説明

光学ユニット

【課題】配光パターンの形成精度の向上を図ることができる光学ユニットを提供する。
【解決手段】車両用灯具に用いられる光学ユニット100は、リフレクタ110と、リフレクタ載置面152aを有するベース部150と、リフレクタ110のリフレクタ載置面152aとの対向面に設けられた固定ピン114と、ベース部150の固定ピン114に対応する位置に設けられたピン孔158と、を備える。光学ユニット100では、固定ピン114がピン孔158に挿入されて、リフレクタ110がベース部150に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関し、特に車両用灯具に用いられる光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体発光素子などの光源からの光をリフレクタで反射して、投影レンズを介して車両前方に照射する、車両用灯具用の光学ユニットが知られている。一般にこの光学ユニットは、投影レンズやリフレクタが取り付けられたベース部が、半導体発光素子の搭載部を有するヒートシンクに連結された構造を有する。
【0003】
この光学ユニットでは、例えば特許文献1の図6に示されるように、リフレクタがベース部に相当するシェードに対してランス係合により取り付けられていた。具体的には、シェードの左右の外側面に矩形状凸部が設けられ、リフレクタの左右の外側面に矩形状開口部を有するフックが設けられ、フックの矩形状開口部に矩形状凸部が嵌め込まれることで、リフレクタがシェードに取り付けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−35547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、ランス係合によりリフレクタがベース部に取り付けられる構成では、リフレクタのフックがベース部の矩形状凸部に嵌め込まれる際に、リフレクタの変形をともなっていた。すなわち、リフレクタのフックがベース部の矩形状凸部に押し付けられると、リフレクタが外側に拡がってフックの前端が矩形状凸部に乗り上がる。そして、フックの前端が矩形状凸部を乗り越えると、リフレクタが元の形状に戻ろうとしてフックの矩形状開口部に矩形状凸部が収まる。また、この構成では、フックの矩形状開口部内に矩形状凸部が収まった状態で、リフレクタは若干外側に拡がった状態が維持される。外側に拡がるようにリフレクタを変形させることで、ベース部を挟み込む反力をリフレクタに生じさせることができ、これによりリフレクタをベース部に固定することができる。
【0006】
このように、リフレクタの取り付け時、あるいは取り付けた状態においてリフレクタが変形すると、リフレクタの反射面が変形してしまう可能性があった。リフレクタの反射面が変形すると、車両用灯具により形成される配光パターンが変形してしまうおそれがある。したがって、配光パターンの形成精度をより高めようとした場合に、従来の構成には改善の余地があった。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、配光パターンの形成精度の向上を図ることができる光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の光学ユニットは、リフレクタと、リフレクタ載置面を有するベース部と、リフレクタのリフレクタ載置面との対向面に設けられた固定ピンと、ベース部の固定ピンに対応する位置に設けられたピン孔と、を備え、固定ピンがピン孔に挿入されてリフレクタがベース部に固定されていることを特徴とする。
【0009】
この態様によれば、配光パターンの形成精度の向上を図ることができる光学ユニットを提供することができる。
【0010】
上記態様において、固定ピンは、その先端部がピン孔から突出し、このピン孔から突出している部分がベース部に溶着されてもよい。これによれば、リフレクタとベース部とをより確実に固定することができる。
【0011】
上記態様において、対向面およびリフレクタ載置面の少なくとも一方に設けられた突き当て部を備え、突き当て部が対向面に設けられた場合にはリフレクタ載置面に、突き当て部がリフレクタ載置面に設けられた場合には対向面に突き当て部が接触して、リフレクタとベース部との距離方向の位置決めがなされてもよい。これによれば、配光パターンの形成精度のさらなる向上を図ることができる。
【0012】
上記態様において、固定ピンは、対向面とリフレクタ載置面との間の領域内にピン孔よりも径が大きい部分を有してもよい。この場合、固定ピンはピン孔よりも径が大きい部分から先端側だけがピン孔に進入可能となるため、固定ピンがピン孔に過度に進入してリフレクタが変形してしまうことを防ぐことができる。
【0013】
上記態様において、ピン孔よりも径が大きい部分は、リフレクタ載置面に平行な面を有し、この平行な面とリフレクタ載置面との間に空隙が形成されていてもよい。これによれば、リフレクタをベース部に押し付けた際にピン孔よりも径が大きい部分をリフレクタ載置面に面接触させることができるため、確実に固定ピンのピン孔への進入を抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、配光パターンの形成精度の向上を図ることができる光学ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1に係る光学ユニットを備えた車両用灯具としての車両用前照灯装置の内部構造を説明する概略部分断面図である。
【図2】実施形態1に係る光学ユニットを斜め上方から見た概略斜視図である。
【図3】図3(A)は、リフレクタを斜め上方から見た概略斜視図であり、図3(B)は、リフレクタを斜め下方から見た概略斜視図であり、図3(C)は、固定ピンを斜め下方から見た概略斜視図である。
【図4】ヒートシンクを斜め上方から見た概略斜視図である。
【図5】図5(A)は、ベース部を斜め上方から見た概略斜視図であり、図5(B)は、ベース部を斜め下方から見た概略斜視図である。
【図6】図6(A)は、ベース部の結合部近傍の概略平面図であり、図6(B)は、図6(A)におけるA−A線に沿った概略断面図である。
【図7】光学ユニットの分解斜視図である。
【図8】図8(A)は、リフレクタと投影レンズが組み付けられたベース部を斜め上方から見た概略斜視図であり、図8(B)は、リフレクタと投影レンズが組み付けられたベース部を斜め下方から見た概略斜視図である。
【図9】図9(A)〜図9(C)は、リフレクタのベース部への組み付け方法を説明するための概略図である。
【図10】リフレクタと投影レンズが組み付けられたベース部がヒートシンクに組み付けられた状態を斜め上方から見た概略斜視図である。
【図11】ベース部がヒートシンクに組み付けられた状態におけるねじの中心軸を含む平面に沿った概略断面図である。
【図12】図12(A)〜図12(F)は、ベース部のヒートシンクへの組み付け方法を説明するための概略図である。
【図13】実施形態1に係る光学ユニットの概略正面図である。
【図14】変形例に係る光学ユニットにおけるベース部の結合部近傍の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0017】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る光学ユニットを備えた車両用灯具としての車両用前照灯装置の内部構造を説明する概略部分断面図である。図2は、実施形態1に係る光学ユニットを斜め上方から見た概略斜視図である。なお、車両用前照灯装置は、左右対称に形成された一対の前照灯ユニットを有し、車両用前照灯装置が車両に装着される場合、前照灯ユニットの一方が車両の左前方部分に設けられ、他方が車両の右前方部分に設けられる。図1は、車両用前照灯装置として左右いずれかの前照灯ユニットの構成を示している。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用前照灯装置10は、車両前方側に開口部を有するランプボディ12と、ランプボディ12の開口部を覆うように取り付けられた透光カバー14とを備える。透光カバー14は、透光性を有する樹脂やガラス等で形成されている。ランプボディ12と透光カバー14とにより形成される灯室13内には、光学ユニット100が収容されている。
【0019】
図1および2に示すように、光学ユニット100は、車両用灯具に用いられるいわゆるプロジェクタ型の光学ユニットであり、リフレクタ110と、ヒートシンク130と、ベース部150とを備える。また、本実施形態の光学ユニット100は、ロービーム用配光パターンを形成可能な光学ユニットである。光学ユニット100は、その光軸が車両前後方向に延びるように配置されてランプボディ12に連結されている。
【0020】
リフレクタ110は、光源モジュール200(光源)からの光を反射するための反射面110aを有する。ヒートシンク130は、光源モジュール200が搭載される光源搭載部132と、光源搭載部132の前面から光軸方向前方に延びる延長部134と、この延長部134に設けられた放熱フィン135とを有する。また、ヒートシンク130は、光源搭載部132の背面上部から上方に延びる背面部136と、この背面部136に設けられた放熱フィン137とを有する。ベース部150は、リフレクタ載置面152aを有するリフレクタ取付部152と、投影レンズ102が取り付けられるレンズ取付部154と、リフレクタ取付部152とレンズ取付部154の結合部156とを有する。
【0021】
ヒートシンク130は、リフレクタ110およびベース部150を支持するための支持部材として機能し、リフレクタ110が取り付けられたベース部150が連結機構170によってヒートシンク130に連結されている。また、ヒートシンク130は、光源搭載部132の背面下部および背面部136の背面に螺孔138を有し、ランプボディ12を貫通して前方に延出するエイミングスクリュー16、およびレベリングシャフト18がこの螺孔138に螺合している。このようにして、ヒートシンク130がランプボディ12に取り付けられ、これにより光学ユニット100がランプボディ12に取り付けられている。
【0022】
レベリングシャフト18は、レベリングアクチュエータ20に接続されている。車両用前照灯装置10は、エイミングスクリュー16、レベリングシャフト18、およびレベリングアクチュエータ20によって光学ユニット100の光軸を水平方向および鉛直方向に調整できるように構成されている。
【0023】
続いて、図3(A)〜図3(C)、図4、図5(A)、図5(B)、図6(A)、および図6(B)を参照して、光学ユニット100の各部の構造について詳細に説明する。図3(A)は、リフレクタを斜め上方から見た概略斜視図であり、図3(B)は、リフレクタを斜め下方から見た概略斜視図であり、図3(C)は、固定ピンを斜め下方から見た概略斜視図である。図4は、ヒートシンクを斜め上方から見た概略斜視図である。図5(A)は、ベース部を斜め上方から見た概略斜視図であり、図5(B)は、ベース部を斜め下方から見た概略斜視図である。図6(A)は、ベース部の結合部近傍の概略平面図であり、図6(B)は、図6(A)におけるA−A線に沿った概略断面図である。
【0024】
図3(A)および図3(B)に示すように、リフレクタ110は、例えば回転楕円面の一部で構成された反射面110aが内側に形成された反射部材である。リフレクタ110は、反射面110aの第1焦点が光源モジュール200(図1参照)の近傍に位置し、反射面110aの第2焦点が投影レンズ102(図1参照)の後方焦点の近傍に位置するようにして、投影レンズ102よりも車両後方側に配置されている。
【0025】
リフレクタ110は、ベース部150のリフレクタ取付部152に取り付けられた状態でリフレクタ載置面152aと対向する対向面112を有する。対向面112には、リフレクタ110とベース部150の固定に用いられる固定ピン114と、リフレクタ110とベース部150の水平方向の位置決めを行うための位置決めピン116と、リフレクタ110とベース部150の距離方向(鉛直方向)の位置決めを行うための凸状の突き当て部118とが設けられている。本実施形態において対向面112は、略楕円弧状に延び、光軸に対して線対称となるように配置されている。固定ピン114、および位置決めピン116は、それぞれ光軸を挟んで左右両側に1つずつ設けられている。突き当て部118は、光軸を挟んで左右両側に2つずつ設けられ、各側の突き当て部118は、一方が固定ピン114、および位置決めピン116よりも車両前方側に配置され、他方が固定ピン114、および位置決めピン116よりも車両後方側に配置されている。
【0026】
図3(C)に示すように、固定ピン114は、ベース部150に設けられた後述するピン孔158よりも径が大きい大径部114aを有する。大径部114aは、固定ピン114の基端部、すなわち対向面112と接する位置に設けられている。また、大径部114aは、平行面114bを有する。平行面114bは、リフレクタ110がベース部150のリフレクタ取付部152に取り付けられた状態で、リフレクタ載置面152aに平行な面である。すなわち、固定ピン114は、その側面に先端側よりも基端側の方が大径となる段差を有し、この段差から基端側が大径部114aとなり、大径部114aの側面と大径部114aよりも先端側の固定ピン114の側面とをつなぐ面が平行面114bとなっている。
【0027】
固定ピン114の高さは、ベース部150のピン孔158が設けられた部分の厚さ、言い換えればピン孔158の長さよりも大きい。また、大径部114aの高さは、リフレクタ110がベース部150のリフレクタ取付部152に取り付けられた状態で、平行面114bとリフレクタ載置面152aとの間に空隙が形成される高さとなっている。
【0028】
ヒートシンク130は、光源モジュール200の放熱のための部材である。図4に示すように、ヒートシンク130は、光源モジュール200を搭載するための光源搭載部132を有する。光源搭載部132は略直方体の形状を有し(図1、および図2参照)、その上面に光源モジュール200が搭載される光源搭載面132aを有する。光源搭載部132の車両前方側を向く側面には、投影レンズ102の近傍まで光軸方向前方に延びる平板状の延長部134が設けられている。延長部134は、その主表面が略水平に延びるように配置され、上方を向く主表面には複数の放熱フィン135が車両左右方向に並ぶように設けられている。放熱フィン135は、車両前後方向に延在し、その背面が光源搭載部132の車両前方側を向く側面に当接している。また、放熱フィン135の上面の高さは、車両後方側が光源搭載部132の上面と略同一であり、車両前方側がリフレクタ110で反射され投影レンズ102に向かう光を遮らないように車両前方にいくほど低くなっている。
【0029】
延長部134には、放熱フィン135よりも車両左右方向外側に、後述する連結機構170を構成するねじ受け部176が設けられている。ねじ受け部176は、左右両側に1つずつ設けられている。また、延長部134には、車両左右方向両端部のねじ受け部176よりも車両後方側に、ヒートシンク130とベース部150の水平方向の位置決めを行うための位置決めピン140が設けられている。位置決めピン140は、左右両側に1つずつ設けられている。
【0030】
光源搭載部132の車両後方側を向く側面には、車両上下方向に延びる平板状の背面部136が設けられている。背面部136は、その主表面が車両前後方向を向くように配置され、車両後方側を向く主表面には複数の放熱フィン137が車両左右方向に並ぶように設けられている。また、背面部136の車両後方側を向く主表面にはエイミングスクリュー16(図1参照)が螺合する螺孔138が設けられ、光源搭載部132の車両後方側を向く側面にはレベリングシャフト18(図1参照)が螺合する螺孔138が設けられている。ヒートシンク130は、例えばアルミダイキャスト製であり、光源搭載部132、延長部134、放熱フィン135、背面部136、放熱フィン137、螺孔138、およびねじ受け部176が一体成形されている。
【0031】
図1に示すように、光源モジュール200は、例えば、発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子202と、半導体発光素子202を支持する基板204とを有する。基板204は、セラミックなどで形成された熱伝導性絶縁基板である。基板204には、半導体発光素子202に電力を伝達する電極(図示せず)が形成されている。光源モジュール200は、半導体発光素子202の光出射面が車両上方に向けられ、半導体発光素子202の照射軸が略車両上下方向に延びた状態で、光源搭載部132に搭載されている。
【0032】
ベース部150は、リフレクタ110および投影レンズ102(図1、および図2参照)を支持するための部材である。図5(A)、および図5(B)に示すように、ベース部150は、リフレクタ載置面152aを有するリフレクタ取付部152を備える。リフレクタ取付部152は、平板状であり、その主表面が車両上下方向を向くように配置され、車両上方側を向く主表面がリフレクタ載置面152aとなっている。また、リフレクタ取付部152は、その前端部152bがロービーム用配光パターン(配光パターン)のカットオフラインを形成するためのシェードを構成している。すなわち、リフレクタ取付部152の車両前方側の側面とリフレクタ載置面152aとがなす稜線の形状がロービーム用配光パターンのカットオフラインの形状に対応している。前端部152bは、反射面110aの第2焦点および投影レンズ102の後方焦点の近傍に配置されている。
【0033】
リフレクタ取付部152の左右両端部には、結合部156が連結されている。結合部156は、リフレクタ取付部152から車両前方に向けて延びて、その先端でレンズ取付部154を支持する一対の腕部に相当する。結合部156の車両前方側の端部にはレンズ取付部154が連結され、これにより、リフレクタ取付部152とレンズ取付部154とが結合されている。また、結合部156には、後述する連結機構170を構成するねじ通し穴174が設けられている。
【0034】
レンズ取付部154は、略円筒状の部材であり、車両後方側を向く面に結合部156が連結され、車両前方側を向く面に投影レンズ102が固定される。レンズ取付部154の車両前方側を向く面には、投影レンズ102を固定するための複数の固定ピン154aが設けられている。
【0035】
ベース部150は、ヒートシンク130に取り付けられた状態で、光源モジュール200の光がリフレクタ取付部152に取り付けられるリフレクタ110で反射されレンズ取付部154に取り付けられる投影レンズ102に入射するよう構成されている。また、ベース部150は、例えば樹脂製であり、リフレクタ取付部152、レンズ取付部154、および結合部156が一体成形されている。
【0036】
ベース部150の、リフレクタ110に設けられた固定ピン114に対応する位置には、固定ピン114が挿入されるピン孔158が設けられている。また、ベース部150の、リフレクタ110に設けられた位置決めピン116に対応する位置には、位置決めピン116が挿入される位置決め孔160が設けられている。本実施形態においてピン孔158および位置決め孔160は、リフレクタ取付部152の車両左右方向の両端部に1つずつ設けられている。また、リフレクタ載置面152aは、リフレクタ110の突き当て部118に対応する位置に、突き当て部118が当接する突き当て受け部162を有する。
【0037】
ベース部150は、ヒートシンク130に取り付けられる際にヒートシンク130と接触することで、両者の距離方向(鉛直方向)の位置決めを行うための複数の突き当て部164を有する。ベース部150は、リフレクタ取付部152の車両下方側の主表面がヒートシンク130側を向くようにしてヒートシンク130に搭載される。そこで、本実施形態では、リフレクタ取付部152の車両下方側の主表面に凸状の突き当て部164aが設けられ、結合部156の車両下方側を向く面に凸状の突き当て部164bが設けられている。具体的には、突き当て部164aは、リフレクタ取付部152の車両下方側の主表面における車幅方向両端部に1つずつ配置されている。また、突き当て部164bは、結合部156に設けられたねじ通し穴174の周縁に配置されている。なお、突き当て部164は、ねじ通し穴174を通り車両前後方向に延びるライン上に配置されることが好ましい。また、ベース部150は、ヒートシンク130に設けられた位置決めピン140に対応する位置に、位置決めピン140が挿入されるピン孔166を有する。
【0038】
図6(A)、および図6(B)に示すように、ベース部150の結合部156は、ねじ通し穴174の周囲に複数の凸部168を有する。複数の凸部168は、後述する連結機構170を構成するねじ172がねじ通し穴174に挿通されたヒートシンク130のねじ受け部176に螺合される際に、ねじ172の頭部に接触して押し潰されるように構成されている。本実施形態では、複数の凸部168はそれぞれ、三角柱の一側面が結合部156の表面に接し、この一側面と対向する頂部が上方に突出した形状を有し、ねじ172がねじ受け部176に螺合される際に、上方に突出した頂部が押し潰されるように構成されている。
【0039】
また、複数の凸部168は、ねじ通し穴174の中心Mと、ねじ通し穴174から離間して配置された突き当て部164aの中心Nとを通る直線Lに対して略垂直に延びている。すなわち、複数の凸部168のそれぞれは、上方に突出した頂部と結合部156の表面と接する裾部が直線Lに対して略垂直に延びるように配置されている。なお、前記「略垂直」には、凸部168が直線Lに対して垂直に延びる場合だけでなく、突き当て部164aへの凸部168を押圧する力の伝達量を増やすことができるという後述する作用効果を奏することができる形状の全てが含まれる。
【0040】
図1、および図2に示すように、投影レンズ102は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズからなる。投影レンズ102は、レンズ取付部154に固定されて光学ユニット100の光軸上に設けられ、投影レンズ102の後方焦点近傍には反射面110aの第2焦点およびリフレクタ取付部152の前端部152bが位置している。そして、投影レンズ102は、光源モジュール200の照射光を集光して灯具前方に投影する光学部材として機能する。
【0041】
続いて、図7、図8(A)、図8(B)、図9(A)〜図9(C)、図10、図11、および図12(A)〜図12(F)を参照して、光学ユニット100の組み付けについて説明する。
【0042】
図7は、光学ユニットの分解斜視図である。図8(A)は、リフレクタと投影レンズが組み付けられたベース部を斜め上方から見た概略斜視図であり、図8(B)は、リフレクタと投影レンズが組み付けられたベース部を斜め下方から見た概略斜視図である。図9(A)〜図9(C)は、リフレクタのベース部への組み付け方法を説明するための概略図である。図9(A)は、リフレクタがベース部に組み付けられた状態における固定ピン近傍の概略側面図であり、図9(B)は、図9(A)に示す状態における固定ピンの中心軸を含む平面に沿った概略断面図であり、図9(C)は、固定ピンの先端がベース部に溶着された状態を示す概略断面図である。図10は、リフレクタと投影レンズが組み付けられたベース部がヒートシンクに組み付けられた状態を斜め上方から見た概略斜視図である。なお、図10では、投影レンズ102の図示を省略している。図11は、ベース部がヒートシンクに組み付けられた状態におけるねじの中心軸を含む平面に沿った概略断面図である。図12(A)〜図12(F)は、ベース部のヒートシンクへの組み付け方法を説明するための概略図である。図12(A)〜図12(C)は、ねじ止め前の状態を示し、図12(D)〜図12(F)は、ねじ止め後の状態を示す。また、図12(A)、図12(D)は、それぞれの状態における結合部近傍の概略平面図であり、図12(B)、図12(E)は、それぞれの状態におけるねじ通し穴の中心軸を含む平面に沿った概略断面図であり、図12(C)、図12(F)は、それぞれの状態における結合部近傍を斜め上方から見た概略斜視図である。なお、図12(D)〜図12(F)では、ねじの図示を省略している。
【0043】
図7、図8(A)、および図8(B)に示すように、ベース部150の車両前方側に、平面がベース部150側を向くようにして投影レンズ102が配置される。そして、レンズ取付部154の固定ピン154aと投影レンズ102の周縁に設けられた凹部とが位置合わせされて、投影レンズ102がレンズ取付部154に押し付けられる。これにより、投影レンズ102がレンズ取付部154に固定される。また、リフレクタ載置面152aの上方に対向面112(図3(B)参照)がリフレクタ載置面152a側を向くようにして、リフレクタ110が配置される。そして、リフレクタ110の固定ピン114とベース部150のピン孔158とが位置合わせされ、リフレクタ110の位置決めピン116とベース部150の位置決め孔160とが位置合わせされて、リフレクタ110がリフレクタ載置面152aに載置される。
【0044】
図9(A)、および図9(B)に示すように、リフレクタ110がリフレクタ載置面152aに載置されると、固定ピン114がピン孔158に挿入される。ピン孔158に挿入された固定ピン114は、その先端部がピン孔158からリフレクタ載置面152aの裏面側に突出する。また、位置決めピン116が位置決め孔160(図7参照)に挿入されて、リフレクタ110とベース部150の車両前後左右方向、すなわち水平方向の位置決めがなされる。また、リフレクタ110の対向面112に設けられた突き当て部118がリフレクタ載置面152aの突き当て受け部162に接触して、リフレクタ110とベース部150の車両上下方向、すなわち鉛直方向(距離方向)の位置決めがなされる。
【0045】
図9(C)に示すように、ピン孔158から突出した固定ピン114の先端部は、例えば熱かしめが施されて変形し、これによりピン孔158の開口径よりも径が大きいピン頭部114cが形成される。ピン頭部114cによって、ベース部150からのリフレクタ110の抜け落ちが防止される。本実施形態では、ベース部150が熱かしめ装置の台座に載置されるとともに、所定温度下でリフレクタ110がベース部150に向けて所定圧力で押し付けられる。これにより、ピン孔158から突出している固定ピン114の先端部が溶融、変形してピン頭部114cが形成される。また、形成されたピン頭部114cは、ベース部150に溶着される。
【0046】
このように、本実施形態では、固定ピン114がピン孔158に挿入されてリフレクタ110がベース部150に固定されている。そのため、ランス係合によりリフレクタがベース部に取り付けられる従来の構造において生じるリフレクタの変形を防ぐことができる。その結果、配光パターンの形成精度の向上を図ることができる。また、本実施形態では、固定ピン114を対向面112に立設しているため、リフレクタ110の外側面にランス係合機構のフックを設けた従来の構造に比べて、リフレクタ110の外形寸法を小さくすることができる。これにより、光学ユニット100の外形寸法の小型化や、設計自由度の向上を図ることができる。
【0047】
また、固定ピン114の先端部に熱かしめを施してベース部150に溶着させているため、リフレクタ110とベース部150とを強固に固定することができ、リフレクタ110がベース部150から抜け落ちることを確実に防ぐことができる。なお、リフレクタ110をベース部150に固定する方法は、固定ピン114の先端部をベース部150に溶着させる方法に限らず、たとえば、固定ピン114の径をピン孔158の開口径よりも大きくして、固定ピン114をピン孔158に圧入する方法であってもよく、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。また、前記「固定ピン114がピン孔158に挿入されてリフレクタ110がベース部150に固定されている」には、熱かしめの場合のように固定ピン114がピン孔158に挿入された後に変形されてリフレクタ110とベース部150とが固定される場合と、圧入の場合のように固定ピン114の挿入自体が両者の固定となる場合とが含まれる。
【0048】
固定ピン114の先端部に熱かしめが施される場合、リフレクタ110がベース部150に向けて押圧される。そのため、リフレクタ110は、固定ピン114の車両前方側にある突き当て部118と車両後方側にある突き当て部118とを支点にして、2つの突き当て部118の間の部分が撓み、その結果、反射面110aが変形してしまうおそれがある。これに対し、本実施形態における固定ピン114は、図9(B)、および図9(C)に示すように、対向面112とリフレクタ載置面152aとの間の領域内に収まる位置に、ピン孔158よりも径が大きい大径部114aを有する。そのため、固定ピン114は、大径部114aよりも先端寄りの部分だけがピン孔158に挿入可能となる。これにより、固定ピン114がピン孔158に過度に進入して反射面110aが変形することを防ぐことができる。すなわち、固定ピン114のピン孔158への進入量を調節することができるため、熱かしめ時の押圧によるリフレクタ110の撓みを軽減することができ、反射面110aの変形を回避することができる。
【0049】
また、大径部114aは、リフレクタ載置面152aに平行な平行面114bを有する。そのため、固定ピン114がピン孔158内に進入して大径部114aがリフレクタ載置面152aに到達すると、平行面114bとリフレクタ載置面152aとが面接触して、固定ピン114のそれ以上の進入が抑制される。したがって、より確実に固定ピン114のピン孔158への進入を抑えることができる。また、固定ピン114の熱かしめ処理が施された後の状態、すなわちリフレクタ110およびベース部150への加圧が解除された状態で、平行面114bとリフレクタ載置面152aとの間には、空隙Hが形成されている。このように、平行面114bとリフレクタ載置面152aとの間に空隙Hを設けることで平行面114bの高精度な面高さ管理を省略することができるため、ベース部150の製造工程の複雑化を防ぐことができる。
【0050】
続いて、図7、および図10に示すように、ヒートシンク130の光源搭載部132に光源モジュール200が搭載されて、光源モジュール200がヒートシンク130に固定される。また、ヒートシンク130の光源搭載部132の上方に、投影レンズ102およびリフレクタ110が取り付けられたベース部150が配置される。そして、ベース部150のピン孔166とヒートシンク130の位置決めピン140とが位置合わせされ、ベース部150の結合部156に設けられたねじ通し穴174とヒートシンク130の延長部134に設けられたねじ受け部176とが位置合わせされて、ベース部150がヒートシンク130に載置される。ベース部150がヒートシンク130に載置された状態で、リフレクタ取付部152は、光源搭載部132の光源モジュール200よりも車両前方側の上面と、放熱フィン135の車両後方側の上面とに接する。また、位置決めピン140がピン孔166に挿入されて、ベース部150とヒートシンク130の水平方向の位置決めがなされる。また、ベース部150の突き当て部164a,164bがヒートシンク130に接触して、ベース部150とヒートシンク130との距離方向の位置決めがなされる(図11参照)。さらに、ねじ受け部176の先端がねじ通し穴174に挿入される。
【0051】
そして、頭部172aを有するねじ172がねじ通し穴174に挿通されて、ねじ受け部176に螺合される。ここで、図11に示すように、ヒートシンク130とベース部150とを連結する連結機構170は、頭部172aを有するねじ172と、結合部156に設けられたねじ通し穴174と、延長部134に設けられたねじ受け部176とを含み、ねじ172がねじ通し穴174に挿通されてねじ受け部176に螺合されることで、ねじ172の頭部172aと延長部134とに結合部156が挟まれた状態となる。連結機構170は、このようにして結合部156と延長部134とを連結して、これによりベース部150とヒートシンク130とを連結している。
【0052】
図12(A)〜図12(C)に示すように、ねじ通し穴174に挿入されたねじ受け部176の上面は、ねじ172による締結前の状態では凸部168の頂部よりも低い位置となっている。そして、ねじ172は、頭部172aの下面がねじ受け部176の上面と当接するまでねじ受け部176に挿入される(図11参照)。その結果、ねじ172の頭部172aによってねじ受け部176の上面から上方にある凸部168の頂部が押圧されて、これにより結合部156が延長部134側に押圧される。そして、結合部156の突き当て部164がヒートシンク130に押し付けられてベース部150がヒートシンク130に固定される。
【0053】
このとき、図12(D)〜図12(F)に示すように、ねじ受け部176の上面から上方にある凸部168の頂部は頭部172aに押し潰されて塑性変形する。そして、この凸部168を押し潰す力が突き当て部164に伝達されて、突き当て部164を確実にヒートシンク130に押し当てることができる。すなわち、凸部168は、ベース部150をヒートシンク130に固定するためのつぶし代として機能する。
【0054】
突き当て部164は、ねじ172と凸部168との接触部から離れるほど、凸部168を押し潰す力が伝達されにくくなる。そのため、凸部168の存在領域の直下に設けられた突き当て部164bに比べて、連結機構170から離間して配置された突き当て部164aに伝達される力が小さくなってしまう。そこで、本実施形態では、ねじ通し穴174の中心Mと突き当て部164aの中心Nとを通る直線Lに対して略垂直に延びるように凸部168を設けている(図6(A)参照)。凸部168を押圧する力、あるいは押し潰す力は、凸部168の頂部から裾が拡がる方向に伝達されやすい。そのため、凸部168の頂部および裾部が直線Lに対して略垂直に延びるように複数の凸部168を配列して、各凸部168からの押圧力の伝達方向を突き当て部164aに向けて揃えることで、突き当て部164aに対する凸部168を押圧する力の伝達量を増やすことができる。これにより、突き当て部164aをヒートシンク130に強固に押し付けることができるため、ヒートシンク130とベース部150との距離方向の位置決めをより高精度に行うことができる。
【0055】
また、本実施形態では、突き当て部164bがねじ172と凸部168との接触部の直下に位置している。そのため、突き当て部164bを、ねじ172の頭部172aと延長部134とで結合部156を挟む際に起こり得るベース部150の変形を抑制するための台座として機能させることができる。
【0056】
以上のようにしてリフレクタ110、ヒートシンク130、およびベース部150が組み付けられて形成された光学ユニット100において、光源モジュール200から照射された光は、リフレクタ110の反射面110aで反射されて、リフレクタ取付部152の前端部152b近傍を通過して、投影レンズ102に入射する。投影レンズ102に入射した光は、投影レンズ102で集光されて車両前方に照射される。これにより、車両前方にロービーム用配光パターンを形成することができる。
【0057】
図2、および図10に示すように、本実施形態に係る光学ユニット100では、ヒートシンク130の延長部134が、リフレクタ取付部152の下方を通ってリフレクタ取付部152の前端部152bよりも光軸方向前方に延びている。そして、この延長部134が連結機構170によりベース部150の結合部156と連結されている。ここで、ベース部150は、前端部に比較的質量の大きい投影レンズ102が取り付けられるため、その重心が車両前方寄りである。そのため、ヒートシンクの背面側から延びる締結ねじによってベース部をヒートシンクに取り付ける従来の構造では、ベース部とヒートシンクを連結する位置がベース部の重心位置から離れていた。これに対し、本実施形態に係る光学ユニット100では、従来の構造よりもベース部150の重心に近い位置でベース部150とヒートシンク130とを連結している。したがって、従来の構造に比べて外部からの振動等に対する光学ユニット100の剛性を高めることができる。
【0058】
また、従来の構造では、ヒートシンクの背面側から締結ねじをヒートシンクに挿通していたため、ヒートシンクの締結ねじが挿通される領域には放熱フィンを配置することができなかった。これに対し、本実施形態では結合部156と延長部134とを連結しているため、従来の構造に比べてヒートシンク130の背面に設けることができる放熱フィンの数、あるいは面積を増やすことができる。したがって、光学ユニット100の放熱性をより向上させることができる。
【0059】
さらに、上述のようにヒートシンク130の延長部134は、リフレクタ取付部152の下方を通ってリフレクタ取付部152の前端部152bよりも前方に延びている。そのため、ヒートシンクの背面側のみに放熱フィンが設けられた従来の構造に比べて、より光源モジュール200に近い位置に放熱フィン135を配置することができ、また、放熱フィンの数を増やすことができる。そのため、光学ユニット100の放熱性をより向上させることができる。あるいは、延長部134の放熱フィン135を設けることで、光学ユニット100の放熱性を確保したまま背面部136側の放熱フィン137の数、あるいは面積を減らすことができるため、光学ユニット100の車両前後方向の寸法を小さくすることができる。
【0060】
また、本実施形態に係る光学ユニット100において、ヒートシンク130の延長部134は、ベース部150のレンズ取付部154、結合部156、およびリフレクタ取付部152に囲まれる空間に露出している。従来の光学ユニットでは、ベース部がリフレクタ取付部152に対応する略水平に配置された平面部と、平面部よりも前方で光源光の投影レンズへの入射を遮らないように下方に湾曲した湾曲部とを備えていた。このような従来の光学ユニットでは、投影レンズ越しに外部から入射した太陽光がベース部の湾曲部付近で集光して、樹脂製のベース部が変形したり溶損してしまうおそれがあった。ベース部の変形や溶損を防ぐためには、耐熱性の高い材料でベース部を形成したり、湾曲部を光軸方向後方に逃がして太陽光の集光部から遠ざける方法が考えられるが、その場合は光学ユニットの製造コストの上昇や大型化を招いてしまう。これに対し、本実施形態に係る光学ユニット100では、レンズ取付部154、結合部156、およびリフレクタ取付部152に囲まれる空間にヒートシンク130の一部である延長部134が露出している。すなわち、従来の構造における湾曲部の存在領域に、延長部134が配置されている。そのため、製造コストの増大や大型化をともなうことなく、太陽光の集光によりベース部が変形、溶損するおそれを回避することができる。
【0061】
また、一般にベース部は光源モジュールの光の利用率を高めるために銀などの蒸着処理が施されて光反射率が高められている。そのため、従来の構造では、投影レンズの入射面において外面反射した光源モジュールの光がシェードの湾曲部で反射されて投影レンズに入射し、投影レンズから車両前方に照射されてしまう可能性があった。湾曲部で反射されて車両前方に照射された光は、形成しようとする配光パターンの照射範囲から外れる可能性があり、そのため他車両にグレアを与える原因となるおそれがあった。これに対し、本実施形態では、従来の構造における湾曲部の存在領域に、湾曲部に比べて光反射率の小さい延長部134が配置されているため、他車両にグレアを与えるおそれを低減することができる。
【0062】
また、本実施形態では、ベース部150にねじ通し穴174を設け、ヒートシンク130にねじ受け部176を設けている。したがって、延長部134におけるねじ受け部176の裏面側部分にも放熱フィンを設けることが可能である。そのため、光学ユニット100の放熱性のさらなる向上を図ることができる。
【0063】
図13は、実施形態1に係る光学ユニットの概略正面図である。なお、図13では、投影レンズ102の図示を省略している。図13に示すように、本実施形態に係る光学ユニット100において、連結機構170は、光学ユニット100を正面から見てレンズ取付部154に取り付けられる投影レンズ102と重なる位置に設けられている。さらに、本実施形態では、ねじ通し穴174の中心軸がレンズ取付部154の端部よりも車幅方向内側に配置されている(図10参照)。また、連結機構170は、リフレクタ110の反射面110aで反射された光が通過する領域の外側に配置されている。このように、正面視で投影レンズと重なる領域であって、かつ配光パターンの形成に影響のない領域に連結機構170を配置することで、光学ユニット100の小型化を図ることができる。また、本実施形態に係る光学ユニット100では、延長部134に設けられた放熱フィン135がレンズ取付部154に取り付けられる投影レンズ102越しに外部から見えている。そのため、光学ユニット100の見栄えを斬新なものとすることができ、光学ユニット100の意匠性を高めることができる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る光学ユニット100では、リフレクタ110が対向面112に固定ピン114を有し、ベース部150が固定ピン114に対応する位置にピン孔158を有する。そして、固定ピン114がピン孔158に挿入されてリフレクタ110がベース部150に固定されている。そのため、ランス係合によりリフレクタをベース部に取り付ける従来の構造と比べて、リフレクタ110が変形するおそれを低減することができる。よって、配光パターンの形成精度を高めることができる。また、ランス係合する従来の構造に比べてリフレクタ110およびベース部150の形状を簡略化することができ、またリフレクタ110の外形寸法を小さくすることができる。
【0065】
また、本実施形態に係る光学ユニット100では、ベース部150がリフレクタ取付部152とレンズ取付部154を結合する結合部156を有し、ヒートシンク130がリフレクタ取付部152の下方を通ってリフレクタ取付部152の前端部152bよりも光軸方向前方に延びる延長部134を有する。そして、延長部134と結合部156とが連結機構170によって連結されている。そのため、ヒートシンクの背面側から延びる締結ねじでベース部をヒートシンクに取り付ける従来の構造に比べて、ベース部150とヒートシンク130の連結位置をベース部150の重心位置に近づけることができる。これにより、光学ユニット100の剛性を高めることができる。
【0066】
さらに、本実施形態に係る光学ユニット100では、ヒートシンク130の延長部134がベース部150のレンズ取付部154、結合部156、およびリフレクタ取付部152に囲まれた空間に露出している。そのため、略水平に配置された平面部と、平面部よりも前方で光源光の投影レンズへの入射を遮らないように下方に湾曲した湾曲部と有するベース部を備えた従来の構造で生じるおそれのあった、太陽光の集光によるベース部の変形や溶損を回避することができる。また、本実施形態に係る光学ユニット100では、ヒートシンク130の延長部134を従来の構造における湾曲部の存在領域に配置することでベース部の溶損等を回避している。そのため、耐熱性の高い材料でベース部を形成したり、湾曲部を太陽光の集光部から遠ざける構造とする場合に比べて、光学ユニット100の製造コストの上昇や大型化を避けることができる。
【0067】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることが可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれる。上述の実施形態と以下の変形例との組合せによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【0068】
図14は、変形例に係る光学ユニットにおけるベース部の結合部近傍の概略平面図である。図14に示すように、変形例に係る光学ユニット100において凸部168は、一部がねじ通し穴174の中心Mに対して放射状に延びている。そして、他の部分が直線Lに対して略垂直に延びている。具体的には、凸部168のうち、突き当て部164aに近い側が直線Lに対して略垂直に延び、突き当て部164aから遠い側が中心Mに対して放射状に延びている。本変形例では、頂部の車両前後方向の位置がねじ通し穴174の中心Mと同じか中心Mよりも後方側に位置する凸部168が直線Lと略直交するように設けられ、中心Mよりも車両前方側に位置する凸部168が放射状に設けられている。
【0069】
凸部168を放射状に配置した場合、ねじ172による凸部168を押圧する力が伝達されやすい方向を各凸部168で異ならせることができ、凸部168を押圧する力を拡散させることができる。したがって、突き当て部164に対する凸部168を押圧する力の伝達量を低減することができる。一方、突き当て部164bは、ねじ通し穴174の周縁に配置されているため凸部168を押圧する力が過剰に伝達されるおそれがある。そこで、本変形例では、突き当て部164aに近い側の凸部168を直線Lに対して略垂直に配置することで、ねじ172と凸部168との接触部から離間している突き当て部164aへの凸部168を押圧する力の伝達量を増やし、他の部分の凸部168を放射状に配置することで、当該接触部の直下に設けられた突き当て部164bへの凸部168を押圧する力の伝達量を低減している。これにより、突き当て部164bを介して延長部134に過度の押圧力がかかることを回避することができる。よって、ベース部150とヒートシンク130とを連結した際に各部が変形したり破損するおそれを回避することができるため、光学ユニット100の歩留まりを向上させることができる。
【0070】
上述の実施形態では、固定ピン114がリフレクタ110の対向面112に設けられ、ピン孔158がベース部150のリフレクタ載置面152aに設けられているが、固定ピン114がリフレクタ載置面152aに設けられ、ピン孔158が対向面112に設けられていてもよい。また、上述の実施形態では、突き当て部118が対向面112に設けられているが、突き当て部118がリフレクタ載置面152aに設けられていてもよい。この場合、突き当て部118が対向面112に接触して、リフレクタ110とベース部150の距離方向の位置決めがなされる。さらに、上述の実施形態では、突き当て部164がベース部150に設けられているが、突き当て部164がヒートシンク130に設けられていてもよい。
【0071】
上述の実施形態では、光学ユニット100はロービーム用配光パターン形成用であり、リフレクタ取付部152の前端部152bがロービーム用配光パターンのカットオフラインを形成するためのシェードを構成しているが、光学ユニット100は、ハイビーム用配光パターンや他の配光パターンを形成するためのものであってもよい。
【0072】
上述の実施形態では、固定ピン114に大径部114aを設けることで、固定ピン114のピン孔158への過度な進入を防いでいるが、固定ピン114のピン孔158への過度な進入を防ぐ構造は特にこれに限定されず、例えば、固定ピン114の周囲の対向面112上に、リフレクタ載置面152aに向けて突出する凸部を設けてもよい。あるいは、ピン孔158の周囲のリフレクタ載置面152a上に、対向面112に向けて突出する凸部を設けてもよい。これらの凸部は、例えば大径部114aの高さ、すなわち対向面112から平行面114bまでの距離と同じ高さを有する。また、これらの凸部は、対向するリフレクタ載置面152aあるいは対向面112に平行な頂面を有していてもよい。これらの場合には、固定ピン114がピン孔158に挿入されてリフレクタ110がベース部150に向けて押圧された際に、当該凸部が対向するリフレクタ載置面152aあるいは対向面112に当接して、固定ピン114がピン孔158に過度に進入することを防ぐことができる。例えば、上述の凸部は平面視略長方形状であり、1つがピン孔158よりも車両前方側に配置され、他の1つがピン孔158よりも車両後方側に配置される。そして、この2つの凸部は、その長手方向が車幅方向と略平行となるように配置される。
【符号の説明】
【0073】
100 光学ユニット、 110 リフレクタ、 110a 反射面、 112 対向面、 114 固定ピン、 114a 大径部、 114b 平行面、 114c ピン頭部、 118 突き当て部、 150 ベース部、 152 リフレクタ取付部、 152a リフレクタ載置面、 158 ピン孔、 200 光源モジュール、 H 空隙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフレクタと、
リフレクタ載置面を有するベース部と、
前記リフレクタの前記リフレクタ載置面との対向面に設けられた固定ピンと、
前記ベース部の前記固定ピンに対応する位置に設けられたピン孔と、を備え、
前記固定ピンが前記ピン孔に挿入されて前記リフレクタが前記ベース部に固定されていることを特徴とする車両用灯具に用いられる光学ユニット。
【請求項2】
前記固定ピンは、その先端部がピン孔から突出し、このピン孔から突出している部分が前記ベース部に溶着されている請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記対向面および前記リフレクタ載置面の少なくとも一方に設けられた突き当て部を備え、
前記突き当て部が前記対向面に設けられた場合には前記リフレクタ載置面に、前記突き当て部が前記リフレクタ載置面に設けられた場合には前記対向面に前記突き当て部が接触して、前記リフレクタと前記ベース部との距離方向の位置決めがなされている請求項1または2に記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記固定ピンは、前記対向面と前記リフレクタ載置面との間の領域内に前記ピン孔よりも径が大きい部分を有する請求項3に記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記ピン孔よりも径が大きい部分は、前記リフレクタ載置面に平行な面を有し、この平行な面と前記リフレクタ載置面との間に空隙が形成されている請求項4に記載の光学ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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