、前記第1の発光量調整部が故障した場合に、前記発光素子に接続する抵抗の抵抗値を、前記第1の発光量調整部が正常である場合に比べて減らす、光学センサシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の光学センサシステムであって、さらに、
前記発光素子の発光量を調整するために、前記PWM制御におけるデューティ比と前記発光素子に接続する抵抗の抵抗値を示す情報とによって表わされる互いに発光量の異なる複数の発光ランクを格納する記憶部を備え、
前記第1の発光量調整部と前記第2の発光量調整部とは、前記複数の発光ランクの中から設定された運用発光ランクに基づき前記発光素子の発光量を調整し、
前記第1の発光量調整部と前記第2の発光量調整部とは、前記複数の発光ランクのうちいずれかの発光ランクに基づき前記発光素子の発光量を調整した際に、前記受光素子の受光量が該発光ランクに対応する所定の対応受光量よりも少ない場合には、既に設定されている運用発光ランクに比べて発光量がより多い発光ランクに基づき、前記発光素子の発光量を調整する、光学センサシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の光学センサシステムであって、さらに、
前記発光素子又は前記受光素子のメンテナンスの要否を判断するメンテナンス要否判断部を備え、
前記記憶部は、前記複数の発光ランクに加えて、さらに、前記複数の発光ランクのうち最大発光量の発光ランクに比べて発光量が少ないチェック用発光ランクを格納しており、
前記メンテナンス要否判断部は、前記第1の発光量調整部と前記第2の発光量調整部とが、前記チェック用発光ランクで前記発光素子の発光量を調整した際の前記受光素子における受光量に基づき、メンテナンスの要否を判断する、光学センサシステム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の光学センサシステムであって、さらに、
前記受光素子が受光量に応じて出力する受光側電圧を、所定の閾値電圧と比較することによって検知対象物の有無を検知する検知部を備え、
前記検知部は、前記受光量が低下した場合に前記閾値電圧を調整することによって検知感度を上げる、光学センサシステム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の光学センサシステムを備えた紙葉類取扱装置。
【請求項8】
発光素子の光を受ける受光素子をオン/オフするスイッチング素子と、前記発光素子に接続可能な抵抗と、を有する光学センサシステムにおける発光量調整方法であって、
(a)前記受光素子における受光量と目標受光量との受光量差が閾値受光量以下の場合に前記スイッチング素子をPWM制御して前記発光素子の受光量を調整し、前記受光量差が前記閾値受光量よりも大きい場合に前記抵抗の抵抗値を変化させることで前記発光素子の受光量を調整する工程
を備える、発光量調整方法。
【請求項9】
発光素子の光を受ける受光素子をオン/オフするスイッチング素子と、前記スイッチング素子をPWM制御して前記発光素子の発光量を調整する第1の発光量調整部と、前記発光素子に接続する抵抗の抵抗値を変化させることで、前記発光素子の発光量を調整する第2の発光量調整部と、を有する光学センサシステムにおける発光量調整方法であって、
(a)前記第1の発光量調整部及び前記第2の発光量調整部の故障を検出する工程と、
(b)前記第2の発光量調整部が故障した場合に、前記PWM制御におけるデューティ比を前記第2の発光量調整部が正常である場合に比べて低下させ、前記第1の発光量調整部が故障した場合に、前記抵抗の抵抗値を、前記第1の発光量調整部が正常である場合に比べて減らす工程と、
を備える発光量調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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