説明

光学的記録媒体破壊具

【課題】 携帯も容易であって手軽に光学的記録媒体のデータが再利用されることがないように破壊しうる光学的記録媒体破壊具を提供することにある。
【解決手段】ディスク状の光学的記録媒体のリードイン情報記録部を物理的に破壊しうる光学的記録媒体破壊具であって、上記光学的記録媒体破壊具よりも小径に形成され、手で把持しうる操作部と、上記操作部に形成され上記光学的記録媒体の中央の円形孔に回転可能に挿入しうる挿入凸部と、上記挿入凸部から所定間隔を置いて配置され、上記リードイン情報記録部の表面部を切削しうる先鋭凸部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学的記録媒体破壊具に係り、特に、電子情報が記録されたコンパクトディスク、DVD等の光学的記録媒体を物理的に損傷させて使用不可能な状態にしうる光学的記録媒体破壊具に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、コンパクトディスク、DVD等の光学的記録媒体が様々な情報を記録するために広く使用されている。このような情報が記録された光学的記録媒体を廃棄する場合には、様々な手段で記録媒体を物理的に損傷又は破壊する必要がある。
【0003】
従来、シュレッダー等により破壊することも行われていたが、コンパクトディスク等の工学的記録媒体は所定の剛性を有することから、光学的記録媒体を破壊しうるように構成されたシュレッダーを購入して準備する必要があり、煩雑であり、手軽にコンパクトディスク等の光学的記録媒体を再使用不可能とすることが望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような観点から、従来より以下のような技術が提案されている。例えば、コンパクトディスクと略同一の大きさの平面円盤状であって、下面部に多数の突起が突設された記録媒体の破棄装置が存在する(特許文献1)。
【0005】
また、光ディスクを挟持しうる一対の脚を、一端部が開脚可能となるように他端側で結合し、前記一端側の開脚面に光ディスクのセンターホール近傍を光ディスクが回転可能にチャックするチャック部を設けると共に、前期脚の一方の胴部内側に光ディスクのデータ領域を損傷するデータ破壊部を設けたデータ破壊装置が提案されている(特許文献2)。
【0006】
しかしながら、このような従来の記録媒体の破壊装置にあっては、いずれも所定の大きさ寸法を有するものであり、オフィス等に据付けて使用されるものであることから、携帯には不便であると共に、このような従来の破壊装置は構成が複雑であり、製造コストも嵩む、という不具合が存していた。
従って、より簡易に、手軽に使用でき、携帯性に富むと共に、製作コストを低減することができる光学的記録媒体の破壊具が要望されていた。
【0007】
【特許文献1】特開2004−288318号
【特許文献2】特開2004−171638号
【0008】
そこで本発明の技術的課題は、携帯も容易であって手軽に光学的記録媒体のデータが再利用されることがないように破壊しうる光学的記録媒体破壊具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明にあっては、ディスク状の光学的記録媒体のリードイン情報記録部を物理的に破壊しうる光学的記録媒体破壊具であって、上記光学的記録媒体破壊具よりも小径に形成され、手で把持しうる操作部と、上記操作部に形成され上記光学的記録媒体の中央の円形孔に回転可能に挿入しうる挿入凸部と、上記挿入凸部から所定間隔を置いて配置され、上記リードイン情報記録部の表面部を切削しうる先鋭凸部とを有することを特徴とする。
【0010】
上記光学的記録媒体に記録されるデータの格納部は、リードイン情報が記録される「リードイン情報記録部」、データ本体が記録される「データ記録部」及び「リードアウト情報記録部」からなる。
【0011】
この場合「リードイン情報記録部」は、例えば、コンパクトディスクの情報記録部位の内、最も内周側、即ち、中央の円形孔の側方、詳しくは、円形孔の中心から22.8mm〜23mmまでの間に設けられており、現在、コンパクトディスク、DVDにあっては、上記部位は国際基準により統一されている。
従って、現在、市販されているコンパクトディスク,DVD等の円盤型の光学的記録媒体にあっては、上記リードイン情報記録部本体及びこのわずかに外側に至る円周部位を物理的に破壊することによりリードイン情報そのものを破壊することが可能となり、その結果、格納されたデータ本体を読み出すことが不可能となる。
本発明に係る光学的記録媒体破壊具にあっては、上記操作部を指で把持して、ディスク状の光学的記録媒体の孔部に上記挿入凸部を挿入した場合、上記先鋭凸部は上記リードイン情報記録部に当接する。
【0012】
この状態で、手で固定した光学的記録媒体へ押圧して上記先鋭凸部を上記リードイン情報記録部に圧接させつつ光学的記録媒体破壊具を上記挿入凸部を中心に回転させることにより、上記先鋭凸部により上記リードイン情報記録部を切削することができる。
【0013】
請求項2記載の発明にあっては、全体金属製板状であって、上記操作部は平面略長方形状に形成され、上記先鋭凸部は、上記挿入凸部を上記円形孔に挿入した場合に、上記リードイン情報記録部を切削しうる部位に上記操作部下縁部の長さ方向端部に設けられていることを特徴とする。
従って、請求項2記載の発明に係る光学的記録媒体破壊具にあっては、光学的記録媒体の情報を読み出し不可能にする場合には、上記挿入凸部を円形孔に挿入し、コンパクトディスク等の光学的記録媒体に対して操作部を略垂直に立設した状態で、上記挿入凸部を中心に回転させる。
【0014】
請求項3記載の発明にあっては、全体金属製であって、上記操作部は平面略長方形状に形成され、上記先鋭凸部は複数連設され、上記リードイン情報記録部及びデータ記録部を切削しうる部位に設けられていることを特徴とする。
従って、請求項3記載の発明にあっては、上記リードイン情報記録部及びデータ記録部の双方を破壊することができる。
【0015】
請求項4記載の発明にあっては、上記先鋭凸部は側面略三角形状の爪部として形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明にあっては、全体薄型円盤状に形成され、平面円形状のベースプレート部と、上記ベースプレート部上に設けられた本体部とを備え、上記ベースプレート及び本体部には、上記円形孔に合致させうる中央開口部が厚さ方向において貫通して開設されると共に、上記中央開口部を上記円形孔に合致させて光学的記録媒体上に載置した場合に、上記リードイン情報記録部に配置されうる外方開口部が厚さ方向に貫通して開設され、上記操作部は、上記ベースプレート上に起立しうるように回動可能に形成された、上記本体部を形成する平面半円状の一方の半部により形成され、上記一方の半部の直径方向中心には、上記一方の半部が上記ベースプレート上に起立した際に、上記中央開口部からベースプレート裏面方向へ突出配置されて上記円形孔に回動可能に挿入される挿入凸部が設けられると共に、上記挿入凸部から所定間隔外方に配置され、上記半部が上記ベースプレートに対して起立した際に、上記外方開口部からベースプレート裏面方向へ突出されて上記リードイン情報記録部を切削しうる先鋭凸部が設けられていることを特徴とする。
従って、請求項5記載の発明にあっては、光学的記録媒体破壊具を光学的記録媒体上の中心部に載置させ、上記中央開口部を光学的記録媒体の円形孔に合わせた状態で、上記一方の半部を上記ベースプレートプレート上に起立させることにより、上記挿入凸部は上記中央開口部からベースプレート裏面側へ突出させて上記円形孔内に挿入できると共に、上記先鋭凸部は上記リードイン情報記録部に当接する。
従って、この状態で、手で光学的記録媒体を固定して上記一方の半部を指で把持してベースプレートを圧接させつつ回転させることにより、上記先鋭凸部により上記リードイン情報記録部を切削し破壊することができる。
【0017】
請求項6記載の発明にあっては、上記半部は、上記ベースプレート上において、上記ベースプレートに載置されて他の半部と共に本体部を形成しうる格納状態位置と、上記ベースプレート上に略直角に起立して光学的記録媒体を切削しうる切削状態位置との間で回動可能に形成され、上記一方の半部が上記格納状態位置にある場合には、上記挿入凸部は上記中央開口部内に収納されると共に上記先鋭凸部は上記外方開口部内に収納されることにより、本体部上面部及び上記ベースプレート下面部を面一な状態にすることを特徴とする。
従って、請求項6記載の発明にあっては、光学的記録媒体の切削破壊時における操作部となる上記一方の半部は、非使用時には他方の半部と共に本体部を、上面部にもまた下面部にも突出しない状態で形成するように構成されている。
【0018】
請求項7記載の発明にあっては、上記挿入凸部は、平面長方形状に形成されると共に上記先鋭凸部は平面三角形状に形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明にあっては、上記先鋭凸部は、上記挿入凸部を上記円形孔に挿入した場合に、上記リードイン情報記録部を切削しうるように、上記挿入凸部から所定寸法離間した部位に設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項9記載の発明にあっては、上記光学的記録媒体破壊具はコンパクトディスクであることを特徴とする。
【0021】
請求項10記載の発明にあっては、上記光学的記録媒体破壊具はDVDであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
従って、請求項1〜4記載の発明に係る光学的記録媒体破壊具にあっては、上記操作部を指で把持して、コンパクトディスク,DVD等の光学的記録媒体の孔部に上記挿入凸部を挿入し、上記先鋭凸部は上記リードイン情報記録部に当接させた状態で、手で固定した光学的記録媒体へ、上記先鋭凸部を上記リードイン情報記録部に圧接させつつ光学的記録媒体破壊具を上記挿入凸部を中心に回動させることにより、上記先鋭凸部により上記リードイン情報記録部を切削することができる。
その結果、リードイン情報記録部に格納されたリードイン情報が破壊されることから、一般に使用されている、コンパクトディスクプレーヤーや、DVDプレーヤー等の、電子的データの読取装置によっては、データ格納部に記録されているデータ本体を読み出すことが不可能となる。
【0023】
特に、請求項2記載の発明にあっては、上記先鋭凸部は、上記挿入凸部を上記円形孔に挿入した場合に、上記リードイン情報記録部を切削しうる部位に上記操作部下縁部の長さ方向端部に設けられていることから、上記操作部は上記円形孔から上記リードイン情報記録部に至る間の長さ寸法と略同一の長さ寸法に形成され、非常に小型であって薄型かつ軽量の光学的記録媒体破壊具であって、優れた携帯性及び保管性を有する光学的記録媒体破壊具を提供することができる。
【0024】
また、上記のように、形状及び構造は簡易であり、従来の光学的記録媒体の破壊具に比して製造コストを大幅に低減することができる。
また、特に、請求項3記載の発明にあっては、「リードイン情報記録部」のみならず「データ記録部」をも切削して格納された情報を破壊することができるため、より確実に格納されたデータの読み出しを不可能にすることができる。
即ち、単に、「リードイン情報記録部」のみを破壊した場合には、一般の読取装置、例えば、コンパクトディスクプレーヤーやDVDプレーヤー等によっては情報の読み出しが不可能であるが、より特殊な情報の読み出し装置又はソフトウェアを使用することによって、「データ格納部」に格納されたデータの読み出しが可能な場合がある。
【0025】
しかしながら、本請求項記載の光学的記録媒体破壊具にあっては、「リードイン情報記録部」のみならず「データ記録部」をも物理的に破壊するように構成されており、上記のように、より確実に格納データの読み出しを不可能にすることができる。
【0026】
また、請求項5〜9記載の発明にあっては、光学的記録媒体破壊具が円盤状に形成され、平面円形状のベースプレートを介して光学的記録媒体と当接することから、光学的記録媒体破壊具を回転させる際には、上記ベースプレートが光学的記録媒体と摺接し、よりスムーズに光学的記録媒体上で光学的記録媒体破壊具を回転させることができ、より容易に、先鋭凸部により光学的記録媒体のリードイン情報記録部を切削破壊することができる。
特に、請求項6記載の発明にあっては、上記一方の半部が操作部を形成することから、非使用時には格納状態位置において他方の半部と共に本体部を形成し、上記先鋭凸部は上記本体部内に完全に収納されることから、非使用時における搬送の際や、所持した場合の安全性を確保することができる。
また、請求項6記載の発明にあっては、光学的記録媒体破壊具全体が、上面部及び下面部のいずれにも全く突起物のない円盤状となることから、搬送性、保管性に富み、一方、使用時には、上記一方の半部が略直角に起立して操作部を形成することから操作性も良好な光学的記録媒体破壊具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る光学的記録媒体破壊具10は、コンパクトディスク又はDVD等のディスク状の光学的記録媒体のリードイン情報記録部を物理的に破壊しうる光学的記録媒体破壊具であって、上記光学的記録媒体破壊具よりも小径(例えば、コンパクトディスクの直径と光学的記録媒体破壊具10の長さ寸法の比率は2.3:1)に形成されている。
【0028】
本実施の形態に係る光学的記録媒体破壊具10は、金属製であって、薄型の全体略長方形板状に形成され、操作部11と、上記操作部11の下方縁部12から突出して形成され、上記コンパクトディスク等の光学的記録媒体13の円形孔14に回転可能に挿入しうる挿入凸部15と、上記円形孔14からリードイン情報記録部16との間隔寸法分、上記挿入凸部15から離間した部位に形成され、上記操作部11の下方縁部から上記挿入凸部15と同一の方向に突出した先鋭凸部17とを備えている。
【0029】
本実施の形態にあっては、上記操作部11の長さ寸法Lは5cmに形成され、上記挿入凸部15は、略長方形状の凸部として形成され、上記円形孔14内に挿入して回動しうるように上記光学的記録媒体13の円形孔14の内径寸法L1(15mm)よりもわずかに小さく形成されている。
また、上述のように、CD,DVD等の光学的記録媒体にあっては、国際統一規格により製造されており、上記円形孔14の半径は直径は15mm、円形孔14の中心29から上記リードイン情報記録部16の内方輪郭線22までの間隔寸法L2は22.8mmであって外方輪郭線24までの間隔寸法L3は23.0mmとなっている。
従って、本実施の形態に係る上記挿入凸部15の幅寸法中央の位置26と上記先鋭凸部17の先端部19との間の間隔寸法L4は、例えば、22.9mmに設定されている。これにより確実に上記リードイン情報記録部16を切削して破壊することが可能となる。
【0030】
上記先鋭凸部17は、本実施の形態にあっては、上記操作部11の下縁部から下方へ突出する側面略三角形状の爪部として形成されており、先端部19が光学的記録媒体13のリードイン情報規則部16の表面に圧接することにより、リードイン情報記録部16の表面を切削して物理的に損傷させるように構成されている。
なお、上記操作部11の上記挿入凸部15の上方には操作部11の遇部に孔部23が開設され、例えば、光学的記録媒体破壊具10の整理のために適宜の紐等を挿通可能に形成されている。
従って、本実施の形態に係る光学的記録媒体破壊具10を使用する場合には、上記挿入凸部15をコンパクトディスク等の光学的記録媒体13の円形孔14内に挿入して上記先鋭凸部17の先端部19をリードイン情報記録部16の表面に当接させた状態で、上記操作部11を把持して、光学的記録媒体破壊具10を光学的記録媒体13に圧接させた状態で回転させる。
【0031】
この回転動作により、先鋭凸部17の先端部19がリードイン情報記録部16の表面を切削して物理的に損傷させることとなることから、リードイン情報記録部16に記録されたリードイン情報の読み出しが不可能となり、その結果、一般の、CDプレーヤーやDVDプレーヤー等の再生機による、光学的記録媒体13のデータ格納部25からの格納データの読み出しが不可能となる。
【0032】
図3は、本発明に係る光学的記録媒体破壊具の第二の実施の形態を示す。
本実施の形態に係る光学的記録媒体破壊具20にあっては、操作部11の長さ寸法は前記実施の形態に係る光学的記録媒体破壊具10よりも若干大きい長さ寸法(約6.5cm)に形成されており、5個の先鋭凸部21が操作部11の長さ方向に沿って連設されている。
【0033】
上記5個の連設された先鋭凸部21a,21b,21c,21d,21eは、上記光学的記録媒体16の上記リードイン情報記録部16を切削しうるように、上記挿入凸部25の幅寸法中央の位置27と、最も内側側の先鋭凸部21aの先端23との間の間隔寸法L6は、例えば、22.9mmに設定されている。これにより確実に、最も内側の先鋭凸部21aにより上記リードイン情報記録部16を切削して破壊することが可能となる。
【0034】
また、本実施の形態に係る光学的記録媒体破壊具20にあっては、上記以外の先鋭凸部21b,21c,21d,21eは、リードイン情報記録部16よりも外方のデータ格納部28そのものを切削して破壊することができるため、上記データ格納部28に格納されたデータそのものが破壊され、前記実施の形態に係る光学的記録媒体破壊具10よりもより確実に光学的記録媒体に格納されたデータの読み出しを防止することが可能となる。
従って、本実施の形態に係る光学的記録媒体破壊具20を使用して光学的記録媒体を切削した場合には、特殊な機器を使用したり、また、ソフトウェアを使用した場合であっても、破壊された光学的記録媒体11からのデータの読み出しは不可能となる。
【0035】
図5〜図10は、本発明に係る第三の実施の形態を示す。
図5に示すように、本実施の形態に係る光学的記録媒体破壊具30は、全体薄型円盤状に形成され、平面円形状のベースプレート部31と、上記ベースプレート部31上に設けられた本体部32とを備えている。
【0036】
図5及び図6に示すように、上記ベースプレート31には、上記円形孔14に合致させうる中央開口部33が開設されると共に、上記中央開口部33を上記円形孔14に合致させて光学的記録媒体13上に載置した場合に、上記リードイン情報記録部16に配置されうる外方開口部34が開設されている。
図6に示すように、本実施の形態にあっては、上記中央開口部33は長方形状に形成されると共に、上記外方開口部34もより小径の長方形状に形成されている。
図5〜7に示すように、上記操作部35は、上記ベースプレート31上に起立しうるように回動可能に形成された、上記本体部32を形成する平面半円状の一方の半部36により形成されている。
【0037】
図5に示すように、上記一方の半部36は、円盤状の本体部32の直径位置において径方向に切り欠かれて形成されており、上記直径位置Aよりも他方の半部39側へ切り込んだ状態で形成されている。
即ち、上記一方の半部36は、中央において他方の半部39へ凸状に膨出しており、図7に示すように、この凸状の平面長方形状の膨出部41により上記挿入凸部37が形成される。他方の半部39側においては、上記挿入凸部37を収納しうる凹部40が形成されており、この凹部40が厚さ方向に貫通して設けられる中央開口部33を形成している。
上記凹部40は、使用時に上記挿入凸部37が内部で回動しうるように、上記挿入凸部37よりも大きな幅及び長さ寸法を以って形成されている。
【0038】
また、上記凸状の膨出部41の両側には所定の長さ寸法に亘って、他方の半部39へ延出して軸形成部42が形成されている。そして、上記軸形成部42の径方向両端部は、夫々、一歩の半部36側へ後退して形成され、他方の半部39側には夫々、軸保持凸部43,43が形成されている。
【0039】
上記軸保持凸部43,43の間には軸棒49が内設され、上記一歩の半部36は上記軸形成部42において上記軸棒49に回動可能に固定されている。
上記軸形成部42の一方の端部には、平面三角形状の先鋭凸部38が他方の半部39方向に突出形成されている。これに対応して、他方の半部39側では、上記先鋭凸部39を収納しうる凹部44が形成されており、この凹部40が上記厚さ方向に貫通して設けられる外方開口部34を形成している。
【0040】
上記凹部40は、使用時に上記挿入凸部37が内部で回動しうるように、上記先鋭凸部39よりも大きな幅及び長さ寸法を以って形成されている。
そして、図6に示すように、上記先鋭凸部38は、上記挿入凸部37を上記円形孔14に挿入した場合に、上記リードイン情報記録部16を切削しうるように、上記挿入凸部37から所定寸法離間した部位に設けられている。
【0041】
即ち、本実施の形態にあっては、前記実施の形態における場合と同様に、上記挿入凸部37の幅寸法中央の位置47と上記先鋭凸部38の先端48との間の間隔寸法L7は、22.9mmに設定されている。これにより確実に上記リードイン情報記録部16を切削して破壊することが可能となる。
従って、本実施の形態に係る光学的記録媒体破壊具30にあっては、上記一方の半部36は、上記ベースプレート31上において、上記ベースプレート31に載置されて他方の半部39と共に本体部32を形成しうる格納状態位置Aと、上記ベースプレート31上に略直角に起立して光学的記録媒体13を切削しうる切削状態位置Bとの間で回動可能に形成されている。
【0042】
上記一方の半部36が上記格納状態位置Aにある場合には、上記挿入凸部37は上記中央開口部33内に収納されると共に上記先鋭凸部38は上記外方開口部34内に収納されることにより、本体部32の上面部45及び上記ベースプレート31の下面部46を面一な状態にすることができるように構成されている。
【0043】
本実施の形態に係る光学的記録媒体破壊具30を使用する場合を説明する。
非使用時においては、図5に示すように、上記一方の半部36は他方の半部39と同一平面上において本体部32を形成しており、上記挿入凸部37は中央開口部33内に収納されると共に、上記先鋭凸部38は外方開口部34内に収納されており、本体部32の上面部45及びベースプレート31の下面部46は面一な状態となっている。従って、光学的記録媒体破壊具30は、全体円盤状であることから、携帯性、保管性に富む。
【0044】
使用時、即ち、コンパクトディスク、DVD等の光学的記録媒体13に格納された情報を読み出しできないようにする際には、まず、図6〜図9に示すように、本体部32の一方の半部36を上記軸棒49を中心に回動させてベースプレート31上に起立させる。この場合、一方の半部36は他方の半部39及びベースプレート31に対して直角に直立する状態となる。
この状態で、図6に示すように、光学的記録媒体破壊具30を光学的記録媒体16の中央部に載置して、相互のセンター位置を合わせる。
【0045】
この状態において、図6、図8、図9及び図10に示すように、上記挿入凸部37及び先鋭凸部38はベースプレート31の下面46側に突出し、さらに、図6及び図10に示すように、上記挿入凸部37は円形孔14内に回動可能に収納され、上記先鋭凸部38はリードイン情報記録部16に当接する。
従って、この状態で、使用者は、光学的記録媒体13を一方の手等で固定すると共に、他方の手の指で操作部35を形成する上記一方の半部36を把持して光学的記録媒体破壊具30を光学的記録媒体13に圧接しつつ、光学的記録媒体13上で光学的記録媒体破壊具30を回転させる。
【0046】
この回転動作により上記先鋭凸部38の先端部50は上記リードイン情報記録部16を切削して物理的に損傷させ、リードイン情報の読み出し不可能な状態にすることから、一般の、CDプレーヤーやDVDプレーヤー等の再生機による、光学的記録媒体13のデータ格納部25からの格納データの読み出しが不可能となる。
【0047】
本実施の形態に係る光学的記録媒体破壊具30にあっては、前期第1及び第2の実施の形態に係る光学的記録媒体破壊具10、20に比して、円盤状に形成され、平面円形状のベースプレート31により光学的記録媒体13と当接することから、上記先鋭凸部38がリードイン情報記録部16を切削している状態では、光学的記録媒体破壊具30は光学的記録媒体13上にわずかに浮き上がるが、上記ベースプレート31が光学的記録媒体13と当接することにより回転をサポートし、よりスムーズに光学的記録媒体13上で光学的記録媒体破壊具30を回転させることができる。
その結果、より容易に、先鋭凸部38により光学的記録媒体13のリードイン情報記録部16を切削破壊することができる。
【0048】
また、上記一方の半部36が操作部35を形成することから、非使用時には格納状態位置において他方の半部39と共に本体部35を形成し、全体として上面部45及び下面部46のいずれにも全く突起物のない円盤となり、搬送性、保管性に富むと共に、使用時には上記一方の半部が略直角に起立して操作部35を形成することから操作性も良好である。
なお、上記光学的記録媒体破壊具10、30の具体的構成に関しては上記各形態には限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、広く光学的記録媒体破壊具に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る光学的記録媒体破壊具の一実施の形態を示す側面図である。
【図2】本発明に係る光学的記録媒体破壊具の一実施の形態と光学的記録媒体との関係を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る光学的記録媒体破壊具の第2の実施の形態を示す側面図である。
【図4】本発明に係る光学的記録媒体破壊具の第2の実施の形態と光学的記録媒体との関係を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る光学的記録媒体破壊具の第3の実施の形態を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る光学的記録媒体破壊具の第3の実施の形態と光学的記録媒体との関係を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る光学的記録媒体破壊具の第3の実施の形態と光学的記録媒体との関係を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る光学的記録媒体破壊具の第3の実施の形態における操作部の使用状態を示す横断面図である。
【図9】本発明に係る光学的記録媒体破壊具の第3の実施の形態における使用状態での先鋭凸部の状態を示す横断面図である。
【図10】本発明に係る光学的記録媒体破壊具の第3の実施の形態における操作部を使用状態での挿入凸部及び先鋭凸部と光学的記録媒体との関係を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0051】
10 光学的記録媒体破壊具
11 操作部
12 縁部
13 光学的記録媒体
14 円形孔
15 挿入凸部
16 リードイン情報記録部
17 先鋭凸部
18 内方端部
19 先端部
20 光学的記録媒体破壊具
21 先鋭凸部
22 内方輪郭線
24 外方輪郭線
25 挿入突起部
26 幅方向中央部
27 幅方向中央部
28 データ格納部
29 円形孔の中心
30 光学的記録媒体破壊具
31 ベースプレート
32 本体部
33 中央開口部
34 外方開口部
35 操作部
36 一方の半部
37 挿入凹部
38 先鋭凸部
39 他方の半部
40 凹部
41 膨出部
42 軸形成部
43 軸保持部
44 凹部
45 上面部
46 下面部
47 挿入凸部の幅寸法中央の位置 上記先鋭凸部38の先端48
48 先鋭凸部の先端
49 軸棒
50 先端部
L 光学的記録媒体破壊具の長さ寸法
L1 光学的記録媒体の円形孔の内径
L2 円形孔の中心からリードイン情報記録部の内方輪郭線までの間隔寸法
L3 円形孔の中心からリードイン情報記録部の外方輪郭線までの間隔寸法
L4 挿入凸部の幅寸法中央の位置と先鋭凸部の先端との間の間隔寸法
L5 光学的記録媒体破壊具の長さ寸法
L6 挿入凸部の幅寸法中央の位置と最も内側の先鋭凸部の先端との間の間隔寸法
L7 挿入凸部の幅寸法中央の位置と先鋭凸部の先端との間の間隔寸法
A 格納状態位置
B 切削状態位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状の光学的記録媒体のリードイン情報記録部を物理的に破壊しうる光学的記録媒体破壊具であって、
上記光学的記録媒体よりも小径に形成され、手で把持しうる操作部と、上記操作部に形成され上記光学的記録媒体の中央の円形孔に回転可能に挿入しうる挿入凸部と、上記挿入凸部から所定間隔を置いて配置され、上記リードイン情報記録部の表面部を切削しうる先鋭凸部とを有することを特徴とする光学的記録媒体破壊具。
【請求項2】
全体金属製板状であって、上記操作部は平面長方形状に形成され、上記先鋭凸部は、上記挿入凸部を上記円形孔に挿入した場合に、上記リードイン情報記録部を切削しうる部位に上記操作部下縁部の長さ方向端部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学的記録媒体破壊具。
【請求項3】
全体金属製であって、上記操作部は平面略長方形状に形成され、上記先鋭凸部は複数連設され、上記リードイン情報記録部及びデータ記録部を切削しうる部位に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学的記録媒体破壊具。
【請求項4】
上記先鋭凸部は平面略三角形状の爪部として形成されていることを特徴とする請求項2及び3記載の光学的記録媒体破壊具。
【請求項5】
全体薄型円盤状に形成され、平面円形状のベースプレート部と、上記ベースプレート部上に設けられた本体部とを備え、
上記ベースプレート及び本体部には、上記円形孔に合致させうる中央開口部が厚さ方向において貫通して開設されると共に、上記中央開口部を上記円形孔に合致させて光学的記録媒体上に載置した場合に、上記リードイン情報記録部に配置されうる外方開口部が厚さ方向に貫通して開設され、
上記操作部は、上記ベースプレート上に起立しうるように回動可能に形成された、上記本体部を形成する平面半円状の一方の半部により形成され、
上記一方の半部の直径方向中心には、上記一方の半部が上記ベースプレート上に起立した際に、上記中央開口部からベースプレート裏面方向へ突出配置されて上記円形孔に回動可能に挿入される挿入凸部が設けられると共に、
上記挿入凸部から所定間隔外方に配置され、上記半部が上記ベースプレートに対して起立した際に、上記外方開口部からベースプレート裏面方向へ突出されて上記リードイン情報記録部を切削しうる先鋭凸部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学的記録媒体破壊具。
【請求項6】
上記一方の半部は、上記ベースプレート上において、上記ベースプレートに載置されて他の半部と共に本体部を形成しうる格納状態位置と、上記ベースプレート上に略直角に起立して光学的記録媒体を切削しうる切削状態位置との間で回動可能に形成され、
上記一方の半部が上記格納状態位置にある場合には、上記挿入凸部は上記中央開口部内に収納されると共に上記先鋭凸部は上記外方開口部内に収納されることにより、本体部上面部及び上記ベースプレート下面部を面一な状態にすることを特徴とする請求項5記載の光学的記録媒体破壊具。
【請求項7】
上記挿入凸部は、平面長方形状に形成されると共に上記先鋭凸部は平面三角形状に形成されていることを特徴とする請求項5又は6項のいずれか1項に記載の光学的記録媒体破壊具。
【請求項8】
上記先鋭凸部は、上記挿入凸部を上記円形孔に挿入した場合に、上記リードイン情報記録部を切削しうるように、上記挿入凸部から所定寸法離間した部位に設けられていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の光学的記録媒体破壊具。
【請求項9】
上記光学的記録媒体破壊具はコンパクトディスクであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学的記録媒体破壊具。
【請求項10】
上記光学的記録媒体破壊具はDVDであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学的記録媒体破壊具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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