説明

光学表示器付電気スイッチおよび/または操作部

握りとしての回転スイッチ(4)を有する電気スイッチおよび/または操作部(1)を、広範に使用可能となるように、特にオペレータに情報を引き渡す形のフィードバックを可能にするようにさらに発展させるために、少なくとも2つの異なるシンボルを表示する光学表示手段(8)を前記回転スイッチ(4)内に配設することが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、握りとしての回転スイッチを有する電気スイッチおよび/または操作部に関する。
【背景技術】
【0002】
このような電気スイッチおよび/または操作部はよく知られている。例えば非常に異なる切換位置を作動するために所定の休止位置を有する回転スイッチ、または触覚により知覚可能な休止位置を有するかまたはこれを有さない電位差計を備えたそのようなスイッチがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この電気スイッチおよび/または操作部は、例えば音量調整器、変圧器用制御部材などとして多岐に亘り使用される。その場合に、この電気スイッチおよび/または操作部が、切換位置を調整または移動するため、若しくは電流ないし電圧を制御するために、「一方向」にのみ使用されることは特徴的である。したがって、特に、電気スイッチおよび/または操作部へ情報がフィードバックするような他の使用は存在しない。ここでは本発明を用いて対策が講じられるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この課題を解決するために、冒頭に記述された方式の電気スイッチおよび/または操作部が、回転スイッチ内に配置された、少なくとも2つの異なるシンボルを表示するための光学表示手段を含むことが提案される。
【0005】
この点において電気スイッチおよび/または操作部は、例えばスイッチの切換位置に関係する光路またはこの切換位置が誘因となる事象に関係する光路で情報を伝送することを可能にする。そのために表示器は、少なくとも2つの異なるシンボルを含むので、2つの異なる事象間を光学的に変えることができる。異なるシンボルを多く含めば含むほど表示を細分化することができる。さらに表示シンボルを異なる色にすると、さらに広範に細分化することができる。
【0006】
シンボルは、例えば文字、数字、ピクトグラムまたは特定の光学表示情報の伝送に適するその他の表示方式とすることができる。
【0007】
回転スイッチにおける光学表示手段の配置は、原理的には任意である。しかしながら表示手段を回転スイッチの正面に配置することが特に効率的であると判明した。
【0008】
好ましい実施形態では(請求項2)、光学表示手段は能動光源並びにこの光源上に載置されたマスクを含み、このマスクはシンボルの形に作られた貫通口を有する。その場合に光源は、好ましくは発光ダイオード(LED)である。このLEDは、半導体技術も近代有機LEDもベースにすることができる。特にシンボルの形に作られた貫通口を有するマスクの下側には、各貫通口領域内に複数の異なる色のLEDを配置することができるので、同じシンボルを異なる色で表示して、情報伝達をさらに細分化できるようになる。
【0009】
この場合に表示器は、能動光源から放出された光がマスクを通って進み、シンボルの形の光点が生成され、この光点を電気スイッチおよび/または操作部の使用者が知覚できるように機能する。
【0010】
この場合に個々の光源の光を、マスク内の貫通口により覆われている領域に確実に限るために、光源とマスクとの間に仕切板を配置することができる(請求項3)。ここではこの配置は、まず光源、その上にこの光源に合わせて仕切板、そしてその上にシンボルを表す開口部を有するマスクを、これも光源および仕切板開口部に合わせて設けるようにする。
【0011】
マスク内のシンボルを表す開口部を一様に照射した跡を生成するために、好ましくはマスクの、光源とは反対側にディフューザを配置することができる(請求項4)。そのようなディフューザは、通常不透明な材料により構成され、最も単純な場合には、不透明なパーチメント紙などによって形成することができる。
【0012】
最終的には、能動光源を備えた表示手段の全体が、好ましくは集光レンズの形を有する透明なカバーで覆われている場合が有利である(請求項5)。この透明なカバーは、まず第一にその下に置かれた部材を保護する。カバーが集光レンズの形に形成されている場合には、さらに小型の表示手段でシンボルを良好に認識出来るように表すことを可能にする拡大効果が達成される。
【0013】
本発明のその他の好ましい形態によれば、光学表示手段を回転スイッチ内に可動に装着して、電鍵ないしスイッチに接続させ、表示手段を移動させることによってこの電鍵ないしスイッチが作動することが有利である(請求項6)。この方式の形態は、電気スイッチおよび/または操作部がさらなる機能性を有するようにし、その場合に回転スイッチを用いた切り換えの可能性以外に、電鍵ないしスイッチによる別の切り換えの可能性が、しかも比較的小さい空間において生まれる。
【0014】
好ましくは電力供給並びに表示ユニット用の動作信号は、回転スイッチの軸を介して流れる。このことも小型の構造につながり、追加で回線を保護することにもなる。供給並びに動作信号は、その場合に空洞内に形成された軸の内側の回線内を流れる(請求項8)。基本的には電力供給並びに信号は、軸の内側に敷設された柔軟な回線を介してスイッチおよび/または操作部の接続部まで流れる。この柔軟な回線は、ある程度のねじれは損傷無く受け入れることができる。しかしながら、特に回転スイッチが無制限に360°の何倍も回転し得る場合には、すべり接触を介した搬送などの別の方式で実行することが提案される。
【0015】
好ましい形態では、電気スイッチおよび/または操作部は電位差計、好ましくはプッシュプル電位差計として形成される。しかしながらこれは考えられる唯一の形ではない。
【0016】
本発明のその他の観点は、最終的には先に記述された電気スイッチおよび/または操作部を電子制御装置の操作および/またはプログラム化のために使用することにある。その場合に回転スイッチの位置、並びに追加で設けられた電鍵ないしスイッチの切換位置はこの制御装置によって利用され、操作部のメニュー項目が呼び出されるか、または作動される。
【0017】
したがって、例えばある平面内の、ツリー構造状に作られた制御装置のメニュー内で、個々のメニュー項目が回転スイッチを回すことによって作動し、その場合にこの回転スイッチの位置が、これに接続している電圧またはその電流を介して問い合わせられることが考えられる。回転スイッチ内の表示ユニットを移動させて電鍵ないしスイッチを作動することによって、メニュー項目が呼び出されるか別の従属メニューが作動する。そのような従属メニューで、再びこの平面上にある分岐が回転スイッチを回転することによって作動する。
【0018】
この使用において、本発明の電気スイッチおよび/または操作部は、特に洗練された小型の操作ユニットを形成し、これは表示手段を介してフィードバックを行い、それによって、特定のメニュー項目の、丁度行われた選択に関する情報が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、唯一つの添付図に基づいた以下の実施例の説明から判明する。
【0020】
この図は、純粋に略式であると理解され、とりわけ縮尺通りではない。
【0021】
図には、所謂プッシュプル電位差計1の形の本発明の電気スイッチおよび/または操作部が示される。これは、電気接続部3を有する切換ユニット2以外に回転スイッチ4をも含む。この回転スイッチ4は、切換ユニット2内の切換装置と接続している軸5と強固に接続する。軸5は、後に述べる理由から空洞に形成されている。
【0022】
さらに回転スイッチ4は、上に切換位置シンボル6が装着された襟部を含む。回転スイッチ4は収容空間7であり形成される。収容空間7内には表示手段が入れられ、これは合わせて8で表される。この表示手段8は、支持リング9、上にLED11が配されるLED担持体10、仕切板開口部13を有する仕切板12、シンボル開口部15が配されたマスク14、ディフューザディスク16並びに前述の部品を覆う、プラスチック製透明集光レンズの形のカバー17を含む。組み立てられた状態では、全表示手段8は回転スイッチ4内の収容空間7内に収容され、カバー17はその正面が回転スイッチ4とほぼ同一平面に閉じている。
【0023】
全表示手段8は、収容空間7内で(軸5に対して)軸方向に可動であり、電鍵に接続される。このようにしてカバー17への圧力によって電鍵が作動し、対応する電気信号が生成される。空洞の内側に形成された軸5内を、電力供給ないし発光ダイオード11の作動のために回線が通り、このようにしてシンボル開口部14のそれぞれを照らし出すことができる。
【0024】
LED担持体10、仕切板12およびマスク14は、LED11、仕切板開口部13並びにシンボル開口部15がそれぞれ上下に一直線に配されるように方向付けられる。このようにして、LEDの1つが発光する場合に、付属の仕切板開口部13を通るこのLEDの光は、場合によって生じる別のLEDの散乱光から保護されて付属のシンボル開口部15を通って出てきて、相応に1つのシンボルを照らし出すことが保証される。LED11は、単独のLEDか、それぞれ多色のLEDを有するLEDパケットであり、個々のシンボルをさらに黄色、赤色、緑色および青色などの異なる色で照らし出すことができる。
【0025】
支持リング9は、表示ユニットのその他のコンポーネントを支持するためだけに用いられ、ディフューザディスク16はシンボル開口部から出てくる光の均等化に用いられる。カバー17は、一方では装置の保護に、他方ではシンボルの表示の拡大に用いられる。
【0026】
プッシュプル電位差計1は、回転つまみ4を引くことによって軸5を上下させ、それによって切換ユニット2の様々な切換面を作動させることができることを特徴とする。プッシュプル電位差計1の、押し下げられた基本位置では第1接続部を有する第1切換面が操作され、上げられた位置では第2接続部を有する第2切換面が操作される。よく知られているこの形態の方式は、この電位差計の機能の多様性を高めるものである。
【0027】
回転スイッチ4の外周縁上に配置された切換位置シンボル6は、操作を簡素化するために使用されるが、どうしても必要なものではない。
【0028】
本発明のスイッチおよび/または操作部の好ましい適用は、制御装置の操作、特に欧州特許出願公開第1596359号などから周知の、ギターの自動調律装置の制御装置の操作にある。これに関して本発明のプッシュプル電位差計1は、慣例の音量調整器または楽音調整器の代わりに、例えば従来のエレキギター内に組み込むことができる。その他の説明に関しては、プッシュプル電位差計1が慣例の音量調整器の代わりに組み込まれていると解される。基本位置、則ち軸5が押し下げられた位置では、電位差計1は慣例の音量調整器の機能を果たす。回転スイッチ4を引いて軸5ないし該軸に配置された切換部材を押し上げられた位置に移動させることによって、ギター弦の自動調律用の制御装置が駆動し、この位置で表示ユニット8に、例えば全てのLEDが1度点滅するか、または一貫した順序で照らし出されるようにして確認が出力される。
【0029】
ここで第1面内の1つのメニューを選択するために、電位差計1の回転スイッチ4を右方向または左方向に回して個々のメニュー項目を作動させることができる。その場合に今日の形態では、回転スイッチ4が、メニュー位置に達したことを触覚によってのみ知覚するのに役立つ休止位置を有することが有利である。それから電位差計1の出力信号が測定され、この信号を特定のメニュー項目に割り当てるために電流の強さないし電圧に関する値が求められる。それに応じて、表示ユニット8を介してフィードバックがかかり、割り当てられたLED11を用いて対応するシンボル開口部15を照らし出すことによって、特定のメニュー項目に割り当てられたシンボルを表示する。所望のメニュー項目に達した場合に電鍵を操作することによって、則ち表示手段8を押し下げることによってこのメニュー項目が選択される。このメニュー項目は、これで再び様々なメニュー項目を作動させる別の従属メニューとなり得る。この従属メニュー項目は、上述のように同じ方法で回転スイッチ4を回すことによって作動させることができる。ここでも再び個々のメニュー項目に対応するシンボルが映し出され、その場合にこれは、第1メニュー面に出力されるのと同じ記号である必要はない。合目的な方法では、これはそれどころかオペレータのために制御装置の操作を簡素化するために別の記号である。
【0030】
このようにして、オペレータは様々なメニュー面を通して個々の命令へ方向付けて、電鍵を操作することによってこの命令に応えることができる。
【0031】
各メニュー面内には1つのメニュー項目が設けられ、それを呼び出すことによってシステムが優先メニューへ飛び移る。
【0032】
そのような制御装置を用いて、例えばギター弦を調律できる特定の周波数を設定することができる。このメニュー実行方式によって、異なる弦の特定の調和音ないし協和音をプログラム化して以降の調律工程のために呼び出しできるように格納するためにシステムのプログラム化を行うことさえ可能である。
【0033】
実施例の説明は限定されるものではなく、特に本発明の電気スイッチおよび/または操作部は、先の詳述とは違った目的にも使用することができる。この点で専門家には問題なく認識される多様な可能性が考えられる。特にこの電気スイッチおよび/または操作部を用いて、制御装置をプログラム化してギターの自動調律のために使用できるだけではなく、それぞれ別の方式の制御装置または小型計算機をプログラム化することもできる。本発明の電気スイッチおよび/または操作部の利点は、信号の出力、則ち情報の問い合わせに適合するだけではなく、それ自体が利用者にフィードバックを提供する情報を再び表すことができることにある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の電気スイッチおよび/または操作部の1つの実施例の分解組立図である。
【符号の説明】
【0035】
1 プッシュプル電位差計
2 切換ユニット
3 電気接続部
4 回転スイッチ
5 軸
6 切換位置シンボル
7 収容空間
8 光学表示手段
9 支持リング
10 LED担持体
11 LED
12 仕切板
13 仕切板開口部
14 マスク
15 シンボル開口部
16 ディフューザディスク
17 透明カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの異なるシンボルを表示する光学表示手段(8)を回転スイッチ(4)内に配設することを特徴とする握りとしての回転スイッチ(4)を有する
電気スイッチおよび/または操作部。
【請求項2】
光学表示手段(8)が、好ましくはLED、特に多色LEDの能動光源(11)と、この上に載置され、シンボルの形に作られた貫通口(13)を有するマスク(12)とを含む
ことを特徴とする請求項1記載の電気スイッチおよび/または操作部。
【請求項3】
光源(11)とマスク(12)との間に、仕切板開口部(15)が配置される
ことを特徴とする請求項2記載の電気スイッチおよび/または操作部。
【請求項4】
マスク(12)の、光源(11)とは反対側に少なくとも1つのディフューザ(16)が配置される
ことを特徴とする請求項2または3の一項記載の電気スイッチおよび/または操作部。
【請求項5】
光学表示手段(8)が、好ましくは集光レンズの形を有する透明カバー(17)により覆われている
ことを特徴とする請求項2ないし4の一項記載の電気スイッチおよび/または操作部。
【請求項6】
光学表示手段(8)が、回転スイッチ(4)内に可動に装着され、光学表示手段(8)を移動させることによって作動可能となる電鍵ないしスイッチに接続される
ことを特徴とする前述の請求項の一項記載の電気スイッチおよび/または操作部。
【請求項7】
回転スイッチ(4)が軸(5)を有し、該軸を通して表示手段(8)用の電力供給および/または動作信号が流れる
ことを特徴とする、前述の請求項の一項記載の電気スイッチおよび/または操作部。
【請求項8】
軸(5)が中空に形成され、その内側に電力供給回線および/または制御回線が通される
ことを特徴とする請求項7記載の電気スイッチおよび/または操作部。
【請求項9】
電位差計、好ましくは所謂プッシュプル電位差計である
ことを特徴とする前述の請求項の一項記載の電気スイッチおよび/または操作部。
【請求項10】
請求項6記載の電気制御部材を使用する場合に回転スイッチ(4)の位置が、またはこの請求項に直接または間接的に関連する請求項に記載の電気制御部材を使用する場合には電鍵ないしスイッチの切換位置も、操作メニューのメニュー項目を問い合わせるか作動させるために制御装置によって利用される、電子制御装置を操作および/またはプログラム化するための、前述の請求項の一項記載の電気スイッチおよび/または操作部の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2009−524182(P2009−524182A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550647(P2008−550647)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/012398
【国際公開番号】WO2007/082585
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(506241802)シンタックス アジア リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Synthax Asia Ltd.
【住所又は居所原語表記】Rm.713,Tower B,Regent Centr 63 Wo Yi Hop Road,Kwai Chung Hong Kong
【Fターム(参考)】