説明

光学機器及び光源の冷却方法

【課題】水銀ランプの冷却効率と安全性を共に高く保った光学機器を得る。
【解決手段】ランプハウス101には、冷却ファン102が接続され、ランプハウス101内に収納されたランプユニット10を冷却(空冷)する。冷却ファン102とランプハウス101との間にはランプハウスシャッター103が設けられており、ランプハウスシャッター103が開いた状態では冷却風がランプハウス流入用窓104からランプハウス101に導入され、閉じた状態では導入されない状態となる。ランプユニット10が装入され、かつランプ蓋107が装着された場合には、ランプハウス流入用窓104及び流入用窓13は開いた状態となる。一方、ランプユニット10がランプハウス101から取り外された状態では、ランプハウス101におけるランプハウス流入用窓104、及びランプユニット10における流入用窓13が共に閉じた状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換式のランプユニットが用いられる光学機器、及びこの光学機器において用いられる光源の冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ等の表示用機器には、発光強度の高い光源として、例えば水銀ランプが用いられる。水銀ランプは、ガラス管内に電極が設けられ、高圧の水銀蒸気が封入された構造となっている。一般に、水銀ランプは使用中には高温となるため、空令される構造となっているが、加熱によってガラス管が割れることがあり、この場合には利用者による交換作業が必要となる。
【0003】
こうした使用状況に対応して、利用者による水銀ランプの交換が安全かつ容易に行われる構造をもつ構造が考案され、使用されている。こうした構造においては、水銀ランプが組み込まれたランプユニットが用いられ、水銀ランプの交換はこのランプユニット単位で行われる。ここで言う安全とは、利用者が割れたガラス管の破片に触れる機会を少なくすることである。
【0004】
例えば、図7に特許文献1に記載された構造におけるランプユニット中の水銀ランプ周辺の断面構造を示す。このランプユニット60においては、冷却される水銀ランプ61がランプ封止部62に固定される。ランプ封止部62には更に反射鏡63が固定され、水銀ランプ61から発する光を前面ガラス64から図中左側に向かって発する。この水銀ランプ61を冷却するために、ランプユニット60外にあるシロッコファン(多翼ファン)70がランプ封止部62等に固定される。シロッコファン70は冷却風71を発生させ、この冷却風71は反射鏡63の一部に設けられた流入用窓65から反射鏡63の内部に入り、ランプ封止部62の2箇所に設けられた流出用窓66から反射鏡63の外部に出る。なお、このランプユニット60は、取付金具72によってプロジェクタ(図示せず)内に固定される。この構造においては流入用窓65及び流出用窓66にはそれぞれ金属メッシュ67a、67bが設置されている。これにより、水銀ランプ61が割れた場合であっても、この金属メッシュの開口よりも大きなガラス片は反射鏡63(ランプユニット60)の外部に出ることはない。従って、利用者がガラス片に直接触れることは無い。
【0005】
また、図8に、特許文献2に記載された構造におけるランプユニットの断面構造を示す。ここで、図8(a)に示す断面図はこのランプユニット80がプロジェクタに組み込まれた際の断面図であり、図8(b)はこのランプユニット80がプロジェクタに組み込まれていない場合の断面図である。このランプユニット80においては、前記のランプユニット60と同様に、水銀ランプ81、ランプ封止部82、反射鏡83、前面ガラス84が用いられ、流入用窓85、流出用窓86が形成される。なお、このランプユニット80は、取付金具91によってプロジェクタ(図示せず)に固定される。このランプユニット80においても、冷却風92は送風用ダクト93から流入用窓85を通って反射鏡83(ランプユニット80)内に入り、水銀ランプ81を冷却し、流出用窓86を通って反射鏡83(ランプユニット80)の外部に出る。排気用ファン94はこの冷却風92の流れを促進する。また、このランプユニット80においては流入用窓85にシャッター87が設けられており、流出用窓86には金属メッシュ88が設けられている。シャッター87は、このランプユニット80が取り付けられた際(図8(a))には開いた状態となり、冷却風92が流入用窓85から導入される。このランプユニット80が取り付けられていない状態(図8(b))では、バネの力により、流入用窓85がシャッター87によって塞がれた形態となる。一方、流出用窓86における金属メッシュ88はランプユニット60と同様に機能する。従って、利用者がこのランプユニット80をプロジェクタから取り外した際にはガラス片がランプユニット80から飛散することはない。また、この構造においては、金属メッシュを流入用窓に設けた構造よりも流入用窓85における吸気抵抗が小さくなるため、前記のランプユニット60よりも水銀ランプ81の冷却効率が高くなる。
【0006】
これらの構造によって、水銀ランプの冷却効率を高くし、かつ水銀ランプのガラス管が割れた場合のガラス片の飛散を抑制することができた。これによって、水銀ランプのガラス管が割れた場合でも、利用者はこのランプユニットの交換を安全に行うことができた。
【特許文献1】特開2001−125195号公報
【特許文献2】特開2001−183746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のランプユニットを用いた光学機器においては、水銀ランプの冷却効率と安全性を共に高くすることは困難であった。
【0008】
特許文献1に記載の技術においては、ガラス片の飛散は金属メッシュによって抑制されるが、吸入用窓の面積は金属メッシュによって実効的に小さくなる。更に、この金属メッシュは、埃によって目詰まりしやすい。特に、吸入用窓側に設けられた金属メッシュには、プロジェクタの設置された環境下における埃が外部から吸着する。これにより、使用しているうちに冷却効率は低下する。
【0009】
一方、特許文献2に記載のランプユニットがプロジェクタに組み込まれた際に水銀ランプのガラス管が割れた場合には、ガラス片は、反射鏡内だけでなく、流入用窓を通って送風用ダクト側にも飛散する。利用者がこのランプユニットを交換する際に、ランプユニット側からガラス片が飛散することはないが、送風用ダクトからガラス片が飛散することがある。
【0010】
従って、交換式のランプユニットを用いた光学機器において、水銀ランプの冷却効率と安全性を共に高く保つことは困難であった。
【0011】
本発明は、斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の光学機器は、冷却風を導入する流入用窓が設けられた交換式のランプユニットがランプハウス内に装着されて用いられる光学機器であって、前記ランプハウスには、前記冷却風を前記流入用窓に導入するランプハウス流入用窓と、ランプハウスシャッター駆動部に外力が加えられることによって前記ランプハウス流入用窓を開くランプハウスシャッターとが設けられ、前記ランプユニットが前記ランプハウス内に装着される際に、前記ランプハウスシャッター駆動部に外力が加えられることを特徴とする。
本発明の光学機器において、前記ランプユニットが前記ランプハウス内に装着される際にランプ蓋が用いられ、該ランプ蓋には、該ランプ蓋が設置される際に、前記ランプハウスシャッター駆動部に外力を加えるランプハウスシャッター駆動用係止部が設けられたことを特徴とする。
本発明の光学機器において、前記ランプハウスシャッターには弾性体が接続され、外力が加わらない状態では前記ランプハウス流入用窓は前記ランプハウスシャッターにより閉じられることを特徴とする。
本発明の光学機器において、前記ランプユニットには、前記ランプユニットが前記ランプハウスに装着される際にランプシャッター駆動部に外力が加えられることによって前記流入用窓を開くランプシャッターが設けられ、前記ランプハウスには、前記ランプユニットが前記ランプハウスに装着される際に前記ランプシャッター駆動部に外力を加えるランプシャッター駆動用係止部が設けられた、ことを特徴とする。
本発明の光学機器において、前記ランプユニットには、前記冷却風が排気される流出用窓が設けられていることを特徴とする。
本発明の光学機器において、前記流出用窓には金属メッシュが設けられていることを特徴とする。
本発明の光学機器において、前記冷却風は冷却ファンによって生成され、該冷却ファンにおけるダクト下部が取り外し可能な構造となっていることを特徴とする。
本発明の光源の冷却方法は、冷却風を導入する流入用窓が設けられた交換式のランプユニットがランプハウス内に装着されて用いられる光学機器における光源の冷却方法であって、前記ランプハウスに、前記冷却風を前記流入用窓に導入するランプハウス流入用窓を設け、前記ランプユニットが前記ランプハウスに装着された際に、前記ランプハウス流入用窓をランプハウスシャッターによって開き、前記ランプユニットが前記ランプハウスから取り外された際に、前記ランプハウス流入用窓をランプハウスシャッターによって閉じることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上のように構成されているので、水銀ランプの冷却効率と安全性を共に高く保った光学機器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。以下では、本発明の実施の形態として、交換式のランプユニットが用いられる光学機器として、プロジェクタについて説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態であるプロジェクタにおける交換式ランプユニット周辺の構造を示す図が図1である。
【0016】
このプロジェクタにおいて、ランプユニット10は光源として、その光学エンジン100の一部として組み込まれる。光学エンジン100には、ランプユニット10を収納するランプハウス101が設けられている。ランプハウス101には、冷却ファン102が接続され、ランプハウス101内に収納されたランプユニット10を冷却(空冷)する。冷却ファン102とランプハウス101との間にはランプハウスシャッター103が設けられており、ランプハウスシャッター103が開いた状態では冷却風がランプハウス流入用窓104からランプハウス101に導入され、閉じた状態では導入されない状態となる。ランプハウスシャッター103の開閉動作は、レバースプリング105が接続されたシャッターレバー106の動作で規定される。すなわち、ランプハウスシャッター103は、略L字形状をしたシャッターレバー106の一端に接続され、シャッターレバー106の動作によって図1における左右の方向に移動し、これによってランプハウス流入用窓104が開閉される。
【0017】
ランプユニット10においては、水銀ランプ(図示せず)を内部に有する反射鏡11がランプカートリッジ12に固定されている。ランプカートリッジ12には冷却風の流入用窓13と流出用窓14とが設けられており、流入用窓13にはシャッタースプリング15が接続されたランプシャッター16が設けられており、ランプシャッター16の開閉により流入用窓13は開閉される。なお、このランプユニット10は、図1における矢印で示されるように、ランプハウス101の下側から装着される。
【0018】
このプロジェクタ(光学エンジン100)において、ランプユニット10が装着される際の形態を図2に示す。図2(a)は、ランプユニット10がランプハウス101内に装入された状態であり、図2(b)は、ランプユニット10を装着して固定するために更にランプ蓋が取り付けられた状態である。図2(a)右には、装入された状態におけるランプユニット10の形態を示す。
【0019】
このプロジェクタにおいては、図2(a)に示されるようにランプユニット10がランプハウス101内に装入された状態では、流入用窓13は開いた状態となる。この状態ではランプハウス流入用窓104が閉じた状態となっているが、その後でランプ蓋107が図2(b)において下側から設置されることによってランプユニット10はランプハウス101内で固定され、かつランプハウス流入用窓104が開いた状態となる。従って、冷却ファン102が発する冷却風は図2(b)における矢印の方向に沿って流れ、冷却風はランプハウス流入用窓104によって流入用窓13に導入され、水銀ランプ11が冷却される。
【0020】
ランプ蓋107には、ランプ蓋突起(ランプハウスシャッター駆動用係止部)108が設けられており、シャッターレバー106に当接する。以下に、このランプ蓋107の装着の際のランプハウス101、ランプユニット10の形態について説明する。
【0021】
ランプ蓋107の装着の際のランプハウス101の形態を詳細に示す図が図3である。ここで、図3(a)はランプ蓋107が装着される前の状態であり、(b)は装着された状態である。ランプハウス101には、ランプハウス流入用窓104及びランプハウス流出用窓109が設けられている。ランプハウス流入用窓104は、図3(b)に示されるように、冷却ファン102の出射口に対応する箇所に設けられており、かつ、ランプユニット10が装着された際には流入用窓13が配される箇所にも対応している。ランプハウス流出用窓109は、ランプユニット10が装着された際の流出用窓14が配される箇所にも対応している。なお、図3(a)(b)のどちらにおいてもランプユニット10の記載は省略している。
【0022】
ランプ蓋107装着前の状態(図3(a))においては、ランプハウスシャッター103は、ランプハウス流入用窓104を塞ぐ形態となっている。これは、以下の形態によって実現される。すなわち、略L字形状をしたシャッターレバー106は、ランプハウス101にシャッターレバー支点110において係止され、これを回転軸とする方向に動く。レバースプリング105は、シャッターレバー支点110を軸とした周囲に巻回され、一端がランプはランプハウジング101に固定され、他端がシャッターレバー106に固定されている。このため、外力が働かない状態では、レバースプリング105の弾性力によってシャッターレバー106は図3(a)に示す角度となり、ランプハウスシャッター103によってランプハウス流入用窓104が閉じられた形態となる。すなわち、ランプハウスシャッター103には弾性体(レバースプリング105)が接続され、外力が加わらない状態ではランプハウス流入用窓104はランプハウスシャッター103により閉じられる。
【0023】
ランプ蓋107が装着された時の状態(図3(b))においては、ランプハウス流入用窓104は開いた状態となる。これは、以下の形態によって実現される。ランプ蓋107が装着された際には、ランプ蓋突起108は、シャッターレバー106における、ランプハウスシャッター103が接続された側と反対側の端(他端:ランプハウスシャッター駆動部)に当接する位置に設けられている。この構成により、ランプ蓋107が装着された場合にはランプ蓋突起108によって、レバースプリング105の張力に逆らってシャッターレバー106が動き、図3(b)に示す形態(角度)となる。これに伴って、ランプハウスシャッター103は図3中で右側に移動する。従って、ランプ蓋107が装着された状態では、ランプハウス流入用窓104は開いた状態となる。すなわち、このランプハウス101においては、ランプハウスシャッター駆動部に外力が加わることによってランプハウス流入用窓104が開く構成となっている。また、ランプユニット10が装入され、ランプ蓋107が装着される際にランプハウスシャッター駆動部にこの外力が加わる。この外力はランプ蓋107に設けられたランプ蓋突起(ランプハウスシャッター駆動用係止部)108がランプハウスシャッター駆動部に当接する事によって加わる。
【0024】
従って、以上に述べたランプハウス101の構成により、ランプ蓋107が装着されない状態ではランプハウス流入用窓104は閉じ、ランプ蓋107が装着された状態ではランプハウス流入用窓104は開く。
【0025】
一方、ランプユニット10の構造を更に詳細に示す図が図4である。ここで、図4(a)はランプユニット10が装着される前の状態であり、(b)は装着された状態である。ランプシャッター16は、ランプカートリッジ12における流入用窓13が設けられた側面に沿って移動できるようにランプカートリッジ12に係合されている。このため、ランプシャッター16には、図4(b)に示されるように、鉛直方向から傾いた角度をもった細長い形状のガイド穴17が形成されており。このガイド穴17にはランプカートリッジ12の側面に設けられたガイド用突起18が係合する。これにより、このランプシャッター16の動きはこのガイド穴17の形状で規定される。また、ランプシャッター16にはシャッタースプリング15の一端が接続され、シャッタースプリング15の他端は図3に示されるように、ランプカートリッジ12の側面の上部に固定される。また、ランプシャッター16の端部における1箇所にはランプシャッター駆動用突起(ランプシャッター駆動部)19が設けられている。
【0026】
このランプユニット10においては、ランプシャッター16(ランプシャッター駆動用突起19)に外力が加わらない状態においては、図4(a)に示すように、ランプシャッター16がシャッタースプリング15に引っ張られた状態となる。これにより、図4において、ガイド用突起18がガイド穴17の最下部に位置した状態で固定されるようにランプシャッター16は固定される。すなわち、ランプシャッター16は最上部において固定され、これにより、流入用窓13はランプシャッター16により塞がれた状態となる。ランプユニット10が装着されていない状態では、この状態となる。
【0027】
ランプユニット10は、図1に示すように下側からランプハウス101内に収納される。従って、ランプハウス101の内壁においてランプシャッター駆動用突起19に対応する箇所にランプシャッター駆動用係止部(図示せず)を設けておけば、ランプユニット10の装着時にはランプシャッター駆動用突起19には図3中における下側に力が働く。これにより、ランプシャッター16は、図4中の右下側に向かって移動する。従って、ランプユニット10がランプハウス101に装着された状態では、図4(b)に示す状態となる。
【0028】
この場合には、図4(b)に示すように、ランプシャッター16がシャッタースプリング15の張力に逆らって下側に引っ張られた状態となる。これにより、図4(b)において、ガイド用突起18がガイド穴17の最上部に位置した状態で固定されるようにランプシャッター16は固定される。すなわち、ランプシャッター16は最下部において固定され、これにより、流入用窓13は開いた状態となる。すなわち、このランプユニット10がランプハウス101に装着される際に、ランプシャッター駆動用突起(ランプシャッター駆動部)19に外力が加わることによって流入用窓13は開いた状態となる。この外力は、ランプユニット10がランプハウス101に装着される際に、ランプシャッター駆動用突起(ランプシャッター駆動部)19にランプシャッター駆動用係止部が当接する事によって加わる。
【0029】
以上に述べたランプユニット10の構成により、ランプユニット10が装入されない状態では流入用窓13は閉じた状態となり、ランプユニット10が装入された状態では流入用窓13は開いた状態となる。なお、以上の動作に関係なく流出用窓14は常に開いた状態となっている。
【0030】
以上のランプハウジング101、ランプユニット10が組み合わせて用いられた場合には、ランプユニット10が装入され、かつランプ蓋107が装着された場合には、ランプハウス流入用窓104及び流入用窓13は開いた状態となる。ランプハウス流出用窓109及び流出用窓14は常に開いた状態であるため、冷却ファン102が発する冷却風は ランプハウス流入用窓104及び流入用窓13を通過して水銀ランプを冷却し、流出用窓14及びランプハウス流出用窓109を通過してランプハウス101の外部に出る。従って、水銀ランプの冷却を効率的に行うことができる。ランプハウス流入用窓104及び流入用窓13には金属メッシュが用いられていないため、冷却風と同時に吸入された埃によって目詰まりが発生することもない。
【0031】
一方、ランプユニット10がランプハウス101から取り外された状態では、図2(a)、図3(a)に示す状態のように、ランプハウス101におけるランプハウス流入用窓104、及びランプユニット10における流入用窓13が共に閉じた状態となる。従って、この際に水銀ランプのガラス管が割れていた場合でも、ガラス片が流入用窓13から飛散することはない。また、使用中にガラス管が割れた場合には、ガラス片は冷却ファン102側にも流入用窓13及びランプハウス流入用窓104を通って飛散していることがある。しかしながら、ランプユニット10を取り外した状態でこのガラス片がランプハウス流入用窓104から飛散することもない。
【0032】
なお、流出用窓14及びランプハウス流出用窓109にも同様の構造を設けることができる。これにより、流出用窓14及びランプハウス流出用窓109からのガラス片の飛散も同様に抑制できる。ただし、これらには上記と同様の構造を設けず、流出用窓14に金属メッシュを設けた構成としてもよい。この理由は、流入側の窓に金属メッシュを設けた場合には埃で目詰まりしやすいのに対して、一旦反射鏡11内(水銀ランプ付近)に侵入した埃は高温により燃えるため、流出側の窓に設けられた金属メッシュが埃によって目詰まりする可能性は低いためである。これにより、ランプユニット10からのガラス片の飛散は抑制される。
【0033】
従って、このランプハウス101及びランプユニット10が用いられるプロジェクタにおいては、水銀ランプの冷却効率と安全性を共に高く保つことができる。
【0034】
なお、上記の実施の形態においては、シャッターレバー106を略L形状とし、ランプシャッター16に細長い形状のガイド穴17を形成して、ランプユニット10の装着時における上記の動作を実現していたが、これに限られるものではない。シャッターレバー106やランプシャッター16をこれらと異なる形状にして同様の動作を実現した場合でも、同様の効果を奏することは明らかである。
【0035】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係るプロジェクタにおいては、第1の実施の形態に係るプロジェクタにおいて用いられる冷却ファン内のダクトの構造を工夫することにより、その安全性を更に高めている。
【0036】
図5は、このプロジェクタにおけるランプハウス201及び冷却ファン210付近の構造を示す斜視図であり、図6はこの冷却ファン210の構造を示す断面図である。
【0037】
第1の実施の形態のプロジェクタと同様に、このプロジェクタにおいても、冷却ファン210が第1の実施の形態におけるランプハウスと同様の構造のランプハウス201に接続されており、ランプハウス流入用窓204から冷却風を導入する。この冷却ファン210内の内壁構造(ダクト)は、上部ダクト211と下部ダクト(ダクト下部)212の2ピース構造となっている。ランプハウス201及び冷却ファン210(下部ダクト212)は底キャビネット220に固定されている。
【0038】
このプロジェクタが使用中に水銀ランプが割れた場合、図6(a)に示すように、ガラス片230はランプユニット(反射鏡)の内部から、流入用窓、ランプハウス流入用窓を通じて冷却ファン210のダクト内に侵入することがある。
【0039】
ここで、第1の実施の形態において説明したように、ランプユニットを取り外す際には、ランプハウス流入用窓を通ってガラス片230が飛散することはない。しかしながら、水銀ランプが割れる度に、ダクト内のガラス片230の数は増大すれば、冷却効率低下の原因となる。また、ダクト内には埃も蓄積されるため、定期的な清掃が必要になるが、その際にガラス片230が多数存在すると、危険である。
【0040】
そこで、この冷却ファン210においては、ダクトを2ピース構造とし、図6(b)に示すように、下部ダクト212が取り外しできる構造となっている。また、下部ダクト212は図5に示されるように、ランプユニット等と異なり、平面と単純な曲面で構成された、単純な形状である。従って、ガラス片230は重力により下部ダクト212上の単純な構成の面上に存在するため、下部ダクト212を取り外せば、その清掃を容易に行うことができる。また、この際に冷却ファン210内の埃等の除去も特に容易に行うことができる。あるいは、ランプユニットと同様に下部ダクト212も交換してもよい。
【0041】
前記の通り、水銀ランプのガラス管が割れた場合には、利用者はランプユニットをランプハウス201から取り外してから、ランプユニット自体を廃棄する。この際に、ランプユニットやランプハウス201からガラス片が飛散することはないため、利用者はこの作業を安全に行うことができる。
【0042】
一方、冷却ファン210内にはガラス片230が存在する。これを清掃して除去することは、下部ダクト230を取り外すことにより容易に行われる。従って、ランプユニットの交換と下部ダクト230の清掃(交換)を行えば、このプロジェクタには全くガラス片が残存していない状態とすることができる。
【0043】
従って、第1の実施の形態の効果に加えて、安全性を更に高めることができる。
【0044】
なお、上記の例では、光源として水銀ランプを用いた場合につき説明したが、これに限られるものではなく、交換可能な光源であれば、同様にこの構造のランプハウス、ランプユニット、及び冷却ファンが使用できることは明らかである。
【0045】
また、上記のどちらの実施の形態においても本発明をプロジェクタに適用した例につき記載したが、これに限られるものではなく、取り替え式の光源を用いる光学機器であれば本発明が適用できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施の形態となるプロジェクタの外観図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態となるプロジェクタにおいて、ランプユニットが装着される際の形態を示す図(a:ランプ蓋装着前、b:ランプ蓋装着後)である。
【図3】本発明の第1の実施の形態となるプロジェクタのランプハウスにおいて、ランプユニットが装着される際の形態を示す図(a:ランプ蓋装着前、b:ランプ蓋装着後)である。
【図4】本発明の第1の実施の形態となるプロジェクタのランプユニットが装着される際の形態を示す図(a:ランプユニット装入、b:ランプユニット装入後)である。
【図5】本発明の第2の実施の形態となるプロジェクタにおける冷却ファン付近の構成を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態となるプロジェクタにおける冷却ファンの断面図である。
【図7】従来のプロジェクタに用いられるランプユニットの一例の断面図である。
【図8】従来のプロジェクタに用いられるランプユニットの他の一例の断面図である。
【符号の説明】
【0047】
10、60、80 ランプユニット
11、63、83 反射鏡
12 ランプカートリッジ
13、65、85 流入用窓
14、66、86 流出用窓
15 シャッタースプリング
16 ランプシャッター
17 ガイド穴
18 ガイド用突起
19 ランプシャッター駆動用突起(ランプシャッター駆動部)
61、81 水銀ランプ
62、82 ランプ封止部
64、84 前面ガラス
67a、67b、88 金属メッシュ
70 シロッコファン
71、92 冷却風
72 取付金具
87 シャッター
93 送風用ダクト
94 排気用ファン
100 光学エンジン
101、201 ランプハウス
102、210 冷却ファン
103 ランプハウスシャッター
104、204 ランプハウス流入用窓
105 レバースプリング
106 シャッターレバー
107 ランプ蓋
108 ランプ蓋突起(ランプハウスシャッター駆動用係止部)
109 ランプハウス流出用窓
110 シャッターレバー支点
211 上部ダクト
212 下部ダクト(ダクト下部)
220 底キャビネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却風を導入する流入用窓が設けられた交換式のランプユニットがランプハウス内に装着されて用いられる光学機器であって、
前記ランプハウスには、前記冷却風を前記流入用窓に導入するランプハウス流入用窓と、ランプハウスシャッター駆動部に外力が加えられることによって前記ランプハウス流入用窓を開くランプハウスシャッターとが設けられ、
前記ランプユニットが前記ランプハウス内に装着される際に、前記ランプハウスシャッター駆動部に外力が加えられることを特徴とする光学機器。
【請求項2】
前記ランプユニットが前記ランプハウス内に装着される際にランプ蓋が用いられ、
該ランプ蓋には、該ランプ蓋が設置される際に、前記ランプハウスシャッター駆動部に外力を加えるランプハウスシャッター駆動用係止部が設けられたことを特徴とする光学機器。
【請求項3】
前記ランプハウスシャッターには弾性体が接続され、外力が加わらない状態では前記ランプハウス流入用窓は前記ランプハウスシャッターにより閉じられることを特徴とする請求項1または2に記載の光学機器。
【請求項4】
前記ランプユニットには、前記ランプユニットが前記ランプハウスに装着される際にランプシャッター駆動部に外力が加えられることによって前記流入用窓を開くランプシャッターが設けられ、
前記ランプハウスには、前記ランプユニットが前記ランプハウスに装着される際に前記ランプシャッター駆動部に外力を加えるランプシャッター駆動用係止部が設けられた、
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の光学機器。
【請求項5】
前記ランプユニットには、前記冷却風が排気される流出用窓が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の光学機器。
【請求項6】
前記流出用窓には金属メッシュが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の光学機器。
【請求項7】
前記冷却風は冷却ファンによって生成され、
該冷却ファンにおけるダクト下部が取り外し可能な構造となっていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の光学機器。
【請求項8】
前記光学機器はプロジェクタであることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の光学機器。
【請求項9】
冷却風を導入する流入用窓が設けられた交換式のランプユニットがランプハウス内に装着されて用いられる光学機器における光源の冷却方法であって、
前記ランプハウスに、前記冷却風を前記流入用窓に導入するランプハウス流入用窓を設け、
前記ランプユニットが前記ランプハウスに装着された際に、前記ランプハウス流入用窓をランプハウスシャッターによって開き、
前記ランプユニットが前記ランプハウスから取り外された際に、前記ランプハウス流入用窓をランプハウスシャッターによって閉じる、
ことを特徴とする光源の冷却方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−76217(P2009−76217A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241703(P2007−241703)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】