説明

光学異方性フィルムの製造方法及び光学異方性フィルム

【課題】耐屈曲性に優れた色素配向膜を有する光学異方性フィルムを提供する。
【解決手段】液晶形成能を有する二色性色素を含む等方性溶液を調製し、等方性溶液を可撓性支持体上に剪断力を付与しながら展開し、展開された等方性溶液に、剪断力を付与した位置から等方性溶液の展開方向に10mm、可撓性支持体の表面から高さ方向に10mm離れた位置で0.05m/秒以上の風速を有し、15〜60℃の温度を有する風をあてて乾燥することにより形成される色素配向膜は耐屈曲性に優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二色性色素を含む色素配向膜を可撓性支持体上に有する光学異方性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
二色性色素を含む色素配向膜は、例えば、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルムなどの光学異方性フィルムとしての利用が考えられている。
このような色素配向膜の製造方法としては、例えば、良好な偏光特性を有する偏光膜を得るため、幅広い濃度、温度、pHの範囲で安定なリオトロピック液晶を形成する二色性色素を用い、リオトロピック液晶の二色性色素溶液を基材上に供給し、剪断力で液晶中の色素の超分子複合体を配向し、乾燥して色素配向膜を作製する方法が提案されている(例えば特許文献1、2)。
【0003】
上記のようなリオトロピック液晶とした二色性色素溶液を用いる理由は、低濃度の等方性溶液を配向処理が施されていない基材上に塗布した場合、乾燥途上でリオトロピックネマチック液晶相が導入されてもネマチック液晶相が短時間しか存在せず、剪断力を受けることによる液晶の配向が生じないためと考えられている(例えば、特許文献1の第10頁第15行〜第22行)。
【0004】
また、偏光性能を向上するため、上記と同様にリオトロピック液晶の二色性色素溶液を用いた、いわゆるカスケード結晶化プロセスも提案されている(例えば、特許文献3)。このカスケード結晶化プロセスは、両親媒性分子のリオトロピック液晶を形成する工程と、リオトロピック液晶を剪断力の作用下において基材上に配向させる工程と、乾燥/結晶化工程とからなる。上記両親媒性分子としては、共役π結合を有する多環式有機化合物のディスク状分子で、分子周辺部に親水基を導入した二色性色素と同様の構造を有する色素が用いられている。
【特許文献1】特許3492693号公報
【特許文献2】特許3667637号公報
【特許文献3】特表2007−504305号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、偏光膜などの光学異方性フィルムは、液晶表示装置などに組み入れるためのハンドリング時に折り曲げられる場合がある。このため、色素配向膜に曲げ応力がかかりやすい。また、色素配向膜を有する光学異方性フィルムを工業的に生産する場合、基材として高分子フィルムなどからなる長尺の可撓性支持体を用い、連続搬送される可撓性支持体上に二色性色素溶液を塗布し、乾燥する生産工程を利用すれば、一度に多数の光学異方性フィルムを生産できるため、生産効率を向上することができる。しかしながら、このような生産工程では、塗布、乾燥後に連続搬送される可撓性支持体が巻き取りロールに巻き取られるため、色素配向膜には巻き取りロール上で曲げ応力がかかる。
【0006】
従って、色素配向膜には一定の屈曲性が必要とされるが、上記のようなリオトロピック液晶の二色性色素溶液を用いて形成された色素配向膜は耐屈曲性に劣り、色素配向膜にひび割れや剥れなどが生じやすいという問題がある。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、耐屈曲性に優れた色素配向膜を有する光学異方性フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光学異方性フィルムの製造方法であって、
液晶形成能を有する二色性色素を含む等方性溶液を調製し、
前記等方性溶液を可撓性支持体上に剪断力を付与しながら展開し、
前記展開された等方性溶液に、剪断力を付与した位置から等方性溶液の展開方向に10mm、可撓性支持体の表面から高さ方向に10mm離れた位置で0.05m/秒以上の風速を有し、15〜60℃の温度を有する風をあてて乾燥する光学異方性フィルムの製造方法である。
等方性溶液に剪断力を付与して可撓性支持体上に展開し、該等方性溶液を極めて短時間で乾燥すれば、液晶状態にない等方性溶液を用いた場合であっても、等方性溶液中の二色性色素が剪断力により配向しているうちに液晶を形成することができ、該二色性色素の配向を維持した状態で二色性色素を可撓性支持体上に固定化できる。また、上記のようにして等方性溶液を用いて形成される色素配向膜は、液晶状態の二色性色素溶液を用いて形成される色素配向膜よりも耐屈曲性に優れている。
【0009】
上記製造方法において、前記可撓性支持体を連続搬送しながら、前記等方性溶液の展開及び乾燥を行ってもよい。可撓性支持体を連続搬送しながら色素配向膜を形成する場合、巻き取りロールに可撓性支持体が巻き取られるため、色素配向膜に曲げ応力がかかりやすいが、上記製造方法によれば、耐屈曲性に優れた色素配向膜が形成されるため、このような製造方法によってもひび割れ、剥れなどの少ない色素配向膜を形成することができる。
【0010】
また、前記等方性溶液は、濡れ性付与剤を含有することが好ましい。上記製造方法によれば、可撓性支持体上に等方性溶液を展開する際の等方性溶液のレベリングを向上することができる。
【0011】
さらに、前記等方性溶液は、アセチレングリコール系化合物及びアセチレンアルコール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の濡れ性付与剤を含有することが好ましい。上記製造方法によれば、水溶液をはじきやすい高分子フィルムからなる可撓性支持体を用いた場合でも、等方性溶液のレベリングを向上することができる。
【0012】
そして、本発明は、上記製造方法により製造される光学異方性フィルムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、耐屈曲性に優れた色素配向膜を有する光学異方性フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
既述したように、二色性色素を含有する等方性溶液を用いて色素配向膜を形成する場合、リオトロピックネマチック液晶相が短時間しか存在せず、剪断力による配向が十分に生じないことが報告されている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、等方性溶液に剪断力を付与して可撓性支持体上に展開し、該等方性溶液の乾燥条件を調整すれば、液晶状態にない等方性溶液を用いた場合であっても、等方性溶液中の二色性色素が剪断力により配向しているうちに液晶が形成され、配向を維持した状態で二色性色素を可撓性支持体上に固定化できることが見出された。従って、本実施の形態の製造方法によれば、従来のように液晶状態の二色性色素溶液の調製が不要となり、また等方性溶液が用いられても、配向処理を施した可撓性支持体を用いることなく、例えば偏光性能を有する色素配向膜を作製することができる。
【0015】
また、上記のようにして等方性溶液を用いて形成される色素配向膜は、液晶状態の二色性色素溶液を用いて形成される色素配向膜よりも耐屈曲性にも優れている。この理由は現在のところ必ずしも明らかではないが、屈曲によって色素配向膜にひび割れ、剥れなどが発生するのは色素配向膜が二色性色素の結晶層からなることに起因するためと考えられる。すなわち、従来法で作製される色素配向膜は、二色性色素のリオトロピック液晶に剪断力を掛けて塗布することで、分離している二色性色素の分子が結晶化の間に見えなくなる(転移する)線状集合に代わって、結晶格子の構造単位となるためと考えられている(例えば、特許文献2の第8頁第43行〜第45行)。これは、乾燥途上で線状集合である二色性色素の超分子複合体が組み合わさり、また超分子複合体と分離している二色性色素の分子が超分子複合体に組み合わさって、二色性色素の分子が配向した大きな三次元結晶格子が形成されることを意味する。これに対し、本実施の形態によれば、二色性色素の等方溶液に剪断力を掛けて塗布し、該等方性溶液が乾燥するまでの極めて短時間で液晶状態を実現し、等方溶液中の二色性色素の配向を液晶中で固定することにより色素配向膜が作製される。従って、等方性溶液から液晶状態を実現し色素配向膜が形成される際、二色性色素の分子が溶剤の蒸発により超分子複合体を形成しているが、溶剤の蒸発が急激であるため超分子複合体同士の接近が抑制されて、結晶サイズが小さくなるかあるいは色素配向膜中に微細な空隙が形成されていると考えられ、この微細な結晶化あるいは微細な空隙の存在により、耐屈曲性が向上しているものと推測される。
【0016】
本実施の形態において、二色性色素としては、従来公知の液晶形成能を有する二色性色素を使用することができる。具体的には、例えば、C.I.Direct Blue67、C.I.Direct Red81、C.I.Acid Red266、ベンゾパープリン4Bなどのアゾ系色素;シアニン色素;インダンスロン色素;ペリレンを硫酸と反応させて得られるスルホン化ペリレンやアントラキノンを硫酸と反応させて得られるスルホン化アントラキノンなどのスルホン酸あるいはそのアルカリ金属塩を官能基として含む多核芳香族化合物;ジオキサジン系色素などが挙げられる。また、ジソジウムクロモグリケート、あるいはトリフェニレン骨格にジエチレングリコールを導入した誘導体など可視領域の吸光係数が低いかまたは可視光に対して吸収のない透明性の二色性色素を用いてもよい。これらは、単独もしくは複数混合して用いてもよい。上記のような二色性色素は、例えば、玉置敬、液晶学会誌、“クロモニック液晶の光配向”、11巻(1号)、37〜45(2007)や、関隆広監修、新規クロミック材料の設計・機能・応用、“色素配向膜の開発と応用”、44〜255(2005)に開示されている。
【0017】
上記の二色性色素は、目的とする光学異方性フィルムの用途に応じて適宜選択することができる。例えば、可視領域に光吸収を有するアゾ系色素または多核芳香族系色素を用いた場合、偏光フィルムを得ることができる。また、可視領域の吸光係数が低いまたは可視光に対して吸収を有さない透明性の二色性色素を用いた場合、複屈折性を利用した位相差フィルムまたは光学補償フィルムを得ることができる。また、透明性の二色性色素を有する色素配向膜と、等方性の透明膜とを繰り返し形成すれば、輝度向上フィルムを得ることができる。
【0018】
等方性溶液は、上記のような液晶形成能を有する二色性色素を液晶状態が形成されない濃度で溶剤に溶解することにより調製することができる。等方性溶液中の二色性色素の濃度は、二色性色素が液晶状態を形成しない濃度であれば特に限定されないが、二色性色素の液晶形成濃度をC質量%とすると、該液晶形成濃度Cよりも0.2質量%以上低い濃度(すなわち、C−0.2質量%以下)が好ましく、液晶形成濃度Cよりも1.5質量%以上低い濃度(すなわち、C−1.5質量%以下)がより好ましい。液晶形成濃度よりも十分に低い濃度で二色性色素を含有する等方性溶液を用いることにより、耐屈曲性をさらに向上することができる。一方、等方性溶液中の二色性色素の濃度が低すぎると、液晶に相転移した後、二色性色素が固定化されるまでに長時間要し、配向性が低下する傾向がある。このため、二色性色素の液晶形成濃度Cから6質量%低い濃度まで(すなわち、C−6質量%以上)が好ましく、液晶形成濃度Cから5.5質量%低い濃度まで(すなわち、C−5.5質量%以上)がより好ましい。
【0019】
等方性溶液を調製するための溶剤としては、水または水を主体(全溶剤中の水の含有量が50容量%以上)として含有する溶剤を用いることができる。水以外の他の溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アルコールなどの水に可溶な有機溶剤が挙げられる。
【0020】
等方性溶液は、可撓性支持体への濡れ性を改善するため、濡れ性付与剤を含有してもよい。二色性色素を含有する等方性溶液は、溶剤の主成分に水を含有するため、等方性溶液を高分子フィルムからなる可撓性支持体上に展開する際、等方性溶液のレベリングが不十分となりやすい。従って、濡れ性付与剤を等方性溶液に含有させることで等方性溶液の表面張力を低減でき、等方性溶液の可撓性支持体上でのレベリングを向上できる。このような濡れ性付与剤としては、アセチレングリコール系化合物及びアセチレンアルコール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の濡れ性付与剤が好ましい。市場で入手可能なアセチレングリコール系化合物としては、日信化学工業社製のサーフィノール104E、同104H、同104Aなどの104シリーズ、サーフィノール420、同440、同465などの400シリーズ、サーフィノールSE、同SE−F、同504、同DF37、同DF58、同CT111、同CT121、同CT131、同CT136、同CT151、同TG、同GA、オルフィンE1004、同E1010、同AK−02などが挙げられる。また、市場で入手可能なアセチレンアルコール系化合物としては、日信化学工業社製のサーフィノール61、オルフィン61、同B、同Pなどが挙げられる。上記濡れ性付与剤は、アセチレン基を含み、非イオン性の低分子量化合物という点で共通した性質を有している。上記の濡れ性付与剤を等方性溶液に添加する場合、溶液が30〜50mN/mの表面張力を有するように濡れ性付与剤を等方性溶液に添加することが好ましく、30〜45mN/mの表面張力を有するように添加することがより好ましい。上記表面張力の範囲外の場合、可撓性支持体の種類によっては、色素配向膜にピンホールが生じる傾向がある。上記表面張力は、使用する二色性色素や溶剤の種類などにより濡れ性付与剤の添加量を適宜選択することによって調整することができる。なお、表面張力は、例えば、ウイルヘルミープレート法による表面張力計を用いて測定することができる。
【0021】
等方性溶液は、さらに樹脂を含有しても良い。このような樹脂としては、水溶性の樹脂が好ましく、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂;ヒドロキシアルキルセルロース系樹脂;ポリビニルピロリドン系樹脂;またはそれらの共重合体などが挙げられる。また、水溶性アクリルモノマーなどの放射線硬化樹脂、必要によりUV開始剤を等方性溶液に添加し、色素配向膜形成後、放射線を照射して、色素配向膜を硬化してもよい。例えば、エチレングリコール鎖を含むUVモノマーとUV開始剤とを等方性溶液に添加し、色素配向膜形成後、UV照射を行い樹脂を硬化してもよい。これらの水溶性樹脂は単独でも複数混合して用いてもよい。
【0022】
等方性溶液は、例えば、二色性色素と、必要により濡れ性付与剤、樹脂などとを60〜95℃の水などの溶剤と混合し、撹拌して、二色性色素を溶解した後、室温に戻すことにより調製される。濡れ性付与剤、樹脂などの等方性溶液への添加は、二色性色素の溶解前あるいは溶解後であってもよい。
【0023】
本実施の形態において、可撓性支持体としては、光学異方性フィルムの基材として利用される従来公知のフィルムを用いることができる。このようなフィルムとしては、具体的には、例えば、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂フィルム;ポリエチレンテレフタレートなどのエステル系樹脂フィルム;シクロオレフィン系樹脂フィルム;ポリビニルアルコールフィルムなどが挙げられる。また、可撓性支持体は、40〜65mN/mの表面張力を有することが好ましい。上記範囲の表面張力を有する可撓性支持体を用いることにより、等方性溶液のレベリングをさらに向上することができる。このような表面張力を有する可撓性支持体は、例えば、UVオゾン処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理などの表面親水化処理を可撓性支持体に施すことによって得ることができる。なお、可撓性支持体の表面張力は、JIS K 6768に準拠して測定することができる。
【0024】
等方性溶液を可撓性支持体上に展開するための塗布方法としては、可撓性支持体と、塗工ジグ、例えば、塗工バー、塗工ロール、ダイヘッドなどとの接触域で、液溜りが形成される方法が好ましい。液溜りに生じる等方性溶液の流れにより二色性色素が撹拌され、均一な色素配向膜が得られやすい。このような塗布方法としては、バーコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、スロットダイコート法などが挙げられる。等方性溶液を可撓性支持体上に塗布するにあたっては、一枚ごとに可撓性支持体上に等方性溶液を塗布する枚葉式であってもよいし、可撓性支持体を連続搬送しながら等方性溶液を塗布する連続式であってもよい。後者の連続式であれば、多数の光学異方性フィルムを効率的に生産することができる。
【0025】
本実施の形態において、色素配向膜は、上記のような等方性溶液を可撓性支持体上に剪断力を付与しながら展開し、展開された等方性溶液に剪断力を付与した位置から等方性溶液の展開方向に10mm離れ、可撓性支持体の表面から高さ方向に10mm離れた位置で0.05m/秒以上の風速を有し、15〜60℃の温度を有する風をあてて乾燥することにより形成される。等方性溶液に剪断力を付与し、極めて短時間で乾燥することにより、等方性溶液中の二色性色素がネマチック液晶相となり、配向処理を施していない可撓性支持体を用いた場合でも、二色性色素を可撓性支持体上に配向させ固定化することができる。そして、配向された二色性色素が従来法より微結晶となっているかあるいは微細な空隙を多く含む配向膜となり、耐屈曲性を向上することができる。乾燥風の風速が0.05m/秒未満であったり、温度が15℃未満では乾燥に長時間を要し、剪断力の付与によって形成された二色性色素の配向が乱れ、色素配向膜の配向性が低下する。また、乾燥するまでの時間が長いと、展開された溶液中で形成された超分子複合体の一部が従来法と同様に組み合わさってくると考えられ、耐屈曲性が低下しやすくなる。乾燥風の温度が60℃より高いと、二色性色素が溶解しやすくなるため、剪断力を付与した位置でネマチック液晶相が形成され難くなるとともに、耐屈曲性が低下しやすくなる。なお、乾燥風の風速は、大きいほど乾燥を短時間化できるため有利であるが、薄い可撓性支持体を用いた場合、乾燥風により可撓性支持体が変動し、色素配向膜にムラが発生しやすくなる。このため、乾燥風の風速は1.5m/秒以下が好ましく、1.0m/秒以下がより好ましい。乾燥風の風向は、特に制限はなく、可撓性支持体の上方または下方から剪断力が付与された位置に略鉛直方向に乾燥風をあててもよいが、等方性溶液の展開方向の上流側または下流側から、展開方向に平行あるいは対向する方向で乾燥風をあてると、等方性溶液の乾燥が均一に進み、ムラの少ない色素配向膜が得られやすいため、好ましい。
【0026】
本実施の形態の光学異方性フィルムは、色素配向膜の耐候性を向上するため、色素配向膜上にオーバーコート層を設けたり、色素配向膜に2価以上の金属イオンのドープを行ってもよい。オーバーコート層は、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)などのアクリルモノマーとUV開始剤とを含有する溶液を色素配向膜上に塗布、硬化する方法、ポリメチルメタクリレートなどのポリマーを溶剤に溶解した溶液を色素配向膜上に塗布する方法などにより形成することができる。また、金属イオンのドープは、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム、銅、鉄などの2価以上の金属のイオンを含有する溶液に光学異方性フィルムを浸漬する方法、該金属イオンを含有する溶液を色素配向膜上に塗布する方法などにより行うことができる。
【0027】
色素配向膜の厚みは、偏光膜として利用する場合、50〜1000nmが好ましく、100〜500nmがより好ましい。厚みが50nmより薄いとコントラスト向上効果が乏しくなる。一方、厚みが1000nmより厚いと光の透過率が乏しくなる。光学異方性フィルムを位相差フィルムとして利用する場合、すなわち透明性の二色性色素を用いる場合、いわゆるリターデーションを適正化するため、厚みは100〜5000nmが好ましい。
【0028】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下で、「部」とあるのは、「質量部」を、「%」とあるのは、「質量%」を意味する。
【実施例】
【0029】
[実施例1]
(二色性色素溶液の調製)
二色性色素(C.I.Direct Blue67,液晶形成濃度:約7.5%[25℃])6部、水(抵抗率:16MΩ・cm以上)94部、及び濡れ性付与剤(オルフィンE1010,日信化学工業社製,アセチレングリコール系化合物)0.05部を80℃で撹拌混合した。二色性色素を溶解させた後、室温まで自然冷却して二色性色素溶液(二色性色素の濃度:6%)を調製した。得られた二色性色素溶液を偏光顕微鏡で観察したところ、等方性溶液であることを確認した。また、二色性色素溶液の表面張力は、35mN/mであった。
【0030】
(光学異方性フィルムの作製)
可撓性支持体として、UVオゾン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm,表面張力:50mN/m)を用いた。この可撓性支持体上に上記で調製した等方性溶液を供給し、#2のワイヤーバーを速度2m/分で移動させることによって等方性溶液に剪断力を付与しながら展開し、乾燥風の風向きが等方性溶液の展開方向と略平行に対向するように下流側から、ワイヤーバーと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置に風をあてて等方性溶液を乾燥した。乾燥風は、ワイヤーバーと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置から展開方向に10mm、可撓性支持体の表面から高さ方向に10mm離れた位置で、風速が0.1m/秒、温度が25℃となるように調整した。上記のようにして可撓性支持体上に枚葉式で色素配向膜を形成し、光学異方性フィルムを作製した。得られた光学異方性フィルムをヨウ素偏光板と組み合わせて色素配向膜の偏光性能を評価したところ、偏光膜が形成されていることを確認した。
【0031】
[実施例2]
(二色性色素溶液の調製)
二色性色素を2部、水を98部、及び濡れ性付与剤を0.1部用いた以外は、実施例1と同様にして二色性色素溶液(二色性色素の濃度:2%)を調製した。得られた二色性色素溶液を偏光顕微鏡で観察したところ、等方性溶液であることを確認した。また、二色性色素溶液の表面張力は、33mN/mであった。
【0032】
(光学異方性フィルムの作製)
可撓性支持体として、UVオゾン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm,表面張力:55mN/m)を用いた。この可撓性支持体上に上記で調製した等方性溶液を供給し、#2のワイヤーバーを速度3m/分で移動させることによって等方性溶液に剪断力を付与しながら展開し、乾燥風の風向きが可撓性支持体の上方から略鉛直方向になるように、ワイヤーバーと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置に風をあてて等方性溶液を乾燥した。乾燥風は、ワイヤーバーと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置から展開方向に10mm、可撓性支持体の表面から高さ方向に10mm離れた位置で、風速が1.0m/秒、温度が25℃となるように調整した。上記のようにして可撓性支持体上に枚葉式で色素配向膜を形成し、光学異方性フィルムを作製した。得られた光学異方性フィルムをヨウ素偏光板と組み合わせて色素配向膜の偏光性能を評価したところ、偏光膜が形成されていることを確認した。
【0033】
[実施例3]
(二色性色素溶液の調製)
二色性色素を3部、水を97部、及び濡れ性付与剤を0.025部用いた以外は、実施例1と同様にして二色性色素溶液(二色性色素の濃度:3%)を調製した。得られた二色性色素溶液を偏光顕微鏡で観察したところ、等方性溶液であることを確認した。また、二色性色素溶液の表面張力は、37mN/mであった。
【0034】
(光学異方性フィルムの作製)
可撓性支持体として、コロナ処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm,表面張力:60mN/m)を用いた。この可撓性支持体上に上記で調製した等方性溶液を供給し、#2のワイヤーバーを速度3m/分で移動させることによって等方性溶液に剪断力を付与しながら展開し、乾燥風の風向きが等方性溶液の展開方向と略平行に対向するように下流側から、ワイヤーバーと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置に風をあてて等方性溶液を乾燥した。乾燥風は、ワイヤーバーと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置から展開方向に10mm、可撓性支持体の表面から高さ方向に10mm離れた位置で、風速が0.05m/秒、温度が60℃となるように調整した。上記のようにして可撓性支持体上に枚葉式で色素配向膜を形成し、光学異方性フィルムを作製した。得られた光学異方性フィルムをヨウ素偏光板と組み合わせて色素配向膜の偏光性能を評価したところ、偏光膜が形成されていることを確認した。
【0035】
[実施例4]
(二色性色素溶液の調製)
実施例2と同様にして、等方性溶液を調製した。
【0036】
(光学異方性フィルムの作製)
可撓性支持体として、UV/オゾン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm,表面張力:55mN/m)を用いた。この可撓性支持体上に上記で調製した等方性溶液を供給し、#2のワイヤーバーを速度2m/分で移動させることによって等方性溶液に剪断力を付与しながら展開し、乾燥風の風向きが可撓性支持体の上方から略鉛直方向になるように、ワイヤーバーと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置に風をあてて等方性溶液を乾燥した。乾燥風は、ワイヤーバーと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置から展開方向に10mm、可撓性支持体の表面から高さ方向に10mm離れた位置で、風速が1.5m/秒、温度が25℃となるように調整した。上記のようにして可撓性支持体上に枚葉式で色素配向膜を形成し、光学異方性フィルムを作製した。得られた光学異方性フィルムをヨウ素偏光板と組み合わせて色素配向膜の偏光性能を評価したところ、偏光膜が形成されていることを確認した。
【0037】
[実施例5]
(二色性色素溶液の調製)
実施例2と同様にして、等方性溶液を調製した。
【0038】
(光学異方性フィルムの作製)
可撓性支持体として、UVオゾン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm,表面張力:55mN/m)を用いた。この可撓性支持体上に上記で調製した等方性溶液を供給し、#2のワイヤーバーを速度2m/分で移動させることによって等方性溶液に剪断力を付与しながら展開し、乾燥風の風向きが等方性溶液の展開方向と略平行に対向するように下流側から、ワイヤーバーと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置に風をあてて等方性溶液を乾燥した。乾燥風は、ワイヤーバーと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置から展開方向に10mm、可撓性支持体の表面から高さ方向に10mm離れた位置で、風速が1.0m/秒、温度が15℃となるように調整した。上記のようにして可撓性支持体上に枚葉式で色素配向膜を形成し、光学異方性フィルムを作製した。得られた光学異方性フィルムをヨウ素偏光板と組み合わせて色素配向膜の偏光性能を評価したところ、偏光膜が形成されていることを確認した。
【0039】
[実施例6]
(二色性色素溶液の調製)
二色性色素を5部、水を95部、及び濡れ性付与剤を0.05部用いた以外は、実施例1と同様にして二色性色素溶液(二色性色素の濃度:5%)を調製した。得られた二色性色素溶液を偏光顕微鏡で観察したところ、等方性溶液であることを確認した。また、二色性色素溶液の表面張力は、33mN/mであった。
【0040】
(光学異方性フィルムの作製)
可撓性支持体として、コロナ処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm,表面張力:60mN/m)を用いた。この可撓性支持体を速度5m/分で連続搬送しつつ、上記で調製した等方性溶液を供給したインクパンからマイクログラビアロール(斜線:#250)を用いて等方性溶液に剪断力を付与しながら可撓性支持体上に展開し、乾燥風の風向きが等方性溶液の展開方向と略平行に対向するように下流側から、グラビアロールと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置に風をあてて等方性溶液を乾燥した。乾燥風は、グラビアロールと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置から展開方向に10mm、可撓性支持体の表面から高さ方向に10mm離れた位置で、風速が0.5m/秒、温度が30℃となるように調整した。乾燥後、巻き取りロールに可撓性支持体を巻き取り、可撓性支持体上に連続式で色素配向膜を形成した原反ロールを作製した。次いで、原反ロールを所定サイズに切り出して、光学異方性フィルムを作製した。得られた光学異方性フィルムをヨウ素偏光板と組み合わせて色素配向膜の偏光性能を評価したところ、偏光膜が形成されていることを確認した。
【0041】
[比較例1]
(二色性色素溶液の調製)
実施例3と同様にして、等方性溶液を調製した。
【0042】
(光学異方性フィルムの作製)
上記で調製した等方性溶液を用い、乾燥に、風を用いず、25℃の温度で等方性溶液を自然乾燥させた以外は、実施例1と同様にして光学異方性フィルムを作製した。得られた光学異方性フィルムをヨウ素偏光板と組み合わせて色素配向膜の偏光性能を評価したところ、偏光特性を示さず、偏光膜が形成されていないことが確認された。
【0043】
[比較例2]
(二色性色素溶液の調製)
二色性色素を1.5部、水を98.5部、及び濡れ性付与剤を0.025部用いた以外は、実施例1と同様にして二色性色素溶液(二色性色素の濃度:1.5%)を調製した。得られた二色性色素溶液を偏光顕微鏡で観察したところ、等方性溶液であることを確認した。また、二色性色素溶液の表面張力は、38mN/mであった。
【0044】
(光学異方性フィルムの作製)
可撓性支持体として、コロナ処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm,表面張力:60mN/m)を用いた。この可撓性支持体上に上記で調製した等方性溶液を供給し、#5のワイヤーバーを速度2m/分で移動させることによって等方性溶液に剪断力を付与しながら展開し、乾燥風の風向きが可撓性支持体の上方から略鉛直方向になるように、ワイヤーバーと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置に風をあてて等方性溶液を乾燥した。乾燥風は、ワイヤーバーと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置から展開方向に10mm、可撓性支持体の表面から高さ方向に10mm離れた位置で、風速が1.0m/秒、温度が70℃となるように調整した。上記のようにして可撓性支持体上に枚葉式で色素配向膜を形成し、光学異方性フィルムを作製した。得られた光学異方性フィルムをヨウ素偏光板と組み合わせて色素配向膜の偏光性能を評価したところ、偏光特性を示さず、偏光膜が形成されていないことが確認された。
【0045】
[比較例3]
(二色性色素溶液の調製)
実施例2と同様にして、等方性溶液を調製した。
【0046】
(光学異方性フィルムの作製)
可撓性支持体として、UVオゾン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm,表面張力:55mN/m)を用いた。この可撓性支持体上に上記で調製した等方性溶液を供給し、#2のワイヤーバーを速度2m/分で移動させることによって等方性溶液に剪断力を付与しながら展開し、乾燥風の風向きが等方性溶液の展開方向と略平行に対向するように下流側から、ワイヤーバーと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置に風をあてて等方性溶液を乾燥した。乾燥風は、ワイヤーバーと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置から展開方向に10mm、可撓性支持体の表面から高さ方向に10mm離れた位置で、風速が1.0m/秒、温度が10℃となるように調整した。上記のようにして可撓性支持体上に枚葉式で色素配向膜を形成し、光学異方性フィルムを作製した。得られた光学異方性フィルムをヨウ素偏光板と組み合わせて色素配向膜の偏光性能を評価したところ、偏光特性を示さず、偏光膜が形成されていないことが確認された。
【0047】
[比較例4]
(二色性色素溶液の調製)
二色性色素を10部、水を90部、及び濡れ性付与剤を0.1部用いた以外は、実施例1と同様にして二色性色素溶液(二色性色素の濃度:10%)を調製した。得られた二色性色素溶液を偏光顕微鏡で観察したところ、異方性を示し、液晶状態の溶液であることを確認した。また、二色性色素溶液の表面張力は、34mN/mであった。
【0048】
(光学異方性フィルムの作製)
可撓性支持体として、コロナ処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm,表面張力:60mN/m)を用いた。この可撓性支持体を速度5m/分で連続搬送しつつ、上記で調製した液晶状態の二色性色素溶液を供給したインクパンからマイクログラビアロール(斜線:#250)を用いて二色性色素溶液に剪断力を付与しながら可撓性支持体上に展開し、乾燥風の風向きが等方性溶液の展開方向と略平行に対向するように下流側から、グラビアロールと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置に風をあてて等方性溶液を乾燥した。乾燥風は、グラビアロールと可撓性支持体とが接触する剪断力が付与される位置から展開方向に10mm、可撓性支持体の表面から高さ方向に10mm離れた位置で、風速が0.5m/秒、温度が30℃となるように調整した。乾燥後、巻き取りロールに可撓性支持体を巻き取り、可撓性支持体上に連続式で色素配向膜を形成した原反ロールを作製した。次いで、原反ロールを所定サイズに切り出して、光学異方性フィルムを作製した。得られた光学異方性フィルムをヨウ素偏光板と組み合わせて色素配向膜の偏光性能を評価したところ、偏光膜が形成されていることを確認した。
【0049】
以上の実施例及び比較例で作製した各光学異方性フィルムの耐屈曲性、及び色素配向膜のムラを以下の方法で評価した。表1に光学異方性フィルムの作製条件及び評価結果を示す。
【0050】
<耐屈曲性>
実施例及び比較例で作製した各光学異方性フィルムを50mm×150mmの大きさに切り出した測定試料を用意した。この測定試料を、直径6.25mmの円柱状の棒に色素配向膜の形成された面が外側になるように塗布方向に巻き付けた。測定試料を棒に室温で5分間巻き付け状態で保持した後、巻きほぐし、色素配向膜にセロテープ(登録商標)(幅:15mm,長さ:125mm)を貼り付け、色素配向膜にセロテープを接触させるため、セロテープ面を指先で擦りつけた。その後、セロテープ端をつかみ、約60度の角度で0.5〜1秒かけて色素配向膜からセロテープを剥離させた。剥離後、セロテープに付着した剥離片の大きさ及び個数を測定し、以下の基準で耐屈曲性を評価した。
○:径0.3mm以上の剥離片なし
△:径0.3mm以上の剥離片が1〜10個
×:径0.3mm以上の剥離片が11個以上
【0051】
<ムラ>
実施例及び比較例で作製した各光学異方性フィルムを150mm×150mmの大きさに切り出した測定試料を用意した。この測定試料の色素配向膜の反射光及び透過光の色合いの変化、明るさの変化を目視により観察し、以下の基準で評価した。
○:色合い、明るさに変化無し(ムラ無し)
△:色合い、明るさに若干変化あり(ムラあり)
【0052】
【表1】

【0053】
上記表1に示すように、二色性色素を含有する等方性溶液に剪断力を付与して展開し、極めて短時間で乾燥することにより、偏光性能を有し、耐屈曲性に優れた色素配向膜を形成できることが分かる。また、製造時に色素配向膜に曲げ応力がかかる連続式の塗布方法を用いた場合でも、耐屈曲性に優れた光学異方性フィルムを作製できることが分かる。さらに、乾燥風の風速が0.05〜1.0m/秒であれば、薄い可撓性支持体を用いた場合でも、耐屈曲性及びムラの両方が改善された光学異方性フィルムを作製できる。
これに対して、等方性溶液を用いた場合でも、乾燥に風を用いなかった比較例1や、乾燥風の温度が低すぎる比較例3では、偏光性能を有する色素配向膜を形成することができなかった。これは、剪断力を付与してから乾燥が終了するまでに長時間を要し、配向性が低下したためと考えられる。乾燥風の温度が高過ぎる比較例2では、同様に偏光性能を有する色素配向膜を形成することができなかった。これは、剪断力が付与される位置に高温の乾燥風があてられるため、乾燥風の温度によって二色性色素が溶解しやすくなり、剪断力が付与された位置で配向性を有する液晶が形成され難いためと考えられる。また、これらの色素配向膜は耐屈曲性も劣っていた。なお、従来法である液晶状態の二色性色素溶液を用いた比較例4では、配向性を有する色素配向膜は形成されるが、耐屈曲性が不十分となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学異方性フィルムの製造方法であって、
液晶形成能を有する二色性色素を含む等方性溶液を調製し、
前記等方性溶液を可撓性支持体上に剪断力を付与しながら展開し、
前記展開された等方性溶液に、剪断力を付与した位置から等方性溶液の展開方向に10mm、可撓性支持体の表面から高さ方向に10mm離れた位置で0.05m/秒以上の風速を有し、15〜60℃の温度を有する風をあてて乾燥する光学異方性フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記可撓性支持体を連続搬送しながら、前記等方性溶液の展開及び乾燥を行う請求項1に記載の光学異方性フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記等方性溶液は、濡れ性付与剤を含有する請求項1または2に記載の光学異方性フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記等方性溶液は、アセチレングリコール系化合物及びアセチレンアルコール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の濡れ性付与剤を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学異方性フィルムの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法によって製造される光学異方性フィルム。

【公開番号】特開2009−75197(P2009−75197A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242052(P2007−242052)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】