説明

光学素子、および光学素子の製造方法

【課題】光学装置や光学系において、入射光の偏光成分を解消させる光学結晶位相差板よりなる偏光解消板を、従来よりも大幅に薄く形成できるようにする。
【解決手段】水晶等の光学結晶よりなる偏光解消板10、20を作成する際には、B,G,Rの各色光の波長域の各々に、1つ乃至2つの偏光解消波長が存在するような厚みに設定する。具体的には、偏光解消板10、20の厚みは、下記条件式(1)を満足する値とされる。 偏光度Pと透過率Tの積の波長平均値<0.7……(1)
ここで、偏光度Pは、下式のように定義される。
【数1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射する直線偏光を円偏光または楕円偏光に変換する光学結晶の位相差板である偏光解消板を有する光学素子、およびそのような偏光解消板を有する光学素子を製造する方法に関し、例えば、レンズと撮像素子の間において、2つの複屈折板の間に挟むことによって、1本の光束を4本の光束に分離可能とする光学素子、および光学素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
種々の光学装置や光学系内には、入射光の偏光状態を変化させる位相差板が配されている。これらの位相差板としては、1/2波長板や1/4波長板等が知られている。
上記1/4波長板は、例えば、レンズと撮像素子の間において、入射光を常光と異常光に分離する2枚の複屈折板の間に介在させ、1本の光束を4本の光束に分離する際に使用されている。
【0003】
また、上記1/4波長板としては、例えば、レンズと色分解プリズムの間に配し、入射光の直線偏光成分を解消した状態で色分解プリズムに入射させることで、無偏光状態での光学設計がなされている色分解プリズムにおいて理想的な分光特性を得るようにしたものが知られている。
このような位相差板は、偏光成分を解消する機能を有することから、一般に、偏光解消板とも称されている。
【0004】
偏光解消板として機能する光学結晶からなる位相差板は、下記特許文献1、2等に開示されている。
これらの特許文献に記載された光学結晶の位相差板は、可視光の広い波長域(400〜750nm)に亘って偏光解消し得るように設計されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004-29653号公報
【特許文献2】特開2005-55803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1、2などに記載された光学結晶の位相差板からなる偏光解消板は、上述したように、可視光の広い波長域に亘って偏光解消し得るように設計されているため、有効な偏光解消度を得るためには、例えば水晶の場合にはどうしても0.7mm程度以上の厚みが必要とされていた。
【0007】
しかしながら、このような偏光解消板は、一般に、スペース的に厳しい位置に配されており、さらに近年、装置のコンパクト化や軽量化に応じて、0.7mm程度から大幅に薄型化を図ることが要求されていることから、薄型化技術における発想の転換が求められている。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、種々の光学装置や光学系において、入射光の偏光成分を解消させる、従来よりも大幅に薄く形成された偏光解消板を有する光学素子、およびそのような光学素子の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光学素子は、
直線偏光を円偏光または楕円偏光に変換する光学結晶の位相差板からなる光学素子であって、
前記位相差板の厚みは、B,G,Rの各色光の領域の各々につき、1つ乃至2つの偏光解消波長が存在する値に設定されてなることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の光学素子は、
入射光束を常光線と異常光線の、互いに直交する2つの直線偏光に分岐して出射する第1の複屈折結晶板と、この第1の複屈折結晶板から出射された前記2つの直線偏光を、それぞれ円偏光または楕円偏光として出射する光学結晶の位相差板と、この位相差板から出射されたそれぞれの円偏光または楕円偏光を常光線と異常光線の、互いに直交する2つの直線偏光に分岐して出射する第2の複屈折結晶板とを備えてなる光学素子において、
前記位相差板の厚みは、B,G,Rの各色光全ての領域の各々につき、1つ乃至2つの偏光解消波長が存在する値に設定されてなることを特徴とするものである。
【0011】
一方、本発明の光学素子の製造方法は、
直線偏光を円偏光または楕円偏光に変換する光学結晶の位相差板からなる光学素子の製造方法であって、
前記位相差板の厚みは、B,G,Rの各色光の領域の各々につき、1つ乃至2つの偏光解消波長が存在する値に設定することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の光学素子の製造方法は、
入射光束を常光線と異常光線の、互いに直交する2つの直線偏光に分岐して出射する第1の複屈折結晶板と、この第1の複屈折結晶板から出射された前記2つの直線偏光を、それぞれ円偏光または楕円偏光として出射する光学結晶の位相差板と、この位相差板から出射されたそれぞれの円偏光または楕円偏光を常光線と異常光線の、互いに直交する2つの直線偏光に分岐して出射する第2の複屈折結晶板とを備えてなる光学素子の製造方法において、
前記位相差板の厚みは、B,G,Rの各色光全ての領域の各々につき、1つ乃至2つの偏光解消波長が存在する値に設定することを特徴とするものである。
【0013】
また、前記位相差板の厚みは、下記条件式(1)を満足する値とされていることが好ましい。
偏光度Pと透過率Tの積の波長平均値<0.7……(1)
【0014】
ただし、偏光度Pは下式(2)で表される。
【0015】
【数1】

【0016】
ここで、上記「偏光解消波長」とは、直線偏光成分を略0(例えば最大値の10%以下)とし得る波長のことをいい、直線偏光成分が完全に0である必要はない。
【発明の効果】
【0017】
従来の光学結晶の位相差板よりなる偏光解消板は、可視光の広い波長域に亘って偏光解消し得るように設計されており、有効な偏光解消度を得るためには、水晶であれば0.7mm程度以上の厚みが必要とされていた。
【0018】
このように厚みが必要とされていたのは、可視光の広い波長域に亘り、満遍なく偏光解消波長が存在するように設計することが前提となっていたためである。すなわち従来は、0.7mm程度より小さい厚みによっては、可視光の広い波長域に亘って満遍なく偏光解消波長を得ることはできない、ということが光学設計の既成概念としてあった。
【0019】
しかしながら、今日のカラー撮像系について検討してみるに、B,G,Rの3色光が、一般にモザイクやストライプと称されるカラーフィルタ付きの撮像素子や、色分解光学系の各色光出射口に対応して配された3つの撮像素子を用いて撮像している。したがって、今日においては、実際に用いられるB,G,Rの各色光の波長域は、可視の全波長域に比べて大幅に狭くなっている。
【0020】
本願発明者は、上記知見に基づき、偏光解消板の厚みを、B,G,Rの各色光の領域の各々につき、1つ乃至2つの偏光解消波長が存在する値に設定する、という技術思想に思い至り、本願発明をなしたものである。そして、本願発明に係る光学素子、および光学素子の製造方法は以下のような効果を奏する。
【0021】
すなわち、撮像素子が搭載された多くの光学装置においては、撮像素子の感度に応じて、B,G,Rの各色光の領域の各々に、1つ乃至2つの偏光解消波長が存在していれば、入射光の偏光成分を効率よく解消することができるので、このようにして厚みが設定された偏光解消板からなる光学素子は、従来と比べて大幅に厚みを薄くすることができる。
【0022】
また、入射光束を常光線と異常光線の、互いに直交する2つの直線偏光に分岐して出射する、第1および第2の2つの複屈折結晶板の間に、第1の複屈折結晶板から出射された2つの直線偏光の位相を、π/2だけ回転させ、それぞれ楕円偏光または円偏光として出射する光学結晶の位相差板を配設してなる場合においても、該位相差板の厚みを、B,G,Rの色光領域の各々につき、1つ乃至2つの偏光解消波長が存在する値に設定するようにしているので、1本の光束を4本の光束に良好に分離しつつ、偏光解消板の厚みを、従来と比べて大幅に薄くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1、図2および図3は、本発明の実施形態に係る光学素子の製造方法により作成された光学素子の使用態様を説明するための図である。
【0024】
図1は、偏光解消板10を4点分離用のLPF素子12に用いて、撮像レンズ11と撮像素子13の間に配設した第1の使用態様について示すものである。
【0025】
すなわち、LPF素子12は、入射光を常光線と異常光線の、互いに直交する2つの直線偏光に分岐して出射する第1の複屈折結晶板からなる水平分離用LPF12Aと、この水平分離用LPF12Aから出射された、上記2つの直線偏光を、それぞれ楕円偏光(または円偏光:以下同じ)として出射する光学結晶の位相差板からなる偏光解消板10と、この偏光解消板10から出射されたそれぞれの楕円偏光を常光線と異常光線の、互いに直交する2つの直線偏光に分岐して出射する第2の複屈折結晶板からなる垂直分離用LPF12Bとを備えてなるLPF素子12であり、1本の光束を4本の光束に効率よく分離し得るものである。ここで、LPF素子12は、上記水平分離用LPF12Aから出射された、互いに直交する2つの直線偏光のそれぞれに対して、互いに45度をなす方向に遅相軸を有しており、これによってπ/2の位相差を発生させるように構成されている。
【0026】
なお、偏光解消板10は水晶の光学結晶板からなる。
【0027】
このようなLPF素子12においては、水平分離用LPF12Aから出射された光束が、互いに振動面が直交する2つの直線偏光とされており、このまま垂直分離用LPF12Bに入射された場合には、各々をさらに分離することはできない。そこで、水平分離用LPF12Aの直後に光学結晶の位相差板よりなる偏光解消板10を置き、水平分離用LPF12Aから出射された、上記2つの直線偏光をいずれも楕円偏光の状態にした後、各々を垂直分離用LPF12Bに入射せしめ、各々をさらに、互いに振動面が直交する2つの直線偏光に分離することで、1本の光束を4本の光束に効率よく分離することができる。
【0028】
また、図3は、偏光解消板20を、撮像レンズ21と色分解プリズム22の間に配設した第2の使用態様について示すものである。
一般に、色分解プリズム22の設計は、入射光が無偏光であることを前提として行なわれているため、直線偏光が入射した場合には、設計仕様とは異なる分光特性を有することになる。
【0029】
したがって、直線偏光を撮像レンズ21から、そのまま色分解プリズム22に入射させるのではなく、直線偏光を、偏光解消板20により楕円偏光に変換してから、入射光を色分解プリズム22に入射せしめることにより、色分解プリズム22において良好な分光特性を得ることができ、後段の撮像素子23B,G,Rの各々により各色光を良好に撮像することができる。
【0030】
なお、偏光解消板20は、上記偏光解消板10と同様に、水晶の光学結晶板からなる。
【0031】
勿論、上記第1および第2の使用態様を組み合わせて使用することも可能である。すなわち、撮像レンズ21と色分解プリズム22の間に、上記偏光解消板20、および上記LPF素子12を光軸上に順次配列することができる。
【0032】
ところで、従来、光学結晶の位相差板よりなる偏光解消板を製造する際には、可視光の広い波長域に亘って偏光解消するように配慮されており、有効な偏光解消度を得るためには、水晶であれば0.7mm程度以上の厚みが必要とされていた。これは、可視光の広い波長域において、多数の偏光解消波長を満遍なく設けることが前提となっていたためであり、0.7mm程度より小さい厚みによっては、多くの偏光解消波長を得ることはできないことから、有効な偏光解消板とすることができないとの既成概念があった。
【0033】
一般に、BGRの各波長域というときは、B光(青紫色光)については、約400nmから約510nmの波長域、G光(緑色光)については、約490nmから約590nmの波長域、またR光(赤色光)については、約570nmから750nmの波長域とされており、例えば図9に示すように、水晶の厚みtが0.7mm程度以上(図9に示す例ではt=1.5mm)である場合には、BGRの各波長域において数点の偏光解消波長が存在し、かつ可視域全域に亘って平均して偏光解消波長(偏光度が略0となる波長:以下同じ)が存在するものとなる。
【0034】
しかしながら、実際に、今日使用されているタイプのカラー撮像系のほとんどは、カラーフィルタ付きの撮像素子や、色分解光学系の各色光出射口に対応して設けられた3つの撮像素子により撮像するものである。したがって、実際に用いられるB,G,Rの各色光の波長域は、可視光の全波長域に比べて大幅に狭くなっている。
【0035】
したがって、撮像素子が搭載された多くの光学装置においては、B,G,Rの各色光の波長域の各々に、1つ乃至2つの偏光解消波長が存在していれば、入射光の偏光成分を効率よく解消することができるので、このようにして厚みが設定された偏光解消板は、偏光を良好に解消することを可能としながら、従来と比べて大幅に薄く形成されたものとなっている。本願発明の実施形態に係る光学素子および光学素子の製造方法はこのような点に着目してなされたものであり、偏光解消板(位相差板)の厚みは、B,G,Rの各色光の領域の各々につき、1つ乃至2つの偏光解消波長が存在する値に設定することが特徴となっている。すなわち、本実施形態に係る光学素子の製造方法は、このような条件を満足する偏光解消板(位相差板)の厚みを特定する工程と、その特定された厚みとなるような偏光解消板(位相差板)を作成する工程(種々の周知の手法を用いればよい)を備えたものである。また、本実施形態に係る光学素子は、上記特定された厚みを有する偏光解消板(位相差板)である。
【0036】
以下、本願発明に係る光学素子および光学素子の製造方法において主要部ともいうべき、偏光解消板10、20の厚みを特定する工程における特定手法について説明する。
【0037】
まず、本実施形態においては、偏光解消板10、20の厚みは、下記条件式(1)を満足する値とされる。
偏光度Pと透過率Tの積の波長平均値<0.7……(1)
【0038】
ただし、上記偏光度Pは、下式(2)により表される。
【0039】
【数2】

【0040】
なお、偏光度Pと透過率Tの積の波長平均値を数式で表すと下式(3)のようになる。
【0041】
このうち、色光Bに対応した数式が(3A)であり、色光Gに対応した数式が(3B)であり、色光Rに対応した数式が(3C)である。また、透過率Tは、光の波長に応じて異なるので、数式(3A)に対応した色光Bの透過率はTで表され、数式(3B)に対応した色光Gの透過率はTで表され、数式(3C)に対応した色光Rの透過率はTで表される。なお、上述した各色光の透過率T、T、Tは、LPF素子12の入射面から、各色光に対応する撮像素子13に至るまでの全行程における、当該色光の透過率をいうものとする。
【0042】
なお、下記λは対象波長域における最小値であり、下記λは対象波長域における最大値である。
【0043】
【数3】

【0044】
なお、BGRの各波長域のλは、各々400nm、490nm、570nmとされ、BGRの各波長域のλは、各々510nm、590nm、750nmとされる。したがって、可視光の波長域の最小波長であるλは400nmであり、最大波長であるλは750nmである。また、偏光度Pについては、BGRの各波長域間で共通、透過率Tについては、BGRの各波長域毎に異なる。
【0045】
図4は、本実施形態による上記条件式(1)を用いて設定された位相差を示すものである。すなわち、図4は、厚みt=0.45mmの水晶の光学結晶板よりなる偏光解消板10、20の、入射波長(nm)に対する位相差を示すグラフである。ここで、位相差がπ/2および3π/2である場合(図4中の丸印に対応)において偏光が解消されるため、この実施形態のものが、各色光の波長域のいずれにおいても、1つ乃至2つの偏光解消波長(Bについては410nmと約460nm、Gについては約525nm、Rについては約620nm)を有していることが明らかである。
【0046】
図5は、本実施形態の光学素子における偏光解消板10、20の、入射波長(nm)に対する偏光度Pを示すグラフである。偏光度Pは、上式(2)により表されるから、0になったときが円偏光の状態、すなわち、偏光が完全に解消された状態を表すものである。したがって、この図5により本実施形態のものが、各色光の波長域のいずれにおいても、1つ乃至2つの偏光解消波長(Bについては410nmと460nm、Gについては525nm、Rについては620nm)を有していることが明らかである。
【0047】
また、図6は、図1や図3に示すような一般的な光学系における、BGRの3色分解特性の例を示すグラフである。図6において、縦軸の透過率Tは、規格化された総合的な感度特性を示すものである。
【0048】
さらに、図7は、図5に示す偏光度Pを示すグラフと、図6に示す3色分解特性を示すグラフを掛け合わせたものであり、実際に偏光解消板10、20を透過し、撮像素子13、23B,G,Rにおいて撮像される、BGRの各波長域ごとの偏光の相対強度を示すものである。
【0049】
さらに、図8は、水晶の光学結晶板により偏光解消板を作成した場合における、板厚(mm)に対する積分偏光度を示すグラフである。
ここで、積分偏光度とは、上式(3)で表される、偏光度Pと透過率Tの積の波長平均値のことである。
【0050】
図8中には、積分偏光度が0.7となる位置に基準線(閾値を表す)が引かれており、BGRの全ての曲線がこの0.7を下回る場合の板厚が、上記条件式(1)を満足することが示されている。
【0051】
すなわち、BGRの全ての曲線がこの0.7を下回っている板厚が、本実施形態において選択すべき板厚である。
【0052】
勿論、板厚を薄くすることが発明の目的であるから、上述した、BGRの全ての曲線が積分偏光度0.7の基準線を下回っているものの中でも、できるだけ板厚が薄いものを選択することが肝要である。
【0053】
このような観点から、偏光解消板の厚みtとしては、0.34mm、0.38mm、0.44mm、0.45mm、0.46mm ……などから選択することが好ましい。すなわち、厚みtをパラメータとして図5、6、7に示す曲線を求め、次に、P<0.7となる場合の厚みtの値を特定し、これら特定された値の中から、偏光解消板の厚みを選択することが好ましい。
なお、製造公差のことも考え合わせると、0.45±0.01mm が好ましい値の一例である。
【0054】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、種々の態様に変更することが可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態のものでは、偏光解消板を水晶板で形成するようにしているが、本発明に係る光学素子の製造方法においては、複屈折性を有する種々の光学結晶板を採用し得る。
【0056】
また、偏光解消板を使用する態様としては、図1〜3に示すものに限られるものではなく、偏光を解消させる必要がある種々の光学装置や光学系に使用することが可能である。
【0057】
また、上記実施形態のものでは、条件式(1)における上限値(基準線)として0.7を採用しているが、これに替えて、0.7を増減した数値を採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る光学素子の製造方法により作成された光学素子の使用態様を示す概略図
【図2】本発明の実施形態に係る光学素子を拡大して示す概略図
【図3】図1とは別の、偏光解消板の使用態様を示す概略図
【図4】本実施形態に係る光学素子の製造方法により作成された偏光解消板の、入射波長(nm)に対する位相差を示すグラフ
【図5】本実施形態に係る光学素子の製造方法により作成された偏光解消板の、入射波長(nm)に対する偏光度を示すグラフ
【図6】一般的な光学系における、BGRの3色分解特性の例を示すグラフ
【図7】図5に示す偏光度を示すグラフと、図6に示す3色分解特性を示すグラフを掛け合わせた結果を示すグラフ
【図8】本実施形態に係る光学素子の製造方法により作成された偏光解消板の、板厚(mm)に対する積分偏光度を示すグラフ
【図9】従来技術により作成された偏光解消板の、入射波長(nm)に対する偏光度を示すグラフ
【符号の説明】
【0059】
10、20 偏光解消板
11、21 撮像レンズ
12 LPF素子
12a、12b LPF(複屈折板)
13、23B,G,R 撮像素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線偏光を円偏光または楕円偏光に変換する光学結晶の位相差板からなる光学素子であって、
前記位相差板の厚みは、B,G,Rの各色光の領域の各々につき、1つ乃至2つの偏光解消波長が存在する値に設定されてなることを特徴とする光学素子。
【請求項2】
入射光束を常光線と異常光線の、互いに直交する2つの直線偏光に分岐して出射する第1の複屈折結晶板と、この第1の複屈折結晶板から出射された前記2つの直線偏光を、それぞれ円偏光または楕円偏光として出射する光学結晶の位相差板と、この位相差板から出射されたそれぞれの円偏光または楕円偏光を常光線と異常光線の、互いに直交する2つの直線偏光に分岐して出射する第2の複屈折結晶板とを備えてなる光学素子において、
前記位相差板の厚みは、B,G,Rの各色光全ての領域の各々につき、1つ乃至2つの偏光解消波長が存在する値に設定されてなることを特徴とする光学素子。
【請求項3】
直線偏光を円偏光または楕円偏光に変換する光学結晶の位相差板からなる光学素子の製造方法であって、
前記位相差板の厚みは、B,G,Rの各色光の領域の各々につき、1つ乃至2つの偏光解消波長が存在する値に設定することを特徴とする光学素子の製造方法。
【請求項4】
入射光束を常光線と異常光線の、互いに直交する2つの直線偏光に分岐して出射する第1の複屈折結晶板と、この第1の複屈折結晶板から出射された前記2つの直線偏光を、それぞれ円偏光または楕円偏光として出射する光学結晶の位相差板と、この位相差板から出射されたそれぞれの円偏光または楕円偏光を常光線と異常光線の、互いに直交する2つの直線偏光に分岐して出射する第2の複屈折結晶板とを備えてなる光学素子の製造方法において、
前記位相差板の厚みは、B,G,Rの各色光全ての領域の各々につき、1つ乃至2つの偏光解消波長が存在する値に設定することを特徴とする光学素子の製造方法。
【請求項5】
前記位相差板の厚みを、下記条件式(1)を満足する値とすることを特徴とする請求項3または4記載の光学素子の製造方法。
偏光度Pと透過率Tの積の波長平均値<0.7……(1)
ただし、偏光度Pは下式(2)で表される。
【数1】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−113255(P2010−113255A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287200(P2008−287200)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】