説明

光学的圧力測定

【課題】ハウジングからなる感知装置を提供する。
【解決手段】前記ハウジングが媒体を含み、前記媒体が、生きた身体内の組織と接触し、身体組織によって表面上に付与される力に応答して変形するように構成されている弾性の透明外側表面を有する。装置は、ハウジング内に収容され、放射線を表面に向かって指向させるように構成されている放射線源と、ハウジング内に収容され、表面から反射される放射線を感知し、そして反射放射線の振幅を示す信号を出力するように構成されている放射線検出器と、を有する。装置は更に、表面の変形に起因する信号における変化を測定し、この変化に応答して力の指示を出力するように結合されているプロセッサを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、力又は圧力測定に関し、特に光学システムを使用したそのような測定に関する。
【背景技術】
【0002】
力又は圧力測定システムを組み込んだ医療プローブが公知である。そのような測定は、医療手順の過程中に用いられて、手順の進行に関する情報を提供することができる。例えば、焼灼手順中に、焼灼されている組織に適用される力を知ることが有利であり得る。
【0003】
参照により本特許出願に組み込まれる文書は、いずれかの用語が、それらの組み込まれた文書内で、本明細書で明示的又は暗黙的に行なわれる定義と相反するように定義される場合を除き、本出願の一体部分と見なされるべきであり、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、感知装置を提供し、前記装置は、
弾性の透明外側表面を有する媒体を含むハウジングであって、前記外側表面が、生きた身体内の組織と接触し、身体組織によって表面上に付与される力に応答して変形するように構成されている、ハウジングと、
ハウジング内に収容され、放射線を表面に向かって指向させるように構成されている放射線源と、
ハウジング内に収容され、表面から反射される放射線を感知し、そして反射放射線の振幅を示す信号を出力するように構成されている放射線検出器と、
表面の変形に起因する信号における変化を測定し、変化に応答して力の指示を出力するよう結合されているプロセッサと、を備える。
【0005】
典型的には、媒体は、弾性の透明固体からなる。固体は、弾性の外側表面の反対側に更なる外側表面を有してもよい。放射線源は、更なる外側表面上に固定的に装着されていてもよい。代替的に、装置は、放射線源を更なる外側表面に結合する放射線ガイドを備えてもよい。放射線検出器は、更なる外側表面上に固定的に装着されていてもよい。代替的に、放射線ガイドが、放射線検出器を更なる外側表面に結合してもよい。
【0006】
開示した実施形態において、ハウジングは、カテーテルプローブの外部壁を含む。
【0007】
開示した更なる実施形態において、弾性の透明外側表面は、凸状である。
【0008】
開示した尚更なる実施形態において、プロセッサは、力と、信号における変化との間の校正関係を記憶するメモリを含み、またプロセッサは、信号における更なる変化を校正関係と比較して、身体組織によって表面に付与される更なる力の値を出力するよう構成されている。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、以下を含む感知装置も提供される。
第1の外側表面を有する弾性の透明媒体であって、前記第1の外側表面が、生きた身体内の組織と接触し、組織によって第1の外側表面上に付与される力に応答して変形するよう構成されている、媒体と、
媒体の第2の外側表面に結合され、放射線を第1の外側表面に向かって指向させるよう構成されている放射線源と、
媒体の第2の外側表面に結合され、第1の外側表面から反射される放射線を感知し、そして反射放射線の振幅を示す信号を出力するように構成されている放射線検出器と、
第1の外側表面の変形に起因する信号における変化を測定し、変化に応答して力の指示を出力するよう結合されているプロセッサ。
【0010】
放射線源は、第2の外側表面上に固定的に装着されていてもよい。放射線検出器も、第2の外側表面上に固定的に装着されていてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、力を感知するための方法が更に提供され、前記方法は、
媒体をハウジングに取り付けることであって、前記媒体が、生きた身体内の組織と接触し、身体組織によって表面上に付与される力に応答して変形するように構成されている弾性の透明外側表面を有する、ことと、
ハウジング内に収容されている放射線源から放射線を表面に向かって指向させることと、
表面から反射される放射線を、ハウジング内に収容されている放射線検出器を用いて感知することと、
反射放射線の振幅を示す信号を出力することと、
表面の変形に起因する信号における変化を測定することと、
変化に応答して、力の指示を出力することと、を含む。
【0012】
本発明の一実施形態により、力を感知するための方法が更に提供され、前記方法は、
第1の外側表面を有する弾性の透明媒体を提供することであって、前記第1の外側表面が、生きた身体内の組織と接触し、組織によって第1の外側表面上に付与される力に応答して変形するよう構成されている、ことと、
媒体の第2の外側表面に放射線源を結合することと、
放射線を第1の外側表面に向かって指向させるよう放射線源を構成することと、
媒体の第2の外側表面に放射線検出器を結合することと、
放射線検出器を用いて、第1の外側表面から反射される放射線を感知することと、
反射放射線の振幅を示す信号を放射線検出器から出力することと、
第1の外側表面の変形に起因する信号における変化を測定することと、
変化に応答して、力の指示を出力することと、を含む。
【0013】
本開示は、以下の発明を実施するための形態を、以下の図面と併せ読むことによって、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による、プローブにより付与された力を測定するためのシステムの概略図。
【図2】本発明の実施形態による、プローブ内のセンサの概略断面図。
【図3】本発明の実施形態による、プローブ内のセンサの概略断面図。
【図4】本発明の実施形態による、プローブ内のセンサの概略断面図。
【図5】本発明の一実施形態による、センサを校正及び使用するためのプロセスのフローチャート。
【図6】本発明の一実施形態による、図5の校正の部に使用され得る装置の概略図。
【図7】本発明の一実施形態による、校正結果を示す概略的なグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概論
本発明の一実施形態は、カテーテルプローブ内に組み込まれてもよい力センサを提供する。センサは、放射線源、典型的にはLED(発光ダイオード)と、放射線の検出器とを含む。検出器は、典型的には、フォトダイオード又はフォトトランジスタであってもよい。センサは、身体組織と接触し、組織によって表面上に付与される力に応答して変形するよう構成されている弾性の透明外側表面を有する媒体も含む。媒体は、典型的には透明レンズの形態であり、外側表面は典型的には湾曲している。媒体、放射線源及び放射線検出器はハウジング内に装着されていてもよく、前記ハウジングは、典型的にはカテーテルプローブの外部壁を含む。
【0016】
放射線源は、該放射線源の放射線を外側表面に向かって指向させるよう構成されている。放射線検出器は、表面から反射される放射線を感知し、反射放射線のレベル又は振幅に応答して信号を出力するよう構成されている。典型的には、放射線源及び放射線検出器は、透明外側表面の反対側の媒体の表面上に装着されている。
【0017】
プロセッサは、外側表面の変形に起因する信号における変化を測定し、表面を変形させる力の値を、変化の関数として定式化することが可能である。
【0018】
本発明の実施形態は、プローブの遠位先端部内に有利に組み込むことができる、簡素な、小型かつ低コストのセンサを提供する。
【0019】
システムの説明
以下、本発明の実施形態による、プローブにより付与される力を測定するためのシステム20の概略図である図1を参照する。システム20はカテーテルプローブ22を備え、プローブ22は、医療手順中に患者24の身体内に挿入される。プローブ22は、略線状プローブ、又はDiamond Bar,CA.のBiosense Webster製の「lasso」プローブ等の、当技術分野にて既知の任意のカテーテルプローブを含む。この手順はオペレータ26、典型的には医療専門家により実行される。例として、本明細書の記載にて想定される手順は、プローブの遠位先端部28を患者の心臓30内に挿入することを含む。しかしながら、本発明の実施形態は、そのような手順に限定されず、プローブにより付与される力を知ることが必要な、又は知ることを用いる任意の手順に使用できることを理解するであろう。
【0020】
プローブの遠位先端部28は光学的圧力センサ32を含み、前記センサ32は、遠位先端部に接触される身体組織31上に遠位先端部によって付与される力を測定することが可能である。例として、組織31は心臓30の組織を含むと想定される。センサ32の構造及び作動は、下記により詳細に記載される。
【0021】
プローブ22は、典型的には遠位先端部28内の追跡要素も含み、前記追跡要素によってシステム20は遠位先端部の位置及び配向を追跡することが可能となる。例えば、位置及び配向は遠位先端部内のコイルを使用して測定することができ、前記コイルは、患者24の外部の磁場送信機により生成された磁場のレベルを検出する。遠位先端部の位置及び配向を追跡するためのそのような技術は、Biosense Webster製のCartoシステムプローブ内で使用されている。例えば、遠位先端部上の電極と患者24の皮膚上の1つ以上の電極との間のインピーダンス測定を用いることによる、遠位先端部の位置及び配向を追跡するための他の技術は当技術分野にて既知である。システム20は、これらの技術の1つ以上を使用して遠位先端部28の位置及び配向を測定することを想定している。単純さ及び明確さのために、位置及び配向の追跡に使用される、遠位先端部内の追跡要素は、略図内に図示されていない。加えて、遠位先端部28の他の要素、例えば電気生理学的測定及び/又は患者24の身体組織の焼灼に使用され得る電極は、略図内に図示されていない。
【0022】
追跡要素からの信号はシステムプロセッサ34により処理され、プロセッサ34は、メモリ38と通信する処理ユニット36を含む。信号はケーブル40を介して移動し、ケーブル40は、プローブ22の追跡要素と、遠位先端部内に組み込まれた電極等のプローブの他の要素とをプロセッサに接続する。プロセッサは、オペレータ26の統括的制御下で、メモリ38に記憶されたソフトウェアを使用して、追跡要素からの信号を解析し、またシステム20の操作と関連した他の機能を実行する。プロセッサ34によって実行される操作の結果は、画面42上でオペレータに提示されて、画面42は、典型的には、オペレータにグラフィックユーザインタフェースを表示し、及び/又は心臓30の画像を表示する。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形式でプロセッサ34にダウンロードされてもよく、あるいは代替又は追加として、磁気、光学、若しくは電子メモリ等の非一時的な有形媒体に提供及び/又は保存されてもよい。
【0023】
プローブ22は、典型的には、プローブの近位端に機械的に接続されているプローブマニピュレータ44によって制御される。オペレータ26はマニピュレータを保持し、マニピュレータを使用して患者内へのプローブの導入、及び患者の外部へのプローブの退出を扱う。
【0024】
センサ32により測定された力のレベルは、図1の拡大部50に図示されているように、画面42上にてアナログ形式46及び/又はデジタル形式48でオペレータ26に提示されてもよい。代替又は追加として、センサ32により決定された力の値は、プロセッサ34により、オペレータが実行している手順に関連した他の因子の決定、例えば、遠位先端部28の心臓30の組織との接触の品質の決定に使用されてもよい。プロセッサは、典型的には、メモリ38内に記憶されている参照テーブル54に由来するセンサ信号/力の校正関係52を使用して、センサにより測定された力を評価する。定式化、及び関係52の使用、並びにテーブル54の生成は、下記に記載されている。
【0025】
図2、3及び4は、本発明の実施形態によるセンサ32の概略断面図である。センサ32は、身体組織31の近傍にあると想定され、センサが組織に接触したとき、身体組織によってセンサ上に付与される力(センサによって身体組織上に付与される拮抗力と等しい)を測定する。図2は、組織31に近接しているが、接触してはいないときのセンサの断面図を示す。図3は、例えば、センサが丁度組織と接触したとき等、センサが身体組織上に低いレベルの力を付与しているときのセンサの断面図を示す。図4は、センサ32と身体組織31との間の力が高いレベルにあるときのセンサの断面図を示す。センサ32の要素の以下の説明における明確さのために、遠位先端部28は、実質的に、対称軸61を有する円筒形と想定される。遠位先端部28は、流体67により包囲されていると想定されてもよく、前記流体は、典型的にはプローブ22が使用されている医療手順中に存在する血液、又は血液と他の流体との混合物である。
【0026】
センサ32はハウジング62内に装着されており、ハウジング62は、本明細書では、プローブ22の外部チューブ壁を含むと想定される。ハウジング62は本明細書でチューブ壁62、又は壁62とも称される。センサ32は放射線源64を使用し、放射線源64は、典型的には電磁放射線を放射可能な発光ダイオード(LED)を含む。代替的に、放射線源64は、例えば、レーザー、白熱光源又はガス放電管等の当技術分野で公知の他の種類の放射線エミッタを含んでもよい。放射線源は、プロセッサ34から配線66を介して電力が供給されてもよい。放射線源64は、図示されるように、典型的には光学接着剤を使用して媒体の第1の表面68上に装着されることによって、弾性の透明固体媒体70に結合される。放射線源64は、軸61から離れた、壁62に近接した表面68の領域63上に装着されてもよい。したがって、領域63は、放射線源64からの放射線のための媒体70の入口して機能する。本明細書の記載における明確さのために、例として、領域63は対称軸61の左側と想定する。
【0027】
代替的に、放射線源64は、例えば光ファイバーケーブル等の放射線伝送ケーブル又は導波路により領域63に結合されてもよい。この場合、放射線源64はプローブ22の近位端に位置していてもよい。
【0028】
放射線源64により放射される放射線は、典型的には可視放射線である。しかしながら、放射線は可視スペクトル内にある必要はなく、赤外線、紫外線、又は電磁スペクトルの他の領域内にあってもよい。
【0029】
媒体70はレンズの一般的形態にあり、本明細書ではレンズ70とも称される。レンズ70において、第1の表面68は典型的には略平坦であり、媒体は、表面68がプローブ22の近位端の方向にあるように配向されている。レンズ70の第1の表面の反対側の第2の表面72は、典型的にはほぼ凸状であり、プローブ22の遠位端、即ち遠位先端部28から突出している。レンズ70は、典型的には、軸61と一致する対称軸を有する。媒体70は、放射線源64から放射される放射線に対して透明であるよう選択される。
【0030】
表面68には放射線検出器74も結合されていて、放射線検出器74は、放射線源64内に源を発する反射放射線を受容した後、配線76を介して電気出力信号をプロセッサ34に伝達するよう構成されている。信号は、反射放射線のレベル、即ち、振幅の尺度である。典型的には、検出器74はフォトダイオード又はフォトトランジスタを含み、その場合、デバイスは、必要であれば配線76を介してプロセッサ34により電力を供給され得る。検出器74は、軸61から離れた、壁62に近接した表面68の領域65上に装着されてもよい。したがって、領域65は、放射線源64からの放射線のための出口として機能する。領域63及び65は、軸61に関して互いに反対側にあり、典型的には軸からほぼ等距離である。上記の領域63の位置の例示的な記載に続き、領域65は軸61の右側にある。
【0031】
代替的に、検出器74は、例えば、光ファイバーケーブル等の放射線伝送ケーブル又は導波路を介して領域65に結合されてもよい。この場合、検出器74はプローブ22の近位端に位置していてもよい。
【0032】
開示した実施形態では、媒体70は、厚さほぼ125マイクロメートルの、熱可塑性ポリウレタン類のブレンドの共押出物として形成される。例として、放射線源64は、ほぼ870nmのピーク波長を有する放射線を放射する、例えばSanta Clara,CAのMarubeni America Corporation製のCN870−30P LED等の赤外線LEDであってもよく、前記LEDはほぼ0.3平方mmである。放射線源64は、媒体70の表面68上に直接装着される。また、例として検出器74は、例えば、Shelton,CTのVishay Semiconductors製のT1090Pフォトトランジスタ等のシリコンNPNフォトトランジスタであってもよく、前記フォトトランジスタはほぼ0.5平方mmである。検出器74も、表面68上に直接装着される。
【0033】
センサ32が作動した際、放射線源64からの放射線が媒体70内に入り、表面72に衝突する。表面72において、入射放射線は、典型的には部分的に表面を透過し、部分的に表面から反射する。部分的に反射された放射線の幾分かは検出器74に戻り、検出器74は検出器が受容した放射線のレベルに従った信号を生成する。
【0034】
検出器74で受容される放射線のレベルは、以下を含む多数の因子に依存する。
●放射線源64から領域63に入る放射線の強度及び空間分布、
●媒体70の透過率、
●表面72の様々な区分と、該区分上の放射線入射とで形成される角度、並びに
●様々な区分が身体組織31に接触しているか否か。
【0035】
これらの因子は、本明細書の記載にそれらを言及する際の利便性のみにより上記の順序で列挙され、この順序は本発明の実施形態にとって本質的なものではないことを理解するであろう。
【0036】
センサ32が使用される医療手順中、リストの最初の2つの因子は、典型的にはセンサと身体組織31との間に作用する力における変化に関連して不変である。しかしながら、次の2つの因子、即ち表面72の様々な区分により形成される角度と、区分が身体組織と接触しているか否か、は、力における変化により変化する。
【0037】
媒体70は弾性であるため、組織31との接触が媒体上に組織からの力を形成して表面72を変形させ、この変形は表面72の曲率の変化を含む。この変形は、表面72の様々な区分と、領域73からの放射線入射とで形成される角度を変化させる。
【0038】
加えて、媒体70及び組織31の弾性によって、2つの媒体間の力が変化するにつれて、表面72と接触している組織の範囲も変化する。接触範囲における変化は、流体67の透過率及び屈折率、並びに組織31の透過率及び屈折率等の因子により、表面72から検出器74に戻る放射線に影響を与える。
【0039】
最後の2つの因子によって生じる効果の結果、本発明の実施形態は、2つの媒体が接触しているとき、検出器74により受容される放射線のレベルを、媒体70と組織31との間に作用する力の良好な尺度として使用することができる。センサ32のための校正プロセスを以下に記載する。
【0040】
図5は、本発明の実施形態による、センサ32を校正及び使用するためのプロセスのフローチャート100であり、図6は、プロセスの校正の部に使用され得る装置101の概略図であり、図7は、校正結果を示す概略的なグラフである。センサ32は、センサに適用される多様な既知の有効力に関する検出器74からの信号レベルを決定することにより、患者34の身体外部で校正され、既知の力は典型的にはゼロの有効力を含む。既知の力を適用するための方法は、プローブ及びプローブに取り付けられたセンサを単に、例えば、計り等の力計測器に押さえ付けることから、プローブ及びプローブのセンサを力計測器に対して制御下で移動させるシステムまで様々なものがある。以下の記載は、制御下での校正を想定し、他の校正方法、及び本記載の適切な適合が当業者には明かとなろう。
【0041】
校正のために、模倣身体組織102を、典型的には組織を覆う血液を模倣する流体106と共に容器104内に配置し得る。代替的に、校正は、容器104内の模倣組織又は流体を有さずに行なってもよい。容器及びその内容物を力計測器108に結合する。有利には、力計測器により作製された測定値と、センサの校正中に取得した他の測定値とをプロセッサ34により記録し、次にプロセッサ34は測定値を解析する。簡略化ために、装着具、及び装置101とプロセッサとの間の配線又は他の接続部は、図6に示されていない。
【0042】
校正手順の第1の工程120において、プローブ22は流体106中にあるが、センサ32が組織102と接触しないようにプローブ22を配置する。プロセッサ34が放射線源64を起動させ、検出器74の信号レベルを記録する。加えて、プロセッサは、計測器108により登録された力を記録する。この状況、即ちセンサと組織とが接触していない状況では、検出器の信号レベル及び登録された力は、信号及び力の基線値に対応する。
【0043】
力工程122において、センサ32が組織102と接触し、それにより表面72が変形し、即ち表面の曲率が低下するようにセンサ32を移動する。プロセッサは、検出器の信号レベルと、力計測器により登録された力とを記録する。
【0044】
矢印124により示されるように、工程122を反復する。各反復において、プローブを組織102内の様々な位置へ移動し、それによりセンサは組織上に異なる力を付与する。異なる各位置において、プロセッサは、検出器の信号レベルと、力計測器により登録された力とを記録する。
【0045】
結果及び解析工程126において、プロセッサは、工程122及び124で記録された検出器信号及び力測定値の対を、参照テーブル54(図1)としてメモリ38内に記憶する。プロセッサは、典型的には工程120で測定された基線値からの信号及び力における変化を解析することにより、記憶された結果を解析して検出器信号と測定された力との間の校正関係52を生成してもよい。この関係は、(テーブル54内の値に基づいた)更なる参照テーブル又は信号と力とを関連付ける等式等の、当技術分野にて既知の任意の都合のよい形態であってもよい。
【0046】
工程120〜126は、センサ32を校正するための手順を構成する。図7は、上記の工程に従ったセンサの校正にて決定された、センサがlassoプローブの遠位先端部にある際の、電位(デジタル単位による)対力(グラムによる)の例示的な概略的グラフである。典型的には、グラフで示されるように、力と電位との間の関係は、実質的に線形である。したがって、センサに付与される力の変化と、対応する検出器により登録される電位の変化との間の比は一定である。図7のグラフにより例示される実施形態では、センサ32は、0N(0g)とほぼ3.9N(400g)との間の力を測定することが可能である。
【0047】
単純さのために、校正プロセスでは、放射線源64が一定の放射線束を供給すると想定されてもよい。しかしながら、放射線源64はプロセッサ34により操作され、放射線源64からの放射線は一定である必要はない。したがって、いくつかの実施形態では、プロセッサ34は校正中、及び続く手順測定中の両方において、放射線源64からの放射線のレベルを動的に変化させることができる。そのような変化により、センサは非動的システムと比較して広い範囲の力に関して校正され、また広い範囲の力を測定することができる。センサ32を動的に及び/又は非動的に操作するプロセス、並びに両方の場合において関係52を定式化するためのプロセスは、当業者には明かとなろう。
【0048】
開始手順工程128において、プローブ22が上述した医療手順中に使用され、センサ32を含むプローブの遠位先端部28が身体組織31と近接しているが、組織31と接触しないようにプローブ22が挿入される。組織31に対する遠位先端部の位置決めは、先端部内の追跡要素により決定されてもよい。代替又は追加として、センサ32が組織31と接触していない領域を、少なくとも1回の心臓周期に亘って検出器74からの信号における有意な変化がないことを決定するプロセッサ34により位置付けることができる。本発明の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第12/938,458号には、そのような非接触領域内で行われる力センサ測定が記載されている。
【0049】
遠位先端部が非接触領域内に入った後、プロセッサ34は検出器74の信号値を記録する。プロセッサは、米国特許出願第12/938,458号に記載されているように、典型的には記録された値を使用してセンサ32の任意の「基線変動」を調整する。
【0050】
測定工程130において、プローブ22が組織31と接触するまでプローブ22を移動し、プロセッサは検出器74からの信号の値を記録する。
【0051】
力決定工程132において、プロセッサは、工程126で決定された関係、工程128で記録された基線変動値、及び工程130の測定された検出器の値を比較して、センサ32上の力の値を誘導する。この比較は、典型的には工程128で決定された値からの検出器の値における変化を使用して、力を誘導する。典型的には、矢印134によりしめされるように、遠位先端部28を組織31の様々な領域へ移動する間、プロセッサが工程128、130及び132を反復して、センサ32が様々な領域と接触するときにセンサ32が経験する力を測定する。
【0052】
上述した実施形態は一例として記載されたものであり、本発明は、本明細書において上に具体的に図示及び説明した内容に限定されないことが明らかとなろう。その逆に、本発明の範囲は、上記に述べた異なる特性の全てのものの組み合わせ及び一部のものの組み合わせを含み、更に上記の説明文を読むことで当業者によって想到されるであろう、先行技術には開示されていない変形例及び改変例をも含むものである。
【0053】
〔実施の態様〕
(1) 感知装置であって、
弾性の透明外側表面を有する媒体を含むハウジングであって、前記外側表面が、生きた身体内の組織と接触し、前記身体組織によって前記表面上に付与される力に応答して変形するように構成されている、ハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、放射線を前記表面に向かって指向させるよう構成されている放射線源と、
前記ハウジング内に収容され、前記表面から反射される前記放射線を感知し、そして前記反射放射線の振幅を示す信号を出力するように構成されている放射線検出器と、
前記表面の変形に起因する前記信号における変化を測定し、前記変化に応答して前記力の指示を出力するように結合されているプロセッサと、を備える、感知装置。
(2) 前記媒体が、弾性の透明固体を含む、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記固体が、前記弾性の外側表面の反対側の更なる外側表面を含む、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記放射線源が、前記更なる外側表面上に固定的に装着されている、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記放射線源を前記更なる外側表面に結合する放射線ガイドを備える、実施態様3に記載の装置。
(6) 前記放射線検出器が、前記更なる外側表面上に固定的に装着されている、実施態様3に記載の装置。
(7) 前記放射線検出器を前記更なる外側表面に結合する放射線ガイドを備える、実施態様3に記載の装置。
(8) 前記ハウジングが、カテーテルプローブの外部壁を含む、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記弾性の透明外側表面が凸状である、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記プロセッサが、前記力と、前記信号における前記変化との間の校正関係を記憶するメモリを含み、また前記プロセッサが、前記信号における更なる変化を前記校正関係と比較して、前記身体組織によって前記表面上に付与される更なる力の値を出力するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
【0054】
(11) 感知装置であって、
第1の外側表面を有する弾性の透明媒体であって、前記第1の外側表面が、生きた身体内の組織と接触し、前記組織によって前記第1の外側表面上に付与される力に応答して変形するように構成されている、媒体と、
前記媒体の第2の外側表面に結合され、放射線を前記第1の外側表面に向かって指向させるように構成されている放射線源と、
前記媒体の前記第2の外側表面に結合され、前記第1の外側表面から反射される前記放射線を感知しそして前記反射放射線の振幅を示す信号を出力するように構成されている放射線検出器と、
前記第1の外側表面の変形に起因する前記信号における変化を測定し、前記変化に応答して前記力の指示を出力するよう結合されているプロセッサと、を備える、感知装置。
(12) 前記放射線源が、前記第2の外側表面上に固定的に装着されている、実施態様11に記載の装置。
(13) 前記放射線検出器が、前記第2の外側表面上に固定的に装着されている、実施態様11に記載の装置。
(14) 前記放射線源を前記第2の外側表面に結合する放射線ガイドを備える、実施態様11に記載の装置。
(15) 前記放射線検出器を前記第2の外側表面に結合する放射線ガイドを備える、実施態様11に記載の装置。
(16) 力を感知するための方法であって、
媒体をハウジングに取り付けることであって、前記媒体が、生きた身体内の組織と接触し、前記身体組織によって前記表面上に付与される力に応答して変形するよう構成されている弾性の透明外側表面を有する、ことと、
前記ハウジング内に収容されている放射線源から放射線を前記表面に向かって指向させることと、
前記表面から反射される前記放射線を、前記ハウジング内に収容されている放射線検出器を用いて感知することと、
前記反射放射線の振幅を示す信号を出力することと、
前記表面の変形に起因する前記信号における変化を測定することと、
前記変化に応答して、前記力の指示を出力することと、を含む、方法。
(17) 前記放射線源を、前記弾性の外側表面の反対側の、前記媒体の更なる外側表面上に固定的に装着することを含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記放射線源を、前記弾性の外側表面の反対側の、前記媒体の更なる外側表面に放射線ガイドを用いて結合することを含む、実施態様16に記載の方法。
(19) 前記放射線検出器を、前記弾性の外側表面の反対側の、前記媒体の更なる外側表面上に固定的に装着することを含む、実施態様16に記載の方法。
(20) 前記放射線検出器を、前記弾性の外側表面の反対側の、前記媒体の更なる外側表面に放射線ガイドを用いて結合することを含む、実施態様16に記載の方法。
【0055】
(21) 前記ハウジングが、カテーテルプローブの外部壁を含む、実施態様16に記載の方法。
(22) 前記力と前記信号における前記変化との間の校正関係を記憶することと、前記信号における更なる変化を前記校正関係と比較して、前記身体組織によって前記表面上に付与される更なる力の値を出力することと、を含む、実施態様16に記載の方法。
(23) 力を感知するための方法であって、
第1の外側表面を有する弾性の透明媒体を提供することであって、前記第1の外側表面が、生きた身体内の組織と接触し、前記組織によって前記第1の外側表面上に付与される力に応答して変形するように構成されている、ことと、
前記媒体の第2の外側表面に放射線源を結合することと、
放射線を前記第1の外側表面に向かって指向させるよう前記放射線源を構成することと、
前記媒体の前記第2の外側表面に放射線検出器を結合することと、
前記放射線検出器を用いて、前記第1の外側表面から反射される前記放射線を感知することと、
前記反射放射線の振幅を示す信号を前記放射線検出器から出力することと、
前記第1の外側表面の変形に起因する前記信号における変化を測定することと、
前記変化に応答して、前記力の指示を出力することと、を含む、方法。
(24) 前記放射線源を結合することが、前記放射線源を前記第2の外側表面上に固定的に装着することを含む、実施態様23に記載の方法。
(25) 前記放射線源を結合することが、前記放射線源を前記第2の外側表面に放射線ガイドを用いて接続することを含む、実施態様23に記載の方法。
(26) 前記放射線検出器を結合することが、前記放射線検出器を前記第2の外側表面上に固定的に装着することを含む、実施態様23に記載の方法。
(27) 前記放射線検出器を結合することが、前記放射線検出器を前記第2の外側表面に放射線ガイドを用いて接続することを含む、実施態様23に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感知装置であって、
弾性の透明外側表面を有する媒体を含むハウジングであって、前記外側表面が、生きた身体内の組織と接触し、前記身体組織によって前記表面上に付与される力に応答して変形するように構成されている、ハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、放射線を前記表面に向かって指向させるよう構成されている放射線源と、
前記ハウジング内に収容され、前記表面から反射される前記放射線を感知し、そして前記反射放射線の振幅を示す信号を出力するように構成されている放射線検出器と、
前記表面の変形に起因する前記信号における変化を測定し、前記変化に応答して前記力の指示を出力するように結合されているプロセッサと、を備える、感知装置。
【請求項2】
前記媒体が、弾性の透明固体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記固体が、前記弾性の外側表面の反対側の更なる外側表面を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記放射線源が、前記更なる外側表面上に固定的に装着されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記放射線源を前記更なる外側表面に結合する放射線ガイドを備える、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記放射線検出器が、前記更なる外側表面上に固定的に装着されている、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記放射線検出器を前記更なる外側表面に結合する放射線ガイドを備える、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジングが、カテーテルプローブの外部壁を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記弾性の透明外側表面が凸状である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記力と、前記信号における前記変化との間の校正関係を記憶するメモリを含み、また前記プロセッサが、前記信号における更なる変化を前記校正関係と比較して、前記身体組織によって前記表面上に付与される更なる力の値を出力するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
感知装置であって、
第1の外側表面を有する弾性の透明媒体であって、前記第1の外側表面が、生きた身体内の組織と接触し、前記組織によって前記第1の外側表面上に付与される力に応答して変形するように構成されている、媒体と、
前記媒体の第2の外側表面に結合され、放射線を前記第1の外側表面に向かって指向させるように構成されている放射線源と、
前記媒体の前記第2の外側表面に結合され、前記第1の外側表面から反射される前記放射線を感知しそして前記反射放射線の振幅を示す信号を出力するように構成されている放射線検出器と、
前記第1の外側表面の変形に起因する前記信号における変化を測定し、前記変化に応答して前記力の指示を出力するよう結合されているプロセッサと、を備える、感知装置。
【請求項12】
前記放射線源が、前記第2の外側表面上に固定的に装着されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記放射線検出器が、前記第2の外側表面上に固定的に装着されている、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記放射線源を前記第2の外側表面に結合する放射線ガイドを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記放射線検出器を前記第2の外側表面に結合する放射線ガイドを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
力を感知するための方法であって、
媒体をハウジングに取り付けることであって、前記媒体が、生きた身体内の組織と接触し、前記身体組織によって前記表面上に付与される力に応答して変形するよう構成されている弾性の透明外側表面を有する、ことと、
前記ハウジング内に収容されている放射線源から放射線を前記表面に向かって指向させることと、
前記表面から反射される前記放射線を、前記ハウジング内に収容されている放射線検出器を用いて感知することと、
前記反射放射線の振幅を示す信号を出力することと、
前記表面の変形に起因する前記信号における変化を測定することと、
前記変化に応答して、前記力の指示を出力することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記放射線源を、前記弾性の外側表面の反対側の、前記媒体の更なる外側表面上に固定的に装着することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記放射線源を、前記弾性の外側表面の反対側の、前記媒体の更なる外側表面に放射線ガイドを用いて結合することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記放射線検出器を、前記弾性の外側表面の反対側の、前記媒体の更なる外側表面上に固定的に装着することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記放射線検出器を、前記弾性の外側表面の反対側の、前記媒体の更なる外側表面に放射線ガイドを用いて結合することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記ハウジングが、カテーテルプローブの外部壁を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記力と前記信号における前記変化との間の校正関係を記憶することと、前記信号における更なる変化を前記校正関係と比較して、前記身体組織によって前記表面上に付与される更なる力の値を出力することと、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
力を感知するための方法であって、
第1の外側表面を有する弾性の透明媒体を提供することであって、前記第1の外側表面が、生きた身体内の組織と接触し、前記組織によって前記第1の外側表面上に付与される力に応答して変形するように構成されている、ことと、
前記媒体の第2の外側表面に放射線源を結合することと、
放射線を前記第1の外側表面に向かって指向させるよう前記放射線源を構成することと、
前記媒体の前記第2の外側表面に放射線検出器を結合することと、
前記放射線検出器を用いて、前記第1の外側表面から反射される前記放射線を感知することと、
前記反射放射線の振幅を示す信号を前記放射線検出器から出力することと、
前記第1の外側表面の変形に起因する前記信号における変化を測定することと、
前記変化に応答して、前記力の指示を出力することと、を含む、方法。
【請求項24】
前記放射線源を結合することが、前記放射線源を前記第2の外側表面上に固定的に装着することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記放射線源を結合することが、前記放射線源を前記第2の外側表面に放射線ガイドを用いて接続することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記放射線検出器を結合することが、前記放射線検出器を前記第2の外側表面上に固定的に装着することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記放射線検出器を結合することが、前記放射線検出器を前記第2の外側表面に放射線ガイドを用いて接続することを含む、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−7744(P2013−7744A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−139470(P2012−139470)
【出願日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【出願人】(511099630)バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド (50)
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
【住所又は居所原語表記】4 Hatnufa Street, Yokneam 20692, Israel
【Fターム(参考)】