説明

光学装置及び光学システム

【課題】細胞などのように水分を含み且つ密閉できない物質を測定対象とする場合でも、当該物質に含まれた水分の影響を受けない光学装置、を提供することが目的とされる。
【解決手段】光学装置1は、拡散部11と、集光部12と、光透過材13とを備える。拡散部11は、中空であって内壁に光拡散膜111が形成されており、内部に導入された光を光拡散膜111で拡散反射する。集光部12は、中空であって内壁に光反射面121が形成されており、測定対象から発せられた光を光反射面121で反射して拡散部11へと導く。光透過材13は、光学的な透過性を有すると共に、拡散部11と集光部12との間に介在して水分の透過を阻止する。そして、拡散部11及び集光部12のそれぞれには、一方から他方への光の伝播を可能にする開口112a,122aが形成されており、光透過材は開口112a,122aの少なくとも一方を塞いでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光に関する物理量の測定に用いられる光学装置及び光学システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、測定サンプルに含まれた蛍光体から発せられた蛍光の強度を測定するための装置の1つとして、積分球を備えた装置が用いられている。積分球を備えた装置は、例えば下掲の特許文献1や特許文献2に開示されており、蛍光体から発せられる蛍光を積分球内で拡散反射させることによって、当該蛍光の強度を均一化する。具体的には、積分球の内壁には酸化マグネシウムや硫酸バリウムなどを主成分とする光拡散膜が形成されており、蛍光体から発せられた蛍光を光拡散膜で繰り返し拡散反射させる。酸化マグネシウムや硫酸バリウムは光の拡散反射率が高いため、蛍光の強度は効率良く均一化される。
【0003】
蛍光の強度を均一化することによって、蛍光体から発せられる蛍光の配光分布を考慮せずに蛍光の強度を測定することが可能となる。
【特許文献1】特開2006−125940号公報
【特許文献2】特開平9−292281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1や特許文献2に開示されている従来の装置では、測定サンプルは、その観察面が積分球の内部空間に露出した状態で設置されている。このため、水分を含んだ物質を測定サンプルとすると物質内の水分は蒸発してしまい、光拡散膜を形成している酸化マグネシウムや硫酸バリウムは蒸発した水分を吸収してしまう。酸化マグネシウムや硫酸バリウムが水分を吸収すると、光拡散膜の拡散反射率が低下してしまう。
【0005】
そこで、例えば、水分を含んだ測定サンプルを密閉した状態で積分球内に設置することによって、水分の蒸発を抑制することが考えられる。しかし、測定サンプルが細胞などの生物である場合は、例えば当該生物が窒息するため、測定サンプルを密閉することはできない。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、細胞などのように水分を含み且つ密閉できない物質を測定対象とする場合でも、当該物質に含まれた水分の影響を受けない光学装置、を提供することが目的とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光学装置は、拡散部と、集光部と、光透過材とを備える。拡散部は、中空であって内壁に光拡散面が形成されており、内部に導入された光を光拡散面で拡散反射する。集光部は、中空であって内壁に光反射面が形成されており、測定対象から発せられた光を光反射面で反射して拡散部へと導く。光透過材は、光学的な透過性を有すると共に、拡散部と集光部との間に介在して水分の透過を阻止する。そして、拡散部及び集光部のそれぞれには、一方から他方への光の伝播を可能にする開口が形成されており、光透過材は当該開口の少なくとも一方を塞いでいる。
【0008】
上記光学装置によれば、拡散部及び集光部に形成されている開口の少なくとも一方が光透過材によって塞がれているので、測定対象が水分を含むものであったとしても、当該測定対象を集光部内に設置することにより、蒸発した水分が拡散部内に流れ込むことを防止することができる。
【0009】
しかも、測定対象から発せられた光は、集光部の内壁に形成された光反射面で反射して拡散部内へと導かれる。そして、拡散部内に導かれた光は、繰り返し光拡散面によって拡散反射される。これにより、拡散部内での光の強度が均一化される。
【0010】
光学装置の具体的な態様において、光反射面は、少なくとも1つの焦点を有する曲面形状を呈してもよい。
【0011】
光学装置の上記態様によれば、光反射面で反射された光を焦点に集めることができるので、拡散部に形成されている開口またはその近傍の位置に当該焦点を配置することによって、集光部内の光が拡散部へと効率良く導かれる。また、上記焦点を集光部内の測定対象またはその近傍の位置に配置することにより、拡散部内の光が当該測定対象に効率良く照射される。
【0012】
光学装置のより具体的な態様において、光反射面は、2つの焦点を有する楕円球面を含んでもよい。かかる態様では、当該焦点の一方は、拡散部に形成されている開口またはその近傍の位置に配置され、当該焦点の他方は、集光部内の測定対象またはその近傍の位置に配置される。
【0013】
光学装置の上記態様によれば、楕円球面が有する2つの焦点のうち一方の焦点から出た光は、楕円球面で反射して他方の焦点に到達する。よって、拡散部に形成されている開口またはその近傍の位置に配置された一方の焦点を通って拡散部から集光部内に入射した光は、光反射面で反射して、測定対象またはその近傍の位置に配置された他方の焦点へと向かう。これにより、拡散部の内部に導入した光は、集光部内の測定対象に効率良く照射される。
【0014】
また、測定対象またはその近傍の位置に上記他方の焦点を配置することにより、測定対象から発せられた光の多くは、光反射面で反射して、拡散部に形成されている開口またはその近傍の位置に配置された焦点へと向かう。よって、測定対象から発せられた光は、拡散部内へと効率良く導かれる。しかも、測定対象から発せられた光の多くが、拡散部に形成されている開口またはその近傍の位置に配置された焦点を通るので、当該開口を小さくすることができる。
【0015】
光学装置の他の具体的な態様において、光反射面は、互いに向き合った2つの凹状の放物面を含んでもよい。かかる態様では、当該2つの放物面が有する頂点及び焦点は、いずれもが略同一直線上に配置される。そして、2つの放物面のうち一方の放物面の焦点は、拡散部に形成されている開口またはその近傍の位置に配置され、他方の放物面の焦点は、集光部内の測定対象またはその近傍の位置に配置される。
【0016】
光学装置の上記態様によれば、焦点から出た光は、放物面で反射して、その焦点及び頂点を含む直線と平行に伝播する。逆に、当該直線と平行に放物面の方へと向かって伝播してきた光は、当該放物面で反射して、その焦点に到達する。
【0017】
よって、拡散部に形成されている開口またはその近傍の位置に配置された焦点を通って拡散部から集光部内に入射した光は、上記一方の放物面及び上記他方の放物面をこの順に反射して、集光部内の測定対象またはその近傍の位置に配置された焦点へと向かう。これにより、拡散部の内部に導入した光は、集光部内の測定対象に効率良く照射される。
【0018】
また、集光部内の測定対象またはその近傍の位置に上記他方の放物面の焦点を配置することにより、測定対象から発せられた光の多くは、当該他方の放物面及び上記一方の放物面をこの順に反射して、拡散部に形成されている開口またはその近傍の位置に配置された焦点へと向かう。よって、測定対象から発せられた光は、拡散部内へと効率良く導かれる。しかも、測定対象から発せられた光の多くが、拡散部に形成されている開口またはその近傍の位置に配置された焦点を通るので、当該開口を小さくすることができる。
【0019】
さらには、互いに向き合った2つの凹状の放物面を含む光反射面は、分離した2つの放物面を互いに向き合わせて連結するだけで得られる。また、これら2つの凹状の放物面を分離可能な状態で連結することによって、集光部内の洗浄や殺菌が可能となる。
【0020】
光学装置の更なる他の具体的な態様において、光反射面は凹状の放物面を含んでおり、光透過材は当該放物面の開口端を塞ぐレンズであってもよい。かかる態様では、レンズは、放物面が有する頂点及び焦点を含む直線に当該レンズの光軸が一致または略平行となるように配置される。そして、レンズの焦点は、拡散部に形成されている開口またはその近傍の位置に配置され、放物面の焦点は、集光部内の測定対象またはその近傍の位置に配置される。
【0021】
光学装置の上記態様によれば、焦点から出た光は、放物面で反射して、その焦点及び頂点を含む直線と平行に伝播する。逆に、当該直線と平行に放物面の方へと向かって伝播してきた光は、放物面で反射して、その焦点に到達する。また、レンズに対してその焦点とは反対側から光軸と平行に入射した光は、レンズで屈折して、当該レンズの焦点に到達する。逆に、レンズの焦点から当該レンズに入射した光は、レンズで屈折して、光軸と平行に伝播する。
【0022】
よって、拡散部に形成されている開口またはその近傍の位置に配置された焦点を通って拡散部から集光部内に入射した光は、レンズで屈折した後に光反射面で反射して、集光部内の測定対象またはその近傍の位置に配置された焦点へと向かう。これにより、拡散部の内部に導入した光は、集光部内の測定対象に効率良く照射される。
【0023】
また、集光部内の測定対象またはその近傍の位置に放物面の焦点を配置することにより、測定対象から発せられた光の多くは、光反射面で反射してレンズに入射する。レンズに入射した光は、レンズで屈折して、拡散部に形成されている開口またはその近傍の位置に配置された焦点へと向かう。よって、測定対象から発せられた光は、拡散部内へと効率良く導かれる。しかも、測定対象から発せられた光の多くが、拡散部に形成されている開口またはその近傍の位置に配置された焦点を通るので、当該開口を小さくすることができる。
【0024】
さらには、光学装置を、集光部が拡散部から分離した構成とすることができる。また、集光部からレンズを外すだけで集光部内の洗浄や殺菌が可能となる。
【0025】
本発明に係る光学システムは、上記光学装置のいずれか1つと、光検出器とを備える。光検出器は、拡散部で拡散反射された光の強度を測定する。
【0026】
具体的な態様において光学システムは、光照射部を更に備えてもよい。光照射部は、拡散部及び集光部の少なくも一方に光を入射する。そして、光照射部によって入射された光が集光部内の測定対象に照射されることにより、当該測定対象は光を発する。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る光学装置によれば、細胞などのように水分を含み且つ密閉できない物質を測定対象とする場合でも、当該物質に含まれた水分の影響を受けない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、光照射型の光学システムに対して本発明を実施した場合について、図面に沿って具体的に説明する。尚、当該光照射型の光学システムは、蛍光体を含んだ測定対象(以下、「測定サンプル」と称す。)に励起光を照射することにより、測定サンプル内の蛍光体を励起させ、そして励起された蛍光体から発せられる蛍光の強度を測定することができる。蛍光体を含んだ測定サンプルには、例えば蛍光体が添加された細胞などが挙げられる。
【0029】
1.光学システムの構成
本発明の実施の形態に係る光照射型の光学システムは、図1に示すように、光学装置1、光検出器31、フィルタ32、アンプ33、光照射部5、電源回路61、ステージ7、駆動回路62、及び制御部6を備える。以下、各構成要素について具体的に説明する。
【0030】
<光学装置1>
光学装置1は、図1に示すように、拡散部11、集光部12、及び光透過材13によって構成されている。拡散部11は、中空の球体であって、図2に示すように内壁に光拡散膜111が形成されている。そして光拡散膜111には、酸化マグネシウムや硫酸バリウムなどのように光の拡散反射率が高い材質が用いられている。尚、光拡散膜111は、拡散部11の内壁に形成された光拡散面と把握することができる。また、当該拡散部11には、積分球と通称されているものが含まれる。
【0031】
よって、拡散部11内に導入された光は、拡散部11内において繰り返し光拡散膜111により拡散反射される。これにより、拡散部11内において光の強度が効率良く均一化される。
【0032】
拡散部11には、開口112a〜112cが形成されている。開口112aは、拡散部11及び集光部12の一方から他方への光の伝播を、後述する集光部12の開口122aと共に可能にするための窓である。開口112bは、測定サンプルに照射する光を入射(導入)するための窓である。開口112cは、拡散部11内で均一化された光を、後述する光検出器31へと導くための窓である。
【0033】
尚、拡散部11内での光の強度の均一化を効率良く行うという観点からは、開口112a〜112cの寸法は、拡散部11の直径の1/3〜1/4程度、或いはそれ以下にすることが好ましい。また、開口112a〜112cの総面積は、拡散部11の表面積の5%以下にすることが好ましい。
【0034】
拡散部11の開口112cには、筒状部材112dが拡散部11の外部から取り付けられている。筒状部材112dを拡散部11に取り付けることによって、拡散部11内で均一化された光を、光検出器31へと導くための通路が形成される。
【0035】
集光部12は、中空であって、図1及び図2に示すように内壁に光反射面121が形成されている。そして集光部12は、集光部12内の測定サンプルから発せられた光を光反射面121で反射して拡散部11へと導く。光反射面121の具体的な形状や配置については、後述の「2.光学装置の具体的な態様」において詳細に説明する。
【0036】
集光部12には、開口122a,122bが形成されている。開口122aは、拡散部11及び集光部12の一方から他方への光の伝播を、拡散部11の開口112aと共に可能にするための窓である。開口122bは、測定サンプルを集光部12内の所定位置に配置すべく、当該測定サンプルを集光部12の外部から内部へと導くための窓である。
【0037】
光透過材13は、光学的な透過性を有すると共に、拡散部11と集光部12との間に介在して水分の透過を阻止する。具体的には光透過材13は、ガラス板やレンズなどであって、拡散部11の開口112a及び集光部12の開口122aの少なくともいずれか一方を塞いでいる。光透過材13の具体的な配置については、後述の「2.光学装置の具体的な態様」において詳細に説明する。
【0038】
<光検出器31>
光検出器31は、筒状部材112d内に設置されており、筒状部材112d内を通って拡散部11から光検出器31まで到達した光を検知する。そして光検出器8は、検知した光の強度を電気信号(以下、「光強度信号」と称す。)に変換して出力する。具体的には光検出器31は、フォトダイオードなどの光センサであって、検知した光の強度に応じた大きさの電流を光強度信号として発生させる。
【0039】
尚、光検出器31によって検出される光は、拡散部11内にて強度が均一化された光である。よって、測定サンプルから発せられる光の配光分布を考慮しなくても、光検出器31により光の強度を測定することができる。
【0040】
<フィルタ32>
フィルタ32は、筒状部材112d内に設置されており、開口112cと光検出器31との間に配置されている。フィルタ32は、干渉フィルタであって所定波長の光だけを選別する。すなわち、フィルタ32は、開口112c側から入射した光のうち所定波長の光だけを通し、他の波長の光の透過を遮断する。具体的にはフィルタ32は、測定サンプルから発せられた光のみを通し、後述する光照射部5で発生した励起光の透過を遮断する。尚、フィルタ32に代えて回折格子を用いることによって、所定波長の光の選別を行ってもよい。
【0041】
フィルタ32によれば、所定波長の光だけを光検出器31へと導くことができるので、光検出器31において所定波長の光の強度だけを検出することができる。
【0042】
<アンプ33>
アンプ33は、光検出器31から出力された光強度信号を増幅して、これを制御部6に与える。具体的には、アンプ33は、光検出器31にて発生した電流の振幅を大きくする。これにより、光検出器31から出力される光強度信号が微弱であったとしても、制御部6での当該光強度信号の認識が可能となる。
【0043】
<光照射部5>
光照射部5は、測定サンプルに照射するための光(励起光)を発生させる装置であって、光源51、レンズ52,53、及びフィルタ54を有する。光源51は、ハロゲンランプなどの白色光源であって、レンズ52の焦点521の位置に配置されている。レンズ52は、光源51から放射状に発せられた光の一部を、図1に示される実線矢印のようにレンズ52の光軸522と平行な方向へと屈折させる。
【0044】
レンズ53は、レンズ52に対して光源51とは反対側の位置に配置されており、光軸532がレンズ52の光軸522と一致し、焦点531がレンズ52とは反対側に位置している。レンズ53は、光軸532と平行にレンズ52の方から伝播してくる光を、図1に示される実線矢印のように焦点531の方へと屈折させる。
【0045】
フィルタ54は、レンズ52とレンズ53との間の位置に配置されており、干渉フィルタであって所定波長の光だけを選別する。具体的にはフィルタ54は、レンズ52側から入射される白色光のうち、測定サンプル内の蛍光体の励起に必要な所定波長の光だけを通し、他の波長の光の透過を遮断する。
【0046】
尚、フィルタ54に代えて回折格子を用いることによって、所定波長の光の選別を行ってもよい。また、光源51に代えて、所定波長の光だけを発する光源、例えばレーザーなどを用いてもよい。この場合、フィルタ54は不要となる。
【0047】
光照射部5によれば、測定サンプルに照射すべき所定波長の光を出力することができる。しかも、光照射部5から出力される光はレンズ53の焦点を通るので、図1に示すようにレンズ53の焦点が光学装置1の開口112bの中心付近に位置するように光照射部5を設置することによって、所定波長の光を光学装置1内に効率良く導入することができる。
【0048】
尚、光照射部5によって光学装置1内に導入する光の波長が、光検出器31で検出する光の波長、すなわちフィルタ32で選別される光の波長と異なる場合には、光照射部5によって導入される光は、光検出器31での光の検出に影響を与えることがない。
【0049】
<電源回路61>
電源回路61は、制御部6からの指令を受けて、光源51への電力の供給とその供給の遮断とを選択的に実行する。具体的には、光学装置1内に光を導入する際には、光源51を点灯すべく電源回路61は、光源51に対して電力を供給する。他方、光学装置1内への光の導入を停止する際には、光源51を消灯すべく電源回路61は、光源51への電力の供給を遮断する。
【0050】
<ステージ7>
ステージ7は、昇降台71と駆動部72とを有する。昇降台71は、測定サンプルを載置する面711を水平に保ったまま、駆動部72の駆動によって上下に移動することができる。
【0051】
具体的には、昇降台71を上方に移動させた場合には、昇降台71は、開口122bを通って集光部12の外部から内部へと移動する。これにより、面711に載置された測定サンプルを、集光部12内の所定位置に配置することができる。尚、測定サンプルを配置する当該所定位置については、後述の「2.光学装置の具体的な態様」において詳細に説明する。
【0052】
他方、昇降台71を下方に移動させた場合には、昇降台71は、開口122bを通って集光部12の内部から外部へと移動する。これにより、測定が完了した測定サンプルを集光部12内から取り出すことができる。
【0053】
<駆動回路62>
駆動回路62は、ステージ7を駆動するための回路であり、制御部6からの指令を受けて駆動部72を制御する。これにより、昇降台71の上下動が調節される。
【0054】
<制御部6>
制御部6は、上述したように、電源回路61及び駆動回路62に指令を与えることによって、光照射部5の光源51の点灯及び消灯を電源回路61に実行させ、ステージ7の駆動を駆動回路62に実行させる。
【0055】
上述したように、光検出器31から出力された光強度信号は、アンプ33を介して制御部6に与えられる。そして制御部6は、光強度信号に基づいて、測定サンプルから発せられた光の強度を求める。制御部6で求められた光の強度を用いることによって、測定サンプルの状態を導き出すことができる。例えば、測定サンプルが人工骨である場合には、骨基質内に取り込まれた蛍光体から発せられる蛍光の強度を測定することによって、骨基質内のカルシウム量を求めることができる。
【0056】
2.光学装置の具体的な態様
2−1.第1態様
<第1態様に係る構成>
第1態様に係る光学装置1では、集光部12の光反射面121は、図2に示すように互いに向き合った2つの凹状の放物面21,22から構成されている。そして集光部12には、放物面21の頂点21aの位置にて開口122bが形成されており、放物面22の頂点22aの位置にて開口122aが形成されている。
【0057】
放物面21と放物面22との位置関係は次のとおりである。すなわち、放物面21が有する頂点21a及び焦点21b、並びに放物面22が有する頂点22a及び焦点22bは、いずれもが同一直線101上に配置されている。そして、放物面21の焦点21bは、集光部12の開口122aの中央付近に配置されており、放物面22の焦点22bは、開口122bに近い位置にて集光部12内に配置されている。
【0058】
集光部12は、図2に示すように拡散部11に取り付けられている。具体的には、集光部12の開口122aの幅L2は拡散部11の開口112aの幅L1と略同一であり、集光部12は、開口122aの縁が開口112aの縁に合致するように拡散部11に取り付けられている。光透過材13は、開口122a及び開口112aの両方を塞いでいる。
【0059】
放物面21の焦点21bは集光部12の開口122aの中央付近に配置されているので、上述したように集光部12を拡散部11に取り付けることによって、焦点21bは、拡散部11の開口112aの中央付近に位置する。
【0060】
<第1態様による効果>
本態様に係る光学装置1によれば、放物面21の焦点21bから出た光は、放物面21で反射して、焦点21b及び頂点21aを含む直線101と平行に伝播する。逆に、直線101と平行に放物面21の方へと向かって伝播してきた光は、放物面21で反射して焦点21bに到達する。また、放物面22の焦点22bから出た光は、放物面22で反射して、焦点22b及び頂点22aを含む直線101と平行に伝播する。逆に、直線101と平行に放物面22の方へと向かって伝播してきた光は、放物面22で反射して焦点22bに到達する。よって以下の効果が得られる。
【0061】
光照射部5によって拡散部11に導入された光(励起光)は、拡散部11内で拡散反射を繰り返すことにより、その一部が開口112a,122aを通って集光部12の方へと伝播する。このとき、焦点21bは開口112aの中央付近に位置しているので、集光部12の方へと伝播する光の多くは焦点21bを通る。焦点21bを通った光は、図2に示される実線矢印及び破線矢印と同じルートをその矢印の方向とは反対の方向に向かって伝播する。よって、集光部12内に配置された焦点22bまたはその近傍の位置に測定サンプルを配置することにより、拡散部11の内部に導入した光(励起光)を測定サンプルに対して多方向から照射することができる。
【0062】
また、集光部12内に配置された焦点22bまたはその近傍の位置に測定サンプルを配置することにより、測定サンプルから発せられた光の多くは、図2に示される実線矢印及び破線矢印のように伝播する。すなわち、測定サンプルから発せられた光は、放物面22で反射して、直線101と平行に伝播して放物面21に入射する。直線101と平行に伝播してきて放物面21に入射した光は、放物面21で反射して、拡散部11の開口112aの中央付近に位置する焦点21bへと向かう。よって、測定サンプルから発せられた光は、拡散部11内へと効率良く導かれる。しかも、測定サンプルから発せられた光の多くが焦点21bを通るので、開口112a,122aを小さくすることができる。
【0063】
さらには、互いに向き合った2つの凹状の放物面21,22を含む光反射面121は、分離した2つの放物面21,22を互いに向き合わせて連結するだけで得られるので、光反射面121の形成が容易である。しかも、これら2つの凹状の放物面21,22を分離可能な状態で連結することによって、集光部12内の洗浄や殺菌が可能となり、以って測定サンプルの汚染を防止することができる。
【0064】
また、上述したように、集光部12の開口122a及び拡散部11の開口112aは、光透過材13によって塞がれている。よって、測定サンプルが水分を含むものであったとしても、当該測定サンプルを集光部12内に設置することにより、蒸発した水分が拡散部11内に流れ込むことを防止することができる。これにより、測定サンプルから蒸発した水分が光拡散膜111に吸収されるのを防止することができ、以って測定サンプルに含まれた水分による光学装置1への影響を回避することができる。
【0065】
<寸法の例示>
本態様に係る光学装置1の寸法は、例えば次のとおりである。開口122aの直径が20(mm)、集光部13の直径が210(mm)、放物面21の頂点21aでの曲率半径が160(mm)、頂点21aから焦点21bまでの距離が80(mm)、放物面22の頂点22aでの曲率半径が140(mm)、頂点22aから焦点22bまでの距離が70(mm)、放物面21,22のそれぞれの円錐定数が−1である。
【0066】
2−2.第2態様
<第2態様に係る構成>
第2態様に係る光学装置1では、集光部12の光反射面121は、図3に示すように2つの焦点23a,23bを有する楕円球面23から構成されている。集光部12には、楕円球面23とその長軸102(焦点23a,23bを通る直線)とが交わる位置にて開口122a,122bが形成されている。図3では、開口122a,122bの位置を明確にすべく、開口122a,122bのそれぞれを二点鎖線によって示している。そして、楕円球面23について、焦点23aは開口122aの中央付近に配置されており、焦点23bは、開口122bに近い位置にて集光部12内に配置されている。
【0067】
集光部12は、図3に示すように拡散部11に取り付けられている。具体的には、集光部12の開口122aの幅L4は拡散部11の開口112aの幅L3と略同一であり、集光部12は、開口122aの縁が開口112aの縁に合致するように拡散部11に取り付けられている。光透過材13は、開口122a及び開口112aの両方を塞いでいる。
【0068】
楕円球面23の焦点23aは開口122aの中央付近に配置されているので、上述したように集光部12を拡散部11に取り付けることによって、焦点23aは、拡散部11の開口112aの中央付近に位置する。
【0069】
<第2態様による効果>
本態様に係る光学装置1によれば、楕円球面23の焦点23a,23bのうち一方の焦点から出た光は、楕円球面23で反射して他方の焦点に到達する。よって以下の効果が得られる。
【0070】
光照射部5によって拡散部11に導入された光(励起光)は、拡散部11内で拡散反射を繰り返すことにより、その一部が開口112a,開口122aを通って集光部12の方へと伝播する。このとき、焦点23aは開口112aの中央付近に位置しているので、集光部12の方へと伝播する光の多くは焦点23aを通る。焦点23aを通った光は、図3に示される実線矢印及び破線矢印と同じルートをその矢印の方向とは反対の方向に向かって伝播する。よって、集光部12内に配置された焦点23bまたはその近傍の位置に測定サンプルを配置することにより、拡散部11の内部に導入した光(励起光)を測定サンプルに対して多方向から照射することができる。
【0071】
また、集光部12内に配置された焦点23bまたはその近傍の位置に測定サンプルを配置することにより、測定サンプルから発せられた光の多くは、図3に示される実線矢印及び破線矢印のように伝播する。すなわち、測定サンプルから発せられた光は、楕円球面23で反射して、拡散部11の開口112aの中央付近に位置する焦点23aへと向かう。よって、測定サンプルから発せられた光は、拡散部11内へと効率良く導かれる。しかも、測定サンプルから発せられた光の多くが焦点23aを通るので、開口112a,122aを小さくすることができる。
【0072】
さらには、上述したように、集光部12の開口122a及び拡散部11の開口112aは、光透過材13によって塞がれている。よって、測定サンプルが水分を含むものであったとしても、当該測定サンプルを集光部12内に設置することにより、上述した第1態様と同様に、蒸発した水分が拡散部11内に流れ込むことを防止することができる。
【0073】
<寸法の例示>
本態様に係る光学装置1の寸法は、例えば次のとおりである。拡散部11の直径が200(mm)、開口112a〜112c及び開口122aのそれぞれの直径が44(mm)、楕円球面23の曲率半径の最大値が21.9(mm)、楕円球面23の円錐定数が−0.655、楕円球面23と長軸102とが交わる点から焦点23a,23bまでのそれぞれの距離が12.1(mm)及び115(mm)である。
【0074】
2−3.第3態様
<第3態様に係る構成>
第3態様に係る光学装置1は、図4に示すように、集光部12が拡散部11から分離した構成となっている。そして、集光部12の光反射面121は、図4に示すように1つの凹状の放物面24から構成されており、放物面24の開口端241がレンズ123によって塞がれている。集光部12には、放物面24の頂点24aの位置にて開口122bが形成されている。放物面24の焦点24bは集光部12内に配置されている。
【0075】
集光部12とレンズ123との位置関係は次のとおりである。すなわち、レンズ123は、放物面24が有する頂点24a及び焦点24bを含む直線103に対して、レンズ123の光軸104が一致するように配置されている。そして、レンズ123の焦点123aは、開口端241に対して放物面24の焦点24bとは反対側に配置されている。
【0076】
集光部12は、拡散部11との関係では、図4に示すように配置される。すなわち、集光部12は、レンズ123の焦点123aが拡散部11の開口112aの中央付近に位置するように配置されている。
【0077】
尚、放物面24の開口端241は、集光部12の開口122aと把握することができる。また、開口端241を塞ぐレンズ123は、開口端241を塞ぐ光透過材と把握することができる。
【0078】
<第3態様による効果>
本態様に係る光学装置1によれば、放物面24の焦点24bから出た光は、放物面24で反射して、焦点24b及び頂点24aを含む直線103と平行に伝播する。逆に、直線103と平行に放物面24の方へと向かって伝播してきた光は、放物面24で反射して焦点24bに到達する。また、レンズ123に対して焦点123aとは反対側から光軸104と平行に入射した光は、レンズ123で屈折して焦点123aに到達する。逆に、焦点123aからレンズ123に入射した光は、レンズ123で屈折して、光軸104と平行に伝搬する。よって以下の効果が得られる。
【0079】
光照射部5によって拡散部11に導入された光(励起光)は、拡散部11内で拡散反射を繰り返すことにより、その一部が開口112aを通って集光部12の方へと伝播する。このとき、焦点123aは開口112aの中央付近に位置しているので、集光部12の方へと伝播する光の多くは焦点123aを通る。焦点123aを通った光は、図4に示される実線矢印及び破線矢印と同じルートをその矢印の方向とは反対の方向に向かって伝播する。よって、集光部12内に配置された焦点24bまたはその近傍の位置に測定サンプルを配置することにより、拡散部11の内部に導入した光を測定サンプルに対して多方向から照射することができる。
【0080】
また、集光部12内に配置された焦点24bまたはその近傍の位置に測定サンプルを配置することにより、測定サンプルから発せられた光の多くは、図4に示される実線矢印及び破線矢印のように伝播する。すなわち、測定サンプルから発せられた光は、放物面24で反射して、焦点24b及び頂点24aを含む直線103と平行に伝播してレンズ123に入射する。上述したように、レンズ123の光軸104は直線103に一致しているので、レンズ123に入射した光は、レンズ123で屈折して、拡散部11の開口112aの中央付近に位置する焦点123aへと向かう。よって、測定サンプルから発せられた光は、拡散部11内へと効率良く導かれる。しかも、測定サンプルから発せられた光の多くが焦点123aを通るので、開口112a,122aを小さくすることができる。
【0081】
さらには、本態様に係る光学装置は、集光部12が拡散部11から分離した構成とされているので、拡散部11と集光部12との位置合わせを光学装置の製造時に行う必要がなく、以って光学装置の製造が簡略化される。しかも、測定時においても集光部12と拡散部11とを分離したまま一体とする必要がなく、プリズムやミラー、光ファイバなどを用いて、集光部12及び拡散部11の一方から他方へと光を伝搬させることができる。これにより、集光部12と拡散部11との位置関係の自由度が増す。
【0082】
また、光学装置を、集光部12が拡散部11から分離した構成としたことにより、集光部12からのレンズ123の取り外しが容易となる。よって、集光部12からレンズ123を取り外すだけで集光部12内の洗浄や殺菌が可能となり、以って測定サンプルの汚染を防止することができる。
【0083】
さらには、上述したように、集光部12の開口端241はレンズ123によって塞がれている。よって、測定サンプルが水分を含むものであったとしても、当該測定サンプルを集光部12内に設置することにより、上述した第1態様と同様に、蒸発した水分が拡散部11内に流れ込むことを防止することができる。
【0084】
2−4.第4態様
<第4態様に係る構成>
第4態様に係る光学装置1では、集光部12の光反射面121は、図5に示すように1つの凹状の放物面25から構成されている。そして、集光部12には、放物面25の頂点25aの位置にて開口122bが形成されている。放物面25の焦点25bは、集光部12内に配置されている。
【0085】
集光部12は、図5に示すように拡散部11に取り付けられている。具体的には、放物面25の開口端251の幅L6は拡散部11の開口112aの幅L5と略同一であり、集光部12は、開口端251の縁が開口112aの縁に合致するように拡散部11に取り付けられている。光透過材13は、開口端251及び開口112aの両方を塞いでいる。尚、放物面25の開口端251は、集光部12の開口122aと把握することができる。
【0086】
<第4態様による効果>
本態様に係る光学装置1によれば、放物面25の焦点25bから出た光は、放物面25で反射して、焦点25b及び頂点25aを含む直線105と平行に伝播する。逆に、直線104と平行に放物面25の方へと向かって伝播してきた光は、放物面25で反射して焦点25bに到達する。よって、以下の効果が得られる。
【0087】
集光部12内に配置された焦点25bまたはその近傍の位置に測定サンプルを配置することにより、測定サンプルから発せられた光は、図5に示される実線矢印及び破線矢印のように伝播する。すなわち、測定サンプルから発せられた光には、光透過材13の方へ向かうもの(実線矢印)と、放物面25の方へと向かうもの(破線矢印)とがある。光透過材13の方へと向かう光は、光透過材13を通って拡散部11内に入り込む。放物面25の方へと向かう光は、放物面25で反射して、直線105と平行に伝播し、光透過材13を通って拡散部11内に入り込む。よって、測定サンプルから発せられた光は、拡散部11内へと効率良く導かれる。
【0088】
さらには、上述したように集光部12の開口端251及び拡散部11の開口112aは、光透過材13によって塞がれている。よって、測定サンプルが水分を含むものであったとしても、当該測定サンプルを集光部12内に設置することにより、上述した第1態様と同様に、蒸発した水分が拡散部11内に流れ込むことを防止することができる。
【0089】
<寸法の例示>
本態様に係る光学装置1の寸法は、例えば次のとおりである。拡散部11の直径が200(mm)、開口112a,122aのそれぞれの直径が66(mm)、開口112b,112cのそれぞれの直径が44(mm)、放物面25の頂点25aでの曲率半径が20(mm)、放物面25の円錐定数が−1、頂点25aから焦点25bまでの距離が10(mm)である。
【0090】
3.変形例
3−1.変形例1
上述した光学システムでは、光照射部5によって拡散部11内に光を導入していたが、光照射部5によって集光部12内に光を導入してもよい。本変形例1に係る光学システムによれば、集光部12内にある測定サンプルに対して、光を効率良く照射することができる。
【0091】
3−2.変形例2
上述した第1、第2及び第4態様に係る光学装置1では、光透過材13は、集光部12の開口122b及び拡散部11の開口122aの両方を塞いでいたが、いずれか一方のみを塞ぐ態様であってもよい。かかる態様においても、上述したのと同様に、測定サンプルから蒸発した水分が拡散部11内に流れ込むことを防止することができる。
【0092】
3−3.変形例3
集光部12が焦点を1つまたは2つ有する場合について、「2.光学装置の具体的な態様」で4つの態様(第1乃至第4態様)を説明したが、1つまたは2つの焦点が形成される態様であれば、他の態様であっても本発明に係る光学装置1として採用することができる。もちろん、3つ以上の焦点が形成される態様についても、本発明に係る光学装置1として採用することができる。
【0093】
3−4.変形例4
光学装置1に関して図1〜図5では、集光部12のサイズが拡散部11のサイズと同程度、若しくは拡散部11のサイズよりも小さい光学装置1が示されているが、かかる光学装置1において、集光部12のサイズを拡散部11のサイズと同じにしたり、またはそれよりも大きくしたりしたとしても、上述した効果が阻害されることはない。
【0094】
よって、従来の積分球(例えば特許文献1や特許文献2に開示の積分球)では内部に設置することができない程の大きなサンプルであったとしても、従来の積分球を拡散部11として用いつつ、集光部12のサイズを拡散部11のサイズよりも大きくすることにより、そのような大きなサンプルの測定が可能となる。
【0095】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上述した光照射型の光学システムを用いて、測定サンプルに照射した光の測定サンプル表面での反射光の強度を測定することができる。また、光照射型の光学システムに限らず、光の照射なしに発光(自己発光)する物質を測定対象とした光学システムに対しても、上述した技術を適用することができる。このように、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の形態に係る光照射型の光学システムを示した概念図である。
【図2】第1態様に係る光学装置を示した縦断面図である。
【図3】第2態様に係る光学装置を示した縦断面図である。
【図4】第3態様に係る光学装置を示した縦断面図である。
【図5】第4態様に係る光学装置を示した縦断面図である。
【符号の説明】
【0097】
1 光学装置
11 拡散部
111 光拡散膜
12 集光部
121 光反射面
13 光透過材
112a,122a 開口
21,22 放物面
21a,22a 頂点
21b,22b 焦点
23 楕円球面
23a,23b 焦点
24 放物面
241 開口端
24a 頂点
24b 焦点
123 レンズ
104 光軸
5 光照射部
31 光検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空であって内壁に光拡散面が形成されており、内部に導入された光を前記光拡散面で拡散反射する拡散部と、
中空であって内壁に光反射面が形成されており、測定対象から発せられた光を前記光反射面で反射して前記拡散部へと導く集光部と、
光学的な透過性を有すると共に、前記拡散部と前記集光部との間に介在して水分の透過を阻止する光透過材と
を備え、
前記拡散部及び前記集光部のそれぞれには、一方から他方への光の伝播を可能にする開口が形成されており、前記光透過材は前記開口の少なくとも一方を塞いでいる、光学装置。
【請求項2】
前記光反射面は、少なくとも1つの焦点を有する曲面形状を呈する、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記光反射面は、2つの焦点を有する楕円球面を含み、前記焦点の一方は、前記拡散部に形成されている開口またはその近傍の位置に配置され、前記焦点の他方は、前記集光部内の測定対象またはその近傍の位置に配置されている、請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記光反射面は、互いに向き合った2つの凹状の放物面を含み、
前記2つの放物面が有する頂点及び焦点のいずれもが略同一直線上に配置され、
前記2つの放物面のうち一方の放物面の前記焦点は、前記拡散部に形成されている開口またはその近傍の位置に配置され、他方の放物面の前記焦点は、前記集光部内の測定対象またはその近傍の位置に配置されている、請求項2に記載の光学装置。
【請求項5】
前記光反射面は凹状の放物面を含み、前記光透過材は当該放物面の開口端を塞ぐレンズであり、
前記レンズは、前記放物面が有する頂点及び焦点を含む直線に前記レンズの光軸が一致または略平行となるように配置され、
前記レンズの前記焦点は、前記拡散部に形成されている開口またはその近傍の位置に配置され、前記放物面の前記焦点は、前記集光部内の測定対象またはその近傍の位置に配置されている、請求項2記載の光学装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の光学装置と、
前記拡散部で拡散反射された光の強度を測定する光検出器と
を備える、光学システム。
【請求項7】
前記拡散部及び前記集光部の少なくも一方に光を入射する光照射部を更に備え、
前記光照射部によって入射された前記光が前記集光部内の測定対象に照射されることにより、当該測定対象は光を発する、請求項6記載の光学システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−281899(P2009−281899A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134953(P2008−134953)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構健康安心プログラム/再生医療評価研究開発事業/再生医療の早期実用化を目指した再生評価技術開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】