説明

光学フィルタ

【課題】
可視光帯域及び赤外帯域の両方で撮影可能な撮像装置に適した光学フィルタを提供すること。
【解決手段】
本発明にかかる光学フィルタは、可視光帯域に透過特性を有し、可視光帯域の長波長側に隣接する第1の波長帯域に遮断特性を有し、第1の近赤外帯域内の一部分である第2の波長帯域に透過特性を有する光学フィルタ10である。さらに、光学フィルタ10の特性は、少なくとも第2の近赤外帯域に透過特性を有する赤外カットフィルタ2と、第2の波長帯域の長波長端までの波長帯域を透過する短波長透過フィルタ(SWPF3)とを備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルタに関し、特に可視光帯域及び赤外帯域の両方で撮影可能な撮像装置が備える撮像素子の前面に配置される光学フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、昼夜連続で撮影を行う監視カメラ等の撮像装置(以下、単に撮像装置とする)においては、夜間時には赤外線を検出して撮影することが行われている。CCDセンサやCMOSセンサといった撮像素子の受光部であるフォトダイオードは、1300nm程度の近赤外の波長帯域まで受光可能であるため、これらの撮像素子を用いた撮像装置であれば、赤外帯域まで撮影することが原理的に可能である。
【0003】
なお、人間の視感度が高い光波長帯域は400nm〜700nmであることから、撮像素子において近赤外光を検出すると、人間の目には映像が赤みを増して見えることになる。このため、昼間や屋内の明るい場所での撮影時は、撮像素子の感度を人間の視感度に合わせるために、撮像素子の前に赤外帯域の光を遮断する赤外カットフィルタを設けて、波長が700nm以上の光を除去することが望ましい。一方、夜間や暗い場所での撮影時には、赤外カットフィルタを設けずに撮影を行う必要がある。
【0004】
このような撮像装置としては、手動で赤外カットフィルタの取り付け・取り外しを行う撮像装置や、自動的に赤外カットフィルタを抜き差しする撮像装置が、従来から知られている。さらに、特許文献1には、上述した赤外カットフィルタの抜き差しを不要とした撮像装置が開示されている。
【0005】
特許文献1に開示された撮像装置は、可視光帯域の光を透過し、可視光帯域に隣接する第1の近赤外帯域の光を遮断し、さらに第1の近赤外帯域よりも長波長の第2の近赤外帯域の光を透過する光学フィルタを、従来の赤外カットフィルタに代えて撮像素子の前に設けることとしている。上記の第2の近赤外波長帯域を、夜間撮影の際に補助的に使用される赤外線照明の出力波長(例えば880nm等)に合わせることにより、昼間は、第2の近赤外帯域を除く赤外帯域の光が遮断され良好に撮影が可能であり、夜間にも、光学フィルタを透過する第2の近赤外帯域を利用した赤外線照明の光によって撮影が可能となる旨が記載されている。これにより、光学フィルタの抜き差しを必要とせず、昼夜を通じて撮影を行うことができる。
【特許文献1】特開2004−32243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、上述した特性を有する光学フィルタの製造方法について、「光学フィルタの表面には、光学薄膜が積層される。光学薄膜は、TiOやSiOなどの無機材料を真空中で加熱し、これによって生成された蒸発粒子を石英やガラス基板に付着・堆積させることで形成される。このような光学薄膜の積層には、真空蒸着法が採用される。真空蒸着によって1〜100層程度の積層が可能となり、薄膜の屈折率、厚み、積層数を調整することで透過率特性が得られる。」(5頁上から12行目から16行目)と記載されている。
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された製造方法によって光学薄膜を積層した光学フィルタを作成したところ、図6に示すような近赤外帯域の全体を遮断する従来から知られた赤外カットフィルタを製造することはできるものの、可視光帯域に加えて近赤外の一部を透過する特許文献1に記載された光学フィルタを製造することが困難であることが分かった。
【0008】
本発明は、上述の事情を考慮してなされたものであり、本発明は、可視光帯域及び赤外帯域の両方で撮影可能な撮像装置に適した光学フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる光学フィルタは、可視光帯域に透過特性を有し、可視光帯域の長波長側に隣接する第1の波長帯域に遮断特性を有し、前記第1の近赤外帯域内の一部分である第2の波長帯域に透過特性を有する光学フィルタであって、前記光学フィルタの特性は、前記可視光帯域に透過特性を有し、前記可視光帯域より長波長であり、かつ、前記第2の波長帯域より短波長である第3の波長帯域に遮断特性を有し、前記第3の波長帯域より長波長側では、少なくとも前記第2の近赤外帯域に透過特性を有する第1のフィルタと、前記可視光帯域の短波長端から、前記第2の波長帯域の長波長端までの波長帯域に連続的に透過特性を有し、前記第1の波長帯域内であって、前記第2の波長帯域より長波長である波長帯域に遮断特性を有する第2のフィルタとを重ねることによって得られるものである。
【0010】
このように構成することによって、可視光帯域の光と近赤外帯域の一部の光を透過する特性を持つ光学フィルタを得ることができるため、上述した可視光帯域及び赤外帯域の両方で撮影可能な撮像装置に適した光学フィルタを提供することができる。
【0011】
なお、前記第2の波長帯域は、単一ピークとなる透過特性を有するよう構成することが望ましい。
【0012】
また、前記第1の波長帯域の短波長端は700nm以上であり、前記第1の波長帯域の長波長端は1300nm以下であることよい。このように構成することによって、視感度の高い可視光帯域の光を十分に透過し、かつ、撮像素子のフォトダイオードが受光可能な1300nm以下の帯域の光を十分に遮断することができるため、当該フィルタを適用した撮像装置の画質を向上することができる。
【0013】
さらにまた、前記第2の波長帯域の帯域幅は100nm以下であって、前記第2の波長帯域の中心波長は850nmから1000nmの範囲内に位置することよい。夜間撮影に用いる赤外線照明の赤外発光ダイオードの主要な発光中心波長は850nmから1000nmの間であり、かつ半値幅が40nm程度であるため、このように構成することによって、赤外線照明波長を効果的に透過し、かつ、不要な近赤外光の撮像素子への取り込みを防ぐことができる。
【0014】
さらに、前記第1のフィルタと前記第2のフィルタは、1つの光学基板の表面上に形成することが望ましい。これにより、光学基板が重なることによる収差の増大を抑えることがきできる。
【0015】
さらにまた、前記光学基板の同一表面上に、前記第1のフィルタと前記第2のフィルタが連続して形成されることが望ましい。これにより、前記第1のフィルタと前記第2のフィルタの形成を連続して行うことができるため、製造を効率よく行うことができる。
【0016】
なお、前記第1のフィルタと前記第2のフィルタは、誘電体多層膜フィルタで形成するとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、可視光帯域及び赤外帯域の両方で撮影可能な撮像装置に適した光学フィルタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
発明の実施の形態1.
図1は、本実施の形態にかかる光学フィルタ10の断面を示した模式図である。図1に示した構成では、光学基板1の表面上に、まず赤外カットフィルタ2を形成し、その赤外カットフィルタ2の上にSWPF(Short-wave-pass-filter)3を連続して形成する構成としている。なお、図1は本発明を分かり易くするために表した模式図であるため、そのサイズ等は実際と異なったものとしている。
【0019】
赤外カットフィルタ2は、平行平面状の光学基板1上に高屈折率膜2Hと低屈折率膜2Lが交互に積層されたものであり、所望の光学特性条件を満足するように各層の積層数及び膜厚が調整されたものである。ここで、赤外カットフィルタ2に対する所望の光学特性条件とは、人間の視感度の高い可視光帯域(400nm〜700nm)の光を透過し、かつ、近赤外帯域の光のうち、上述した夜間撮影用の赤外線照明の発光波長(例えば中心波長950nm、スペクトル半値幅40nm)より短波長側の波長帯の光を遮断する透過率特性を有することである。この所望の特性に適合する透過率特性の例を図3に示す。
【0020】
SWPF3も赤外カットフィルタ2と同様に、平行平面状の光学基板1上に高屈折率膜3Hと低屈折率膜3Lが交互に積層されたもので、所望の光学特性条件を満足するように各層の積層数及び膜厚が調整されたものである。SWPF3に対する所望の光学特性とは、人間の視感度の高い可視光帯域(400nm〜700nm)から上述した夜間撮影用の赤外線照明の発光波長(例えば中心波長950nm、スペクトル半値幅40nm)までを透過し、かつ、これより長波長側で撮像素子のフォトダイオードが受光可能な概ね1300nmまで近赤外帯域の光を遮断する、いわゆるエッジフィルタ状の透過率特性を有することである。この所望の特性に適合する透過率特性の例を図4に示す。
【0021】
次に、光学フィルタ10の各部の材料及び製造法について説明する。光学基板1としては、非晶質ガラス、結晶化ガラスもしくは他の光学基板を用いることができる。具体的にはLiNbO、LiTaO、TiO、SrTiO、Al、MgOなどの酸化物単結晶、多結晶基板、CaF、MgFBaF、LiFなどのフッ化物単結晶基板、多結晶基板、NaCl、KBr、KClなどの塩化物、臭化物単結晶、多結晶基板等が適用できる。光学基板1は、少なくも、可視光帯域から夜間撮影に使用される赤外光の波長を含む近赤外帯域において透過率が高い方が好ましく、例えば、99.8%以上の透過率を有することが望ましい。
【0022】
赤外カットフィルタ2及びSWPF3を形成する高屈折率膜2H及び3Hの材料としては、Ta、TiO、ZnS、ZnSe、GaP、InP、Si、SiC、ZrO、Nb、Y、WO、In、SnO、CeO、HfO等、およびこれらの混合材から少なくとも一種が選ばれる。また、低屈折率膜2Lおよび3Lの材料としては、SiO、MgF、Al、CaF、LiF、NaAlF6、SiO、ThO、MgO等、およびこれらの混合材から少なくとも一種が選ばれる。また、上記の化学量論組成から多少ずれても構わない。
【0023】
誘電体多層膜で形成される赤外カットフィルタ2及びSWPF3は、例えば真空成膜法で作製することができる。真空成膜法には、真空蒸着法、スパッタ法、化学気相成長法、レーザブレイション法など各種成膜法などを用いることができる。真空蒸着法を用いる場合、膜質を改善するため蒸着気流の一部をイオン化するとともに光学基板側にバイアスを印加するイオンプレーティング法、クラスタイオンビーム法、あるいは、イオン銃を用いて基板にイオンを照射するイオンアシスト蒸着法を用いると有効である。スパッタ法としては、DC反応性スパッタ法、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法などを用いることができる。また、化学的気相法としては、プラズマ重合法、光アシスト気相法、熱分解法、有機金属化学気相法などを用いることができる。なお、個々の薄膜の膜厚は、膜形成時の蒸着時間などを変えることで、所望の膜厚とすることができる。
【0024】
以下に、光学フィルタ10の製造手順及び光学特性を、具体例を示して説明する。本実施の形態では、イオンアシスト付き真空蒸着装置を用いて、光学基板1の片面に図3に示す特性を有する赤外カットフィルタ2を形成し、その上に図4に示す特性を有するSWPF3を形成した。なお、光学基板1には、独SCHOTT GLAS社製ガラスBK7(屈折率:1.5187@546nm)を使用した。高屈折率膜2H及び3Hの材料として酸化チタン(TiO)を、低屈折率膜2L及び3Lの材料として二酸化ケイ素(SiO)を使用した。
【0025】
光学基板1の表面上への誘電体多層膜(赤外カットフィルタ2及びSWPF3)の形成は以下のように行った。まず、真空蒸着装置に光学基板1を装着して真空引きを行った後、所定の基板温度に設定後、アルゴンと酸素の混合ガスをイオン銃に導入してプラズマ流を作り、これを光学基板に照射して基板洗浄を行った。その後、TiOとSiOを交互に成膜して多層膜を光学基板上に形成した。なお、TiOとSiOの蒸着には電子銃加熱法を用い、成膜中も上記のプラズマ流の照射は継続して行った。
【0026】
上述した製造手順によって、赤外カットフィルタ2とSWPF3を光学基板の片面に連続成膜した光学フィルタ10を得た。この光学フィルタ10の積層数は36であり、各層の膜厚比は表1及び2に示す通りである。表1は赤外カットフィルタ2の構成、表2はSWPF3の構成を示している。なお、表中の膜厚の値は、基準波長を800nmとし、この基準波長の1/4波長膜厚(光学膜厚)に対する比によって示したものである。また、基準波長800nmでのTiO及びSiOの屈折率はそれぞれ、2.25及び1.453である。これらの屈折率は、TiO及びSiOの単層膜を作製し、波長分散タイプのエリプソメータを用いて測定して求めた。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
上述した製造手順によって得られた光学フィルタ10の透過率特性を図5に示す。図5のように、可視光帯域と近赤外帯域の950nm近傍の光を透過しながら、それ以外の撮像素子内のフォトダイオードが受光可能な近赤外帯域(700nm〜900nm及び1000nm〜1300nm)の波長を十分に遮断する透過率特性が得られた。なお、950nmという波長は、夜間撮影における赤外線照明として使用可能な発光ダイオードの代表的な発光波長であるため、この波長を選択した。近赤外帯域の他の波長帯を透過させたい場合は、図3に示した赤外カットフィルタ2の近赤外帯域における短波長側の第一ピーク位置が、所望の波長帯に出現し、かつ、その第一ピークが、図4に示すSWPF3の透過波長帯域に含まれるよう、赤外カットフィルタ2及びSWPF3を設計し、上記の手順で成膜すればよい。
【0030】
なお、SWPF3の透過特性は、誘電体膜フィルタにかえて、近赤外吸収色素(金属錯体等)を添加した樹脂フィルタなど、他の方式によるフィルタによっても得ることができるが、可視光帯域での吸収により透過率が低下し、近赤外領域での光の遮断も十分でないといった特性上の課題があることと、赤外カットフィル2との連続形成といった利点が得られないことになる。このため、赤外カットフィルタ2及びSWPF3とも、誘電体膜フィルタによって形成することが望ましい。
【0031】
本実施例の光学フィルタ10を可視光帯域及び赤外帯域の両方で撮影可能な撮像装置が備える撮像素子の前面、即ち入射側に配置することにより、赤外カットフィルタを抜き差しすることを必要としない、昼夜連続で撮影できる撮像装置の提供が可能となる。
【0032】
なお、本実施の形態では、光学基板1上に赤外カットフィルタ2を先に形成する構成を示したが、赤外カットフィルタ2とSWPF3の形成順序による光学特性上の差はないため、この構成に代えて、SWPF3を先に形成することとしてもよい。
【0033】
また、本実施の形態で示した光学フィルタ10の近赤外での光透過帯域は、図5に示したように1本のピークで形成されるものであったが、赤外カットフィルタ2の特性によっては、複数のピークを含む特性であってもよい。しかしながら、発光ダイオードの発光スペクトルは、発光中心波長を頂点するピーク形状を有するため、光学フィルタ10の透過率特性は、この発光ダイオードの光を効率良く透過し、かつ、その他の近赤外光を遮断できる図5に示すような特性を有することが望ましい。
【0034】
発明の実施の形態2.
図2は、本実施の形態にかかる光学フィルタ20の断面を示した模式図である。図2に示した構成では、赤外カットフィルタ2とSWPF3を光学基板1の異なる表面上に形成する構成としている。なお、図2は本発明を分かり易くするために表した模式図であるため、そのサイズ等は実際と異なったものとしている。
【0035】
光学フィルタ20の製造手順及び光学特性を、具体例を示して説明する。本実施の形態では、イオンアシスト付き真空蒸着装置を用いて、光学基板1の片面に図3の特性を有する赤外カットフィルタ2を形成し、いったん光学基板1を取り出し、光学基板1の向きを逆転させて、赤外カットフィルタ2を形成した表面と反対の面に図4の特性を有するSWPF3を形成した。なお、発明の実施の形態1に示した具体例と同様に、光学基板1には、独SCHOTT GLAS社製ガラスBK7(屈折率:1.5187@546nm)を使用した。高屈折率膜2H及び3Hの材料として酸化チタン(TiO)を、低屈折率膜2L及び3Lの材料として二酸化ケイ素(SiO)を使用した。
【0036】
上述した製造手順によって得た光学フィルタ20における赤外カットフィルタ2およびSWPF3の積層数及び各層の膜厚比は、発明の実施の形態1で示したものと同様である。
【0037】
このようにして得られた本実施の形態にかかる光学フィルタ20の透過率特性は、発明の実施の形態1で示した図5と同様であり、本実施の形態にかかる光学フィルタ20によっても、赤外カットフィルタを抜き差しすることを必要としない、昼夜連続で撮影できる撮像装置の提供が可能となる。
【0038】
その他の実施の形態.
上述した2つの発明の実施の形態では、1つの光学基板1の片面または両面に赤外カットフィルタ2とSWPF3の両方を成膜するフィルタ構成を説明したが、赤外カットフィルタ2とSWPF3は別々に成膜した後に、これらを重ねて使用することしてもよい。また、形成した多層膜を光学基板から剥離して単体で使用することとしてもよい。このような構成によっても。図5に示すような所望の透過率特性を得ることができる。しかしながら、光学基板数が増えることは収差が増大する原因となり、また、形成した多層膜を光学基板から剥離して重ね合わせることは使用時の取り扱いが困難であることから、上述した実施の形態で示した構成とすることが望ましい。
【0039】
また、上述した実施の形態では、赤外カットフィルタ2は、高屈折率膜と低屈折率膜を交互に蓄積した多層膜フィルタによって構成していたが、これにかえてルゲートフィルタによって構成することとしてもよい。ルゲートフィルタとは、膜厚方向に沿って屈折率が連続的に分布し、かつ、周期的に変化する構成となっているものであり、このようなフィルタによっても、図3に示したような赤外カットフィルタ2の透過率特性を実現することができる。
【0040】
さらに、SWPF4は、1300nmより長波長側の帯域で透過率が上昇するが、この長波長帯域の透過率を提言する必要がある場合は、図7に示すような透過率特性を有する可視光AR(Anti-Reflection)フィルタを設ければよい。例えば、光学フィルタ10において、SWPF2を形成したさらにその上に、図7に示すような可視光ARフィルタを積層することとすればよい。図7に示す可視光ARフィルタの透過率特性は、多層膜フィルタまたはルゲートフィルタによって容易に実現することができる。
【0041】
なお、上述した実施の形態では、具体的な構成を挙げて説明し、積層数、膜厚比などの技術的に好ましい限定が付されているが、本発明の範囲は、これらの構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明にかかる光学フィルタの構成図である。
【図2】本発明にかかる光学フィルタの構成図である。
【図3】本発明にかかる赤外カットフィルタの透過率特性グラフである。
【図4】本発明にかかるSWPFの透過率特性グラフである。
【図5】本発明にかかる光学フィルタの透過率特性グラフである。
【図6】従来の赤外カットフィルタの透過率特性グラフである。
【図7】可視光ARフィルタの透過率特性グラフである。
【符号の説明】
【0043】
10、20 光学フィルタ
1 光学基板
2 赤外カットフィルタ
3 SWPF
2H、3H 高屈折率膜
2L、3L 低屈折率膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光帯域に透過特性を有し、可視光帯域の長波長側に隣接する第1の波長帯域に遮断特性を有し、前記第1の近赤外帯域内の一部分である第2の波長帯域に透過特性を有する光学フィルタであって、
前記可視光帯域に透過特性を有し、前記可視光帯域より長波長であり、かつ、前記第2の波長帯域より短波長である第3の波長帯域に遮断特性を有し、前記第3の波長帯域より長波長側では、少なくとも前記第2の近赤外帯域に透過特性を有する第1のフィルタと、
前記可視光帯域の短波長端から、前記第2の波長帯域の長波長端までの波長帯域に連続的に透過特性を有し、前記第1の波長帯域内であって、前記第2の波長帯域より長波長である波長帯域に遮断特性を有する第2のフィルタと、
を備えた光学フィルタ。
【請求項2】
前記第2の波長帯域は、単一ピークとなる透過特性を有する、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項3】
前記第1の波長帯域の短波長端は700nm以上であり、前記第1の波長帯域の長波長端は1300nm以下である、請求項1又は2に記載の光学フィルタ。
【請求項4】
前記第2の波長帯域の帯域幅は100nm以下であって、前記第2の波長帯域の中心波長は850nmから1000nmの範囲内に位置する、請求項1乃至3に記載の光学フィルタ。
【請求項5】
前記第1のフィルタと前記第2のフィルタが1つの光学基板の表面上に形成される、請求項1乃至4のいずれかに記載の光学フィルタ。
【請求項6】
前記光学基板の同一表面上に、前記第1のフィルタと前記第2のフィルタが連続して形成される、請求項1乃至4のいずれかに記載の光学フィルタ。
【請求項7】
前記第1のフィルタと前記第2のフィルタは、誘電体多層膜フィルタである、請求項1乃至6のいずれかに記載の光学フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−10764(P2006−10764A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183820(P2004−183820)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】