説明

光学レンズの搭載方法及びその構造

所定波長の光を透過する部材で作られ、レンズの外周を受け入れてそれと相互に対向する形状及び寸法の内壁を有する搭載部材を使用して、液体レンズが写真機器に設けられたレンズ開口部に搭載される。その搭載部材は光学機器に搭載されたか又は搭載される部分を有する。接着剤がそのレンズの外周と搭載部材の内壁との間に供給され、その接着剤は、その搭載部材を通して外部から入射される所定波長の光の露光によって活性化される。その光は、搭載部材の外壁に適合する形状及び寸法の内壁を有する開口を備えたガイド部材によって入射されるのが好ましい。その光は、上記開口から遠い端縁からガイド部材を通して上記搭載部材に入射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は広くは光学装置において光学レンズを搭載する方法とその装置に関し、特に、液体レンズを搭載する方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、光学装置は固定焦点距離レンズを備えている。例えば、ある種のカメラは固定レンズのみを有しており、それは接着材等の結合剤を使用してカメラ本体に搭載される。図1は固定焦点距離レンズがカメラに搭載される通常の構造と方法を示している。そのカメラCは通常、標準のレンズ鏡筒を受け入れる内径を有する筒部を一体に設けている。
【0003】
その筒部内に配置される直径を有するレンズLは、その後接着剤Gの円筒形のビーズが、その筒部とレンズLとに接触するように筒部Sの内面の凹溝内に配置される。一般にUV(紫外線)接着剤が使用される。その接着剤は、結合状態にするために紫外線光に露光される必要がある。その紫外線照射Uは、その照射光を筒端から接合部へ直接導ける物質で作られた筒体を通して行われるのが一般的である。所定期間の照射によってその結合が完了する。これは、例えば生産ラインで製造に使用される特に効果的な工程である。
【0004】
液体レンズは次第に普及してきている。それは焦点距離が電子的に変化されるレンズ形態であり、レンズ内の可動部品も複雑な多数のレンズ構成も不要である。さらに、それは固定焦点距離レンズとおよそ同じサイズであり、同じ直径のレンズ鏡筒を使用できる。従って、それは既存のカメラに可変焦点距離レンズを設けるための優れた選択を与え、あるいは既存のカメラを可変焦点距離レンズを有するように容易に改造することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体レンズの使用における一つの問題は、それが鏡筒内に設けられ、大体のサイズは固定焦点距離レンズと等しいとはいえ、前方部分が幾分大きな直径でなければならない(図2のレンズ10参照)ことである。従って、図1における筒体Bの端部から送られる紫外線照射は、そのレンズの前方部分により阻止されるであろう。一方、もし筒体Bの直径をレンズの前方部分を避けるように十分大きくした場合は、筒体Bの端部から発光する紫外線は、接着剤Gから遠く離れてしまい、それを硬化させることができない。
【0006】
基本的に、この発明の目的は、既存の光学機器の光により硬化される既存の接着剤を使用する固定焦点距離レンズ用の寸法を有する開口部に、液体レンズを搭載することである。
この発明の目的はさらに、搭載強度を損なうことなく、信頼性があって使用に便利な方法で、比較的安価に、既存のカメラの開口部に液体レンズを搭載することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によれば、所定波長の光を透過する材料で作られ、レンズの外周を受け入れ、それと互いに間隔を置いて対向する形状及び寸法の内壁を有する搭載部材を使用することによって、写真機器に設けられたレンズ開口部に液体レンズが搭載される。その搭載部材は光学機器に搭載される部分を有する。接着剤は、レンズの外周面と搭載部材の内壁との間に供給され、その接着剤は、搭載部材を通して外部から照射される所定波長の光に露光されることにより活性化する。その光は、上記ガイド部材の外壁に適合する形状及び寸法の内壁を有する開口を設けたガイド部材によって入射されるのが好ましい。その光は、そのガイド部材の上記開口から離れた端縁から該ガイド部材を通して上記搭載部材に内に入射される。
【0008】
この発明の前述の簡単な説明とさらなる目的や特徴及び利点は、添付図面を参照してこの発明の好適な実施例を詳細に説明することにより、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来技術による固定焦点距離レンズがカメラに搭載される通常の構造と方法を示す模式図である。
【図2】この発明の実施例により、図1と同じカメラの開口部に液体レンズをどのようにして搭載できるかを示す図1と同様な模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図2は、この発明の実施例であるレンズ搭載及びその製造方法を示す模式図である。液体レンズ(または拡大した前方部分を有する他の形式のレンズ)は、光学装置、この例では図1のカメラCに搭載される。このカメラは、突出した筒部Sを備えているが、当業者には、カメラ前面に形成された開口部にレンズを簡単に搭載できることが分かるであろう。
【0011】
リング12の形状の搭載部材は筒部Sの前方部に搭載され、わずかなスペースをもってレンズの後部を受け入れる寸法になっている。当業者には、場合によっては、レンズ10がカメラの前部における開口部に直接搭載されてもよく、その場合、リング12がカメラの正面に搭載されることが分かるであろう。典型的な構成において、レンズ10は光軸と同軸に規定されなければならず、その場合、筒部Sとリング12及びレンズ10は本質的に同軸である。
【0012】
リング12は、接着剤のような従来の各種の手段によって筒部Sに固定される。この実施例では、筒部Sはその前方部の外側に直径に段差を形成して、リング12の延設部(ディペンディングスカート:depending skirt)12aを受け入れるための座部14を設けている。当業者には、延設部(skirt)12aを座部14に接着可能であることが分かるであろう。延設部12aは紫外線を導く材料でできているので、そのような接着剤を紫外線接着剤で形成することができる。一方、レンズを搭載した後、そのレンズ10の取り外しを可能にするために、座部14と延設部12aに係合するねじ又は他のタイプの接合手段を設けるのが望ましい。レンズ10がリング12内に挿入されると所定の位置に保持され、接着剤Gのような紫外線接着剤がそれらの間の隙間に導入される。
【0013】
ライトガイド(光導体、ガイド部材)16により紫外線の放射がなされる接着剤層が設けられる。この実施例では、ライトガイド16は通常は円板形状であり(それは本質的ではない)、リング12の外面を受け入れる形状及び寸法の中央の開口16aが形成されている。この実施例では、リング12に外側段部12bが形成され、ライトガイド16はリング12の外側に密着する形状及び寸法の開口16aを有している。それは段部12bに適合する段部16bを含んでいる。この構成はリング12でライトガイド16の配置を容易にするだけではなく、それらの間の相互密着に供する。ライトガイド16とリング12との間の空隙は、ライトガイド16とリング12の表面に空気界面を生じ、屈折や散乱の危険性を高め、あるいはその界面で光度の一般的な低下を招くであろう。
【0014】
紫外線発生機18が作動したとき、紫外線放射Uがライトガイド16内に放射状に入射されてリング12に向かう。所定期間の露光後に接着剤が硬化され、ライトガイド16は除去されるであろう。実際問題として、ライトガイド16は、接着剤Gが硬化した後、ライトガイド16の除去を容易にするために、分離される2つの部分からなるとよい。
【0015】
図2は、接着剤Gに光照射がなされるときに、ガイド12が既にカメラCに搭載されていることを示しているが、そうである必要はない。例えば、以下の段落に記載するように、レンズ10とガイド12との間の接着剤とガイド12とカメラCとの間の接着剤が同時に形成されるようにしてもよい。
【0016】
延設部12aと座部14は、それらの間に紫外線接着剤を有しており、光導体16の高さを延設部14の下端より下方に延ばすことができ、それによって、延設部12aと座部14の間の結合をレンズ10とリング12の間の結合と同時に行えることが分かるであろう。
【0017】
好ましい実施例は、紫外線で硬化する接着剤を使用するが、設けられたライトガイド16とリング12が放射光線の波長を透過するので、接着剤が硬化する他のどのような波長の光線にも有効であることが、当業者には分かるであろう。
【0018】
この発明の好ましい実施例を説明により明らかにしてきたが、当業者であれば、特許請求の範囲によって規定されるこの発明の範囲及び精神から逸脱することなく、種々の追加、変更および置き換えが可能なことが分かるであろう。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを受け入れるための開口部を有する光学装置に使用される光学レンズアセンブリであって、
前記光学装置の開口部に受け入れられる形状及び寸法の外周を有する本体部を備えた光学レンズと、
所定波長の光を透過する材料で作られ、前記外周を受け入れて互いに間隔を置いて対向する形状及び寸法の内壁を有し、前記光学装置の一部に搭載されるように構成された部分を備えた搭載部材と、
前記光学レンズの外周と前記搭載部材の内壁との間にあって、前記所定波長の光で露光されることによって活性化されるように構成された接着剤と
を備えたことを特徴とする光学レンズアセンブリ。
【請求項2】
前記接着剤が活性化された請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項3】
前記外周が略円筒形である請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項4】
前記所定波長が紫外線領域にある請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載の光学レンズアセンブリにおいて、
前記開口部が光学装置の外周面を有する高くなった部分にあり、前記搭載部材が前記外周面に略適合する形状及び寸法の内面を有する延設部(mounting skirt)を備えていることを特徴とする光学レンズアセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載の光学レンズアセンブリにおいて、
前記搭載部材の搭載されるために構成された部分が前記延設部である光学レンズアセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載の光学レンズアセンブリにおいて、
前記搭載部材の部分が、前記所定波長の光で露光されることによって活性化されるように構成された接着剤を有することを特徴とする光学レンズアセンブリ。
【請求項8】
請求項2,3又は5から7のいずれか一項に記載の光学レンズアセンブリにおいて、
前記接着剤が、紫外線領域の波長を有する光によって活性化されるように構成されていることを特徴とする光学レンズアセンブリ。
【請求項9】
レンズを受けるための開口部を有する光学装置に、その開口部に受け入れられる形状及び寸法の外周を有する本体部を備えた光学レンズを搭載する方法であって、
所定波長の光を透過する材料で作られ、前記外周を受け入れて互いに間隔を置いて対向する形状及び寸法の内壁を有し、前記光学装置の一部に搭載されるように構成された部分を備えた搭載部材に対して、前記本体部を位置決めし、該本体部と前記搭載部材とが前記外周と前記内壁との間に隙間を設けて位置決めされるようにする位置決め工程と、
前記外周と前記内壁との間の前記隙間に、前記所定波長の光で露光されることによって活性化されるように構成された接着剤を導入する工程と、
前記搭載部材の外側から、該搭載部材を通して前記接着剤に向けて、前記所定波長の光を入射する工程と
を有することを特徴とする光学レンズ搭載方法。
【請求項10】
請求項9に記載の光学レンズ搭載方法において、
前記光を入射する工程は、前記搭載部材の外壁に適合する形状及び寸法の内壁を有する開口を備え、前記所定波長の光を透過する材料で作られたガイド部材によって行われ、前記光が前記ガイド部材の前記開口から離れた端縁から該ガイド部材と前記搭載部材とを通して入射されることを特徴とする光学レンズ搭載方法。
【請求項11】
請求項10に記載の光学レンズ搭載方法において、
前記ガイド部材は、その略中心に開口が形成された円板であり、該円板の軸方向の範囲が、前記入射された光を前記接着剤の軸方向の範囲の略全体に導くのに十分であることを特徴とする光学レンズ搭載方法。
【請求項12】
請求項11に記載の光学レンズ搭載方法において、
前記光学装置の開口部が、前記光学装置の軸方向に突出した突出部にあり、
前記接着剤が、前記光学レンズが前記光学装置に搭載された時に前記突出部を軸方向に越えた位置にあることを特徴とする光学レンズ搭載方法。
【請求項13】
請求項12に記載の光学レンズ搭載方法において、
前記搭載部材が、前記光学装置に向かって前記突出部と対向するように軸方向に突出する延設部(depending skirt)を有しており、
該延設部と前記突出部との間に、前記所定波長の光で露光されることによって活性化されるように構成された接着剤を導入する工程を有し、
前記ガイド部材が、接着剤の両方の導入部を照射するのに十分な軸方向の範囲を有し、
前記光を入射する工程では、前記搭載部材が前記光学レンズと前記光学装置の両方に同時に固定されるように、前記接着剤の両方の導入部に光を入射することを特徴とする光学レンズ搭載方法。
【請求項14】
請求項9に記載の光学レンズ搭載方法において、
前記接着剤を導入する工程が実行されるときには、前記搭載部材の搭載されるために構成された部分が既に光学装置に搭載されていることを特徴とする光学レンズ搭載方法。
【請求項15】
請求項14に記載の光学レンズ搭載方法において、
前記光を入射する工程は、前記ガイド部材の外壁に適合する形状及び寸法の内壁を有する開口部を備え、前記所定波長の光を透過する材料で作られたガイド部材によって行われ、前記光が前記ガイド部材の前記開口から離れた端縁から該ガイド部材を通して前記搭載部材に入射されることを特徴とする光学レンズ搭載方法。
【請求項16】
請求項15に記載の光学レンズ搭載方法において、
前記ガイド部材は、その略中心に開口が形成された円板であり、該円板の軸方向の範囲が、前記入射された光を前記接着剤の軸方向の範囲の略全体に導くのに十分であることを特徴とする光学レンズ搭載方法。
【請求項17】
請求項16に記載の光学レンズ搭載方法において、
前記光学装置の開口部が、該光学装置の軸方向に突出した突出部にあり、
前記接着剤が、前記光学レンズが前記光学装置に搭載された時に前記突出部を軸方向に越えた位置にあることを特徴とする光学レンズ搭載方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−511967(P2011−511967A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546740(P2010−546740)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/053811
【国際公開番号】WO2009/102327
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(391062872)株式会社オプトエレクトロニクス (70)
【出願人】(592252968)オプチコン インコーポレイテッド (31)
【Fターム(参考)】