説明

光学部材、光学部材の製造方法、光学シート、面光源装置、透過型表示装置

【課題】光源からの熱に起因する変形による表示不良等を大幅に低減できる光学シートを提供可能な光学部材、光学部材の製造方法、及び、光学シート、面光源装置、透過型表示装置を提供することである。
【解決手段】光学部材150は、幅方向の中央から、流れ方向を長辺方向とし、幅方向を短辺方向とする矩形状であって短辺30mm、長辺150mmの大きさである切片を裁断し、長辺方向の一方の端部を、水平面上において短辺が鉛直方向となるようにして鉛直方向に延在する基準面に固定し、他方の端部を自由状態とし、基準面と他方の端部の基準面側の面との距離を反り量H1(mm)とし、切片を80℃で30分間の加熱処理を行った後のこの距離を反り量H2(mm)とし、基材部153の厚みをt(mm)とし、光学部材150を形成する樹脂の弾性係数をY(GPa)とするとき、1.7≦(H2/H1)×t×Y≦4.9という関係を満たすものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の大きさに裁断することにより光学シートを作製可能な光学部材、光学部材の製造方法、及び、光学シート、面光源装置、透過型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶テレビ等の透過型表示装置において、液晶パネル等を背面から照明する面光源装置として、各種方式の面光源装置が提案され実用化されている。面光源装置は、主として、面光源ではない光源を面光源に変換する方式により、エッジライト型と直下型とに分類される。
近年、透過型表示装置の普及は目覚しく、その画質向上や大画面化・薄型化、軽量化に伴い、様々な開発が成されている。これに伴い、面光源装置等に用いられる各種光学シートは、エッジライト型や直下型を問わず、視野角を広げる等、所望の光学特性を得るために、様々な工夫がなされている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−337797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透過型表示装置は、筐体内に様々な光学シートや光源を備えている。そのため、光源から発せられた熱が発散され難いため、長時間の使用等を行った場合に、光源からの熱によって光学シートに、シワやよれ、撓み等の変形が生じる場合がある。
このような変形により光学シートが液晶パネルを圧迫することによって、表示不良や液晶パネルの破損等が生じるという問題があった。特に、近年では、透過型表示装置の薄型化や軽量化等に伴い、光学シートが薄くなり、光源の熱に起因した変形がより生じやすくなっている。
【0005】
本発明の課題は、光源からの熱に起因する変形による表示不良等を大幅に低減できる光学シートを提供可能な光学部材、光学部材の製造方法、及び、光学シート、面光源装置、透過型表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、少なくとも一方の面に単位光学形状(151)が複数配列され、所定の形状に裁断することにより光学シート(15)となるウェブ状の光学部材であって、この光学部材の幅方向の中央から、流れ方向を長辺方向とし、幅方向を短辺方向とする矩形状であって短辺30mm、長辺150mmの大きさである切片(150A)を裁断し、その長辺方向の一方の端部を、水平面上において、短辺が鉛直方向となるようにして前記水平面に直交して鉛直方向に延在する基準面(M)に固定し、他方の端部を自由状態とした場合において、前記基準面と前記他方の端部の前記基準面側の面との距離を反り量H1(mm)とし、前記切片を80℃で30分間の加熱処理を行った後の該距離を反り量H2(mm)とし、前記光学部材において、その厚み方向において前記単位光学形状が形成されていない領域である基材部(153)の厚みをt(mm)とし、この光学部材を形成する樹脂の弾性係数をY(GPa)とするとき、1.7≦(H2/H1)×t×Y≦4.9という関係を満たすこと、を特徴とする光学部材(150)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学部材において、前記反り量H1及び前記反り量H2の比H2/H1を反り発現値とし、前記光学部材の幅方向の中央における前記切片(150A)の前記反り発現値をS1、前記幅方向の両端部から切り出された同様の切片(150B)の前記反り発現値をS2とするとき、0.9≦S2/S1≦1.2という関係を満たすこと、を特徴とする光学部材(150)である。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光学部材の製造方法であって、熱可塑性樹脂を所定の幅のシート状に押し出す押出工程と、押し出されたシート状の部材(R)を、少なくとも一方が前記単位光学形状(151)を賦形可能な成形型である1対のロール(53,54)の間を通して加圧し、前記単位光学形状を賦形する賦形工程と、前記賦形工程の後に、前記1対のロールのうち一方のロール(54)の周方向に沿わせて冷却し、前記シート状の部材の流れ方向に対して、前記一方のロールの周方向に沿った湾曲形状を形成する湾曲形成工程と、前記一方のロールから前記シート状の部材を剥離して冷却ロール(53,54)に移動させ、所定の温度で冷却しながら前記湾曲形状を矯正して流れ方向において略平坦化する矯正工程と、を備えること、を特徴とする光学部材の製造方法である。
請求項4の発明は、請求項3に記載の光学部材の製造方法において、前記湾曲形成工程において、前記一方のロール(54)は、その表面温度をTa(℃)とし、前記熱可塑性樹脂のガラス転移点をTg(℃)とするとき、Tg−40≦Ta≦Tg+10という関係を満たすこと、を特徴とする光学部材の製造方法である。
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4に記載の光学部材の製造方法において、前記矯正工程において、前記冷却ロール(53)の表面温度をTb(℃)とし、前記熱可塑性樹脂(R)のガラス転移点をTg(℃)とし、前記湾曲形成工程における前記一方のロール(54)の表面温度をTa(℃)とするとき、Ta−40≦Tb≦Tg−20という関係を満たすこと、を特徴とする光学部材の製造方法である。
請求項6の発明は、請求項5に記載の光学部材の製造方法において、前記矯正工程において、前記シート状の部材(R)は、前記冷却ロール(53)より流れ方向下流に配置される第2冷却ロール(54)によってさらに冷却及び湾曲形状が平坦化され、前記第2冷却ロールの表面温度Tc(℃)は、Tb≦Tc≦Tg−20という関係を満たすこと、を特徴とする光学部材の製造方法である。
請求項7の発明は、請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載の光学部材の製造方法において、前記賦形工程における前記1対のロール(53,54)のうち、湾曲形状を形成する前記一方のロール(54)における線速度をVaとし、前記シート状の部材(R)を前記冷却ロール(53,54)よりも下流で所定の速度で引き取る引取りロールにおける線速度をVbとするとき、0.98≦Vb/Va≦1.10という関係を満たすこと、を特徴とする光学部材の製造方法である。
【0008】
請求項8の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光学部材(150)を所定の大きさに裁断して形成される光学シート(15)である。
請求項9の発明は、光を発する光源部(12)と、前記光源部からの光を導光する導光板(13)と、前記導光板の出光面側に配置される請求項8に記載の光学シート(15)と、を備え、前記光学シートは、前記加熱処理によって凸面となる面を前記導光板側として配置されていること、を特徴とする面光源装置(10)である。
請求項10は、請求項9に記載の面光源装置(10)と、前記面光源装置によって背面側から照明される透過型表示部(11)と、を備える透過型表示装置(1)である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光源からの熱に起因する変形による表示不良等を大幅に低減できる光学シートを容易にかつ安価に提供可能な光学部材、光学部材の製造方法、及び、光学シート、面光源装置、透過型表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態の光学シート15を示す図である。
【図2】実施形態の単位レンズ151の別の形状を示す図である。
【図3】実施形態の光学シート15を製造する押出成型装置の一部を示す図である。
【図4】光学シート15を備える面光源装置10及び表示装置1の例を示す図である。
【図5】光源部12の熱に起因する光学シートの問題点を説明する図である。
【図6】光学部材150の熱による反り量を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
また、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、特許請求の範囲の記載は、シートという記載で統一して使用した。従って、シート、板、フィルムの文言は、適宜置き換えることができるものとする。例えば、光学シートは、光学フィルムとしてもよいし、光学板としてもよい。
さらに、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
【0012】
(実施形態)
図1は、実施形態の光学シート15を示す図である。
図1(a)は、光学シート15の斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示す直線A1−A2に沿って光学シートの厚み方向(シート面に直交する方向)に平行に切断した断面の一部を拡大して示した図である。
光学シート15は、液晶表示装置に用いられる直下型やエッジライト型の面光源装置に用いられるシート状の部材である。
ここで、本明細書中及び特許請求の範囲において、シート面とは、シート状の部材において、そのシート状の部材全体として見たときにおける、シート状の部材の平面方向となる面を示すものとして用いている。例えば、光学シート15のシート面は、光学シート15全体として見たときにおける、光学シート15の平面方向となる面である。
【0013】
この光学シート15は、シート面に直交する方向から見て略矩形形状であり、その形状を拘束しない状態で略平板状である。光学シート15は、図1(a),(b)に示すように、単位レンズ151が複数配列された光学形状部152と、光学形状部152を形成するベースとなる基材部153とを備えている。
光学形状部152は、単位レンズ151が複数配列されて形成され、光学シート15の一方の面に設けられている。
単位レンズ151は、長軸がシート面に直交する略楕円柱形状の一部形状であり、その配列方向に平行であってシート面に直交する断面形状は、図1(b)に示すように、略楕円形状の一部形状である。
【0014】
図2は、実施形態の単位レンズ151の別の形状を示す図である。
単位レンズ151は、図2(a)に示すように、その断面形状が略二等辺三角形形状である三角柱形状(単位プリズム形状)としてもよいし、図2(b)に示すように、基材部153側は略三角柱形状であるが、頂点近傍が曲面によって形成される柱形状としてもよい。また、単位レンズ151は、これに限らず、略円柱形状の一部形状としてもよいし、複数の曲面から構成される形状としてもよい。
なお、以下の本実施形態の説明では、一例として、図1(b)に示す略楕円柱形状の一部形状である単位レンズ151を例に挙げて説明する。
【0015】
図1に戻り、単位レンズ151は、その配列ピッチがPであり、レンズ高さ(シート面に直交する方向における頂点151tから単位レンズ151間の谷底となる点151vとの寸法)がhであり、レンズ幅(配列方向における点151v間の寸法)がWである。
本実施形態では、配列ピッチPと、レンズ幅Wは等しい(P=W)が、これに限らず、例えば、単位レンズ151間に所定の間隙を配置し、P>Wとしてもよい。
この光学シート15は、PC(ポリカーボネート)樹脂、PP(ポリプロピレン樹脂)、PE(ポリエチレン)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、AS(アクリロニトリル・スチレン共重合体)樹脂、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン)樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)樹脂、COP(シクロオレフィンポリマー)樹脂、TAC(トリアセチルセルロース)樹脂等の熱可塑性樹脂を押出成型することにより形成される。
また、光学シート15は、所望する光学性能に合わせて、光を拡散する作用を有する拡散材や、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等の添加剤を含有する形態としてもよい。
この光学シート15は、その総厚が200〜600μmの範囲内である。
【0016】
(光学部材及び光学シートの製造方法)
本実施形態の光学シート15の製造方法の一例を説明する。
図3は、実施形態の光学シート15を製造する押出成型装置の一部を示す図である。
押出成型装置50は、図3に示すように、押出機51、ダイ52、第1ロール53、第2ロール54、第3ロール55、第4ロール56、引き取りロール57(57A,57B)、不図示の切断部等を有する。
押出機51は、不図示のホッパーから供給された熱可塑性樹脂を加熱、溶融する部分であり、光学シート15の材料となる樹脂材料を、そのガラス転移点Tgより高い温度まで加熱又は溶融する。ダイ52は、押出機51から供給された樹脂材料を所望するシート幅まで広げて吐出する開口部である。例えば、樹脂材料RがPC樹脂である場合、PC樹脂のガラス転移点Tgが約140℃であり、ダイ52から吐出された時点での樹脂材料Rの温度は約300℃である。
第1ロール53、第2ロール54は、略円柱形状であり、その中心軸を回転軸として回転駆動可能となっている。また、第1ロール53,第2ロール54はいずれも不図示の温度調節部を備えており、それぞれ賦形等に適した所定の温度となるように調整されている。
【0017】
第1ロール53は、外周面が金属製やゴム製等であり、その表面は平滑面である。
第2ロール54は、その外周面に光学シート15に単位レンズ151の形状を賦形するための凹状の型が複数配列された賦形ロール(ロール状成形型)である。
本実施形態の第2ロール54は、単位レンズ151を賦形する凹状の型の配列方向が、第2ロール54の中心軸Oに平行な方向となっている。
【0018】
第1ロール53,第2ロール54は、これらのロールの間隙に加圧されながらシート状に吐出された樹脂材料Rが通ることによって、シート状の部材である樹脂材料Rの一方の面に単位レンズ151の形状(図1(b)参照)を賦形する一対のロールである。
また、第1ロール53及び第2ロール54の間を通ったシート状の樹脂材料Rは、第2ロール54の外周面に接した状態で移動し、所定の温度で冷却されて少なくともその表面が硬化し、流れ方向において、第2ロール54の周方向に沿った湾曲形状が形成される。この第2ロール54の外周面における線速度はVaである(即ち、第2ロール54の外周面において、シート状の樹脂材料Rは、線速度Vaで搬送されている)。
【0019】
また、この第2ロール54は、上述のように単位レンズ151の形状を賦形するため、及び、シート状の樹脂材料Rに湾曲形成を形成するために、その外周面(即ち、樹脂材料Rが接する面)の表面温度Ta(℃)が、樹脂材料Rのガラス転移点Tg(℃)に対して、Tg−40≦Ta≦Tg+10という関係を満たすように設定されている。この範囲を満たすことにより、適当な湾曲形状をシート状の樹脂材料Rに形成することができ、かつ、単位レンズ151の形状不良等を大幅に低減し、賦形率を高め良好な形状を賦形することができる。
例えば、樹脂材料RがPC樹脂である場合、第2ロール54の表面温度Taは、約110℃とすることが好ましい。
【0020】
第3ロール55及び第4ロール56は、略円柱形状であり、その中心軸を回転軸として回転駆動可能となっている。この第3ロール55,第4ロール56は、不図示の温度調節部等を備えた温調ロールであり、単位レンズ151の形状が賦形されたシート状の樹脂材料Rを所定の温度で冷却する機能を有する冷却ロール、第2冷却ロールである。
第3ロール55は、その外周面(即ち、シート状の樹脂材料Rが接する面)の表面温度Tb(℃)が、Tb≦Tg−20となるように設定されている。また、第4ロール56の外周面(即ち、樹脂材料Rを接する面)の表面温度Tcは、Tb≦Tcを満たすように設定されている。
第3ロール55及び第4ロール56の表面温度Tb,Tcを上記のように設定することにより、第2ロール54によって形成されたシート状の樹脂材料Rの流れ方向の湾曲形状を矯正し、略平板形状とすることができる。
【0021】
また、第3ロール55の表面温度Tb(℃)は、Tb≦Tg−20を満たし、かつ、Tb≧Ta−40を満たすことが好ましい。これは、Tb<Ta−40となると、第2ロール54への密着が生じて第2ロール54からの離型性が低下し、シート状の樹脂材料Rに離型痕が生じ、外観が損なわれるためである。従って、第3ロール55の表面温度Tb(℃)は、Ta−40≦Tb≦Tg−20を満たすことが好ましい。
第4ロール56の表面温度Tc(℃)は、Tc≧Tbを満たし、かつ、Tc≦Tg−20を満たすことが好ましい。これは、Tc>Tg−20となると、第4ロール56から剥離する際に、第4ロール56への密着が生じ、シート状の樹脂材料Rに離型痕が生じ、外観が損なわれるためである。従って、第4ロール56の表面温度Tc(℃)は、Tb≦Tc≦Tg−20を満たすことが好ましい。
例えば、樹脂材料RがPC樹脂である場合、PC樹脂のガラス転移点Tgが約140℃であるので、第3ロール55の表面温度Tbが約100℃、第4ロール56の表面温度Tcが約100℃とすることが好ましい。
なお、第3ロール55のみを備え、第4ロール56を備えない形態としてもよい。
【0022】
引き取りロール57(57A,57B)は、シート状の樹脂材料Rを所定の速度で流れ方向に引き取る一対のロールである。この引き取りロール57における線速度は、Vbである。ここで、引き取りロール57における線速度Vbと、第2ロール54における線速度Vaとは、0.98≦Vb/Va≦1.10を満たすことが好ましい。
Vb/Va<0.98となる場合、第4ロール56と引き取りロール57との間でシート状の樹脂材料Rが撓む可能性があり、好ましくない。また、Vb/Va>1.10となる場合、シート状の樹脂材料Rに必要以上の流れ方向へのテンションがかかり、シート状の樹脂材料Rに歪み(内部歪)が発生し、次工程(断裁・型抜き工程等)のおける加工精度や加工条件等に影響を与え、安定した光学部材150の製造が行えなくなるため好ましくない。
【0023】
押出機51によってガラス転移点を越える温度にまで加熱され、所定の流動性を有した樹脂材料Rは、ダイ52から所定の幅のシート状に吐出される(押出工程)。
吐出された樹脂材料Rは、所定の速度で第1ロール53と第2ロール54との間隙部分に進み、第1ロール53によって第2ロール54の外周面に複数配列して形成された凹状の型に圧着される。シート状の樹脂材料Rは、第1ロール53と第2ロール54との間で挟まれて加圧されることにより、シート状の樹脂材料Rの一方の面に単位レンズ151の形状が賦形される(賦形工程)。また、シート状の樹脂材料15Rの他方の面は、第1ロール53の外周面と接触しており、略平面状に形成される。
【0024】
第1ロール53と第2ロール54との間隙を通過後、シート状の樹脂材料Rは、第2ロール54に外接したまま移動し、徐々に冷却され、流れ方向において、第2ロール54の周方向に沿った湾曲形状が賦形される(湾曲形成工程)。
【0025】
次に、シート状の樹脂材料Rは、第2ロール54と第3ロール55との間隙で第3ロール55へ移動し、第3ロール55の回転によって、シート状の樹脂材料Rは、第2ロール54から剥離する。ここで、シート状の樹脂材料Rは、第3ロール55の外周面に沿って移動することにより、所定の温度で、前述の第2ロール54で形成された湾曲形状が矯正され、略平坦状となる(矯正工程)。
さらに、第3ロール55から第4ロール56へと移動し、その外周面に接することにより、さらにその湾曲形状が略平板形状に矯正される。
次に、第4ロール56から剥離したシート状の樹脂材料Rは、徐々に冷却されて硬化し、ウェブ状の光学部材150となる。
次いで、光学部材150は、第4ロール56から引き取りロール57へ移動し、さらに不図示の他の調整ロール等へ移動し、さらには、不図示の切断部等によって所望する大きさや形状に裁断され、光学シート15が形成される。なお、裁断加工の前に、一旦光学部材150をロール状に巻き取って、保管及び養生、搬送する等の工程を有していてもよい。
【0026】
光学部材150は、湾曲形成工程において光学形状部152側の面が凹面側とるように湾曲形状が形成されるが、完成した部材としては、その形状を拘束しない状態で、平板状又は略平板状(略平板とみなせる状態)であり、流れ方向(MD方向、長手方向)において湾曲形状を有していない状態とみなすことができる。
光学部材150から裁断されて形成された光学シート15も同様に、その形状を拘束しない状態で、平板状又は略平板状(略平板とみなせる状態)であり、湾曲形状を有していない状態とみなすことができる。また、光学シート15は、光学形状部152側(凹面側)をLCDパネル11側として、後述の図4に示すように、面光源装置10に配置される。
【0027】
図4は、光学シート15を備える面光源装置10及び表示装置1の例を示す図である。
この光学シート15は、表示装置1及び面光源装置10に用いられる。
表示装置1は、LCD(Liquid Crystal Display)パネル11と、LCDパネル11を背面側から照明する面光源装置10とを備える透過型表示装置である。
面光源装置10は、光源部12、導光板13、反射板14、拡散シート16、光学シート15等を備えるエッジライト型の面光源装置(バックライト)である。
LCDパネル11は、映像を表示する液晶透過型表示部である。このLCDパネル11は、略矩形状の略平板状の部材である。
【0028】
表示装置1(LCDパネル11)の観察画面は、表示装置1の使用状態において、横長の矩形形状となっている。
以下の明細書において、表示装置1及び面光源装置10の使用状態における観察画面(LCDパネル11)の短辺に平行な方向を使用状態における画面上下方向(画面鉛直方向)とし、長辺に平行な方向を使用状態における画面左右方向(画面水平方向)とする。以下の説明中において、特に断りが無い場合、画面左右方向、画面上下方向とは、表示装置1及び面光源装置10の使用状態における画面左右方向、画面上下方向であるとする。
【0029】
光源部12は、LCDパネル11を背面から照明する光を発する部分である。光源部12は、導光板13の画面上下方向の一方の端面(入光面)13aに面する位置に設けられている。また、光源部12は、発光源として点光源121であるLED(Light Emitting Diode)を用いており、この点光源121が、入光面13aに沿って画面左右方向に等間隔で複数配列されている。なお、この光源部12は、他方の面13b側にも配置した、所謂、2灯式と呼ばれる形態としてもよい。
【0030】
導光板13は、光を導光する略板状の部材である。導光板13は、光源部12が発する光を入光面13aから入射させ、出光面13cと背面13dとで全反射させながら他方の面13b側へ導光し、適宜出光面13cから光学シート15側へ出射させる。
導光板13は、アクリル系樹脂やPC(ポリカーボネート)樹脂製であり、反射板14側となる背面には、印刷等によりドット(不図示)等が形成されていてもよいし、出光面13cや背面13dにプリズム形状やレンチキュラーレンズ形状が形成されていてもよいし、拡散材等を含有する形態としてもよい。
導光板13は、図4では、略均等な厚みを有する略平板状である例を示しているが、これに限らず、例えば、画面上下方向において、光源部12側となる入光面13a側が厚く、他方の面13b側が薄い板状としてもよい。
【0031】
反射板14は、光を反射可能な板状の部材であり、導光板13より背面側(光学シート15とは反対側)に配置されている。この反射板14は、光学シート15等により反射されて背面側へ向かう光を、反射して再度光学シート15側へ向ける機能を有している。
【0032】
拡散シート16は、図4では、光学シート15と導光板13との間に配置されている。拡散シート16は、無指向性の光拡散作用を有する光拡散シートである。
光学シート15は、図4に示すように、光学形状部152側をLCDパネル11側とし、基材部153側を導光板13側として、拡散シート16よりもLCDパネル11側に配置されている。すなわち、この光学シート15は、光学形状部152側の面、即ち、前述の製造工程における湾曲形成工程において、凹側となる面をLCDパネル11側として配置されている。
図4では、単位レンズ151の配列方向が導光板13における光の導光方向に直交する例を示しているが、平行方向としてもよいし、所定の角度をなす方向としてもよい。また、単位レンズ151の配列方向は、画面左右方向に平行な方向として示したが、画面上下方向に平行な方向としてもよい。
【0033】
なお、上述の表示装置1及び面光源装置10は、この光学シート15が用いられる一例であり、さらに他の光学作用を有する光学シートを備えていてもよいし、拡散シート16を設けなくてもよいし、用いる各種光学シートの形状や配置等は適宜変更可能である。
また、面光源装置10は、上述のようなエッジライト型ではなく、直下型のものとしてもよい。
【0034】
(熱による光学シートの変形)
図5は、光源部12の熱に起因する光学シートの問題点を説明する図である。
図5(a)は、本実施形態の光学シート15の例を示し、図5(b)は、従来の光学シート25を示している。なお、図5においては、理解を容易にするために、拡散シート16や反射板14、光源部12等は、省略して示している。
一般的に、面光源装置及び表示装置において、光源部は点灯時に熱を発し、また、表示装置の筐体内に熱がこもりやすい。そのため、導光板に比べて厚みの薄い光学シートは、このような熱による影響を受けやすく、図5(b)に示すように、熱によって光学シートが撓んで、よれやシワや反り等の変形が生じる場合がある。
このような熱によって生じる変形は、輝度ムラの原因となったり、LCDパネルを圧迫して表示不良を生じたり、LCDパネルを破損したりするおそれがある。
【0035】
これに対して、本実施形態の光学シート15は、上述のように、その製造過程において、LCDパネル11側(出光側)となる面が凹面となるような湾曲形状を付与した上で、一旦その湾曲形状を矯正して略平坦状とされた光学部材150から裁断され、面光源装置10及び表示装置1に湾曲形状賦形時の凹面側をLCDパネル11側となるように配置して用いられている。
従って、光源部12の熱によって、光学シート15に変形が生じた場合には、図5(a)に示すように、導光板13側に凸となるような変形を生じようとする力が生じる。このとき、光学シート15は、導光板13を圧迫するが、その変形量等は面光源装置10としての良好な輝度の均一性等を阻害するものではない。
従って、本実施形態によれば、熱によって変形し、LCDパネル11を圧迫して表示不良やLCDパネル11の破損を生じることがなく、また、輝度ムラ等を生じることのない、良好な光学シート15を提供可能な光学部材150を、大幅な設備投資を必要とすることなく、安価でかつ容易に作製することができる。
【0036】
(光学部材の反り量)
図6は、光学部材150の熱による反り量を説明する図である。図6(a)は、反り量の測定に用いる切片150A,150Bを説明する図であり、図6(b)は、反り量の測定方法を説明する図である。
図6に示すように、光学部材150から測定に用いる切片150A,150Bを裁断する。切片150Aは、光学部材150の幅方向中央に位置し、切片150Bは、幅方向両端部に位置する。また切片150A,150Bは、いずれも、短辺の寸法a=30mm、長辺の寸法b=150mmの矩形状(短冊状)であり、短辺が幅方向に平行であり、長辺が流れ方向に平行である。なお、この切片150A,150Bは、流れ方向(MD方向)の位置が同じものとする。
【0037】
この切片150Aは、水平面上において、その短辺を鉛直方向に平行とし、長辺方向の一方の端部の基材部153側の面が接するように、この水平面に直交し鉛直方向に延在する基準面Mに対して配置して固定し、他方の端部を自由端とした場合に、基準面Mと他方の端部の基材部153の面との基準面Mに直交する方向における距離を、反り量H1(mm)とする。そして、切片150Aを30分間80℃で加熱処理を行った後に、同様に測定を行った場合の反り量をH2(mm)とする。
【0038】
ここで、切片150Aに関して、基材部153の厚さをt(mm)とし、その樹脂材料Rの弾性係数をY(GPa)とするとき、光源部12熱による光学シート15の撓みやシワ等の変形を低減し、LCDパネル11が圧迫されることによる表示不良やLCDパネルの破損、輝度ムラ等を防止する観点から、
1.7≦(H2/H1)×t×Y≦4.9 ・・・(式1)
という関係を満たすことが好ましく、
2.0≦(H2/H1)×t×Y≦3.9 ・・・(式2)
という関係を満たすことが、より好ましい。
(H2/H1)×t×Y>4.9となる場合には、光学シート15が、面光源装置10の光源部12の熱によって生じる撓みや反り等の変形が大きくなり、表示不良等を生じさせ、好ましくない。また、(H2/H1)×t×Y<1.7となる場合には、撓みやシワ等の変形が生じるため、好ましくない。
【0039】
また、切片150A,150Bにおいて、加熱処理前、加熱処理後の反り量H1,H2の比H2/H1を、それぞれ反りの発現値S1,S2とするとき、
0.9≦S2/S1≦1.2 ・・・(式3)
という関係を満たすこと、即ち、光学部材150の幅方向における反りの発現値が等しい又は略等しく、その差が小さいことが好ましい。
S2/S1<0.9となる場合、光学部材150の幅方向の両端部(切片150B)に比べて、幅方向中央(切片150A)の熱による変形度合いが大きくなり、光学部材150から裁断して光学シート15とした場合に、その裁断位置等によっては光源部12の熱によって光学シート15全体が撓む可能性があり、好ましくない。
また、S2/S1>1.2となる場合、光学部材150の幅方向の中央(切片150A)に比べて、幅方向両端部(切片150B)の熱による変形度合いが大きくなり、光学部材150から裁断して光学シート15とした場合に、その裁断位置等によっては光源部12の熱によって光学シート15全体が撓む可能性があり、好ましくない。
【0040】
(反り量等の評価)
ここで、反り量H1,H2や、基材部153の厚み、樹脂の弾性係数等が異なる測定例1〜12の光学部材150及び光学シート15を作製し、光源からの熱に対する変形等について調べた。
なお、各測定例の光学部材150は、その幅が1200mmであり、各測定例の光学シート15は、585×1040mm(画面サイズ46インチ相当)の矩形状であり、各測定例の光学部材150の幅方向中央の位置から、その長辺方向が光学部材150の幅方向に平行となるように裁断したものを用いた。
光学形状部152の単位レンズ151は、配列ピッチP=64μm、レンズ高さh=30μmの略楕円柱形状であり、各測定例の光学部材150及び光学シート15において共通している。また、測定例1〜7,10,12の基材部153の厚さt=0.32mm、測定例8,11の基材部153の厚さt=0.27mm、測定例9の基材部153の厚さt=0.47mmである。
さらに、測定例1〜9は、PC樹脂製であり、その弾性係数Y=2.3GPaであり、測定例10,11は、AS樹脂製であり、その弾性係数Y=3.4GPaであり、測定例12は、MBS樹脂製であり、その弾性係数Y=2.6GPaである。
【0041】
目視による変形の外観評価に関しては、各測定例の光学シート15を、実際に面光源装置10に備え、光源部12を60分間点灯した後の光学シート15の状態を目視し、その外観を評価した。なお、測定に用いた面光源装置10とは、前述の図4に示す面光源装置10と同様の構成のものである。
各測定例の光学シート15において、撓みやシワ、よれ等の変形が小さく、かつ、反りが生じていた場合にも導光板13側に凸となる反りである場合には、良好(後述の表1中において○)とし、反りや撓み等の変形が生じているが、使用可能な範囲であるものを可(後述の表1中において△)とし、大きく反りや撓み等が生じており使用に適さないものや、LCDパネル11側に相当する方向(出射側、導光板13側とは反対側)に凸となるような反りが生じている場合には不可(後述の表1中において×)として示した。
【0042】
また、各測定例の光学シートを用いた面光源装置において、その正面方向における輝度を、暗室環境下において、各測定例の光学シートを用いた面光源装置の出光面から正面方向に600mmの位置から、輝度計(BM−9 TOPCON社製)により測定し、測定例9の光学シートの輝度を基準(100%)として、各測定例の光学シートを用いた面光源装置の相対輝度を算出した。
【0043】
【表1】

【0044】
表1は、各測定例の光学部材150及び光学シート15について、その反り量や外観評価等を示す表である。
表1に示すように、1.7≦(H2/H1)×t×Y≦4.9を満たしていない、測定例1では、光源部12の熱による光学シート15の変形が大きくなり、面光源装置10の出光面の画面上下方向上側に、左右方向に沿ってカーテン状の撓みやよれが生じており、使用に適さなかった。
また、1.7≦(H2/H1)×t×Y≦4.9を満たしていない、測定例7では、光学シート15にLCDパネル11側を凸とするような反りが発生し、好ましくなかった。
さらに、H2/H1=1.0であり、1.7≦(H2/H1)×t×Y≦4.9を満たしていない測定例6においても、光学シート15とした場合に、上述のようなカーテン状のよれが生じており好ましくなかった。
【0045】
これに対して、1.7≦(H2/H1)×t×Y≦4.9を満たす測定例2〜5、測定例8〜12では、光学シート15には、光源部12の熱による撓みやよれ等の変形に関する外観評価は、良好であるか又は使用可能な範囲内であった。
さらに、より好ましい範囲である2.0≦(H2/H1)×t×Y≦3.9を満たす測定例3,4,5,9,12では、光学シート15の外観評価が良好であり、かつ、相対輝度も高く、面光源装置の光学シートとして良好であった。
【0046】
上述のように、本実施形態によれば、光学部材150が、1.7≦(H2/H1)×t×Y≦4.9という(式1)の関係を満たしているので、この光学部材150から裁断された光学シート15を、面光源装置10及び表示装置1に用いた場合にも、熱による撓みや反りによってLCDパネル11を圧迫して圧迫痕による表示不良や、LCDパネル11の破損等を生じさせることがない。
また、本実施形態によれば、上記(式1)の条件に加え、光学部材150が、0.9≦S2/S1≦1.2という(式3)を満たしているので、この光学部材150から裁断された光学シート15を、面光源装置10及び表示装置1に用いた場合に、光源部の熱によって生じる撓みやよれ等の場所による偏りを低減することができ、より良好な光学シート15とすることができる。
【0047】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態において、単位光学形状として、略楕円柱の単位レンズ151を備える光学シート15及び光学部材150を示したが、これに限らず、単位光学形状は、前述のように、略三角柱形状や、三角柱形状の稜線部分に円柱形状又は楕円柱形状を組み合わせた形状としてもよいし、それ以外にも、半球状や楕円球状の一部形状としてもよいし、四角錘や台形錘等としてもよい。
【0048】
(2)本実施形態において、光学シート15及び光学部材150は、一方の面に単位レンズ151が複数配列された光学形状部を有する例を示したが、これに限らず、例えば、両面に光学形状部が形成されていてもよい。
なお、両面に光学形状部を形成する場合、単位光学形状が両面とも同じ形状としてもよいし、異なる形状としてもよい。また、両面に光学形状部を形成する場合には、光学部材150を裁断して得られる光学シートは、第2ロールによって湾曲形状を付与した側の面を、LCDパネル11側として配置されることが、表示不良等を防止することから好ましい。
【0049】
(3)本実施形態において、第1ロール53は、略円柱状のロールである例を示したが、これに限らず、例えば、スリーブロールとしてもよい。
【0050】
(4)本実施形態において、光学シート15及び光学部材150は拡散材を含有しておらず、かつ、単層構造である例を示したが、これに限らず、例えば、スチレンビーズ等の拡散材を含有する形態としてもよいし、樹脂の屈折率や拡散材の有無等が異なる層が積層された多層構造としてもよい。
【0051】
(5)本実施形態では、第2ロール54がその外周面に単位レンズ151の凹状の型を有する賦形ロールである例を示したが、LCDパネル11側の面を略平面状とし、導光板13側に光学形状を形成した形態として使用する光学シートにおいては、第1ロールを、その外周面に単位レンズ151の凹状の型を有する賦形ロールとし、第2ロールは、湾曲形状を付与するためのロールとしてもよい。
【0052】
(6)本実施形態において、光学シート15は、面光源装置に用いられる例を示したが、これに限らず、プラズマディスプレイ等の他の表示装置に使用してもよい。
【0053】
(7)本実施形態において、押出成型装置50の第2ロール54には、その外周面に単位レンズ151を賦形する凹状の型がロールの中心軸方向に平行に配列されている例を示したが、これに限らず、例えば、単位レンズ151を賦形する凹状の型の配列方向が、第2ロール54の周方向あるいは斜め方向(周方向に対して角度をなす方向)となるように形成されているものとしてもよい。
【0054】
(8)本実施形態において、光学部材150は、幅方向においては湾曲形状を付与しない例を挙げて説明したが、幅方向においても、多少湾曲形状を有していてもよい。
【0055】
なお、本実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0056】
1 表示装置
10 面光源装置
15 光学シート
150 光学部材
151 単位レンズ
152 光学形状部
153 基材部
50 押出成型装置
51 押出機
52 ダイ
53 第1ロール
54 第2ロール
55 第3ロール
56 第4ロール
57(57A,57B) 引き取りロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の面に単位光学形状が複数配列され、所定の形状に裁断することにより光学シートとなるウェブ状の光学部材であって、
この光学部材の幅方向の中央から、流れ方向を長辺方向とし、幅方向を短辺方向とする矩形状であって短辺30mm、長辺150mmの大きさである切片を裁断し、その長辺方向の一方の端部を、水平面上において、短辺が鉛直方向となるようにして前記水平面に直交して鉛直方向に延在する基準面に固定し、他方の端部を自由状態とした場合において、前記基準面と前記他方の端部の前記基準面側の面との距離を反り量H1(mm)とし、前記切片を80℃で30分間の加熱処理を行った後の該距離を反り量H2(mm)とし、前記光学部材において、その厚み方向において前記単位光学形状が形成されていない領域である基材部の厚みをt(mm)とし、この光学部材を形成する樹脂の弾性係数をY(GPa)とするとき、
1.7≦(H2/H1)×t×Y≦4.9
という関係を満たすこと、
を特徴とする光学部材。
【請求項2】
請求項1に記載の光学部材において、
前記反り量H1及び前記反り量H2の比H2/H1を反り発現値とし、前記光学部材の幅方向の中央における前記切片の前記反り発現値をS1、前記幅方向の両端部から切り出された同様の切片の前記反り発現値をS2とするとき、
0.9≦S2/S1≦1.2
という関係を満たすこと、
を特徴とする光学部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光学部材の製造方法であって、
熱可塑性樹脂を所定の幅のシート状に押し出す押出工程と、
押し出されたシート状の部材を、少なくとも一方が前記単位光学形状を賦形可能な成形型である1対のロールの間を通して加圧し、前記単位光学形状を賦形する賦形工程と、
前記賦形工程の後に、前記1対のロールのうち一方のロールの周方向に沿わせて冷却し、前記シート状の部材の流れ方向に対して、前記一方のロールの周方向に沿った湾曲形状を形成する湾曲形成工程と、
前記一方のロールから前記シート状の部材を剥離して冷却ロールに移動させ、所定の温度で冷却しながら前記湾曲形状を矯正して流れ方向において略平坦化する矯正工程と、
を備えること、
を特徴とする光学部材の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の光学部材の製造方法において、
前記湾曲形成工程において、前記一方のロールは、その表面温度をTa(℃)とし、前記熱可塑性樹脂のガラス転移点をTg(℃)とするとき、
Tg−40≦Ta≦Tg+10
という関係を満たすこと、
を特徴とする光学部材の製造方法。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の光学部材の製造方法において、
前記矯正工程において、前記冷却ロールの表面温度をTb(℃)とし、前記熱可塑性樹脂のガラス転移点をTg(℃)とし、前記湾曲形成工程における前記一方のロール(54)の表面温度をTa(℃)とするとき、
Ta−40≦Tb≦Tg−20
という関係を満たすこと、
を特徴とする光学部材の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の光学部材の製造方法において、
前記矯正工程において、前記シート状の部材は、前記冷却ロールよりの流れ方向下流に配置される第2冷却ロールによってさらに冷却及び湾曲形状が平坦化され、
前記第2冷却ロールの表面温度Tc(℃)は、
Tb≦Tc≦Tg−20
という関係を満たすこと、
を特徴とする光学部材の製造方法。
【請求項7】
請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載の光学部材の製造方法において、
前記賦形工程における前記1対のロールのうち、湾曲形状を形成する前記一方のロールにおける線速度をVaとし、前記シート状の部材を前記冷却ロールよりも下流で所定の速度で引き取る引取りロールにおける線速度をVbとするとき、
0.98≦Vb/Va≦1.10
という関係を満たすこと、
を特徴とする光学部材の製造方法。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の光学部材を所定の大きさに裁断して形成される光学シート。
【請求項9】
光を発する光源部と、
前記光源部からの光を導光する導光板と、
前記導光板の出光面側に配置される請求項8に記載の光学シートと、
を備え、
前記光学シートは、前記加熱処理によって凸面となる面を前記導光板側として配置されていること、
を特徴とする面光源装置。
【請求項10】
請求項9に記載の面光源装置と、
前記面光源装置によって背面側から照明される透過型表示部と、
を備える透過型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−76898(P2013−76898A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217454(P2011−217454)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】