説明

光学素子位置調整機構

【課題】 光電センサにおける光学素子の位置を任意の位置に設定可能とし、光学系の改造要望にもフレキシブルに対応できる製品を、迅速に、低コストに、さらに精度よく製造することが可能な光電センサを提供すること。
【解決手段】 光学素子と、光学レンズと、所定形状の光通過窓を有する遮光板と、それらを一体的に収容するホルダとを有する光電センサにおいて、光学素子と遮光板との距離を常に一定に保ちつつ、光学素子と光学レンズとの距離を可変とした光学素子位置調整機構を有し、かつ遮光板の光通過窓がレーザ加工により形成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、投光素子や受光素子の前面にスリットやピンホール等の光通過窓を有する遮光板を配置することにより、検知領域限定や外乱光排除等を実現するようにした光電センサに関し、特に、そのような光電センサにおける光学素子位置の調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
投光素子や受光素子の前面にスリットやピンホール等の光通過窓を有する遮光板を配置することにより、検知領域限定や外乱光排除等を実現するようにした反射型や透過型の光電センサは既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
反射型の光電センサにあっては、投受光素子と投受光レンズとは合成樹脂製のホルダにより一体的に保持されることが多い。その場合、スリットやピンホール等の光通過窓を有する遮光板はホルダの一部として一体的に形成される。すなわち、投受光素子の前面に配置される光通過窓付の遮光板はホルダと共に一体成形されたものであり、遮光板の設置位置や光通過窓のサイズや形状は金型設計により決定される。
【0004】
透過型の光電センサにあっては、投光器と受光器とは別体とされる。投光器は、投光素子と投光レンズとを含んでおり、それらは合成樹脂製ホルダにより一体的に保持される。受光器は、受光レンズと受光素子とを含んでおり、それらも又合成樹脂製ホルダにより一体的に保持される。スリットやピンホール等の光通過窓を有する遮光板はホルダの一部として一体的に形成される。すなわち、投光器において、投光素子の前面に配置される光通過窓付の遮光板はホルダと一体成形されたものである。同様に、受光器において、受光素子の前面に配置される光通過窓付の遮光板はホルダと一体成形されたものである。遮光板の設置位置や光通過窓のサイズや形状は金型設計により決定される。
【特許文献1】実開平6−4848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光学素子収容部、光学レンズ収容部、及び光通過窓を有する遮光板を金型成形によりホルダと一体成形する従来の光電センサの構造にあっては、光学素子、レンズ、及び光通過窓を有する遮光板の位置が予め定められている。そのため、例えば、光学素子とレンズとの距離を変化させる等の異なる光学形式を有する新たな商品シリーズを追加する場合や、顧客からの需要等により光学系を改造する際には、新たに光学素子や遮光板の設置位置を変更したホルダが必要となる。そして、そのように新しいホルダを準備する場合、金型の作成から手配する必要がありコストがかかるため、小ロット(使用数量が少ない場合)での改造は対応が困難である。また、従来の光電センサの構造においても、例えば金型を入れ子にすることによって光学素子の位置を可変とすることは可能であったが、光通過窓を有する遮光板の設置位置は構造上固定されている。遮光板の最も効果的な設置位置は、光学素子の直前(例えば0.2mmの距離をおいて)であるが、従来の光電センサの構造では遮光板の設置位置が固定されている関係上、光学素子の位置を可変としても全ての光学において効果の高い遮光板の設置位置を実現できない、という問題点がある。
【0006】
また、一般的に、従来の光電センサの構造によると、光学系の改造等に対応するためには、設計段階、試作段階、試作の評価段階、金型作成段階、そして初試・量試段階(評価を含む)を経て商品の量産へと至る。そして、光学系の改造には金型の設計から準備する必要があり、試作品を提供するまでに通常1ヶ月程度の日数が必要となる。その後、試作品に対する評価を行った後に金型製作へと移行し、初試・量試段階を経て商品の量産へと至る。そのため、光学系の改造等の対象となる使用数量が十分あり、コスト面では対応可能な場合においても、短納期での対応が極めて困難であるという問題点も生じていた。
【0007】
さらに、遮光板上の光通過窓(スリットやピンホール等)の形状や大きさをホルダ製作の際の金型設計で決定するようにした従来の光電センサにあっては、光通過窓の形状や大きさの異なるホルダが必要なときにも、新規にホルダを製作する必要が生じる。そのため、ホルダの種類が増える毎に、部品在庫、金型償却費が増加する。また、新規に光通過窓の形状や大きさの異なるホルダを入手する場合、ここでも図面作成(設計)して金型を手配する必要があり、納品までに時間が掛かることに加え、そのような場合、使用数量が少ないときには単価が割高となる。さらに、光通過窓の位置精度は金型精度(例えば、±0.05mm)以上に上げることはできない、と言った問題点がある。
【0008】
この発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、
光電センサにおける光学素子の位置を任意の位置に設定可能とし、光学系の改造要望にも迅速に、低コストに、さらに精度よく対応できる光学素子位置調整機構を有する光電センサを提供することにある。
【0009】
この発明の他の目的とするところは、光電センサにおける光学素子の位置を任意の位置に設定可能とし、光学系の改造要望にも迅速に、低コストに、さらに精度よく対応できる光学素子位置調整機構を有する光電センサの製造方法を提供することにある。
【0010】
この発明の他の目的とするところは、光電センサにおける光学素子の位置を任意に調整可能とし、かつ光通過窓を有する遮光板を光学素子に対して効果の高い位置に配置することが可能な光学素子位置調整機構を有する光電センサを提供することにある。
【0011】
この発明の他の目的とするところは、光電センサにおける光学素子の位置を任意に調整可能とし、かつ光通過窓を有する遮光板を光学素子に対して効果の高い位置に配置することが可能な光学素子位置調整機構を有する光電センサの製造方法を提供することにある。
【0012】
この発明の他の目的とするところは、任意の形状や大きさの光通過窓を有する製品を、迅速に、低コストに、さらに精度よく、製造することが可能な光通過窓付の光学素子位置調整機構を有する光電センサを提供することにある。
【0013】
この発明の他の目的とするところは、任意の形状や大きさの光通過窓を有する製品を、迅速に、低コストに、さらに精度よく、製造することが可能な光通過窓付の光学素子位置調整機構を有する光電センサの製造方法を提供することにある。
【0014】
この発明のさらに他の目的並びに作用効果については、以下の明細書の記載を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明の光電センサの主たる特徴は、光学素子と、光学レンズと、所定形状の光通過窓を有する遮光板と、それらを一体的に収容するホルダとを有する光電センサにおいて、光学素子と遮光板との距離を常に一定に保ちつつ、光学素子と光学レンズとの距離を可変とした光学素子位置調整機構を有し、かつ遮光板の光通過窓がレーザ加工により形成されたものである。
【0016】
ここで言う『所定形状の光通過窓』とは、スリット(直線)状、ピンホール(小円)状、楕円状、半円状等々の様々な形状の光通過窓が可能であることを考慮した表現である。また、『光通過窓』とあるのは、光が通過しさえすれば、貫通孔であっても、透明部(例えば、透明ガラス)であっても差し支えないことを考慮した表現である。
【0017】
本発明の実施の形態によれば、投光素子と、投光レンズと、それらを一体的に収容する合成樹脂製のホルダとを有する光電センサにおいて、投光素子を所定の設置位置にて収容し、ホルダの内部に装着されるように構成された保持体を備え、保持体をホルダ内部へと装着する前に、保持体に加工処理を施すことによって、保持体のホルダ内部における装着位置を変更し、投光素子と投光レンズとの距離を可変とした光学素子位置調整機構を有するものである。
【0018】
このような構成によれば、投光素子を収容する保持体が、ホルダとは別体として構成されている。そして、保持体に対して加工処理を施すことによって、ホルダに対してはなんら特別な加工処理を施すことなく、投光素子のホルダ内における設置位置を調整することが可能とされる。そのため、共通のホルダを使用しつつも、様々な投光側光学系の光学的設置位置を実現した光電センサが簡易に、かつ迅速に提供可能となる。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態によれば、投光素子を収容する保持体が、光通過窓を有する遮光板を投光素子と所定の距離離間して設置するための遮光板部を有し、投光素子と遮光板との距離を常に一定に保ちつつ、投光素子と投光レンズとの距離を可変とした光学素子位置調整機構を有するものである。
【0020】
このような構成によれば、投光素子を収容する保持体に光通過窓を有する遮光板の取付位置が予め設定されており、遮光板を投光素子に対して効果の高い位置に固定しつつ、投光素子と遮光板とを収容する保持体に加工処理を施すことにより、ホルダ内における投光素子の設置位置を調整することが可能となる。
【0021】
本発明の実施の形態によれば、受光素子と、受光レンズと、それらを一体的に収容する合成樹脂製のホルダとを有する光電センサにおいて、受光素子を所定の設置位置にて収容し、ホルダの内部に装着されるように構成された保持体を備え、保持体をホルダ内部へと装着する前に、保持体に加工処理を加えることによって、保持体のホルダ内部における装着位置を変更し、受光素子と受光レンズとの距離を可変とした光学素子位置調整機構を有するものである。
【0022】
このような構成によれば、受光素子を収容する保持体が、ホルダとは別体として構成されている。そして、保持体に対して加工処理を施すことによって、ホルダに対してはなんら特別な加工処理を施すことなく、受光素子のホルダ内における設置位置を調整することが可能とされる。そのため、共通のホルダを使用しつつも、様々な受光側光学系の光学的設置位置を実現した光電センサが簡易に、かつ迅速に提供可能となる。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態によれば、保持体が、光通過窓を有する遮光板を受光素子と所定の距離離間して設置するための遮光板部を有し、受光素子と遮光板との距離を常に一定に保ちつつ、受光素子と受光レンズとの距離を可変とした光学素子位置調整機構を有するものである。
【0024】
このような構成によれば、受光素子を収容する保持体に光通過窓を有する遮光板の取付位置が予め設定されており、遮光板を受光素子に対して効果の高い位置に固定しつつ、受光素子と遮光板とを収容する保持体に加工処理を施すことにより、ホルダ内における受光素子の設置位置を調整することが可能となる。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態によれば、遮光板が保持体と一体成形されたものであり、かつ遮光板の光通過窓がレーザ加工により遮光板を所定形状に穿孔することにより開口形成されたものである。
【0026】
このような構成によれば、光学素子のホルダ内における設置位置を調整可能としつつ、保持体における光学素子と遮光板との位置関係は一定に保たれる。また、光通過窓の形成に形状やサイズの調整自由度の高いレーザ加工技術を導入しているため、それらの調整を金型設計に負担させた場合に生ずる、多大な製作日数、高価な金型、在庫増大と言った問題点が解消され、しかもレーザ加工技術の制度は金型による成形精度よりも高いため、任意の形状や大きさの光通過窓を有する製品を、迅速に、低コストに、さらに精度よく、製造することが可能となる。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態によれば、遮光板が保持体の所定位置に装着される別部品である。このような構成とすることで、光通過窓を有する遮光板の設置位置を光学素子に対して効果の高い位置に固定しつつ、レーザ加工処理を行う上で好適な材質を遮光板として用いることが可能となる。
【0028】
そのように、レーザ加工処理に好適な遮光板の例としては、遮光板が透明板の表面に金属膜を蒸着させた断面構造を有するものが挙げられる。このような構成とすることにより、遮光板の表面に蒸着した金属膜をレーザによって除去し、所定形状の露出部を遮光版上に形成することによって、簡易に任意の形状及び大きさの光通過窓を遮光版上に形成することが可能となる。さらに、遮光板を構成する透明板に光学的多層膜を含ませることによって、遮光板自体に光学バンドパスフィルタの機能を持たせることが可能となる。
【0029】
また、レーザ加工処理に好適な遮光板の他の例としては、遮光板がレーザ加工予定領域を薄肉化された金属板が挙げられる。このような構成とすることにより、安価で剛性のある金属板を遮光板の素材として採用しつつも、遮光板におけるレーザ加工予定領域を予め薄肉化しておくことで、レーザ加工による光通過窓の作成をより容易とすることが可能となる。
【0030】
また、本発明による光電センサの製造方法によれば、素子・遮光板保持体収容部と投光レンズ収容部と、それらを結ぶ空洞部とを有する合成樹脂製ホルダを射出成形により一体成型する第1のステップと、投光素子収容部と、遮光板収容部とを有する合成樹脂製の素子・遮光板保持体を射出成形により一体成型する第2のステップと、第2のステップにて得られた合成樹脂製の素子・遮光板保持体に遮光板を装着し、第1のステップにて得られた合成樹脂製のホルダの素子・遮光板保持体収容部に装着する第3のステップと、第3のステップにより得られた素子・遮光板保持体を装着したホルダを所定の治具によりレーザ加工機に装着したのち、空洞部内に投光レンズ収容部側、または素子・遮光板保持体収容部側より投光光軸に沿ってレーザビームを導入して遮光板を所定形状に穿孔することにより光通過窓を開口形成する第4のステップと、第4のステップにより光通過窓が遮光板に開口形成されたホルダに投光素子並びに投光レンズを装着して、素子・レンズ組立体を完成する第5のステップとを含むものである。
【0031】
また、本発明による光電センサの製造方法によれば、第2のステップにて得られた素子・遮光板保持体を、ホルダに装着する前に、適宜切断加工処理を施して、素子・遮光板保持体のホルダへの装着位置を変更するものである。
【0032】
斯かる方法によれば、素子・遮光板保持体によって、投光素子と光通過窓を有する遮光板との位置関係は常に固定されつつ、素子・遮光板保持体に加工を施すことにより、ホルダへの装着位置を変更することが可能となり、その結果、投光素子と、投光レンズとの距離を適宜調整可能とした光学素子位置調整機構を有する光電センサを製造することが可能となる。
【0033】
また、本発明による光電センサの製造方法によれば、異なる投光素子の設置位置を有する様々な投光側光学系において、素子・遮光板保持体への簡易な加工処理にて対応できるため、ホルダの金型作成をその都度行う必要がなくなる。その結果、異なる投光素子の設置位置を有する光電センサを迅速に、かつ低コストに製造することが可能となる。
【0034】
本発明の光電センサの製造方法によれば、素子・遮光板保持体収容部と受光レンズ収容部と、それらを結ぶ空洞部とを有する合成樹脂製ホルダを射出成形により一体成型する第1のステップと、受光素子収容部と、遮光板収容部とを有する合成樹脂製の素子・遮光板保持体を射出成形により一体成型する第2のステップと、第2のステップにて得られた合成樹脂製の素子・遮光板保持体に遮光板を装着し、第1のステップにて得られた合成樹脂製のホルダの素子・遮光板保持体収容部に装着する第3のステップと、第3のステップにより得られた素子・遮光板保持体を装着したホルダを所定の治具によりレーザ加工機に装着したのち、空洞部内に受光レンズ収容部側、または素子・遮光板保持体収容部側より受光光軸に沿ってレーザビームを導入して遮光板を所定形状に穿孔することにより光通過窓を開口形成する第4のステップと、第4のステップにより光通過窓が遮光板に開口形成されたホルダに受光素子並びに受光レンズを装着して、素子・レンズ組立体を完成する第5のステップとを含むものである。
【0035】
また、本発明による光電センサの製造方法によれば、第2のステップにて得られた素子・遮光板保持体を、ホルダに装着する前に、適宜切断加工処理を施して、素子・遮光板保持体のホルダへの装着位置を変更するものである。
【0036】
斯かる方法によれば、素子・遮光板保持体によって、受光素子と光通過窓を有する遮光板との位置関係は常に固定されつつ、素子・遮光板保持体に加工を施すことにより、ホルダへの装着位置を変更することが可能となり、その結果、受光素子と、受光レンズとの距離を適宜調整可能とした光学素子位置調整機構を有する光電センサを製造することが可能となる。
【0037】
また、本発明による光電センサの製造方法によれば、異なる受光素子の設置位置を有する様々な受光側光学系において、素子・遮光板保持体への簡易な加工処理にて対応できるため、ホルダの金型作成をその都度行う必要がなくなる。その結果、異なる受光素子の設置位置を有する光電センサを迅速に、かつ低コストに製造することが可能となる。
【0038】
斯かる方法によれば、素子・遮光板保持体によって、受光素子と光通過窓を有する遮光板との位置関係は常に固定されつつ、素子・遮光板保持体に加工を施すことにより、ホルダへの装着位置を変更することが可能となり、その結果、受光素子と、受光レンズとの距離を適宜調整可能とした光学素子位置調整機構を有する光電センサを製造することが可能となる。
【0039】
本発明の光電センサの製造方法によれば、第2のステップにて得られた合成樹脂製の素子・遮光板保持体に遮光板を装着し、第1のステップにて得られた合成樹脂製のホルダの素子・遮光板保持体収容部に装着する手法の例として圧入方法が挙げられる。
【0040】
斯かる方法によれば、素子・遮光板保持体に対する簡易な加工処理により、ホルダ内における素子・遮光板保持体の装着位置を調整することが可能となり、その結果、光学素子と光学レンズとの距離を適宜調整可能とする光学素子位置調整機構を有する光電センサを製造することが可能となる。
【0041】
また、第2のステップにて得られた合成樹脂製の素子・遮光板保持体に遮光板を装着し、第1のステップにて得られた合成樹脂製のホルダの素子・遮光板保持体収容部に装着する手法の他の例として、ねじ止め方法を採用することが可能である。
【0042】
斯かる方法によれば、素子・遮光板保持体をホルダ内へと装着する際に、適切な光学位置まで素子・遮光板保持体を挿入し、ねじ止め固定する。そのため、素子・遮光板保持体に別段加工処理を施すことなく素子・遮光板保持体の装着位置を調整することが可能となり、その結果、光学素子と光学レンズとの距離を適宜調整可能とする光学素子位置調整機構を有する光電センサを製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0043】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、光電センサにおける光学素子の位置を任意に調整可能とし、かつ光通過窓を有する遮光板を光学素子に対して効果の高い位置に配置することが可能な光学素子位置調整機構を有する光電センサを提供することができる。
【0044】
また、本発明によれば、光電センサにおける光学素子の位置を任意に調整可能とし、かつ光通過窓を有する遮光板を光学素子に対して効果の高い位置に配置することが可能な光学素子位置調整機構を有する光電センサの製造方法を提供することができる。
【0045】
さらに、本発明によれば、任意の形状や大きさの光通過窓を有する製品を、迅速に、低コストに、さらに精度良く、製造することが可能な光通過窓付きの光学素子位置調整機構を有する光電センサを提供することができる。
【0046】
さらに、本発明によれば、任意の形状や大きさの光通過窓を有する製品を、迅速に、低コストに、さらに精度よく、製造することが可能な光通過窓付の光学素子位置調整機構を有する光電センサの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下に、この発明に係る光電センサ並びにその製造方法の好適な実施の一形態を添附図面を参照しながら詳細に説明する。
【0048】
本発明が適用された反射型光電センサの外観を示す斜視図が図1に示されている。同図に示されるように、この光電センサ1は反射型として構成されたものであり、ケース10と、このケース10の前面側開口に装着される素子・レンズ組立体20と、ケース10の上面側開口に装着される操作・表示部組立体30とを主体として構成されている。尚、図において、符号50aは電気コード、21は投光レンズ部と受光レンズ部とが形成されたレンズ板、23c,23dはセンサ据付けのための取付穴、31aは表示灯の光を拡散させるための照光レンズ、31b、31cは感度調整等のために使用される回転操作子である。
【0049】
同反射型光電センサの内部構造を示す分解斜視図が図2に示されている。同図に示されるように、レンズ・素子組立体20は、レンズ板21と投光基板29及び受光基板44とを合成樹脂製のホルダ23を介して一体的に結合してなるものである。レンズ板21の裏面には、後に図3を参照して説明するように、投光レンズ部21aと受光レンズ部21bとが膨出形成されている。投光基板29上には投光素子22が、そして受光基板44上には受光素子43が搭載されている。
【0050】
合成樹脂製のホルダ23には、それぞれホルダを前後方向に貫通する2つの空洞部23a,23bが設けられている。下側の空洞部23aは投光光学系のためのものであり、上側の空洞部23bは受光光学系のためのものである。尚、23c,23dは取付穴である。
【0051】
次に、操作・表示部組立体30の詳細について説明する。操作・表示部組立体30は、操作・表示ブロック31と回路基板32とを一体に結合して構成されている。回路基板32上には、安定表示灯32a及び動作表示灯32bが搭載されている。一方、回路基板32に被せるようにして装着される操作・表示ブロック31の表面には、安定表示灯32a及び動作表示灯32bからの光を外部へと拡散するための照光レンズ31aと、感度調整等の各種の操作に利用されるマイナスドライバ差し込み式の2個の操作子31b,31cとが設けられている。尚、突起31eは操作・表示ブロック31と回路基板32とを結合するためのものであり、突起31dは操作・表示ブロック31をケース10に装着する際に、ケース側の凹部10bと係合抜け止めするためのものである。また、ケース10の相対向する内面に設けられた凸部10aは、ケース10とホルダ23とを結合するためのものである。ケース10の底部には電気コード組立体50が装着される。尚、図において50aは電気コード、50bはコードホルダである。
【0052】
本発明が適用されたレンズ・素子組立体の半裁断面を示す斜視図が図3に示されている。先に説明したように、ホルダ23には、それぞれホルダを前後方向に貫通する2つの空洞部23a,23bが設けられている。同図においては、投光用光学系の空洞部23aの後面側に、後述する投光素子と投光側遮光板とを一体的に保持する素子・遮光板保持体2が装着された状態が示されている。素子・遮光板保持体2とホルダ23との装着方法は後に図8を参照して詳細に説明するが、ホルダ23の投光側空洞部23aの後面側に設けられた素子・遮光板保持体収容部23eに素子・遮光板保持体2は挿入され、素子・遮光板保持体収容部23eの前端部に突出するように設けられたストッパ28に当接し、固定される。ホルダ23の前面側にはレンズ板21が装着されている。既に述べたように、レンズ板21の背面側には、投光レンズ部21a及び受光レンズ部21bが膨出形成されている。そして、投光側の空洞部23aの前面側に位置する投光レンズ収容部には投光レンズ部21aが収容され、受光側の空洞部23bの前面側に位置する受光レンズ収容部には受光レンズ21bが収容される。尚、レンズ板21とホルダ23との結合手段としては、例えばピンと穴とを利用した圧入構造や接着構造などが採用される。投光素子22は後に詳細に説明するが、素子・遮光板保持体2に格納された状態で空洞部23aの後面側に位置する投光素子収容部に収容され、図2で示した受光素子43は空洞部23bの後面側に位置する受光素子収容部に収容される。尚、受光基板44とホルダ23との結合手段もピンと穴とを利用した圧入構造や接着構造等が採用される。
【0053】
このようにして製造されたレンズ・素子組立体20によれば、投光光学系と受光光学系とが上下2段に構成される。下段に位置する投光光学系は、投光素子22と後述する光通過窓41cを有する投光側遮光板41と、投光レンズ部21aとを順に配置した構造を有し、投光素子22から発せられた光は、後述する遮光板41に設けられた光通過窓41cによってビーム断面が整形された後、投光レンズ部21aを介して集光されて、検出対象物へと照射される。すなわち、光通過窓41cの存在によって、投光領域は適切に限定される。一方、上段に位置する受光光学系は、受光レンズ部21bと、後述する光通過窓42aを有する遮光板42と、受光素子43とを順に配置して構成される。そして、検出対象物で反射された光は、受光レンズ部21bで収束された後、光通過窓42aによってビーム断面が整形された後、受光素子43へと照射される。これにより、受光素子43に照射される光は、受光側遮光板42の光通過窓42aによって領域制限され、不要な外乱光等が受光素子22bに導入される虞れを排除することができる。
【0054】
しかも、この例にあっては、ホルダ23と投光側遮光板41を有する素子・遮光板保持体2、及び受光側遮光板42とは別部品であるから、共通のホルダ23を使用しつつも、素子・遮光板保持体2内に取り付けられる投光側遮光板41、並びに受光側遮光板42を選択的に装着することによって、光通過窓を要求する顧客と要求しない顧客との双方に対応することができる。また、光通過窓を要求する顧客に対して、後に詳細に説明するが、遮光板41,42に対するレーザ加工処理により、任意の形状や大きさの光通過窓を加工できるため、顧客の任意のニーズに対応できる。加えて、ホルダ23と遮光板41,42とを別素材とすることができるため、遮光板41,42の素材をレーザ加工し易いものとすることによって、光通過窓41c,42aの加工精度を向上させることができる。尚、この例にあっては投光側光学系にのみ素子・遮光板保持体2を装着するようにしているが、受光側光学系にも素子・遮光板保持体を適用することが容易であることは言うまでもない。
【0055】
次に、本発明の要部である投光素子22及び投光用遮光板41とを保持する素子・遮光板保持体2の構成を、図4〜図7を参照して詳細に説明する。
【0056】
遮光板41を装着した素子・遮光板保持体2の外観斜視図が図4に、そして、遮光板41の装着前の素子・遮光板保持体2、及び遮光板41の斜視図が図5に示されている。素子・遮光板保持体2は、その中央部を貫通する空洞部を有する円筒状として形成されており、その後端側より投光素子が挿入されるようになっている。そのため、投光素子22が挿入されると、投光素子22から投光される光の光路の光軸は、円筒状の素子・遮光板保持体2の円心に沿うこととなる。素子・遮光板保持体2の外周の一部には、長手方向に沿って突出するように、ガイド部25が形成されている。素子・遮光板保持体2はホルダ23への装着時に、このガイド部25が、後述するホルダ23側に設けられたガイド溝33に沿ってスライドし、装着される。また、この例においては、素子・遮光板保持体2もホルダ23と同様に合成樹脂製とされている。
【0057】
また、素子・遮光板保持体2の後端側から投光素子22の装着後に、装着された投光素子22の直前に遮光板41が設置され、投光素子22からの光路を遮るように、遮光板挿入スリット24が素子・遮光板保持体2に開設されている。遮光板挿入スリット24は、遮光板41と投光素子22との間の距離が、例えば0.2mmとなり、遮光板による効果の高い位置に遮光板41が挿入固定されるように位置決めされる。また、その遮光板挿入スリット24の後部には平坦部27が凹部として形成されており、その平坦部27の中央には凸部26が形成されている。そして、遮光板挿入スリット24に挿入される遮光板41は、図5に示されるように、貫通孔41bを有する折り曲げ部41aが設けられており、遮光板挿入スリット24への挿入時に、折り曲げ部41aが素子・遮光板保持体2側の平坦部27に当接し、平坦部27の中央に設けられた凸部26が貫通孔41bに挿入される。遮光板41が素子・遮光板保持体2の遮光板挿入スリット24に挿入された後に、素子・遮光板保持体2の凸部26に熱かしめ処理を施すことにより遮光板41は素子・遮光板保持体2に挿入固定される。
【0058】
尚、この例においては、素子・遮光板保持体2と遮光板41とを別部材として構成したが、素子・遮光板保持体2を成型する際に遮光板41も同一部材から一体成型するような構成としても良い。また、遮光板を必要としない顧客に対しては、上述の構造において遮光板を装着しないということのみで簡易に対応できることは言うまでもない。
【0059】
次に、図6及び図7を参照して、本発明による光学系の調整方法を詳細に説明する。図6(a)及び図7(a)にて示されるように、本発明の素子・遮光板保持体2は、その前端面から遮光板挿入スリット24までの距離Aを有している。そして、素子・遮光板保持体2は、ホルダ23側に形成されるストッパ28に当接する位置まで挿入されて固定される。そして、このストッパ28によって、素子・遮光板保持体2の挿入限界が規定される。そのため、素子・遮光板保持体2の遮光板挿入スリット24から素子・遮光板保持体2の前端面までの距離Aを、例えば、図6(b)及び図7(b)に示されるように距離A’まで切断等の加工処理を施し短くすることで、投光素子22と投光レンズ21aとの距離も同様に短く変更させることができる。則ち、ホルダ23側のストッパ28の作用により、素子・遮光板保持体2はその前端面がストッパ28に当接するまで挿入されるため、素子・遮光板保持体2の前端面から遮光板挿入スリット24までの距離Aに対して切断処理を施して変更することで、切断された距離の分だけ投光素子22と投光レンズ21aとの距離が狭まることとなる。
【0060】
図6(b)及び図7(b)において示されるように、素子・遮光板保持体2の前端面から遮光板挿入スリット24までの距離A’が同図(a)の距離Aよりも短いため、ホルダ23への装着後、投光素子22と投光レンズ21aとの距離が短くなる。従って、この素子・遮光板保持体2の前端面から遮光板挿入スリット24までの距離を適宜用途に合わせて変更することによって、投光素子22と投光レンズ21aとの距離を適切に調整することが可能となる。しかも、本発明によると、投光素子22と、投光レンズ21aとの距離を調整可能としつつも、投光素子22と遮光板41との距離は、予め好適な位置関係に素子・遮光板保持体2によって一体的に保持されている。すなわち、遮光板41と投光素子22との間の距離が常に、この例では0.2mmとなり、遮光板による効果の高い位置関係が保たれる。
【0061】
図8は本発明の素子・遮光板保持体2のホルダ23への取付方法を、そして、図9はホルダ23と素子・遮光板保持体2の取付が完了し、さらに受光素子22を素子・遮光板保持体2へと装着するための取付方法を示している。これらの図において、符号2は素子・遮光板保持体、23はホルダ、25はガイド部、33はガイド溝、21はレンズ板、22は投光素子、23c及び23dは取付孔、そして23eは素子・遮光板保持体収容部をそれぞれ示している。
【0062】
図8にて示されるように、本発明においては、素子・遮光板保持体2に遮光板41が装着完了された状態でホルダ23と結合する。ホルダ23の投光光学系側の空洞部23aの後面側には、素子・遮光板保持体2の外周とほぼ等しい素子・遮光板保持体収容部23eが開口形成されている。また、ホルダ23側の素子・遮光板保持体収容部23eには、素子・遮光板保持体2に設けられたガイド部25に合致するようなガイド溝33が形成されている。その素子・遮光板保持体収容部23eに素子・遮光板保持体2を圧入することにより、素子・遮光板保持体2がホルダ23へと挿入固定される。この時、ホルダ23側に設けられたガイド溝33に素子・遮光板保持体2側のガイド部25がスライドしつつ挿入される。また、図3にて示されるように、ホルダ23側にはストッパ28がホルダ23の投光光学系側の空洞部23aの内部に突出形成されており、素子・遮光板保持体2の前端面がこのストッパ28に当接するまで圧入されて位置決めされる。そのため、図6及び図7を参照して述べたように、素子・遮光板保持体2の前端面から遮光板挿入スリット24までの距離を切断等の処理を施し可変とすることで、受光素子22及び遮光板41のホルダ23へ内における位置が調整可能とされる。
【0063】
このようにして素子・遮光板保持体2がホルダ23へと挿入固定された後に、後述するレーザ加工処理を施して遮光板41に光通過窓41cを形成する。遮光板41に光通過窓41cが形成された後に、図9にて示されるように投光素子22がホルダ23に挿入固定された素子・遮光板保持体2へと装着される。
【0064】
次に、遮光板41に対するレーザ加工処理について説明する。治具に固定されてレーザ加工が行われている反射型光電センサ用のホルダの側面図が図10に示されている。同図に示されるように、投光側遮光板41を有する素子・遮光板保持体2及び受光側遮光板42が装着されたホルダ23は、治具60を介して、図示しないレーザ加工機のXYθテーブル上に固定される。図の例では、ホルダ23は、空洞部23a,23bを上に向けた水平姿勢を保った状態で、治具60を介して、レーザ加工機のXYθテーブル上に位置決め固定される。
【0065】
この状態において、レーザ加工機を作動させると、レーザ装置から出射されたレーザビームは、ホルダ23をその真上から照射する。このとき、レーザビームL1のように、受光側光軸に沿って、空洞部23bに導入されたレーザビームは、受光側遮光板42に照射される。このとき、図示しないXYθステージを適宜に移動制御させれば、受光側遮光板42には所定形状の光通過窓が開口形成される。ここで、所定形状としては、スリット(直線)状、長方形状、円形状、楕円形状、半円状等々さまざまな形状をXYθステージの移動制御によって実現することができる。しかもこの種のレーザ加工機における加工精度は、一般に、金型設計による加工精度に比べて高いため、従前よりも高精度に光通過窓を形成することができる。同様にして、レーザビームL2に示されるように、投光側光軸に沿って、空洞部23aに導入されたレーザビームは、投光側遮光板41に照射される。このとき、先ほどと同様にして、XYθステージを適宜に移動制御すれば、投光側遮光板41上には、所定形状の光通過窓を開口形成することができる。
【0066】
次に、光通過窓形成後の反射型光電センサ用のホルダの側断面図が図11に示されている。この例にあっては、同図から明らかなように、遮光板41には光通過窓41cが、また遮光板42には光通過窓42aがそれぞれ開口形成されている。尚、図に示される遮光板41,42の断面構造は、後に詳細に説明するように、ガラス板の表面にクロム蒸着膜を被着させたものやレーザ加工領域を若干薄肉化した金属板など様々なバリエーションが考えられる。このようにして、遮光板41及び42に光通過窓41c及び42aがそれぞれ形成された後に、図12にて示されるように、投光素子22及び投光基板29、並びに受光素子43及び受光基板44とが取り付けられて、レンズ・素子組立体20が完成する。
【0067】
ここまでは、反射型光電センサを対象として説明したが、次に、本発明による素子・遮光板保持体2を透過型光電センサに適用した場合を図13及び図14を参照して説明する。 本発明の素子・遮光板保持体2を採用し、遮光板41にレーザ加工でスリットを形成する工程を示す透過型光電センサ用ホルダの断面図が図13に示されている。ここで、素子・遮光板保持体2は上述の反射型光電センサ用のホルダ23に装着されるものと同様であるため、同じ構成要素には同じ符号を付与して説明を省略する。図13において示されるように、遮光板41を有する素子・遮光板保持体2が装着されたホルダ71は、治具80を介して、レーザ加工機の図示しないXYθテーブル上に位置決め固定される。
【0068】
透過型光電センサの場合は、投光用光学系を有する投光器と、受光用光学系を有する受光器とが別体として構成されるが、ここでは透過型光電センサの投光器に本発明が適用された場合のレーザ加工処理を説明する。同図に示されるように、透過型光電センサのホルダ71はその基本構成において、既に説明した反射型光電センサ用のホルダ23と類似するものである。透過型光電センサにおいては、投光用光学系と受光用光学系とが別体となるため、ホルダ71の前面中央に、ホルダの前後へと貫通する空洞部71aが設けられている。そして、空洞部71aの後面側には素子・遮光板保持体2が遮光板41を装着した状態で挿入固定されている。
【0069】
この状態において、レーザ加工機を作動させると、レーザ装置から出射されたレーザビームは、ホルダ71をその真上から照射する。この時、レーザビームL3のように、投光側の光軸に沿って、空洞部71aから導入されたレーザビームL3は、素子・遮光板保持体2内に取り付けられる遮光板41へと照射される。このとき、図示しないXYθテーブルを適宜に移動制御させれば、投光側遮光板42には所定形状の光通過窓が開口形成される。ここでも、所定形状としては、スリット(直線)状、長方形状、円形状、楕円形状、半円形状等々さまざまな形状をXYθテーブルの移動制御によって実現することができる。
【0070】
次に、遮光板41にレーザ加工でスリットを形成した透過型光電センサ用ホルダの組立体の断面図が図14に示されている。同図に示されるように、ホルダ71の前面側にはレンズ板72が装着される。レンズ板72の裏面側には投光レンズ部72aが膨出形成されており、この投光レンズ部72aは空洞部71aの前面側に収容される。一方、既に説明した反射型光電センサの場合と同様に、ホルダ71の後面側には素子・遮光板保持体2が挿入固定され、遮光板41へのレーザ加工処理によってスリット(光通過窓41c)が開設されている。その素子・遮光板保持体2に、さらに後面側より受光素子22を搭載している投光基板29が圧入装着されてレンズ・素子組立体70が完成する。
【0071】
そのため、投光素子22から出射された光は、光通過窓41cによって断面形状が適宜に整形された後、投光レンズ部72aによって集光されて、検出対象領域へと投光される。
【0072】
このようなレンズ・素子組立体70によれば、素子・遮光板保持体2の前端面から遮光板挿入スリット24までの距離を切断等により適宜変更させることによって、投光素子22と遮光板41との距離を絶えず最適な距離に保ちつつも、投光素子22と投光レンズ72aとの距離を様々な光学形式に対応して変化させることが可能となる。また、このような構成とすることによって、ホルダ71の構成は全く変えずに、光学素子の設置位置の変更や、遮光板の有無にも対応できるため、1種類の成形金型を用意して、光通過窓41cの形状についてはレーザ加工機の作用によって任意に設定できるから、様々な形状を有する光通過窓を備えたレンズ・素子組立体70を低コストに製作することができる。尚、ここでは、透過型光電センサの投光器を参照して説明したが、同様の構成並びに加工処理を受光器側の受光光学系にて適用することが可能であることは言うまでもない。
【0073】
次に、レーザ加工によるスリット形成方法のバリエーションを示す説明図が図15に示されている。同図(a)に示されるものは、樹脂製遮光板へレーザ加工機によって穴開け加工を行うようにしたものであり、合成樹脂製薄板81に対してレーザ加工を行うことによって、貫通孔81aを形成するものである。
【0074】
同図(b)に示されるものは、金属薄板へのレーザ加工により、光通過窓を開口形成するものである。この例にあっては、金属薄板82の表面に電鋳金属層83を形成してなる遮光板を用意し、その薄肉領域84に対してレーザビームを照射して、貫通孔84aを形成することによって、光通過窓を開口形成しようとするものである。尚、電鋳金属層83は補強のためである。金属薄板82の厚さは10μm〜0.2mm程度、電鋳金属層83の厚さは0.5mm〜2.0mm程度が好ましい。
【0075】
同図(c)に示されるものは、金属蒸着膜へのレーザ加工を行うことにより、光通過窓を開口形成しようとするものである。この例にあっては、ガラス板85の表面にクロム蒸着膜86を形成すると共に、これにレーザビームを照射することによって、クロム除去領域86aを形成することにより、光通過窓を開口形成しようとするものである。この例にあっては、クロム蒸着膜86はレーザビームの照射によって昇華除去されるため、光通過窓の形成が容易である他、ガラス板85として光学的多層膜を含むものを採用すれば、ガラス板85自体に光フィルタ機能を持たせることによって、別途光フィルタ板を設けることが不要となる利点がある。なお、ガラス板の素材としてはBK7やB270等が好ましく、その厚さは0.5mm〜2.0mm程度が好ましい。
【0076】
このように、同図(a)〜(c)に示される方法を適宜選択することによって、遮光板上に任意の形状の光通過窓を高精度に開口形成することができる。
【0077】
なお、同図(a)〜(c)において、光通過窓は、(a)合成樹脂製薄板81、(b)金属薄板82、(c)クロム蒸着膜86と、薄板または薄膜に対してレーザ加工されることにより形成されるため、ナイフエッジ形状と等価な開口部を得ることができる。
【0078】
次に、レーザ加工設備のシステム構成図が図16に示されている。同図に示されるように、レーザ加工機90は、演算処理装置91と、レーザ加工装置92と、視覚認識装置93とから構成される。演算処理装置91には、CADデータ91aとレーザ・ワーク制御数値演算装置91bとが含まれている。また、レーザ加工装置92には、レーザ装置92aと、電源装置92bと、冷却装置92cと、ミラー92dと、集光レンズ92eと、XYθステージ装置とが含まれている。ここで、XYθステージ装置は、X方向ステージ92fと、Y方向ステージ92gと、θ方向ステージ92hとを含んでいる。それらのステージ92f〜92hは水平な基準面において、X方向、Y方向、及び垂直軸を中心とした回転方向(θ方向)のそれぞれにおいて、位置決め制御が可能となされている。そして、θ方向ステージ92hの上にワークWが置かれる。ここでワークWとしては、本発明にあっては、合成樹脂製のホルダ23又は71がこれに相当する。
【0079】
一方、視覚認識装置93は、照明用光源93aと、ハーフミラー93bと、CCD等を内蔵したカメラ93cとを含んでいる。
【0080】
以上の構成において、レーザ加工機90が動作を開始すると、レーザ・ワーク制御数値演算装置91bは、CADデータ91aに従って、X方向ステージ92f,Y方向ステージ92g,θ方向ステージ92hを適宜制御することによって、ワークWを適宜に移動制御する。このとき、ワークWの位置は、カメラ93cからの情報に基づいて制御される。一方、レーザ装置92aから発せられたレーザ光は、ミラー92dで垂直真下に反射された後、集光レンズ92eで集光されて、ワークWの表面へと照射される。これにより、先に図5及び図8を参照して説明したように、遮光板41,42には、光通過窓41c、42aが開口形成されることとなる。
【0081】
演算処理装置91のソフトウェア構成を示すフローチャートが図17に示されている。同図に示されるように、ワークがセットされると、スタートスイッチのONを待機するか、またはオートスタート機能によって装置の作動が開始され(ステップ101)、しかる後CADデータの読み込みが行われる(ステップ102)。以後、XYθステージ装置を原点位置に復帰させた後(ステップ103)、加工位置への移動(ステップ104)とレーザ加工(ステップ105)とが繰り返し実行される。そして、CADデータに従ってあらかじめ予定された加工処理が終了するのを待って、ワークを取り出し(ステップ106)、1個のホルダに対する処理が終了し、以後同様な処理を繰り返すことによって、1品製作的にこの種の光電センサにおける光通過窓の開口形成を可能とするのである。
【0082】
以上説明した実施形態によれば、投光素子及び遮光板とを、素子・遮光板保持体を介してホルダへと装着固定し、素子・遮光板保持体の長さを適宜変更することにより、投光素子と投光レンズとの距離を調整可能としたものである。また、そのように投光素子と投光レンズとの位置関係を調整可能としつつも、投光素子と遮光板との距離は、遮光板の効果の高い、投光素子の直前に保つことが可能とされている。
【0083】
また、このような構成にすることによって、光学系に改造を加える際に、共通のホルダに対して、素子・遮光板保持体の長さを調整するという簡易な調整機構にて対応することが可能となっており、需要に応じたカスタマイズ商品を迅速に提供することが可能となる。さらに、本発明によれば、共通の部品を使用しつつも、素子・遮光板保持体を適宜加工することによって光学素子の設置位置を調整しているため、特定の光学系に対する使用数量の大小に拘わらず、対応するカスタマイズ商品を安価に提供することが可能となる。
【0084】
さらに、既に述べたように、従来の光電センサの構造においては、光学系の改造のためには、設計段階、試作段階、試作の評価段階、金型作成段階、そして初試・量試段階(評価を含む)を経て商品の量産、という工程を経ることが一般的である。そして、本発明による光学系の調整機構によれば、設計段階及び試作段階は、共通の部品に対して行う内部調整にて対応するため、試作品の提供までの必要日数を大幅に削減し、迅速に提供することができる。また、本発明によると、試作品の評価段階完了後の金型製作段階が不要となり、直ちに初試・量試段階(評価を含む)を経て商品の量産へと至ることが可能となる。さらに、評価段階においても、改造前に用いられている評価済み商品と共通の部品で作成されているため、品質評価等を再度一から評価し直す必要がない。そのため、評価段階においても大幅な時間(日数)の削減が可能となる。このように、本発明によれば、新しい光学系を有する商品のリリースや改造等の需要に対して、試作品の製作から量産までの工程、及び必要日数の大幅削減を実現し、迅速に対応することが可能となる。
【0085】
さらに、レーザ加工技術を用いて遮光板にスリット等の光通過窓を開口形成するようにしているため、光通過窓の形状は丸穴、角穴、異形状等のどのような形状でも採用が可能となる他、後工程でホルダに異なる光通過窓を形成することで1個からでも光通過窓の形状の異なるホルダを製作することができ、ホルダの種類と在庫を減らすことができる。
【0086】
また、様々な光学系の設計事項に対して、共通のホルダを使用しつつ、素子・遮光板保持体への加工処理のみで対応できるため、ホルダの金型を光学系の数に併せていくつも保有する必要がなくなり、コストを大幅に押さえることが可能となる。
【0087】
また、ホルダに直接光通過窓のための加工を行うことで光通過窓の位置精度が向上する。具体的には、従前の金型設計により光通過窓のサイズや形状を決定する場合の位置精度は±0.05mm程度であったのに対し、本発明のレーザ加工により直接に光通過窓を開口形成する場合の位置精度は±0.03mm以下とすることができた。
【0088】
また、光通過窓を後加工することで、投受光素子とレンズとの位置関係を精度よく構築できるので、光学性能が向上するという利点も確認された。
【0089】
また、光通過窓は、薄板または薄膜などに対してレーザ加工されることにより形成されるため、ナイフエッジ形状と等価な開口部を得ることができる。
【0090】
さらに、ガラスの表面にクロム蒸着膜等を被着させて遮光板とする例にあっては、ガラス板それ自体を光学的な多層膜とし、バンドパスフィルタとしての機能も付与しておけば、単なる光通過窓の機能を超えて、窓それ自体が様々な光学的特性を有することとなり、新たな技術展開が期待できるという利点もある。
【0091】
上記の実施形態においては、反射型光電センサ及び透過型光電センサとのいずれにおいても、本発明による素子・遮光板保持体2のホルダへの装着方法は圧入処理を施すものとして説明した。以下に、素子・遮光板保持体2をねじ止め方式によってホルダ23へと装着固定する方法を図18から図20を参照して説明する。
【0092】
これらの図においては、反射型光電センサにおける投光用光学系を対象としており、基本的な構造は既に述べた圧入方式による装着方法と変わらないため、同じ構成要素には同符号を付与し、説明を省略する。
【0093】
図18及び図19にて示されるように、ホルダ23の構成は上述の圧入方式を採用した反射型光電センサのホルダ23とほぼ同様であるが、ストッパ28がホルダ23内に形成されておらず、素子・遮光板保持体収容部の側面にねじ止めを行うためのねじ孔45が開設されている点のみ相異する。
【0094】
素子・遮光板保持体2は遮光板41が装着された状態にてホルダ23の投光側の素子・遮光板保持体収容部へと挿入される。この時、ホルダ23側には素子・遮光板保持体2の挿入限界を規定するストッパが存在しないため、素子・遮光板保持体2は適宜好ましい位置まで挿入される。素子・遮光板保持体2が適する位置まで挿入されたら、ねじ46が、素子・遮光板保持体収容部の側面に設けられたねじ孔45を介して素子・遮光板保持体2をホルダ23にねじ止め固定する。そして、素子・遮光板保持体2が適切な位置にてねじ止め固定された後に、投光素子22を素子・遮光板保持体2の後面側より圧入装着する。
【0095】
このような構成にすることによって、図20にて示すように、素子・遮光板保持体2の挿入位置を適宜調整することにより、投光素子22と投光レンズとの距離を調整可能としつつ、投光素子22と遮光板41との位置関係を好適な距離に保つことが可能となる。また、素子・遮光板保持体2がホルダ23に装着された後の工程については、上述の圧入方法を用いた場合と同様であり、その作用効果も同様であるため説明を省略する。尚、この素子・遮光板保持体2のねじ止め方法は、上述の圧入方法と同様に、投光側光学系のみではなく、受光側光学系にも適用可能であり、また、透過型光電センサの投光器及び受光器における投光側光学系並びに受光側光学系にも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明が適用された反射型光電センサの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明が適用された反射型光電センサの内部構造を示す分解斜視図である。
【図3】本発明が適用されたレンズ・素子組立体を示す半裁断面斜視図である。
【図4】本発明の素子・遮光板保持体の外観を示す斜視図である。
【図5】本発明の素子・遮光板保持体への遮光板の取付方法を示す説明図である。
【図6】本発明の素子・遮光板保持体による光学系の調整方法を示す説明図(その1)である。
【図7】本発明の素子・遮光板保持体による光学系の調整方法を示す説明図(その2)である。
【図8】圧入方法による素子・遮光板保持体のホルダへの取付方法を示す説明図である。
【図9】本発明の素子・遮光板保持体への投光素子の取付方法を示す説明図である。
【図10】治具に固定されてレーザ加工が行われている反射型光電センサ用のホルダの側断面図である。
【図11】スリット形成後の反射型光電センサ用のホルダの側断面図である。
【図12】投受光素子並びにレンズ部材の組み付けが完了した反射型光電センサ用のホルダの側断面図である。
【図13】治具に固定されてレーザ加工が行われている透過型光電センサ用のホルダの側断面図である。
【図14】投光素子並びにレンズ部材の組み付けが完了した透過型光電センサ用のホルダの側断面図である。
【図15】レーザ加工によるスリット形成方法のバリエーションを示す説明図である。
【図16】レーザ加工設備のシステム構成図である。
【図17】演算処理装置のソフトウェア構成を示すフローチャートである。
【図18】ねじ止め方法による素子・遮光板保持体のホルダへの取付方法を示す説明図(その1)である。
【図19】ねじ止め方法による素子・遮光板保持体のホルダへの取付方法を示す説明図(その2)である。
【図20】ねじ止め方法による素子・遮光板保持体のホルダへの取付方法を採用した際の光学系の調整方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0097】
1 反射型光電センサ
2 素子・遮光板保持体
10 ケース
10a 凸部
10b 凹部
20 レンズ・素子組立体
21 レンズ板
21a 投光レンズ部
21b 受光レンズ部
22 投光素子
23 ホルダ
23a、23b 空洞部
23c、d 取付穴
23e 素子・遮光板保持体収容部
24 遮光板挿入スリット
25 ガイド部
26 熱かしめ用凸部
27 平坦部
28 ストッパ
29 投光基板
30 操作・表示部組立体
31 操作・表示ブロック
31a 照光レンズ
31b,31c 操作子
31d,31e 凸部
32 回路基板
32a 安定表示灯
32b 動作表示灯
33 ガイド溝
41 投光側遮光板
41a 遮光板
41b 貫通孔
41c 光通過窓
42 受光側遮光板
42a 光通過窓
43 受光素子
44 受光基板
45 ねじ孔
46 ねじ
50 電気コード組立体
50a 電気コード
50b コードホルダ
60 治具
70 レンズ・素子組立体
71 ホルダ
71a 空洞部
72 レンズ板
72a 投光レンズ部
73a、b 取付穴
74 ストッパ
80 治具
81 合成樹脂製薄板
81a 貫通孔
82 金属製薄板
83 電鋳金属層
84 薄肉領域
84a 貫通孔
85 ガラス板
86 クロム蒸着膜
86a クロム除去領域
90 レーザ加工機
91 演算処理装置
91a CADデータ
91b レーザ・ワーク制御数値演算装置
92 レーザ加工装置
92a レーザ装置
92b 電源装置
92c 冷却装置
92d ミラー
92e 集光レンズ
92f X方向ステージ
92g Y方向ステージ
92h θ方向ステージ
93 視覚認識装置
93a 光源
93b ハーフミラー
93c カメラ
W ワーク
L1、L2、L3 レーザビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子と、光学レンズと、所定形状の光通過窓を有する遮光板と、それらを一体的に収容するホルダとを有する光電センサにおいて、
光学素子と遮光板との距離を常に一定に保ちつつ、光学素子と光学レンズとの距離を可変とした光学素子位置調整機構を有し、かつ
遮光板の光通過窓がレーザ加工により形成されたものである、ことを特徴とする光電センサ。
【請求項2】
投光素子と、投光レンズと、それらを一体的に収容する合成樹脂製のホルダとを有する光電センサにおいて、
投光素子を所定の設置位置にて収容し、ホルダの内部に装着されるように構成された保持体を備え、
保持体をホルダ内部へと装着する前に、保持体に加工処理を施すことによって、保持体のホルダ内部における装着位置を変更し、投光素子と投光レンズとの距離を可変とした光学素子位置調整機構を有すること、を特徴とする光電センサ。
【請求項3】
保持体が、所定形状の光通過窓を有する遮光板を投光素子と所定の距離離間して設置するための遮光板部を有し、
投光素子と遮光板との距離を常に一定に保ちつつ、投光素子と投光レンズとの距離を可変とした光学素子位置調整機構を有すること、を特徴とする請求項2に記載の光電センサ。
【請求項4】
受光素子と、受光レンズと、それらを一体的に収容する合成樹脂製のホルダとを有する光電センサにおいて、
受光素子を所定の設置位置にて収容し、ホルダの内部に装着されるように構成された保持体を備え、
保持体をホルダ内部へと装着する前に、保持体に加工処理を加えることによって、保持体のホルダ内部における装着位置を変更し、受光素子と受光レンズとの距離を可変とした光学素子位置調整機構を有すること、を特徴とする光電センサ。
【請求項5】
保持体が、所定形状の光通過窓を有する遮光板を受光素子と所定の距離離間して設置するための遮光板部を有し、
受光素子と遮光板との距離を常に一定に保ちつつ、受光素子と受光レンズとの距離を可変とした光学素子位置調整機構を有すること、を特徴とする請求項4に記載の光電センサ。
【請求項6】
遮光板が保持体と一体成形されたものであり、かつ遮光板の光通過窓がレーザ加工により遮光板を所定形状に穿孔することにより開口形成されたものである、
ことを特徴とする請求項3及び5に記載の光電センサ。
【請求項7】
遮光板が保持体の所定位置に装着される別部品である、ことを特徴とする請求項3及び5に記載の光電センサ。
【請求項8】
遮光板が透明板の表面に金属膜を蒸着させた断面構造を有するものであり、かつ遮光板の光通過窓がレーザ加工により金属膜を所定形状に除去することにより開口形成されたものである、
ことを特徴とする請求項7に記載の光電センサ。
【請求項9】
遮光板を構成する透明板が光学的多層膜を含むものである、ことを特徴とする請求項8に記載の光電センサ。
【請求項10】
遮光板がレーザ加工予定領域を薄肉化された金属板であり、かつ遮光板の光通過窓がレーザ加工により薄肉化された領域を所定形状に穿孔することにより開口形成されたものである、
ことを特徴とする請求項7に記載の光電センサ。
【請求項11】
素子・遮光板保持体収容部と投光レンズ収容部と、それらを結ぶ空洞部とを有する合成樹脂製ホルダを射出成形により一体成型する第1のステップと、
投光素子収容部と、遮光板収容部とを有する合成樹脂製の素子・遮光板保持体を射出成形により一体成型する第2のステップと、
第2のステップにて得られた合成樹脂製の素子・遮光板保持体に遮光板を装着し、第1のステップにて得られた合成樹脂製のホルダの素子・遮光板保持体収容部に装着する第3のステップと、
第3のステップにより得られた素子・遮光板保持体を装着したホルダを所定の治具によりレーザ加工機に装着したのち、空洞部内に投光レンズ収容部側、または素子・遮光板保持体収容部側より投光光軸に沿ってレーザビームを導入して遮光板を所定形状に穿孔することにより光通過窓を開口形成する第4のステップと、
第4のステップにより光通過窓が遮光板に開口形成されたホルダに投光素子並びに投光レンズを装着して、素子・レンズ組立体を完成する第5のステップとを含む、
ことを特徴とする光電センサの製造方法。
【請求項12】
第2のステップにて得られた素子・遮光板保持体を、ホルダに装着する前に、適宜切断加工処理を施して、素子・遮光板保持体のホルダへの装着位置を変更することにより、ホルダへの装着後の投光素子と投光レンズとの距離を調整可能とした光学素子位置調整機構を有する、
ことを特徴とする請求項11に記載の光電センサの製造方法。
【請求項13】
素子・遮光板保持体収容部と受光レンズ収容部と、それらを結ぶ空洞部とを有する合成樹脂製ホルダを射出成形により一体成型する第1のステップと、
受光素子収容部と、遮光板収容部とを有する合成樹脂製の素子・遮光板保持体を射出成形により一体成型する第2のステップと、
第2のステップにて得られた合成樹脂製の素子・遮光板保持体に遮光板を装着し、第1のステップにて得られた合成樹脂製のホルダの素子・遮光板保持体収容部に装着する第3のステップと、
第3のステップにより得られた素子・遮光板保持体を装着したホルダを所定の治具によりレーザ加工機に装着したのち、空洞部内に受光レンズ収容部側、または素子・遮光板保持体収容部側より受光光軸に沿ってレーザビームを導入して遮光板を所定形状に穿孔することにより光通過窓を開口形成する第4のステップと、
第4のステップにより光通過窓が遮光板に開口形成されたホルダに受光素子並びに受光レンズを装着して、素子・レンズ組立体を完成する第5のステップとを含む、
ことを特徴とする光電センサの製造方法。
【請求項14】
第2のステップにて得られた素子・遮光板保持体を、ホルダに装着する前に、適宜切断加工処理を施して、素子・遮光板保持体のホルダへの装着位置を変更することにより、ホルダへの装着後の受光素子と受光レンズとの距離を調整可能とした光学素子位置調整機構を有する、
ことを特徴とする請求項13に記載の光電センサの製造方法。
【請求項15】
第2のステップにて得られた合成樹脂製の素子・遮光板保持体に遮光板を装着し、第1のステップにて得られた合成樹脂製のホルダの素子・遮光板保持体収容部に装着する手法が圧入方法であることを特徴とする請求項11及び13に記載の光電センサの製造方法
【請求項16】
第2のステップにて得られた合成樹脂製の素子・遮光板保持体に遮光板を装着し、第1のステップにて得られた合成樹脂製のホルダの素子・遮光板保持体収容部に装着する手法がねじ止め方法であることを特徴とする請求項11及び13に記載の光電センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−23508(P2006−23508A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201083(P2004−201083)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】