説明

光学素子用遮光膜及び光学素子

【課題】低温で硬化可能であり、かつ温水やイソプロピルアルコールによる洗浄への耐性を有する光学素子用遮光膜を提供する。
【解決手段】少なくとも硬化性樹脂と、着色剤とを有する光学素子用遮光膜であって、前記光学素子用遮光膜の弾性率が5MPa〜500MPaであり、前記光学素子用遮光膜の架橋密度が1mol/cm3〜100mol/cm3であり、さらにシランカップリング剤が7重量%〜17重量%含まれることを特徴とする、光学素子用遮光膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子用遮光膜及び光学素子に関する。
【0002】
本発明は、カメラ、双眼鏡、顕微鏡等の光学機器に使用される光学素子用遮光膜及びこの遮光膜を有する光学素子に関する。
【背景技術】
【0003】
光学素子用遮光膜は、主に光学素子の構成部材であるガラスの表面に形成される塗膜である。ここでガラスはレンズであってもよいしプリズムであってもよい。またその他の光学用ガラスであってもよい。
【0004】
ここで光学素子用遮光膜の役割について、図面を参照しながら説明する。図2は、光学素子用遮光膜と、この遮光膜を設けたレンズの一例を示す概略図である。図2に示されるように、光学素子用遮光膜1は、レンズ2の任意の外周部分に形成されている。ここでレンズ2に入射する光のうちレンズ2の外周部分に当たらない光(入射光3)は、透過光4として透過する。一方、レンズ2に入射する光のうちレンズ2の外周部分に当たる光(入射光5)は、レンズ2の外周部分に設けられている遮光膜1に当たる。仮に、図2遮光膜1が形成されていない場合では、レンズ2の外周部分に当たった光は内面反射して画像に関係のない内面反射光6としてレンズ2の外に出て行く。この内面反射光6は、画像を悪くする要素であるフレアやゴースト等の原因になる。このためフレアやゴースト等の発生を防ぐ目的でレンズ2の外周に遮光膜1を設ける必要がある。ここで遮光膜1を設けることにより、斜めからの入射光5に対する内面反射を減らすことが可能となる。これにより画像に悪影響を与える内面反射光6が減少するので、フレアやゴーストを防止することが可能である。
【0005】
また図面を参照しながら、内面反射の原理について詳しく述べる。図3は、内面反射光の進行方向を示す模式図である。尚、図3は、遮光膜1がレンズ2の外周表面に塗布されている態様を示すものである。図3に示されるように、内面反射は、主に2つの界面、即ち、レンズ2と遮光膜1との界面11及び遮光膜1と空気との界面12で起こる。即ち、レンズ2内を通る入射光3が界面11に当たると、入射光3はこの界面11において反射する光(第一の反射光7)と遮光膜1を透過する光(透過光8)とに分かれる。また透過光8は、界面12において反射する。このときの反射光が第二の反射光9となる。ここで第一の反射光7については、遮光膜1の屈折率をレンズ2の屈折率に近づけることで低減することが可能である。
【0006】
従来、光学素子用遮光膜として、例えば、特許文献1にて開示されているコールタールを用いて内面反射を低減させる光学素子用遮光膜(反射防止膜)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公昭47−32419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで近年において、レンズの薄肉化や低歪化に伴い、図2に示されるレンズ2の外周部分に設けられる遮光膜1は、従来のものよりもより低温で硬化させる必要がある。また、遮光膜を形成した後にレンズ表面の汚れを除去するための洗浄工程を行う必要があるためこの洗浄工程への耐久性(耐溶媒性)も要求される。ここで洗浄工程とは、具体的には、レンズを、温水あるいはイソプロピルアルコールで洗浄する工程である。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の遮光膜は、低温で膜を硬化させようとすると、架橋が十分に進行しない。このため、特許文献1に記載の遮光膜が設けられているレンズを温水で洗浄しようとすると、遮光膜が剥がれることがある。また特許文献1に記載の遮光膜が設けられているレンズを、イソプロピルアルコールで洗浄しようとすると、洗浄液であるイソプロピルアルコールによって遮光膜に含まれる染料が溶出し、外観不良を引き起こすという問題があった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされるものであり、その目的は、低温で硬化可能であり、かつ温水やイソプロピルアルコールによる洗浄への耐性を有する光学素子用遮光膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の光学素子用遮光膜は、少なくとも硬化性樹脂と、着色剤とを有する光学素子用遮光膜であって、
前記光学素子用遮光膜の弾性率が5MPa〜500MPaであり、
前記光学素子用遮光膜の架橋密度が1mol/cm3〜100mol/cm3であり、
さらにシランカップリング剤が7重量%〜17重量%含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低温で硬化可能であり、かつ温水やイソプロピルアルコールによる洗浄への耐性を有する光学素子用遮光膜を提供することができる。即ち、本発明の光学素子用遮光膜は、温水による洗浄で問題となる遮光膜の剥がれを低減すると共に、イソプロピルアルコールによる洗浄で問題となる遮光膜中の着色剤の溶出を低減することができる。
【0013】
また、本発明の遮光膜により、内面反射が少ない光学素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】内面反射率の測定系を示す模式図である。
【図2】光学素子用遮光膜と、この遮光膜を設けたレンズの一例を示す概略図である。
【図3】内面反射光の進行方向を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の光学素子用遮光膜は、少なくとも硬化性樹脂と、着色剤とを有する光学素子用遮光膜である。本発明の光学素子用遮光膜において、光学素子用遮光膜の弾性率が5MPa〜500MPaであり、架橋密度が1mol/cm3〜100mol/cm3である。また本発明の光学素子用遮光膜において、シランカップリング剤は7重量%〜17重量%含まれる。以下、本発明の原理について説明する。
【0016】
本発明の光学素子用遮光膜は、遮光膜を低温で硬化させたとしても、温水で光学素子を洗浄したときに硬化した遮光膜の剥がれを低減することが可能となる。ここでこの作用効果をもたらす構成について説明する。
【0017】
本発明の光学素子用遮光膜において、遮光膜の弾性率は5MPa以上500MPa以下である。遮光膜の弾性率をこの範囲(5MPa以上500MPa以下)にすることで、遮光膜を有する光学素子を温水で洗浄するときにこの遮光膜が光学素子から剥がれるのを低減することができる。ところで光学素子上に形成される遮光膜を低弾性化すると、耐衝撃性が向上し、膜自体に柔軟性が付与されるため、耐温水性を保持しつつ、遮光膜の剥がれを低減することができる。ただし弾性率が低すぎる場合、具体的には膜の弾性率が5MPa未満になると膜中の着色剤が溶出することがあるため好ましくない。一方、遮光膜の弾性率が高い場合、具体的には膜の弾性率が500MPaを超えると遮光膜が光学素子から剥がれことがあるため好ましくない。以上より、本発明の光学素子用遮光膜は、その弾性率が5MPa以上500MPa以下の範囲にする。
【0018】
次に、本発明の光学素子用遮光膜は、遮光膜を低温で硬化させたとしても、イソプロピルアルコール等のアルコール溶媒で光学素子を洗浄したときに遮光膜に含まれる着色剤の溶出を低減することが可能となる。ここでこの作用をもたらす構成について説明する。
【0019】
本発明の光学素子用遮光膜において、遮光膜の架橋密度は1mol/cm3以上100mol/cm3以下である。遮光膜の架橋密度を上記範囲にすることで、遮光膜を有する光学素子をイソプロピルアルコールで洗浄するときにこの遮光膜に含まれる着色剤の溶出を低減することができる。これは遮光膜の架橋密度を上げることにより、塗膜の網目構造が密になって着色剤分子が当該網目構造内に閉じ込めやすくなることで、着色剤が遮光膜の表面から外に出にくくなるためである。
【0020】
ここで遮光膜が有する網目構造内における着色剤分子の閉じ込めを実現させるために、遮光膜の架橋密度は1mol/cm3以上を要する。ここで遮光膜の架橋密度が1mol/cm3未満になると遮光膜から着色剤が溶出するため好ましくない。一方、遮光膜の架橋密度が100mol/cm3を超えると遮光膜が光学素子から剥がれことがあるため好ましくない。以上より、本発明の光学素子用遮光膜は、その架橋密度が1mol/cm3以上100mol/cm3以下である。
【0021】
本発明の光学素子用遮光膜では、上述した弾性率と架橋密度とを両立させるため、膜中にシランカップリング剤が、膜全体に対して7重量%以上17重量%以下の割合で含まれる。膜中のシランカップリング剤の含有量を膜全体に対して7重量%以上17重量%以下にすることで、遮光膜の低弾性率化と架橋密度の向上とを両立させることができる。
【0022】
本発明の光学素子用遮光膜において、遮光膜の剥がれを低減する際には、上述したように、遮光膜の弾性率を低くすればよい。一方、本発明の光学素子用遮光膜において、遮光膜に含まれる着色剤の溶出を低減するためには、遮光膜の架橋密度を上げればよい。しかし遮光膜の架橋密度を上げると遮光膜の弾性率が高くなるのが一般的であり、架橋密度の向上と弾性率の低減を両立することは困難である。ここで、本発明では、遮光膜に含ませるシランカップリング剤を膜全体に対して7重量%以上17重量%以下の割合で含有させることで、これらの問題は解決する。
【0023】
ところで、シランカップリング剤は、一般に、レンズ等の光学素子の表面に存在する水酸基や遮光塗料に含まれる材料が有する反応性官能基と反応して、新たに化学結合(例えば、−O−Si−結合)が形成されるという性質がある。この性質を利用してシランカップリング剤を、光学素子の表面と遮光塗料に含まれる材料との間に介在させると、光学素子の表面と遮光塗料に含まれる材料との間でシランカップリング剤によるネットワーク構造が形成される。このネットワークにより、遮光膜の接着力を向上させる効果がある。また遮光塗料に含まれる材料間、例えば、硬化性樹脂(バインダー)と無機フィラーとの間にシランカップリング剤を介在させた場合でも同様にシランカップリング剤によるネットワーク構造が形成される。このようにシランカップリング剤によってネットワーク構造が形成されることにより遮光膜全体の架橋密度を大きくすることができる。そして上記架橋密度が大きくなることにより遮光膜中に含まれる着色剤が遮光膜の表面から溶出されにくくなる。
【0024】
尚、本発明において、遮光塗料中に含まれるシランカップリング剤の含有量が遮光膜全体の7重量%未満であっても上述したネットワーク構造は一定量形成され得る。つまり、シランカップリング剤の含有量を遮光膜全体の7重量%程度にすると、シランカップリング剤の一部が上記ネットワーク構造の形成に関与せずに遮光膜中にそのまま残存することがある。ここで遮光膜中にそのまま残存するシランカップリング剤は、可塑剤としての役割を果たし、形成する遮光膜の弾性率を下げる作用をもたらす。ただし、シランカップリング剤の含有量が多すぎると、遮光膜の架橋密度が低下するおそれがある。このため、シランカップリング剤の含有量は、遮光膜全体の17重量%以下とする。
【0025】
次に、本発明の光学素子用遮光膜を構成する材料について説明する。本発明の光学素子用遮光膜は、後述する遮光塗料を硬化させて得られるものであり、この遮光塗料には、少なくともシランカップリング剤、硬化性樹脂及び着色剤が含まれる。
【0026】
遮光塗料に含まれるシランカップリング剤としては、光学素子の構成材料である硝子との密着性が高いものが好ましい。一例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−ジエポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。ただし本発明これらに限定されるものではない。
【0027】
遮光塗料に含まれる硬化性樹脂としては、光学素子の基材、例えば、ガラスとの密着性が良いものが好ましく、また樹脂自体の弾性率は低い方が好ましい。硬化性樹脂として、具体的には、可とう性のある材料や可塑剤となる樹脂が挙げられるがそれらには限定されない。また、光学特性の向上の為に、樹脂自体の屈折率が高いものが好ましい。ここで屈折率が高く、かつガラスとの密着性の良い材料としては、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0028】
ところで本発明の光学素子用遮光膜を作製する際に使用される遮光塗料には、弾性樹脂が含まれていてもよい。ここで遮光塗料に含まれ得る弾性樹脂としては、低弾性の樹脂が好ましい。例えば、低弾性エポキシ樹脂等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
また上記遮光塗料には、可塑剤又は可塑剤を含む混合物がさらに含まれていてもよい。可塑剤として、例えば、キシレン樹脂が挙げられる。
【0030】
また遮光塗料にはその他の樹脂として、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラニン樹脂、塩化ビニリデン等が含まれていてもよい。ただし本発明において遮光塗料に含ませてもよい樹脂はこれらに限定されるものではない。
【0031】
本発明の光学素子用遮光膜に含まれる樹脂の含有量は、塗膜形成時の重量比率で10重量%以上60重量%以下が望ましく、好ましくは15重量%以上30重量%以下である。ここで樹脂の含有量が10重量%未満になると、光学素子に対する塗膜(遮光膜)の密着性が下がるので好ましくない。一方、樹脂の含有量が60重量%を超えると遮光膜自体の光学特性が悪化するので好ましくない。
【0032】
遮光塗料に含まれる着色剤としては染料もしくは顔料が好ましい。ここで遮光塗料に含まれる染料とは、波長400nmから700nmの可視光を吸収し、任意の溶媒に溶解可能な材料であればよく、染料に区分されない有機化合物も含まれる。
【0033】
本発明においては、遮光膜の、波長400nmから700nmの光に対する最大透過率と最小透過率の比(最小透過率÷最大透過率)が0.7以上になるように染料が適宜選択される。ここで遮光膜に含まれる染料は1種類であってもよいし、黒色、赤色、黄色、青色等数種類の染料を混合して吸収波長を調整した混合染料であっても構わない。染料の種類としては、色の種類が豊富なアゾ染料が好ましいが、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、スチルベンゼン染料、ピラゾロン染料、チアゾール染料、カルボニウム染料、アジン染料であっても構わない。また、耐光性、耐水性、耐熱性等の堅牢性が増すという理由から、クロム、コバルト、銅等の金属を含む染料が好ましい。
【0034】
一方、顔料は、溶媒に不溶な粒子であり、波長400nmから700nmの可視光を吸収する黒色材料であることが好ましい。顔料の一例としては例えばカーボンブラック、銅鉄マンガン複合酸化物、チタンブラック、酸化銅から選ばれる少なくとも1種以上からなる黒色顔料が挙げられるがこれらに限定されない。
【0035】
本発明における遮光膜には、遮光膜の屈折率を向上させる材料が含まれていてもよい。遮光膜の屈折率を向上させる材料としては、コールタール、コールタールピッチ、平均粒子径が100nm以下で屈折率nd=2.2以上の非黒色粒子が挙げられる。ここで非黒色粒子を使用する場合、粒子の屈折率が2.2より低いと遮光膜の屈折率があまり上がらなくなる。また粒子の平均粒子径が100nm以上になると、光散乱が発生し、内面反射率が悪化する。これらの特性を満たす非黒色粒子の一例として、チタニアやジルコニア、アルミナ、イットリア、セリア微粒子をナノ分散したものが挙げられるがこれらには限定されなくても良い。前記非黒色粒子がチタニア、ジルコニアのいずれかまたはそれらの混合物であるのが好ましい。
【0036】
本発明の光学素子用遮光膜は、さらに表面反射防止剤として、シリカ(疎水性シリカ、親水性シリカ、あるいはその両方を混合したもの)、石英、セリサイト等の粒子を含んでいてもよい。シリカ、石英、セリサイトなどの透明性のある微粒子を遮光膜に添加することで、表面にしわや凹凸形状を形成可能であり、塗膜と空気界面の反射を低減することができる。本発明の光学素子用遮光膜に含有される添加剤の含有量は、塗膜に対する重量比率で0.1重量%以上30重量%以下が望ましく、好ましくは、10重量%以上20重量%以下である。
【0037】
本発明の光学素子用遮光膜は、光学素子用の遮光塗料を硬化して得られる。
【0038】
光学素子用の遮光塗料は、少なくともシランカップリング剤、硬化性樹脂、着色剤、を含有する。また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて任意のその他の成分を含有していても構わない。
【0039】
光学素子用の遮光塗料は、シランカップリング剤、硬化性樹脂、着色剤を、所定の比率で混合させた後、任意の混合分散方法を用いて、任意の溶媒中に材料を分散させることで得られる。混合分散方法の一例としては、ロールコーター、衝突分散、遊星回転、ミキサーなどが挙げられるがこれ以外の方法でも構わない。
【0040】
上記遮光塗料に含まれる着色剤としては、溶媒との相溶性が高く、耐光性、耐水性、耐熱性などの堅牢性の高いものが好ましい。ここで着色剤とは、具体的には、上述した染料や顔料であり、その一例として、クロムを含むアゾ染料が挙げられる。
【0041】
上述した材料を分散させる溶媒としては、顔料及び屈折率向上用の粒子を分散し、かつ着色剤が溶解できれば特に制限されない。例えば、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、キシレン、1−ブタノール、酢酸ブチル、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)等が挙げられる。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
また上記遮光塗料には、塗料に含まれる硬化性樹脂を硬化させるための硬化剤が含まれていてもよい。ここで硬化剤は、使用する硬化性樹脂に応じた適宜選択することは可能であり、例えば、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を選択した場合では、アミン系の硬化剤を使用することができる。
【0043】
さらに上記遮光塗料には、その他の成分として、屈折率向上剤、無機微粒子からなる表面反射防止剤、分散剤、防腐剤、酸化防止剤、防カビ剤等を含んでも構わない。
【0044】
本発明の遮光膜を有する光学素子の用途としては、例えば、カメラ、双眼鏡、顕微鏡、半導体、液晶露光装置、携帯電話用カメラ、放送機器等が挙げられる。
【実施例】
【0045】
以下に、本発明における好適な実施例について説明する。
【0046】
[実施例1乃至実施例8、並びに比較例1及び2]
光学素子用の遮光塗料を調製し、この塗料を使用して光学素子用遮光膜を作製した。また作製した遮光膜について光学特性、弾性率及び架橋密度の評価を行った。ここで遮光塗料の調製方法、遮光膜の作製方法及び遮光膜の評価方法について、順を追って以下に説明する。
【0047】
(1)材料
まず実施例あるいは比較例で、光学素子用の遮光塗料を調製する際に使用した材料及び溶媒を下記表1乃至4に示す。尚、下記表1乃至4には、当該遮光塗料を塗布することで形成した遮光膜の膜厚及び膜中のシランカップリング剤の含有量も合わせて記載されている。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
【表3】

【0051】
【表4】

【0052】
(2)光学素子用の遮光塗料の調製
実施例1を具体例として、光学素子用の遮光塗料の調製方法及び光学素子用遮光膜の作製方法を説明する。まず、下記に示される材料、溶媒をそれぞれ秤量し、ボールミルポットの中に入れた。
エポキシ樹脂(エピコート828、ジャパンエポキシレジン製):8g
黒色染料(VALRFAST BLACK 3810、オリエント化学製):1.2g
赤色染料(VALRFAST RED 3320、オリエント化学製):3.1g
黄色染料(VALRFAST YELLOW 3108、オリエント化学製):1.2g
青色染料(VALRFAST BLUE 2620、オリエント化学製):4.9g
チタニア(非黒色粒子、商品名;ND139、テイカ製):10g
プロピレングリコールモノメチルエーテル(キシダ化学製):24g
シランカップリング剤(KBM−403、信越シリコーン製):8.9g、
親水性ナノシリカ(アエロジルR200、日本アエロジル製):1.3g
疎水性ナノシリカ(アエロジルR972、日本アエロジル製)3.2g
セリサイト(タカラマイカM−101、白石カルシウム製)1.6g
石英(クリスターライトA−1、龍森製)2.1g
【0053】
次に、ボールミルポットの中に直径20mmの磁性ボールを5個入れた。次に、調合した塗料及び磁性ボールが入ったボールミルポットをロールコーターにセットし、回転速度66rpmで72時間攪拌を行った。
【0054】
次に、硬化剤(アデカハードナ−EH551CH、アデカ製)を5.8g添加した。次に、遊星回転方式の混合・分散装置(自転公転型攪拌装置あわとり練太郎、シンキー製)を使用し、回転速度を1000rpmに設定し、3分30秒攪拌を行った。以上により、光学素子用の遮光塗料を調製した。
【0055】
(3)光学素子用遮光膜の作製
まず(2)にて調製した光学素子用の遮光塗料を塗布して、幅5mm、長さ30mm、厚み100μmの薄膜を形成した後、この薄膜を室温で60分間乾燥させた。その後、40℃の加熱炉で360分間硬化させることにより光学素子用遮光膜を得た。また評価用のモニターガラス及びプリズムの粗面にも光学素子用の遮光塗料と硬化剤との混合溶液を塗布した後、スピンコーターで1000rpm・10秒、2000rpm・20秒の条件で回転させることで、膜厚を2μmに調整したサンプルを作製した。同様に室温で60分間乾燥ささせた後に、40℃の加熱炉で360分間硬化させることにより光学素子用遮光膜を得た。
【0056】
実施例2乃至実施例8、並びに比較例1及び2についても、実施例1と同様の方法により、光学素子用の遮光塗料の調製を行い、光学素子用遮光膜を作製した。
【0057】
(4)遮光膜の評価方法
次に、作製した遮光膜の光学特性の評価方法について以下に説明する。
【0058】
(4−1)内面反射率の測定方法
ASP分光計(ASP−32/自動光学測定装置;分光計器)を用いて内面反射率の測定を行った。図1は、内面反射率の測定系を示す模式図である。図1の測定系は、測定サンプルとして反射面に反射防止膜1を形成した三角プリズム(プリズム10)が用いられている。尚、プリズム10の寸法は、直角を挟む1辺の長さは30mmであり厚みは10mmである。またプリズム10の材質は、S−LaH53(nd=1.8)である。またこのプリズム10は、底面、入射面、反射面の3面についてフロスト加工が施されている。
【0059】
ところで図1の測定系は、ASP分光計を用いた測定系である。ASP分光計は、サンプルと検出器の角度を任意に移動可能であるので、入射角毎の内面反射率を測定できる。例えば、図1(a)は、プリズム10に対する入射角bが90°の場合の内面反射率を測定することができる。また、図1(b)は、プリズム10に対する入射角bが45°の場合の内面反射率を測定することができる。さらに、図1(c)は、プリズム10に対する入射角bが30°の場合の内面反射率を測定することができる。
【0060】
以下、図1(a)に基づいてさらに説明する。ASP分光計より出た光はプリズム10に対して、入射角b=90°で入射する。このとき、空気の屈折率とプリズム10の屈折率との差により、光の屈折が起こる。ここで下記式[1]より、入射角dに対する屈折後の角度eを算出した。また算出したeより入射角cを算出した。
【0061】
n=sind/sine 式[1]
(n:三角プリズム(プリズム10)の屈折率)
【0062】
上述した方法でcを算出した場合、図1(a)の系においては、屈折後の入射角cは68.13°である。図1(b)の系においては、屈折後の入射角cは45°(=b)である。図1(c)の系においては、屈折後の入射角cは36.73°である。
【0063】
続いて、プリズム10内で屈折した光は、プリズム10の底面に当たり、反射してプリズム10の外に出る。ここで外に出た光(反射光)の強度を検出器で検出した。このとき検出する光の波長領域を波長400nm乃至700nmの可視光領域とした。
【0064】
尚、内面反射率の測定に先立ってバックグラウンドの測定を行った。このバックグラウンド測定の際には、底面、入射面、反射面の3面が鏡面であって底面には何も塗布しないプリズムをサンプルとした。
【0065】
以上の方法で内面反射率を測定した結果を表5乃至8に示す。尚、表中の内面反射率は、波長400nm乃至700nmの波長領域(可視光領域)の内面反射率を1nm間隔で測定し、その測定結果の平均値を示すものである。
【0066】
(4−2)遮光膜の弾性率及び架橋密度の評価
(4−2−1)弾性率の測定方法
実施例及び比較例で作製した遮光膜の弾性率を測定する際には、動的粘弾性率試験機(Rheogel−E4000)を用いた。サンプルには幅5mm、長さ30mm、厚み100μmに形成した遮光膜を用いた。0℃から150℃までの弾性率の温度依存性を測定し、温水温度に相当する60℃での弾性率を評価した。
【0067】
(4−2−2)架橋密度の算出方法
架橋密度は、動的粘弾性率試験より測定した弾性率の温度依存性から、弾性率が平坦領域に移行した時の値及びその時の絶対温度を用いて算出した。ここで架橋密度の算出式を下記式[2]に示す。
n=E’/3RT [2]
(式[2]において、nは、架橋密度(mol/cm3)を表し、Rは、気体定数(8.31J/K・mol)を表し、Tは、平坦領域貯蔵弾性率の絶対温度(K)を表し、E’は、平坦領域貯蔵弾性率(dyne/cm2)を表す。)
【0068】
(4−3)遮光膜の外観評価
(4−3−1)温水浸漬後の外観評価
測定用のサンプルはモニターガラスに光学素子用遮光膜を形成して作製した。モニターガラスは片面が鏡面、もう一方の面は粗面に加工したΦ30mm、厚さ2mmのもので、材質はBK7、S−LAH55、S−TIH53を用いた。遮光膜はモニターガラスの粗面側に形成した。外観の評価は遮光膜を形成したモニターガラスを60℃の温水に5分間浸漬させて、遮光膜の剥がれの有無を観察した。
【0069】
(4−3−2)イソプロピルアルコール浸漬後の外観評価
測定用のサンプルはモニターガラスに光学素子用遮光膜を形成して作製した。モニターガラスはΦ30mm、厚さ2mmで、材質はBK7を用いた。遮光膜を形成したモニターガラスをイソプロピルアルコール10g中に1時間浸漬させて、遮光膜からの染料の溶出の有無を観察した。
【0070】
上記(4−1)乃至(4−3)にて示された測定方法により、実施例及び比較例で作製した遮光膜の特性(内面反射率、弾性率、架橋密度、温水浸漬後の外観、イソプロピルアルコール浸漬後の外観)を評価した。評価結果を表5乃至表8に示す。
【0071】
【表5】

【0072】
【表6】

【0073】
【表7】

【0074】
【表8】

【0075】
上述したように、本発明において、遮光膜の弾性率は5MPa以上500MPa以下の範囲にある。また遮光膜の架橋密度は1mol/cm3以上100mol/cm3以下の範囲にある。一方、本発明の光学素子用遮光膜においては、入射角36.73°における内面反射率が0.05%以下であることが望ましく、入射角45°における内面反射率が0.07%以下であることが望ましく、入射角68.13°の内面反射率が1%以下であることが望ましい。
【0076】
実施例1にて作製した遮光膜は、表1より、膜中のシランカップリング剤の含有量は17重量%である。また表5より、内面反射率は、入射角68.13°では0.48%であり、入射角45°では0.015%であり、入射角36.73°では0.009%であった。さらに表5より、60℃での弾性率は7.3MPaであった。一方、式(2)に基づいて架橋密度nを算出した。具体的には、弾性率の温度依存性測定結果より、弾性率が平坦領域になる絶対温度T(=100℃)を導出し、その時の平坦領域貯蔵弾性率E’を求めた後、このE’を式(2)に代入して架橋密度nを算出した。ここで弾性率が平坦領域になる絶対温度Tにおける平坦領域貯蔵弾性率が1.9×1011dyne/cm2であったので、T(=100℃)及びE’(=1.9×1011dyne/cm2)を式(2)に代入した。計算の結果、架橋密度nは2.0mol/cm3であった。また温水浸漬後の外観評価を行ったところ、遮光膜の剥がれは見られなかった。また、イソプロピルアルコール浸漬後の外観評価を行ったところ、遮光膜からの染料の溶出は見られなかった。
【0077】
実施例2は、実施例1において、遮光塗料を調製する際にシランカップリング剤の投入量を減じて、実施例1と比較して遮光膜中のシランカップリング剤の含有量を5重量%ほど減少させた光学素子用遮光膜に関する例である。即ち、表1より、実施例2において遮光膜中のシランカップリング剤の含有量は12重量%である。また表5より実施例2の遮光膜は、その内面反射率は入射角68.13°、45°、36.73°のいずれにおいても良好な値であった。さらに表5より、60℃での弾性率は173.8MPaであり、架橋密度は39.2mol/cm3であった。一方、実施例2の遮光膜について、温水浸漬後での遮光膜の剥がれ及びイソプロピルアルコール浸漬後の遮光膜からの染料の溶出はいずれも見られなかった。
【0078】
実施例3は、実施例1において、遮光塗料を調製する際にシランカップリング剤の投入量を減じて、実施例1と比較して遮光膜中のシランカップリング剤の含有量を10重量%ほど減少させた光学素子用遮光膜に関する例である。即ち、表1より、実施例3において遮光膜中のシランカップリング剤の含有量は7重量%である。また表5より実施例3の遮光膜は、内面反射率は、入射角68.13°、45°、36.73°のいずれにおいても良好な値であった。また60℃での弾性率は476.4MPaであり、架橋密度は87.3mol/cm3であった。一方、実施例3の遮光膜について、温水浸漬後での遮光膜の剥がれ及びイソプロピルアルコール浸漬後の遮光膜からの染料の溶出はいずれも見られなかった。
【0079】
実施例4は、実施例2において、シランカップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランに代えて3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランを使用した例である。表6より実施例4の遮光膜は、入射角68.13°、45°、36.73°における内面反射率、60℃での弾性率及び架橋密度のいずれにおいても良好な値であった。また実施例4の遮光膜について、温水浸漬後での遮光膜の剥がれ及びイソプロピルアルコール浸漬後の遮光膜からの染料の溶出は見られなかった。
【0080】
実施例5は、実施例2において、シランカップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランに代えて3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランを使用した例である。表6より実施例5の遮光膜は、入射角68.13°、45°、36.73°における内面反射率、60℃での弾性率及び架橋密度のいずれにおいても良好な値であった。また実施例5の遮光膜について、温水浸漬後での遮光膜の剥がれ及びイソプロピルアルコール浸漬後の遮光膜からの染料の溶出は見られなかった。
【0081】
実施例6は、実施例2において、光学素子用の遮光塗料を調製する際に硬化性樹脂の一部(50%)をコールタールに換えた例である。尚、表2より、実施例6において遮光膜中のシランカップリング剤の含有量は12重量%である。表6より本実施例の遮光膜は、入射角68.13°、45°、36.73°における内面反射率、60℃での弾性率及び架橋密度のいずれにおいても良好な値であった。また実施例6の遮光膜は、温水浸漬後での遮光膜の剥がれは見られなかった。一方、実施例6の遮光膜については、イソプロピルアルコール浸漬後に遮光膜からの染料の溶出がわずかに見られたもののその溶出量は問題のないレベルであった。
【0082】
実施例7は、実施例2において、光学素子用の遮光塗料を調製する際に硬化性樹脂の一部(50%)を可塑剤(キシレン樹脂、商品名;HP70、フドー製)に換えた例である。尚、表3より、実施例7において遮光膜中のシランカップリング剤の含有量は12重量%である。表7より実施例7の遮光膜は、入射角68.13°、45°、36.73°における内面反射率、60℃での弾性率及び架橋密度のいずれにおいても良好な値であった。また実施例7の遮光膜については、温水浸漬後での遮光膜の剥がれ及びイソプロピルアルコール浸漬後の遮光膜からの染料の溶出は見られなかった。
【0083】
実施例8は、実施例2において、光学素子用の遮光塗料を調製する際に硬化性樹脂の一部(50%)を弾性樹脂(低弾性エポキシ樹脂、商品名;EPICLON EXA−4820、DIC製)に換えた例である。尚、表3より、実施例8において遮光膜中のシランカップリング剤の含有量は12重量%である。表7より実施例8の遮光膜については、入射角68.13°、45°、36.73°における内面反射率、60℃での弾性率及び架橋密度のいずれにおいても良好な値であった。また実施例8の遮光膜は、温水浸漬後での遮光膜の剥がれ及びイソプロピルアルコール浸漬後の遮光膜からの染料の溶出は見られなかった。
【0084】
比較例1は、実施例1において、遮光塗料を調製する際にシランカップリング剤の投入量を増やして、遮光膜中のシランカップリング剤の含有量を18重量%とした光学素子用遮光膜に関する例である。表8より比較例1の遮光膜は、入射角68.13°、45°、36.73°における内面反射率がいずれも悪いものであった。尚、比較例1の遮光膜は、60℃での弾性率は17.4MPaであり、架橋密度は0.6mol/cm3であった。また比較例1の遮光膜は、温水浸漬後での遮光膜の剥がれは見られなかったが、イソプロピルアルコール浸漬後に遮光膜からの染料の溶出が見られため、外観が悪化した。
【0085】
比較例2は、実施例1において、遮光塗料を調製する際にシランカップリング剤の投入量を減じて、遮光膜中のシランカップリング剤の含有量を6重量%とした光学素子用遮光膜に関する例である。表8より比較例2の遮光膜は、入射角68.13°、45°、36.73°における内面反射率がいずれも良好であった。尚、比較例2の遮光膜は、60℃での弾性率は521.5MPaであり、架橋密度は1.1mol/cm3であった。一方、比較例2の遮光膜は、温水浸漬後に遮光膜の剥がれが発生したため、外観が悪化した。またイソプロピルアルコール浸漬後に遮光膜からの染料の溶出がわずかに見られた。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の遮光膜は、カメラ、双眼鏡、顕微鏡、半導体・液晶露光装置等の光学素子用遮光膜として利用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1:光学素子用遮光膜、2:レンズ、3:入射光、4:透過光、5:斜めからの入射光、6:内面反射した光、7:第一の反射光、8:透過光、9:第二の反射光、10:三角プリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも硬化性樹脂と、着色剤とを有する光学素子用遮光膜であって、
前記光学素子用遮光膜の弾性率が5MPa〜500MPaであり、
前記光学素子用遮光膜の架橋密度が1mol/cm3〜100mol/cm3であり、
さらにシランカップリング剤が7重量%〜17重量%含まれることを特徴とする、光学素子用遮光膜。
【請求項2】
前記硬化性樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載の光学素子用遮光膜。
【請求項3】
前記シランカップリング剤が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランのいずれか、又はこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光学素子用遮光膜。
【請求項4】
前記硬化性樹脂に弾性樹脂が含まれることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学素子用遮光膜。
【請求項5】
可塑剤又は可塑剤を含む混合物がさらに含まれることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光学素子用遮光膜。
【請求項6】
前記可塑剤がキシレン樹脂であることを特徴とする、請求項5に記載の光学素子用遮光膜。
【請求項7】
さらにシリカが含まれることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光学素子用遮光膜。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光学素子用遮光膜を有することを特徴とする、光学素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−224728(P2012−224728A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92672(P2011−92672)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】