説明

光学素子包装体、バックライトおよび液晶表示装置

【課題】たるみ、ムラ、シワ、そりの発生を抑制しつつ、白抜けなどの画質の低下を抑制できる光学素子包括体、ならびにそれを備えるバックライトおよび液晶表示装置を提供する。
【解決手段】光学素子包括体は、1または2以上の光学素子と、1または2以上の光学素子を支持する支持体と、1または2以上の光学素子および支持体を包む収縮性の包括部材とを備える。支持体の主面を形成する辺のうち、相対する1組の辺は、包括部材により閉ざされており、支持体の厚みt、包括部材により閉ざされた支持体の辺の長さL、該長さLの辺に対して平行の方向に作用する包括部材の張力Fが、温度70℃の環境下において0≦F≦1.65×104×t/Lの関係を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学素子包括体、ならびにそれを備えるバックライトおよび液晶表示装置に関する。詳しくは、液晶表示装置の表示特性を改善する光学素子包括体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置では、視野角や輝度などの改善を目的として多数の光学素子が用いられている。これらの光学素子としては、拡散フィルムやプリズムシートなどのフィルム状やシート状のものが用いられている。
【0003】
図15は、従来の液晶表示装置の構成を示す。この液晶表示装置は、図15に示すように、光を出射する照明装置101と、照明装置101から出射された光を拡散する拡散板102と、拡散板102により拡散された光を集光や拡散などする複数の光学素子103と、液晶パネル104とを備える。
【0004】
ところで、近年の画像表示装置の大型化に伴って、光学素子の自重やサイズが増大する傾向にある。このように光学素子の自重やサイズが増大すると、光学素子の剛性が不足するため、光学素子の変形が発生してしまう。このような光学素子の変形は、表示面への光学指向性に影響を与え、輝度ムラという重大な問題を招いてしまう。
【0005】
そこで、光学素子の厚さを増すことで、光学素子の剛性不足を改善することが提案されている。しかしながら、液晶表示装置が厚くなってしまい、薄型かつ軽量という液晶表示装置の利点が損なわれてしまう。そこで、光学素子同士を透明粘着剤により貼り合わせることにより、シート状またはフォルム状の光学素子の剛性不足を改善することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−301147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、光学素子同士を透明粘着剤により貼り合わせるため、光学素子の厚さを増す改善方法ほどではないが、液晶表示装置自体がやはり厚くなってしまうという問題がある。また、透明接着剤により、液晶表示装置の表示特性が劣化してしまう虞もある。
【0008】
したがって、この発明の目的は、液晶表示装置の厚みの増加を抑えつつ、光学素子の剛性不足を改善し、さらに液晶表示装置の表示特性を劣化させることのない光学素子包括体、ならびにそれを備えるバックライトおよび液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、液晶表示装置の厚みの増加、または液晶表示装置の表示特性の劣化を抑えつつ、光学素子の剛性不足を改善すべく、鋭意検討を行った結果、光学素子および支持体を包括部材により包括してなる光学素子包括体を発明するに至った。
【0010】
しかしながら、本発明者らの知見によれば、上述のような光学素子包括体として収縮性を有する包括部材を使用した際には、包括剤の収縮性が一様でない為に、収縮応力を残し過ぎてしまうと、支持体への応力が高くなりすぎて、反り、ねじれを生じさせてしまう。
例えば、液晶表示装置の液晶パネル側へ凸状となって接触し、加圧した場合には、液晶の遮光性能を低下させてしまい、白抜けなどの画質不良を発生させる。また、バックライト側に凸状に反りが発生すると支持体の歪みを発生させ、光学フィルムへのうねりを招いて輝度ムラを悪化させたり、端部の液晶パネル側への反りを起こして、白抜けを生じさせたりして画質不良を発生させる。或いは、バックライト側へのソリが強いと、クリアランスが無くなって軋み音が発生したりという不具合も発生させたりする課題を招いてしまう。
【0011】
そこで、本発明者らは、光学素子包括体において画質の低下を低減すべく鋭意検討を行った。その結果、内包される部材に対して、収縮性の包括部材の張力を制御することによって、反り、軋み音を抑制できることを見出すに至った。
この発明は以上の検討に基づいて案出されたものである。
【0012】
上述の課題を解決するために、この発明は、
1または2以上の光学素子と、
1または2以上の光学素子を支持する支持体と、
1または2以上の光学素子および支持体を包む収縮性の包括部材と
を備え、
支持体の主面を形成する辺のうち、相対する1組の辺は、包括部材により閉ざされており、
支持体の厚みt、包括部材により閉ざされた支持体の辺の長さL、該長さLの辺に対して平行の方向に働く包括部材の張力Fが、温度70℃の環境下において以下の関係式を(1)を満たすことを特徴とする光学素子包括体である。
0≦F≦1.65×104×t/L・・・(1)
【0013】
この発明では、1または2以上の光学素子と支持体とを包括部材により包んでいるので、1または2以上の光学素子と支持体とを一体化することができる。したがって、支持体により光学素子の剛性不足を補うことができる。
【0014】
また、この発明では、収縮性の包括部材の張力を、内包される支持体の各辺に対して制御することによって、たるみ、ムラ、シワを抑えつつ、そりの発生を抑制し、白抜けなどの画質の低下および、そりによる軋み音を抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、この発明によれば、液晶表示装置の厚みの増加、または液晶表示装置の表示特性の劣化を抑えつつ、光学素子の剛性不足を改善することができる。また、包括部材によるたるみ、ムラ、シワ無く、そりの発生を抑制しつつ、白抜けなどの画質の低下を抑制し、軋み音などの不具合を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
【0017】
(1)第1の実施形態
(1−1)液晶表示装置の構成
図1は、この発明の第1の実施形態による液晶表示装置の一構成例を示す。この液晶表示装置は、図1に示すように、光を出射するバックライト3と、バックライト3から出射された光に基づき、画像を表示する液晶パネル4とを備える。バックライト3は、光を出射する照明装置1と、照明装置1から出射された光の特性を改善し、液晶パネル4に向けて出射する光学素子包括体2とを備える。以下では、光学素子包括体2などの各種光学部材において、照明装置1からの光が入射する面を入射面、この入射面から入射した光を出射する面を出射面、および入射面と出射面との間に位置する面を端面と称する。また、入射面と出射面とを総称して主面と適宜称する。
【0018】
照明装置1は、例えば直下式の照明装置であり、光を出射する1または2以上の光源11と、光源11から出射された光を反射して液晶パネル3の方向に向ける反射板12とを備える。光源11としては、例えば、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)、熱陰極蛍光管(HCFL:Hot Cathode Fluorescent Lamp)、有機エレクトロルミネッセンス(OEL:Organic ElectroLuminescence)、無機エレクトロルミネッセンス(OEL:Inorganic ElectroLuminescence)、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などを用いることができる。反射板12は、例えば1または2以上の光源11の下方および側方を覆うように設けられ、1または2以上の光源11から下方および側方などに出射された光を反射して、液晶パネル3の方向に向けるためのものである。
【0019】
光学素子包括体2は、例えば、照明装置1から出射された光に対して拡散や集光などの処理を施して光の特性を変える1または2以上の光学素子24と、1または2以上の光学素子を支持する支持体23と、1または2以上の光学素子24と支持体23とを包んで一体化する包括部材22とを備える。光学素子24は、支持体23の入射面側および出射面側の少なくとも一方に設けられている。以下では、支持体23と1または2以上の光学素子24とを重ね合わされたものを光学素子積層体21と称する。
【0020】
光学素子24の数や種類は、特に限定されるのもではなく、所望とする液晶表示装置の特性に応じて適宜選択することができる。光学素子24としては、例えば支持体23と1または2以上の機能層からなるものを用いることができる。なお、支持体を省略して機能層のみからなる構成としてもよい。光学素子24としては、例えば光拡散素子、光集光素子、反射型偏光子、偏光子または光分割素子などを用いることができる。光学素子24としては、例えば、フィルム状、シート状または板状のものを用いることができる。光学素子24の厚さは、好ましくは5〜3000μm、より好ましくは25〜1000μmである。なお、各光学素子24の厚さにおいては、光学素子24を積層する場合に対して、支持体23を含めて内包することにより、その厚さを2割から5割程度薄くすることが可能である。
【0021】
支持体23は、例えば、照明装置1から出射された光を透過する透明板、または照明装置1から出射された光に対して拡散や集光などの処理を施して光の特性を変える光学板である。光学板としては、例えば拡散板、位相差板またはプリズム板などを用いることができる。支持体23の厚さは、例えば1000〜50000μmである。支持体23は、例えば高分子材料からなり、その透過率は30%以上であることが好ましい。なお、光学素子24と支持体23との積層の順序は、例えば、光学素子24および支持体23の有する機能に応じて選ばれる。例えば、支持体23が拡散板である場合、支持体23は、照明装置1からの光が入射する側に設けられ、支持体23が反射型偏光板である場合、支持体23は、液晶パネル3に光を出射する側に設けられる。光学素子24および支持体23の入射面および出射面の形状は、液晶パネル3の形状に応じて選ばれ、例えば縦横比(アスペクト比)の異なる矩形状である。また、支持体23は適度な剛性を有することが好ましく、その材料としては、常温において約1.5GPa以上の弾性率を有する材料が適当であり、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、シクロオレフィン樹脂(ゼオノア(登録商標)など)、ガラスなどが挙げられる。
【0022】
光学素子24および支持体23の主面には、凹凸処理を施すこと、または微少粒子を含有させることが好ましい。こすれや摩擦を低減できるからである。また、光学素子24および支持体23には、必要に応じて光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤および酸化防止剤などの添加剤を含有させることにより、紫外線吸収機能、赤外線吸収機能および静電抑制機能などを光学素子24および支持体23に付与するようにしてもよい。また、光学素子24および支持体23には、アンチリフレクション処理(AR処理)やアンチグレア処理(AG処理)などの表面処理を施すことにより、反射光の拡散や反射光そのものの低減を図るようにしてもよい。また、光学素子24および支持体23の表面に、紫外線や赤外線を反射するための機能を持たせるようにしてもよい。
【0023】
包括部材22は、例えば透明性を有する単層または複数層のフィルム、シートである。包括部材22は、例えば袋状を有し、この包括部材22により光学素子積層体21の全ての面は閉ざされている。また、包括部材22は、光学素子積層体21を介して重ね合わされたフィルムの端部が接合され、包括部材22の2辺、3辺、あるいは4辺が閉ざされた構成としてもよい。具体的には例えば、2辺が閉ざされた包括部材22としては、帯状のフィルムまたはシートの長手方向の端部同士を接合してなる包括部材、矩形状のフィルムまたはシートを2枚重ね合わせた後、対向する2辺を接合してなる包括部材が挙げられる。3辺が閉ざされた包括部材22としては、帯状のフィルムまたはシートの長手方向の端部同士が重なるよう折り返した後に、2辺を接合してなる包括部材、矩形状のフィルムまたはシートを2枚重ね合わせた後、3辺を接合してなる包括部材が挙げられる。4辺が閉ざされた包括部材22としては、帯状のフィルムまたはシートの長手方向の端部同士が重なるよう折り返した後に、3辺を接合してなる包括部材、矩形状のフィルムまたはシートを2枚重ね合わせた後、4辺を接合してなる包括部材が挙げられる。なお、以下では、包括部材22の面のうち、光学素子積層体21の側となる面を内側面、それとは反対側の面を外側面と称する。また、包括部材22において照明装置1からの光が入射する入射面側の領域を第1の領域R1、照明装置1から入射された光を液晶パネル3に向けて出射する出射面側の領域を第2の領域R2と称する。
【0024】
包括部材22の厚さは、例えば5〜5000μmに選ばれる。好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは15〜300μmである。包括部材22が厚い場合、輝度の低下、包括部材22の熱融着部(シール部)の収縮不均一などが発生する。また、光学素子積層体21との密着性不良が生じ、しわなどが発生するため、実機に搭載した場合、ゆがみが発生し、画像の低下を招いてしまう。なお、包括部材22の厚さが、入射面側と出射面側とで異なるようにしてもよい。また、包括部材22が、剛性の観点から、骨材を内包するようにしてもよい。
【0025】
包括部材22が異方性を有する場合には、その光学異方性は小さいことが好ましい。具体的にはそのリタデーション(retardation)が、50nm以下であることが好ましく、さらに、20nm以下であることがより好ましい。包括部材22としては、1軸延伸もしくは2軸延伸のシートまたはフィルムを用いることが好ましい。このようなシートまたはフィルムを用いた場合、熱を加えることにより包括部材22を延伸方向に収縮させることができるので、包括部材22と光学素子積層体21との密着性を高めることができる。
【0026】
包括部材22には、収縮性を持たせることが好ましい。加熱延伸した包括部材22に再度熱を加えることによって熱収縮性を発現させたりすることができるからである。また、包括部材22の端面を伸張させて、内包体である支持体23、光学素子24を挟み込んだ後に端部を熱シールにより溶着することによって、伸縮性により包括・収縮させるようにすることも可能である。
【0027】
図2は、支持体23の各辺と、これらの各辺に垂直な方向に作用する包括部材22の張力Fとの関係を示す概略平面図である。支持体23は、矩形状の主面を有している。矩形状の主面は、互いに対向する第1の辺23a、23aと、該第1の辺と直交するとともに、互いに対向する第2の辺23b、23bとにより形成される。支持体23の厚みt、支持体23の第1の辺23a、第2の辺23bの長さL1、L2、第1の辺23a、第2の辺23bそれぞれに対して平行に作用する包括部材の張力F2、F1が、温度70℃において以下の関係式(2)、(3)を満たしている。
0≦F1≦1.65×104×t/L2・・・(2)
0≦F2≦1.65×104×t/L1・・・(3)
【0028】
ここで、図14を参照して、支持体23の厚さt/第1の辺23aの長さL1に対する、第1の辺23aに平行な方向への張力の関係、および支持体23の厚さt/第2の辺23bの長さL2に対する、第2の辺23bに平行な方向への張力の関係を説明する。図14より、支持体の厚さt/第1の辺または第2の辺の長さLに対する張力の傾き係数によって、反りが不良となる張力の大きい範囲と、反りが無い張力の範囲である領域に分けられることがわかる。この関係式より、張力F1あるいは張力F2の方向は、この張力方向と平行な辺の長さに反比例する関係にあることがわかり、長辺側が長いほど反りが発生しやすい張力は小さくてすみ、短辺側が短いほど反りが発生しやすい張力を大きくさせることができる。これらの関係により、支持体23の厚さt、支持体23の形状によって、反りを発生させない張力がわかり、反りによる画質不良などを低減させることが可能となる。
【0029】
図3Aに、包装部材22の第1の領域R1における配向軸方向を示す。図3Bに、包装部材22の第2の領域R2における配向軸方向を示す。包括部材22は、第1の領域R1、第2の領域R2にそれぞれ配向軸l1、l2を有している。第1の領域R1の配向軸l1と支持体23の側面aとは角度θ1をなしている。第2の領域R2の配向軸l2と支持体23の側面aとは角度θ2をなしている。これらのなす角θ1、θ2は、好ましくは8度以下、より好ましくは3.5度以下である。上記数値範囲を超えると、包括部材22の収縮性が一様でないために、包括部材22が収縮しきれずに、たるみやしわが発生してしまい、面光源として輝度ムラが発生し、液晶表示装置の画質の低下を招いてしまう。
【0030】
また、包括部材22の第1の領域R1の配向軸l1と、包括部材22の第2の領域R2の配向軸l2とは、角度θ3をなしている。このなす角θ3は、好ましくは16度以下、より好ましくは7度以下である。上記数値範囲を超えると、包括部材22の収縮性が一様でないために、包括部材22が収縮しきれずに、たるみやしわが発生してしまい、面光源として輝度ムラが発生し、液晶表示装置の画質の低下を招いてしまう。
【0031】
包括部材22が透明な樹脂材料からなる場合には、配向軸の測定方法として、例えば包括部材22から切り出した試験片などに対して偏光波を与えたときの傾きを測定する方法(リタデーション測定)により把握する方法、透過マイクロ波による分子配向計等によって計測する方法を用いることができる。
【0032】
また、フィルムの長辺と配向軸との角度を変化させる方法としては、フィルムの長辺方向を任意の角度に回転させて切り出し、内包される支持体、光学素子を包み込んだ後に、端部を熱シール、熱収縮させることによって実現できる。或いは、収縮性フィルムの原反自体の、配向軸が原反の中央部分とその両端部分では異なるために、収縮フィルムの採取する位置によっても変化させることができる。例えば、中央部分の収縮性フィルムであれば、配向軸と収縮性フィルムの軸は平行にすることで、ズレを小さくすることが可能であり、揃え易くなる。これに対して、収縮フィルムの原反の端部を使用した場合には、フィルム長尺方向と配向軸はズレが大きくなり、単純に内包される部材をフィルム長尺方向と平行に揃えると、配向軸のズレが大きくなってしまう。これらを回避するには、配向軸に対して内包される部材の無機を合わせて端部を熱シール・熱収縮させることによって改善が可能である。
【0033】
包括部材22の材料としては、好ましくは熱収縮性を有する高分子材料、より好ましくは、液晶表示装置などの内部の温度が最高で70℃程度に達することから、常温から85℃までの熱付与により収縮する高分子材料を用いることができる。上述したような関係を満たすものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、ポリスチレン(PS)、ポリスチレンとブタジエンとの共重合体、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、未延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、例えばポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系樹脂、およびポリビニルアルコール(PVA)などのビニル結合系、シクロオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、天然ゴム系樹脂、ならびに人工ゴム系樹脂などを単独または混合した材料などが使用できる。
【0034】
包括部材22の熱収縮率は、包括する支持体23や光学素子24の大きさ、材質、光学素子積層体21の使用環境などを考慮して選ぶことが好ましい。具体的には、85℃において収縮率は0.2%から100%が好ましく、より好ましくは0.5%から20%、さらに好ましくは0.5%から10%の範囲である。0.2%未満であると包括部材22と光学素子24との密着性が悪くなる虞があり、100%を超えると熱収縮性が面内で不均一となり光学素子を縮ませる虞がある。包括部材22の熱変形温度は、85℃以上であることが好ましい。光源11から発生される熱により光学素子包括体2の光学特性が低下することを抑制できるからである。包括部材22の材料の乾燥減量は、2%以下であることが好ましい。包括部材22の材料の屈折率(包括部材22の屈折率)は、好ましくは1.6以下、より好ましくは1.55以下である。但し、形状付与や形状転写付与による光学機能層を包括部材22に設ける場合には、屈折率は高い方が影響が大きくなり易く、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.57以上、最も好ましくは1.6以上であり、機能層によって好ましい屈折率範囲にすることが望ましい。屈折率が高い方が、光学的な作用が増え、例えば、集光作用、拡散作用などを向上させることができるためである。
【0035】
包括部材22は、1種または2種以上のフィラーを含有していることが好ましい。光学素子包括体同士を重ね合わせたときに、光学素子包括体同士が貼り付くことを防止でき、また、包括部材22とその内包部材との密着性が高くなりすぎて、包括部材2と内包部材とが貼り付くことを防止できるからである。フィラーとしては、例えば有機フィラーおよび無機フィラーの少なくとも1種を用いることができる。有機フィラーの材料としては、例えばアクリル樹脂、スチレン樹脂、フッ素および空洞からなる群より選ばれる1種または2種以上を用いることができる。無機フィラーとしては、例えばシリカ、アルミナ、タルク、酸化チタンおよび硫酸バリウムからなる群より選ばれる1種または2種以上を用いることができる。フィラーの形状は、例えば針状、球形状、楕円体状、板状、鱗片状などの種々の形状を用いることができる。フィラーの径としては、例えば1種または2種以上の径が選ばれる。
【0036】
また、フィラーの代わりに、表面に形状を設けるようにしてもよい。このような形状の成形方法としては、例えば、包括部材22を作製するための収縮性のフィルムまたはシートを成形時に、任意の拡散性の形状をフィルムまたはシートの表面に転写し付与する方法、フィルムまたはシートの成形後に熱および/または加圧により任意の拡散性の形状を転写し付与する方法が挙げられる。
【0037】
また、包括部材22には、必要に応じて光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤および酸化防止剤などの添加剤をさらに含有させて、紫外線吸収機能、赤外線吸収機能および静電抑制機能などを包括部材22に付与するようにしてもよい。また、包括部材22に、アンチグレア処理(AG処理)およびアンチリフレクション処理(AR処理)などの表面処理などを施すことにより、反射光の拡散や反射光そのものの低減などを図るようにしてもよい。さらには、UV−A光(315〜400nm程度)などの特定波長領域の光を透過する機能を付与してもよい。
【0038】
液晶パネル3は、光源11から供給された光を時間的空間的に変調して情報を表示するためのものである。液晶パネル3としては、例えば、ツイステッドネマチック(Twisted Nematic:TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(Super Twisted Nematic:STN)モード、垂直配向(Vertically Aligned:VA)モード、水平配列(In-Plane Switching:IPS)モード、光学補償ベンド配向(Optically Compensated Birefringence:OCB)モード、強誘電性(Ferroelectric Liquid Crystal:FLC)モード、高分子分散型液晶(Polymer Dispersed Liquid Crystal:PDLC)モード、相転移型ゲスト・ホスト(Phase Change Guest Host:PCGH)モードなどの表示モードのパネルを用いることができる。
【0039】
次に、図4〜6を参照して、光学素子包括体2の構成例について詳しく説明する。
図4は、この発明の第1の実施形態による光学素子包括体の一構成例を示す。光学素子包括体2は、図4に示すように、例えば、支持体である拡散板23aと、光学素子である拡散フィルム24a、レンズフィルム24bおよび反射型偏光子24cと、これらを包んで一体化する包括部材22とを備える。ここでは、拡散板23aと、拡散フィルム24a、レンズフィルム24bおよび反射型偏光子24cとが光学素子積層体21を構成する。光学素子積層体21の主面は、例えば縦横比の異なる矩形状を有している。包括部材22は例えば袋状の形状を有し、この包括部材22により光学素子積層体21の前方向が閉ざされている。包括部材22は、例えば光学素子積層体21の端面において熱用着などにより接合されている。
【0040】
拡散板23aは、1または2以上の光源11の上方に設けられ、1または2以上の光源11からの出射光および反射板12による反射光を拡散させて輝度を均一にするためのものである。拡散板23aとしては、例えば、光を拡散するための凹凸構造体を表面に備えるもの、拡散板23aの主構成材料とは屈折率の異なる微粒子などを含有するもの、空洞性微粒子を含有するもの、または上記凹凸構造体、微粒子および空洞性微粒子を2種以上組み合わせたものを用いることができる。微粒子としては、例えば有機フィラーおよび無機フィラーの少なくとも1種を用いることができる。また、上記凹凸構造体、微粒子および空洞性微粒子は、例えば拡散フィルム24aの出射面に設けられる。拡散板23aの光透過率は、例えば30%以上である。
【0041】
拡散フィルム24aは、拡散板23a上に設けられ、拡散板23aにて拡散された光をさらに拡散などするためのものである。拡散フィルム24aとしては、例えば、光を拡散するための凹凸構造体を表面に備えるもの、拡散フィルム24aの主構成材料とは屈折率の異なる微粒子などを含有するもの、空洞性微粒子を含有するもの、または上記凹凸構造体、微粒子および空洞性微粒子を2種以上組み合わせたものを用いることができる。微粒子としては、例えば有機フィラーおよび無機フィラーの少なくとも1種を用いることができる。また、上記凹凸構造体、微粒子および空洞性微粒子は、例えば拡散フィルム24aの出射面に設けられる。
【0042】
レンズフィルム24bは、拡散フィルム24aの上方に設けられ、照射光の指向性等を向上させるためのものである。レンズフィルム24bの出射面には、例えば微細なプリズムあるいはレンズの列が設けられており、このプリズムあるいはレンズの列方向の断面は、例えば略三角形状を有し、その頂点に丸みを付すことが好ましい。カットオフを改善し、広視野角を改善できるからである。
【0043】
光制御フィルム24dは、入射面および出射面の少なくとも一方の面に凹凸構造を有する光学機能層を有するものであり、CCFL、或いはLEDの光源ムラを制御するために設けられるものである。例えば、プリズム状、円弧状、双曲面、放物面の連続した形状、或いはこれらの単三角形状、或いはこれらの組み合わせ、場合によっては平坦面を有する構造や、拡散フィルム24のようなものを設けてもよい。
【0044】
拡散フィルム24aおよびレンズフィルム24bは、例えば高分子材料からなり、その屈折率は例えば1.5〜1.6である。光学素子24またはそれに設けられる光学機能層を構成する材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、光もしくは電子線で硬化する電離性感光型樹脂、または熱により硬化する熱硬化型樹脂、または紫外線により硬化する紫外線硬化樹脂が好ましい。
【0045】
反射型偏光子24cは、レンズフィルム24b上に設けられ、レンズフィルム24bにより指向性を高められた光のうち、直交する偏光成分の一方のみを通過させ、他方を反射するものである。反射型偏光子24cは、例えば有機多層膜、無機多層膜または液晶多層膜などの積層体である。また、反射型偏光子24cに異屈折率体を含有させるようにしてもよい。また、反射型偏光子24cに拡散層、レンズを設けてもよい。
【0046】
ここで、図5〜6を参照して、包括部材22の接合部の例について説明する。
図5は、包括部材の接合部の第1の例を示す。この第1の例では、図5に示すように、光学素子積層体21の端面上にて、包括部材端部の内側面と外側面とを重ね合わせるようにして接合されている。すなわち、包括部材22の端部が、光学素子積層体21の端面に倣うようにして接合されている。
【0047】
図6は、包括部材の接合部の第2の例を示す。この第2の例では、図6に示すように、光学素子積層体21の端面にて、包括部材端部の内側面同士を重ね合わせるようにして接合されている。すなわち、包括部材22の端部が、光学素子積層体21の端面から立ち上がるようにして接合されている。
【0048】
(1−2)光学素子包括体の製造方法
次に、上述の構成を有する光学素子包括体2の製造方法の一例について説明する。まず、光制御フィルム24d上に、拡散板23a、拡散フィルム24a、レンズフィルム24b、反射型偏光子24cをこの順序で載置して、光学素子積層体21を得る。次に、熱収縮性を有するフィルムの原反を準備し、この原反から矩形状のフィルムを2枚切り出す。この際、この矩形状のフィルムの長辺と配向軸とが8度以下の角度をなすようにすることが好ましい。
【0049】
次に、2枚のフィルムを重ね合わせ、2辺もしくは3辺を熱溶着して袋状の包括部材22を得る。なお、2枚のフィルムの間に光学素子積層体21を挟み、2枚のフィルムの端部同士の少なくとも2辺以上を熱溶着などして袋状の包括部材22を得ることもできる。この際、2枚のフィルムの配向軸同士のなす角が16度以下となるようにすることが好ましい。また、1枚あるいは2枚のフィルムの間に光学素子積層体21を挿入した後、開放されている2辺、3辺あるいは4辺を熱融着し、包装部材22を封止することにより、光学素子包括体2を得ることもできる。次に、開放された辺から上記光学素子積層体21を挿入した後、開放された辺を熱溶着し、包装部材22を封止することにより、光学素子包括体2を得る。次に、光学素子包括体2をオーブンなどに搬送し、高温環境下にて包括部材22を収縮させる。
以上により、目的とする光学素子包括体が得られた。
【0050】
この第1の実施形態では、光学素子24と支持体23とを包括部材22で包括することにより、光学素子の厚みの増加を抑えつつ光学素子の剛性不足を改善することができる。
【0051】
(2)第2の実施形態
図7は、この発明の第2の実施形態による光学素包括体の一構成例を示す。この第2の実施形態は、第1の実施形態において、包括部材22に1または2以上の開口22bを設けたものである。開口22bは、例えば、光学素子積層体21の角部21aのうち、少なくとも1つに対応する位置に設けられる。
【0052】
この第2の実施形態では、包括部材22に1または2以上の開口22cを設けられているので、光学素子包括体2の作製工程において、包括部材22を収縮させるときに、包括部材22内の空気を開口22cから排出することができる。したがって、包括部材22に膨れなどが発生することを抑制することができる。膨れが発生した場合、実機に搭載した場合、ゆがみが発生し、画像の低下を招いてしまうからである。また、包括部材22の破れを抑制することもできる。また、熱収縮時の空気の排出口になると共に、液晶表示装置に搭載した場合、熱により空気膨張した際の空気の排出口や光学素子積層体21から発生する空気などの排出口ともなる。
【0053】
(3)第3の実施形態
図8にこの発明の第3の実施形態によるバックライトの一構成例を示す。この第3の実施形態は、第1の実施形態において包括部材22の第2の領域R2の直下に配設された反射型偏光子24cに代えて、プリズムシートなどのレンズフィルム24bを配設したものである。
【0054】
レンズフィルム24bは、透明基材の表面にパターンを持たせた光学素子の一種である。表面に形成されるパターンの最適な形状としては三角形の形状が好まれる。このフィルム上に形成されたプリズムパターンによって、光源11から出射した光が反射・屈折されて集光される。この発明の第3の実施形態に用いられるレンズフィルム24bは特に限定されるものではないが、例えば住友スリーエム株式会社製のBEFなどを用いることができる。
【0055】
また、レンズフィルム24bのギラつきを抑えるために、包括部材22の第2の領域22bに若干の拡散性を含ませることも好適である。
【0056】
図8に示すように、照明装置1から液晶パネル3に向かって、例えば、光学素子包括体2、光学素子である反射型偏光子24cがこの順序で設けられている。光学素子包括体2は、拡散板23a、拡散フィルム24aおよびレンズフィルム24bが包括部材22に包括されて一体化されている。
【0057】
(4)第4の実施形態
この第4の実施形態は、第1の実施形態において、包括部材22に光学素子機能を付与したものである。包括部材22は、第1の領域R1および第2の領域R2の少なくとも一方に光学素子機能層を設けたものである。光学素子機能層は、例えば包括部材22の内側面および外側面の少なくとも一方に設けられる。光学素子機能層は、照明装置1から入射される光に対して所定の処理を施することにより、所望の特性の光に改善するためのものである。光学素子機能層としては、例えば、入射光を拡散する機能を有する拡散機能層、光を集光する機能を有する集光機構層、上述した光制御フィルム24dの機能を有する光源分割機能層などが挙げられる。具体的には例えば、光学素子機能層は、例えばシリンドリカルレンズ、プリズムレンズまたはフライアイレンズなどの構造体が配設されてなる。また、シリンドリカルレンズやプリズムレンズなどの構造体に対してウォブルを付加してもよい。光学機能層としては、例えば紫外線をカットする紫外線カット機能層(UVカット機能層)、赤外線をカットする赤外線カット機能層(IRカット機能層)などを用いるようにしてもよい。
【0058】
包括部材22の光学機能層を形成する方法としては、例えば樹脂材料を包括部材22に塗布、乾燥することにより拡散性の機能層を形成する方法、包括部材22となるフィルムまたはシートの作製時に、樹脂材料に拡散性の粒子を含有させる、もしくはボイドを形成するようにして、押出成形または共押出成形により単層または多層構造のフィルムまたはシートを作製する方法、紫外線硬化樹脂などの樹脂材料に対して所定形状を転写成形することにより、拡散性機能層、レンズなどの集光機能層、ある任意の形状を有する光源分割機能層を形成する方法、収縮性フィルムの成膜時に予め収縮率を見込んで所定の形状を転写させておき、延伸により収縮性を与えたものを用いる方法、収縮性フィルムを作製した後に上述の機能層を熱・加圧による転写で設けたものを使用する方法、フィルムへ微小な穴を機械的に、もしくはレーザなどを用いた熱加工により成形する方法が挙げられる。
【0059】
図9は、この発明の第4の実施形態によるバックライトの一構成例を示す。図8に示すように、照明装置1から液晶パネル3に向かって、例えば、拡散板23a、拡散フィルム24a、レンズフィルム24b、反射型偏光子24cがこの順序で設けられている。また、拡散板23aは包括部材22により包まれ、その包括部材22の内側面のうち、入射側となる部分には、ムラ消し機能などを有する構造体26が設けられている。
【0060】
この第4の実施形態では、包括部材22の内側面および外側面の少なくとも一方に構造体および光学機能層を設けているので、包括部材22により包括する光学素子の数を減らすことができる。したがって、光学素子包括体2および液晶表示装置を更に薄型化することができる。
【0061】
(5)第5の実施形態
包括部材22は例えば帯状の形状を有し、その長手方向の端面同士が、好ましくは光学素子積層体21の端面上にて接合されている。または、接合箇所の無い筒状の形状をしている。以下、光学素子積層体21の主面が縦横比の異なる矩形状を有する場合について、光学素子包括体2の構成について説明する。
【0062】
図10は、この発明の第5の実施形態による光学素子包括体の第1の構成例を示す。図10に示すように、光学素子積層体21の入射面および出射面とその長辺側の両端面とが帯状の包括部材22により包まれ、光学素子積層体21の短辺側の両端面が露出されている。帯状の包括部材22の長手方向の両端部同士が、例えば、光学素子積層体21の長辺側の端面にて接合される。
【0063】
図11は、この発明の第5の実施形態による光学素子包括体の第2の構成例を示す。図5に示すように、光学素子積層体21の入射面および出射面とその短辺側の両端面とが、帯状の包括部材22により包まれ、光学素子積層体21の長辺側の両側面が露出されている。帯状の包括部材22の長手方向の端部同士が、光学素子積層体21の短辺側の端面にて接合される。
【0064】
図12は、この発明の第5の実施形態による光学素子包括体の第3の構成例を示す。図12に示すように、光学素子積層体21の中央部およびその付近が帯状の包括部材22により覆われ、光学素子積層体21の短辺側の両端部が露出されている。帯状の包括部材22の長手方向の端部同士が、例えば、光学素子積層体21の長辺側の端面にて接合される。
【0065】
次に、上述の構成を有する光学素子包括体2の製造方法の一例について説明する。まず、図13Aに示すように、重ね合わされた1または複数の光学素子24と支持体23とを、例えば帯状の包括部材22上に載置する。次に、図13A中の矢印aに示すように、例えば帯状の包括部材22の長手方向の両端部を持ち上げ、重ね合わされた1または複数の光学素子24と支持体23とを包括部材22により包む。次に、図13Bに示すように、例えば包括部材22の長手方向の端部同士を、1または複数の光学素子24または支持体23の端面にて接合する。接合の方法としては、例えば、接着剤や溶着による接着などが挙げられる。接着剤による接着方法としては、例えばホットメルト型接着方法、熱硬化型接着方法、感圧(粘着)型接着方法、エネルギー線硬化型接着方法、水和型接着方法または吸湿・再湿型接着方法などが挙げられる。溶着による接着方法としては、例えば熱溶着、超音波溶着またはレーザ溶着などが挙げられる。その後、必要に応じて包括部材22に熱を加えることにより、包括部材22を熱収縮させるようにしてもよい。
【0066】
光学素子包括体2の製造方法の他の例として、筒状の包括部材22内に、重ね合わされた1または2以上の光学素子24と支持体23とを挿入する。その後、必要に応じて包括部材22に熱を加えることにより、包括部材22を熱収縮させるようにしてもよい。
以上により、目的とする光学素子包括体2が得られる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明するが、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0068】
(サンプル1)
まず、以下に示す光学素子および支持体を準備した。なお、これらの光学素子および支持体は、32インチサイズのテレビ用のものであり、410mm×710mmのサイズを有する。
反射型偏光子(DBEFD:3M社製(厚さ400μm))
レンズシート(Lens:PC溶融押し出し成形の双曲面形状:ピッチ200μm ソニー社製(厚さ500μm))
拡散シート(BS−912:恵和製(205μm))
拡散板(ポリカーボネート:帝人化成製(厚さ1500μm)
光制御フィルム(ムラ消しフィルム:PC溶融押し出し成形の双曲面状形状、ピッチ200μm、厚さ200μm)
【0069】
次に、光制御フィルム上に、拡散板、拡散シート、レンズシート、反射型偏光子をこの順序で載置して、光学素子積層体を得た。次に、熱収縮性を有するポリエチレンフィルムの原反を準備し、この原反から矩形状のフィルムを2枚切り出した。この際、この矩形状のフィルムの長辺と配向軸とが1度をなすようにした。
【0070】
次に、2枚のフィルムを互いの配向軸のなす角が2度になすように重ね合わせて、1つの長辺を除く3辺を熱溶着することにより、袋状の包括部材を得た。次に、開放された長辺から上記光学素子積層体を挿入した。次に、開放された長辺を熱溶着し、包装部材を封止することにより、光学素子包括体を得た。なお、熱溶着は、包括部材の周縁を220℃にて2秒間加熱することにより行なった。次に、包括部材の角部に対応する位置に開口を形成した。次に、光学素子包括体をオーブンに搬送し、温度105℃の環境下にて包括部材を収縮させた。これにより、光学素子積層体と包括部材とが密着するとともに、光学素子積層体の角部が包括部材の角部に設けられた開口から露出した。
以上により、目的とする光学素子包括体が得られた。
【0071】
(サンプル2〜7)
以下の表1に示すように、ポリオレフィンA(PP/PE系)、ポリオレフィンB(PP/PE系)のフィルムからなる包括部材を用いること、包括部材の収縮代を以下の表1に示す値にすること以外はサンプル1と同様にして光学素子包括体を得た。
【0072】
(サンプル8〜10)
以下の表1に示すように、ポリオレフィン(PE系)、ポリオレフィンA(PP/PE系)のフィルムからなる包括部材を用いること、拡散板のサイズを厚さ0.002m、長辺0.91m、短辺0.52mに変更すること以外はサンプル1と同様にして光学素子包括体を得た。
【0073】
(サンプル11〜12)
以下の表1に示すように、ポリオレフィンA(PP/PE系)、ポリオレフィンB(PP/PE系)のフィルムからなる包括部材を用いること、拡散板のサイズを厚さ0.002m、長辺1.03m、短辺0.59mに変更すること以外はサンプル1と同様にして光学素子包括体を得た。
【0074】
(サンプル13〜16)
以下の表1に示すように、ポリオレフィンA(PP/PE系)、ポリオレフィンB(PP/PE系)のフィルムからなる包括部材を用いること、包括部材の角部に開口部を設けないことを、支持体の角部の形状をR1形状にすること以外はサンプル1と同様にして光学素子包括体を得た。
【0075】
(TV実機内の温度測定)
TV実機内の光源側の光学素子包括体上の温度を熱伝対にて測定した。測定は面内の9点を測定した結果、常温25℃点灯にて最大約67℃まで昇温して一定となり、50℃環境にて点灯させた場合でも最大約70℃まで昇温して一定となった。50℃時には、回路の安全保障が作動して70℃を超えない仕様となっており70℃時点での包括部材の評価にて、張力等の測定を進めた。
【0076】
(包括部材の張力測定)
セイコー社製のTMA(熱・応力・歪測定装置 EXSTAR6000 TMA/SS)を用いて、以下のようにして包括部材の張力を測定した。
まず、包括部材に張力が加わった状態において、光学素子包括体の中央部から長方形の金型により5mm×50mmの試験片を切り出した。この際、試験片の長辺、短辺がそれぞれ支持体である拡散板の長辺と、短辺と平行となるようにして試験片を切り出した。次に、硝子板に試験片を挟んでたるみのない状態とした後、トプコン社製の工具顕微鏡により長さを測定した。切り出した試験片は張力が開放された状態となっているため、50mmよりも収縮した状態となっている。この収縮状態から、最初の50mmの状態へ戻すように寸法換算して、TMA用に試験片を再カットしてセットした。次に、初期の温度25℃時点での張力を測定し、100℃まで昇温させて、70℃時点での張力を測定した。ここで、温度70℃は試験片近傍の大気の温度である。その結果を表1および図14に示す。
【0077】
(包括部材の張力の算出方法)
サンプル1〜16の張力を、上記式(1)、(2)を用いて以下のようにして算出した。その結果を表1に示す。
サンプル1〜7、サンプル13〜16(32インチ)
F1=1.65×104×0.015/0.71=34.9
F2=1.65×104×0.015/0.41=60.4
サンプル11〜12(40インチ)
F1=1.65×104×0.002/0.91=36.3
F2=1.65×104×0.002/0.52=63.5
サンプル13〜16(46インチ)
F1=1.65×104×0.002/1.03=32.0
F2=1.65×104×0.002/0.59=55.9
【0078】
(包括部材の張力の測定)
まず、光学素子包括体のシール部を跨ぐようにして、5×50mmの金型により、試験片を抜き出し、上述のTMA用に試験片を再カットしてセットした。次に、初期の常温25℃時点での試験片の張力を測定した後、70℃まで昇温させて、70℃時点での試験片の張力を測定した。
【0079】
(包括部材のソリの測定)
定番上に作成したサンプルを乗せ、4角の反り量を金尺にて最大ソリ量を測定した。その結果を表1に示す。
【0080】
(実装試験評価)
実装評価機として、32インチ液晶テレビ(ソニー株式会社製、商品名:LCDTV−J3000)、40インチ液晶テレビ(ソニー株式会社製、商品名:LCDTV−J3000)、46インチ液晶テレビ(ソニー株式会社製、商品名:LCDTV−V2500)を準備した。次に、この液晶テレビ内のバックライトユニットの光学素子である拡散板、拡散シート、プリズムシート、反射型偏光シートを取り出し、上述のサンプル1〜16の光学素子包括体を載置し直し、パネル表示の外観評価を以下の規準に従って行なった。その結果を表1に示す。
5:正面、斜視60°でも輝度ムラなし
4:正面:輝度ムラなし/斜視60°極めて僅かなムラ
3:正面:輝度ムラ極めて僅か/斜視60°ムラ軽微
2:正面:ムラ軽微/斜視60°ムラあり
1:正面・斜視60°でも輝度ムラ確認
なお、「3」以上にて実用上問題のないのレベルの特性が得られる。
【0081】
(きしみ音の評価)
光学素子包括体を実装したTVを、25℃の環境下で2時間点灯保管した後、消灯し1時間の間に発生した軋み音の発生有無を評価した。具体的には、測定環境:25dB以下として、最高騒音40dB以上のものを「きしみ音有り」、最高騒音40dB未満のものを「きしみ音有り」として評価した。なお、測定には、リオン社製のNL−32を用いた。その結果を表1に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
表1において、「ポリオレフィンA」、「ポリオレフィンB」、「C6開放」、「収縮代」は以下のことを意味する。
ポリオレフィンA:ポリプロピレン/(ポリプロピレン+ポリエチレン)/ポリプロピレンによる多層構造の、厚さ30μmの熱収縮フィルム。
ポリオレフィンB:ポリプロピレン/(ポリプロピレン+ポリエチレン)/ポリプロピレンによる多層構造の、厚さ50μmの熱収縮フィルム。
「C6開放」:包括部材のコーナー部を角から6mmずつの点を結んだ面取りのこと。
「収縮代」:支持体と包括部材との大きさの違いであり、溶着部を含まない数値のこと。
【0084】
表1から以下のことが分かる。
まず、32インチサイズのサンプル1〜7に着目すると、温度70℃において包括部材の表面張力F1、F2がF1>34.9、F2>60.4となると、反りが大きくなり、実装試験評価においては画質が低下する傾向にある。
次に、40インチサイズのサンプル8〜10に着目すると、温度70℃において包括部材の表面張力F1、F2がF1>36.3、F2>63.5となると、反りが大きくなり、実装試験評価においては画質が低下する傾向にある。
次に、46インチサイズのサンプル11〜12に着目すると、温度70℃において包括部材の表面張力F1、F2がF1>32.0、F2>55.9となると、反りが大きくなり、実装試験評価においては画質が低下する傾向にある。
【0085】
以上により、70℃において張力が、上述の式(1)、(2)にて規定される数値を超えると、ソリが大きくなり、TV実装試験において画質が低下する傾向にある。また、TVのサイズを変えて評価した際にも、上記数値を超えると、ソリが発生し易く、TV画質が損なわれる傾向にある。
これらは、支持体に対しての包括部材の張力が、70℃高温時に支持体となる拡散板が熱により軟化しやすい状態において、収縮方向の応力作用を及ぼしてソリを発生させるものと予想される。
【0086】
(サンプル17)
サンプル1と同様にして光学素子包括体を得た。
【0087】
(サンプル18〜20)
フィルムの原反から矩形状のフィルムを切り出すときに、この矩形状のフィルムの長辺と配向軸とが3.5度、8度、12度をなすようにすること以外はサンプル1と同様にして光学素子包括体を得た。
【0088】
(サンプル21〜24)
光学素子包括体を作製するためのフィルムとしてポリオレフィンAのフィルムを用いること、フィルムの原反から矩形状のフィルムを切り出すときに、この矩形状のフィルムの長辺と配向軸とが1.2度、3度、7度、10度をなすようにすること以外はサンプル1と同様にして光学素子包括体を得た。
【0089】
(配向軸の測定)
上述のようにして得られたサンプル17〜24の包括部材の配向軸を以下のようにして測定した。まず、光学素子包括体の支持体に対して平行に包括部材を100mm×100mmの正方形状に切り出して試験片を得た。次に、この試験片を大塚電子製のリタデーション測定器により、試験片の端部に対する配向軸の傾き角度を測定した。その結果を表2に示す。
【0090】
(光学素子包括体の反り評価)
32インチサイズ(サンプル1〜7、13〜16)、40インチサイズ(サンプル8〜10)、46インチサイズ(サンプル11〜12)に作製した光学素子包括体をソニー製のテレビに用いられているバックライト上に載置し、バックライトを1時間点灯させた後、光学素子包括体の反り量を金尺により測定した。そして、測定した反り量を以下に示す3段階で評価した。その結果を表2に示す。
3:反りが10mm未満
2:反りが軽微なもの(10mm以上20mm未満)
1:反りが20mm以上
なお、「2」以上にて実用上問題のないレベルの特性が得られる。
【0091】
(外観評価)
上述のサンプル1と同様にして光学素子包括体の外観を評価した。その結果を表2に示す。
【0092】
【表2】

【0093】
表2から以下のことが分かる。
包括部材の第1の領域と第2領域における結晶軸と、支持体の側面とのなす角を1〜8度の範囲内することにより、光学素子包括体の反りを抑制でき、かつ、包括部材によるたるみ、ムラ、シワの発生をできる。
【0094】
(サンプル25)
サンプル2と同様にして光学素子包括体を得た。
【0095】
(サンプル26)
包括部材の周縁を220℃にて1秒間加熱して熱溶着すること以外はサンプル25と同様にして光学素子包括体を得た。
【0096】
(サンプル27)
包括部材の周縁を220℃にて0.5秒間加熱して熱溶着すること以外はサンプル25と同様にして光学素子包括体を得た。
【0097】
(シール張力測定)
まず、光学素子包括体のシール部を跨ぐようにして、5×50mmの金型により、試験片を抜き出し、上述のTMA用に試験片を再カットしてセットした。次に、初期の常温25℃時点での試験片の張力を測定した後、70℃まで昇温させて、70℃時点での試験片の張力を測定した。その結果を表3に示す。
【0098】
(高温保存時の外観評価)
70℃/Dryの環境下に光学素子包括体を500時間保存し、外観変化を確認した。その結果を表3に示す。
【0099】
【表3】

【0100】
表3から以下のことが分かる。
シール部の張力Fが包括部材の張力Fより小さい場合には、高温保存時においてシール部が剥がれ、包括部材が破損する虞がある。したがって、シール部の張力Fを包括部材の張力Fより大きくすることが好ましい。
【0101】
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0102】
例えば、上述の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】この発明の第1の実施形態による液晶表示装置の一構成例を示す概略図である。
【図2】支持体の辺と、この辺に垂直な方向に作用する包括部材の張力Fとの関係を示す概略平面図である。
【図3】図3Aは第1の領域における包装部材の配向軸方向を示す概略平面図、図3Bは第2の領域における包装部材の配向軸方向を示す概略平面図である。
【図4】この発明の第1の実施形態による光学素子包括体の一構成例を示す概略断面図である。
【図5】包括部材の接合部の第1の例を示す概略断面図である。
【図6】包括部材の接合部の第2の例を示す概略断面図である。
【図7】図7Aはこの発明の第2の実施形態による光学素包括体の一構成例を示す平面図、図7Bはこの発明の第2の実施形態による光学素包括体の一構成例を示す斜視図である。
【図8】この発明の第3の実施形態によるバックライトの一構成例を示す斜視図である。
【図9】この発明の第4の実施形態によるバックライトの一構成例を示す斜視図である。
【図10】この発明の第5の実施形態による光学素子包括体の第1の構成例を示す斜視図である。
【図11】この発明の第5の実施形態による光学素子包括体の第2の構成例を示す斜視図である。
【図12】この発明の第5の実施形態による光学素子包括体の第3の構成例を示す斜視図である。
【図13】図7A、図7Bは、この発明の第5の実施形態による光学素子包括体の製造方法を説明するための工程図である。
【図14】サンプルの張力と比率t/Lとの関係を示すグラフである。
【図15】従来の液晶表示装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0104】
1 照明装置
2 光学素子包装体
3 バックライト
4 液晶パネル
11 光源
12 反射板
21 光学素子積層体
22 包装部材
22a 接合部
22b 開口部
22c 光学素子機能層
23 支持体
24 光学素子
23a 拡散板
24a 拡散フィルム
24b レンズフィルム
24c 反射型偏光子
24d 光制御フィルム
R1 第1の領域
R2 第2の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または2以上の光学素子と、
上記1または2以上の光学素子を支持する支持体と、
上記1または2以上の光学素子および上記支持体を包む収縮性の包括部材と
を備え、
上記支持体の主面を形成する辺のうち、相対する1組の辺は、上記包括部材により閉ざされており、
上記支持体の厚みt、上記包括部材により閉ざされた支持体の辺の長さL、該長さLの辺に対して平行の方向に作用する包括部材の張力Fが、温度70℃の環境下において以下の関係式を(1)を満たすことを特徴とする光学素子包括体。
0≦F≦1.65×104×t/L・・・(1)
【請求項2】
上記支持体は矩形状の主面を有し、
上記矩形状の主面を形成する4辺すべてが、上記包括部材により閉ざされており、
上記支持体の厚みt、上記矩形状の主面を形成する辺の長さL1、L2、該長さL1、L2の辺それぞれに対して平行の方向に作用する包括部材の張力F1、F2が、温度70℃の環境下において以下の関係式を(2)、(3)を満たすことを特徴とする請求項1記載の光学素子包括体。
0≦F1≦1.65×104×t/L2・・・(2)
0≦F2≦1.65×104×t/L1・・・(3)
【請求項3】
上記包括部材は熱収縮性を有することを特徴とする請求項1記載の光学素子包括体。
【請求項4】
上記包括部材は伸張包括による収縮性を有することを特徴とする請求項1記載の光学素子包括体。
【請求項5】
上記包括部材は、該包括部材の端部同士を接合した接合部を有し、
上記接合部の強度は、上記張力Fよりも強いことを特徴とする請求項1記載の光学素子包括体。
【請求項6】
上記包括部材は、上記支持体の主面をそれぞれ覆う第1の領域および第2の領域を有し、
上記第1の領域および第2の領域の配向軸と、上記長さLの辺に対して垂直な軸のなす角が8度以下であることを特徴とする請求項1記載の光学素子包括体。
【請求項7】
上記包括部材は、上記支持体の主面をそれぞれ覆う第1の領域および第2の領域を有し、
上記第1の領域および第2の領域の少なくとも一方には、光学機能層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学素子包括体。
【請求項8】
上記包括部材の少なくとも1つの穴部が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の光学素子包括体。
【請求項9】
上記包括部材の穴部は、上記支持体の角/曲率部に少なくとも1つの穴部が設けられていることを特徴とする請求項8記載の光学素子包括体。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載された光学素子包装体を備えるバックライト。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載された光学素子包括体を備える液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−75485(P2009−75485A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246295(P2007−246295)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【特許番号】特許第4175431号(P4175431)
【特許公報発行日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】