説明

光学素子包括体およびその製造方法、バックライトおよび液晶表示装置

【課題】液晶表示装置の厚みの増加を抑えつつ、光学素子の剛性不足を改善することができ、かつ、液晶表示装置の表示特性の劣化を抑制することができる光学素子包括体およびその製造方法する。
【解決手段】光学素子包括体は、フィルム状またはシート状の集光素子と、集光素子を支持する支持体と、集光素子および支持体を包む、位相差を有する包括部材とを備える。集光素子と支持体とが積層体をなし、積層体と包括部材とが密着する。集光素子が、基材と、基材の一主面に設けられたプリズム列とを有する。包括部材は、光源からの光が入射する第1の領域と、該第1の領域を通過した光が支持体を通過後に入射する第2の領域とを有し、第2の領域における包括部材の光学軸が、集光素子のプリズム列の稜線に対して斜めの関係にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学素子包括体およびその製造方法、それを備えるバックライトおよび液晶表示装置に関する。詳しくは、液晶表示装置の表示特性を改善する光学素子包括体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置では、視野角や輝度などの改善を目的として多数の光学素子が用いられている。これらの光学素子としては、拡散シートやプリズムシートなどのシート状のものが用いられている。
【0003】
図37は、従来の液晶表示装置の構成を示す。この液晶表示装置は、図37に示すように、光を出射する照明装置101と、照明装置101から出射された光を拡散する拡散板102と、この拡散板102により拡散された光を集光や拡散などする複数の光学素子103と、液晶パネル104とを備える。
【0004】
ところで、近年の液晶表示装置の大型化に伴って、光学素子の自重やサイズが増大する傾向にある。このように光学素子の自重やサイズが増大すると、光学素子の剛性が不足するため、光学素子の変形が発生してしまう。このような光学素子の変形は、表示面への光学指向性に影響を与え、斜視時に輝度ムラが生じるという重大な問題を招いてしまう。
【0005】
そこで、光学素子の厚さを増すことで、光学素子の剛性不足を改善することが提案されている。しかしながら、このように光学素子の厚さを増すと、液晶表示装置が厚くなってしまい、薄型かつ軽量という液晶表示装置の利点が損なわれてしまう。そこで、光学素子同士を透明粘着剤により貼り合わせることにより、シート状またはフィルム状の光学素子の剛性不足を改善することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−301147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、光学素子同士を透明粘着剤により貼り合わせるため、光学素子の厚さを増す改善方法ほどではないが、液晶表示装置自体がやはり厚くなってしまうという問題がある。また、透明接着剤により、液晶表示装置の表示特性が劣化してしまう虞もある。
【0008】
したがって、この発明の目的は、液晶表示装置の厚みの増加を抑えつつ、光学素子の剛性不足を改善することができ、かつ、液晶表示装置の表示特性の劣化を抑制することができる光学素子包括体およびその製造方法、それを備えるバックライトおよび液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、液晶表示装置の厚みの増加を抑えつつ、光学素子の剛性不足を改善し、かつ、液晶表示装置の表示特性の劣化を抑制すべく、鋭意検討した結果、光学素子および支持体を包括部材により包括してなる光学素子包括体を発明するに至った。
【0010】
しかしながら、本発明者らの知見によれば、上述の光学素子包括体では、光学素子および支持体を包括部材により包括するため、界面が増加し、多重反射や拡散の増加を招いてしまう。その結果、光学素子をそのまま使用するよりも輝度が落ちるという新たな問題が生じてしまう。
【0011】
そこで、本発明者らは、光学素子包括体による輝度の低下を抑制すべく鋭意検討した結果、包括部材に位相差を付与するとともに、包括部材の光学軸と、プリズムシートの稜線とが斜めの関係をなすようにすることで、輝度の低下を抑制できることを見出すに至った。
この発明は以上の検討に基づいて案出されたものである。
【0012】
したがって、第1の発明は、
フィルム状またはシート状の集光素子と、
集光素子を支持する支持体と、
集光素子および支持体を包む、位相差を有する包括部材と
を備え、
集光素子と支持体とが積層体をなし、該積層体と包括部材とが密着し、
集光素子が、基材と、基材の一主面に設けられたプリズム列とを有し、
包括部材は、光源からの光が入射する第1の領域と、該第1の領域を通過した光が支持体を通過後に入射する第2の領域とを有し、
第2の領域における包括部材の光学軸が、集光素子のプリズム列の稜線に対して斜めの関係にある光学素子包括体である。
【0013】
第2の発明は、
フィルム状またはシート状の集光素子と、
集光素子を支持する支持体と、
集光素子および支持体を包む、位相差を有する包括部材と
を備え、
集光素子と支持体とが積層体をなし、該積層体と包括部材とが密着し、
集光素子が、基材と、基材の一主面に設けられたプリズム列とを有し、
包括部材は、光源からの光が入射する第1の領域と、該第1の領域を通過した光が支持体を通過後に入射する第2の領域とを有し、
第2の領域における包括部材の収縮軸が、集光素子のプリズム列の稜線に対して斜めの関係にある光学素子包括体である。
【0014】
第3の発明は、
光を出射する光源と、
光源から出射された光が透過する光学素子包括体と
を備え、
光学素子包括体は、
フィルム状またはシート状の集光素子と、
集光素子を支持する支持体と、
集光素子および支持体を包む、位相差を有する包括部材と
を備え、
集光素子と支持体とが積層体をなし、該積層体と包括部材とが密着し、
集光素子が、基材と、基材の一主面に設けられたプリズム列とを有し、
包括部材は、光源からの光が入射する第1の領域と、該第1の領域を通過した光が支持体を通過後に入射する第2の領域とを有し、
第2の領域における包括部材の光学軸が、集光素子のプリズム列の稜線に対して斜めの関係にあるバックライトである。
【0015】
第4の発明は、
光を出射する光源と、
光源から出射された光が透過する光学素子包括体と
を備え、
光学素子包括体は、
フィルム状またはシート状の集光素子と、
集光素子を支持する支持体と、
集光素子および支持体を包む、位相差を有する包括部材と
を備え、
集光素子と支持体とが積層体をなし、該積層体と包括部材とが密着し、
集光素子が、基材と、基材の一主面に設けられたプリズム列とを有し、
包括部材は、光源からの光が入射する第1の領域と、該第1の領域を通過した光が支持体を通過後に入射する第2の領域とを有し、
第2の領域における包括部材の収縮軸が、集光素子のプリズム列の稜線に対して斜めの関係にあるバックライトである。
【0016】
第5の発明は、
光を出射する光源と、
光源から出射された光が透過する光学素子包括体と、
光学素子包括体を透過した光に基づき、画像を表示する液晶パネルと
を備え、
光学素子包括体が、
フィルム状またはシート状の集光素子と、
集光素子を支持する支持体と、
集光素子および支持体を包む、位相差を有する包括部材と
を備え、
集光素子と支持体とが積層体をなし、該積層体と包括部材とが密着し、
集光素子が、基材と、基材の一主面に設けられたプリズム列とを有し、
包括部材は、光源からの光が入射する第1の領域と、該第1の領域を通過した光が支持体を通過後に入射する第2の領域とを有し、
第2の領域における包括部材の光学軸が、集光素子のプリズム列の稜線に対して斜めの関係にあり、
液晶パネルが、
両面に偏光子を有し、
集光素子に対向する面に設けられた偏光子の透過軸と、集光素子のプリズム列の稜線とが平行である液晶表示装置である。
【0017】
第6の発明は、
光を出射する光源と、
光源から出射された光が透過する光学素子包括体と、
光学素子包括体を透過した光に基づき、画像を表示する液晶パネルと
を備え、
光学素子包括体が、
フィルム状またはシート状の集光素子と、
集光素子を支持する支持体と、
集光素子および支持体を包む、位相差を有する包括部材と
を備え、
集光素子と支持体とが積層体をなし、該積層体と包括部材とが密着し、
集光素子が、基材と、基材の一主面に設けられたプリズム列とを有し、
包括部材は、光源からの光が入射する第1の領域と、該第1の領域を通過した光が支持体を通過後に入射する第2の領域とを有し、
第2の領域における包括部材の収縮軸が、集光素子のプリズム列の稜線に対して斜めの関係にあり、
液晶パネルが、
両面に偏光子を有し、
集光素子に対向する面に設けられた偏光子の透過軸と、集光素子のプリズム列の稜線とが平行である液晶表示装置である。
【0018】
第7の発明は、
フィルム状またはシート状の集光素子および支持体が積層された積層体を、位相差を有する包括部材により包む工程と、
集光素子および支持体を包んだ包括部材を収縮させることにより、積層体と包括部材とを密着させる工程と
を備え、
集光素子が、基材と、基材の一主面に設けられたプリズム列とを有し、
包括部材は、光源からの光が入射する第1の領域と、該第1の領域を通過した光が支持体を通過後に入射する第2の領域とを有し、
包括部材により集光素子および支持体を包む工程では、
第2の領域における包括部材の光学軸または収縮軸を、集光素子の稜線に対して斜めにする光学素子包括体の製造方法である。
【0019】
この発明では、第2の領域における包括部材の光学軸または収縮軸が、集光素子のプリズム列の稜線に対して斜めの関係にあるので、集光素子により立ち上げられた光の成分を包括部材により変換し、偏光子の吸収軸を透過する光の成分を増加させることができる。
【0020】
また、この発明では、集光素子と支持体とを包括部材により包括しているので、集光素子と支持体とを一体化することができる。したがって、液晶表示装置の厚みの増加を抑えつつ、集光素子の剛性不足を改善することができる。また、接着剤を用いずに集光素子と支持体とを一体化しているので、一体化による表示特性の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、この発明によれば、液晶表示装置の厚みの増加を抑えつつ、光学素子の剛性不足を改善することができ、かつ、液晶表示装置の表示特性の劣化を抑制することができる。さらに、包括部材の使用による輝度の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(概要)
以下、この発明の実施形態の概要について説明する。
図1に、従来の液晶表示装置の構成を示す。図1A、図1Bに示すように、液晶表示装置は、拡散シート103a、プリズムシート103b、液晶パネル104bを光源上に備えている。また、液晶パネル104bは、その両主面にそれぞれ偏光子104a、104bを備えている。
【0023】
図1A、図1Bに示すように、従来の液晶表示装置では、偏光子104aの透過軸ltが表示画面の水平方向と一致し、偏光子104bの透過軸ltが表示画面の垂直方向と一致するように、偏光子104a、104bが液晶パネル3の両面に配置されている。このように偏光子104a、103bが配置されている理由は、偏光子104bの透過軸と、サングラスの透過軸とを平行にすることで、サングラスを装着しながらでも液晶表示装置を観察することができるようにするためである。
【0024】
また、図1A、図1Bに示すように、プリズムシート103bはそのプリズムの稜線lpが表示画面の水平方向と一致するように配置されている。すなわち、プリズムシート103bのプリズムの稜線lpと、偏光子104aの透過軸ltとは平行になっている。このようにプリズムシート103bが配置されている理由は、プリズムシート103bの稜線方向(水平方向)に視野角を広くするためである。テレビなどの表示装置では水平方向(横方向)の視野角が重視されるために、稜線が図1Aのように水平方向に伸びている必要がある。
【0025】
ところが、上述のように偏光子104a、104bおよびプリズムシート103bを配置すると、光源から出射される光の利用効率が低下してしまう。以下、その理由について説明する。
【0026】
まず、P波およびS波の反射特性について説明する。P波とS波とは反射・屈折の特性が異なることが広く知られている。電場ベクトルが入射面に平行な光の波をP波、垂直な光の波をS波とすると、入射面と界面は直交する。このときのS波およびP波の反射率は次式(1)、(2)で与えられる。
【数1】

【数2】

I:媒質Iの屈折率、nII:媒質IIの屈折率
θI:入射角、θII:屈折角
【0027】
図2に、屈折率n=1.7の物質と空気との界面における反射率の入射角依存性を示す。図2において、反射率RsがS波の反射率を示し、反射率RpがP波の反射率を示す。図2に示すように、反射率が偏光方向によって異なっており、光が境界面に斜入射した場合、
S波の反射率RsがP波の反射率Rpに比して高くなっている。したがって、光が境界面に斜入射した場合、境界面を透過するS波の割合はP波に比して少なくなる。
【0028】
上述のS波とP波との反射率の関係を考慮すると、図1Bに示すように、プリズムシート103bによってほぼ正面方向に出射される光は、S波WsよりもP波Wpを多く含んでいることになる。ところが、S波Wsは、偏光子104aの透過軸ltと平行の関係にあるため、偏光子104aを透過して観察者に到達するのに対して、P波Wpは、偏光子104aの透過軸ltに垂直の関係にあるため、偏光子104aによって吸収されてしまう。このため、光の利用効率が低下し、輝度が低下してしまう。
【0029】
そこで、この発明の実施形態では、位相差を有する包括部材によりプリズムシートなどの光学素子を包括することで、プリズムシートにより立ち上げられた光の成分を変換し、偏光子を透過する光を増加させる。好ましくは、偏光子の透過軸と垂直な光の成分(例えばP波)を偏光子の透過軸と平行な光の成分(例えばS波)に変換し、輝度を上昇させる。
【0030】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
【0031】
(1)第1の実施形態
(1−1)液晶表示装置の構成
図3は、この発明の第1の実施形態による液晶表示装置の一構成例を示す。この液晶表示装置は、図3に示すように、光を出射するバックライト4と、バックライト4から出射された光に基づき画像を表示する液晶パネル3とを備える。
【0032】
(バックライト)
バックライト4は、光を出射する照明装置1と、照明装置1から出射された光の特性を調整し、液晶パネル3に向けて出射する光学素子包括体2とを備える。照明装置1は、例えば直下式の照明装置であり、光を出射する光源11と、光源11から出射された光を反射して液晶パネル3の方向に向ける反射板12とを備える。光源11としては、例えば、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)、熱陰極蛍光管(HCFL:Hot Cathode Fluorescent Lamp)、有機エレクトロルミネッセンス(OEL:Organic ElectroLuminescence)、無機エレクトロルミネッセンス(IEL:Inorganic ElectroLuminescence)、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などを用いることができる。反射板12は、例えば1または複数の光源11の下方および側方を覆うように設けられ、1または複数の光源11から下方および側方などに出射された光を反射して、液晶パネル3の方向に向けるためのものである。
【0033】
(液晶パネル)
液晶パネル3は、光源11から供給された光を時間的空間的に変調して情報を表示するためのものである。液晶パネル3としては、例えば、ツイステッドネマチック(Twisted Nematic:TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(Super Twisted Nematic:STN)モード、垂直配向(Vertically Aligned:VA)モード、水平配列(In-Plane Switching:IPS)モード、光学補償ベンド配向(Optically Compensated Birefringence:OCB)モード、強誘電性(Ferroelectric Liquid Crystal:FLC)モード、高分子分散型液晶(Polymer Dispersed Liquid Crystal:PDLC)モード、相転移型ゲスト・ホスト(Phase Change Guest Host:PCGH)モードなどの表示モードのものを用いることができる。
【0034】
(光学素子包括体)
光学素子包括体2は、光学素子積層体21と、光学素子積層体21を包括する包括部材22とを備える。画像の劣化を抑制する観点から、光学素子積層体21と包括部材22とは密着していることが好ましい。光学素子積層体21は、照明装置1から出射された光を拡散や集光などの処理を施して光の特性を調整する1または複数の光学素子24と、1または複数の光学素子24を支持する支持体23とを積層したものである。包括部材22は、光学素子積層体21に入射する光が透過する第1の領域R1と、光学素子積層体21から出射される光が透過する第2の領域R2とを有する。
【0035】
以下では、光学素子24、支持体23、包括部材22、および光学素子積層体21の面のうち、照明装置1からの光が入射する面を入射面、この入射面から入射した光を出射する面を出射面、および入射面と出射面との間に位置する面を端面と称する。また、入射面と出射面とを総称して主面と適宜称する。
【0036】
(光学素子)
1または複数の光学素子24は、少なくとも集光素子を含んでいる。光学素子包括体2が複数の光学素子24を備える場合、集光素子以外の光学素子は特に限定されるものではなく、所望とする液晶表示装置の特性に応じて適宜選択することができる。具体的には、集光素子以外の光学素子24としては、例えば光拡散素子、光制御素子などを用いることができる。光学素子24の数や種類は、特に限定されるのもではなく、所望とする液晶表示装置の特性に応じて適宜選択することができる。光学素子の形状としては、例えば、フィルム状、シート状、板状などが挙げられるが、特にこれらの形状に限定されるものではなく、求められる液晶表示装置の特性に応じて任意に選択することができる。具体的には、光学素子24の厚さは、5〜1000μmであることが好ましい。
【0037】
集光素子とは、基材と、基材の一主面に形成されたプリズム列とを備え、光を集光する機能を有する光学素子である。プリズム列を形成するプリズムは、例えば、多角形状、円形状、双曲線、楕円形状など断面形状を有する柱状体であり、好ましくは三角形状の断面形状を有する柱状体であることが好ましい。このような柱状体を有する光学素子としては、例えば、3M社のBEFなどが挙げられる。集光素子の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエンチレンナフタレート、スチレンブタジエン共重合体、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマーなどの高分子材料を主成分とする材料を用いることができる。基材上のプリズム列は、例えば、基材の一主面に熱転写によりパターンを転写することにより形成することができる。また、基材に紫外線硬化樹脂を塗布し、パターン転写後硬化させることにより形成するようにしてもよい。
【0038】
(支持体)
支持体は、例えば、板状の形状を有する。支持体23は、例えば、照明装置1から出射された光を透過する透明板、または照明装置1から出射された光を拡散や集光などの処理を施して光の特性を調整する光学板である。このような光学板としては、例えば拡散板、位相差板またはプリズム板などを用いることができる。支持体23の厚み、断面幅、長さ、および剛性(弾性率)は、光学素子24および支持体23を包括部材22により包括したときに包括部材22に加わる張力を考慮して選択することが好ましい。具体的には、支持体23の厚さは、好ましくは50〜10000μm、より好ましくは100〜5000μmである。
【0039】
支持体23は、例えば高分子材料を主成分とするものであり、その透過率は30%以上であることが好ましい。また、液晶表示装置を40℃の高温環境下に保存したときに、液晶表示装置点灯時の装置内温度が約60℃まで上昇することと、実際の液晶表示装置などでは、70℃で偏光子が劣化することを回避するために温度上昇抑制機能を設けていることを考慮すると、支持体23としては、70℃まで剛性の変動が小さく、かつ、ある程度の弾性を有しているものが好ましい。このような特性を有する支持体23の材料としては、例えば、ポリカーボネート(弾性率2.1GPa)、ポリスチレン(弾性率2.8GPa)、シクロオレフィン樹脂としてゼオノア樹脂(弾性率2.1GPa)、アクリル系樹脂(弾性率3GPa)などを主成分とするものが挙げられ、これらの材料のうちで最も弾性率の低い、ポリカーボネート樹脂の弾性率以上(2.1GPa以上)の弾性率を有する材料を主成分とするものが好ましい。
【0040】
光学素子24および支持体23の主面には、凹凸処理を施すこと、または微粒子を含有させることが好ましい。こすれや摩擦を低減できるからである。また、光学素子24および支持体23には、必要に応じて光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤および酸化防止剤などの添加剤を含有させることにより、紫外線吸収機能、赤外線吸収機能および静電抑制機能などを光学素子24および支持体23に付与するようにしてもよい。また、光学素子24および支持体23には、アンチグレア処理(AG処理)やアンチリフレクション処理(AR処理)などの表面処理を施すことにより、反射光の拡散や反射光そのものの低減を図るようにしてもよい。また、光学素子24および支持体23の表面に、紫外線や赤外線を反射するための機能を持たせるようにしてもよい。
【0041】
(包括部材)
包括部材22には、光学素子24および支持体23を包括した状態において張力が加わっていることが好ましい。包括部材22に対するしわなどの発生を抑制し、画像の表示特性の劣化を抑制することができるからである。包括部材22における張力の有無の確認、張力の測定は、セイコー社製のTMA(熱・応力・歪測定装置 EXSTAR6000 TMA/SS)を用いて、例えば以下のようにして行うことができる。
【0042】
まず、包括部材22に張力が加わった状態において、光学素子包括体2の中央部から長方形の金型により5mm×50mmの試験片を切り出す。この際、試験片の長辺、短辺がそれぞれ支持体23の長辺と短辺と平行となるようにして試験片を切り出す。次に、硝子板に試験片を挟んでたるみのない状態とした後、トプコン社製の工具顕微鏡により長さを測定する。切り出した試験片は張力が開放された状態となっているため、50mmよりも収縮した状態となっている。この収縮状態から、最初の50mmの状態へ戻すように寸法換算して、TMA用に試験片を再カットしてセットする。次に、初期の温度25℃時点での張力を測定する。張力の測定機については、所定の長さへの引っ張り応力を加えられて、応力測定ができるものであれば使用可能であり、張力の有無を確認できる。
【0043】
包括部材22は、例えば、フィルム状またはシート状を有する。包括部材22の形状としては、例えば、筒状または袋状を挙げることができるが、特にこれらの形状に限定されるものではなく、所望とする光学素子包括体2の特性や形状に応じて適宜選択することができる。また、包括部材22は、例えば、1または複数の包括部材を備え、この包括部材の周縁部を必要に応じて接合することにより包括部材22を筒状または袋状などにしてもよい。包括部材22を接合する場合には、その接合位置は光学素子積層体21の表示エリア外とすることが好ましい。
【0044】
包括部材22は、1または複数の開口部を有することが好ましい。このような開口部を有することにより、光学素子積層体21を包括部材22により包括するときに、包括部材22内のエアを外部に排出し、光学素子積層体21と包括部材22とを密着させることで、画像不良の発生を抑制することができる。また、このような開口部を有することにより、包括部材22により包まれた支持体23や光学素子24の構成材料が揮発したときに、この揮発成分を光学素子包括体2の外部に排出し、包括部材22内における揮発成分の結露や凝固などを抑制することで、画像不良の発生を抑制することができる。包括部材22に複数の開口部を設ける場合には、光学素子積層体21の端面のうち、対向する端面またはその近傍に開口部をそれぞれ設けることが好ましい。上記揮発成分を光学素子包括体2の外部に効率良く排出し、包括部材22内における揮発成分の結露や凝固などをより抑制することで、画像不良の発生をより抑制することができるからである。
【0045】
開口部は、光学素子積層体21の表示エリア外に対応する位置に設けることが好ましく、光学素子積層体21の端面またはその近傍に対応する位置に設けることがより好ましい。このような位置に開口部を設けることで、開口部による画質低下を防ぐことができる。光学素子積層体21が角部を有する場合には、光学素子積層体21の角部に対応する部分に開口部を設け、この開口部から角部を露出させることが好ましい。具体的には、光学素子積層体21が全体として矩形状を有する場合、包括部材22は光学素子積層体21の4つの角部に対応する位置にそれぞれ開口部を設け、この開口部から光学素子積層体21の角部をそれぞれ露出させることが好ましい。開口部のサイズや形状は、光学素子包括体2の作製工程におけるエアの排出性能、光学素子積層体21の形状や大きさ、および包括部材22の耐久性などを考慮して選択することが好ましく、例えば、円形状、楕円形状、半円形状、三角形状、四角形状、菱形形状、スリット状などが挙げられるが、これらの形状に限定されるものではない。
【0046】
包括部材22は、例えば透明性を有する単層もしくは複数層のフィルム、またはシートである。包括部材22の厚さは、例えば5〜5000μmに選ばれる。また、包括部材22の厚さが、第1の領域R1と第2の領域R2とで異なるようにしてもよい。第1の領域R1および第2の領域R2のうち、どちらの厚さをより厚くするかは、所望とする目的に応じて選ぶことができる。例えば、光源11から発生される熱から支持体23や光学素子24を保護し、これらの形状変化を抑制するためには、第1の領域R1の厚さを第2の領域R2の厚さに比べて厚くすることが好ましい。また、包括部材22が、骨材としての構造体を内包するようにしてもよい。
【0047】
少なくとも集光素子と偏光子の間に配置された包括部材22は位相差を有している。位相差を有することで、プリズムシートなどの集光素子により立ち上げられた光の成分を包括部材22により変換し、偏光子3aを透過する光を増加させることができる。また、包括部材22は、収縮性および伸縮性の少なくとも一方を有していることが好ましい。このような特性を有することで、包括部材22に張力が加わった状態で光学素子積層体21を包括することができる。したがって、包括部材22、支持体23および光学素子24を密着することができ、かつ、包括部材22にしわが発生することを抑制できる。収縮性としては、例えば、熱収縮性または赤外線収縮性を挙げることができる。また、包括部材22としては、延伸処理されたものが好ましい。延伸処理では、包括部材22に位相差と収縮性という、2つの特性を付与することができるからである。すなわち、この第1の実施形態による光学素子包装体2は、位相差素子を集光素子と偏光子3aの間に配置するものよりも、光学素子を包括するという機能を有している点において優れている。
【0048】
包括部材22の材料としては、熱収縮性を有し、かつ、位相差を発現可能な高分子材料を主成分とする材料を用いること好ましい。このような高分子材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエンチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ブタジエン、スチレンブタジエン共重合体、ポリメチルメタクリレートなどが挙げられる。これらの材料を単独のみならず混合して用いてもよい。なお、包括部材22の材料は、上記材料に限定されるものではなく、求められる包括部材22の特性に応じて任意に選択することができる。
【0049】
包括部材22の熱収縮率は、好ましくは0.2%以上、より好ましくは5%以上、さらにより好ましくは10%以上、最も好ましくは20%以上である。このようにすることで、包括部材22と光学素子積層体21との密着性を高めることができるからである。上記の熱収縮率とは、光学素子21を包括部材22により包括するプロセスにおいての熱収縮率である。熱収縮プロセスは光源11から発生される熱により上昇する照明装置内の温度よりも高い方が好ましい。具体的には、100℃〜150℃にて熱収縮プロセスを行うことが好ましい。よって、上記の熱収縮率とは100℃〜150℃における収縮率のことを意味する。包括部材22の熱変形温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上である。光源11から発生される熱により包括部材22が変形しないことにより、光学素子包括体に反り、しわ、などが生じないようにするためである。
【0050】
また、包括部材22の材料としては、赤外線を吸収して熱収縮する高分子材料を主成分とするものも好ましい。このような高分子材料としては、例えば、赤外領域に吸収域を有する材料を含有するものが挙げられる。このような材料を用いることで、赤外線を光学素子包括体2に照射したときに、主として包括部材22のみに赤外線を吸収させることができる。したがって、光学素子包括体2の構成部材のうち、主として包括部材22のみの収縮を進行させることができる。赤外線により収縮プロセスを行う場合でも、その収縮率は好ましくは0.2%以上、より好ましくは5%以上、さらにより好ましくは10%以上、最も好ましくは20%以上である
【0051】
包括部材22は、表面の耐傷性、液晶パネル3に対する密着防止、包括された光学素子24や支持体23への貼り付き防止、または、輸送時における振動時により擦れ傷防止などの観点から、1種または2種以上のフィラーを含有していることが好ましい。
【0052】
また、包括部材22には、必要に応じて光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤および酸化防止剤などの添加剤をさらに含有させて、紫外線吸収機能、赤外線吸収機能および静電抑制機能などを包括部材22に付与するようにしてもよい。また、包括部材22に、アンチグレア処理(AG処理)およびアンチリフレクション処理(AR処理)などの表面処理などを施すことにより、反射光の拡散や反射光そのもの低減などを図るようにしてもよい。さらには、UV−A光(315〜400nm程度)などの特定波長領域の光を透過する機能を付与してもよい。
【0053】
(包括部材の光学軸とプリズムシートの稜線との関係)
図4および図5は、包括部材の光学軸、プリズムシートの稜線、および偏光子の透過軸の位置関係を示すものである。図5中、座標軸lnは、包括部材22の第2の領域の屈折率を示している。屈折率nx(x軸)の方向が、包括部材22の光学軸loの方向となる。
【0054】
液晶パネル3の入射面側、出射面側にはそれぞれ、偏光子3a、偏光子3bが設けられている。偏光子3aおよび偏光子3bは、入射する光のうち直交する偏光成分の一方のみを通過させ、他方を吸収により遮へいするものである。偏光子3aと偏光子3bとは、例えば、透過軸ltが互いに直交するように配設されている。偏光子3aは、例えば、その透過軸ltの方向と液晶パネル3の水平方向(横方向)が平行となるように、液晶パネル3の入射面に配設されている。これに対して、偏光子3bは、例えば、その透過軸ltの方向と液晶パネル3の垂直方向(縦方向)とが平行となるように、液晶パネル3の出射面に配設されている。
【0055】
プリズムシート24bと、液晶パネル3の入射面に配設された偏光子3aとは、プリズムシート24bの稜線lpと、偏光子3aの透過軸ltとが平行となるように配設されている。プリズムシート24bは、水平方向(横方向)の視野角を確保する観点から、プリズムシート24bの稜線方向と液晶パネル3の水平方向(横方向)とが平行になるように配設されていることが好ましい。
【0056】
包括部材22は、包括部材22の光学軸loまたは収縮軸と、プリズムシートの稜線lpまたは偏光子3aの透過軸ltとが斜めになるように配設されている。なお、包括部材22の位相差は、包括部材22に収縮性を付与するために行う延伸過程で主として発現するので、通常は包括部材22の光学軸は、包括部材22の成形時における延伸方向、すなわち、包括部材22の収縮軸と同一になる。このように配設することで、以下に示すように、液晶表示装置の輝度を向上することができる。
【0057】
上述したように、プリズムシート24bにより立ち上げられた光は、上述したようにP波Wpの成分>S波Wsの成分の関係を有している。このため、従来の液晶表示装置では、図1Bに示すように、プリズムシート24bを透過した光が偏光子3aに直接入射するため、偏光子3aを透過する光の割合が少なくなってしまう。これに対して、この第1の実施形態による液晶表示装置では、図5に示すように、包括部材22の光学軸loと、プリズムシート24bの稜線lpまたは偏光子3aの透過軸ltとが斜めになるようにしているので、P波WpをS波Wsの方向に回転させ、偏光子3aを透過する光の割合を増やすことができる。したがって、液晶表示装置の輝度を向上できる。なお、このP波WpからS波Wsへの変換の割合は位相差の大きさによって異なる。
【0058】
図6は、位相差に対する輝度の変化の実測値からフィッティングした結果を示す。なお、包括部材22の位相差を横軸とし、輝度(輝度比)Rを縦軸としている。ここで、輝度Rは、位相差が「0」のときを輝度「1」とした相対値で表している。また、プリズムシート24bの屈折率は1.585としている。
【0059】
輝度Rは、以下の式(3)によりフィッティングすることができる。
R=1+0.08×sinθ×sinθ ・・・(3)
図6に示すように、位相差がλ/2(λ:光の波長)のときに屈折率が最大となり、これ以上の位相差においても理論上は、位相差が(m+1/2)λ(m:1以上の整数、λ:光の波長)のときに輝度が最大となる。位相差が光の波長の半分、すなわち、位相差がλ/2のときに、変換率が最大になる。この場合、すべてのP波はS波に変換され、逆にすべてのS波はP波に変換される。プリズムシート24bの屈折率が1.585の場合において、位相差がλ/2のときには、位相差が0のときに比べて8%ほど輝度が向上する。
【0060】
図7は、包括部材の位相差を説明するためのものである。包括部材22に位相差を付与させるとしても偏光子3aの透過軸lt、またはプリズムシート24bの稜線lpに対する位相差でなければならない。一般的に位相差は位相差体の光学軸を基準として偏光子や検光子を位相差体の光学軸に対して45度の角度をなして測定され、その測定値が位相差の最大値となる。45度の角度をなして測定される位相差の最大値に対して、位相差体の光学軸と偏光子や検光子の光学軸が角度αをなしたときの見かけの位相差は、次式(4)のように変化する。
(見かけの位相差)=|(位相差の最大値)×SIN2α| ・・・(4)
【0061】
この発明における「位相差」とは、位相差体の光学軸を基準とするものではなく、あくまでも偏光子3aの透過軸lt、またはプリズムシート24bの稜線lpを基準とするものである。よって、この発明での「位相差」とは、特に断りがない限り、上記見かけの位相差を意味する。
本発明における位相差は特別に断らない限り、位相差の最大値を大塚電子製の位相差測定器RETS−100により回転検光子法により測定したものである。本発明における位相差は可視光波長(λ)に対する大きさであらわす場合、可視光波長であるλは380〜780ナノメートルを意味する。また、位相差の数字をナノメートル単位で表す場合は550ナノメートルを基準とした値を意味する。
光学軸と偏光子や検光子の角度αは包括部材22をはさんだ上記偏光子や検光子を直交状態で回転させて、最も明るさが小さくなったところを光学軸の角度とする。
すなわち、プリズムシートと偏光子3aの角度をゼロとして、その間に配置された包括部材22を別の偏光子、検光子から明るさが小さくなったところを調べることで角度が分かる。
【0062】
例えば、図7A、図7Bに示すように、包括部材22の光学軸loが、偏光子3aの透過軸lt、またはプリズムシート24bの稜線lpに対して平行である場合には、包括部材22が複屈折性を有していたとしても、位相差はゼロとなり輝度向上の効果が得られない。これに対して、図7Cに示すように、包括部材22の光学軸loが、偏光子3aの透過軸lt、またはプリズムシート24bの稜線lpに対して斜めである場合には、位相差が生じ輝度向上の効果が得られる。また、包括部材22に延伸処理により位相差を付与した場合、包括部材22の光学軸loと延伸軸と収縮軸とは平行の関係にあるので、包括部材22の収縮軸が、プリズムシート24bの稜線方向と斜めである場合にも、同様の輝度向上の効果が得られる。
【0063】
(プリズムシートの機能)
図8は、プリズムシートの機能の一例について説明するためのものである。図8に示したように、プリズムシート24bの光学軸と、プリズム列の稜線とが平行となることが好ましい。具体的には、一方の偏光成分であるS波方向(稜線方向)の屈折率nsが、他方の偏光成分であるP波方向(面内において稜線方向に垂直な方向)の屈折率npよりも大きくなるように(屈折率ns>屈折率np)、プリズムシート24bに複屈折性を付与することが好ましい。このようにすることで、P波WpとS波Wsとの反射率にさらに差が生じ、P波Wpをより選択的に立ち上げることができる。上述したように、P波Wpは偏光子3aの透過軸ltとは垂直の関係にあるが、包括部材22の位相差によりP波WpをS波Wsに変換することができるので、偏光子3aの透過光の割合を増加させて輝度を上昇させることができる。包括部材22の位相差がλ/2であるとき、変換率を最大となるのは上述した通りである。
【0064】
図9は、プリズムシートの延伸処理の一例を説明するためのものである。プリズムシート24bとしては、図9の矢印aに示すように、稜線方向に延伸処理することで複屈折性を付与したものが好ましい。プリズムシート24bの材料としては、成形性、複屈折性の生じ易さの観点から、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタラートを用いることが好ましい。
【0065】
以上、包括部材22に位相差を持たせることで輝度を上昇せることについて説明した。しかし、包括部材22の位相差値が大きすぎると、画面内に干渉縞や色度変化が生じてしまい表示特性上問題がある。以下に、干渉縞や色度変化が生じるメカニズムおよびその抑制方法について説明する。
【0066】
(干渉縞発生の抑制)
図10に、液晶表示装置の表示画面の観察方向を示す。図11に、表示画面の水平方向における視野角と輝度変化との関係を示す。図12に、表示画面の垂直方向における視野角と輝度変化との関係を示す。画面内で十分な輝度を確保するためには、図11に示すように、水平方向(横方向)Dhでは±60度程度の範囲内で表示画面5を観察することが好ましく、図12に示すように、垂直方向(縦方向)Dpでは±45度程度の範囲内で表示画面5を観察することが好ましい。
【0067】
上記画面内の任意の2点から観察者までの光路差がmλ〜mλ+(λ/2)(m:0以上の整数、λ:光の波長)の範囲内で変化すると、上記表示画面内において干渉縞が生じてしまう。すなわち、表示画面内の2点から少なくともλ/2以上の光路差が生じることが干渉縞の生じるための必要条件である。
【0068】
ここで、図13のように、表示画面5の真正面から垂直方向Dpに45度傾いた位置から、観察者が表示画面5を観察した場合について考える。上述したように、表示画面内で十分に明るさを確保するためには、垂直方向Dpに45度以内の角度範囲で表示画面5を観察することが好ましい。また、高精細な液晶表示装置などでは、表示画面5の縦長さの3倍程度の距離をもって表示画面を観察することが一般的である。
【0069】
したがって、図13に示すように、表示画面5の真正面から垂直方向Dpに45度傾いた位置から、観察者が表示画面5を観察する場合、観察者は表示画面5に対して53度の角度の方向から表示画面5の下端を観察し、表示画面5に対して40度の角度の方向から表示画面5の上端を観察することになる。表示画面5の真正面から観察者の観察位置の傾くほど、観察者に到達する光が包括部材22を通過する距離がより長くなる。表示画面5に対して53度の角度の方向から表示画面5の下端を観察する場合、観察者に到達する光が包括部材22を透過する距離は、包括部材22の厚さdの(1/Sin53°)倍となる。同様に、表示画面5に対して40度の角度の方向から表示画面5の上端を観察する場合、観察者に到達する光が包括部材22を透過する距離は、包括部材22の厚さdの(1/Sin40°)倍となる。位相差は包括部材22の複屈折と厚みの積で与えられるので、表示画面5を正面から見た場合の包括部材22の位相差を1Retとすると、表示画面5の下端では1.25Ret、表示画面5の上端で1.55Retの位相差がそれぞれ生じることになる。したがって、以下の式(5)の関係を満たすときに、干渉縞が生じると考えられる。
(1.55−1.25)Ret>λ/2 ・・・(5)
この式(5)を変形すると、以下の式(6)が得られる。
Ret>5/3λ=約1.6λ ・・・(6)
【0070】
以上により、表示画面5を垂直方向Dpから観察した場合に、干渉縞が発生することを抑制するためには、包括部材22の位相差ΔΦをΔΦ≦1.6λ(λ:可視光の波長)とすることが好ましい。また、上述したように、輝度を向上させるためには、包括部材22の位相差ΔΦを0<ΔΦにする必要がある。したがって、輝度の低下を抑制し、かつ、表示画面5を垂直方向Dpから観察した場合に、干渉縞が発生することを抑制するためには、包括部材22の位相差ΔΦを0<ΔΦ≦1.6λとすることが好ましい。
例えば、位相差が800nmである場合には、500nm以下の波長をもつ色については干渉縞が生じる可能性がある。可視光領域は、380〜780nmといわれている。但し、液晶表示装置は一般的にカラーフィルターにより、赤、緑、青の3原色に分割して、それぞれの色に対して適宜液晶の変調具合を制御して情報を表示させる。ここで、青のカラーフィルターにより出射される光の波長により1.6λの位相差値が決まる。一般的には、青のカラーフィルターは400〜500nm付近であり、特に450〜480nm近傍である。
【0071】
図14に、位相差の違いにより干渉縞の見え方に差が生じる実例を示す。写真に示したフィルム31は位相差が4λ(λ:550nm)以上であるのに対して、写真に示したフィルム32は位相差が1/5λ(λ:550nm)以下である。フィルム31には、干渉縞が生じているのに対して、フィルム32には干渉縞が生じていない。以上により、包括部材22の位相差値が大きすぎると斜視時に干渉縞が生じてしまうことがわかる。
【0072】
次に、図15に示したように、表示画面5の真正面から水平方向Dhに60度傾いた位置から、観察者が表示画面5を観察した場合について考える。上述したように、画面内で十分に明るさを確保するためには、水平方向Dhに60度以内の角度範囲で表示画面5を観察することが好ましい。また、上述したように、高精細な液晶表示装置などでは、表示画面5の縦長さの3倍程度の距離をもって表示画面を観察することが一般的である。
【0073】
したがって、図15に示すように、表示画面5の真正面から水平方向Dhに60度傾いた位置から、観察者が表示画面5を観察する場合、観察者は表示画面5に対して23度の角度の方向から表示画面5の一端を観察し、表示画面に対して41度の角度の方向から表示画面5の他端を観察することになる。表示画面5を正面から見た場合の包括部材22の位相差を1Retとすると、表示画面5の一端では2.5Ret、表示画面の他端は1.5Retの位相差がそれぞれ生じることになる。したがって、以下の式(7)の関係を満たすときに、干渉縞が生じると考えられる。
(2.5−1.5)Ret>λ/2 ・・・(7)
この式(7)を変形すると、以下の式(8)が得られる。
Ret>λ/2 ・・・(8)
【0074】
以上により、表示画面を水平方向Dhから観察した場合に、干渉縞が発生することを抑制するためには、包括部材22の位相差ΔΦを0≦λ/2(λ:可視光の波長)とすることが好ましい。また、上述したように、輝度を向上させるためには、包括部材22の位相差ΔΦを0<ΔΦにする必要がある。したがって、輝度の低下を抑制し、かつ、表示画面5を水平方向Dpから観察した場合に、干渉縞が発生することを抑制するためには、0<ΔΦ≦λ/2であることが好ましい。
また、製造上のマージンを考慮すると、包括部材22の位相差ΔΦをλ/2±λ/14とすることが好ましい。輝度差が極大値に対して8bit以下(0.4%以下)であると、人間の目には見分けが付かず、誤差範囲として十分無視できるからである。
【0075】
(位相差と色度変化量との関係)
次に、位相差と色度変化量との関係について説明する。
包括部材22の位相差値が大きすぎると、表示画面を正面から見ても色度が変化することによって、表示特性上問題があることを以下に述べる。
上述したように、包括部材22に位相差を持たせると輝度が上昇する。ところで、輝度は550nm近傍の波長の光の強度に比例する。ところが、人間の目ではそれ以外の波長の光も視認される。ここで波長ごとに位相差遅れが異なると色度が変化してしまう。
【0076】
例えば、すべての波長に対して275nmの位相差を有する包括部材22を考えてみる。入射光が緑色光(波長λ=550nm)である場合、位相差275nmはλ/2であるので、包括部材22の位相差により緑色光の輝度は最大になる(図6参照)。ところが、入射光が青色光(波長=450nm)である場合、275nmは0.61λであるので、包括部材22の位相差により青色光の輝度は極大点を越えてやや少なくなる。また、入射光が赤色光(波長650nm)である場合、275nmは0.42λであるので、包括部材22の位相差により赤色光の輝度は極大点をむかえる前となりやや小さくなる。以上をまとめると、包括部材22がすべての波長に対して275ナノメートルの位相差をもつ場合には、例えば輝度は以下に示すように変化する。
青色光:位相差ゼロのときに比べて7.1%ほど輝度が向上する。
緑色光:位相差ゼロのときに比べて8.0%ほど輝度が向上する。
赤色光:位相差ゼロのときに比べて7.5%ほど輝度が向上する。
これらのバランスから、位相差がゼロのときに比べて全体に若干黄色方向にシフトする。
【0077】
ところで、人間の認識に影響をもたらすのに必要な刺激変化の最小値はJND(Just Noticeable Difference)とよばれる統計的に決められている値により定められる。すなわち、1JND以内のシフト量であれば人間の目には視認することはできないとされている。
【0078】
図16に、白表示状態で光学素子包括体の位相差が変化したときの色度変化をCIE 1931xy表色座標上に示す。このグラフより、360nm以下の位相差の場合には白表示状態に比べて色度差は1JND以内であるが、360nmを超えると1JNDを超えてしまう。この場合、表示画面を正面から見たときに表示特性上の欠陥となってしまう。
図16における0nmの白表示状態の原点は仮に(x、y)=(0.28、0.28)付近としたが、液晶表示装置の白表示の色味は表示装置の設計項目であり、0.25<x、y<0.33の範囲で適宜変更できる。
【0079】
ところで、波長がさらに変化して大きくなる(500nm以上)と再び色度変化量が1JND以内になる。しかし、このときは、上述したように干渉縞が斜視時に生じてしまう。
以上のことから、色度変化、および斜視時の干渉縞の発生を抑制するためには、包括部材22の位相差ΔΦはΔΦ≦360nmであることが好ましい。また、上述したように、輝度を向上させるためには、包括部材22の位相差ΔΦを0<ΔΦにする必要がある。したがって、輝度の低下、色度変化、および斜視時の干渉縞の発生を抑制するためには、包括部材22の位相差ΔΦは0<ΔΦ≦360nmであることが好ましい。
【0080】
また、位相差があまり大きくなると、表示特性上の問題が生じやすい。さらに、包括部材22は延伸・収縮過程において応力のばらつきから光学軸や位相差値のムラが生じる虞がある。このムラは特に位相差値が大きくなればなるほど視認されやすい。よって、包括部材22の製法上の観点からも位相差はあまり大きくないほうが好ましい。図6のグラフからも、位相差はλ/2近傍であると表示特性上問題が生じることなく、かつ輝度が極大となる。したがって、位相差は約λ/2であることが好ましい。
【0081】
(1−2)光学素子包括体の構成
(1−2−1)第1の構成例
次に、図17〜図20を参照して、この発明の第1の実施形態による光学素子包括体2の第1の構成例について詳しく説明する。
図17および図18は、この発明の第1の実施形態による光学素子包括体の第1の構成例を示す。図17および図18に示すように、この光学素子包括体2は、例えば、板状の支持体である拡散板23aと、フィルム状またはシート状の光学素子である拡散シート24aおよびプリズムシート24bと、これらを包括して一体化する袋状の包括部材22とを備える。包括部材22は収縮性または伸縮性を有し、その形状はフィルム状またはシート状である。ここでは、拡散板23a、拡散シート24a、およびプリズムシート24bが光学素子積層体21を構成する。拡散シート24a、およびプリズムシート24bは、拡散板23aの出射面側に配設されている。具体的には、拡散板23aの出射面側から包括部材22の入射面側に向かって、拡散シート24a、プリズムシート24bの順序で配設されている。光学素子積層体21の端面は、帯状の包括部材22に接合されていることが好ましい。
【0082】
包括部材22は、光学素子積層体21のほぼ全体を覆っている。具体的には、光学素子積層体21は、光源からの光が入射する入射面と、入射面から入射した光を出射する出射面と、入射面と出射面との間に位置する端面とを有し、包括部材22が、光学素子積層体21の出射面、入射面、および全ての端面を包んでいる。包括部材22は、その周縁部に開口部22bを有し、この開口部22bから光学素子積層体21の周縁部が露出する。具体的には、矩形状の光学素子積層体21の角部21aに対応する位置にそれぞれ開口部22bを有し、これらの開口部22bから光学素子積層体21の角部21aがそれぞれ露出する。
【0083】
拡散板23aは、1または複数の光源11の上方に設けられ、1または複数の光源11からの出射光および反射板12による反射光を拡散させて輝度を均一にするためのものである。拡散板23aとしては、例えば、光を拡散するための凹凸構造体を表面に備えるもの、拡散板23aの主構成材料とは屈折率の異なる微粒子などを含有するもの、空洞性微粒子を含有するもの、または上記凹凸構造体、微粒子および空洞性微粒子を2種以上組み合わせたものを用いることができる。微粒子としては、例えば有機微粒子および無機微粒子の少なくとも1種を用いることができる。また、上記凹凸構造体、微粒子および空洞性微粒子は、例えば拡散シート24aの出射面に設けられる。拡散板23aの光透過率は、例えば30%以上である。
拡散板23aは光学素子積層体21の支持体としての役割も果たす。よって、1mm以上の厚みを持つことが望ましい。また、より好ましくは熱可塑性樹脂により成形することが望ましい。具体的には、ポリカーボネート、ポリスチレン、シクロオレフィンポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂を適宜選択することが出来る。熱可塑性樹脂以外でもガラスなどを用いても良い。
【0084】
拡散シート24aは、拡散板23a上に設けられ、拡散板23aにて拡散された光を拡散などするためのものである。拡散シート24aとしては、例えば、光を拡散するための凹凸構造体を表面に備えるもの、拡散シート24aの主構成材料とは屈折率の異なる微粒子などを含有するもの、空洞性微粒子を含有するもの、または上記凹凸構造体、微粒子および空洞性微粒子を2種以上組み合わせたものを用いることができる。微粒子としては、例えば有機微粒子および無機微粒子の少なくとも1種を用いることができる。また、上記凹凸構造体、微粒子および空洞性微粒子は、例えば拡散シート24aの出射面に設けられる。
【0085】
プリズムシート24bは、拡散シート24aの上方に設けられ、照射光の指向性などを向上させるためのものである。プリズムシート24bの出射面には、例えば微細なプリズムレンズ列が設けられており、このプリズムレンズの列方向の断面は、例えば略三角形状を有し、その頂点に丸みを付すことが好ましい。カットオフを改善し、広視野角を改善できるからである。
【0086】
拡散シート24aおよびプリズムシート24bは、例えば高分子材料を主成分とする材料からなり、その屈折率は、好ましくは1.45以上、より好ましくは1.5以上、最も好ましくは1.6以上である。拡散シート24aおよびプリズムシート24b、またはこれらの光学機能層を構成する材料としては、例えば、光もしくは電子線で硬化する電離性感光型樹脂、熱により硬化する熱硬化型樹脂が好ましく、紫外線により硬化する紫外線硬化樹脂が特に好ましい。また、拡散シート24aおよびプリズムシート24bとして、熱可塑性の高分子材料を主成分とする材料を用いてもよい。
【0087】
ここで、図19〜図20を参照して、包括部材22の接合部の例について説明する。
図19は、包括部材の接合部の第1の例を示す。この第1の例では、図19に示すように、光学素子積層体21の端面上にて、包括部材端部の内側面と外側面とを重ね合わせるようにして接合されている。すなわち、包括部材22の端部が、光学素子積層体21の端面に倣うようにして接合されている。
【0088】
図20は、包括部材の接合部の第2の例を示す。この第2の例では、図20に示すように、光学素子積層体21の端面にて、包括部材端部の内側面同士を重ね合わせるようにして接合されている。すなわち、包括部材22の端部が、光学素子積層体21の端面から立ち上がるようにして接合されている。
【0089】
(1−2−2)第2の構成例
図21は、この発明の第1の実施形態による光学素子包括体の第2の構成例を示す。この光学素子包括体の第2の構成例は、拡散板23aの入射面と包括部材22の出射面との間に光制御フィルム24cが配設されている点において、第1の構成例とは異なっている。光制御フィルム24cは、その上面に底面と平行な平面に沿って延在する複数の柱状のプリズムが連続的に並んで配置された薄い光学シートである。各プリズムは、光学素子積層体21の直下に複数の線状光源が並列配置される場合には、各プリズムの延在方向がその線状光源の延在方向(例えば水平方向)と互いに平行となるように並列配置されていることが好ましいが、各線状光源の延在方向に対して光学特性上許容できる範囲内で交差するように配置されていてもよい。
【0090】
これにより、光制御フィルム24cは、例えば一の線状光源から射出された光のうち底面または各プリズムの上面に臨界角未満の角度で入射した光を屈折透過する一方で、臨界角以上の角度で入射した光を全反射するので、一の線状光源がつくる光源像を各プリズムの上面を構成する面の数(厳密には傾斜角ごとに分類される面の数)に応じて複数に分割する機能を有する。つまり、この光制御フィルム24cは、一の線状光源がつくる光源像を複数に分割し、分割した後の各光源像により形成される光源像同士の間隔を線状光源同士の間隔よりも狭くするので、分割した後の光源像の輝度レベル(最大値)と分割した後の光源像同士の間の輝度レベル(最小値)との差を、分割前の光源像の輝度レベル(最大値)と分割前の光源像間の輝度レベル(最小値)との差よりも小さくし、照明輝度のむらを低減することができる。
したがって、光制御フィルム24cの各プリズムの周期長さ(ピッチ)は光源の間隔よりも十分に小さいことが望ましい。具体的には例えば500ミクロン以下が好ましい。
【0091】
なお、光源像とは、光の輝度分布において、輝度のピークを示す光束を表すものであり、光源像どうしの間隔とは、輝度分布において隣り合うピーク(頂点)どうしの面内方向における間隔をいうものとする。
【0092】
この光制御フィルム24cは、透光性を有する熱可塑性樹脂を用いて一体的に形成されていてもよいし、また、透光性の基材、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)上にエネルギー線(たとえば紫外線)硬化樹脂を転写して形成されていてもよい。
【0093】
ここで、熱可塑性樹脂としては、光の出射方向を制御するという機能を考慮すると、屈折率1.4以上のものを用いることが好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート樹脂)などのアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、MS(メチルメタクリレートとスチレンの共重合体)などの非晶性共重合ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂およびポリ塩化ビニル樹脂、シクロオレフィンポリマーとその誘導体などが挙げられる。
この第2の構成例において、上記以外のことは、第1の構成例と同様である。
【0094】
(1−2−3)第3の構成例
図22は、この発明の第1の実施形態による光学素子包括体の第3の構成例を示す。この光学素子包括体の第3の構成例は、光学素子である拡散シート24a、プリズムシート24b、および光制御フィルム24cが支持体である拡散板23aより小さいサイズを有している点において、第2の構成例とは異なる。このようにすることで、包括部材22の張力を主として拡散板23aに対して加えることができので、拡散シート24a、プリズムシート24b、および光制御フィルム24cに対するしわなどの発生を抑制することができる。
この第3の構成例において、上記以外のことは、第2の構成例と同様である。
【0095】
(1−2−4)第4の構成例
図23は、この発明の第1の実施形態による光学素子包括体の第4の例を示す。この光学素子包括体の第4の構成例は、帯状の包括部材22が、光学素子積層体21を包括して一体化している点において、第1の構成例とは異なる。光学素子積層体21の両主面は包括部材22により覆われている。光学素子積層体21の端面は、帯状の包括部材22に接合されていることが好ましい。
この第4の構成例において、上記以外のことは、第1の構成例と同様である。
【0096】
(1−3)光学素子包括体の製造方法
次に、図24を参照して、上述の構成を有する光学素子包括体2の製造方法の一例について説明する。
まず、例えばダイキャスト法により樹脂を溶融押し出すことによりフィルムを成形し、このフィルムに対して、流れ方向および幅方向の少なくとも一方に延伸処理を施す。この延伸処理を制御することで、フィルムに対して位相差と収縮性という2つの機能を付与することができる。なお、光学軸、すなわち収縮軸の方向は、フィルムの幅方向または流れ方向に平行な方向となる。延伸処理の方法としては、例えば、縦1軸延伸、横1軸延伸、逐次2軸延伸を用いることができるが、フィルムに対して位相差を付与できればよく特にこれらの延伸処理に限定されるものではない。次に、包括する光学素子積層体21の大きさに応じて2枚の帯状のフィルムを適宜切り出し、第1の包括部材221および第2の包括部材222を得る。
【0097】
次に、図24Aに示すように、支持体である拡散板23a上に、光学素子である拡散シート24a、およびプリズムシート24bをこの順序で順次積層することにより、光学素子積層体21を得る。次に、図24Bに示すように、この光学素子積層体21を第1の包括部材221上に載置した後、その上に第2の包括部材222を載置する。この際、図24Cに示すように、第2の包括部材222の光学軸loとプリズムシート24bの稜線lpとが斜めとなるように、第2の包括部材222をプリズムシート24b上に載置する。
【0098】
次に、図24Dに示すように、第1の包括部材221および第2の包括部材222の周縁部を接合(シール)する。これにより、包括部材22により光学素子積層体21の全体が包まれる。この接合の際には、後工程にて包括部材22をシュリンクさせることを考慮して、光学素子積層体21の周縁部と接合部22aとの間に適宜空間を持たせることが好ましい。接合の方法としては、例えば、接着や溶着などが挙げられる。接着方法としては、例えばホットメルト型接着方法、熱硬化型接着方法、感圧(粘着)型接着方法、エネルギー線硬化型接着方法、水和型接着方法、吸湿・再湿型接着方法などが挙げられる。溶着方法としては、例えば熱溶着、超音波溶着、レーザ溶着などが挙げられる。次に、図24Eに示すように、例えば、包括部材22のうち、光学素子積層体21の角部21aに対応する部分を切除などして開口部22bを形成する。
【0099】
次に、図25Aに示すように、例えば、光学素子積層体21を包括部材22の一方に寄せて、光学素子積層体21の角部21aを包括部材22の開口部22bから露出させる。次に、図25Bに示すように、包括部材22に対して熱処理または赤外線照射することにより、包括部材22をシュリンクさせながら、開口部22bから包括部材22内の空気を排気させる。次に、図25Cに示すように、必要に応じて、包括部材22に包まれた光学素子積層体21の一主面または両主面を加圧ローラ25により加圧するとともに、加圧ローラ25を回転させながら光学素子積層体21の一主面上または両主面上を移動させる。これにより、包括部材22内の余分なエアが開口部22bから排出され、包括部材22と光学素子積層体21とが密着される。なお、光学素子積層体21の両主面を加圧ローラ25により加圧する場合には、包括部材22に包まれた光学素子積層体を2つの加圧ローラ25により挟みながら、光学素子積層体の両主面を同時に加圧するようにしてもよい。
以上により、目的とする光学素子包括体2が得られる。
【0100】
この第1の実施形態によれば、1または複数の光学素子24と支持体23とを包括部材22により包括しているので、1または複数の光学素子24と支持体23と一体化することができる。したがって、光学素子24の厚みを増加させることなく、光学素子24の剛性不足を改善することができる。また、接着剤を用いずに1または2以上の光学素子24と支持体23とを一体化しているので、一体化による表示特性の低下を抑制することができる。また、1または複数の光学素子24と支持体23とを包括部材22により一体化しているので、液晶表示装置の製造工程において光学素子24を重ねて面発光装置を組み立てる手間が大幅に削減される。したがって、光学素子24などの取り扱い性を向上できる。
【0101】
また、包括部材22の光学軸loが、プリズムシート24bの稜線lpまたは偏光子3aの透過軸ltに対して斜めになっているので、プリズムシート24bにより立ち上げられた光の成分を包括部材22により変換し、偏光子3aを透過する光量を増加させることができる。したがって、包括部材22の使用による界面の増加、すなわち多重反射や拡散の増加による輝度の低下を抑制することができる。また、包括部材22の光学軸loと、プリズムシート24bの稜線lpまたは偏光子3aの透過軸ltとの角度の関係を適宜調整することで、光学素子24を包括部材22により包括せずそのまま使用した場合と同等またはそれ以上の輝度を達成することも可能である。また、プリズムシート24bの材料としてより高屈折率のポリエチレンナフタレート、もしくは複屈折性を有する材料を用いる場合には、輝度をさらに向上させることができる。
【0102】
また、包括部材22の延伸工程により、光学素子24などを包括するための収縮性と、輝度を向上させるための位相差とを同時に発現させることができるので、工程数や部品数の増加を招かずに、光学素子の剛性不足を解消し、かつ、取り扱い性を向上することができることともに、包括部材22の使用による輝度の低下を抑制することができる。
【0103】
(2)第2の実施形態
図26は、この発明の第2の実施形態による液晶表示装置の一構成例を示す。この液晶表示装置は、光学素子包括体2と液晶パネル3との間に光学素子である反射型偏光子24dを備える点において、第1の実施形態のものとは異なっている。
【0104】
反射型偏光子24dは、プリズムシート24bから出射された光のうち、透過軸ltに平行なS波Wsを透過するのに対して、透過軸ltに垂直なP波Wpを反射する。したがって、透過したS波Wsは、効率よく偏光子3aを透過することができる。また、反射したP波Wpは、光学素子包括体2および照明装置1で反射や散乱を繰り返し反射型偏光子24dに再度入射する。このように反射や散乱の繰り返すことにより、P波WpがS波Wsに変換され、反射型偏光子24dを透過できるようになる。
【0105】
すなわち、光学素子包括体2と液晶パネル3との間に反射型偏光子24dを配置していない場合には、偏光子3aを透過できない光はすべて偏光子3aにより吸収されてしまうため、光の利用効率が悪いのに対して、反射型偏光子24dを配置した場合には、偏光子3aを透過できない光は反射型偏光子24dにより戻され、再度利用されるので光の利用効率が向上する。
【0106】
図27は、反射型偏光子24dを光学素子包括体2と液晶パネル3との間に配置した場合の位相差値と輝度分布との関係を示す。図27からわかるように、液晶表示装置が図26に示す構成を有する場合には、輝度向上の観点から、光学素子包括体2の位相差は約((1/4)+(1/2)m)λ(m:0以上の整数、λ:可視光の波長)であることが好ましい。
【0107】
次に、図28を参照して、位相差値ΔΦ=((1/4)+(1/2)m)λ(m:0以上の整数、λ:可視光の波長)にすると、輝度を向上できる理由について詳細に説明する。
【0108】
以下の示すように、輝度向上には2つの理由がある。
まず、第1の理由について説明する。上述したように、プリズムシート24bによって立ち上げられた光は、偏光子3aの透過軸ltに平行なS波よりも、偏光子3aの透過軸ltに垂直なP波を多く含んでいる。したがって、包括部材22に対して位相差を付与し、かつ、包括部材22の光学軸loとプリズムシート24bの稜線lpとが斜めの関係になるように両者を配置すると、プリズムシート24bで立ち上げられたP波Wpを包括部材22によりS波Wsに変換できるので、S波Wsの割合が増加する。したがって、輝度を向上させることができる。
【0109】
次に、第2の理由について説明する。反射型偏光子24dで反射された光のかなりの割合はその下方のプリズムシート24bの表面で反射するので、反射型偏光子24dと包括部材22との間を一往復してから反射型偏光子24dに再度入射する。このような再入射光の透過率を高めれば輝度を向上させることができる。したがって、包括部材22に((1/4)+(1/2)m)λの位相差値を持たせて、反射型偏光子24dにより反射されたS波Wsの位相差を一往復後に((1/2)+m)λずらすと、反射型偏光子24dにより反射されたP波WpをS波Wsに変換できるので、輝度を最も高めることができる。
【0110】
以上により、上述したように、包括部材22の位相差を約((1/4)+(1/2)m)λ(m:0以上の整数、λ:可視光の波長)とすることが好ましいことがわかる。
【0111】
また、上述したように、あまり位相差値が大きすぎると、表示特性上の問題が生じる場合がある。この点を考慮すると、位相差ΔΦをΔΦ≦λ/4とすることが好ましい。また、上述したように、輝度を向上させるためには、包括部材22の位相差ΔΦを0<ΔΦにする必要がある。したがって、輝度の低下、色度変化、および斜視時の干渉縞の発生を抑制するためには、包括部材22の位相差ΔΦは0<ΔΦ≦λ/4とすることが好ましい。
また、製造上のマージンを考慮すると、包括部材22の位相差ΔΦをλ/4±λ/20とすることが好ましい。輝度差が極大値に対して8bit以下(0.4%以下)であると、人間の目には見分けが付かず、誤差範囲として十分無視できるからである。
【0112】
この第2の実施形態によれば、光学素子包括体2と液晶パネル3との間に光学素子である反射型偏光子24dを備えているので、偏光子3aを透過できないP波Wpを反射型偏光子24dにより反射し、反射したP波Wpを反射や散乱の繰り返しによりS波Wsに変換した後、偏光子3aに入射させることができる。したがって、光の利用効率を向上することができる。
【0113】
(3)第3の実施形態
(拡散性の付与)
この第3の実施形態による液晶表示装置は、包括部材22が拡散機能を有する点において、第1の実施形態のものとは異なる。この拡散機能は、少なくとも包括部材22の第2の領域R2に付与されている。
【0114】
包括部材22のヘイズが40%以上であり、かつ、透過率が60%以上であることが好ましい。ヘイズが40%未満であると、ムラが見えやすくなる傾向がある。透過率が60%未満であると、拡散性があまりに強くなりすぎ、プリズムシート24bでせっかく立ち上げられた光が拡散・散乱されてしまい輝度が低下する傾向がる。また、プリズムシート24bにより生じたP波とS波の成分の差がなくなり、包括部材22に位相差を付与することで得られる輝度向上の効果が低下する傾向にある。
【0115】
(3−1)第1の構成例
図29は、この発明の第3の実施形態による包括部材の第1の構成例を示す。図29に示すように、包括部材22が、高分子材料とフィラー41とを含んでいる。また、包括部材22が複数の層を備える場合には、少なくとも1以上の層がフィラー41を含んでいるようにすればよい。拡散剤であるフィラー41の材料は、包括部材22の主成分である高分子材料とは屈折率の異なるものであれば良く特に限定されるものではなく、求められる拡散性に応じて任意に選択することができる。具体的には、フィラー41としては、例えば、アクリル系粒子、ポリスチレン系粒子、炭酸カルシウム、チタニア、シリカなどの酸化物を用いることができる。また、空気や不活性ガスなどの気体、水、アルコールおよびゲルなどの液体をフィラーとして用いることも可能である。この包括部材22は、例えば、高分子材料とフィラー41とを調製し、この調製した材料を溶融押出などによりフィルムなどを成形した後、必要に応じて延伸処理および熱処理を施すことにより得ることができる。
【0116】
(3−2)第2の構成例
図30は、この発明の第3の実施形態による包括部材の第2の構成例を示す。図30に示すように、包括部材22は、基材である包括部材22の表面に拡散層42を備えている。この拡散層42が液晶パネル104に対向するように、包括部材22が光学素子積層体21を包括していることが好ましい。拡散層42は、バインダー43と、このバインダー43と異なる屈折率を有するフィラー44とを主成分とする。拡散層42の表面からフィラー44が突出し、表面に凹凸が形成されていることが好ましい。フィラー44のサイズや形状は、特に限定されるものではなく、所望とする特性に応じて任意に選択することができる。また、フィラー44の材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウムなどが挙げられるが、バインダーと屈折率が異なればよく特に上記材料に限定されるものではない。バインダーとしては、フィラー44を分散することができ、かつ、基材との密着性がよいものが好ましく、例えば、アクリル系ポリマーなどを用いることができる。この拡散層42は、例えば、フィラーとバインダーと必要に応じて溶剤とを混合して塗料を調製し、この塗料を包括部材22上に塗布し、必要に応じて乾燥させた後、硬化させることにより形成することができる。
【0117】
(3−3)第3の構成例
図31は、この発明の第3の実施形態による包括部材の第3の構成例を示す。図31に示すように、包括部材22の表面には、エンボス成形により凹凸形状が形成されている。この凹凸形状は、ランダムに形成されていることが好ましい。また、包括部材22自体が、第1の構成例と同様に、拡散剤であるフィラーを含んでいてもよい。
【0118】
(3−4)第4の構成例
図32は、この発明の第4の実施形態による包括部材の第4の構成例を示す。図32に示すように、この包括部材22は、拡散層42とは反対側の面にも拡散層45を備える点において、第1の構成例のものとは異なる。拡散層45は、バインダー46と、このバインダー46とは屈折率が異なるフィラー47とを主成分としている。フィラー47は、バインダー46から突出し、表面に凹凸が形成されていることが好ましい。バインダー46、フィラー47としては、第1の構成例のものと同様のものを用いることができる。
【0119】
この第3の実施形態によれば、包括部材22が拡散性を有しているので、プリズムシート24bのギラツキを防ぐことができ、また、包括部材22の光学軸や位相差値による輝度ムラ、および干渉縞ムラなどを見えにくくすることができる。
【0120】
(4)第4の実施形態
この第4の実施形態は、光学素子包括体の製造方法以外のことは、第1の実施形態と同様である。したがって、以下では、光学素子包括体の製造方法についてのみ説明する。
【0121】
以下、図33〜図34を参照して、この発明の第4の実施形態による光学素子包括体の製造方法の一例について説明する。
まず、例えばダイキャスト法により樹脂を溶融押し出してフィルムを成形し、このフィルムに対して必要に応じて延伸処理を施す。これにより、第1の包括部材221が得られる。また、例えばダイキャスト法により樹脂を溶融押し出してフィルムを成形し、このフィルムに対して延伸処理を施す。これにより、位相差を有する第2の包括部材222が得られる。
【0122】
次に、支持体である拡散板23a上に、光学素子である拡散シート24a、およびプリズムシート24bをこの順序で順次積層することにより、光学素子積層体21を得る。次に、図34Aに示すように、この光学素子積層体21を第1の包括部材221上に載置した後、その上に光学素子積層体21を載置する。この際、図33Aに示すように、第1の包括部材221であるフィルムの送り方向、すなわちフィルムの長手方向に対して、プリズムシート24bの稜線方向が斜めとなるように、光学素子積層体21を第1の包括部材221上に載置する。
【0123】
次に、図33B、図34Bに示すように、第1の包括部材221上に第2の包括部材222を重ね合わせることにより、第1の包括部材221と第2の包括部材222との間に光学素子積層体21を挟む。これにより、第2の包括部材221の光学軸loとプリズムシート24bの稜線lpとが斜めとなる。次に、図33C、図34Cに示すように、光学素子積層体21の周縁部を接合する。次に、帯状の第1の包括部材221および第2の包括部材222から、接合部22aに沿って光学素子積層体21を切り出す。これにより、図33D、図34Dに示すように、包括部材22により包まれた光学素子積層体21が得られる。以降、第1の実施形態と同様にして、開口部形成の工程、収縮処理の工程、必要に応じてローラ加圧の工程を経て、所望とする光学素子包括体2が得られる。
【0124】
また、図35に示すように、包括部材22であるフィルムの長手方向の一端を折り返して、包括部材22により光学素子積層体21を挟むようにしてもよい。この場合、シールする部分が1辺だけ減るので、製造工程を減らすことができる。
【0125】
この第4の実施形態によれば、光学素子包括体2の製造効率を第1の実施形態に比べて向上することができる。
【0126】
(5)第5の実施形態
図36は、この発明の第5の実施形態による光学素子包括体の一構成例を示す。この光学素子包括体は、包括部材22が光学素子積層体21の辺部21bに対応する位置に開口部22bを有する点において、第1の実施形態とは異なる。図36に示すように、光学素子積層体21が全体として矩形状を有する場合、光学素子積層体21の辺部21bのうち、対向する辺部21bに対応する位置に開口部22bを設けることが好ましい。図36では、光学素子積層体21のすべての辺部21bに対応する位置に開口部22bを設けた例が示されている。開口部22bのサイズや形状は、光学素子包括体2の作製工程におけるエアの排出性能、光学素子積層体21の形状、および包括部材22の耐久性などを考慮して選択することが好ましく、例えば、図36に示すようなスリット状が挙げられるが、この形状に限定されるものではなく、円形状、楕円形状、半円形状、三角形状、四角形状、菱形形状などの形状を用いてもよい。
【0127】
この第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【実施例】
【0128】
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明するが、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0129】
(実施例1)
(第1の包括部材の成形)
第1の包括部材であるフィルムを以下のようにして成形した。ポリプロピレンとポリエチレンを混合し、ダイキャスト法により溶融押し出してフィルムを成形した後、このフィルムに対して2軸延伸処理を施した。この延伸処理を制御することで、フィルムの幅方向またはフィルムの流れ方向と平行な光学軸をフィルムにもたせた。これにより、位相差(1/2)λを有するフィルムが得られた。
この位相差は、大塚電子製RETS−100を用いて、回転検光子法によって測定した。
【0130】
(第2の包括部材の成形)
第2の包括部材であるフィルムを、上述の第1の包括部材であるフィルムと同様にして成形した。次に、このフィルム上に拡散性の光学機能層を以下のようにして形成した。まず、下記の塗料組成に示す原料を配合し、ディスパーにて3時間混合して、拡散性塗料を得た。次に、フィルムに対してコロナ放電による易接着処理を行い、調整した拡散性塗料をグラビア塗布法によりフィルム上に塗布し、スムージングした後、最高ドライヤー温度70℃にて乾燥させた。これにより、厚さ3μmの拡散機能がフィルム上に形成された。
ポリメチルメタクリレート主成分のアクリル樹脂:27重量部
アクリルビーズ(φ5μm、芯球状):3重量部
酢酸エチル溶剤:70重量部
【0131】
(光学素子包括体の作製)
光学素子包括体を以下のようにして作製した。まず、支持体である拡散板、および光学素子であるプリズムシートとして以下に示すものを準備した。
拡散板:ポリカーボネートを主成分とする拡散板、サイズ:500mm×890mm×2mm
プリズムシート:ソニー製、ポリカーボネート樹脂、レンズピッチ185μm、双曲面形状、サイズ450μm×498mm×888mm
【0132】
次に、拡散板、プリズムシートをこの順序で積層して光学素子積層体を作製し、この光学素子積層体を第1の包括部材であるフィルム上に設置した。次に、プリズムシートの稜線方向と、第2の包括部材であるフィルムの光学軸とが45度の角度をなすように、第2の包括部材であるフィルムを光学素子積層体上に載置した。次に、プリズムシートの稜線方向と、フィルムの光学軸との角度を45度に保ちながら、全体が540mm×950mmの寸法となるようにフィルムの四方を熱溶着により接合し、フィルムの不要な部分を適宜溶断した。
【0133】
次に、このフィルムの4つの角部を開放するようにコーナーカットを施した。次に、フィルムにて包まれた光学素子積層体を100℃に加温された送風乾燥機中にて加熱し、フィルムの端部の穴からエア抜きをしつつ、フィルムをシュリンクさせた。その後、加圧ローラをかけてフィルム内の余分なエアを抜き出して、フィルムと光学素子積層体とを密着させた。
以上により、光学素子包括体が得られた。
【0134】
(実施例2)
下記の塗料組成に示す原料を配合して拡散性塗料を得る以外のことは、実施例1と同様にして光学素子包括体を得た。
ポリメチルメタクリレート主成分のアクリル樹脂:17重量部
アクリルビーズ(φ5μm、芯球状):23重量部
酢酸エチル溶剤:60重量部
【0135】
(実施例3)
フィルム上に拡散層を形成せずに第2の包括部材とする以外のことは、実施例1と同様にして光学素子包括体を得た。
【0136】
(実施例4)
下記の塗料組成に示す原料を配合して拡散性塗料を得る以外のことは、実施例1と同様にして光学素子包括体を得た。
ポリメチルメタクリレート主成分のアクリル樹脂:12重量部
アクリルビーズ(φ5μm、芯球状):38重量部
メチルエチルケトン溶剤:50重量部
【0137】
(比較例1)
プリズムシートの稜線方向と、第2の包括部材であるフィルムの光学軸とが0度の角度をなすようする以外のことは、実施例3と同様にして光学素子包括体を得た。
【0138】
(外観評価)
実施例1〜4、比較例1の光学素子包括体の外観を目視により観察し、「透明」、「半透明」、「白」の3段階にて評価した。
【0139】
(ヘイズ評価)
実施例1〜4、比較例1の光学素子包括体のヘイズ値を、JIS−K−7136に準拠して測定した。なお、測定装置としては、村上色彩製のヘイズメーターHM−150を用いた。
【0140】
(透過率評価)
実施例1〜4、比較例1の光学素子包括体のヘイズ値を、JIS−K−7316に準拠して全光線透過率を測定した。なお、測定装置としては、村上色彩製HM150を用いてJISK7361に基づいて測定した。
【0141】
(輝度変化量評価)
実施例1〜4、比較例1の光学素子包括体の輝度変化量を以下のようにして求めた。40インチのソニー製液晶TVから拡散板などの光学素子を取り出し、その代わりに光学素子包括体を実装し、この液晶TVを点灯して、コニカミノルタ製のCS−1000にて輝度を測定した。次に、比較例1の輝度を基準として、実施例1〜4の輝度変化量を求めた。輝度変化量は、位相差がゼロのときの輝度に対する、位相差が(1/2)λのときの輝度の上昇量を示すものである。
【0142】
(ムラ評価)
40インチのソニー製液晶TVから拡散板などの光学素子を取り出し、その代わりに実施例1〜4、比較例1の光学素子積層体を実装し、この液晶TVを点灯して輝度および画質を評価した。
輝度ムラを以下の基準にて評価した。
5点:正面ムラなし、斜視ムラなし
4点:正面ムラなし、斜視ムラ僅かに確認できる
3点:正面ムラ僅か、斜視ムラ僅か
2点:正面ムラ小、斜視ムラ小
1点:正面ムラ明確、斜視ムラ大
【0143】
表1に、実施例1〜4および比較例1の評価結果を示す。
【表1】

【0144】
表1から以下のことがわかる。
実施例1(ヘイズ46%、透過率90%)では、若干の拡散性が付与されているので、ムラを低減することができる。また、拡散性の付与が小さいので、透明なフィルムを包括部材として用いた実施例3とほぼ同様な輝度変化量を得ることができる。
実施例2(ヘイズ95%、透過率73%)では、強い拡散性が付与されているので、包括部材22のムラを大幅に低減することができる。しかし、拡散性が強いので、実施例3と比べて輝度変化量が大幅に低減してしまう。
実施例3(ヘイズ10%、透過率90%)では、拡散性がほとんどないので、輝度変化量を大幅に向上することができる。しかし、拡散性が付与されていないので、ムラが見えやすくなってしまう。
実施例4(ヘイズ95%、透過率55%)では、強い拡散性が付与されているので、包括部材22のムラを大幅に低減することができる。しかし、包括部材の位相差による輝度上昇の効果が小さくなり、輝度変化量が0%となってしまう。
【0145】
以上により、輝度を向上し、かつ、ムラの発生を抑制する観点から、好ましくは包括部材のヘイズが40%以上、包括部材の透過率が60%以上であり、より好ましくは包括部材のヘイズが40%以上95%以下、包括部材の透過率が60%以上90%以下である。
【0146】
(実施例5)
(包括部材の成形)
フィルム上に拡散層を形成せずに第2の包括部材とする以外のことは、実施例1と同様にして光学素子包括体を得た。
【0147】
(実施例6)
下記の塗料組成に示す原料を配合して拡散性塗料を得る以外のことは、実施例5と同様にして光学素子包括体を得た。
ポリメチルメタクリレート主成分のアクリル樹脂:17重量部
アクリルビーズ(φ5μm、芯球状):23重量部
メチルエチルケトン溶剤:60重量部
【0148】
(比較例2)
プリズムシートの稜線と、第2の包括部材であるフィルムの光学軸とが0度の角度をなすようにする以外のことは、実施例5と同様にして光学素子包括体を得た。
【0149】
(比較例3)
実施例5と同様の拡散板、プリズムシートを準備し、拡散板、プリズムシートをこの順序で積層して光学素子積層体を得た。
【0150】
(比較例4)
まず、比較例3と同様にして同様にして拡散板、プリズムシートを準備し、さらに拡散シート(恵和製BS−912、サイズ205μm×498mm×888mm)を準備した。次に、拡散板、プリズムシート、拡散シートをこの順序で積層して光学素子積層体を得た。
【0151】
(輝度評価)
40インチのソニー製液晶TVから拡散板などの光学素子を取り出し、その代わりに実施例5〜6、比較例2〜4の光学素子包括体または光学素子積層体を実装し、この液晶TVを点灯して、コニカミノルタ製のCS−1000にて正面輝度を測定した。次に、比較例2の正面輝度を基準値100として、実施例5〜6、比較例2〜4の正面輝度を求めた。
【0152】
表2に、実施例5〜6、比較例2〜4の評価結果を示す。
【表2】

【0153】
表2から以下のことがわかる。
比較例1、2を比較すると、光学素子包括体を用いることで、正面輝度が6%低下してしまうことがわかる。
実施例5と比較例2とを比較すると、プリズムシートの稜線と、第2の包括部材の光学軸とが45度の角度をなすようすることで、正面輝度が8%上昇することがわかる。
実施例5と比較例3とを対比すると、プリズムシートの稜線と、第2の包括部材の光学軸とが45度の角度をなすようすることで、包括部材を用いるとむしろ輝度が向上することがわかる。
また、実施例6と比較例3とを比較すると、フィルムに多少の拡散性を付与することで、包括部材を用いない場合とほぼ同等な輝度を達成しながら、さらにプリズムシートのぎらつきを低減できることがわかる。
実施例5と比較例4とを比較すると、拡散性を有する包括部材を用いた場合には、拡散シートを用いた場合に比べて輝度が向上していることがわかる。
【0154】
以上により、プリズムシートの稜線方向と、包括部材の光学軸とが斜めの関係となるようにすることで、液晶表示装置の輝度を向上することができる。また、プリズムシートの稜線と、包括部材の光学軸とが斜めの関係となるようにするとともに、包括部材に拡散性を付与することで、液晶表示装置の輝度を向上することができ、かつ、ぎらつきも低減することができる。
【0155】
以上、この発明の実施形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0156】
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
【0157】
また、上述の実施形態および実施例の各構成は、この発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0158】
また、上述の実施形態では、プリズムシートと偏光子との間に反射型偏光子を備える場合について説明したが、反射型偏光子以外の光学素子を備えるようにしてもよい。この光学素子としては、プリズムシートの偏光割合を崩さない、すなわち偏光解消しない光学素子を用いることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】図1Aは、従来の液晶表示装置の構成を示す概略斜視図、図1Bは、従来の液晶表示装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】屈折率n=1.7の物質と空気との界面における反射率の入射角依存性を示すグラフである。
【図3】この発明の第1の実施形態による液晶表示装置の一構成例を示す概略断面図である。
【図4】包括部材の光学軸とプリズムシートの稜線および偏光子の透過軸との位置関係を示す概略断面図である。
【図5】包括部材の光学軸と、プリズムシートの稜線および偏光子の透過軸との位置関係を示す概略斜視図である。
【図6】プリズムシートの屈折率が1.585であるときの、位相差に対する輝度の変化を示すグラフである。
【図7】図7A〜図7Bは、包括部材の位相差を説明するためのものである概略斜視図である。
【図8】プリズムシートの機能の一例について説明するためのものである概略斜視図である。
【図9】プリズムシートの延伸処理の方向の一例を説明するためのものである。
【図10】液晶表示装置の観察方向を示す概略平面図である。
【図11】表示画面の水平方向における視野角と輝度変化との関係を示すグラフである。
【図12】表示画面の垂直方向における視野角と輝度変化との関係を示すグラフである。
【図13】図13Aは、観察者が表示画面を観察する位置を説明するための正面図、図13Bは、観察者が表示画面を観察する位置を説明するための側面図である。
【図14】位相差の違いにより干渉縞の見え方に差が生じる例を示す写真である。
【図15】図15Aは、観察者が表示画面を観察する位置を説明するための正面図、図15Bは、観察者が表示画面を観察する位置を説明するための側面図である。
【図16】白表示状態で光学素子包括体の位相差が変化したときの色度変化をCIE 1931xy表色座標上に示したグラフである。
【図17】この発明の第1の実施形態による光学素子包括体の第1の構成例を示す斜視図である。
【図18】図18Aは、この発明の第1の実施形態による光学素子包括体の第1の構成例を示す平面図、図18Aに示した光学素子包括体のB−B線に沿った断面図である。
【図19】この発明の第1の実施形態における包括部材の接合部の第1の例を示す断面図である。
【図20】この発明の第1の実施形態における包括部材の接合部の第2の例を示す断面図である。
【図21】この発明の第1の実施形態による光学素子包括体の第2の構成例を示す斜視図である。
【図22】この発明の第1の実施形態による光学素子包括体の第3の構成例を示す斜視図である。
【図23】この発明の第1の実施形態による光学素子包括体の第4の構成例を示す斜視図である。
【図24】図24A〜図24Dは、この発明の第1の実施形態による光学素子包括体の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図25】図25A〜図25Cは、この発明の第1の実施形態による光学素子包括体の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図26】この発明の第2の実施形態による液晶表示装置の一構成例を示す概略断面図である。
【図27】反射型偏光子を光学素子包括体と液晶パネルとの間に配置した場合の位相差値と輝度分布との関係を示すグラフである。
【図28】この発明の第3の実施形態による液晶表示装置における輝度向上の理由について説明するための概略断面図である。
【図29】この発明の第3の実施形態による光学素子包括体の第1の構成例を示す断面図である。
【図30】この発明の第3の実施形態による光学素子包括体の第2の構成例を示す断面図である。
【図31】この発明の第3の実施形態による光学素子包括体の第3の構成例を示す断面図である。
【図32】この発明の第3の実施形態による光学素子包括体の第4の構成例を示す断面図である。
【図33】図33A〜図33Dは、この発明の第4の実施形態による光学素子包括体の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図34】図34A〜図34Dは、この発明の第4の実施形態による光学素子包括体の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図35】図35Aは、この発明の第4の実施形態による光学素子包括体の製造方法の一例を説明するための斜視図、図35Aは、この発明の第4の実施形態による光学素子包括体の製造方法の一例を説明するための平面図である。
【図36】図36Aは、この発明の第5の実施形態による光学素子包括体の一構成例を示す平面図、図36Bは、この発明の第5の実施形態による光学素子包括体の一構成例を示す斜視図である。
【図37】従来の液晶表示装置の構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0160】
1 照明装置
2 光学素子包括体
3 液晶パネル
3a,3b 偏光子
4 バックライト
5 表示画面
11 光源
12 反射板
21 光学素子積層体
22 包括部材
221 第1の包括部材
222 第2の包括部材
23 支持体
24 光学素子
21a 角部
21b 辺部
22a 接合部
22b 開口部
23a 拡散板
24a 拡散シート
24b プリズムシート
24c 光制御フィルム
24d 反射型偏光子
25 加圧ローラ
31 フィルム
32 フィルム
41 フィラー
42 拡散層
43 バインダー
44 フィラー
45 拡散層
46 バインダー
47 フィラー
1 第1の領域
2 第2の領域
Dh 水平方向
Dp 垂直方向
lt 透過軸
la 吸収軸
lo 光学軸
101 照明装置
102 拡散板
103 光学素子
103a 拡散シート
103b プリズムシート
104 液晶パネル
104a,104b 偏光子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状またはシート状の集光素子と、
上記集光素子を支持する支持体と、
上記集光素子および上記支持体を包む、位相差を有する包括部材と
を備え、
上記集光素子と上記支持体とが積層体をなし、該積層体と上記包括部材とが密着し、
上記集光素子が、基材と、基材の一主面に設けられたプリズム列とを有し、
上記包括部材は、光源からの光が入射する第1の領域と、該第1の領域を通過した光が上記支持体を通過後に入射する第2の領域とを有し、
上記第2の領域における上記包括部材の光学軸が、上記集光素子のプリズム列の稜線に対して斜めの関係にある光学素子包括体。
【請求項2】
上記包括部材が、熱収縮性を有する請求項1記載の光学素子包括体。
【請求項3】
上記包括部材の位相差遅れが、1.6λ以下である請求項1記載の光学素子包括体。
【請求項4】
上記包括部材の位相差遅れが、360nm以下である請求項1記載の光学素子包括体。
【請求項5】
上記包括部材の位相差遅れが、0.5λ以下である請求項1記載の光学素子包括体。
【請求項6】
上記包括部材の位相差遅れが、0.5λ±(1/14)λである請求項1記載の光学素子包括体。
【請求項7】
上記包括部材が、拡散性を有する請求項1記載の光学素子包括体。
【請求項8】
上記包括部材のヘイズが、40%以上であり、かつ、透過率が60%以上である請求項7記載の光学素子包括体。
【請求項9】
上記包括部材が、高分子材料と、該高分子材料とは屈折率の異なるフィラーとを含んでいる請求項7記載の光学素子包括体。
【請求項10】
上記包括部材が、表面に凹凸形状を有する請求項7記載の光学素子包括体。
【請求項11】
上記包括部材が、開口部を有する請求項1記載の光学素子包括体。
【請求項12】
上記開口部は、少なくとも上記積層体の角部または辺部に設けられている請求項11記載の光学素子包括体。
【請求項13】
上記積層体は、光源からの光が入射する入射面と、該入射面から入射した光を出射する出射面と、上記入射面と上記出射面との間に位置する端面とを有し、
上記包装部材が、上記積層体の出射面、入射面、および全ての端面を包む請求項1記載の光学素子包括体。
【請求項14】
上記集光素子が複屈折性を有し、
上記集光素子の光学軸と、上記集光素子のプリズム列の稜線とが、平行である請求項1記載の光学素子包括体。
【請求項15】
フィルム状またはシート状の集光素子と、
上記集光素子を支持する支持体と、
上記集光素子および上記支持体を包む、位相差を有する包括部材と
を備え、
上記集光素子と上記支持体とが積層体をなし、該積層体と上記包括部材とが密着し、
上記集光素子が、基材と、基材の一主面に設けられたプリズム列とを有し、
上記包括部材は、光源からの光が入射する第1の領域と、該第1の領域を通過した光が上記支持体を通過後に入射する第2の領域とを有し、
上記第2の領域における上記包括部材の収縮軸が、上記集光素子のプリズム列の稜線に対して斜めの関係にある光学素子包括体。
【請求項16】
上記包括部材が、開口部を有する請求項15記載の光学素子包括体。
【請求項17】
光を出射する光源と、
上記光源から出射された光が透過する光学素子包括体と
を備え、
上記光学素子包括体は、
フィルム状またはシート状の集光素子と、
上記集光素子を支持する支持体と、
上記集光素子および上記支持体を包む、位相差を有する包括部材と
を備え、
上記集光素子と上記支持体とが積層体をなし、該積層体と上記包括部材とが密着し、
上記集光素子が、基材と、基材の一主面に設けられたプリズム列とを有し、
上記包括部材は、光源からの光が入射する第1の領域と、該第1の領域を通過した光が上記支持体を通過後に入射する第2の領域とを有し、
上記第2の領域における上記包括部材の光学軸が、上記集光素子のプリズム列の稜線に対して斜めの関係にあるバックライト。
【請求項18】
光を出射する光源と、
上記光源から出射された光が透過する光学素子包括体と
を備え、
上記光学素子包括体は、
フィルム状またはシート状の集光素子と、
上記集光素子を支持する支持体と、
上記集光素子および上記支持体を包む、位相差を有する包括部材と
を備え、
上記集光素子と上記支持体とが積層体をなし、該積層体と上記包括部材とが密着し、
上記集光素子が、基材と、基材の一主面に設けられたプリズム列とを有し、
上記包括部材は、光源からの光が入射する第1の領域と、該第1の領域を通過した光が上記支持体を通過後に入射する第2の領域とを有し、
上記第2の領域における上記包括部材の収縮軸が、上記集光素子のプリズム列の稜線に対して斜めの関係にあるバックライト。
【請求項19】
光を出射する光源と、
上記光源から出射された光が透過する光学素子包括体と、
上記光学素子包括体を透過した光に基づき、画像を表示する液晶パネルと
を備え、
上記光学素子包括体が、
フィルム状またはシート状の集光素子と、
上記集光素子を支持する支持体と、
上記集光素子および上記支持体を包む、位相差を有する包括部材と
を備え、
上記集光素子と上記支持体とが積層体をなし、該積層体と上記包括部材とが密着し、
上記集光素子が、基材と、基材の一主面に設けられたプリズム列とを有し、
上記包括部材は、光源からの光が入射する第1の領域と、該第1の領域を通過した光が上記支持体を通過後に入射する第2の領域とを有し、
上記第2の領域における上記包括部材の光学軸が、上記集光素子のプリズム列の稜線に対して斜めの関係にあり、
上記液晶パネルが、
両面に偏光子を有し、
上記集光素子に対向する面に設けられた偏光子の透過軸と、上記集光素子のプリズム列の稜線とが平行である液晶表示装置。
【請求項20】
上記光学素子包括体と上記液晶パネルとの間に設けられた反射型偏光子をさらに備え、
上記包括部材の位相差遅れが(1/4)λ以下である請求項19記載の光学素子包括体。
【請求項21】
上記包括部材の位相差遅れが(1/4)λ±(1/20)λである請求項20記載の光学素子包括体。
【請求項22】
光を出射する光源と、
上記光源から出射された光が透過する光学素子包括体と、
上記光学素子包括体を透過した光に基づき、画像を表示する液晶パネルと
を備え、
上記光学素子包括体が、
フィルム状またはシート状の集光素子と、
上記集光素子を支持する支持体と、
上記集光素子および上記支持体を包む、位相差を有する包括部材と
を備え、
上記集光素子と上記支持体とが積層体をなし、該積層体と上記包括部材とが密着し、
上記集光素子が、基材と、基材の一主面に設けられたプリズム列とを有し、
上記包括部材は、光源からの光が入射する第1の領域と、該第1の領域を通過した光が上記支持体を通過後に入射する第2の領域とを有し、
上記第2の領域における上記包括部材の収縮軸が、上記集光素子のプリズム列の稜線に対して斜めの関係にあり、
上記液晶パネルが、
両面に偏光子を有し、
上記集光素子に対向する面に設けられた偏光子の透過軸と、上記集光素子のプリズム列の稜線とが平行である液晶表示装置。
【請求項23】
フィルム状またはシート状の集光素子および支持体が積層された積層体を、位相差を有する包括部材により包む工程と、
上記集光素子および上記支持体を包んだ上記包括部材を収縮させることにより、上記積層体と上記包括部材とを密着させる工程と
を備え、
上記集光素子が、基材と、基材の一主面に設けられたプリズム列とを有し、
上記包括部材は、光源からの光が入射する第1の領域と、該第1の領域を通過した光が上記支持体を通過後に入射する第2の領域とを有し、
上記包括部材により上記集光素子および上記支持体を包む工程では、
上記第2の領域における上記包括部材の光学軸または収縮軸を、上記集光素子の稜線に対して斜めにする光学素子包括体の製造方法。
【請求項24】
上記包括部材により上記集光素子および上記支持体を包む工程前に、
上記包括部材に延伸処理を施す工程をさらに備える請求項23記載の光学素子包括体の製造方法。
【請求項25】
上記包括部材により上記集光素子および上記支持体を包む工程前に、
上記集光素子に対して、該集光素子のプリズム列の稜線方向に延伸処理を施す工程をさらに備える請求項23記載の光学素子包括体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−300800(P2009−300800A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156044(P2008−156044)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】