説明

光学的情報検証機

【課題】表示媒体の表示面上に表示された情報コードの検証時間を短縮し得る光学的情報検証機を提供する。
【解決手段】検証すべき印刷ラベル12が連続的に送られてくる送入速度Vを、検証時送入速度Voから減速させて(または停止状態で)、撮像処理にて撮像された撮像画像に基づいて、印刷ラベル12の表示面13上に表示された情報コード(バーコードB)の特定情報が、特定されて記憶部24に記憶される。そして、検証時送入速度Voで連続的に送られてくる各印刷ラベル12に対して、各表示面13を印刷ラベル12ごとに撮像した撮像画像に含まれる情報コードのそれぞれの表示状態が、記憶部24に記憶された特定情報に基づいて、検証される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示媒体の表示面上に表示された情報コードを検証する光学的情報検証機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示媒体の表示面上に表示された情報コードを検証する光学的情報検証機に関する技術として、下記特許文献1に示す印字装置が知られている。この印字装置は、印字すべき全ての情報コードのビットデータを作業領域に生成し、情報コードのドット数等に応じて当該情報コードが印字領域内にあるか否かを判断し、印字領域オーバーと判定された情報コードが黒データに置き換えられる。これにより、印字領域をオーバーした情報コードは黒く塗りつぶされて印字されるため、目視での印字領域オーバーの確認を容易にしている。
【0003】
また、下記特許文献2に示すバーコードプリンターでは、印刷されたバーコードラベルを検証するバーコード検証装置が設けられており、このバーコード検証装置により印刷されたバーコードのバー幅データ等が求められると、このバー幅データ等に基づいて当該バーコードが規格外であるかを検証している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−154709号公報
【特許文献2】特開平02−225074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1または特許文献2に示すような構成では、表示媒体の表示面に表示される情報コードを検証する場合、表示面を撮像した撮像画像のどの位置にどの種別の情報コードが表示されているか不明であるため、上記撮像画像に含まれる情報コードを特定するために表示面の全てを対象にして情報コードを探さなければならず、時間がかかってしまう。特に、不特定多数の情報コードを検証する場合には、検証時間が長くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、表示媒体の表示面上に表示された情報コードの検証時間を短縮し得る光学的情報検証機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の光学的情報検証機では、所定の速度で連続的に送られてくる複数の表示媒体の表示面上にそれぞれ表示された情報コードを表示媒体ごとに撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された撮像画像に含まれる前記情報コードの表示状態を検証する検証手段と、を備える光学的情報検証機であって、前記撮像画像に基づいて、前記表示面上に表示された情報コードのコード種別および当該表示面に対する表示位置の少なくともいずれか一方を特定情報として特定可能な特定手段と、前記特定手段により特定された前記特定情報を記憶する記憶手段と、前記所定の速度を制御可能な制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記特定手段により前記撮像画像に基づいて前記特定情報を特定するときの前記所定の速度を、前記特定情報を特定しない状態よりも減速させるか停止状態にし、前記検証手段は、前記記憶手段に記憶された前記特定情報に基づいて、前記撮像画像に含まれる前記情報コードの表示状態を検証することを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学的情報検証機において、前記記憶手段には、前記特定情報が複数記憶され、前記検証手段は、前記記憶手段に記憶される前記複数の特定情報のうちの1つに基づく前記撮像画像に含まれる前記情報コードの表示状態の検証が失敗したとき、当該複数の特定情報のうちの他の1つに基づいて、この検証が失敗した前記情報コードの表示状態を検証することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に光学的情報検証機において、前記特定手段は、前記検証手段により前記特定情報に基づく前記撮像画像に含まれる前記情報コードの表示状態の検証が失敗したとき、前記制御手段により前記所定の速度が前記特定情報を特定しない状態よりも減速された状態か停止状態で、前記検証が失敗した撮像画像または新たに撮像した撮像画像に基づいて前記特定情報を新たに特定し、前記記憶手段には、前記新たに特定された特定情報がさらに記憶されることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2または3に記載の光学的情報検証機において、前記記憶手段には、前記複数の特定情報に対して、予め設定された検証に関する優先順位条件に応じた優先順位を決めるための所定の情報がそれぞれ付されて記憶され、前記検証手段は、前記記憶手段に記憶される前記複数の特定情報のうちの1つに基づく前記撮像画像に含まれる前記情報コードの表示状態の検証が失敗したとき、この1つの特定情報を除く当該複数の特定情報のうち前記所定の情報に応じた前記優先順位が高い特定情報に基づいて、この検証が失敗した前記情報コードの表示状態を検証することを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1に記載の光学的情報検証機において、前記特定手段は、前記検証手段により前記特定情報に基づく前記撮像画像に含まれる前記情報コードの表示状態の検証が失敗したとき、前記制御手段により前記所定の速度が前記特定情報を特定しない状態よりも減速された状態か停止状態で、前記検証が失敗した撮像画像または新たに撮像した撮像画像に基づいて前記特定情報を特定し、前記記憶手段には、前記特定手段により前記特定情報が特定されるとこの特定情報が上書きされて記憶され、前記検証手段は、前記記憶手段に前記特定情報が上書きされて記憶されるとこの特定情報に基づいて、前記撮像画像に含まれる前記情報コードの表示状態を検証することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、検証すべき表示媒体が連続的に送られてくる所定の速度を、制御手段により上記特定情報を特定しない状態よりも減速させるか停止状態にして撮像手段により撮像し、この撮像画像に基づいて、表示媒体の表示面上に表示された情報コードの特定情報が、特定手段により特定されて記憶手段に記憶される。そして、所定の速度で連続的に送られてくる複数の表示媒体に対して、各表示面を表示媒体ごとに撮像した撮像画像に含まれる情報コードのそれぞれの表示状態が、記憶手段に記憶された特定情報に基づいて、検証手段により検証される。
【0013】
このように、特定手段により、表示面上に表示された情報コードのコード種別および当該表示面に対する表示位置の少なくともいずれか一方を特定情報として特定する場合には、上記所定の速度が減速されるか停止状態となるので、対象の情報コードを特定するための時間が確保されることとなり、上記特定情報を確実に特定することができる。そして、特定された情報コードの表示媒体と同じ表示パターンの表示媒体が連続的に送られてくる場合、検証手段による検証時では、上記特定情報を用いることで、表示面上に表示された情報コードのコード種別および当該表示面に対する表示位置の少なくともいずれか一方が特定された情報コードを連続的に検証することとなる。このため、検証対象が明確となり、特定手段による特定時よりも速度が速い所定の速度で表示媒体が連続的に送られてくる場合、すなわち1つの表示媒体に対して検証のためにかける時間が短くなる場合でも、迅速かつ確実に検証することができる。特に、端末等を介した使用者からの具体的な指示を受けることなく、光学的情報検証機単体で特定情報を特定することができる。
したがって、特定情報を好適に学習(特定して記憶)して、表示媒体の表示面上に表示された情報コードの検証時間を短縮することができる。
【0014】
請求項2の発明では、検証手段により、記憶手段に記憶される複数の特定情報のうちの1つに基づく検証が失敗したとき、当該複数の特定情報のうちの他の1つに基づいて、この検証が失敗した情報コードの表示状態が検証される。このように、検証対象になる可能性が高い特定情報など、複数の特定情報を予め記憶手段に記憶しておくことで、1の特定情報に基づく検証が失敗しても、直ぐに他の特定情報に基づく検証が実施される。これにより、連続的に送られてくる表示媒体が複数種類の表示パターンとなる場合でも、情報コードの検証時間を確実に短縮することができる。
【0015】
請求項3の発明では、検証手段により特定情報に基づく検証が失敗したとき、制御手段により所定の速度が特定情報を特定しない状態よりも減速された状態か停止状態で、特定手段により、検証が失敗した撮像画像または新たに撮像した撮像画像に基づいて特定情報が新たに特定され、記憶手段にさらに記憶される。
【0016】
このように、1の特定情報に基づく検証が失敗すると、検証が失敗した撮像画像または新たに撮像した撮像画像に基づいて特定情報が新たに特定されるため、予め記憶手段に特定情報が記憶されていない表示パターンの表示媒体が連続的に送られてくる場合でも、その表示パターンに対応する特定情報が特定されて記憶される。これにより、予め複数種類の表示パターンに対応する特定情報をそれぞれ予め特定して記憶する必要がなくなるので、情報コードの検証時間をより確実に短縮することができる。
【0017】
請求項4の発明では、検証手段により、記憶手段に記憶される複数の特定情報のうちの1つに基づく検証が失敗したとき、この1つの特定情報を除く当該複数の特定情報のうち所定の情報に応じた優先順位が高い特定情報に基づいて、この検証が失敗した情報コードの表示状態が検証される。これにより、1の特定情報に基づく検証が失敗しても、優先順位が高い適切な他の特定情報に基づく検証が実施されるため、連続的に送られてくる表示媒体が複数種類の表示パターンとなる場合でも、情報コードの検証時間をより確実に短縮することができる。
【0018】
請求項5の発明では、検証手段により特定情報に基づく検証が失敗したとき、制御手段により所定の速度が特定情報を特定しない状態よりも減速された状態か停止状態で、検証が失敗した撮像画像または新たに撮像した撮像画像に基づいて、特定手段により特定情報が特定される。このように特定手段により特定情報が特定されると、この特定情報が記憶手段に上書きされて記憶され、この特定情報に基づいて、検証手段により、撮像画像に含まれる情報コードの表示状態が検証される。このように、記憶手段に最新の特定情報のみが常に記憶するようにしても、検証対象が明確となるため、情報コードの検証時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係る光学的情報検証機と用紙との関係を概略的に示す説明図である。
【図2】連続的に送られてくる各印刷ラベルの表示面を例示する説明図である。
【図3】図1の光学的情報検証機の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】図2の表示面に表示されるバーコードを特定する特定情報を例示する説明図である。
【図5】第1実施形態において制御部にて実施される検証処理の流れを例示するフローチャートである。
【図6】図5の特定情報設定処理のサブルーチンを例示するフローチャートである。
【図7】第1実施形態の変形例における複数の情報コードが表示面に表示された印刷ラベルを例示する説明図である。
【図8】第2実施形態において制御部にて実施される検証処理の流れを例示するフローチャートである。
【図9】図8の特定情報設定処理のサブルーチンを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学的情報検証機を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る光学的情報検証機20と印刷ラベル12との関係を概略的に示す説明図である。図2は、連続的に送られてくる各印刷ラベル12の表示面13を例示する説明図である。図3は、図1の光学的情報検証機20の電気的構成を示すブロック図である。
【0021】
第1実施形態に係る光学的情報検証機20は、連続的に送られてくる複数の表示媒体の表示面上にそれぞれ表示された情報コードを表示媒体ごとに自動的に検証するための検証機である。ここで、検証とは、表示面に表示された情報コードの表示状態が正しい状態であるか否か、例えば、黒と白の比率や縦横の比率が正しい状態であるか否か等を確認することをいう。
【0022】
本第1実施形態では、図1および図2に示すように、ラベルプリンタ11により連続的に印刷される各印刷ラベル12の表示面13にそれぞれ印刷(表示)されたバーコードBが検証対象である。光学的情報検証機20は、ラベルプリンタ11により連続的に印刷されて送られてくる各印刷ラベル12をそれぞれ自動的に検証する。ラベルプリンタ11は、光学的情報検証機20から受信した速度制御信号に応じて、各印刷ラベル12を光学的情報検証機20に連続的に送り込む速度(以下、送入速度Vという)を調整可能に構成されている。なお、印刷ラベル12と隣接する他の印刷ラベル12との間には、両者を区分けするための仕切り線12aが設けられ、この仕切り線12aを検出することで、印刷ラベル12と隣接する他の印刷ラベル12とが区別される。
【0023】
図3に示すように、光学的情報検証機20は、主に、画像を撮像する図示しないカメラを備える撮像部22と、図示しない入力キーを備える入力部23と、所定の情報が記憶される記憶部24と、液晶表示器を備える表示部25と、これらを統括的に制御する制御部21とを備えている。制御部21は、ラベルプリンタ11に対して、送入速度Vを制御するための速度制御信号を送信可能に構成されている。記憶部24は、半導体メモリなどであり、この記憶部24には、撮像部22により撮像された撮像画像や制御部21により処理された情報データおよび検証処理を実施するためのプログラム、後述する特定情報などが記憶される。
【0024】
これにより、当該光学的情報検証機20は、連続的に送られてくる各印刷ラベル12の表示面13にそれぞれ印刷されたバーコードBを撮像して検証する検証処理を実施可能な装置として構成される。なお、撮像部22および記憶部24は、特許請求の範囲に記載の「撮像手段」および「記憶手段」の一例に相当する。
【0025】
次に、本第1実施形態における制御部21による検証処理について、図4〜図6を用いて説明する。図4は、図2の表示面13に表示されるバーコードBを特定する特定情報を例示する説明図である。図5は、第1実施形態において制御部21にて実施される検証処理の流れを例示するフローチャートである。図6は、図5の特定情報設定処理のサブルーチンを例示するフローチャートである。
【0026】
本実施形態における検証処理では、検証時に所定の送入速度(以下、検証時送入速度Voという)にて連続的に送られてくる各印刷ラベル12の表示面13に印刷されたバーコードBを検証する際に、表示面13に対してバーコードBを特定する特定情報に基づいて検証する。これにより、表示面13に対する検証対象が明確となり、検証対象である情報コードの表示状態が不明である場合と比較して、検証時間を短縮することができる。なお、検証時送入速度Voは、特許請求の範囲に記載の「所定の速度」の一例に相当し得る。
【0027】
ここで、本実施形態では、特定情報として、図4に例示するように、検証対象である情報コードのコード種別(図4ではBar code)とこの情報コードの表示面13に対する表示位置(図4では左上座標:110,230、右下座標:170,250)とが採用されている。
【0028】
以下、本実施形態における検証処理について、図5および図6に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
まず、電源ON状態になり所定の初期設定がなされた後に、検証対象である複数の印刷ラベル12のうち先頭の印刷ラベル12が光学的情報検証機20の撮像部22に対して所定の位置まで送られてくると、図5のステップS101にて撮像処理がなされ、バーコードBを含めた印刷ラベル12の表示面13が撮像部22により撮像画像として取得される。
【0029】
次に、ステップS103において、特定情報が記憶部24に記憶されているか否かについて判定される。ここで、特定情報が記憶部24に記憶されていない場合には、ステップS103にてNoと判定されて、ステップS200にて特定情報設定処理のサブルーチンが実行される。この特定情報設定処理のサブルーチンでは、まず、図6のステップS201において、減速信号出力処理がなされる。この処理では、ラベルプリンタ11に対して、送入速度Vを検証時送入速度Voから減速するための減速信号(速度制御信号)が出力される。なお、特定情報設定処理を実行する制御部21は、特許請求の範囲に記載の「特定手段」および「制御手段」の一例に相当し得る。
【0030】
ラベルプリンタ11は、上記減速信号を受信すると、各印刷ラベル12を送る速度を減速する。これにより、各印刷ラベル12が連続的に送られてくる送入速度Vが検証時送入速度Voから減速される。このように送入速度Vを減速する理由は、次の印刷ラベル12が送られてくるまでに、現時点での検証対象である印刷ラベル12の表示面13に対するバーコードBについて特定情報を特定するための時間を確実に確保するためである。このため、送入速度Vを減速することに限らず、各印刷ラベル12の送入を停止する停止状態にしてもよい。
【0031】
このように、送入速度Vが減速されると、ステップS203にて読取処理がなされる。この処理では、ステップ101にて撮像された撮像画像に対して、表示面13に相当する領域の全てについて情報コードを光学的に読み取るための処理がなされる。そして、表示面13に相当する領域にて情報コードが読み取られると、読取成功としてステップS205にてYesと判定される。
【0032】
次に、ステップS207において、特定情報上書処理がなされる。この処理では、ステップS203にて読み取られた情報コードのコード種別とこの情報コードの表示面13に対する表示位置とが特定情報として、記憶部24に上書きして記憶される。なお、現段階では、記憶部24に特定情報が記憶されていないので、上書きされることなく単に記憶されることとなる。
【0033】
そして、ステップS209において、増速信号出力処理がなされる。この処理では、ラベルプリンタ11に対して、減速した送入速度Vを検証時送入速度Voに戻すための増速信号(速度制御信号)が出力される。ラベルプリンタ11は、上記増速信号を受信すると、各印刷ラベル12を送る速度を検証時送入速度Voに戻すように増速する。これにより、各印刷ラベル12が連続的に送られてくる送入速度Vが検証時送入速度Voに戻される。
【0034】
なお、ステップ101にて撮像された撮像画像に対して、表示面13に相当する領域に読み取り可能な情報コードが存在しない場合には、読取失敗としてステップS205にてNoと判定される。この場合、検証対象となる情報コードが表示面13に表示されていない状態か読取不能状態であることから、ステップS211において停止信号出力処理がなされ、ラベルプリンタ11に対して、各印刷ラベル12の送入を停止するための停止信号(速度制御信号)が出力される。そして、特定情報設定処理を含めた検証処理が終了する。
【0035】
ラベルプリンタ11は、上記停止信号を受信すると、各印刷ラベル12の送入を停止する。そして、ステップS213において、警告処理がなされ、検証対象となる情報コードが表示面13に表示されていない状態か読取不能状態である旨が表示部25に表示される。これにより、当該光学的情報検証機20の管理者(使用者)に対して、検証不能である状態が報知されるとともに、検証を再開するための処置が促される。なお、この警告処理では、ビープ音等を利用して検証不能である状態を報知するようにしてもよい。
【0036】
上述のようにステップS209にて増速信号出力処理がなされて特定情報設定処理のサブルーチンが終了すると、図5のステップS105において、特定情報読出処理がなされる。この処理では、上記ステップS207において上書き処理された特定情報が記憶部24から読み出される。そして、ステップS107において、特定情報に基づく検証処理がなされ、上述のように読み出された特定情報に基づき、ステップS101にて撮像された撮像画像に対して、表示面13に表示される情報コードに対する検証がなされる。この段階では、特定情報を設定した情報コードが検証対象となることから検証が成功し、ステップS109にてYesと判定される。なお、特定情報に基づく検証処理を実行する制御部21は、特許請求の範囲に記載の「検証手段」の一例に相当し得る。
【0037】
そして、予定数の印刷ラベル12の検証が終了していないことから、ステップS111にてNoと判定されると、再びステップS101からの処理がなされ、今回検証した印刷ラベル12の次に送られてくる印刷ラベル12が撮像され、この撮像画像について検証する処理がなされる。この段階では、印刷ラベル12は、ラベルプリンタ11により検証時送入速度Voにて送られてくる。そして、上述のように特定情報が記憶部24に記憶されていることから、ステップS103にてYesと判定される。
【0038】
そして、ステップS107において、上述のようにステップS105にて読み出された特定情報に基づき、ステップS101にて撮像された撮像画像に対して、表示面13に表示される情報コードに対する検証がなされる。そして、特定情報に対応するバーコードBが表示面13に表示された印刷ラベル12が送られてくる場合には、そのコード種別および表示位置が明確になっているので、短時間で検証することができる。このため、各印刷ラベル12が連続的に送られてくる送入速度Vとして検証時送入速度Voを比較的速い速度に設定できるので、複数の印刷ラベル12を連続的に検証するために必要なトータル的な検証時間を短縮することができる。そして、検証が成功し(S109でYes)、予定数の印刷ラベル12の検証が終了していないと(ステップS111でNo)、検証が成功した印刷ラベル12の次に送られてくる印刷ラベル12に対して、再びステップS101からの処理が繰り返される。
【0039】
このステップS101からの繰り返し処理中に、特定情報が設定されたときのバーコードBと異なる表示パターンの情報コードが表示された印刷ラベル12が送られてくると、ステップS107における検証処理が失敗して、ステップS109にてNoと判定される。この場合、上述したステップS200の特定情報設定処理のサブルーチンが実行され、検証処理が失敗した印刷ラベル12の表示面13に表示される情報コードに対してステップS201以降の処理がなされて、送入速度Vを検証時送入速度Voから減速した状態で特定情報が特定されるとともに記憶部24に上書きされる。そして、ステップS105以降の処理がなされ、新たに記憶部24に上書きされた特定情報に基づいて、検証がなされることとなる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報検証機20では、検証すべき印刷ラベル12が連続的に送られてくる送入速度Vを、検証時送入速度Voから減速させて(または停止状態で)、撮像処理にて撮像された撮像画像に基づいて、印刷ラベル12の表示面13上に表示された情報コード(バーコードB)の特定情報が、特定されて記憶部24に記憶される。そして、検証時送入速度Voで連続的に送られてくる各印刷ラベル12に対して、各表示面13を印刷ラベル12ごとに撮像した撮像画像に含まれる情報コードのそれぞれの表示状態が、記憶部24に記憶された特定情報に基づいて、検証される。
【0041】
このように、表示面13上に表示された情報コードのコード種別および当該表示面に対する表示位置などを特定情報として特定する場合には、検証時送入速度Voが減速される(停止状態となる)ので、対象の情報コードを特定するための時間が確保されることとなり、上記特定情報を確実に特定することができる。そして、特定された情報コードの印刷ラベル12と同じ表示パターンの印刷ラベル12が連続的に送られてくる場合、検証時では、上記特定情報を用いることで、表示面13上に表示された情報コードのコード種別および当該表示面13に対する表示位置が特定された情報コードを連続的に検証することとなる。このため、検証対象が明確となり、特定情報を特定する特定時よりも送入速度Vが速い検証時送入速度Voで印刷ラベル12が連続的に送られてくる場合、すなわち1つの印刷ラベル12に対して検証のためにかける時間が短くなる場合でも、迅速かつ確実に検証することができる。特に、端末等を介した使用者からの具体的な指示を受けることなく、光学的情報検証機単体で特定情報を特定することができる。
したがって、特定情報を好適に学習(特定して記憶)して、印刷ラベル12の表示面13上に表示された情報コードの検証時間を短縮することができる。
【0042】
図7は、第1実施形態の変形例における情報コードが表示された表示面13を例示する説明図である。
第1実施形態の変形例として、特定情報は、印刷ラベル12の表示面13に情報コードが1つ表示される場合に設定されることに限らず、図7に例示するように、複数種類の情報コードC1〜C4が表示面13に対して所定の位置にそれぞれ表示される場合にでも設定されてもよい。このように、複数種類の情報コードC1〜C4が表示面13に表示される場合でも、これに対応する特定情報を設定することで、各印刷ラベル12のそれぞれの検証時間を短縮することができる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る光学的情報検証機について図8および図9を参照して説明する。図8は、第2実施形態において制御部21にて実施される検証処理の流れを例示するフローチャートである。図9は、図8の特定情報設定処理のサブルーチンを例示するフローチャートである。
【0044】
本第2実施形態に係る光学的情報検証機20では、複数の特定情報が記憶部24に記憶され、上述した検証処理において図5および図6のフローチャートに代えて図8および図9のフローチャートに基づいて演算処理している点が、上記第1実施形態に係る光学的情報検証機と主に異なる。したがって、上述した第1実施形態の光学的情報検証機と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0045】
本第2実施形態では、複数の特定情報と、これら複数の特定情報に対して予め設定された検証に関する優先順位条件に応じた優先順位を決めるために付される所定の情報とが、記憶部24に記憶されている。ここで、上記優先順位としては、例えば、検証頻度であり、検証頻度が高くなるほどその優先順位が高くなるように設定される。そして、特定情報を記憶部24から読み出す際に、記憶部24に記憶される複数の特定情報のうち、優先順位が高い特定情報が選択して読み出される。なお、優先順位は、上述した検証頻度に限らず、例えば、記憶された日付などの情報であってもよいし、それぞれの条件を複合させた優先順位を設定してもよい。
【0046】
以下、本第2実施形態における制御部21による検証処理について、図8および図9のフローチャートを用いて説明する。
上記第1実施形態における検証処理と同様に、検証が失敗したことから図8のステップS109にてNoと判定されると、ステップS200aにて特定情報設定処理のサブルーチンが実行される。この特定情報設定処理のサブルーチンでは、図9のステップS201に以降の処理が上記第1実施形態と同様になされ、送入速度Vが検証時送入速度Voから減速された状態で、表示面13に相当する領域にて情報コードが読み取られると、読取成功としてステップS205にてYesと判定される。
【0047】
そして、ステップS207aにおいて、特定情報追加記憶処理がなされる。この処理では、上述のように特定情報に基づく検証に失敗した情報コードについて、そのコード種別とこの情報コードの表示面13に対する表示位置とが特定情報として、記憶部24にさらに追加されて記憶される。続いて、ステップS209にて増速信号出力処理がなされて、当該特定情報設定処理が終了する。
【0048】
そして、図8のステップS105aにおいて、特定情報選択処理がなされる。この処理では、上述したように、記憶部24に記憶される複数の特定情報のうち、優先順位が高い特定情報が選択して読み出される。具体的には、検証失敗した特定情報を除き、検証頻度が高い特定情報が選択されて読み出される。そして、ステップS107において、このように選択されて読み出された特定情報に基づき、ステップS101にて撮像された撮像画像に対して、表示面13に表示される情報コードに対する検証がなされることとなる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報検証機20では、特定情報に基づく検証が失敗したとき、送入速度Vを、検証時送入速度Voから減速させて(または停止状態で)、検証が失敗した撮像画像に基づいて特定情報が新たに特定され、記憶部24にさらに記憶される。
【0050】
このように、1の特定情報に基づく検証が失敗すると、検証が失敗した撮像画像に基づいて特定情報が新たに特定されるため、予め記憶部24に特定情報が記憶されていない表示パターンの印刷ラベル12が連続的に送られてくる場合でも、その表示パターンに対応する特定情報が特定されて記憶される。これにより、予め複数種類の表示パターンに対応する特定情報をそれぞれ予め特定して記憶する必要がなくなるので、情報コードの検証時間をより確実に短縮することができる。なお、検証が失敗した撮像画像に基づいて特定情報を新たに特定することに限らず、新たに撮像した撮像画像に基づいて特定情報を新たに特定するようにしてもよい。
【0051】
また、記憶部24に記憶される複数の特定情報のうちの1つに基づく検証が失敗したとき、この1つの特定情報を除く当該複数の特定情報のうち優先順位が高い特定情報に基づいて、この検証が失敗した情報コードの表示状態が検証される。これにより、1の特定情報に基づく検証が失敗しても、優先順位が高い適切な他の特定情報に基づく検証が実施されるため、連続的に送られてくる印刷ラベル12が複数種類の表示パターンとなる場合でも、情報コードの検証時間をより確実に短縮することができる。
【0052】
なお、記憶部24に複数の特定情報が記憶されている場合、記憶部24に記憶される複数の特定情報のうちの1つに基づく検証が失敗したとき(S109でNo)、ステップS200aにて新たに特定情報を設定することなく、既に記憶部24に記憶される複数の特定情報のうちの他の1つに基づいて、この検証が失敗した情報コードの表示状態を検証してもよい。このように、検証対象になる可能性が高い特定情報など、複数の特定情報を予め記憶部24に記憶しておくことで、1の特定情報に基づく検証が失敗しても、直ぐに他の特定情報に基づく検証が実施される。これにより、連続的に送られてくる印刷ラベル12が複数種類の表示パターンとなる場合でも、情報コードの検証時間を確実に短縮することができる。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)上述した検証対象は、複数の印刷ラベル12に限らず、例えば、連続用紙など、連続的に送られてくる複数の表示媒体であってもよい。
【0054】
(2)上述した特定情報は、検証対象である情報コードのコード種別とこの情報コードの表示面13に対する表示位置とに限らず、例えば、コード種別および表示面13に対する表示位置のいずれか1つでもよし、情報コードを特定するための他の情報であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
11…ラベルプリンタ
12…印刷ラベル(表示媒体)
13…表示面
20…光学的情報検証機
21…制御部
22…撮像部(撮像手段)
24…記憶部
B…バーコード(情報コード)
C1〜C4…情報コード
V…送入速度
Vo…検証時送入速度(所定の速度)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の速度で連続的に送られてくる複数の表示媒体の表示面上にそれぞれ表示された情報コードを表示媒体ごとに撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された撮像画像に含まれる前記情報コードの表示状態を検証する検証手段と、
を備える光学的情報検証機であって、
前記撮像画像に基づいて、前記表示面上に表示された情報コードのコード種別および当該表示面に対する表示位置の少なくともいずれか一方を特定情報として特定可能な特定手段と、
前記特定手段により特定された前記特定情報を記憶する記憶手段と、
前記所定の速度を制御可能な制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記特定手段により前記撮像画像に基づいて前記特定情報を特定するときの前記所定の速度を、前記特定情報を特定しない状態よりも減速させるか停止状態にし、
前記検証手段は、前記記憶手段に記憶された前記特定情報に基づいて、前記撮像画像に含まれる前記情報コードの表示状態を検証することを特徴とする光学的情報検証機。
【請求項2】
前記記憶手段には、前記特定情報が複数記憶され、
前記検証手段は、
前記記憶手段に記憶される前記複数の特定情報のうちの1つに基づく前記撮像画像に含まれる前記情報コードの表示状態の検証が失敗したとき、当該複数の特定情報のうちの他の1つに基づいて、この検証が失敗した前記情報コードの表示状態を検証することを特徴とする請求項1に記載の光学的情報検証機。
【請求項3】
前記特定手段は、
前記検証手段により前記特定情報に基づく前記撮像画像に含まれる前記情報コードの表示状態の検証が失敗したとき、前記制御手段により前記所定の速度が前記特定情報を特定しない状態よりも減速された状態か停止状態で、前記検証が失敗した撮像画像または新たに撮像した撮像画像に基づいて前記特定情報を新たに特定し、
前記記憶手段には、前記新たに特定された特定情報がさらに記憶されることを特徴とする請求項2に記載の光学的情報検証機。
【請求項4】
前記記憶手段には、前記複数の特定情報に対して、予め設定された検証に関する優先順位条件に応じた優先順位を決めるための所定の情報がそれぞれ付されて記憶され、
前記検証手段は、
前記記憶手段に記憶される前記複数の特定情報のうちの1つに基づく前記撮像画像に含まれる前記情報コードの表示状態の検証が失敗したとき、この1つの特定情報を除く当該複数の特定情報のうち前記所定の情報に応じた前記優先順位が高い特定情報に基づいて、この検証が失敗した前記情報コードの表示状態を検証することを特徴とする請求項2または3に記載の光学的情報検証機。
【請求項5】
前記特定手段は、
前記検証手段により前記特定情報に基づく前記撮像画像に含まれる前記情報コードの表示状態の検証が失敗したとき、前記制御手段により前記所定の速度が前記特定情報を特定しない状態よりも減速された状態か停止状態で、前記検証が失敗した撮像画像または新たに撮像した撮像画像に基づいて前記特定情報を特定し、
前記記憶手段には、前記特定手段により前記特定情報が特定されるとこの特定情報が上書きされて記憶され、
前記検証手段は、前記記憶手段に前記特定情報が上書きされて記憶されるとこの特定情報に基づいて、前記撮像画像に含まれる前記情報コードの表示状態を検証することを特徴とする請求項1に記載の光学的情報検証機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate