説明

光学フィルム

【課題】光弾性係数の小さい光学フィルムを提供する。
【解決手段】式(1):


(式中、Rは架橋環式炭化水素基等を表わし、Rは、水素原子またはアルキル基を表わす。nは0〜3の整数を表わす。)
で示されるモノマーおよび式(1)で示されるモノマーを重合することにより得られる重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種と、
芳香環または芳香族複素環を有する構造単位を、全構造単位中、11モル%以上100モル%以下含む樹脂とを含む組成物、ならびに該組成物に含まれる重合性成分を重合することにより得られる光学フィルムの提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の画像表示装置には、光学フィルムが用いられている。このような光学フィルムとして、特許文献1には、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソホロンジイソシアネートおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートを反応させることにより得られる樹脂(ウレタンアクリレートに由来する構造単位を有する樹脂)と、N−ビニルカルバゾールとを含む組成物を用いて形成される光学フィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−116528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光学フィルムは、その光弾性係数が必ずしも満足できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
〔1〕式(1):

(式中、Rは、水素原子またはメチル基を表わす。Rは、置換基を有していてもよい炭素数5〜15の1価の架橋環式炭化水素基を表わし、該架橋環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−NR−、−O−、−CO−または−S−で置き換わっていてもよい。Rは、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。nは0〜3の整数を表わす。)
で示されるモノマーおよび式(1)で示されるモノマーを重合することにより得られる重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種と、
芳香環または芳香族複素環を有する構造単位を、全構造単位中、11モル%以上100モル%以下含む樹脂と
を含む組成物に含まれる重合性成分を重合することにより得られる光学フィルム。
【0006】
〔2〕前記樹脂が、ポリカーボネートおよびポリエーテルスルホンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記〔1〕記載の光学フィルム。
〔3〕前記式(1)のRが、メチル基である、前記〔1〕または〔2〕記載の光学フィルム。
〔4〕前記組成物が、さらに光重合開始剤を含む、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の光学フィルム。
〔5〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の光学フィルムからなる位相差板。
【0007】
〔6〕式(1):

(式中、Rは、水素原子またはメチル基を表わす。Rは、置換基を有していてもよい炭素数5〜15の1価の架橋環式炭化水素基を表わし、該架橋環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−NR−、−O−、−CO−または−S−で置き換わっていてもよい。Rは、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。nは0〜3の整数を表わす。)
で示されるモノマーおよび式(1)で示されるモノマーを重合することにより得られる重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種と、
芳香環または芳香族複素環を有する構造単位を、全構造単位中、11モル%以上100モル%以下含む樹脂と
を含む組成物。
〔7〕さらに、光重合開始剤を含む、前記〔6〕記載の組成物。
〔8〕さらに、溶剤を含む、前記〔6〕または〔7〕記載の組成物。
【0008】
〔9〕前記〔6〕〜〔8〕のいずれか記載の組成物に含まれる重合性成分を重合してなる重合体。
〔10〕前記〔8〕記載の組成物を平滑な面にキャストした後、溶剤を留去することにより得られる光学フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光弾性係数が小さい光学フィルムが提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、光学フィルムとは、光を透過し得るフィルムであって、光学的な機能を有するフィルムをいう。光学的な機能とは、屈折、複屈折、反射防止、視野角拡大、光拡散および輝度向上等を意味する。なお、光を透過し得る性質とは、波長380〜780nmの範囲の可視光線に対する透過率が80%以上となる程度の性質をいう。
【0011】
本発明の組成物は、式(1):

で示されるモノマー(以下、「モノマー(1)」と略記する。)および式(1)で示されるモノマーを重合することにより得られる重合体(以下、「重合体(1)」と略記する。)からなる群から選ばれる少なくとも1種と、
芳香環または芳香族複素環を有する構造単位を、全構造単位中、11モル%以上100モル%以下含む樹脂(以下、「樹脂(2)」と略記する。)と
を含む組成物である。
【0012】
式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を表わし、好ましくは、メチル基である。
【0013】
式(1)中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数5〜15の1価の架橋環式炭化水素基を表わす。ここで、1価の架橋環式炭化水素基とは、架橋環式炭化水素から水素原子を1個取り去った基をいう。架橋環式炭化水素とは、2つ以上の環が結合し、環同士の結合部が2個以上の原子を共有している化合物を意味する。
【0014】
無置換の架橋環式炭化水素基としては、以下に示される基が挙げられる。

【0015】
該架橋環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−NR−、−O−、−CO−または−S−に置き換わっていてもよく、Rは、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基およびプロピル基が挙げられる。該架橋環式炭化水素基に含まれる−CH−が、−NR−、−O−、−CO−または−S−で置き換わった基としては、オキサアダマンチル基、オキソアダマンチル基、N−メチルアザノルボルニル基および5−オキサ−4−オキソトリシクロ[5.2.1.03,7]ノニル基が挙げられる。
【0016】
該架橋環式炭化水素基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシ基(−OH)、炭素数1〜3のアルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、クロロ基(塩素原子)、ブロモ基(臭素原子)およびヨード基(ヨウ素原子)が挙げられ、中でも、アルキル基およびカルボキシル基が好ましい。炭素数1〜3のアルキル基の例は、前記Rのアルキル基の具体例と同じである。炭素数1〜3のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基が挙げられる。これらの置換基で置換された架橋環式炭化水素基の例としては、ヒドロキシアダマンチル基、メチルアダマンチル基、エチルアダマンチル基、メトキシアダマンチル基、ニトロノルボルニル基、カルボキシトリシクロデシル基およびクロロジシクロデシル基が挙げられる。
【0017】
としては、以下に示される基、または以下に示される基に含まれる水素原子が、上述の置換基で置換された基であることが好ましい。

【0018】
は、0〜3の整数であり、好ましくは0または1である。
【0019】
好ましいモノマー(1)としては、式(1−1)〜式(1−6)で示される化合物が挙げられる。モノマー(1)がこれらの化合物であると、得られる光学フィルムの光弾性係数がより小さくなる。

【0020】
重合体(1)は、モノマー(1)のみを重合することにより得られる重合体であっても、モノマー(1)とモノマー(1)以外のモノマーとの共重合体であってもよい。モノマー(1)以外のモノマーとしては、後述する式(A)で示される化合物が挙げられる。
【0021】
重合体(1)は、例えば、重合体(1)を構成する構造単位を導くモノマーを、公知のラジカル重合法により重合することにより得られる。公知のラジカル重合法としては、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法および塊状重合法が挙げられ、重合体(1)の分子量の調整がより容易になる等の点から、溶液重合法が好ましい。重合体(1)は、得られる光学フィルムがより透明になる(透過率が高くなる)点で、ランダム重合体であることが好ましい。なお、重合体(1)として、市販されているものを用いてもよい。
【0022】
ラジカル重合法で用いられる重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)および2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)等のアゾ化合物;ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジプロピルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシピバレートおよび(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド等の有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムおよび過酸化水素等の無機過酸化物が挙げられる。また、熱重合開始剤と還元剤とを併用したレドックス系開始剤も重合開始剤として挙げられる。
【0023】
溶液重合法に用いる溶剤は、重合の進行の妨げにならない限り限定されない。例えば、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル溶剤;メタノール、エタノール、プロピルアルコールおよびイソプロピルアルコール等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノン等のケトン溶剤が挙げられる。
【0024】
溶液重合法において、重合体(1)を構成する構造単位を導くモノマーの合計量は、反応溶液中、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上40質量%以下であることが特に好ましい。重合体(1)を構成する構造単位を導くモノマーの合計量が上記範囲内であると、重合制御や得られる樹脂溶液の粘度に優れる。
【0025】
重合体(1)が、モノマー(1)とモノマー(1)以外のモノマーとの共重合体である場合、モノマー(1)に由来する構造単位は、重合体(1)の全構造単位の合計に対して、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
【0026】
溶液重合法における反応温度は、15℃以上120℃以下であることが好ましく、30℃以上110℃以下であることがより好ましく、40℃以上100℃以下であることが特に好ましい。重合温度が上記範囲内であると、重合制御に優れる。
【0027】
重合体(1)の数平均分子量は、1,000以上1,000,000以下であることが好ましく、2,000以上800,000以下であることがより好ましく、3,000以上500,000以下であることが特に好ましい。数平均分子量が上記範囲内である重合体(1)は、粘性、靭性および耐熱性に優れる。なお、重合体(1)の数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められる。このゲルパーミュエーションクロマトグラフィー分析の詳細な分析条件は、本願の実施例に記載する。
【0028】
本発明の組成物中のモノマー(1)および重合体(1)の合計含有量は、モノマー(1)、重合体(1)および樹脂(2)の合計量に対して、好ましくは5質量%〜70質量%、より好ましくは7質量%〜65質量%、特に好ましくは10質量%〜60質量%である。上記範囲内であると、得られる光学フィルムの光弾性係数がより小さくなる。
【0029】
以上、モノマー(1)および該モノマー(1)を重合することにより得られる重合体(1)について説明したが、本発明の組成物は、モノマー(1)を含むことが好ましい。モノマー(1)を含む本発明の組成物において、このモノマー(1)は重合性成分に該当する。
【0030】
本発明の組成物に含まれる樹脂(2)は、芳香環または芳香族複素環を有する構造単位を、全構造単位中、11モル%以上100モル%以下含む。芳香環または芳香族複素環を有する構造単位の含有量がこの範囲であると、得られる光学フィルムの光弾性係数が小さくなる。樹脂(2)における芳香環または芳香族複素環を有する構造単位の含有量は、全構造単位中、好ましくは50モル%以上100モル%以下であり、より好ましくは80モル%以上100モル%である。上記範囲内であると、得られる光学フィルムの光弾性係数がより小さくなる。
【0031】
前記芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、トリフェニレン環、ピレン環、ペンタセン環、ピセン環、ベンツピレン環、ペリレン環およびコロネン環が挙げられ、なかでも、ベンゼン環およびナフタレン環が好ましい。芳香族複素環としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子およびリン原子からなる群から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子を環構成原子として含む環が挙げられ、その具体例は、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ホスホール環、イミダゾール環、プリン環、ピラゾール環、インダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環およびトリアジン環等である。芳香環または芳香族複素環を有する構造単位は、芳香環と芳香族複素環とが互いに縮合した環(縮合環)を有する構造単位であってもよい。このような縮合環としては、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾホスホール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、カルバゾール環、アクリジン環、キナゾリン環およびシンノリン環等が挙げられる。
【0032】
樹脂(2)としては、付加重合により得られる樹脂、重縮合により得られる樹脂、および開環重合により得られる樹脂のいずれでもよい。
【0033】
付加重合により得られる樹脂(2)は、重合性不飽和二重結合を有するモノマーを付加重合することにより得られる。付加重合としては、ラジカル重合、カチオン重合およびアニオン重合が挙げられる。付加重合により得られる樹脂(2)を構成する、重合性不飽和二重結合を有するモノマーに由来する全構造単位のうちの、芳香環または芳香族複素環と重合性不飽和二重結合とを有するモノマーに由来する構造単位の割合は、11モル%以上100モル%以下である。
【0034】
芳香環と重合性不飽和二重結合とを有するモノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、塩化スチレン、ビニル安息香酸、ビニルフェノール、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、メタクリル酸ナフチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジルおよびN−フェニルマレイミドが挙げられる。
芳香族複素環と重合性不飽和二重結合とを有するモノマーとしては、ビニルインドール、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ビニルカルバゾールおよびビニルフタルイミドが挙げられる。
【0035】
付加重合により得られる樹脂(2)は、重合性不飽和二重結合を有し、芳香環および芳香族複素環を有さないモノマーと、重合性不飽和二重結合を有し、芳香環または芳香族複素環を有するモノマーとの共重合体であってもよい。重合性不飽和二重結合を有し、芳香環および芳香族複素環を有さないモノマーとしては、後述する式(A)で示される化合物のうち、芳香環および芳香族複素環を有さないものが挙げられる。
【0036】
付加重合により得られる樹脂(2)としては、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリ塩化スチレン、ポリビニル安息香酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルインドール、ポリビニルフェノール、ポリビニルナフタレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジン、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルフタルイミド、ポリアクリル酸フェニル、ポリメタクリル酸フェニル、ポリアクリル酸ナフチル、ポリメタクリル酸ナフチル、ポリアクリル酸ベンジル、ポリメタクリル酸ベンジル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体およびスチレン−アクリロニトリル共重合体が挙げられる。
【0037】
重縮合により得られる樹脂(2)としては、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリウレタンアクリレート、ポリウレア、ポリウレタンウレア、ポリウレタンウレアアクリレート、ポリイミド、ポリアミド、フェノール樹脂およびメラミン樹脂が挙げられる。
【0038】
樹脂(2)としては、得られるフィルムの強度、加工性および耐熱性の点で、ポリカーボネートおよびポリエーテルスルホンからなる群から選ばれるものが好ましい。
【0039】
ポリカーボネートは例えば、ジオール化合物とホスゲンとの1:1の重縮合により得られる。互いに結合する、1つのジオール化合物(2つのヒドロキシ基(−OH)を有する化合物)に由来する構造と1つのホスゲンに由来する構造とを合わせて1つの構造単位とするとき、樹脂(2)は、該樹脂(2)の全構造単位のうち、芳香環または芳香族複素環を有する構造単位を、11モル%以上100モル%以下含む。ポリカーボネートにおいて、芳香環または芳香族複素環を有する構造単位は、芳香環または芳香族複素環を有するジオール化合物から導かれる。
【0040】
芳香環または芳香族複素環を有するジオール化合物としては、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−エチリデンビスフェノール、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルアミン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン、1,1’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3’,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンおよび9,9’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが挙げられる。
【0041】
ポリカーボネートとしては、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとホスゲンとの重縮合物(ポリビスフェノールAカーボネート)および1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタンとホスゲンとの重縮合物が挙げられる。これらのポリカーボネートは市場から容易に入手でき、このような市販のポリカーボネートを本発明の組成物に用いることもできる。なお、この市販のポリカーボネートは、芳香環または芳香族複素環を有する構造単位を、全構造単位中100モル%含むものである。
【0042】
ポリエーテルスルホンは、2価の有機基が−SO−と−O−とで交互に結合している主鎖をもつ樹脂であり、例えば、2以上のハロゲン原子を有する化合物と、−SO−および2以上のヒドロキシ基(−OH)を有する化合物との重縮合や2以上のヒドロキシ基を有する化合物と、−SO−および2以上のハロゲン原子を有する化合物との重縮合により得られる。前記の2以上のハロゲン原子を有する化合物に由来する構造と2以上のヒドロキシ基を有する化合物に由来する構造をそれぞれ1つの構造単位とするとき、樹脂中の全構造単位のうち、芳香環または芳香族複素環を有する構造単位を11モル%以上100モル%以下含む。
【0043】
芳香環または芳香族複素環を有し、かつ2以上のヒドロキシ基を有する化合物としては、上記の芳香環または芳香族複素環を有するジオール化合物が挙げられる。芳香環または芳香族複素環を有し、かつ、−SO−および2以上のヒドロキシ基(−OH)を有する化合物としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンおよびビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホンが挙げられる。
【0044】
芳香環または芳香族複素環を有し、かつ2以上のハロゲン原子を有する化合物としては、2,2’−ビス(4−フルオロフェニル)プロパン、2,2’−ビス−(4−クロロフェニル)プロパン、2,2’−ビス−(4−ブロモフェニル)プロパン、2,2’−ビス−(4−ヨードフェニル)プロパン、1,1’−ビス−(4−フルオロフェニル)メタン、1,1’−ビス−(4−クロロフェニル)メタン、1,1’−ビス−(4−ブロモフェニル)メタン、1,1’−ビス−(4−ヨードフェニル)メタン、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジブロモベンゾフェノン、4,4’−ジヨードベンゾフェノン、2,2’−ジフルオロベンゾフェノン、2,2’−ジクロロベンゾフェノン、2,2’−ジブロモベンゾフェノン、2,2’−ジヨードベンゾフェノン、2,4−ジフルオロベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、2,4−ジブロモベンゾフェノン、2,4−ジヨードベンゾフェノン、2,4’−ジフルオロベンゾフェノン、2,4’−ジクロロベンゾフェノン、2,4’−ジブロモベンゾフェノン、2,4’−ジヨードベンゾフェノン、2,2’−ジフルオロジフェニルエーテル、2,2’−ジクロロジフェニルエーテル、2,2’−ジブロモジフェニルエーテル、2,2’−ジヨードジフェニルエーテル、4,4’−ジフルオロジフェニルエーテル、4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジブロモジフェニルエーテル、4,4’−ジヨードジフェニルエーテル、3,3’−ジフルオロジフェニルアミン、3,3’−ジクロロジフェニルアミン、3,3’−ジブロモジフェニルアミン、3,3’−ジヨードジフェニルアミン、ビス(4−フルオロフェニル)スルフィド、ビス(4−クロロフェニル)スルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)スルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)スルフィド、ビス(4−フルオロ−3−メチルフェニル)スルフィド、ビス(4−クロロ−3−メチルフェニル)スルフィドおよびビス(4−ブロモ−3−メチルフェニル)スルフィド、ビス(4−ヨード−3−メチルフェニル)スルフィド等が挙げられる。
【0045】
芳香環または芳香族複素環を有し、かつ、−SO−および2以上のハロゲン原子を有する化合物としては、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジブロモジフェニルスルホン、4,4’−ジヨードジフェニルスルホン、ビス(4−フルオロ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−クロロ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)スルホンおよびビス(4−ヨード−3,5−ジメチルフェニル)スルホンが挙げられる。
【0046】
ポリエーテルスルホンは例えば、ジクロロジフェニルスルホンと、ビスフェノールSとを、炭酸カリウム存在下で反応させることにより得られる樹脂、50モル%の4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンと30モル%の4,4’−ジクロロベンゾフェノンと20モル%の4,4’−ジクロロジフェニルスルホンとを、水酸化カリウム存在下で反応させることにより得られる樹脂および特許第1678805号に記載される樹脂等が挙げられる。
【0047】
ジクロロジフェニルスルホンと、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの重縮合物であるポリエーテルスルホンは市場から容易に入手できる。このような市販のポリエーテルスルホンを本発明の組成物に用いてもよい。なお、このような市販のポリエーテルスルホンは、芳香環または芳香族複素環を有する構造単位を、全構造単位中100モル%含むものである。
【0048】
樹脂(2)の数平均分子量は、樹脂(2)の粘性や溶剤への溶解性、得られる光学フィルムの靭性、加工性および光学特性の観点から、1,000以上1,000,000以下であることが好ましい。樹脂(2)の重量平均分子量は、1,000以上3,000,000以下であることが好ましい。なお、樹脂(2)の数平均分子量および重量平均分子量は、重合体(1)の数平均分子量の分析で述べた、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー分析等により求められる。
【0049】
市販のポリカーボネートやポリエーテルスルホン(市販品)を本発明の組成物に用いる場合には、これら市販品のカタログに記載された数平均分子量データから、好ましい数平均分子量のものを選ぶこともできる。
【0050】
樹脂(2)の含有量は、モノマー(1)、重合体(1)および樹脂(2)との合計量に対して、好ましくは30質量%〜95質量%、より好ましくは35質量%〜93質量%、特に好ましくは40質量%〜90質量%である。上記範囲内であると、得られる光学フィルムの光弾性係数がより小さくなる。
【0051】
本発明の組成物は重合性成分を含む。すでに述べたとおり、該組成物にモノマー(1)が含まれる場合、このモノマー(1)が重合性成分に該当する。当該組成物が、モノマー(1)を含まず、重合体(1)を含むものである場合、重合体(1)および樹脂(2)以外に重合性成分を当該組成物は含む。このような重合性成分は、付加重合等により重合し得るものであればよいが、例えば、後述する式(A)で示される化合物や式(B)で示される化合物を挙げることができる。
【0052】
本発明の組成物は、光重合開始剤(3)を含むことが好ましい。光重合開始剤(3)は、光照射により活性ラジカルや酸を発生する化合物である。中でも、光照射により活性ラジカルを発生する重合開始剤がより好ましい。
【0053】
光重合開始剤(3)としては、例えばベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩等が挙げられる。
【0054】
ベンゾイン化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0055】
ベンゾフェノン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等が挙げられる。
【0056】
アセトフェノン化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1,2−ジフェニル−2,2−ジメトキシエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマー等が挙げられる。
【0057】
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドおよびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0058】
トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンおよび2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0059】
光重合開始剤(3)としては、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、イルガキュア369、イルガキュアOXE01、イルガキュアOXE02(以上、全てBASFジャパン(株)製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学(株)製)、カヤキュアー(KAYACURE)BP100、カヤキュアーDETX−S、カヤキュアーCTX、カヤキュアーBMS(以上、全て日本化薬(株)製)、UVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーN−1414、アデカオプトマーN−1606、アデカオプトマーN−1717、アデカオプトマーN−1919(以上、全て(株)ADEKA製)、TAZ−A、TAZ−PP(以上、日本シイベルヘグナー社製)およびTAZ−104(三和ケミカル社製)等、市販の光重合開始剤も用いることができる。
【0060】
本発明の組成物が光重合開始剤(3)を含む場合、その含有量は、モノマー(1)、重合体(1)および樹脂(2)の合計量に対して、0.1質量%〜10質量%の範囲が好ましく、0.5質量%〜5質量%の範囲がより好ましい。上記範囲内であれば、得られる光学フィルムの透過率はより高くなる。さらにモノマー(1)等の重合度が高くなるため、得られる光学フィルムの光弾性係数をより小さくすることができる。
【0061】
本発明の組成物は、光増感剤を含んでいてもよい。光増感剤は、光重合開始剤(3)からのラジカルや酸の発生を促進し、モノマー(1)等の重合性成分の重合を高感度に行うために、光重合開始剤と組み合わせて用いられる。光増感剤としては、キサントン、チオキサントン等のキサントン化合物(例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等)、アントラセン、アルキルエーテル等の置換基を有するアントラセン化合物(例えば、ジブトキシアントラセン等)、フェノチアジンおよびルブレンが挙げられる。
【0062】
本発明の組成物が光増感剤を含む場合、その含有量は、モノマー(1)、重合体(1)および樹脂(2)の合計量に対して、0.1質量%〜30質量%の範囲が好ましく、0.5質量%〜10質量%の範囲がより好ましい。上記範囲内であれば、高感度でモノマー(1)等を重合することができ、透過率がより高い光学フィルムが得られる。
【0063】
本発明の組成物は、式(A)で示される化合物(以下、「モノマー(A)」と略記する。)を含んでいてもよい。


式(A)中、Rは、水素原子またはメチル基であり、好ましくは水素原子である。
式(A)中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の1価の脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい炭素数4〜20の1価の複素環基である。
炭素数6〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基およびアダマンチル基が挙げられる。
炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基および下式で示される基が挙げられる。


すでに述べたとおり、本発明の組成物がモノマー(A)を含む場合、このモノマー(A)は重合性成分に該当するものである。
【0064】
炭素数4〜20の1価の複素環基としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、テトラヒドロフラニル基、インドリル基、チアゾリル基およびカルバゾリル基が挙げられる。
また、これらの基は互いに縮合していてもよい。Rは、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基または炭素数4〜20の1価の複素環基であることが好ましい。
前記脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基および複素環基は、それぞれ置換基を有していてもよく、該置換基としては、ヒドロキシ基(−OH);メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、オクチル基等の炭素数1〜12のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜12のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基、フェニルフェニル基等の炭素数6〜12のアリール基;ベンジル基等の炭素数7〜12のアラルキル基;グリシジルオキシ基;アセチル基等の炭素数2〜4のアシル基;アセチルオキシ基等の炭素数1〜12のアシルオキシ基;アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基等の1つもしくは2つの炭素数1〜12のアルキル基で置換されたアミノ基;フルオロ基(フッ素原子)、クロロ基(塩素原子)、ブロモ基(臭素原子)等のハロゲノ基(ハロゲン原子);オキソ基(=O);およびカルボキシ基(−COH)が挙げられる。
【0065】
が芳香族炭化水素基であるモノマー(A)としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、トリメチルスチレン、プロピルスチレン、tert−ブチルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ドデシルスチレン、ヒドロキシスチレン、tert−ブトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニルベンジルアセテート、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、アミノスチレン、4−ビニルフェニルベンゼン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、4−ヒドロキシ−4’−ビニルビフェニル、ビニルナフタレンおよびビニルアントラセンが挙げられる。
【0066】
が複素環基であるモノマー(A)としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピリジン、N−ビニルフタルイミドおよびN−ビニルインドール等が挙げられる。
【0067】
モノマー(A)としては、スチレン、N−ビニルカルバゾール、ビニルナフタレンおよびビニルアントラセンが好ましく、スチレンおよびN−ビニルカルバゾールがより好ましい。これらのモノマー(A)を含む本発明の組成物を用いると、得られる光学フィルムが広い波長域でより一様の偏光変換を行うことができる。
【0068】
本発明の組成物がモノマー(A)を含む場合、その含有量は、本発明の組成物から溶剤と光重合開始剤とを除いた量に対して、40質量%以下の範囲が好ましく、10〜30質量%の範囲がより好ましく、15〜20質量%の範囲が特に好ましい。上記範囲内であると、得られる光学フィルムが広い波長域でより一様の偏光変換を行うことができる。
モノマー(A)は、単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0069】
本発明の組成物は、式(B)で示される化合物(以下、「モノマー(B)」と略記する。)を含んでいてもよい。


式(B)中、Rは、水素原子またはメチル基であり、好ましくはメチル基である。
式(B)中、Rは、−ORまたはNRであり、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基(−OH)またはカルボキシ基(−COH)で置き換わってもよく、該アルキル基に含まれる−CH−は、−O−、−CO−、−S−またはNH−で置き換わっていてもよい。炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基およびヘキシル基が挙げられる。
本発明の組成物がモノマー(B)を含む場合、このモノマー(B)は重合性成分に該当するものである。
【0070】
モノマー(B)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、グリセリンモノアクリレートおよびグリセリンモノメタクリレートが挙げられる。
【0071】
モノマー(B)としては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルおよびグリセリンモノメタクリレートが好ましい。これらのモノマー(B)はより重合度を高くすることができ、かつ、これらのモノマー(B)を含む本発明の組成物を用いると、得られる光学フィルムの透過率および平滑性が高い。
【0072】
本発明の組成物がモノマー(B)を含む場合、その含有量は、本発明の組成物から溶剤と光重合開始剤とを除いた量に対して、50質量%以下の範囲が好ましく、3〜30質量%の範囲がより好ましく、5〜25質量%の範囲が特に好ましい。上記範囲内であると、モノマー(1)等と共重合して重合度を高くすることができ、また高透過率の光学フィルムが得られる。
モノマー(B)は、単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0073】
本発明の組成物は、溶剤を含むことが好ましい。溶剤としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、アニソール、フェネトールおよびメチルアニソール等のエーテル溶剤;
ベンゼン、トルエン、キシレンおよびメシチレン等の芳香族炭化水素溶剤;
2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノン等のケトン溶剤;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールおよびグリセリン等のアルコール溶剤;
酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートおよびγ−ブチロラクトン等のエステル溶剤;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドン等のアミド溶剤;および
ジメチルスルホキシドが挙げられる。
【0074】
本発明の組成物が溶剤を含む場合、その含有量は、本発明の組成物に対して、30〜95質量%の範囲が好ましく、40〜90質量%の範囲がより好ましく、50〜80質量%の範囲が特に好ましい。上記範囲内であると、モノマー(1)等や開始剤を均一に溶解しやすく、更に組成物の塗布均一性に優れる。溶剤は、単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0075】
本発明の組成物は、必要に応じて重合禁止剤、レベリング剤および可塑剤を含んでいてもよい。
【0076】
重合禁止剤としては、ハイドロキノン等のハイドロキノン類;ブチルカテコール等のカテコール類;ピロガロール類;2,2、6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤;チオフェノール類;β−ナフチルアミン類;β−ナフトール類等が挙げられる。
【0077】
本発明の組成物が重合禁止剤を含む場合、その含有量は、モノマー(1)、重合体(1)および樹脂(2)の合計量に対して、好ましくは0.1質量%〜30質量%、より好ましくは0.5質量%〜10質量%である。上記範囲内であれば、高透過率で安定な光学フィルムが得られる。
【0078】
レベリング剤としては、有機変性シリコーンオイル系レベリング剤、ポリアクリレート系レベリング剤およびパーフルオロアルキル系レベリング剤が挙げられる。具体的には、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST80PA、ST86PA、SH8400、SH8700、FZ2123(以上、全て東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(以上、全て信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(以上、全てモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、フロリナート(商品名)FC−72、同FC−40、同FC−43、同FC−3283(以上、全て住友スリーエム(株)製)、メガファック(商品名)R−08、同R−30、同R−90、同F−410、同F−411、同F−443、同F−445、同F−470、同F−477、同F−479、同F−482、同F−483(以上、いずれもDIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、全て三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(商品名)S−381、同S−382、同S−383、同S−393、同SC−101、同SC−105、KH−40、SA−100(以上、全てAGCセイミケミカル(株)製)、商品名E1830、同E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)が挙げられる。
レベリング剤は、単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0079】
レベリング剤を用いることにより、得られるフィルムをより平滑にすることができる。更に成膜時に、本発明の組成物の流動性を制御したり、本発明の光学フィルムの架橋密度を調整したりすることができる。
【0080】
本発明の組成物がレベリング剤を含む場合、その含有量は、本発明の組成物から溶剤を除いた量に対して、0.0001質量%〜2質量%の範囲が好ましく、0.0005質量%〜1質量%の範囲がより好ましい。上記範囲内であれば、高透過率で平滑な光学フィルムが得られる。
【0081】
可塑剤としては、リン酸エステル、カルボン酸エステル及びグリコール酸エステルが挙げられる。リン酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェートおよびトリブチルホスフェート等が挙げられる。
【0082】
カルボン酸エステルとしては、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)、ジエチルヘキシルフタレート(DEHP)等のフタル酸エステル;O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)、O−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸エステル;オレイン酸ブチル、リシノール酸メチル、セバシン酸ジブチルおよび種々のトリメリット酸エステル等が挙げられる。
【0083】
グリコール酸エステルとしては、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリメチロールプロパントリベンゾエート、ペンタエリスリトールテトラベンゾエート、ジトリメチロールプロパンテトラアセテート、ジトリメチロールプロパンテトラプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラアセテート、ソルビトールヘキサアセテート、ソルビトールヘキサプロピオネート、ソルビトールトリアセテートトリプロピオネート、イノシトールペンタアセテートおよびソルビタンテトラブチレート等が挙げられる。
【0084】
可塑剤としては、さらに特開平11−124445号公報記載の(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、特開平11−246704号公報記載のグリセロールエステル類、特開2000−63560号公報記載のジグリセロールエステル類、特開平11−92574号公報記載のクエン酸エステル類、特開平11−90946号公報記載の置換フェニルリン酸エステル類等も挙げることができる。
【0085】
中でも、可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート、トリアセチン、エチルフタリルエチルグリコレート、トリメチロールプロパントリベンゾエート、ペンタエリスリトールテトラベンゾエート、ジトリメチロールプロパンテトラアセテート、ペンタエリスリトールテトラアセテート、ソルビトールヘキサアセテート、ソルビトールヘキサプロピオネート及びソルビトールトリアセテートトリプロピオネートが好ましく、トリフェニルホスフェート、ジエチルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、トリメチロールプロパントリベンゾエート、ペンタエリスリトールテトラベンゾエート、ジトリメチロールプロパンテトラアセテート、ソルビトールヘキサアセテート、ソルビトールヘキサプロピオネートおよびソルビトールトリアセテートトリプロピオネートがより好ましい。
【0086】
本発明の組成物が可塑剤を含む場合、その含有量は、本発明の組成物から溶剤を除いた量に対して0.1〜30質量%が好ましい。可塑剤は、単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0087】
本発明の光学フィルムは、本発明の組成物に含まれる重合性成分を重合することにより得られるものである。該光学フィルムは、さらに延伸されたフィルムであることが好ましい。重合と延伸とは別々に行っても、同時に行ってもよい。また、重合と延伸とを別々に行う場合、重合した後に延伸してもよいし、延伸した後に重合してもよい。重合は、光重合であることが好ましい。本発明の組成物を成膜し、該組成物に含まれる重合性成分を光重合し、延伸して光学フィルムを得ることがより好ましい。
【0088】
本発明の組成物を成膜する方法としては、本発明の組成物を平滑な面にキャストして溶剤を留去する溶剤キャスト法、本発明の組成物を溶融押出機等でフィルム状に押出成形する溶融押出法等が挙げられる。溶剤キャスト法は、容易に成膜できることから好ましいため、溶剤キャスト法に用いることができる、溶剤を含むものが本発明の組成物として好ましい。
【0089】
本発明の組成物に含まれる重合性成分を重合する方法としては、成膜された本発明の組成物に紫外光を照射する方法等が挙げられる。紫外光の発生源としては、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、太陽光線および無電極ランプ等が挙げられる。紫外光の照射強度は、終始一定の強度でも行ってよいし、光重合の途中で強度を変化させてもよい。
【0090】
本発明の組成物から得られたフィルムを延伸する方法としては、テンター法による延伸法、ロール間延伸による延伸法等が挙げられる。延伸は、一軸延伸および二軸延伸のいずれでもよく、縦延伸および横延伸のいずれでもよい。
【0091】
一軸延伸の方法としてはロール間延伸による縦方向への一軸延伸法、テンター機を用いた横方向への一軸延伸法などが挙げられ、二軸延伸の方法としては、フィルムの側端を把持するテンタークリップのレール幅が開かれていき、縦方向の延伸と同時にガイドレールの広がりにより横方向にも延伸する同時二軸延伸や、ロール間延伸による縦方向への延伸を行った後にその両端部をテンタークリップで把持してテンター機を用いて横方向へ延伸する逐次二軸延伸法などが挙げられる。
【0092】
生産性の観点から、横一軸延伸および二軸延伸が好ましく、特に横一軸延伸が好ましい。
【0093】
横一軸延伸や二軸延伸によって光学的二軸性を有している光学フィルムを得ることができる。ここで光学的二軸性とは、フィルム面内の直行する二方向の屈折率をそれぞれn、n(ただしn>nとする)、厚み方向の屈折率をnとしたときにn≠n≠nとなる性質のことをいう。
【0094】
光学的二軸性を有する光学フィルムは、光学フィルムの厚み方向に対しても一様な偏光変換が可能である。
【0095】
光学フィルムの光弾性係数が小さいと、良好な光学特性を示し、さらに表示装置に適用した場合に色調変化が少なく優れた黒表示が可能となる。具体的に、光弾性係数は、50×10−12Pa−1以下であることが好ましい。
【0096】
本発明の光学フィルムは、光弾性係数が小さいため、λ/2板およびλ/4板等の位相差板や、視野角向上フィルム等として用いられる。また、本発明の光学フィルムがλ/4板であれば、それを直線偏光板と組み合わせて広波長域の円偏光板とすることができ、またλ/2板であれば、それを直線偏光板と組み合わせて広波長域の偏光回転素子とすることができる。これらは、各種液晶表示装置、陰極線管(CRT)、タッチパネル、エレクトロルミネセンス(EL)ランプ等における反射防止フィルター、更には液晶プロジェクター等に使用することができる。
【実施例】
【0097】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0098】
(合成例1)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた反応槽に、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(平均分子量860)20.64部、1,4−シクロヘキサンジメタノール5.19部、ジラウリン酸ジブチル錫0.11部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート113.41部を仕込み、窒素気流攪拌下、イソホロンジイソシアネート14.67部を滴下した。滴下終了後、窒素気流下、90℃で5時間反応を行った。次いで、得られた反応混合物に、2−ヒドロキシエチルアクリレート1.60部を仕込み、50℃で1時間反応させ、数平均分子量が4.0×10のウレタンアクリレートを含むウレタンアクリレート溶液を得た。該ウレタンアクリレートは、芳香環または芳香族複素環を有する構造単位を有していない。
【0099】
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)(東ソー(株)製、HLC−8220)を用い、下記の分析条件で分析した、ポリスチレン換算の値である。
装置 HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
ガードカラム TSKguardcolumn SuperH−H(商品名)
カラム TSK−gel SuperHM−H(商品名)3本を直列に接続
カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 0.6mL/min
注入量 50μL
検出器 RI、UV
測定試料濃度 0.6質量%(溶媒:テトラヒドロフラン)
校正用標準物質 TSK STANDARD POLYSTYRENE A−500、
A−1000、A−2500、A−5000、 F−1、F−2、
F−4、F−10、F−20、F−40、F−80、F−128、
F−288,F−380(すべて商品名、東ソー(株)製)
【0100】
〔組成物の調整〕
(実施例1〜6)
下記の成分を混合し、組成物1〜組成物6をそれぞれ調製した。
モノマー(1) :表1に記載の化合物 10部
樹脂(2) :溶液(A) 138部
光重合開始剤(3):フェニル(1−ヒドロキシシクロヘキシル)ケトン(イルガキュア184;BASFジャパン(株)製) 0.4部
溶剤:クロロホルム 20部
レベリング剤:メガファックF−477(DIC(株)製) 0.1部

溶液(A):ポリビスフェノールAカーボネート(全構造単位中の芳香環または芳香族複素環を有する構造単位の含有量:100モル%)(シグマ・アルドリッチジャパン(株)製、重量平均分子量=64,000、Tg=150℃)のクロロホルム溶液(固形分:15%)
【0101】
(実施例7〜12)
下記の成分を混合し、組成物7〜組成物12をそれぞれ調製した。
モノマー(1) :表1に記載の化合物 10部
樹脂(2) :溶液(B) 80部
光重合開始剤(3):イルガキュア184(BASFジャパン(株)製)0.4部
溶剤:N,N−ジメチルホルムアミド/シクロヘキサノン/2−ブタノン混合溶媒(混合比は体積比で20:80:25) 20部
レベリング剤:メガファックF−477(DIC(株)製) 0.1部

溶液(B):ポリエーテルスルホン化合物(全構造単位中の芳香環または芳香族複素環を有する構造単位の含有量:100モル%)(商品名:スミカエクセルPES 4800P、住友化学(株)製)のN,N−ジメチルホルムアミド/シクロヘキサノン/2−ブタノン混合溶媒(混合比は体積比で20:80:25)溶液(固形分含量:25%)
【0102】
【表1】

【0103】
[光学フィルムの作製]
組成物1〜組成物12をポリエチレンテレフタレート製の離型フィルム(厚さ188μm)上に、アプリケーター(ギャップ幅:500μm)を用いて塗布した後、密閉容器中、室温で5分間放置し、続いて40℃で10分間、更に80℃で15分間加熱することにより乾燥した後、高圧水銀ランプを用い、600mJ/cm(365nm基準)で光照射した。光照射後、離型フィルムから剥がして、光学フィルムを得た。
【0104】
(比較例1)
合成例1で作製したウレタンアクリレート溶液66.7部、N−ビニルカルバゾール7部、光重合開始剤(3)(イルガキュア184、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)0.4部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 20.0部を混合し、溶液を調製した。該溶液を、ポリエチレンテレフタレート製の離型フィルム上に、アプリケーター(ギャップ幅:700μm)を用いて塗布した後、80℃で15分間加熱することにより乾燥し、UV照射(高圧水銀ランプ:1Pass当たり650mJ/cm:365nm)し、さらに温度調節オートグラフ延伸機を使用して3.0倍延伸して、光学フィルムを得た。
【0105】
得られた光学フィルムから150mm×600mmの大きさのシートを切り出し、自動複屈折計(KOBRA−WR、王子計測機器(株)製)を用いて、室温で0N〜50Nの範囲で5点張力を変えたときの面内位相差値(Re)をそれぞれ測定し、下記式に従って作成した近似直線の傾きから光弾性係数を求めた。結果を表2に示す。
Re/d=C・σ
ここでdは光学フィルムの厚み、σは張力、Cは光弾性係数を表す。
【0106】
【表2】

【0107】
実施例の光学フィルムは、光弾性係数が小さいことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明によれば、光弾性係数が小さい光学フィルムが提供される。本発明の光学フィルムを備えた表示装置は、色調変化が少なく、優れた黒表示が可能となるため、本発明により得られる光学フィルムは表示装置に用いるフィルムとして極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):

(式中、Rは、水素原子またはメチル基を表わす。Rは、置換基を有していてもよい炭素数5〜15の1価の架橋環式炭化水素基を表わし、該架橋環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−NR−、−O−、−CO−または−S−で置き換わっていてもよい。Rは、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。nは0〜3の整数を表わす。)
で示されるモノマーおよび式(1)で示されるモノマーを重合することにより得られる重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種と、
芳香環または芳香族複素環を有する構造単位を、全構造単位中、11モル%以上100モル%以下含む樹脂と
を含む組成物に含まれる重合性成分を重合することにより得られる光学フィルム。
【請求項2】
前記樹脂が、ポリカーボネートおよびポリエーテルスルホンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記式(1)のRが、メチル基である請求項1または2記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記組成物が、さらに光重合開始剤を含む請求項1〜3のいずれか記載の光学フィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の光学フィルムからなる位相差板。
【請求項6】
式(1):

(式中、Rは、水素原子またはメチル基を表わす。Rは、置換基を有していてもよい炭素数5〜15の1価の架橋環式炭化水素基を表わし、該架橋環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−NR−、−O−、−CO−または−S−で置き換わっていてもよい。Rは、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。nは0〜3の整数を表わす。)
で示されるモノマーおよび式(1)で示されるモノマーを重合することにより得られる重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種と、
芳香環または芳香族複素環を有する構造単位を、全構造単位中、11モル%以上100モル%以下含む樹脂と
を含む組成物。
【請求項7】
さらに、光重合開始剤を含む請求項6記載の組成物。
【請求項8】
さらに、溶剤を含む請求項6または7記載の組成物。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか記載の組成物に含まれる重合性成分を重合してなる重合体。
【請求項10】
請求項8記載の組成物を平滑な面にキャストした後、溶剤を留去することにより得られる光学フィルムの製造方法。

【公開番号】特開2012−8547(P2012−8547A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112165(P2011−112165)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】