説明

光学活性ベンゾエート化合物、及びこれらの製造方法

【課題】液晶組成物内の結晶化問題などを解決するため光学活性を有するアルコキシアルコールを提供する。
【解決手段】本発明は光学活性ベンゾエート化合物及びこれを含む液晶表示素子用キラルドーパントに関するものである。本発明の光学活性ベンゾエート化合物は、優れた固有光回転度を示して、従来の光学活性化合物を含む液晶のキラルドーパントと比べて同等以上の優れた光学活性特徴を有し、液晶との溶解度を増加させることで結晶化特性面で特に優れているので、液晶のキラルドーパントとして使用するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶組成物に使用することができる2つのキラル中心を有する光学活性アルコキシアルコール化合物を利用した光学活性アルキル−4−(4−アルコキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート化合物、及びこれらの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は電圧によって液晶分子の配列を制御し、通過光量を調節することによって文字や画像を表示するディスプレイである。この時、光量調節機能を有する液晶組成物はネマチックホスト液晶に螺旋構造を招く光学活性化合物で構成され、光学活性化合物のねじれ力によって液晶の螺旋ピッチを調節する。前記螺旋構造を招く光学活性化合物は通常キラルドーパントと呼ばれている。
【0003】
現在実用化されて多く使用されているモードであるTN(twisted nematic)モードは上部基板・下部基板間の液晶分子が90°捩じれるようにキラルドーパントによってネマチック液晶のピッチが制御されたモードである。また、STN(super twisted nematic)モードは上部基板・下部基板間の液晶分子が220°前後に捩じれるようにキラルドーパントによってネマチック液晶のピッチが制御されたモードである。
【0004】
今まで幾多のキラルドーパントが合成されたか判らぬ程だが、次のように構造式Iを有するS−811、構造式IIを有するCB15及び構造式IIIを有するCN化合物が代表的に知られている。
【化1】

【化2】

【化3】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−195004号
【特許文献2】特開平10−139706号
【特許文献3】特開平10−004998号
【特許文献4】韓国特公10−0611931号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来キラルドーパントは分子量が大きく、ネマチック液晶に対して多量に添加した場合には液晶の粘性増加、結晶化を起こし易くなるなど、性能を低下させる問題点を示してきた。これを改善するためには、これからのキラルドーパントが従来のキラルドーパントに相応する螺旋形成力(helical twisting power)を有しながら液晶組成物の粘度を増加させたり結晶化を起こしたりしてはならず、化学安定性が大きくて液晶組成物によく溶解しなければならない。
【0007】
このような、従来技術における問題を解決するために本発明者らは、非対称炭素構造にメチル置換基を有する炭素鎖のみからなる1次アルコールに注目し、メチレン基(CH)の代わりに酸素原子を導入した光学活性アルコキシアルコールを容易かつ安価で得られることに着眼して、メチル基が置換された非対称炭素とヒドロキシ基が位置した炭素が長い鎖で分離された構造の2つのキラル中心を有する新規の光学活性アルコキシアルコールを高い収率及び安価な費用で製造した。また、製造した2つのキラル中心を有する新規の光学活性アルコールから誘導された新規光学活性ドーパントを製造した。特に、この時、前記キラルドーパントは側鎖内に2つのキラル中心が存在して、キラルドーパントが互いにパッキング(packing)しようとする問題を防止することができる。
【0008】
したがって、本発明は液晶とキラルドーパントとの溶解度を増加させることによって液晶組成物内のキラルドーパントの結晶化傾向を最少化し、その結果、2つのキラル中心を含む液晶組成物内でのキラルドーパントの安定性を増加させる。
【0009】
したがって、本発明は従来のキラルドーパントよりキラルドーパント間のパッキングしようとする問題を防止して、液晶組成物内の液晶との溶解度を増加させてキラルドーパントによる結晶化問題などを解決することができる2つのキラル中心を有する光学活性を有するアルコキシアルコールを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は前記光学活性アルコキシアルコールを利用した新規のベンゾエート化合物を提供することを他の目的とする。
【0011】
また、本発明は前記アルコキシアルコールとベンゾエート化合物を含むLCD用キラルドーパントを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は下記の化学式1で示される2つのキラル中心を有する光学活性アルコキシアルコール化合物を提供する。
【化4】

(前記式で、mは1乃至2の整数であり、nは0または1の整数であり、*は非対称炭素である。)
【0013】
また、本発明は下記の化学式2で示されるアルキル−4−(4−アルコキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート化合物を提供する。
【化5】

(前記化学式2で、Rは以下の化学式Aであり(ここで、mは1乃至2の整数であり、nは0または1の整数であり、*は非対称炭素である)、Rは炭素数1乃至9の直鎖アルキル基である。)
【化6】

【0014】
また、本発明で前記化学式1の製造方法は下記反応式1で示され、
a)下記の化学式4で示される1次または2次アルコール化合物をプロピレンオキシドと反応させて化学式5で示される化合物を製造し、
b)前記化学式5の化合物から、酵素を利用して(S、S)−化学式1で示される化合物((S、S)−1)と化学式6で表示される化合物を製造し、及び
c)前記化学式6で表示される化合物を加水分解して(R、S)−化学式1で示される化合物((R、S)−1)を製造する段階を含む。
【化7】

(前記反応式1で、Rは以下の化学式Bであり(ここで、mは1乃至2の整数である)、*は非対称炭素である。)
【化8】

【0015】
前記で酵素はリパーゼノボザイム(lipase novozyme)を使用するのが好ましい。
【0016】
また、前記化学式1の製造方法は下記反応式2で示され、
a)化学式7で示される(S)−乳酸塩の2次アルコール化合物をベンジルブロマイドで保護化反応を進めた後、水素化還元反応によって化学式8で示される1つのキラル中心を有する光学活性アルコール化合物を製造し、
b)前記化学式8の化合物を水素化リチウムアルミニウムで還元させて化学式9で示される光学活性アルコールを製造し、
c)前記化学式9の光学活性アルコールをトシル化して化学式12の化合物を製造し、及び
d)前記化学式12の化合物を触媒水素化反応させて下記の化学式1cで示される化合物を製造する段階を含むことができる。
【化9】

【0017】
この時、前記c)段階の化学式12の化合物は前記化学式9の化合物を塩化スルホニルと反応させて下記の化学式11の化合物を製造し、前記化学式11の化合物を2−メチル−1−ブタノールと反応させる段階を含んで製造することができる。
【化10】

(前記化学式11で、Tsはスルホニル基である)
【0018】
また、本発明で化学式2の製造方法は下記反応式3で示され、
a)化学式1の2つのキラル中心を有する光学活性アルコキシアルコール化合物を化学式13のベンゾキシベンゾ酸(benzoxy benzoic acid)と反応させて化学式14で示される化合物を製造し、
b)前記化学式14の化合物を加水分解して化学式15で示される化合物を製造し、及び
c)前記化学式15の化合物を化学式16のアルコキシベンゾ酸(alkoxy benzoic acid)と反応させる段階を含む。
【化11】

(前記反応式3で、R及びRは前記化学式2で定義された通りである。)
【0019】
また、本発明の化学式2の製造方法は下記反応式4で示され、化学式1の2つのキラル中心を有する光学活性アルコキシアルコール化合物を化学式17のアルコキシフェニルカルボニルオキシベンゾ酸(alkoxykphenyl carbonyloxy benzoic acid)と反応させる段階を含むことができる。
【化12】

(前記反応式4で、R及びRは前記化学式2で定義された通りである。)
【0020】
また、本発明は前記化学式2の光学活性アルキル−4−(4−アルコキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエートを含むキラルドーパントを提供する。また、本発明は前記キラルドーパント及び液晶物質を含むLCD用液晶組成物と、これを利用して製造された液晶表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の化学式1で示される光学活性アルコキシアルコール化合物は従来、特開平10−195004号、特開平10−139706号、韓国特許登録公報第10−0611931号などに記載された2次アルコールとは構造が異なる。つまり、本発明の光学活性アルコキシアルコール化合物は前記化学式1で示されるように、メチル基が結合された2個の非対称炭素、つまり、キラル中心を含み、2個の非対称炭素とアルコールのヒドロキシ基が酸素を含む炭素鎖によって分離されている2次アルコール構造を有する。したがって、このような化合物を利用して製造された化学式2のベンゾエート化合物も2つのキラル中心を含んでキラルドーパントとして使用する場合、優れた効果を示すことができる。
【0022】
また、一般的にキラル中心(chiral center)は固有光回転度(specific rotation)を評価することによって、その特性の優秀度を判断することができる。しかし、従来一般の光学活性化合物は1つのキラル中心を有しているので、2つのキラル中心を有する本発明の光学活性化合物に比べて低い固有光回転度を有する。言い換えると、キラル中心の数に応じて固有光回転度の絶対値が1つである場合に比べて2つの場合がR対比(R、S)の絶対値が大きく、S対比(S、S)の場合より大きくなる。したがって、キラル中心が2つである場合には、1つである場合と比べて顕著な差別性と優秀性を示し、この固有光回転度に比例するキラルドーパントの性能が一層優れている。
【0023】
このような特性を示す本発明の化学式1及び化学式2の光学活性化合物について具体的に説明する。
【0024】
本発明の化学式1の光学活性化合物は前記化学式1で示されるとおりである。このような前記化学式1の化合物は(S、S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプタノール(1a)、(S、S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクタノール(1b)、または(S、S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクタノール(1c)であるのが好ましい。
【0025】
また、本発明の光学活性アルコキシアルコールの製造方法は天然で得られる酵素を利用してラセミック2次アルコールから光学分割して、光学的に純粋な2つのキラル中心を有する光学活性の2次アルコールを製造することで、非対称炭素とアルコールのヒドロキシ基が酸素を含む炭素鎖によって分離されている構造の2つのキラル中心を有する光学活性2次アルコールを経済的に得ることができる長所がある。
【0026】
また、酵素を利用する場合、光学分割及び光学純度などのような結晶実験などの難しい過程を必要とする。この問題を改善するために、本発明は安価で商用化された製品の(S)−ラクト酸の誘導体を使用して光学的に純粋な2つの出発物質を使用して合成することで光学分割が不要な合成法を開発した。
【0027】
このような本発明の化学式1の光学活性アルコキシアルコール化合物はnの定義により製造方法が区分され、以下ではnが0である場合と1である場合に分けてその製造方法を説明する。
【0028】
(1)nが0である場合
前記化学式1で、mは1乃至2であり、nが0である2つのキラル中心を有する光学活性アルコキシアルコール化合物の製造方法は前記反応式1で示すことができ、より具体的には下記反応式1−1に示す通りである。つまり、nが0である時、化学式1の製造方法は、
a)化学式4で示される1つのキラル中心を有する光学活性1次あるいは2次アルコール化合物をプロピレンオキシドと反応させて化学式5で示される2つのキラル中心を有する部分異性体(diastereomer)の混合化合物を製造し、
b)前記化学式5の2つのキラル中心を有する部分異性体の混合化合物は酵素を使用して立体選択的エステル反応(enantioselective esterification)で光学分割して、(S、S)−化学式1の2つのキラル中心を有する光学活性アルコキシアルコール化合物((S、S)−1)と化学式6で表示される光学活性プロピオン酸塩((R、S)−6)を製造し、
c)前記化学式6の(R、S)のキラル中心を有するプロピオン酸塩をNaOHで加水分解反応させる段階を含んで、(R、S)−化学式1で示される2つのキラル中心を有する光学活性アルコキシアルコール化合物((R、S)−1)を製造する。
【化13】

(前記反応式1−1で、Rは以下の化学式Bであり、ここで、mは1乃至2の整数である。)
【化14】

【0029】
前記反応式1−1において、段階a)では化学式4で示される1つのキラル中心を有する光学活性1次あるいは2次アルコール化合物をNaHによりアルコキシドとした後、このアルコキシドをプロピレンアルコキシドと溶媒存在下に反応させて化学式5で示される(S、S)−と(R、S)−の部分異性体の混合物を製造する。この時、化学式4の2次アルコール化合物は市販されるものを購入したり、直接製造して使用することができ、具体的な製造方法は特開平10−004998号に記載された方法によってリパーゼノボザイム(Lipase Novozyme)を利用してラセミック2−アルカノールから製造することができる。
【0030】
段階b)では段階a)から得られた化学式5の部分異性体の混合物をノボザイムによる立体選択的エステル化反応で光学分割して光学純度の高い(S、S)のキラル中心を有する化学式1の2次アルコール化合物(S、S)−1と(R、S)のキラル中心を有する化学式9のプロピオン酸塩化合物(R、S)−6を製造することができる。
【0031】
最後に、段階c)では前記段階b)から得られた化学式6の(R、S)−6を加水分解して光学純度の高い(R、S)のキラル中心を有する化学式1の2次アルコール化合物(R、S)−1を製造する。
【0032】
(2)nが1である場合
前記化学式1で、m=1であり、nが1である2つのキラル中心を有する光学活性アルコキシアルコール化合物は前記反応式2で示すことができ、より具体的には下記反応式2−1に示す通りである。つまり、nが1である時、化学式1の製造方法は、
a)化学式7で表示される乳酸エチルのアルコールから、ベンジルブロマイドを使用して保護化反応を行って化学式7で示される化合物を製造し、
b)前記化学式8の化合物を水素化リチウムアルミニウムで還元させて化学式9の光学活性ベンゾオキシアルコール化合物を製造し、
c)前記化学式9の化合物を化学式10の2−メチル−1−ブタノールのスルホニル化合物と反応させて化学式12のベンジルエーテル化合物を製造し、
d)前記化学式12の化合物を触媒水素化反応によってジベンジル化で2つのキラル中心を有する光学活性アルコールである化学式1で示される化合物(S、S)−1cを製造する。
【0033】
この時、前記化学式12のベンジルエーテル化合物は選択的に、
e)前記化学式9の化合物を塩化スルホニルと反応させて化学式11のスルホニル化合物を製造し、
f)前記化学式11の化合物を化学式4で示される2−メチル−1−ブタノールと反応させて製造することもできる。
【化15】

【0034】
具体的に、段階a)では酸化銀存在下、化学式7で表示されるエチル(S)−乳酸塩をベンジルブロマイドと反応させて、アルコール基を保護する化学式8で示される化合物を製造する。前記化学式7の化合物は市販されるものを購入して使用することができる。
【0035】
また、段階b)では溶媒存在下、化学式8で示される化合物を水素化リチウムアルミニウムで還元して化学式9で示される光学活性ベンジルオキシアルコール化合物を製造する。この時、溶媒としてはエーテル系溶媒を使用し、還流条件で反応する。
【0036】
段階c)では化学式9で示される化合物をNaHで処理してアルコキシドを得た後、化学式10の(S)−2−メチル−1−ブタノールのスルホニル化合物でトシル化反応させて化学式12のベンジルエーテル化合物を製造する。この時、溶媒としてはTHFを使用し、アルコキシドは低温で反応させ、スルホニル化合物との反応は還流条件で進める。
【0037】
段階d)では前記化学式12で示される化合物を触媒水素化反応による脱保護基化反応(ジベンジル化)で光学純度の高い2つのキラル中心を有する光学活性アルコールを製造する。前記化学式12のベンジルエーテル化合物は段階e)と段階f)によっても製造することができる。
【0038】
段階e)では溶媒と3次アミン存在下、化学式9で示される化合物を塩化スルホニルと反応させて化学式11のスルホニル化合物を製造する。この時、溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭素系を使用し、3次アミンとしてはトリエチルアミンなどを使用することができる。
【0039】
段階f)では化学式11で表示される化合物をNaHで処理してアルコキシドを得た後、化学式4で示される(S)−2−メチル−1−ブタノールと反応させて化学式12のベンジルエーテル化合物を製造する。この時、溶媒としてはTHFを使用し、アルコキシドは低温で反応させ、スルホニル化合物との反応は還流条件で進める。
【0040】
一方、前記化学式1で示される2つのキラル中心を有する光学活性アルコキシアルコール化合物は液晶のキラルドーパント、医薬、農薬及び天然物合成の中間体として適用することができ、好ましくは液晶のキラルドーパントとして適用する。
【0041】
本発明のベンゾエート化合物は従来の液晶のキラルドーパントと類似の光学活性特徴を有し、特に、2つのキラル中心を有しているためにキラルドーパント間にコンパクトなパッキングを妨害して、液晶との溶解度を増加させることによって結晶化特性面で特に優れている。
【0042】
より具体的に、前記化学式1の2つのキラル中心を有する光学活性アルコキシアルコールを利用して液晶のキラルドーパントである下記化学式2で示される化合物を製造する。したがって、本発明は前記化学式1の化合物を中間体として使用して下記の化学式2で示されるベンゾエート化合物を提供する特徴がある。
【化16】

(前記化学式2で、Rは以下の化学式Aであり(ここで、mは1乃至2の整数であり、nは0または1の整数であり、*は非対称炭素である)、Rは炭素数1乃至9の直鎖アルキル基である。)
【化17】

【0043】
前記化学式2で示される化合物は、
(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル−4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、
(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル−4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、
(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル−4−(4−ヘキシルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、
(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル−4−(4−ヘキシルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、
(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチル−4−(4−ヘキシルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、
(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチル−4−(4−ヘキシルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、
(2S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチル−4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、
(2R、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチル−4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、
(2S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチル−4−(4−ヘキシルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、または
(2R、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチル−4−(4−ヘキシルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエートであるのが好ましい。
【0044】
前記化学式2のアルキル−4−(4−アルコキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート化合物の製造方法は、2つのキラル中心を有する化学式1の化合物を利用して前記反応式3または4の2種類の経路を通じて製造することができ、以下に好ましい製造方法を説明する。
【0045】
まず、前記化学式2の製造方法は下記反応式3−1に示したように、
a)化学式1の2つのキラル中心を有する光学活性アルコキシアルコール化合物を化学式13で表示される4−ベンジルオキシベンゾ酸と反応させて化学式14で示される4−ベンジルオキシベンゾエート化合物を製造し、
b)前記化学式14の化合物を触媒水素化反応で還元して化学式15で示される4−ヒドロキシベンゾエート化合物を製造し、
c)前記化学式15の化合物から、化学式16の4−アルコキシベンズ酸とDCCによるエステル化反応で化学式2の2つのキラル中心を有する光学活性アルキル−4−(4−アルコキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート化合物を製造する。
【化18】

(前記反応式3−1で、RとRは化学式2で定義された通りである)
【0046】
具体的に、段階a)では溶媒存在下、化学式1の光学活性アルコキシアルコール化合物から、4−ベンジルオキシベンズ酸とDCCによるエステル化反応を行って、化学式14で示される4−ベンジルオキシベンゾエート化合物を製造する。この時、溶媒としてはジクロロメタンのようなハロアルカン系またはエーテル系溶媒が使用できる。
【0047】
次いで、段階b)では化学式14の化合物を触媒水素化反応で還元して化学式15で示される4−ヒドロキシベンゾエート化合物を製造する。この時、溶媒としてはメタノールなどの極性アルコールを使用する。
【0048】
最後に、段階c)では化学式15の化合物から、化学式16の4−アルコキシベンズ酸とDCCによるエステル化反応を進めて化学式2の2つのキラル中心を有する光学活性アルキル−4−(4−アルコキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート化合物を製造する。この時、溶媒としてはジクロロメタンのようなハロアルカン系またはエーテル系溶媒が使用できる。
【0049】
また、第2方法として前記化学式2の製造方法は、下記反応式4−1に示したように、化学式1の2つのキラル中心を有する光学活性アルコキシアルコール化合物から、化学式17で表示される4−(4−アルコキシフェニルカルボニルオキシ)ベンズ酸とDCCによるエステル化反応で化学式2の2つのキラル中心を有する光学活性アルキル−4−(4−アルコキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート化合物を製造する。
【化19】

(前記反応式4−1で、R及びRは前記化学式2で定義された通りである。)
【0050】
具体的には、溶媒存在下、化学式1の2つのキラル中心を有する光学活性アルコキシアルコールから、4−(4−アルコキシフェニルカルボニルオキシ)ベンズ酸とDCCによるエステル化反応で化学式2で示される2つのキラル中心を有する光学活性アルキル−4−(4−アルコキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート化合物を製造する。この時、溶媒としてはジクロロメタンのようなハロアルカン系またはエーテル系溶媒が使用できる。
【0051】
以上のような方法で製造された化学式2のベンゾエート化合物は分子内に2つのキラル中心を含んで従来に比べて高い固有光回転度値を示すので、キラルドーパントとしての性能を改善することができる。
【0052】
なお、本発明で製造された化学式2の2つのキラル中心を有する光学活性アルキル−4−(4−アルコキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート化合物は光学活性アルキル基を有する従来の液晶用キラルドーパントであるMCA(S−811)と類似の構造を有しながら、前記S−811が有している問題を改善することができる。つまり、本発明の化合物はキラルドーパント同士の強い相互作用(interaction)による結晶化などの問題を改善することができる。したがって、本発明の2つのキラル中心を有する新規光学活性アルコキシアルコールから誘導されたベンゾエート誘導体を使用すると、キラルドーパントの結晶化などの問題を改善した液晶混合物を製造することができる。
【0053】
本発明で前記化学式2のベンゾエート化合物をキラルドーパントとして使用される場合、所定の量で使用することができる。
【0054】
また、前記キラルドーパントは液晶組成物に含まれることができ、好ましい一実施例を挙げると、前記液晶組成物は前記化学式2を含む所定の組成を有するキラルドーパント及び液晶物質を含むことができる。また、前記液晶組成物で液晶物質はSTN、TN、キラルネマチック及び強誘電性物質などを含むことができる。本発明の化学式2のキラルドーパント化合物は液晶でのキラルドーパントとして作用する。前記化学式2のキラルドーパントは前記液晶組成物全体に対して0.1乃至15重量%の組成で含まれてもよい。
【0055】
また、本発明は前記液晶組成物を利用して液晶表示素子を提供することができる。
【0056】
本発明の一実施例による液晶表示素子は、薄膜トランジスタが形成されている第1基板、前記第1基板と対向する第2基板及び、前記第1及び第2基板の間に位置する液晶層を含む(図示せず)。前記液晶層は前記液晶組成物を利用して基板にコーティングする方法などで形成することができる。上述した構造を有する本発明の液晶表示素子の製造方法は当該分野に広く知られたことであり、当該分野に務める者には十分に理解できる内容であるので、本明細書でその詳細な説明は省略する。
【0057】
また、本発明による化学式2のベンゾエート化合物は前記のようなキラルドーパントとしての用途の他にも、多様な炭素類似体の代用物質として生理活性物質及び天然物合成分野などでも有用に使用することができる。
【0058】
本発明の光学活性アルコキシアルコールは非対称炭素とアルコールのヒドロキシ基が酸素を含む炭素鎖によって分離されている構造で、LCD用キラルドーパントの製造に有用であり、医薬、農薬及び天然物合成の中間体として用いることができる。また、これから誘導される、光学活性アルコキシアルキル末端基を有する光学活性アルキル4−(4−アルコキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエートは光学活性アルキル基を有する従来のキラルドーパントと類似の光回転度を有するので、LCD用液晶粗製品の開発にキラルドーパントの構成成分として有用に使用することができる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。下記の実施例は本発明を例示するために過ぎず、これによって本発明が限定されるわけではない。
【0060】
製造例1.
(2つのキラル中心を有する光学活性2−アルカノールの製造)
2つのキラル中心を有する光学活性2−アルカノールは下記のような方法によって製造した。2つのキラル中心を有する光学活性(S)−2−アルカノールを製造するために、1つのキラル中心を有する光学活性(S)−2−アルカノールをNaHで処理してプロピレンオキシドと反応させて部分異性体の混合物である(R/S、S)−2−アルカノールを得た。この部分異性体混合物は特開平10−004998号によって2つのキラル中心を有する光学活性2−アルカノールを製造した。製造された部分異性体の混合物である2つのキラル中心を有する2−アルカノールに0.6当量のビニルプロピオン酸塩を加え、リパーゼノボザイムで立体選択的エステル化(enantioselective esterification)反応を行って(R、S)−2−アルカノールのプロピオン酸塩及び(S、S)−2−アルカノールを得た。クロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:エーテル=3:1)を利用して(R、S)−2−アルカノールのプロピオン酸塩と(S、S)−2−アルカノールを分離した。(R、S)−2−アルカノールのプロピオン酸塩をエタノール溶媒中でKOHによって加水分解して、(R、S)−2−アルカノールを得た。このように製造された(S、S)−異性体及び(R、S)−異性体とも本発明の光学活性アルコキシアルコール化合物の製造に利用することができるが、本実施例では便宜上(S、S)−異性体を利用した。
【0061】
2つのキラル中心を有する光学活性2次アルコールの光学純度は2−アルカノールをベンゾイルクロライド(benzoyl chloride)と反応させて得た光学活性及びラセミックベンゾエートをキラルコラム(chiralcel OJ−H、1%IPA−0.05%TEA in hexane)を利用したHPLCで分析し、光学純度は99%ee以上であった。
【0062】
実施例1.光学活性5−メチル−4−オキサ−2−ヘプタノール(1a)の合成
【化20】

【0063】
1)(2R/S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプタノール5a
NaH(60%dispersion in mineral oil、13.0g、0.33mol)をTHF(50mL)で2回洗浄した後、DMF(150mL)を入れて(S)−(+)−2−ブタノール4a(12.2g、0.16mol)を0℃で徐々に加えた。室温で1時間振った後、プロピレンオキシド(14.3g、0.25mol)のDMF(25mL)溶液を徐々に注入し、再び室温で1時間程度振った後、100℃で12時間加熱及び還流させた。1NのHCl(70mL)で反応を終結させ、エーテル(50mL×3)で抽出した後、有機層を再び水(100mL×3)で洗浄した。有機層を単純蒸留して除去し、残基を減圧蒸留して(72℃、9mmHg)(2R/S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプタノール5aを14.0g(65%)得た。
【0064】
1H−NMRδ0.84−0.92(m、3H)、1.10−1.14(m、6H)、1.37−1.56(m、2H)、2.34(brs、OH)、3.07−3.48(m、3H)、3.86−3.92(m、1H)。
【0065】
2)(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプタノール(2S、5S)−1aと(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチルプロピオン酸塩(6a)
(2R/S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプタノール5a(7.15g、54.1mmol)にノボザイム435(0.11g)とビニルプロピオン酸塩(2.82g、28.1mmol)を加えて室温で12時間振った後、ろ過した。その後、有機層を単純蒸留して除去し、残基をアスピレーターを利用して減圧蒸留した後{(2S、5S)−2、72℃、9mmHg、(2R、5S)−3残った残基}、それぞれをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:エーテル=3:1)で精製して(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプタノール(2S、5S)−1a(2.68g、38%、Rf=0.20)と(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチルプロピオン酸塩6a(4.30g、42%、Rf=0.70)を得た。
【0066】
(2S、5S)−1a:1H−NMRδ0.89(t、3H、J=7.4Hz)、1.13(d、3H、J=6.0Hz)、1.14(d、3H、J=6.3Hz)1.39−1.58(m、2H)、2.98(brs、OH)、3.23(dd、1H、J=8.2、9.3Hz)、3.33−3.41(m、2H)、3.89−3.95(m、1H)。
【0067】
(2R、5S)−6a:1H−NMRδ0.88(t、3H、J=7.4Hz)、1.10(d、3H、J=6.0Hz)、1.13(t、3H、J=7.6Hz)、1.22(d、3H、J=6.3Hz)、1.39−1.52(m、2H)、2.31(q、2H、J=7.6Hz)、3.32(sext、1H、J=6.1Hz)、3.39(dd、1H、J=6.0、10.4Hz)、3.48(dd、1H、J=4.5、10.4Hz)、5.02−5.05(m、1H)。
【0068】
3)(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプタノール(2R、5S)−1a
前記で得られた(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチルプロピオン酸塩6a(2.70g、14.3mmol)をメタノール(30ml)溶液にNaOH(2.80g、71.7mmol)の水溶液(15mL)を加えた後、4時間加熱及び還流させた。6NのHCl(10mL)を加えて反応を終結させ、ジクロロメタン(15mL×3)で抽出し、有機層を集めて無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過及び減圧濃縮して(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプタノール(2R、5S)−1aを(1.61g85%)得た。
【0069】
1H−NMRδ0.90(t、3H、J=7.4Hz)、1.12−1.15(m、6H)、1.40−1.61(m、2H)、2.84(brs、OH)、3.11(dd、1H、J=8.4、9.3Hz)、3.36(sext、1H、J=6.1Hz)、3.49(dd、1H、J=3.0、9.3Hz)、3.89−3.95(m、1H)。
【0070】
実施例2.光学活性5−メチル−4−オキサ−2−オクタノール1bの合成
【化21】

【0071】
1)(2R/S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクタノール5b
前記実施例1−1)と同様な方法でNaH(60%dispersion in mineral oil、2.60g、63.0mmol)、DMF(40mL)、(S)−2−ペンタノール4b(3.70g、42.0mmol)溶液にプロピレンオキシド(3.66g、63.0mmol)、DMF(10mL)溶液を加えて反応をさせて(2R/S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクタノール5bを1.85g(31%)を得た。
【0072】
1H−NMRδ0.85−0.90(m、3H)、1.10−1.15(m、6H)、1.25−1.56(m、4H)、2.24(brs、OH)、3.06−3.49(m、3H)、3.88−3.95(m、1H)。
【0073】
2)(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクタノール(2S、5S)−1bと(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチルプロピオン酸塩6b
(2R/S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクタノール5b(1.85g、12.7mmol)にノボザイム435(0.03g)とビニルプロピオン酸塩(0.76g、7.59mmol)を加えて(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクタノール(2S、5S)−1b(0.53g、29%)と6b(1.00g、39%)を得た。
【0074】
(2S、5S)−1b:1H−NMRδ0.89(t、3H、J=7.4Hz)、1.13(d、3H、J=6.0Hz)、1.14(d、3H、J=6.3Hz)1.39−1.58(m、2H)、2.05(brs、OH)、3.24(dd、1H、J=8.1、9.2Hz)、3.37(dd、1H、J=3.3、9.2Hz)、3.39−3.46(m、1H)、3.89−3.95(m、1H)。
【0075】
6b:1H−NMRδ0.89(t、3H、J=7.0Hz)、1.10−1.16(m、5H)、1.22(d、3H、J=6.3Hz)、1.25−1.52(m、4H)、2.31(q、2H、J=7.6Hz)、3.34−3.42(m、2H)、3.49(dd、1H、J=4.4、10.4Hz)、5.00−5.06(m、1H)。
【0076】
3)(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクタノール(2R、5S)−1b
前記実施例1−3)と同様な方法で(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチルプロピオン酸塩6b(1.00g、4.94mmol)のメタノール(10mL)溶液にNaOH(0.98g、24.7mmol)水溶液(8mL)を加えて(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクタノール(2R、5S)−1bを0.64g(89%)得た。
【0077】
1H−NMRδ0.91(t、3H、J=7.2Hz)、1.12−1.15(m、6H)、1.20−1.56(m、4H)、1.98(brs、OH)、3.11(dd、1H、J=8.5、9.0Hz)、3.40−3.53(m、2H)、3.88−3.95(m、1H)。
【0078】
実施例3.(2S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクタノール1cの合成
【化22】

【0079】
1)(2R/S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクタノール5c
前記実施例1−1)と同様な方法でNaH(60%dispersion in mineral oil、13.0g、0.33mol)、DMF(150mL)、(S)−(−)−2−メチル−1−ブタノール4c(14.8g、0.17mol)溶液にプロピレンオキシド(14.6g、0.25mol)、DMF(150mL)溶液を加えて反応をさせて(2R/S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクタノール5cを16.5g(68%)を得た。
【0080】
1H−NMRδ0.85−0.92(m、6H)、1.13(d、3H、J=6.3Hz)、1.11−1.67(m、3H)、2.32(brs、OH)、3.15−3.41(m、4H)、3.91−3.97(m、1H)。
【0081】
2)(2S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクタノール(2S、6S)−1cと(2R、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチルプロピオン酸塩6c
(2R/S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクタノール5c(11.7g、80.0mmol)にノボザイム435(0.16g)とビニルプロピオン酸塩(4.16g、41.6mmol)を加えて(2S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクタノール(2S、6S)−1c(4.82g、83%)と6c(3.00g、40%)を得た。
【0082】
(2S、6S)−1c:1H−NMRδ0.86−0.91(m、6H)、1.13(d、3H、J=6.3Hz)、1.11−1.66(m、3H)、2.12(brs、OH)、3.19(dd、1H、J=8.4、9.5Hz)、3.26−3.30(m、2H)、3.39(dd、1H、J=3.2、9.5Hz)、3.93−3.98(m、1H)。
【0083】
6c:1H−NMRδ0.85−0.90(m、6H)、1.13(t、3H、J=7.6)、1.22(d、3H、J=6.3Hz)、1.11−1.65(m、3H)、2.31(q、2H、J=7.7Hz)、3.17(dd、1H、J=6.9、9.1Hz)、3.33(dd、1H、J=6.0、10.3Hz)、3.37−3.48(m、2H)、5.05−5.10(m、1H)。
【0084】
3)(2R、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクタノール(2R、6S)−1c
前記実施例1−3)と同様な方法で(2R、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチルプロピオン酸塩5c(2.90g、14.3mmol)のメタノール(30mL)溶液にNaOH(2.80g、71.7mmol)水溶液(15mL)を加えて(2R、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクタノール11を1.70g(82%)得た。
【0085】
1H−NMRδ0.86−0.91(m、6H)、1.14(d、3H、J=6.6Hz)、1.11−1.66(m、3H)、3.24(brs、OH)、3.16−3.42(m、4H)、3.93−3.96(m、1H)。
【0086】
実施例4.光学活性(2S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクタノール(2S、6S)−1cの合成
従来の2つのキラル中心を有するアルコールの(R、S)及び(S、S)の部分立体異性体の混合物をノボザイムによる立体選択的エステル化反応で光学分割して光学純度の高いアルコールを製造する方法は、光学分割及び光学純度決定実験などの非常に難しい過程を経なければならないために高い収率を得ることが非常に難しかった。これを改善するために、キラルアルコールと共にさらに1つのキラル中心を安価で常用する(S)−乳酸誘導体から誘導して(つまり、光学的に純粋な鏡像異性体である2つの出発物質から合成)光学分割段階を経る必要なく2つのキラル中心を有する光学活性アルコールを合成した。
【0087】
合成方法は2当量の酸化銀存在下でエチル(S)−乳酸塩(7)をベンジルブロマイドと反応させてアルコール基を保護した後、LiAlHで還元してベンジルアルコールを得た。得られたベンジルアルコールをNaHで処理してアルコキシドを得た後、(S)−2−メチル−1−ブタノールのトシル化とTHF溶媒の中で反応させてベンジルエーテルを合成した。得られたベンジルエーテル化合物を触媒水素化反応させて脱保護基(debenzylation)させて2つのキラル中心を有する光学活性(2S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクタノールを得た。
【化23】

【0088】
前記反応式によるより具体的な方法は次の通りである。
1)エチル(S)−2−(ベンジルオキシ)プロパノエイト8の合成
エチル(S)−(−)−乳酸塩(7、12.17g、0.103mol)とベンジルブロマイド(26.34g、0.154mol)の混合物にAgO(35.66g、0.154mol)粉末を加えて30℃で一日間振った。エーテル(100ml)を加え、ろ過してAgBrと残余AgOを除去した。余液を5%のKOH水溶液(20ml)で洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧及び濃縮して残基をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:エーテル=5:1)で精製して化合物8を13.41g(63%)得た。
【0089】
1H−NMRδ1.30(t、3H、J=7.2Hz)、1.44(d、3H、J=6.9Hz)、4.05(q、1H、J=6.9Hz)、4.22(q、2H、J=7.2Hz)、4.45(d、1H、J=12.0Hz)、4.70(d、1H、J=12.0Hz)、7.29−7.38(m、5H)。
【0090】
2)(S)−2−(ベンジルオキシ)プロパン−1−オル9の合成
リチウムアルミニウムハイドライド(4.99g、0.125mol)のエーテル(100ml)懸濁液に化合物8(17.32g、0.0832mol)のエーテル(80ml)溶液を加え、12時間加熱及び還流させた。1Nの希塩酸(250ml)で反応を終結し、エーテル(60ml×3)で抽出して有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧及び濃縮して化合物9を13.36g(97%)得た。
【0091】
1H−NMRδ1.18(d、3H、J=6.3Hz)、1.67(brs、OH)、3.47−3.53(m、1H)、3.60−3.72(m、2H)、4.49(d、1H、J=11.7Hz)、4.66(d、1H、J=11.7Hz)、7.28−7.36(m、5H)。
【0092】
3)(2S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクタノールのベンジルエーテル12の合成
(A方法)
NaH(60%dispersion in mineral oil、1.44g、0.036mol)をTHF(10ml)で3回洗浄した後、THF(14ml)を入れて化合物9(5g、0.030mol)のTHF(20ml)溶液を0℃で徐々に加えた。室温で30分振った後、化合物10(8.72g、0.036mol)のTHF(25ml)溶液を0℃で徐々に加え、再び室温で30分振った後、100℃で12時間加熱及び還流させた。冷たい蒸溜水70mlを入れて反応を終結させ、エーテル(30ml×3)で抽出し、有機層を集めて蒸溜水(20ml×3)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧及び濃縮して得られた残基をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)で精製して化合物12を3.94g(56%)得た。
【0093】
1H−NMRδ0.88(t、3H、J=7.2Hz)、0.89(d、3H、J=6.6Hz)、1.19(d、3H、J=6.3Hz)、1.08−1.20(m、2H)、1.44−1.66(m、1H)、3.19−3.38(m、3H)、3.48−3.53(m、1H)、3.70−3.72(m、1H)、4.62(s、2H)、7.27−7.35(m、5H)。
【0094】
(B方法)
(S)−2−(ベンジルオキシ)プロピル4−メチルベンゼンスルホン酸塩11の合成
p−トルエンスルホニルクロライド(5.68g、29.8mmol)のジクロロメタン(40ml)溶液に化合物9(4.101g、24.7mmol)及びトリエチルアミン(4.96g、49.0mmol)のジクロロメタン(30ml)溶液を加えた後、常温で12時間振った。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20ml)を加えて反応を終結させた後、ジクロロメタン(20ml×3)で抽出して有機層を蒸溜水(20ml×3)で洗浄した後、減圧及び濃縮して残基をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:エーテル=8:1)で精製して化合物11を7.07g(89%)得た。
【0095】
1H−NMRδ1.16(d、3H、J=6.3Hz)、2.43(s、3H)、3.73−3.78(m、1H)、3.96−4.00(m、2H)、4.53(d、1H、J=12Hz)、4.47(d、1H、J=12Hz)、7.26−7.32(m、7H)、7.78(d、3H、J=6.3Hz)。
【0096】
(2S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクタノールのベンジルエーテル12の合成
NaH(60%dispersion in mineral oil、1.78g、44.5mmol)をTHF(3ml)で3回洗浄し、DMSO(17ml)を入れて(S)−2−メチル−1−ブタノール(4c、2.61g、29.6mmol)のDMSO(24ml)溶液を徐々に加えた。室温で30分間振った後、化合物11(9.48g、29.6mmol)のDMSO(24ml)溶液を徐々に加えて室温で16時間振った。冷たい蒸溜水(70ml)を入れて反応を終結させ、エーテル(30ml×3)で抽出した後、有機層を蒸溜水(20ml×2)と飽和塩化ナトリウム水溶液(20ml×2)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧及び濃縮して残基をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:エーテル=1:1)で精製して化合物12を5.19g(74%)得た。
【0097】
1H−NMRδ0.88(t、3H、J=7.2Hz)、0.89(d、3H、J=6.6Hz)、1.19(d、3H、J=6.3Hz)、1.08−1.20(m、2H)、1.44−1.66(m、1H)、3.19−3.38(m、3H)、3.48−3.53(m、1H)、3.70−3.72(m、1H)、4.62(s、2H)、7.27−7.35(m、5H)。
【0098】
4)(2S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクタノール(2S、6S)−1cの合成
化合物12(1.01g、4.23mmol)のエタノール(5ml)溶液に触媒量の5%のPd/C(20mg)を加え、室温で水素気流(60ps1)下の水素化反応装置で36時間反応させた後、ろ過して触媒を除去し、余液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧及び濃縮して化合物(2S、6S)−1cを0.371g(60%)得た。
【0099】
1H−NMRδ0.86−0.90(m、3H)、0.90(d、3H、J=6.3Hz)、1.13(d、3H、J=6.3Hz)、1.11−1.68(m、3H)、1.92(brs、OH)、3.16−3.42(m、4H)、3.93−3.99(m、1H)。
【0100】
(2つのキラル中心を有する光学活性2−アルコールを使用したキラルドーパントの合成)
【化24】

【0101】
実施例5.光学活性ドーパント(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2S、5S)−2a−C5の合成(A方法)
【0102】
1)(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル4−ベンジルオキシベンゾエート(2S、5S)−14a
1.2当量のDCC(1.87g、9.07mmol)とDMAP(1.11g、9.07mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液に4−ベンジルオキシベンズ酸13(1.72g、7.56mmol)と(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプタノール(2S、5S)−1a((1.00g、7.56mmol)を入れて24時間室温で振った。反応終結後に析出された固形物をろ過及び除去し、余液を減圧及び濃縮して得られた残基をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン、Rf=0.80)で精製して4−ベンジルオキシベンゾエート(2S、5S)−14aを1.42g(55%)得た。
【0103】
1H−NMRδ0.89(t、3H、J=7.4Hz)、1.13(d、3H、J=6.3Hz)1.34−1.56(m、5H)、3.38(sext、1H、J=6.0Hz)、3.48(dd、1H、J=4.9、10.4Hz)、3.68(dd、1H、J=5.8、10.4Hz)、5.12(s、2H)、5.20−5.25(m、1H)、6.98(d、2H、J=9.1Hz)、7.32−7.44(m、5H)、7.99(d、2H、J=9.1Hz)。
【0104】
2)(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル4−ヒドロキシベンゾエート(2S、5S)−15a
4−ベンジルオキシベンゾエート(2S、5S)−14a(1.42g、4.14mmol)のメタノール(15mL)溶液に触媒量の5%のPd/C(0.30g)を滴下し、室温で水素気流(60ps1)下の水素化反応装置で4時間反応させた後、ジクロロメタン(10mL)で薄めた後ろ過し、触媒を除去して余液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧及び濃縮して4−ヒドロキシベンゾエート(2S、5S)−15aを0.76g(73%)得た。
【0105】
1H−NMRδ0.89(t、3H、J=7.4Hz)、1.11(d、3H、J=6.3Hz)、1.30−1.60(m、5H)、1.89(brs、OH)、3.40(sext、1H、J=6.0Hz)、3.51(dd、1H、J=4.6、10.6Hz)、3.68(dd、1H、J=5.8、10.6Hz)、5.24(sext、1H、6.0Hz)、6.82(d、2H、J=8.5Hz)、7.90(d、2H、J=8.5Hz)。
【0106】
3)(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2S、5S)−2a−C5
1.2当量のDCC(0.20g、0.95mmol)とDMAP(0.12g、0.95mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に4−ヒドロキシベンゾエート(2S、5S)−15a(0.20g、0.79mmol)と4−ペンチルオキシベンズ酸16−C5(0.17g、0.79mmol)を入れて24時間室温で振った。反応終結後、析出された固形物をろ過及び除去し、余液を減圧及び濃縮して得られた残基をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクローメタン、Rf=0.56)で精製して最終化合物(2S、5S)−2a−C5を0.30g(85%)得た。
【0107】
1H−NMRδ0.87−0.97(m、6H)、1.12(d、3H、J=6.0Hz)、1.30−1.60(m、9H)、1.78−1.85(m、2H)、3.39(sext、1H、J=6.0Hz)、3.51(dd、1H、J=4.8、10.6Hz)、3.67(dd、1H、J=5.8、10.6Hz)、4.05(t、2H、J=6.5Hz)、5.27(sext、1H、J=6.0Hz)、6.97(d、2H、J=8.8Hz)、7.28(d、2H、J=8.5Hz)、8.11(d、2H、J=8.8Hz)、8.14(d、2H、J=8.5Hz)。
【0108】
(B方法)
4)(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2S、5S)−2a−C5
DCC(2.12g、10.2mmol)とDMAP(1.26g、10.2mmol)、4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンズ酸17−C5(2.89g、8.47mmol)及びアルコール(2S、5S)−1a(1.12g、8.47mmol)のジクロロメタン(17ml)溶液を入れて室温で48時間振った。反応終結後、析出された固形物をろ過及び除去し、余液を減圧濃縮して得られた残基をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:エーテル=1:1)で精製して(2S、5S)−2a−C5を2.885g(75%)得た。
【0109】
1H−NMRδ0.87−0.92(m、6H)、1.12(d、3H、J=6.0Hz)、1.35−1.56(m、11H)、1.77−1.85(m、1H)、3.38−3.42(m、1H)、3.51(dd、1H、J=4.8、10.5Hz)、3.67(dd、1H、J=5.4、10.6Hz)、4.05(t、2H、J=6.6)、5.26−5.29(m、1H)、6.97(d、2H、J=8.7Hz)、7.28(d、2H、J=9.9Hz)、8.11(d、2H、J=8.1Hz)、8.13(d、2H、J=8.1Hz)。
【0110】
実施例6.(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2R、5S)−2a−C5の合成
【0111】
(A方法)
1)(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル4−ベンジルオキシベンゾエート(2R、5S)−14a
前記実施例5−1)と同様な方法でDCC(1.53g、7.44mmol)、DMAP(0.91g、7.44mmol)のジクロロメタン(30mL)溶液に4−ベンジルオキシベンズ酸13(1.41g、6.20mmol)と(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプタノール(2R、5S)−1a(0.82g、6.20mmol)を反応させて4−ベンジルオキシベンゾエート(2R、5S)−14aを0.94g(45%)得た。
【0112】
1H−NMRδ0.86(t、3H、J=7.4Hz)、1.12(d、3H、J=6.3Hz)1.34(d、3H、J=6.6Hz)、1.37−1.57(m、2H)、3.34−3.58(m、3H)、5.12(s、2H)、5.19−5.26(m、1H)、6.98(d、2H、J=8.8Hz)、7.32−7.44(m、5H)、7.99(d、2H、J=8.8Hz)。
【0113】
2)(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル4−ヒドロキシベンゾエート(2S、5S)−15a
前記実施例5−2)と同様な方法で4−ベンジルオキシベンゾエート(2R、5S)−14a(0.94g、2.74mmol)のメタノール(15mL)溶液に触媒量の5%のPd/C(0.20g)を加えて水素化反応させて4−ヒドロキシベンゾエート(2R、5S)−15aを0.60g(87%)得た。
【0114】
1H−NMRδ0.87(t、3H、J=7.4Hz)、1.14(d、3H、J=6.3Hz)、1.34(d、3H、J=6.3Hz)、1.40−1.62(m、2H)、3.40(sext、1H、J=6.0Hz)、3.54−3.63(m、2H)、5.21−5.27(m、1H)、6.82(d、2H、J=8.8Hz)、7.91(d、2H、J=8.8Hz)。
【0115】
3)(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2R、5S)−2a−C5
DCC(0.20g、0.95mmol)、DMAP(0.12g、0.95mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に4−ヒドロキシベンゾエート(2R、5S)−15a(0.20g、0.79mmol)と4−ペンチルオキシベンズ酸16−C5(0.17g、0.79mmol)を加えて最終化合物(2R、5S)−2a−C5を0.27g(76%)得た。
【0116】
1H−NMRδ0.87(t、3H、J=7.4Hz)、0.95(t、3H、J=7.0Hz)、1.13(d、3H、J=6.0Hz)、1.25−1.60(m、9H)、1.78−1.85(m、2H)、3.38(sext、1H、J=6.0Hz)、3.50−3.64(m、2H)、4.04(t、2H、J=6.5Hz)、5.27(sext、1H、J=6.0Hz)、6.97(d、2H、J=9.1Hz)、7.28(d、2H、J=8.8Hz)、8.11(d、2H、J=9.1Hz)、8.13(d、2H、J=8.8Hz)。
【0117】
実施例7.(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル4−(4−ヘキシルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2S、5S)−2a−C6の合成
【0118】
前記実施例5−3)と同様な方法でDCC(0.20g、0.95mmol)、DMAP(0.12g、0.95mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に4−ヒドロキシベンゾエート(2R、5S)−15a(0.20g、0.79mmol)と4−ヘキシルオキシベンズ酸16−C6(0.18g、0.79mmol)を加えて最終化合物(2S、5S)−2a−C6を0.27g(76%)得た。
【0119】
1H−NMRδ0.84−0.94(m、6H)、1.13(d、3H、J=6.0Hz)、1.32−1.60(m、11H)、1.77−1.84(m、2H)、3.38(sext、1H、J=6.0Hz)、3.53−3.62(m、2H)、4.04(t、2H、J=6.6Hz)、5.27(sext、1H、J=6.0Hz)、6.97(d、2H、J=9.1Hz)、7.28(d、2H、J=8.8Hz)、8.11(d、2H、J=9.1Hz)、8.13(d、2H、J=8.8Hz)。
【0120】
13C−NMRδ165.4、164.4、163.8、154.7、132.4、131.2、128.1、121.7、121.1、114.4、77.2、70.9、70.8、68.4、31.5、29.2、29.0、25.6、22.6、19.3、17.0、14.0、9.8。
【0121】
実施例8.(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル4−(4−ヘキシルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2R、5S)−2a−C6の合成
【0122】
前記実施例5−3)と同様な方法でDCC(0.20g、0.95mmol)、DMAP(0.12g、0.95mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に4−ヒドロキシベンゾエート(2R、5S)−15a(0.20g、0.79mmol)と4−ヘキシルオキシベンズ酸16−C6(0.18g、0.79mmol)を加えて最終化合物(2R、5S)−2a−C6を0.27g(76%)得た。
【0123】
1H−NMRδ0.84−0.94(m、6H)、1.13(d、3H、J=6.0Hz)、1.32−1.60(m、11H)、1.77−1.84(m、2H)、3.38(sext、1H、J=6.0Hz)、3.53−3.62(m、2H)、4.04(t、2H、J=6.6Hz)、5.27(sext、1H、J=6.0Hz)、6.97(d、2H、J=9.1Hz)、7.28(d、2H、J=8.8Hz)、8.11(d、2H、J=9.1Hz)、8.13(d、2H、J=8.8Hz)。
【0124】
13C−NMRδ165.4、164.4、163.8、154.7、132.4、131.2、128.1、121.7、121.1、114.4、77.2、70.9、70.8、68.4、31.5、29.2、29.0、25.6、22.6、19.3、17.0、14.0、9.8。
【0125】
実施例9.(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−(4−ヘキシルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2S、5S)−2b−C6の合成
【0126】
1)(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−ベンジルオキシベンゾエート(2S、5S)−14b
前記実施例5−1)と同様な方法でDCC(0.74g、3.61mmol)、DMAP(0.44g、3.61mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に4−ベンジルオキシベンズ酸13(0.69g、3.01mmol)と(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクタノール(2S、5S)−1b(0.44g、3.01mmol)を反応させて4−ベンジルオキシベンゾエート(2S、5S)−14bを0.60g(60%)得た。
【0127】
1H−NMRδ0.88(t、3H、J=7.0Hz)、1.11(d、3H、J=6.3Hz)、1.20−1.57(m、7H)、3.41−3.50(m、2H)、3.66(dd、1H、J=5.6、10.3Hz)、5.12(s、2H)、5.19−5.24(m、1H)、6.98(d、2H、J=9.1Hz)、7.32−1.44(m、5H)、7.99(d、2H、J=9.1Hz)。
【0128】
2)(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−ヒドロキシベンゾエート(2S、5S)−15b
前記実施例5−2)と同様な方法で4−ベンジルオキシベンゾエート(2S、5S)−14b(0.14g、0.416mmol)のメタノール(10mL)溶液に触媒量の5%のPd/C(0.10g)を加えて水素化反応をさせて4−ヒドロキシベンゾエート(2S、5S)−15bを0.10g(90%)得た。
【0129】
1H−NMRδ0.88(t、3H、J=7.0Hz)、1.12(d、3H、J=6.1Hz)、1.18−1.56(m、7H)、3.45−3.51(m、2H)、3.66(dd、1H、J=5.8、10.4Hz)、5.24(sext、1H、J=6.0Hz)、6.52(brs、OH)、6.84(d、2H、J=8.1Hz)、7.95(d、2H、J=8.2Hz)。
【0130】
3)(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−(4−ヘキシルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2S、5S)−2b−C6
DCC(0.093g、0.45mmol)、DMAP(0.055g、0.93mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に4−ヒドロキシベンゾエート(2S、5S)−15b(0.10g、0.38mmol)と4−ヘキシルオキシベンズ酸16−C6(0.083g、0.38mmol)を加えて最終化合物(2S、5S)−2b−C6を0.11g(65%)得た。
【0131】
1H−NMRδ0.87−0.94(m、6H)、1.12(d、3H、J=6.3Hz)、1.25−1.57(m、13H)、1.78−1.87(m、2H)、3.43−3.52(m、2H)、3.68(dd、1H、J=5.6、10.3Hz)、4.05(t、2H、J=6.6Hz)、5.26(sext、1H、J=6.0Hz)、6.97(d、2H、J=8.8Hz)、7.28(d、2H、J=8.5Hz)、8.11(d、2H、J=8.5Hz)、8.13(d、2H、J=8.8Hz)。
【0132】
実施例10.(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−(4−ヘキシルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2R、5S)−2b−C6の合成
【0133】
1)(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−ベンジルオキシベンゾエート(2R、5S)−14b
前記実施例5−1)と同様な方法でDCC(0.74g、3.61mmol)、DMAP(0.44g、3.61mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に4−ベンジルオキシベンズ酸13(0.69g、3.01mmol)と(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクタノール(2R、5S)−1b(0.44g、3.01mmol)を反応させて4−ベンジルオキシベンゾエート(2R、5S)−14bを0.60g(60%)得た。
【0134】
1H−NMRδ0.85(t、3H、J=7.0Hz)、1.12(d、3H、J=6.0Hz)、1.21−1.55(m、7H)、3.41−3.62(m、3H)、5.12(s、2H)、5.19−5.26(m、1H)、6.98(d、2H、J=9.1Hz)、7.32−7.45(m、5H)、7.99(d、2H、J=9.1Hz)。
【0135】
2)(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−ヒドロキシベンゾエート(2R、5S)−15b
前記実施例5−2)と同様な方法で4−ベンジルオキシベンゾエート(2R、5S)−14b(0.14g、0.416mmol)のメタノール(10mL)溶液に触媒量の5%のPd/C(0.10g)を加えて水素化反応させて4−ヒドロキシベンゾエート(2R、5S)−15bを0.10g(90%)得た。
【0136】
1H−NMRδ0.85(t、3H、J=7.1Hz)、1.13(d、3H、J=6.3Hz)、1.21−1.55(m、7H)、3.42−3.61(m、3H)、5.21−5.25(m、1H)、6.83(d、2H、J=8.8Hz)、7.94(d、2H、J=8.8Hz)。
【0137】
3)(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−(4−ヘキシルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2R、5S)−2b−C6
DCC(0.093g、0.45mmol)、DMAP(0.055g、0.93mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に4−ヒドロキシベンゾエート(2R、5S)−15b(0.10g、0.38mmol)と4−ヘキシルオキシベンズ酸16−C6(0.083g、0.38mmol)を加えて最終化合物(2R、5S)−2b−C6を0.12g(68%)得た。
【0138】
1H−NMRδ0.84−0.94(m、6H)、1.13(d、3H、J=6.3Hz)、1.25−1.53(m、13H)、1.78−1.87(m、2H)、3.40−3.67(m、3H)、4.05(t、2H、J=6.6Hz)、5.27(sext、1H、J=6.0Hz)、6.97(d、2H、J=8.8Hz)、7.28(d、2H、J=8.5Hz)、8.11(d、2H、J=8.5Hz)、8.13(d、2H、J=8.8Hz)。
【0139】
実施例11.(2S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチル−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2S、6S)−2c−C5の合成
【0140】
1)(2S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−ベンジルオキシベンゾエート(2S、5S)−14b
前記実施例5−1)と同様な方法でDCC(1.35g、6.56mmol)、DMAP(0.80g、6.56mmol)のジクロロメタン(25mL)溶液に4−ベンジルオキシベンズ酸13(1.24g、5.47mmol)と(2S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクタノール(2S、5S)−1b(0.80g、5.47mmol)を反応させて、4−ベンジルオキシベンゾエート(2S、5S)−14bを1.13g(58%)得た。
【0141】
1H−NMRδ0.86(t、3H、J=7.3Hz)、0.87(d、3H、J=6.9Hz)、1.05−1.18(m、1H)、1.34(d、3H、J=6.3Hz)、1.38−1.66(m、2H)、3.27−3.31(m、2H)、3.50(dd、1H、J=4.7、10.4Hz)、3.61(dd、1H、J=5.9、10.4Hz)、5.12(s、2H)、5.25−5.30(m、1H)、6.98(d、2H、J=9.1Hz)、7.32−7.44(m、5H)、8.00(d、2H、J=9.1Hz)。
【0142】
2)(2S、6S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−ヒドロキシベンゾエート(2R、5S)−15c
前記実施例5−2)と同様な方法で4−ベンジルオキシベンゾエート(2S、6S)−14c(1.13g、3.08mmol)のメタノール(15mL)溶液に触媒量の5%のPd/C(0.30g)を加えて水素化反応させて4−ヒドロキシベンゾエート(2S、6S)−15cを0.81g(98%)得た。
【0143】
1H−NMRδ0.85(t、3HJ=7.3Hz)、0.86(d、3H、J=6.9Hz)、1.03−1.17(m、1H)、1.34(d、3H、J=6.3Hz)、1.37−1.67(m、2H)、3.26−3.32(m、2H)、3.51(dd、1H、J=4.4、10.7Hz)、3.61(dd、1H、J=6.0、10.7Hz)、5.25−5.31(m、1H)、6.58(brs、OH)、6.83(d、2H、J=8.8Hz)、7.93(d、2H、J=8.8Hz)。
【0144】
3)(2S、6S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2S、5S)−2c−C6
DCC(0.27g、1.35mmol)、DMAP(0.16g、1.35mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に4−ヒドロキシベンゾエート(2S、6S)−15c(0.30g、1.13mmol)と4−ペンチルオキシベンズ酸16−C5(0.25g、1.13mmol)を加えて最終化合物(2S、6S)−2c−C5を0.45g(88%)得た。
【0145】
1H−NMRδ0.84−0.96(m、9H)、1.06−1.74(m、10H)、1.78−1.87(m、2H)、3.29−3.32(m、2H)、3.52(dd、1H、J=4.4、10.6Hz)、3.62(dd、1H、J=5.9、10.6Hz)、4.04(t、2H、J=6.6Hz)、5.32(sext、1H、J=6.0Hz)、6.97(d、2H、J=8.8Hz)、7.28(d、2H、J=8.5Hz)、8.11(d、2H、J=8.5Hz)、8.13(d、2H、J=8.8Hz)。
【0146】
実施例12.(2R、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2R、6S)−2c−C5の合成
【0147】
1)(2R、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−ベンジルオキシベンゾエート(2R、6S)−14b
前記実施例5−1)と同様な方法でDCC(2.62g、12.7mmol)、DMAP(1.55g、12.7mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液に4−ベンジルオキシベンズ酸13(2.41g、10.6mmol)と(2R、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクタノール(2R、6S)−1b(1.55g、10.6mmol)を反応させて4−ベンジルオキシベンゾエート(2R、6S)−14bを3.11g(78%)得た。
【0148】
1H−NMRδ0.83−0.91(m、6H)、1.06−1.18(m、1H)、1.34(d、3H、J=6.6Hz)、1.37−1.66(m、2H)、3.20−3.62(m、4H)、5.12(s、2H)、5.25−5.30(m、1H)、6.98(d、2H、J=9.1Hz)、7.34−7.45(m、5H)、8.00(d、2H、J=9.1Hz)。
【0149】
2)(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−ヒドロキシベンゾエート(2R、5S)−15b
前記実施例5−2)と同様な方法で4−ベンジルオキシベンゾエート(2R、6S)−14c(1.80g、4.91mmol)のメタノール(20mL)溶液に触媒量の5%のPd/C(0.30g)を加えて水素化反応させて、4−ヒドロキシベンゾエート(2R、6S)−15cを1.27g(98%)得た。
【0150】
1H−NMRδ0.83−0.89(m、6H)、1.03−1.17(m、1H)、1.33(d、3H、J=6.3Hz)、1.36−1.67(m、2H)、3.21−3.65(m、4H)、5.26−5.32(m、1H)、6.82(d、2H、J=8.8Hz)、7.90(d、2H、J=8.8Hz)。
【0151】
3)(2R、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2R、6S)−2c−C5
DCC(0.27g、1.35mmol)、DMAP(0.16g、1.35mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に4−ヒドロキシベンゾエート(2R、6S)−15c(0.30g、1.13mmol)と4−ペンチルオキシベンズ酸16−C5(0.25g、1.13mmol)を加えて最終化合物(2R、6S)−2c−C5を0.34g(67%)得た。
【0152】
1H−NMRδ0.85−0.89(m、6H)、0.94(t、3H、J=7.1Hz)、1.07−1.64(m、10H)、1.78−1.87(m、2H)、3.21−3.65(m、4H)、4.04(t、2H、J=6.5Hz)、5.32(sext、1H、J=6.0Hz)、6.97(d、2H、J=8.8Hz)、7.28(d、2H、J=8.5Hz)、8.11(d、2H、J=8.5Hz)、8.13(d、2H、J=8.8Hz)。
【0153】
実施例13.(2S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−(4−ヘキシルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2S、6S)−2c−C6の合成
【0154】
前記実施例5−3)と同様な方法でDCC(0.27g、1.35mmol)、DMAP(0.16g、1.35mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に4−ヒドロキシベンゾエート(2S、6S)−15c(0.30g、1.13mmol)と4−ヘキシルオキシベンズ酸16−C6(0.25g、1.13mmol)を加えて最終化合物(2S、6S)−2c−C6を0.41g(77%)得た。
【0155】
1H−NMRδ0.84−0.94(m、9H)、1.06−1.74(m、12H)、1.78−1.87(m、2H)、3.29−3.32(m、2H)、3.52(dd、1H、J=4.4、10.7Hz)、3.62(dd、1H、J=6.0、10.7Hz)、4.04(t、2H、J=6.6Hz)、5.32(sext、1H、J=6.0Hz)、6.97(d、2H、J=9.1Hz)、7.28(d、2H、J=8.8Hz)、8.11(d、2H、J=8.8Hz)、8.13(d、2H、J=9.1Hz)。
【0156】
実施例14.(2R、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチル4−(4−ヘキシルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート(2R、6S)−2c−C6の合成
【0157】
前記実施例5−3)と同様な方法でDCC(0.27g、1.35mmol)、DMAP(0.16g、1.35mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に4−ヒドロキシベンゾエート(2R、6S)−15c(0.30g、1.13mmol)と4−ヘキシルオキシベンズ酸16−C6(0.25g、1.13mmol)を加えて最終化合物(2R、6S)−2c−C6を0.43g(81%)得た。
【0158】
1H−NMRδ0.84−0.94(m、9H)、1.07−1.69(m、12H)、1.77−1.84(m、2H)、3.21−3.64(m、4H)、4.04(t、2H、J=6.6Hz)、5.32(sext、1H、J=6.0Hz)、6.97(d、2H、J=8.8Hz)、7.28(d、2H、J=8.5Hz)、8.11(d、2H、J=8.5Hz)、8.13(d、2H、J=8.8Hz)。
【0159】
実験例1.
(光回転度の測定比較)
自動旋光計(autopolarimeter:AutopolIV、Rudolph Research Analytical)を利用して10cmのセルに溶媒クロロホルムを入れて零点に合わせる。セルを試料溶液で洗浄した後、試料をセルに入れて温度20℃または26℃で5回測定した値の標準偏差5%未満の値の平均値を固有光回転度として記録した。
【0160】
この時、試料としては韓国特許登録公報第10−0611931号の従来の1つのキラル中心を有する化合物(比較例1乃至9)及び実施例5乃至14の化合物を使用した。前記韓国特許登録公報第10−0611931号に対する固有光回転度の測定値は下記の表1に示した。また、キラルドーパントとして使用される2つのキラル中心を有する実施例5乃至14の各化合物別固有光回転度測定値は下記の表2の通りである。実施例5乃至14の光学純度は出発物質の光学活性アルコールと同一である。
【0161】
【表1】

【0162】
【表2】

【0163】
前記表1から分かるように、比較例1乃至9の場合、炭素鎖の長さ及び構造に応じてR配列(Configuration)を有する場合には+1.7゜乃至+2.8゜の固有光回転度を示し、S配列を有する場合には+8.0゜乃至+16.1゜の固有光回転度を示した。
【0164】
これに反し、2つのキラル中心を有する実施例5乃至14は表2から分かるように、炭素鎖の長さ及び構造に応じて(R、S)配列を有する場合には−3.799゜乃至−6.801゜の固有光回転度を示し、(S、S)配列を有する場合には+8.1゜乃至+21.797゜の固有光回転度を示した。
【0165】
前記キラル中心の数に応じる結果を比較すると、固有光回転度の絶対値が1つである場合に比べて、2つである場合がR対比(R、S)の絶対値が2.2乃至2.4倍大きく、S対比(S、S)の場合に1乃至1.4倍大きい。特に、Sはその構造に応じて固有光回転度の値が+8.0゜、+10.0゜、+14.7゜、+16.1゜を示すこととは異なって、(S、S)の場合には+8.1゜、+18.203゜、+19.103゜、+21.799゜などで、+8.1゜の値を除いては全て+18゜以上の高い値を有する。
【0166】
したがって、キラル中心が2つである場合には、1つの場合と比べて顕著な差別性と優秀性を示し、この固有光回転度に比例するキラルドーパントの性能が一層優れていると判断される。
【0167】
この時、比較例1乃至9はアルコール形態であり、実施例5乃至14の化合物はベンゾエート構造で骨格上の差はあるが、固有光回転度はキラル中心のキラル性に関する特性であるために骨格上の差は大きな問題とはならない。
【0168】
実験例2.
(相転移温度の測定)
前記実施例5乃至14の2つのキラル中心を有する化合物であるキラルドーパントのDSC観測結果で測定された融点を下記表3に記録した。合成したキラルドーパントを偏光顕微鏡で5℃/min速度で温度を変化させながら観測をし、相転移が起こる付近では1℃/minの速度に減らして加熱と冷却をすることによって相を観察した。
【0169】
前記実施例5乃至14の2つのキラル中心を有する光学活性アルコキシ−4−(4−アルコキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート化合物の液晶上の観察及び相転移温度の測定のために、偏光顕微鏡及び示差熱分析器(differential scanning calorimeter:DSC)を利用した。偏光顕微鏡加熱装置の温度はN−しゅう素コハク酸イミド(NBS)及びベンズ酸を標準試料として使用して補正し、加熱速度と冷却速度は1〜2℃/分に調節した。試料を20mm×20mm×0.01mmサイズのガラス板の間に液晶を入れ、加熱装置に挿入して偏光顕微鏡で液晶上を観察した。偏光板と検光板を90°に固定させ、倍率を500倍にして測定した。示差熱分析器(Perkin Elmer社のDSC−7series)の温度及び転移エネルギーは高純度のインジウム(Indium;99.9%、156.60℃、28.45J/g)を使用して補正した。また、加熱装置付き偏光顕微鏡で測定した相転移温度範囲を基準にしてDSCのスキャニング範囲を決め、試料量は2〜4mg程度を使用した。試料の加熱速度と冷却速度は3℃/分に同一に調節して測定した。
【0170】
【表3】

【0171】
測定した結果、本発明の光学活性アルコキシアルコールから誘導された2つのキラル中心を有する大部分の光学活性アルキル4−(4−アルコキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート化合物は、それ自体では液晶性を示さなかった。したがって、本発明によると、ベンゾエート化合物の構造などを考慮して液晶とキラルドーパントとの溶解度を増加させることができる。また、本発明は液晶組成物内のキラルドーパントの結晶化傾向を最少化し、2つのキラル中心 を含む液晶組成物内でのキラルドーパントの安定性を増加させてキラルドーパントによる液晶組成物の相転移低下を防止することが可能であることを十分に予測できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式2で示されるベンゾエート化合物。
【化1】

(前記化学式2で、Rは以下の化学式Aであり(ここで、mは1乃至2の整数であり、nは0または1の整数であり、*は非対称炭素である)、Rは炭素数1乃至9の直鎖アルキル基である。)
【化2】

【請求項2】
前記化学式2のR定義でnは0であり、mは1乃至2の整数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化学式2のR定義でnは1であり、mは1の整数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物は、
(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル−4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、
(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル−4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、
(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル−4−(4−ヘキチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、
(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−ヘプチル−4−(4−ヘキチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、
(2S、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチル−4−(4−ヘキチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、
(2R、5S)−5−メチル−4−オキサ−2−オクチル−4−(4−ヘキチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、
(2S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチル−4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、
(2R、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチル−4−(4−ペンチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、
(2S、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチル−4−(4−ヘキチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエート、または
(2R、6S)−6−メチル−4−オキサ−2−オクチル−4−(4−ヘキチルオキシフェニル−4−カルボニルオキシ)ベンゾエートである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
下記反応式3で示され、
a)化学式1の2つのキラル中心を有する光学活性アルコキシアルコール化合物を化学式13のベンゾキシベンゾ酸と反応させて化学式14で示される化合物を製造し、
b)前記化学式14の化合物を加水分解して化学式15で示される化合物を製造し、及び
c)前記化学式15の化合物を化学式16のアルコキシベンゾ酸と反応させる段階を含む化学式2のベンゾエート化合物の製造方法。
【化3】

(前記反応式3で、R及びRは前記化学式2で定義された通りである。)
【請求項6】
下記反応式4で示され、
化学式1の2つのキラル中心を有する光学活性アルコキシアルコール化合物を化学式17のアルコキシフェニルカルボニルオキシベンゾ酸と反応させる段階を含む化学式2のベンゾエート化合物の製造方法。
【化4】

(前記反応式4で、R及びRは前記化学式2で定義された通りである。)
【請求項7】
下記の化学式2の光学活性ベンゾエート化合物を含むキラルドーパント。
【化5】

(前記化学式2で、Rは以下の化学式Aであり(ここで、mは1乃至2の整数であり、nは0または1の整数であり、*は非対称炭素である)、Rは炭素数1乃至9の直鎖アルキル基である。)
【化6】


【公開番号】特開2010−24232(P2010−24232A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171506(P2009−171506)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(500013751)東進セミケム株式会社 (72)
【氏名又は名称原語表記】Dongjin Semichem Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】472−2 Gajwa−dong,Seo−ku,Incheon−city 404−250,Korea
【出願人】(504093733)プサン ナショナル ユニバーシティー インダストリー−ユニバーシティー コーポレーション ファウンデーション (5)
【Fターム(参考)】